JPWO2008056432A1 - 固体酸触媒を用いたアルケニルエーテル重合体の製造方法 - Google Patents

固体酸触媒を用いたアルケニルエーテル重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は固体酸触媒を使用したアルケニルエーテル重合体の製造方法に関する。金属酸化物(A)と塩基(B)の存在下で、アルケニルエーテル類をリビングカチオン重合させることを特徴とするアルケニルエーテル重合体の製造方法。

Description

本発明は固体酸触媒を使用したアルケニルエーテル重合体の製造方法に関する。更に詳しくは金属酸化物を固体酸触媒として使用することで触媒除去工程が容易となり、重合体中の触媒成分由来の不純物を抑制することにより、金属成分が忌避される各種デバイス用途に使用され得るアルケニルエーテル重合体の製造方法に関する。
ビニルエーテル類はアクリル系化合物と比較して皮膚刺激性や臭気が少ない、重合後の収縮率が小さく構造体としての寸法安定性に優れる等の特徴を有しており、従来指摘されてきたアクリル系化合物の欠点を改善する効果が期待されている。またビニルエーテル類は種々のモノマー骨格を設計可能なため、用途に合わせたモノマー設計、重合体の製造が可能であり、様々なデバイス用途への応用が期待されている。
従来、ビニルエーテル類のカチオン重合には均一系触媒が利用されており、様々な重合方法が報告されている。一般的には金属成分を含むLewis酸触媒系が多用されている。例えば代表的なLewis酸であるBF・EtOを使用したビニルエーテル類の重合方法は多数報告されている。
この他、ある特定の物性が制御された重合体を製造するためにリビング重合方法が検討されており、例えばビニルエーテル類のリビングカチオン重合開始剤としてHI/I系開始剤を使用した重合系が特許文献1に記載されている。また、特許文献2〜6には有機アルミニウム化合物/エーテルもしくはエステル等の添加剤とを組み合わせた開始剤を使用した重合系が例示されている。
更に、特許文献7にはアルミニウム以外の塩化物または有機金属化合物を使用したリビング重合系が示されており、非特許文献1にはSnCl/クロロ酢酸エチル系開始剤を使用したビニルエーテル類のリビング重合系が例示されている。
いずれの系でも均一系触媒のため反応効率は高いが、生成した重合体から触媒由来の金属成分を除去するためには煩雑な工程が必要であった。
特開昭60−228509号 特許3096494号 特公平7−2805号 特開昭62−257910号 特開平1−108202号 特開平1−108203号 特開2006−241189号 JOURNAL OF POLYMER SCIENCE PART A(Polymer Chemistry),43巻,4288頁(2005年)
従来の均一系触媒では重合後に生成したビニルエーテル重合体から触媒由来の金属成分を除去することが困難であり、例えば重合後に反応液に含ハロゲン溶剤(例えばクロロホルム、塩化メチレン等)等を添加し、水と混合して分液することにより目的のビニルエーテル重合体を含ハロゲン溶剤層に、触媒由来の金属成分を水層に分離し、重合体を回収する方法が採られていた。しかしながら、ビニルエーテル類は有機溶剤および水と親和性を示す両親媒性化合物であることから、水による触媒成分除去方法では分液に時間がかかり、また金属成分の除去効率が悪く、重合体の精製工程で長時間を有する問題があった。そのため、金属成分を除去して精製されたビニルエーテル類の重合体の簡便で効率的な製造方法の開発が望まれており、各種デバイス類へ応用可能な金属成分を含まないビニルエーテル重合体の開発が期待されていた。
本発明は、反応系から触媒を容易に除去することができ、重合体中に触媒由来の金属成分を含まないアルケニルエーテル重合体を効率的に得ることができるアルケニルエーテル重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、固体酸を含む触媒系を使用すれば、固体酸を重合反応後に濾別するだけで触媒の金属成分を容易に除去することが可能となるため、重合体中の金属成分が抑制されたアルケニルエーテル重合体を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、金属酸化物(A)と塩基(B)の存在下で、アルケニルエーテル類をリビングカチオン重合させることを特徴とするアルケニルエーテル重合体の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、固体酸触媒系を使用することで触媒除去工程が容易となるため、重合体中の触媒由来の不純物を抑制でき、金属成分が忌避される各種デバイス用途に使用され得るアルケニルエーテル重合体を効率よく製造することができる。
本発明において固体酸を含む触媒系としては、反応系においてLewis酸性およびブレンステッド酸性の何れかを示す固体酸が挙げられ、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化インジウム等の金属酸化物;ヘテロポリ酸;担持ハロゲン化金属等が挙げられる。これらのうち、反応性及び濾過性の両立の観点から金属酸化物を用いるのが好ましく、特に酸化鉄、酸化コバルト等の鉄族元素の酸化物;酸化インジウムを用いるのが好ましい。酸化鉄は、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)の何れも用いることができる。
金属酸化物(A)は粉末状、ペレット状等の何れの形態も用いることが可能であるが、反応性及び触媒成分の濾過性を両立させる観点から粉末状を使用するのが好ましい。粒状の酸化鉄を乳鉢等に入れて粉砕し、細かな粒子にしてから反応系に用いることも可能である。
金属酸化物(A)の使用割合は、アルケニルエーテル類1モルに対し、0.0001〜5モル、特に0.001〜2モルが好ましい。
本発明においてアルケニルエーテル類のリビングカチオン重合を実施する場合、生成したカチオン種の安定のために塩基(B)が必要である。塩基としては、特に制限されないが、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、THF等の環状エーテル類を挙げることができ、特に酢酸エチル、1,4−ジオキサンが好ましい。
塩基(B)の使用割合は、アルケニルエーテル類1モルに対し、0.0001〜5モル、特に0.01〜2モルが好ましい。
また、本発明においては、重合反応系にアルケニルエーテル類とハロゲン化水素の反応物(C)が共存することが好ましい。反応物(C)のハロゲン基が固体酸触媒の金属原子に配位することで固体酸触媒部分が全体としてアニオン構造を取り、一方でアルケニルエーテル由来の有機基にカチオンが発生するためにカチオン重合が進行すると考えられる。後記実施例に示すとおり、カチオン種を発生させるためにはアルケニルエーテル類とハロゲン化水素の反応物が好適であり、アルケニルエーテル類と酢酸の反応物では重合が進行しない。
ハロゲン化水素としては、特に制限されず、例えばフッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等が挙げられる。また、アルケニルエーテル類とハロゲン化水素の反応物としては、例えばイソブチルビニルエーテルと塩化水素との付加反応物が挙げられる。
反応物(C)の使用割合は、アルケニルエーテル類1モルに対し、0.000001〜5モル、特に0.00001〜0.1モル用いるのが好ましい。
本発明に供されるアルケニルエーテル類としては重合性ビニル基を有するエーテル類であれば特に制限されず、重合体の用途に応じて種々のアルケニルエーテル類が使用できる。アルケニルエーテル類としては、例えばビニル基、プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチルアリル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基などの炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基を有するエーテル類を挙げることができる。これらのうち、ビニルエーテル類が好ましく、特にメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、更にはデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類が好ましい。また、次の式(1)に示されるような構造を有するオキシエチレン鎖含有ビニルエーテル類も好適に使用することができる。
Figure 2008056432
(式中、Rは水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数を示す。)
で示される炭素数1〜20の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。
脂肪族炭化水素基としては、鎖式炭化水素基又は脂環式炭化水素基を挙げることができる。ここで、鎖式炭化水素基としては、例えばC〜C20アルカン、C〜C20アルケン、C〜C20アルキンを挙げることができる。これらは直鎖状であっても、分枝鎖状でもあってもよい。また、脂環式炭化水素基としては、C〜C20シクロアルカン、C〜C20シクロアルケン等を挙げることができる。なお、この脂環式炭化水素基には、C〜C20の鎖式炭化水素基とC〜Cの脂環式炭化水素基が結合した基も含まれる。
芳香族炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれであってもよく、単環式芳香族炭化水素基としては、フェニル基を挙げることができる。多環式芳香族炭化水素基としては、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、インダニル基、インデニル基、アントラセニル基、フェナントリル基等を挙げることができる。
ヘテロ原子としては、ホウ素、窒素、ケイ素、リン等を挙げることができ、これらは1個であっても2個以上であってもよい。
また、本発明で使用するアルケニルエーテル類はヒドロキシル基を有していてもよい。
上記においてRが水素原子の場合、及びアルケニルエーテル類がヒドロキシル基を有する場合、当該OH基は重合前にトリアルキルシリル基、トリアルキルシリロキシ基、アセトキシ基、ベンゾキシ基などの保護基で保護される。保護基は、重合反応後、酸又はアルカリで脱離させることでOH基を有する構造単位が得られる。
具体的にはメトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、プロポキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、2ーメトキシエトキシエチルビニルエーテル、2ーエトキシエトキシエチルビニルエーテル、2ーメトキシー2ーエトキシエトキシエチルビニルエーテル、2ーエトキシー2ーエトキシエトキシエチルビニルエーテル、フェノキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メトキシエチルプロペニルエーテル、エトキシエチルプロペニルエーテル、プロポキシエチルプロペニルエーテル、ブトキシエチルプロペニルエーテル、2ーメトキシエトキシエチルプロペニルエーテル、2ーエトキシエトキシエチルプロペニルエーテル、2ーメトキシー2ーエトキシエトキシエチルプロペニルエーテル、2ーエトキシー2ーエトキシエトキシエチルプロペニルエーテル、フェノキシエチルプロペニルエーテル等のプロペニルエーテル類;活性プロトンを例えばシリル保護したヒドロキシエチルビニルエーテル誘導体、ヒドロキシブチルビニルエーテル誘導体等が挙げられる。
この他、脂環骨格を有する脂環ビニルエーテル類も好適に使用することができる。代表的な脂環ビニルエーテル類を以下に示す。
Figure 2008056432
これらの脂環式ビニルエーテル類を使用することにより透明で機械物性に優れた重合体が製造でき、更には高い耐熱性も期待できる。また脂環骨格とビニルエーテル基との間にメチレン鎖、もしくはオキシメチレン鎖を導入した脂環ビニルエーテル類も好適に使用することが可能であり、生成した重合体の機械物性を改善できることが期待できる。
更に、アルケニルエーテル類は生成する重合体に要求される樹脂物性を損なうことがなければ、必要に応じて二種類以上のモノマーを使用して共重合体としても何ら差し支えは無い。共重合体はランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれも製造可能であり、重合体の用途に合せて最適な共重合体を製造することができる。
本発明においてリビングカチオン重合反応は溶媒の不在下で行うことも可能であるが、適当な有機溶媒の存在下で行うことも可能である。有機溶媒としては例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒:プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、デカン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン、塩化エチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。これらの有機溶媒の中でも特にトルエン、塩化メチレンが好ましい。これらの有機溶剤は必要に応じて、単独または2種類以上の溶剤を組み合わせて使用してもよい。これらの有機溶剤は未精製のまま使用しても構わないし、蒸留等により精製してから使用することもでき、いずれの場合も分子量分布の狭いリビング重合体を製造することが可能である。
本反応系は固液の二層系反応であるため、反応系の撹拌効率が重合反応に大きく影響する。撹拌を実施すると重合反応は進行するが、撹拌しないと重合は遅くなるため、重合体製造には常に撹拌することが好ましい。
重合温度は使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等により異なるが、通常−80〜150℃の範囲で重合が可能であり、好ましくは−50〜100℃の範囲、工業的により好ましくは−20〜80℃の範囲である。室温下での重合反応でも分子量分布の狭いリビング重合体を製造することが可能である。
重合時間は使用する重合開始剤、モノマー、溶媒、反応温度等により異なるが、通常10分〜100時間の範囲である。重合反応はバッチ式、連続式のどちらの方法でも好適に行うことができる。
重合の停止は、メタノール等の低級アルコール、必要に応じてアンモニアやアミン等の塩基性化合物を極少量加えた低級アルコール溶液を添加することにより行う。生成物はそのまま、あるいはメタノール等再沈殿法、薄膜蒸発法等によって未反応モノマーや溶媒を除くことにより、重合体が得られる。
本発明の方法により得られる重合体又は共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により標準ポリスチレン検量線から求めた重量平均分子量(Mw)は、重合体の用途にもよるが通常は500〜2,000,000、特に好ましくは1,000〜500,000の範囲である。また、GPC法により標準ポリスチレン検量線から求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は通常1.0〜3.0の範囲であり、より好ましくは1.0〜2.0の範囲、更に好ましくは1.0〜1.5の範囲である。
固体酸触媒を重合体から除去するには、反応液を濾過して固体酸触媒と重合体を含む溶液成分とを分離することで容易に可能である。濾過工程は重合体の分解劣化を生じない温度であれば問題は無く、−100〜150℃の範囲、好ましくは−50〜100℃の範囲である。また、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気で処理することが重合体の劣化抑制のためには好ましい。濾過して分離回収された固体酸触媒はアルケニルエーテル類のリビング重合反応に再使用することができる。また、固体酸触媒が磁性を有する場合は、磁石を用いて分離回収するのが、簡便で好ましい。
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、重量平均分子量、数平均分子量及び重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、ポリスチレンゲル換算のゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)で測定した[RI検出器、カラム(東ソー(株)TSKgelカラムG−2000HXL+3000HXL+4000HXL)、溶離液はクロロホルム]。
実施例1 酸化鉄Fe/IBVE−HCl/添加塩基系による重合反応
酸化鉄としてα型のFe(いわゆる赤さびの主成分、ベンガラ)を使用し、まず空気下で乳鉢にて約10分間粉砕した後、窒素雰囲気下、約400℃で8分間加熱処理した。
該酸化鉄を室温まで冷却後、窒素雰囲気下、反応溶媒として蒸留トルエン(80vol%)、添加塩基として酢酸エチル(0.76M)、モノマーとしてイソブチルビニルエーテル(0.76M)、開始種のイソブチルビニルエーテル−HCl付加体トルエン溶液(4.0mM)を順に添加し、0℃で反応を開始した。重合中は常に撹拌を実施し、分散した赤色の懸濁液の状態で重合が進行した。8時間後、少量のアンモニア水入りメタノール(約3mL)を添加して反応を停止したのち、遠心分離して酸化鉄を沈殿させ、デカンテーションにより触媒を除去した。得られたポリマー(反応率>99%)の重量平均分子量(Mw)は18,000、数平均分子量(Mn)は17,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であり、リビング重合反応が進行していることを示唆する結果となった。
実施例2 リビング重合性の確認
実施例1記載の条件で、反応時間のみを2時間、および4時間にした重合反応を実施し、生成ポリマーのGPC分析を実施したところ、いずれも分子量分布が狭く(Mw/Mn<1.1)、更には反応率の向上と共に数平均分子量が直線的に増加していることが明らかになった。また、重合反応がほぼ完了した際に新たにモノマーを添加(0.76M)したところ、分子量分布が狭いまま高分子量体が生成した。これらの結果から、リビング重合反応が進行していることが明らかになった。
実施例3 酸化鉄Fe/IBVE−HCl/添加塩基系による重合反応(温度影響)
実施例1の重合温度のみ30℃に変え、同様な条件で重合を行ったところ、5時間後に得られたポリマー(反応率99%)の重量平均分子量(Mw)は16,700、数平均分子量(Mn)は15,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.08と極めて狭く、リビング重合反応が進行していることを示唆する結果となった。
実施例4 酸化鉄Fe/IBVE−HCl/添加塩基系による重合反応(添加塩基影響)
実施例1の添加塩基のみ1,4−ジオキサンに変え、同様な条件で重合を行ったところ、8時間後に得られたポリマー(反応率93%)の重量平均分子量(Mw)は18,700、数平均分子量(Mn)は17,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.09と極めて狭く、リビング重合反応が進行していることを示唆する結果となった。
実施例5 酸化鉄Fe/IBVE−HCl/添加塩基系による重合反応(溶媒影響)
実施例4の溶媒を含水トルエン([HO]=12mM)に変え、同様な条件で重合を行ったところ、8時間後に得られたポリマー(反応率93%)の重量平均分子量(Mw)は16,400、数平均分子量(Mn)は15,600、分子量分布(Mw/Mn)は1.05と極めて狭く、リビング重合反応が進行していることを示唆する結果となった。この結果、系中に少量の水が存在しても副反応に関与していないことが明らかになった。
実施例6 酸化鉄Fe/IBVE−HCl/添加塩基系による重合反応(溶媒影響)
実施例5の溶媒をトルエン(和光純薬工業特級、純度99.5+%)に変え、同様な条件で重合を行ったところ、21時間後に得られたポリマー(反応率89%)の重量平均分子量(Mw)は20,200、数平均分子量(Mn)は18,800、分子量分布は(Mw/Mn)は1.07と極めて狭く、リビング重合反応が進行していることを示唆する結果となった。
実施例7 酸化鉄Fe触媒の重合への再使用
実施例1の実験終了後、生成ポリマーを系から取り出し、残った酸化鉄触媒を、まず室温で6時間、約1mmHgで減圧乾燥し、その後8分間約400℃で加熱処理した。その後実施例1と同様な条件で重合反応を行い、8時間後にポリマーを回収した。この操作を5回繰り返して、酸化鉄触媒の再利用を試みた。表1に結果をまとめる。
Figure 2008056432
いずれも実施例1と同様に反応率が高く、分子量分布の極めて狭いリビングポリマーが製造可能であることが明らかになった。
実施例8 酸化鉄Fe(砂鉄)/IBVE−HCl/添加塩基系による重合反応及び磁石による触媒回収(固体触媒影響、触媒回収方法)
酸化鉄としてFe(いわゆる砂鉄、マグネタイト)を重合の触媒として使用した。
該Feを窒素雰囲気下、反応溶媒として蒸留トルエン(80vol%)、添加塩基として酢酸エチル(1.0M)、モノマーとしてイソブチルビニルエーテル(0.76M)、開始種のイソブチルビニルエーテル−HCl付加体トルエン溶媒(4.0mM)を順に添加し、0℃で反応を開始した。重合中は常に撹拌を実施し、分散した黒色の懸濁液の状態で重合が進行した。2時間後、少量のアンモニア水入りメタノール(約3mL)を添加して反応を停止したのち、磁石を用いるか遠心分離してFeを沈殿させ、デカンテーションにより触媒を除去した。磁石を用いての触媒除去は本実施例特有の操作である。得られたポリマー(反応率96%)の重量平均分子量(Mw)は18,800、数平均分子量(Mn)は17,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であり、リビング重合反応が進行していることを示唆する結果となった。
実施例9 酸化鉄Fe触媒の重合への再使用
実施例8の実験終了後、生成ポリマーを系から取り出し、残った酸化鉄触媒を、まず室温で6時間、約1mmHgで減圧乾燥した。その後実施例8と同様な条件で重合反応を行い、0.5時間後にポリマーを回収した。この操作を2回繰り返して、酸化鉄触媒の再利用を試みた。表2に結果をまとめる。
Figure 2008056432
いずれも実施例8と同等の分子量分布の極めて狭いリビングポリマーが製造可能であることが明らかになった。
実施例10 酸化コバルト/IBVE−HCl/添加塩基系による重合反応(固体触媒影響)
実施例1の酸化鉄を酸化コバルトに換え、同様な条件で重合を行った。32時間後得られたポリマー(反応率35%)の主成分の重量平均分子量(Mw)は7,500、数平均分子量(Mn)は7,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.04と非常に狭く、リビング重合反応が進行していることを示唆する結果となった。このように酸化鉄以外の金属酸化物固体を用いてもリビング生長種が得られていることが明らかになった。
実施例11 酸化インジウム/IBVE−HCl/添加塩基系による重合反応(固体触媒影響)
実施例1の酸化鉄を酸化インジウムに変え、同様な条件で重合を行ったところ、22時間後に得られたポリマー(反応率62%)の重量平均分子量(Mw)は12,900、数平均分子量(Mn)は12,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.05と極めて狭く、リビング重合反応が進行していることを示唆する結果となった。このように酸化鉄以外の金属酸化物を用いてもリビング生長種が得られることが明らかになった。
比較例1 酸化鉄Fe/IBVE−AcOH/添加塩基系による重合反応(開始種の影響)
実施例1の開始種をイソブチルビニルエーテルの酢酸付加体に変え、同様な条件で重合を行ったところ、23時間後、ポリマーは全く得られず、開始種の構造が重合に及ぼす影響が大きいことが明らかになった。また、同様に開始種としてHOを添加しても重合は進行しなかった。
比較例2 酸化鉄Fe/IBVE−HCl/添加塩基系による重合反応(塩基無添加の影響)
実施例1の系において、塩基を無添加の条件にした以外は同じ条件で重合を行ったところ、8時間後に得られたポリマー(反応率91%)の重量平均分子量(Mw)は24,500、数平均分子量(Mn)は12,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.89と、分子量分布の比較的広いポリマーが得られ、リビング重合のためには添加塩基が必須であることが明らかになった。
以上の結果から、金属酸化物と塩基、更にはアルケニルルエーテル類とハロゲン化水素との反応物とが共存する不均一系触媒により、アルケニルエーテル類のリビングカチオン重合が可能となり、生成した重合体の触媒成分を濾別するだけで精製された重合体を得ることが可能であることが明らかになった。

Claims (9)

  1. 金属酸化物(A)と塩基(B)の存在下で、アルケニルエーテル類をリビングカチオン重合させることを特徴とするアルケニルエーテル重合体の製造方法。
  2. アルケニルエーテル類がビニルエーテル類である請求項1記載の製造方法。
  3. 金属酸化物(A)が、鉄族元素の酸化物及び酸化インジウムからなる群より選択された金属酸化物である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 金属酸化物(A)が、酸化鉄、酸化コバルト又は酸化インジウムである請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 塩基(B)がエステル又は環状エーテルである請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
  6. さらに、アルケニルエーテル類とハロゲン化水素との反応生成物(C)の存在下で重合させる請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 重合反応溶液を攪拌しながら重合反応を行う請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. 反応後の触媒を分離回収して再使用することを含む請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法。
  9. 反応後の触媒を磁石を用いて分離回収することを含む請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法。
JP2008542984A 2006-11-10 2007-05-10 固体酸触媒を用いたアルケニルエーテル重合体の製造方法 Pending JPWO2008056432A1 (ja)

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