JPWO2008056623A1 - 核酸導入用組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞毒性が低く、ショートオリゴヌクレオチドや遺伝子などの被導入核酸の細胞内導入性および細胞内での発現を改善した核酸導入用組成物および該組成物に含まれる新規化合物を提供すること。下記式(I)(R1)n-R2-R3(I)(式中、(R1)nは総計n個のアミノ酸残基からなるポリアミノ酸残基(アミノ酸残基は、同一または異なって、アルギニン残基、リジン残基およびヒスチジン残基からなる群よりn個選ばれ、nは4〜16の整数を意味する。)を意味し、R2は単結合またはアミノ酸残基を意味し、R3は同一または異なる炭素数12〜20の不飽和脂肪酸残基を1個または2個有するリン脂質残基を意味する。)で表される化合物および脂質を遺伝子などの核酸とともに投与または細胞に供給すると、低細胞毒性で、核酸が効率良く導入することができる。

Description

本発明は、核酸を細胞内へ導入するための化合物および組成物に関する。
遺伝子などの核酸を細胞内に導入する方法として、カチオン性脂質単独またはこれを含むリポソームと核酸とが形成する複合体を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。実際、この方法用の試薬として、例えば、「リポフェクトアミン」、「リポフェクチン」、「トランスフェクタム」、「ジーントランスファー」、「リポフェクトアミン2000」などが市販されている。
しかしながら、これら市販の試薬には、次のような問題点が指摘されている。a)製剤としての保存安定性が悪く、リポソーム等を用いた遺伝子の細胞内導入・発現において再現性が悪い。b)細胞培養のための培地中に添加する血清(Fetal Bovine Serum)中で非常に不安定であり、細胞を培養している血清入り培地をいったん無血清培地に置き換え、導入後また血清入り培地に戻すという煩雑な手順が用いられている。また最近では、血液中あるいは体内においても非常に不安定であることが明らかになりつつある。c)市販品の多く(例えば、リポフェクトアミン、リポフェクチン、リポフェクトアミン2000)は既に脂質が水に分散した形でのみ提供されており、ここに外から遺伝子水溶液を添加する手順となっているが、これでは、リポソームの外側に遺伝子が結合した複合体を製造することができても、遺伝子を内封したリポソームを製造することは不可能である。また、リポフェクトアミン2000はカチオン性脂質の過酸化物形成を避けるため、過剰な撹拌、振盪ができず、細心の注意が必要であるといった煩雑さを有する。d)細胞毒性が非常に強い。
このように、遺伝子などの核酸をカチオン性脂質単独またはリポソームを用いて細胞内に導入させる試薬はいくつか販売されてはいるが、多くの問題をかかえている。
特開平2-135092号公報
本発明は、細胞毒性が低く、ショートオリゴヌクレオチドや遺伝子などの被導入核酸の細胞内導入性および細胞内における発現を改善した核酸導入用組成物および該組成物に含まれる新規化合物を提供することに関する。
本発明者らは、細胞毒性、核酸の細胞内導入性、ひいては細胞内での発現を改善する方法について鋭意検討した結果、
下記式(I)
(R1)n-R2-R3 (I)
(式中、(R1)nは総計n個のアミノ酸残基からなるポリアミノ酸残基(アミノ酸残基は、同一または異なって、アルギニン残基、リジン残基およびヒスチジン残基からなる群よりn個選ばれ、nは4〜16の整数を意味する。)を意味し、R2は単結合またはアミノ酸残基を意味し、R3は同一または異なる炭素数12〜20の不飽和脂肪酸残基を1個または2個有するリン脂質残基を意味する。)で表される化合物またはその塩、および脂質を遺伝子などの核酸とともに投与または細胞に供給することにより、低細胞毒性で、核酸が効率良く導入されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の発明に関するものである。
(1)式(I)
(R1)n-R2-R3 (I)
(式中、(R1)nは総計n個のアミノ酸残基からなるポリアミノ酸残基(アミノ酸残基は、同一または異なって、アルギニン残基、リジン残基およびヒスチジン残基からなる群よりn個選ばれ、nは4〜16の整数を意味する。)を意味し、R2は単結合またはアミノ酸残基を意味し、R3は同一または異なる炭素数12〜20の不飽和脂肪酸残基を1個〜4個有するリン脂質残基を意味する。)で表される化合物またはその塩。
(2)R1がすべてアルギニン残基である上記(1)記載の化合物またはその塩。
(3)nが7〜11である上記(1)または(2)記載の化合物またはその塩。
(4)nが8〜10である上記(1)または(2)記載の化合物またはその塩。
(5)R2がグリシン残基である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の化合物またはその塩。
(6)R3がジオレオイルホスファチジルエタノールアミンの残基である上記(1)〜(5)いずれか1つに記載の化合物またはその塩。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の化合物またはその塩、および脂質を含有する組成物。
(8)脂質がリン脂質および/またはステロール類である上記(7)記載の組成物。
(9)リン脂質が、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジルコリン類、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルイノシトール類、ホスファチジルグリセロール類、カルジオリピン類、スフィンゴミエリン類、プラスマロゲン類及びホスファチジン酸類から選ばれる1種または2種以上である上記(8)記載の組成物。
(10)リン脂質がホスファチジルエタノールアミンである上記(8)記載の組成物。
(11)リン脂質がジオレオイルホスファチジルエタノールアミンである上記(8)記載の組成物。
(12)ステロール類がコレステロールである上記(8)〜(11)いずれか1つに記載の組成物。
(13)さらにカチオン性物質を含むものである上記(7)〜(12)いずれか1つに記載の組成物。
(14)カチオン性物質がポリL-リジン、プロタミンまたはその塩、プロネクチンおよびスペルミンから選ばれる1種または2種以上である上記(13)記載の組成物。
(15)核酸の細胞内導入用である上記(7)〜(14)のいずれか1つに記載の組成物。
(16)さらに核酸を含有するものである上記(7)〜(15)のいずれか1つに記載の組成物。
(17)脂質膜構造体を形成しているものである上記(7)〜(16)のいずれか1つに記載の組成物。
(18)脂質膜構造体がリポソームである上記(17)記載の組成物。
(19)上記(16)〜(18)のいずれか1つに記載の組成物をイン・ビトロまたはイン・ビボで細胞に適用することを特徴とする核酸の細胞への導入方法。
後記実施例から明らかなように、本発明の式(I)で表される化合物を用いると、低細胞毒性で、核酸を効率良く細胞に導入できる。従って、本発明の組成物は、核酸導入用試薬または医薬として有用である。
本発明の組成物は、被導入核酸と共に用いて、該核酸を細胞へ導入するための組成物であるが、少なくとも、上記式(I)で表される化合物および脂質を含有するものであればよく、被導入核酸を含有するもの(核酸含有組成物)、および被導入核酸を含有しないものが包含される。
本発明の式(I)で表される化合物中の置換基について説明する。
式(I)中、(R1)nは、総計n個のアミノ酸残基からなるポリアミノ酸残基(アミノ酸残基は、同一または異なって、アルギニン残基、リジン残基およびヒスチジン残基からなる群よりn個選ばれ、nは4〜16の整数を意味する。)を意味し、ポリアミノ酸残基におけるアミノ酸残基は、ブロック重合的に結合してもよいし、ランダム重合的に結合してもよい。R1がすべてアルギニン残基であれば、ポリアルギニンの残基を意味するものである。nは4〜16の整数を意味するものであり、nは7、8、9、10または11が好ましく、中でもnは8、9または10が特に好ましい。
R2は単結合またはアミノ酸残基を意味するものであり、アミノ酸残基としては、特に限定されるべきものではないが、例えば、グリシン残基、アラニン残基などを挙げることができ、中でもグリシン残基が好ましい。
R3は同一または異なる炭素数12〜20の不飽和脂肪酸残基を1〜4個有するリン脂質残基を意味するものであり、リン脂質としては、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジルコリン類、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルイノシトール類、ホスファチジルグリセロール類、カルジオリピン類、スフィンゴミエリン類、セラミドホスホリルエタノールアミン類、セラミドホスホリルグリセロール類、セラミドホスホリルグリセロールホスファート類、1,2-ジミリストイル-1,2-デオキシホスファチジルコリン類、プラスマロゲン類、ホスファチジン酸類などを挙げることができ、炭素数12〜20の不飽和脂肪酸残基としては、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸由来のアシル基を1個または2個有するリン脂質を挙げることができる。これらのうち、リン脂質としてはホスファチジルエタノールアミン類が好ましく、2個の不飽和脂肪酸残基を有するものが好ましく、中でもジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が特に好ましい。
本発明の式(I)で表される化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、R2が単結合の場合は、上述のポリアミノ酸と上述のリン脂質とを結合させることにより製造することができ、また、R2がリンカーとして1個のアミノ酸残基である場合は、上述のポリアルギニンとリンカーのアミノ酸とが結合したペプチドを合成し、次いで上述のリン脂質をリンカーのアミノ酸に結合させることにより製造することができる。
一般的に、リン脂質とポリアミノ酸またはリンカーとの結合は、ポリアミノ酸またはリンカーの末端のアミノ基またはカルボキシル基とリン脂質の反応性官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基、エステル基、アミノ基など)とを反応させることにより行なわれる。リン脂質中にすでに存在する水酸基を反応性官能基として用いてもよいが、例えば、リン脂質中の水酸基をカルボキシル基に酸化する、またはリン脂質にカルボキシル基を含む官能基を導入するなどの手法により、リン脂質にカルボキシル基を導入し、さらに必要に応じて該カルボキシル基をエステル化するなどの方法により、反応性官能基として用いることもできる。
リン脂質のカルボキシル基、エステル基などの反応性官能基とポリアミノ酸またはリンカーのアミノ基とを反応させてアミド結合を形成することにより、あるいは、リン脂質のアミノ基などの反応性官能基とポリアミノ酸またはリンカーのカルボキシ基とを反応させてアミド結合を形成することにより、本発明に係る式(I)で表される化合物またはリン脂質とリンカーが結合した化合物を製造することができる。この反応として、酸ハライド法、活性エステル法または酸無水物などの一般的方法を用いることができる。
酸ハライド法では、不活性溶媒中でカルボキシル基を有するリン脂質をハロゲン化剤で処理して酸ハライドとした後に、得られた酸ハライドとポリアミノ酸またはリンカーのアミノ基とを反応させることによって、あるいは、ポリアミノ酸またはリンカーのカルボキシル基をハロゲン化剤で処理して酸ハライドとした後、得られた酸ハライドとリン脂質のアミノ基とを反応させることによって、目的物を得ることができる。
酸ハライドを生成するための反応で使用される溶媒の種類は特に限定されず、反応を阻害せずに出発物質を溶解するものであればよい。例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類、ギ酸エチル、酢酸エチルのようなエステル類、またはこれらの混合溶媒が好ましい。ハロゲン化剤としては、例えば、チオニルクロリド、チオニルブロミド、チオニルアイオダイドのようなチオニルハライド類、スルフリルクロリド、スルフリルブロミド、スルフリルアイオダイドのようなスルフリルハライド類、三塩化燐、三臭化燐、三沃化燐のような三ハロゲン化燐類、五塩化燐、五臭化燐、五沃化燐のような五ハロゲン化燐類、オキシ塩化燐、オキシ臭化燐、オキシ沃化燐のようなオキシハロゲン化燐類、塩化オキザリル、臭化オキザリルのようなハロゲン化オキザリル類などを挙げることができる。反応温度は、0℃〜溶媒の還流温度で行うことができ、室温〜溶媒の還流温度が好ましい。
得られた酸ハライドとポリアミノ酸またはリン脂質のアミノ基との反応で使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質を溶解するものであれば特に限定はないが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、ギ酸エチル、酢酸エチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、またはそれらの混合溶媒を挙げることができる。酸ハライドとポリアミノ酸またはリン脂質のアミノ基との反応では、必要に応じてトリエチルアミン、ピリジンのような有機塩基を添加することもできる。
活性エステル化法は、溶媒中、カルボキシル基を有するリン脂質、またはポリアミノ酸あるいはリンカーを活性エステル化剤と反応させて活性エステルを製造した後、ポリアミノ酸あるいはリンカーのアミノ基、またはリン脂質のアミノ基と反応させることによって行われる。溶媒としては、例えば、メチレンクロリド、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸エチルのようなエステル類、またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。活性エステル化剤としては、例えば、N-ヒドロキシサクシイミド、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドのようなN-ヒドロキシ化合物類;1,1’-オキザリルジイミダゾール、N,N’-カルボニルジイミダゾールのようなジイミダゾール化合物類;2,2’-ジピリジルジサルファイドのようなジサルファイド化合物類;N,N’-ジサクシンイミジルカーボネートのようなコハク酸化合物類;N,N’-ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィニッククロライドのようなホスフィニッククロライド化合物類;N,N’-ジサクシンイミジルオキザレート(DSO)、N,N’-ジフタルイミドオキザレート(DPO)、N,N’-ビス(ノルボルネニルサクシンイミジル)オキザレート(BNO)、1,1’-ビス(ベンゾトリアゾリル)オキザレート(BBTO)、1,1’-ビス(6-クロロベンゾトリアゾリル)オキザレート(BCTO)、1,1’-ビス(6-トリフルオロメチルベンゾトリアゾリル)オキザレート(BTBO)のようなオキザレート化合物類などを挙げることができる。
リン脂質、またはポリアミノ酸あるいはリンカーのアミノ基と活性エステルとの反応は、例えば、アゾジカルボン酸ジエチル-トリフェニルホスフィンのようなアゾジカルボン酸ジ低級アルキル-トリフェニルホスフィン類、N-エチル-5-フェニルイソオキサゾリウム-3’-スルホナートのようなN-低級アルキル-5-アリールイソオキサゾリウム-3’-スルホナート類、ジエチルオキシジフォルメート(DEPC)のようなオキシジフォルメート類、N’,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなN’,N’-ジシクロアルキルカルボジイミド類、ジ-2-ピリジルジセレニドのようなジヘテロアリールジセレニド類、トリフェニルホスフィンのようなトリアリールホスフィン類、p-ニトロベンゼンスルホニルトリアゾリドのようなアリールスルホニルトリアゾリド類、2-クロル-1-メチルピリジニウム ヨーダイドのような2-ハロ-1-低級アルキルピリジニウムハライド、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)のようなジアリールホスホリルアジド類、N,N’-カルボジイミダゾール(CDI)のようなイミダゾール誘導体、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)のようなベンゾトリアゾール誘導体、N-ヒドロキシ-5-ノールボルネン-2,3-ジカルボキシイミド(HONB)のようなジカルボキシイミド誘導体、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)のようなカルボジイミド誘導体、1−プロパンホスホン酸環状無水物(T3P)のようなホスホン酸環状無水物などの縮合剤の存在下に行うのが好ましい。活性エステルの調製のための反応温度は-10℃〜室温であり、活性エステル化合物とリン脂質、またはポリアミノ酸あるいはリンカーのアミノ基との反応は室温付近であり、反応時間は両反応共に30分〜10時間程度である。
混合酸無水物法は、リン脂質、またはポリアミノ酸あるいはリンカーのカルボキシル基の混合酸無水物を製造した後、ポリアミノ酸あるいはリンカー、またはリン脂質のアミノ基を反応させることにより行われる。混合酸無水物を製造する反応は、不活性溶媒(例えば、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類)中、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチルのような炭酸低級アルキルハライド、ジエチルシアノリン酸のようなジ低級アルキルシアノリン酸などを用いて行なうことができる。反応は、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンのような有機アミンの存在下に行うのが好ましく、反応温度は-10℃ないし室温であり、反応時間は30分〜5時間程度である。混合酸無水物とポリアミノ酸あるいはリンカー、またはリン脂質のアミノ基との反応は、不活性溶媒(例えば、エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類)中で前記の有機アミンの存在下に行うが好ましい。反応温度は0℃ないし室温であり、反応時間は1〜24時間程度である。また、カルボキシル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物とを前記の縮合剤の存在下で直接反応させることによって縮合を行なうこともできる。この反応は前記の活性エステルを製造する反応と同様にして行えばよい。
続いて、得られたリンカー結合ポリアミノ酸の反応性官能基(例えばカルボキシル基や水酸基など)とリン脂質化合物の反応性官能基(例えば、カルボキシル基やアミノ基など)とを反応させることにより、本発明の組成物に係るリン脂質誘導体を得ることができる。例えば、リン脂質化合物としてホスファチジルエタノールアミン類を用いる場合には、該リン脂質化合物のアミノ基と、リンカー結合ポリアミノ酸のリンカー末端のカルボキシル基とを反応させることにより、本発明のリン脂質誘導体を製造できる。この反応は上記に説明した反応と同様に行なうことができ、例えば、縮合剤の存在下で活性エステル法などにより行なうことが好ましい。
上記の各反応において、保護基を導入することにより目的の反応を効率的に行なうことができる場合がある。保護基の導入については、例えば、「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス」(P.G.M.Wuts and T.Green、第3版、1999年、Wiley,John&Sons)などを参照することができる。目的物の単離及び精製は当業界で用いられる通常の方法により行なうことができるが、例えば、高速液体クロマトグラフィーなどによる精製が好適である。なお、本発明のリン脂質誘導体には、塩の形態の物質も包含される。塩の種類としては、特に限定されないが、塩酸塩や硫酸塩などの鉱酸塩、シュウ酸塩や酢酸塩などの有機酸塩、ナトリウム塩やカリウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、メチルアミン塩などの有機アミン塩などを挙げることができる。
本発明においては、一般式(I)中、(R1)n中のR1がすべてアルギニン残基を意味し、nが8を意味するポリアルギニン残基を意味し、R2が単結合またはグリシン残基を意味し、R3がジオレオイルホスファチジルエタノールアミンの残基を意味するものである化合物が特に好ましい。
本発明の組成物において、一般式(I)で表される化合物の含有量は、本発明の組成物中の全脂質量及び被導入核酸の種類、用途、組成物の形態等に応じて適宜決定すればよいが、全脂質量に対して0.5〜50モル%とするのが好ましく、1〜10モル%とするのがより好ましい。
本発明の組成物に係る脂質としては、例えば、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジルコリン類、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルイノシトール類、ホスファチジルグリセロール類、カルジオリピン類、スフィンゴミエリン類、プラスマロゲン類、ホスファチジン酸類などのリン脂質、コレステロール、コレスタノールなどのステロール類等を挙げることができ、これらは1種または2種以上を組み合せて用いることができる。このうち、リン脂質とステロール類を組み合わせて用いるのが好ましく、リン脂質としてホスファチジルエタノールアミン類、とステロール類を組み合せて用いるのがより好ましい。なお、これらのうち、リン脂質における脂肪酸残基は特に限定されるものではないが、炭素数12〜18の飽和または不飽和脂肪酸残基を挙げることができ、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、リノレイル基等が好ましい。
上記脂質の本発明の組成物への配合量は、全脂質量に応じて適宜検討すればよいが、
一般式(I)で表される化合物を含めてリン脂質は全脂質量に対して50〜100モル%とするのが好ましく、60〜100モル%とするのがより好ましい。また、ステロール類は全脂質量に対して0〜50モル%であることが好ましく、0〜40モル%であることがより好ましい。
本発明の組成物に適用される被導入核酸としては、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、デオキシリボースとリボース両糖を含む核酸、ホスホチオエート、ボラノホスホエート等のリン酸誘導体、もしくは/かつ、4’-チオ化、2’-O-メチル化、2’-O-メトキシエチル化、2’-アミノ化、2’-フッ素化、2-ヒドロキシエチルホスホエート化、エーテル結合による2’,5’位架橋化等の化学修飾した糖、もしくは/かつ、2,6-ジアミノプリン、5-ブロモウリジン、5-ヨードウリジン、4-チオウリジン、N-3-メチルウリジン、5-(3-アミノアリル)ウリジン等の化学修飾塩基を含む合成人工核酸、PEG、抗体、膜透過性ペプチドや脂質等が直接結合した機能性人工核酸のいずれでもよく、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスDNA、デコイ核酸、アンチセンスRNA、shRNA、siRNA、miRNAなどのショートオリゴヌクレオチドや酵素、サイトカイン等の生理活性物質、アンチセンスRNA、shRNA、siRNA、miRNAをコードする遺伝子、ペプチド核酸等を挙げることができる。
本発明においては、核酸を効率良く細胞内に導入するためには、核酸の有する負電荷をコントロールしてもよい。コントロールの方法としては、ポリL-リジン(PLL)、プロタミンまたはその塩、プロネクチン、スペルミンなどのカチオン性物質を用いて、核酸との複合体を形成させる方法を挙げることができる。例えば、リン酸基換算で1モルの核酸に対してPLLを窒素数換算で2.0〜4.8モル含むものが好ましく、2.2〜3.6モル含むものがより好ましい。または1mgの核酸に対してプロタミンを0.6〜2.6mg含むものが好ましく、0.9〜1.9mg含むものがより好ましい。カチオン性物質と核酸との複合体に部分的にかつ/もしくは全体として正電荷を持たせれば、負電荷脂質を含む脂質組成物に効率的に保持できる。こういった負電荷脂質としてはコレステリルヘミサクシネート(CHEMS)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)等の脂質を挙げることができ、その脂質組成物への配合量は全脂質量に応じて適宜検討すればよいが、0〜50モル%とするのが好ましく、5〜40モル%とするのがより好ましい。
本発明の組成物は、一般式(I)で表される化合物とリン脂質のみを含む脂質膜構造体でもよいし、一般式(I)で表される化合物、リン脂質、およびステロール類との組み合わせから成る脂質膜構造体でもよいし、ステロール類のほか、さらにその他成分を含んだ脂質膜構造体でもよい。
当該脂質膜構造体の形態は、特に限定されないが、例えば、乾燥した脂質混合物形態、脂質膜構造体が水系溶媒に分散した形態、さらにこれを乾燥させた形態や凍結させた形態などを挙げることができる。
このうち、脂質膜構造体が水系溶媒に分散した形態としては、例えば、一枚膜リポソーム、多重層リポソーム、O/W型エマルション、W/O/W型エマルション、球状ミセル、ひも状ミセル、不定型の層状構造物などを挙げることができる。これらのうちリポソームが好ましい。分散した状態の脂質膜構造体の大きさは特に限定されないが、例えば、リポソームやエマルションの場合には粒子径が50nm〜5μmであり、球状ミセルの場合、粒子径が5〜100nmである。ひも状ミセルや不定型の層状構造物の場合は、その1層あたりの厚みが5〜10nmであり、これらが多層を形成しているものが好ましい。
以下に、各種の脂質膜構造体について、その製造例を説明する。
1)乾燥した混合物の形態の脂質膜構造体は、例えば、脂質膜構造体の構成成分全てまたは一部を一旦クロロホルム等の有機溶媒に溶解させ、次いでエバポレータによる減圧乾固や噴霧乾燥機による噴霧乾燥を行うことによって製造することができる。
2)脂質膜構造体が水系溶媒に分散した形態は、上記の乾燥した混合物を水系溶媒に添加し、さらにホモジナイザー等の乳化機、超音波乳化機、高圧噴射乳化機等により乳化することで製造することができる。また、リポソームを製造する方法としてよく知られている方法、例えば逆相蒸発法などによっても製造することができる。脂質膜構造体の大きさを制御したい場合には、孔径のそろったメンブランフィルター等を用いて、高圧下でイクストルージョン(押し出し濾過)を行えばよい。加えて、乳化時もしくは乳化後に脂質膜構造体に一般式(I)で表される化合物、リン脂質、ステロール類等の脂質を更に添加することにより、新たな膜組成および/または膜構造を有する脂質膜構造体を製造することができる。
水系溶媒(分散媒)の組成は特に限定されるべきものではなく、例えば、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝化生理食塩液等の緩衝液、生理食塩水、細胞培養用の培地などを挙げることができる。これら水系溶媒(分散媒)は脂質膜構造体を安定に分散させることができるが、さらに、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、イノシトール、リボース、キシロース等の単糖類、乳糖、ショ糖、セロビオース、トレハロース、マルトース等の二糖類、ラフィノース、メレジノース等の三糖類、シクロデキストリン等の多糖類、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコールなどの糖(水溶液)や、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコール(水溶液)等を加えてもよい。この水系溶媒(分散媒)に分散した脂質膜構造体を安定に長期間保存するには、凝集などの物理的安定性の面から、水系溶媒(分散媒)中の電解質を極力なくすことが望ましい。また、脂質の化学的安定性の面から、水系溶媒(分散媒)のpHを弱酸性から中性付近(pH3.0〜8.0)に設定することや窒素バブリングにより溶存酸素を除去することが望ましい。
ここで、糖または多価アルコールの濃度は特に限定されないが、脂質膜構造体が水系溶媒に分散した状態において、例えば、糖(水溶液)は、2〜20%(W/V)が好ましく、5〜10%(W/V)がさらに好ましい。また、多価アルコール(水溶液)は、1〜5%(W/V)が好ましく、2〜2.5%(W/V)がさらに好ましい。水系溶媒(分散媒)として、緩衝液を用いる場合には、緩衝剤の濃度が5〜50mMが好ましく、10〜20mMがさらに好ましい。水系溶媒(分散媒)における脂質膜構造体の濃度は特に限定されないが、脂質膜構造体に含まれる全脂質の濃度は、500mM以下が好ましく、0.001〜100mMがさらに好ましい。
3)脂質膜構造体が水系溶媒に分散した形態を乾燥または凍結させた形態は、上記の水系溶媒に分散した脂質膜構造体を通常の凍結乾燥や噴霧乾燥による乾燥または凍結方法等により製造することができる。水系溶媒に分散した形態の脂質膜構造体を一旦製造した上でさらに乾燥すると、脂質膜構造体の長期保存が可能となるほか、この乾燥した脂質膜構造体に核酸含有水溶液を添加すると、効率よく脂質混合物が水和されるために核酸を効率よく脂質膜構造体に保持させることができる長所がある。
凍結乾燥や噴霧乾燥する場合には、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、イノシトール、リボース、キシロース等の単糖類、乳糖、ショ糖、セロビオース、トレハロース、マルトース等の二糖類、ラフィノース、メレジノース等の三糖類、シクロデキストリン等の多糖類、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコールなどの糖(水溶液)を用いると安定に長期間保存することができる。また、凍結する場合には、例えば、前記した糖(水溶液)やグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール(水溶液)をそれぞれ用いると安定に長期間保存することができる。糖と多価アルコールとを組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物は、被導入核酸を含有させた組成物(核酸含有組成物)とすることができるが、以下にこの場合の組成物について説明する。
組成物の形態としては、一般式(I)で表される化合物、リン脂質と核酸やこれらのほかに所望によりステロール類などを含んだ単に混合物として存在していてもよいし、一般式(I)で表される化合物、リン脂質およびステロール類などとの組み合わせで形成された脂質膜構造体と核酸とが混合した形態でもよいし、さらに脂質膜構造体に核酸が保持された形態でもよい。ここで、「保持」とは、核酸が脂質膜構造体の脂質膜の中、表面、内部、脂質層中、および/または脂質層の表面に存在することを意味する。脂質膜構造体が、例えばリポソームなどの微粒子である場合には、微粒子内部に核酸を封入することもできる。
また、脂質膜構造体の形態は、前述の脂質膜構造体と同様に、混合乾燥物形態、水系溶媒に分散した形態、さらにこれを乾燥させた形態や凍結させた形態などを挙げることができる。
以下に、各種の核酸含有脂質膜構造体について、その製造例を説明する。
1)混合乾燥物形態とする場合には、例えば、脂質膜構造体の構成成分と核酸とを一旦クロロホルム等の有機溶媒で溶解させて混合物を得て、次にこれをエバポレータによる減圧乾固や噴霧乾燥機による噴霧乾燥に付することにより製造することができる。
2)脂質膜構造体と核酸を含む水系溶媒に分散した形態とする場合には、その製造方法としてはいくつかの方法が知られており、脂質膜構造体における核酸の保持様式や混合物の性状などに応じて、下記2−1〜2−5のように適宜の製造法を選択することができる。
2−1)製造法1
上述の混合乾燥物に水系溶媒を添加し、さらにホモジナイザー等の乳化機、超音波乳化機、高圧噴射乳化機等による乳化を行い製造する方法である。大きさ(粒子径)を制御する場合には、さらに孔径のそろったメンブランフィルターを用いて、高圧力下でイクストルージョン(押し出し濾過)を行えばよい。この方法の場合、まず、脂質膜構造体の構成成分と核酸との混合乾燥物を作るために、脂質膜構造体と核酸を有機溶媒に溶解する必要があるが、脂質膜構造体の構成成分と核酸との相互作用を最大限に利用できる長所がある。すなわち、脂質膜構造体が層状構造を有する場合にも、核酸は多重層の内部にまで入り込むことが可能であり、この製造方法を用いると核酸の脂質膜構造体への保持率を高くできる長所がある。
2−2)製造法2
脂質膜構造体の構成成分を有機溶媒で一旦溶解後、有機溶媒を留去した乾燥物に、さらに核酸を含む水系溶媒を添加して乳化を行い製造する方法である。大きさ(粒子径)を制御する場合には、さらに孔径のそろったメンブランフィルターを用いて、高圧力下でイクストルージョン(押し出し濾過)を行えばよい。有機溶媒には溶解しにくいが、水系溶媒には溶解し得る核酸に適用できる。脂質膜構造体がリポソームの場合、内水相部分にも核酸を保持できる長所がある。
2−3)製造法3
水系溶媒に既に分散したリポソーム、エマルション、ミセル、または層状構造物などの脂質膜構造体に、さらに核酸を含む水系溶媒を添加して製造する方法である。対象となる核酸としては、水溶性のものを利用できる。既にでき上がっている脂質膜構造体に外部から核酸を添加する方法であることから、核酸が高分子の場合には、核酸は脂質膜構造体の内部には入り込めず、脂質膜構造体の表面に存在(結合)した存在様式をとる可能性がある。脂質膜構造体としてリポソームを用いた場合、この製造法3を用いると、核酸がリポソーム粒子同士の間に挟まったサンドイッチ構造(一般的には複合体あるいはコンプレックスと呼ばれている。)を形成することが知られている。この製造法では、脂質膜構造体単独の水分散液をあらかじめ製造するため、乳化時における核酸の分解等を考慮する必要がなく、大きさ(粒子径)の制御もし易い。したがって、製造法1や製造法2に比べて比較的容易に製造することができる。
2−4)製造法4
水系溶媒に分散した脂質膜構造体を製造して乾燥することにより得られた乾燥物に、さらに核酸を含む水系溶媒を添加して製造する方法である。製造法3と同様に対象となる核酸としては、水溶性のものを利用できる。製造法3との相違点は、脂質膜構造体と核酸との存在様式にあり、この製造法4では、水系溶媒に分散した脂質膜構造体を一旦製造した上でさらに乾燥させた乾燥物を製造することから、この段階で脂質膜構造体は脂質膜の断片として固体状態で存在する。この脂質膜の断片を固体状態に存在させるためには、前記したように水系溶媒に、さらに糖(水溶液)、好ましくはショ糖(水溶液)や乳糖(水溶液)を添加した溶媒を用いることが好ましい。ここで、核酸を含む水系溶媒を添加すると、固体状態で存在していた脂質膜の断片は水の侵入とともに速やかに水和し始め、脂質膜構造体を再構築することができる。この時、核酸が脂質膜構造体内部に保持された形態の構造体が製造できる。
製造法3では、核酸が高分子の場合には、核酸は脂質膜構造体内部には入り込めず、脂質膜構造体の表面に結合した存在様式をとるが、製造法4はこの点で大きく異なる。すなわち、核酸の一部または全部は脂質膜構造体内部に取り込まれる。この製造法4は、脂質膜構造体単独の分散液をあらかじめ製造するため、乳化時の核酸の分解を考慮する必要がなく、大きさ(粒子径)の制御もし易い。従って、製造法1や製造法2に比べて比較的製造が容易である。また、この他に、一旦凍結乾燥または噴霧乾燥を行うため、製剤(核酸含有組成物)としての保存安定性を保証し易く、乾燥製剤を核酸の水溶液で再水和しても大きさ(粒子径)を元に戻せること、高分子の核酸であっても、脂質膜構造体内部に核酸を保持させ易いことなどの長所がある。
2−5)その他
脂質膜構造体と核酸との混合物が水系溶媒に分散した形態を製造するための他の方法としては、リポソームを製造する方法としてよく知られた方法、例えば逆相蒸発法などを採用できる。大きさ(粒子径)を制御する場合には、孔径のそろったメンブランフィルターを用いて、高圧力下でイクストルージョン(押し出し濾過)を行えばよい。
3)上記の脂質膜構造体と核酸との混合物が水系溶媒に分散した分散液をさらに乾燥させる形態とする場合には、凍結乾燥や噴霧乾燥等する方法を挙げることができる。この時の水系溶媒としては、上述の糖(水溶液)、好ましくはショ糖(水溶液)や乳糖(水溶液)を添加した溶媒を用いることが好ましい。脂質膜構造体と核酸との混合物が水系溶媒に分散した分散液をさらに凍結させる方法としては、通常の凍結方法が挙げられるが、この場合の水系溶媒としては、糖(水溶液)や多価アルコール(水溶液)を添加した溶媒を用いるのが好ましい。
4)1)−3)いずれの製造法においても、また各製造法のいかなる段階においても、脂質膜構造体に一般式(I)で表される化合物、リン脂質、ステロール類等の脂質を更に添加することにより、新たな膜組成および/もしくは膜構造を有する核酸含有脂質膜構造体を作製することができる。
5)1)−4)いずれの製造法においても、被導入核酸は単独の形態でもよいし、カチオン性物質と複合体化した形態でもよい。
上記のようにして得られる本発明の組成物を用いれば、細胞内に核酸を効率良く導入することができる。例えば、イン・ビトロの場合には、標的細胞を含む懸濁液に本発明の核酸含有組成物を添加したり、当該核酸含有組成物を含有する培地で標的細胞を培養する等の手段により、当該標的細胞に核酸を導入できる。また、イン・ビボの場合には、本発明の核酸含有組成物をヒトまたは非ヒト動物に投与すればよい。投与手段としては、経口投与でも、非経口投与でもよく、経口投与の剤形としては、通常知られているものでよく、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤等を挙げることができ、非経口投与の剤形としては、通常知られているものでよく、例えば、注射剤、点眼剤、軟膏剤、坐剤等を挙げることができる。好ましくは非経口投与である。中でも、注射剤が好ましく、投与方法としては、静脈注射、標的とする細胞や臓器に対しての局所注射が好ましい。
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1 式(I)で表される化合物[(Arg)8-Gly-DOPE]の合成
Boc-Gly-PAM樹脂(0.5mmol)を出発原料とし、ABI430A型全自動ペプチド固相合成機を用い、Boc法にて、保護ペプチド樹脂Boc-[Arg(Tos)]8-Gly-PAM樹脂を合成した。
得られた保護ペプチド樹脂を、無水フッ化水素処理し、樹脂から切り出すとともに脱保護して、粗ペプチドH-(Arg)8-Gly-OHを得た。得られた粗ペプチドを逆相HPLCを用いて精製後、Boc化して、Boc-(Arg)8-Gly-OHとした。
上記、Boc-(Arg)8-Gly-OHとDOPEをHOBt存在下、水溶性カルボジイミドにて縮合した後、TFAにてBoc基を除去して、粗H-(Arg)8-Gly-DOPEを得た。
得られた粗ペプチドを逆相HPLCカラム(ODS)を用い、0.1%TFAを含むH20-CH3CNの系でグラジエント溶出を行い精製した。目的物を高純度に含む分画を集め凍結乾燥して、目的ペプチドH-(Arg)8-Gly-DOPEを得た。
調製例1
dioleoyl phosphatidyl ethanolamine(DOPE;日本油脂株式会社製)とcholesteryl hemisuccinate(CHEMS;シグマアルドリッチ社製)をそれぞれ2.1mM、0.45mMの濃度になる様クロロホルムに溶解させ、これをロータリーエバポレーターで減圧乾固させて脂質混合物とした。一方、以下配列のsiRNA水溶液(1.0μM)とpoly-L-lysine hydrobromide(PLL;シグマアルドリッチ社製)を290nM含む18%スクロース溶液とを1:1の体積比率で混合し、室温で20分間インキュベートしてsiRNA/PLLコンプレックス溶液とした。
sense 5'- ACAUCACGUACGCGGAAUACUUCGA -AG -3'(配列番号1)
antisense 3'-UA- UGUAGUGCAUGCGCCUUAUGAAGCU -5'(配列番号2)
このコンプレックス溶液、F-12HAM培地(シグマ社製)を上記脂質混合物に加え、室温で20分間インキュベートした後、約65℃加温下ソニケーターで1分間超音波照射することにより表1に示す濃度のポリアルギニン未修飾リポソーム分散液(LP1、2、3、4)を得た。加えて、LP1、2、3、4それぞれに7.0μM、42μM、84μM、168μMのR8-G-DOPE水溶液を13:1の体積比率で添加し、37℃で30分間インキュベートすることにより表2に示す濃度のポリアルギニン修飾リポソーム分散液(処方例1、2、3、4)を得た。
一方、上記siRNA水溶液に代え水を用いて同様の調製を行い、それぞれの評価用コントロールとした。
Figure 2008056623
Figure 2008056623
調製例2
dioleoyl phosphatidyl ethanolamine(DOPE;日本油脂株式会社製)とcholesteryl hemisuccinate(CHEMS;シグマアルドリッチ社製)をそれぞれ2.1mM、0.45mMの濃度になる様クロロホルムに溶解させ、これをロータリーエバポレーターで減圧乾固させて脂質混合物とした。一方、以下配列のsiRNA水溶液(1.0μM)とpoly-L-lysine hydrobromide(PLL;シグマアルドリッチ社製)を290nM含む18%スクロース溶液とを1:1の体積比率で混合し、室温で20分間インキュベートしてsiRNA/PLLコンプレックス溶液とした。
sense 5'- ACAUCACUUACGCUGAGUACUUCGA -AG -3'(配列番号3)
antisense 3'-UA- UGUAGUGAAUGCGACUCAUGAAGCU -5'(配列番号4)
このコンプレックス溶液、D-MEM培地(シグマ社製)を上記脂質混合物に加え、室温で20分間インキュベートした後、約65℃加温下ソニケーターで1分間超音波照射することにより表3に示す濃度のポリアルギニン未修飾リポソーム分散液(LP5、6、7、8、9、10)を得た。加えて、LP5、6、7、8、9、10それぞれに3.8μM、7.0μM、28μM、56μM、112μM、224μMのR8-G-DOPE水溶液を13:1の体積比率で添加し、37℃で30分間インキュベートすることにより表4に示す濃度のポリアルギニン修飾リポソーム分散液(処方例5、6、7、8、9、10)を得た。
一方、上記siRNA水溶液に代え水を用いて同様の調製を行い、それぞれの評価用コントロールとした。
Figure 2008056623
Figure 2008056623
調製例3
dioleoyl phosphatidyl ethanolamine(DOPE;日本油脂株式会社製)とcholesteryl hemisuccinate(CHEMS;シグマアルドリッチ社製)をそれぞれ2.1mM、0.45mMの濃度になる様クロロホルムに溶解させ、これをロータリーエバポレーターで減圧乾固させて脂質混合物とした。一方、以下配列のsiRNA水溶液(1.0μM)とprotamine sulfate(シグマアルドリッチ社製)を3.0μM含む18%スクロース溶液とを1:1の体積比率で混合し、室温で20分間インキュベートしてsiRNA/protamineコンプレックス溶液とした。
sense 5'- ACAUCACUUACGCUGAGUACUUCGA -AG -3'(配列番号5)
antisense 3'-UA- UGUAGUGAAUGCGACUCAUGAAGCU -5'(配列番号6)
このコンプレックス溶液、D-MEM培地(シグマ社製)を上記脂質混合物に加え、室温で20分間インキュベートした後、約65℃加温下ソニケーターで1分間超音波照射することにより表5に示す濃度のポリアルギニン未修飾リポソーム分散液(LP11、12、13)を得た。加えて、LP11、12、13それぞれに3.8μM、7.0μM、28μMのR8-G-DOPE水溶液を13:1の体積比率で添加し、37℃で30分間インキュベートすることにより表6に示す濃度のポリアルギニン修飾リポソーム分散液(処方例11、12、13)を得た。
一方、上記siRNA水溶液に代え水を用いて同様の調製を行い、それぞれの評価用コントロールとした。
Figure 2008056623
Figure 2008056623
調製例4
dioleoyl phosphatidyl ethanolamine(DOPE;日本油脂株式会社製)、dimyristoyl phosphatidylglycerol(DMPG;日本油脂株式会社製)、cholesterol、をそれぞれ1.7mM、0.4mM、0.4mMの濃度になる様クロロホルムに溶解させ、これをロータリーエバポレーターにより減圧乾固させて脂質混合物とした。一方、以下配列のsiRNA水溶液(1.0μM)とpoly-L-lysine hydrobromide(PLL;シグマアルドリッチ社製)を290nM含む18%スクロース溶液とを1:1の体積比率で混合し、室温で20分間インキュベートしてsiRNA/PLLコンプレックス溶液とした。
sense 5'- ACAUCACUUACGCUGAGUACUUCGA -AG -3'(配列番号7)
antisense 3'-UA- UGUAGUGAAUGCGACUCAUGAAGCU -5'(配列番号8)
このコンプレックス溶液、D-MEM培地(シグマ社製)を上記脂質混合物に加え、室温で20分間インキュベートした後、約65℃加温下ソニケーターで1分間超音波照射することにより表7に示す濃度のポリアルギニン未修飾リポソーム分散液(LP14、15、16、17)を得た。加えて、LP14、15、16、17それぞれに3.8μM、7.0μM、28μM、56μMのR8-G-DOPE水溶液を13:1の体積比率で添加し、37℃で30分間インキュベートすることにより表8に示す濃度のポリアルギニン修飾リポソーム分散液(処方例14、15、16、17)を得た。
一方、上記siRNA水溶液に代え水を用いて同様の調製を行い、それぞれの評価用コントロールとした。
Figure 2008056623
Figure 2008056623
試験例1:処方例1〜4によるCHO細胞へのsiRNA トランスフェクション試験
処方例1〜4、評価用コントロール処方に20%FBS含有F-12HAM培地(シグマ社製)を7:6の体積比率で添加し、ポリアルギニン修飾リポソーム・FBS含有培地とした。CHO(pMAM-luc)細胞(JCRB0136.1、ヒューマンサイエンス研究資源バンクより入手)の培地をポリアルギニン修飾リポソーム・FBS含有培地と交換し、トランスフェクションを開始した。37℃、5.0%CO2で約41時間培養後、培地を1.0μMデキサメサゾン、10%FBS含有F-12HAM培地と交換した。37℃、5.0%CO2で約6〜8時間培養後、顕微鏡下で細胞の観察を行い、細胞毒性をスコア化した(−:視野の85〜100%程度を細胞が占めており、毒性による損傷の痕跡も認められない、±:視野の85〜100%程度を細胞が占めているが、一部に毒性による損傷の痕跡が認められる、+:視野の70〜80%程度を細胞が占めている、++:視野の50〜70%程度を細胞が占めている、+++:視野の50%程度未満しか細胞が占めていない)。培地除去後、PBSで洗浄した。PLBで細胞を溶解後、ルシフェラーゼ活性を測定した。また、ノックダウン率(%)を式(1)に基づき算出した。結果を表9に示す。
式(1):100×(siRNA添加時のルシフェラーゼ活性値/siRNA無添加時のルシフェラーゼ活性値)
別に、陽性コントロールとして、リポフェクトアミン2000(商品名:インビトロジェン社)を用いて、ノックダウン率の評価を行った。
siRNA溶液(1.0pmol/μL)をF-12HAM培地で2.5倍希釈しsiRNA希釈液とした。別にリポフェクトアミン2000をF-12HAM培地で50倍希釈した。さらにこの液にsiRNA希釈液を1:1の体積比率で添加し、siRNA/リポフェクトアミン2000含有培地とした。この培地20μLを別途培養中のCHO(pMAM-luc)細胞の培地(100μL)に添加し、トランスフェクションを開始した。37℃、5.0%CO2で約41時間培養後、培地を1.0μMデキサメサゾン、10%FBS含有F-12HAM培地と交換した。37℃、5.0%CO2で約6〜8時間培養後、顕微鏡下で細胞の観察を行い、細胞毒性をスコア化した(−:視野の85〜100%程度を細胞が占めており、毒性による損傷の痕跡も認められない、±:視野の85〜100%程度を細胞が占めているが、一部に毒性による損傷の痕跡が認められる、+:視野の70〜80%程度を細胞が占めている、++:視野の50〜70%程度を細胞が占めている、+++:視野の50%程度未満しか細胞が占めていない)。培地除去後、PBSで洗浄した。PLBで細胞を溶解後、ルシフェラーゼ活性を測定した。コントロールとして上記siRNA溶液に代え水を用いて同様の実験を実施し、式(1)に基づきノックダウン率(%)を算出した。結果を表9に示す。
試験例2:処方例5〜17によるHeLa細胞へのsiRNAトランスフェクション試験
処方例5〜17、評価用コントロール処方に20%FBS含有D-MEM培地(シグマ社製)を7:6の体積比率で添加し、ポリアルギニン修飾リポソーム・FBS含有培地とした。NFAT Reporter HeLa Stable Cell Line(Panomics社)の培地をこのポリアルギニン修飾リポソーム・FBS含有培地と交換し、トランスフェクションを開始した。37℃、5.0%CO2で約18時間培養後、培地を10ng/mLのPMA、0.50μM Calcium ionophore A23187および10%FBS含有D-MEM培地と交換した。37℃、5.0%CO2で約6時間培養後、顕微鏡下で細胞の観察を行い、細胞毒性をスコア化した(−:視野の85〜100%程度を細胞が占めており、毒性による損傷の痕跡も認められない、±:視野の85〜100%程度を細胞が占めているが、一部に毒性による損傷の痕跡が認められる、+:視野の70〜80%程度を細胞が占めている、++:視野の50〜70%程度を細胞が占めている、+++:視野の50%程度未満しか細胞が占めていない)。培地除去後、PBSで洗浄した。PLBで細胞を溶解後、ルシフェラーゼ活性を測定した。
また、ノックダウン率(%)を式(1)に基づき算出した。結果を表10および11に示す。
別に、陽性コントロールとして、リポフェクトアミン2000(商品名:インビトロジェン社)を用いて、ノックダウン率の評価を行った。
siRNA溶液(1pmol/μL)をD-MEM培地で2.5倍希釈しsiRNA希釈液とした。別にリポフェクトアミン2000をD-MEM培地で100倍希釈した。さらにこの液にsiRNA希釈液を1:1の体積比率で添加し、siRNA/リポフェクトアミン2000含有培地とした。この培地20μLを別途培養中のNFAT Reporter HeLa Stable Cell Lineの培地(100μL)に添加し、トランスフェクションを開始した。37℃、5.0%CO2で約18時間培養後、培地を10ng/mLのPMA、0.50μM Calcium ionophore A23187および10%FBS含有D-MEM培地と交換した。37℃、5.0%CO2で約6時間培養後、顕微鏡下で細胞の観察を行い、細胞毒性をスコア化した(−:視野の85〜100%程度を細胞が占めており、毒性による損傷の痕跡も認められない、±:視野の85〜100%程度を細胞が占めているが、一部に毒性による損傷の痕跡が認められる、+:視野の70〜80%程度を細胞が占めている、++:視野の50〜70%程度を細胞が占めている、+++:視野の50%程度未満しか細胞が占めていない)。培地除去後、PBSで洗浄した。PLBで細胞を溶解後、ルシフェラーゼ活性を測定した。コントロールとして上記siRNA溶液に代え水を用いて同様の実験を実施し、式(1)に基づきノックダウン率(%)を算出した。結果を表10および11に示す。
表9〜11から明らかなように、本発明の組成物は優れた核酸導入効率(ノックダウン率)および低細胞毒性を示した。
Figure 2008056623
Figure 2008056623
Figure 2008056623
本発明の組成物を用いると、低細胞毒性で、核酸が効率良く導入することができ、核酸導入用試薬や医薬として有用である。
配列番号1:ルシフェラーゼに対するsiRNAを構成するセンスRNA
配列番号2:ルシフェラーゼに対するsiRNAを構成するアンチセンスRNA
配列番号3:ルシフェラーゼに対するsiRNAを構成するセンスRNA
配列番号4:ルシフェラーゼに対するsiRNAを構成するアンチセンスRNA
配列番号5:ルシフェラーゼに対するsiRNAを構成するセンスRNA
配列番号6:ルシフェラーゼに対するsiRNAを構成するアンチセンスRNA
配列番号7:ルシフェラーゼに対するsiRNAを構成するセンスRNA
配列番号8:ルシフェラーゼに対するsiRNAを構成するアンチセンスRNA

Claims (19)

  1. 式(I)
    (R1)n-R2-R3 (I)
    (式中、(R1)nは総計n個のアミノ酸残基からなるポリアミノ酸残基(アミノ酸残基は、同一または異なって、アルギニン残基、リジン残基およびヒスチジン残基からなる群よりn個選ばれ、nは4〜16の整数を意味する。)を意味し、R2は単結合またはアミノ酸残基を意味し、R3は同一または異なる炭素数12〜20の不飽和脂肪酸残基を1個〜4個有するリン脂質残基を意味する。)で表される化合物またはその塩。
  2. R1がすべてアルギニン残基である請求項1記載の化合物またはその塩。
  3. nが7〜11である請求項1または2記載の化合物またはその塩。
  4. nが8〜10である請求項1または2記載の化合物またはその塩。
  5. R2がグリシン残基である請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物またはその塩。
  6. R3がジオレオイルホスファチジルエタノールアミンの残基である請求項1〜5いずれか1項記載の化合物またはその塩。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物またはその塩、および脂質を含有する組成物。
  8. 脂質がリン脂質および/またはステロール類である請求項7記載の組成物。
  9. リン脂質が、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジルコリン類、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルイノシトール類、ホスファチジルグリセロール類、カルジオリピン類、スフィンゴミエリン類、プラスマロゲン類及びホスファチジン酸類から選ばれる1種または2種以上である請求項8記載の組成物。
  10. リン脂質がホスファチジルエタノールアミンである請求項8記載の組成物。
  11. リン脂質がジオレオイルホスファチジルエタノールアミンである請求項8記載の組成物。
  12. ステロール類がコレステロールである請求項8〜11いずれか1項記載の組成物。
  13. さらにカチオン性物質を含むものである請求項7〜12いずれか1項記載の組成物。
  14. カチオン性物質がポリL-リジン、プロタミンまたはその塩、プロネクチンおよびスペルミンから選ばれる1種または2種以上である請求項13記載の組成物。
  15. 核酸の細胞内導入用である請求項7〜14のいずれか1項記載の組成物。
  16. さらに核酸を含有するものである請求項7〜15のいずれか1項記載の組成物。
  17. 脂質膜構造体を形成しているものである請求項7〜16のいずれか1項記載の組成物。
  18. 脂質膜構造体がリポソームである請求項17記載の組成物。
  19. 請求項16〜18のいずれか1項記載の組成物をイン・ビトロまたはイン・ビボで細胞に適用することを特徴とする核酸の細胞への導入方法。
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