JPWO2008105202A1 - 光ファイバ伝送装置及び光通信ネットワーク - Google Patents
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Abstract
【課題】ひとつの光増幅器にブーストアンプとプリアンプ双方の働きを担わせる。【解決手段】波長ルーティングを用いることによってひとつの光増幅器にブーストアンプとプリアンプの機能を担わせている。また、送信信号を予め、減衰させることによって、ブーストアンプとプリアンプとに要求される利得差を調整している。【選択図】図1
Description
本発明は光ファイバ通信に用いられる光ファイバ伝送装置に関する。本発明は光増幅器に関する。本発明は受動型光分岐回路と時分割多元接続(TDM)とを組み合わせた受動型光ファイバ通信ネットワーク(PON:Passive Optical Fiber Network)に関する。本発明はPONにビデオ信号サービスを組み合わせたトリプルプレイサービスに関する。
図53に従来の光ファイバ伝送装置200a及び200bを示す。光ファイバ伝送装置200aと対を成す光ファイバ伝送装置200bは伝送用光ファイバ204を介して光ファイバ伝送装置200aと接続されている。光ファイバ伝送装置200aは波長λ1の光信号205を送信し、光ファイバ伝送装置200bは波長λ2の光信号206を送信する。一本の光ファイバを用いて、上りと下りで波長を変えて全二重の伝送を行っている。
光ファイバ伝送装置200a内には光トランシーバ201a、光増幅器202a、波長多重化器203aが設けられている。光トランシーバ201aからは波長λ1の光信号205が送信される。波長多重化器203aは波長λ1と波長λ2の光信号を多重化するデバイスである。
同様に光ファイバ伝送装置200b内には光トランシーバ201b、光増幅器202b、波長多重化器203bが設けられている。光トランシーバ201bからは波長λ2の光信号206が送信される。波長多重化器203bは波長λ1と波長λ2の光信号を多重化するデバイスである。
光増幅器202aないし202bは送信信号を予め増幅して送るブーストアンプという用い方である。これに対して、受信信号を増幅して光信号に送るプリアンプという使い方もあるが、従来はあまり用いられていなかった。また、ブーストアンプとプリアンプを同時に用いる方法もあるが、これも従来はあまり用いられていない。
本発明は、ひとつの光増幅器にブーストアンプとプリアンプ双方の働きを担わせることを目的としている。また、一例では、プリアンプ動作の安定な動作を実現することを目的としている。
上記課題を解決するために、波長ルーティングを用いることによってひとつの光増幅器にブーストアンプとプリアンプの機能を担わせている。また、一例では、送信信号を予め、減衰させることによって、ブーストアンプとプリアンプとに要求される利得差を調整している。
本発明によれば、ひとつの光増幅器にプリアンプとブーストアンプに双方の機能を担わせることができる。その結果、高い許容光損失を低コストで実現することができる。
1、2、3…波長多重化器、4…光増幅器、5…光トランシーバ、10、11…光ファイバ伝送装置、12…伝送用光ファイバ、20…光ファイバ伝送装置、21…光アッテネータ、30…光ファイバ伝送装置、32…光アッテネータ、40、40a、40b…光ファイバ伝送装置、41…光増幅器利得制御機構、42…制御ポート、50…光ファイバ伝送装置、51…利得制御機構、52…制御ポート、53…可変光アッテネータ、60…光ファイバ伝送装置、61、62…波長多重化器、70…光ファイバ伝送装置、71…波長多重化器、72…利得平坦化フィルタ、73…分散補償ファイバ、74…波長多重化器、80…光ファイバ伝送装置、81…光信号入力ポート、82…光増幅器、83…波長多重化器(フィルタ)、84…光トランシーバの光受信部、85…増幅された光信号、86…ASE光(増幅された自然放出光)、90…光ファイバ受信装置、91…光トランシーバ、92…光増幅器、93…制御ポート、100…光増幅モジュール、101…光ファイバカプラ、102…フィルタ、104…、光増幅器利得制御機構、110…光増幅モジュール、111…光ファイバカプラ、112…光検出器、113…光増幅利得制御機構、114…コミュニケーションポート、120…光増幅ユニット、121…イーサスイッチ、130…10G−PON(PassiveOptical Network)用OLT 、131…スプリッター、132…ONU (Optical Network Unit)、141…OLT130の送信電力、142…OLT130の最小受信感度、143…ONU132の送信電力、144…ONU132の最小受信感度、150…トリプルプレイサービス用10G−PON−OLT、151…ビデオ信号光送信機、152…光アッテネータ、153…波長多重化器、154…ビデオ光信号(波長λ3)、157…波長多重化された送信信号、160…光ファイバ伝送装置、161、162…光スイッチ、163、164…光増幅器、170…光増幅器モジュール、171…光スイッチ、172、173…光増幅器、174…光ファイバカプラ、175…光増幅器制御機構、180…光アッドドロップマルチプレクサー型光ファイバ伝送装置、181、182、183、184…波長多重化器、185、186…可変光信号減衰器、187…光アッドドロップマルチプレクサー、188…分散補償デバイス、189a、189b…光増幅器(2ステージ型EDFA)、190a、190b…前段EDFA、EDFA191a、EDFA191b…後段EDFA、192a、192b、192c、192d…光スイッチ、195、196…光信号入出力ポート、200a、200b…従来の光ファイバ伝送装置、201a、201a…光トランシーバ、202a、202b…光増幅器、203a、203b…波長多重化器、204…伝送用光ファイバ、205…波長λ1の光信号、206…波長λ2の光信号、210…光中継増幅器、211、212…入出力ポート、213、214、215、216…波長多重化器、217、218、219、220…光スイッチ、221、222、223…光増幅器、223…波長λ2の光信号、224…波長λ1の光信号、230…光ファイバ受信装置、231…ダミー信号光源、232…ダミー信号混合手段、233…ダミー信号除去手段、234…ダミー光信号、235…光信号、236…FEC(フォワードエラーコレクション)デコーダ、250…光増幅器、251…光増幅器モジュール、252、253…誘電体薄膜型スリーポートデバイス、254…光アッテネータ、255…光アイソレータ、256…励起光結合器、257…エルビウムドープ光ファイバ、258…光アイソレータ、259…励起光源、261…入力光信号、262…光出力信号、263…ダミー光信号、271…レンズ、272…誘電体薄膜フィルタ、273…レンズ、300…光増幅器、301…誘電体薄膜型スリーポートデバイス、302…第一のパワーモニタタップ、303…第一のパワーモニタ、304…可変光アッテネータ、305…第二のパワーモニタタップ、306…第二のパワーモニタ、307…制御機構、308…制御ポート、309…誘電体薄膜型スリーポートデバイス、310…信号光透過フィルタ310、311…利得クランプ光増幅部、312…利得平坦化フィルタ、320…光増幅器、321…第一のエルビウムドープ光ファイバ、322…第二のエルビウムドープ光ファイバ、323…励起光源、324、325、326…光アイソレータ、327…光ファイバカプラ、328、329…WDM型光ファイバカプラ、330…光信号、331…ポンプ光、332…入力ポート、333…出力ポート、340…光増幅器、341、342…誘電体薄膜型スリーポートデバイス、343…光アッテネータ、344、345…誘電体薄膜型スリーポートデバイス、346…光アッテネータ、351…入力ポート、352…出力ポート、353…第一の光アイソレータ、354…WDM型光ファイバカプラ、355…励起光源、356…第一のFBG、357…エルビウムドープ光ファイバ、358…光ファイバカプラ、359…第二の光アイソレータ、360…光アッテネータ、361…第二のFBG、370…光増幅器、380…光中継増幅器、381…入力ポート、382…出力ポート、383…光プリアンプ、384…フィルタ、385…光ポストアンプ、390…光アッドドロップマルチプレクサ(ROADM)、391…入力ポート、392…出力ポート393…光プリアンプ、394…波長選択スイッチ(WSS)、395…波長可変型ラインカード、396…光信号結合手段、397…光ポストアンプ、400…光増幅器、401…光ファイバカプラ、410…光増幅器、411…入力光信号、412…出力光信号、421…光ファイバカプラ、422…入力光信号パワーモニタ、423…光アイソレータ、424…励起光結合器、425…エルビウムドープ光ファイバ、426…光アイソレータ、427…励起光源、428…励起光源駆動回路、429…可変光アッテネータ駆動回路、430…可変光アッテネータ、431…光ファイバカプラ、432…出力光信号パワーモニタ。
以下、本発明の実施例について説明する。
図1に本発明の実施例1の光ファイバ伝送装置10のブロックダイアグラムを示す。波長多重化器1、2、3、光増幅器4、及び、光トランシーバ5から成り立っている。伝送装置10においては、光増幅器4は送信信号を増幅するブーストアンプの役割と、受信信号を増幅するプリアンプの役割を1台で担っている。
波長多重化器1、2、及び3は誘電体薄膜型のフィルタを用いたタイプである。光増幅器4はCバンドのEDFA(エルビウムドープファイバ光増幅器)である。CバンドとはITU−Tで規定された波長範囲で概略1530−1565nmの波長範囲である。光トランシーバ5は着脱自在の光トランシーバであるSFP(Small Form Factor Pluggable)トランシーバを用いている。
送受信ポート8からは波長λ1の受信信号6が受信されると共に、波長λ2の送信信号7が送信される。送受信ポート8に入力した波長λ1の受信信号6は波長多重化器1によって分離されて波長多重化器2へと向かう。光トランシーバ5からの波長λ2の送信信号7は同様に波長多重化器2へと向かう。波長λ1の受信信号6と波長λ2の送信信号7とは多重化されて光増幅器4へと送られる。光増幅器4は波長λ1の受信信号6と波長λ2の送信信号7とを同時に増幅して、波長多重化器3へと送る。波長多重化器3は受信信号6と送信信号7を分離する。分離された送信信号7は波長多重化器1を経て送受信ポート8へと送られる。一方、分離された受信信号6は光トランシーバ5の受信ポートへと送られる。
光ファイバ伝送装置10は図2に示すように用いられる。光ファイバ伝送装置10と同様の構成を持つが、光ファイバ伝送装置10とは反対に、送信信号が波長λ1であり、受信信号が波長λ2である光ファイバ伝送装置11とが伝送用光ファイバ12を介して接続されている。これにより、1本の伝送用光ファイバ12によって、全二重の送受信が行われる。
ここで、受信信号6の波長λ1はITU−Tで規定されたCWDMグリッドの1530nmの波長であり、送信信号7の波長λ2はITU−Tで規定されたCWDMグリッドの1550nmの波長である。波長多重化器1、2、及び3はCWDMの1530nmグリッドと1550nmグリッドの多重化及び分離を行う機能を有する誘電体薄膜フィルタ型の波長多重化器である。
光トランシーバ5は前述の通りSFPトランシーバであり、送信用の光源としては直接変調型のDFBレーザ(分布帰還形レーザ)を備え、受信用デバイスとしてはPIN型フォトダイオードを備えている。光信号の伝送レートはギガビットイーサネットの1.25Gbit/sの伝送速度のものを用いている。送信出力は0dBm(約1mW)、受信感度は−24dBm(約4μW)である。具体的には台湾のCoretek社のCT−125SSP−CB8L(1550nm)を用いている。
光増幅器4は前述の通り、CバンドのEDFAである。具体的には米国のDowslake社のPOP1021(単一励起光源仕様)を用いた。光増幅器4の励起光源は波長980nmのレーザを用いており、励起方式としては双方向励起型を採用している。双方向励起とは増幅されるべき光信号の進行方向と同方向及び逆方向、双方から励起光をエルビウムドープファイバに供給する方式のことである。光増幅器4の飽和出力は+13dBm(約20mW)である。光増幅器4は多機能の光増幅器モジュールであり、様々な増幅モードが選択できるが、ここではAGC(Auto Gain Control:利得一定制御型モード)を用いている。
説明を簡単にするために、以下、波長多重化器1、2、及び3の挿入損失などを無視して光ファイバ伝送装置10の動作を説明する。光増幅器4の利得を13dBにセットすると、光トランシーバ5からの0dBmの送信信号7は光増幅器4によって+13dBmまで増幅されて送受信ポート8から出力される。一方、−37dBmの受信信号6は光増幅器4によって−24dBmまで増幅されて光トランシーバ5に受信されることとなる。これによって、光ファイバ伝送装置10の送信電力は+13dBm、一方、受信電力は−36dBmとなり、許容光損失は49dBとなる。
光増幅器4のプリアンプ特性を別途測定したところ、何のフィルタも付けない状態では最小受信感度−36.5dBm(伝送速度1.25Gbit/s)、CWDMフィルタを取り付けた状態では−37.5dBm(伝送速度1.25Gbit/s)、そして、100GHzのDWDMフィルタを取り付けた−39.5dBmであった。ちなみに、これらの値は、APD(アバランシェフォトダイオード)を用いた場合に、伝送速度1.25Gbit/sで標準的に得られる最小受信感度−31dBmよりも良好な値である。
本実施例のように、ひとつの増幅器に信号レベルの大きく異なるふたつの光信号(受信信号6及び送信信号7)を加えて増幅した場合、信号レベルの大きな信号からの干渉を受けてプリアンプ動作が阻害されることが懸念されたが、実験の結果、そのような干渉はほぼ無いことを確認した。
光トランシーバ5として、SFPトランシーバに代えて、伝送速度10Gbit/sのXFPトランシーバを用いることもできる。具体的には米国のFinisar社のFTRX3611である。この場合、波長λ1としてはITU−TのDWDM100GHzグリッドで定義されているチャネル32(波長1551.72nm)、波長λ2としてはITU−TのDWDM100GHzグリッドで定義されているチャネル34(波長1550.12nm)を用いた。光トランシーバ5(Finisar社FTRX3611)の受光部はPINフォトダイオードであり、最小受信感度−16dBmである。
なおXFPトランシーバを用いて10Gbit/sの伝送を行った場合、プリアンプ動作の最小受信感度は、フィルタ無しの場合で−30.5dBm、CWDMフィルタを用いた場合で−30.5dBm、そして100GHZのDWDMフィルタを用いた場合で−33.5dBmであった。ちなみに、これらの値は、APD(アバランシェフォトダイオード)を用いた場合に、伝送速度10Gbit/sで標準的に得られる最小受信感度−24dBmよりも良好な値である。
なお、先にも述べた通り、上記の数値については説明を簡単にするために、受動型光部品の挿入損失の効果は除いて説明している。実際には、受動型光部品の挿入損失分、光増幅器の増幅度を高く設定するなどしている。
なお、本実施例では、光増幅器としてCバンドのEDFAを用いたが、他の光増幅器、LバンドのEDFA(増幅可能帯域:1565nm−1610nm)、ラマン増幅器、半導体レーザ光増幅器などを用いることができる。波長帯域も任意のものを用いて良い。また、本実施例ではDWDMの100GHzグリッドを用いたが、25GHz、50GHz、200GHz、400GHzなど任意のグリッドを用いることができる。CWDMのグリッドを用いても良い。光増幅器の増幅可能波長帯域との兼ね合いになるが、例えば、CバンドのEDFAであれば、CWDMの1530nmと1550nmのグリッドを用いて本実施の構成を実現可能である。
以上のように本実施例に拠れば、ひとつの光増幅器4を用いて、送信信号を増幅するブーストアンプ動作と、受信信号増幅するプリアンプ動作とを、同時に実現することができる。したがって、光ファイバ伝送装置の構築コストを低減させることができる。しかも、ブーストアンプ動作とプリアンプ動作をひとつの光増幅器に担わせることによって性能が低下することも無い。
図3に本発明の実施例2の光ファイバ伝送装置20のブロックダイアグラムを示す。図1の構成との違いは光トランシーバ5の送信部分と波長多重化器2との間に光アッテネータ(光減衰器)21を設けた点である。この光アッテネータ21は固定型、もしくは可変型のどちらでも良い。
光トランシーバ5としてDWDMのXFPトランシーバ(例えば前述のFinisar社製FTRX3611)を用いた場合、送信信号強度は概略0dBmである。図1の構成において送信信号を光増幅器4によって+10dBmまでブーストして送信するのであれば、光増幅器の増幅度は10dBということになる。一方、受信信号7の信号レベルが−30dBmであったとすると、受信信号は−20dBmまでしかプリアンプ増幅されないことになる。なぜなら、光増幅器4は共通であり、増幅度は同じであるからである。ところが、DWDMのXFPトランシーバの最小受信感度は−16dBmしかなく、これでは、受信信号を正しく受信できない。光増幅器4の増幅度をさらに高くすることはできるが、今度は、ブーストアンプとしての増幅度10dBと矛盾が生じることとなる。
以上のような理由から、図3においては光アッテネータ21によって、送信信号7を、予め、0dBmから−10dBmまで10dB減衰させている。また、図3において光増幅器の増幅度を20dBに設定している。このようにすることにより、ブーストアンプ動作では−10dBmの送信信号7を20dB増幅して+10dBm上昇させることができる。また、受信側のプリアンプ動作では−30dBmの受信信号6を同様に20dB増幅して−10dBmに上昇させて光トランシーバ5の受信部に入力させることができる。
XFPトランシーバを用いて、伝送速度10Gbit/sにおいて、図3の光ファイバ伝送装置20を構成した場合において、出力+10dBm以上のブーストアンプ動作、最小受信感度−30dBm以下のプリアンプ動作が問題なく実現できることを実験的に確かめた。許容光損失40dBが実現できたことになる。なお、この場合、波長多重化器1、2、及び3には100GHzのDWDMフィルタを用いた。
以上のように本実施例によれば、光アッテネータ21によって送信信号を予め減衰させることにより、光増幅器4の増幅度を高く設定することができ、その結果、十分なプリアンプ利得を設定することができる。言い換えると、プリアンプに要求される利得がブーストアンプに要求される利得より大きい場合に、光アッテネータ21を設けることによって二つの要求利得差を調整することが可能となるのである。
図4に本発明の実施例3の光ファイバ伝送装置30のブロックダイアグラムを示す。実施例2との違いは光アッテネータ31を波長多重化器1と波長多重化器2との間に設けたことである。
実施例2の場合、−30dBmの受信信号7を−10dBmまで上昇させて光トランシーバ5に入力させることができた。しかし、受信信号は設置環境によって異なり、受信信号6の信号強度がもっと大きい場合がある。例えば、受信信号強度が−18dBmの場合を考えると、光トランシーバの入力は+2dBmとなってしまう。PINフォトダイオードの場合、一般に受信信号の上限は0dBmと定められていることが多く、これより大きい光信号ではかえってエラーが生じる場合がある。だからといって、光増幅器4を使わないわけにも行かない。なぜなら、PINフォトダイオードの最小受信感度は−16dBm程度だからである。
すなわち、実施例2のパラメータ設定では、受信信号6が−20dBmから−16dBmの場合、受信する方法がなくなってしまう。また、受信信号強度によって、受信側に限り光増幅器4を使わないように配線を変更するのは煩雑である。このような問題点を解決するために、本実施例では光アッテネータ31を設けてある。光アッテネータは可変型の光アッテネータであっても良いし、固定型の光アッテネータを必要に応じて波長多重化器1と波長多重化器2の間に着脱自在に設けても良い。
受信信号6の強度が−20dBmから−10dBmの範囲の場合に光アッテネータ31を10dBの減衰量としておけば、支障なく受信を行うことができる。もちろん、受信信号6の信号強度がさらにつよい場合は、光アッテネータの減衰量をさらに増やせばよい。
前述のように送信電力+10dBm、最小受信感度−30dBmとした場合は、最大の許容光損失は40dB(0.25dB/kmの光ファイバ損失とすると160km)となる。このことから光アッテネータ31の減衰量と光許容損失(伝送距離)の関係は以下のようになる。光アッテネータ31の減衰量が0dBの場合は光許容損失30dB(距離120km)から40dB(距離160km)の間に対応する。光アッテネータ31の減衰量が10dBの場合は光許容損失20dB(距離80km)から30dB(距離120km)の間に対応する。光アッテネータ31の減衰量が20dBの場合は、光許容損失10dB(距離40km)から20dB(距離80km)の間に対応する。
なお、上記では説明の便宜上光アッテネータ31の減衰量を10dB刻みで計算したが、もっと細かく、5dB刻み、あるいは3dB刻みなどで調整してかまわないことは言うまでも無い。あるいは可変光アッテネータを用いて連続的に減推量を調整してもかまわない。
以上のように、本実施例によれば、光アッテネータ31を設けることにより、要求される光許容損失が変化しても、光トランシーバの受信部を適正に動作させることができる。
図5に本発明の実施例4の光ファイバ伝送装置40のブロックダイアグラムを示す。実施例2の構成に光増幅器利得制御機構41を設けた点が異なる。光増幅器利得制御機構41は制御ポート42からの信号によって光増幅器4の利得を制御することができる。
図6に実施例4の光ファイバ伝送装置によって構成した伝送系を示す。これは実施例1における図2に対応するものである。ふたつの光ファイバ伝送装置40aと40bとが光ファイバ12を介して接続されている。光ファイバ伝送装置40aと40bとでは送信信号の波長と受信信号の波長の関係が互いに反対になるように構成されている。
図6において、許容光損失は、光ファイバ伝送装置40aの送信電力と光ファイバ伝送装置40bの最小受信電力の差である。もちろん、同時に、許容光損失は、光ファイバ伝送装置40bの送信電力と光ファイバ伝送装置40aの最小受信電力の差である。通常は、ふたつの光ファイバ伝送装置40aと40bの送信電力、最小受信電力は概略同じ値に設定される。したがって、光ファイバ12の伝送損失に対応してポート42aないしはポート42bから光増幅器4の増幅度を制御すれば、受信レベルを適切に調整することができる。
例えば、光ファイバ12の伝送損失が30dBであった場合を考える。実施例2に示した例と同様に、光アッテネータ21は10dBであり、光トランシーバの送信電力は0dBmとする。光ファイバ伝送装置40a及び40bの光増幅器4の増幅度を共に15dBに設定すれば、送信信号の電力は共に5dBm、受信信号は−25dBmとなる。−25dBmの受信信号はさらに15dB増幅されて−10dBmの光信号となって光トランシーバ5の受信部へと導かれる。
光増幅器の利得を変えると、送信電力とプリアンプ利得が同時に変化するので、やや理解しにくいが、許容光損失を考えれば調整できる。光増幅器の利得を1dB上昇させると、送信電力が1dB増加すると同時に、プリアンプ利得が1dB増加するので、共用光損失は2dB増加する。
光増幅器利得制御機構41をSNMP(Simple Network Management Protocol)機構に実装し、同時に、光トランシーバの受信電力の情報も読み取れるようにすれば、ネットワークを介して、遠隔地点にあるふたつの光ファイバ伝送装置40aと40bとを制御して、適切な送受信電力に設定することも可能である。前述のSFPやXFPと呼ばれるトランシーバにはDDM(Digital Diagnostic Mode)と呼ばれる機構が組み込まれているものがあり、この機構を利用して、受信電力の値などをディジタル情報として読み取ることが可能である。光増幅器も同様に、内部の各種状態を読み取ることや動作モードなどの設定をすることが可能なモジュールが存在するので、これらを組み合わせれば、ネットワークを介したリモートコントロールが可能である。
光増幅器の利得や光アッテネータの制御はある設定値に自動的に修正していく方式でもよいし、受信電力などのパラメータを読み取って手動で光増幅器の利得や光アッテネータの減衰量を制御するようにしても良い。また、受信電力などの範囲を設定しておいて、その範囲を超えた場合に警報が出力されるような制御方式であっても良い。
図7に本発明の実施例5の光ファイバ伝送装置50のブロックダイアグラムを示す。実施例4の構成において、光アッテネータ21を電子的に制御可能な可変光アッテネータ53に変更すると共に、利得制御機構51を設けた点が異なる。利得制御機構51は光増幅器4と可変光アッテネータ53を制御可能である。また、光トランシーバ5や光増幅器の各種状態を読み取ることができる。制御ポート52はネットワーク接続可能なインターフェイスを成していて、リモートセンシング及びリモートコントロールが可能となっている。
本実施例では、可変光アッテネータ53の減衰量も制御できることから、送信電力とプリアンプ利得とを独立に制御することが可能である。
図8に本発明の実施例6の光ファイバ伝送装置60のブロックダイアグラムを示す。実施例2の構成は1チャネルの伝送系であったものを、波長多重化技術を用いて多チャネル化した点が主たる相違点である。
図8において、光ファイバ伝送装置60は複数の光トランシーバ5aないし5bを備えている。これらの光トランシーバは送信波長がそれぞれ異なっており、波長多重化器61によって送信信号が多重化され、また、波長多重化器62によって多重化された受信信号が個別の光信号に分離されている。波長多重化器61及び62は誘電体薄膜フィルタ型の波長多重化器を用いているがAWG(アレイ状導波路回折格子)を用いても良い。
本実施例にあっては、波長多重化器1、2、及び3はひとつのDWDMグリッド波長を通すフィルタではなく、複数のDWDMグリッド波長を同時に通す誘電体薄膜型フィルタを用いている。具体的にはCバンドの短波長領域を通すBlueバンド選択フィルタあるいは、Cバンドの長波長領域を通すRedバンド選択フィルタを用いている。
なお、波長多重化器1、2、及び3については、Blueバンド選択フィルタ及びRedバンド選択フィルタに代えて、4つのDWDMグリッドを通す4 skip 1フィルタや8つのDWDMグリッドを通す8 skip 1フィルタなどを用いることもできる。
波長多重化器61と波長多重化器2の間には光アッテネータ21が設けられている。この光アッテネータの減衰量を調整することによって、送信電力とプリアンプ利得とを任意の値に設定できるのは実施例2の場合と変わらない。図8には示していないが、実施例4と同様に光ファイバ増幅器4に対して光増幅器利得制御機構を設けることもできる。また、光アッテネータ21に代えて、実施例5と同様に、電子的に制御可能な可変光アッテネータを設けても良い。
本実施例において、波長多重化器61に代えて、ファイバカプラあるいは光導波路形の1×Nツリー状光分岐路を用いることもできる。1×Nツリー状光分岐路は分岐数に応じて損失が生じる。2分岐なら3dB、4分岐なら6dB、そして8分岐なら9dBというように損失が生じ、さらに、この上に過剰損と呼ばれる損失が加わる。このため、通常、波長多重化装置では、ツリー状光分岐路を用いて光信号を多重化することは行われない。しかしながら、本実施例では、光アッテネータ21によって送信信号を減衰させる必要があるので、その減衰量の一部をツリー状光分岐路の担わせることができる。ツリー状光分岐路は誘電体薄膜フィルタ型の波長多重化器やAWGに比べて安価であり、このような実装はコストメリットが生じる。なお、ツリー状光分岐路は波長を選別する能力はないため、受信側の波長多重化器62には用いることはできない。
図9に本発明の実施例7の光ファイバ伝送装置70のブロックダイアグラムを示す。実施例6の構成に加えて、利得平坦化フィルタ72と分散補償ファイバ73を加えた構成である。利得平坦化フィルタ72と分散補償ファイバ73は波長多重化器71と74に挟まれた形で実装されている。波長多重化器71と74は実施例6における、波長多重化器1、2、及び3と同様、Cバンドの短波長領域を通すBlueバンド選択フィルタあるいは、Cバンドの長波長領域を通すRedバンド選択フィルタ、あるいは、4つのDWDMグリッドを通す4 skip 1フィルタや8つのDWDMグリッドを通す8 skip 1フィルタなどである。
利得平坦化フィルタ72は光増幅器4の利得が波長によって変化するのを補正する働きがある。利得平坦化フィルタ72は光増幅器4の利得の波長依存性とは逆特性の損失カーブを持ったフィルタであり、利得平坦化フィルタ72と光増幅器4とを直列に接続することによって、波長変化に対して利得が変化しないようにすることができる。利得平坦化フィルタ72はその原理からして、挿入損失が生じる。したがって、プリアンプ動作の場合は、増幅後に利得平坦化フィルタを挿入するのが望ましい。なぜなら、増幅前に損失要素を加えると最小受信感度が低下するからである。一方、ブーストアンプにあっては、増幅前に利得平坦化フィルタを挿入するのが望ましい。なぜなら、増幅後に損失要素を加えると出力が低下してしまうからである。
図9の構成では、ブースト増幅される送信信号7については、光増幅器4への入力前に利得平坦化フィルタ72が位置している。また、受信信号6に対しては光増幅器4で増幅された後に利得平坦化フィルタ72が位置している。したがって、プリアンプ動作、ブーストアンプ動作、双方において性能低下が生じない。
分散補償ファイバ73は、伝送路ファイバの波長分散(波長によって光ファイバ内での光速が変化する現象)を補正するデバイスである。伝送路ファイバに波長分散があると、光トランシーバの光源の波長拡がりによって、伝送後の光信号に時間方向の歪みが生じる。分散補償ファイバは伝送路ファイバとは逆の波長分散特性を有する光ファイバであり、伝送路ファイバ中で生じる波長分散を補正し、これによって、伝送後の光信号の時間方向の歪みを補正する。なお、分散補償ファイバ73に代えて、他の動作原理の分散補償手段を用いても良い。
図9では、利得平坦化フィルタ72と分散補償ファイバ73とを設けてあるが、用途によっては、利得平坦化フィルタ72のみ、あるいは分散補償ファイバ73のみを設けても良い。
以上の本実施例では、波長多重化器71と波長多重化器74によって多重化された信号が、利得平坦化フィルタ72と分散補償ファイバ73を通過し、利得平坦化フィルタ72と分散補償ファイバ73は、送信信号7に対しては光増幅器4への入力前に位置し、受信信号6に対しては光増幅器4の出力後に位置しているので、利得平坦化フィルタ72や分散補償ファイバ73の挿入損失が伝送性能に与える影響を低減させることができる。
図10に本発明の実施例8の光ファイバ受信装置80を示す。光ファイバ受信装置は光ファイバ伝送装置の一部であり、前述の実施例1から実施例7までの中でも用いていた。光ファイバ受信装置80において、光信号入力ポート81からの光信号は光増幅器82を経て、波長多重化器(フィルタ)83を経て光トランシーバの光受信部84へと入力する。図10では光受信部84は4個描かれているが、1個以上の任意の整数個を取りえる。波長多重化器83は光信号を各波長に分離する機能を有しており、これはフィルタ機能と等価である。複数の波長を分離するときに波長多重化器と呼び、1つだけの波長を分離するときにフィルタと呼ぶ、と考えればよい。また、プリアンプ動作の際に後述のASE光(増幅された自然放出光)を除去するという機能については狭帯域フィルタという表現をすることがある。
光トランシーバの光受信部84としては、PINフォトダイオード型とAPD型が知られている。PINフォトダイオードは安価だが、受信感度は低い。APD型は高価だが、高感度である。一例を挙げるなら、622Mbit/sから2.67Gbit/sの領域ではPINフォトダイオード型は概略−24dBmから0dBmの範囲が受信可能であり、APD型は概略−30dBmから−8dBmの範囲が受信可能である。また、より高速の10Gbit/s領域(9.95Gbit.sから11.5Gbit.sの範囲)では、PINフォトダイオード型は−16dBmから0dBmの範囲が受信可能であり、APD型では−24dBmから−8dBmの範囲が受信可能である。この受信感動は誤り率10−12以下で規定されることが一般的である。
発明者の実験によれば、実施例1中にも記した通り、プリアンプ動作させた双方向励起の980nm励起のEDFAと100GHz(帯域:0.8nm)フィルタを用いた時に、−39.5dBm(伝送速度1.25Gbit/s)、あるいは−33.5dBm(伝送速度9.95Gbit/s)という受信感度が得られている。また、CWDMのフィルタ(帯域:13nm)を用いた時には、−37.5dBm(伝送速度1.25Gbit/s)、あるいは−32.0dBm(伝送速度9.95Gbit/s)であった。フィルタを用いない場合は、−37.5dBm(伝送速度1.25Gbit/s)、あるいは−30.5dBm(伝送速度9.95Gbit/s)であった。
光増幅器82から出力される光は図11に示すようなスペクトルを示している。増幅された光信号85とASE光(増幅された自然放出光)86とが混在している状態である。図11において、横軸は波長、縦軸は単位波長当たりの電力である。上記に述べたAPD型受信部を上回る高感度領域では、光信号よりもASE光の方が大きな電力を持っている。実測値の一例を挙げるなら、10Gibt/sのプリアンプ動作時に光増幅器の入力信号が−32dBm、光増幅器の利得設定値が30dBの時に、ASE光86の方が増幅された光信号85よりも6dB(4倍)ほど大きかった。
ASE光86と光信号入力の比率は、信号レベル、及び、入力信号の数(波長多重化されたチャネル数)により変化する。ASE光と光信号入力の比率が最大になるのは、入力信号が最も小さい最小受信感度付近であり、また、入力信号の数がひとつの時である。また、ASE光の量は光増幅器の特性によっても異なる。従来、APDで実現されていた受信感度より高い受信感度の領域(では、ASE光86と増幅された光信号85の比率は2ないし8dBの範囲であった。
ここで言う、従来、APDで実現されていた受信感度より高い受信感度の領域とは、伝送速度622Mbit/sから2.67Gbit/sなら入力電力が−30dBmから−40dBmの範囲、伝送速度9.95Gbit/sから11.5Gbit/sなら、入力電力が−24dBmから−34dBmの範囲のことを指している。
上記のASE光86が光信号85より大幅に大きいことは、光増幅器82の利得制御に影響を与える。光増幅器82内部には入力光信号の電力を検出する受光器と増幅後の出力光信号の電力を検出する受光器が設けられており、この両者の検出結果から所定の利得になるように制御が行われている(利得一定モード)。ところが、光増幅器内に設けられているこれらの受光器にはフィルタは設置されていないので、出力光信号の電力を検出する受光器はASE光と光信号の和に対して制御を行うことになる。この結果、利得一定型制御の場合、ASE光86の影響によって、実際に必要な増幅度より低い増幅度になってしまう。また、出力一定型制御の場合でも、必要な出力信号より低い光信号が出力されるように制御されてしまう。
例えば、伝送(変調)速度9.95Gbit.sの−33dBmの光信号を−10dBmまで増幅してPINフォトダイオード型の受信部に入力させる場合を考える。単純に計算すれば23dBの利得に設定すれば良いが、この場合、ASE光の影響で実際の利得は光増幅器の設定値より6dB低くなってしまう。したがって、光増幅器を29dBの利得に設定してようやく、狭帯域化された光信号で−10dBmの光信号がPINフォトダイオード型受信部に入力することになるのである。
このことから、本実施例では、入力信号レベルと入力信号数に応じて校正表を作り、この校正表に基づいて光増幅器82の設定を行っている。なお、光増幅器82の利得制御方式は、利得一定型のみならず出力一定型であっても良い。出力一定型の場合においても、ASE光の誤差の補正は必要である。なお、この校正表に基づく補正は手動で行っても良いし、自動的に行っても良い。
また、光トランシーバの光受信部84に入力させる光信号の範囲についても次のような制約がある。光トランシーバの光受信部84として10Gbit/sのPINフォトダイオード型を用いた場合、図10の構成において、光信号入力ポート81に−33dBmの光信号を加えて光トランシーバの光受信部84に−16dBmの光信号が来るように光増幅器の利得を制御したのでは、かなり大きな誤りが発生してしまう。光信号入力ポート81の入力光を−33dBmに維持したまま、光トランシーバの光受信部84への入力が−12dBm程度になるまで光増幅器の利得を上昇させると、誤りの発生を防ぐことができる。すわなち、光トランシーバの光受信部84の最小受信感度より4dB程度大きな光信号が加えられるように光増幅器82の利得を制御する必要がある。
反対に、光トランシーバの光受信部84に0dBmを超える光信号が入力するように設定すると、やはり誤りの増大が認められた。
このような事情はAPD型のフォトダイオードを光トランシーバの光受信部84に採用した場合も同様であった。すなわち、光トランシーバの光受信部84に入力する光信号は最小受信感度より4dB以上大きく、かつ、最大入力レベル(APD型の場合は−8dBm)を超えないことが必要であった。
以上を整理すると、以下のようになる。
PINフォトダイオード型の受信部を採用し、伝送速度622Mbit/sから2.67Gbit/s、光信号入力ポート81への入力電力が−30dBmから−40dBmの範囲である時に、PINフォトダイオード型受信部への入力電力が−20dBmから0dBmの範囲であること。
PINフォトダイオード型の受信部を採用し、かつ、伝送速度9.95Gbit/sから11.5Gbit/sの時に、光信号入力ポート81への入力電力が−24dBmから−34dBmの範囲である時に、PINフォトダイオード型受信部への入力電力が−12dBmから0dBmの範囲であること。
APDフォトダイオード型の受信部を採用し、伝送速度622Mbit/sから2.67Gbit/s、光信号入力ポート81への入力電力が−30dBmから−40dBmの範囲である時に、APDフォトダイオード型受信部への入力電力が−24dBmから−8dBmの範囲であること。
APDフォトダイオード型の受信部を採用し、伝送速度9.95Gbit/sから11.5Gbit/s、光信号入力ポート81への入力電力が−24dBmから−34dBmの範囲である時に、APDフォトダイオード型受信部への入力電力が−20dBmから−8dBmの範囲であること。
上記の記述から明らかなように、光トランシーバの受信部への入力範囲(許容される最大値と最小値の差9は12dB程度であるので、この値に対してASE光によって生じる2−8dBの誤差は看過できない。なお、上記の光トランシーバの受信部への入力電力はフィルタ通過後の値である。実際の利得設定値は、さらにフィルタや波長多重化器の挿入損失も加えて設定されることは言うまでも無い。
図10の構成においては光ファイバ受信装置80の最小受信感度は光増幅器で決まってしまい、光トランシーバの光受信部84にPINフォトダイオードを用いても、APDフォトダイオードを用いても、最小受信感度そのものには差がなかった。一般にPINフォトダイオードの方が安価であるので、コスト面からはPINフォトダイオードを用いるのが望ましい。
以上のように本実施例では、伝送速度帯域ごとに光トランシーバの光受信部への入信号レベルを適切に保つことによって、従来のAPDの最小受信感度より高感度の受信感度を実現することができる。
図12に本発明の実施例9の光ファイバ受信装置90を示す。図10に示した構成の内、光トランシーバの受信部84に代えて、光トランシーバ91を設けるとともに光増幅器利得制機構92、及び制御ポート93を設けている。
光トランシーバ91は前述のDDM(Digital Diagnostic Mode)機構を有する光トランシーバ、具体的には前述のSFP、もしくはXFPである。SFPやXFPにはOPM(Optical Power Monitor)と呼ばれる機構が組み込まれており、受信光の信号レベルを計測し、DDM機構を介してディジタル情報として外部に出力することができる。
実施例8で述べたように、高感度領域では、光増幅器82からのASE光が光増幅器の利得制御に影響を与えてしまう。光トランシーバ91には波長多重化器(フィルタ)83を通過した後の光信号が入力されているので、光トランシーバのOPMから得られる信号はASE光を除去した値となっている。したがって、光トランシーバのOPM情報に光増幅器利得制機構92が光増幅器82を制御すれば、実施例8において述べた動作条件を正確に満たすことができる。
ただし、ここで注意しなくてはならないのは、OPMの誤差である。SFPにせよXFPにせよ、OPMの誤差は±3dBが許容されている。実際の製品の実力は±0.5dB程度の範囲に収まっているものが大半であるが、規格がこのようになっている以上、OPMの誤差が±3dに達するものが入荷しないとは限らない。
この誤差を考慮に入れると、図12においては次のように動作条件を決めることが必要となる。
PINフォトダイオード型の受信部を採用し、伝送速度622Mbit/sから2.67Gbit/s、光信号入力ポート81への入力電力が−30dBmから−40dBmの範囲である時に、OPMからの入力電力情報が−17dBmから−3dBmの範囲であること。
PINフォトダイオード型の受信部を採用し、かつ、伝送速度9.95Gbit/sから11.5Gbit/sの時に、光信号入力ポート81への入力電力が−24dBmから−34dBmの範囲である時に、OPMからの入力電力情報が−9dBmから−3dBmの範囲であること。
APDフォトダイオード型の受信部を採用し、伝送速度622Mbit/sから2.67Gbit/s、光信号入力ポート81への入力電力が−30dBmから−40dBmの範囲である時に、OPMからの入力電力情報が−21dBmから−11dBmの範囲であることが必要であること。
APDフォトダイオード型の受信部を採用し、伝送速度9.95Gbit/sから11.5Gbit/s、光信号入力ポート81への入力電力が−24dBmから−34dBmの範囲である時に、OPMからの入力電力情報が−17dBmから−11dBmの範囲であること。
本実施例によれば、OPMを搭載した光トランシーバからの入力電力情報に基づいて光増幅器の利得を制御することにより、従来のAPDの最小受信感度より高感度の受信感度を実現することができる。
図13に本発明の実施例10の光増幅器モジュール100を示す。光増幅器82の出力に光ファイバカプラ101を設けて出力光信号の一部を分岐している。分岐した出力光信号はフィルタ102、受光器103へ送られ、光増幅器の出力信号情報に変換されてから光増幅器利得制御機構104へと送られる。フィルタ102は例えばDWDMの100GHzグリッドのフィルタであって、信号光と同じ波長帯域幅の光信号を検出するようになっている。
実施例8において説明したとおり、従来の光増幅器を用いると、高感度領域では、ASE光によって光増幅器の利得が不正確に制御されてしまう。ASE光の分だけ出力が余計に計上されるので、実際の利得は必要な値より低くなってしまう。それに対して、本実施例では、波長多重化器と同じ波長帯域幅のフィルタを用いるので、正確な利得制御が可能である。
また、SFPやXFPなどの光トランシーバのOPMを用いた場合は、規格で許容されている±3dBの誤差のため、光トランシーバの入力範囲が狭く限定されるという問題があった。しかし、本実施例ではより高精度の受光器を設けることも可能なため、結果として、光トランシーバの入力範囲を広く設定することが可能となる。
また、SFPやXFPなどの光トランシーバのOPMには校正方式としてインターナルキャリブレーションとエクスターナルキャリブレーションの2方式があり、さらに、その実装は光トランシーバメーカーごとにまちまちである。このため、OPMを用いて光増幅器の利得制御を行うときに組み合わせる光トランシーバによって、制御結果が微妙に変化してしまうことがある。これに対して、本実施例では、光増幅器モジュールに専用の受光器を設けて自己完結した形で制御を行うので、より信頼性の高い動作が可能となる。
図14に本発明の実施例11の光増幅器モジュール110を示す。光増幅器82の出力ポートを波長多重化器83に接続し、波長多重化器の各ポートに光ファイバカプラ111を接続して出力信号の一部を分岐している。光検出器112は分岐された光信号を検出して、その値を光増幅器利得制御機構113へと送る。光増幅器利得制御機構113には外部コミュニケーションポート114が設けられている。
波長多重化器82は前述の通り、DWDMの100GHzグリッドの波長多重化器である。したがって、実施例10のフィルタ102と同等の機能を有する。光ファイバカプラで分岐されたもう一方(光検出器112側ではない方)は図示しない光トランシーバへと送られる。
本実施例では、波長多重化器83にフィルタの機能を担わせている。また、必要であれば複数のチャネルについて信号レベルを監視して、その情報に基づいて光増幅器の利得を制御することができる。
光増幅器利得制御機構113をSNMPエージェントの一部として実装し、外部コミュニケーションポート114を介してネットワーク接続し、各チャネルの受信電力の遠隔監視、光増幅器の遠隔制御などを行うようにすることもできる。受信電力の適正範囲を設定しておいて、この適正範囲を逸脱するチャネルがあった場合に警報を発するようなシステムとしても良い。
図15に本発明の実施例12の光増幅器ユニット120を示す。本実施例では、光トランシーバ5aないし5dはイーサスイッチ121に実装されている。光増幅器ユニット120は図8に示した実施例6の構成に図14に示した実施例11の構成を組み合わせている。
近年、イーサスイッチやルータはSFPやXFPなどの着脱自在なトランシーバインターフェイスを装備しているものが多い。このトランシーバインターフェイスに波長多重化された光トランシーバを装着する利用法も増えている。そのような場合に、光増幅ユニット120のように波長多重化と光増幅の機能を集約した伝送装置が必要となる。
図14のような実装では、光トランシーバが実装されている筐体と、光増幅器が実装されている筐体が別個であるために、光トランシーバ内のOPMを用いて光増幅器を制御するような機構を構成するのは煩雑である。このようなケースに実施例11の光増幅モジュールの構成は有効である。
図16に本発明の実施例13の10G−PON(Passive Optical Network)用OLT(Optical Line Terminal)130を示す。OLT130は実施例2において図3で示した光ファイバ伝送装置20と基本的には同等の構成を有している。OLT130の送受信ポート8とスプリッター131が接続され、スプリッター131の先には端末局であるONU(Optical Network Unit)132が接続されている。スプリッター131は光ファイバカプラ型もしくは光導波型のツリーカプラである。通常は32分岐のものが用いられる。スプリッターの挿入損失は約18dBである。また、OLT130とONU132の最大距離は15kmであり、通常、7.5dB前後(0.5dB/km換算)の伝送損失を見込む。したがって、OLT130とONU132の間の許容光損失は26dB以上が必要とされる。
OLT130に設けられた光増幅器4はCバンドのEDFAを用いている。波長多重化器1、2、ないし3はCWDMグリッドの1530nmと1550nmとを多重化するフィルタを用いている。OLT130の送信信号7(下り信号)は1530nm、OLT130の受信信号6(上り信号)は1550nmを用いている。OLT130に設けられた光トランシーバ5はPINフォトダイオード型の受光部と直接変調型のDFB(分布帰還)レーザが設けられている。
ONU132には送信用デバイスとして直接変調型のDFB(分布帰還)レーザが、受信用デバイスとしてPINフォトダイオードが設けられている(図示せず)。ONU132の送信電力は−5dBm、最小受信感度は−16dBmである。一方、OLT130の送信電力は+12dBm、最小受信感度は−33dBmである。この結果、OLT130からONU132への下りの経路では28dB、ONU132からOLT130への上りの経路では28dBの許容光損失が得られる。この値は、必要とされる26dBの許容光損失より2dB大きい。
図17に上記の光信号のレベルの関係を図示する。141はOLT130の送信電力、142はOLT130の最小受信感度、143はONU132の送信電力、そして、144はONU132の最小受信感度をそれぞれ示す。145は下り経路の許容光損失、146は上り方向の許容光損失である。OLT130を高送信電力、高受信感度とし、ONU132側は低送信電力、低受信感度としている。これはONU132の低コスト化に効果的である。
通常SMFと呼ばれる波長1310nmにおいて分散がゼロとなるシングルモードファイバは1550nm付近では約20ps/nm/kmの分散を有している。15kmの伝送距離であれば約300ps/nmの分散となる。直接変調型のDFB(分布帰還)レーザは変調速度に関係なく0.2nmないし0.3nm程度の波長拡がりがあるので、最大で90ps程度の時間方向の歪みが生じることとなる。10Gbit/sのディジタル伝送ではアナログ換算で5GHzの帯域に相当する。これはアナログの1サイクルで2ビットの情報が表せるためである。5GHzの信号の1周期は200psであるので。直接変調型のDFB(分布帰還)レーザは15kmの伝送に耐える計算となる。
以上のように本実施例に拠れば、ひとつの光増幅器でプリアンプとブースとアンプを共用できるので低いコストで10G−PON用のOLTを構築することができる。また、OLT側の光トランシーバの受光部に低コストのPINフォトダイオードを用いることができるので、この点からも低コスト化に効果がある。
なお、本実施例においても光増幅器4はCバンドのEDFAに限定されることは無く、送受信信号の波長も上記実施例に示した値に限定されることはない。
図18に本発明の実施例14の10G−PON(Passive Optical Network)用OLT(Optical Line Terminal)150を示す。このOLT150は実施例13の構成に加えてビデオ信号光送信機151を備えた、トリプルプレイサービス用OLTである。
ビデオ信号光送信機151からの波長λ3の送信信号154は光アッテネータ152を経て、波長多重化器153によって光トランシーバ5からの波長λ1の送信信号7と波長多重化されて送信信号157となり波長多重化器2へと送られる。これ以外の動作は実施例2と同等である。
この実施例では、光トランシーバ5の光源及びビデオ信号光送信機151の光源にはTEC(Thermo Electric Cooler)という温度調節機構のついた半導体レーザを用いていて、CWDMの1530nmグリッド内のふたつのDWDMグリッドを用いている。グリッド間隔としては400GHz(3.2nm)ないしは800GHz(6.4nm)程度が望ましい。
本実施例によれば、実施例13の特徴を生かしたまま、トリプルプレイサービスに適用可能なOLTを実現することができる。したがって、低コストの10G−PONトリプルプレイサービス用OLTを実現することができる。
以上説明したようにこの発明の実施例によれば、ひとつの光増幅器にプリアンプとブーストアンプに双方の機能を担わせることができる。その結果、高い許容光損失を低コストで実現することができる。
図19に本発明の実施例15の光ファイバ伝送装置160のブロックダイアグラムを示す。実施例8において、図8に示した光ファイバ伝送装置60に光増幅器の冗長構成を加えた構成である。
図8の構成との主要な相違点は、光ファイバ伝送装置160は光スイッチ161と162を備えると共に、ふたつの光増幅器163と164を備えていることである。通常は光スイッチ161と162は光増幅器163を選択している。光増幅器163に異常が生じた場合は光スイッチ161と162は光増幅器164を選択するように制御される。他の構成要素及び動作は光ファイバ伝送装置60と同様である。
図8に示した光ファイバ伝送装置60では、光増幅器4が故障した場合、光ファイバ伝送装置の伝送機能は全てダウンしてしまう。これに対して、本実施例の光ファイバ伝送装置160では、光増幅器163がダウンした場合は光増幅器164によってバックアップを行うことができる。したがって、光ファイバ伝送装置160は高い信頼性を有する。
波長多重化器1に代えて光サーキュレータを用いることもできる。光サーキュレータは光信号の方向によって経路を変えるデバイスであり、送受信ポート8からの受診信号6を波長多重化器2側に送り、波長多重化器3からの送信信号5を送受信ポート8へと送ることができる。
波長多重化器2に代えて、光ファイバカプラなどの受動型の光分岐(結合)手段を用いることができる。光ファイバカプラは波長多重化器に比べて安価である。ただし、光ファイバカプラを用いた場合は、波長多重化器を用いた場合より大きな3dB程度の挿入損失が発生する。
波長多重化器1、2、3に代えてインターリーバを用いることもできる。インターリーバは、偶数番の波長グリッド群と奇数番の波長グリッド群を分離(結合)することのできる3端子デバイスである。
図20に参照番号1、2、3に適用可能なデバイスの組み合わせ表を示す。図20に示すA−1からA−8の8種類の組み合わせであれば、図19の光学系は動作可能である。図1、図3、図4、図5、図7、図8、図9、図15に示した構成においても、図20に示すデバイスの組み合わせが適用可能である。
図21に本発明の実施例16の光増幅器モジュール170を示す。実施例11において、図14に示した光増幅モジュール110に光増幅器の冗長構成を加えた構成である。
光スイッチ171、ふたつの光増幅器172及び173、光ファイバカプラ174を備えると共に光増幅器制御機構175を備えている。光増幅器制御機構175は光増幅モジュール110の光増幅器利得制御機構113にさらにふたつの光増幅器の切換え制御の機能をも付加したものである。その他の構成は光増幅器モジュール110と同様である。
光スイッチ171は通常、光増幅器172を選択している。光信号入力ポート81から入力した光信号は、光スイッチ171を経て、光増幅器172で増幅されて光ファイバカプラ174を経て波長多重化器(フィルタ)を経て83へと送られる。
光増幅器172が故障した場合は、光スイッチ171が光増幅器173を選択することによって、バックアップの光増幅器173が動作する。光スイッチの切換えの制御は光増幅器制御機構175によって行われる。光増幅器制御機構175は光増幅器172及び173の状態を検出するほか、外部コミュニケーションポート114からの信号などによって光スイッチ171の切換えを行う。
光ファイバカプラ174は3dBの損失を伴うものの、可動部が無く高い信頼性が得られる。また、光ファイバカプラ174は安価である。光増幅器172ないし173で増幅された後の光信号光ファイバカプラを通して波長多重化器83に送るため、3dBの損失は光信号の受信性能に影響を与えない。
なお、光増幅器制御機構175は、光増幅器172ないし173の電源を強制遮断する機構も備えている。これは、光増幅器の故障モードによっては、ASEなどの雑音信号を出し続けるような場合も想定されるからである。
また、光ファイバカプラ174に代えて光スイッチを設けても良い。実施例15に示したようにふたつの光スイッチで光増幅器172もしくは173を選択する構成である。この場合、コストは上昇するものの光ファイバカプラより小さな挿入損失が得られる。なお、光ファイバカプラ174に代えて他の受動型の光分岐(結合)手段を用いても良い。例えば、平面導波路型の光スプリッターなどを用いることができる。
図20に示した、光スイッチ171、ふたつの光増幅器172及び173、光ファイバカプラ174からなる光増幅器の冗長構成は、図10、図12、図13に示した構成に適用することができる。また、光ファイバ174を光スイッチに置き換えた構成も図10、図12、図13に示した構成に適用することができる。
図22に本発明の実施例17の光アッドドロップマルチプレクサー型光ファイバ伝送装置180を示す。光アッドドロップマルチプレクサー型光ファイバ伝送装置180は、波長多重化器181、182、183、184、可変光信号減衰器185、186、光アッドドロップマルチプレクサー187、分散補償デバイス188、光増幅器189a、189b、光スイッチ192a、192b、192c、192dを備えている。また、光アッドドロップマルチプレクサー型光ファイバ伝送装置180は二つの光信号入出力ポート195及び196を備えている。
光増幅器189a及び189bは2ステージ型EDFA(エルビウムドープファイバ光増幅器)である。光増幅器189aは内部に前段EDFA190aと後段EDFA191aを備えている。また、光増幅器189aは図示しない利得平坦化手段を備えている。同様に光増幅器189bは内部に前段EDFA190bと後段EDFA191bとを備えている。また、光増幅器189bは図示しない利得平坦化手段を備えている。
2つの光増幅器189a及び189bの内、光増幅器189bはバックアップ用の光増幅器である。通常は光増幅器189aが動作しており、光増幅器189aに異常が生じた時に、光増幅器189aから光増幅器189bへ動作が切り替わる。光スイッチ192a、192b、192c、そして192dは通常、光増幅器189aを選択しているが、図示しない制御機構により、光増幅器189bを選択するように制御される。光スイッチ192a、192b、192c、そして192dはそれぞれ1×2の光スイッチである。
第一の光信号入出力ポート195から入射した複数の波長からなる光信号群194(図中破線の矢印で示す)は波長多重化器181、可変光信号減衰器185、波長多重化器182、光スイッチ192a、前段EDFA190b、光スイッチ192c、光アッドドロップマルチプレクサー187、分散補償デバイス188、光スイッチ192d、後段EDFA191a、光スイッチ192b、波長多重化器183、184を経て第二の光信号入出力ポート196から出力される。
第一の光信号入出力ポート195から入射した複数の波長からなる光信号群194(図中破線の矢印で示す)は波長多重化器181、可変光信号減衰器185、波長多重化器182、光スイッチ192a、前段EDFA190b、光スイッチ192c、光アッドドロップマルチプレクサー187、分散補償デバイス188、光スイッチ192d、後段EDFA191a、光スイッチ192b、波長多重化器183、184を経て第二の光信号入出力ポート196から出力される。
一方、第二の光信号入出力ポート196から入射した複数の波長からなる光信号群193(図中実線の矢印で示す)は波長多重化器184、可変光信号減衰器186、波長多重化器182、光スイッチ192a、前段EDFA190b、光スイッチ192c、光アッドドロップマルチプレクサー187、分散補償デバイス188、光スイッチ192d、後段EDFA191a、光スイッチ192b、波長多重化器183、181を経て第一の光信号入出力ポート195から出力される。
可変光信号減衰器185、及び186は光信号のレベル調整を行う。第一の光信号入出力ポート195に接続されている光ファイバの距離と、第二の光信号入出力ポート196に接続されている光ファイバの距離が一致しないことがあり、その場合はふたつの光信号入力ポート195及び196に入力する光信号強度が異なってしまうからである。
光アッドドロップマルチプレクサー187はポート群197を備えている。ポート群197には図示しない光トランシーバが接続されている。光信号群193ないし194の光信号の中から特定の波長の光信号が選ばれて、ポート群197から取り出される(ドロップ動作)。また、特定の波長の光信号がポート群197を経て伝送路へと加えられる(アッド動作)。
波長多重化器181及び184は光サーキュレータに置き換えることができる。波長多重化器182は光ファイバカプラに置き換えることができる。波長多重化器181、182、183、184をインターリーバに置き換えることができる。図23に参照番号181、182、183、184に適用可能なデバイスの組み合わせ表を示す。図23に示すB−1からB−8の8種類の組み合わせであれば、図22の光学系は動作可能である。
光アッドドロップマルチプレクサー型光ファイバ伝送装置180から光アッドドロップマルチプレクサー187を取り除いて単なる中継増幅器として用いることもできる。この場合は、光増幅器189a及び189bに代えて単一ステージ型の光増幅器を用いることもできる。単一ステージ型の光増幅器を用いる場合は、光スイッチ192c及び192dは不要となる。
図24に本発明の実施例18の光中継増幅器210を示す。光中継増幅器はふたつの入出力ポート211、212、波長多重化器213、214、215、216、光スイッチ、217、218、219、220、光増幅器221、222、及び223を備えている。実線の矢印で示した光信号223は波長λ1の光信号である。
波長λ1の光信号224(図中破線の矢印で示す)は第一の入出力ポート211より入力して、波長多重化器213、光スイッチ217、光増幅器221、光スイッチ218、波長多重化器214を経て、第二の入出力ポート212より出力する。光スイッチ217及び218は、通常、光増幅器221を選択している。
光スイッチ217は1×2の光スイッチである。光スイッチ217のコモンポートは波長多重化器213に接続されている。光スイッチ217の残りのふたつのポートは光増幅器221の入力ポートと波長多重化器215に、それぞれ接続されている。
光スイッチ218は1×2の光スイッチである。光スイッチ218のコモンポートは波長多重化器214に接続されている。光スイッチ217の残りのふたつのポートは光増幅器221の出力ポートと波長多重化器216に、それぞれ接続されている。
波長λ2の光信号223(図中実線の矢印で示す)は第二の入出力ポート212より入力して、波長多重化器214、光スイッチ220、光増幅器222、光スイッチ219、波長多重化器213を経て第一の入出力ポート211より出力する。光スイッチ219及び220は通常光増幅器222を選択している。
波長λ2の光信号223(図中実線の矢印で示す)は第二の入出力ポート212より入力して、波長多重化器214、光スイッチ220、光増幅器222、光スイッチ219、波長多重化器213を経て第一の入出力ポート211より出力する。光スイッチ219及び220は通常光増幅器222を選択している。
光スイッチ219は1×2の光スイッチである。光スイッチ219のコモンポートは波長多重化器213に接続されている。光スイッチ219の残りのふたつのポートは光増幅器222の入力ポートと波長多重化器215に、それぞれ接続されている。
光スイッチ220は1×2の光スイッチである。光スイッチ220のコモンポートは波長多重化器214に接続されている。光スイッチ220の残りのふたつのポートは光増幅器222の出力ポートと波長多重化器216に、それぞれ接続されている。
光増幅器223はバックアップ用の光増幅器である。例えば、光増幅器221が故障した場合は、光スイッチ217及び218は波長多重化器215及び216を選択する。すると、光信号224はスイッチ217、波長多重化器215、光増幅器223、波長多重化器216、光スイッチ218を経て増幅が行われる。
光増幅器222が故障した場合は、光スイッチ219及び220は波長多重化器215及び216を選択する。すると、光信号223はスイッチ220、波長多重化器216、光増幅器223、波長多重化器215、光スイッチ219を経て増幅が行われる。
したがって、上記の構成によれば、ひとつの光増幅器223が、光増幅器221及び221双方に対してバックアップ光増幅器として機能する。通常の冗長化構造であれば、バックアップ光増幅器は光増幅器221と221それぞれにひとつずつ用意する必要がある。これに対して、本実施例の構成ではひとつの光増幅器でふたつの光増幅器に対してバックアップを行うことができる。
本実施例では、光増幅器221、222の双方が故障した場合でも、光増幅器223が光増幅器221、222双方に対してバックアップ動作を行うことも可能である。ただし、この場合では、ひとつの光増幅器223が増幅する光信号のチャネル数が2倍に増加するために、ひとつのチャネル当たりの出力は半減してしまう。なぜなら、光増幅器223の飽和出力は一定だからである。
波長多重化器215及び216に代えて、光スイッチを設けても良い。光スイッチを適切に制御すれば、光増幅器221もしくは222の片方が故障した場合に光増幅器223がバックアップ動作を行うことができる。ただし、この構成では、光増幅器223は光増幅器221、222の双方が故障した場合には対応できない。また、光スイッチは波長多重化器よりも高価、高挿入損失である。光スイッチは可動部があるので、波長多重化器よりも低信頼性でもある。
図25に本発明の実施例19の光ファイバ受信装置230を示す。本実施例は図10に示した実施例8の変形であり、実施例8(図10)と同じ構成要素には同じ参照番号を付けている。本実施例と実施例8の主要な相違点はダミー信号光源231、ダミー信号混合手段232、及び、ダミー信号除去手段233、をさらに設けた点である。また、各光受信部84に対応してFEC(フォワードエラーコレクション)デコーダ236が設けられている。
ダミー信号光源231からのダミー光信号234は光信号235とは異なる波長に定められている。ダミー光信号234はダミー信号混合手段232によって、光信号235と混合されて光増幅器82によって増幅される。その後、ダミー光信号234はダミー信号除去手段233によって除去される。波長多重化器(フィルタ)83が十分な除去能力を備えている場合は、ダミー信号除去手段233は省略可能である。
光増幅器82としてCバンドのEDFAを用いた場合は、ダミー光信号234として、CWDM波長グリッドの1570nmの波長の光源を用いることができる。また、光増幅器82としてLバンドのEDFAを用いた場合は、ダミー光信号234として、CWDM波長グリッドの1550nmの波長の光源を用いることができる。あるいは、CWDM波長グリッドから選ばれた波長の光源を用いても良い。増幅すべき光信号235の波長帯域より僅かに外側の波長を選ぶのが好ましい。
ダミー信号混合手段232、あるいはダミー信号除去手段233としては誘電体薄膜型のフィルタデバイスを用いることができる。ダミー信号混合手段232には誘電体薄膜型のスリーポートデバイスと呼ばれるフィルタデバイスを用いるのが好ましい。誘電体薄膜型のスリーポートデバイスは共通ポート、反射ポート、透過ポートの3つのポートを有している。誘電体薄膜型のスリーポートデバイスは、反射ポートと共通ポートの間の挿入損失が小さいので、光信号235が入射する側を反射ポート、光増幅器82側を共通ポートとするのが好ましい。そして、ダミー信号光源231は誘電体薄膜型のスリーポートデバイスの透過ポートに接続する。
図26は光信号235を光トランシーバの受信部84で受信した場合の受信電力と誤り率の関係(ビットエラー特性)を示す。図26に示すグラフのX軸は光信号入力ポート81における光信号の強度を示している。単位はdBmである。この単位(dBm)は1mWを基準としてデシベル表示したものであり、例えば、−30dBmは0.001mW(1μW)である。図26に示すグラフのY軸は誤り率であり、対数表示されている。光信号の変調速度は9.95Gbit/s、PRBS=223−1の擬似乱数符号を用いて計測している。
図26には2本の直線が示されている。ひとつはダミー光信号234を加えない場合であり、もうひとつはダミー光信号234を−11.1dBm(0.078mW)加えた場合である。図26に示す通り、ダミー光信号234を加えた方がグラフの直線が左側に存在する。これは、ダミー光信号234を加えた方が高い感度が得られることを示している。なお、光増幅器82は利得一定モードに設定され、設定されている利得は30dB(1000倍)である。
図26からわかるようにダミー光信号234が加えられていない場合の受信感度は−34dBm(誤り率10−12で規定)であった。一方、ダミー光信号234を−11.1dBm加えた場合の受信感度は−34.5dBmであった。また、誤り率が10−5で受信感度を規定すると、ダミー光信号234が加えられていない場合の受信感度は−37.0dBm(誤り率10−5)であるのに対し、ダミー光信号234を−11.1dBm加えた場合の受信感度は−39.0dBm(誤り率10−5)であった。
フォワードエラーコレクション(FEC)と呼ばれる誤り訂正技術を用いた場合、誤り率10−5の信号を誤り率10−15まで低減することができる。したがって、フォワードエラーコレクションを用いる場合は誤り率10−5で受信感度を規定するほうが合理的である。図26からわかるように、ダミー光信号234を加えた方が、そうでない場合に加えて、グラフの直線の傾きがなだらかになり、誤り率の大きな領域での受信感度が高くなることがわかる。したがって、ダミー光信号234を加えて、かつ、フォワードエラーコレクションを用いる構成は受信感度の実質的な高感度化に有利である。
なお、本発明の実施例1、2、3、4、5、6、及び7の光ファイバ伝送装置では、送信信号7がダミー光信号234の役割を果たすので、送信信号のレベルを適切に設定することにより、図26のダミー信号ありの場合の受信特性を実現することができる。本発明の実施例1、2、3、4、5、6、及び7の光ファイバ伝送装置にさらにFECを組み合わせる構成は受信感度の実質的な高感度化に有利である。同様のことは実施例13の10G−PON用OLTにも当てはまる。
図27に光増幅器82をポンプ光一定制御モード(ポンプ光パワー=23mW)に設定した場合のビットエラーレート特性を示す。図27には、比較用の利得一定制御モード(利得=30dB)の場合のビットエラーレート特性も併せて示す。この場合、ダミー光信号は加えていない。図27より、利得一定制御に比べてポンプ光一定制御の方がグラフの直線の傾きが緩やかであり、誤り率が10−5付近における感度が高いことがわかる。したがって、光増幅器82をポンプ光一定制御モードに設定し、かつ、フォワードエラーコレクションを用いる構成は受信感度の実質的な高感度化に有利である。
図28に光増幅器82を出力一定制御モード(出力:Po=0dBm)に設定した場合のビットエラー特性を示す。図28には、比較用の利得一定制御モード(利得=30dB)の場合のビットエラーレート特性も併せて示す。この場合、ダミー光信号は加えていない。図28より、利得一定制御に比べて出力光一定制御の方がグラフの直線の傾きが緩やかであり、誤り率が10−5付近における感度が高いことがわかる。したがって、光増幅器82を出力一定制御モードに設定し、かつ、フォワードエラーコレクションを用いる構成は受信感度の実質的な高感度化に有利である。
本実施例においては光増幅器82としてはCバンドのEDFAを用いたが、他の光増幅器を用いても良い。例えば、LバンドのEDFA、ラマン光増幅器、半導体レーザ光増幅器などである。ダミー光信号をプリアンプ動作する光増幅器に加えることによって、光増幅器の雑音特性を制御することは他の光増幅器においても成り立つと考えられるからである。
図29、図30、及び図31を用いて本発明の実施例20の光増幅器の動作パラメータ設定方法について説明する。実施例19において説明したように光増幅器82の動作モードを変更するとビットエラー特性に変化が生じる。動作モードのみならず、各動作パラメータ、例えば、設定利得、設定出力、ダミー光信号強度などによって、ビットエラー特性は大きく変化する。
図25の光ファイバ受信機において光信号235の強度を−35dBmに固定して、光増幅器のポンプ光パワーを変えた場合のビットエラー率の変化のグラフを図29(実線の曲線)に示す。ポンプ光強度の変化に対してある値(約21.6mW)でビットエラー率が最小になることがわかる。なお、光信号の変調速度は9.95Gbit/s、PRBS=223−1の擬似乱数符号を用いて計測している。特に断りの無い限り、本実施例においてはビットエラー試験のパラメータは上記の値を用いている。なお、この場合、ダミー光信号234は加えていない。
ビットエラー率が最小になる値を中心としてある範囲内にポンプ光強度を設定することが実用的である。一例として、最小のビットエラー率より誤り率にして0.5桁(倍率にして約3.16倍)大きい範囲内に設定する方法がある。図26のダミー信号なしの場合の直線を見ると、受信感度1dBの変化につき誤り率は約2桁変化している。したがって、誤り率の変化を0.5桁に抑えると受信感度換算で最良の受信感度から約0.25dB以内の範囲に収まることになる。この範囲を図29に示す。この設定方法は最良の受信感度を得ることを目的とする場合に適している。
各ポンプ光パワーに対応する利得は容易に計測することができるので、図29のグラフのX軸を利得に書き換えることができる。このようにしてX軸に利得、Y軸にビットエラー率を示したのが図30に示すグラフである。最高の受信感度を示す設定利得(約23.6dB)があることが、図30からわかる。
図29に示したポンプ光強度の設定範囲では、最良の受信感度が得られる反面、利得の可変範囲が小さいという問題もあった。図30は最良の受信感度が得られる利得(ポンプ光強度)から一桁大きな誤り率の範囲内に利得(ポンプ光強度)設定する方法を示している。約10dBの利得可変範囲が得られながら、受信感度は最良の値から0.5dB以内に収まるため、実用的な設定方法である。
図30において示した最良の受信感度を示す利得23.6dBは、光増幅器82の出力から狭帯域フィルタによって信号光のみを取り出して計測した値から計算された利得である。実施例8で述べたように、狭帯域フィルタを通さない場合にはASE光強度の方が信号光強度よりも6dB近く大きい。光増幅器82を利得一定制御モードで動作させる場合、内臓の出力光モニターは信号光とASE光の総和を検出してしまうため、増幅度に誤差が生じる。図26、27、28において利得一定制御モードで利得を30dBに設定しているが、この30dBというのは誤差を含んだ値である。
最良の受信感度を示す利得23.6dBにASE光強度が6dB強いことを考慮すると、光増幅器82を見かけ上30dBに設定すると、最良の受信感度が得られる動作条件となる。したがって、図26、27、28において利得一定制御モードで利得を30dBに設定しているのは図30から割り出された23.6dBにASE光による誤差を補正して値を用いている、ということである。このASE光による誤差は動作条件によっては10dB以上の達することが計測されている。
また、図29の特性から図27の結果をある程度説明できる。図29のグラフからわかるように、ポンプ光が減少すると誤り率が増加する。利得一定制御モードでは入力の光信号強度が減少すると、それに応じてポンプ光を減少させる動作をすることになるので、入力信号光の強度減少に対して速やかに誤り率が増加することになる。一方、ポンプ光一定モードではそのようなことはないため、誤り率の増加が緩やかになるのである。
図28の出力一定制御モードでは、入力の光信号がある程度以下に減少すると、出力光強度はASEが支配的になるために、実質的にポンプ光一定制御モードと同等の動作をしていると考えられる。そのため、図28に示したような特性が得られると解釈することができる。
図29の結果は図26の結果も説明することができる。図29のグラフの意味するところは、ポンプ光強度(光増幅器の励起状態)と負荷(入力信号強度)によって受信感度特性が変化すると言うことである。実施例19ではダミー光信号を加えることによって負荷状態を変えている。これによって、より良い受信感度特性の状態を得られることができているのである。実験結果からは高ポンプ光強度、高負荷の場合に良好な受信感度特性が存在していることが示唆されている。
以上は、光信号235が1チャネルの光信号からなりその強度が−35dBmの場合についての値であった。光信号が多チャネルから成り立つ場合は、図29の点線の曲線のようにその特性は1チャネルの場合とは異なる。また、光信号強度が異なる場合も曲線は変化する。即ち、光増幅器に加わる負荷によってビットエラー特性が変化するのである。
多チャネルからなる光信号による負荷条件は図25の構成でダミー光信号234の光量を変えることによって容易にシミュレートすることができる。ビットエラーレートを測定するために光信号235は所定のレベル(例えば−35dBm)に設定する必要がある。ダミー光信号を−25dBmに設定すれば、−35dBmの光信号が概略10波長分束ねられて光増幅器82に加えられた負荷条件を実現することができる。
図31はダミー光信号の光量を変えた場合の誤り率特性を示すグラフの一例である。横軸はダミー光信号234と光信号235のパワーの総和、縦軸は光信号235についての誤り率値である。ポンプ光強度は47.5mWに固定してある。また光信号235の強度も−37dBmに固定してある。図31から、ダミー光信号−20dBm前後でビットエラー率が最小値を示していることがわかる。この最良の誤り率を与えるダミー光信号の強度を中心にして、誤り率が1桁増加で収まる範囲内に負荷条件を設定することが好ましい。また、特に好ましくは誤り率の増加が0.5桁の増加の範囲に収まる範囲である。
以上のようにして、所望の負荷特性を光増幅器に与えて、ポンプ光パワーを変化させてビットエラー特性の変化を計測すれば、誤り率が最小(受信感度が最良)となる動作点を割り出すことができる。
ダミー光信号を加えない場合において、最良の受信感度を与えるポンプ光パワーの時の利得、出力などは容易に計測できるので、ポンプ光パワーから逆算した利得や出力などを利得一定制御モードの設定利得や、出力一定制御モードの設定出力とすることができる。最良の受信感度が得られる動作点から誤り率が0.5桁上昇する範囲内に設定すれば最良の受信感度が得られる動作範囲となる。また、最良の受信感度が得られる動作点から誤り率が1桁上昇する範囲内に設定すれば、良好な受信感度を維持しながら、利得や出力の設定可能範囲を比較的広く取ることができる。
ダミー光信号を加える場合においても、最良の受信感度を与える負荷条件における利得などは容易に計測することができる。後述の利得クランプ型光増幅器の利得を、上記のようにして得られた利得に設定することができる。
本実施例においては、CバンドのEDFAである光増幅器82についての最良受信感度特性を割り出しているが、他のタイプの光増幅器、例えば、LバンドのEDFA、ラマン光増幅器、半導体レーザ光増幅器などに対しても、本実施例の光増幅器の動作パラメータ設定方法は適用可能である。光増幅器の受信感度特性が励起状態と負荷によって変化することは、他のタイプの光増幅器においても起きることが考えられるからである。例えば、半導体レーザ光増幅器では、ポンプ光パワーにかえて駆動電流を横軸に取って、図29、図30、あるいは図31と同様のグラフを描いて、最適動作点を求めれば良い。
図32に本発明の実施例21の光増幅器250を示す。この光増幅器250はダミー光信号を内部で生成する機構を設けることによって、プリアンプ動作時に良好な受信特性が得られることを目的としている。光増幅器250は光増幅器モジュール251、誘電体薄膜型スリーポートデバイス252、253、及び光アッテネータ254を備えている。光増幅器モジュール251は光アイソレータ255、励起光結合器256、エルビウムドープ光ファイバ257、光アイソレータ258、及び励起光源259を備えている。
図33に誘電体薄膜型スリーポートデバイス252の構造を示す。レンズ271、誘電体薄膜フィルタ272、レンズ273、共通ポート(光ファイバ)C、反射ポート(光ファイバ)R、及び透過ポート(光ファイバ)Pを備えている。共通ポートCからの光はレンズ271を経て誘電体薄膜フィルタ272で特定の波長だけが透過されて透過ポートPへと導かれる。誘電体薄膜フィルタ272の透過波長以外の光は反射されて反射ポートRへと導かれる。誘電体薄膜型スリーポートデバイス253も同様の構造を備えている。また、実施例19において示したダミー信号混合手段232も同様の構造を備えている。
図33に示した誘電体薄膜型スリーポートデバイス252においては、共通ポートCと透過ポートPの間の挿入損失は0.6dBから0.8dB程度である。また、共通ポートCと反射ポートRの間の挿入損失は0.2dBから0.3dB程度である。共通ポートCと反射ポートRの間の挿入損失の方が、共通ポートCと透過ポートPの間の挿入損失より小さい。
図32において、入力光信号261は誘電体薄膜型スリーポートデバイス252の反射ポート、共通ポートを経て光増幅器モジュール251へと入力する。誘電体薄膜型スリーポートデバイス252の透過波長は後述するダミー光信号263の波長と一致していて、入力光信号261とは異なる波長に設定されている。増幅された光信号は出力光信号262として光増幅器モジュール251から出力され、誘電体薄膜型スリーポートデバイス253の共通ポート、反射ポートを経て外部へ出力される。誘電体薄膜型スリーポートデバイス253の透過波長は誘電体薄膜型スリーポートデバイス252の透過波長と略一致している。
誘電体薄膜型スリーポートデバイス252及び253はLバンドの100GHzグリッドより選ばれた波長などを用いることができる。誘電体薄膜型スリーポートデバイス252及び253は狭帯域の単一の波長のみを透過する。
誘電体薄膜型スリーポートデバイス252、光増幅器モジュール251、誘電体薄膜型スリーポートデバイス253、光アッテネータ254は閉ループを形成していてダミー光信号263を発振によって生成する。ダミー光信号263は光増幅器モジュール251のASE光の中から誘電体薄膜型スリーポートデバイス253によって特定波長だけが抜き出され、光アッテネータ254で減衰して誘電体薄膜型スリーポートデバイス252を経て、光増幅器モジュール251に入力後、増幅されて誘電体薄膜型スリーポートデバイス253へと導かれる。以下、抜き出された光は閉ループを循環してダミー光信号263を生成するのである。
誘電体薄膜型スリーポートデバイス252、光増幅器モジュール251、誘電体薄膜型スリーポートデバイス253、光アッテネータ254からなる閉ループのループゲインが1になる条件でダミー光信号263の発振が生じる。入力光信号261が増加すると生成されるダミー光信号263の強度が減少して閉ループのループゲインが1になるように保たれる。また、入力光信号261が減少すると生成されるダミー光信号263の強度が増加して、やはり閉ループのループゲインが1に保たれる
この結果、光増幅器モジュール251の利得は閉ループのループゲインが1になる条件に対応して固定されてしまう。すなわち、光増幅器モジュール251の利得は概略光アッテネータ254の減衰量の逆数に等しくなる。一般に、上記のように発振機構を組み合わせて利得を固定する光増幅器を利得クランプ型の光増幅器と呼ぶ。
光アッテネータ254としては固定型の光アッテネータを用いることもできるし、可変型の光アッテネータ(VOA)を用いることもできる。また、電子的に減衰量を可変制御できる光アッテネータ(EVOA)を用いることもできる。可変型の光アッテネータを用いることによって、光増幅器250の利得制御を行うことができる。
参照番号253としては誘電体薄膜型スリーポートデバイスに代えて、光ファイバカプラなどの光分岐手段を用いることもできる。この場合、出力光信号262とダミー光信号263が混合して光アッテネータ254へと入力するが、誘電体薄膜型スリーポートデバイス252によってフィルタされて光増幅器モジュール251にはダミー光信号のみが入力するので、実質的な動作は変わらない。光ファイバカプラは安価であると言う利点がある。
ただし、参照番号253として光ファイバカプラを用いた場合は、光出力信号262とダミー光信号263が混合して出力されるので、光増幅器250の後段にダミー光信号263の除去手段を設ける必要がある。例えば、後述の光ファイバ受信機280では、利得クランプ型光増幅器281の出力側に波長多重化器83が設けられており、波長多重化器83がダミー光信号の除去手段として機能する。
図34に本実施例の光ファイバ受信機280の構成を示す。光ファイバ受信機280は実施例19において図25で示した光ファイバ受信機230のダミー信号光源231、ダミー信号混合手段232、光増幅器82、及び、ダミー信号除去手段233を利得クランプ型光増幅器281に置き換えた構成である。光ファイバ受信機280は、利得クランプ型の光増幅器281、波長多重化器83、光トランシーバの受信部84、及びFEC(フォワードエラーコレクション)デコーダを備えている。利得クランプ型光増幅器281としては、図32に示した利得クランプ型光増幅器250などを好もしく用いることができる。
光ファイバ受信機280において、プリアンプ動作する光増幅器として利得クランプ型の光増幅器281を用いることによってダミー光信号を内部生成させることができる。その結果、光増幅器に与える負荷を制御できるので、最適な受信感度特性に光増幅器を設定することが可能となるのである。光増幅器の受信感度特性が、光増幅器の励起状態と負荷によって変化することは実施例20で述べた通りである。
利得クランプ型光増幅器281として、光増幅器250を用いた場合、光ファイバ受信機280は入力光信号の強度変化に対して、ダミー光信号の生成量が自動的に変化して、常に略一定の負荷を光増幅器モジュール251に与えるので、最適受信感度状態を保つのが容易であるという利点がある。図25で示した光ファイバ受信機230では、入力光信号強度の変化に応じてダミー信号光源231の考量を制御する機構を別途設けなくてはならない。
実施例20に示した動作パラメータ設定方法を光増幅器250に適用することができる。光増幅モジュール251のポンプ光強度を一定に保ち、また、入力光信号261を一定に保ち、光アッテネータ254の減衰量を変化させていく。すると、光増幅器250の利得は、概略、光アッテネータ254の減衰量の逆数になるので、横軸が利得で縦軸が誤り率であるグラフが描けることになる。すなわち、図30に相当するグラフが直接描けるわけである。ポンプ光強度を変えて、図30に相当するグラフを複数描き、最適動作条件を求めると更に良い。
なお、図34において利得クランプ型の光増幅器281として、図32に示した利得クランプ型の光増幅器250を用いたが、他の方式の利得クランプ型の光増幅器をプリアンプ動作する光増幅器として用いても良い。利得クランプ型の光増幅器250は光増幅器モジュール251にリング状の光回路を外付けしているが、光増幅器モジュール251内にFBG(ファイバーブラッググレーティング)を設けて共振回路を構成するなどしても良い。
図35に本発明の実施例22の光増幅器300を示す。実施例21の光増幅器250は光増幅器モジュール251に外付けする形で誘電体薄膜型スリーポートデバイス252、253、及び光アッテネータ254を設けて利得クランプ型の光増幅器を構成していた。これに対して、本実施例の光増幅器300は光アイソレータ255とエルビウムドープ光ファイバ257の間に誘電体薄膜型スリーポートデバイス301を設けている。誘電体薄膜型スリーポートデバイス301はエッジフィルタ型のフィルタデバイスであり、ある波長より短い波長を透過、長い波長を反射する特性を有している。また、励起光結合器256を光アッテネータ254と誘電体薄膜型スリーポートデバイス301との間に設けている。
誘電体薄膜型スリーポートデバイス301は、例えば1525nmより短い波長を透過し、1525nmより長い波長を反射する。このため、誘電体薄膜型スリーポートデバイス301は、EDFAの励起波長である980nmあるいは1480nmの波長を透過する。また、誘電体薄膜型スリーポートデバイス309の透過波長をSバンド(概略1460−1530nm)のDWDMグリッドから選ばれた波長を用いることによって、例えば1520nm前後のダミー光信号を生成することができる。誘電体薄膜型スリーポートデバイス309は狭帯域の単一の波長のみを透過するフィルタデバイスである。
図35に示すように、誘電体薄膜膜型スリーポートデバイス301、エルビウムドープ光ファイバ257、光アイソレータ258、誘電体薄膜膜型スリーポートデバイス309、光アッテネータ254は閉ループを形成していて、このループによってダミー光信号263の発振を行う。ただし、ダミー光信号263は実施例21ではLバンドのグリッドより選ばれた波長であったが、本実施例ではSバンドのグリッドより選ばれた波長である点が異なる。
励起光源259からのポンプ光は励起光結合器256、誘電体薄膜膜型スリーポートデバイス301を経てエルビウムドープ光ファイバに加えられる。励起されたエルビウムドープ光ファイバは入力光信号261を増幅して出力光信号262として出力する。同時に、ダミー光信号263を発振によって生成する。
図32に示した光増幅器250では利得を生じる媒体であるエルビウムドープ光ファイバ257の前に誘電体薄膜型スリーポートデバイス252、光アイソレータ255、及び励起光結合器256が挿入されていた。これに対して、図34の光増幅器300では、光アイソレータ255及び誘電体薄膜型スリーポートデバイス301が挿入されているのみである。したがって、励起光結合器256の挿入損失だけ入力光信号の減衰が少なくて済み、受信感度特性を向上させることができる。
増幅された光信号は、信号光透過フィルタ310、利得平坦化フィルタ312、第一のパワーモニタタップ302、可変光アッテネータ304、第二のパワーモニタタップ305を経て出力光信号262として出力される。第一のパワーモニタタップ302には第一のパワーモニタ303が、第二のパワーモニタタップ305には第二のパワーモニタ306がそれぞれ接続されている。第一のパワーモニタ303と第二のパワーモニタ306は制御機構307へと接続されている。は制御機構307には可変光アッテネータ304が接続されている。制御機構307には制御ポート308が設けられ外部との信号のやり取りがこのポートを介して行われる。
信号光透過フィルタ310は励起光やダミー光信号を除去し、信号光のみを第一のパワーモニタタップ302へと送る。利得平坦化フィルタ312は信号光の帯域内の増幅度が平坦になるように補正を行う。誘電体薄膜型スリーポートデバイス309はダミー光信号をある程度除去できるので、信号光透過フィルタ310は省略しても良い。増幅する光信号の波長数によっては利得平坦化フィルタ312も省略可能である。
第一のパワーモニタ303は増幅された信号光の強度を測定することができる。その結果は制御機構307へと伝えられる。利得クランプ光増幅部311では利得が一定に固定されているので、第一のパワーモニタ303の計測結果から入力光信号261の強度を逆算することが可能である。制御機構307はこの逆算を行って得られた入力信号強度を、制御ポート308を介して外部へ報告する。従来の光増幅器では光信号の入力側にパワーモニタタップ及びパワーモニタを設けていたが、この構成では、入力側のパワーモニタタップによって受診光信号が減衰し、受信感度特性が悪化してしまう。本実施例では、利得クランプ型増幅器は利得が固定されていることを利用して、出力側のパワーを計測してその値から逆算して入力光信号強度を求めることによって、従来のような受信感度特性の悪化が生じることを防いでいる。
制御機構307は可変光アッテネータ304を制御して出力信号光261の強度を制御する。第二のパワーモニタ306の計測結果に応じて、可変光アッテネータ304を制御することによって目標値に出力光強度を設定することができる。前述のように最良の受信特性を与える動作点は固定されてしまっているので、ポンプ光を変えて利得を制御すると受信感度特性が悪化してしまう。このため、利得クランプ光増幅部311は最良の受信感度特性の動作点に動作パラメータを固定し、出力光強度制御は可変光アッテネータ304によって行うようにした。これによって、最良の受信感度特性を維持しながら光トランシーバの受光デバイスの過大入力を防止することが可能となる。
なお、光アッテネータ254として可変光アッテネータを用いて、制御機構307によって、励起光源259及び光アッテネータ254を制御するようにすることもできる。これによって、利得クランプ光増幅部311の諸パラメータを様々に変化させるようにすることができる。
光増幅器300は、図34における利得クランプ型光増幅器281として用いることができる。また、光増幅器300の後にさらにポストアンプ型の光増幅器を接続しても良い。ポストアンプ型の光増幅器、ポンプ光を制御して利得制御などを行う通常の光増幅器であっても、また、利得クランプ型の光増幅器であっても良い。光増幅器300は高い受信感度を得やすいので、プリアンプとしての用途に適している。
図36に本発明の実施例23の光増幅器320を示す。光増幅器320は第一のエルビウムドープ光ファイバ321、第二のエルビウムドープ光ファイバ322、励起光源323、光アイソレータ324、325、326、光ファイバカプラ327、WDM型光ファイバカプラ328、及び329を備えている。光増幅器320は入力ポート332、及び出力ポート333を備えている。
光信号330は図36において実線の矢印で示されている。また、ポンプ光331は図36において破線の矢印で示されている。ポンプ光331は光ファイバカプラ327で分岐した後、WDM型光ファイバカプラ328を経て第一のエルビウムドープ光ファイバ321を励起する。また、光ファイバカプラ327で分岐したもう一方のポンプ光はWDM型光ファイバカプラ329を経て第二のエルビウムドープ光ファイバ322を励起する。
第一のエルビウムドープ光ファイバ321においては信号光330とポンプ光331は方向が反対になっている。これに対して、第二のエルビウムドープ光ファイバ322においては、信号光330とポンプ光331は同方向となっている。
光アイソレータ324は入力ポート332と第一のエルビウムドープ光ファイバ321の間に設けられている。光アイソレータ325はふたつのWDM型光ファイバカプラ328と329の間に設けられている。光アイソレータ326は第二のエルビウムドープ光ファイバ322と出力ポート333の間に設けられている。
エルビウムドープ光ファイバ増幅器においてポンプ光と信号光が同方向であるような励起方式を前方向励起、ポンプ光と信号光が反対方向であるような励起方式を後方励起と呼ぶ。一般に前方励起は低い雑音指数が得られることが知られている。これは、光増幅器の入力部分でポンプ光強度が強いため、光増幅器の入力部分での単位長さ当たりの利得が高いためである。一方、後方励起では光増幅器の入力部分にポンプ光がたどり着くまでにポンプ光が減衰してしまうために、光増幅器の入力部分での単位長さ当たりの利得が低く、雑音指数が悪化するとされている。一方、前方励起ではポンプ光をエルビウムドープ光ファイバに結合させるWDM型光ファイバカプラなどのポンプ光結合手段が光増幅器の入力部分に設けられているために、このポンプ光結合手段の挿入損失分だけ雑音指数が悪化する。
図36の光増幅器320では、第一のエルビウムドープ光ファイバ321においては後方励起となっている。しかしながら、第一のエルビウムドープ光ファイバ321のエルビウムドープ濃度を低くすることによって、ポンプ光が減衰することを防いでいる。このようにすると、第一のエルビウムドープ光ファイバによって得られる利得はあまり大きく取れないために、第二のエルビウムドープ光ファイバ322を設けて利得を稼いでいる。第二のエルビウムドープ光ファイバ322のエルビウムドープ濃度は第一のエルビウムドープ光ファイバ321のエルビウムドープ濃度より高い値のものを用いている。上記の構成によれば、ポンプ光結合手段を入力側に置くことによって生じる雑音指数の悪化を防ぎつつ、後方励起を行うことによる雑音指数の悪化も同時に防ぐことができる。
第一のエルビウムドープ光ファイバ321のエルビウムドープ量は波長1530nm前後におけるピーク吸収率に換算して0.5dB/mないし2.0dB/mの範囲であり、特に好ましく1.0dB/m±0.3dB/mの範囲である。第一のエルビウムドープ光ファイバ321の長さは10mないし30mの範囲であることが好ましい。第二のエルビウムドープ光ファイバ322のエルビウムドープ量は波長1530nm前後におけるピーク吸収率に換算して2.2dB/mないし4.5dB/mが好ましい。第二のエルビウムドープ光ファイバ322の長さは10mないし30mの範囲であることが好ましい。また、励起光源323は波長980nmであることが好ましい。
また別の実装形態として、図36の光増幅器320において、第一のエルビウムドープ光ファイバ321の長さを短くすることによってポンプ光結合手段を入力側に置くことによって生じる雑音指数の悪化を防ぎつつ、後方励起を行うことによる雑音指数の悪化も同時に防ぐこともできる。第一のエルビウムドープ光ファイバ321のエルビウムドープ量は波長1530nm前後におけるピーク吸収率に換算して2.2dB/mないし4.5dB/mの範囲である場合に、その長さは2mから10mの範囲であることが好ましく、特に3mから7mの範囲であることが好ましい。一方、第二のエルビウムドープ光ファイバ322の長さは10mないし30mの範囲であることが好ましい。この場合、第二のエルビウムドープ光ファイバ322のエルビウムドープ量も、波長1530nm前後におけるピーク吸収率に換算して2.2dB/mないし4.5dB/mの範囲である。
図36の光増幅器320はプリアンプ動作の光増幅器に適している。例えば、図10に示した光ファイバ受信装置80の光増幅器82として用いることができる。図25に示した光ファイバ受信装置230の光増幅器82として用いることもできる。また、図32に示した利得クランプ型光増幅器250の光増幅器モジュール251に変えて光増幅器320を用いても良い。
図37に光増幅器320の変形例である光増幅器340を示す。第一のエルビウムドープ光ファイバ321と光アイソレータ324の間に誘電体薄膜型スリーポートデバイス341を設けている。また、第一のエルビウムドープ光ファイバ321とWDM型光ファイバカプラ328の間に誘電体薄膜型スリーポートデバイス342を設けている。そして、誘電体薄膜型スリーポートデバイス341と342の間に光アッテネータ343が設けられている。第一のエルビウムドープ光ファイバ321、誘電体薄膜型スリーポートデバイス341、342、及び光アッテネータ343によって閉ループを形成している。この閉ループによって、前述の利得クランプを実現している。
また、第二のエルビウムドープ光ファイバ322とWDM型光ファイバカプラ329の間に誘電体薄膜型スリーポートデバイス344を設けている。また、第二のエルビウムドープ光ファイバ322と光アイソレータ326の間に誘電体薄膜型スリーポートデバイス345を設けている。そして、誘電体薄膜型スリーポートデバイス344と345の間に光アッテネータ346が設けられている。第二のエルビウムドープ光ファイバ322、誘電体薄膜型スリーポートデバイス344、345、及び光アッテネータ346によって閉ループを形成している。この閉ループによって、前述の利得クランプを実現している。
図37に示した光増幅器340は、2ステージ型の光増幅器であり、第一ステージの光増幅部も第二ステージの光増幅部も利得クランプされている。このため、入力光信号強度の変化、あるいは入力光信号のチャネル数変化が生じても常に良好な受信感度特性を維持することができる。
図38に本発明の実施例24の光増幅器370を示す。利得クランプを、FBG(ファイバーブラッググレーティング)を用いて実現したことが本実施例の特徴である。
光増幅器370は第一の光アイソレータ353、WDM型光ファイバカプラ354、励起光源355、第一のFBG356、エルビウムドープ光ファイバ357、光ファイバカプラ358、及び、第二の光アイソレータ359、光アッテネータ360、第二のFBG361から成る。
励起光源355からのポンプ光はポンプ光結合手段であるWDM型光ファイバカプラ354を経てエルビウムドープ光ファイバ357を励起する。光増幅器370をの入力ポート351から入力した光信号は、第一の光アイソレータ353、WDM型光ファイバカプラ354、第一のFBG356を経てエルビウムドープ光ファイバ357によって増幅された後、光ファイバカプラ358、及び、第二の光アイソレータ359を経た後、出力ポート352へ出力される。
第一のFBG356及び第二のFBG361は光信号を透過し、ダミー光信号波長のみを反射する。このため、第一のFBG356、エルビウムドープ光ファイバ357、光ファイバカプラ358、光アッテネータ360、及び、第二のFBG361からなる光回路で発振が生じる。この結果、前述の利得クランプ型の光増幅が実現されている。本実施例では、光ファイバカプラ358によってダミー光信号の光路を分岐している。これによって光アッテネータ360によりループゲインを任意の値に制御することが可能となっている。
図39に本発明の実施例25の光中継増幅器380を示す。光中継増幅器380は、入力ポート381、光プリアンプ383、フィルタ384、光ポストアンプ385、及び出力ポート382を備えている。入力ポート381から入力した光信号は光プリアンプ383で増幅された後、フィルタ384でフィルタリングされた後、光ポストアンプ385で増幅されて、出力ポート382から出力される。
光プリアンプ383は内部にダミー光信号生成手段を備えている。ダミー光信号生成手段としては実施例19の光ファイバ受信装置230において示したように独立したダミー光信号光源を備えていても良いし、実施例21、22、23、及び24に示した利得クランプ型の光増幅器のようにダミー光信号の発振機構を備えていても良い。
ダミー光信号生成手段を内部に備えた光増幅器を光プリアンプ383として用いることによって、光中継増幅器380の最小受信感度が向上すると共に、チャネル数が変化しても高い受信感度を維持することが可能となる。
また、前にも述べたようにエルビウムドープファイバ光増幅器をプリアンプとして用い、1チャネルだけの光信号を増幅した場合、プリアンプの出力はその大半がASE光に占められている。例えば、ASE光強度0dBmに対して光信号強度が−10dBmというように、ASE光強度が10倍も優る場合がある。このような光プリアンプの出力をそのまま光ポストアンプに送ると、光ポストアンプの出力も同様に大半がASE光で占められることになるので効率的でない。このため、本実施例では、フィルタ384は用いるチャネルの光信号のみを透過する構成とした。これによって、ASE光は除去され、光ポストアンプの出力は光信号がその出力パワーの主要部を占めることとなる。この効果は、チャネル数(波長数)が少ない時に特に顕著となる。
図40に本発明の実施例26の再構築可能な光アッドドロップマルチプレクサ(ROADM)390を示す。光アッドドロップマルチプレクサ(ROADM)390は入力ポート391、光プリアンプ393、波長選択スイッチ(WSS)394、波長可変型ラインカード395、光信号結合手段396、光ポストアンプ397、出力ポート392を備えている。図40にはひとつの波長可変型ラインカードを示したが、複数の波長可変型ラインカードを備えていても良い。
入力ポートから入力した光信号は複数の波長の光信号からなり、光プリアンプ393で増幅された後、波長選択スイッチ(WSS)394、光信号結合手段396、光ポストアンプ397を経て、出力ポート392へと送られる。光信号の内、波長選択スイッチ(WSS)394によって選ばれたある波長の光信号は波長可変型ラインカード395へと送られる。また、波長可変型ラインカード395からの光信号は光信号結合手段396によって結合されて、ポストアンプ397を経て、出力ポート392へと送られる。この構成によってアッドドロップされる光信号の波長を波長選択スイッチ(WSS)394によって変えることができる。この結果、再構築可能な光アッドドロップマルチプレクサ(ROADM)が実現されている。
光プリアンプ393は、内部にダミー光信号生成手段を備えている。ダミー光信号生成手段としては実施例19の光ファイバ受信装置230において示したように独立したダミー光信号光源を備えていても良いし、実施例21、22、23、及び24に示した利得クランプ型の光増幅器のようにダミー光信号の発振機構を備えていても良い。
ダミー光信号生成手段を内部に備えた光増幅器を光プリアンプ393として用いることによって、光アッドドロップマルチプレクサ(ROADM)390の最小受信感度が向上すると共に、チャネル数が変化しても高い受信感度を維持することが可能となる。
波長選択スイッチ(WSS)394は特定の波長チャネルのみを選択して透過する機能も有しているので、第25実施例におけるフィルタ384と同等の機能を果たすことができる。このため、光プリアンプ393の出力に含まれるASE光を除去して、光ポストアンプ397を効率的に動作させることもできる。
図41、図42、図43、図44、図45、及び図46を用いて本発明の実施例27の光増幅器の動作パラメータ設定方法について説明する。本実施例は実施例20において説明した光増幅器の動作パラメータ設定方法を改良したものである。
実施例20で、受信光信号強度を固定した状態で誤り率を計測して、X軸にポンプ光強度、Y軸に誤り率を取ったグラフを描いて光増幅器のパラメータ設定を行った。これに対して、本実施例では、各ポンプ光強度に対してビットエラー曲線を計測する。そして、ビットエラー曲線から、所定の誤り率、例えば10−12、における受信感度を求める。そして、ポンプ光強度をX軸、求められた受信感度をY軸としたグラフを描いてパラメータ設定を行うのである。
本実施例のパラメータ設定方法は、実施例20に比べて、より高精度に動作パラメータ設定を行える利点がある。ただし、計測にはより多くの労力が必要となってしまう。このことから、本実施例の動作パラメータ設定方法は、設計段階において光増幅器の最適動作パラメータを求めるのに適している。また、実施例20の方法は生産段階における動作パラメータ設定に適している。
図25の光ファイバ受信機において光信号235の強度を変化させてビットエラーレート曲線を描いた結果を図41及び図42に示す。この場合、ダミー光信号234は加えていない。光増幅器82はポンプ光強度一定モードで動作させた。ポンプ光強度を10.6mWから22.9mWまで変化させた場合のビットエラーレート曲線を図41に示す。また、ポンプ光強度を22.9mWから115mWまで変化させた場合のビットエラーレート曲線を図42に示す。図41、及び図42の各ビットエラーレート曲線から感度(誤り率10−12で規定)が求められる。光信号の変調速度は9.95Gbit/s、PRBS=223−1の擬似乱数符号を用いて計測している。
図43は、X軸をポンプ光パワー、Y軸を感度(誤り率10−12で規定)としたグラフである。感度はポンプ光パワーの関数であり、あるポンプ光パワーに対して最良となることがわかる。図43において、最良の感度を示すポンプ光強度から、感度にして2dBの範囲内に光増幅器82を設定することが望ましい。この範囲を用いると、比較的良好な受信感度を有しつつポンプ光強度を比較的広い範囲に変えることができるので、利得一定モードや出力一定モードの場合に、利得や出力パワーを比較的自由に選べる利点がある。もちろん、ポンプ光一定モードに設定してこの範囲内に光増幅器を設定することもできる。
また、受信感度を重視する場合には、図43において、最良の感度を示すポンプ光強度から、感度にして1dBの範囲内に光増幅器82を設定することが特に望ましい。この範囲に設定すると、光増幅器を利得一定動作や出力一定動作をさせた場合の利得や出力パワーなどのパラメータには制限が大きくなるが、高い受信感度が得られる。この範囲内においてポンプ光一定モードに設定することもできる。
上記において、感度を誤り率10−12における受信光強度としたが、別の誤り率を選ぶこともできる。例えば、FEC(フォワードエラーコレクション)を用いた場合は10−5の誤り率で感度を規定するほうが合理的である。伝送システムの設計上、必要とされる誤り率における感度を規定して、上記の動作パラメータ設定を行えば良いのである。
前にも述べたように、各ポンプ光パワーの時の小信号利得を測定することができるので、図43のグラフのX軸を利得に書き換えることができる。図44はX軸をポンプ光パワー、Y軸を光入力信号が−34dBmの時の小信号利得としたグラフである。このグラフの関係から換算してX軸に利得、Y軸に感度(誤り率10−12で規定)を示したのが図45に示すグラフである。
図45において、最良の感度を示す小信号利得から、感度にして2dBの範囲内に光増幅器82を設定することが望ましい。また、図45において、最良の感度を示す小信号利得から、感度にして1dBの範囲内に光増幅器82を設定することが特に望ましい。図45を用いると、利得一定モードの時の動作パラメータ設定がより容易に行える。
光信号235のパワーを−36.0dBmに固定した状態でダミー光信号234を変化させた場合の誤り率特性の変化を図46に示す。図46のX軸は光信号235とダミー光信号234の総和である。図46のY軸は、増幅された光信号235の誤り率を計測した値である。曲線Aはポンプ光パワーPp=23.7mWの時のカーブであり、曲線Bはポンプ光パワーPp=30.9mWの時のカーブであり、そして、曲線Cはポンプ光パワーPp=95.1mWの時のカーブである。
図46からはポンプ光パワーによって、ダミー光信号に対する誤り率の変化の仕方が異なることがわかる。ポンプ光パワーPp=23.7mWの時(曲線A)はダミー光信号の増加に対して速やかに誤り率が増大していく。一方、ポンプ光パワーPp=95.1mWの時(曲線C)は、曲線Aとは対照的に、ダミー光信号の増加に対して誤り率が低下していく。ポンプ光パワーPp=30.9mWの時(曲線B)はダミー光信号と光信号の総和が−36dBmから−20dBmの比較的広い範囲に対して、誤り率がほとんど変化していない。
図43に曲線A、曲線B、及び、曲線Cに対応する動作条件をそれぞれA、B、及びCで示した。図43と図46を比較するとわかるように、動作条件Aは感度が高い値を示すが、ダミー光信号の増加に対して感度が劣化し易いことがわかる。動作点Bは比較的、良好な感度を維持しつつ、ダミー光信号の負荷に対しても誤り率が変化し難い。そして、動作点Cはダミー光信号の負荷が軽い時には誤り率が大きいが、ダミー光信号の負荷が重くなると誤り率特性が改善される。
以上のことから、波長多重された多チャネルの光信号を同時に増幅する場合は、最良の感度を示すポンプ光パワーよりもポンプ光パワーが大きい領域を用いる方が好ましいことがわかる。このような「多チャネル動作に好ましい動作範囲」を図43及び図45に示す。この「多チャネル動作に好ましい動作範囲」は下限が最良の感度を示すポンプ光パワーであり、上限は最良の感度から1dBあるいは2dB劣化する範囲のポンプ光パワーをそれぞれ選ぶことができる。
上記の動作パラメータ設定方法は図10に示した光ファイバ受信装置の光増幅器82に適用することができる。光増幅器82のポンプ光強度が図43に示した、望ましい範囲、特に望ましい範囲、あるいは、多チャネルに適した範囲内のポンプ光強度に収まるように動作パラメータを設定すれば良い。
光増幅器82をポンプ光一定モードで動作させる時は、図43で決定された範囲のポンプ光パワーに設定すれば良い。光増幅器82を利得一定モードで動作させる時は、図45で決定された範囲の利得に設定すれば良い。ただし、利得一定モードではASEによる誤差を補正しなくてはならない。光増幅器82を出力一定モードで動作させるときは、図43で決定された範囲のポンプ光パワーから逆算して設定出力を決めれば良い。
入力光信号がゼロの時には、光増幅器の出力はASE光が全光出力を占める。このため、出力一定モードで動作する光増幅器のポンプ光パワーは入力光信号がゼロの時が最大になることが多い。所定のポンプ光パワーに設定して、入力光信号がゼロの時の光増幅器の光出力を計測して、この値を光出力の設定とすれば良い。この場合、設定するポンプ光パワーの範囲を図43で決定されたポンプ光パワーの範囲とする。
また、所定の入力光信号範囲、例えば−34dBmから−10dBm、を決めておく。そして図43から求められたポンプ光パワー(例えば30mW)に設定した状態で最小入力の光信号(−34dBm)を入力した場合の全光出力を計測し、この値を出力一定制御の設定値とすることもできる。
図39に示した光中継増幅器380は、ダミー光信号生成手段を備えた光プリアンプ383を備えていた。この光プリアンプ383に代えて通常の光増幅器を用いた場合に、上記の動作パラメータ設定方法を適用することができる。
図40に示した再構築可能な光アッドドロップマルチプレクサ(ROADM)390はダミー光信号生成手段を備えた光プリアンプ393を備えていた。この光プリアンプ393に代えて通常の光増幅器を用いた場合に、上記の動作パラメータ設定方法を適用することができる。
図47、図48、図49、及び図50を用いて本発明の実施例28の光増幅器の動作パラメータ設定方法について説明する。本実施例は実施例27において説明した光増幅器の動作パラメータ設定方法を利得クランプ型の光増幅器に適用したものである。
図25の光ファイバ受信機の光増幅器82を図32に示した利得クランプ型の光増幅器250に置き換えて、ビットエラー特性を測定した結果を図47及び図48に示す。ポンプ光パワーは115mWに固定し、光アッテネータ254の光減衰量を変えて利得クランプ型光増幅器250の利得を変化させた。図47は利得G=10dB、12dB、15dB、18dB、20dB、そして22dBの時のビットエラーレート曲線を示す。図48は利得G=25dB、27dB、29dB、31dB、そして32dBの時のビットエラーレート曲線を示す。ダミー光信号234は加えず、光信号235のみが加えられている。
図47及び図48から、それぞれの利得に対応する感度(誤り率10−12で規定)を求めた。図49はX軸に利得Gを、Y軸に利得Gに対応する感度を取ったグラフである。図49からわかるように最良の感度を示す利得Gが存在することがわかる。図49ではG=27dB付近である。最良の感度を示す利得Gはポンプ光パワーによって変化するので、ポンプ光パワーを変化させて図49に相当するグラフを複数描いてさらに最良点を求めることもできる。
図49に示すように、最良の感度から2dB悪化する範囲の利得の範囲に利得クランプ型光増幅器250の利得Gを設定することが望ましい。また、最良の感度から1dB悪化する範囲の利得の範囲に利得クランプ型光増幅器250の利得Gを設定することが特に望ましい。
図50は利得クランプ型光増幅器250にさらにダミー光信号234を加えた時の誤り率特性を示すグラフである。図50のX軸はダミー光信号と光信号の総和であり、縦軸は増幅された光信号235の誤り率を計測した結果である。利得クランプ動作の場合は、ダミー光信号の負荷に対して誤り率がほとんど変化しないことがわかる。なお、図50には通常の光増幅器をポンプ光一定動作で動作させた場合の曲線も併せて示す。通常のポンプ光一定動作の光増幅器に比べて利得クランプ型光増幅器の誤り率の変化が小さいことがわかる。また、副次的なデータではあるが、ポンプ光Pp=114.68mWのポンプ光一定動作ではダミー光信号負荷に対して誤り率が複雑に変化していることもわかる。
上記の動作パラメータ設定方法は図34に示した光ファイバ受信装置280の光増幅器281に適用することができる。また、図39に示した光中継増幅器380の光プリアンプ383に適用できる。あるいは、図40に示した光アッドドロップマルチプレクサ(ROADM)390の光プリアンプ393に適用することもできる。
また、図1に示した光ファイバ伝送装置の光増幅器4に代えて利得クランプ型光増幅器250を用いることができる。さらに、その際に光増幅器250の設定利得などの動作パラメータを上記の方法によって設定することができる。
図51に本発明の実施例29の光増幅器400を示す。実施例21で図32に示した光増幅器250の変形例である。誘電体薄膜型スリーポートデバイス252に変えて、光ファイバカプラ401を用いた点が異なる。光ファイバカプラ401の分岐比は50:1以上の高い分岐比を用いる。光ファイバカプラ401の具体的な分岐比としては100:1を用いた。
光ファイバカプラ401は過剰損失が0.08dB以下と非常に小さい。一方、誘電体薄膜型スリーポートデバイス252は0.2−0.3dBの過剰損失が生じる。光ファイバカプラ401は分岐比分の損失が必ず生じるが、100:1分岐では分岐比による損失は0.04dBほどであり、過剰損失と併せた挿入損失は0.15dB程度であり、誘電体薄膜型スリーポートデバイス252より小さくなる。また、光ファイバカプラ401のコストは誘電体薄膜型スリーポートデバイス252に比べて数分の一で済むという利点がある。以上から図51の光増幅器400は受信感度が高く、コストが安くて済むという利点がある。なお、光ファイバカプラ401に代えて平面導波路型の光分岐器などの他の光分岐手段を用いても良い。
図52に本発明の実施例30の光増幅器410を示す。光増幅器410は光ファイバカプラ421、入力光信号パワーモニタ422、光アイソレータ423、励起光結合器424、エルビウムドープ光ファイバ425、光アイソレータ426、励起光源427、励起光源駆動回路428、可変光アッテネータ駆動回路429、可変光アッテネータ430、光ファイバカプラ431、および、出力光信号パワーモニタ432を備えている。また、参照番号411は入力光信号、参照番号412は出力光信号である。
励起光源駆動回路428は入力光信号パワーモニタ422で計測された入力光パワーに応じて励起光源のパワーを変化させる。実施例27において示した図46から明らかなように、入力光信号が小さい時は少ない励起光パワーの方が誤り率は小さい。そして、入力光信号が大きい時は励起光パワーを大きくした方が誤り率は小さくなる。励起光源駆動回路428は実施例27の動作パラメータ設定方法によって求められた動作条件をテーブル(対応表)として内蔵している。励起光源駆動回路428が入力光信号強度に対応して励起光パワーを変化させることによって最良の受信感度になるように制御することが可能となる。
一例を挙げるなら、光信号入力強度が−24dBm以下のときはポンプ光パワーを30.9mW、光信号入力強度が−24dBm以上の時は、ポンプ光パワーを95.1mWとすれば良い。より連続的にパワーを変化させることはこのましい。図43で求められた最良の受信感度が得られるポンプ光パワーを最小値に、入力光信号強度の増加に応じて、ポンプ光強度を増加させていくような制御が好ましい。
通常の光増幅器における利得一定モードは入力光信号強度と出力光信号強度を比較して励起光パワーが制御されている。また、通常の光増幅器における出力一定モードでは出力光強度の値のみで励起光パワーが制御されている。これに対して、本実施例では入力光信号強度と予め定められたテーブルから励起光パワーが制御されている点が特徴的である。
可変光アッテネータ駆動回路429は、入力光信号パワーモニタ433で計測された入力光パワーと、出力光信号パワーモニタ432で計測された出力光パワーの値から可変光アッテネータ430を制御する。これによって、利得一定モードあるいは出力光一定モードなどの制御状態を実現することができる。なお、図52の構成に加えてさらに利得平坦化手段を可変光アッテネータ430の前後に設けても良い。
また、可変光アッテネータ430に代えて、利得制御可能な光増幅手段を設けても良い。この場合は、可変光アッテネータ駆動回路429も光増幅手段の制御手段に置き換えることになる。
Claims (48)
- 1本の光ファイバを用いて、上りと下りで波長を変えて双方向伝送を行う光伝送システムに用いられる光ファイバ伝送装置であって、
第一の波長多重化器、第二の波長多重化器、第三の波長多重化器、光増幅器、光トランシーバ、及び送受信ポートを備え、
光トランシーバからの送信光信号は、第二の波長多重化器、光増幅器、第三の波長多重化器、第一の波長多重化器を経て送受信ポートに送られ、
送受信ポートからの受信光信号は第一の波長多重化器、第二の波長多重化器、光増幅器、第三の波長多重化器を経て光トランシーバの受信部へと送られることを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 請求項1の光ファイバ伝送装置において、
さらに第一の光減衰手段を備え、この第一の光減衰手段を、前記光トランシーバの送信部と第二の波長多重化器の間に設けたことを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 請求項2の光ファイバ伝送装置において、
さらに第二の光減衰手段を備え、この第二の光減衰手段を第一の波長多重化器と第二の波長多重化器の間に設けたことを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 請求項2の光ファイバ伝送装置において、
さらに光増幅器利得制御機構を備え、この光増幅器利得制御機構によって前記光増幅器の利得を制御することを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 請求項1の光ファイバ伝送装置において、
外部制御可能な可変光減衰器と利得制御機構とを備え、外部制御可能な可変光減衰器は前記光トランシーバの送信部と第二の波長多重化器の間に設けられ、利得制御機構は、前記光増幅器と外部制御可能な可変光減衰器の双方を制御することを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 請求項2の光ファイバ伝送装置において、
複数の光トランシーバ、第四の波長多重化器、第五の波長多重化器を備え、複数の光トランシーバの送信光信号は第四の波長多重化器によって多重化されてから前記第一の光減衰手段へと送られ、
前記送受信ポートからの受信光信号は第一の波長多重化器、第二の波長多重化器、光増幅器、第三の波長多重化器、第五の波長多重化器を経て、複数の光トランシーバの受信部へと送られることを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 請求項6の光ファイバ伝送装置において、
第四の波長多重化器に変えてツリー状の光分岐路を設けたことを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 請求項6の光ファイバ伝送装置において、
さらに第六の波長多重化器と第七の波長多重化器と利得平坦化フィルタを備えたことを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 請求項7の光ファイバ伝送装置において、
さらに第六の波長多重化器と第七の波長多重化器と分散補償手段を備えたことを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 光信号の受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを備えた光信号受信装置であって、
この光増幅器は利得一定型制御で動作し、予め得た校正表に基づいて、必要と計算された所要利得に対して補正値を加えて利得設定されたことを特徴とする光信号受信装置。 - 請求項10の光信号受信装置において、
前記補正値は2ないし8dBの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - 光信号の受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを備えた光信号受信装置であって、
この光増幅器は出力一定型制御で動作し、予め得た校正表に基づいて、必要と計算された出力信号電力に対して補正値を加えて利得設定されたことを特徴とする光信号受信装置。 - 請求項12の光信号受信装置において、
前記補正値は2ないし8dBの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - PINフォトダイオード型の光信号受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを組み合わせた光信号受信装置において、
光信号の変調速度は622Mbit/sから2.67Gbit/sの範囲であって、光増幅器への入力光信号電力が−30dBm ないし−40dBm の範囲であって、PINフォトダイオード型受信部への入力光信号電力が−20dBmから0dBmの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - PINフォトダイオード型の光信号受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを組み合わせた光信号受信装置において、
光信号の変調速度は9.95Gbit.sから11.5Gbit/sの範囲であって、光増幅器への入力光信号電力が−24dBm ないし−34dBm の範囲であって、PINフォトダイオード型受信部への入力光信号電力が−12dBmから0dBmの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - APDフォトダイオード型の光信号受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを組み合わせた光信号受信装置において、
光信号の変調速度は622Mbit/sから2.67Gbit/sの範囲であって、光増幅器への入力光信号電力が−30dBm ないし−40dBm の範囲であって、APDフォトダイオード型受信部への入力光信号電力が−24dBmから−8dBmの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - APDフォトダイオード型の光信号受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを組み合わせた光信号受信装置において、
光信号の変調速度は9.95Gbit.sから11.5Gbit/sの範囲であって、光増幅器への入力光信号電力が−24dBm ないし−34dBm の範囲であって、APDフォトダイオード型受信部への入力光信号電力が−20dBmから−8dBmの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - OPM(Optical Power Monitor)機構を備えた光トランシーバとプリアンプ動作する光増幅器とを組み合わせた光信号受信装置において、
OPM機構からの光入力信号強度情報に基づいて光増幅器の利得ないし出力を制御することを特徴とする光信号受信装置。 - PINフォトダイオード型の光信号受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを組み合わせた光信号受信装置において、
光信号の変調速度は622Mbit/sから2.67Gbit/sの範囲であって、光増幅器への入力光信号電力が−30dBm ないし−40dBm の範囲であって、PINフォトダイオード型受信部への入力光信号電力が−17dBmから−3dBmの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - PINフォトダイオード型の光信号受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを組み合わせた光信号受信装置において、
光信号の変調速度は9.95Gbit.sから11.5Gbit/sの範囲であって、光増幅器への入力光信号電力が−24dBm ないし−34dBm の範囲であって、PINフォトダイオード型受信部への入力光信号電力が−9dBmから−3dBmの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - APDフォトダイオード型の光信号受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを組み合わせた光信号受信装置において、
光信号の変調速度は622Mbit/sから2.67Gbit/sの範囲であって、光増幅器への入力光信号電力が−30dBm ないし−40dBm の範囲であって、APDフォトダイオード型受信部への入力光信号電力が−21dBmから−11dBmの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - APDフォトダイオード型の光信号受信部とプリアンプ動作する光増幅器とを組み合わせた光信号受信装置において、
光信号の変調速度は9.95Gbit.sから11.5Gbit/sの範囲であって、光増幅器への入力光信号電力が−24dBm ないし−34dBm の範囲であって、APDフォトダイオード型受信部への入力光信号電力が−17dBmから−11dBmの範囲であることを特徴とする光信号受信装置。 - 光受信装置においてプリアンプとして用いられる光増幅器モジュールであって、
光増幅器、光信号分岐手段、狭帯域フィルタ手段、受光手段とを備え、
光増幅器からの光信号を光信号分岐手段によって一部分岐した後、狭帯域フィルタ手段を経て受光手段に送り、この受光手段によって得られた光信号電力情報に基づいて光増幅器の利得もしくは出力電力を制御することを特徴とする光増幅器モジュール。 - 光受信装置においてプリアンプとして用いられる光増幅器モジュールであって、
光増幅器、光信号分岐手段、狭帯域フィルタ手段、受光手段とを備え、
光増幅器からの光信号を狭帯域フィルタ手段によって狭帯域化した後、光信号分岐手段によって一部分岐して受光手段に送り、この受光手段によって得られた光信号電力情報に基づいて光増幅器の利得もしくは出力電力を制御することを特徴とする光増幅器モジュール。 - 請求項2の光ファイバ伝送装置と光信号分岐手段、光信号分岐手段、複数の端末局からなるPON(Passive Optical Network)型の光通信ネットワーク。
- 請求項24の光通信ネットワークにおいて、さらに、ビデオ配信用の第三の波長の光信号を設けたことを特徴とするトリプルプレイサービス型の光通信ネットワーク。
- 請求項1の光ファイバ伝送装置において、
さらにバックアップ用光増幅器と第一及び第二の光スイッチを備えていることを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 光増幅器、バックアップ用光増幅器、光スイッチ、光信号合波手段を備えた光ファイバ受信装置であって、
光増幅器の入力ポートとバックアップ用光増幅器の入力ポートが光スイッチに接続され、光増幅器の出力ポートとバックアップ用光増幅器の出力ポートは光信号合波手段に接続されていることを特徴とする光ファイバ受信装置。 - 請求項27の光ファイバ伝送装置において、
前記光増幅器と前記バックアップ用光増幅器は共に2ステージ型の光増幅器であり、
さらに、光アッドドロップ手段と第三及び第四の光スイッチを備えていることを特徴とする光ファイバ伝送装置。 - 第一及び第二の光増幅器、第一及び第二の波長多重化器、を備えた双方向伝送用の光中継増幅器であって、
さらにバックアップ用光増幅器、第一、第二、第三、及び第四の光スイッチ、第三及び第四の波長多重化器を備えていることを特徴とする光中継増幅器。 - 光増幅器、ダミー光信号混合手段、ダミー光信号発生手段、ダミー光信号除去手段、光信号受信手段を備えている光ファイバ受信装置であって、
受信された光信号はダミー光信号発生手段からのダミー光信号とダミー光信号混合手段によって混合された後、光増幅器で増幅され、ダミー光信号除去手段を経た後に、光信号受信手段へと導かれることを特徴とする光ファイバ受信装置。 - 請求項31の光ファイバ受信装置であって、
さらにファワードエラーコレクションデコーダを備えていることを特徴とする光ファイバ受信装置。 - 光増幅器の動作パラメータ設定法であって、
入力光信号パワーを一定に保ちながら、ポンプ光パワーを変化させ、出力光信号の誤り率の変化を計測し、
横軸をポンプ光パワー、縦軸を誤り率としてグラフを描き、誤り率が最小になるポンプ光強度をグラフから求めることを特徴とする光増幅器の動作パラメータ設定方法。 - 光増幅器の動作パラメータ設定法であって、
入力光信号パワーを一定に保ちながら、ポンプ光パワーを変化させ、出力光信号の誤り率の変化とポンプ光パワーごとの小信号利得を計測し、
横軸を小信号利得、縦軸を誤り率としてグラフを描き、誤り率が最小になる小信号利得をグラフから求めることを特徴とする光増幅器の動作パラメータ設定方法。 - 光増幅器モジュール、第一及び第二のスリーポート型の波長選択手段、及び、光信号減衰手段を備えた光増幅器であって、
光増幅器モジュールの入力ポートに第一のスリーポート型の波長選択手段を接続し、光増幅器モジュールの出力ポートに第二のスリーポート型の波長選択手段を接続し、第一と第二のスリーポート型の波長選択手段の間を光信号減衰手段によって接続したことを特徴とする光増幅器。 - 第一及び第二の光増幅器モジュールを備えた2ステージ型の光増幅器であって、
第一の光増幅器モジュールは後方励起型モジュールであり、第二の光増幅器モジュールは前方励起型モジュールであることを特徴とする光増幅器。 - 第一及び第二のファイバブラッググレーティング、光増幅媒体、光信号分合波手段、光減衰器を備えた光増幅器であって、
第一のファイバブラッググレーティングは光増幅媒体と入力ポートの間に設けられ、光信号分合波手段は光増幅媒体と出力ポートの間に設けられ、光信号分合波手段によって形成された分岐側に光減衰器と第二のファイバブラッググレーティングを設けたことを特徴とする光増幅器。 - 光増幅器の動作パラメータ設定法であって、
複数のポンプ光パワーに対するビットエラー特性を計測して、各ポンプ光パワーにおける所定の誤り率で規定された受信感度を求め、
横軸をポンプ光パワー、縦軸を受信感度としてグラフを描き、受信感度が最小になるポンプ光強度をグラフから求めることを特徴とする光増幅器の動作パラメータ設定方法。 - 光増幅器であって、
請求項38の光増幅器の動作パラメータ設定法によって求められた最小の受信感度より2dB大きな受信感度に対応するポンプ光パワーの範囲にポンプ光パワーが設定されたことを特徴とする光増幅器。 - 光増幅器であって、
請求項38の光増幅器の動作パラメータ設定法によって求められた最小の受信感度より1dB大きな受信感度に対応するポンプ光パワーの範囲にポンプ光パワーが設定されたことを特徴とする光増幅器。 - 請求項39の光増幅器であって、
ポンプ光パワーの設定範囲を請求項38の光増幅器の動作パラメータ設定法によって求められた最小の受信感度に対応するポンプ光パワーを下限とすることを特徴とする光増幅器。 - 利得クランプ型光増幅器の動作パラメータ設定法であって、
複数のクランプ利得に対するビットエラー特性を計測して、各クランプ利得における所定の誤り率で規定された受信感度を求め、
横軸をポンプ光パワー、縦軸を受信感度としてグラフを描き、受信感度が最小になるクランプ利得をグラフから求めることを特徴とする光増幅器の動作パラメータ設定方法。 - 利得クランプ型光増幅器であって、
請求項42の光増幅器の動作パラメータ設定法によって求められた最小の受信感度より2dB大きな受信感度に対応するクランプ利得の範囲にクランプ利得が設定されたことを特徴とする光増幅器。 - 利得クランプ型光増幅器であって、
請求項42の光増幅器の動作パラメータ設定法によって求められた最小の受信感度より1dB大きな受信感度に対応するクランプ利得の範囲にクランプ利得が設定されたことを特徴とする光増幅器。 - 光増幅器モジュール、光分岐手段、スリーポート型の波長選択手段、及び、光信号減衰手段を備えた光増幅器であって、
光増幅器モジュールの入力ポートに光分岐手段を接続し、光増幅器モジュールの出力ポートにスリーポート型の波長選択手段を接続し、光分岐手段とスリーポート型の波長選択手段の間を光信号減衰手段によって接続したことを特徴とする光増幅器。 - 請求項45の光増幅器であって
前記光分岐手段は50:1以上の分岐比を有することを特徴とする光増幅器。 - 光増幅器モジュール、光分岐手段、スリーポート型の波長選択手段、及び、光信号減衰手段を備えた光増幅器であって、
光増幅器モジュールの入力ポートにスリーポート型の波長選択手段を接続し、光増幅器モジュールの出力ポートに光分岐手段を接続し、スリーポート型の波長選択手段と光分岐手段の間を光信号減衰手段によって接続したことを特徴とする光増幅器。 - 光増幅器であって、
入力光信号パワーモニタ、増幅媒体、増幅媒体の励起手段、及び励起状態を制御するための対応表手段を備え、
入力光信号パワーモニタによって計測された入力光信号強度の値から対応表手段によって決定された励起状態なるように増幅媒体の励起手段を制御することを特徴とする光増幅器。
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