JP5212972B2 - 計測装置および計測方法 - Google Patents
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Description
また従来、RFコイルの巻径を包含する十分な領域に対して極力均一な静磁場を印加すべく、鉄片などのパッシブシムやシムコイルなどのアクティブシムを用いて、試料自身や建物等に起因する静磁場の乱れを相殺する技術が用いられている(例えば下記非特許文献1を参照)。なお、試料自身等に起因したかかる静磁場の乱れによるFID信号の減衰速度を表す時定数を、T2 *緩和時定数という。
シムコイルとは、RFコイルの周囲に配置して電流を流すことで所望の磁場分布を形成するコイルをいう。そして従来のNMR計測にあたっては、計測者がFID信号を見ながら、静磁場調整用のシムコイルに印加する電流を調整して、静磁場の均一性が最も高くなるように調整していた。
しかしながら本発明者らの検討により、従来のNMR装置で行っていたように静磁場の均一性を常に最大に調整することが良好な計測結果をもたらすとは限らず、小型RFコイルを用いてプロトン性溶媒を計測する場合には、静磁場の均一性を向上させることによってはむしろ安定的な計測値を得ることができないことが明らかとなった。
核磁気共鳴法を用いて試料中の特定箇所のプロトン性溶媒から発生する局所的なエコー信号を計測する装置であって、
前記試料に対して静磁場を印加する静磁場印加手段と、
前記試料に印加される静磁場の強度を制御する静磁場強度制御手段と、
前記試料の一部に対して励起用振動磁場を印加するとともに、前記励起用振動磁場に対応するエコー信号を取得するRFコイルと、
を備え、
前記静磁場強度制御手段が、前記RFコイルの内径(D[m])、勾配磁場強度変化量(ΔG[gauss/m])、前記プロトン性溶媒の核磁気回転比(γ[Hz/T])、励起間隔(τ[sec])を用いて下記式(3)で表される所定の前記勾配磁場強度変化量(ΔG)の前記静磁場を前記静磁場印加手段より印加させることを特徴とする。
400≧D[m]・ΔG[gauss/m]・γ[Hz/T]・10-4[T/gauss]・τ[sec]≧6 (3)
核磁気共鳴法を用いて試料中の特定箇所のプロトン性溶媒から発生する局所的なエコー信号を計測する方法であって、
前記試料に対して、RFコイルの内径(D[m])、勾配磁場強度変化量(ΔG[gauss/m])、前記プロトン性溶媒の核磁気回転比(γ[Hz/T])、励起間隔(τ[sec])を用いて上記式(3)で表される所定の前記勾配磁場強度変化量(ΔG)の静磁場を印加しつつ、前記RFコイルを用いて前記試料の一部に対して励起用振動磁場を一回または複数回印加するとともに、前記励起用振動磁場に対応するエコー信号を計測する計測ステップ、
を含む。
をさらに含むこととしてもよい。
特に静磁場強度制御手段によって制御される勾配磁場に関してはRFコイルによる励起用振動磁場の印加中、およびエコー信号の取得中に亘る全計測時間において安定した強度で負荷される必要は必ずしもなく、その範囲内で変動してもよい。具体的には、180°励起パルスの印加中およびその前後の所定時間についてのみ上記所定の勾配磁場を印加してFID信号の減衰を促進することとしてもよい。
本実施形態の計測方法は、核磁気共鳴(NMR)法を用いて試料の特定箇所のプロトン性溶媒から発生する局所的なエコー信号を測定するものである。NMR法においては、静磁場中に置かれた原子核のスピン共鳴現象により核磁化の運動をNMR信号として検出することができる。
励起用振動磁場を印加するとともにエコー信号を取得するRFコイルとしては、平面内にて静磁場領域や試料よりも小さなスケールで導線を巻回した小型表面コイルを用いることにより、該コイルの周辺部に対して局所的なNMR計測が可能となる。したがって以下の実施形態において、RFコイルには小型表面コイルを用いるものとする。
図2は、水分量計測の概要を示すフローチャートである。
まず、水分を含有する試料を、永久磁石が配置された空間に置き、試料に静磁場を印加する(S102)。本実施形態で印加する静磁場は勾配磁場であり、かかる勾配によって静磁場を不均一に制御することでFID信号の減衰を促進する。好適な勾配磁場強度(D・ΔG[gauss])および勾配磁場強度変化量(ΔG[gauss/m])示す上記式(3)の意味については後述する。
次いで、このエコー信号からT2緩和時定数を算定する(S106)。そして、得られたT2緩和時定数から、試料中の局所的水分量を計測する(S108)。具体的には、試料中の水分量とT2緩和時定数との相関関係を示す検定データを予め取得しておき、この検定データと、算定された上記T2緩和時定数とから、試料中の特定箇所における局所的な水分量を求めることができる。検定データの形式は様々であるが、例えばT2緩和時定数と水分量とをテーブル形式で対応付けた換算表や、最小二乗法などにより求めた近似曲線を表す関数であってもよい。
(i)ステップ104(励起用高周波パルスの印加およびNMR信号の取得)
ステップ104における励起用高周波パルスは、複数のパルスからなるパルスシーケンスとし、これに対応するエコー信号群を取得するようにすることが好ましい。こうすることにより、T2緩和時定数を正確に求めることができる。
(a):90°パルス、および、
(b):(a)のパルスより励起間隔τだけ経過した後に印加される180°パルス、
(c):(b)のパルスより2τだけ経過した後からはじまり、さらに時間2τの間隔で連続的に印加されるn個の180°パルス(nは自然数である。)
T2緩和時定数は、例えば上記特許文献1に記載の方法によって計測することができる。具体的には、ステップ104で取得されたT2減衰曲線上にのる複数のエコー信号群(2τ,4τ,6τ,・・・)を指数関数でフィッティングすることで、上記式(A)よりT2緩和時定数を求めることができる。
図2に戻り、ステップ108では、T2緩和時定数から水分量を算出する。試料中の水分量とT2緩和時定数とは、正の相関を持ち、水分量の増加につれてT2緩和時定数が増大する。この相関関係は、試料の種類や形態等により異なることから、水分濃度が既知であって計測対象試料と同種の試料について検定データを作成しておくとよい。すなわち、水分量が既知の複数の標準試料に対して水分量とT2緩和時定数との関係を計測し、この関係を表す検量線のデータをテーブルまたは関数としてあらかじめ求めて記憶装置に保存しておく。そして計測時には、保存された検定データを呼び出して取得し、これと上記算定されたT2緩和時定数の計測値とから、試料中の水分量を算出することができる。
エコー信号強度から試料中の水分量を求めるに際しては、試料中の水分量とエコー信号強度との相関関係を示す検定データを予め計測してこれを記憶装置に保存しておくとよい。そして計測時には、保存された検定データを呼び出して取得し、これと上記算定されたエコー信号強度とから、試料中の特定箇所における局所的な水分量を求めることができる。
なお、T2緩和時定数を介さずエコー信号強度から試料中の水分量を直接換算して求める場合には、エコー信号のS/N比が良好な場合は一つのエコー信号のみから水分量を求めることも可能である。
本発明の計測装置および計測法において試料に印加される静磁場(勾配磁場)の好適な範囲である上記式(3)を以下に再掲する。
400≧D[m]・ΔG[gauss/m]・γ[Hz/T]・10-4[T/gauss]・τ[sec]≧4
また励起間隔(τ[sec])は計測者が任意で設定可能である。本実施形態のように溶液を計測対象とする場合、τは0.1msec以上、100msec以下とすることが好ましい。τが過大であると励起された磁化ベクトルが分散しすぎて収束が不十分となり、取得されるエコー信号の強度が低下する。一方、τが過小であると短時間に照射する励起パルス数が増加して装置負荷が増大すると共に、多数個のエコー信号の抽出処理や演算処理などの計測装置の負荷が過度となる。
以下本実施形態においては、断りなき場合τ=10-2[sec]=10[msec]とする。
ここで、180°励起パルス(1)に着目すると、その照射時(時刻τ)より現れるFID信号が、図示のように当該パルス照射からτ/2の時間が経過するまでに(すなわち時刻1.5τまでに)実質的に強度がゼロになるまで減衰した場合、これに対応するエコー信号との干渉が良好に回避されると考えられる。当該エコー信号は時刻1.5τ前後から発生し、その強度がピークとなるのは時刻2τの時点となるからである。
小型表面コイルの巻径内部の計測領域内では、この磁場強度の差によって核磁化ベクトルに位相が生じ、これによりFID信号の減衰が促進される。具体的には、コイル中心を基準としてもっとも離れた内径D(半径D/2)の位置において少なくとも2π[rad]の位相を与えることにより、核磁化ベクトルが十分に分散されると考えられる。したがってコイル内での位相が最も大きな差となる直径両端同士では、FID信号が十分に減衰することを望むτ/2の時間の間に少なくとも±2π[rad]、すなわち4π[rad]だけ互いに位相がずれるよう静磁場に不均一性を与えることで、FID信号の良好な減衰を得ることができる。
Δω=D・ΔG・2π・γ・10-4[rad/sec] (4)
と表される。この回転角振動数Δωは、計測領域となるコイル内径Dの両端間に静磁場強度の差が印加された条件下での核磁化ベクトルの回転角振動数の差である。
D・ΔG・2π・γ・10-4・τ/2≧4π (5)
と立式される。
D・ΔG[gauss]・γ[Hz/T]・10-4[T/gauss]・τ[sec]≧4 (6)
となり、これが、上記式(3)の右辺となる。
D・ΔG≧0.094≒0.1[gauss] (7)
となる。
したがって計測に用いる小型表面コイルの内径(D[m])に応じて、試料に印加すべき好適な勾配磁場強度変化量(ΔG[gauss/m])の範囲の下限値が求められる。
10[gauss]≧D・ΔG (8)
と設定される。
したがって上記式(7),(8)より、本実施形態で静磁場印加部150より試料に印加する静磁場の勾配磁場強度の好適な範囲は、
10≧D・ΔG[gauss]≧0.1 (9)
と設定される。
200≧D[m]・ΔG[gauss/m]・γ[Hz/T]・10-4[T/gauss]・τ[sec] (10)
と設定することにより、特にプロトン性溶媒量の経時的な変化を測定する場合に、計測値の誤差を実用的なレベルに抑えることができる。
図4は本実施形態の計測装置10の概略構成の一例を示すハードウェア構成図である。また図5は本実施形態の計測装置10の機能ブロック図である。
計測装置10の各構成要素は、CPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム等を中心に、ハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
なお図4の一部は、ハードウェア単位の構成ではなく機能単位のブロックを示している。
そして計測装置10においては、制御部307が上記式(9)で表される所定の勾配磁場強度変化量(ΔG)の静磁場を、静磁場印加部150より試料115に印加させる。
演算部130では、取得されたエコー信号に基づいて試料中の局所的な水分量を算出する。具体的な算出ステップ(図2を参照)における処理方法は上述したとおり、大別して2通りを採ることができる。一つはエコー信号の強度からT2緩和時定数を算出し、この値を水分量に換算して求める方法であり、もう一つはエコー信号の強度を水分量に直接換算する方法である。
計測装置10は、前述した小型RFコイル114、永久磁石113、静磁場調整用シムコイル151、制御部307、演算部130に加え、RF発振器102、変調器104、RF増幅器106、プリアンプ112、検波器301、A/D変換器118、スイッチ部161、計時部128、シーケンステーブル127、操作信号受付部129、データ受付部131、電流駆動用電源159、記憶部305、出力部135等を備える。
試料載置台116は試料115を載置する台であり、所定の形状、材質のものを用いることができる。
ただし本発明における静磁場印加部150は、上記のようにコイルを用いて構成することは必須ではなく、永久磁石のみによって構成してもよい。
以下、本実施形態および下記の実施例においては、静磁場を不均一にする手法として静磁場調整用シムコイル151(勾配磁場コイル)を用いる場合を例に説明するものとする。勾配磁場コイルは、単純な構成でありながら、電流により静磁場不均一性を容易に調整できる。
なお、試料の大きさとは、たとえば、試料を載置したときの投影面積とすることができ、小型RFコイル114の専有面積を、上記投影面積の好ましくは1/2以下、より好ましくは、1/10以下とする。小型RFコイル114の大きさは、たとえば、直径0.01mm以上、100mm以下とすることが好ましい。
図7は、セルに設置した小型表面コイルをLC共振回路に接続した様子を示す図である。
また、小型表面コイルは、通常のソレノイド型コイルと異なり、平面状であるために、図8に示すように、平面状の試料の上に押し付けるだけでNMR信号を取得することができる。
RFパルス生成部210は、RF発振器102、変調器104、RF増幅器106および制御部307の機能を含んで構成される。
RF発振器102は上記決定された周波数の信号を発信する。
変調器104は、RF発振器102が発信した信号をパルス形状に変調してRFパルス(90°パルスおよび180°パルス)を生成する。
RF増幅器106は、RFパルスを増幅して小型RFコイル114へ送出する。
小型RFコイル114は、試料載置台116に載置された試料115の特定箇所に対して、かかるRFパルスを印加する。
核磁気共鳴(NMR)法においては、磁場中に置かれた原子核のスピン共鳴現象により核磁化の運動をNMR信号として検出することで原子数密度とスピン緩和時定数を計測することができる。1[Tesla]の磁場中でのスピン共鳴周波数は約43MHzであり、その周波数帯を高感度に選択的に検出するために、同図に示すようなLC共振回路が用いられる。
NMR信号検出部220は、エコー信号を増幅するプリアンプ112、励起用振動磁場の周波数をもとに核磁気共鳴信号を検波する検波器301、およびA/D変換器118を含んで構成される。
検波器301においては、上記特許文献1と同様に、取得したエコー信号はRF発振器の基本波を元にして検波される。かかるエコー信号は、A/D変換器118でA/D変換されて演算部130へ送出される。
スイッチ部161は、小型RFコイル114とRFパルス生成部210(RF増幅器106)とが接続された第1状態、および、小型RFコイル114とNMR信号検出部220(検波器301)とが接続された第2状態を切り替える送受信切り替えスイッチである。
小型表面コイルを用いてNMR信号を取得する計測装置10の場合には、受信するNMR信号が微弱であるため送受信の切り換えスイッチを用いるとよい。
また、1Teslaの磁場中でのスピン共鳴周波数は約43MHz(この周波数帯をRadio frequencyと呼ぶ)であり、その周波数帯を高感度に選択的に検出するために、図8に示すようなLC共振回路が用いられる。
静磁場調整用シムコイル(Gradient Coil:勾配磁場コイル)151は、試料115に勾配磁場を印加できるように配置される。本実施形態において具体的には、図9に模式的に示すように、静磁場調整用シムコイル151は小型RFコイル114を挟んで、各軸ごとに対向して配置されている。より具体的には、静磁場調整用シムコイル151はZ方向の勾配磁場コイル(Gzコイル)154と、Y方向の勾配磁場コイル(Gyコイル)153と、X方向の勾配磁場コイル(Gxコイル:図示せず)とを組み合わせてなる。各軸の方向は図4に示す直交座標と対応している。小型RFコイル114は、コイル中心を座標原点とするZX平面内に置かれているものとする。また永久磁石113の静磁場H0はZ方向に印加されているものとする。
Gzコイル154はXY平面内に巻回面をもつループコイルであり、小型RFコイル114を±Z方向に挟んで配置されている。そして個々のGzコイル154への通電量を調整することで小型RFコイル114に対してZ方向に所望の勾配磁場を印加することができる。
Gyコイル153(153a〜153d)はそれぞれYZ平面の第一から第四象限に配置された半月状のコイルであり、その弦にあたる直線部はX方向に伸びて配置される。各象限に配置されたGyコイル153a〜153dへの通電量を調整することで、小型RFコイル114に対してY方向に所望の勾配磁場を印加することができる。
Gxコイルは、Gyコイルと同様の構成とし、これらをZ軸まわりに90度回転させた位置に配置することができる。
なお、個々の静磁場調整用シムコイル151(Gxコイル、Gyコイル、Gzコイル)の形状は、上記に限られず種々のものを採用し得る。
小型RFコイル114と静磁場調整用シムコイル151との間には、図示しない遮蔽シールドが設けられている。この遮蔽シールドにより、静磁場調整用シムコイル151からのノイズが、小型RFコイル114に影響するのを防止している。遮蔽シールドは、ノイズの通過を防止し、かつ、磁場が通過できるような厚さとなっている。
演算部130では、エコー信号強度と、記憶部305に記憶された検定データとに基づいてプロトン性溶媒の量を算出する。すなわち演算部130は水分量算出部132として機能する。
また演算部130ではこのほか、後述のようにエコー信号に基づいてT2(CPMG)値を算出する。また水分量算出部132は、算出されたT2(CPMG)値と検定データとから、プロトン性溶媒の量を算出してもよい。
ここで、NMR法を用いれば、プロトン性溶媒の量のみならず、プロトン性溶媒中の特定箇所の他の特性値をも計測することができる。本明細書では、かかる他の特性値の計測を第二計測モードと呼ぶ。計測される特性値としては、例えばプロトン性溶媒の易動性、溶媒中を流れる電流、固体高分子電解質膜中のプロトン性溶媒の透過特性などを挙げることができる。
すなわち本実施形態の計測装置10は、小型RFコイル114で取得されたエコー信号に基づいて試料115中のプロトン性溶媒の易動性を算出する易動性算出部をさらに備え、かかる易動性算出部が、計測されたエコー信号の情報に基づいて、試料115中の特定箇所の易動性を算出することとしてもよい。易動性算出部の機能は、演算部130によって実現することができる。
したがって本実施形態の計測装置10にて、第一計測モード(プロトン性溶媒量計測)と切り換えて第二計測モードにて易動性を計測する場合は、静磁場調整用シムコイル151により勾配磁場を引き続き小型RFコイル114に印加した状態で行う。ただし易動度計測にあたっては、これに適した状態に勾配磁場強度変化量(ΔG)を調整し直したうえで、上記ある一定時間だけかかる勾配磁場を印加するようにすることができる。
すなわち本実施形態の計測装置10は、励起用振動磁場の周波数と、エコー信号の周波数との差分を算出する周波数シフト量算出手段をさらに備えることとしてもよい。周波数シフト量算出手段の機能は、演算部130によって実現することができる。
すなわち本実施形態の計測装置10は、試料が二種類以上のプロトン性溶媒を含むとともに、上記取得されたエコー信号に基づいて、一のプロトン性溶媒のみを示す化学シフト値のスペクトルを取得するスペクトル取得手段と、当該スペクトルの強度に基づいて、膜中の特定箇所における上記一のプロトン性溶媒量の比率を算出する透過特性算出手段と、を備えることとしてもよい。スペクトル取得手段および透過特性算出手段の機能は、演算部130によって実現することができる。
図4および図5に図示した計測装置10を用いてCPMG法によりNMR計測を行った。
小型RFコイル114は、図6に示すように線径50μmの導線を略同心円状に3回巻き、共振回路のコイル部(インダクタンス部)の内径D=0.91mm、外径=1.3mmの小型表面コイルとした。
図11は流路付セルの構成の一例を示す図である。
かかる二つのセルを向かい合わせにして、その間に高分子電解質膜を挟んだ。固体高分子電解質膜には、寸法15mm×15mm、厚さ500μmの高分子膜(旭硝子株式会社製、商品名フレミオン)を用いた。高分子電解質膜表面に触媒は用いていない。
H=H0+HG
HG=GX・(x-x0) (11)
となる。
GX=208×(ダイヤルの読み値) (12)
なお、この関係は3つのシムコイル(GX-coil,GY-coil,GZ-coil)ですべて同一である。
そしてこれに小型RFコイル114の内径(D=0.91・10-3m)を乗じた勾配磁場強度D・ΔG[gauss]の値をあわせて同表に示す。実施例1,2については上記式(9)を満足している。
Case1の条件で取得したNMR信号の波形を図12(a),(b)に示す。同図(a)は計測したNMR信号の全体を示し、同図(b)は同図(a)の0〜100msecの部分を拡大して示している。
また、CPMG法で取得された2番目、4番目、6番目の3つのエコー信号強度の平均値(エコー信号強度の各回平均値)を16回分に亘って算出した。かかる各回平均値のばらつきに関する標準偏差と変動係数を同表に示す。なお、エコー信号強度の各回平均値を、さらに実験回数分に亘って平均したものを、以下「平均エコー信号強度」という。なお本発明において断りなくエコー信号強度と表現した場合はこの平均エコー信号強度を意味するものである。
また、2番目、4番目、6番目にあたる180°励起パルス(2)、(4)、(6)(180°励起パルス(2)については図1を参照)の照射からτ/3≒3.5msecだけ経過したそれぞれの時点で観測される3つのFID信号強度の平均値(τ/3時のFID信号強度の各回平均値)についても同様に16回分に亘って算出した。かかるFID信号強度の各回平均値のばらつきに関する標準偏差と変動係数を同表に示す。なお、τ/3時のFID信号強度の各回平均値を、さらに実験回数分に亘って平均したものを、以下「τ/3時の平均FID信号強度」という。なお本発明において断りなくFID信号強度または自由誘導減衰信号強度と表現した場合はこのτ/3時の平均FID信号強度を意味するものである。
さらに同表には、上記のエコー信号強度の各回平均値と、上記のτ/3時のFID信号強度の各回平均値との比を、実験回数分に亘って平均したもの(以下、「エコー信号強度/FID信号強度の平均」という)についても表記している。
そして同表では、実施例1(Case2)と実施例2(Case3)についても同様に計測および算出を行った結果についてもまとめて表記している。
同図より、比較例1においてはエコー信号強度の各回平均値自体がばらついていることが分かる。本来、定常状態の高分子電解質膜(試料115)のエコー信号は一定であるはずであり、このような激しい増減は見られない。
かかる時間は、上記式(5)を導いた際に設定したτ/2[sec]よりも安全側、すなわちFID信号とエコー信号との干渉がより十分に避けられる時間である。
図15は、かかる平均信号強度が実験回数ごとに推移する様子を示す図である。
また、かかる算出を16回に亘って繰り返した場合のFID信号強度の標準偏差と変動係数を上記表3に記載している。
勾配磁場強度変化量ΔGを270[gauss/m]に増加させて、試料115に印加する静磁場にある程度の不均一さを与えたCase2に関する計測結果および算出結果を以下に示す。計測方法や算出方法は上記比較例1と共通する。
図18は、実験回数とT2(CPMG)値との関係を示す図である。さらに、得られた16回分のT2(CPMG)値を統計解析して、T2(CPMG)値の標準偏差と、その変動係数(=標準偏差を平均値で割った値)を求めた。これらを上記表3に示した。
図19(a)、(b)、(c)はその算出結果である。同図(a)は、エコー信号強度の各回平均値の実験回数ごとの推移を表す。同図(b)は、τ/3時のFID信号強度の各回平均値の実験回数ごとの推移を表す。同図(c)は、エコー信号強度の各回平均値と、τ/3時のFID信号強度の各回平均値との比に関する実験回数ごとの推移を表す。
勾配磁場強度変化量ΔGを532[gauss/m]に増加させて、試料115に印加する静磁場に十分な不均一さを与えたCase3に関する計測結果および算出結果を以下に示す。計測方法や算出方法は上記比較例1および実施例1と共通する。
図21は、実験回数とT2(CPMG)値との関係を示す図である。さらに、得られた16回分のT2(CPMG)値を統計解析して、T2(CPMG)値の標準偏差と、その変動係数(=標準偏差を平均値で割った値)を求めた。これらを上記表3に示した。
したがって、かかる検量線を検定曲線とすることで、算出されたT2(CPMG)値または計測されたエコー信号強度より試料115中の含水量を求めることができる。
具体的には、上記表3に示す「エコー信号強度/FID信号強度の平均」が5以上、好ましくは10以上となるように静磁場の不均一性を強くしていけばよい。
このように、T2(CPMG)値の安定性ではなく、エコー信号とFID信号との強度比をモニタすることで、数回以上の計測データに基づく統計的な処理が不要となり、プロトン性溶媒量の迅速な計測が可能になる。かかる強度比をモニタしながら電流駆動用電源159より静磁場調整用シムコイル151に流す電流値を調整することで、静磁場印加部150で印加する静磁場の不均一性を上記式(3)の範囲内でリアルタイムに決定することができるからである。
プロトン性溶媒を、高分子電解質膜が含有する水から水試料に代えて上記実験1と同様にエコー信号を計測し、T2(CPMG)値およびプロトン性溶媒量を算出した。
水試料は、0.50mm厚のアクリル板を18mm×18mmの矩形状にくり抜いてフレームとし、厚さ0.12mmのカバーガラスをその両面に接着して密閉容器とし、その中に水を封入して構成した。
図25(a)に前者、同図(b)に後者の写真をそれぞれ示す。
まず、小型RFコイル114として内径0.60mm5巻きコイルを用いた場合について説明する。実験は、下記表4に示すCase4〜8の5ケースにて行った。
下記表4にはシムコイルに流した電流のダイヤル読み値[a.u.]を示す。また下記表5には、上記式(12)を用いて計算した、各シムコイル(GX-coil,GY-coil,GZ-coil)で与えた勾配磁場強度の変化量ΔG[gauss/m]を示す。またこれに小型RFコイル114の内径(D=0.60・10-3m)を乗じた勾配磁場強度D・ΔG[gauss]の値を示す。
Case4の条件で取得したNMR信号の波形を図26(a),(b)に示す。同図(a)は計測したNMR信号の全体を示し、同図(b)は同図(a)の0〜100msecの部分を拡大して示している。
同図および上記表6から、比較例2の場合、エコー信号強度の変動係数が大きく、エコー信号強度/FID信号強度の平均が2.33と非常に低い値であることが分かる。
小型RFコイル114として内径0.60mm5巻きコイルを用いて水試料をCase4からの勾配磁場強度の変化量ΔGを297[gauss/m]に、コイル内径D[m]とΔG[gauss/m]との積D・ΔGを0.178[gauss]に増加して、静磁場の均一性を増大してエコー信号を計測した。
このとき、90°励起パルスの後に観測されるFID信号は180°励起パルスの照射前で完全に減衰しており、また、同様に180°励起パルス後のFID信号はエコー信号とは干渉していない条件となる。この条件で取得した信号を図29に示す。FID信号のT2 *緩和時定数は約3msecである。同図(a)は計測したNMR信号の全体を示しており、同図(b)は同図(a)の0〜100msecのみを拡大して示している。
Case4と同様に、内径0.60mm5巻きコイルを用いて水試料をCase6の条件で計測されたエコー信号強度の各回平均値の推移、τ/3時のFID信号強度の各回平均値の推移、および、エコー信号強度の各回平均値とτ/3時のFID信号強度の各回平均値との比(エコー信号の明確さ)の推移を、それぞれ図31(a),(b),(c)に示す。
これによりCase4に比べて、Case6の条件で計測したT2(CPMG)値がより安定していると言える。
D・ΔG≧0.15 (13)
であることが好ましいといえる。
D[m]・ΔG[gauss/m]・γ[Hz/T]・10-4[T/gauss]・τ[sec]≧6 (14)
が導かれる。
次に、小型RFコイル114として内径1.30mm10巻きコイルを用いた場合について説明する。実験は、下記表7に示すCase9〜14の6ケースにて行った。
またCase12〜14については特に、上記式(13)の下限値を超え、上記式(14)を満足する勾配磁場強度とした。
内径1.30mm10巻きコイルで水試料を計測して得られた15回分のT2(CPMG)値を統計解析して、T2(CPMG)値の標準偏差と、その変動係数(=標準偏差を平均値で割った値)を求めた。これを下記表9に示した。なお同表には、平均エコー信号強度、およびエコー信号強度の各回平均値の変動係数のほか、τ/3時のFID信号強度の各回平均値に関してその平均値(τ/3時の平均FID信号強度)と変動係数、ならびにエコー信号強度/FID信号強度の平均についても表記している。
上記表9と、同図(a),(b)より、T2(CPMG)値のばらつきを数%程度にまで減少させて、安定的に計測をするためには、D・ΔGがおおよそ0.10[gauss]以上、すなわち実施例6〜9が好ましく、0.15[gauss]以上、すなわち実施例7〜9となるように、小型RFコイル114に印加する静磁場を不均一にすれば良いことが分かる。
そしてこの0.15[gauss]という値は、内径Dが0.60mmの小型表面コイルでも、1.30mmの小型表面コイルでも同一の値となる。
また図34(b)に示す勾配磁場強度D・ΔGとT2(CPMG)値の変動係数の関係においても、PEMと水とで同様の傾向を示している。なお、PEMのT2(CPMG)値の平均値が水のそれよりも2〜3分の1程度と小さいため標準偏差を平均値で割った変動係数はPEMの方が大きくなっているが、両者のT2(CPMG)値の平均が同じ程度であれば、この変動係数も更に一致すると推測される。
プロトン性溶媒の例としてアルコール水溶液を試料に用いて上記と同様の実験を行った。
具体的には、試料として60[vol%]のメタノール水溶液を用い、静磁場の不均一性と計測のばらつきとの関係を求めた。
また本実験では、実験2と同様に内径0.60mm、線径0.04mmのポリウレタン皮膜銅線、内径0.60mm5巻きコイルを小型RFコイル114として用いた(図25(a)を参照)。
図35は、かかる小型RFコイル114をセル中央に設置し、その上にメタノール水溶液試料を置いた様子を示す図である。計測時には、対向するセルによって試料を挟み込み、コイルと試料とを接触させた。
内径0.60mm5巻きコイルでメタノール水溶液試料をCase15の条件で取得したFID信号の波形を図36に示す。
ここで、図36のFID信号を見ると、NMR信号はビート(うなり)を打っており、NMR信号は水で取得されるような単調に減衰する曲線とはならないことが分かる。同図から、NMR信号のビートの幅は約15msecであり、それを周波数に換算すると約67Hzとなる。本装置での1Hの共鳴周波数43.3MHzに対し67Hzは1.5ppmである。すなわち同図は、CHとOHを起源とする異なる共鳴周波数のFID信号が混在した状態の波形を示すものといえる。
得られた16回分のT2(CPMG)値を統計解析して、T2(CPMG)値の標準偏差と、その変動係数(=標準偏差を平均値で割った値)を求めた。これを下記表12に示した。なお同表には、平均エコー信号強度、およびエコー信号強度の各回平均値の変動係数、τ/3時のFID信号強度の各回平均値とその変動係数、およびエコー信号強度/FID信号強度の平均についても表記している。
Case15の条件で計測されたエコー信号強度の各回平均値の推移、τ/3時のFID信号強度の各回平均値の推移、および、エコー信号強度の各回平均値とτ/3時のFID信号強度の各回平均値との比(エコー信号の明確さ)の推移を、比較例2(Case4)と同様に算出した。結果を図39(a)、(b)、(c)に示す。
Case19は、Case15から勾配磁場強度変化量ΔGを299.0[gauss/m]に、勾配磁場強度D・ΔG=0.179[gauss]にし、静磁場の不均一性を増加してエコー信号を計測したものである。このとき、90°励起パルスの後に観測されるFID信号は180°励起パルスの照射前で完全に減衰しており、また、同様に180°励起パルス後のFID信号はエコー信号とは干渉していない条件となる。この条件で取得した信号を図40に示す。FID信号のT2 *緩和時定数は約3msecである。同図(a)は計測したNMR信号の全体を示しており、同図(b)はその0〜100msecの部分を拡大して示したものである。
これらの結果より、T2(CPMG)値のばらつきを数%程度にまで減少させて、安定的に計測をするためには、勾配磁場強度D・ΔGがおおよそ0.10[gauss]程度以上すなわち実施例10〜14が好ましく、0.15[gauss]程度以上すなわち実施例11〜14が更に好ましいといえる。
図44(a)より、プロトン性溶媒の試料をPEM、水、メタノール水溶液と相違させたいずれの実験結果においても、T2(CPMG)値の標準偏差とD・ΔGとの関係はほぼ同様となる。これにより、勾配磁場強度変化量ΔGや勾配磁場強度D・ΔGこそが、エコー信号およびプロトン性溶媒量を安定的に計測できる評価値を与えると考えられる。すなわち上記一般式(3)によって、プロトン性溶媒に対するエコー信号計測や溶媒量の計測が安定的に行われる条件が規定されることがわかる。具体的には、γ=42.6MHz、τ=10msecとした上記各実験結果においては、D・ΔG[gauss]が0.1以上の場合にT2(CPMG)値のばらつきが実用的なレベルで有意に抑えられる。そしてD・ΔG≒0.15[gauss]に変曲点が存在し、これ以上の勾配を負荷した場合にはT2(CPMG)値の標準偏差がほぼノイズレベルとなって変動しなくなる。
前者の場合、エコー信号強度の絶対値を計測する必要がある。含水量に換算するためにはエコー信号強度を標準的な試料を用いて検定し、両者の関係を予め対応付けておくとよい。
これに対し後者の場合、エコー信号強度の絶対値は不要であり、エコー信号が相対的に計測されていればよく、すなわちエコー信号の減衰の仕方からT2(CPMG)値が求められるという相違がある。言い換えると、エコー信号強度から含水量を換算して求める場合には、ばらつきのない安定したエコー信号の取得が求められる。
なお、PEMのエコー信号強度の平均値が水のそれと同程度であれば、変動係数についても更に一致すると推測される。
NMR信号の周波数シフト量から銅板に流れる電流量を算出する際に、静磁場の均一性の高低が計測値のばらつきにどのような影響を与えるかを調べた。
静磁場の均一性が高いか、低いかによってエコー信号の形状が異なる。図46には、小型表面コイルを用いて観測されるエコー信号の形状が静磁場の均一性でどのように変化するかの概略図を示した。この図のエコー信号は、180°励起パルスの前後に勾配磁場を印加して、FID信号を速やかに減衰させるシーケンスを用いた際に観測される「干渉のないスピンエコー信号」である。
(位相の変化量)=(計測された位相)/(計測時間)={(位相の真の値)+(ノイズによる位相のばらつき)}/(計測時間) (15)
また水試料は、上記実験2にて用いたものを使用した。
静磁場が均一な場合での計測結果を示す。銅板に流す電流Iがゼロの時のエコー信号を図49(a)に示す。NMR信号は位相敏感検波方式で検波され、実部、虚部の二つの信号を取得している。同図(a)では、それぞれRealとImagと表記している。90°励起パルスはtime=5msecで照射している。図中のPowerは実部と虚部から信号強度を算出したものであり、この形がエコー信号の形を表す。静磁場が均一な場合には、エコー信号の形は非常に平坦で、time=約12msecから約20msecまで有意なエコー信号が観測されていることが分かる。
同図(a)のエコー信号では、図49(a)とは異なり、NMR信号の実部と虚部が振動し、周波数が基準波からずれている様子が分かる。エコー信号の領域では、実部(Real)が先で、その後に虚部(Imag)が振動している。
この周波数シフト量Δω[rad/msec]は、図49(c)、図50(b)の「位相差ΔΦの傾き」に相当する。それぞれの位相差ΔΦのグラフを基にして、最小自乗法で直線近似し、その勾配から周波数シフト量Δωを算出した。Case22の場合では、13msecから19msecまで6msecの間がノイズに比較して、有意にエコー信号が観測されている時間であり、その間での位相差ΔΦのばらつきが小さい。この6msecの間の112点の位相差データを用いて、直線近似の計算を行った。
この方法で得られる周波数シフト量のばらつきを統計的に解析するために、同一条件で7回計測し、同じ算出方法で周波数シフト量を算出した。また、銅板に流す電流値を0.0[A]、0.1[A]、0.2[A]と変えて、同様に7回計測した。この7回計測した結果を図51に示す。
T2 *緩和時定数をある程度短くして、故意に静磁場を不均一にした場合に周波数シフト量のばらつきがどのように変化するかを実験した。表13,14中のCase23の条件で、上記のCase22と同様の計測を行った。その計測結果を示す。
また、周波数シフト量と銅板に流れる電流量は正比例の関係にあり、周波数シフト量が安定して計測できることで、銅板に流れる電流量をより安定的に推算することができる。
102 RF発振器
104 変調器
106 RF増幅器
112 プリアンプ
113 永久磁石
114 小型RFコイル
115 試料
116 試料載置台
118 A/D変換器
127 シーケンステーブル
128 計時部
129 操作信号受付部
130 溶媒量算出部(演算部)
131 データ受付部
132 水分量算出部
135 出力部
150 静磁場印加部
151 静磁場調整用シムコイル
159 電流駆動用電源
161 スイッチ部
210 RFパルス生成部
220 NMR信号検出部
301 検波器
305 記憶部
307 静磁場強度制御部(制御部)
Claims (17)
- 核磁気共鳴法を用いて試料中の特定箇所のプロトン性溶媒から発生する局所的なエコー信号を計測する装置であって、
前記試料に対して静磁場を印加する静磁場印加手段と、
前記試料に印加される静磁場の強度を制御する静磁場強度制御手段と、
前記試料の一部に対して励起用振動磁場を印加するとともに、前記励起用振動磁場に対応するエコー信号を取得するRFコイルと、
を備え、
前記静磁場強度制御手段が、前記RFコイルの内径(D[m])、勾配磁場強度変化量(ΔG[gauss/m])、前記プロトン性溶媒の核磁気回転比(γ[Hz/T])、励起間隔(τ[sec])を用いて下記式(1)で表される所定の前記勾配磁場強度変化量(ΔG)の前記静磁場を、前記静磁場印加手段より印加させることを特徴とする計測装置。
400≧D[m]・ΔG[gauss/m]・γ[Hz/T]・10-4[T/gauss]・τ[sec]≧6 (1) - 前記励起用振動磁場の印加からτ/3経過した時点における自由誘導減衰信号の強度に対して、当該励起用振動磁場に対応するエコー信号の強度が5倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
- 前記励起間隔(τ)が0.1msec以上、100msec以下である請求項1または2に記載の計測装置。
- 前記静磁場印加手段が、前記RFコイルの内部に均一な静磁場を印加する永久磁石と、前記永久磁石が印加する静磁場に勾配を与える少なくとも三式の静磁場調整用シムコイルと、をともに備え、直交三軸方向にそれぞれ前記勾配が与えられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の計測装置。
- 前記RFコイルの内径(D)が0.01・10-3乃至100・10-3[m]である請求項1から4のいずれかに記載の計測装置。
- 前記取得されたエコー信号の強度から、前記試料の特定箇所における前記プロトン性溶媒の量を算出する溶媒量算出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の計測装置。
- 前記溶媒量算出手段が、前記取得されたエコー信号の強度から、T2緩和時定数を算出し、算出された前記T2緩和時定数から、前記試料の特定箇所における前記プロトン性溶媒の量を算出する請求項6に記載の計測装置。
- 前記プロトン性溶媒が水またはアルコール類である請求項6または7に記載の計測装置。
- 前記静磁場強度制御手段が、前記静磁場印加手段より印加させる静磁場の勾配の強度を、前記所定の勾配磁場強度変化量(ΔG)または実質的にゼロに切り換え可能であり、
前記静磁場印加手段が前記所定の勾配磁場強度変化量(ΔG)の静磁場を試料に印加した状態で取得された前記エコー信号の強度から前記プロトン性溶媒の量を算出する第一計測モードと、
前記静磁場の勾配の強度が実質的にゼロである状態で取得されたエコー信号の強度から前記プロトン性溶媒の他の特性値を計測する第二計測モードと
を切り換える切り換え手段をさらに備える請求項6から8のいずれかに記載の計測装置。 - 核磁気共鳴法を用いて試料中の特定箇所のプロトン性溶媒から発生する局所的なエコー信号を計測する方法であって、
前記試料に対して、RFコイルの内径(D[m])、勾配磁場強度変化量(ΔG[gauss/m])、前記プロトン性溶媒の核磁気回転比(γ[Hz/T])、励起間隔(τ[sec])を用いて下記式(2)で表される所定の前記勾配磁場強度変化量(ΔG)の静磁場を印加しつつ、前記RFコイルを用いて前記試料の一部に対して励起用振動磁場を一回または複数回印加するとともに、前記励起用振動磁場に対応するエコー信号を計測する計測ステップ、
を含む計測方法。
400≧D[m]・ΔG[gauss/m]・γ[Hz/T]・10-4[T/gauss]・τ[sec]≧6 (2) - 前記励起用振動磁場の印加からτ/3経過した時点における自由誘導減衰信号の強度に対して、当該励起用振動磁場に対応するエコー信号の強度が5倍以上であることを特徴とする請求項10に記載の計測方法。
- 前記計測ステップにて計測された一つまたは複数の前記エコー信号の強度から、前記試料の特定箇所における前記プロトン性溶媒の量を算出する算出ステップ、
をさらに含み、
前記算出ステップが、
前記試料中のプロトン性溶媒の量とエコー信号の強度との相関関係を示す検定データを取得するステップと、
前記検定データと、前記取得したエコー信号の強度とから前記プロトン性溶媒の量を算出するステップと、
を含む、請求項10に記載の計測方法。 - 前記計測ステップにて計測された一つまたは複数の前記エコー信号の強度から、前記試料の特定箇所における前記プロトン性溶媒の量を算出する算出ステップ、
をさらに含み、
前記算出ステップが、
前記計測されたエコー信号の強度から、T2緩和時定数を算出するステップと、
前記試料中のプロトン性溶媒の量とT2緩和時定数との相関関係を示す検定データを取得し、該検定データと、算出された前記T2緩和時定数とから、前記試料の特定箇所におけるプロトン性溶媒の量を算出するステップと、
を含む、請求項10に記載の計測方法。 - 請求項12または13に記載の計測方法において、
前記試料に印加する静磁場の勾配の強度を、前記所定の勾配磁場強度変化量(ΔG)から実質的にゼロに切り換える切換ステップと、
前記静磁場の勾配の強度が実質的にゼロである状態で、前記RFコイルを用いて前記試料の一部に対して前記励起用振動磁場を一回または複数回印加するとともに、前記励起用振動磁場に対応するエコー信号を計測する第二計測ステップと、
前記第二計測ステップで計測された一つまたは複数の前記エコー信号の強度から、前記試料の特定箇所におけるプロトン性溶媒の他の特性値を算出する第二算出ステップと、
をさらに含むことを特徴とする計測方法。 - 請求項1から9のいずれかに記載の計測装置において、
前記静磁場印加手段により前記所定の勾配磁場強度変化量(ΔG)の前記静磁場を印加した状態において、
前記RFコイルが
(a)90°パルス、および、
(b)(a)のパルスより励起間隔τ経過後に印加される180°パルス
のパルスシーケンスで、前記励起用振動磁場を印加するように構成され、
前記RFコイルが180°パルス印加後に生じる前記エコー信号を取得するように構成された計測装置。 - 請求項10から14のいずれかに記載の計測方法において、
前記計測ステップにおいて、
前記静磁場印加手段により前記所定の勾配磁場強度変化量(ΔG)の前記静磁場を印加した状態において、
前記RFコイルが
(a)90°パルス、および、
(b)(a)のパルスより励起間隔τ経過後に印加される180°パルス
のパルスシーケンスで、前記励起用振動磁場を印加し、
前記RFコイルが180°パルス印加後に生じる前記エコー信号を取得する計測方法。 - 請求項1から9のいずれか、または請求項15に記載の計測装置において、
前記静磁場印加手段は、均一な静磁場に対して、直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向のうち少なくとも2軸方向に勾配を与えることで前記所定の勾配磁場強度変化の前記静磁場を、印加するように構成され、
前記勾配磁場強度変化量(ΔG)は、前記均一な静磁場に対する前記X軸、Y軸、Z軸方向の勾配磁場変化量ΔGx、ΔGy、ΔGzの二乗和の平方根である計測装置。
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