JPWO2008044573A1 - キャパシタ層形成材及びキャパシタ層形成材の製造方法並びにそのキャパシタ層形成材を用いて得られる内蔵キャパシタを備えるプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
ペロブスカイト構造を備える酸化物誘電層の温度特性の改善及びリーク電流の低減化を同時に達成できるプリント配線板用のキャパシタ層形成材の提供を目的とする。この目的をを達成するため、上部電極形成層5と下部電極形成層6との間に誘電層2を備えるキャパシタ層形成材において、前記誘電層2は、マンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層3及びマンガン含有酸化物誘電層4の複層構造酸化物誘電層であることを特徴としたキャパシタ層形成材1を採用する。そして、このキャパシタ層形成材の製造方法として、物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガンレス酸化物誘電層及びマンガン含有酸化物誘電層を形成する方法等を採用する。
Description
本件出願に係る発明は、キャパシタ層形成材及びそのキャパシタ層形成材の製造方法並びにそのキャパシタ層形成材を用いて得られる内蔵キャパシタ層を備えたプリント配線板に関する。
近年、キャパシタ回路を内蔵した多層プリント配線板は、その内層に位置する1以上の層をキャパシタ回路を含んだ層として用い、そのキャパシタ回路の誘電層の両面に位置する内層回路にキャパシタ回路の上部電極及び下部電極が対峙して配置された形で用いられてきた。
そして、このキャパシタ回路層は、上部電極形成層/誘電層/下部電極形成層の3層構造を持つキャパシタ回路形成材を、特許文献1に開示されているようにエッチング法等を用いて加工して得られるものである。本件発明に言うプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材は、上部電極形成に用いる第1導電層と下部電極形成に用いる第2導電層との間に誘電層を備える構成を持つものとして表しており、当該第1導電層と第2導電層とは、エッチング加工等によりキャパシタ回路を形成するように加工され、プリント配線板等の電子材料の構成材料として用いられる。
そして、前記誘電層は、絶縁性を有し、一定量の電荷を蓄積するためのものである。このような誘電層の形成方法には、種々の方法が採用されている。
例えば、特許文献2には、化学的気相反応法を用いるものとして、下地上に400℃より低い温度で非晶質状SrTiO3系薄膜を堆積する工程と、該非晶質状SrTiO3系薄膜をレーザアニール又はラピッドサーマルアニール処理して結晶化させ、SrTiO3系薄膜を得る工程とを含む製造方法が開示されている。この方法で得られた誘電層は、高い誘電率を有するSrTiO3系薄膜を得ることを目的としている。
次に、特許文献3には、スパッタリング蒸着法を用いたものとして、基板上の任意の層に下部電極、高誘電率の誘電体、上部電極が積層された薄膜キャパシタにおいて、該高誘電率の誘電体が結晶粒と結晶粒界からなる多結晶であって、複数の原子価を取りうる金属イオンを不純物として含有し、該結晶粒内部よりも該結晶粒界近傍に高濃度の該不純物を含有していることを特徴とする薄膜キャパシタが開示され、その複数の原子価を取りうる金属イオンとしてMnイオンが好適であることが開示されている。この方法で得られた薄膜キャパシタは、長期信頼性が高く絶縁破壊に至る時間が長いとある。
更に、特許文献4には、ゾル−ゲル法を用いたものとして、基板表面に水酸化処理を施した後、該基板上に、金属アルコキシドを原料とする酸化物誘電体薄膜を形成する酸化物誘電体薄膜の製造方法が開示されている。ここで、薄膜として形成できる酸化物誘電体は、誘電特性を有する金属酸化物であって、例えば、LiNbO3、Li2B4O7、PbZrTiO3、BaTiO3、SrTiO3、PbLaZrTiO3、LiTaO3、ZnO、Ta2O5等を用いるとある。この方法で得られた、酸化物誘電体薄膜は、配向性に優れ、結晶性の良好な酸化物誘電体薄膜とある。
中でも、特許文献4に開示のゾル−ゲル法を用いた誘電層の形成は、化学的気相反応法(CVD法)若しくはスパッタリング蒸着法を用いた誘電層の形成に比べ、真空プロセスを用いることも不要で、誘電層を広い面積の基板上に形成することも容易であるという利点がある。しかも、誘電層の構成成分を理論的比率にすることが容易で、且つ、極めて薄い誘電膜が得られるため、大容量のキャパシタ層を形成する手法としての期待がかけられている。
しかしながら、ゾル−ゲル法を用いた誘電層には長所と欠点とが存在する。その長所は、(i)広面積誘電層の形成が可能、(ii)一般的に大容量のキャパシタ層に必須とされる極めて薄い誘電膜として形成可能という点等を挙げることが出来る。
一方、欠点は、(I)その薄さ故に膜厚の不均一及び酸化物粒子の粒子間の間隙の存在により、キャパシタを形成した際の上部電極と下部電極との短絡の問題がありリーク電流が大きくなる場合があり生産歩留りが低い、(II)雰囲気温度の変化によって電気容量等の変化が大きく温度特性に欠ける等を挙げることが出来る。
以上のことから、市場では、BST系誘電層をはじめとする酸化物誘電層の温度特性の改善及びリーク電流の低減化が達成できるプリント配線板用の内蔵キャパシタ層形成材への要求が高まってきた。
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、プリント配線板のキャパシタ回路としての温度特性を大幅に向上させ、且つ、リーク電流の低減が可能なプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材に想到した。以下、本件発明に関して述べる。
本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材: 本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材は、上部電極形成層と下部電極形成層との間に誘電層を備える層構成を備え、その誘電層が2種類の層からなる点に特徴がある。この誘電層は、マンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層及びマンガン含有酸化物誘電層の複層構造酸化物誘電層であることを特徴としたものである。
そして、本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の前記マンガン含有酸化物誘電層は、n層(2≦n)の第1サブ誘電層〜第nサブ誘電層で構成されており、当該第1サブ誘電層はマンガン含有誘電層であり、第2サブ誘電層〜第nサブ誘電層の一部がマンガンを含有しないものであることも好ましい。
本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材において、前記マンガン含有酸化物誘電層は、その厚さが10nm〜500nmである事が好ましい。
そして、本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の前記誘電層は、その厚さが20nm〜1μmである事が好ましい。
また、本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の前記下部電極形成層は、厚さが1μm〜100μmのニッケル層又はニッケル合金層である事が好ましい。
更に、本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の前記上部電極形成層は、厚さが0.5μm〜50μmのニッケル層、銅層、ニッケル合金層、銅合金層のいずれか又はこれらの組み合わせによる積層構造を備えるものである事が好ましい。
そして、本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の前記誘電層は、樹脂含浸させたものであることも好ましい。
本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法: 上述の本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法では、誘電層の形成に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いる。
本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法は、下部電極形成層の上に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層を形成し、当該マンガンレス酸化物誘電層の上に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガン含有酸化物誘電層を形成することで複層構造酸化物誘電層とし、当該複層構造酸化物誘電層の上に上部電極形成層を形成することを特徴としたものである。
また、樹脂含浸誘電層を備えるプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材を製造する場合には、下部電極形成層の上に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層を形成し、当該マンガンレス酸化物誘電層の上に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガン含有酸化物誘電層を形成することで複層構造酸化物誘電層とし、当該マンガンレス酸化物誘電層又はマンガン含有酸化物誘電層との少なくとも一方の層に樹脂含浸させ樹脂含浸誘電層とし、当該複層構造酸化物誘電層の上に上部電極形成層を形成することを特徴としたプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法を採用することが好ましい。
そして、樹脂含浸誘電層を備えるプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法においては、前記樹脂含浸処理は、誘電層の表面に樹脂ワニスを塗布して含浸させ、樹脂乾燥、樹脂硬化することが好ましい。
また、本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法において、前記複層構造酸化物誘電層がゾル−ゲル法により形成されたものであり、以下の工程a〜工程fの各工程を経て得られることが好ましい。
工程a: 未焼成マンガンレス誘電層及びマンガンを含有しないサブ誘電層を形成するための第1ゾル−ゲル溶液を調製する。
工程b: マンガンを含有するサブ誘電層を形成するための第2ゾル−ゲル溶液を調製する。
工程c: 下部電極形成層の表面に第1ゾル−ゲル溶液を塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行うことで未焼成マンガンレス誘電層を形成する。
工程d: 前記未焼成マンガンレス誘電層の表面に、第2ゾル−ゲル溶液を塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行う一連の工程を一回行い第1未焼成サブ誘電層を形成する。
工程e: その後第1ゾル−ゲル溶液又は第2ゾル−ゲル溶液のいずれかを塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行う一連の工程を1単位工程とし、この1単位工程を(n−1)回繰り返して行うことで、一部又は全ての層にマンガンを含有した第2未焼成サブ誘電層〜第n未焼成サブ誘電層を形成する。
工程f: 上記工程で得られた未焼成の誘電層を焼成することで、マンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層と、マンガンを含有したマンガン含有酸化物誘電層を有する複層構造酸化物誘電層を形成するための最終焼成を行う。
工程b: マンガンを含有するサブ誘電層を形成するための第2ゾル−ゲル溶液を調製する。
工程c: 下部電極形成層の表面に第1ゾル−ゲル溶液を塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行うことで未焼成マンガンレス誘電層を形成する。
工程d: 前記未焼成マンガンレス誘電層の表面に、第2ゾル−ゲル溶液を塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行う一連の工程を一回行い第1未焼成サブ誘電層を形成する。
工程e: その後第1ゾル−ゲル溶液又は第2ゾル−ゲル溶液のいずれかを塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行う一連の工程を1単位工程とし、この1単位工程を(n−1)回繰り返して行うことで、一部又は全ての層にマンガンを含有した第2未焼成サブ誘電層〜第n未焼成サブ誘電層を形成する。
工程f: 上記工程で得られた未焼成の誘電層を焼成することで、マンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層と、マンガンを含有したマンガン含有酸化物誘電層を有する複層構造酸化物誘電層を形成するための最終焼成を行う。
そして、ゾル−ゲル法を用いて前記複層構造酸化物誘電層を形成する場合には、前記工程d及び工程eにおいて、1単位工程の処理に先立ち任意に550℃〜800℃での予備焼成処理を設けることも好ましい。
更に、前記第2ゾル−ゲル溶液は、マンガンを0.01mol%〜5.00mol%含有するペロブスカイト構造の酸化物誘電膜の形成溶液を用いることが好ましい。
本件発明に係るプリント配線板: 上述の本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材を用いて得られた内蔵キャパシタ層を形成したプリント配線板は、その静電特性における温度特性に優れ、且つ、リーク電流が小さくなり、高品質のものとなる。
本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材は、マンガンレス酸化物誘電層/マンガン含有酸化物誘電層の複層構造酸化物誘電層を備えるものである。このキャパシタ層形成材をプリント配線板の内蔵キャパシタ回路の形成に用いることで、このキャパシタ層形成材を加工して得られるキャパシタ回路の高い平均容量密度の確保、リーク電流の抑制、温度特性等の向上が可能となり、電気特性において非常にバランスの取れた内蔵キャパシタ層を形成したプリント配線板を提供できる。特に、電気容量密度の温度依存性を小さくし、且つ、リーク電流を小さくする効果の両立が可能という点に於いて優れている。
また、本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法には、結果として、誘電層がマンガンレス酸化物誘電層/マンガン含有酸化物誘電層の複層構造を得ることが出来る限り、あらゆる製造方法の使用が可能であるが、特に、ゾル−ゲル法によるBST系誘電膜の形成に応用することが好ましい。
以下、本件発明に係るプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の形態、その製造方法の形態及び内蔵キャパシタ層を備えるプリント配線板の各形態に関して説明し、実施例及び比較例を示す。以下、プリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材を、単に「キャパシタ層形成材」と称する。
本件発明に係るキャパシタ層形成材の形態: 本件発明に係るキャパシタ層形成材は、上部電極形成層と下部電極形成層との間に誘電層を備える層構成を基本とする。図1に、本件発明に係るキャパシタ層形成材1の層構成の中で、当該誘電層2の層構成が明瞭に分かるように模式断面図を例示した。この図1から分かるように、上部電極形成層5と下部電極形成層6との間の誘電層が2層からなる点に特徴がある。この誘電層2は、マンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層3及びマンガン含有酸化物誘電層4の複層構造酸化物誘電層であることを特徴とする。
最初に、酸化物誘電層という用語に関して説明しておく。ここで言う酸化物誘電層とは、誘電体として機能するBaTiO3、SrTiO3、BaSrTiO3、PbZrTiO3、PbLaTiO3・PbLaZrO3、PbCaZrTiO3、SrBi2Ta2O9等のペブロスカイト構造を持つ酸化物で構成された層のことである。
マンガンを酸化物誘電層中に含有させると、マンガンは酸化物誘電層の中で、主にマンガン酸化物の形で存在する可能性が高い。そして、マンガンは、酸化物誘電層の結晶粒界及び粒内に存在していると考えられる。このようなマンガンは、キャパシタ層形成材を加工して得られるキャパシタ回路としての性能の内、リーク電流の低減に寄与する。リーク電流の低減に関するメカニズムは、次のように考える。誘電層のリーク電流が発生する経路としては、酸化物誘電膜の結晶粒界及び格子欠陥を経由する可能性が高い。そこで、酸化物誘電膜の結晶粒界及び粒内にマンガンを含ませることで、リーク電流の流路を遮断していると思われる。
また、マンガンの酸化物誘電層への添加は、温度特性の向上にも寄与している。そのメカニズムは、明確にではないが、次のように考えている。マンガンの添加により酸化物誘電層の製造時に高温が負荷されると結晶粒成長が阻害され、酸化物誘電層の結晶粒径が小さくなり、強誘電特性を示し難く、常誘電の特性を示すようになるためと考えている。また、マンガンが結晶粒界部分に偏析し、強誘電特性を示すコアの周囲に強誘電特性を備えないマンガンがシェルを構成するように配置され擬似的にコア−シェル構造をとっている為ではないかと考えている。
しかしながら、酸化物誘電層の全部に均一にマンガンを含有させると、誘電率が大きく低下する傾向になる。従って、かかる場合の誘電層は、温度特性は良好でも、要求される容量密度を満足し得ない場合が多くなる。そこで、より薄く且つ広い面積の誘電層が要求されることになるが、このような要求が厳しくなるほど生産性が低下するため量産には適さない。これに対し、酸化物誘電層に一切のマンガンを含有させない場合は、温度変化による誘電率が大きく変化し、室温で良好な誘電特性を示しても、高温で良好な誘電特性を示さず、安定した温度特性が得られない傾向がある。ここで、単に温度特性と記述しているのは、温度変化に対応して、キャパシタ回路の平均容量密度が変化する特性である。例えば、発熱を多く伴うコンピュータ等のプリント配線板のキャパシタ回路として用いる際には、キャパシタとしての品質が温度により変化するため、キャパシタ回路としての品質が一定ではない。従って、回路設計としても困難を伴う。
そこで、誘電層内に一定の厚さのマンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層(以下、単に「マンガンレス酸化物誘電層」と称する。)を設け、マンガン含有酸化物誘電層との複層構造酸化物誘電層とすることで、上記リーク電流を低減し、且つ、温度特性を向上させる。
そして、前記マンガン含有酸化物誘電層は、n層(2≦n)の第1サブ誘電層〜第nサブ誘電層で構成することも好ましい。このマンガン含有酸化物誘電層4を構成する複数の層のそれぞれを「サブ誘電層」と称し、各サブ誘電層を第1サブ誘電層〜第nサブ誘電層と称する。このサブ誘電層は、例えばキャパシタ回路の誘電層として使用可能な段階で、その断面を走査型電子顕微鏡等で観察することにより確認できる。なお、第1サブ誘電層〜第nサブ誘電層は、下部電極側から順にカウントした位置のサブ誘電層を示すものである。
そして、第1サブ誘電層をマンガンを含有した層として、以降の第2サブ誘電層〜第nサブ誘電層の一部又は全部をマンガンを含有しない層として構成することも可能である。キャパシタ回路として使用するときの要求品質、使用環境等を考慮して、適宜層設計を変更すればよい。図2(a)〜図2(c)には、図1で示した以外の本件発明に係るキャパシタ層形成材の層構成の一部態様を、誘電層2の層構成が明瞭に見て取れるように模式的に例示した。この図では、マンガン含有酸化物誘電層4を構成するサブ誘電層を、マンガン含有サブ誘電層m、マンガンを含有しないサブ誘電層nとして分別して記載している。なお、ここで説明に用いる全ての図面に於いて、層の厚さ等は現実の製品の厚さを相対的に反映させたものでないことを明記しておく。
以上に述べたマンガン含有酸化物誘電層は、電気容量密度の温度依存性を小さくし、且つ、リーク電流を小さくする効果を得るために必要なものである。そして、その厚さが10nm〜500nmである事が好ましい。マンガン含有酸化物誘電層の厚さが10nm未満になると、電気容量密度の温度依存性を小さくする事が困難になる。一方、マンガン含有酸化物誘電層の厚さが500nmを超えるものとすると、それ以上に温度特性の向上効果が顕著になることもないばかりか、高い容量密度の維持が困難になる。
そして、本件発明に係るキャパシタ層形成材の前記誘電層は、その厚さが20nm〜1μmである事が好ましい。誘電層の厚さは、薄いほど電気容量が向上する。しかし、当該誘電層の厚さが20nm未満となると、例えマンガン含有酸化物誘電層を設けても、リーク電流を抑制する効果がなくなり、耐電圧特性に劣り絶縁破壊が早期に起こるため長寿命化が出来ない。一方、高い電気容量を維持する観点から1μm程度の厚さが上限となる。
上述のマンガン含有酸化物誘電層の厚さと誘電層の厚さとの関係から、自ずとマンガンレス酸化物誘電層の厚さが導き出せる。このマンガンレス誘電層の役割は、高い誘電率を発揮する誘電層とするために必要なものである。そして、このマンガンレス酸化物誘電層は、下部電極の直上に存在させることが好ましい。
ここで、当該誘電層に含ませるマンガン量に関して述べておく。誘電層全体として、マンガン含有量は、0.01mol%〜5.00mol%の範囲とすることが好ましい。当該マンガン量が0.01mol%未満の場合には、酸化物誘電層の結晶粒界へのマンガンの偏析が不十分であり、良好なリーク電流遮断効果及び良好な耐電圧特性も得られない。一方、当該マンガン量が5.00mol%を超える場合には、当該酸化物誘電層の結晶粒界へのマンガンの偏析が過剰になり、誘電層が脆く靱性が失われ、エッチング法で上部電極形状等を加工する際のエッチング液シャワー等により誘電層破壊が起こる等の不具合が生じ、結果として良好なリーク電流遮断効果及び良好な耐電圧特性も得られにくい。従って、マンガンを、上述の範囲で含む酸化物誘電膜組成を採用することで、耐電圧特性を向上させ、リーク電流をより小さくして長寿命化を達成するのである。なお、より好ましくは、当該酸化物誘電層に含ませるマンガン量は0.25mol%〜3.00mol%である。より確実にマンガンを含有した酸化物誘電層としての品質を確保するためである。なお、本件発明に言うマンガンの含有量は、ABO3として酸化物誘電材を表す場合において、A成分とB成分との総量を100mol%としたときのマンガンの含有mol%として示している。
次に、本件発明に係るキャパシタ層形成材の前記下部電極形成層は、厚さが1μm〜100μmのニッケル層又はニッケル合金層を用いることが好ましい。これらニッケル層又はニッケル合金層が好ましいのは、以下の(1)〜(4)の利点があるからである。
(1)金属箔としての入手が可能で、その箔状態のままで、その表面に酸化物誘電層の形成が可能である。
(2)ゾル−ゲル法等の高温負荷が行われる酸化物誘電層の形成法を採用する場合の過酷な熱履歴に対しての耐酸化性、抗軟化特性が優れている。
(3)ニッケル合金組成を変化させることで、酸化物誘電層との密着性が制御出来る。(4)卑金属層とすることで、エッチング法により、下部電極形状を形成するときのファインなキャパシタ回路の形成が容易となる。
(2)ゾル−ゲル法等の高温負荷が行われる酸化物誘電層の形成法を採用する場合の過酷な熱履歴に対しての耐酸化性、抗軟化特性が優れている。
(3)ニッケル合金組成を変化させることで、酸化物誘電層との密着性が制御出来る。(4)卑金属層とすることで、エッチング法により、下部電極形状を形成するときのファインなキャパシタ回路の形成が容易となる。
ここで言うニッケル層又はニッケル合金層は、主に金属箔を用いることを意図している。従って、ニッケル層とは、所謂純度が99wt%(その他、不可避不純物)以上の純ニッケル箔で形成される層である。そして、ニッケル合金層とは、例えばニッケル−リン合金を用いて形成される層である。ここで言うニッケル−リン合金のリン含有量は0.1wt%〜11wt%である事が好ましい。ニッケル−リン合金層のリン成分は、キャパシタ層形成材の製造及び通常のプリント配線板の製造プロセスにおいて高温負荷されることがあれば、酸化物誘電層の内部に拡散し、当該酸化物誘電層との密着性を劣化させ、誘電率にも変化を与えていると考えられる。しかしながら、適正なリン含有量を備えたニッケル−リン合金層は、キャパシタとしての電気特性を向上させる。リン含有量が0.1wt%未満の場合には、純ニッケルを用いた場合と変わらないものとなり、合金化することの意義が失われるのである。これに対し、リン含有量が11wt%を超えると、酸化物誘電層との界面にリンが偏析し、密着性が劣化し、剥離しやすくなる。従って、リン含有量は、0.1wt%〜11wt%の範囲が好ましい。そして、ニッケル−リン合金層と酸化物誘電層とのより安定した密着性を確保するためには、リン含有量が0.2wt%〜3wt%の範囲であれば、製造工程に一定のバラツキがあっても安定した密着性が得られる。なお、酸化物誘電層の中でもBST系誘電層に関して言えば、リン含有量が0.25wt%〜1wt%で最も良好な密着性を確保し、同時に良好な誘電率をも確保出来る。なお、本件発明におけるリン含有量は、[P成分重量]/[Ni成分重量]×100(wt%)として換算した値である。
本件発明に言うニッケル箔及びニッケル合金箔とは、圧延法及び電解法等で得られたものの全てを含む。そして、金属箔の最表層に、これらニッケル若しくはニッケル合金層を備えた複合箔の如きものも含む概念として記述している。例えば、金属基材を構成する材料として、銅箔の表面にニッケル層若しくはニッケル合金層を備えた複合材を用いることもできる。
このような組成の金属基材は、フッ素樹脂基板、液晶ポリマー等を基板材料としたプリント配線板の製造プロセスで用いる300℃〜400℃の高温加工プロセスを経ても強度の劣化は殆ど無い。結果として、この金属箔の表面に、ゾル−ゲル法等の高温負荷が行われる酸化物誘電層の形成法を採用して酸化物誘電層を形成しても、その品質劣化も殆ど無いことになる。なお、本件発明に言うニッケル箔及びニッケル合金箔の結晶組織は、結晶粒が可能な限り細かく強度を向上させたものであることが好ましい。更に具体的に言えば、平均結晶粒径0.5μm以下のレベルに微細化され、機械的強度の高い物性を備えることが好ましいのである。
そして、前記下部電極形成層としてのニッケル層又はニッケル合金層の厚みは、1μm〜100μmであることが好ましい。上記厚みが1μm未満では、キャパシタ回路を形成したときの電極としての信頼性に著しく欠け、その表面へ酸化物誘電層を形成する事が極めて困難となる。一方、100μmを超える厚みとすることには、実用上の要求が殆どない。また、キャパシタ回路形成材を製造する場合において、前記下部電極形成層の厚さを10μm以下とする場合には、ハンドリングが困難となる。そこで、前記下部電極形成層を構成する金属箔が、接合界面を介して、キャリア箔と張り合わせられたキャリア箔付金属箔を用いることが好ましい。キャリア箔は、本件発明に言うキャパシタ層形成材に加工して以降の段階で除去すれば良い。
以上に述べてきた下部電極形成層用のニッケル箔又はニッケル合金箔は、電解法又は圧延法で製造したものを用いることが可能である。これらの製造方法に関して、特に限定はない。
更に、本件発明に係るキャパシタ層形成材の前記上部電極形成層は、厚さが0.5μm〜50μmのニッケル層、銅層、ニッケル合金層、銅合金層のいずれかを用いることが出来る。上部電極形成後に、エッチング加工してキャパシタ回路を形成したときの、エッチング液による誘電層の損傷を最小限にするため、上部電極形成層は薄い層として形成するのが一般的である。上部電極形成層が0.5μm未満の場合には、どのような製造方法を用いても膜厚としての均一性の確保が困難で、プリント配線板としてのプレス加工の圧力に対する十分な抵抗力が得られなくなる。一方、上部電極形成層が50μmを超えるものとすると、エッチング加工して上部電極回路とするための時間が長くなり、エッチング液による誘電層の損傷が顕著となる傾向がある。
そして、本件発明に係るキャパシタ層形成材の前記誘電層は、その少なくとも一部に樹脂含浸させることも好ましい。この樹脂含浸に用いる樹脂ワニス成分は、エポキシ系樹脂を主剤として用いた樹脂組成物を用いることが好ましい。中でも、樹脂成分総量に対してエポキシ樹脂40重量%〜70重量%、ポリビニルアセタール樹脂20重量%〜50重量%、メラミン樹脂またはウレタン樹脂0.1重量%〜20重量%を含有し、該エポキシ樹脂の5重量%〜80重量%がゴム変成エポキシ樹脂である樹脂組成物を用いることが好ましい。
ここに用いられるエポキシ樹脂としては、積層板等や電子部品の成型用として市販されているものであれば特に制限なく使用できる。具体的に例示すれば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン化合物、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、テトラブロモビスフェノールA、ジグリシジルエーテル等の臭素化エポキシ樹脂等がある。これらのエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。またエポキシ樹脂としての重合度やエポキシ当量は特に限定されない。
そして、エポキシ系樹脂の「硬化剤」とは、ジシアンジアミド、有機ヒドラジド、イミダゾール類、芳香族アミン等のアミン類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA等のフェノール類、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のノボラック類、無水フタル酸等の酸無水物等である。また、硬化剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。エポキシ樹脂に対する硬化剤の添加量は、それぞれの当量から導き出すことができる。
その他、必要に応じて硬化促進剤を適宜添加しても良い。この硬化促進剤には、3級アミン、イミダゾール系、尿素系硬化促進剤等を用いることが出来る。
この樹脂組成物に配合されるエポキシ樹脂の配合量は、樹脂成分総量の40重量%〜70重量%であることが好ましい。配合量が40重量%未満であれば、電気特性としての絶縁性及び耐熱性が劣化する。一方、70重量%を超えて配合すると、硬化中の樹脂流れが大きくなり過ぎて、誘電層内で樹脂成分の偏在が起こりやすくなる。
そして、エポキシ樹脂組成物の一部として、ゴム変成エポキシ樹脂を使用する事が好ましい。このゴム変性エポキシ樹脂は、接着剤用や塗料用として市販されている製品であれば特に制限なく使用できる。具体的に例を挙げれば、“EPICLON TSR−960”(商品名、大日本インキ社製)、“EPOTOHTO YR−102”(商品名、東都化成社製)、“スミエポキシ ESC−500”(商品名、住友化学社製)、“EPOMIK VSR 3531”(商品名、三井石油化学社製)等がある。これらのゴム変成エポキシ樹脂は1種類を単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。ここにおけるゴム変成エポキシ樹脂の配合量は全エポキシ樹脂量の5重量%〜80重量%である。ゴム変成エポキシ樹脂の使用により、BST系誘電層内への樹脂成分の定着を促進する。従って、当該ゴム変成エポキシ樹脂の配合量が5重量%未満の場合には、BST系誘電層内への定着促進効果は得られない。一方、当該ゴム変成エポキシ樹脂の配合量が80重量%を超えるものとすると硬化後の樹脂としての耐熱性が低下する。
そして、当該エポキシ樹脂組成物に使用されるポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールとアルデヒド類の反応により合成されるものである。現在、ポリビニルアセタール樹脂として、様々な重合度のポリビニルアルコールと1種又は2種類以上のアルデヒド類の反応物が塗料用や接着剤用として市販されているが、本件発明ではアルデヒド類の種類やアセタール化度には特に制限なく使用できる。また原料ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、硬化後の樹脂としての耐熱性や溶剤に対する溶解性を考慮すると、重合度2000〜3500のポリビニルアルコールから合成された製品の使用が望ましい。さらに分子内にカルボキシル基等を導入した変成ポリビニルアセタール樹脂も市販されているが、組み合わされるエポキシ樹脂との相溶性に問題がなければ、特に制限なく使用できる。絶縁層に配合されるポリビニルアセタール樹脂の配合量としては樹脂組成物総量の20重量%〜50重量%である。当該配合量が20重量%未満であれば、樹脂としての流動性を改良する効果が得られない。一方、当該配合量が50重量%を超えると硬化後の絶縁層の吸水率が高くなるので、BST系誘電層の構成材としては極めて好ましくないものとなる。
本件発明で用いる樹脂組成物は、上記成分に加えて、前記ポリビニルアセタール樹脂の架橋剤としてメラミン樹脂またはウレタン樹脂を配合させることが好ましい。ここで使用されるメラミン樹脂としては塗料用として市販されているアルキル化メラミン樹脂が使用できる。具体的に例示すると、メチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂、およびこれらの混合アルキル化メラミン樹脂がある。メラミン樹脂としての分子量やアルキル化度は特に限定されない。
当該ウレタン樹脂としては、接着剤用、塗料用として市販されている分子中にイソシアネート基を含有した樹脂が使用できる。具体的に例示するとトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパンやポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオール類との反応物がある。これらの化合物は樹脂としての反応性が高く、雰囲気中の水分で重合する場合があるので、本件発明では、この不具合の起きないように、これらの樹脂をフェノール類やオキシム類で安定化したブロックイソシアネートと呼ばれるウレタン樹脂の使用が好ましい。
本件発明における樹脂組成物に添加するメラミン樹脂またはウレタン樹脂の配合量は、樹脂組成物総量の0.1重量%〜20重量%である。当該配合量が0.1重量%未満ではポリビニルアセタール樹脂の架橋効果が不十分となり、誘電層の耐熱性が低下し、20重量%を超えて配合すると、誘電層内での定着性が劣化する。
この樹脂組成物には、上記必須成分に加えてタルクや水酸化アルミニウムで代表される無機充填剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤等の添加剤を所望により使用することもできる。これらは誘電層に対する樹脂成分の浸透性を改良し、難燃性向上、コストの低減等に効果がある。以上に述べてきた樹脂組成物を用いた含浸の具体的手法は、後述する製造方法の中で詳説する。
本件発明に係るキャパシタ層形成材の製造方法の形態: 上記本件発明に係るキャパシタ層形成材の製造方法は、誘電層の形成に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いる。そして、当該誘電層に樹脂含浸を行う場合もある。
本件発明に係るキャパシタ層形成材の製造は、下部電極形成層の上に物理蒸着法、化学気相反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層を形成する事に始まる。下部電極形成層に関しては、上述のとおりである。このマンガンレス酸化物誘電層の形成に、物理蒸着法を用いる場合には、抵抗加熱法、電子ビーム(EB)蒸着法、レーザアブレーション、分子線エピタキシャル法、2極スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、反応性スパッタリング法等を用いることが出来る。これらの物理蒸着法は、蒸着材料の組成を任意に調節することで、適宜、必要なマンガンレス酸化物誘電層を形成できる。化学気相反応法とは、蒸発気化した複数の材料を気相で反応させ、その反応物を下部電極形成層の上に着地させマンガンレス酸化物誘電層を形成するものであり、CVDと称する全ての手法を含むものである。そして、ゾル−ゲル法に関しては、後の説明に於いて詳述することにする。
そして、当該マンガンレス酸化物誘電層の上に形成するマンガン含有酸化物誘電層に関しても、上述と同様の物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてもよい。マンガンレス酸化物誘電層及びマンガン含有酸化物誘電層をあわせたものを複層構造酸化物誘電層と称している。
また、前記手法で形成した誘電層を樹脂含浸誘電層としたキャパシタ層形成材を製造する場合には、上記手法にてマンガンレス酸化物誘電層及びマンガン含有酸化物誘電層から構成される複層構造酸化物誘電層とし、この複層構造酸化物誘電層に樹脂含浸させて製造する。ここで、樹脂含浸に用いる樹脂組成物に関しては上述したので、ここでは当該樹脂組成物を用いた含浸手法に関してのみ述べる。リーク電流を小さくするという観点から、誘電層に樹脂含浸させる事が好ましい。
この樹脂組成物は、誘電層内への含浸が容易となるように、溶剤を用いて固形分量を一定の範囲に制御した希薄樹脂ワニスとして用いる。ここで誘電層の表面に塗布する樹脂ワニスは、上記樹脂成分を、有機溶剤を用いて溶解し、固形分量0.1wt%〜1.0wt%の樹脂ワニスとするのである。ここで、固形分量が0.1wt%未満の場合には粘度が低すぎて、誘電層中に有機成分が残留せず、樹脂含浸を行う意義が没却する。一方、固形分量が1.0wt%を超えると、樹脂含浸工程にバラツキがあり、過剰量の樹脂を塗工する状況となったとき、粘度が高すぎるため、誘電層の上に樹脂膜を形成し、誘電層厚さが大きくなるため、結果として電気容量密度が低下するため好ましくない。
従って、前記樹脂ワニスの固形分量を0.1wt%〜1.0wt%の範囲として、良好な誘電層内への浸透性を確保すべきである。有機溶剤として用いることの出来るのは、例えば、エチルメチルケトンとシクロペンタノンのいずれか一種の溶剤又はこれらの混合溶剤を用いて溶解するのである。エチルメチルケトンとシクロペンタノンとは、190℃程度の加熱により効率よく揮発除去することが容易であり、且つ、揮発ガスの浄化処理も容易である。しかも、樹脂溶液の粘度を誘電層に含浸させるのに最も適した粘度に調節することが容易だからである。そして、エチルメチルケトンとシクロペンタノンとの混合溶剤を用いて溶解することは、環境的な見地より好ましいのである。混合溶剤とする場合の、混合割合にも特に限定はないが、シクロペンタノンを用いる場合には、揮発除去の速度を考え、エチルメチルケトンをその共存溶媒とすることが好ましいのである。但し、ここに具体的に挙げた溶剤以外でも、本件発明で用いるすべての樹脂成分を溶解することの出来るものであれば、その使用が可能である。
そして、この樹脂ワニスを誘電層の表面に塗布するには、種々の方法を採用することが可能である。しかし、樹脂ワニスの固形分量が、通常の樹脂ワニスと比べて極めて希薄であるため、スピンコート法を採用して塗工することが塗布の均一性を維持する観点から好ましい。
次に、本件発明に係るキャパシタ層形成材の好ましい製造方法の一例として、ゾル−ゲル法を用いBST系の前記複層構造酸化物誘電層を形成する製造方法に関して述べる。以下の工程a〜工程fの各工程を順次説明する。
工程a: この工程では、マンガンを含有しないサブ誘電層を形成するための第1ゾル−ゲル溶液を調製する。所望のBST系誘電膜を製造するための第1ゾル−ゲル溶液を調製する場合を一例とする。この工程に関して、特段の制限はなく、市販の調製剤を使用しても、自らが配合しても構わない。結果として、所望のBST系誘電膜を形成出来ればよい。即ち、BST系誘電膜とは、(Ba1−x Srx)TiO3(0≦x≦1)膜であり、この組成を含む誘電膜を得ることが出来るゾル−ゲル溶液であればよい。ここで、x=1のときはSrTiO3を意味するものとなり、x=0のときはBaTiO3を意味するものとなるが、いずれの場合でも本件発明の効果は発揮されるが、0≦x≦0.5とすることが、より好ましい。なお、本件明細書においては、Mnを添加した(Ba1−x Srx)TiO3(0≦x≦1)膜についてもBST系誘電膜と称することがある。
工程b: この工程では、マンガンを含有するサブ誘電層を形成するための第2ゾル−ゲル溶液を調製する。そして、前記第2ゾル−ゲル溶液は、このマンガンを0.01mol%〜5.00mol%含有するペロブスカイト構造を備える酸化物誘電膜を形成するための溶液を用いることが好ましい。上述の誘電層中のマンガン含有量の適正な範囲を維持するためである。この第2ゾル−ゲル溶液の調製にも、特段の制限はなく、市販のマンガンを含有した調製剤を使用しても、自らが配合しても構わない。結果として、例えば、所望のマンガンを含むBST系誘電膜を形成できればよい。第2ゾル−ゲル溶液中へのマンガンの添加方法は、マンガン化合物の溶液を用いて、上記マンガン含有量の範囲となるように、所定量を混合添加することが好ましい。
工程c: この工程では、下部電極形成層を構成する金属箔の表面に第1ゾル−ゲル溶液を塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行うことで未焼成マンガンレス誘電層を形成する。この工程を、より詳細に述べれば、下部電極形成層を構成する金属箔の表面に第1ゾル−ゲル溶液を塗布し、酸素含有雰囲気中で120℃〜250℃の条件で乾燥し、酸素含有雰囲気中で270℃〜390℃の条件で熱分解を行う一連の工程を経て未焼成マンガンレス誘電層が形成される。そして、この一連の工程を複数回繰り返すことで、未焼成マンガンレス誘電層の膜厚調整が行なえる。そして、ゾル−ゲル法による誘電層の形成の場合には、全ての層構成が完成して最終的な焼成が施されるため、この最終焼成前のマンガンレス誘電層を、敢えて「未焼成マンガンレス誘電層」等と称している。
そして、この未焼成マンガンレス誘電層の形成条件に関してより詳細に述べておく、下部電極形成層の表面に塗布した第1ゾル−ゲル溶液の上記乾燥条件は120℃〜250℃の温度を採用することが好ましい。更に、その乾燥時間には、30秒〜10分を採用することが好ましい。ここで言う乾燥条件を外れると、乾燥が不十分で後の熱分解後の誘電膜表面に粗れが生じたり、乾燥が過剰になると、後の熱分解反応が不均一になり得られる誘電膜の場所的な品質バラツキを生じやすくなる。この乾燥を行うときの雰囲気に特段の制限は無い。これに対し、熱分解を行うときには、酸素含有雰囲気で行う事が好ましい。即ち、還元雰囲気で行うと有機物の分解が促進されない。
更に、熱分解に関しては、上記乾燥が終了して、酸素含有雰囲気中で270℃〜390℃×5分〜30分の条件で熱分解を行うことが好ましい。ここで、採用した熱分解温度が極めて特徴的である。従来の熱分解温度には450℃〜550℃の温度範囲が採用されてきた。これに対し、本件発明においては、下部電極形成層の余分な酸化を防止するため270℃〜390℃という低温域での熱分解温度を採用している。ここで熱分解温度を270℃未満とすると、いかに長時間の加熱を続けても良好な熱分解が起こりにくく、生産性に欠けると共に、良好なキャパシタ特性が得られない。一方、誘電膜は、金属箔等の表面上に形成するものであり、390℃を超える加熱を行うと、誘電膜と金属箔との界面で金属基材表面の酸化進行が顕著になる。従って、大量生産を行う上での工程のバラツキと品質の安全性とを考慮すると、それ以下の温度である370℃程度を上限とする事が、より好ましい。そして、加熱時間は、採用する分解温度とゾル−ゲル溶液の性状によって決められるものであるが、上記の加熱温度範囲を採用することを前提に、5分未満の加熱では十分な熱分解が行えない。また、加熱温度が30分を超えても、誘電膜としての品質向上は望めず、生産に時間を要し生産性が低下する。
ここで、ゾル−ゲル溶液の塗布に関して述べる。ゾル−ゲル溶液を金属箔の表面に塗布する手段に関しては、特に限定を要さない。しかしながら、膜厚の均一性及びゾル−ゲル溶液の特質等を考慮する限り、スピンコート法やメニスカス法を用いることが好ましい。
工程d: この工程では、前記未焼成マンガンレス誘電層の表面に、第2ゾル−ゲル溶液を塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行う一連の工程を一回行い第1未焼成サブ誘電層を形成する。この場合の乾燥及び熱分解の条件は、上述の第1ゾル−ゲル溶液を用いた場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。
工程e: そして、前記第1未焼成サブ誘電層の上に、第1ゾル−ゲル溶液又は第2ゾル−ゲル溶液のいずれかを塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行う一連の工程を1単位工程とし、この1単位工程を(n−1)回繰り返して行うことで、一部又は全ての層にマンガンを含有した第2未焼成サブ誘電層〜第n未焼成サブ誘電層を形成する。即ち、ゾル−ゲル溶液塗布→乾燥→熱分解の連続した一連の工程を1単位工程と称している。従って、このゾル−ゲル溶液に、前記第1ゾル−ゲル溶液(マンガンを含有しないゾル−ゲル溶液)又は前記第2ゾル−ゲル溶液(マンガンを含有するゾル−ゲル溶液)の何れかを選択的に用い、この1単位工程を複数回(n−1)回繰り返して、マンガン含有誘電層としての膜厚調整を行える。そして、本件発明に係る酸化物誘電層の形成方法の場合、例えば1回目の1単位工程からn−1回目の1単位工程の少なくとも1回の1単位工程に第2ゾル−ゲル溶液を用い、その他の1単位工程には前記第1ゾル−ゲル溶液を用いる等して、マンガンを含有したBST系誘電膜とマンガンを含有しないBST系誘電膜とを層状に配置した層構成のマンガン含有誘電層とできる。この場合の乾燥及び熱分解の条件は、上述の第1ゾル−ゲル溶液を用いた場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。
そして、ゾル−ゲル法を用いて前記複層構造酸化物誘電層を形成する場合には、前記工程d及び工程eにおいて、1単位工程の処理に先立ち任意に550℃〜800℃での予備焼成処理を設けることも好ましい。即ち、未焼成マンガンレス誘電層及び第1未焼成サブ誘電層〜第n未焼成サブ誘電層を形成するための1単位工程を複数回繰り返す場合において、1単位工程と1単位工程との間に任意に予備焼成処理を設けるのである。例えば、6回の1単位工程を繰り返し行う場合で考えると、1回の予備焼成工程を設けるとすれば1単位工程(1回目)→予備焼成工程→1単位工程(2回目)→1単位工程(3回目)→1単位工程(4回目)→1単位工程(5回目)→1単位工程(6回目)のプロセスを採用する等である。そして、2回の焼成工程を設けるとすれば、1単位工程(1回目)→予備焼成工程→1単位工程(2回目)→1単位工程(3回目)→予備焼成工程→1単位工程(4回目)→1単位工程(5回目)→1単位工程(6回目)のプロセスを採用する等である。更に、全ての1単位工程間に焼成工程を設けるとすれば、1単位工程(1回目)→予備焼成工程→1単位工程(2回目)→予備焼成工程→1単位工程(3回目)→予備焼成工程→1単位工程(4回目)→予備焼成工程→1単位工程(5回目)→予備焼成工程→1単位工程(6回目)のプロセスを採用することになる。
そして、この予備焼成処理条件は、1単位工程を複数回繰り返すにあたり、1単位工程と1単位工程との間に、550℃〜800℃×2分〜60分の焼成条件を採用することが好ましい。この条件は、以下に述べる工程eとほぼ同様であるため、そこの説明で数値の臨界的意義等を述べる。なお、この予備焼成を行うと、そこまでに存在した未焼成の誘電層は焼成された誘電層となるが、最終焼成を行っていないという意味で敢えて「未焼成」を付している。
従来のゾル−ゲル法で得られた誘電膜の結晶状態は、微細な結晶粒が存在し、結晶粒内に多数のボイドが確認出来る。これに対して、この予備焼成工程を採用することにより、誘電膜の組織が、膜密度が高く緻密で、結晶粒内の構造欠陥の少ない状態になる。この結果、リーク電流は小さく、耐電圧特性に優れ、高容量の誘電層の形成が可能となる。以上に述べてきた工程dでの1単位工程の繰り返し回数によって、誘電層としての厚さの調整が可能となる。
工程f: この工程では、上記工程で得られたマンガンを含まない未焼成のマンガンレス誘電層と、一部又は全てのサブ誘電層にマンガンを含有した未焼成マンガン含有誘電層とを焼成することで複層構造酸化物誘電層を形成する最終焼成を行う。この最終焼成は、予備焼成温度よりも高い温度を前提として、600℃〜1000℃の温度を採用することが好ましい。更に、その焼成時間は5分〜60分として焼成処理とする事が好ましい。この焼成工程が所謂本焼成工程であり、この焼成を経て、最終的な誘電層となる。この焼成工程では、下部電極形成層の酸化劣化を防止するため、不活性ガス置換雰囲気又は真空中で加熱を行う事が好ましい。このときの温度条件未満の加熱では、焼成が困難であり、下部電極形成層との密着性に優れ、適正な緻密さと適度な粒度の結晶組織を備える誘電層が得られない。そして、この温度条件を超える過剰の加熱を行うと、誘電層の劣化及び下部電極形成層の物理的強度の劣化が進行し、キャパシタ特性である高い電気容量及び長寿命化が図れなくなる。この観点から見れば、より好ましい上限温度は900℃である。
以上のようにして誘電層の形成が終了すると、その誘電層の上には、上部電極形成層を設けることになる。この上部電極形成層の形成方法としては、金属箔を用いて張り合わせる方法、メッキ法で導電層を形成する方法、スパッタリング蒸着等の方法を採用することが可能である。
本件発明に係るプリント配線板: そして、上記本件発明に係るキャパシタ層形成材を用いることで、高品質の内蔵キャパシタ層を備えたことを特徴とするプリント配線板を得ることが出来る。
本件発明に係るキャパシタ層形成材は、そのキャパシタ層形成材の両面にある下部電極形成層と上部電極形成層とにキャパシタ回路形状をエッチング法で形成し、多層プリント配線板の構成材料として用いる。また、下部電極形成層に上述のニッケル又はニッケル合金を用いることで、BST系誘電層との密着性に優れた下部電極の形成が可能となり、当該下部電極は耐熱性に優れた素材であるため、300℃〜400℃の範囲の熱間プレス加工を複数回経ても、酸化劣化も起こらず、物性変化も起こしにくい。この本件発明に係るキャパシタ層形成材を用いての内蔵キャパシタ回路を備えるプリント配線板の製造方法に関して、特段の限定はなく、あらゆる方法を採用する事が可能となる。
この実施例では、基材金属(下部電極形成層)であるニッケル箔の表面に、上記BST系誘電層を形成し、更に当該BST系誘電層の表面に上部電極形成層を設けキャパシタ層形成材を製造した。そして、このキャパシタ層形成材を用いてエッチング法でキャパシタ回路を形成し、リーク電流特性等の評価を行った。
基材金属(下部電極形成層)の製造: ここでは、圧延法で製造した50μm厚さのニッケル箔を使用した。なお、圧延法で製造したニッケル箔の厚さはゲージ厚さで示したものである。このニッケル箔は、キャパシタ層形成材となったときの下部電極形成層を構成する。
誘電層の形成: 当該ニッケル箔の表面にゾル−ゲル法を用いて誘電層を形成した。ゾル−ゲル法で誘電層を形成する前のニッケル箔は、前処理として、250℃×15分の加熱を行い、その後ニッケル箔表面に存在する付着物等を除去するため、250℃で加熱しながら紫外線の1分間照射を行った。
工程aでは、第1ゾル−ゲル溶液を調製した。ここでは、三菱マテリアル株式会社製の商品名 BST薄膜形成剤7wt%BSTを用いて、Ba0.7Sr0.3TiO3の組成の酸化物誘電膜を得るようにした。
工程bでは、第2ゾル−ゲル溶液を調製した。ここでは、三菱マテリアル株式会社製の商品名 BST薄膜形成剤 7wt%BSTと、株式会社高純度化学研究所製のMn−03(酸化マンガン(III)2.8wt%〜3.2wt%、テレビン油44wt%〜46wt%、酢酸ブチル22wt%〜24wt%、酢酸エチル7wt%〜8wt%、有機物系安定化剤10wt%〜11wt%、その他粘度調整剤)とを用いて、バリウムとストロンチウムとチタンとのトータルmol数に対し、0.86mol%のマンガンを含む第2ゾル−ゲル溶液を調製した。そして、(Ba0.7Sr0.3)(Ti1Mn0.017)O3の組成の酸化物誘電膜を得られるようにした。
工程cでは、前記ニッケル箔の表面に第1ゾル−ゲル溶液をスピンコート法で塗布し、酸素含有雰囲気中で150℃×2分の条件で乾燥し、酸素含有雰囲気中で330℃×15分の条件で熱分解を行う一連の工程を施し、この段階で650℃×15分の不活性ガス置換雰囲気で予備焼成処理を行った。この段階のマンガンレス誘電層は約50nm厚さで焼成が完了したものである。
工程dでは、前記マンガンレス誘電層の表面に、マンガンを含む第2ゾル−ゲル溶液を塗布し、酸素含有雰囲気中で150℃×2分の条件で乾燥し、酸素含有雰囲気中で330℃×15分の条件で熱分解を行いう一連の工程(1単位工程)によって第1未焼成サブ誘電層を形成した。
工程e: そして、前記第1未焼成サブ誘電層の上に対して、1単位工程を再度繰り返し第2未焼成サブ誘電層を形成し、700℃×15分の不活性ガス置換(窒素置換雰囲気、以下同様である。)での予備焼成処理を行った。
その後、上記1単位工程を3回繰り返して、第3未焼成サブ誘電層〜第6未焼成サブ誘電層を形成した。このとき、第2未焼成サブ誘電層と第3未焼成サブ誘電層との間に予備焼成を行ったので、最終製品としてのキャパシタ層形成材の断面を透過型電子顕微鏡で観察すると、誘電層はマンガンレス酸化物誘電層/マンガン含有酸化物誘電層の構成を持ち、そのマンガン含有酸化物誘電層が2層の第1サブ誘電層と第2サブ誘電層とで構成されているように観察される。この第1サブ誘電層は、上記第1未焼成サブ誘電層及び第2未焼成サブ誘電層が予備焼成を受けることにより一体化して形成された層である。そして、第2サブ誘電層は、上記第3未焼成サブ誘電層〜第6未焼成サブ誘電層が予備焼成を受けることにより一体化して形成された層である。この様子を図3の実施例の欄に模式断面図として示している。
工程f: そして、750℃×15分の不活性ガス置換雰囲気(窒素置換雰囲気)で焼成処理を行い、下部電極形成層を構成する圧延ニッケル箔の表面にペロブスカイト構造を備えるBST系誘電層を形成した。
そして、当該BST系誘電層全体に樹脂含浸を行わせ、樹脂含浸有りのBST系誘電層の調製も行った。このとき、BST系誘電層の表面に樹脂ワニスをスピンコート法を採用して塗布し、室温で30分間放置して、150℃のオーブン内で5分間加熱し、一定量の溶剤を除去し、半硬化状態に乾燥させた。その後、190℃のオーブン内で30分間加熱する事で硬化させた。このときに得られたBST系誘電層の厚みは、約300nmであった。
このときに用いた樹脂ワニスは、以下のようにして調製したものである。ゴム変成されていないエポキシ樹脂(商品名:EPOMIC R−301、三井石油化学製)40重量部、ゴム変成エポキシ樹脂(商品名:EPOTOHTOYR−102、東都化成製)20重量部、ポリビニルアセタール樹脂(商品名:デンカブチラール#5000A、電気化学工業製)30重量部、メラミン樹脂(商品名:ユーバン20SB、三井東圧化学社製)を固形分として10重量部、潜在製エポキシ樹脂硬化剤(ジシアンジアミド、試薬)2重量部(固形分25重量%のジメチルホルムアミド溶液で添加)、硬化促進剤(商品名:キュアゾール2E4MZ、四国化成製)0.5重量部を、エチルメチルケトンに溶解して固形分量0.22wt%の樹脂ワニスとしたものである。
<上部電極の形成>
以上のようにして、各試料に形成したBST系誘電層(樹脂含浸有りの場合を含む)の上に、上部電極を形成する部位にのみ2μm厚さの銅製の上部電極回路を、スパッタリング蒸着法で直接形成し、上部電極面積が1mm×1mmサイズの10個のキャパシタ回路を形成した。
以上のようにして、各試料に形成したBST系誘電層(樹脂含浸有りの場合を含む)の上に、上部電極を形成する部位にのみ2μm厚さの銅製の上部電極回路を、スパッタリング蒸着法で直接形成し、上部電極面積が1mm×1mmサイズの10個のキャパシタ回路を形成した。
<誘電特性の評価>
温度特性:シグナル周波数1MHzで、試料1の樹脂含浸無しの場合(−55℃〜125℃の温度範囲)の容量密度の変化率は−14.7%〜10.0%、試料1の樹脂含浸有りの場合(−55℃〜100℃の温度範囲)の容量密度の変化率は−4.3%〜4.4%であった。なお、当該変化率は、25℃の時の容量密度を基準として、{[25℃での容量密度]−[x℃での容量密度]}/[25℃での容量密度]×100(%)で算出した値である。なお、温度特性の測定には、ヒューレッド・パッカード社製のインピーダンスアナライザー4194Aを用いた。
温度特性:シグナル周波数1MHzで、試料1の樹脂含浸無しの場合(−55℃〜125℃の温度範囲)の容量密度の変化率は−14.7%〜10.0%、試料1の樹脂含浸有りの場合(−55℃〜100℃の温度範囲)の容量密度の変化率は−4.3%〜4.4%であった。なお、当該変化率は、25℃の時の容量密度を基準として、{[25℃での容量密度]−[x℃での容量密度]}/[25℃での容量密度]×100(%)で算出した値である。なお、温度特性の測定には、ヒューレッド・パッカード社製のインピーダンスアナライザー4194Aを用いた。
リーク電流: 図3に掲載した表の数値から判断できるように、BST系誘電層に対する樹脂含浸無しの場合と、樹脂含浸有りの場合とを対比すると、樹脂含浸を行った方が、リーク電流が相対的に小さくなっていることが理解できる。
電極歩留り: キャパシタ回路の形成後に、各試料の10個のキャパシタ回路に、所定の電圧を負荷して、上部電極と下部電極との間でのショート現象の見られない割合をみた。その結果、1mm×1mmサイズのキャパシタ回路の生産歩留りは樹脂含浸無しの場合及び樹脂含浸有りの場合ともに100%であった。
電気容量密度: 上部電極の電極面積を1mm×1mmサイズとした場合の容量密度は、樹脂含浸無しの場合1383nF/cm2、樹脂含浸有りの場合1096nF/cm2と高い電気容量を示した。
誘電損失: 上部電極の電極面積を1mm×1mmサイズとした場合のキャパシタ回路の誘電損失を測定すると、樹脂含浸無しの場合0.146(14.6%)、樹脂含浸有りの場合0.016(1.6%)であった。
以上に述べてきた各特性は、後述する比較例と対比可能なように図3の表に纏めて掲載した。
この比較例では、実施例1と同様の製造フローを採用しているが、ゾル−ゲル溶液としては、第1ゾル−ゲル溶液のみを用いて、1単位工程を6回行い、最終焼成した。
即ち、前記第1ゾル−ゲル溶液を、実施例1で用いた圧延ニッケル箔の表面に塗布し、酸素含有雰囲気中で150℃×2分の条件で乾燥し、酸素含有雰囲気中で330℃×15分の条件で熱分解を行う一連の工程を1単位工程とした。そして、この1単位工程を1回行った後に650℃×15分の不活性ガス置換雰囲気で予備焼成処理を行い、次に1単位工程を2回繰り返した後に650℃×15分の不活性ガス置換雰囲気で予備焼成処理を行った。そして、更に、当該1単位工程を3回繰り返し膜厚調整を行った。
そして、上記試料を700℃×15分の不活性ガス置換雰囲気(窒素置換雰囲気)で最終焼成処理を行い、マンガンを含まないBST系誘電層を形成した。
なお、実施例1と同様に、当該比較試料1の誘電層に樹脂含浸を行わせ、樹脂含浸させたBST系誘電層の調製も行った。
以下、実施例1と同様にして、各試料に形成したBST系誘電層の上に、スパッタリング蒸着法により、上部電極面積が1mm×1mmサイズの10個のキャパシタ回路を形成した。
<誘電特性の評価>
温度特性:実施例1と同様に、容量密度の変化率を求めた。その結果、比較用試料の樹脂含浸無しの場合(−55℃〜125℃の温度範囲)の容量密度の変化率は−35.8%〜11.3%であった。
温度特性:実施例1と同様に、容量密度の変化率を求めた。その結果、比較用試料の樹脂含浸無しの場合(−55℃〜125℃の温度範囲)の容量密度の変化率は−35.8%〜11.3%であった。
リーク電流: 図3に掲載した数値から判断できるように、BST系誘電層に対する樹脂含浸無しの場合と、樹脂含浸有りの場合とを対比すると、樹脂含浸を行った方のリーク電流が相対的に小さくなっていることが理解できる。
電極歩留り: キャパシタ回路の形成後に、実施例1と同様にして、上部電極と下部電極との間でのショート現象の見られない割合をみた。その結果、1mm×1mmサイズのキャパシタ回路の生産歩留りは樹脂含浸無しの場合、樹脂含浸有りの場合共に100%であった。
容量密度: 上部電極の電極面積を1mm×1mmサイズとした場合の初期の容量密度は、樹脂含浸無しの場合1247nF/cm2、樹脂含浸有りの場合1120nF/cm2と高い電気容量を示した。
誘電損失: 上部電極の電極面積を1mm×1mmサイズとした場合のキャパシタ回路の誘電損失を測定すると、樹脂含浸無しの場合0.029(2.9%)、樹脂含浸有りの場合0.021(2.1%)であった。
以上に述べてきた各特性は、上述の実施例と対比可能なように図3の表に纏めて掲載した。
<実施例と比較例との対比>
温度特性: 上述のように容量密度の変化率は、比較例の当該変化率の幅と比べ、樹脂含浸の有無に拘わらず、実施例の変化率の幅が小さく、温度依存性が小さいことが分かる。従って、本件発明に係る技術的思想を適用したBST系誘電層を用いたキャパシタ回路は、周囲の温度雰囲気が変動しても、誘電特性に及ぼす影響が小さいと言える。この温度特性の変化をグラフとして表したのが図4である。この図4は、実施例(樹脂含浸有り、樹脂含浸無しの2種類を表示)と比較例(樹脂含浸していないもの)との昇温降温曲線を示しているが、実施例と比較例とでは顕著な変化率の差異があることが理解できる。
温度特性: 上述のように容量密度の変化率は、比較例の当該変化率の幅と比べ、樹脂含浸の有無に拘わらず、実施例の変化率の幅が小さく、温度依存性が小さいことが分かる。従って、本件発明に係る技術的思想を適用したBST系誘電層を用いたキャパシタ回路は、周囲の温度雰囲気が変動しても、誘電特性に及ぼす影響が小さいと言える。この温度特性の変化をグラフとして表したのが図4である。この図4は、実施例(樹脂含浸有り、樹脂含浸無しの2種類を表示)と比較例(樹脂含浸していないもの)との昇温降温曲線を示しているが、実施例と比較例とでは顕著な変化率の差異があることが理解できる。
リーク電流: 図1に掲載した表の数値から判断できるように、BST系誘電層に対する樹脂含浸無しの場合と、樹脂含浸有りの場合とを対比すると、樹脂含浸を行った方が、リーク電流が相対的に小さくなる傾向がある。この傾向は、比較例に於いても同様であり、樹脂含浸がリーク電流の抑制には効果的であることが分かる。
電極歩留り: 本件発明に係るBST系誘電層を備えるキャパシタ回路の生産歩留りは、実施例の場合には、樹脂含浸無しの場合及び樹脂含浸有りの場合ともに100%と極めて良好である。これに対し、比較例も樹脂含浸無しの場合及び樹脂含浸有りの場合ともに生産歩留りが100%となり、生産歩留りの差異はない。実施例及び比較例共に、予備焼成を設けたために生産歩留りが安定化したと考える。
容量密度: 図3に掲載した表の数値から判断できるように、上部電極の電極面積を1mm×1mmサイズとした場合の初期の容量密度に関しては、実施例と比較例とはほぼ同等であると判断できる。
以上のことを総合して考えるに、本件発明に係る技術的思想を適用したBST系誘電層を備えるキャパシタは、容量密度が比較例と同等であるが、リーク電流の抑制、温度特性等のその他の特性を考慮すると比較例を上回っており、非常にバランスの取れた製品であると判断できる。
本件発明に係るキャパシタ層形成材は、プリント配線板の内蔵キャパシタ層の形成に好適であり、高い電気容量、良好な温度特性、リーク電流を抑制した高品質のキャパシタ回路の形成を可能とする。従って、このキャパシタ層形成材を用いて得られる内蔵キャパシタ回路を備えるプリント配線板等は、温度変化によるキャパシタ回路の電気特性の変化が少なく、電子及び電気製品の、より安定的な使用が可能となる。また、本件発明に係るキャパシタ層形成材の製造方法を採用することで、歩留り良く、温度特性に優れ、リーク電流を抑制することのできる高品質の誘電層の形成が可能であり、高品質のキャパシタ層形成材の安定供給が可能となる。また、本件発明に係るキャパシタ層形成材の製造方法は、過大な設備投資の不要なものである。
1 キャパシタ層形成材
2 誘電層
3 マンガンレス酸化物誘電層
4 マンガン含有酸化物誘電層
5 上部電極形成層
6 下部電極形成層
2 誘電層
3 マンガンレス酸化物誘電層
4 マンガン含有酸化物誘電層
5 上部電極形成層
6 下部電極形成層
Claims (14)
- 上部電極形成層と下部電極形成層との間に誘電層を備えるキャパシタ層形成材において、
前記誘電層は、マンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層及びマンガン含有酸化物誘電層の複層構造酸化物誘電層であることを特徴としたプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材。 - 前記マンガン含有酸化物誘電層は、n層(2≦n)の第1サブ誘電層〜第nサブ誘電層で構成されており、当該第1サブ誘電層はマンガン含有酸化物誘電層であり、第2サブ誘電層〜第nサブ誘電層の一部がマンガンを含有しないものであることを特徴とした請求項1に記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材。
- 前記マンガン含有酸化物誘電層は、その厚さが10nm〜500nmである請求項1又は請求項2に記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材。
- 前記誘電層は、その厚さが20nm〜1μmである請求項1〜請求項3のいずれかに記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材。
- 前記下部電極形成層は、厚さが1μm〜100μmのニッケル層又はニッケル合金層である請求項1〜請求項4のいずれかに記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材。
- 前記上部電極形成層は、厚さが0.5μm〜50μmのニッケル層、銅層、ニッケル合金層、銅合金層のいずれか又はこれらの組み合わせによる積層構造を備えるものである請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材。
- 前記誘電層は、樹脂含浸させた樹脂含浸誘電層である請求項1〜請求項6のいずれかに記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材。
- 上部電極形成層と下部電極形成層との間に誘電層を備えるキャパシタ層形成材の製造方法であって、
下部電極形成層の上に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層を形成し、
当該マンガンレス酸化物誘電層の上に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガン含有酸化物誘電層を形成することで複層構造酸化物誘電層とし、
当該複層構造酸化物誘電層の上に上部電極形成層を形成することを特徴としたプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法。 - 上部電極形成層と下部電極形成層との間に誘電層を備えるキャパシタ層形成材の製造方法であって、
下部電極形成層の上に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層を形成し、
当該マンガンレス酸化物誘電層の上に物理蒸着法、気相化学反応法、ゾル−ゲル法のいずれかを用いてマンガン含有酸化物誘電層を形成することで複層構造酸化物誘電層とし、
当該マンガンレス酸化物誘電層又はマンガン含有酸化物誘電層との少なくとも一方の層に樹脂含浸させ樹脂含浸誘電層とし、
当該複層構造酸化物誘電層の上に上部電極形成層を形成することを特徴としたプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法。 - 請求項9に記載のキャパシタ層形成材の製造方法において、
前記樹脂含浸処理は、誘電層の表面に樹脂ワニスを塗布して含浸させ、樹脂乾燥、樹脂硬化するものである請求項9に記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法。 - 前記複層構造酸化物誘電層がゾル−ゲル法により形成されたものであり、以下の工程a〜工程fの各工程を経て得られるものである請求項8〜請求項10のいずれかに記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法。
工程a: 未焼成マンガンレス誘電層及びマンガンを含有しないサブ誘電層を形成するための第1ゾル−ゲル溶液を調製する。
工程b: マンガンを含有するサブ誘電層を形成するための第2ゾル−ゲル溶液を調製する。
工程c: 下部電極形成層の表面に第1ゾル−ゲル溶液を塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行うことで未焼成マンガンレス誘電層を形成する。
工程d: 前記未焼成マンガンレス誘電層の表面に、第2ゾル−ゲル溶液を塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行う一連の工程を一回行い第1未焼成サブ誘電層を形成する。
工程e: その後第1ゾル−ゲル溶液又は第2ゾル−ゲル溶液のいずれかを塗布後、乾燥させ、酸素含有雰囲気中で熱分解を行う一連の工程を1単位工程とし、この1単位工程を(n−1)回繰り返して行うことで、一部又は全ての層にマンガンを含有した第2未焼成サブ誘電層〜第n未焼成サブ誘電層を形成する。
工程f: 上記工程で得られた未焼成の誘電層を焼成することで、マンガンを含まないマンガンレス酸化物誘電層と、マンガンを含有したマンガン含有酸化物誘電層を有する複層構造酸化物誘電層を形成するための最終焼成を行う。 - 前記工程d及び工程eにおいて、1単位工程の処理に先立ち任意に550℃〜800℃での予備焼成処理を設ける請求項11に記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法。
- 前記第2ゾル−ゲル溶液は、マンガンを0.01mol%〜5.00mol%含有するペロブスカイト構造の酸化物誘電膜の形成溶液である請求項11又は請求項12に記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材の製造方法。
- 請求項1〜請求項7のいずれかに記載のプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成材を用いて得られた内蔵キャパシタ層を備えることを特徴としたプリント配線板。
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