JP2006232834A - 組織損傷の治療のための方法及びキット - Google Patents

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Abstract


【課題】自己由来の多血小板血漿組成物を用い、哺乳動物での組織の血管新生を促進するための方法及びキットを提供する。
【解決手段】上記キットは患者の血液から多血小板血漿を調製するための構成及び血管新生を必要とする領域へ投与するための構成を含む。上記方法及びキットは、腱炎、特に外側上顆炎及び足底筋膜炎の治療に有用である。
【選択図】図1

Description

本発明は、自己由来の多血小板血漿を用いた、ヒト又はヒト以外の動物における傷害を受けた組織の治療のための方法及びキットに関する。好ましい一実施形態において、方法及びキットは、外側上顆炎、足底筋膜炎及び回旋筋腱板損傷の治療に関して記載される。
[関連技術の説明]
抗炎症投薬療法、ブレイシング、安静及び理学療法等の標準的な治療に不応性の結合組織損傷に対する治療プロトコルに対する必要性がある。柔軟で比較的血管に乏しい結合組織(以下では「結合組織」(単数又は複数))に対する損傷又はその他の傷害は、治癒までに非常に長い時間(数カ月、場合によっては数年)がかかることが知られている。多くの症例では、結合組織に対する損傷は適切に治癒することはなく、外科的介入が必要になる。結合組織の損傷及び疾患は社会に大きな影響を及ぼす。これらの異常の全有病率は、米国立健康統計センター(National Center for Health Statistics)による1995年の調査によれば、米国では1,000人当たり約140人である。同じ調査では、直接的なコストは887億ドルと推計され、生産性の損失による間接的なコストは最大1,119億ドルに上ると推計された。
結合組織の傷害の一例には、腱炎(tendinosis)がある。腱炎症(tendonitis)とは異なり、腱炎はそもそもは炎症症状ではない。腱炎は適切に治癒していない小規模な損傷の長年にわたる蓄積物であり、腱炎は治癒しきれなかった慢性の損傷である。腱炎はいかなる腱においても起こり得、最も一般的な領域の幾つかには、手、手首、前腕、肘、肩、膝及び踵がある。腱炎は、スポーツをする、コンピュータを使用する、楽器を演奏する、又は肉体労働をする等の反復行動に起因し得る。慢性の腱損傷の危険性を増やす幾つかの業種としては、組み立てライン作業員、郵便物選別者、コンピュータプログラマー、作家、法廷法務官、データ入力処理業者、手話通訳者、レジ係、プロのスポーツ選手及び音楽家が挙げられる。
腱炎の1つの具体的なタイプは、外側上顆炎である。外側腱炎(テニス肘)は、一般診療で1,000人の患者当たり約5人に見られる一般的な疾患である。病因は完全には分かってはいないが、ある反復行動の結果として35歳を過ぎた患者に一般的に見られる。その疾患の根底にある病理は、肘での短橈側手根伸筋腱の使用過多損傷及び僅かな断裂(microtearing)に関わる。体はこれらの僅かな断裂を修復しようとするが、多くの症例では、治癒過程は不完全である。慢性の外側上顆炎に対する外科手術を行った患者の病理組織標本は、組織の乱れた血管繊維芽細胞形成不全を示す。この修復での不完全な試みから、変形した未熟な血管に乏しい組織となる。不完全に修復された組織は、正常な結合組織よりも弱く、通常の機能を果たすには強度が不足している。また、この組織は、痛みを引き起こすとともに患者の生活の質に有害な影響を及ぼすことにより、患者を制約させもする。
別の一般的な腱炎は足底筋膜炎である。「足底」とは足の底を意味し、「筋膜」とは結合組織の一種であり、「炎」とは「炎症」を意味するが、足底筋膜炎は炎症性疾患ではないと現在は考えられている。さらに、足底筋膜は、実際は腱の腱膜であり、筋膜層ではない(非特許文献1)。
足底筋膜は、足の足底にある筋肉を被包する。足底筋膜は、足の母指球を踵へ繋げるための弓の弦として機能することで足のアーチを維持する。歩行時、後に続く肢の踵が地面
から上がり始めるその時に、足底筋膜は体重のおよそ2倍となる応力に耐える。腓筋の柔軟性を欠くと、この瞬間の最大応力が増大する。体重の増加率は、筋膜の応力を同じ割合で増加させる。歩行の反復性のため、足底筋膜炎はテニス肘と同様の反復応力疾患であり得る。ランナー及び他のスポーツ選手を含む幾つかのサブグループの人々、かなりの歩行又は起立(とりわけ舗装した場所の上でなされる場合)を必要とする仕事をする人々によくあり、幾つかの症例では、無思慮な飲食又は妊娠によるいずれかで体重が増加した人々に見られる。残念ながら、足底筋膜炎は通常回復するのに数ヶ月かかる。南カリフォルニア整形外科研究所(Southern California Orthopedic Institute)による統計によれば、この異常を回復するのに75%の人々がおよそ6ヶ月かかる。
足底筋膜炎の典型的な兆候は、朝最初の2〜3歩で踵が痛むことである。その痛みは、通常踵の前底であるが、痛みは筋膜が位置する足底のいかなる部分にも及び得る。その痛みは、軽度又は衰弱性(debilitating)であり得る。痛みは2〜3ヶ月続き、永続的となり、又は明らかな説明もないまま患者の余生に2〜3ヶ月又は2〜3年毎に現れては直ぐ消えるようになり得る。毎年、人口の約1%が、この病状に対して医療の助けを求めている。
同様の不完全修復は、他の種類の結合組織損傷又は傷害、例えば膝蓋腱炎症(ジャンパー膝)、アキレス腱炎症(ランナーに一般的に見られる)及び回旋筋腱板腱炎症(野球投手のように「頭上の動作を伴う(overhead)」スポーツ選手に一般的に見られる)、足関節靱帯の慢性損傷(「足関節捻挫」)又は靱帯断裂等にも存在し得る。求められているものは、上記の問題を解決するための組成物および方法である。
上記の諸病状の病態生理に関して研究が行われている。現在は、多くの異なる非手術療法及び手術療法が存在する。非手術的な手段としては、安静、行動変容、経口抗炎症薬療法及びコルチゾン注射が挙げられる。安静及び行動の限定は、これらの病状のうちある種のものを有する患者には有用であり得るが、それ以外のかなり多くの臨床集団はこれらの治療法では効果が得られない。経口抗炎症薬療法は広く用いられているが、対照研究(controlled study)では有用なことは証明されていない。いくつかの研究からは、非ステロイド薬療法は実際には靱帯損傷の治癒過程に悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。また、外側上顆炎又は足底筋膜炎の症例の病理試料中に、急性炎症性細胞は認められていない。コルチゾン注射は腱炎の治療に対しては実のところ意見が分かれており、急性靱帯損傷に対しては禁忌である。いくつかの研究で、コルチゾンで治療した患者の短期的な経過観察下における改善が言及されている。しかしながら、1年以上にわたる結果では、症状の再発率が高く、有効率も不確かなものに過ぎないことが示されている。また、これらの注射には腱断裂、感染、皮膚色素脱失、皮下萎縮及び糖尿病患者における高血糖の危険性もある。
理学療法が一般的に利用されるが、費用がかかる上、このような療法が有益であるかははっきりしない(非特許文献2)。さらに、平均のコストが高く、1,200ドル〜1,500ドルである。他の療法の選択肢としては、イオントフォレーシス及び体外衝撃波(ECSW)療法が挙げられる。イオントフォレーシスは、2日で偽薬よりも良好な効果を与える(非特許文献3)。ECSW療法は、変わりやすい効能を示している。この療法は、272人の患者による最近の試用では効果が見られなかった(非特許文献4)。非特許文献5は、対照及び治療群の間に違いがないという同様の結果を示した。ボトックス療法対外科手術における研究は、12ヶ月での成果に違いがないことを示した。両方が効果的であった。しかしながら、その研究は対照群を含んでいなかった(非特許文献6)。
手術的手段には壊死組織切除及び付随する病的な腱の修復が含まれる。しかしながら、開放手術又は関節鏡視下手術の場合、深部感染、神経血管構造への損傷、及び瘢痕形成と
いった多くの合併症が予測される。さらに外科手術は費用もかかる上、局所麻酔又は全身麻酔に伴う危険性も加わる。明らかにこの分野での新たな治療方法が必要とされている。
多血小板血漿(PRP)は、血液から血小板を濃縮することで全血又は血漿から得られる。全血は赤血球を約95%、血小板を約5%、白血球を1%未満含むが、PRPは血小板を95%含み、4%が赤血球、1%が白血球である。PRPは、血小板を活性化してサイトカイニン及びその他の増殖因子といった血小板の内容物を放出させる、トロンビン又はカルシウム等の活性化物質を結合させることができる。PRPは医学において、主として骨移植及び歯科インプラントの用途、ならびに外科用接着剤として用いられる組成物の一部として用いられている。例えば、Landesberg他(特許文献1)は、骨移植及び歯科インプラント用のPRPを含む自己由来の血小板ゲルを開示している。PRPはコラーゲンによって活性化され、創傷治癒を促進する目的で局所的に投与(applied)される。
Antanavich他(特許文献2)は、組織シーラントとしてのPRPの調製及び用法を開示している。Cochrum(特許文献3)は、PRPを選択的に含むバイオポリマー、動脈及び静脈を一時的にブロックするためのその用法を開示している。Gordinier他(特許文献4)は、創傷に対する局所外用に用いるための、およそpH6.5に緩衝化された血小板を含む、血小板放出生成物を開示している。
米国特許第6,322,785号 米国特許第5,585,007号 米国特許第5,614,214号 米国特許第5,599,558号 Barrett, et al. (November 2004)Podiatry Today, pages 37-42 Smidt 2003 Nirschl 2003 Haake 2002 Chung and Wiley (2004) Keizer 2002
先行技術には、組織修復の促進を目的とするPRPを用いた結合組織の治療を教示したものはない。さらに、本出願人は、PRPが広範囲にわたる組織損傷及び/又は傷害の治療においてより幅広い用途を有することを見いだした。
[発明の概要]
本発明の一実施の形態は、自己由来である多血小板血漿を用い組織の血管新生をするためのキットに関する。本キットは、血液凝固を低減するための抗凝固剤と、血液から血小板画分を単離するための、遠心分離装置での使用に適した使い捨て分離管と、上記多血小板血漿のpHをpH6.5〜8.0に上げ、緩衝化された多血小板血漿を作り出すためのpH調整剤、および、血液供給が阻害された組織に、上記緩衝化された多血小板血漿を投与し、それにより上記組織を血管新生する、血小板送達装置を含む。
好ましい実施の形態において、上記使い捨て分離管は血小板画分を単離するための浮標を含む。本キットは、上記緩衝化された多血小板血漿を含む組成物の投与前に腱炎の領域を麻痺させるための局所麻酔薬を含む組成物をも包含することが好ましい。上記腱炎の領域を麻痺させるための組成物は、ブピバカイン及びエピネフリンを包含することがより好ましい。本キットは、上記局所麻酔薬を投与するための麻酔送達器を含むことがさらにより好ましい。
好ましい実施の形態において、上記キットは、上記使い捨て分離管を用いて、採血された血液から血小板を単離するための取扱説明書を含む。好ましい実施の形態において、上記キットは、腱炎の領域に多血小板血漿組成物を投与するための取扱説明書を含む。好ましい実施の形態において、上記抗凝固剤はクエン酸デキストロース抗凝固剤溶液であり、上記pH調整剤は重炭酸ナトリウムである。好ましい実施の形態において、上記キットは、所定の理学療法に関する抵抗を提供するための理学療法補助用具をも含む。
本発明の実施の形態は、自己由来の多血小板血漿組成物を用い腱炎を治療するためのキットを目的とし、該キットは、血液の凝固を阻止するための抗凝固剤と、上記血液から血小板画分を単離するための、遠心分離装置での使用に適した使い捨て分離管と、上記多血小板血漿組成物のpHをpH6.5〜8.0に調整し、緩衝化された多血小板血漿組成物を作り出す、pHを調整するためのpH調整剤、および、上記緩衝化された多血小板血漿組成物を腱炎の部分に投与するための血小板送達装置とを含む。
好ましい実施の形態において、上記使い捨て分離管は、血小板画分を単離するための浮標を含む。好ましい実施の形態において、上記キットは、上記使い捨て分離管を用いて、採血された血液から血小板を単離するための取扱説明書をも含む。好ましい実施の形態において、上記キットは腱炎の領域に多血小板血漿組成物を投与するための取扱説明書をも含む。好ましい実施の形態において、上記抗凝固剤はクエン酸デキストロース抗凝固剤溶液であり、上記pH調整剤は重炭酸ナトリウムである。好ましい実施の形態において、上記キットは所定の理学療法に関する抵抗を提供するための理学療法補助用具をも含む。
好ましい実施の形態において、上記キットは上記緩衝化された多血小板血漿組成物の投与前に上記腱炎の領域を麻痺させるための局所麻酔薬を含む組成物をも包含する。より好ましい実施形態において、上記腱炎の領域を麻痺させるための組成物は、ブピバカイン及びエピネフリンを含む。上記キットは、上記局所麻酔薬を投与するための麻酔送達器を含むことがさらにより好ましい。
本発明の非常に好ましい実施の形態において、上記キットは、血液を採血するための注射器、アフェレーシス針、止血帯、穿刺針、皮膚消毒剤及び包帯類をさらに含む。
本発明の実施の形態は、哺乳動物において血液供給が阻害された組織の血管新生を行う方法に関し、上記哺乳動物から自己由来の血液を採血し、上記自己由来の血液に抗凝固剤を添加し、遠心分離装置を用いて使い捨て分離管内の上記自己由来の血液を分画して、多血小板血漿組成物を単離し、pH約6.5〜8.0を得るために上記多血小板血漿組成物を滴定し、緩衝化された多血小板血漿を作り出し、そして、血液供給が阻害された組織に上記緩衝化された多血小板血漿を投与し、それにより血小板増殖因子が上記緩衝化された多血小板血漿から放出され、血管新生を促進する、工程を含む。
本発明の実施の形態は、哺乳動物での腱炎を治療する方法に関し、上記哺乳動物から自己由来の血液を採血し、上記自己由来の血液に抗凝固剤を添加し、遠心分離装置を用いて使い捨て分離管内の上記自己由来の血液を分画して、多血小板血漿組成物を単離し、pH約6.5〜8.0を得るために上記多血小板血漿組成物を滴定し、緩衝化された多血小板血漿を作り出し、腱炎部位の内部及び周囲に局所麻酔薬を導入し、そして、上記腱炎部位に上記緩衝化された多血小板血漿組成物を投与し、それにより血小板増殖因子が上記緩衝化された多血小板血漿から放出され、上記腱炎部位での血管新生を促進する、工程を含む。
上記方法の好ましい実施の形態において、外因性活性化物質は、上記腱炎部位の内部及
び周囲へ導入される前に上記多血小板血漿組成物に添加されない。好ましい実施の形態において、局所麻酔薬を含む上記組成物はエピネフリンをも含む。好ましい実施の形態において、上記哺乳動物は、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ又はネコから選択される。上記哺乳動物はヒトであることがより好ましい。
好ましい実施の形態において、上記腱炎はテニス肘である。代替的な好ましい実施の形態において、上記腱炎は足底筋膜炎又は回旋筋腱板損傷である。
本発明の実施の形態は、ヒトの足底筋膜炎を治療する方法に関し、上記ヒトから自己由来の血液を採血し、上記自己由来の血液に抗凝固剤を添加し、遠心分離装置を用いて使い捨て分離管内の上記自己由来の血液を分画して、多血小板血漿組成物を単離し、pH約6.5〜8.0を得るために上記多血小板血漿組成物を滴定し、それにより緩衝化された多血小板血漿組成物を作り出し、足の足底面に局所麻酔薬を導入し、そして、上記足の足底面に上記緩衝化された多血小板血漿組成物を投与し、それにより血小板増殖因子が上記緩衝化された多血小板血漿組成物から放出され、上記足の足底面の血管新生を促進する工程を含む。
好ましい実施の形態において、上記方法は治療期間の間、上記足の足底面の動きを制限することをも含む。好ましい実施の形態において、治療する領域を超音波を用いて特定する。好ましい実施の形態において、上記緩衝化された多血小板血漿組成物は、特定された筋膜の内側帯及び/又は中心靭帯(central band)に投与される。
好ましい実施の形態において、外因性活性化物質は、上記足底筋膜炎部位の内部及び周囲へ導入される前に上記多血小板血漿組成物に添加されない。
本発明の実施の形態は、哺乳動物の外側上顆炎を治療する方法に関し、患部の肘領域に麻酔薬送達装置で局所麻酔薬を投与し、pH約6.5〜8.0を得るために多血小板血漿組成物を滴定し、そして、緩衝化された多血小板血漿組成物を、個体の短橈側手根伸筋腱の患部の肘に投与する工程を含む。
好ましい実施の形態において、外因性活性化物質は、上記患部の肘領域へ導入される前に上記多血小板血漿組成物に添加されない。
好ましい実施の形態において、上記方法は、上記患部の腱の血管新生を促進するための理学療法を行うことをも含む。好ましい実施の形態において、上記方法は、血液供給が阻害された部位の再血管新生をすることをも含む。
本発明の実施の形態は、ヒトの回旋筋腱板損傷を治療する方法に関する。上記方法は1つ以上の以下の工程:上記ヒトから自己由来の血液を採血し、上記自己由来の血液に抗凝固剤を添加し、遠心分離装置を用いて使い捨て分離管内の上記自己由来の血液を分画して、多血小板血漿組成物を単離し、pH約6.5〜8.0を得るために上記多血小板血漿組成物を滴定し、緩衝化された多血小板血漿組成物を作り出し、肩の回旋筋腱板領域に局所麻酔薬を導入し、そして、回旋筋腱板腱に上記緩衝化された多血小板血漿組成物を投与し、それにより血小板増殖因子が上記緩衝化された多血小板血漿組成物から放出され、上記回旋筋腱板腱の血管新生を促進する、工程を含み得る。好ましい実施の形態において、上記方法は、回旋筋腱板腱の血管新生の促進を補助する理学療法を行うことをも含む。
本発明の実施の形態は、自己由来の多血小板血漿組成物で腱炎を治療するためのキットに関し、上記キットは、血液を採血するための注射器と、アフェレーシス針と、止血帯と、皮膚消毒薬と、上記採血された血液の凝固を阻止するためのクエン酸デキストロース抗
凝固剤溶液と、上記血液から血小板画分を単離するための、遠心分離装置での使用に適した使い捨て分離管と、上記多血小板血漿組成物のpHをpH6.5〜8.0間に調整し、緩衝化された多血小板血漿組成物を作り出す、pHを調整するための重炭酸ナトリウム等の緩衝剤と、腱炎の領域を麻痺させるための、ブピバカイン及びエピネフリン等の組成物と、上記緩衝化された多血小板血漿組成物を投与するための血小板送達装置と、包帯類と、上記使い捨て分離管を用いて上記採血された血液から血小板を単離するための取扱説明書、および、腱炎の領域に上記多血小板血漿組成物を投与するための取扱説明書とを含む。好ましい実施の形態において、上記キットは、所定の理学療法に関する抵抗を提供するための理学療法補助用具をも含む。
本発明のさらなる態様、特徴及び利点は、後に続く好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、例示を意図するものであって本発明を制限するものではない好ましい実施形態の図面を参照して説明される。
組成物及びキットは上記の問題を解決するのに必要である。多血小板血漿(PRP)は、全血から単離された多血小板含有混合物であり、以下でより詳細に定義されるように、少量の血漿に再懸濁される。血小板は、生きてはいるが、骨髄巨核球の末端細胞質部分である。血小板は、複製のための核がなく、5〜9日で死ぬ。血小板は相互に接着し、損傷部位で血小板血栓を形成し、創傷治癒の開始に関与する増殖因子を活発に放出する。これらの増殖因子はサイトカインとも呼ばれ、それぞれが約25,000ダルトンの分子量を有する低分子タンパク質である。サイトカインは血小板のアルファ顆粒内に貯蔵されている。血小板同士の凝集又は血小板と結合組織との接触に応答して、血小板の細胞膜は「活性化」し、これらのアルファ顆粒を放出する。これらの増殖因子としては、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子β1及びトランスフォーミング増殖因子β2(TGF−β)、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリン及びインスリン様成長因子(ILGF)が挙げられる。これらの増殖因子は、新しい組織が再生されるように幹細胞を刺激することにより、且つ血管新生を促進することにより自己修復して体を助力する機能がある。
本発明者は、驚くべきことに、本発明のある種の血小板組成物が、複数の種類の組織傷害又は組織損傷の治療に有用であることを見出した。本明細書で用いる場合、「損傷」という用語は、広義の用語であり、創傷、外傷若しくは病変を含む任意の組織傷害又は任意の組織変性を制限することなく指すために通常の意味で用いられる。特に、本発明の血小板組成物は、損傷組織の血管新生及び/又は再血管新生並びにさまざまな結合組織の不完全修復、好ましくは腱炎、最も好ましくは外側上顆炎、足底筋膜炎及び回旋筋腱板損傷の治療を促進する目的で用いられ得る。
本明細書中で記載される治療及びキットは、ヒト及びヒト以外の動物の両方に適用できる。本明細書中で用いる場合、「患者」という用語は、ヒト又はヒト以外の患者のいずれも指す。特に好ましくは、家畜動物、例えばウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ネコ及びイヌに対して適用される。最も好ましい実施形態は、ヒト患者の治療を目的とする。
一態様において、本発明は、患者の結合組織における不完全修復を治療する方法であって、血小板組成物を入手すること;患者の結合組織における不完全修復を含む病変を特定すること;及び血小板組成物を病変の内部及び周囲に低侵襲的に導入することを含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が生理的pH又はそれを上回るpHにある本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が血小板放出物(re
leasate)を選択的に含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物中に、トロンビン、エピネフリン、コラーゲン、カルシウム塩及びpH調整剤より選択される成分の1つ以上を混入することをさらに含む本方法に関する。同じく有用なものには、脱顆粒化を促進する又は血小板を保存する物質、付加的な増殖因子又は増殖因子阻害剤、NSAIDS等の低分子調合薬(small molecule pharmaceutical)、ステロイド類及び抗感染剤がある。一態様において、本発明は、患者の結合組織が、腱、靱帯、関節包及び筋膜組織より選択される本方法に関する。上記組織は腱であることがより好ましい。一態様において、本発明は、血小板組成物を入手することが、ヒト又はヒト以外の動物から血液を採血し、そして血液を遠心して多血漿(plasma-rich)画分を得ることを含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が多血小板血漿を含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が、患者の結合組織における不完全修復領域の内部及び周囲への導入前には外因性活性化物質を実質的に含まないことを条件とする本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が患者から得られた血小板を含む本方法に関する。
本発明はさらに、患者の結合組織における不完全修復を治療する方法であって、血小板組成物を入手すること;患者の結合組織における不完全修復を含む病変を特定すること;及び血小板組成物を病変の内部及び周囲に導入することを含み、病変の内部及び周囲への導入前には活性化物質が血小板組成物に実質的に添加されていないことを条件とする本方法に関する。本発明はまた、血小板組成物が病変の内部及び周囲に低侵襲的に導入される本方法にも関する。本発明はまた、血小板組成物が多血小板血漿を含む本方法にも関する。本発明はまた、血小板組成物を病変の内部及び周囲に低侵襲的に導入するのとほぼ同時に、その中に、トロンビン、エピネフリン、コラーゲン、カルシウム塩及びpH調整剤より選択される成分の1つ以上を混入することをさらに含む本方法にも関する。同じく有用なものには、脱顆粒化を促進する又は血小板を保存する物質、付加的な増殖因子又は増殖因子阻害剤、NSAIDS等の低分子調合薬、ステロイド類及び抗感染剤がある。本発明はまた、患者の結合組織が、腱、靱帯、関節包及び筋膜組織より選択される本方法にも関する。上記組織は腱であることがより好ましい。本発明はまた、病変の内部及び周囲への血小板組成物の導入が、患者の結合組織中に存在するコラーゲンの作用によって血小板組成物中の血小板を活性化することを含む本方法にも関する。本発明はまた、血小板組成物が生理的pH又はそれを上回るpHにある本方法にも関する。本発明はまた、血小板組成物が患者から得られた血小板を含む本方法にも関する。
さらに別の一態様において、本発明は、血小板放出物を含む組成物であって、生理的pHと等しいかそれを上回るpHにあり、且つ活性化されていない血小板を実質的に含まない組成物に関する。
さらなる一態様において、本発明は、膝若しくは肘の内側側副靱帯、短橈側手根伸筋腱、足首の前距腓靱帯、アキレス腱、後脛骨腱、膝蓋腱、四頭筋腱、前十字靱帯、後十字靱帯、脊柱靱帯、椎間板、回旋筋腱板腱又は二頭筋腱の急性損傷又は慢性障害に起因する病変を治療する方法であって、血小板組成物を入手し、病変の位置を特定し、そして血小板組成物を病変の内部及び周囲に導入することを含み、病変の内部及び周囲への導入前には血小板組成物に活性化物質が実質的に添加されていないことを条件とする本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が病変の内部及び周囲に低侵襲的に導入される本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が多血小板血漿を含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物を病変の内部及び周囲に低侵襲的に導入するのとほぼ同時に、その中に、トロンビン、エピネフリン、コラーゲン、カルシウム塩及びpH調整剤より選択される成分の1つ以上を混入することをさらに含む本方法に関する。同じく有用なものには、脱顆粒化を促進する又は血小板を保存する物質、付加的な増殖因子又は増殖因子阻害剤、NSAIDS等の低分子調合薬、ステロイド類及び抗
感染剤がある。一態様において、本発明は、血小板組成物を入手することが、ヒト又はヒト以外の動物から血液を採血し、血液を遠心して多血漿画分を得ることを含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が生理的pH又はそれを上回るpHにある本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が患者から得られた血小板を含む本方法にも関する。
さらなる一態様において、本発明は、心筋、骨格筋、臓器系、血管組織、椎間板、椎体、脊髄及び脳組織の損傷又は慢性障害に起因する病変を治療する方法であって、血小板組成物を入手し、治療を必要とする病変を特定し、そして血小板組成物を病変の内部及び周囲に低侵襲的に導入すること、を含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が血小板放出物を選択的に含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物中に、トロンビン、エピネフリン、コラーゲン、カルシウム塩及びpH調整剤より選択される成分の1つ以上を混入することをさらに含む本方法に関する。同じく有用なものには、脱顆粒化を促進する又は血小板を保存する物質、付加的な増殖因子又は増殖因子阻害剤、NSAIDS等の低分子調合薬、ステロイド類及び抗感染剤がある。一態様において、本発明は、血小板組成物を入手することが、ヒト又はヒト以外の動物から血液を採血し、血液を遠心して多血漿画分を得ることを含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が生理的pH又はそれを上回るpHにある本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が患者から得られた血小板を含む本方法に関する。
一態様において、本発明は、患者の結合組織が腱、靱帯、関節包及び筋膜組織より選択される本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物を入手することが、ヒト又はヒト以外の動物から血液を採血し、血液を遠心して多血漿画分を得ることを含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が多血小板血漿を含む本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が、患者の傷害又は損傷した組織における不完全修復領域の内部及び周囲への導入前には外因性活性化物質を実質的に含まないことを条件とする本方法に関する。一態様において、本発明は、血小板組成物が患者から得られた血小板を含む本方法に関する。
「PRP」という用語は、多血小板血漿と同義語であり、本明細書中で用いる場合、通常の意味で用いられる広義の用語であり、ヒト又はヒト以外の動物に対する投与に好適な血漿又は他の賦形剤の溶液(等張の塩化ナトリウム溶液、生理食塩水、通常の食塩水、水に溶けた5%デキストロース、水に溶けた10%デキストロース、リンガー溶液、乳酸加リンガー溶液、乳酸リンガー、乳酸リンガー溶液等が挙げられるが、これらに限定されない。)に懸濁された末梢血液濃度よりも高い濃度の血小板として、この投与を目的とするためにさらに定義づけられる。通常、本明細書中で定義される場合、PRP中の血小板の数は、500,000〜1,200,000/mmの範囲又はそれ以上である。本明細書中で定義される場合、PRPは不活性化血小板、活性化血小板若しくは血小板放出物(複数可)等、又はこれらのいずれの組み合わせを含む。PRPは全血由来の濃縮血小板から形成され、自己性の、同種性の又はプールされた血小板源及び/又は血漿源を用いて得られ得る。PRPはヒト源を含む多様な動物源から形成され得る。好ましい実施形態において、本発明によるPRPは生理的pHに緩衝化される。
血小板は骨髄巨核球の細胞質部分である。血小板は複製のための核を有さず、血小板の予想寿命はおよそ5〜9日である。血小板は止血過程に関与し、凝固カスケードの開始物質を数種類放出する。血小板は創傷治癒の開始に関与するサイトカインも放出する。サイトカインは血小板内のアルファ顆粒に貯蔵されている。血小板同士の凝集又は血小板と結合組織との接触(これは損傷又は外科手術の際に予想される)に応答して、血小板の細胞膜は「活性化」されてアルファ顆粒の内容物を放出する。アルファ顆粒は能動分泌によっ
て血小板細胞膜を介してサイトカインを放出するが、その際にヒストン及び糖質側鎖がタンパク質骨格に付加されて完全なサイトカインが形成される。このため、血小板の破壊又は断片化によっては完全なサイトカインは放出されない。
多岐にわたるサイトカインが、活性化された血小板によって放出される。血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)、血小板由来血管新生因子(PDAF)及び血小板由来内皮細胞増殖因子(PD−ECGF)並びにインスリン様増殖因子(IGF)は、 脱顆粒化を来した血小板によって放出されるサイトカインの一部である。これらのサイトカインは、損傷部位での細胞分裂を刺激し、血管新生/再血管新生を促進する一助となることを含め、治癒過程においてさまざまな機能を果たす。これらはまた、特に間葉細胞、単球及び線維芽細胞に対する強力な走化性因子としても作用する。本特許の目的に関して、「放出物」という用語は、別の細胞の機能に影響を及ぼす能力がある、サイトカインを含む、血小板内部の内容物のことを指す。
歴史的には、Knightonの米国特許第5,165,938号及びGordinier他の第5,599,558号(これらはその全体が参照により本明細書中に援用される)に開示されているように、PRPはトロンビン及びカルシウムを用いたPRPの活性化によってフィブリン性組織接着剤を作製するために用いられてきた。活性化によって種々のサイトカインが放出されるとともに、血漿画分のさまざまな構成要素の内部での血液凝固反応も引き起こされる。血液凝固反応によって急速に血小板ゲル(PG)が形成されるが、これは止血、封止及び接着を目的として種々の創傷表面に適用することができる。
例えば、PGは脊椎手術時及びラット肝裂傷モデルにおける止血補助のために用いられている。最近のある研究では、PGの使用により、術後の麻薬使用の有意な減少、術後ヘモグロビン濃度の低下の緩和、及び膝関節全置換術後の機能的可動域のより急速な回復が得られたことが示されている。PGは創傷の封止にも用いられている。ある研究では、自己由来のPGを開頭術のためのシーラントとして用い、患者40例のうち39例で成功したことを報告している。さらにPGが骨治癒を強化することも指摘されている。患者88例のうち、ある前向き無作為化対照試験(controlled randomized prospective trial)では、PGを用いた場合にX線検査での骨成熟が2倍に増加し、組織学的な骨密度が50%改善することが判明した(Marx他、Oral Surg. Oral Med. Oral Path. 1998, vol. 85(6): 638-646)。心臓手術及び血管手術では、PGは術後の創傷裂開及び感染の発生率を低下させるために用いられている(Kjaergardet al.、Eur J Cardio-Thoracic Surg. 1996,
vol 10: 727-733;Slateret al.、J Ortho Res. 1995, vol 13: 655-663;Sumneret al.、J. Bone Joint Surg.(Am) 1995, vol 77: 1135-1147;Sethiet al.、Presented at International Society for the Study of Lumbar Spine, June 2001)。
しかしながら、以上の用途及び刊行された文献のうち、患者に対する血小板輸血以外の目的で、PGの範囲を超えてPRPを外科的に用い得ることを開示したものはこれまでない。本発明の他にない特徴は、本発明の実施に際して、患者への導入前に血小板を活性化する必要がないことである。
別の一実施形態において、本発明の血小板組成物は、血小板自体に加えて、血小板からの放出物を含み得る。放出物は、活性化の際に血小板の脱顆粒化によって放出される種々のサイトカインを含む。血小板の活性化物質は数多く存在し、これらには、カルシウムイオン、トロンビン、コラーゲン、エピネフリン及びアデノシン二リン酸があげられる。本発明による放出物は、Knightonに対する米国特許第5,165,938号及びGordinier他の第5,599,558号に記載された方法を含む、従来の方法に従って調製され得る。
PRPをPGとして用いる従来の放出物に関する手法の1つの欠点は、トロンビンを好ましい活性化物質として用いることにある。特に、PGに用いられるトロンビンの多くはウシトロンビンであり、これはクロイツフェルト・ヤコブ病に関する汚染の問題のために、トラブルを引き起こす恐れがある。多くのウシ材料はプリオン汚染の恐れがあると考えられており、このためウシトロンビンの使用は手術で避けられている。ヒトのプールトロンビン(pooled thrombin)も同じようにウイルス、プリオン、細菌等の種々の物質による汚染の恐れがあるために避けられている。組換えヒトトロンビンを用いることもあり得るが、これは非常に高価である。
外因性又は補足的な活性化物質を患者に投与する必要がないことは、本発明の特別な利点である。結合組織の主成分であるコラーゲンは、血小板の強力な活性化物質である。このため、本発明の血小板組成物を結合組織の内部及び/又は周囲に導入すると、血小板組成物中の血小板がコラーゲンと結合して活性化され得る。このため、トロンビン等の外因性活性化物質を投与する必要性は軽減又は解消される。トロンビンを用いることの欠点については上に述べた。カルシウムイオン等のその他の強力な活性化物質は、激しい疼痛、意図しない血液凝固及びその他の望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。このため、本発明の一実施形態において、外因性活性化物質は全く又はほぼ全く、本発明の血小板組成物の一部として存在又は添加されないか、本発明の血小板組成物の調製に用いられない。当然ながら、医師が医学的に必要又は望ましいと判断すれば、外因性活性化物質を用いることは依然として可能である。
血小板組成物は、全血又は血小板を含む血液画分から血小板を単離するための従来の任意の方法を用いて調製され得る。これらには、遠心法、濾過、アフィニティーカラム等が含まれる。血小板組成物がPRPを含む場合には、米国特許第5,585,007号及び第5,788,662号(いずれもAntanavich他。これらはその全体が参照により本明細書中に援用される)に開示されているような、PRPを入手するための従来の方法を用いてもよい。
多血小板血漿組成物を、注射器又はカテーテルを用いる注射を含む従来の手段により、それを必要とする個体に対して送達させることができる。多血小板血漿組成物を、皮膚パッチ、噴霧装置により、又は軟膏、骨移植片若しくは薬物と組み合わせて送達することもできる。さらに、これを縫合糸、ステント、ネジ、プレート又は他の何らかの埋め込み型医療装置に対する被覆物として用いることもできる。また、これを生体吸収性の薬物又は装置と組み合わせて用いることもできる。
多血小板血漿組成物の送達部位は、組織損傷及び/又は傷害の部位又はその近傍である。組織損傷又は傷害の部位は、画像検査、患者からのフィードバック、又はそれらの組み合わせを含む、十分に確立された方法によって特定される。用いられる好ましい画像検査は組織の種類によって決まる。一般に用いられる画像検査方法には、MRI、X線、CTスキャン、ポジトロン断層撮影法(PET)、単光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、電気インピーダンス法(EIT)、エレクトリカルソースイメージング法(Electrical Source Imaging, ESI)、磁気源イメージ投射法(MSI)、レーザー光画像化及び超音波技術が含まれるが、これらに限定されない。特定の疼痛及び/又は不快な領域を示すことにより、患者が組織損傷又は傷害の部位の特定を助けることもできる。
血小板組成物のpHの調整は、Koerner, Jr.の米国特許第5,147,776号及びMurphyに対する第5,474,891号(これらは参照により本明細書中に援用される)に開示されているように、活性化されていない血小板の貯蔵期間を延長させるために用いられている。pHをさまざまなpH調整剤を用いて調整することもでき、これらは生理的に認容される緩衝剤であることが好ましいが、貯蔵血小板による乳酸産生を調節する物質を
含め、pHを調節する他の物質も含まれ得る。特に有用なのは、血小板組成物のpHを生理的pHと等しいかそれを上回るpHにさせるようなpH調整剤である。一実施形態において、pH調整剤は重炭酸ナトリウムを含む。本発明の目的に関して、生理的pHは約6.5〜8、より好ましくは7.3〜7.5、さらにより好ましくは約7.35〜約7.45の範囲のpHと定義することができる。本発明の実施において有用なpH調整剤には、重炭酸緩衝液(重炭酸ナトリウム等)、グルコン酸カルシウム、塩化コリン、デキストロース(d−グルコース)、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、第一リン酸塩、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、マレイン酸、4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、1,4−ピペラジンビス(エタンスルホン酸)(PIPES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS塩基)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸(TRIS・HCl)及び尿素が挙げられる。好ましい一実施形態において、pH調整剤は重炭酸緩衝液であり、より好ましくは重炭酸ナトリウムである。
本特許の目的に関して、「組織」という用語には、心筋及び骨格筋、椎間板、椎体、内臓、脳及び脊髄組織、動脈及び静脈等の血管組織、並びに非分化組織が挙げられるが、これらに限定されない。
本特許の目的に関して、結合組織には腱、靱帯、筋膜組織及び関節包が含まれる。好ましい一実施形態において、結合組織には、膝又は肘の内側側副靱帯、短橈側手根屈筋腱(テニス肘)、足首の前距腓靱帯、アキレス腱、前十字靱帯、後十字靱帯、後脛骨腱、膝蓋腱、四頭筋腱、回旋筋腱板腱、足底筋膜及び二頭筋腱が含まれる。
不完全修復とは、本特許出願の文脈で用いる場合、まとまりのない、事実上修復されていないに等しい(治癒していない断裂の場合等)又は別の点で病的な修復のことを意味すると定義することができる。まとまりのない修復とは、変性、未熟性及び無血管性の組織を伴った、無秩序な血管線維芽細胞性形成異常を特徴とする。このような組織は正常結合組織よりも弱く、通常の機能を果たすには強度が不足している。また、この組織は、痛みを引き起こすとともに患者の生活の質に有害な影響を及ぼすことにより、患者を制約させもする。事実上修復されていないに等しい修復(non-existent repair)は、結合組織が断裂し、断裂後に適切な治癒が起こらない状況で生じると考えられる。別の点で病的な修復とは、組織修復が必要になる以前と実質的に同じ組織となるほどには組織が修復していない、他のあらゆる種類の修復であると考えられる。
本発明の好ましい実施形態は、組織損傷の治療のためのキットを目的とする。好ましい実施形態において、上記組織損傷は腱炎症又は腱炎である。上記腱炎は外側上顆炎(テニス肘)、足底筋膜炎又は回旋筋腱板腱炎であることが好ましい。上記キットは、血液を採血するための構成、遠心でその血液を分画するための管及び腱炎の治療用の管から得られるPRPを投与するための構成を含む。本発明によるキットの好ましい一実施形態は図1に示される。
上記キット及びキット構成は、有効期限のある滅菌状態で提供されることが好ましい。好ましい実施形態において、上記キットは最小用量25kGyのγ放射にさらすことによるか又は酸化エチレンガスにより滅菌される。
上記キットは、治療が必要な個体への多血小板血漿の調製用及びPRPの投与用の物質を包含する。好ましい実施形態において、上記キットはpH調整剤を含み、重炭酸ナトリウム溶液であることが好ましい[30]。上記pHは約7.4に調整されることが好ましい。本明細書中で用いる場合、「自己由来の血小板抽出物(APEX)」という用語は、
生理的pHに調整されたpHを有するPRPを指す。必要に応じて、上記キットは、APEXの投与後、損傷のさらなる治療のために、エキササイズプロトコル及び理学療法補助用具、例えばレジスタンスバンド(例えばThera−Band(登録商標)、エキササイズボール等)をも包含し得る(示さず)。注射器及び止血帯がPRPの調製のために血液を採血するのに提供される[10、26]。当業者は、特異的な損傷の治療のために採血する血液の量を決めることが可能である。一般に、20〜150ccの血液が採血され、27〜110ccがより好ましい。好ましい一実施形態において、27cc〜55ccの血液が採血され、1〜6ccのPRPに再懸濁される血小板を提供する。しかしながら、より多量又はより少量の血液又は血漿を出発材料として用い、比例してより多量又はより少量のPRPを提供してもよい(表1下参照)。また、上記血液又は血漿は1種類を超える源からプールされ得る。好ましい実施形態において、多血小板血漿(PRP)は患者自身の血液から単離される。代替的な実施形態において、上記源は、同種性の又はプールされた血小板及び/又は血漿源であり得る。
好ましい実施形態において、上記キットはまた、クエン酸デキストロース溶液等の抗凝固剤を含む[24]。キット中の抗凝固剤の量は、キットにより治療される損傷のタイプに依って採血される血液の量に依存する。当業者には、所定試料の大きさに対してどのくらいのクエン酸デキストロースを加えれば、血液凝固を阻止するかが分かるであろう。通常、55ccの血液試料に対して、5ccのクエン酸デキストロース溶液が抗凝固用に加えられる。以下の表1を参照。
Figure 2006232834
好ましい実施形態において、PRPのpHは生理的pHに調整され、上記キットはpH調整剤を含む。該pH調整剤は、PRPを生理的pHに調整することができる、生体適合性緩衝液、例えばHEPES、TRIS、第一リン酸塩、第一重炭酸塩又は上記した任意の緩衝液であることが好ましい。好ましい実施形態において、上記pHは6.5〜8.0間に調整される。最も好ましい一実施形態において、上記キットは、PRPのpHを約7.4に調整するための重炭酸ナトリウム溶液(1mEq/ml(84mg/mL))入りのバイアルを備える[30]。最も好ましい実施形態において、多血小板血漿(PRP)は、患者自身の血液から単離され、約pH7.4に緩衝化される。この緩衝化されたPRPを本明細書中で自己血小板抽出物(APEX)と称する場合がある。
上記キットは局所麻酔薬、例えばアンベソル、ベンゾカイン、リドカイン、プロカイン、ブピバカイン又は当該技術分野で既知の任意の適切な麻酔薬を含むことが好ましい。好ましい実施形態において、上記麻酔薬はブピバカインHClである[32]。好ましい実施形態において、上記ブピバカインHClの濃度は0.1〜1%であり、約0.5%であることが好ましい。幾つかの好ましい実施形態において、上記麻酔薬はエピネフリンを含む。エピネフリンは1:100,000〜1:300,000の比であることを包含する。好ましくは、エピネフリンは約1:200,000の濃度であることを包含する。
上記キットは、自己PRPの調製、並びに麻酔薬及びAPEX組成物の投与を目的に患者から血液を採血するための適切な大きさの注射器を備えることが好ましい。テニス肘の治療に適した本発明の好ましい一実施形態に有用な注射器は、以下の表2に提供される[10、12、22、34、36]。
加えて、上記キットは、イオジン(ベタジン)等のAPEXの投与前に皮膚を処置するための滅菌溶液を含んでも良い。好ましい実施形態において、上記キットに3つのベタジン綿棒が含まれる[42]。また、上記キットは、血液採血又は患者へのAPEXの注射により引き起こされるいずれの出血を止めるための包帯類、例えばガーゼのパット及び/又は絆創膏(複数可)を含む[16、44]。
好ましくは、上記キットは、処置取り扱い説明シート、並びに患者のためのストレッチ及び/又は強化エキササイズを含む及びエキササイズシートを含む。適切な強化エキササイズを促すための幾つかの実施形態において、理学療法補助用具、例えば治療用レジスタンスバンド、例えばThera−Band(登録商標)強化チュービングが、上記キットに包含される。テニス肘の治療には、通常、中程度の強さの治療用レジスタンスバンド(medium strength resistance therapy band)が包含される。
好ましい実施形態において、上記キットは、血小板を濃縮するための遠心分離装置に配置するために適した使い捨て分離管を含む[48、50]。このような分離管の一例としては、Cell Factor Technologies, Inc.社(Biomet, Inc.の完全子会社)のGPS(登録商標)II及びGPS(登録商標)ミニ使い捨て分離管がある。
また、必要に応じて、上記キットは血小板を濃縮するための遠心機を含む。血小板の単離は、血小板と赤血球細胞との密度差に依って分離される。血小板及び白血球は、血小板を除去した血漿(上層)及び赤血球(下層)間の層に濃縮される。GPS(登録商標)II又はGPS(登録商標)ミニ血小板濃縮システムでは、底部浮標及び上部浮標を用いて、上相及び下相間の多血小板層をトラップする。次に、この多血小板層を注射器又はピペットを用いて取り出すことが可能となる。一般に、血液試料内の少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%の利用可能な血小板が捕獲される。これらの血小板は、試料容量のうち3〜20%、より好ましくは5〜10%容量に再懸濁される。
上記のキットの好ましい一実施形態は、上記キットの好ましい一実施形態に関する可能な包装を示す図1を参照にして以下の表2に提供される。
Figure 2006232834
好ましい実施形態において、上記キットは以下の方法で用いられる。PRPは自己由来源若しくは同種源のいずれか、又はプールされた血小板源及び/又は血漿源から調製される。好ましくは、自己由来源が用いられ、血液は、処置に関与しない体の一部、例えば関与しない腕から採血される。通常、約55ccの血液が抗凝固剤の5ccのクエン酸デキストロース溶液入り60cc容注射器[10]内に採血される[24]。好ましい実施形態において、5ccの抗凝固剤は、アフェレーシス針に接着された60cc容注射器[10]内に採血され、抗凝固剤[24]で初回刺激される。血液(27cc〜55cc)は標準的な無菌操作で患者から採血される。
好ましい実施形態において、次に、血液は、メーカーの取扱説明書に従って、Cell
Factor Technologies GPS Sysyem(登録商標)(又は同様のシステム)を用いて遠心される。通常、55ccの血液及び5ccのクエン酸デキストロースを含有する、血液で満たされた注射器は、GPS遠心機上の開口部に装填される使い捨て分離管[48、50]にゆっくりと移される。試料は蓋をされ、遠心機に配置される。遠心は、遠心機の反対側に配置される60ccの生理食塩水で釣り合わされる。あるいは、2つの試料が調製される際には、2本のGPS使い捨て管に同量の血液及びACD−A[24]が充填される。試料は遠心され、血液及び血漿から血小板が分離される。通常、試料は約2,000〜5,000rpmで5分〜30分間遠心される。好ましい
一実施形態において、遠心は3,200rpmで15分間行われる。単離血小板は撹拌により3〜5ccの血小板に懸濁される。次に、PRPは10cc容注射器[12]を用いて横開口部から抽出される。55ccの血液で開始される場合、通常約5ccの多血小板血漿が得られる。
次に、PRPはキット付属の緩衝剤[30]を用いて緩衝化され、好ましくは各1ccのPRPに対して8.4%の重炭酸ナトリウム、0.05ccの8.4%の重炭酸ナトリウムが添加される。例えば、5ccのPRPが得られる場合、0.25ccの重炭酸ナトリウムが添加され、所望のpHおよそ7.4が生じるであろう。以下の表3に、適切な量の8.4%重炭酸ナトリウムを提供する。注射器は穏やかに振盪され、PRP及び重炭酸塩が混合され、APEXが形成される。
Figure 2006232834
テニス肘の治療では、腱注射の準備のため、患者は背臥位に置かれる。皮膚はキット付属のイオジン綿棒[42]で無菌的に用意される。キット付属のブピバカインHCl[32]等の麻酔薬を用いて、必要に応じてエピネフリンと共に、麻痺注射液が投与される。通常、約2〜3ccの0.5%ビプバカインHCl及びエピネフリンを、キット付属の25g針[38]を用いて、通常の伸筋腱基点に及ぶ皮膚及び真皮の表皮から注射する。ごく一部が腱内に注射されることが好ましい。短期間で麻痺注射効果を得ることが可能であり、通常1〜5分、好ましくは約2分である。
PRPは治療領域に投与される。キット付属の22g針[40]を用いて1〜5cc、好ましくは2〜3ccの緩衝化されたPRPが、短橈側手根伸筋腱及び周囲の領域内に注射される。幾つかの実施形態において、少量のブピバカイン及び/又はエピネフリンを、注射前にPRP入り注射器に入れることも可能である。単回皮膚注射を、腱に複数回貫通させて使用されることが好ましい(ペパーリング技法)。テニス肘の治療に好ましい投与において、2箇所の貫通を外側上顆炎で行い、5箇所の貫通を腱で行う。
注射に続いて、注射を受けた個体は、テニス肘の治療のために、適切な時間間隔、好ましくは約10〜30分間、より好ましくは約15〜30分間、最も好ましくは約15〜20分間、肘が支えられた状態で背臥位に保たされる。その後、通常、患者は一晩使用するためのバイコディン(商標)等の疼痛制御薬物を所持して家に帰される。タイレノール(登録商標)は代替的な好ましい疼痛制御薬物である。寒冷療法/氷冷も利用され得る。非ステロイド系抗炎症剤の処方は手術後には薦められない。
患者は次に、幾つかの実施形態で提供されたキットの取り扱い説明シート及び幾つかの実施形態で提供されたキットのエクササイズバンド[46]を用いて、家でのエキササイズプログラムを始めることが好ましい。エキササイズはまた、http://www.emedx.comでも見られる。テニス肘に関しては、通常ストレッチエキササイズは注射後12〜48時間、
好ましくは注射後約24時間で開始される。ストレッチプログラムは、好ましくは注射後1〜3週間、好ましくは注射後約2週間で開始される。当業者には、エキササイズプログラムにおいて、どのように個体にアドバイスしたらいいか分かるであろう。エキササイズプログラムの性質及び注射とプログラムの開始との時間間隔は、治療する損傷の性質及び重症度に依存するであろう。
治療する特定の損傷による改変は当該技術分野内である。例えば、上記処置は、足底筋膜炎の治療に容易に適応できる。しかしながら、足底筋膜炎の場合、治療後最大1週間の期間、好ましくは治療後約2日は、ギブス又はブレスで治療された足を固定するこが好ましい。その後、患者は、容認された場合に、活動を付加してもよく、適切なストレッチ及び/又は強化エキササイズが開始される。
本発明の精神又は範囲を逸脱しない限り、様々な変更及び変形が本発明になされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内である限り、本発明の変更及び変形を含むことが意図される。記載された方法及びキットは多様な損傷治療に広く応用できると確信するが、この確信は、本明細書中で記載されるキット及び/又は方法の承認適応症外使用の承認として解釈されるものではない。以下の実施例は本発明を例示するためのものであり、制限を意図するものではない。
PRPを、Harvest(Plymouth, MA)により製造された遠心ユニットを用いて調製した(同様のユニットが、Cell Factor TechnologiesGPSシステム、Depuy Symphony machine及びMedtronic Magellan machineとして入手可能である)。およそ55ccの血液を標準的な滅菌注射器を用いて患者から採血し、抗凝固のために5ccのクエン酸デキストロース溶液を配合した後に、メーカーのプロトコルに従って、スピンダウンして血小板を単離した。続いて、これらの血小板をおよそ3ccの血漿中に再懸濁させた。その結果得られた多血小板血漿溶液(PRP)は酸性度がかなり高かったため、PRP1cc当たりおよそ0.05ccの8.4%重炭酸ナトリウム緩衝液を用いて滅菌条件下で中和し、ほぼ生理的なpH7.4とした。PRPを外因性活性化物質の添加によって活性化することはしなかった。このPRP組成物を本明細書中では自己由来の血小板抽出物(APEX)と称する。
全血50ccを患者から採血した後、Knightonの方法(米国特許第5,165,938号、コラム3)に従って調製する。PRPを、Knightonに従って組換えヒトトロンビンを用いて活性化する。脱顆粒化した血小板をスピンダウンさせ、放出物を含む上清を回収する。選択的には、重炭酸ナトリウム緩衝液を用いて放出物のpHをpH7.4に調整してもよい。
全血30mlを患者から採血した。血小板組成物を、アルギン酸塩を血小板組成物に添加しない点を除き、Cochrumの米国特許第5,510,102号(これはその全体が参照により本明細書中に援用される)の実施例1に従って調製した。
本明細書中に記載のPRP組成物の効果に関する試験を、外側上顆炎(テニス肘)を呈しており、非手術的治療(抗炎症薬療法、ブレスを付けた状態での安静及び理学療法)が奏功しなかった患者を対象として行った。視覚的疼痛スコア、メイヨー肘スコア(Mayo Elbow Score)及び握力を求めて、患者を評価した。視覚的アナログスコア(Visual Analo
g Score)では、ゼロが「痛みなし」であり、100が「最も痛みがある」とした。メイヨー肘スコアとは、より高いスコアでより良い総体的機能を示す、総体的機能スコアである。2つのスコア値を、有意性がp<0.05になるように設定して対応のある試料T検定によって統計学的に評価した。
以下の指標により試験のために個体を選択した。全ての試験参加者は、3ヶ月を越える症状に罹っており、非手術的治療、例えば標準的な理学療法プロトコル、NSAID、ブレイシング及びコルチゾン注射(複数可)が奏功しなかった。全ての試験参加者は、メイヨー肘スコアでフェア(fair)かプア(poor)かを採点した(疼痛、ROM、強度、ADL)。全ての試験参加者は、視覚的アナログスコアで60/100以上の痛みがあり、他の全身的及び局所的問題、例えばCTS、肩の衝撃、RA、神経根障害はなかった。逐次140例の患者を評価し、そのうち20例(15%)が厳密な試験対象患者基準を満たしていた。
インフォームドコンセントを得た後、患者を正式に試験へ加え、無作為にAPEX治療群及び対照のどちらかに割り当てた。第1群はPRPで治療した患者(N=15)を含む。第2群はブピバカインで治療した患者(N=5)を含む。
続いて各患者に対して、本発明の腱処置を行う30分前にバリウム(商標)5mgを経口投与した。次に患者の準備及びドレープかけを無菌的な様式で行った。エピネフリンを含む0.5%のブピバカインによる局所麻酔薬を皮膚、皮下構造及び短橈側手根伸筋腱に浸透させた。局所麻酔薬が肘関節の外側で維持されるように注意した。
局所麻酔薬の投与から2〜3分後に、実施例1のAPEX組成物およそ3〜5ccを、22ゲージ針を用いて肘の短橈側手根伸筋腱に導入した。対照群は麻痺薬(ブピバカイン)を導入する。最初の場所からおよそ0.5〜1cmのところに多数回の穿刺を行った。実施例1のAPEX組成物又は麻酔薬のいずれかを低侵襲的に導入した直後に、患者の腕を約90%屈曲位に固定し、腕及び手を挙上しないようにした。続いて術野を無菌的に被覆し、患者に腕を30分間動かさないように依頼した。注射直後及び処置終了から30分後に、各患者の神経血管、疼痛及び機能状態を評価した。試験した患者はNSAIDもその他の治療も受けなかった。患者に、処置後2〜3日で標準化されたストレッチ及び強化プログラムに従うとともに、4週間で容認された場合に正常な活動に戻るように指示した。視覚的疼痛スコア、メイヨー肘スコア及び握力のすべてを処置後にモニターした。
4週間及び8週間での視覚的アナログ疼痛スコアに関して結果を図2に示す。図2で、対照で17%の改善に比べて、APEX治療群では46%の改善を示す。8週間では、対照群で16%だけの改善に比べて、APEX治療群では60%の有意な改善となった。
メイヨー肘スコアを図3に示す。図3で、4週間では、対照で20%の改善に比べて、APEX治療群では42%の改善を示す。8週間では、APEX治療群は改善が52%増加したが、対照群では14%だけの改善であった。8週間後、60%の対照患者がプロトコル外の治療を求めたか、又は試験から正式に離脱した。
対照で見られた改善は、薬物の送達をせずに痛みのある領域に針(注射液を用いない針)を挿入するといった視覚的な事象に起因した可能性があり、疼痛症状をいくらか緩和させたことに繋がったのであろう。しかし、肘の機能及び疼痛レベルは極めて大きく改善していることから、本発明の一態様であるAPEX治療の効果を実証していると言える。
APEX治療を受けた患者を、6ヶ月目に再度評価した。図4に、PRP治療患者の平均疼痛スコアを示す。6ヶ月で、視覚的アナログ疼痛スコアが81%改善した。図5には
、同様の劇的な改善がメイヨー肘スコアで見られ、72%の改善であった。6ヶ月で、87%のAPEX患者が、メイヨー肘スコアで良好又は優れた部類にいた。全ての個体は、当初はフェアかプアのいずれかであった。
また、APEXは、アキレス腱修復、膝蓋腱修復、四頭筋腱修復及び三頭筋腱修復を含む幾つかの腱外科手術を増補する目的で使用され、同様に良好な結果を示している(データ示さず)。
患者は足底筋膜炎を呈する。全血の30〜60ccを末梢静脈から採血した。APEXを実施例1で記載したように調製する。つまり、多血小板血漿を、Cell Factor Technologies GPS(商標)機器(又は任意の他の市販機器)を用いて遠心により血液から加工し、メーカーのプロトコルに従って血液を加工した。PRPを8.4%の重炭酸ナトリウムを用いて生理的pHに緩衝化し、APEXを得る。
最も脆い部分及び病理部は、臨床検査又は画像ガイダンス(超音波、MRI、CT)により特定される。その領域を皮膚消毒剤で準備する。局所領域区にマーカイン(登録商標)を投与する。
APEXを小ゲージ針を用いて足底筋膜の病理部の内部及び周囲に注射する。その領域を無菌的に被覆する。患者は2日間治療部に体重をかけることを避けるように指示される。ストレッチプロトコルを48時間目に開始する。
アキレス腱炎を呈する患者に対して、本発明の腱処置を行う30分前にバリウム(商標)5mgを経口投与する。次に、患者の準備及びドレープかけを無菌的な様式で行う。エピネフリンを含む0.5%ブピバカインによる局所麻酔を皮膚、皮下構造及びアキレス腱に浸透させる。局所麻酔薬が足首関節の外側で維持されるように注意する。
局所麻酔薬の投与から2〜3分後に、実施例1のAPEX組成物およそ3〜5ccを、足首のすぐ上のアキレス腱に22ゲージ針を用いて導入する。この挿入部からおよそ0.5〜1cmのところに多数回の穿刺を行う。実施例1の血小板組成物を低侵襲的に導入した直後に、患者の下肢及び足先を固定し、下肢を挙上しないようにする。続いて術野を無菌的に被覆し、患者に下肢を30分間動かさないように依頼する。注射直後及び処置終了から30分後に、各患者の神経血管、疼痛及び機能状態を評価する。処置から最初の24〜48時間は、必要に応じて患者に経口鎮痛麻酔薬を処方する。アキレス腱は処置から1週間は固定したままにし、その後形式に則った術後のストレッチ及び強化のプログラムを処置から8〜10日目に開始する。
肘の内側側副靱帯断裂を呈する患者に対して、本発明の腱処置を行う30分前にバリウム(商標)5mgを経口投与する。次に、患者の準備及びドレープかけを無菌的な様式で行う。エピネフリンを含む0.5%ブピバカインによる局所麻酔を皮膚、皮下構造及び肘の内側側副靱帯に浸透させる。局所麻酔薬が肘関節の外側で維持されるように注意する。
局所麻酔薬の投与から2〜3分後に、実施例1のAPEX組成物およそ3〜5ccを、肘の内側側副靱帯に22ゲージ針を用いて導入する。最初の場所から約0.5〜1cmのところに多数回の穿刺を行う。実施例1の血小板組成物を低侵襲的に導入した直後に、患者の肘及び腕を約90%屈曲位に固定し、腕及び手を挙上しないようにする。続いて術野を無菌的に被覆し、患者に腕を30分間動かさないように依頼する。注射直後及び処置終了
から30分後に、患者の神経血管、疼痛及び機能状態を評価する。処置から最初の24〜48時間は、必要に応じて患者に経口鎮痛麻酔薬を処方する。必要に応じ、形式に則った術後のストレッチ及び強化のプログラムは処置から2〜3日目に開始してよい。
心筋
患者は急性の心筋機能不全(すなわち心発作)又は慢性の心筋機能不全(すなわち、うっ血性心不全)を呈している。APEX組成物を実施例1の通りに調製する。抽出物1cc当たり約0.05ccの8.4%重炭酸ナトリウム緩衝液を用いて、pHを7.4又はそれよりも幾分高いpHにする。抽出物を外因性活性化物質(複数可)の添加によって活性化することはしない。
続いて、APEXを心筋機能不全部位にカテーテルを介して導入する。また、APEXをステント等の埋め込み型器具と組み合わせてもよい。
骨格筋
患者は骨格筋の筋力低下又は萎縮を呈している。これは損傷又は手術処置による結果である可能性がある。実施例1の技法を用いて、自己由来の血小板抽出物(APEX)を入手し、生理的pHに緩衝剤で処理して緩衝化する。
筋力低下又は萎縮の領域を特定し、エピネフリンを含む0.5%ブピバカインを局所麻酔薬として用いた後に、APEXを筋肉内に22ゲージ針を用いて導入する。これを単回行うこともでき、多数回注射を行うこともできる。術後に、患者に対して部位特異的なストレッチ及び強化のプロトコルを開始する。
椎間板/椎体
患者は腰痛を呈しており、MRIスキャンでは隆起性又はブラックディスク(Black discs)が認められる。実施例1の技法を用いて、自己由来の血小板抽出物(APEX)を入手し、緩衝剤で処理して生理的pHにする。
問題のある椎間板をX線ガイダンスによって特定した上で、APEXを小口径カテーテルを介して椎間腔に導入する。この処置は単独で行うこともでき、加熱/高周波アブレーション処置と組み合わせることもできる。また、圧迫骨折を来した椎体にAPEXを注入することもでき、その際には注射前にバルーンを用いても用いなくともよい。
膵臓/任意の内臓
患者は糖尿病及びインスリン産生能の低下を呈している。実施例1の技法を用いて、自己由来の血小板抽出物(APEX)を入手し、緩衝剤で処理して生理的pHにする。
CTガイダンス下及び意識鎮静下で、APEXを小口径カテーテルを介して膵臓内に導入する。続いて、これらの細胞の修復を刺激し、それによってインスリン産生を回復させるためにAPEXを島細胞に注入する。
脳/脊髄
患者は脊髄損傷又は脳卒中等の急性神経障害を呈している。実施例1の技法を用いて、自己由来の血小板抽出物(APEX)を入手し、緩衝剤で処理して生理的pHにする。
MRIガイダンス下及び意識鎮静下で、APEXを損傷又は障害の部位に導入する。APEXは局所的に傷害を受けた細胞の修復を惹起又は援助する。
血管組織
患者は下肢に血管減少(hypovascularity)の領域を呈している。この患者は末梢血管の閉塞疾患と診断されている。実施例1の技法を用いて、自己由来の血小板抽出物(APEX)を入手し、緩衝剤で処理して生理的pHにする。
血管減少の領域をブピバカインでブロックした上で、APEXを筋組織又は軟組織中に導入する。APEXは血管形成、血管新生及び新たな血管の形成を誘導する。
創傷治癒
患者は適切に治癒していない慢性創傷を呈している。これは糖尿病による足のえそである可能性がある。実施例1の技法を用いて、自己由来の血小板抽出物(APEX)を入手し、緩衝剤で処理して生理的pHにする。
創傷を注意深く洗浄し、必要に応じて壊死組織切除を行う。続いて、APEXを慢性創傷及びその辺縁の内部及び周囲に注意深く注入する。これを密封包帯又は軟膏と組み合わせてその場に保つ。この過程は、創傷が治癒するまで必要に応じて繰り返してもよい。
新生物組織
患者は良性又は悪性の腫瘍又は状況を呈している。実施例1の技法を用いて、自己由来の血小板抽出物(APEX)を入手し、緩衝剤で処理して生理的pHにする。APEXをインビボ又はインビトロで用いて、腫瘍細胞死を惹起又は誘導することができる。
具体的には、CT又はMRIのガイダンスで、小径カテーテルを介して固形腫瘍内にAPEXを注入する。あるいは、癌細胞をAPEX培地中で増殖させた後に、残りの腫瘍を攻撃して死滅させる目的で体内に戻すこともできる。理論によって限定されることは意図していないが、APEX培地にはインビボで腫瘍細胞のアポトーシス(細胞死)を引き起こす能力、又は癌細胞を正常細胞に形質転換させる能力があるとの仮説が提唱されている。
感染
患者は表在性感染又は深部感染を呈している。実施例1の技法を用いて、自己由来の血小板抽出物(APEX)を入手し、緩衝剤で処理して生理的pHにする。
感染領域を特定した上で、APEXを直接投与するか経皮的に導入する。これは局所麻酔下又は全身麻酔下で行うことができ、画像ガイダンスは用いても用いなくともよい。APEXは通常、血小板とともに白血球も高い濃度で有している。白血球及び血小板がこのように組み合わさっていることにより、感染症は制御又は解消される。
任意の組織の細胞培養物
研究者又は臨床医は、線維芽細胞又は骨関節炎軟骨細胞の細胞培養物を増殖させることを望んでいる。実施例1の技法を用いて、自己由来の血小板抽出物(APEX)を入手し
、緩衝剤で処理して生理的pHにする。
ヒト繊維芽細胞を10%のウシ胎仔血清+/−多血小板血漿中で培養した。図6に示されるように、APEXが存在すると、増殖率が7日目で2.8倍高くなった。この結果は、繊維芽細胞での異なる細胞密度を用いても同様である。造血幹細胞を用いた同様の実験から、8日間培養後の対照と比べてAPEXの存在下では細胞数が9倍に増加したことが示された(データ示さず)。
続いて細胞を単離し、APEXを多く含む培地中で、さまざまな条件下及び希釈率で増殖させる。APEXは細胞分化及びコラーゲン等のタンパク質の産生を促す。APEXが細胞を正常細胞へと形質転換する能力を強化又は促進する可能性もある。理論によって限定されることは意図していないが、APEXは骨関節症軟骨細胞をより機能的な細胞系に転換させることができ、それを罹患関節又は損傷関節に再び注入することができるとの仮説が提唱されている。あるいは、疾患の進行を好転させる目的で、APEXを骨関節炎関節に直接導入する。これは局所麻酔下で無菌的な様式で行われる。
最終的に、APEXを、任意の組織又は細胞系をインビボ又はインビトロで増殖又は分化させる一助とするために用いることもできる。
回旋筋腱板腱炎
回旋筋腱板腱炎の症状を呈する患者に、本発明の腱処置を行う30分前にバリウム(商標)5mgを経口投与した。次に患者の準備及びドレープかけを無菌的な様式で行った。エピネフリンを含む0.5%のブピバカインによる局所麻酔薬を皮膚、皮下構造及び肩腱に浸透させる。
局所麻酔薬の投与から2〜3分後に、実施例1のAPEX組成物およそ3〜5ccを22ゲージ針を介して肩腱内に導入する。1箇所を超える腱への注射が必要とされる場合がある。最初の場所から約0.5〜1cmのところの靱帯に多数回の穿刺を行う。実施例1の血小板組成物を低侵襲的に導入した直後に、患者の肩及び腕を固定する。続いて術野を無菌的に被覆し、患者に腕を30分間動かさないように依頼する。注射直後及び処置終了から30分後に、各患者の神経血管、疼痛及び機能状態を評価する。処置から最初の24〜48時間は、必要に応じて患者に経口鎮痛麻酔薬を処方する。必要に応じて形式に則った術後のストレッチ及び強化のプログラムは処置から2〜3日目に開始してよい。
本発明の精神を逸脱することなく、本発明に多種多様な修正を加え得ることが当業者には理解されるであろう。したがって、本発明の諸形態は例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことは明確に理解されるべきである。
本発明によるキットを上から見た図である。 テニス肘における治療前、並びに治療後4週間及び8週間の視覚的平均疼痛スコアを示す図である。PRP−処置群に関してはN=15;対照群に関してはN=5。 治療前、並びに治療後4週間及び8週間の平均メイヨー肘スコアを示す図である。PRP−処置群に関してはN=15;テニス肘に対する対照群に関してはN=5。 テニス肘における治療前及び治療後6週間(N=5)の類似の視覚的平均疼痛アナログスコアを示す図である。 テニス肘における治療前及び治療後6週間(N=5)の平均メイヨー肘スコアを示す図である。 PRPの存在及び非存在での培養におけるヒト繊維芽細胞の初日及び7日目の細胞数を示す図である。

Claims (41)

  1. 自己由来である多血小板血漿を用い組織の血管新生をするためのキットであって、
    血液凝固を低減するための抗凝固剤、
    血液から血小板画分を単離するための、遠心分離装置での使用に適した使い捨て分離管、
    前記多血小板血漿のpHをpH6.5〜8.0に上げ、緩衝化された多血小板血漿を作り出すためのpH調整剤、および
    血液供給が阻害された組織に、前記緩衝化された多血小板血漿を投与し、それにより前記組織の血管新生をするための血小板送達装置
    を含む、キット。
  2. 前記使い捨て分離管が、血小板画分を単離するための浮標を含む、請求項1に記載のキット。
  3. 前記緩衝化された多血小板血漿組成物の投与前に腱炎の領域を麻痺させるための局所麻酔薬を含む組成物をさらに含む、請求項1に記載のキット。
  4. 前記局所麻酔薬を投与するための麻酔送達器をさらに含む、請求項3に記載のキット。
  5. 前記腱炎の領域を麻痺させるための組成物が、ブピバカイン及びエピネフリンを含む、請求項3に記載のキット。
  6. 前記使い捨て分離管を用いて、採血された血液から血小板を単離するための取扱説明書をさらに含む、請求項1に記載のキット。
  7. 腱炎の領域に前記多血小板血漿組成物を投与するための取扱説明書をさらに含む、請求項1に記載のキット。
  8. 前記抗凝固剤が、クエン酸デキストロース抗凝固剤溶液であり、前記pH調整剤が重炭酸ナトリウムである、請求項1に記載のキット。
  9. 所定の理学療法に関する抵抗を提供するための理学療法補助用具をさらに含む、請求項1に記載のキット。
  10. 自己由来の多血小板血漿組成物を用い腱炎を治療するためのキットであって、
    血液の凝固を阻止するための抗凝固剤、
    前記血液から血小板画分を単離するための、遠心分離装置での使用に適した使い捨て分離管、
    前記多血小板血漿組成物のpHをpH6.5〜8.0に調整し、緩衝化された多血小板血漿組成物を作り出す、pHを調整するためのpH調整剤、
    前記緩衝化された多血小板血漿組成物を腱炎の領域に投与するための血小板送達装置
    を含む、キット。
  11. 前記使い捨て分離管が、血小板画分を単離するための浮標を含む、請求項10に記載のキット。
  12. 前記使い捨て分離管を用いて、採血された血液から血小板を単離するための取扱説明書をさらに含む、請求項10に記載のキット。
  13. 前記腱炎の領域に多血小板血漿組成物を投与するための取扱説明書をさらに含む、請求項10に記載のキット。
  14. 前記抗凝固剤がクエン酸デキストロース抗凝固剤溶液であり、前記pH調整剤が重炭酸ナトリウムである、請求項10に記載のキット。
  15. 前記緩衝化された多血小板血漿組成物の投与前に前記腱炎の領域を麻痺させるための局所麻酔薬を含む組成物をさらに含む、請求項10に記載のキット。
  16. 所定の理学療法に関する抵抗を提供するための理学療法補助用具をさらに含む、請求項10に記載のキット。
  17. 前記腱炎の領域を麻痺させるための組成物が、ブピバカイン及びエピネフリンを含む、請求項15に記載のキット。
  18. 前記局所麻酔薬を投与するための麻酔送達器をさらに含む、請求項15に記載のキット。
  19. 請求項10に記載のキットであって、
    血液を採血するための注射器、
    アフェレーシス針、
    止血帯、
    穿刺針、
    皮膚消毒剤、および
    包帯類
    をさらに含む、キット。
  20. 哺乳動物において血液供給が阻害された組織の血管新生を行う方法であって、
    前記哺乳動物から自己由来の血液を採血し、
    前記自己由来の血液に抗凝固剤を添加し、
    遠心分離装置を用いて使い捨て分離管内の前記自己由来の血液を分画して、多血小板血漿組成物を単離し
    pH約6.5〜8.0を得るために前記多血小板血漿組成物を滴定し、緩衝化された多血小板血漿を作り出し、そして
    血液供給が阻害された組織に前記緩衝化された多血小板血漿を投与し、それにより血小板増殖因子が、前記緩衝化された多血小板血漿から放出され、血管新生を促進すること
    を含む方法。
  21. 哺乳動物での腱炎を治療する方法であって、
    前記哺乳動物から自己由来の血液を採血し、
    前記自己由来の血液に抗凝固剤を添加し、
    遠心分離装置を用いて使い捨て分離管内の前記自己由来の血液を分画して、多血小板血漿組成物を単離し、
    pH約6.5〜8.0を得るために前記多血小板血漿組成物を滴定し、緩衝化された多血小板血漿組成物を作り出し、
    腱炎部位の内部及び周囲に局所麻酔薬を導入し、そして
    前記腱炎部位に前記緩衝化された多血小板血漿組成物を投与し、それにより血小板増殖因子が、前記緩衝化された多血小板血漿から放出され、前記腱炎部位での血管新生を促進すること
    を含む方法。
  22. 外因性活性化物質が、前記多血小板血漿組成物を前記腱炎部位の内部及び周囲へ導入する前に前記多血小板血漿組成物に添加されない、請求項21に記載の方法。
  23. 局所麻酔薬を含む前記組成物が、エピネフリンをさらに含む、請求項21に記載の方法。
  24. 前記哺乳動物が、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ及びネコから成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
  25. 前記哺乳動物がヒトである、請求項21に記載の方法。
  26. 前記腱炎がテニス肘である、請求項21に記載の方法。
  27. 前記腱炎が足底筋膜炎である、請求項21に記載の方法。
  28. 前記腱炎が回旋筋腱板損傷である、請求項21に記載の方法。
  29. ヒトの足底筋膜炎を治療する方法であって、
    前記ヒトから自己由来の血液を採血し、
    前記自己由来の血液に抗凝固剤を添加し、
    遠心分離装置を用いて使い捨て分離管内の前記自己由来の血液を分画して、多血小板血漿組成物を単離し、
    pH約6.5〜8.0を得るために前記多血小板血漿組成物を滴定し、緩衝化された多血小板血漿組成物を作り出し、
    足の足底面に局所麻酔薬を導入し、そして
    前記足の足底面に前記緩衝化された多血小板血漿組成物を投与し、それにより血小板増殖因子が、前記緩衝化された多血小板血漿組成物から放出され、前記足の足底面の血管新生を促進すること
    を含む方法。
  30. 治療期間の間、前記足の足底面の動きを制限することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
  31. 治療する領域を超音波を用いて特定する、請求項29に記載の方法。
  32. 前記緩衝化された多血小板血漿組成物が、特定された筋膜の内側帯及び/又は中心靭帯に投与される、請求項31に記載の方法。
  33. 外因性活性化物質が、前記多血小板血漿組成物を前記足底筋膜炎部位の内部及び周囲へ導入する前に前記多血小板血漿組成物に添加されない、請求項29に記載の方法。
  34. 哺乳動物の外側上顆炎を治療する方法であって、
    患部の肘領域に麻酔薬送達装置で局所麻酔薬を投与し、
    pH約6.5〜8.0を得るために多血小板血漿組成物を滴定し、そして
    前記緩衝化された多血小板血漿組成物を、短橈側手根伸筋腱で個体の患部の肘に投与すること
    を含む方法。
  35. 外因性活性化物質が、前記多血小板血漿組成物を前記患部の肘領域へ導入する前に前記
    多血小板血漿組成物に添加されない、請求項34に記載の方法。
  36. 前記患部の腱の血管新生を促進するための理学療法を行うことをさらに含む、請求項34に記載の方法。
  37. 血液供給が阻害された部位の再血管新生をすることをさらに含む、請求項34に記載の方法。
  38. ヒトの回旋筋腱板損傷を治療する方法であって、
    前記ヒトから自己由来の血液を採血し、
    前記自己由来の血液に抗凝固剤を添加し、
    遠心分離装置を用いて使い捨て分離管内の前記自己由来の血液を分画して、多血小板血漿組成物を単離し、
    pH約6.5〜8.0を得るために前記多血小板血漿組成物を滴定し、緩衝化された多血小板血漿組成物を作り出し、
    肩の回旋筋腱板領域に局所麻酔薬を導入し、そして
    回旋筋腱板腱に前記緩衝化された多血小板血漿組成物を投与し、それにより血小板増殖因子が、前記緩衝化された多血小板血漿組成物から放出され、前記回旋筋腱板腱の血管新生を促進すること
    を含む方法。
  39. 回旋筋腱板腱の血管新生を促進するのを補助する理学療法を行うことをさらに含む、請求項38に記載の方法。
  40. 自己由来の多血小板血漿組成物で腱炎を治療するためのキットであって、
    血液を採血するための注射器、
    アフェレーシス針、
    止血帯、
    皮膚消毒薬、
    採血された血液の凝固を阻止するためのクエン酸デキストロース抗凝固剤溶液、
    前記血液から血小板画分を単離するための、遠心分離装置での使用に適した使い捨て分離管、
    前記多血小板血漿組成物のpHをpH6.5〜8.0に調整し、緩衝化された多血小板血漿組成物を作り出す、pHを調整するための重炭酸ナトリウム、
    前記腱炎の領域を麻痺させるための、ブピバカイン及びエピネフリンを含む組成物、
    前記緩衝化された多血小板血漿組成物を投与するための血小板送達装置、
    包帯類と、
    前記使い捨て分離管を用いて前記採血された血液から血小板を単離するための取扱説明書、および
    前記腱炎の領域に前記多血小板血漿組成物を投与するための取扱説明書
    を含むキット。
  41. 所定の理学療法に関する抵抗を提供するための理学療法補助用具をさらに含む、請求項40に記載のキット。
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