JPWO2008099586A1 - 生分解性樹脂組成物 - Google Patents

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健一 廣瀬
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Abstract

結晶化の遅い生分解性樹脂であるポリ3−ヒドロキシアルカノエート(PHA)、とりわけポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(P3HA)の欠点である結晶化の遅さを改善し、射出成形、フイルム成形、ブロー成形、繊維の紡糸、押出発泡成形、ビーズ発泡成形などの加工における加工性を改善し、加工速度を向上するとともに、結晶の微小化により、加工品(成形品)の機械物性、透明性などを改善する。微生物から生産されるPHA、とりわけ、式 [−CHR−CH2−CO−O−](式中、RはCnH2n+1で表されるアルキル基で、nは1以上15以下の整数である。)で示される繰り返し単位からなるP3HAに、結晶核剤として糖アルコール類を添加する。

Description

本発明は、生分解性ポリエステル系樹脂組成物に関する。
近年、廃棄プラスチックが引き起こす環境問題がクローズアップされ、地球規模での循環型社会の実現が切望される中で、使用後、微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスチックが注目を集めている。
これらの生分解性プラスチックの大部分は、脂肪族ポリエステルである。ポリエステルは、一般に結晶化速度が遅いが、なかでも脂肪族ポリエステルは結晶化が遅く、さらにポリヒドロキシアルカノエートは結晶化が遅い(非特許文献1参照。)。このため、成形加工時に溶融状態からの固化が遅くて加工が困難になり、加工できたとしても、ラインスピードなどが遅くなり、成形加工の生産性が悪いという欠点がある。
そこで、ポリエステルの結晶化速度を改善するために、種々の結晶核剤の添加が検討されている。従来知られている結晶核剤としては、例えば、特定のポリエステルに対し、Zn粉末、Al粉末、グラファイト、カーボンブラックなどの無機単体;ZnO、MgO、A1、TiO、MnO、SiO、Feなどの金属酸化物;窒化アルミ、窒化珪素、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物;NaCO、CaCO、MgCo、CaSO、CaSiO、BaSO、Ca(POなどの無機塩;タルク、カオリン、クレー、白土などの粘土類;シュウ酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、フタル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリアクリル酸塩などの有機塩類;ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの高分子化合物などを添加することが開示されている(特許文献1参照。)。
また、PHAの結晶核剤として、タルク、微粒化雲母、窒化ホウ素、炭酸カルシウムが挙げられ、より効果的なものとして、有機ホスホン酸もしくは有機ホスフィン酸またはそれらのエステル、あるいはそれらの酸もしくはエステルの誘導体、及び周期律表の第I−V族の金属の酸化物、水酸化物及び飽和または不飽和カルポン酸塩などの金属化合物が開示されている(特許文献2参照。)。
しかしながら、実質的に効果の高い結晶核剤は未だ見出されていないのが現状である。
特開平7−126496号公報 特開平3−24151号公報 Y.Doi and A.Steinbuchel Polyesters III Applications and Commercial Products,"Biopolymers"Volume4, WILEY−VCH,p.64
本発明は、使用後、微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解される生分解性ポリエステルの中でも、特に結晶化の遅いポリヒドロキシアルカノエート、とりわけポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)の欠点である結晶化の遅さを改善し、射出成形、フイルム成形、ブロー成形、繊維の紡糸、押出発泡成形、ビーズ発泡成形などの加工における加工性を改善し、加工速度を向上するとともに、結晶の微小化により、加工品(成形品)の機械物性、透明性などを改善することを目的とする。
本発明者らは、結晶化の遅いポリヒドロキシアルカノエートに効果的な結晶核剤を見出すべく鋭意検討した結果、結晶核剤として糖アルコール類を混合することにより、結晶化速度を著しく改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、微生物から生産される脂肪族ポリエステル系重合体(ポリヒドロキシアルカノエート。以下、「PHA」と略称する。)と、糖アルコール類からなる結晶核剤と、を含有してなる生分解性ポリエステル系樹脂組成物に関する。
なお、本発明において、結晶核剤とは、PHAの単独重合体または共重合体などの脂肪族ポリエステル系重合体を結晶化する際の核として作用するものをいう。
本発明によれば、PHAの結晶化の速度が著しく改善され、射出成形、フイルム成形、ブロー成形、繊維の紡糸、押出発泡成形、ビーズ発泡成形などの加工における加工性が改善され、加工速度が向上する。さらに、PHAの結晶の微小化により、加工品の機械物性、透明性などが改善される。また、結晶核剤は糖アルコールであり、天然物由来であり、また生分解性を有することから、基材である生分解性脂肪族ポリエステルであるPHAの生分解性を損なうことがない。
本発明に用いられるPHAは、微生物から生産される脂肪族ポリエステル系重合体であり、P3HAは、式(1) :[−CHR−CH−CO−O−](式中、RはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1以上15以下の整数である。)で示される繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル系重合体である。
PHAを生産する微生物としては、PHA類生産能を有する微生物であれば特に限定されない。例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(以下、「PHB」と略称する。)生産菌としては、1925年に発見されたBacillus megateriumが最初で、他にもカプリアビダス・ネケイター(Cupriavidus necator)(旧分類:アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus、ラルストニア・ユートロフア(Ralstonia eutropha))、アルカリゲネス・ラタス(Alcaligenes latus)などの天然微生物が知られており、これらの微生物ではPHBが菌体内に蓄積される。
また、ヒドロキシブチレートとその他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体生産菌としては、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)(以下、「PHBV」と略称する。)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート(以下、「PHBH」と略称する。)生産菌であるアエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)生産菌であるアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)などが知られている。特に、PHBHに関し、PHBHの生産性を上げるために、PHA合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファス AC32株(Alcaligenes eutrophus AC32, FERM BP−6038)(T.Fukui,Y.Doi,J.Bateriol.,179,p4821−4830(1997))などがより好ましく、これらの微生物を適切な条件で培養して菌体内にPHBHを蓄積させた微生物菌体が用いられる。また上記以外にも、生産したいPHAに合わせて、各種PHA合成関連遺伝子を導入した遺伝子組み替え微生物を用いても良いし、基質の種類を含む培養条件の最適化をすればよい。
本発明で使用するP3HAとしては、前記式(1)において、アルキル基(R)のnが1(PHBホモポリマー)、nが1および2、1および3、1および5、または、1および7(P3HA共重合体)が好ましく、nが1および3(PHBH)がより好ましい。
本発明で使用するPHAの重量平均分子量としては、50,000〜3,000,000が好ましく、100,000〜1,500,000がより好ましい。なお、ここでの重量平均分子量は、クロロホルム溶離液を用いたゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレン換算分子量分布より測定されたものをいう。当該GPCにおけるカラムとしては、前記分子量を測定するのに適切なカラムを使用すればよい。
本発明で使用するPHAとしては、例えば、PHB〔ポリ(3−ヒドロキシブチレート)〕、PHBH〔ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)〕、PHBV〔ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)〕、P3HB4HB〔ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)〕、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタデカノエート)などが挙げられる。これらのなかでも、工業的に生産が容易であるものとして、PHB、PHBH、PHBV、P3HB4HBが挙げられる。
本発明で使用するPHAとしては、上記したように、工業的に生産が容易であり、物性的に有用なプラスチックであるという観点から、前記式(1)において、アルキル基(R)のnが1である繰り返し単位からなるPHBまたは、前記式(1)におけるアルキル基(R)のnが1である繰り返し単位とnが3である繰り返し単位とからなるP3HAであるPHBHが好ましい。
前記PHBHの繰り返し単位の組成比は、柔軟性と強度のバランスの観点から、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)/ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)の組成比(以下、「HB/HH組成比」又は「HB/HH比」と略称する。)が80/20以上99/1以下(mol/mol)であることが好ましく、85/15以上97/3以下(mo1/mo1)であることがより好ましい。その理由は、PHBとの柔軟性の差がある点から99/1以下が好ましく、また樹脂が適度な硬度を有する点で80/20以上が好ましいからである。
PHBHは、繰り返し単位の組成比(HB/HH組成比)を変えることで、融点、結晶化度を変化させ、ヤング率、耐熱性などの物性を変化させることができ、ポリプロピレンとポリエチレンとの間に位置づけられる物性を付与することが可能であることから、本発明で使用するP3HAとして、より好ましい。
また、PHBVも、3−ヒドロキシブチレート(3HB)成分と3−ヒドロキシバレレート(3HV)成分の比率によって融点、ヤング率などが変化するが、3HB成分と3HV成分が共結晶化するため結晶化度は50%以上と高く、PHBに比べれば柔軟ではあるが、破壊伸びは50%以下と低い傾向にある。
本発明は、前記のようなPHAに、結晶核剤として糖アルコール類を混合することに一つの大きな特徴がある。すなわち、本発明は、天然物由来で生分解性を有する糖アルコール類が、PHA、とりわけP3HAに対する結晶核剤として、従来公知のものに比べて優れた効果を発揮することを見出して完成されたものである。
微生物が産生するPHAは、脂肪族ポリエステルの中でも特に結晶化速度が遅いため、本発明のような優れた結晶核剤を用いることがとりわけ有効である。また、PHAは、好気性,嫌気性、何れの環境下での生分解性にも優れ、燃焼時には有毒ガスを発生しない。とりわけ、PHBHは、原料として石油由来のものを使用せず、植物原料を使用しており、地球上の二酸化炭素を増大させない、つまりカーボンニュートラルであるという優れた特徴を有している点でも好ましい。また、本発明で結晶核剤として用いる糖アルコール類も、天然物由来で生分解性を有しており、PHAの優れた分解性を損ねないという利点がある。
本発明で使用する糖アルコール類としては、以下に示すような、炭素数4のエリトリトール、炭素数5のD−アラビトール、リビトール、キシリトール、炭素数6のガラクチトール、D−マンニトール、L−マンニトール、D−ソルビトール、myo−イノシトール、scyllo-イノシトール等が挙げられる。また、二糖由来の糖アルコールとしてマルチトール、ラクチトール等も挙げられる。なかでも、炭素数が4〜6の糖アルコール類が好ましく、炭素数が5又は6の糖アルコール類がより好ましい。
本発明で使用する糖アルコール類からなる結晶核剤は、PHAの結晶化を促進して加工を容易にする。糖アルコール類がPHAの結晶核剤として効果を発揮する理由は未だ明らかではないが、糖アルコール類中に存在する多くのヒドロキシル基とPHAのエステル基との水素結合による相互作用、または界面の整合によるエピタキシャル成長などの効果により、結晶化が促進されると考えられる。
結晶核剤として使用する糖アルコール類は、その粒子径が小さいほど,結晶核の発生点が多くなり、好ましいと思われる。糖アルコール類の粒子径を小さくするには、種々の粉砕機などを用いることができる。
PHAに対する結晶核剤としての糖アルコールの添加量は、PHA100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下の範囲が好ましい。前記糖アルコールの添加量が0.1重量部未満では、結晶核数が不十分で、十分な結晶化促進効果が得られず、10重量部を越えると、添加効果が飽和に達してしまうだけでなく、混練して均一に分散させるのが困難になる。結晶核剤としての糖アルコールのさらに好ましい添加量範囲は、0.3重量部以上7重量部以下である。
なお、本発明にかかる生分解性ポリエステル系樹脂組成物は、上記PHAおよび結晶核剤としての糖アルコールといった成分の他に、酸化防止剤;紫外線吸収剤;染料、顔料などの着色剤;可塑剤;滑剤;無機充填剤;または帯電防止剤などの他の成分を含有してもよい。これらの他の成分の添加量としては、前記PHAや結晶核剤の作用を損なわない程度であればよく、特に限定はない。
本発明にかかる生分解性ポリエステル系樹脂組成物は、公知の樹脂組成物の調製方法として一般に用いられる公知の方法により容易に調製できる。例えば、P3AHなどのPHAと糖アルコール類からなる結晶核剤と、さらに必要であれば他の成分とを混合した後、押出機、ロールミル、バンパリーミキサーなどにより混練してペレットとし、成形に供する方法、糖アルコール類からなる結晶核剤の高濃度のマスターバッチを予め調製しておき、これを生分解性脂肪族ポリエステルに所望の割合で混合して成形に供する方法、などが利用できる。また、例えばクロロホルム等の溶剤に糖アルコール類からなる結晶核剤の微粉末を分散させた上、PHAを加えて撹拌しつつキャスト(溶媒を飛ばす)して混合物とする方法などが利用できる。
以上のようにして得られる、本発明にかかる生分解性ポリエステル系樹脂組成物は、各種の加工をされて製品が製造される。加工方法としては、公知のものでよく、例えば、射出成形、フイルム成形、ブロー成形、繊維の紡糸、押出発泡成形、ビーズ発泡成形などが挙げられる。加工条件としては、特に限定はない。
本発明に係る生分解性ポリエステル系樹脂組成物は、加工性に優れ、且つ短時間で加工が行え、例えば、食器類、包装用フイルム、各種液体ボトル、不織布、織物、緩衝包材用発泡成形体などの基材として好適に使用される。
以下、本発明を、実施例、比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<PHB、PHBH試料>
PHB、PHBHとしては、微生物として、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)にアエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)AC32(J.Bacteriol.,179,p4821−4830(1997))を用い、原料、培養条件を適宜調整して生産されたものを使用した。また、熱的性質を表1に示す。
<結晶核剤>
D−ソルビトール(97%)、D−マンニトール(99%)、myo−イノシトール(99.0%)、キシリトール(98%)、meso−エリトリトール(98%)およびリビトール(99%)はナカライテスク株式会社より、また、ガラクチトール(98%)、scyllo-イノシトール(98%)、L−マンニトール(96%)、およびD−アラビトール(98%)は、東京化成株式会社より購入した。また、公知の結晶核剤と効果を比較するため、窒化ホウ素(6方晶、99.5%、ナカライテスク株式会社製)も用いた。使用した糖アルコール類の構造式は、前記したとおりである。
<樹脂組成物(試料)の調製>
糖アルコールを、ミキサーミル(MM200、Retsch)を用いて粉砕し、核剤の効果を最大限引き出せるようにした。まず、ステンレス製25mL容器に、ステンレス製の直径10mmのボールを二つ、あらかじめ乳鉢で砕いておいた試薬を2.0g、の順に投入した。次に、湿式粉砕を行うため、ヘキサン(一級、国産化学株式会社)7mLを添加して、20Hzで5時間処理した。その後、24時間静置したのち、上澄みを取り除き、凍結乾燥を行い、溶媒を完全に抜き去ることで、微粉末を得た。
得られた微粉末を、PHBH試料(HB/HH組成比:89.1/10.9(mol/mol)100重量部に対し、2重量部となるよう秤量したのち、クロロホルム(一級、国産化学株式会社)に分散させ、3分間超音波処理したのちに、テフロン容器(容量20mL、アズワン株式会社製)に移した。
次に、PHBH試料を加え、ホットスターラー(DP−1M、アズワン株式会社製)上で、300rpm、80℃の条件で攪拌しつつ、キャストし、フィルムを得た。
<結晶核剤添加効果の定性的確認>
PHBHに対する造核効果の有無を調べるために、得られた試料をホットステージ(FR82、メトラートレド製)上で190℃まで加熱して2分間保持し、熱履歴を消去したのち、送風機を使って80℃まで急冷し(−100℃/分)、等温結晶化を行い、偏光顕微鏡で球晶を観察した。
<結晶核剤添加効果の定量的確認>
CCDカメラ(HC−2500、富士写真フイルム製)を備え、鋭敏色板が挿入されている偏光顕微鏡(BX−55、オリンパス製)を用い、造核作用のあるものを選別した後、DSC(Diamond DSC、パーキンエルマー製)により、降温走査(−10℃/分)と等温走査(80℃)とを行い、どの程度造核効果を示すのかを測定した。
<実施例1〜7、比較例1〜4>
表2に示す内容で、PHB、PHBH(HB/HH組成比:89.1/10.9(mol/mol))100重量部に対し、上記の方法により、各種結晶核剤を2重量部となるように配合した。DSC降温走査、DSC等温走査による結晶化挙動(熱的性質)、偏光顕微鏡による球晶の大きさ、結晶核剤の生分解性等について、表2および図1〜図5に示す。
表2に示すように、PHBH単独の系では、降温走査で結晶化温度を示すピークがないのに対し、PHBHに糖アルコール類を配合することにより、結晶化温度を示すようになり、また、等温走査での半結晶化時間(t1/2)も短縮され、結晶化速度が速くなったことがわかる。また、球晶の大きさもPHBH単独の系に較べて顕著に微小化されており、結晶核剤効果を有することがわかる。結晶核剤として窒化ホウ素を使用した系との比較においても、ガラクチトール、D−マンニトール、scyllo-イノシトールでは、結晶化温度、半結晶化時間、結晶化熱量、球晶の大きさ等で優れることがわかる。また、糖アルコール類は、窒化ホウ素とは異なり、天然物由来で生分解性である。
PHBに対しても、糖アルコールとしてガラクチトールを配合すると、PHB単独の系に較べて、球晶径が微小化されており、結晶核剤効果があり、窒化ホウ素との比較でも、ほぼ同等レベルの球晶径である。しかも、糖アルコールは、窒化ホウ素とは異なり天然物由来で生分解性である。
実施例1と実施例7の結果から分かるように、ガラクチトールは、PHBに対しても効果を有するが、PHBHに対してより高い効果を有している。
また、図1に示すように、PHB、PHBHに窒化ホウ素を配合することにより、球晶は約20〜30μへ微小化される。しかし、窒化ホウ素は生分解性ではない。一方、図2に示すように、PHBHに各種唐アルコール類を配合すると、PHBH単独に較べて球晶が微小化され、特にガラクチトール、D−マンニト−ルでは約5〜10μまで微小化され、窒化ホウ素以上の効果を有している。
また、図3に示すように、特にガラクチトール、D−マンニトール配合系は、PHBH単独、窒化ホウ素配合系に較べて、降温走査で高い結晶化温度を示し、また、等温走査で短い結晶化時間を示しており、結晶化速度が効率よく改善されることが分かる。
さらに、図4に示すように、偏光顕微鏡観察の結果、ガラクチトールは、PHBに対して窒化ホウ素と同等レベルの効果を有するが、PHBHに対してより高い効果を有しており、窒化ホウ素よりも結晶微小化効果が顕著である。
また、図5に示すように、DSC降温走査の測定結果でも、ガラクチトールはPHBHに対してより高い効果を有しており、窒化ホウ素以上の結晶化温度、結晶化熱量を示している。
PHB、PHBH(HB/HH組成比:89.1/10.9(mol/mol))単独の系、及び窒化ホウ素を配合した系の偏光顕微鏡観察の結果を示す顕微鏡写真である。 PHBHに各種唐アルコール類を配合した系の偏光顕微鏡観察の結果を示す顕微鏡写真である。 PHB、PHBH単独の系、及び各種結晶核剤を配合した系のDSC降温走査(A)、DSC等温走査(B)の測定結果を示す分析チャートである。 PHB、PHBHに窒化ホウ素を配合した系、及びガラクチトールを配合した系の偏光顕微鏡観察の結果を示す顕微鏡写真である。 PHB、PHBHに窒化ホウ素を配合した系、及びガラクチトールを配合した系のDSC降温走査の測定結果を示す分析チャートである。

Claims (7)

  1. 微生物から生産される脂肪族ポリエステル系重合体(ポリヒドロキシアルカノエート。以下、「PHA」と略称する。)と、
    糖アルコール類からなる結晶核剤と、
    を含有してなる生分解性ポリエステル系樹脂組成物。
  2. 前記PHAが、下記式(1)
    [−CHR−CH−CO−O−] (1)
    (式中、RはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1以上15以下の整数である。)、
    で示される繰り返し単位からなるポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(以下、「P3HA」と略称する。)である請求項1に記載の生分解性ポリエステル系樹脂組成物。
  3. 前記P3HAが、前記式(1)におけるアルキル基(R)のnが1である繰り返し単位からなる、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(以下、「PHB」と略称する。)である請求項2に記載の生分解性ポリエステル系樹脂組成物。
  4. 前記P3HAが、前記式(1)におけるアルキル基(R)のnが1である繰り返し単位と、nが3である繰り返し単位と、からなるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート(以下、「PHBH」と略称する。)である請求項2に記載の生分解性ポリエステル系樹脂組成物。
  5. 前記PHBHの繰り返し単位の組成比〔ポリ(3−ヒドロキシブチレート)/ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)〕が、80/20以上99/1以下(mol/mol)である請求項4に記載の生分解性ポリエステル系樹脂組成物。
  6. 前記結晶核剤の含有量が、PHA100重量部に対し、0.1重量部以上10重量部以下である請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性ポリエステル系樹脂組成物。
  7. 前記結晶核剤として、炭素数が4〜6の糖アルコール類を用いてなる請求項1〜6のいずれかに記載の生分解性ポリエステル系樹脂組成物。
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