JPWO2008072375A1 - 感温性リン酸アルミニウム溶液及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents

感温性リン酸アルミニウム溶液及びその製造方法並びにその用途 Download PDF

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Abstract

本発明によれば、リン酸アルミニウム溶液の組成が、3Al2O3/P2O5(モル比)=1.2〜1.5の範囲であり、M2O/P2O5(モル比)=0.02〜0.15(但し、Mはアルカリ金属を示す)の範囲であり、且つAl2O3濃度が2〜8質量%の範囲である感温性リン酸アルミニウム溶液であって、感温温度が20〜100℃の温度範囲において存在することを特徴とする感温性リン酸アルミニウム溶液が提供される。かかる溶液は、特に炭素材料の酸化防止剤として有用である。

Description

本発明は、新規なリン酸アルミニウム溶液及びその製造方法並びにその用途に関し、特に炭素材料の酸化防止に有用な新規なリン酸アルミニウム溶液及びその製造方法に関する。
近年、リン酸アルミニウムは、耐火物用の結合剤、各種用途の接着剤、コーティング剤、塗料原料、水ガラス、シリカゾル等のアルカリ性物質の硬化剤(例えば、特許文献1参照)、鋼板の特殊被膜用原料(例えば、特許文献2参照)、炭素材料の酸化防止剤などに使用され、その需要も年々増加している。
近年注目されているのは、リン酸アルミニウム溶液の炭素材料の酸化防止剤としての機能である。炭素材料は、他の材料と比べて熱膨張率が低い、高温耐久性や電気伝導度に優れ、耐熱衝撃性、耐薬品性が大きいなどの特徴から、冶金、電気、化学、原子炉等の分野で広範囲に利用されている。炭素粉末、炭素繊維をはじめ、炭素ナノチューブ、フラーレン等の物性改良、用途開発が盛んに行われているが、改善すべき問題点が多い。その一つが、炭素材料への耐酸化性の付与、即ち、酸化による消耗防止であり、酸化防止剤の開発である。かかる酸化防止剤の一つとして、リン酸アルミニウムやアルミニウムの有機酸塩が提案されている。
例えば、第一リン酸アルミニウムとコロイドシリカを組合わせたアーク式電気炉用黒鉛電極の酸化防止方法(例えば、特許文献3参照)、珪素系物質とリン酸アルミニウムを使用する黒鉛材料用酸化防止剤(例えば、特許文献4参照)、アルミニウムの有機酸塩を配合した炭素質素材の酸化防止剤(例えば、特許文献5参照)等が提案されている。
リン酸アルミニウムを使用した炭素材料の酸化防止剤は、優れた効果を発揮するが、そのメカニズムは、炭素材料にリン酸アルミニウム溶液を含浸あるいはコーティングした後、乾燥・加熱を行うと、炭素材料の表面や、炭素材料内部でリン酸アルミニウムの脱水縮合が進行し、耐熱性の酸化防止被膜が形成されて、高温下で空気中の酸素と炭素材料とが直接接触することを防止しているためと考えられている。しかし、リン酸アルミニウム溶液を急速に乾燥・加熱した場合、成分の表面・表層部への移動により不均一な酸化防止被膜が形成されるため、長時間の効率が悪い乾燥・加熱が必要であった。
特開昭53−011200号公報 特開2002−069657号公報 特開2000−169845号公報 特開2001−192284号公報 特開昭61−207484号公報
本発明は、このような従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、高温で乾燥・加熱しても炭素材料上に均一な酸化防止被膜が形成できる新規なリン酸アルミニウム溶液を提供することにある。また、本発明の目的は、耐火物強度の向上、遮光ガラス、調光ガラス等の用途に有用な、20〜100℃の温度範囲において感温温度を有する新規なリン酸アルミニウム溶液を提供することにある。
本発明は、リン酸アルミニウム溶液の組成が、3Al/P(モル比)=1.2〜1.5の範囲であり、MO/P(モル比)=0.02〜0.15(但し、Mはアルカリ金属を示す)の範囲であり、且つAl濃度が2〜8質量%の範囲である感温性リン酸アルミニウム溶液であって、感温温度が20〜100℃の温度範囲において存在することを特徴とする感温性リン酸アルミニウム溶液である。
本発明の感温性リン酸アルミニウム溶液の好ましい態様では、リン酸アルミニウム溶液中のアルカリ金属が、ウルトラリン酸のアルカリ金属塩に由来するものであり、また感温温度未満で、溶液が透明であり、600nmにおける光透過率が90%以上であり、感温温度以上で、溶液が白濁しており、600nmにおける光透過率が10%以下である。
また、本発明は、組成3Al/P(モル比)=0.9〜1.2のリン酸アルミニウム溶液に、組成MO/P(モル比)=0.02〜0.15、3Al/P(モル比)=1.2〜1.5となるようにウルトラリン酸のアルカリ金属塩とアルミナ水和物を添加し、溶解することを特徴とする上記感温性リン酸アルミニウム溶液の製造方法である。
また、本発明は、上記感温性リン酸アルミニウム溶液からなることを特徴とする炭素材料(特に炭素電極)用酸化防止剤である。
また、本発明は、上記感温性リン酸アルミニウム溶液をその感温温度未満の温度で炭素材料に付与し、次に炭素材料を好ましくは100℃以上の温度で乾燥させ、さらに炭素材料を焼成させることを特徴とする炭素材料上に酸化防止被膜を形成させる方法である。
本発明において、感温温度とは、リン酸アルミニウム溶液が透明な溶液から白濁溶液へ及び白濁溶液から透明な溶液へのいずれの方向にも可逆的に状態変化を生ずる境界の温度を言う。本発明のリン酸アルミニウム溶液の感温温度は、溶液の組成、即ち、3Al/P(モル比)、MO/P(モル比)、Al濃度を変更することにより、使用目的に応じて所望する20〜100℃の範囲の温度に設定することができる。
本発明において、感温温度は次のようにして測定する。
10〜20℃未満の温度において、測定される溶液を、100mlビーカーに約50〜70ml程度入れ、マグネチックスターラーが付いたホットプレートにセットする。このときビーカー内に撹拌子を入れ、温度計をセットした上で、加熱蒸発を防ぐためにシーロンフィルムなどでビーカーを軽く密閉する。そして、撹拌子を回転させビーカー内の溶液を撹拌しながら、2〜3℃/分程度で溶液温度を昇温させ、ビーカー内の溶液が白濁し始める温度を目視で測定する。このようにして得られた白濁開始温度を感温温度とする。
なお、溶液の昇温速度を一定にしにくいこと、白濁し始める初期段階は目視の判別が難しいこと、また個人差の存在などから、本発明における感温温度は、約±3℃程度の範囲を有する。本発明の溶液は、感温温度未満では透明な溶液(600nmの透過率を測定した場合の透過率が90%以上)となり、感温温度以上になると再び白濁(600nmの透過率を測定した場合の透過率が10%以下)する。
本発明の新規な感温性リン酸アルミニウム溶液は、実用上様々な分野において、極めて優れた効果を発揮する。
例えば、2枚のガラス板で液晶シートを挟み、電気スイッチのON/OFFにより、透明・不透明をコントロールする調光ガラス、あるいは温度により光学特性が変化する酸化バナジウムをサーモクロック材料として使用した調光ガラス、銀などの光反応性元素を均一に分散させたフォトクロミック材料を利用した調光ガラス等が開発、販売されているが、製造方法が複雑、高価、可視光透過率が低い、耐熱性に乏しいなどの問題点がある。
これに対し、本発明の新規感温性リン酸アルミニウム溶液をガラス基板中に封入すれば、通電加熱、あるいは夏場等の環境温度の利用により、封入された溶液が温度により白色に変化し、遮光するという調光ガラスを簡単・安価に製造することができ、窓ガラス、透明屋根材、野菜・花の栽培用ハウス等に利用することができる。
また、本発明の新規なリン酸アルミニウム溶液は、100℃以下の温度で白濁状態になることから、同濃度のリン酸アルミニウム溶液よりも低温度で不安定状態、即ち、準安定領域を形成する。従って、これを耐火物結合材、各種材料の接着剤、コーティング剤等として使用したとき、低温、例えば100〜200℃で乾燥しても、同濃度のリン酸アルミニウム溶液、例えば同濃度の第一リン酸アルミニウム溶液より、強い結合力を発揮し、またこのような低温でも成膜することができるため、各種合成樹脂、紙材料、ガラス材料、天然繊維材料など、耐熱性のない材料に対して特に有効である。
本発明の新規なリン酸アルミニウム溶液は、通常のリン酸アルミニウムより低温での乾燥が可能であり、成膜性が良いことから、耐水性も向上するなど数々の利点を有するものである。上記のように、本発明の新規なリン酸アルミニウム溶液は、用途に応じて優れた効果を発揮するが、最もその効果を発揮するのは、炭素材料、特に炭素電極に使用したときの酸化防止効果である。これまで炭素材料の酸化防止に利用されていた、第一リン酸アルミニウム溶液のようなリン酸アルミニウム溶液或いは塩基性乳酸アルミニウム溶液のような有機酸アルミニウム溶液は、これを炭素材料に含浸させ、乾燥・加熱した場合、特に急速乾燥・加熱を行った場合、溶液中に含まれる水分が蒸発するときに、蒸気圧により含浸させたリン酸成分やアルミニウム成分を同伴する。このため、これら成分が表面・表層部に移動(以下、この成分の移動現象を「マイグレーション」という。)し、表面・表層部では成分が不均一となり、十分な酸化防止被膜が形成されず、一方、炭素材料内部においては、マイグレーションにより、酸化防止被膜形成成分が不存在、成分不均一、あるいは成分不足となり、必ずしも十分な酸化防止効果が得られていなかった。また、極めて慎重に、緩速で乾燥・加熱を行った場合においても、炭素材料が高温になるとマイグレーションを生起していた。
マイグレーションがあると、従来のリン酸アルミニムあるいは有機酸アルミニウムを配合した炭素材料の酸化防止剤では、酸化防止効果が低下したり、乾燥後にマイグレーションにより押し出されたリン酸アルミニウムを除去する必要があった。
このマイグレーションを少なくするために乾燥時間を長時間かけたり、加熱時に100℃未満の低温でゆっくりと乾燥させて、水蒸気の圧力で酸化防止剤が外部に押し出されないようにするなど、非常に効率が悪い乾燥・加熱を行う必要があった。
本発明の溶液を炭素材料の酸化防止に適用した場合、上記のような問題がなく、優れた酸化防止効果が得られる。本発明において、このような酸化防止効果が得られる理由は定かではないが、本発明の溶液は、前記の如く、感温温度以上では白濁してゲル化し、感温温度未満でもリン酸アルミニウムの周囲に水分が極度に減少すると不安定になってゲル化することから、炭素材料に浸透後速やかに黒鉛等炭素粒子上にゲル状被膜を形成し、乾燥・加熱の進行に伴って、リン酸が縮合し、均一強固なリン酸アルミニウム縮合被膜が形成されるためと推定される。
さらに詳しく説明すると、乾燥・加熱により、内部の水蒸気圧が高くなっても、本発明の溶液の場合、既にゲル状被膜が形成されており、水蒸気が炭素材料中の細孔を上昇するときに、水蒸気に同伴して、リン酸成分やアルミニウム成分が殆ど移動しないため、均一強固なリン酸アルミニウム縮合被膜が形成されるためと推定される。そして、本発明の溶液が20〜100℃において感温温度を有する性質は、ウルトラリン酸のアルカリ金属塩に大きく起因しているものと推定される。
本発明の溶液が、20〜100℃の温度で可逆的に状態変化(即ち、低温で準安定領域を形成する)メカニズムに関しては明らかではないが、おおよそ次のように推定される。即ち、リン酸アルミニウム溶液の3Al/P(モル比)が一定以上になると、溶液は、白濁したりゲル化する。しかし、溶液中にウルトラリン酸のアルカリ金属塩が存在すると、感温温度未満ではこの塩が有する特殊なキレート効果など(以下、「安定化効果」という)により安定化され、透明な溶液状態が維持される。他方、感温温度以上になると、リン酸アルミニウムの特定部位に配位し、安定化効果に寄与していたウルトラリン酸塩が、熱エネルギーなどにより、特定部位から離脱し、溶液は不安定化して白濁状態を呈する。溶液温度が再度感温温度未満になると、離脱していたウルトラリン酸塩が溶液の安定化に寄与していた元の部位に再結合あるいは再配位して、安定な透明状態を呈する。即ち、ウルトラリン酸塩により溶液状態の可逆的変化が生起するものと推定される。このような溶液状態の可逆的変化を維持するためには、ウルトラリン酸塩が移動して再結合あるいは再配位できるだけの水分が存在していることが必要である。このウルトラリン酸塩のような安定化効果は、他の縮合リン酸塩であるトリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、メタリン酸塩では殆ど認められず、ウルトラリン酸塩にだけ認められることから、通常の縮合リン酸塩が有するキレート効果とは異なる効果であると推定される。
図1は、実施例13の24時間乾燥した後に焼成したテストピースの状態を示す図である。 図2は、比較例11の24時間乾燥した後に焼成したテストピースの状態を示す図である。
以下、本発明の感温性リン酸アルミニウム溶液について、具体的な製造方法や用途を例示しながら説明を行う。
本発明のリン酸アルミニウム溶液の原料のリン酸アルミニウムとしては、各種の化学原料、耐火物結合剤、コーティング剤として良く知られ、一般には第一リン酸アルミニウムと称して市販されている3Al/P(モル比)=0.9〜1.2のリン酸アルミニウム溶液を用いる。この組成のリン酸アルミニウム溶液は、水酸化アルミニウムをリン酸に溶解することにより容易に製造することができる。本発明のリン酸アルミニウム溶液の製造方法においては、この溶液にウルトラリン酸のアルカリ金属塩(具体的には、ウルトラリン酸のナトリウム塩やカリウム塩など)を、組成がMO/P(モル比)=0.02〜0.15(但し、Mはアルカリ金属を示す。)の範囲になるように、より好ましくは0.04〜0.10の範囲になるように添加、溶解する。溶解温度は高い程、溶解時間は短くなり、例えば30〜40℃程度であれば、撹拌により15〜20分で溶解でき、溶解温度がさらに高くなれば溶解時間はさらに短縮できる。上記組成のモル比が0.02未満では安定な溶液状態を保つことができず、0.15を越えても更なる効果は得られず、有効なリン酸アルミニウム成分の割合が低下するので好ましくない。ウルトラリン酸塩は、縮合リン酸塩の一種であり、例えば、ウルトラリン酸ナトリウムの化学式は(nNaO)P(0<n<1)で示され、n=0.5〜0.8程度のものが、ウルトラリン酸ナトリウム、ウルトラポリリン酸ナトリウム、あるいは酸性メタリン酸ナトリウムとして市販されている。
次いで、このように調製されたリン酸塩溶液に、組成3Al/P(モル比)=1.2〜1.5になるように、より好ましくは1.35〜1.45の範囲になるようにアルミニウム成分(具体的にはアルミナ水和物)を添加、溶解する。溶解温度は、生成する感温性リン酸アルミニウム溶液の状態が変化する感温温度未満(即ち、透明状態の保持されている温度)が良い。溶解時の溶解温度が感温温度より高いと、溶液状態が変化、即ち白濁状態が進行し、更に溶液温度が高いと、白濁状態からゲル状態へと変化する。この白濁状態やゲル状態が生じても、本発明の組成範囲にあれば、温度が下がると透明な溶液状態に戻る。しかし、反応過程で白濁状態やゲル状態が長時間続くことは反応が十分進行しなくなることがあるため好ましくない。このため、例えば感温温度60℃の本発明の溶液を製造する場合、第一リン酸アルミニウム溶液にウルトラリン酸塩を添加・溶解した後、アルミニウム成分を添加する際の温度は50℃程度であることが好ましい。また、溶解時間は概ね0.5〜5時間の範囲であり、間欠的あるいは連続的にアルミニウム成分を添加、溶解する。
このように、本発明の感温性リン酸アルミニウム溶液の製造は、感温温度以下の温度で行なうことが好ましいため、例えば常温以下の感温温度を持つ感温性リン酸アルミニウム溶液を直接製造しようとすると、製造途中で白濁したり、常温以下でアルミナ水和物もしくはアルミナ水和物を炭酸化したものを溶解させることになるため、溶解時間が極端に長くなるなど、極めて製造が困難になる。これらの理由から常温以下の感温温度を持つ感温性リン酸アルミニウム溶液の製造は、感温温度が高い感温性リン酸アルミニウム溶液を希釈して濃度調整することにより製造することになる。
上記組成のモル比が1.2未満の場合、本発明の感温性溶液が得られず、また、1.5を越えると室温でも白濁が激しいか又はゲル状態となり、同様に本発明の感温性溶液が得られない。本発明のリン酸アルミニウム溶液の製造方法において、添加されるアルミニウム成分は、アルミナ水和物である。このアルミナ水和物は、一般に、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム等の水可溶性アルミニウム塩をアルカリ金属あるいはアンモニウムの炭酸塩、重炭酸塩と反応させ、生成沈殿するアルミナ水和物を良く洗浄して塩類を除去することによって製造することができる。また、アルミン酸アルカリと酸性ガスとの反応によってアルミナ水和物を製造することもできる。また、水可溶性アルミニウム塩溶液中で尿素を加熱分解することによってもアルミナ水和物を製造することができる。更にまた、このアルミナ水和物を炭酸ガスと反応させて得られる炭酸化したアルミナ水和物(以下、本発明においては、炭酸化したアルミナ水和物をも含めて「アルミナ水和物」という。)も利用することができる。
本発明の溶液の感温温度と濃度の関係について述べると、Al濃度が2質量%未満では感温温度が20℃以下であり常に白濁状態となるが、8質量%を越えると感温温度が100℃以上になるだけでなく、製造途中の粘度が高くなりすぎて製造が困難となる。このように他の条件が一定であれば、濃度が低いほど感温温度は低く、濃度が高いほど感温温度は高くなる。例えば、組成3Al/P(モル比)=1.3で一定の場合であれば、Al濃度が5質量%では感温温度が50±3℃、7質量%では感温温度が85±3℃程度になる。感温温度と組成3Al/P(モル比)の関係については、他の条件が一定であれば、3Al/P(モル比)が小さくなるほど感温温度は高くなり、3Al/P(モル比)が大きくなるほど感温温度は低くなる。例えば、Al濃度が5質量%であれば、3Al/P(モル比)=1.25で感温温度が90±3℃、3Al/P(モル比)=1.4で感温温度が40±3℃程度となる。また、液安定性と組成MO/P(モル比)との関係については、他の条件が一定であれば、MO/P(モル比)が0.02より小さくなると液安定性が悪くなり製造が困難になるが、MO/P(モル比)が0.15より大きくなっても液安定性の向上は認められない。
本発明の最も望ましい製造方法は、上記の通りであり、ウルトラリン酸のアルカリ金属塩をアルミナ水和物より先にリン酸アルミニウム溶液に添加、溶解することである。アルミナ水和物をアルカリ金属塩より先にリン酸アルミニウム溶液に添加すると、不溶性のリン酸塩が生成し、これにウルトラリン酸塩を添加しても、この不溶性のリン酸塩を溶解することは極めて困難となる。なお、ウルトラリン酸塩は、リン酸アルミニウム溶液に添加する必要はなく、リン酸アルミニウム溶液製造時にリン酸液に添加しても良い。本発明の溶液は、長期保存する場合、若干沈殿を生ずることがあるので、そのようなときは、感温性を阻害しない範囲で、ホウ酸や有機酸を溶液に添加することが望ましい。有機酸としては、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸などが例示されるが、好ましくはシュウ酸、リンゴ酸、コハク酸である。
本発明のリン酸アルミニウム溶液は、上記の通り、とりわけ、アルミ溶融炉用耐火物、焼成用冶具、特殊炭素材料で構成されたポンプインペラーや摺動材などの炭素材料の酸化防止、なかでも炭素電極の酸化防止に有効であるが、更に酸化防止効果を高めるために、アルミナゾルなどのアルミナ系材料、シリカゾルなどのシリカ系材料、ニッケル塩などの金属塩材料を溶液に配合することができる。さらに、電気伝導率を向上させるために、カーボンブラックなどの超微粉粒子のカーボン材料を溶液に配合することができる。また、炭素材料への浸透性や塗れ性を改善するために界面活性剤を溶液に配合しても良い。本発明のリン酸アルミニウム溶液を使用して炭素材料上に酸化防止被膜を形成させるには、本発明のリン酸アルミニウム溶液をその感温温度未満の温度で炭素材料に付与し、次に炭素材料を室温から150℃程度の温度、好ましくは100℃以上の温度で乾燥させ、さらに800℃程度の温度で焼成すればよい。前者の乾燥によりリン酸アルミニウム溶液縮合被膜が形成され、後者の焼成によりこの被膜が炭素粒子の表面に固定化され、強固な酸化防止被膜となる。溶液の炭素材料への付与方法としては、浸漬含浸、減圧含浸、真空含浸、真空加圧含浸などの一般的な含浸処理やスプレーコーティングやはけ塗りなどの表面処理を使用することができる。本発明のリン酸アルミニウム溶液は、炭素材料に付与されると炭素材料中の細孔に浸透して個々の炭素粒子上に速やかにゲル状被膜を形成するので、その後の乾燥及び焼成によりマイグレーションが起こる心配はなく、均一な酸化防止被膜を形成することができる。また、本発明のリン酸アルミニウム溶液は、調光ガラスとしても有用であり、さらに、通常のリン酸アルミニウム溶液と同様、耐火物結合材、各種コーティング剤、塗料原料、水ガラス等の硬化剤、化学原料、各種接着剤等に利用できることは勿論である。
以下に本発明の実施例を掲げて更に説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。また、実施例に於いて、%は特に断らない限り全て質量%を示す。
[実施例1]
75.0%、NaO 25.0%のウルトラリン酸ナトリウム粉末(ユニオン株式会社製、(nNaO)・P、n=0.76)36.5gを、Al 7.6%、P 31.9%のリン酸アルミニウム溶液559.4g(3Al/P(モル比)=1.0)に50〜60℃で撹拌・溶解させた後、液温を60℃に保ちながら、アルミナ水和物(Al 13.0%、このアルミナ水和物は塩化アルミニウムと炭酸ナトリウムとを反応させて、生成、沈殿したアルミナ水和物を洗浄して塩類を除去した後に乾燥し製造した)164.9gを徐々に添加して溶解させた。そして、溶解液の全量が1000gになるように調整水で希釈してAl 6.4%、P 20.6%、NaO 0.91%の本発明の感温性リン酸アルミニウム溶液(組成3Al/P(モル比)=1.30、NaO/P(モル比)=0.10)を得た。
このようにして得た本発明の溶液を、18℃において分光光度計で1cmセルを用いて、600nmの透過率を測定した場合の透過率は98.7%であった。そして、この本発明の溶液70mlと撹拌子を100mlビーカーに入れ、温度計をセットした上で、マグネチックスターラーが付いたホットプレートにセットして、加熱蒸発を防ぐためにシーロンフィルムでビーカーを軽く密閉した。
その後、撹拌子を回転させ、ビーカー内の溶液を撹拌しながら、約3℃/分で溶液温度を昇温させ、ビーカー内の溶液が白濁し始める温度を目視で測定したところ、70℃で白濁が開始したことから、この本発明の溶液の感温温度は70℃であった。そして、70℃で10分間溶液温度を保持した後で、分光光度計で1cmセルを用いて、600nmの透過率を測定した場合の透過率は1.2%であった。この溶液の組成と感温温度を表1に示す。
[比較例1]
アルミナ水和物を90.0gとし、全量を調整水で848gとした以外は、実施例1と同一条件で、Al 6.4%、P 24.3%、NaO 1.08%、組成3Al/P(モル比)=1.10、NaO/P(モル比)=0.10のリン酸アルミニウム溶液を得た。この溶液を100℃で30分間加熱したが、光透過率は98.0%で、白濁状態にはならなかった。この溶液の組成と製造結果を表1に示す。
[実施例2〜6]
実施例1と同様の方法により、Al5.4%、組成3Al/P(モル比)=1.25〜1.45、NaO/P(モル比)=0.05及び0.10の本発明の感温性リン酸アルミニウム溶液を得た。そして、実施例1と同様の方法により感温温度を確認した。これらの溶液の組成と感温温度を表1に示す。
[比較例2〜6]
実施例1と同様の方法により、Al5.4%、組成3Al/P(モル比)=1.10、NaO/P(モル比)=0.10のリン酸アルミニウム溶液を得た(比較例2)。この溶液について、実施例1と同様の方法により感温温度を確認した。また、Al5.4%、組成3Al/P(モル比)=1.60、NaO/P(モル比)=0.10のリン酸アルミニウム溶液とAl5.4%、組成3Al/P(モル比)=1.25、NaO/P(モル比)=0.01のリン酸アルミニウム溶液は製造途中でゲル化が発生し製造することが出来なかった(比較例3、4)。また、ウルトラリン酸ナトリウムの替わりにヘキサメタリン酸ナトリウムまたはトリポリリン酸ナトリウムを原料に使用してAl5.4%、組成3Al/P(モル比)=1.35、NaO/P(モル比)=0.10のリン酸アルミニウム溶液を製造しようとしたが、反応温度、反応時間などをどのように調整しても不溶性のリン酸アルミニウムが析出し溶液の製造には至らなかった(比較例5、6)。これらの溶液の組成と製造結果を表1に示す。
[実施例7]
150.0gの水に、リン酸とリン酸一カリウムを混合し加熱脱水して得られたP 75.0%、KO 25.0%のウルトラリン酸カリウム粉末36.5gを溶解させた。これをAl 7.6%、P 31.9%のリン酸アルミニウム溶液559.4gと混合した後、液温を60℃に保ちながら、実施例1と同様の方法により製造したアルミナ水和物(Al 13.0%)164.9gを徐々に添加して溶解させた。そして、溶解液の全量が1000gになるように調整水で希釈してAl 6.4%、P 20.6%、KO 0.91%の本発明の感温性リン酸アルミニウム溶液(組成3Al/P(モル比)=1.30、KO/P(モル比)=0.07)を得た。この溶液について、実施例1と同様の方法により感温温度を確認した。この溶液の組成と感温温度を表2に示す。
[実施例8]
実施例1と同様の方法により製造したアルミナ水和物の量、及び調整水量を調節することにより、Al5.4%、組成3Al/P(モル比)=1.45、KO/P(モル比)=0.10の本発明の感温性リン酸アルミニウム溶液を得た。
この溶液について、実施例1と同様の方法により感温温度を確認した。この溶液の組成と感温温度を表2に示す。
[比較例7〜9]
実施例7と同様の方法により、Al5.4%、組成3Al/P(モル比)=1.10〜1.60、KO/P(モル比)=0.01〜0.10のリン酸アルミニウム溶液を得た。しかし、Al5.4%、組成3Al/P(モル比)=1.10、KO/P(モル比)=0.10のリン酸アルミニウム溶液(比較例7)以外は反応中にゲル化して製造できなかった。この操作で得られたリン酸アルミニウム溶液について、実施例1と同様の方法により溶液の感温温度を確認した。これらの溶液の組成と製造結果を表2に示す。
[比較例10]
実施例7及び8の感温性リン酸アルミニウム溶液を、Al濃度2%以下に希釈した溶液を作成したが、いずれも感温温度のバラツキが大きく、感温温度を決定できなかった。
[実施例9〜12]
実施例1と同様の方法により、Al4.2〜6.4%、組成3Al/P(モル比)=1.38、NaO/P(モル比)=0.04のリン酸アルミニウム溶液を得た。この溶液について、実施例1と同様の方法により溶液の感温温度を確認した。その結果を表3に示す。なお、表中の「およその変化時間(min)」は、例えば、5/10(実施例9)の場合は、透明状態から十分な白濁状態へ変化するのに必要な時間がおよそ5分で、白濁状態から透明状態に変化するのに必要な時間がおよそ10分であることを表す。
[実施例13、比較例11]
炭素材料として、ベアリング、シーリング、パッキンなどの摩擦材、摺動材に使用される押出成型炭素質テストピース(直径30mm×高さ30mmで密度1.75g/cm)を用い、これに、酸化防止剤として、(1)実施例1で製造したAl 6.4%、P 20.6%、NaO 0.91%の本発明の感温性リン酸アルミニウム溶液(3Al/P(モル比)=1.30、NaO/P(モル比)=0.10)(実施例13)、(2)第一リン酸アルミニウム溶液(Al 7.4%、P 31.1%)(比較例11)を用い、それぞれ常圧下で10分の含浸処理を行った。
それらについて含浸処理後に質量を測定したところ、(1)はテストピースの質量に対して1.0%が含浸された(実施例13)。一方、(2)は、同じく1.5%が含浸された(比較例11)。この含浸処理を施したテストピースを、室温で24〜120時間乾燥させた後、箱型電気炉を用いて大気雰囲気下で800℃で4時間焼成を行った。また、酸化防止処理を施さないテストピースをブランクとして焼成した。それらの結果を表4に示す。また、実施例13及び比較例11のテストピースの図をそれぞれ図1及び図2に示す。
本発明の溶液で酸化防止処理を施したテストピース(実施例13)は、室温乾燥24時間で焼成時のマイグレーションは認められなかったが、第一リン酸アルミニウムで酸化防止処理を施したテストピース(比較例11)は72時間の乾燥でもマイグレーションが認められた。また、実施例13、比較例11とも、優れた酸化防止効果が認められたが、本発明の場合、焼成時のマイグレーションがないためか、比較例11よりさらに良い酸化防止効果が認められた。本発明のマイグレーション防止効果は、図1及び図2から明らかである。
[実施例14、比較例12]
炭素原料として、特殊なニードルコークスを使用して作製した炭素電極材料テストピース(直径30mm×高さ30mmで密度1.79g/cm)を用い、これに、酸化防止剤として実施例13、比較例11と同じ溶液(それぞれ実施例14、比較例12とする)を用い、それぞれ減圧(−500mmHg)下で3分保持した後、常圧に戻すことにより減圧含浸処理を行った。
それらについて含浸処理後に質量を測定したところ、実施例14の酸化防止剤は、テストピースの質量に対して4.7%が含浸された。一方、比較例12の酸化防止剤は、同じく7.7%が含浸された。この含浸処理を施したテストピースを、105℃で所定時間乾燥させた後、箱型電気炉を用いて大気雰囲気下で800℃で4時間焼成を行った。また、酸化防止処理を施さないテストピースをブランクとして焼成した。それらの結果を表5に示す。
[実施例15〜17]
炭素電極材料テストピース(直径30mm×高さ30mmで密度1.79g/cm)を用い、これに、酸化防止剤として実施例2、4及び6と同じ溶液(それぞれ実施例15、16及び17とする)を用い、それぞれ減圧(−500mmHg)下で3分保持した後、常圧に戻すことにより減圧含浸処理を行った。
それらについて含浸後に質量を測定したところ、実施例15〜17の酸化防止剤は、テストピースの質量に対して約4〜5%が含浸された。この含浸処理を施したテストピースを、105℃で3時間乾燥させ、乾燥時のマイグレーションを観察した。それらの結果を表6に示す。
[比較例13]
比較例2と同じリン酸アルミニウム溶液を用い、上記実施例15〜17と同様の操作を行った。その結果を表6に示す。
本発明の感温性リン酸アルミニウム溶液は、20〜100℃の温度範囲において透明状態と白濁状態の間で可逆的に変化を生ずる感温温度を有するので、炭素材料の酸化防止剤の他、耐火物結合剤、調光ガラス等の分野において極めて有用である。

Claims (8)

  1. リン酸アルミニウム溶液の組成が、3Al/P(モル比)=1.2〜1.5の範囲であり、MO/P(モル比)=0.02〜0.15(但し、Mはアルカリ金属を示す)の範囲であり、且つAl濃度が2〜8質量%の範囲である感温性リン酸アルミニウム溶液であって、感温温度が20〜100℃の温度範囲において存在することを特徴とする感温性リン酸アルミニウム溶液。
  2. リン酸アルミニウム溶液中のアルカリ金属が、ウルトラリン酸のアルカリ金属塩に由来するものであることを特徴とする請求項1に記載の感温性リン酸アルミニウム溶液。
  3. 感温温度未満で、溶液が透明であり、600nmにおける光透過率が90%以上であること、及び感温温度以上で、溶液が白濁しており、600nmにおける光透過率が10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の感温性リン酸アルミニウム溶液。
  4. 組成3Al/P(モル比)=0.9〜1.2のリン酸アルミニウム溶液に、組成MO/P(モル比)=0.02〜0.15、3Al/P(モル比)=1.2〜1.5となるようにウルトラリン酸のアルカリ金属塩とアルミナ水和物を添加し、溶解することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感温性リン酸アルミニウム溶液の製造方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感温性リン酸アルミニウム溶液からなることを特徴とする炭素材料用酸化防止剤。
  6. 炭素材料が炭素電極であることを特徴とする請求項5に記載の炭素材料用酸化防止剤。
  7. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感温性リン酸アルミニウム溶液をその感温温度未満の温度で炭素材料に付与し、次に炭素材料を乾燥させ、さらに炭素材料を焼成させることを特徴とする炭素材料上に酸化防止被膜を形成させる方法。
  8. 乾燥が100℃以上の温度で行なわれることを特徴とする請求項7に記載の方法。
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