本発明は、ルート再探索機能を有するナビゲーション装置とナビゲーション方法に関する。
従来の車載用ナビゲーション装置には、ユーザが指定した任意の目的地までの推奨ルートを探索して誘導中に、その推奨ルートから車両が逸脱してルート変更すると、変更ルートを通って目的地まで誘導するための新たな推奨ルートを自動的に再探索するルート再探索機能(オートリルート機能)が備えられている(特許文献1、特許文献2を参照)。
特許文献1のナビゲーション装置では、推奨ルートからの車両のルート変更を検出すると、新たな推奨ルートをルート再探索して記憶装置に記憶しておき、その後、ユーザからルート再探索の指示がなされた場合に、記憶装置に記憶しておいた新たな推奨ルートを提示して誘導することとしている。
特許文献2のナビゲーション装置では、推奨ルートに沿って走行中の車両が分岐点(例えば交差点)より手前でレーン変更し、変更したレーンを所定時間以上走行すると、推奨ルートからルート変更しようとしていると判断してルート再探索を開始し、推奨ルートからルート変更したことが確定的となった後に、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートを提示して誘導する。
また、特許文献2に記載されているルート再探索機能では、分岐点より手前で、車両のウインカー信号を所定時間以上検出すると、推奨ルートからルート変更して右折又は左折しようとしていると判断してルート再探索を開始し、推奨ルートからルート変更したことが確定的となった後、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートを提示して誘導することも提案されている。
特開平9−152352号公報
特開2004−61356号公報
ところで、特許文献1のナビゲーション装置は、図1(a)のタイムチャートで表されるように、推奨ルートから車両が逸脱しルート変更したことが確定的となってからルート再探索を開始し、ユーザからルート再探索の指示がなされるまでの期間内に、新たな推奨ルートを準備しておこうとするものである。しかし、ユーザからルート再探索の指示がなされるまでは旧い推奨ルートが継続して提示されてしまうこととなり、その旧い推奨ルートをユーザ自身が認識してルート再探索の指示操作をしない限り、新たな推奨ルートが提示されないこととなることから、利便性等を減ずるという問題がある。
特許文献2のナビゲーション装置は、図1(b)のタイムチャートで表されるように、推奨ルートからの車両のルート変更が確定的となる以前に、車両のレーン変更又はウインカー信号を検出してルート再探索を開始し、推奨ルートからの車両のルート変更が確定した後、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートを提示してシームレスに誘導する。
ところが、特許文献2に記載されているルート再探索機能では、レーン変更用の走行路が設けられている道路に依存するため、レーン変更用の走行路が設けられていない道路では、推奨ルートから車両がルート変更しようとしているか否かの判断をすることが困難となり、効果的なルート再探索を行うことが困難となる。
また、ウインカー信号を検出してルート再探索を開始することとしているが、実際には、ウインカー信号は車両自体に設けられている進行方向指示装置内のみで扱われるものであるため、ウインカー信号がナビゲーション装置等の他の電子機器に出力されることはない。そのため、ナビゲーション装置がウインカー信号に基づいてルート再探索を開始するという技術は実施することができないという問題がある。
本発明は、こうした従来の問題に鑑みてなされたものであり、推奨ルートからの車両のルート変更の前兆を予測して早期にルート再探索を行う新規なルート再探索機能を備えたナビゲーション装置とナビゲーション方法を提供することを目的とする。
請求の範囲1に記載の発明は、分岐点に連結する進入推奨ルートと進出推奨ルートによって車両を誘導している際、前記進入推奨ルートから前記分岐点に向けて走行中の車両が前記進出推奨ルートに対してルートを逸脱すると、別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索するナビゲーション装置であって、前記車両の旋回角が前記進入推奨ルートの方角と前記進出推奨ルートの方角との成す角度範囲を除く角度範囲内の方角となることを検出して、前記ルート再探索を開始するルート変更判定手段、を有することを特徴とする。
請求の範囲2に記載の発明は、分岐点に連結する進入推奨ルートと進出推奨ルートによって車両を誘導している際、前記進入推奨ルートから前記分岐点に向けて走行中の車両が前記進出推奨ルートに対してルートを逸脱すると、別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索するナビゲーション装置であって、前記車両の旋回角が前記進入推奨ルートの方角を基準とする所定の閾値角度範囲を除く角度範囲内であって、前記進入推奨ルートの方角の側から前記進出推奨ルートの方角を超える方角、又は、前記進出推奨ルートの方角とは逆方向の方角となることを検出して、前記ルート再探索を開始するルート変更判定手段、を有することを特徴とする。
請求の範囲5に記載の発明は、分岐点に連結する進入推奨ルートと進出推奨ルートによって車両を誘導している際、前記進入推奨ルートから前記分岐点に向けて走行中の車両が前記進出推奨ルートに対してルートを逸脱すると、別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索するナビゲーション装置であって、前記車両が前記進入推奨ルートを走行中の車速で前記分岐点に進入し、前記分岐点を介して前記進出推奨ルートへ進行するのに要する前記分岐点から車両の位置までの必要距離と、前記分岐点から前記車両の自車位置までの実際の距離とを対比し、前記必要距離より前記実際の距離が短い場合に、前記ルート再探索を開始するルート変更判定手段、を有することを特徴とする。
従来のナビゲーション装置におけるルート再探索機能を説明するための説明図である。
図2(a)は、実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図、図2(b)は、道路データのエンティティについて説明するための説明図である。
図2(a)に示したナビゲーション装置の機能と動作を説明するためのフローチャートである。
図2(a)に示したナビゲーション装置の機能と動作を説明するための説明図である。
実施形態に係るナビゲーション装置の機能を更に説明するための説明図である。
第1の実施例に係るナビゲーション装置の機能及び動作を説明するためのフローチャートである。
第1の実施例に係るナビゲーション装置の機能を更に説明するための説明図である。
図8(a)は、第2の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図、図8(b)ないし(e)は、機能を概説するための説明図である。
第2の実施例に係るナビゲーション装置の機能及び動作を説明するためのフローチャートである。
更に、第2の実施例に係るナビゲーション装置の機能を説明するための説明図である。
本発明の好適な実施形態について、図2乃至図5を参照して説明する 。
まず、図2(b)を参照して、本実施形態のナビゲーション装置がルート探索とルート再探索等を行う際に用いる道路データのエンティティについて説明することとする。
道路データは、地図上の道路の形状や方角等が変化する状態変化点や分岐点(交差点等)で連結されるリンクと、リンクの両端の座標点を示すノードとを、主たるエンティティ(基本データ要素)として構成されており、状態変化点では2つのリンクが同一のノードを共有して連結され、分岐点(交差点等)では3以上のリンクが同一のノードを共有して連結され、連結されたリンクの列からなる座標列で道路を表現するようになっている。したがって、2つのリンクを連結するノードが状態変化点、3以上のリンクを連結するノードが分岐点を表すようになっている。
そして、本実施形態のナビゲーション装置では、図2(a)の記憶部3に記憶されている道路データを用いて、車両を目的地へ誘導するための推奨ルートを探索等するようになっている。
次に、図2(a)において、本実施形態のナビゲーション装置1は、自車位置検出部2、記憶部3、表示部4、操作部5、制御部6を備えて構成され、更に、制御部6には、ソフトウェアで構成されたマップマッチング処理部7と推奨ルート探索部8とルート変更判定部9が備えられている。
自車位置検出部2は、GPS航法と自立航法とを組み合わせて自車位置等を検出し、検出結果を制御部6に供給する。すなわち、GPS(Global Positioning System)を利用したGPS航法によって自車位置を測位すると共に、ジャイロセンサーと車速センサー等の各種センサーによって計測する自車の旋回角θxと車速Vx等に基づいて自車位置を測量し、GPS航法で測位及び自立航法で測量した両者の自車位置を組み合わせて所定の補完処理を行うことで、より精度の高い自車位置Psを検出し、その検出した自車位置Psと旋回角θxと車速Vx等の車両の挙動に関するデータ(以下「挙動データ」と総称する)を制御部6に供給する。
記憶部3は、上述の道路データ及び地図データ等の時空間データ(SI:Spatial Information)を記憶するデータベースを有する他、制御部6とマップマッチング処理部7と推奨ルート探索部8とルート変更判定部9等が後述の所定の処理を行う際の作業領域ともなっている。
表示部4は、記憶部3に記憶されている地図データに基づいて地図画像を表示する他、推奨ルート探索部8でルート探索又はルート再探索された推奨ルートと、マップマッチング処理部7でマップマッチング処理された自車位置Pxとを、地図画像上の道路に合わせて表示する等のディスプレイ表示を行うことで、車両を目的地へ誘導する。
操作部5は、ユーザが現在位置から所望の(任意の)目的地までのルート探索等を指示するために設けられている。
制御部6は、ナビゲーション装置1の動作を集中管理するマイクロプロセッサ(MPU)やディジタルシグナルプロセッサ(DSP)を備えて構成されている。また、上述のMPUやDSPが所定のプログラムを実行することで、マップマッチング処理部7と推奨ルート探索部8とルート変更判定部9が実現されている。つまり、マップマッチング処理部7と推奨ルート探索部8とルート変更判定部9はソフトウェア化されている。
マップマッチング処理部7は、自車位置検出部2で検出される自車位置Psと旋回角θxと車速Vx等の挙動データを走行軌跡(車両の現在位置と、車両の走行方向である方角等)に変換し、その走行軌跡を含む地図上の所定範囲(領域)内に存在する道路の道路データを、記憶部3に記憶されている道路データから候補として検索し、候補の道路データのノードとリンクに対する走行軌跡を対比して、走行軌跡に適しているノードとリンクからなる最も有力な道路データを判定する。そして、自車位置Psをその最も有力な道路データのノードとリンク側へ移動補正することで地図上の道路に整合させ、その整合させた自車位置Pxを表示部4にディスプレイ表示させる。
つまり、マップマッチング処理部7は、自車位置検出部1で検出される自車位置Psを地図画像上の道路に整合する自車位置Pxに変換することで、地図画像上の道路から車両が外れてディスプレイ表示されないようにしている。
推奨ルート探索部8は、操作部5を介してユーザーから所望の目的地が入力されると、車両の現在位置(上述のマップマッチング処理された自車位置Px)から目的地までの推奨ルートを、記憶部3に記憶されている道路データを用いてルート探索し、表示部4に表示させる。また、推奨ルート探索部8は、ルート変更判定部9から供給されるルート変更判定の結果に従ってルート探索と同様のルート再探索を自動的に開始し、ルート再探索した目的地までの新たな推奨ルートを表示部4に表示させる。
ルート変更判定部9は、推奨ルートに沿って走行中の車両が分岐点Gにおいて推奨ルート以外の別ルートへルート変更する前兆か否かの判定処理を行い、そのルート変更判定の結果に従って、推奨ルート探索部8に新たな推奨ルートをルート再探索させる。なお、ルート変更判定部9の詳細な機能については、図3のフローチャートを参照して述べることとする。
次に、かかる構成を有するナビゲーション装置1の機能と動作について、図3のフローチャートと、図4(a)(b)の説明図を参照して説明する。なお、推奨ルート探索部8でルート探索又はルート再探索された推奨ルートに沿って走行中の車両が、分岐点Gにおいてその推奨ルートから逸脱して別ルートへルート変更する場合の機能と動作について主に説明する。
図3はルート変更判定部9の処理を表すフローチャートである。ルート変更判定部9には、推奨ルート探索部8で探索された推奨ルートのデータと、時々刻々と自車位置検出部2で検出される旋回角θxのデータとマップマッチング処理部7で生成される自車位置Pxのデータが入力される。
そして、ルート変更判定部9は、ステップST1において、自車位置Pxと推奨ルートを比較し、分岐点Gに車両が近付いたか否か判断する。ここで、自車位置Pxと、推奨ルートの構成要素であるノード及びリンクとを比較し、状態変化点のノードを判断対象から除外し、分岐点のノードを判断対象とし、自車位置Pxより前方に位置する分岐点Gのノードから所定の距離範囲(以下「分岐エリア」という)内に車両が進入したか否か判断する。
つまり、図2(b)に例示したように、状態変化点のノードは2つのリンクが連結し、3以上のリンクが連結していないことから、ルート変更が行われる可能性の無いノードであるとして判断対象から除外し、3以上のリンクが連結している分岐点のノードを、ルート変更が行われる可能性の有るノードとして判断対象にしている。
例えば、図4(a)に模式的に示すように、表示部4の地図画像上に点線で示す推奨ルートA,Bがディスプレイ表示されている場合、あるいは、図4(b)に模式的に示すように、表示部4の地図画像上に点線で示す推奨ルートA,Bがディスプレイ表示されている場合に、推奨ルートAに沿って走行中の車両が、分岐点Gの分岐エリア内に進入すると、分岐点Gに車両が近付いたと判断(ステップST1:“Yes”)する。
また、状態変化点のノードを判断対象から除外することにより、分岐点Gの分岐エリア内に車両が進入するまでの推奨ルートが曲がりくねった道であったとしても、推奨ルートに沿って道なりに走行しているとし、分岐点Gの分岐エリアに進入するまで、“No”と判断する。
更に、分岐エリアを分岐点G毎に算出すると共に、分岐点Gのノードに連結する車両の走行中のリンク(例えば、図4(a)(b)の場合には、分岐点Gのノードに連結する推奨ルートAのリンク)の距離より短い距離の範囲内で、且つ、分岐点Gの広さ(地図データから取得する交差点等の面積)より大きい範囲に設定、すなわち、少なくとも分岐点Gの広さに設定することで、分岐点Gに車両が近付いたことを高精度で判断する。
なお、図4(a)は、車両が分岐点Gに進入する際の推奨ルート(以下「進入推奨ルート」という)Aに対し、分岐点Gより先の推奨ルート(以下「進出推奨ルート」という)Bが右方向に向いている場合、図4(b)は、推奨ルートAに対して進出推奨ルートBが左方向に向いている場合を例示したものである。
上述したステップST1において、ルート変更判定部9が、分岐点Gに車両が近付いたと判断すると、次に、ステップST2に移行し、進入推奨ルートAの方角θaと、進出推奨ルートの方角θbとを、それぞれのリンクに基づいて検出する。これにより、図4(a)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して、右方向の進出推奨ルートBの方角θbを検出し、図4(b)の場合には、推奨ルートAの方角θaに対して、左方向の進出推奨ルートBの方角θbを検出することとなる。
次に、ステップST3において、ルート変更判定部9が、進出推奨ルートBの方角θbを基準としてその方角θbから180°までの狭角度(180°以内の角度)となる角度範囲を第1角度範囲W1に設定し、進出推奨ルートBの方角θbを包含しないで方角θaから180°までの角度範囲(180°となる角度範囲)を第2角度範囲W2に設定する。
つまり、図4(a)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して右方向に向いている進出推奨ルートBの方角θbから時計回り(右回り)で方角θr(180°)までの角度範囲を第1角度範囲W1に設定すると共に、進入推奨ルートAの方角θaから反時計回り(左回り)で方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定する。
図4(b)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して左方向に向いている進出推奨ルートBの方角θbから反時計回り(左回り)で方角θrまでの角度範囲を第1角度範囲W1に設定すると共に、進入推奨ルートAの方角θaから時計回り(右回り)で方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定する。
次に、ステップST4において、ルート変更判定部9が、車両の旋回角θxが第1角度範囲W1内において方角(θb+THD)を超えたか否か判断する。ここで、角度THDは、車両の旋回角を判断することが可能な最小角度(閾値)に決められている。
そして、図4(a)に例示するように、旋回角θxが方角θxbとなり、その方角θxbが方角θaから時計回りで方角(θb+THD)を超えた場合に、超えたと判断する。
また、図4(b)に例示するように、旋回角θxが方角θxbとなり、その方角θxbが方角θaから反時計回りで方角(θb+THD)を超えた場合に、超えたと判断する。
つまり、ステップST4では、車両が進出推奨ルートBの側へ旋回し、その方角θxが方角(θb+THD)を超える方角θxbとなったか否か調べる。そして、旋回角θxが第1角度範囲W1内において方角(θb+THD)を超えていると判断(“Yes”と判断)するとステップST10に移行して、推奨ルートから車両が逸脱してルート変更する前兆であると判定し、一方、超えていないと判断(“No”と判断)するとステップST5へ移行する。
次に、ステップST5では、ルート変更判定部9が、車両の旋回角θxが第2角度範囲W2内において方角(θa+THD)を超えたか否か判断する。そして、図4(a)に例示するように、旋回角θxが方角θxaとなり、その方角θxaが方角θaから反時計回りで方角(θa+THD)を超えた場合に、超えたと判断する。
また、図4(b)に例示するように、旋回角θxが方角θxaとなり、その方角θxaが方角θaから時計回りで方角(θa+THD)を超えた場合に、超えたと判断する。
つまり、テップST5では、車両が進出推奨ルートBの側ではなく逆方向へ旋回したか否か調べる。そして、旋回角θxが第2角度範囲W2内において方角(θa+THD)を超えていると判断(“Yes”と判断)するとステップST20に移行して、推奨ルートから車両が逸脱してルート変更する前兆であると判定し、一方、超えていないと判断(“No”と判断)するとステップST6へ移行する。
ステップST6では、ルート変更判定部9が、自車位置Pxと分岐点Gのノードの座標を比較し、車両が分岐点Gを通過したか否か判断する。そして、通過したと判断(“Yes”と判断)するとステップST30に移行し、通過していないと判断(“No”と判断)するとステップST4に戻って処理を繰り返す。
次に、ルート変更判定部9がステップST10でルート変更の前兆であると判定した場合の動作について説明すると、まず、ステップST10では、ルート変更判定部9が推奨ルート探索部8にルート変更判定の結果を指示し、次に、ステップST11において、第1角度範囲W1内であって現在の旋回角θxから方角θrまでの角度範囲を対象角度範囲WD1に設定し、対象角度範囲WD1内に存在する別ルートを、記憶部3に記憶されている道路データから検索する。
例えば、図4(a)に例示するように、車両が右旋回した結果、旋回角θxbから方角θrまでの対象角度範囲WD1内に1本の別ルートR1が存在していれば、その別ルートR1を検索し、また、複数存在していれば複数の別ルートを検索し、また、検索しても別ルートが存在していなければ検索を終了して、次のステップST12へ移行する。
また、図4(b)に例示するように、車両が左旋回した結果、旋回角θxbから方角θrまでの対象角度範囲WD1内に存在する別ルートL1が存在していれば、その別ルートL1を検索し、また、複数存在していれば複数の別ルートを検索し、また、検索しても別ルートが存在していなければ検索を終了して、次のステップST12へ移行する。
次に、ステップST12では、ルート変更判定部9が上述の検索を行った結果、別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST13に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST30へ移行する。
つまり、図4(a)(b)に例示したように、車両が右旋回又は左旋回した結果、対象角度範囲WD1内に別ルートR1又はL1が1本のみ存在していた場合に、ステップST13に移行する。
次に、ステップST13では、推奨ルート探索部8が、ルート変更判定部9からのルート変更判定の結果に従って、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するために、ルート再探索を開始する。つまり、図4(a)の場合には、別ルートR1を通る新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始し、図4(b)の場合には、別ルートL1を通る新たな推奨ルートを探索するために、ルート再探索を開始する。
次に、ステップST14では、制御部6が車両の自車位置Pxと分岐点Gのノードを対比し、分岐点Gを通過し別ルートへのルート変更が確定したか否か判断する。そして、ルート変更が確定したと判断すると、ステップST15に移行し、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
このように、ステップST10〜ST15の処理が行われると、車両が分岐点Gを通過する以前に、進出推奨ルートBの方角θbの側(対象角度範囲WD1内)に存在する別ルートへルート変更する前兆を予測してルート再探索を開始することから、ルート変更が確定した時点にいち早く、新たな推奨ルートを提示して誘導することが可能である。
次に、上述したように、ルート変更判定部9がステップST20でルート変更の前兆であると判定した場合について説明すると、まず、ステップST20では、ルート変更判定部9が推奨ルート探索部8にルート変更判定の結果を指示し、次に、ステップST21において、第2角度範囲W2内であって現在の旋回角θxから方角θrまでの角度範囲を対象角度範囲WD2に設定し、対象角度範囲WD2内に存在する別ルートを記憶部3に記憶されている道路データから検索する。
例えば、図4(a)に例示するように、進入推奨ルートAの方角θaに対して車両が左旋回し、その旋回角θxaから方角θrまでの対象角度範囲WD2内に別ルートL2,L1が存在していれば、その別ルートL2,L1を検索し、また、検索しても別ルートが存在していなければ検索を終了して、次のステップST12へ移行する。
また、図4(b)に例示するように、進入推奨ルートAの方角θaに対して車両が右旋回し、その旋回角θxaから方角θrまでの対象角度範囲WD2内に存在する別ルートR2,R1が存在していれば、その別ルートR2,R1を検索し、また、検索しても別ルートが存在していなければ検索を終了して、次のステップST12へ移行する。
そして、ステップST12において、別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST13に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST30へ移行する。
つまり、図4(a)(b)に例示したように、対象角度範囲WD2内に複数本の別ルートL2,L1が存在する場合や、複数本の別ルートR2,R1が存在する場合には、ステップST30へ移行し、また、別ルートが存在しない場合にも、ステップST30へ移行する。仮に、対象角度範囲WD2内に別ルートL1又はR1が1本のみ存在していた場合に、ステップST13に移行する。
そして、ステップST13では、推奨ルート探索部8が、ルート変更判定部9からのルート変更判定の結果に従って、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始し、更にステップST14では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を、制御部6が行う。そして、ルート変更が確定したと判断すると、ステップST15に移行し、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
このように、ステップST20,ST21,ST12〜ST15の処理が行われると、車両が分岐点Gを通過する以前に、進出推奨ルートBの方角θbとは逆の側(対象角度範囲WD2内)に存在する別ルートへルート変更する前兆を予測してルート再探索を開始することから、ルート変更が確定した時点にいち早く、新たな推奨ルートを提示して誘導することが可能である。
次に、上述したように、ルート変更判定部9がステップST6において、分岐点Gを車両が通過したと判断してステップST30に移行、また、ステップST12において、別ルートが1本のみではないと判断してステップST30に移行すると、ステップST30では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を制御部6が行い、ルート変更が確定すると、推奨ルート探索部8にルート再探索させる。つまり、ステップST30では、車両のルート変更の前兆を予測してルート再探索を行うのではなく、ルート変更が確定したときのその別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索する。そして、次にステップST15に移行して、その新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
以上に説明したように本実施形態のナビゲーション装置1によれば、分岐点Gの分岐エリア内に車両が進入すると、進入推奨ルートAの方角θaに対して180°逆方向の方角θrを設定すると共に、進出推奨ルートBの方角θbから方角θrまでの角度範囲を第1角度範囲W1、進出推奨ルートBの方角θbを包含しない進入推奨ルートAの方角θaから方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定し、車両の旋回角θxが第1角度範囲W1内において方角θbを超えた場合、又は、車両の旋回角θxが第2角度範囲W2内において方角θaを超えた場合に、推奨ルートを逸脱してルート変更する前兆であると判断してルート再探索を開始するので、車両が分岐点Gを通過する前にいち早くルート再探索を開始することができる。
つまり、本実施形態のナビゲーション装置1では、車両の旋回角θxが進入推奨ルートAの方角θaと進出推奨ルートBの方角θbとの成す角度範囲を除く角度範囲内の方角となることを検出して、ルート再探索を開始するので、車両が分岐点Gを通過する前にいち早くルート再探索を開始することができる。
そして、ルート変更が確定すると、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートに更新することができる。このため、ユーザに対して優れた利便性を提供等することが可能であり、ルート変更がなされてもシームレスな誘導を行うことができる。
特に、本実施形態のナビゲーション装置1では、車両の挙動を検出して、車両の推奨ルートからの逸脱(ルート変更の前兆)を予測するので、従来技術のようなレーン変更のための走行路を備えた特殊な道路を走行中か否かを判断する必要がない。このため、道路の形態等に依存することなく、早期にルート再探索を行って、シームレスな誘導を行うことができる。
また、本実施形態のナビゲーション装置1は、図3のフローチャートに示したステップST12において、別ルートを1本のみに絞ってから、ルート再探索を開始するので、CPUやDSPで形成されている推奨ルート探索部8の処理負担を軽減しつつ、車両のルート変更に対処することができる。
ただし、ステップST10又はST20で、複数の別ルートが検索された場合に、別ルートを1本のみに絞ることなく、ステップST13においてその複数の別ルートに対してルート再探索を開始し、ステップST14においてルート変更が確定したときにその確定した別ルートを通る新たな推奨ルートを有力候補として、ステップST15で更新表示してもよい。
このように、ステップST12の処理を省略して、複数の別ルートに対してルート再探索を開始することとすると、ステップST10又はST20での検索処理の際に、対象角度範囲WD1又はWD2の範囲内の別ルートに絞られていることから、別ルートを1本のみに絞る場合に比較して推奨ルート探索部8の処理負担が増すこととなっても、大幅な負担増加とはならない。このため、必ずしも、別ルートを1本のみに絞らなくともよい。
また、別ルートを1本のみに絞らずに検索し、検索した別ルートから一方通行の道路等の進入禁止の道路を除外して、残った別ルートに基づいて新たな推奨ルートをルート再探索してもよい。
また、ステップST11,ST21,ST12において、不可避的に別ルートを1本に絞ることができない場合には、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
例えば、図5(a)に例示するように、進出推奨ルートB1,B2,B3が急カーブで且つ別ルート(1)とほぼ並行に延在している場合に、車両が進出推奨ルートB1,B2,B3の方向へ旋回したときには、その進出推奨ルートB1,B2,B3と別ルート(1)を不可避的に区別できない場合を生じるため、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
そして、進出推奨ルートB1,B2,B3が急カーブであることを判断するためには、図5(h)に示すように、車両が走行中の進入推奨ルートの方角θaと進出推奨ルートB1との成す偏角θ1と、進出推奨ルートB1とB2との成す偏角θ2とを比較し、偏角θ1より偏角θ2が大きければ急カーブであると判断することができる。
また、図5(b)に例示するように、進出推奨ルートBが別ルート(1)とほぼ並行に延在している場合に、車両が進出推奨ルートBの方向へ旋回したときには、その進出推奨ルートBと別ルート(1)を不可避的に区別できない場合を生じるため、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
また、図5(c)に例示するように、進出推奨ルートBの他に、互いにほぼ並行に延在する別ルート(1)と別ルート(2)が存在する場合に、車両が別ルート(1)又は別ルート(2)の方向へ旋回したときには、別ルート(1)と別ルート(2)を不可避的に区別できない場合を生じるため、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
また、図5(d)に例示するように、進出推奨ルートBの他に、互いにほぼ並行に延在する別ルート(1)と別ルート(2)が存在する場合に、車両が進出推奨ルートBの方向へ旋回したときには、別ルート(1)と別ルート(2)を不可避的に区別できない場合を生じるため、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
なお、図5(e)に例示するように、進出推奨ルートB(つまり、B1,B2,B3…)が別ルート(1)とほぼ並行に延在している場合に、車両が別ルート(1)と平行ではない別ルート(2)の方向へ旋回するときには、進出推奨ルートB(つまり、B1,B2,B3…)を除いて別ルート(1)を検索することができるため、ステップST13のルート再探索を開始することとなる。
また、図5(f)に例示するように、進出推奨ルートBとほぼ平行な別ルート(1)が存在している場合に、車両が進出推奨ルートBの方向とは逆の方向へ旋回するときには、別ルート(2)を検索することができるため、ステップST13のルート再探索を開始することとなる。
このように、不可避的に別ルートを検索することができないときには、ステップST13のルート再探索を開始することを止めることで、複雑な処理を回避することが可能となり、CPUやDSPの処理負担を低減することができる等の効果が得られる。
次に、第1の実施例について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6において、図3と同一又は相当する処理を同一符号で示している。また、図7(a)(b)は、図4(a)(b)に対応させたものであり、同一又は相当する部分を同一符号で示している。
本実施例のナビゲーション装置は、図2(a)に示した構成と基本的に同様であるため、構成の説明を割愛し、図6のフローチャートと図7の説明図に基づいて、本実施例のナビゲーション装置の機能及び動作とルート再探索機能について説明する。
本実施例のナビゲーション装置は、基本的に図3のフローチャートに示したのと同様の処理を行う。ただし、図6のフローチャートに示すように、ステップST3A,ST4A,ST5Aの処理が異なっている。
図6において、ルート変更判定部9には、推奨ルート探索部8で探索された推奨ルートのデータと、時々刻々と自車位置検出部2で検出される旋回角θxのデータとマップマッチング処理部7で生成される自車位置Pxのデータが入力される。そして、ステップST1において、ルート変更判定部9が、自車位置Pxと推奨ルートを比較し、分岐点Gに車両が近付いたか否か判断する(図7(a)(b)参照)。
そして、ルート変更判定部9が、分岐点Gに車両が近付いたと判断すると、次に、ステップST2に移行し、進入推奨ルートAの方角θaと、進出推奨ルートの方角θbとを、それぞれのリンクに基づいて検出する。
次に、ステップST3Aにおいて、ルート変更判定部9が、方角θaを基準として所定角度の閾値θthを加えた方角(θa+θth)から180°までの角度範囲を第1角度範囲W1と第2角度範囲W2に設定する。
つまり、図7(a)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して、右方向に向いている進出推奨ルートBの方角θbを包含し、右方向の方角(θa+θth)から時計回り(右回り)で方角θr(180°)までの角度範囲を第1角度範囲W1に設定すると共に、左方向の方角(θa+θth)から反時計回り(左回り)で方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定する。図7(b)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して、左方向に向いている進出推奨ルートBの方角θbを包含し、左方向の方角(θa+θth)から反時計回り(左回り)で方角θrまでの角度範囲を第1角度範囲W1に設定すると共に、右方向の方角(θa+θth)から時計回り(右回り)で方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定する。
次に、ステップST4Aにおいて、ルート変更判定部9が、車両の旋回角θxが第1角度範囲W1内となったか否か判断する。つまり、ステップST4Aでは、車両が進出推奨ルートBの側へ旋回して、図7(a)(b)に例示するように、その旋回角θxが第1角度範囲W1内の方角θxbとなったか否か調べる。そして、旋回角θxが第1角度範囲W1内であると判断(“Yes”と判断)するとステップST10に移行して、ルート変更の前兆であると判定し、一方、旋回角θxが第1角度範囲W1内ではないと判断(“No”と判断)するとステップST5Aへ移行する。
次に、ステップST5Aでは、ルート変更判定部9が、車両の旋回角θxが第2角度範囲W2内にとなったか否か判断する。そして、図7(a)(b)に例示するように、旋回角θxが方角θxaとなり、その方角θxaが第2角度範囲W2内となったと判断すると、ステップST20に移行して、ルート変更の前兆であると判定する。一方、旋回角θxが第2角度範囲W2内ではないと判断(“No”と判断)するとステップST6へ移行する。
ステップST6では、ルート変更判定部9が、自車位置Pxと分岐点Gのノードの座標を比較し、車両が分岐点Gを通過したか否か判断する。そして、通過したと判断(“Yes”と判断)するとステップST30に移行し、通過していないと判断(“No”と判断)するとステップST4Aに戻って処理を繰り返す。
次に、ルート変更判定部9がステップST10でルート変更の前兆であると判定した場合の動作について説明すると、まず、ステップST10では、ルート変更判定部9が推奨ルート探索部8にルート変更判定の結果を指示し、次に、ステップST11において、第1角度範囲W1内であって現在の旋回角θxから方角θrまでの角度範囲を対象角度範囲WD1に設定し、対象角度範囲WD1内に存在する別ルート(進出推奨ルートBを除く)を、記憶部3に記憶されている道路データから検索して、次のステップST12へ移行する。
ステップST12では、ルート変更判定部9が、上述の検索した別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST13に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST30へ移行する。
つまり、図7(a)(b)に例示したように、進入推奨ルートAの方角θaに対して車両が右旋回又は左旋回した結果、対象角度範囲WD1内に別ルートR1又はL1が1本のみ存在していた場合に、ステップST13に移行する。
次に、ステップST13では、推奨ルート探索部8が、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始する。つまり、図7(a)の場合には、1本のみである別ルートR1を通る新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始し、図7(b)の場合には、1本のみである別ルートL1を通る新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始する。
次に、ステップST14では、制御部6が車両の自車位置Pxと分岐点Gのノードを対比し、分岐点Gを通過し別ルートへのルート変更が確定したか否か判断する。そして、ルート変更が確定したと判断すると、ステップST15に移行し、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
次に、上述したように、ルート変更判定部9がステップST20でルート変更の前兆であると判定した場合について説明すると、まず、ステップST20では、ルート変更判定部9が推奨ルート探索部8にルート変更判定の結果を指示し、次に、ステップST21において、第2角度範囲W2内であって現在の旋回角θxから方角θrまでの角度範囲を対象角度範囲WD2に設定し、対象角度範囲WD2内に存在する別ルートを記憶部3に記憶されている道路データから検索する。
そして、ステップST12において、別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST13に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST30へ移行する。
そして、ステップST13では、推奨ルート探索部8が、ルート変更判定部9からのルート変更判定の結果に従って、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始し、更にステップST14では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を、制御部6が行う。そして、ルート変更が確定したと判断すると、ステップST15に移行し、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
次に、上述したように、ルート変更判定部9がステップST6において、分岐点Gを車両が通過したと判断してステップST30に移行、また、ステップST12において、別ルートが1本のみではないと判断してステップST30に移行すると、ステップST30では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を制御部6が行い、ルート変更が確定すると、推奨ルート探索部8にルート再探索させる。つまり、ステップST30では、車両のルート変更の前兆を予測してルート再探索を行うのではなく、ルート変更が確定したときのその別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索する。そして、次にステップST15に移行して、その新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
以上に説明したように本実施例のナビゲーション装置によれば、分岐点Gの分岐エリア内に車両が進入すると、進入推奨ルートAの方角θaに対して180°逆方向の方角θrを設定すると共に、方角(θa+θth)から進出推奨ルートBの方角θbを包含して方角θrまでの角度範囲を第1角度範囲W1、方角(θa+θth)から進出推奨ルートBの方角θbを包含しない方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定し、車両の旋回角θxが第1角度範囲W1内となった場合、又は、車両の旋回角θxが第2角度範囲W2内となった場合に、推奨ルートから逸脱(ルート変更の前兆)であると判断してルート再探索を開始するので、車両が分岐点Gを通過する前にいち早くルート再探索を開始することができる。
つまり、車両の旋回角θxが進入推奨ルートAの方角θaを基準とする所定の閾値θthの角度範囲を除く角度範囲内であって、進入推奨ルートAの方角θaの側から進出推奨ルートBの方角θbを超える方角、又は、進出推奨ルートBの方角θbとは逆方向の方角となることを検出して、ルート再探索を開始するので、いち早くルート再探索を開始することができる。
そして、ルート変更が確定すると、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートに更新することができる。このため、ユーザに対して優れた利便性を提供等することが可能であり、ルート変更がなされてもシームレスな誘導を行うことができる。
特に、本実施形態のナビゲーション装置1では、車両の挙動を検出して、車両の推奨ルートから逸脱(ルート変更の前兆)を予測するため、従来技術のようなレーン変更のための走行路を備えた特殊な道路を走行中か否かを判断する必要がない。このため、道路の形態等に依存することなく、早期にルート再探索を行って、シームレスな誘導を行うことができる。
また、本実施例のナビゲーション装置は、図6のフローチャートに示したステップST12において、別ルートを1本のみに絞ってから、ルート再探索を開始するので、CPUやDSPで形成されている推奨ルート探索部8の処理負担を軽減しつつ、車両のルート変更に対処することができる。ただし、本実施例のナビゲーション装置においても、実施形態の場合と同様に、必ずしも、別ルートを1本のみに絞らなくともよい。また、別ルートを1本のみに絞らずに検索し、検索した別ルートから一方通行の道路等の進入禁止の道路を除外して、残った別ルートに基づいて新たな推奨ルートをルート再探索してもよい。
次に、第2の実施例について、図8乃至図10を参照して説明する。図8(a)は、本実施例のナビゲーション装置1の構成を示すブロック図、図8(b)〜(e)は、ナビゲーション装置1の機能を概説するための説明図、図9は、ナビゲーション装置1の機能及び動作を説明するためのフローチャート、図10は、ナビゲーション装置1の機能を説明するための説明図である。また、図8乃至図9において、図2乃至図7と同一又は相当する部分を同一符号で示している。
図8(a)において、本実施例のナビゲーション装置1は、上述した実施形態又は第1の実施例と同様の構成となっており(図2(a)参照)、自車位置検出部2、記憶部3、表示部4、操作部5、制御部6、マップマッチング部7、推奨ルート探索部8、ルート変更判定部9Aを備えて構成されている。
自車位置検出部2と記憶部3と表示部4、操作部5、制御部6、マップマッチング部7、推奨ルート探索部8は、実施形態又は第1の実施例と同様の機能を有している。ただし、本実施例のルート変更判定部9Aは、図2(a)に示したルート変更判定部9とは異なる機能を有することで、車両のルート変更の前兆を予測するようになっている。
以下、本実施例の特徴部分であるルート変更判定部9Aについて主に説明することとする。
まず、ルート変更判定部9Aの機能について概説する。
実施形態と第1の実施例のナビゲーション装置では、ルート変更判定部9が、分岐点の分岐エリア内に侵入した車両の旋回角に基づいて、車両の推奨ルートからの逸脱(車両のルート変更の前兆)を予測することとしている。
これに対し、本実施例のルート変更判定部9Aは、分岐点に連結している進入推奨ルートと進出推奨ルートと、分岐点に進入する車両の速度と、自車位置から分岐点までの距離との関係に基づいて、車両の推奨ルートからの逸脱(ルート変更の前兆)を判定する。
例えば、図8(b)に例示するように、分岐点Gに連結している進入推奨ルートAの方角と進出推奨ルートBの方角がほぼ同じとなっている場合や、図8(c)に例示するように、分岐点Gに連結している進入推奨ルートAに対し、進出推奨ルートB1,B2,B3が湾曲したカーブとなっている場合や、図8(d)(e)に例示するように、分岐点Gに連結している進入推奨ルートAに対し、進出推奨ルートBが右折又は左折のルートとなっている場合等において、分岐点Gに進入する車両が別ルートへルート変更しようとしているか否かの判定を、進入推奨ルートと進出推奨ルートと、分岐点に進入する車両の速度と、自車位置から分岐点までの距離との関係に基づいて行うようになっている。
次に、図9のフローチャートを参照して、ナビゲーション装置1の機能(主にルート変更判定部9Aの機能)と動作について詳述する。また、図8(b)〜(e)を参照して説明する。
図9において、ルート変更判定部9には、推奨ルート探索部8で探索された推奨ルートのデータと、時々刻々と自車位置検出部2で検出される旋回角θxのデータとマップマッチング処理部7で生成される自車位置Pxのデータが入力される。そして、ステップST100において、ルート変更判定部9が、自車位置Pxと推奨ルートを比較し、分岐点Gに車両が近付いたか否か判断する。ここで、自車位置Pxが分岐点Gから予め決められた所定の距離となると、分岐点Gに車両が近付いたと判断する。
そして、ルート変更判定部9が、分岐点Gに車両が近付いたと判断すると、ステップST200に移行し、分岐点Gに連結している進入推奨ルートAの方角θaと進出推奨ルートBの方角θbとを、それぞれのリンクに基づいて検出する。
次に、ステップST300において、ルート変更判定部9が、方角θbを基準(0°)として、方角θbに対する方角θaの偏角(θa−θb)と所定の閾値角度Δθとを比較し、偏角(θa−θb)が閾値角度Δθを超える角度であるか否か判断する。ここで、閾値角度Δθは、進入推奨ルートの方角θaに対して進出推奨ルートの方角θbが小さい場合を排除するために設定されており、図8(b)に例示したように、進入推奨ルートAと進出推奨ルートBの方角がほぼ同じ場合や、図8(c)に例示したように、進入推奨ルートAに対して進出推奨ルートB1,B2,B3が緩やかにカーブしている場合に、上述の偏角(θa−θb)を閾値角度Δθより小さな角度として判定することができるように、予め閾値角度Δθが決められている。
より具体的には、例えば、閾値角度Δθを45°程度に決めておくことで、偏角(θa−θb)が閾値角度Δθより小さな角度のときには、図8(b)(c)に例示したように、進入推奨ルートAに対し進出推奨ルートBがほぼ同じ、あるいは、緩やかにカーブしていると判定することが可能となっている。
そして、ステップST300において偏角(θa−θb)が閾値角度Δθを超える角度であると判断(“Yes”と判断)すると、ステップST400に移行し、偏角(θa−θb)が閾値角度Δθを超えない小さな角度であると判断(“No”と判断)すると処理を終了し、再びステップST100から再スタートする。
次に、ステップST400では、ルート変更判定部9が、自車位置検出部2から供給される車速Vxに基づいて、分岐点Gを通って進出推奨ルートへ移動するために必要となる距離(以下「必要距離」という)DSを、記憶部3に予め記憶されている距離換算データから検索する。
つまり、図8(e)(f)に例示したように、分岐点Gに連結している進出推奨ルートBが、進入推奨ルートAに対して右折又は左折するためのルートであった場合、車両が高速で進入推奨ルートAを走行中のときほど、減速等を行う必要が生じるため、自車位置Pxから分岐点Gまでの必要距離DSが長くなる。
そこで、図10に例示する、車速に対する右折又は左折時に必要な距離との関係を示す距離換算データを車速Vxに基づいて記憶部5から検索し、その車速Vxに対する必要距離DSを取得する。
なお、図10は、進入推奨ルートAに対して進出推奨ルートBが約90°で右折又は左折しているルートの場合を例示したものであり、90°以外の他の角度の場合における車速に対する右折又は左折時に必要な距離を示す距離換算データも記憶部3に予め記憶されている。そして、進入推奨ルートAに対する進出推奨ルートBの角度が90°以外の場合には、その90°以外の距離換算データを検索して車速Vxに対する必要距離DSを取得する。
次に、ステップST500において、ルート変更判定部9が、マップマッチング処理部7から供給される自車位置Pxと、分岐点Gのノードの情報(座標情報)に基づいて、自車位置Pxから分岐点Gまでの実際の距離DSRを算出して上述の取得した必要距離DSと比較し、距離DSRが必要距離DSより短いか否か判断する。そして、実際の距離DSRが必要距離DSより短い場合にはステップST700に移行し、実際の距離DSRが必要距離DSより長い場合にはステップST600に移行して、車両が分岐点Gを通過するまで、ステップST400に戻って処理を繰り返す。
つまり、ルート変更判定部9は、ステップST500において、実際の距離DSRが必要距離DSより短いか否かを判断することで、車両が分岐点Gで右折又は左折することができない速度で走行中であるか否かを判断するのと等価な処理を行っている。
次に、ステップST700では、ルート変更判定部9が、進出推奨ルートBと、車速Vxで走行したのでは右折又は左折することができないルートを除いて、分岐点Gに連結している別ルートを記憶部3に記憶されている道路データから検索して、次のステップST800へ移行する。
ステップST800では、ルート変更判定部9が、検索された別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST900に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST1000へ移行する。
次に、ステップST900では、推奨ルート探索部8が、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するために、ルート再探索を開始する。更に、制御部6が車両の自車位置Pxと分岐点Gのノードを対比し、分岐点Gを通過し別ルートへのルート変更が確定したか否か判断する。そして、ルート変更が確定したと判断すると、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST100に戻って処理が繰り返される。
次に、上述したステップST600又はST800からステップST1000に移行すると、ステップST1000では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を制御部6が行い、ルート変更が確定すると、推奨ルート探索部8にルート再探索させる。つまり、車両の推奨ルートからの逸脱(ルート変更の前兆)を予測してルート再探索を行うのではなく、ルート変更が確定したときのその別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索する。そして、その新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST100に戻って処理が繰り返される。
以上に説明したように、本実施例のナビゲーション装置1によれば、車両が進入推奨ルートA側から速度Vxで分岐点Gに進入して右折又は左折する進出推奨ルートBを通るために必要な分岐点Gまでの必要距離DSと、自車位置Pxから分岐点Gまでの実際の距離DSRとを対比し、必要距離DSに較べて実際の距離DSRが短い場合には、車両が右折又は左折する進出推奨ルートBを通らないとして、いち早くルート再探索を開始することが可能である。
例えば、必要距離DSに較べて実際の距離DSRが短い場合には、現在の車速Vxで進行することが可能な別ルート(図8(e)(f)に例示する直進ルートC等)や緩やかに湾曲していて道なりに進行することが可能な別ルート等へルート変更するものとして、それらの別ルートに基づいて、いち早くルート再探索を開始することができる。
本発明は、ルート再探索機能を有するナビゲーション装置とナビゲーション方法に関する。
従来の車載用ナビゲーション装置には、ユーザが指定した任意の目的地までの推奨ルートを探索して誘導中に、その推奨ルートから車両が逸脱してルート変更すると、変更ルートを通って目的地まで誘導するための新たな推奨ルートを自動的に再探索するルート再探索機能(オートリルート機能)が備えられている(特許文献1、特許文献2を参照)。
特許文献1のナビゲーション装置では、推奨ルートからの車両のルート変更を検出すると、新たな推奨ルートをルート再探索して記憶装置に記憶しておき、その後、ユーザからルート再探索の指示がなされた場合に、記憶装置に記憶しておいた新たな推奨ルートを提示して誘導することとしている。
特許文献2のナビゲーション装置では、推奨ルートに沿って走行中の車両が分岐点(例えば交差点)より手前でレーン変更し、変更したレーンを所定時間以上走行すると、推奨ルートからルート変更しようとしていると判断してルート再探索を開始し、推奨ルートからルート変更したことが確定的となった後に、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートを提示して誘導する。
また、特許文献2に記載されているルート再探索機能では、分岐点より手前で、車両のウインカー信号を所定時間以上検出すると、推奨ルートからルート変更して右折又は左折しようとしていると判断してルート再探索を開始し、推奨ルートからルート変更したことが確定的となった後、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートを提示して誘導することも提案されている。
特開平9−152352号公報
特開2004−61356号公報
ところで、特許文献1のナビゲーション装置は、図1(a)のタイムチャートで表されるように、推奨ルートから車両が逸脱しルート変更したことが確定的となってからルート再探索を開始し、ユーザからルート再探索の指示がなされるまでの期間内に、新たな推奨ルートを準備しておこうとするものである。しかし、ユーザからルート再探索の指示がなされるまでは旧い推奨ルートが継続して提示されてしまうこととなり、その旧い推奨ルートをユーザ自身が認識してルート再探索の指示操作をしない限り、新たな推奨ルートが提示されないこととなることから、利便性等を減ずるという問題がある。
特許文献2のナビゲーション装置は、図1(b)のタイムチャートで表されるように、推奨ルートからの車両のルート変更が確定的となる以前に、車両のレーン変更又はウインカー信号を検出してルート再探索を開始し、推奨ルートからの車両のルート変更が確定した後、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートを提示してシームレスに誘導する。
ところが、特許文献2に記載されているルート再探索機能では、レーン変更用の走行路が設けられている道路に依存するため、レーン変更用の走行路が設けられていない道路では、推奨ルートから車両がルート変更しようとしているか否かの判断をすることが困難となり、効果的なルート再探索を行うことが困難となる。
また、ウインカー信号を検出してルート再探索を開始することとしているが、実際には、ウインカー信号は車両自体に設けられている進行方向指示装置内のみで扱われるものであるため、ウインカー信号がナビゲーション装置等の他の電子機器に出力されることはない。そのため、ナビゲーション装置がウインカー信号に基づいてルート再探索を開始するという技術は実施することができないという問題がある。
本発明は、こうした従来の問題に鑑みてなされたものであり、推奨ルートからの車両のルート変更の前兆を予測して早期にルート再探索を行う新規なルート再探索機能を備えたナビゲーション装置とナビゲーション方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、分岐点に連結する進入推奨ルートと進出推奨ルートによって車両を誘導している際、前記進入推奨ルートから前記分岐点に向けて走行中の車両が前記進出推奨ルートに対してルートを逸脱すると、別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索するナビゲーション装置であって、前記車両の旋回角が前記進入推奨ルートの方角と前記進出推奨ルートの方角との成す角度範囲を除く角度範囲内の方角となることを検出して、前記ルート再探索を開始するルート変更判定手段、を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、分岐点に連結する進入推奨ルートと進出推奨ルートによって車両を誘導している際、前記進入推奨ルートから前記分岐点に向けて走行中の車両が前記進出推奨ルートに対してルートを逸脱すると、別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索するナビゲーション装置であって、前記車両の旋回角が前記進入推奨ルートの方角を基準とする所定の閾値角度範囲を除く角度範囲内であって、前記進入推奨ルートの方角の側から前記進出推奨ルートの方角を超える方角、又は、前記進出推奨ルートの方角とは逆方向の方角となることを検出して、前記ルート再探索を開始するルート変更判定手段、を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、分岐点に連結する進入推奨ルートと進出推奨ルートによって車両を誘導している際、前記進入推奨ルートから前記分岐点に向けて走行中の車両が前記進出推奨ルートに対してルートを逸脱すると、別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索するナビゲーション方法であって、前記車両の旋回角が前記進入推奨ルートの方角と前記進出推奨ルートの方角との成す角度範囲を除く角度範囲内の方角となることを検出して、前記ルート再探索を開始するルート変更判定工程、を有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、分岐点に連結する進入推奨ルートと進出推奨ルートによって車両を誘導している際、前記進入推奨ルートから前記分岐点に向けて走行中の車両が前記進出推奨ルートに対してルートを逸脱すると、別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索するナビゲーション方法であって、前記車両の旋回角が前記進入推奨ルートの方角を基準とする所定の閾値角度範囲を除く角度範囲内であって、前記進入推奨ルートの方角の側から前記進出推奨ルートの方角を超える方角、又は、前記進出推奨ルートの方角とは逆方向の方角となることを検出して、前記ルート再探索を開始するルート変更判定工程、を有することを特徴とする。
従来のナビゲーション装置におけるルート再探索機能を説明するための説明図である。
図2(a)は、実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図、図2(b)は、道路データのエンティティについて説明するための説明図である。
図2(a)に示したナビゲーション装置の機能と動作を説明するためのフローチャートである。
図2(a)に示したナビゲーション装置の機能と動作を説明するための説明図である。
実施形態に係るナビゲーション装置の機能を更に説明するための説明図である。
第1の実施例に係るナビゲーション装置の機能及び動作を説明するためのフローチャートである。
第1の実施例に係るナビゲーション装置の機能を更に説明するための説明図である。
図8(a)は、第2の実施例に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図、図8(b)ないし(e)は、機能を概説するための説明図である。
第2の実施例に係るナビゲーション装置の機能及び動作を説明するためのフローチャートである。
更に、第2の実施例に係るナビゲーション装置の機能を説明するための説明図である。
本発明の好適な実施形態について、図2乃至図5を参照して説明する 。
まず、図2(b)を参照して、本実施形態のナビゲーション装置がルート探索とルート再探索等を行う際に用いる道路データのエンティティについて説明することとする。
道路データは、地図上の道路の形状や方角等が変化する状態変化点や分岐点(交差点等)で連結されるリンクと、リンクの両端の座標点を示すノードとを、主たるエンティティ(基本データ要素)として構成されており、状態変化点では2つのリンクが同一のノードを共有して連結され、分岐点(交差点等)では3以上のリンクが同一のノードを共有して連結され、連結されたリンクの列からなる座標列で道路を表現するようになっている。したがって、2つのリンクを連結するノードが状態変化点、3以上のリンクを連結するノードが分岐点を表すようになっている。
そして、本実施形態のナビゲーション装置では、図2(a)の記憶部3に記憶されている道路データを用いて、車両を目的地へ誘導するための推奨ルートを探索等するようになっている。
次に、図2(a)において、本実施形態のナビゲーション装置1は、自車位置検出部2、記憶部3、表示部4、操作部5、制御部6を備えて構成され、更に、制御部6には、ソフトウェアで構成されたマップマッチング処理部7と推奨ルート探索部8とルート変更判定部9が備えられている。
自車位置検出部2は、GPS航法と自立航法とを組み合わせて自車位置等を検出し、検出結果を制御部6に供給する。すなわち、GPS(Global Positioning System)を利用したGPS航法によって自車位置を測位すると共に、ジャイロセンサーと車速センサー等の各種センサーによって計測する自車の旋回角θxと車速Vx等に基づいて自車位置を測量し、GPS航法で測位及び自立航法で測量した両者の自車位置を組み合わせて所定の補完処理を行うことで、より精度の高い自車位置Psを検出し、その検出した自車位置Psと旋回角θxと車速Vx等の車両の挙動に関するデータ(以下「挙動データ」と総称する)を制御部6に供給する。
記憶部3は、上述の道路データ及び地図データ等の時空間データ(SI:Spatial Information)を記憶するデータベースを有する他、制御部6とマップマッチング処理部7と推奨ルート探索部8とルート変更判定部9等が後述の所定の処理を行う際の作業領域ともなっている。
表示部4は、記憶部3に記憶されている地図データに基づいて地図画像を表示する他、推奨ルート探索部8でルート探索又はルート再探索された推奨ルートと、マップマッチング処理部7でマップマッチング処理された自車位置Pxとを、地図画像上の道路に合わせて表示する等のディスプレイ表示を行うことで、車両を目的地へ誘導する。
操作部5は、ユーザが現在位置から所望の(任意の)目的地までのルート探索等を指示するために設けられている。
制御部6は、ナビゲーション装置1の動作を集中管理するマイクロプロセッサ(MPU)やディジタルシグナルプロセッサ(DSP)を備えて構成されている。また、上述のMPUやDSPが所定のプログラムを実行することで、マップマッチング処理部7と推奨ルート探索部8とルート変更判定部9が実現されている。つまり、マップマッチング処理部7と推奨ルート探索部8とルート変更判定部9はソフトウェア化されている。
マップマッチング処理部7は、自車位置検出部2で検出される自車位置Psと旋回角θxと車速Vx等の挙動データを走行軌跡(車両の現在位置と、車両の走行方向である方角等)に変換し、その走行軌跡を含む地図上の所定範囲(領域)内に存在する道路の道路データを、記憶部3に記憶されている道路データから候補として検索し、候補の道路データのノードとリンクに対する走行軌跡を対比して、走行軌跡に適しているノードとリンクからなる最も有力な道路データを判定する。そして、自車位置Psをその最も有力な道路データのノードとリンク側へ移動補正することで地図上の道路に整合させ、その整合させた自車位置Pxを表示部4にディスプレイ表示させる。
つまり、マップマッチング処理部7は、自車位置検出部1で検出される自車位置Psを地図画像上の道路に整合する自車位置Pxに変換することで、地図画像上の道路から車両が外れてディスプレイ表示されないようにしている。
推奨ルート探索部8は、操作部5を介してユーザーから所望の目的地が入力されると、車両の現在位置(上述のマップマッチング処理された自車位置Px)から目的地までの推奨ルートを、記憶部3に記憶されている道路データを用いてルート探索し、表示部4に表示させる。また、推奨ルート探索部8は、ルート変更判定部9から供給されるルート変更判定の結果に従ってルート探索と同様のルート再探索を自動的に開始し、ルート再探索した目的地までの新たな推奨ルートを表示部4に表示させる。
ルート変更判定部9は、推奨ルートに沿って走行中の車両が分岐点Gにおいて推奨ルート以外の別ルートへルート変更する前兆か否かの判定処理を行い、そのルート変更判定の結果に従って、推奨ルート探索部8に新たな推奨ルートをルート再探索させる。なお、ルート変更判定部9の詳細な機能については、図3のフローチャートを参照して述べることとする。
次に、かかる構成を有するナビゲーション装置1の機能と動作について、図3のフローチャートと、図4(a)(b)の説明図を参照して説明する。なお、推奨ルート探索部8でルート探索又はルート再探索された推奨ルートに沿って走行中の車両が、分岐点Gにおいてその推奨ルートから逸脱して別ルートへルート変更する場合の機能と動作について主に説明する。
図3はルート変更判定部9の処理を表すフローチャートである。ルート変更判定部9には、推奨ルート探索部8で探索された推奨ルートのデータと、時々刻々と自車位置検出部2で検出される旋回角θxのデータとマップマッチング処理部7で生成される自車位置Pxのデータが入力される。
そして、ルート変更判定部9は、ステップST1において、自車位置Pxと推奨ルートを比較し、分岐点Gに車両が近付いたか否か判断する。ここで、自車位置Pxと、推奨ルートの構成要素であるノード及びリンクとを比較し、状態変化点のノードを判断対象から除外し、分岐点のノードを判断対象とし、自車位置Pxより前方に位置する分岐点Gのノードから所定の距離範囲(以下「分岐エリア」という)内に車両が進入したか否か判断する。
つまり、図2(b)に例示したように、状態変化点のノードは2つのリンクが連結し、3以上のリンクが連結していないことから、ルート変更が行われる可能性の無いノードであるとして判断対象から除外し、3以上のリンクが連結している分岐点のノードを、ルート変更が行われる可能性の有るノードとして判断対象にしている。
例えば、図4(a)に模式的に示すように、表示部4の地図画像上に点線で示す推奨ルートA,Bがディスプレイ表示されている場合、あるいは、図4(b)に模式的に示すように、表示部4の地図画像上に点線で示す推奨ルートA,Bがディスプレイ表示されている場合に、推奨ルートAに沿って走行中の車両が、分岐点Gの分岐エリア内に進入すると、分岐点Gに車両が近付いたと判断(ステップST1:“Yes”)する。
また、状態変化点のノードを判断対象から除外することにより、分岐点Gの分岐エリア内に車両が進入するまでの推奨ルートが曲がりくねった道であったとしても、推奨ルートに沿って道なりに走行しているとし、分岐点Gの分岐エリアに進入するまで、“No”と判断する。
更に、分岐エリアを分岐点G毎に算出すると共に、分岐点Gのノードに連結する車両の走行中のリンク(例えば、図4(a)(b)の場合には、分岐点Gのノードに連結する推奨ルートAのリンク)の距離より短い距離の範囲内で、且つ、分岐点Gの広さ(地図データから取得する交差点等の面積)より大きい範囲に設定、すなわち、少なくとも分岐点Gの広さに設定することで、分岐点Gに車両が近付いたことを高精度で判断する。
なお、図4(a)は、車両が分岐点Gに進入する際の推奨ルート(以下「進入推奨ルート」という)Aに対し、分岐点Gより先の推奨ルート(以下「進出推奨ルート」という)Bが右方向に向いている場合、図4(b)は、推奨ルートAに対して進出推奨ルートBが左方向に向いている場合を例示したものである。
上述したステップST1において、ルート変更判定部9が、分岐点Gに車両が近付いたと判断すると、次に、ステップST2に移行し、進入推奨ルートAの方角θaと、進出推奨ルートの方角θbとを、それぞれのリンクに基づいて検出する。これにより、図4(a)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して、右方向の進出推奨ルートBの方角θbを検出し、図4(b)の場合には、推奨ルートAの方角θaに対して、左方向の進出推奨ルートBの方角θbを検出することとなる。
次に、ステップST3において、ルート変更判定部9が、進出推奨ルートBの方角θbを基準としてその方角θbから180°までの狭角度(180°以内の角度)となる角度範囲を第1角度範囲W1に設定し、進出推奨ルートBの方角θbを包含しないで方角θaから180°までの角度範囲(180°となる角度範囲)を第2角度範囲W2に設定する。
つまり、図4(a)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して右方向に向いている進出推奨ルートBの方角θbから時計回り(右回り)で方角θr(180°)までの角度範囲を第1角度範囲W1に設定すると共に、進入推奨ルートAの方角θaから反時計回り(左回り)で方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定する。
図4(b)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して左方向に向いている進出推奨ルートBの方角θbから反時計回り(左回り)で方角θrまでの角度範囲を第1角度範囲W1に設定すると共に、進入推奨ルートAの方角θaから時計回り(右回り)で方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定する。
次に、ステップST4において、ルート変更判定部9が、車両の旋回角θxが第1角度範囲W1内において方角(θb+THD)を超えたか否か判断する。ここで、角度THDは、車両の旋回角を判断することが可能な最小角度(閾値)に決められている。
そして、図4(a)に例示するように、旋回角θxが方角θxbとなり、その方角θxbが方角θaから時計回りで方角(θb+THD)を超えた場合に、超えたと判断する。
また、図4(b)に例示するように、旋回角θxが方角θxbとなり、その方角θxbが方角θaから反時計回りで方角(θb+THD)を超えた場合に、超えたと判断する。
つまり、ステップST4では、車両が進出推奨ルートBの側へ旋回し、その方角θxが方角(θb+THD)を超える方角θxbとなったか否か調べる。そして、旋回角θxが第1角度範囲W1内において方角(θb+THD)を超えていると判断(“Yes”と判断)するとステップST10に移行して、推奨ルートから車両が逸脱してルート変更する前兆であると判定し、一方、超えていないと判断(“No”と判断)するとステップST5へ移行する。
次に、ステップST5では、ルート変更判定部9が、車両の旋回角θxが第2角度範囲W2内において方角(θa+THD)を超えたか否か判断する。そして、図4(a)に例示するように、旋回角θxが方角θxaとなり、その方角θxaが方角θaから反時計回りで方角(θa+THD)を超えた場合に、超えたと判断する。
また、図4(b)に例示するように、旋回角θxが方角θxaとなり、その方角θxaが方角θaから時計回りで方角(θa+THD)を超えた場合に、超えたと判断する。
つまり、ステップST5では、車両が進出推奨ルートBの側ではなく逆方向へ旋回したか否か調べる。そして、旋回角θxが第2角度範囲W2内において方角(θa+THD)を超えていると判断(“Yes”と判断)するとステップST20に移行して、推奨ルートから車両が逸脱してルート変更する前兆であると判定し、一方、超えていないと判断(“No”と判断)するとステップST6へ移行する。
ステップST6では、ルート変更判定部9が、自車位置Pxと分岐点Gのノードの座標を比較し、車両が分岐点Gを通過したか否か判断する。そして、通過したと判断(“Yes”と判断)するとステップST30に移行し、通過していないと判断(“No”と判断)するとステップST4に戻って処理を繰り返す。
次に、ルート変更判定部9がステップST10でルート変更の前兆であると判定した場合の動作について説明すると、まず、ステップST10では、ルート変更判定部9が推奨ルート探索部8にルート変更判定の結果を指示し、次に、ステップST11において、第1角度範囲W1内であって現在の旋回角θxから方角θrまでの角度範囲を対象角度範囲WD1に設定し、対象角度範囲WD1内に存在する別ルートを、記憶部3に記憶されている道路データから検索する。
例えば、図4(a)に例示するように、車両が右旋回した結果、旋回角θxbから方角θrまでの対象角度範囲WD1内に1本の別ルートR1が存在していれば、その別ルートR1を検索し、また、複数存在していれば複数の別ルートを検索し、また、検索しても別ルートが存在していなければ検索を終了して、次のステップST12へ移行する。
また、図4(b)に例示するように、車両が左旋回した結果、旋回角θxbから方角θrまでの対象角度範囲WD1内に存在する別ルートL1が存在していれば、その別ルートL1を検索し、また、複数存在していれば複数の別ルートを検索し、また、検索しても別ルートが存在していなければ検索を終了して、次のステップST12へ移行する。
次に、ステップST12では、ルート変更判定部9が上述の検索を行った結果、別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST13に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST30へ移行する。
つまり、図4(a)(b)に例示したように、車両が右旋回又は左旋回した結果、対象角度範囲WD1内に別ルートR1又はL1が1本のみ存在していた場合に、ステップST13に移行する。
次に、ステップST13では、推奨ルート探索部8が、ルート変更判定部9からのルート変更判定の結果に従って、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するために、ルート再探索を開始する。つまり、図4(a)の場合には、別ルートR1を通る新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始し、図4(b)の場合には、別ルートL1を通る新たな推奨ルートを探索するために、ルート再探索を開始する。
次に、ステップST14では、制御部6が車両の自車位置Pxと分岐点Gのノードを対比し、分岐点Gを通過し別ルートへのルート変更が確定したか否か判断する。そして、ルート変更が確定したと判断すると、ステップST15に移行し、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
このように、ステップST10〜ST15の処理が行われると、車両が分岐点Gを通過する以前に、進出推奨ルートBの方角θbの側(対象角度範囲WD1内)に存在する別ルートへルート変更する前兆を予測してルート再探索を開始することから、ルート変更が確定した時点にいち早く、新たな推奨ルートを提示して誘導することが可能である。
次に、上述したように、ルート変更判定部9がステップST20でルート変更の前兆であると判定した場合について説明すると、まず、ステップST20では、ルート変更判定部9が推奨ルート探索部8にルート変更判定の結果を指示し、次に、ステップST21において、第2角度範囲W2内であって現在の旋回角θxから方角θrまでの角度範囲を対象角度範囲WD2に設定し、対象角度範囲WD2内に存在する別ルートを記憶部3に記憶されている道路データから検索する。
例えば、図4(a)に例示するように、進入推奨ルートAの方角θaに対して車両が左旋回し、その旋回角θxaから方角θrまでの対象角度範囲WD2内に別ルートL2,L1が存在していれば、その別ルートL2,L1を検索し、また、検索しても別ルートが存在していなければ検索を終了して、次のステップST12へ移行する。
また、図4(b)に例示するように、進入推奨ルートAの方角θaに対して車両が右旋回し、その旋回角θxaから方角θrまでの対象角度範囲WD2内に存在する別ルートR2,R1が存在していれば、その別ルートR2,R1を検索し、また、検索しても別ルートが存在していなければ検索を終了して、次のステップST12へ移行する。
そして、ステップST12において、別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST13に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST30へ移行する。
つまり、図4(a)(b)に例示したように、対象角度範囲WD2内に複数本の別ルートL2,L1が存在する場合や、複数本の別ルートR2,R1が存在する場合には、ステップST30へ移行し、また、別ルートが存在しない場合にも、ステップST30へ移行する。仮に、対象角度範囲WD2内に別ルートL1又はR1が1本のみ存在していた場合に、ステップST13に移行する。
そして、ステップST13では、推奨ルート探索部8が、ルート変更判定部9からのルート変更判定の結果に従って、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始し、更にステップST14では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を、制御部6が行う。そして、ルート変更が確定したと判断すると、ステップST15に移行し、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
このように、ステップST20,ST21,ST12〜ST15の処理が行われると、車両が分岐点Gを通過する以前に、進出推奨ルートBの方角θbとは逆の側(対象角度範囲WD2内)に存在する別ルートへルート変更する前兆を予測してルート再探索を開始することから、ルート変更が確定した時点にいち早く、新たな推奨ルートを提示して誘導することが可能である。
次に、上述したように、ルート変更判定部9がステップST6において、分岐点Gを車両が通過したと判断してステップST30に移行、また、ステップST12において、別ルートが1本のみではないと判断してステップST30に移行すると、ステップST30では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を制御部6が行い、ルート変更が確定すると、推奨ルート探索部8にルート再探索させる。つまり、ステップST30では、車両のルート変更の前兆を予測してルート再探索を行うのではなく、ルート変更が確定したときのその別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索する。そして、次にステップST15に移行して、その新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
以上に説明したように本実施形態のナビゲーション装置1によれば、分岐点Gの分岐エリア内に車両が進入すると、進入推奨ルートAの方角θaに対して180°逆方向の方角θrを設定すると共に、進出推奨ルートBの方角θbから方角θrまでの角度範囲を第1角度範囲W1、進出推奨ルートBの方角θbを包含しない進入推奨ルートAの方角θaから方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定し、車両の旋回角θxが第1角度範囲W1内において方角θbを超えた場合、又は、車両の旋回角θxが第2角度範囲W2内において方角θaを超えた場合に、推奨ルートを逸脱してルート変更する前兆であると判断してルート再探索を開始するので、車両が分岐点Gを通過する前にいち早くルート再探索を開始することができる。
つまり、本実施形態のナビゲーション装置1では、車両の旋回角θxが進入推奨ルートAの方角θaと進出推奨ルートBの方角θbとの成す角度範囲を除く角度範囲内の方角となることを検出して、ルート再探索を開始するので、車両が分岐点Gを通過する前にいち早くルート再探索を開始することができる。
そして、ルート変更が確定すると、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートに更新することができる。このため、ユーザに対して優れた利便性を提供等することが可能であり、ルート変更がなされてもシームレスな誘導を行うことができる。
特に、本実施形態のナビゲーション装置1では、車両の挙動を検出して、車両の推奨ルートからの逸脱(ルート変更の前兆)を予測するので、従来技術のようなレーン変更のための走行路を備えた特殊な道路を走行中か否かを判断する必要がない。このため、道路の形態等に依存することなく、早期にルート再探索を行って、シームレスな誘導を行うことができる。
また、本実施形態のナビゲーション装置1は、図3のフローチャートに示したステップST12において、別ルートを1本のみに絞ってから、ルート再探索を開始するので、CPUやDSPで形成されている推奨ルート探索部8の処理負担を軽減しつつ、車両のルート変更に対処することができる。
ただし、ステップST10又はST20で、複数の別ルートが検索された場合に、別ルートを1本のみに絞ることなく、ステップST13においてその複数の別ルートに対してルート再探索を開始し、ステップST14においてルート変更が確定したときにその確定した別ルートを通る新たな推奨ルートを有力候補として、ステップST15で更新表示してもよい。
このように、ステップST12の処理を省略して、複数の別ルートに対してルート再探索を開始することとすると、ステップST10又はST20での検索処理の際に、対象角度範囲WD1又はWD2の範囲内の別ルートに絞られていることから、別ルートを1本のみに絞る場合に比較して推奨ルート探索部8の処理負担が増すこととなっても、大幅な負担増加とはならない。このため、必ずしも、別ルートを1本のみに絞らなくともよい。
また、別ルートを1本のみに絞らずに検索し、検索した別ルートから一方通行の道路等の進入禁止の道路を除外して、残った別ルートに基づいて新たな推奨ルートをルート再探索してもよい。
また、ステップST11,ST21,ST12において、不可避的に別ルートを1本に絞ることができない場合には、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
例えば、図5(a)に例示するように、進出推奨ルートB1,B2,B3が急カーブで且つ別ルート(1)とほぼ並行に延在している場合に、車両が進出推奨ルートB1,B2,B3の方向へ旋回したときには、その進出推奨ルートB1,B2,B3と別ルート(1)を不可避的に区別できない場合を生じるため、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
そして、進出推奨ルートB1,B2,B3が急カーブであることを判断するためには、図5(h)に示すように、車両が走行中の進入推奨ルートの方角θaと進出推奨ルートB1との成す偏角θ1と、進出推奨ルートB1とB2との成す偏角θ2とを比較し、偏角θ1より偏角θ2が大きければ急カーブであると判断することができる。
また、図5(b)に例示するように、進出推奨ルートBが別ルート(1)とほぼ並行に延在している場合に、車両が進出推奨ルートBの方向へ旋回したときには、その進出推奨ルートBと別ルート(1)を不可避的に区別できない場合を生じるため、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
また、図5(c)に例示するように、進出推奨ルートBの他に、互いにほぼ並行に延在する別ルート(1)と別ルート(2)が存在する場合に、車両が別ルート(1)又は別ルート(2)の方向へ旋回したときには、別ルート(1)と別ルート(2)を不可避的に区別できない場合を生じるため、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
また、図5(d)に例示するように、進出推奨ルートBの他に、互いにほぼ並行に延在する別ルート(1)と別ルート(2)が存在する場合に、車両が進出推奨ルートBの方向へ旋回したときには、別ルート(1)と別ルート(2)を不可避的に区別できない場合を生じるため、ステップST13のルート再探索を開始せず、ステップST30の処理によってルート再探索を行うようにしてもよい。
なお、図5(e)に例示するように、進出推奨ルートB(つまり、B1,B2,B3…)が別ルート(1)とほぼ並行に延在している場合に、車両が別ルート(1)と平行ではない別ルート(2)の方向へ旋回するときには、進出推奨ルートB(つまり、B1,B2,B3…)を除いて別ルート(1)を検索することができるため、ステップST13のルート再探索を開始することとなる。
また、図5(f)に例示するように、進出推奨ルートBとほぼ平行な別ルート(1)が存在している場合に、車両が進出推奨ルートBの方向とは逆の方向へ旋回するときには、別ルート(2)を検索することができるため、ステップST13のルート再探索を開始することとなる。
このように、不可避的に別ルートを検索することができないときには、ステップST13のルート再探索を開始することを止めることで、複雑な処理を回避することが可能となり、CPUやDSPの処理負担を低減することができる等の効果が得られる。
次に、第1の実施例について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6において、図3と同一又は相当する処理を同一符号で示している。また、図7(a)(b)は、図4(a)(b)に対応させたものであり、同一又は相当する部分を同一符号で示している。
本実施例のナビゲーション装置は、図2(a)に示した構成と基本的に同様であるため、構成の説明を割愛し、図6のフローチャートと図7の説明図に基づいて、本実施例のナビゲーション装置の機能及び動作とルート再探索機能について説明する。
本実施例のナビゲーション装置は、基本的に図3のフローチャートに示したのと同様の処理を行う。ただし、図6のフローチャートに示すように、ステップST3A,ST4A,ST5Aの処理が異なっている。
図6において、ルート変更判定部9には、推奨ルート探索部8で探索された推奨ルートのデータと、時々刻々と自車位置検出部2で検出される旋回角θxのデータとマップマッチング処理部7で生成される自車位置Pxのデータが入力される。そして、ステップST1において、ルート変更判定部9が、自車位置Pxと推奨ルートを比較し、分岐点Gに車両が近付いたか否か判断する(図7(a)(b)参照)。
そして、ルート変更判定部9が、分岐点Gに車両が近付いたと判断すると、次に、ステップST2に移行し、進入推奨ルートAの方角θaと、進出推奨ルートの方角θbとを、それぞれのリンクに基づいて検出する。
次に、ステップST3Aにおいて、ルート変更判定部9が、方角θaを基準として所定角度の閾値θthを加えた方角(θa+θth)から180°までの角度範囲を第1角度範囲W1と第2角度範囲W2に設定する。
つまり、図7(a)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して、右方向に向いている進出推奨ルートBの方角θbを包含し、右方向の方角(θa+θth)から時計回り(右回り)で方角θr(180°)までの角度範囲を第1角度範囲W1に設定すると共に、左方向の方角(θa+θth)から反時計回り(左回り)で方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定する。図7(b)の場合には、進入推奨ルートAの方角θaに対して、左方向に向いている進出推奨ルートBの方角θbを包含し、左方向の方角(θa+θth)から反時計回り(左回り)で方角θrまでの角度範囲を第1角度範囲W1に設定すると共に、右方向の方角(θa+θth)から時計回り(右回り)で方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定する。
次に、ステップST4Aにおいて、ルート変更判定部9が、車両の旋回角θxが第1角度範囲W1内となったか否か判断する。つまり、ステップST4Aでは、車両が進出推奨ルートBの側へ旋回して、図7(a)(b)に例示するように、その旋回角θxが第1角度範囲W1内の方角θxbとなったか否か調べる。そして、旋回角θxが第1角度範囲W1内であると判断(“Yes”と判断)するとステップST10に移行して、ルート変更の前兆であると判定し、一方、旋回角θxが第1角度範囲W1内ではないと判断(“No”と判断)するとステップST5Aへ移行する。
次に、ステップST5Aでは、ルート変更判定部9が、車両の旋回角θxが第2角度範囲W2内にとなったか否か判断する。そして、図7(a)(b)に例示するように、旋回角θxが方角θxaとなり、その方角θxaが第2角度範囲W2内となったと判断すると、ステップST20に移行して、ルート変更の前兆であると判定する。一方、旋回角θxが第2角度範囲W2内ではないと判断(“No”と判断)するとステップST6へ移行する。
ステップST6では、ルート変更判定部9が、自車位置Pxと分岐点Gのノードの座標を比較し、車両が分岐点Gを通過したか否か判断する。そして、通過したと判断(“Yes”と判断)するとステップST30に移行し、通過していないと判断(“No”と判断)するとステップST4Aに戻って処理を繰り返す。
次に、ルート変更判定部9がステップST10でルート変更の前兆であると判定した場合の動作について説明すると、まず、ステップST10では、ルート変更判定部9が推奨ルート探索部8にルート変更判定の結果を指示し、次に、ステップST11において、第1角度範囲W1内であって現在の旋回角θxから方角θrまでの角度範囲を対象角度範囲WD1に設定し、対象角度範囲WD1内に存在する別ルート(進出推奨ルートBを除く)を、記憶部3に記憶されている道路データから検索して、次のステップST12へ移行する。
ステップST12では、ルート変更判定部9が、上述の検索した別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST13に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST30へ移行する。
つまり、図7(a)(b)に例示したように、進入推奨ルートAの方角θaに対して車両が右旋回又は左旋回した結果、対象角度範囲WD1内に別ルートR1又はL1が1本のみ存在していた場合に、ステップST13に移行する。
次に、ステップST13では、推奨ルート探索部8が、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始する。つまり、図7(a)の場合には、1本のみである別ルートR1を通る新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始し、図7(b)の場合には、1本のみである別ルートL1を通る新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始する。
次に、ステップST14では、制御部6が車両の自車位置Pxと分岐点Gのノードを対比し、分岐点Gを通過し別ルートへのルート変更が確定したか否か判断する。そして、ルート変更が確定したと判断すると、ステップST15に移行し、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
次に、上述したように、ルート変更判定部9がステップST20でルート変更の前兆であると判定した場合について説明すると、まず、ステップST20では、ルート変更判定部9が推奨ルート探索部8にルート変更判定の結果を指示し、次に、ステップST21において、第2角度範囲W2内であって現在の旋回角θxから方角θrまでの角度範囲を対象角度範囲WD2に設定し、対象角度範囲WD2内に存在する別ルートを記憶部3に記憶されている道路データから検索する。
そして、ステップST12において、別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST13に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST30へ移行する。
そして、ステップST13では、推奨ルート探索部8が、ルート変更判定部9からのルート変更判定の結果に従って、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するため、ルート再探索を開始し、更にステップST14では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を、制御部6が行う。そして、ルート変更が確定したと判断すると、ステップST15に移行し、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
次に、上述したように、ルート変更判定部9がステップST6において、分岐点Gを車両が通過したと判断してステップST30に移行、また、ステップST12において、別ルートが1本のみではないと判断してステップST30に移行すると、ステップST30では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を制御部6が行い、ルート変更が確定すると、推奨ルート探索部8にルート再探索させる。つまり、ステップST30では、車両のルート変更の前兆を予測してルート再探索を行うのではなく、ルート変更が確定したときのその別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索する。そして、次にステップST15に移行して、その新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST1に戻って処理が繰り返される。
以上に説明したように本実施例のナビゲーション装置によれば、分岐点Gの分岐エリア内に車両が進入すると、進入推奨ルートAの方角θaに対して180°逆方向の方角θrを設定すると共に、方角(θa+θth)から進出推奨ルートBの方角θbを包含して方角θrまでの角度範囲を第1角度範囲W1、方角(θa+θth)から進出推奨ルートBの方角θbを包含しない方角θrまでの角度範囲を第2角度範囲W2に設定し、車両の旋回角θxが第1角度範囲W1内となった場合、又は、車両の旋回角θxが第2角度範囲W2内となった場合に、推奨ルートから逸脱(ルート変更の前兆)であると判断してルート再探索を開始するので、車両が分岐点Gを通過する前にいち早くルート再探索を開始することができる。
つまり、車両の旋回角θxが進入推奨ルートAの方角θaを基準とする所定の閾値θthの角度範囲を除く角度範囲内であって、進入推奨ルートAの方角θaの側から進出推奨ルートBの方角θbを超える方角、又は、進出推奨ルートBの方角θbとは逆方向の方角となることを検出して、ルート再探索を開始するので、いち早くルート再探索を開始することができる。
そして、ルート変更が確定すると、ルート再探索しておいた新たな推奨ルートに更新することができる。このため、ユーザに対して優れた利便性を提供等することが可能であり、ルート変更がなされてもシームレスな誘導を行うことができる。
特に、本実施形態のナビゲーション装置1では、車両の挙動を検出して、車両の推奨ルートから逸脱(ルート変更の前兆)を予測するため、従来技術のようなレーン変更のための走行路を備えた特殊な道路を走行中か否かを判断する必要がない。このため、道路の形態等に依存することなく、早期にルート再探索を行って、シームレスな誘導を行うことができる。
また、本実施例のナビゲーション装置は、図6のフローチャートに示したステップST12において、別ルートを1本のみに絞ってから、ルート再探索を開始するので、CPUやDSPで形成されている推奨ルート探索部8の処理負担を軽減しつつ、車両のルート変更に対処することができる。ただし、本実施例のナビゲーション装置においても、実施形態の場合と同様に、必ずしも、別ルートを1本のみに絞らなくともよい。また、別ルートを1本のみに絞らずに検索し、検索した別ルートから一方通行の道路等の進入禁止の道路を除外して、残った別ルートに基づいて新たな推奨ルートをルート再探索してもよい。
次に、第2の実施例について、図8乃至図10を参照して説明する。図8(a)は、本実施例のナビゲーション装置1の構成を示すブロック図、図8(b)〜(e)は、ナビゲーション装置1の機能を概説するための説明図、図9は、ナビゲーション装置1の機能及び動作を説明するためのフローチャート、図10は、ナビゲーション装置1の機能を説明するための説明図である。また、図8乃至図9において、図2乃至図7と同一又は相当する部分を同一符号で示している。
図8(a)において、本実施例のナビゲーション装置1は、上述した実施形態又は第1の実施例と同様の構成となっており(図2(a)参照)、自車位置検出部2、記憶部3、表示部4、操作部5、制御部6、マップマッチング部7、推奨ルート探索部8、ルート変更判定部9Aを備えて構成されている。
自車位置検出部2と記憶部3と表示部4、操作部5、制御部6、マップマッチング部7、推奨ルート探索部8は、実施形態又は第1の実施例と同様の機能を有している。ただし、本実施例のルート変更判定部9Aは、図2(a)に示したルート変更判定部9とは異なる機能を有することで、車両のルート変更の前兆を予測するようになっている。
以下、本実施例の特徴部分であるルート変更判定部9Aについて主に説明することとする。
まず、ルート変更判定部9Aの機能について概説する。
実施形態と第1の実施例のナビゲーション装置では、ルート変更判定部9が、分岐点の分岐エリア内に侵入した車両の旋回角に基づいて、車両の推奨ルートからの逸脱(車両のルート変更の前兆)を予測することとしている。
これに対し、本実施例のルート変更判定部9Aは、分岐点に連結している進入推奨ルートと進出推奨ルートと、分岐点に進入する車両の速度と、自車位置から分岐点までの距離との関係に基づいて、車両の推奨ルートからの逸脱(ルート変更の前兆)を判定する。
例えば、図8(b)に例示するように、分岐点Gに連結している進入推奨ルートAの方角と進出推奨ルートBの方角がほぼ同じとなっている場合や、図8(c)に例示するように、分岐点Gに連結している進入推奨ルートAに対し、進出推奨ルートB1,B2,B3が湾曲したカーブとなっている場合や、図8(d)(e)に例示するように、分岐点Gに連結している進入推奨ルートAに対し、進出推奨ルートBが右折又は左折のルートとなっている場合等において、分岐点Gに進入する車両が別ルートへルート変更しようとしているか否かの判定を、進入推奨ルートと進出推奨ルートと、分岐点に進入する車両の速度と、自車位置から分岐点までの距離との関係に基づいて行うようになっている。
次に、図9のフローチャートを参照して、ナビゲーション装置1の機能(主にルート変更判定部9Aの機能)と動作について詳述する。また、図8(b)〜(e)を参照して説明する。
図9において、ルート変更判定部9には、推奨ルート探索部8で探索された推奨ルートのデータと、時々刻々と自車位置検出部2で検出される旋回角θxのデータとマップマッチング処理部7で生成される自車位置Pxのデータが入力される。そして、ステップST100において、ルート変更判定部9が、自車位置Pxと推奨ルートを比較し、分岐点Gに車両が近付いたか否か判断する。ここで、自車位置Pxが分岐点Gから予め決められた所定の距離となると、分岐点Gに車両が近付いたと判断する。
そして、ルート変更判定部9が、分岐点Gに車両が近付いたと判断すると、ステップST200に移行し、分岐点Gに連結している進入推奨ルートAの方角θaと進出推奨ルートBの方角θbとを、それぞれのリンクに基づいて検出する。
次に、ステップST300において、ルート変更判定部9が、方角θbを基準(0°)として、方角θbに対する方角θaの偏角(θa−θb)と所定の閾値角度Δθとを比較し、偏角(θa−θb)が閾値角度Δθを超える角度であるか否か判断する。ここで、閾値角度Δθは、進入推奨ルートの方角θaに対して進出推奨ルートの方角θbが小さい場合を排除するために設定されており、図8(b)に例示したように、進入推奨ルートAと進出推奨ルートBの方角がほぼ同じ場合や、図8(c)に例示したように、進入推奨ルートAに対して進出推奨ルートB1,B2,B3が緩やかにカーブしている場合に、上述の偏角(θa−θb)を閾値角度Δθより小さな角度として判定することができるように、予め閾値角度Δθが決められている。
より具体的には、例えば、閾値角度Δθを45°程度に決めておくことで、偏角(θa−θb)が閾値角度Δθより小さな角度のときには、図8(b)(c)に例示したように、進入推奨ルートAに対し進出推奨ルートBがほぼ同じ、あるいは、緩やかにカーブしていると判定することが可能となっている。
そして、ステップST300において偏角(θa−θb)が閾値角度Δθを超える角度であると判断(“Yes”と判断)すると、ステップST400に移行し、偏角(θa−θb)が閾値角度Δθを超えない小さな角度であると判断(“No”と判断)すると処理を終了し、再びステップST100から再スタートする。
次に、ステップST400では、ルート変更判定部9が、自車位置検出部2から供給される車速Vxに基づいて、分岐点Gを通って進出推奨ルートへ移動するために必要となる距離(以下「必要距離」という)DSを、記憶部3に予め記憶されている距離換算データから検索する。
つまり、図8(e)(f)に例示したように、分岐点Gに連結している進出推奨ルートBが、進入推奨ルートAに対して右折又は左折するためのルートであった場合、車両が高速で進入推奨ルートAを走行中のときほど、減速等を行う必要が生じるため、自車位置Pxから分岐点Gまでの必要距離DSが長くなる。
そこで、図10に例示する、車速に対する右折又は左折時に必要な距離との関係を示す距離換算データを車速Vxに基づいて記憶部5から検索し、その車速Vxに対する必要距離DSを取得する。
なお、図10は、進入推奨ルートAに対して進出推奨ルートBが約90°で右折又は左折しているルートの場合を例示したものであり、90°以外の他の角度の場合における車速に対する右折又は左折時に必要な距離を示す距離換算データも記憶部3に予め記憶されている。そして、進入推奨ルートAに対する進出推奨ルートBの角度が90°以外の場合には、その90°以外の距離換算データを検索して車速Vxに対する必要距離DSを取得する。
次に、ステップST500において、ルート変更判定部9が、マップマッチング処理部7から供給される自車位置Pxと、分岐点Gのノードの情報(座標情報)に基づいて、自車位置Pxから分岐点Gまでの実際の距離DSRを算出して上述の取得した必要距離DSと比較し、距離DSRが必要距離DSより短いか否か判断する。そして、実際の距離DSRが必要距離DSより短い場合にはステップST700に移行し、実際の距離DSRが必要距離DSより長い場合にはステップST600に移行して、車両が分岐点Gを通過するまで、ステップST400に戻って処理を繰り返す。
つまり、ルート変更判定部9は、ステップST500において、実際の距離DSRが必要距離DSより短いか否かを判断することで、車両が分岐点Gで右折又は左折することができない速度で走行中であるか否かを判断するのと等価な処理を行っている。
次に、ステップST700では、ルート変更判定部9が、進出推奨ルートBと、車速Vxで走行したのでは右折又は左折することができないルートを除いて、分岐点Gに連結している別ルートを記憶部3に記憶されている道路データから検索して、次のステップST800へ移行する。
ステップST800では、ルート変更判定部9が、検索された別ルートが1本のみか否か調べ、1本のみと判断(“Yes”と判断)するとステップST900に移行し、別ルートが複数本の場合又は存在していなかった場合には、“No”と判断してステップST1000へ移行する。
次に、ステップST900では、推奨ルート探索部8が、上述の1本のみの別ルートを通って目的地へ誘導するための新たな推奨ルートを探索するために、ルート再探索を開始する。更に、制御部6が車両の自車位置Pxと分岐点Gのノードを対比し、分岐点Gを通過し別ルートへのルート変更が確定したか否か判断する。そして、ルート変更が確定したと判断すると、推奨ルート探索部8でルート再探索された新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST100に戻って処理が繰り返される。
次に、上述したステップST600又はST800からステップST1000に移行すると、ステップST1000では、分岐点Gを車両が通過し別ルートへのルート変更が確定したか否かの判断を制御部6が行い、ルート変更が確定すると、推奨ルート探索部8にルート再探索させる。つまり、車両の推奨ルートからの逸脱(ルート変更の前兆)を予測してルート再探索を行うのではなく、ルート変更が確定したときのその別ルートを通る新たな推奨ルートをルート再探索する。そして、その新たな推奨ルートを表示部4にて更新表示させる。そして、再びステップST100に戻って処理が繰り返される。
以上に説明したように、本実施例のナビゲーション装置1によれば、車両が進入推奨ルートA側から速度Vxで分岐点Gに進入して右折又は左折する進出推奨ルートBを通るために必要な分岐点Gまでの必要距離DSと、自車位置Pxから分岐点Gまでの実際の距離DSRとを対比し、必要距離DSに較べて実際の距離DSRが短い場合には、車両が右折又は左折する進出推奨ルートBを通らないとして、いち早くルート再探索を開始することが可能である。
例えば、必要距離DSに較べて実際の距離DSRが短い場合には、現在の車速Vxで進行することが可能な別ルート(図8(e)(f)に例示する直進ルートC等)や緩やかに湾曲していて道なりに進行することが可能な別ルート等へルート変更するものとして、それらの別ルートに基づいて、いち早くルート再探索を開始することができる。
1…ナビゲーション装置、2…自車位置検出部、3…記憶部、4…表示部、5…操作部、6…制御部、7…マップマッチング処理部、8…推奨ルート探索部、9,9A…ルート変更判定部