JPWO2008090759A1 - マイクロ総合分析システム - Google Patents

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庸生 澤住
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    • G01N2021/7786Fluorescence

Abstract

蛍光色素で標識されたプローブと標的分子の反応において反応前後での蛍光強度の変化分を正確に測定し、精度良い検出を行うことのできるマイクロ総合分析システムを提供することである。更に、マイクロチップの蛍光検出に適した、特にサイクリングプローブ法を用いたバイオ検査用マイクロチップの蛍光検出に適用したマイクロ総合分析システムを提供することを目的する。そのためには、マイクロチップ内の化学反応の進行に応じて発せられる蛍光の発光量に基づいてマイクロチップ内の測定部の標的分子の存在や量を測定するマイクロ総合分析システムであって、当該化学反応前後に蛍光発光量を測定し、かつ当該蛍光発光量を測定する際に、マイクロチップ内の試薬及びマイクロチップ内の測定部位を含む反応系の温度を、当該化学反応前後において、同一となるように制御することを特徴とするマイクロ総合分析システムとする。

Description

本発明は、マイクロ総合分析システムに関する。特にサイクリングプローブ法を用いて標的核酸配列を検出するための蛍光検出に適用したマイクロ総合分析システムに関する。
近年、微細流路が集積加工されたマイクロチップ上において、複数の溶液を混合して反応させ、当該反応の状態を検出して分析を行うマイクロ総合分析システム(Micro Total Analysis System;以下において、「μTAS」ともいう。)が注目されている。
μTASでは、試料の量が少ない、反応時間が短い、廃棄物が少ない等のメリットがある。医療分野に使用した場合、検体(血液、尿、拭い液等)の量を少なくすることで患者への負担を軽減でき、試薬の量を少なくすることで検査のコストを下げることができる。また、検体、試薬の量が少ないことから、反応時間が大幅に短縮され、検査の効率化が図れる。さらに、装置が小型であるため小さな医療機関にも設置することができ、場所を選ばず迅速に検査を行うことができる。
マイクロチップ検査システムでは、マイクロポンプ等からマイクロチップに駆動液を供給することにより、マイクロチップ内に収容されている検体及び試薬が流路に沿って送液される。これにより、検体及び試薬は、流路内で混合され反応を生じる。反応液はマイクロチップ内の被検出部に送液され、被検出部において反応液内の標的物質の濃度等の検出が行われる。
例えば、特許文献1には、微細流路が集積加工されたマイクロチップを用いる標的遺伝子の検出例が記載されている。ここで、マイクロチップの被検出部には、標的遺伝子をトラップする物質が予め固定化されている。
先ず、標的遺伝子の増幅に用いる試薬と検体とを反応させて増幅産物を生成する。これにより、検体に標的遺伝子が含まれていれば、増幅産物内に増幅された標的遺伝子が存在することになる。次に、増幅された標的遺伝子を一本鎖に変性させる。これを被検出部に供給することで、被検出部に固定化されている標的遺伝子をトラップする物質に標的遺伝子をトラップさせる。
次に、当該一本鎖の標的遺伝子にハイブリダイズするDNAプローブを被検出部に供給し、ハイブリダイゼーション反応により標的遺伝子とDNAプローブとを結合させる。ここでDNAプローブは、予め蛍光標識されている。続いてトラップされた標的遺伝子に結合しているDNAプローブに、結合する金コロイド液を被検出部に供給し、金コロイドをDNAプローブに結合させる。次に、結合していない金コロイドを被検出部から除去するため、被検出部に洗浄液を供給する。そして、被検出部の金コロイドの濃度を光学的に検出することにより、標的遺伝子の検出を行っている。
また、特許文献2には、バイオチップ内の標的遺伝子の検出において、蛍光標識された標的遺伝子とDNAプローブとがハイブリダイズした処理液に励起光を照射し、処理液から発せられる蛍光の蛍光強度を検出することが記載されている。
また、特許文献3には、標的遺伝子の検出を高感度に行うことができる技術としてサイクリングプローブ法が適用されるマイクロチップの検査装置が開示されている。
ところで、上記サイクリングプローブ法は、特定(標的)の核酸配列を効率よく検出する方法として知られている。
このサイクリングプローブ法は、標的核酸配列に対して標識化された合成核酸プローブを用いる。プローブの内部には、配列特異的なRNA鎖を含んでおり、標的核酸の目的配列と結合したプローブのRNA部分が、RnaseHにより切断される。切断前のプローブは、RNAを挟んだ一端側に標識用の蛍光物質が、もう一方に蛍光物質を消光するためクエンチャー物質で修飾されている。切断前の蛍光物質とクエンチャー物質は、隣接しておりFRET(Fluorescence Resonant Energy Transfer:蛍光共鳴エネルギー遷移現象)と呼ばれる共鳴による励起エネルギーの遷移が蛍光物質からクエンチャーに起こり、蛍光物質の蛍光発光が抑制される。プローブ切断後は、両物質が解離しFRETを起こさなくなるため、蛍光物質の蛍光強度が増大する。
サイクリングプローブ法は、この様に作製した標識プローブと反応を利用し、
イ)標的核酸配列と標識化プローブとの結合反応(ハイブリダイゼーション)、
ロ)プローブのRNA部分の切断、
ハ)切断プローブの標的からの解離と蛍光発光、
を繰り返すことにより標識用蛍光物質を効率良く生成することができる。
また、標的核酸配列の増幅反応との組合せにより、指数関数的に蛍光発光を増幅することができる。
上記原理的作用機構から分かるように、当該方法は、反応時間やプローブ濃度により、蛍光発光量をある程度制御・増幅することができるので、少量の検体試料で分析可能であるという長所を有する。従って、この特長を活かす分析手法の進展が期待されている。
しかしながら、上記検出システムにおいて、蛍光強度により検出を行う場合、精度良い検出を行うためには、ハイブリダイゼーション反応前の蛍光強度を測定し、反応後の蛍光強度を補正する必要が生じる。特に、サイクリングプローブ法を用いる場合には、ハイブリダイゼーション反応前において、蛍光物質からの蛍光はクエンチャーにより吸収されるはずであるが、現実にはクエンチャーに吸収されなかった蛍光物質からの蛍光が微弱な蛍光となって現れている。このため、反応前の蛍光強度を測定し反応後の蛍光強度を補正することには大きな意義がある。
国際公開第2005/108571号パンフレット 特開2001−255328号公報 国際公開第2001/041931号パンフレット
本発明は、上記要請等に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、蛍光色素で標識されたプローブと標的分子の反応において反応前後での蛍光強度の変化分を正確に測定し、精度良い検出を行うことのできるマイクロ総合分析システムを提供することである。更に、マイクロチップの蛍光検出に適した、特にサイクリングプローブ法に代表される標的DNA配列の検出反応を用いたバイオ検査用マイクロチップの蛍光検出に適用したマイクロ総合分析システムを提供することである。
本発明に係る上記課題は下記手段によって解決される。
1.マイクロチップ内の化学反応の進行に応じて発せられる蛍光の発光量に基づいてマイクロチップ内の測定部の標的分子の存在や量を測定するマイクロ総合分析システムであって、当該化学反応前後に蛍光発光量を測定し、かつ当該蛍光発光量を測定する際に、マイクロチップ内の試薬及びマイクロチップ内の測定部位を含む反応系の温度を、当該化学反応前後において、同一となるように制御することを特徴とするマイクロ総合分析システム。
2.前記化学反応が、標的DNAと蛍光標識したプローブとのハイブリダイゼーションにより蛍光共鳴エネルギー遷移現象に変化を生ずる反応であることを特徴とする前記1に記載のマイクロ総合分析システム。
3.化学反応前の蛍光発光量の測定値に基づいて、化学反応後の蛍光発光量の測定値の補正を行うことを特徴とする前記1又は前記2に記載のマイクロ総合分析システム。
4.測定した化学反応前後の蛍光発光量の測定値に対して、両者の差、もしくは両者の比を算出・出力する機能を設けたことを特徴とする前記1乃至前記3のいずれかに記載のマイクロ総合分析シス
テム。
5.前記化学反応前後の蛍光発光量を測定する際に、マイクロチップ内の試薬及びマイクロチップ内の測定部位を含む反応系の温度を、当該化学反応前後において測定し、その測定結果に基づき、蛍光発光量の測定値を補正することを特徴とする前記1乃至前記3のいずれかに記載のマイクロ総合分析システム。
6.補正した化学反応前後の蛍光発光量の測定値に対して、両者の差、もしくは両者の比を算出・出力する機能を設けたことを特徴とする前記5に記載のマイクロ総合分析システム。
本発明の上記手段により、蛍光色素で標識されたプローブと標的分子の反応において反応前後での蛍光強度の変化分を正確に測定し、精度良い検出を行うことのできるマイクロ総合分析システムを提供することができる。更に、マイクロチップの蛍光検出に適した、特にサイクリングプローブ法に代表される標的DNA配列の検出反応を用いたバイオ検査用マイクロチップの蛍光検出に適用したマイクロ総合分析システムを提供することができる。
より詳しくは、請求の範囲第1項に係る発明により、蛍光発光量の温度依存性を無視できるような条件にして、精度良い蛍光測定を行うことができる。また、請求の範囲第3項及び第4項に係る発明により、試薬量、濃度、環境条件等の変動に拘わらず、精度良い蛍光測定を行うことができる。更に、マイクロチップの蛍光検出に適した、特にサイクリングプローブ法に代表される標的DNA配列の検出反応を用いたバイオ検査用マイクロチップの蛍光検出に適用することにより請求の範囲第2項乃至第4項に係る発明の効果を顕著に発現することができる。
本発明の実施形態に係るバイオチップを用いる検査装置の外観図 本発明の実施形態に係るバイオチップを用いる検査装置の内部構成図 本発明に係るバイオチップ1の構成図 本発明に係るバイオチップを用いる検査装置の制御構成の要部を示す図 本発明の実施形態に係る検出制御(1)のフロー図 本発明の実施形態に係る検出制御(2)のフロー図 本発明の実施形態に係る検出制御(3)のフロー図 本発明の実施形態に係る検出制御(4)のフロー図
符号の説明
1 バイオチップ
4 光検出部
5 マイクロポンプ
23 ヒータ
80 検査装置
90 CPU
111 被検出部
120 検体収容部
124 DNAプローブ収容部
本発明のマイクロ総合分析システムは、マイクロチップ内の化学反応の進行に応じて発せられる蛍光の発光量に基づいてマイクロチップ内の測定部の標的分子の存在や量を測定するマイクロ総合分析システムであって、当該化学反応前後に蛍光発光量を測定し、かつ当該蛍光発光量を測定する際に、マイクロチップ内の試薬及びマイクロチップ内の測定部位を含む反応系の温度を、当該化学反応前後において、同一となるように制御することを特徴とする。この特徴は、請求の範囲第1項乃至第6項に係る発明に共通する技術的特徴である。
なお、本願において、「マイクロチップ」とは、1枚の基板(チップ)上に数十〜数百ミクロンの微細流路(マイクロチャネル)を作製したものであって、当該チャネル内の小空間に混合、反応、分離、検出などの化学操作(分析システム)等を集積化し可能としたものをいう。また、「バイオ検査用マイクロチップ」とは、上記マイクロチップであって、特にDNA,RNAなど核酸やタンパク質などのバイオ分子の混合、分離、合成、抽出などの化学操作と生化学反応を当該マイクロチップ内ですることを可能としたものである。「マイクロ総合分析システム(Micro Total Analysis Systems:μ−TAS)」とは、上記マイクロチップないしバイオ検査用マイクロチップと化学操作・化学反応等の結果生ずる物理化学的現象の分析装置とを組み合わせて構成されるシステムをいう。
本願において、「反応系の温度を、当該化学反応前後において、同一となるように制御する」とは、当該反応系の温度が、反応前後で温度差が±10%以内の差異で一致するように制御することをいう。また、「サイクリングプローブ法」とは、[背景技術]の欄において詳しく説明した核酸の標的配列等の検出方法をいう。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態、構成要素等について詳細な説明をするが、一例であり、本実施形態に限定するものではない。
≪蛍光検出装置(検査装置)の構成≫
〈外部構成〉
図1は、本実施形態に係るマイクロチップを用いる検査装置80の外観図である。検査装置80は、マイクロチップ1に予め注入された検体と試薬とを自動的に反応させ、反応結果を自動的に出力する装置である。
検査装置80の筐体82には、マイクロチップ1を装置内部に挿入するための挿入口83、表示部84、メモリカードスロット85、プリント出力口86、操作パネル87、外部入出力端子88が設けられている。
検査担当者は、図1の矢印方向にマイクロチップ1を挿入し、操作パネル87を操作して検査を開始させる。
開始操作に伴って、後述するように、検査装置80内にあるマイクロチップ1内では蛍光反応が開始され、蛍光の検出結果に基づく検査結果が表示部84に表示される。
検査結果は操作パネル87の操作により、プリント出力口86よりプリントを出力したり、メモリカードスロット85に挿入されたメモリカードに記憶したりすることができる。また、外部入出力端子88からケーブルを介して、パソコンなどに検査結果を転送し保存することができる。検査終了後、検査担当者はマイクロチップ1を挿入口83から取り出す。
〈内部構成〉
図2は、本実施形態に係るマイクロチップを用いる検査装置80の内部構成図である。図2においては、マイクロチップが図1に示す挿入口83から挿入され、セットが完了している状態を示している。
検査装置80は、マイクロチップ1に予め注入された検体及び試薬を送液するための駆動液11を貯留する駆動液タンク10、マイクロチップ1に駆動液11を供給するためのマイクロポンプ5、マイクロポンプ5とマイクロチップ1とを駆動液11が漏れないように接続するパッキン6、マイクロチップ1の必要部分を温調する温度調節ユニット3、マイクロチップ1を温度調節ユニット3及びパッキン6に密着させ、保持させるためのチップ押圧板2、チップ押圧板2を昇降させるための押圧板駆動部21、マイクロチップ1をマイクロポンプ5に対して正確に位置決めする規制部材22、マイクロチップ1内の検体と試薬との反応状態等を検出する光検出部4、等を備えている。
《チップ押圧板》
チップ押圧板2は、初期状態においては、図2に示す位置より上方に退避している。これにより、マイクロチップ1は矢印X方向に挿抜可能であり、検査担当者は挿入口83(図1参照)から規制部材22に当接するまでマイクロチップ1を挿入する。
その後、チップ押圧板2は、押圧板駆動部21により下降してマイクロチップ1に当接し、マイクロチップ1の下面が温度調節ユニット3及びパッキン6に密着される。これにより、マイクロチップ1のセットが完了する。
規制部材22、押圧板2、温度調節ユニット3及びパッキン6等で本発明のマイクロチップ収容部が構成される。また、チップ押圧板2の内部には、セットされたマイクロチップ1の被検出部125,126(図3参照。)を加熱するためのヒータ23が設けられている。
《温度調節ユニット》
温度調節ユニット3は、マイクロチップ1と対向する面にペルチェ素子31及びヒータ23を備え、マイクロチップ1が検査装置80にセットされたときに、ペルチェ素子31及びヒータ23がマイクロチップ1に密着するようになっている。試薬が収容されている部分をペルチェ素子31で冷却して試薬が変性しないようにしたり、検体と試薬とが反応する部分をヒータ23で加熱して反応を促進させたりする。
《光検出部》
光検出部4は、本発明の発光部としてのLED等の励起光源41、励起光源41から発せられた励起光の波長帯域を制限する励起光フィルタ42、励起光フィルタ42を透過した励起光をマイクロチップ1の2つの被検出部125,126(図3参照。)をカバーするサイズに適合したビームスポットに整形するための集光レンズ43、集光レンズ43を透過した励起光を反射してマイクロチップ1の2つの被検出部125,126に照射するとともに当該励起光により発せられたマイクロチップ1の被検出部125,126からの蛍光を透過するダイクロイック・ミラー44、ダイクロイック・ミラー44を透過した蛍光を受光部の47に導光するための受光レンズ45、受光レンズ45を透過した蛍光の波長帯域を制限する検出光フィルタ46、検出光フィルタ46を透過した蛍光を受光するフォトダイオードからなる受光部47等から構成されている。
《マイクロポンプ》
マイクロポンプ5は、ポンプ室52、ポンプ室52の容積を変化させる圧電素子51、ポンプ室52のマイクロチップ1側に位置する第1絞り流路53、ポンプ室の駆動液タンク10側に位置する第2絞り流路54、等から構成されている。第1絞り流路53及び第2絞り流路54は絞られた狭い流路となっており、また、第1絞り流路53は第2絞り流路54よりも長い流路となっている。
駆動液11を順方向(マイクロチップ1に向かう方向)に送液する場合には、まず、ポンプ室52の容積を急激に減少させるように圧電素子51を駆動する。そうすると、短い絞り流路である第2絞り流路54において乱流が発生し、第2絞り流路54における流路抵抗が長い絞り流路である第1絞り流路53に比べて相対的に大きくなる。これにより、ポンプ室52内の駆動液11は、第1絞り流路53の方に支配的に押し出され送液される。次に、ポンプ室52の容積を緩やかに増加させるように圧電素子51を駆動する。そうすると、ポンプ室52内の容積増加に伴って駆動液11が第1絞り流路53及び第2絞り流路54から流れ込む。このとき、第2絞り流路54の方が第1絞り流路53と比べて長さが短いので、第2絞り流路54の方が第1絞り流路53と比べて流路抵抗が小さくなり、ポンプ室52内には第2絞り流路54の方から支配的に駆動液11が流入する。以上の動作を圧電素子51が繰り返すことにより、駆動液11が順方向に送液されることになる。
一方、駆動液11を逆方向(駆動液タンク10に向かう方向)に送液する場合には、まず、ポンプ室52の容積を緩やかに減少させるように圧電素子51を駆動する。そうすると、第2絞り流路54の方が第1絞り流路53と比べて長さが短いので、第2絞り流路54の方が第1絞り流路53と比べて流路抵抗が小さくなる。これにより、ポンプ室52内の駆動液11は、第2絞り流路54の方に支配的に押し出され送液される。次に、ポンプ室52の容積を急激に増加させるように圧電素子51を駆動する。そうすると、ポンプ室52内の容積増加に伴って駆動液11が第1絞り流路53及び第2絞り流路54から流れ込む。このとき、短い絞り流路である第2絞り流路54において乱流が発生し、第2絞り流路54における流路抵抗が長い絞り流路である第1絞り流路53に比べて相対的に大きくなる。これにより、ポンプ室52内には第1絞り流路53の方から支配的に駆動液11が流入する。以上の動作を圧電素子51が繰り返すことにより、駆動液11が逆方向に送液されることになる。
(マイクロチップの構成)
図3は、本実施形態に係るマイクロチップ1の構成図である。一例の構成を示すものであり、これに限定されない。
図3(a)において矢印は、検査装置80にマイクロチップ1を挿入する挿入方向であり、図3(a)は挿入時にマイクロチップ1の下面となる面を図示している。また、2つの被検出部125,126部に示した円は励起光のビームスポットを示す。図3(b)はマイクロチップ1の側面図である。
図3(b)に示すように、マイクロチップ1は溝形成基板108と、溝形成基板108を覆う被覆基板109から構成されている。
溝形成基板108には、図3(c)に示すように、検体と試薬とをマイクロチップ1上で混合・反応させるための微細流路及び流路エレメントが配設されている。図3(c)では、微細流路を矢印で、流路エレメントを四角形で模式的に示している。
マイクロチップ1上には、以下の流路エレメントが設けられている。
駆動液注入部110a〜110eは、マイクロポンプから駆動液11を注入するための注入部である。
検体注入部113は、マイクロチップ1に検体を注入するための注入部である。
駆動液注入部110a〜110eの下流には、それぞれ、検体を収容する検体収容部120、標的遺伝子のポジティブコントロール用試薬収容部121、ネガティブコントロール用試薬収容部122、標的遺伝子を増幅するための酵素及び基質の収容部123、プライマー及び蛍光標識されたDNAプローブの収容部124が設けられている。
なお、標的遺伝子及びその増幅産物は、本発明に係る標的分子に相当する。DNAプローブは、本発明に係る標的DNAとハイブリダイゼーション反応を起こす蛍光標識したプローブに相当する。ポジティブコントロール用試薬は、標的遺伝子として特定したいDNA配列を持つ試薬である。
標的遺伝子を増幅させるための試薬、ポジティブコントロール用試薬、ネガティブコントロール用試薬、プライマー及びDNAプローブは、各収容部に予め収容されている。
ポジティブコントロール用試薬とネガティブコントロール用試薬は、検査が正常に行われたか否かをモニタリングするための試薬である。
これらの各収容部は、マイクロチップ1を検査装置80にセットした際にペルチェ素子31に対向し、収容されている検体や試薬が変性しないように冷却される。
検体収容部120及びポジティブコントロール収容部121の下流には、標的遺伝子とポジティブコントロール用試薬を増幅させるための試薬とが反応して増幅産物を生成するための反応部125が設けられている。
また、ネガティブコントロール収容部122及び検体収容部120の下流には、標的遺伝子を増幅させるための試薬とが反応して増幅産物生成するための反応部126が設けられている。この反応部125、126は、被検出部を兼ね、本発明のマイクロチップ内の測定部位に相当する。
反応部125、126は、マイクロチップ1を検査装置80にセットした際にヒータ23に対向し、増幅促進のために過熱される。
反応部125、126には、123及び124の収納部からからの流路が合流し、増幅用試薬やプローブが同時もしくは、遂次供給される。
これら試薬の反応により、標的遺伝子の増幅と、増幅産物と蛍光プローブのハイブリダイゼーション反応及び蛍光物質とクエンチャーとの遊離反応も同時進行させ、増幅から蛍光物質生成までの反応を一括して進行させる。
被検出部125,126の窓にあたる被覆基板109は、光学的な検出を行うことができるよう、透明なガラスや樹脂等の材料から構成されている。
検体及び各試薬の流れについて説明する。まず、マイクロチップ1による検査を行うに先立って、検査担当者は検体を検体注入部113から注射器等を用いて注入する。検体注入部113から注入された検体は、連通する微細流路を通って検体収容部120に収容される。
次に、検体の注入されたマイクロチップ1は、検査担当者により図1に示す検査装置80の挿入口83に挿入され、図2に示すようにセットされる。これにより、マイクロポンプ5を駆動して駆動液注入部110a〜110eから駆動液11を注入することが可能となる。
駆動液注入部110aから駆動液11を注入すると、連通する微細流路を通って検体収容部120に収容されている検体が押し出され、被検出部125に検体が送り込まれる。
駆動液注入部110cから駆動液11を注入すると、連通する微細流路を通ってネガティブコントロール収容部122に収容されているネガティブコントロール用試薬(例えば純水)が押し出され、反応部(被検出部)126にネガティブコントロール用試薬が送り込まれ、先に送液された検体と混合する。
駆動液注入部110bから駆動液11を注入すると、連通する微細流路を通ってポジティブコントロール収容部121に収容されているポジティブコントロール用試薬(標的と同一のDNA配列箇所を持つ試薬)が押し出され、反応部(被検出部)125にポジティブコントロールが送り込まれ、先に送液された検体と混合する。
駆動液注入部110dと110eから駆動液11を注入し、連通する微細流路を通って収容部123、124から、標的遺伝子を増幅するための酵素及び基質とプライマー及び蛍光標識されたDNAプローブが、反応部(被検出部)125、126にそれぞれ送りこまれ、先に送液された検体・コントロール液の混合液と混合する。
その後、反応部(被検出部)125,126をヒータ23により加熱することでそれぞれの被検出部において標的遺伝子(及びポジティブコントロールDNA)の増幅と、増幅産物と蛍光プローブのハイブリダイゼーション反応及び蛍光物質とクエンチャーとの遊離反応も同時進行させ、増幅から蛍光物質生成までの反応を一括して進行させる。
そして、被検出部125、126に光検出部4の励起光源41から励起光を照射し、被検出部125、126から発せられる蛍光を受光部47で受光することにより光検出を行うことが可能となる。
なお、被検出部125、126の検出結果を基に、検査の総合判定を行うルールの一例を次に記載する(表1参照。)。
ポジティブコントロール用試薬は、その試薬単独でも、標的遺伝子と同等の増幅反応と蛍光プローブとのハイブリダイゼーション反応及び蛍光物質の生成反応を起こす。ネガティブコントロール用試薬は、その試薬単独では、蛍光物質の生成反応を起こさない。
これらの試薬を検体と混合した液で反応と検出を行うことで、検査結果の良否の判定が可能となる。
陽性すなわち検体に標的遺伝子が含まれる場合、ポジティブコントロール用試薬+検体、及びネガティブコントロール用試薬+検体のいずれも蛍光発光が測定される。
陰性すなわち検体に標的遺伝子が含まれない場合、ポジティブコントロール用試薬+検体は、ポジティブコントロール用試薬の反応による蛍光発光が測定されるが、ネガティブコントロール用試薬+検体は、反応が生じず蛍光が発光しない。これら2つのケースは、正常な反応を行った検査結果として扱うことができる。
一方、例えば、検体に反応の阻害物質が混入した場合などは、ポジティブコントロール用試薬+検体及びネガティブコントロール用試+検体のいずれも蛍光発光が生じない。
また、ポジティブコントロール用試薬+検体の蛍光発光無し、ネガティブコントロール用試+検体の蛍光発光は有りの様な検査結果が得られる場合は、チップに収容した試薬の失活などの異常が考えられる。これら2つのケースは、異常な反応を行った検査結果として、再検査を促すことが可能となる。
なお、バイオチップ内での反応制御等について補足説明をする。
1)チップ内でDNA増幅や標的DNAと蛍光物質で修飾された標識プローブとの反応を制御・促進させる。
2)チップに設けた微細流路に、予め反応試薬を導入しておき、マイクロポンプによる送液制御で、所定の手順・時間・タイミングで、混合・分岐などの化学操作が自動的に進行する様に制御される。
3)反応を促進させたり、制御するために、試薬や混合試薬を温調する機構を設ける。
また、装置に搭載したヒータなどの温調機構により、チップを介して温度制御する。
4)チップ上の反応検出部は、標的DNAを検出するエリアの他に、試薬や反応の正常/異常、反応阻害物質の混入などを試験するためのポジティブコントロールやネガティブコントロールなどのモニタリング用の反応を併設する方が、確度を高めるために好ましい。
5)この様に、複数の反応を同時に検出するために、蛍光検出部を走査してチップ上の各検出部を測定できる様な構成にする。
6)なお、当該チップは、励起光を透過する分光透過特性を持つカバー部材(図3における被覆基板109及び被検出部の窓111c)を蛍光発光部の上面に有していることが好ましい。また、当該カバー部材は蛍光をも透過する分光透過特性を持っていることが好ましい。
図4は、本実施形態に係るバイオチップを用いる検査装置の制御構成の要部を示す図である。本発明の制御に関係する主な構成要素について示している。
プログラムに従って検査装置80の制御を実行するCPU90を中心に、バス91により、ROM92、RAM93、不揮発性メモリ94、光検出部4、ペルチェ素子31、ヒータ23、表示部84、操作パネル87、等が相互に接続されている。
ROM92は、CPU90によって実行される各種制御プログラムやデータ等を記憶する。
RAM93は、CPU90によってワークエリアとして利用され、CPU90が制御を実行する際に必要なプログラムやデータを一時的に記憶する。
不揮発性メモリ94は、光検出部4による検出結果等を記憶する。
CPU90がROM92に記憶されているプログラムに基づいて制御を実行する。本発明の制御部として機能する。
光検出部4、ペルチェ素子31、ヒータ23、表示部84及び操作パネル87についての説明は、前述したので省略する。
(検出制御のフロー)
図5〜8は、本実施形態に係る検出制御のフローの一例を示す図である。ヒータ23による加熱が行われることによりサイクリングプローブ法によるDNA増幅及び標識プローブとのハイブリダイゼーション反応が開始される場合を一例に説明する。ヒータ23が本発明の反応開始手段に相当する。
検出制御は、ROM92に記憶されている検出制御プログラムに基づいてCPU90が処理を実行することにより行われる。尚、前提として、検査装置80の操作パネル87から検査開始の入力がされて検査が開始され、既に被検出部125、126には、チップ内の流路で混合などの化学操作された各試薬が送り込まれているものとする。
以下において、本発明の実施形態に係る3種の検出制御フローについて説明する。
1)検出制御(1)のフロー;図5参照
まず、CPU90は、光検出部4により反応前の蛍光強度を測定する(ステップS11)。これにより、クエンチャーに吸収されなかった蛍光物質からの微弱な蛍光を検出することが可能となる。この際、被検出部125,126の温度を測定する(ステップS12)。
次に、CPU90は、所定時間が経過した後、ヒータ23により被検出部125,126の加熱(温調)を開始する(ステップS13)。DNA増幅及びハイブリダイゼーション反応に適した温度に温調制御される。
次に、十分にDNA増幅及びハイブリダイゼーション反応が進行するために要する所定時間T1が経過すると(ステップS14)、加熱を止め(ステップS15)、その後、反応前の温度と実質上同一の温度になるまで待機する(ステップS16)。つまり、ステップS16においてCPU90は、マイクロチップ内の試薬及びマイクロチップ内の測定部位を含む反応系の温度を、当該化学反応前後において、同一となるように制御する。
次に、CPU90は、光検出部4により反応後の蛍光強度を測定する(ステップS17)。
以上のように、本実施形態によれば蛍光発行量の温度依存性を無視できるような条件に反応系の温度を制御することにより、精度良い蛍光測定を行うことができる。
2)検出制御(2)のフロー;図6参照
上記実施形態では、反応前の測定をヒータ23による加熱前に蛍光強度の測定を行ったが、加熱を開始しても暫くDNA増幅及びハイブリダイゼーション反応が進行しないような場合には、加熱と同時、又は加熱後DNA増幅及びハイブリダイゼーション反応が進行する前に蛍光強度の測定を行ってもよい。加熱後DNA増幅及びハイブリダイゼーション反応が進行する前に蛍光強度の測定を行うようにすると、例えば、被検出部125,126の加熱による液の対流等が蛍光強度に与える影響を取り除くことができる。また、温度により蛍光強度が大きく変化する蛍光物質の場合、その影響を取り除くことができる。この場合には、加熱開始から所定時間経過した後に反応前の検出を行うよう制御すればよい。具体的には、下記の検出制御フローに従って行うことができる。
まず、CPU90は、ヒータ23により被検出部125,126の加熱(温調)を開始する(ステップS21)。次に、CPU90は、被検出部の温度が所定の温度に到達したか判断する(ステップS22)。これにより、DNA増幅及びハイブリダイゼーション反応に適した所定の温度に温調制御される。被検出部125,126の温度が所定の温度に到達した場合には(ステップ22:Yes)、CPU90は、光検出部4により反応前の蛍光強度を測定する(ステップS23)。なお、温度が所定の温度に到達していない場合には(ステップ22:No)、所定の温度に到達するまで待機し続け、到達した後に当該測定をする。これにより、クエンチャーに吸収されなかった蛍光物質からの微弱な蛍光を検出することが可能となる。
次に、十分にDNA増幅及びハイブリダイゼーション反応が進行するために要する所定時間T2が経過下後、CPU90が温度調整ユニット3を制御し続けることにより反応前の温度と実質上同一の温度に制御される(ステップS24)。
次に、CPU90は、光検出部4により反応後の蛍光強度を測定する(ステップS25)。
測定終了後、CPU90は、温度調整ユニット3による被検出部125,126の加熱を止める(ステップS26)。
3)検出制御(3)のフロー:図7参照
まず、CPU90は、光検出部4により反応前の蛍光強度(蛍光発光量)を測定する(ステップS31)。これにより、クエンチャーに吸収されなかった蛍光物質からの微弱な蛍光を検出することが可能となる。
次に、CPU90は、所定時間T1が経過した後(ステップS32)、ヒータ23により被検出部125,126を加熱する(ステップS33)。DNA増幅及びハイブリダイゼーション反応に適した温度に温調制御される。
次に、十分にDNA増幅及びハイブリダイゼーション反応が進行するために要する所定時間T2が経過すると(ステップS34)、CPU90は、光検出部4により反応後の蛍光強度を測定する(ステップS35)。
次に、CPU90は、反応前の蛍光強度を基に反応後の蛍光強度を補正する(ステップS36)。例えば、反応後の蛍光強度から反応前の蛍光強度を差し引くこと、又は、反応前後の蛍光発光量の比として補正を行う。
次に、CPU90は、補正後の蛍光強度を表示部84に表示したり、不揮発性メモリ94に保存したりする(ステップS37)。その後、フローは終了する。
以上のように、本実施形態によれば、反応による蛍光強度の変化分を補正することにより正確に測定することができる。
4)検出制御(4)のフロー:図8参照
図8に示す検出制御(4)のフローは前述の検出制御(3)のフローの変形例であり、同図と共通のフローに関しては同符号を付すことにより説明を省略する。
まず、CPU90は、反応系の温度の測定及び、光検出部4により反応前の蛍光強度を測定する(ステップS31b)。これにより、クエンチャーに吸収されなかった蛍光物質からの微弱な蛍光を検出することが可能となる。
ステップS32乃至S34で反応を行わせた後に、CPU90は、反応系の温度の測定及び、光検出部4により反応後の蛍光強度を測定する(ステップS35b)。
次に、CPU90は、反応前後の反応系の温度の測定結果を基に反応後の蛍光強度を補正する(ステップS36b)。例えば、反応後の蛍光強度から反応前の蛍光強度を差し引くこと、又は、反応前後の蛍光発光量の比として補正を行う。
次に、CPU90は、補正後の蛍光強度を表示部84に表示したり、不揮発性メモリ94に保存したりする(ステップS37)。その後、フローは終了する。
以上のように、本実施形態によれば、蛍光発光量の温度依存性を無視できるような条件にして、精度良い蛍光測定を行うことができる。
なお、本発明においては、マイクロチップ内の化学反応に応じて発せられる蛍光の発光量に基づいてマイクロチップ内の測定部の標的分子の存在や量を測定するために、当該化学反応前後に蛍光発光量を測定し、かつ当該蛍光発光量を測定する際に、マイクロチップ内の試薬及びマイクロチップ内の測定部位を含む反応系の温度を、当該化学反応前後において、同一となるように制御することを特徴とする。
更に、前記測定結果を反応前後の蛍光発光量の差もしくは反応前後の蛍光発光量の比として算出・出力する機能を設けた態様とすることが好ましい。これにより、試薬量、濃度、環境条件等の変動に拘わらず、精度良い蛍光測定を行うことができる。
特に、本発明の上記手段をサイクリングプローブ法を用いたマイクロチップの蛍光検出・測定に適用することにより本発明の効果を顕著に発現することができる。
〈蛍光物質及びクエンチャー〉
蛍光物質は、特定の波長の励起光を吸収し、吸収したエネルギーを、非常に短時間で、吸収した波長とは異なる波長の光、いわゆる蛍光を発生じさせる物質である。この励起光の吸収から蛍光発生の過程では、熱放出によるエネルギー損失が起こるため、蛍光は、励起光に比べエネルギーが低い、つまり長波長側にシフトした波長となる(ストークス・シフト)。励起光波長及びストークス・シフト(及びそれに伴う蛍光波長)は、各種蛍光物質において特徴的な特性である。
蛍光共鳴エネルギー遷移は、例えば、蛍光物質としての蛍光色素(F1)と色素(F2)(多くの場合蛍光色素)を互いに連結して相互作用している際に、F2の吸収波長がF1の蛍光波長と重複する場合に観察される。
これは、第一の蛍光分子F1が波長λ1の光によって励起されたのちF1は、波長λ1+s1の光を蛍光として放射する。このときのs1は、F1のストークスシフト量である。第2の蛍光分子F2として、その吸収波長の広がりがλ1+s1と重複すれば、この光を吸収することができる。このように、F2は、λ1+s1によって励起され、続いて波長λ2+s2を放射する。
この場合、励起光λ1で励起されないように第2の蛍光色素を選択することで、連結している場合には、λ1の励起でλ2+s2の蛍光が観察され、連結が切れた場合には、λ1の励起で、λ1+s1の蛍光が観察される。このような蛍光の遷移現象は統計的で、エネルギー遷移の効率は、r−6に比例するといわれている。rは、2つの蛍光分子間の平均間隔を示す。
本発明に使用できる、蛍光色素としては、フルオレセイン類、ローダミン類、クマリン類、ダンシル型(ジメチルアミノナフタレンスルホン酸型)蛍光色素、NBD型色素、ピレン、BODIPY誘導体、サイ(cy)色素,マラカイトグリーンなどが上げられ、特許文献などで例示されている蛍光色素としては、例えば米国特許第5486616号明細書、特開平2−191674号公報、同5−287209号公報、同5−287266号公報、同8−47400号公報、同9−127115号公報、同7−145148号公報、同6−222059号公報に記載される蛍光色素、Journal of Fluorescence,5,231ページ(1995年)に記載される蛍光色素などを用いることができ、また、特開平2−191674号公報等に記載されている蛍光色素などを用いることが出来る。
好ましい色素の組み合わせとしては、当業者が容易に組み合わせることが出来るもの(例えばインビトロジェン社、アプライドバイオシステムズ社、ロシュ社などのホームページ参照。)をあげることができ、好ましくはフルオレセインとカルボキシローダミンの組み合わせなどを挙げられる。
F2に使用できる色素としては、蛍光をしていなくてもよく、例えば、ダビシル、特表2003−516616記載のeclipse(epoch社商標)、米国特許7019129記載のBlackHallQquencher(BQH一般にダーククエンチャーBiosearch Technologies社商標)、米国特許20060177857記載のBlaccberryQuencher(Berry&Associates社商標)などを使用することが出来る。

Claims (6)

  1. マイクロチップ内の化学反応の進行に応じて発せられる蛍光の発光量に基づいてマイクロチップ内の測定部の標的分子の存在や量を測定するマイクロ総合分析システムであって、当該化学反応前後に蛍光発光量を測定し、かつ当該蛍光発光量を測定する際に、マイクロチップ内の試薬及びマイクロチップ内の測定部位を含む反応系の温度を、当該化学反応前後において、同一となるように制御することを特徴とするマイクロ総合分析システム。
  2. 前記化学反応が、標的DNAと蛍光標識したプローブとのハイブリダイゼーションにより蛍光共鳴エネルギー遷移現象に変化を生ずる反応であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のマイクロ総合分析システム。
  3. 化学反応前の蛍光発光量の測定値に基づいて、化学反応後の蛍光発光量の測定値の補正を行うことを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のマイクロ総合分析システム。
  4. 測定した化学反応前後の蛍光発光量の測定値に対して、両者の差、もしくは両者の比を算出・出力する機能を設けたことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに記載のマイクロ総合分析システム。
  5. 前記化学反応前後の蛍光発光量を測定する際に、マイクロチップ内の試薬及びマイクロチップ内の測定部位を含む反応系の温度を、当該化学反応前後において測定し、その測定結果に基づき、蛍光発光量の測定値を補正することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに記載のマイクロ総合分析システム。
  6. 補正した化学反応前後の蛍光発光量の測定値に対して、両者の差、もしくは両者の比を算出・出力する機能を設けたことを特徴とする請求の範囲第5項に記載のマイクロ総合分析システム。
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