JPWO2008041361A1 - 核磁気共鳴法を用いた測定装置および測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
恩田和夫他5名、「固体高分子燃料電池の膜物性測定と電流分布の解析/測定」、第13回燃料電池シンポジウム講演予稿集、2006年、p.234−237 泉政明、後藤雄治、「固体高分子形燃料電池の計測技術とモデリングに関する研究開発」、NEDO燃料電池・水素技術開発中間報告会要旨集、平成17年12月27日発表、p.39−40
核磁気共鳴法を用いて試料の特定箇所の電流を局所的に測定する装置であって、
前記試料に対して静磁場を印加する静磁場印加部と、
前記試料に対して励起用振動磁場を印加するとともに、前記試料の特定箇所で発生した核磁気共鳴信号を取得する、前記試料よりも小さい小型RFコイルと、
前記小型RFコイルで取得された前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出し、前記差分から、前記試料の前記特定箇所の電流を算出する電流算出部と、
を備える測定装置が提供される。
核磁気共鳴法を用いて燃料電池の固体高分子電解質膜の面内の電流の分布を取得する装置であって、
前記固体高分子電解質膜に対して静磁場を印加する静磁場印加部と、
前記固体高分子電解質膜に対して励起用振動磁場を印加するとともに、前記固体高分子電解質膜の特定箇所で発生した核磁気共鳴信号を取得する、前記固体高分子電解質膜よりも小さい、複数の小型RFコイルと、
前記複数の小型RFコイルについて、前記小型RFコイルで取得された前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出し、前記差分から、前記固体高分子電解質膜の面内の電流分布を取得する電流分布取得部と、
を備える測定装置が提供される。
核磁気共鳴法を用いて試料の特定箇所の電流を局所的に測定する方法であって、
静磁場に置かれた前記試料の特定箇所に対し、前記試料より小さい小型RFコイルを用いて、励起用振動磁場を印加するとともに、前記特定箇所で発生した核磁気共鳴信号を取得する第一ステップと、
前記第一ステップで取得した前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出し、前記差分から、前記試料の前記特定箇所の電流を求める第二ステップと、
を含む、測定方法が提供される。
(i)励起用振動磁場としてRF発振器が持っている(記憶している)「電流が流れていない時の基準となる周波数」
(ii)「電流が流れて形成される磁場により核磁気共鳴信号の周波数が増減する量」
上記(ii)は、たとえば位相の変化量として計測される。
また、本発明の測定方法において、前記第二ステップにおいて、前記核磁気共鳴信号の実部および虚部を検波し、前記実部および前記虚部を用いて前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出することもできる。
これにより、周波数の差分をより簡便で確実に求められる。
この角度を任意とすることで、T1緩和時定数に関わる磁化ベクトルの回復時間を短くすることもでき、より短時間の繰り返し時間で励起パルスを照射できて、電流分布の短時間計測が可能となる。
(a)90°パルス、および、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス。
(a)90°パルス、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス、および
(c)(b)のパルスの時間2τ経過後からはじまり、時間2τの間隔で印加されるn個の180°パルス。
なお、nは自然数である。
なお、二つの物理量の測定は、同時に行われる構成であってもよいし、交互等の異なるタイミングで行われる構成であってもよい。たとえば、前記第二ステップにおいて、前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分の算出のためのエコー信号の取得と、T2緩和時定数の算出のためのエコー信号の取得とを、交互に行ってもよい。また、前記第二ステップにおいて、前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分の算出のためのエコー信号の取得と、T2緩和時定数の算出のためのエコー信号の取得とを、同時に行ってもよい。
メタノールおよびエタノール等のアルコール;
酢酸等のカルボン酸;
フェノール;および
液体アンモニアが挙げられる。このうち、水やアルコールは本発明における易動性または溶媒量をさらに安定的に測定可能な溶媒である。
はじめに、後述する実施形態における電流の測定方法の測定原理について、例を挙げて説明する。なお、電流の測定モードを、以下、第一測定モードとも呼ぶ。
図1は、電流の測定手順の概要を示すフローチャートである。図1においては、以下のステップを順次行い、核磁気共鳴(NMR)法を用いて試料の特定箇所の電流を局所的に測定する。NMR法においては、磁場中に置かれた原子核のスピン共鳴現象により核磁化の運動をNMR信号として検出することができる。小型表面コイル(小型RFコイル)を用いてNMR信号を計測すれば、コイル周辺部の局所NMR計測が可能となる。
ステップ301:試料を磁石が配置された空間に置き、試料に静磁場を印加する、
ステップ303:静磁場に置かれた試料の特定箇所に対し、試料より小さい小型RFコイルを用いて、励起用振動磁場を印加するとともに、特定箇所で発生した核磁気共鳴(NMR)信号を取得する、
ステップ305:ステップ303で取得した核磁気共鳴信号の周波数と励起用振動磁場の周波数との差分を算出する、
ステップ307:ステップ305で得られた差分から、試料の特定箇所の電流を求める、および
ステップ309:その後、結果を出力する。
以下、ステップ303〜307をそれぞれ詳細に説明する。
本ステップでは、励起用振動磁場として、試料内の計測対象核に照射する高周波パルスを印加する。また、励起用振動磁場による核磁気共鳴現象によって試料内の計測対象核から放出されるNMR信号を取得する。
このようなパルスシーケンスの具体例については、図4を参照して後述する。
本ステップでは、ステップ303で取得したNMR信号の周波数と励起用振動磁場の周波数との差分(周波数シフト)を求める。
本ステップでは、ステップ305で取得した周波数の差分Δωから、電流を算出する。以下、電流の算出原理を説明する。
実際の測定においては、試料や装置特性に起因する磁場の不均一が生じ、周波数の差分が正確に得られないことがある。そこで、以下の実施形態においては、スピンエコー法を用い、励起用高周波パルスを、たとえば以下の(a)および(b)を含む複数のパルスからなるパルスシーケンスとする。
(a)90°パルス、および、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス
なお、上記(b)の時間2τ経過後にさらに180°パルスを印加し、これに対応するエコー信号を用いて電流計測を行ってもよい。ただし、複数回目のエコー信号を用いて電流計測を行う際には、できるだけ強いエコー信号を観測できるように、Y軸方向の180度励起パルスを複数回照射することが有効である。その理由は、後述する図2(a)〜図2(d)の磁化ベクトルの動きに示されている。
つづいて、NMR法を用いた試料中のプロトン性溶媒量およびプロトン性溶媒量の移動のしやすさ(易動性)の分布の測定原理について、プロトン性溶媒が水である場合を例に挙げて説明する。これらは、第四および第五の実施形態において後述するように、電流の測定装置を用いて測定することができる。なお、以下の説明において、前述した電流測定と共通のステップについては、詳細な説明を適宜省略する。
(B)水分量の測定
以下の実施形態では、後述するCPMG(Carr-Purcell-Meiboom-Gill)法により、T2(横)緩和時定数を算出し、その後、「T2と水分量」の換算表を用いて試料の局所的な水分量を算出し、水分量の分布を把握する。
図3に示した水分量測定においても、上述した電流測定と同様に、まず、試料を磁石が配置された空間に置き、試料に静磁場を印加する(S102)。この状態で、試料に対して小型RFコイルを介して励起用振動磁場(高周波パルス)を印加し、これに対応するNMR信号(エコー信号)を取得する(S104)。
(i)ステップ104(励起用高周波パルスの印加およびNMR信号の取得)
ステップ104における励起用高周波パルスは、複数のパルスからなるパルスシーケンスとし、これに対応するエコー信号群を取得するようにすることが好ましい。こうすることにより、T2緩和時定数を正確に求めることができる。
(a)90°パルス、および、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス、および
(c)(b)のパルスの時間2τ経過後からはじまり、時間2τの間隔で印加されるn個の180°パルス(nは自然数である。)
上記(a)および(b)は、(A)電流の測定と共通である。
T2緩和時定数は、図4を参照して前述したスピンエコー法を利用することにより的確に測定することができる。スピンエコーを使用した際のエコー信号の強度SSEは、TR>>TEの場合には、以下の式(A)で表される。
図3に戻り、ステップ108では、T2緩和時定数から水分量を算出する。試料中の水分量とT2緩和時定数とは、正の相関を持ち、水分量の増加につれてT2緩和時定数が増大する。この相関関係は、試料の種類や形態等により異なるので、あらかじめ、水分濃度がわかっている測定対象試料と同種の試料について検量線を作成しておくことが望ましい。すなわち、水分量が既知の複数の標準試料に対して水分量とT2緩和時定数との関係を測定し、この関係を表す検量線をあらかじめ求めておくことが望ましい。このようにして作成した検量線を参照することで、T2緩和時定数測定値から試料中の水分量を算出することができる。
(C)易動性の算出
以下の実施形態では、勾配磁場を印加してPGSE(Pulsed-Gradient Spin-Echo)法による水分子の自己拡散係数を計測することにより、試料の局所的な水分子の易動性を算出し、水分子の易動性の分布を把握する。
ln(S/S0)=−γ2DzΔ2dGz2 (II)
はじめに、試料を磁石などによって作られた静磁場中に置き、試料に静磁場を印加する。この状態で、小型RFコイルを介して、試料に対して所定のパルスシーケンスに従って励起用振動磁場を印加し、小型RFコイルを介してこれに対応するNMR信号を取得する(S202)。
このような操作(ステップ202〜ステップ208)を、各小型RFコイルを介して行なうことで、自己拡散係数の分布を把握することができる。
(i)ステップ202およびステップ204(励起用振動磁場の印加、勾配磁場の印加およびNMR信号の取得)
ステップ202およびステップ204では、試料に対し励起用振動磁場および勾配磁場を所定のパルスシーケンスにしたがって印加する。励起用振動磁場は、複数のパルスからなるパルスシーケンスであり、勾配磁場は、励起用振動磁場に対応する一対のパルスシーケンスである。
(a)励起用振動磁場の90°パルス、
(b)(a)のパルス時間の経過後からはじまり、一定時間d印加される、勾配磁場パルス、
(c)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される励起用振動磁場の180°パルス、および、
(d)(c)のパルス時間の経過後からはじまり、一定時間d印加される、勾配磁場パルス。
ただし、ステップ202で勾配磁場をゼロとする場合は、上記(b)のシーケンスを行わない。
ステップ206では、ステップ202およびステップ204で得られたNMR信号のピーク強度から、試料の特定箇所における水の自己拡散係数Dを求める。プロトンの自己拡散係数Dは、PGSE法で取得されたNMR信号のピーク強度Sを用いて、前述した式(II)で表される。
図7は、本実施形態に係る測定装置300の概略構成を示す図である。なお、測定装置300の各構成要素は、CPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム等を中心に、ハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
試料115を載置する試料載置台116、
試料115に対して静磁場を印加する静磁場印加部(磁石113)、
試料115に対して励起用振動磁場を印加するとともに、試料115の特定箇所で発生したNMR信号を取得する、試料115より小さい小型RFコイル114、および、
小型RFコイル114で取得されたNMR信号の周波数と励起用振動磁場の周波数との差分Δωを算出し、当該差分から、試料115の特定箇所の電流を算出する電流算出部303を備える。
また、測定装置300は、図41を参照して後述する構造を備えていてもよい。
また、磁石113は、試料115に対して静磁場を印加する(図1のS301)。この静磁場が印加された状態で励起用振動磁場が試料に印加され、電流の測定がなされる。
(a)90°パルス、および、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス
からなるパルスシーケンスとする。
NMR信号検出部は、小型RFコイル114で取得したNMR信号を検出し、このNMR信号を演算部130に送出する。NMR信号検出部は、プリアンプ112、検波器301およびA/D変換器118を含んで構成される。検出されたNMR信号は、プリアンプ112により増幅された後、検波器301へ送出される。
図8は、このようなLC回路の一例を示す図である。図8においては、共振回路のコイル部(インダクタンス部)は、直径1.4mmの小型RFコイルとしている。核磁気共鳴(NMR)法においては、磁場中に置かれた原子核のスピン共鳴現象により核磁化の運動をNMR信号として検出することで原子数密度とスピン緩和時定数を計測することができる。1Teslaの磁場中でのスピン共鳴周波数は約43MHzであり、その周波数帯を高感度に選択的に検出するために、図8に示すようなLC共振回路が用いられる。
小型RFコイル114とRF信号生成部(RF増幅器106)とが接続された第1状態、および、
小型RFコイル114とNMR信号検出部(検波器301)とが接続された第2状態を切り替える機能を有する。つまり、スイッチ部161は、「送受信切り替えスイッチ」の役目を果たす。この役目は、RF power−ampで増幅された励起パルスを小型RFコイル114に伝送する際には、受信系のプリアンプ112を切り離して大電圧から保護し、励起後にNMR信号を受信する際には、RF増幅器106から漏れてくる増幅用大型トランジスタが発するノイズを受信系のプリアンプ112に伝送しないように遮断することである。小型RFコイル114を用いて計測する場合には、微弱な信号を取り扱うため、以下の理由でスイッチ部161が必要となる。一方、小型RFコイル114を用いない大型計測システムでは、「クロスダイオード」を用いれば充分に対処ができる。なお、クロスダイオードは、所定値以上の電圧が印加された際にオン状態となり、所定値未満の場合にはオフ状態となるダイオードである。
(i)本計測システムの小型コイルで検出できる試料体積は、大型コイルに比べて小さくなる。この検出可能な試料体積は、おおよそ、(コイルの内側面積×コイル半径の深さ)である。体積に比例して減少する微弱なNMR信号を、低ノイズ、高感度で計測するためには、送信系において、RF増幅器106の増幅用大型トランジスタから漏れてくるノイズを遮断することが必要となる。また、受信系では高感度のプリアンプ112を使用する必要がある。高感度のプリアンプ112の使用に当たっては、送信時に小型コイルに送られる大電圧の励起パルスからプリアンプ112を保護できるように、プリアンプ112を切断しなければならない。
(ii)試料体積内の核磁化を励起する際に、適切な励起パルスパワーで、具体的には、90度パルスと180度パルスの強度が1対2の関係、または照射エネルギーが1対4、またはパルス印加時間が1対2の関係になるように、核磁化を励起する必要がある。励起パルスパワーの調整を適切に行うことができないと、目標としているスピンエコー法のパルス系列とならず、その結果、適切なスピンエコー信号の取得ができないために、易動度の計測の信頼性が低下する。この現象は、従来のクロスダイオードを用いて、小型コイルの送受信切り替えを行う際には顕著に現れる。大型コイルでは、励起パルス強度が非常に大きく、クロスダイオードでの損失が無視できるほど小さいとみなせるが、小型コイルの場合には、励起パルス強度が大型コイルのそれよりも小さいために、クロスダイオードでの損失が無視できない。このため、適切な励起パルス強度とするためには損失が極力少ない「送受信切り替えスイッチ」が必要となる。
図7に戻り、検波器301で検波されたNMR信号(エコー信号)の実部および虚部は、データ受付部131により取得されて、演算部130に送出される。演算部130は、電流算出部303を有する。電流算出部303は、検波器301で検波されたエコー信号の実部および虚部を取得し、これらを用いてエコー信号と励起用振動磁場との位相差を算出し、この位相差から、エコー信号の周波数と励起用振動磁場の周波数との差分(周波数シフト量)Δωを算出する(図1のS305)。
(Real^2+Imaginary^2)^−1/2
によってその強度に変換すればよい。すなわち、この演算は図10の円の半径を求めていることに相当する。
本実施形態のように小型表面コイルを用いると、計測領域が小さいために、計測領域内での静磁場均一性が高くなり、エコー信号が非常に長い時間に渡って観測できる。これにより、高い周波数分解能で周波数シフト量を計測することができる。
なお、以上の実施形態の方法で測定される電流jが燃料電池が発電している状態で流れる電流であっても、直流電圧を印加して水電解運転している場合の電流であっても、磁場を形成させる原理は同じである。よって、共鳴周波数の増減Δωを計測することで、燃料電池の発電時と水電解運転時の空間的な電流を把握することができる。
また、測定装置300に、勾配磁場コイルをさらに設け、試料に適宜勾配磁場を印加することにより、勾配磁場を印加したPGSE法を用いることで対象分子の易動度を計測することができる。
これらの測定については、後述する第四および第五の実施形態においてそれぞれ説明する。
第一の実施形態に記載の測定装置300は、複数の小型RFコイル114を有していてもよい。本実施形態では、複数の小型RFコイル114は、試料115の複数箇所に対し、励起用振動磁場を印加するとともに、核磁気共鳴信号を取得する。また、電流算出部303は、試料115の複数箇所における電流を算出するように構成される。
図11は、複数の小型RFコイル114の配置例を示す斜視図である。
なお、MEAの面内の複数の領域におけるΔωの取得方法については、後述する実施例でさらに具体的に示す。
測定装置300(図7)において、複数の小型RFコイル114を設けることにより、以下の手順で周波数シフト量Δωの計測精度をさらに高めることができる。
(i)複数のRFコイルを用いる。一つのコイルは計測したい位置に、もう一つのRFコイルは、「電流が作る磁場の影響が無視できる程度に燃料電池から離れた位置」に置く。
(ii)「永久磁石内での磁場分布(核磁気共鳴周波数)は空間全体で一様に上下するだけであり、ある一点の場所で核磁気共鳴周波数の変動を計測していれば、他の場所の核磁気共鳴周波数はその変動分だけ上下させれば推測可能である。」という現象を用いる。
(コイル1)一つ目の小型RFコイル114:燃料電池から少し離れた場所(電流による磁場の影響が無視できる場所)にRFコイルを置き、コイルがNMR信号を受信できる場所に基準周波数を計測するための試料115を置いて、磁石内での核磁気共鳴周波数を計測する。これは「基準周波数のモニター用RFコイルとサンプル」の役目をする。
(コイル2)残りの複数の小型RFコイル114:試料115の計測したい位置に配置する。
(i)始めに「電流を流さない状態」でのNMR信号を、すべての小型RFコイル114(コイル1およびコイル2)で受信し、磁場分布(核磁気共鳴周波数分布ω)を得ておく。
(i−1)上記コイル1での共鳴周波数をωmonitor(t=0)とする。tは時刻である。
(i−2)上記コイル2が置かれた位置xでの核磁気共鳴関数をω(t=0,x)とする。
(ii)燃料電池での発電を始め、「電流を流した状態」でのNMR信号をすべての小型RFコイル114(コイル1およびコイル2)で受信する。その時刻はt1である。
(iii)(i)で取得したNMR信号から、基準周波数の変動量Δωを求める。
時刻t1での変動量Δω(t1)は、
ωmonitor(t1)−ωmonitor(t=0)
である。
(iv)この変動量Δω(t1)を用いて、コイル2のコイル位置での「電流がない場合の基準周波数」を、下記式より推算する。
ωno-current(t1,x)=ω(t1,x)+Δω(t1)
(v)「電流がある場合に実際にコイル2で計測されたNMR信号の周波数」をωcurrent(t1,x)とする。
電流がある場合の周波数シフト量Δω(t1,x)は、
Δω(t1,x)=ωcurrent(t1,x)−ωno-current(t1,x)
で算出できる。以上により得られたΔω(t1,x)を基に、電流分布を解析すればよい。
すなわち、コイル1とコイル2についてNMR信号を同時刻に計測することで、基準周波数をより正確に推算することができる。これにより、周波数シフト量Δω(t1,x)の計測精度を高めることができる。このため、たとえば燃料電池の測定に用いる際に、燃料電池を「短時間で電流なしとあり」とを切り替えて計測する必要がなくなる。これにより、より実際的な発電状況での計測ができる。
以下の実施形態では、試料の局所的な電流に加えて、試料中のプロトン性溶媒の量または易動性を測定する方法および装置について説明する。なお、以下の実施形態は、第一〜第三の実施形態のいずれにも適用可能である。
本実施形態においては、小型検出コイルで取得した局所の磁気共鳴信号を用いて、電流および水分量を測定する。
図14において、制御部307は、前述したパルス制御部108に加えて、試料115の電流を測定する第一測定モードと試料115中の水分量を測定する第二測定モードとを切り替える切替部(モード切替制御部169)を含む。モード切替制御部169に接続された操作信号受付部129は、作業者の測定モードの要求を受け付ける。そして、操作信号受付部129が、この要求をモード切替制御部169に送出する。
すなわち、小型RFコイル114は、以下の(a)〜(c)を含むパルスシーケンスで、励起用振動磁場を印加する。
(a)90°パルス、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス、および
(c)(b)のパルスの時間2τ経過後からはじまり、時間2τの間隔で印加されるn個の180°パルス(nは自然数である。)
ステップ301(ステップ102):試料115に静磁場を印加する、
ステップ303(ステップ104):小型RFコイル114を介して、上記(a)〜(c)を含むパルスシーケンスで、励起用振動磁場を印加し、これに対応するエコー信号を取得する、
ステップ305:ステップ303で取得した上記(b)または(c)のパルスに対応するエコー信号の実部および虚部を用いて、エコー信号の周波数と励起用振動磁場の周波数との差分を算出する、
ステップ307:ステップ305で得られた差分から、試料の特定箇所の電流を求める、
ステップ106:ステップ303で取得した上記(b)および(c)のパルスに対応する複数のエコー信号の強度からT2緩和時定数を算定する、
ステップ108:ステップ106で算出したT2緩和時定数から、試料中の局所的水分量を測定する、
ステップ309(ステップ110):その後、結果を出力する。
本実施形態においては、小型検出コイルで取得した局所の磁気共鳴信号を用いて、電流、水分量ならびに水の易動性を測定する。
(a)励起用振動磁場の90°パルス、
(b)(a)のパルス時間の経過後からはじまり、一定時間d印加される、勾配磁場パルス、
(c)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される励起用振動磁場の180°パルス、および、
(d)(c)のパルス時間の経過後からはじまり、一定時間d印加される、勾配磁場パルス。
ステップ301(ステップ102):試料115に静磁場を印加する、
ステップ303(ステップ202):勾配磁場をゼロとし、上記(a)〜(d)を含むパルスシーケンスで、励起用振動磁場を印加し、これに対応するエコー信号を取得する(第一ステップ)、
ステップ305:ステップ303で取得した(d)のパルスに対応するエコー信号の実部および虚部を用いて、エコー信号の周波数と励起用振動磁場の周波数との差分を算出する、
ステップ307:ステップ305で得られた差分から、試料の特定箇所の電流を求める(第二ステップ)、
ステップ204:勾配磁場をゼロでない所定の大きさとし、上記(a)〜(d)を含むパルスシーケンスで、励起用振動磁場を印加し、これに対応するエコー信号を取得する(第三ステップ)、
ステップ206:ステップ202およびステップ204で得られたNMR信号のピーク強度から、上記式(II)を用いて、試料115の特定箇所の水の自己拡散係数Dを求める(第四ステップ)、
ステップ309(ステップ208):その後、結果を出力する。
小型検出コイルが受信するNMR信号の周波数シフト量から、燃料電池などの試料に流れる電流量を換算することができる。その際、一つの小型検出コイルであっても、試料に流れる電流が均一であれば、周波数シフト量から容易に電流量を換算することができる。
また、実機の単セルに小型検出コイルを複数組み込み、高分子膜からのNMR信号を取得して、電流が流れた時に生ずるNMR信号の周波数シフト量Δωから、電流分布を換算することが可能となる。これにより、複数コイルで電流分布を効果的に計測することが可能となる。
また、燃料電池用高分子膜の「局所水分量」と「水分子の局所易動度」と「電流分布」を同一の装置で、同一の場所で、同一センサで局所計測する。三つの量を数秒ごとに交互に計測することでほぼ同時刻に両者の値を取得することができる(同一装置、同一位置、ほぼ同時刻)。
また、水分量と水分子の移動度と電流を数秒以内に計測する短時間計測が可能となる。
また、高分子膜の表面に貼り付けるだけで、かつ電磁波を用いた非侵襲計測を行う。
また、燃料電池の発電を行いながらでも、水分量と水分子の易動度と電流分布を計測できる。
また、高分子膜の状態を「水分含有量」と「水分子の易動度」と「電流分布」の多様な情報から把握でき、燃料電池内での発電状態または水電解状態を監視し、最も発電効率が高くなるように制御するためのモニタリングが可能となる。
また、「磁石・勾配磁場コイル一体型の棒状局所計測センサ」では、燃料電池セル内に容易にセンサを設置でき、しかも、RF検出コイル部のみが被計測領域にあればよく、ガス供給などを阻害することなく、計測することができる(図19)。
また、磁石とコイルを一体型にすることで装置構成によるNMR法の適用性の制限が解決され、高分子膜の計測以外の食品管理やプロセス管理などにも適用範囲を広げることができる。
(a)90°パルス
を印加してこれに対応するFID信号を取得し、電流算出部303が、FID信号の実部および虚部を取得して、位相の変化量から電流を求めてもよい。こうすれば、90°パルスのみで計測できるため、励起パルスの繰り返し時間を短くでき、短時間で位相の変化量を求められる。また、90°よりも小さくてももしくは大きくてもFID信号自体は観測できるため、スピンエコー法に比べて調整を簡略化することができる。
また、電流とともに水分量または水の易動性を測定する場合にも、上記(a)を含むパルスシーケンスを用ることにより、(a)に対応するFID信号から電流を算出することができる。
本実施例では、狭い隙間に水を入れ、その試料に密着させて銅板を置き、銅板に電流を流した際のNMR信号の周波数変化を計測した。
図20は、本実施例の概要を説明する図である。図20に示したように、本実施例では、銅板に電流jを流して、磁場Hjを形成させ、その横に置いた水からのNMR信号の周波数変化を計測する実験を行った。この実験により、電流jと周波数シフト量Δωとの関係を取得する。銅板は燃料電池を模擬しており、水は燃料電池内の高分子膜を模擬している。
本実施例では、MEA(Membrane Electrode Assembly)を用いた水電解運転時の電流jと周波数シフト量ΔΦ(j)との関係を検証した。
MEAはPEM(Polymer Electrolyte Membrane)に電極を接合したものである。ここで用いたMEAは、旭硝子社製の高分子電解質膜に、アノード側にPtとIrを、カソード側にPtを無電解めっきして製作した。MEAの寸法は17mm×15mm角、500μm厚さである。
本実施例では、近接した領域に2つの小型コイルを配置して測定を行った際に、それぞれの領域に対応した周波数シフト量が測定され、それぞれの領域に対応した電流値が測定可能であることを確認した。
そこで、電流I1、I2をそれぞれ独立に変えてNMR信号を取得し、周波数シフト量Δωが電流I1、I2によってどのような依存性を持つのかを計測した。
電流I2=0.0Aとした場合に、電流I1を0.2A刻みで変えて計測した二つのコイルでの周波数シフト量を図35に示す。この結果より、コイル1の周波数シフト量は電流I1に正比例し、一定の正の勾配で増加することが分かる。一方、コイル2の周波数シフト量は電流I1と逆比例し、一定の負の勾配で減少し、その勾配の大きさはコイル1の勾配よりも小さな値であることが分かる。この結果は、コイル2から遠い位置にある電流I1に対しても周波数シフトを生じるが、コイル2の周波数シフト量は「鈍感である」と言える。
次に、電流I2を0.4Aとした場合に、コイル1と2での周波数シフトがどのようになるかを計測した。電流I1を0.2A刻みで変えて計測した二つのコイルでの周波数シフト量を図36に示す。この結果より、コイル1の周波数シフト量は、図35とほぼ等しい結果となり、電流I1に正比例し、その勾配は図35と同じであるが、グラフでは、0.7だけ下にずれた直線となっている。つまり、周波数シフトの絶対値は約0.7rad/msだけ小さな値となった。一方、コイル2の周波数シフト量は、図35に比べて、約3.92rad/msだけ大きな値となっているが、電流I1と逆比例し、その勾配が負で、しかもその勾配がほぼ同じあることが分かる。このコイル2の周波数シフト量は、図35での電流I1=0.4Aでのコイル1の周波数シフト量(4.02rad/ms)にほぼ等しい。
次に、電流I2を負の値、−0.4Aとした場合に、コイル1と2での周波数シフトがどのようになるかを計測した。図36と同様に、電流I1を0.2A刻みで変えて計測した二つのコイルでの周波数シフト量を図37に示す。
今度は、電流I1をゼロとし、電流I2を0.4A刻みで変えて計測した。二つのコイルでの周波数シフト量を図38に示す。
銅板の形状は1、2で対称であり、コイル1、2の位置もポリカーボネイトセルの中心軸から等しい距離にあるため、計測結果(図38)は図35のコイル1と2を入れ替えた結果と一致する。
次に、電流I1=0.4Aとし、電流I2を0.4A刻みで変えて計測した。二つのコイルでの周波数シフト量を図39に示す。この計測結果(図39)も図36のコイル1と2を入れ替えた結果と一致する。
次に、電流I1を負の−0.4Aとし、電流I2を0.4A刻みで変えて計測した。二つのコイルでの周波数シフト量を図40に示す。この計測結果(図40)も図37のコイル1と2を入れ替えた結果と一致する。
以上の実験結果から、一つの試料に複数のコイルを配置した際に、それぞれの領域に対応した周波数シフト量が測定され、それぞれのコイルにおける周波数シフト量から、電流分布の逆算が可能であることがわかる。
なお、計測対象に電流分布があり、複数個所の小型表面コイルを用いてNMR信号の周波数シフト量から電流量を換算する方法は、以下の二通りがあると考える。
(i)第ゼロ近似として「周波数シフト量はコイルが置かれた近傍の電流量に比例する」と見なして算出する方法
(ii)電流分布を仮定し、電流と磁場の関係(ビオ・サバールの法則)を用いて、複数個所の周波数シフト量がすべてつじつまの合うように電流分布を「逆問題」として解く方法
また、上記(ii)において逆問題を解く際には、全電流量の値、たとえば、I1+I2が必要であるが、これは容易に計測できる。この方法によれば、より一層正確な電流分布の算出が期待できる。
上述した実施例3では、スピンエコー法を用いて2つの小型コイルを配置した時の電流値を測定した。具体的には、ある時間間隔でのエコー信号の位相変化量(周波数シフト量Δωと同等)から電流を求めていた。
以下、図中左側の小型表面コイル1で取得したFID信号の解析結果を示す。
電流I1=0.0Aの際に取得されたFID波形を図42に示す。この際のFIDは、T2 *緩和時定数によって減衰する波形を示す。FIDは横軸のtime=20msまで有意に観測できていることが分かる。
電流I1=0.40Aの際に取得されたFID波形を図45に示す。この場合に観測されるFIDは、電流を流したことにより静磁場の不均一性が強くなり、横軸がtime=12ms辺りでほとんど信号が見えなくなる。これより、図42に比べて、図45のFIDはより短いT2 *緩和時定数によって減衰する波形となる。
電流I1を0.80Aに増加させた際に取得されたFID波形を図48に示す。この場合に観測されるFIDは、さらに大きい電流を流したことにより静磁場の不均一性がより一層強くなり、横軸がtime=9ms辺りでほとんど信号が見えなくなる。これより、図42や図45に比べて、図48のFIDはより短いT2 *緩和時定数によって減衰する波形となる。
次に、電流を流す方向を逆にして、電流I1=−0.40Aの際に取得されたFID波形を図51に示す。この場合に観測されるFIDは、電流が逆方向に流れ、磁場方向が逆になったことで、RealとImaginary波形の進行が、図45と比べて、逆転していることが分かる。
電流I2=0.0Aとした場合に、電流I1を0.2A刻みで変えて計測した小型表面コイル1での周波数シフト量を図54に示す。この結果より、コイル1の周波数シフト量は電流I1に正比例していることが分かる。
具体的には、図35のコイル1での周波数シフト量と図54のそれとを比較すれば、両者の直線はほぼ同じ勾配で、縦軸との交点の値も同じであることが分かる。これより、FIDであっても、エコー信号であっても、電流に対する周波数シフト量はほぼ同じであり、どちらか一方の方法で電流と周波数シフト量との関係式(校正式)を作成しておけば、方法に区別なく、周波数シフト量から電流値を算出する際に用いることができる。
本実施例では、一枚の銅板に電流を流した際に形成される磁場と、それによって生ずるNMR信号の周波数シフト量を解析した。そして、解析で得られた周波数シフト量と、実測された周波数シフト量がよく一致していることを確認した。
以下の方法で、一枚の銅板に電流を流した際に形成される磁場と、それによって生ずるNMR信号の周波数シフト量を解析した。なお、試料は1Hの水とした。
導電体に電流Iが流れると、ビオ・サバールの法則から導電体の周囲に磁場Hiが形成される。その磁場強度は電流Iに比例する。この磁場を解析によって求める。
また、導電体はその静磁場内に置かれ、電流Iが、図55中、左から右に流れるとする。この電流により、導電体の周囲には磁場H1が形成される。
この結果、試料に印加される磁場は、磁石による静磁場H0と電流により形成されるHiとの和となる。
ω=γH
=γ(H0+Hi)
上記式中、γは核磁気回転比[Hz/gauss]であり、水素原子核1Hの場合には、4260Hz/gaussである。
図56において、導電体に流れる電流Iが作る磁場Hiは、ビオ・サバールの法則に基づいて算出することができる。具体的には、導電体が真空中(透磁率が4π×10-7N/A2)に置かれた場合に、導電体が位置(xp,yp,zp)に作る磁場Hi(xp,yp,zp)は、下記式で表される。なお、図57は、下記式における座標系を示す図である。
Hi:位置rでの磁場の強さ[A/m](ベクトル)
r:空間中の点Pの位置(xp,yp,zp)[m](ベクトル)
r':コイル上の点Qの位置(xq,yq,zq)[m](ベクトル)
I:電流[A](スカラー)
t:電流が流れる方向を表す単位ベクトル(銅板では一様に図中上向きである。)[−](ベクトル)
すなわち、銅板は長方形であり、電流は銅板内を一様に流れるとして、銅板を小さな要素に分割し、その要素には等しく分割された電流量が流れると仮定した。具体的には、点Qの小さな要素があり、その要素ごとに電流が流れ、それら複数の点Qの要素が点Pに磁場を作ることになる。この点Pの磁場は、上記式を用いて、点Qのすべての要素を積分することで計算した。
本解析では、銅板の長手方向(図57中、L方向)を均等に64分割、幅方向(図57中、W方向)を均等に32分割した。
また、図58中に矢印で示した「計測位置」は、RF検出コイルが計測する水試料の位置であり、zp=0.45mmである。図58より、この位置の周波数シフト量Δωの分布はほとんど平らになっている。銅板近傍は非常に急峻な分布であるが、銅板からわずかに離れるだけで、その分布はほぼ平らになっていることが分かる。この平らな領域が計測領域となる。この領域の周波数シフト量Δωが電流の大きさによって増減する。この周波数シフト量Δωを計測することで、電流を逆算することができる。
本実施例では、小型表面コイルを用いて周波数シフト量を計測し、実施例5−1の結果と比較した。
なお、小型表面コイルとして、ポリウレタン皮膜の線径50μmの銅線を用い、これを外径1.3mmで渦巻状に3回平面状に巻いて製作した。図60は、本実施例で作製した小型表面コイルを示す図である。
NMR計測システムとしては、エム・アール・テクノロジー社製のベースシステムを高感度化して用いた。また、磁石は、NEOMAX社製の磁場強度1.0Tesla、エアギャップ45mmの改良ハルバッハ型磁気回路を用いた。
図61より、本実施例の計測値が、実施例5−1の解析値によく一致しているのが分かる。従って、銅板の電流値(−1A〜1A)に対応したNMR信号の周波数シフト量Δωが実験で計測できており、両者の関係が正比例の関係にあることが分かる。
本実施例では、MEAを水電解運転する際の周波数シフト量の多点計測を行った。
本実施例では、後述する実施例6−2における実測に先立ち、MEAを一次元的な等価回路でモデル化した際の磁場の解析を行った。
高分子電解質膜の一方の面に、PtとIrを無電解めっきしてアノード側触媒層とした。また、高分子電解質膜の他方の面に、触媒としてPtを無電解めっきして、カソード側触媒層とした。
本実施例の磁場解析では、電気抵抗の大きい触媒層には電流が流れず、電流は集電体を流れると仮定した。
さらに、PEM内をプロトンが一様に透過し、PEM面内の全領域で等しい抵抗値を持つと仮定した。
この仮定に基づくと、アノード側集電極およびカソード側集電極に流れる電流分布はx方向に対してどちらも共に直線的に減少または増加する分布となる。これをMEAの等価回路と仮定した。
図64より、RF検出コイルAが置かれた位置での周波数シフト量、すなわち断面a−a(図63)での周波数シフト量は、上側から下側に向かって約6rad/msから約1rad/msへと減少していく。断面a−aでは、上側集電極に流れる電流I1(at section a−a)が、下側集電極に流れる電流I2(at section a−a)よりも大きい(I1>I2)。
本実施例では、図62に示したMEAを水電解運転した際の周波数シフト量分布を計測し、実施例6−1の解析結果と比較した。
(MEA)
旭硝子社製の高分子電解質膜の一方の面(アノード側)にPtとIrを無電解めっきし、他方の面(カソード側)にPtを無電解めっきして、MEAを製作した。MEAの寸法は23mm×20mm角、厚さ356μmとした。
水電解運転時の印加電圧は約3V、電流密度は0.26A/cm2であった。水電解運転時のMEAの温度は室温程度であった。なお、本実施例では、MEAへの水蒸気供給は行っていない。
本実施例では、NMR計測用表面コイルとして、内径0.6mmのものを用いた。カーボンメッシュに小さな穴を開けて、そこにコイルのリード部を通して、コイルをカーボンメッシュの上に固定させた。
図65は、本実施例で用いたコイルを示す図である。小型表面コイルは、ポリウレタン皮膜の線径40μmの銅線を内径0.6mmで渦巻状に5回平面状に巻いて製作した。このコイルはスターエンジニアリング社で製作された。
また、図66は、本実施例でカーボンメッシュ上に置かれたコイルを示す図である。
周波数シフト量は、実施例1に記載の方法に準じて求めた。図67に、電流値を1.2Aとした時にコイルAおよびBで計測された周波数シフト量を示した。
図67中、コイルAでの周波数シフト量を白抜きの四角(□)で示し、コイルBでの周波数シフト量を白抜きの三角(△)で示した。コイルの深さ方向の計測領域はコイル直径の5分の1程度であるから、PEM表面から0.1mm程度の幅を持った領域となる。この幅は図67中にバーとして記した。
本実施例により、運転中の燃料電池に対応する系においても、周波数シフト量を多点測定することができた。この方法を用いることにより、燃料電池のMEA中の電流の局所分布を知ることが可能となる。
(水電解運転時の周波数シフト量の計測)
NMRによる電流計測法を、PEMに電極を接合したMEA(Membrane Electrode Assembly)に適用し、水電解運転時のPEMでNMR信号の周波数シフト量を計測した。また、その妥当性を確認するために磁場解析もあわせて行い、計測結果と比較を行った。
計測値と比較して計測の妥当性を確認するために、MEA内の磁場解析を行い、その磁場によって増減するNMR信号の周波数シフト量を算出した。磁場解析は、図68に示すように、MEAのアノード端部に電流が供給され、カソード逆側端から電流が流れ出る電極配置で行った。この解析では、PEM内をプロトンが一様に透過し、PEM内の全領域で等しい抵抗値を持つとし、さらに、PEMのアノード側、カソード側にある電極に電流が流れて、閉回路を構成すると仮定した。この仮定に基づくと、アノード側電極に流れる電流I1は位置xと共に直線的に減少する電流分布に、反対に、カソード電極を流れる電流I2は位置xと共に直線的に増加する電流分布となる。アノード電極とカソード電極に流れる電流がPEM内部に磁場を形成する。この磁場強度分布Hiをビオ・サバールの法則を用いて解析し、さらに、その磁場強度からNMR信号の周波数シフト量を算出した。位置xの原点はPEMの中心とした。
水電解運転に用いたMEAは、高分子電解質膜のアノード側にPtとIrを、カソード側にPtを無電解めっきして製作した。MEAの寸法は23mm×20mm角、356μm厚さである。
計測された周波数シフト量と、解析から求められた周波数シフト量のx方向分布を図71に示す。この図の横軸は位置xとし、各センサーの位置に対応する。また、縦軸は周波数シフト量を表す。図中の■(黒塗りの四角)が、センサーA〜Dの位置xでの周波数シフト量の計測値を示す。また、実線は、(MEAの等価回路)の項で示した解析方法を用い、さらにGDLの厚みまで考慮して算出した周波数シフト量を示している。この際、周波数シフト量は、アノード表面位置(z=178μm)からコイルの計測中心までの距離0.05mmだけPEM内部に入った位置(z=128μm)での値とした。
また、センサーC、Dでは解析値よりも実験値が僅かに大きいが、この原因は、カーボンメッシュとMEAが空間的に均一な接触抵抗で接合しておらず、電流分布に僅かな偏りがあったためであると考えている。
本実施例では、燃料電池内のGDLとPEMの間に小型表面コイルを挿入して、燃料電池を水電解運転した際の電流値をNMRの周波数シフト量から計測するとともに、PEM内含水量も計測した。水を供給せずに水電解運転すれば、PEMは徐々に乾燥し、電流は徐々に低下する。本実施例では、この場合の電流と含水量の空間分布を時系列的に計測した。
周波数シフト量の計測は、実施例7と同様のPGSE法で、含水量はCPMG法で計測した。図73は、水電解運転を開始した(電圧を印加した)時間をゼロとした時の、本実施例におけるPGSEとCPMGの計測タイミングを示す図である。
図76は、PGSE#1と#4(図74)での計測から3つのセンサーA、CおよびDで求められた周波数シフト量を示す図である。図76は、前述の実施例7で示した図71と同様に、横軸をセンサーの位置x、縦軸を周波数シフト量として記述されている。図76において、■(黒塗りの四角)のプロットは、PGSE#1(電流は1.2A)で計測された周波数シフト量を示している。また、▲(黒塗りの三角)のプロットは、PGSE#4(電流は0.6A)で計測された周波数シフト量を示している。また、図中の実線と一点鎖線は、実施例7と同様の磁場解析によって算出した解析値である。
次に、CPMG計測によってPEM内の含水量を計測した結果を説明する。
MEAに直流電圧を印加した時間をゼロとし、アノード側(センサーA、C、D)で取得されたエコー信号強度の時間変化を図78に、カソード側(センサーE)で取得されたエコー信号強度の時間変化を図79に示す。ここで、エコー信号強度は、CPMG法を用いて2番目に観測されたエコー信号の強度であり、さらに、5回のCPMG計測を行った際の平均信号強度である。また、縦軸の値は、電流印加前に計測した4セットの平均信号強度で規格化されている。
また、本実施例では、周波数シフトの測定装置により水分量の測定を行った例を示したが、周波数シフトの測定装置により、水の易動性を測定することもできる。
Claims (19)
- 核磁気共鳴法を用いて試料の特定箇所の電流を局所的に測定する装置であって、
前記試料に対して静磁場を印加する静磁場印加部と、
前記試料に対して励起用振動磁場を印加するとともに、前記試料の特定箇所で発生した核磁気共鳴信号を取得する、前記試料よりも小さい小型RFコイルと、
前記小型RFコイルで取得された前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出し、前記差分から、前記試料の前記特定箇所の電流を算出する電流算出部と、
を備える測定装置。 - 請求項1に記載の測定装置において、
前記核磁気共鳴信号の実部および虚部を検波する検波部をさらに備え、
前記電流算出部が、前記検波部で検波された前記実部および前記虚部を用いて前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出する、測定装置。 - 請求項2に記載の測定装置において、
複数の前記小型RFコイルを備え、
前記複数の小型RFコイルが、前記試料の複数箇所に対し、前記励起用振動磁場を印加するとともに、前記核磁気共鳴信号を取得し、
前記電流算出部が、前記試料の前記複数箇所における電流を算出するように構成された、測定装置。 - 請求項3に記載の測定装置において、前記試料が膜である、測定装置。
- 請求項4に記載の測定装置において、
前記小型RFコイルが、パルス状の前記励起用振動磁場を印加するとともに、前記励起用振動磁場に対応するFID信号を取得し、
前記電流算出部が、前記FID信号の実部および虚部を取得する、測定装置。 - 請求項4に記載の測定装置において、
前記小型RFコイルが、
(a)90°パルス、および、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス
を含むパルスシーケンスで、前記励起用振動磁場を印加するとともに、前記励起用振動磁場に対応するエコー信号を取得し、
前記電流算出部が、前記エコー信号の実部および虚部を取得する、測定装置。 - 請求項4に記載の測定装置において、
前記小型RFコイルで取得された前記核磁気共鳴信号に基づいて、前記試料中のプロトン性溶媒の量を算出する溶媒量算出部と、
前記試料の電流を測定する第一測定モードと前記試料中のプロトン性溶媒の量を測定する第二測定モードとを切り替える切替部と、
をさらに備え、
前記第一測定モードにあるとき、前記電流算出部が、前記小型RFコイルで取得された前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分に基づく前記試料の前記特定箇所の電流の算出を実行し、
前記第二測定モードにあるとき、前記溶媒量算出部が、前記小型RFコイルで取得された前記核磁気共鳴信号に基づく前記試料中の前記特定箇所におけるプロトン性溶媒の量の算出を実行する、測定装置。 - 請求項7に記載の測定装置において、
前記第二測定モードにおいて、
前記小型RFコイルが、前記励起用振動磁場に対応するエコー信号を取得し、
前記溶媒量算出部が、前記エコー信号の強度から、T2緩和時定数を算出し、算出した前記T2緩和時定数から、前記試料中の前記特定箇所における前記プロトン性溶媒の量を算出する、測定装置。 - 請求項8に記載の測定装置において、
前記小型RFコイルが、
(a)90°パルス、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス、および
(c)(b)のパルスの時間2τ経過後からはじまり、時間2τの間隔で印加されるn個の180°パルス(nは自然数である。)
を含むパルスシーケンスで、前記励起用振動磁場を印加し、
前記第一測定モードにおいては、前記小型RFコイルが、前記(a)のパルスに対応するFID信号または前記(b)もしくは前記(c)のパルスに対応するエコー信号を取得するとともに、前記電流算出部が、前記FID信号または前記エコー信号の実部および虚部を取得し、
前記第二測定モードにおいては、前記小型RFコイルが、前記(b)および前記(c)のパルスに対応する複数のエコー信号を取得するとともに、前記溶媒量算出部が、前記複数のエコー信号の強度から、前記T2緩和時定数を算出する、測定装置。 - 請求項4に記載の測定装置において、
前記試料に対して勾配磁場を印加する勾配磁場印加部と、
前記小型RFコイルで取得された核磁気共鳴信号に基づいて、前記試料中のプロトン性溶媒の易動性を算出する易動性算出部と、
前記試料の電流を測定する第一測定モードと前記試料中のプロトン性溶媒の易動性を測定する第三測定モードとを切り替える切替部と、
をさらに備え、
前記第三測定モードにおいて、
前記小型RFコイルが、前記試料に前記励起用振動磁場を印加するとともに、前記励起用振動磁場および前記勾配磁場に対応する核磁気共鳴信号を取得し、
前記易動性算出部が、異なる勾配磁場に対応して得られた前記核磁気共鳴信号の情報に基づいて、前記試料の前記特定箇所の前記易動性を算出する、測定装置。 - 核磁気共鳴法を用いて燃料電池の固体高分子電解質膜の面内の電流の分布を取得する装置であって、
前記固体高分子電解質膜に対して静磁場を印加する静磁場印加部と、
前記固体高分子電解質膜に対して励起用振動磁場を印加するとともに、前記固体高分子電解質膜の特定箇所で発生した核磁気共鳴信号を取得する、前記固体高分子電解質膜よりも小さい、複数の小型RFコイルと、
前記複数の小型RFコイルについて、前記小型RFコイルで取得された前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出し、前記差分から、前記固体高分子電解質膜の面内の電流分布を取得する電流分布取得部と、
を備える測定装置。 - 核磁気共鳴法を用いて試料の特定箇所の電流を局所的に測定する方法であって、
静磁場に置かれた前記試料の特定箇所に対し、前記試料より小さい小型RFコイルを用いて、励起用振動磁場を印加するとともに、前記特定箇所で発生した核磁気共鳴信号を取得する第一ステップと、
前記第一ステップで取得した前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出し、前記差分から、前記試料の前記特定箇所の電流を求める第二ステップと、
を含む、測定方法。 - 請求項12に記載の測定方法において、
前記第二ステップにおいて、前記核磁気共鳴信号の実部および虚部を検波し、前記実部および前記虚部を用いて前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出する、測定方法。 - 請求項13に記載の測定方法において、
前記第一ステップにおいて、前記小型RFコイルがパルス状の前記励起用振動磁場を印加するとともに、前記励起用振動磁場に対応するFID信号を取得し、
前記第二ステップにおいて、前記FID信号の実部および虚部を検波し、前記実部および前記虚部を用いて前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出する、測定方法。 - 請求項13に記載の測定方法において、
前記第一ステップにおいて、前記小型RFコイルが、
(a)90°パルス、および、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス
を含むパルスシーケンスで、前記励起用振動磁場を印加するとともに、前記励起用振動磁場に対応するエコー信号を取得し、
前記第二ステップにおいて、前記エコー信号の実部および虚部を検波し、前記実部および前記虚部を用いて前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出する、測定方法。 - 請求項13に記載の測定方法において、
前記試料の特定箇所に対して励起用振動磁場および勾配磁場を印加するとともに、前記特定箇所で発生した核磁気共鳴信号を取得する第三ステップと、
前記第一ステップで得られた核磁気共鳴信号の情報と、前記第三ステップで得られた核磁気共鳴信号の情報とに基づいて、前記試料の前記特定箇所の易動性を算出する第四ステップと、
をさらに含み、
前記第一ステップおよび前記第三ステップにおいて、前記小型RFコイルを用いて前記試料の前記特定箇所に局所的な磁場を印加するとともに、前記特定箇所から核磁気共鳴信号を取得し、
前記第一ステップにおいて、前記試料に対する勾配磁場の印加を所定のパルスシーケンスにしたがって実行し、
前記第三ステップにおいて、前記第一ステップと異なる大きさの前記勾配磁場の印加を所定のパルスシーケンスにしたがって実行する、測定方法。 - 請求項13に記載の測定方法において、
前記第一ステップにおいて、前記小型RFコイルが、
(a)90°パルス、
(b)(a)のパルスの時間τ経過後に印加される180°パルス、および
(c)(b)のパルスの時間2τ経過後からはじまり、時間2τの間隔で印加されるn個の180°パルス(nは自然数である。)
を含むパルスシーケンスで、前記励起用振動磁場を印加するとともに、前記(a)のパルスに対応するFID信号または前記(b)もしくは前記(c)のパルスに対応するエコー信号を取得し、
前記第二ステップにおいて、
前記(a)のパルスに対応するFID信号または前記(b)もしくは前記(c)のパルスに対応するエコー信号の実部および虚部を用いて前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分を算出するとともに、
前記(b)および前記(c)のパルスに対応する複数のエコー信号の強度から、T2緩和時定数を算出し、算出した前記T2緩和時定数から、前記試料中の特定箇所におけるプロトン性溶媒の量を算出する、測定方法。 - 請求項17に記載の測定方法において、
前記第二ステップにおいて、前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分の算出のためのエコー信号の取得と、T2緩和時定数の算出のためのエコー信号の取得とを、交互に行う、測定方法。 - 請求項17に記載の測定方法において、
前記第二ステップにおいて、前記核磁気共鳴信号の周波数と前記励起用振動磁場の周波数との差分の算出のためのエコー信号の取得と、T2緩和時定数の算出のためのエコー信号の取得とを、同時に行う、測定方法。
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