JPWO2008020638A1 - 靭帯損傷治療剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、顆粒球コロニー刺激因子を有効成分として含む、靭帯損傷の回復促進剤または治療剤を提供する。
Description
本発明は、顆粒球コロニー刺激因子(以下、G−CSFと略記する)を有効成分とする靭帯損傷の回復促進剤または治療剤に関する。
靭帯とは関節を形成する骨と骨を支える組織のことで、靭帯損傷は主にスポーツや交通事故により引き起こされる。特に膝靭帯を損傷する場合が多く、損傷する靭帯の種類により、外側側副靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷に分けられる。損傷の程度により、1〜3度に分けられ、3度になると治療に数ヶ月を要し、痛みや日常生活に支障をきたす場合がある。膝靭帯損傷の中で特に、膝前十字靭帯損傷は前方、および回旋において不安定となりスポーツ活動への復帰が困難となることはもとより、半月板、関節軟骨の損傷をも誘発し、日常生活動作にも影響がでることも少なくない。その治療法として現在は自家腱による再建手術が主となっている。前十字靭帯再建術における力学的アプローチとして靭帯の固定材料(スクリューなど)の開発はさかんに行われている。現在数多くの材料が臨床で使用されているにもかかわらず、未だスポーツ活動復帰までの期間を短縮させるに至っていない。
一方、生物学的アプローチでは、Bone Morphogenetic Protein(BMP)、vascular endothelial growth factor(VEGF)、basic fibroblast growth factor(bFGF)、間葉系幹細胞、骨膜を利用して移植腱の関節内の骨への固着の促進、あるいは損傷した靭帯の治癒促進に関する基礎研究(非特許文献1〜5)が行われたが、副作用やコストの問題から臨床応用できていない。
過去の動物実験や臨床データから、移植腱が関節内の骨に固着し、移植腱そのものが成熟するためには長い時間がかかり、損傷前の膝機能を再獲得するのに再建手術後約8〜10ヶ月を要する。
Aspenberg,P.ら,Acta orthop Scand.1999 Feb;70(1):51−4 Petersen,W.ら,Arch Orthop Trauma Surg 2003;123:168−174 Kobayashi,D.ら,Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 1997;5:189−194 Lim,J.−K.ら,The Journal of Arthroscopic and Related Surgery 2004 Nov;20(9):899−910 Chen,C.−H.ら,Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 2004;12:398−405
一方、生物学的アプローチでは、Bone Morphogenetic Protein(BMP)、vascular endothelial growth factor(VEGF)、basic fibroblast growth factor(bFGF)、間葉系幹細胞、骨膜を利用して移植腱の関節内の骨への固着の促進、あるいは損傷した靭帯の治癒促進に関する基礎研究(非特許文献1〜5)が行われたが、副作用やコストの問題から臨床応用できていない。
過去の動物実験や臨床データから、移植腱が関節内の骨に固着し、移植腱そのものが成熟するためには長い時間がかかり、損傷前の膝機能を再獲得するのに再建手術後約8〜10ヶ月を要する。
Aspenberg,P.ら,Acta orthop Scand.1999 Feb;70(1):51−4 Petersen,W.ら,Arch Orthop Trauma Surg 2003;123:168−174 Kobayashi,D.ら,Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 1997;5:189−194 Lim,J.−K.ら,The Journal of Arthroscopic and Related Surgery 2004 Nov;20(9):899−910 Chen,C.−H.ら,Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 2004;12:398−405
現在、靭帯損傷治療において、回復を明らかに早めるような治療はない。重症の靭帯損傷においては腱の移植が行なわれているが治癒までには6〜9ヶ月を要し、長期間日常生活に不自由を強いられ、あるいは早期のスポーツ復帰が出来ないことが問題となっている。
靭帯損傷、特に膝前十字靭帯損傷を中心とする重症の靭帯損傷に対してその回復を早めることが望まれているが、未だ、これを解決できる薬剤や治療法は存在しない。移植腱が関節内の骨に固着するのに要する期間を短縮すれば、術後の早期リハビリテーションが可能となり、スポーツ活動への復帰が短縮できる。
そこで、本発明は、靭帯損傷の治療において、移植腱が関節内の骨に固着するのに要する期間及び/または移植腱が成熟するのに要する期間を短縮すること、並びに断裂等の損傷を受けた靭帯の治癒を促進することを課題とする。
本発明者等は、膝前十字靭帯損傷を反映したイヌモデルを用い、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)がその損傷治癒を改善するかどうかを検討したところ、G−CSFの局所投与によって靭帯の損傷治癒が促進されることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、その一の態様において、顆粒球コロニー刺激因子を有効成分として含む、靭帯損傷の回復促進剤または治療剤を提供する。
本発明は、単独あるいは現存の治療法との併用により靭帯損傷の回復及び/または治癒を早める薬剤を提供するという優れた効果を奏するものである。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願第2006−221684号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
靭帯損傷、特に膝前十字靭帯損傷を中心とする重症の靭帯損傷に対してその回復を早めることが望まれているが、未だ、これを解決できる薬剤や治療法は存在しない。移植腱が関節内の骨に固着するのに要する期間を短縮すれば、術後の早期リハビリテーションが可能となり、スポーツ活動への復帰が短縮できる。
そこで、本発明は、靭帯損傷の治療において、移植腱が関節内の骨に固着するのに要する期間及び/または移植腱が成熟するのに要する期間を短縮すること、並びに断裂等の損傷を受けた靭帯の治癒を促進することを課題とする。
本発明者等は、膝前十字靭帯損傷を反映したイヌモデルを用い、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)がその損傷治癒を改善するかどうかを検討したところ、G−CSFの局所投与によって靭帯の損傷治癒が促進されることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、その一の態様において、顆粒球コロニー刺激因子を有効成分として含む、靭帯損傷の回復促進剤または治療剤を提供する。
本発明は、単独あるいは現存の治療法との併用により靭帯損傷の回復及び/または治癒を早める薬剤を提供するという優れた効果を奏するものである。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願第2006−221684号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、イヌ膝十字靭帯損傷モデルに腱を移植した様子を示す。
図2は、力学的評価における引張り試験の様子を示す。屈曲位45°にて固定している。脛骨側縫合部は切除してある。
図3は、G−CSF投与群とコントロール群について、力学的引っ張り試験における最大破断強度を測定結果を示す。
図4は、G−CSF投与群とコントロール群について、ヘマトキシリンエオジン染色をした靭帯−骨間の観察結果を示す。
図5は、G−CSF投与群とコントロール群について、VEGF発現を比較した結果を示す。
図6は、G−CSF投与群とコントロール群について、オステオカルシン(osteocalcin)発現を比較した結果を示す。
図2は、力学的評価における引張り試験の様子を示す。屈曲位45°にて固定している。脛骨側縫合部は切除してある。
図3は、G−CSF投与群とコントロール群について、力学的引っ張り試験における最大破断強度を測定結果を示す。
図4は、G−CSF投与群とコントロール群について、ヘマトキシリンエオジン染色をした靭帯−骨間の観察結果を示す。
図5は、G−CSF投与群とコントロール群について、VEGF発現を比較した結果を示す。
図6は、G−CSF投与群とコントロール群について、オステオカルシン(osteocalcin)発現を比較した結果を示す。
以下に本発明をより詳細に説明する。
G−CSFは顆粒球系造血前駆細胞の分化増殖因子として発見された造血因子であり、好中球前駆細胞に作用し、その分化・増殖を促進させるほか、骨髄からの成熟好中球の放出促進及び好中球機能を亢進させる作用を有することから、造血幹細胞移植後の好中球数の増加促進、骨髄移植や癌化学療法後の好中球減少症治療剤として臨床適用されている。G−CSFはがん化学療法後の好中球減少症治療剤としても既に臨床応用されている。また、G−CSFは骨髄中の造血幹細胞を末梢血中へ動員する作用を有することから、同種及び自家末梢血幹細胞採取時における造血幹細胞の末梢血中への動員剤としても臨床応用されている。さらに、最近では、血管新生の促進効果や心筋梗塞あるいは脳梗塞後の細胞死を抑制する効果があることが報告されている。
しかしながら、腱の再生や骨孔への効果は未知で、損傷した靭帯に対してその回復を早めることはまったく知られていない。
本発明者等は、今回、驚くべきことに、G−CSFが膝前十字靭帯切離によるイヌ膝靭帯損傷モデルに対する靭帯再建を改善することを見出した。
膝前十字靭帯切離によるイヌ膝靭帯損傷モデルとして体重約10kgのビーグル犬を使用した。全身麻酔下に四肢を紐で手術台に括り、仰臥位で膝部付近の毛をバリカンで刈り、イソジンを用いて消毒する。下肢後内側(内顆とアキレス腱の間)に縦切開を加え、約8cmの浅趾屈筋腱を採取し移植腱とする。移植腱を二重束とし、ループ側を移植時に脛骨側端とし、逆側を移植時に大腿骨側端とし、両側に糸を通しておく。傍膝蓋骨内側侵入にて関節内に達し、膝蓋骨を外側に手で脱臼させる。膝蓋骨下脂肪体の両端をかんしで噛み、膝蓋骨下脂肪体を切開する。さらに横靭帯を切開し、膝前十字靭帯を露出させ、大腿骨起始部、脛骨付着部より鋭的に切離する。4mmの手回しドリルを使用し、膝前十字靭帯の付着部より大腿骨外果、脛骨前内側に向け骨孔を作成し、脛骨側および大腿骨側の螺子挿入部に2mmの手回しドリルで穴を開け、各々に螺子を挿入する。骨孔内に移植腱を通し、両端の糸を各螺子頭部に結びつける。なお、大腿骨側は膝屈曲45°で結びつける。生理食塩液で施術部を洗浄した後縫合する。
上記モデルは膝前十字靭帯切離による膝靭帯損傷の病態を代表するモデルであると同時に現在行われている自家腱を用いた再建手術モデルでもあり、移植した腱が充分な強度(最大引っ張り強度が100N以上)を示すには約2ヶ月程を要する。
上記モデルでの有効性が証明されたG−CSFは、膝前十字靭帯損傷をはじめとしてさまざまな部位の靭帯損傷に使用できる。
本発明のG−CSFを有効成分とする靭帯損傷の回復促進剤または治療剤並びに医薬組成物が対象とする靭帯損傷としては、例えば、膝靭帯損傷、より具体的には、外側側副靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷などが挙げられる。本発明の対象として好ましい靭帯損傷は、足関節の靭帯損傷や肘関節の靭帯損傷、特に好ましくは重度膝靭帯損傷である。本発明は、膝靭帯や肘靭帯の損傷に限らず、他の靭帯損傷の治療にも使用できる。
[G−CSF]
本発明に用いることができる有効成分であるG−CGFとして、特に好ましいものはヒトG−CGFである。ヒトG−CSFの例としては、例えば配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列、好ましくは配列番号1のアミノ酸配列を含み、かつヒトG−CSF活性(すなわち、好中球増加活性、及び靭帯損傷の回復促進または治療活性)を有するポリペプチド、又はこれに糖鎖が結合した糖タンパク質を挙げることができる。更に、同配列のアミノ酸配列の一部が改変(置換、欠失、挿入、および/または付加)されたG−CSF活性を有するG−CSF誘導体も本発明におけるG−CSFに含まれる。このようなG−CSF誘導体は、好ましくは、配列番号1または2で示されるアミノ酸配列と90%以上、より好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。上記改変は、例えば公知の部位特異的突然変異誘発法(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用する方法を含む)によって行うことができる(例えば、Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,1995,John Wiley and Sons,USA)。改変には、保存的アミノ酸置換が含まれる。すなわち、このような置換は、電気的または構造的に類似した性質をもつアミノ酸間の置換であり、例えば塩基性アミノ酸間、酸性アミノ酸間、疎水性アミノ酸間、あるいは極性アミノ酸間でのアミノ酸置換である。
これらのG−CSFは天然由来のもの、および遺伝子組換えによって得られたものを含むが、遺伝子組換えで得られたものが好ましい。この場合、宿主細胞としては大腸菌、哺乳動物細胞(C127、CHO、BHK、COS、HEK293細胞等)を挙げることができる。これらの詳細な製造方法については、例えば、特表昭63−500636号、特開昭62−236497号、特開昭62−236488号、及び特開昭63−267292号等に開示されている。
また、上記の配列番号1〜3のアミノ酸配列で示されるポリペプチドまたは糖タンパク質およびG−CSF誘導体に、さらにポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを少なくとも1分子結合させたもの(例えば、WO90/06952、WO96/11953、特開平1−316400)も含まれる。特に好ましい水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコールであり、例えば分子量2,000〜100,000程度、好ましくは6,000〜25,000程度のポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールの付加は、一般にPEG(ペグ)化と呼ばれているが、G−CSFのアミノ末端アミノ基および/またはリシン残基のεアミノ基に、アシル基やアルデヒド基などのアミノ基と反応性の基を介して結合することによって行うことができる。市販品としては、例えばAmgen社がNeulasta(登録商標)として販売しているPEG化G−CSFが挙げられる。
更にまた、G−CSFの糖鎖結合部位を改変することにより、糖鎖の構造を変えたり、糖鎖を付加あるいは欠失させたようなG−CSF糖鎖改変体、あるいは、アルブミン、ビタミンB12、または免疫グロブリン等と融合させたタンパク質も含まれる。G−CSF糖鎖改変体は、例えばG−CSFのアミノ酸配列にAsn−X−Thr/Ser配列(ここで、XはPro以外のアミノ酸である。)を新たに付加したり、G−CSFのアミノ酸配列から該Asn−X−Thr/Ser配列を欠失したりすることによって得ることができる。このような付加や欠失は、例えばPCRを利用する部位特異的突然変異誘発法(Ausubelら,上記)を用いることによって容易に実施可能である。また、融合タンパク質は、一般的な遺伝子組換え技術を用いて、G−CSFをコードするDNAと、これに融合させるタンパク質をコードするDNAとを融合したDNAを合成し、プロモーターの調節下にある該融合DNAを適当なベクターに挿入し、該ベクターを適当な宿主細胞に導入し、該融合DNAを発現させることを含む手法によって得ることができる。
[靭帯損傷の回復促進剤または治療剤並びに医薬組成物]
本発明の靭帯損傷の回復促進剤または治療剤は、単独で、あるいは薬学的に許容される担体、賦形剤、安定化剤等を含む医薬組成物として患者に投与することができる。
すなわち、本発明はまた、上記の医薬組成物を用いて、靭帯損傷の回復を促進または治療するための方法を提供する。
このような医薬組成物は、当分野で通常用いられている形態のいずれを用いることもできるが、特に局所投与注射製剤あるいは腱移植時に局所に埋め込む製剤が好ましい。局所投与注射製剤は溶液状態でもかまわないが、関節腔内に滞留するように医療用に用いられる適切な基材と混合しても良い。医療用に用いられる適切な基材としては、ゼラチン(ゼラチンハイドロゲルなどの架橋体も含む)、生分解性ポリマー(ポリアミノ酸、ポリ乳酸などを含む)、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カンテン末、アラビアゴム、ヒアルロン酸またはその塩、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース等が挙げられるがこれに制限されるものではない。これらの医療用の基材は、局所に埋め込む製剤(例えば、有効成分をゲル基材と混合した製剤)の調製にも用いることができる。
本発明の靭帯損傷の回復促進剤または治療剤において、G−CSFの投与量、投与回数は患者の状態に応じて決めることができ、特に限定するものではないが、通常0.01〜200μg/kg、好ましくは1〜10μg/kgであり、投与回数は、1ないし2回/週投与で1〜8週間投与することができる。
本発明の靭帯損傷の回復促進剤または治療剤はまた、手術による一時的靭帯の修復、自家の腱、同種の腱、人工靭帯の移植、ギプス固定、装具療法、筋力強化訓練、あるいは抗炎症外用剤等の従来から行なわれている靭帯損傷の治療法1種以上との併用も可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
G−CSFは顆粒球系造血前駆細胞の分化増殖因子として発見された造血因子であり、好中球前駆細胞に作用し、その分化・増殖を促進させるほか、骨髄からの成熟好中球の放出促進及び好中球機能を亢進させる作用を有することから、造血幹細胞移植後の好中球数の増加促進、骨髄移植や癌化学療法後の好中球減少症治療剤として臨床適用されている。G−CSFはがん化学療法後の好中球減少症治療剤としても既に臨床応用されている。また、G−CSFは骨髄中の造血幹細胞を末梢血中へ動員する作用を有することから、同種及び自家末梢血幹細胞採取時における造血幹細胞の末梢血中への動員剤としても臨床応用されている。さらに、最近では、血管新生の促進効果や心筋梗塞あるいは脳梗塞後の細胞死を抑制する効果があることが報告されている。
しかしながら、腱の再生や骨孔への効果は未知で、損傷した靭帯に対してその回復を早めることはまったく知られていない。
本発明者等は、今回、驚くべきことに、G−CSFが膝前十字靭帯切離によるイヌ膝靭帯損傷モデルに対する靭帯再建を改善することを見出した。
膝前十字靭帯切離によるイヌ膝靭帯損傷モデルとして体重約10kgのビーグル犬を使用した。全身麻酔下に四肢を紐で手術台に括り、仰臥位で膝部付近の毛をバリカンで刈り、イソジンを用いて消毒する。下肢後内側(内顆とアキレス腱の間)に縦切開を加え、約8cmの浅趾屈筋腱を採取し移植腱とする。移植腱を二重束とし、ループ側を移植時に脛骨側端とし、逆側を移植時に大腿骨側端とし、両側に糸を通しておく。傍膝蓋骨内側侵入にて関節内に達し、膝蓋骨を外側に手で脱臼させる。膝蓋骨下脂肪体の両端をかんしで噛み、膝蓋骨下脂肪体を切開する。さらに横靭帯を切開し、膝前十字靭帯を露出させ、大腿骨起始部、脛骨付着部より鋭的に切離する。4mmの手回しドリルを使用し、膝前十字靭帯の付着部より大腿骨外果、脛骨前内側に向け骨孔を作成し、脛骨側および大腿骨側の螺子挿入部に2mmの手回しドリルで穴を開け、各々に螺子を挿入する。骨孔内に移植腱を通し、両端の糸を各螺子頭部に結びつける。なお、大腿骨側は膝屈曲45°で結びつける。生理食塩液で施術部を洗浄した後縫合する。
上記モデルは膝前十字靭帯切離による膝靭帯損傷の病態を代表するモデルであると同時に現在行われている自家腱を用いた再建手術モデルでもあり、移植した腱が充分な強度(最大引っ張り強度が100N以上)を示すには約2ヶ月程を要する。
上記モデルでの有効性が証明されたG−CSFは、膝前十字靭帯損傷をはじめとしてさまざまな部位の靭帯損傷に使用できる。
本発明のG−CSFを有効成分とする靭帯損傷の回復促進剤または治療剤並びに医薬組成物が対象とする靭帯損傷としては、例えば、膝靭帯損傷、より具体的には、外側側副靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷などが挙げられる。本発明の対象として好ましい靭帯損傷は、足関節の靭帯損傷や肘関節の靭帯損傷、特に好ましくは重度膝靭帯損傷である。本発明は、膝靭帯や肘靭帯の損傷に限らず、他の靭帯損傷の治療にも使用できる。
[G−CSF]
本発明に用いることができる有効成分であるG−CGFとして、特に好ましいものはヒトG−CGFである。ヒトG−CSFの例としては、例えば配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列、好ましくは配列番号1のアミノ酸配列を含み、かつヒトG−CSF活性(すなわち、好中球増加活性、及び靭帯損傷の回復促進または治療活性)を有するポリペプチド、又はこれに糖鎖が結合した糖タンパク質を挙げることができる。更に、同配列のアミノ酸配列の一部が改変(置換、欠失、挿入、および/または付加)されたG−CSF活性を有するG−CSF誘導体も本発明におけるG−CSFに含まれる。このようなG−CSF誘導体は、好ましくは、配列番号1または2で示されるアミノ酸配列と90%以上、より好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。上記改変は、例えば公知の部位特異的突然変異誘発法(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用する方法を含む)によって行うことができる(例えば、Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biology,1995,John Wiley and Sons,USA)。改変には、保存的アミノ酸置換が含まれる。すなわち、このような置換は、電気的または構造的に類似した性質をもつアミノ酸間の置換であり、例えば塩基性アミノ酸間、酸性アミノ酸間、疎水性アミノ酸間、あるいは極性アミノ酸間でのアミノ酸置換である。
これらのG−CSFは天然由来のもの、および遺伝子組換えによって得られたものを含むが、遺伝子組換えで得られたものが好ましい。この場合、宿主細胞としては大腸菌、哺乳動物細胞(C127、CHO、BHK、COS、HEK293細胞等)を挙げることができる。これらの詳細な製造方法については、例えば、特表昭63−500636号、特開昭62−236497号、特開昭62−236488号、及び特開昭63−267292号等に開示されている。
また、上記の配列番号1〜3のアミノ酸配列で示されるポリペプチドまたは糖タンパク質およびG−CSF誘導体に、さらにポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを少なくとも1分子結合させたもの(例えば、WO90/06952、WO96/11953、特開平1−316400)も含まれる。特に好ましい水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコールであり、例えば分子量2,000〜100,000程度、好ましくは6,000〜25,000程度のポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールの付加は、一般にPEG(ペグ)化と呼ばれているが、G−CSFのアミノ末端アミノ基および/またはリシン残基のεアミノ基に、アシル基やアルデヒド基などのアミノ基と反応性の基を介して結合することによって行うことができる。市販品としては、例えばAmgen社がNeulasta(登録商標)として販売しているPEG化G−CSFが挙げられる。
更にまた、G−CSFの糖鎖結合部位を改変することにより、糖鎖の構造を変えたり、糖鎖を付加あるいは欠失させたようなG−CSF糖鎖改変体、あるいは、アルブミン、ビタミンB12、または免疫グロブリン等と融合させたタンパク質も含まれる。G−CSF糖鎖改変体は、例えばG−CSFのアミノ酸配列にAsn−X−Thr/Ser配列(ここで、XはPro以外のアミノ酸である。)を新たに付加したり、G−CSFのアミノ酸配列から該Asn−X−Thr/Ser配列を欠失したりすることによって得ることができる。このような付加や欠失は、例えばPCRを利用する部位特異的突然変異誘発法(Ausubelら,上記)を用いることによって容易に実施可能である。また、融合タンパク質は、一般的な遺伝子組換え技術を用いて、G−CSFをコードするDNAと、これに融合させるタンパク質をコードするDNAとを融合したDNAを合成し、プロモーターの調節下にある該融合DNAを適当なベクターに挿入し、該ベクターを適当な宿主細胞に導入し、該融合DNAを発現させることを含む手法によって得ることができる。
[靭帯損傷の回復促進剤または治療剤並びに医薬組成物]
本発明の靭帯損傷の回復促進剤または治療剤は、単独で、あるいは薬学的に許容される担体、賦形剤、安定化剤等を含む医薬組成物として患者に投与することができる。
すなわち、本発明はまた、上記の医薬組成物を用いて、靭帯損傷の回復を促進または治療するための方法を提供する。
このような医薬組成物は、当分野で通常用いられている形態のいずれを用いることもできるが、特に局所投与注射製剤あるいは腱移植時に局所に埋め込む製剤が好ましい。局所投与注射製剤は溶液状態でもかまわないが、関節腔内に滞留するように医療用に用いられる適切な基材と混合しても良い。医療用に用いられる適切な基材としては、ゼラチン(ゼラチンハイドロゲルなどの架橋体も含む)、生分解性ポリマー(ポリアミノ酸、ポリ乳酸などを含む)、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カンテン末、アラビアゴム、ヒアルロン酸またはその塩、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース等が挙げられるがこれに制限されるものではない。これらの医療用の基材は、局所に埋め込む製剤(例えば、有効成分をゲル基材と混合した製剤)の調製にも用いることができる。
本発明の靭帯損傷の回復促進剤または治療剤において、G−CSFの投与量、投与回数は患者の状態に応じて決めることができ、特に限定するものではないが、通常0.01〜200μg/kg、好ましくは1〜10μg/kgであり、投与回数は、1ないし2回/週投与で1〜8週間投与することができる。
本発明の靭帯損傷の回復促進剤または治療剤はまた、手術による一時的靭帯の修復、自家の腱、同種の腱、人工靭帯の移植、ギプス固定、装具療法、筋力強化訓練、あるいは抗炎症外用剤等の従来から行なわれている靭帯損傷の治療法1種以上との併用も可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
膝前十字靭帯切離によるイヌ膝靭帯損傷モデルとして体重約10kgのビーグル犬を使用した。全身麻酔下(ネンブタール)に四肢を紐で手術台に括り、仰臥位で膝部付近の毛をバリカンで刈り、イソジンを用いて消毒する。下肢後内側(内顆とアキレス腱の間)に縦切開を加え、約8cmの浅趾屈筋腱を採取し移植腱とする。移植腱を二重束とし、ループ側を移植時に脛骨側端とし、逆側を移植時に大腿骨側端とし、両側に糸を通しておく。脛骨側の移植腱にG−CSF(キリンビール社製(東京、日本)のFilgrastimTM、配列番号1のアミノ酸配列で示されるペプチド)5μgを包埋させたゼラチンハイドロゲル(15×4×0.25mm)を挟み糸で巻きつける。なお、ゼラチンハイドロゲルへのG−CSFの包埋は、投与1時間前にゼラチンハイドロゲルにG−CSF溶液を滴下し37℃でインキュベーションすることにより得られる。傍膝蓋骨内側侵入にて関節内に達し、膝蓋骨を外側に手で脱臼させる。膝蓋骨下脂肪体の両端をかんしで噛み、膝蓋骨下脂肪体を切開する。さらに横靭帯を切開し、膝前十字靭帯を露出させ、大腿骨起始部、脛骨付着部より鋭的に切離する。4mmの手回しドリルを使用し、膝前十字靭帯の付着部より大腿骨外果、脛骨前内側に向け骨孔を作成し、脛骨側および大腿骨側の螺子挿入部に2mmの手回しドリルで穴を開け、各々に螺子を挿入する。骨孔内にG−CSF包埋ゼラチンハイドロゲルを挟み込んだ移植腱を通し、両端の糸を各螺子頭部に結びつける。なお、大腿骨側は膝屈曲45°で結びつける。生理食塩液で施術部を洗浄した後縫合する。
手術を施行した後、2または4週後にビーグルを安楽死させ評価を行った。力学的・組織学的・放射線学的・分子生物学的評価をした。力学的評価では、大腿骨・脛骨から切断し関節周囲の軟部組織を前十字靭帯以外除去した後、引っ張り試験を行い、最大破断強度を測定した(図2及び3参照)。組織学的評価では、脱灰しパラフィン包埋した後、ヘマトキシリンエオジン染色をし靭帯−骨間を観察した(図4参照)。また、フォンウィルブランドファクターで免疫染色した後、1視野内の血管内皮を定量した。放射線学的評価では脛骨の骨孔に垂直で脛骨関節面から10mm部をCT撮影し、その面積を測定した。分子生物学的評価では、脛骨の骨孔とその周囲組織を一塊として取り出し、RNAを抽出した後に、血管新生の指標である血管内皮増殖因子(VEGF)と骨新生の指標であるオステオカルシン(osteocalcin)のmRNAの発現量をRT−PCRで定量した。RT−PCRに用いたプライマーの組み合わせは、配列番号4および5(イヌ VEGF)、配列番号6および7(イヌオステオカルシン)、ならびに配列番号8および9(イヌGAPDH)である。
その結果、コントロール群(ゼラチンハイドロゲルにリン酸緩衝液を包埋させたもの)とG−CSF群では4週間後の最大破断強度はG−CSF投与群で顕著に増加した。なお、2週間後に測定した最大破断強度は、G−CSF投与群がコントロール群に比べて有意な差はないものの低い値を示した。これは本モデルにおける損傷治癒過程で破断強度は一時的に低下した後に回復を示す経過を示すため、G−CSF投与群が治癒を促進したためコントロール群よりも早く一時的な破断強度低下が見られたためと考えられる。また、4週間後の靭帯−骨間組織を観察したところ、コントロール群に比べてG−CSF群でSharpey’s fiberの豊富な発生が見られ、また2週間後の移植組織ではG−CSF群で高い血管密度が観察された。さらに4週間後の骨孔の面積をCT撮影したところ、G−CSF投与群はコントロール群にくらべて明らかに狭くなり再生が進んでいることが明らかとなった。これらを裏付けるように、RT−PCRで、2週間後の骨孔とその周囲組織ではG−CSF群で有意にVEGFとオステオカルシンの発現量が上昇していた。
手術を施行した後、2または4週後にビーグルを安楽死させ評価を行った。力学的・組織学的・放射線学的・分子生物学的評価をした。力学的評価では、大腿骨・脛骨から切断し関節周囲の軟部組織を前十字靭帯以外除去した後、引っ張り試験を行い、最大破断強度を測定した(図2及び3参照)。組織学的評価では、脱灰しパラフィン包埋した後、ヘマトキシリンエオジン染色をし靭帯−骨間を観察した(図4参照)。また、フォンウィルブランドファクターで免疫染色した後、1視野内の血管内皮を定量した。放射線学的評価では脛骨の骨孔に垂直で脛骨関節面から10mm部をCT撮影し、その面積を測定した。分子生物学的評価では、脛骨の骨孔とその周囲組織を一塊として取り出し、RNAを抽出した後に、血管新生の指標である血管内皮増殖因子(VEGF)と骨新生の指標であるオステオカルシン(osteocalcin)のmRNAの発現量をRT−PCRで定量した。RT−PCRに用いたプライマーの組み合わせは、配列番号4および5(イヌ VEGF)、配列番号6および7(イヌオステオカルシン)、ならびに配列番号8および9(イヌGAPDH)である。
その結果、コントロール群(ゼラチンハイドロゲルにリン酸緩衝液を包埋させたもの)とG−CSF群では4週間後の最大破断強度はG−CSF投与群で顕著に増加した。なお、2週間後に測定した最大破断強度は、G−CSF投与群がコントロール群に比べて有意な差はないものの低い値を示した。これは本モデルにおける損傷治癒過程で破断強度は一時的に低下した後に回復を示す経過を示すため、G−CSF投与群が治癒を促進したためコントロール群よりも早く一時的な破断強度低下が見られたためと考えられる。また、4週間後の靭帯−骨間組織を観察したところ、コントロール群に比べてG−CSF群でSharpey’s fiberの豊富な発生が見られ、また2週間後の移植組織ではG−CSF群で高い血管密度が観察された。さらに4週間後の骨孔の面積をCT撮影したところ、G−CSF投与群はコントロール群にくらべて明らかに狭くなり再生が進んでいることが明らかとなった。これらを裏付けるように、RT−PCRで、2週間後の骨孔とその周囲組織ではG−CSF群で有意にVEGFとオステオカルシンの発現量が上昇していた。
現在、靭帯損傷治療において、回復を明らかに早めるような治療はない。重症の靭帯損傷においては腱の移植が行なわれているが治癒までには6〜9ヶ月を要し、長期間日常生活に不自由を強いられ、あるいは早期のスポーツ復帰が出来ないことが問題となっている。したがって、本発明により単独あるいは現存の治療法との併用により靭帯損傷の回復を早める薬剤を提供できる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
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配列番号1: 天然型ヒトG−CSFに関して−1位にMet残基を含むアミノ酸配列。
配列番号3: 天然型ヒトG−CSFに関して−1位にMet残基を含み、かつ、天然型ヒトG−CSF中の+1位のThr残基、+3位のLeu残基、+4位のGly残基、+5位のPro残基及び+17位のCys残基がそれぞれAla、Thr、Tyr、Arg及びSerに置換されているアミノ酸配列。
配列番号4: プライマー。
配列番号5: プライマー。
配列番号6: プライマー。
配列番号7: プライマー。
配列番号8: プライマー。
配列番号9: プライマー。
[配列表]
配列番号3: 天然型ヒトG−CSFに関して−1位にMet残基を含み、かつ、天然型ヒトG−CSF中の+1位のThr残基、+3位のLeu残基、+4位のGly残基、+5位のPro残基及び+17位のCys残基がそれぞれAla、Thr、Tyr、Arg及びSerに置換されているアミノ酸配列。
配列番号4: プライマー。
配列番号5: プライマー。
配列番号6: プライマー。
配列番号7: プライマー。
配列番号8: プライマー。
配列番号9: プライマー。
[配列表]
Claims (5)
- 顆粒球コロニー刺激因子を有効成分として含む、靭帯損傷の回復促進剤または治療剤。
- 顆粒球コロニー刺激因子が、配列番号1〜3のうちいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチド若しくは糖タンパク質である、請求項1に記載の靭帯損傷の回復促進剤または治療剤。
- 請求項1または2に記載の靭帯損傷の回復促進剤または治療剤を含む医薬組成物。
- 局所投与用である、請求項3に記載の医薬組成物。
- 靭帯損傷の回復促進剤または治療剤がゲル基材と混合されている、請求項4に記載の医薬組成物。
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JPN6012066414; PETERSEN,W. et al.: 'The angiogenic peptide vascular endothelial growth factor (VEGF) is expressed during the remodeling' Arch.Orthop.Trauma Surg. Vol.123, No.4, 2003, p.168-174 * |
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JPN7012005213; KOBAYASHI,D. et al.,: 'Effect of basic fibroblast growth factor on the healing of defects in the canine anterior cruciate l' Knee surgery, sports traumatology, arthroscopy : official journal of the ESSKA Vol.5, No.3,, 1997, p.189-194 * |
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