JPWO2008029761A1 - 機能性膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

従来よりも、孔部内の空気が抜けやすく、生産性も良好な機能性膜の製造方法を提供すること。多孔性基材の孔部内に機能性ポリマーが充填された機能性膜を製造するにあたり、多孔性基材の一方表面に、機能性ポリマー前駆体またはその液の層を積層し、多孔性基材の孔部内に、機能性ポリマー前駆体またはその液を含浸させる第1工程と、上記機能性ポリマー前駆体またはその液を化学反応させることにより、多孔性基材の孔部内に機能性ポリマーを固定する第2工程とを少なくとも経て機能性膜を製造する。

Description

本発明は、機能性膜の製造方法に関するものである。
近年、多孔性基材の孔部内に機能性ポリマーを充填した機能性膜は、様々な分野において、その応用が検討されている。
例えば、燃料電池や電解装置などの分野では、ポリエチレンなどからなる多孔性基材の孔部内にイオン伝導性ポリマーを充填した機能性膜を、イオン交換膜として用いることなどが検討されている。
上記イオン交換膜は、メタノールなどの燃料の透過を抑制でき、イオン伝導性を有していることから、とりわけ、直接メタノール形燃料電池(DMFC)への適用が期待されているものである。
このような機能性膜を製造する方法としては、例えば、特開2005−76012号公報には、ポリマー前駆体溶液が入った容器中に多孔質樹脂シートを浸漬する工程を有する機能性膜の製造方法が開示されている。
しかしながら、特開2005−76012号公報に記載の機能性膜の製造方法は、以下の点で未だ改良の余地があった。
すなわち、上記機能性膜の製造方法によれば、溶液中に多孔性基材を浸漬しているので、多孔性基材の両面から孔部内へ溶液が含浸されることになる。
そのため、浸漬前に多孔性基材の孔部中に存在していた空気は、孔部から抜け出し難く、孔部内に空気が閉じ込められやすいといった問題があった。
孔部内に空気が閉じ込められると、例えば、イオン交換膜の場合であれば、孔部内におけるイオン伝導性ポリマーの充填が不十分となる。そのため、メタノールなどの燃料が透過しやすくなる。また、イオンの移動経路が遮断され、イオン伝導性が低下し、イオン交換機能を十分に発揮できなくなる。
一般に、この種の機能性膜では、孔部中に充填されている機能性ポリマーの量が多いほど、高い機能を発現しやすい。したがって、上記溶液濃度を高くするほど機能面では有利になると言えるが、溶液濃度を高くすると、溶液粘度が上昇しやすくなる。そのため、従来の方法では、孔部内に空気が一層閉じ込められやすくなってしまう。
一方、孔部内に空気が閉じ込められるのを避ける一つの手段として、多孔性基材の浸漬時間を長くするといったことも考えられる。
しかしながら、浸漬時間を長くすれば、それに伴い機能性膜の生産性が低下するといった問題が新たに発生する。また、上記溶液の高濃度化に伴う高粘度化の問題もあり、単に浸漬時間を長くするだけで、孔部内の空気を追い出せるというわけでもない。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、従来よりも、孔部内の空気が抜けやすく、生産性も良好な機能性膜の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る機能性膜の製造方法は、多孔性基材の孔部内に機能性ポリマーが充填された機能性膜の製造方法であって、多孔性基材の一方表面に、機能性ポリマー前駆体またはその液の層を積層し、多孔性基材の孔部内に、機能性ポリマー前駆体またはその液を含浸させる第1工程と、上記機能性ポリマー前駆体またはその液を化学反応させることにより、上記孔部内に機能性ポリマーを固定する第2工程と、を少なくとも有することを要旨とする。
この際、上記第2工程における化学反応は、重合反応、架橋反応およびグラフト反応から選択される1種または2種以上の反応であると良い。上記反応としては、モノマー、オリゴマーなどの低分子化合物を重合させる重合反応、必要に応じて添加する架橋剤の架橋反応、架橋反応性を有する高分子量の機能性ポリマー前駆体の架橋反応、機能性ポリマー前駆体の多孔性基材へのグラフト反応などが挙げられる。
また、上記第1工程における積層は、上記多孔性基材とベース基材との間に、上記機能性ポリマー前駆体またはその液の層を挟持することによると良い。
また、上記第1工程と上記第2工程との間に、上記機能性ポリマー前駆体またはその液の層の積層側と反対側の多孔性基材表面に、さらに、カバー基材を積層する第3工程を有していても良い。
また、上記第1工程において、上記多孔性基材は、予め親水処理されていても良い。
また、上記第1工程において、上記多孔性基材の孔部内には、上記機能性ポリマー前駆体またはその液に対して親和性を有する揮発性溶剤が予め含浸されていても良い。
本発明に係る機能性膜の製造方法は、第1工程において、多孔性基材の一方表面から孔部内に機能性ポリマー前駆体またはその液を含浸させる。
そのため、本発明に係る機能性膜の製造方法によれば、従来の製造方法に比較して、孔部内の空気が抜けやすい。また、従来のように、多孔性基材の浸漬時間を長くする必要がないことから、生産性も良好である。とりわけ、第1工程において、多孔性基材とベース基材との間に、機能性ポリマー前駆体またはその液の層を挟持した場合には、被含浸物の孔部内への含浸性を向上させることができる。
また、第2工程では、孔部内に含浸された機能性ポリマー前駆体またはその液を、化学反応(重合反応、架橋反応、グラフト反応など)させることにより、孔部内に機能性ポリマーが強固に保持されて固定される。そのため、機能性膜の使用時などに、孔部から機能性ポリマーが脱落し難く、耐久性が良好な機能性膜を得られる。
また、液中に含まれる機能性ポリマー前駆体の濃度が比較的高く、液粘度が比較的高くなるような場合などであっても、孔部内の空気が抜けやすいので、孔部内に液を含浸させやすい。そのため、孔部内に充填される機能性ポリマーの量を多くしやすく、例えば、イオン交換膜であれば、イオン交換容量を大きくしやすいなど、機能性膜の高機能化を図りやすい。
また、従来の製造方法によれば、多孔性基材に含浸されなかった溶液が最終的に大量に残るのでロスが大きいといえる。これに対し、本発明の製造方法によれば、第1工程を有しているので、必要な分だけ溶液などの被含浸物を使用することができ、ロスが少なくなる利点がある。
さらに上記第3工程を有している場合には、第1工程にて孔部内に含浸された被含浸物がカバー基材によって空気(外気)から遮断される。そのため、機能性ポリマー前駆体から機能性ポリマーを重合等により生成させるときに、機能性ポリマー前駆体の種類によっては、空気中の酸素により重合が阻害されることがあるが、これを防ぎやすくなる。また、得られる機能性膜の平坦性も向上させやすい。
また、例えば、イオン交換膜を製造する場合などには、親水性の高い被含浸物を孔部内に含浸させることになるが、第1工程において、多孔性基材が予め親水化されているときには、親水性の高い被含浸物が速やかに孔部内へ含浸されやすくなる。そのため、生産性を一層向上させやすい。
また、第1工程において、多孔性基材の孔部内に予め上記揮発性溶剤が含浸されている場合には、孔部内の揮発性溶剤が揮発することによって被含浸物と置き換わる。そのため、被含浸物の孔部内への含浸性が向上し、生産性を一層向上させやすくなる。
ダイコーターを使用(ベース基材に被含浸物を塗工)して連続的に機能性膜を製造する方法の一例を模式的に示した図である。 コンマコーターを使用して連続的に機能性膜を製造する方法の一例を模式的に示した図である。 図1の製造方法において、多孔性基材の孔部に揮発性溶剤を予め含浸させる場合の一例を模式的に示した図である。 ダイコーターを使用(多孔性基材に被含浸物を塗工)して連続的に機能性膜を製造する方法の一例を模式的に示した図である。
以下、本実施形態に係る機能性膜の製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)について詳細に説明する。
本製造方法は、多孔性基材の孔部内に機能性ポリマーが充填された機能性膜を製造する方法であって、少なくとも以下の第1工程、第2工程を有している。
1.第1工程
本製造方法において、第1工程は、多孔性基材の一方表面に、機能性ポリマー前駆体またはその液(以下、「被含浸物」ということがある。)の層を積層し、多孔性基材の孔部内に、機能性ポリマー前駆体またはその液を含浸させる工程である。以下、その内容について詳細に説明する。
(多孔性基材)
多孔性基材は、主に、機能性膜の骨格を形成するものである。
上記多孔性基材の形状としては、具体的には、例えば、フィルム状、シート状、板状などの平面形状を好適な形状として例示することができる。
ここで、上記多孔性基材は、被含浸物が含浸されることから、外部に連通する開気孔を少なくとも有している。なお、開気孔以外にも、閉気孔が存在していても構わない。
上記開気孔は、多孔性基材の一方面から他方面に貫通する貫通孔であることが好ましい。なお、貫通孔以外にも、非貫通孔が存在していても構わない。
この場合、貫通孔は、例えば、基材面に対してほぼ垂直に貫通していても良いし、基材面に対して90°未満の角度で傾斜して貫通していても良い。また、蛇行、ジグザグ状など、ランダムに貫通していても良い。
また、上記開気孔の断面形状は、被含浸物を含浸することができれば何れの形状であっても良く、その断面形状は、特に限定されるものではない。上記開気孔の断面としては、具体的には、例えば、円形、楕円形、多角形、これらが連接された形、これらの組み合わせなどを例示することができる。
上記多孔性基材の空孔率は、機能性膜の用途などによって適宜選択することができ、概ね、5〜95%の範囲内にあると良い。
例えば、機能性膜を燃料電池などのイオン交換膜として用いる場合、上記多孔性基材の空孔率の上限としては、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下が最も好ましい。一方、上記多孔性基材の空孔率の下限としては、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上が最も好ましい。上記範囲内にあれば、燃料の透過を抑制する効果と、単位面積当たりのイオン交換基量、膜強度などのバランスが良いからである。
なお、上記空孔率は、多孔性基材の厚さと面積から体積を求め、その重量を測定し、構成する材料の比重とから、全体積中に占める空気の割合を計算することにより求めることができる。具体的には、下記の式により求めることができる。
空孔率%=(多孔性基材の厚さ×多孔性基材の面積−多孔性基材の重量/構成材料の比重)/(多孔性基材の厚さ×多孔性基材の面積)×100
上記多孔性基材の孔部径についても、機能性膜の用途などによって適宜選択することができる。孔部径が過度に小さ過ぎると、被含浸物を含浸させ難くなる傾向が見られる。一方、孔部径が過度に大き過ぎると、孔部内に機能性ポリマーを保持し難くなり、機能性膜の変形時などに脱落する場合がある。孔部径の選択には、これらに留意すると良い。
上記孔部径の上限としては、孔部内に充填された機能性ポリマーを保持しやすいなどの観点から、50μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、1μm以下が最も好ましい。一方、上記孔部径の下限としては、孔部内に機能性ポリマー前駆体またはその液を充填しやすいなどの観点から、0.001μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましい。
なお、上記孔部径は、水銀圧入法により測定される値である。
上記多孔性基材の材料は、機能性膜の用途などに応じて適宜選択することができ、具体的には、例えば、高分子などの有機材料、ガラス、アルミナ、ムライトなどのセラミックス、金属(合金含む)などの無機材料、これらを複合した複合材料などを例示することができる。
上記多孔性基材の材料としては、柔軟性や強度に優れた機能性膜が得られる、ロールからの連続製造時に変形や欠陥が発生し難いなどの観点から、高分子を好適に用いることができる。
上記高分子としては、具体的には、例えば、エチレン系樹脂(ポリエチレンなどのエチレンを主成分とする樹脂)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル)などのフッ素系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、芳香族ポリイミド、アラミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネートなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、2種以上の高分子を積層するなどしても良い。また、上記高分子は、必要に応じて架橋されていても良い。
上記高分子としては、機械的強度、化学的安定性、耐薬品性、柔軟性などに優れた機能性膜が得られるなどの観点から、オレフィン系樹脂などを好適に用いることができる。
上記多孔性基材の厚みは、機能性膜の用途に応じて適宜選択すれば良い。例えば、機能性膜を燃料電池などのイオン交換膜として用いる場合、多孔性基材の厚みが過度に薄すぎると、膜強度が低下したり、メタノールなどの燃料の透過量が多くなったりする傾向が見られる。一方、多孔性基材の厚みが過度に厚すぎると、イオンの移動経路が長くなって膜抵抗が大きくなり、イオン伝導性が低下するなどの傾向が見られる。したがって、多孔性基材の厚みの選択には、これらに留意すると良い。
上記多孔性基材の厚みは、その材質によっても異なるが、例えば、高分子を用いる場合には、上記多孔性基材の厚みの上限としては、例えば、イオン交換膜の場合は内部抵抗の観点から、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下が最も好ましい。一方、上記多孔性基材の厚みの下限としては、膜強度を維持し、電極の接合や燃料電池セルへの組み込みの際に破れなどの欠陥が生じ難くなるなどの観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が最も好ましい。
以上のような多孔性基材を得る方法は、その材質によっても異なるが、例えば、延伸による方法、造孔材を分散させた基材材料の溶液または溶融物を平面状に塗工し、溶剤を揮発除去したり、溶融状態の基材材料を冷却するなどして平面状にし、造孔材を除去して孔部とする方法、平面状に形成された基材材料に対して、パンチング、ドリリング、レーザ、化学的・物理的エッチングなどの加工手段を用いて孔部を形成する方法、孔部を転写可能な鋳型に高分子などの基材材料の融液を流し込んだ後、平面状の基材材料を剥離することにより、基材面に孔部を転写する方法などを例示することができる。
多孔性基材の材料が高分子である場合、最も一般的な方法は、延伸による方法である。すなわち、この方法では、高分子などの多孔性基材の材料と液状または固体の造孔材とを溶融混合などの方法で混合し、造孔材を一旦微分散させておき、これをTダイなどから押し出しながら延伸し、洗浄などの方法によって造孔材を除去し、多孔性基材とする。
また、延伸方法としては1軸延伸、2軸延伸などの方法がある。なお、延伸の比率や、造孔材の比率や種類、配合量、基材材料の種類などによって孔部の形状などを決定することができる。
上記多孔性基材が、疎水性の高分子材料から形成されている場合、この多孔性基材の表面のうち、少なくとも被含浸物と接触する側の面は、親水処理されていると良い。後述するように、親水性の高い被含浸物を孔部内に含浸させる場合に、多孔性基材が予め親水化されておれば、親水性の高い被含浸物が速やかに孔部内へ含浸され、生産性を向上させることができるからである。
上記親水処理の方法としては、具体的には、例えば、界面活性剤処理、コロナ処理、スルホン化処理、親水性ポリマーのグラフト処理などを例示することができる。これら処理は、1または2以上併用しても良い。
(被含浸物)
第1工程において、上記多孔性基材の孔部には、機能性ポリマー前駆体またはその液(被含浸物)が含浸される。
具体的には、機能性ポリマーを生成可能な機能性ポリマー前駆体が含浸される場合、機能性ポリマー前駆体を含む液が含浸される場合、機能性ポリマーおよび機能性ポリマー前駆体が含浸される場合などがある。
機能性ポリマー前駆体は、第2工程において重合されて機能性ポリマーになるもの、イオン交換基などの機能を発現する官能基を有してはいるが膜を使用する環境下では溶出するなどして孔部内に固定することができないポリマーと架橋反応性を有する化合物を配合したものであって架橋反応性可能物が架橋することでポリマーが固定され全体として機能性ポリマーとなりうるもの、架橋反応性もしくは多孔性基材表面の官能基との間で化学結合を形成しうる官能基の何れかを有し、かつ、イオン交換基などの機能を発現する官能基も有しているポリマーであって、架橋もしくは多孔性基材表面への化学結合形成(いわゆるグラフト反応)によって機能性ポリマーとして固定されるものなどがある。
上記機能性ポリマーは、機能性膜の目的、用途などにより各種のものを用いることができる。上記機能性ポリマーとしては、具体的には、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基などの陽イオン交換基や、アンモニウム基などの陰イオン交換基、エポキシ基、ビニル基、アルコキシシラン基などの重合性基やこれらの重合性基と組み合わせて重合、付加などの反応をすることが可能なアミノ基、メルカプト基、酸無水物基などの官能基、親水性薬剤を吸収保持することが可能なエーテル基、水酸基、ピロリドン基などの親水基、親油性薬剤を保持することができる長鎖アルキル基などの親油性基などといった機能性官能基を有するポリマーを例示することができる。これらポリマーは、機能性官能基を1種または2種以上有していても良い。
また、上記機能性ポリマー前駆体についても、機能性膜の目的、用途などにより各種のものを用いることができる。このポリマー前駆体には、上述した機能性官能基、重合前後に上記機能性官能基に変換し得る官能基、重合前後に上記機能性官能基を導入可能な部位を有するモノマー(以下、「機能性モノマー」ということがある。)が少なくとも1種以上含有される。これら機能性モノマーは、上記機能性官能基、上記機能性官能基に変換し得る官能基、重合前後に機能性官能基を導入可能な部位を1つまたは2つ以上有していても良い。
例えば、機能性膜を燃料電池などのイオン交換膜として用いる場合、上記機能性モノマーとしては、具体的には、例えば、イオン交換基を有するモノマー、イオン交換基に変換し得る官能基を有するモノマー、重合前後にイオン交換基を導入可能な部位を有するモノマーなどを好適に用いることができる。これらは1種または2種以上併用しても良い。
上記イオン交換基を有するモノマーは、1分子中に重合可能な官能基と、イオン交換基とを併せ持つ化合物である。
このイオン交換基を有するモノマーとしては、具体的には、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、ビニルホスホン酸、酸性リン酸基含有(メタ)アクリレートなどを例示することができる。
なお、「(メタ)アクリル」は「アクリルおよび/またはメタクリル」を、「(メタ)アリル」は「アリルおよび/またはメタリル」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する(以下同様である)。
上記重合前後にイオン交換基に変換し得る官能基を有するモノマーとしては、具体的には、例えば上記化合物の塩、無水物、エステルなどを例示することができる。使用するモノマーの酸残基が塩、無水物、エステルなどの誘導体となっている場合には、重合後にプロトン酸型にすることでプロトン伝導性を付与することができる。
上記重合前後にイオン交換基を導入可能な部位を有するモノマーとしては、具体的には、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、クロロメチルスチレン、t−ブチルスチレンなどのベンゼン環を有するモノマーを例示することができる。なお、これらにイオン交換基を導入する方法としては、具体的には、例えば、クロロスルホン酸、濃硫酸、三酸化硫黄などのスルホン化剤でスルホン化する方法などが挙げられる。
これらモノマーとしては、プロトン伝導性に優れるなどの観点から、スルホン酸基を有するビニル化合物、リン酸基を有するビニル化合物などが好ましく、より好ましくは、高い重合性を有するなどの観点から、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などである。
上記機能性ポリマー前駆体は、上記機能性モノマー以外にも、架橋剤などを含有していても良い。架橋剤を含有している場合には、機能性モノマーが重合して生成される機能性ポリマー中に架橋点を形成でき、機能性ポリマーを架橋体とすることができる。そのため、機能性膜の孔部内に充填された機能性ポリマーの不溶性、不融性が向上し、孔部から脱落し難くなるなどの利点がある。
上記機能性ポリマー前駆体には、機能性を発現する官能基もしくはそのような官能基を導入することができる部位を有するポリマーを配合しても良い。その場合はモノマーや架橋剤などを併用すると良く、モノマーまたは架橋剤が重合することで孔部内へ固定することができる。また、ポリマー骨格中に機能性を発現する官能基以外に、架橋反応もしくはグラフト反応可能な官能基も合わせて有するものを使用することも可能であり、その場合は単独で孔部内へ固定することが可能であるが、予め重合させた状態では前駆体溶液の粘度が高くなりやすいため、そのような意味でもモノマー、架橋剤のような低分子量化合物との併用が好ましい。
上記架橋剤としては、具体的には、例えば、1分子中に重合可能な官能基を2個以上有する化合物、1分子中に重合性二重結合とその他の架橋反応が可能な官能基を合わせ持つ化合物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
前者の架橋剤としては、具体的には、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ブチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、ジアリルオキシ酢酸塩などの架橋性モノマーを例示することができる。
後者の架橋剤としては、具体的には、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどの架橋性モノマーを例示することができる。これらは、重合性二重結合のラジカル重合を行った後で加熱して縮合反応などを起こさせて架橋するか、ラジカル重合と同時に加熱を行って同様の架橋反応を起こさせることができる。
なお、上記架橋剤は、炭素−炭素二重結合を有する化合物に限られず、重合反応速度はやや小さいものの、2官能以上のエポキシ化合物、ヒドロキシメチル基を有するフェニル基などを有する化合物なども使用することもできる。上記エポキシ化合物を用いる場合は、ポリマー中に含まれるカルボキシル基などの酸と反応することにより架橋点が形成される。
上記機能性ポリマー前駆体は、上記機能性モノマーおよび/または上記架橋剤と共重合可能なモノマーを含有していても良い。この種のモノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、マレイミド類、スチレン類、有機酸ビニル類、アリル化合物、メタリル化合物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記機能性ポリマー前駆体は、後の工程でモノマーを重合させることになるが、この際の重合方法は特に限定されるものではなく、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射、加熱などの各種の方法を利用することができる。
この場合、上記機能性ポリマー前駆体には、重合を促進させる観点から、重合開始剤が含有されていても良い。
熱開始重合、レドックス系開始重合のラジカル開始剤としては、具体的には、例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などのアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの過酸化物、上記過酸化物と、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアミジンスルフィン酸、アスコルビン酸などの還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸などのアゾ系ラジカル重合開始剤などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記重合方法としては、重合反応の制御がしやすく、比較的簡単なプロセスで生産性良く機能性膜を得ることができるなどの観点から、紫外線による光開始重合が好ましい。
この場合、光重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、チオアクリドン系、ベンゾイン系、ベンジル系、アセトフェノン系、およびこれらの誘導体などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
より具体的には、ベンゾフェノン系開始剤としては、例えば、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキシ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどを例示することができる。
チオキサントン系開始剤としては、具体的には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルチオキサントンなどを例示することができる。
チオアクリドン系開始剤としては、具体的には、例えば、チオアクリドンなどを例示することができる。
ベンゾイン系開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどを例示することができる。
アセトフェノン系開始剤としては、具体的には、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モンフォリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシジ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなどを例示することができる。
ベンジル系開始剤としては、具体的には、例えば、ベンジルなどを例示することができる。
これら光重合開始剤の含有量の上限としては、機能性ポリマー前駆体またはその液の安定性や、得られるポリマーの重合度維持などの観点から、機能性ポリマー前駆体中に含まれるモノマーの総質量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が最も好ましい。一方、これら光重合開始剤の含有量の下限としては、重合性の維持などの観点から、機能性ポリマー前駆体中に含まれるモノマーの総質量に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が最も好ましい。
上記機能性ポリマー前駆体は、必要に応じて、酸化防止剤、キレート剤、紫外線吸収剤、可塑剤などの各種の添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
第1工程において、上述した機能性ポリマー前駆体(架橋剤や重合開始剤などが混合されたものも含む)は、そのもの自体が液体であり、低粘度である場合には、そのまま孔部へ含浸させることができる。この場合、好ましい粘度としては、25℃において1〜10000mPa・s程度である。
機能性ポリマー前駆体そのものが液体である場合の例として、酸性基を有する液状モノマーであるビニルスルホン酸、アクリル酸、アクリルアミド−N−リン酸やスチレンとジビニルベンゼン混合液のように後から重合後にスルホン化などの化学反応を経て機能性ポリマーに変換できる前駆体などが例示できる。
これに対して、そのままでは孔部へ含浸し難い場合には、機能性ポリマー前駆体を、適当な溶媒に溶解させた溶液、または、適当な分散媒に分散させた分散液とすると良い。この場合、好ましい粘度は、25℃において1〜10000mPa・s程度である。なお、上記粘度は、B型粘度計にて測定される値である。
上記溶媒、分散媒としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族系有機溶剤、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系有機溶剤、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶剤、ジエチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、水、アルコール類などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。これらのうち、好ましくは、水を主に含んでいると良い。取扱い性、経済性などに優れるからである。
上記溶液または分散液の濃度は、粘度、孔部への含浸性、孔部内へ含浸される機能性ポリマー前駆体成分の含浸量などを考慮して適宜調節することができる。液濃度が過度に低くなると、孔部内へ含浸される機能性ポリマー前駆体成分の含浸量が少なくなり、機能性膜の機能が低下する場合がある。一方、液濃度が過度に高くなると、高粘度となり、含浸性が低下して生産性が悪くなるどの傾向が見られる。したがって、液濃度の選択には、これらに留意すると良い。
上記溶液または分散液の濃度の下限としては、濃度が低すぎると、含浸工程を繰り返す必要があり、生産性が低下するなどの観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が最も好ましい。
第1工程で、機能性ポリマー前駆体またはその液(溶液、分散液)を用いる際は、前駆体を構成する成分が、モノマー、オリゴマー等の低分子量成分を含むものか、分子量が1万以下の比較的低分子量のポリマーから構成される前駆体を好適に使用することができる。分子量が大きい機能性ポリマー自体を溶剤に溶解した液を含浸させて、溶剤を揮発除去させることにより、機能性ポリマーを孔内部に固定する場合は溶液粘度が上がりやすいために含浸性が低下しやすく、含浸性を改善するために濃度を下げると、機能性ポリマーの充填量が上がりにくく含浸不良となりやすい。これに比較して、本発明のような機能性ポリマー前駆体を用いれば低粘度化を図りやすく、含浸性に優れ、孔部中の空気を追い出しやすいからである。また高濃度化もしやすいため孔部内へ多くの機能性ポリマーを充填するのに適している。
また、孔部内に含浸されている機能性ポリマー前駆体成分を、後に重合、架橋させて機能性ポリマーとすることで、水などの液体と接触する環境下で機能性膜が使用される場合であっても、孔部から機能性ポリマーが脱落し難くなるからである。
例えば、機能性膜を燃料電池などのイオン交換膜として用いる場合、とりわけ、被含浸物として、機能性ポリマー前駆体またはその液(溶液、分散液)を好適に用いることができる。PEFCは、プロトンの移動に水が必要なことから、燃料に加湿を行うこともあるし、DMFCは、燃料に水が含まれる。また、いずれの燃料電池も電池反応によっても水が生じる。そのため、イオン伝導性ポリマー(この場合はプロトン伝導性ポリマー)を直接孔部内へ含浸させて充填した場合には、上記電池内部の水によって、イオン交換膜の孔部からイオン伝導性ポリマーが脱落する場合がある。しかしながら、機能性ポリマー前駆体またはその液を用いれば、そのような問題が発生し難くなるからである。
(積層)
第1工程では、上記多孔性基材の一方表面に、上記被含浸物の層を積層する。
上記積層方法は、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、上記多孔性基材の一方表面に上記被含浸物を塗工する方法(後述するベース基材を使用しない方法)、上記多孔性基材とベース基材との間に、上記被含浸物を挟持する方法などを例示することができる。
毛管現象により被含浸物の孔部内への含浸性を向上させやすい、孔部内の空気が抜けやすくなるなどの観点から、好ましくは、上記多孔性基材とベース基材との間に、上記被含浸物を挟持する方法を用いると良い。この方法としては、より具体的には、例えば、ベース基材の一方面へ被含浸物を塗工し、その塗工層上へ多孔性基材を重ね合わせる方法、多孔性基材の一方面へ被含浸物を塗工し、その塗工層上へベース基材を重ね合わせる方法、ベース基材の一方面および多孔性基材の一方面に被含浸物を塗工し、両基材の塗工層同士を重ね合わせる方法などを例示することができる。
好ましくは、ベース基材の一方面へ被含浸物を塗工し、その塗工層上へ多孔性基材を重ね合わせる方法を好適に用いることができる。孔部内の空気が抜けやすいからである。
この場合、上記積層は、下側からベース基材、被含浸物、多孔性基材の順に積層しても良いし、多孔性基材、被含浸物、ベース基材の順に積層しても良い。好ましくは、前者である。多孔性基材の下方から孔部内へ被含浸物が浸透し、上方へ空気が自然に抜けやすいからである。また、ベース基材により被含浸物を受けた状態となるので、被含浸物が滴下するなどし難く、連続生産性にも優れるからである。
上記塗工方法は、特に限定されるものではなく、塗工する被含浸物の粘度、層厚、連続生産性などを考慮して適宜選択すれば良い。上記塗工方法としては、具体的には、例えば、ロールコート法、バーコート法、リバースコート法、ダイコート法、コンマコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ナイフコート法、スピンコート法、刷毛塗り法など各種の塗工方法を例示することができる。これらは1種または2種以上組み合わせても良い。
ここで、上記ベース基材の形状としては、具体的には、例えば、フィルム状、シート状、板状などの平面形状を好適な形状として例示することができる。なお、上記ベース基材は、多孔性基材のように多孔性である必要はない。
上記ベース基材の材料は、高分子などの有機材料、ガラス、セラミックス、金属(合金含む)などの無機材料の何れであっても良い。また、これらを複合した複合材料であっても良い。
上記ベース基材の材料としては、比較的安価で、柔軟であり、ロール体として調達可能なものが多いなどの観点から、高分子を好適に用いることができる。
上記高分子としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル系樹脂、セルロース、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィドなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、2種以上の高分子を積層するなどしても良い。
上記高分子としては、被含浸物中に含まれうる溶媒や分散媒、紫外線などの活性エネルギー線の照射、重合時の加熱などにより変質し難い、活性エネルギー線を透過させやすいなどの観点から、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂などを好適に用いることができる。
上記ベース基材の厚みは、多孔性基材との間に被含浸物を挟み込んだり、多孔性基材を支持したりするなどの目的を達成することができれば、特に限定されるものではない。
もっとも、上記ベース基材の厚みが過度に薄くなると、シワが発生したり、機械的強度が低下したりしやすくなる。一方、上記ベース基材の厚みが過度に厚くなると、装置に連続して繰り出す際などに発生するわずかなひずみなどをフィルムの伸びなどで吸収し難く、重合中にベース基材が部分的に浮き上がって充填不良を生じやすくなる。また紫外線などの活性エネルギー線で重合を行う場合には、ベース基材による紫外線吸収量が増えるため重合し難くなったり、エネルギー量を増やす必要が出たりする。したがって、上記ベース基材の厚みを選択する際には、これらに留意すると良い。
上記ベース基材の厚みは、その材質によっても異なるが、例えば、高分子を用いる場合には、上記ベース基材の厚みの上限としては、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらにより好ましい。一方、上記ベース基材の厚みの下限としては、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらにより好ましい。
(含浸)
第1工程では、多孔性基材の孔部内に、上記被含浸物が含浸される。
本発明では、多孔性基材の片面側、すなわち、多孔性基材の表面のうち、被含浸物の層と接する面側から、被含浸物が孔部内に浸透する。
ここで、孔部内に最終的に充填された機能性ポリマーにより、機能性膜の主要な機能が発現されるなどの観点から、上記被含浸物は、多孔性基材が有する孔部のほぼ全てに均一に含浸されていることが好ましい。
しかしながら、機能性膜の用途、目的などによっては、多孔性基材が有する孔部のほぼ全てに被含浸物が含浸されていなくても良い場合もある。このような場合には、機能性膜の機能を損なわない範囲内で、被含浸物が含浸されていない箇所や、被含浸物の含浸が不十分な箇所が部分的に存在していても構わない。
第1工程において、被含浸物の孔部への含浸性をより向上させるには、例えば、多孔性基材の孔部内に、被含浸物に対して親和性を有する揮発性溶剤を予め含浸させておく方法を好適な方法として例示することができる。上記積層後、孔部内の揮発性溶剤が揮発すると、被含浸物が孔部内に吸い上げられて揮発性溶剤と被含浸物とが置き換わり、被含浸物が孔部内へ容易に含浸されやすくなるからである。
この方法によれば、多孔性基材を予め親水処理しなくても、含浸性を向上させることができる。もっとも、親水処理を併用しても構わない。
なお、ここでいう親和性とは、被含浸物を少なくとも溶解可能であることを意味する。
上記揮発性溶剤としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族系有機溶剤、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系有機溶剤、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶剤、ジエチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、アルコール類などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
多孔性基材の孔部内に上記揮発性溶剤を含浸させる方法としては、具体的には、例えば、上記揮発性溶剤中に多孔性基材を浸漬する方法、多孔性基材に上記揮発性基材を塗布する方法、多孔性基材に上記揮発性基材をスプレーする方法などを例示することができる。これら方法は、1種または2種以上併用しても良い。
2.第2工程
本製造方法において、第2工程は、多孔性基材の孔部内に機能性ポリマーを固定する工程である。
上記固定方法は、第1工程で用いた被含浸物の種類により種々の方法を選択することが可能である。
例えば、被含浸物として架橋反応性もしくはグラフト反応性を有し、かつ機能性を有する官能基を持ったポリマーを用いた場合には、孔部内に含まれる同ポリマーを架橋すれば、孔部内に機能性ポリマーが固定される。
また、被含浸物として、機能性ポリマーを含む液を用いた場合には、孔部内に含まれる溶媒または分散媒を揮発させれば、孔部内に機能性ポリマーが固定される。さらに、孔部内の機能性ポリマーに対して架橋を施しても良い。
また、被含浸物として、上記の架橋反応性もしくはグラフト反応性を有しかつ機能性を有する官能基を持ったポリマー含む液を用いた場合には、モノマーや架橋剤を併用しても良い。
また、被含浸物として、機能性ポリマー前駆体を含む液を用いた場合には、孔部内に含まれる溶媒または分散媒を揮発させた後、機能性ポリマー前駆体を重合して機能性ポリマーを生成させれば、孔部内に機能性ポリマーが固定される。また、孔部内に含まれる機能性ポリマー前駆体を重合して機能性ポリマーを生成させた後、溶媒または分散媒を揮発させ、孔部内に機能性ポリマーを固定しても良い。さらに、機能性ポリマー前駆体、生成した機能性ポリマーに対して架橋を施しても良い。
なお、孔部内の機能性ポリマーは、多孔性基材の孔部表面と反応して化学的結合を生じるなどして固定されていても構わない。
ここで、上記機能性ポリマー前駆体の重合、架橋、上記機能性ポリマーの架橋は、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射、加熱、これらの組み合わせなどの方法により行うことができる。好ましくは、重合、架橋反応の制御がしやすく、比較的簡便なプロセスで生産性良く機能性膜を得ることができるなどの観点から、少なくとも紫外線の照射を含んでいると良い。
なお、上記活性エネルギー線の照射は、多孔性基材側から照射しても良いし、ベース基材側から照射しても良い。また、多孔性基材側とベース基材側との両面側から照射しても良い。
また、活性エネルギー線の照射条件、加熱条件などは、孔部内に含浸されている機能性ポリマー、機能性ポリマー前駆体の種類などを考慮して適宜最適な条件を選択すれば良く、特に限定されるものではない。
3.第3工程
本製造方法は、上記第1工程、第2工程を少なくとも有しているが、さらに、第1工程と第2工程との間に、以下の第3工程を有していても良い。
すなわち、第3工程は、被含浸物の層の積層側と反対側の多孔性基材表面にカバー基材を積層する工程である。
第1工程において、ベース基材と多孔性基材との間に被含浸物を挟み込んだ場合、多孔性基材のベース基材と反対側表面は、依然として空気(外気)に接している。
そのため、この表面にカバー基材をさらに積層すれば、孔部内に含浸されている被含浸物は、カバー基材によって確実に空気から遮断される。そのため、被含浸物が機能性ポリマー前駆体を含んでおり、とりわけ、機能性ポリマー前駆体がラジカル重合性である場合には、カバー基材により、ラジカル重合を阻害する空気中の酸素を遮断でき、重合性を向上させることができる。
また、カバー基材の積層により、得られる機能性膜の平坦性を向上させやすくなるし、機能性膜の製造時における被含浸物の孔部からの脱落なども防止することができる。
上記カバー基材の形状、材料、厚みなどは、特に限定されるものではなく、例えば、上記ベース基材と同様の形状、材料、厚みとすることができる。なお、被含浸物中に機能性ポリマー前駆体を含む場合には、第2工程において重合を行うため、カバー基材の材質としては、紫外線などの活性エネルギー線を透過させやすく、熱重合の際の加熱などにより変質し難いなどの観点から、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂などを好適なものとして例示することができる。
また、上記カバー基材は、多孔性基材からカバー基材を剥離しやすくするなどの観点から、少なくとも多孔性基材と接触する面側が離型剤により離型処理されていても良い。
上記離型剤は、多孔性基材の材質にもよるが、具体的には、例えば、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、高級脂肪族系離型剤などの各種の離型剤を例示することができる。これらは1種または2種以上併用しても良い。
4.第4工程
本製造方法は、上記第2工程の後に、以下の第4工程を有していても良い。
すなわち、第4工程は、多孔性基材の表面に機能性ポリマー層が形成されている場合に、これを除去し、基材表面を露出させる工程である。
多孔性基材の表面に機能性ポリマー層が形成されていると、例えば、機能性膜を燃料電池のイオン交換膜として用いた場合に、膜表面と電極との接合性が低下することがある。また、機能性膜を巻き取ったロールや切り出した機能性膜を重ね合わせて保管する際、膜同士がくっついて作業性が低下することがある。そのため、上記第4工程を有しておれば、上記問題を回避しやすくなる利点がある。
上記除去方法としては、具体的には、例えば、樹脂繊維などからなるたわし、ブラシなどにより擦る方法、スクレーパーなどで掻き取る方法などを例示することができる。この際、上記方法は、水などにより湿らせた後、または、洗浄しながら行っても良い。これら方法は1種または2種以上併用しても良い。
以上、本実施形態に係る機能性膜の製造方法について説明した。本製造方法は、機能性膜を連続的にライン式で製造する際に好適に用いることができる。もちろん、機能性膜をバッチ式で製造する際に用いることもできる。
本製造方法を適用して機能性膜を連続的にライン生産する方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、以下のような方法を例示することができる。
図1は、ダイコーターを使用して連続的に機能性膜を製造する方法の一例を示したものである。すなわち、ベース基材供給源1から連続的に供給されるベース基材2の上面に、ダイコーターのコーターヘッド3から機能性ポリマー前駆体溶液などの被含浸物4を塗出する。
次いで、被含浸物4の層の上に、多孔性基材供給源5から連続的に供給される多孔性基材6を重ね合わせる。これにより、ベース基材2と多孔性基材6とが、被含浸物4の層を介して積層される。そして、これに伴い、多孔性基材6の孔部内に被含浸物4が含浸されていく。
次いで、被含浸物4が含浸された多孔性基材6の上に、カバー基材供給源7から連続的に供給されるカバー基材8をラミネートロール9などにより重ね合わせる。そして、ベース基材2とカバー基材8との間に多孔性基材6が挟持された積層体10を、このままの状態で、紫外線などの活性エネルギー線の照射装置11内に連続的に供給する。
これにより、孔部内に含まれる機能性ポリマー前駆体が重合されるなどして機能性ポリマーが孔部内に固定され、機能性膜となる。
次いで、ベース基材巻き取り装置12によりベース基材2を巻き取るとともに、カバー基材巻き取り装置13によりカバー基材6を巻き取り、機能性膜14からベース基材2、カバー基材6を分離する。
次いで、得られた機能性膜14を、機能性膜巻き取り装置15により連続的に巻き取ることにより、長尺状の機能性膜を連続的に製造することができる。なお、機能性膜14を保護するなどのため、必要に応じて、ベース基材2および/またはカバー基材6を積層したまま機能性膜14を巻き取っても良い。
他にも、例えば、図2に示すように、図1におけるダイコーターに代えてコンマコーターなどの他のコーターを用いることもできる。
また、例えば、図3に示すように、多孔性基材6を揮発性溶剤槽16に浸漬し、孔部内に揮発性溶剤17を予め含浸させ、これを被含浸物4の層上に重ねても良い。
また、例えば、図4に示すように、多孔性基材6の表面に被含浸物4の層を形成し、この層の下に、ベース基材2を重ね合わせるなどしても良い。
本製造方法により得られる機能性膜は、特に限定されることなく各種の用途へ応用することができる。
具体的には、例えば、孔部内に充填された機能性ポリマーがイオン伝導性ポリマーであれば、イオン交換膜として、燃料電池用電解質膜、電解装置の隔膜、濃縮器の分離膜などの電気化学デバイスへ応用することができる。また、孔部内に充填された機能性ポリマーが親水性ポリマーであれば、調湿膜として、加湿機、空調機などへ応用することができる。また、機能性ポリマーに薬剤などを浸透させれば、ハップ材などへ応用することができる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
1.実施例および比較例に係る機能性膜の製造
(実施例1)
<予め界面活性剤処理を施した多孔性基材の調製>
多孔性基材として、多孔質ポリエチレンフィルム(厚さ30μm、空孔率35%、平均孔部径約0.06μm)ロールを長さ50m分用意した。
次いで、界面活性剤(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業(株)製、「ダイノール604」)0.5質量%、水79.5質量%、イソプロピルアルコール20質量%の配合組成からなる懸濁液の槽中に、上記多孔性基材をロールから繰り出しながら連続的に浸漬した。
次いで、上記懸濁液槽に浸漬した多孔性基材を、約50℃の熱風乾燥炉を通して乾燥し、これを巻き取ることにより、予め界面活性剤処理された多孔性基材を調製した。
<ポリマー前駆体溶液の調製>
次に、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東亞合成(株)製、「ATBS」)350g、N,N’−エチレンビスアクリルアミド150g、紫外線ラジカル重合開始剤0.05gおよび水400gを均一な溶液になるまで攪拌混合し、イオン伝導性ポリマーの前駆体溶液を調製した。なお、この溶液の粘度をB型粘度計にて測定したところ、19mPa・s(25℃)であった。
<実施例1に係る機能性膜の製造>
次に、ベース基材として、ポリエステル製フィルム(厚さ50μm、東レ(株)製、「ルミラーT50」)ロールを用意した。
次いで、図1に示す装置を用い、連続的に供給される上記ベース基材の上面に、ダイコーターのコーターヘッドから上記ポリマー前駆体溶液を塗出し、塗工層を形成した。
次いで、この塗工層の上に、予め界面活性剤処理した多孔性基材を連続的に繰り出して重ね合わせた。その結果、多孔性基材の孔部内に上記ポリマー前駆体溶液が浸透し、全体として透明な外観となった。
次いで、孔部内にポリマー前駆体溶液が含浸された多孔性基材の上に、ベース基材と同じフィルムをカバー基材としてラミネートした。
次いで、ベース基材とカバー基材との間に多孔性基材が挟持された積層フィルムを、このままの状態で、紫外線照射装置内に連続的に供給した。
次いで、上記積層フィルムの両面側から1000mJ/cmの照射量にて紫外線を照射し、孔部中に含まれるポリマー前駆体を重合させ、孔部内にイオン伝導性ポリマーを固定させた。
次いで、ベース基材、カバー基材を剥離除去し、燃料電池用のイオン交換膜(電解質膜)として応用が可能な機能性膜を得た。
(実施例2)
<予めスルホン化処理を施した多孔性基材の調製>
多孔性基材として、実施例1と同じ多孔質ポリエチレンフィルムロールを用意し、このロールから多孔性基材を解いて、クロロスルホン酸:濃硫酸が質量比で1:1の液に3時間浸漬させながら攪拌した。
次いで、この多孔性基材を、50%硫酸溶液で洗浄し、水で洗浄した後、2mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬させながら攪拌した。
次いで、この多孔性基材を、3.5%塩酸に1時間浸漬し、水で洗浄してから乾燥し、これを巻き取ることにより、予めスルホン化処理された多孔性基材を調製した。
<実施例2に係る機能性膜の製造>
次に、図2に示す装置を用い、実施例1と同じベース基材の上面に、コンマコーターのコーターヘッドから実施例1で調製したポリマー前駆体溶液を塗出し、塗工層を形成した。
次いで、この塗工層の上に、予めスルホン化処理した多孔性基材を連続的に繰り出して重ね合わせた。その結果、多孔性基材の孔部内にポリマー前駆体溶液が浸透し、全体として透明な外観となった。
以降は、実施例1と同様にして、孔部内にイオン伝導性ポリマーを固定し、燃料電池用のイオン交換膜(電解質膜)として応用が可能な機能性膜を得た。
(実施例3)
<実施例3に係る機能性膜の製造>
図3に示す装置を用い、実施例1と同様にして、ベース基材の上面に、ポリマー前駆体溶液からなる塗工層を形成した。
次いで、イソプロピルアルコールとn−ブチルアルコールとを1:1で混合した揮発性溶剤の槽中に、実施例1と同じ多孔性基材(予め親水処理されていない)を浸漬し、孔部内に揮発性溶剤を予め含浸させた。
次いで、上記塗工層の上に、上記揮発性溶剤が含浸された多孔性基材を連続的に繰り出して重ね合わせた。その結果、多孔性基材の孔部内から揮発性溶剤が揮発するとともに、孔部内にポリマー前駆体溶液が浸透し、全体として透明な外観となった。
以降は、実施例1と同様にして、孔部内にイオン伝導性ポリマーを固定し、燃料電池用のイオン交換膜(電解質膜)として応用が可能な機能性膜を得た。
(実施例4)
<ポリマー前駆体溶液の調製>
アクリル酸475g、トリアリルアミン25g、紫外線ラジカル重合開始剤0.05gおよび水100gを均一な溶液になるまで攪拌混合し、調湿ポリマーの前駆体溶液を調製した。なお、この溶液の粘度をB型粘度計にて測定したところ、5mPa・s(25℃)であった。
<実施例4に係る機能性膜の製造>
次いで、図1に示す装置を用い、実施例1と同じベース基材の上面に、ダイコーターのコーターヘッドから上記調製したポリマー前駆体溶液を塗出し、塗工層を形成した。
次いで、この塗工層の上に、実施例1と同じ多孔性基材(予め親水処理されていない)を連続的に繰り出して重ね合わせた。その結果、多孔性基材の孔部内にポリマー前駆体溶液が浸透し、全体として透明な外観となった。
次いで、孔部内にポリマー前駆体溶液が含浸された多孔性基材の上に、ベース基材と同じフィルムをカバー基材としてラミネートした。
次いで、ベース基材とカバー基材との間に多孔性基材が挟持された積層フィルムを、このままの状態で、紫外線照射装置内に連続的に供給した。
次いで、上記積層フィルムの両面側から5000mJ/cmの照射量にて紫外線を照射し、孔部中に含まれるポリマー前駆体を重合させ、孔部内に調湿ポリマーを固定させた。
次いで、ベース基材、カバー基材を剥離除去し、調湿膜として応用が可能な機能性膜を得た。
(実施例5)
<実施例5に係る機能性膜の製造>
図4に示す装置を用い、実施例1と同じ多孔性基材(予め親水処理されていない)の上面に、ダイコーターのコーターヘッドから実施例4で調製したポリマー前駆体溶液を塗出し、塗工層を形成した。
次いで、この塗工層の上に、実施例1と同じベース基材を連続的に繰り出して重ね合わせた。その結果、多孔性基材の孔部内にポリマー前駆体溶液が浸透し、全体として透明な外観となった。
以降は、実施例4と同様にして、孔部内に調湿ポリマーを固定し、調湿用膜として応用が可能な機能性膜を得た。
(比較例1)
<ポリマー前駆体溶液の調製>
実施例1で使用した、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸350g、N,N’−エチレンビスアクリルアミド150g、紫外線ラジカル重合開始剤0.05g、界面活性剤0.05gおよび水400gを均一な溶液になるまで攪拌混合し、イオン伝導性ポリマーの前駆体溶液を調製した。なお、この溶液の粘度をB型粘度計にて測定したところ、19mPa・s(25℃)であった。
<比較例1に係る機能性膜の製造>
次に、実施例1と同じ多孔性基材(予め親水処理されていない)をロールから繰り出しながら、実施例1と同じライン速度で上記ポリマー前駆体溶液を入れた槽中へ約2分間浸漬し、ポリマー前駆体溶液を多孔性基材の孔部内へ浸透させようとしたが、孔部内に空気残りが発生し、透明な外観とならない箇所がところどころに見られた。
このため、そのまま30分間ラインを停止し、ポリマー前駆体溶液中に多孔性基材が浸漬されたままの状態を保持し、含浸を促した。その結果、一応透明な外観が得られた。
しかしながら、上記方法では時間がかかる。そこで、このポリマー前駆体溶液に水を追加し、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびN,N’−エチレンビスアクリルアミドの濃度を50%まで下げたところ、ポリマー前駆体溶液の粘度が10mPa・s(25℃)まで下がり、上記多孔性基材(予め親水処理されていない)を約1分程度で含浸できた。
その後、得られた多孔性基材の一方面に、実施例1と同じベース基材を、他方面に実施例1と同じカバー基材をラミネートし、実施例1と同様にして孔部中のモノマー成分の重合を進め、燃料電池用のイオン交換膜(電解質膜)として応用が可能な機能性膜を得た。
2.実施例および比較例に係る機能性膜の評価
実施例1で製造したイオン交換膜と、比較例1で製造したイオン交換膜とを用い、両者の膜性能を以下の評価方法により評価した。
すなわち、両イオン交換膜のメタノール透過性を、25℃における浸透実験により確認した。
具体的には、イオン交換膜をガラス製セルに挟み、一方のセルに10質量%メタノール水溶液を入れ、もう一方のセルに純水を入れた。
そして、純水側に浸透するメタノール量をガスクロマトグラフ分析により経時的に測定し、定常状態になった時のメタノールの透過係数および透過流束を測定した。
上記透過係数は膜厚で規格化された数値であるので、透過係数が低いほど、材質的にイオン交換膜中をメタノールが透過し難い。一方、透過流束は膜そのもののメタノールの透過しやすさを示したものであり、透過流束が小さいほど、例えば、直接メタノール形燃料電池用途などに適していることを示す。
上記結果によれば、比較例1に係るイオン交換膜のメタノール透過流束は0.10kg/(m・h)であったのに対し、実施例1に係るイオン交換膜のメタノール透過流束は0.07kg/(m・h)と小さく、メタノール透過防止性という点では、実施例1に係るイオン交換膜の方が優れていた。
このように、本実施例に係る機能性膜の製造方法によれば、従来の機能性膜の製造方法に比較して、孔部内の空気が抜けやすく、また、多孔性基材の浸漬時間を長くする必要もないことから、生産性に優れていることが確認できた。
また、ポリマー前駆体溶液の濃度が比較的高く、高粘度であっても、孔部内の空気が抜けやすいので、孔部内にポリマー前駆体液を含浸させやすい。そのため、孔部内に充填される機能性ポリマーの量を多くしやすく、高機能化を図りやすいことも確認できた。
以上、本実施形態、実施例に係る機能性膜の製造方法について説明したが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。

Claims (6)

  1. 多孔性基材の孔部内に機能性ポリマーが充填された機能性膜の製造方法であって、
    多孔性基材の一方表面に、機能性ポリマー前駆体またはその液の層を積層し、多孔性基材の孔部内に、機能性ポリマー前駆体またはその液を含浸させる第1工程と、
    前記機能性ポリマー前駆体またはその液を化学反応させることにより、前記孔部内に機能性ポリマーを固定する第2工程と、
    を少なくとも有することを特徴とする機能性膜の製造方法。
  2. 前記第2工程における化学反応は、重合反応、架橋反応およびグラフト反応から選択される1種または2種以上の反応であることを特徴とする請求項1に記載の機能性膜の製造方法。
  3. 前記第1工程における積層は、前記多孔性基材とベース基材との間に、前記機能性ポリマー前駆体またはその液の層を挟持することによることを特徴とする請求項1または2に記載の機能性膜の製造方法。
  4. 前記第1工程と前記第2工程との間に、前記機能性ポリマー前駆体またはその液の層の積層側と反対側の多孔性基材表面に、さらに、カバー基材を積層する第3工程を有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の機能性膜の製造方法。
  5. 前記第1工程において、前記多孔性基材は、予め親水処理されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の機能性膜の製造方法。
  6. 前記第1工程において、前記多孔性基材の孔部内には、前記機能性ポリマー前駆体またはその液に対して親和性を有する揮発性溶剤が予め含浸されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の機能性膜の製造方法。
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