JPWO2007145208A1 - ペプチド誘導体 - Google Patents

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Abstract

R1N=C(R2)−AA1−AA2−AA3−AA4−Yという一般式で表されるペプチド誘導体またはその塩であって、R1は水素分子等、R2はメチル基等、Yはメチルアミノ基等、AA1はチロシン残基等、AA2はD−アルギニン残基等、AA3はフェニルアラニン残基等、AA4はN−メチルリジン残基等である、ペプチド誘導体又はその塩であり、皮下投与及び経口投与によって、さまざまな疼痛に対して優れた鎮痛作用を奏する。

Description

本発明は、ペプチド誘導体、特に、鎮痛作用又は抗侵害作用を有するペプチド誘導体に関する。
人類にとって、未解決の問題の一つに「痛み」がある。
「痛み」、すなわち疼痛はけがの発生や、病気になったことを知らせる重要な情報となりうるが、例えば、急性疼痛、慢性疼痛、線維筋痛症、神経因性疼痛(ニューロパチックペイン)、糖尿病性神経症による疼痛、癌性疼痛、MSU(尿酸塩)誘発性膝関節疼痛、変形性膝関節症による疼痛、関節リウマチによる疼痛等々の疼痛は、現状では治療による迅速な除去は困難であって、これらの疼痛は日夜、患者を責め苛み、患者の病気と戦う気力を失わせ、ときには、患者を完全な絶望に至らせることさえある。
このような疼痛に対して、歴史的な観点から見れば、人類はアヘンを用いて対抗してきた。未熟なケシの実汁から採取されるアヘンは、5000年前のメソポタミア文明のシュメール人が残した粘土板にその記述があることが知られ、また、ギリシャでは紀元前後から麻酔剤として使用されてきた。言い換えれば、アヘンは人類史上最古の医薬品である。
一方、このようなアヘンから得られるモルヒネは、1803年、ドイツの薬剤師ゼルチュルナーによって発見されて以降、今日に至るまで優れた鎮痛薬、特に癌性疼痛を抑制するにはなくてはならない鎮痛薬として使用されてきている。
しかしながら、このようなモルヒネは麻薬であって習慣性を有し、多数回投与による身体依存性・精神依存性があるため、慢性中毒、いわゆる、麻薬中毒をおこし、徐々に量を多く用いなければ効かないようになる。このように、モルヒネはその取り扱い、投与に際しては細心の注意が必要である。また、激甚な疼痛に対して、モルヒネはその効果の持続時間が比較的短いために短時間毎の投与が必要となるので、患者本人はもとより、周囲の医療従事者、及び、患者家族などの介護者の負担も大きく、また末期癌の場合の在宅末期癌治療(在宅ホスピス)の実現が困難であるという問題もある。
一方、モルヒネが効きにくい疼痛(ニューロパチックペイン等)も知られており、そのような分野では、モルヒネを越える高い効果を有する鎮痛薬が求められていた。
このように、麻薬性を有さずに、モルヒネを越える広い分野において、モルヒネと同等かそれ以上の効果を有し、さらにその効果持続時間がより長い鎮痛薬の登場が待たれていた。
ここで、鎮痛剤の研究は上記モルヒネの発見以来、その化学構造と関連するアルカロイド化合物を中心に進められてきたが、1975年、モルヒネ様活性を有するペプチド化合物(オピオイドペプチド)であるメチオニンエンケファリン及びロイシンエンケファリンがブタの脳内から発見されたことから、鎮痛薬としてペプチド誘導体を利用するアプローチが始まった。
ここで、鎮痛薬としては、投与が容易であり、患者の負担の少ない、経口あるいは皮下投与により、長時間の抗侵害作用又は鎮痛作用が得られることが求められるが、前記エンケファリンはともに、生体内の酵素によって容易に分解されるため、経口及び皮下投与では全く抗侵害作用及び鎮痛作用が得られない。
1980年、南アメリカ産のカエルPhyllomedusa sauvageiの皮膚から単離同定されたデルモルフィンは、自然界では細菌類以外には存在しないとされていたD−異性体アミノ酸残基を含有し、生体内の酵素分解に抵抗性がある(非特許文献1)。この発見をヒントに、D−異性体アミノ酸残基を含む合成ペプチド誘導体による鎮痛薬の開発が試みられて来たが、特に、経口投与における高い抗侵害作用又は鎮痛作用を得ることには困難があった。
例えば、本発明者らが合成したペプチド誘導体TAPA(Tyr−D−Arg−Phe−β−Ala)は、皮下投与における抗侵害作用はモルヒネの9倍である(非特許文献2〜5)。しかし、経口投与におけるTAPAの抗侵害作用はモルヒネとほぼ同程度であった。
このような基礎検討を元に本発明者らは、経口投与による抗侵害作用の効力改善を目的として、アミノ末端にアミジノ基を有する一連のペプチド誘導体を合成した(特許文献1〜3)。これらのうち最強の抗侵害作用を引き起こすペプチド誘導体ADAMB(Nα−アミジノ−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−メチルβAla]−OH)は、皮下投与における抗侵害作用がモルヒネの約23倍であり、経口投与における抗侵害作用はモルヒネの約3.8倍と云う結果を得た(非特許文献6)。
ここで、ADAMBの効力のさらなる改善をめざしてADAMBのカルボキシル末端をアミド化したところ、皮下投与における抗侵害作用はモルヒネの約7分の1に低下し、経口投与における抗侵害作用もモルヒネの約5分の1に低下してしまった。さらにADAMBのカルボキシル末端をN−メチルアミド化する検討をおこなったところ、皮下投与および経口投与における抗侵害作用はともにさらに低下した(非特許文献7)。このように、ADAMBのカルボキシル末端をアミド化又はメチルアミド化すると、抗侵害作用をADAMBより増強することができないばかりか、かえって抗侵害作用を低下させることが判った。
つぎに、本発明者らは、アミノ末端に1−イミノメチル基を有し、第1アミノ酸残基がチロシン、第2アミノ酸残基がD−アルギニン又はD−メチオニンスルホキサイド、第3アミノ酸残基がフェニルアラニンという基本骨格を有する一連のペプチド誘導体を合成したところ、経口投与における抗侵害作用は上記ADAMBより改善が認められたものの充分であるとは云えなかった(特許文献4、非特許文献8)。
このように、モルヒネに置換し得る、あるいは、麻薬性を有さないためにモルヒネが応用できない分野にも使用できる、皮下投与および経口投与における抗侵害作用および鎮痛作用が高く、モルヒネをも凌駕する優れた鎮痛薬を得るという問題は解決されていなかった。
上記問題を解決するため、本発明者らはさらに検討を進め、アミノ末端に1−イミノエチル基を有するペプチド誘導体の抗侵害作用を増強するために、このペプチド誘導体のカルボキシル末端の改変を試みた。その中で、アミノ末端がイミノ低級アルキル基で置換されたADAMBの置換体をアミド化する検討を行ってみた。
この場合、ADAMBのカルボキシル末端をアミド化した上記の実験結果から、アミノ末端がイミノ低級アルキル基で置換されたADAMBの置換体についても同様に、カルボキシル末端をアミド化すると抗侵害作用が低下することが予想された。
しかしながら、この予想に全く反し、前記ペプチド誘導体のカルボキシル末端をアミド化した場合、皮下投与及び経口投与における抗侵害作用が増強し、かつ、抗侵害作用の持続時間が長くなるという、予想外の結果が得られた。さらにカルボキシル末端をメチルアミド化すると、皮下投与及び経口投与における抗侵害作用はアミド化した場合よりもさらに増強されたることを見出した。そこで、本発明者らは以下に説明する新規ペプチド誘導体が皮下投与はもとより及び経口投与においても優れた抗侵害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
国際公開第WO95/24421号公報 国際公開第WO97/10261号公報 国際公開第WO97/10262号公報 国際公開第WO99/33864号公報 Int.J.PeptideProtein Res.,17:275(1981) Br.J.Pharmacol.,95:15(1988) Peptides,11:139(1990) Neuropharmacol.,32:689(1993) Pharmacol.Biochem.Behav.,24:27(1986) Chem.Pharm.Bull,50:771−780(2002) J.Med.Chem.,45:5081−5089(2002) Chem.Pharm,Bull.,51:759−771(2003)
本発明の課題は、皮下投与ではもちろん、経口投与によっても強力な鎮痛作用又は抗侵害作用を発揮するペプチド誘導体を提供することである。さらに、本発明の別の課題は、経口投与及び皮下投与のいずれにおいても、鎮痛作用又は抗侵害作用の持続時間が長いペプチド誘導体を提供することである。本発明の別の課題は、前記ペプチド誘導体を有効成分とする医薬品組成物を提供することである。本発明の別の課題は、前記ペプチド誘導体を含む治療剤により、疼痛、例えば神経因性疼痛(ニューロパチックペイン)、癌性疼痛、変形性膝関節症による疼痛、MSU(尿酸塩)誘発性膝関節疼痛、慢性関節リウマチ等々の疼痛に有効で、また、その他の病状を治療する治療薬を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは、上述の検討に加え、アミノ末端に1−イミノエチル基を有するペプチド誘導体の抗侵害作用を増強するために、該ペプチド誘導体のカルボキシル末端の改変について検討を行った。
ここで、ADAMBのカルボキシル末端をアミド化する上記の実験結果からは、アミノ末端がイミノ低級アルキル基で置換されたADAMBの置換体についても、カルボキシル末端をアミド化すると抗侵害作用が低下することが予想された。
しかしながら、このような予想には全く反し、前記ペプチド誘導体のカルボキシル末端をアミド化した結果、皮下投与及び経口投与における抗侵害作用が増強し、かつ、抗侵害作用の持続時間が長くなるという、驚くべき結果が得られることが判った。さらにカルボキシル末端をメチルアミド化すると、皮下投与及び経口投与における抗侵害作用はアミド化した場合よりもさらに増強された。そこで、本発明者らは以下に説明する新規ペプチド誘導体が皮下投与では勿論、経口投与においても優れた鎮痛作用、及び、抗侵害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、請求項1に記載の通り、下記の一般式(1)

N=C(R)−AA−AA−AA−AA−Y
(1)

で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩であって、
上記Rは、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、及び、低級アルコキシル基から選ばれる1つであり、上記Rは、低級アルキル基であり、上記Yは、下記の化学式(2)

−N(R)R
(2)
で表され、化学式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、及び、低級アルコキシル基から選ばれる1つであるか、または、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基であり、
上記AAは下記の化学式(3)
Figure 2007145208
で表されるα−アミノ酸残基であり、
化学式(3)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、及び、ハロゲン化低級アルキル基から選ばれる1つであり、
化学式(3)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、下記の化学式(4)で表される基、及び、下記の化学式(5)で表される基

−O−CO−R
(4)

−O−CO−O−R
(5)

から選ばれる1つであり、化学式(4)のR、及び、化学式(5)のRは、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、複素環基、アリール基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つであり、
上記AAは下記の化学式(6)
Figure 2007145208
で表されるD−α−アミノ酸残基であり、化学式(6)において、Rは、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基、及び、ヒドロキシ低級アルキル基から選ばれる1つであり、nは1〜4の整数であり、AAは非置換フェニルアラニン残基、置換フェニルアラニン残基、非置換D−フェニルアラニン残基、及び、置換D−フェニルアラニン残基から選ばれる1つであり、
上記AAは、下記の化学式(7)

−N(R10)−CH(R11)−CO−
(7)

で表されるα−アミノ酸残基、または、下記の化学式(8)

−N(R10)−CH(R11)−CH(R12)−CO−
(8)

で表されるβ−アミノ酸残基であり、
化学式(7)及び(8)において、R10及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つであり、
上記R11は、水素原子、または、下記の化学式(9)

−Z−N(R13)−R14
(9)

で表される基であり、
化学式(9)において、Zは、低級アルキレン基、低級アルケニレン基、及び、低級アルキニレン基から選ばれる1つであり、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つ、または、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基である、化合物又はその薬学的に許容できる塩である。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項2に記載のとおり、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記Rが、水素原子であることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項3に記載のとおり、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記Rはメチル基又はエチル基であることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記AAは、下記の化学式(10)
Figure 2007145208
で表されるα−アミノ酸残基、または、化学式(11)
Figure 2007145208
で表されるD−α−アミノ酸残基であり、上記化学式(10)及び(11)において、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、及び、ハロゲン化低級アルキル基から選ばれる1つであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記AAは、フェニルアラニン残基、D−フェニルアラニン残基、p−フルオロフェニルアラニン残基、D−p−フルオロフェニルアラニン残基、o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基、D−o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基、及び、2,6−ジメチルフェニルアラニン残基からなる群から選ばれるアミノ酸残基であることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項6に記載の通り、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記AAはN−メチルリジン残基、または、N−メチル−β−アラニン残基であることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項7に記載の通り、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記化学式(3)において、Xが、ヒドロキシル基であることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項8に記載の通り、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記化学式(3)において、Xは、水素原子、または、ハロゲン原子であることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項9に記載の通り、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記化学式(3)において、Xは、化学式(4)、または、化学式(5)で表され、化学式(4)におけるR、および、化学式(5)におけるRは、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、複素環基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項10に記載の通り、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記AAは、チロシン残基、2,6−ジメチル−チロシン残基、o−アシル−チロシン残基、o−アルコキシカルボニル−チロシン残基、o−フェノキシカルボニル−チロシン残基、o−アセチルチロシン残基、及び、2,6−ジメチル−フェニルアラニン残基から選ばれる1つであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項11に記載の通り、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記AAは、D−メチオニンスルホキシド残基、D−アルギニン残基、及び、D−シトルリン残基から選ばれる1つであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項12に記載の通り、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記AAは、D−N−アセチルオルニチン残基、D−5−オキソノルロイシン残基、及び、D−5−ヒドロキシノルロイシン残基から選ばれる1つであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項13に記載の通り、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、及び、低級アルコキシル基から選ばれる1つであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項14に記載の通り、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはo−アセチルチロシン残基であり、上記AAはD−メチオニンスルホキシド残基又はD−アルギニン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHまたは−NH−CHであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項15に記載の通り、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはチロシン残基であり、上記AAはD−メチオニンスルホキシド残基又はD−アルギニン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHあるいは−NH−CHであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項16に記載の通り、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはo−アセチルチロシン残基であり、上記AAはD−メチオニンスルホキシド残基又はD−アルギニン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NH−Cであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項17に記載の通り、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはチロシン残基であり、上記AAはD−5−ヒドロキシノルロイシン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHあるいは−NH−CHであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項18に記載の通り、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはチロシン残基であり、上記AAはD−メチオニンスルホキシド残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHあるいは−NH−CHであることを特徴とする。
また、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩は、請求項19に記載の通り、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩において、上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAは2,6−ジメチル−チロシン残基であり、上記AAはD−メチオニルスルホキシド残基あるいはD−アルギニン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHあるいは−NH−CHであることを特徴とする。
本発明の医薬物組成物は請求項20に記載の通り、請求項1ないし請求項19のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つを有効成分として含む医薬物組成物である。
本発明の医薬品組成物は請求項21に記載の通り、請求項1ないし請求項19のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つと、薬学的に許容できる担体と、を含む医薬品組成物である。
本発明の医薬品組成物は請求項22に記載の通り、請求項19又は請求項20に記載の医薬品組成物において、疼痛の予防及び/又は治療に用いる医薬品組成物である。
本発明の医薬品組成物は請求項23に記載の通り、請求項22に記載の医薬品組成物において、上記疼痛が癌性疼痛であることを特徴とする。
本発明の医薬品組成物は請求項24に記載の通り、請求項22に記載の医薬品組成物において、上記疼痛が神経因性疼痛であることを特徴とする。
本発明の医薬品組成物は請求項25に記載の通り、請求項22に記載の医薬品組成物において、上記疼痛が変形性膝関節症による疼痛であることを特徴とする。
本発明の医薬品組成物は請求項26に記載の通り、請求項22に記載の医薬品組成物において、上記疼痛が関節リウマチによる疼痛であることを特徴とする。
本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩によれば、皮下投与ではもちろん、経口投与によっても強力な鎮痛作用又は抗侵害作用を発揮することができ、その時、経口投与及び皮下投与のいずれにおいても、鎮痛作用又は抗侵害作用の持続時間が長い。
本発明によれば、熱刺激疼痛、神経因性疼痛、さらに、圧刺疼痛等、極めて広い疼痛に対して高い鎮痛作用又は抗侵害作用が得られ、効果が高く、かつ、その持続時間が長いため、麻薬性がないことも併せ、従来のモルヒネを越える新たな総合鎮痛剤として応用が可能であり、疼痛に苛まれ苦しむ患者本人はもとより、周囲の医療従事者、及び、患者家族などの介護者の負担を解消ないし、軽減することが可能となる。さらに、これら種類の異なった3つの疼痛に対して極めて有効な抗侵害作用が得られたことから、膠原病や、現状では原因不明な疼痛等の、その麻薬性のためにモルヒネが応用できなかった分野や、モルヒネが有効でなかった各種の疼痛等への応用の可能性が高い。
実施例1の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例1の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例2の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例2の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例2の化合物を経口投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例2の化合物を経口投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例3の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例3の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例4の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例4の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例4の化合物を経口投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例4の化合物を経口投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例5の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例5の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例6の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例6の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例6の化合物を経口投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例6の化合物を経口投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例7の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例7の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例7の化合物を経口投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例7の化合物を経口投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 実施例8の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 実施例8の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 比較例1の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 比較例1の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 比較例1の化合物を経口投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 比較例1の化合物を経口投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 比較例2の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 比較例2の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 比較例2の化合物を経口投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 比較例2の化合物を経口投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 比較例3の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 比較例3の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 比較例4の化合物を皮下投与後の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフである。 比較例4の化合物を皮下投与した場合の用量−反応曲線を示すグラフである。 経口投与量とAUCとの関係を示すグラフである。 皮下投与量とAUCとの関係を示すグラフである。 神経損傷モデルでのSS8225−04の皮下投与量とAUCとの関係を示すグラフ。 神経損傷モデルでのSS8225−04の皮下投与量が0.125mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのSS8225−04の皮下投与量が0.25mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのSS8225−04の皮下投与量が0.5mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのSS8225−04の皮下投与量が0.7mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのSS8225−07の皮下投与量とAUCとの関係を示すグラフ。 神経損傷モデルでのSS8225−07の皮下投与量が0.125mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのSS8225−07の皮下投与量が0.25mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのSS8225−07の皮下投与量が0.5mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのSS8225−07の皮下投与量が1.0mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのモルヒネの皮下投与量とAUCとの関係を示すグラフ。 神経損傷モデルでのモルヒネの皮下投与量が2.5mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのモルヒネの皮下投与量が3.5mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのモルヒネの皮下投与量が5mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのモルヒネの皮下投与量が7mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 神経損傷モデルでのモルヒネの皮下投与量が10mg/kgでの刺激閾値(グラム重)の投与からの経時変化を示すグラフ。 SS8225−04の皮下投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 皮下投与時のSS8225−04の用量−反応曲線を示すグラフ SS8225−04の経口投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 経口投与時のSS8225−04の用量−反応曲線を示すグラフ。 SS8225−07の皮下投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 皮下投与時のSS8225−07の用量−反応曲線を示すグラフ SS8225−07の経口投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 経口投与時のSS8225−07の用量−反応曲線を示すグラフ モルヒネの皮下投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 皮下投与時のモルヒネの用量−反応曲線を示すグラフ モルヒネの経口投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 経口投与時のモルヒネの用量−反応曲線を示すグラフ 経口投与量とAUCとの関係を示すグラフである。 皮下投与量とAUCとの関係を示すグラフである。 変形性膝関節症モデルでのモルヒネ経口投与時の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 変形性膝関節症モデルでのオキシコドン経口投与時の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 変形性膝関節症モデルでのSS8225−04経口投与時の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 変形性膝関節症モデルでのSS8225−07経口投与時の抗侵害作用の経時的変化を示すグラフ。 モルヒネ投与量とAUCとの関係を示すグラフ。 オキシコドン投与量とAUCとの関係を示すグラフ。 SS8225−04投与量とAUCとの関係を示すグラフ。 SS8225−07投与量とAUCとの関係を示すグラフ。 変形性膝関節症モデルでの各薬剤の投与量とAUSとの関係を示すグラフである。 変形性膝関節症モデルでの各薬剤の投与量と%MPUとの関係を示すグラフである。 関節リウマチ疼痛モデルにおける、モルヒネの経口投与時の刺激閾値(グラム重)の投与後の経時変化を示すグラフ(CFA非投与側足での結果)。 関節リウマチ疼痛モデルにおける、モルヒネの経口投与時の刺激閾値(グラム重)の投与後の経時変化を示すグラフ(CFA投与側足での結果)。 関節リウマチ疼痛モデルにおける、SS8225−04の経口投与時の刺激閾値(グラム重)の投与後の経時変化を示すグラフ(CFA非投与側足での結果)。 関節リウマチ疼痛モデルにおける、SS8225−04の経口投与時の刺激閾値(グラム重)の投与後の経時変化を示すグラフ(CFA投与側足での結果)。 経口投与量とAUCとの関係を示すグラフである。 経口投与量と単位時間AUCとの関係を示すグラフである。
本発明に係る化合物又はその薬学的に許容できる塩は、上述のように下記の一般式(1)で表されるペプチド誘導体化合物又はその薬学的に許容できる塩である。
N=C(R)−AA−AA−AA−AA−Y
(1)
化学式(1)において、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、及び、低級アルコキシル基から選ばれる1つであり、Rは低級アルキル基である。
Yは、下記の化学式(2)で表される。化学式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、及び、低級アルコキシル基から選ばれる1つであるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員の含窒素複素環基又は6員の含窒素複素環基である。
−N(R)R
(2)
AAは下記の化学式(3)で表されるα−アミノ酸残基である。
Figure 2007145208
化学式(3)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、及び、ハロゲン化低級アルキル基から選ばれる1つである。
化学式(3)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、下記の化学式(4)で表される基、及び、化学式(5)で表される基から選ばれる1つである。
−O−CO−R
(4)
−O−CO−O−R
(5)
化学式(4)及び(5)において、R及びRは、それぞれ独立に、C11−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、複素環基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つである。
AAは下記の化学式(6)で表されるD−α−アミノ酸残基である。
Figure 2007145208
化学式(6)において、Rは、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基、及び、ヒドロキシ低級アルキル基から選ばれる1つであり、nは1〜4の整数である。
AAは、非置換フェニルアラニン残基、置換フェニルアラニン残基、非置換D−フェニルアラニン残基、及び、置換D−フェニルアラニン残基から選ばれる1つである。
AAは、下記の化学式(7)で表されるα−アミノ酸残基、または、下記の化学式(8)で表されるβ−アミノ酸残基である。
−N(R10)−CH(R11)−CO−
(7)
−N(R10)−CH(R11)−CH(R12)−CO−
(8)
化学式(7)及び(8)において、R10及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つであり、R11は、水素原子、または、下記の化学式(9)で表されるアミノ基である。
−Z−N(R13)−R14
(9)
化学式(9)において、Zは、低級アルキレン基、低級アルケニレン基、及び、低級アルキニレン基から選ばれる1つであり、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つであるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員の含窒素複素環基又は6員の含窒素複素環基である。
本発明の化合物は、アミノ末端に非置換もしくは置換イミノ低級アルキル基、すなわち、式(1)における「RN=C(R)−」で表される基を有し、かつ、カルボキシル末端に非置換もしくは置換アミド基、すなわち、式(2)「−N(R)R」で表される基を有する点に特徴がある。このような官能基が導入されたペプチド誘導体が、経口及び皮下投与で、強力、かつ、持続性のある抗侵害作用、鎮痛作用を奏することは従来技術から全く予測することができなかった。
化学式(1)において、Rの好ましい例は、水素原子であるが本発明はこれらには限定されない。また、Rの好ましい例は、低級アルキル基であるが本発明はこれらには限定されない。Rのより好ましい例は、メチル基又はエチル基である。
Yを表す化学式(2)において、R及びRの好ましい例としては、ともに水素原子であるか、あるいは、一方が水素原子であって他方がメチル基である組合せであり、すなわち、Yの好ましい例は−NH又は−NH−CHであるが、本発明はこれらには限定されない。
AAを表す化学式(3)におけるR及びRと、化学式(10)又は(11)におけるR15及びR16とのベンゼン環上における置換位置は特に限定されない。
化学式(1)において、AAの好ましい例としては、チロシン残基、2,6−ジメチル−チロシン残基、o−アシル−チロシン残基、o−アルコキシカルボニル−チロシン残基、o−フェノキシカルボニル−チロシン残基、o−アセチルチロシン残基、2,6−ジメチル−フェニルアラニン残基等が挙げられるが、本発明はこれらには限定されない。
化学式(1)において、AAの好ましい例としては、D−アルギニン残基、D−メチオニンスルホキシド残基、D−N−アセチルオルニチン残基、D−5−オキソノルロイシン残基、D−シトルリン残基、D−5−ヒドロキシノルロイシン残基等が挙げられるが、本発明はこれらには限定されない。
AAは下記の化学式(10)又は(11)で表されるα−アミノ酸残基又はD−α−アミノ酸残基の場合がある。
Figure 2007145208
Figure 2007145208
化学式(10)及び(11)において、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、及び、ハロゲン化低級アルキル基から選ばれる1つである。
化学式(1)において、AAの好ましい例としては、フェニルアラニン残基、p−フルオロフェニルアラニン残基及びo−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基、2,6−ジメチル−フェニルアラニン残基、D−フェニルアラニン残基、D−p−フルオロフェニルアラニン残基、D−o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基等が挙げられるが、本発明はこれらには限定されない。
化学式(1)において、AAの好ましい例としては、N−メチルリジン残基、N−メチル−β−アラニン残基等が挙げられるが、本発明はこれらには限定されない。
本明細書では、痛みを止める作用を意味する用語として、鎮痛作用(analgesicactivity)及び抗侵害作用(antinociceptiveactivity)を使用する。両者の相違点は、前者が主にヒトについて使用されるのに対し、後者が主に実験動物について使用される点であり、本明細書においては、本発明の作用効果に関して互いに交換可能に用いられる。
本明細書に記載のアミノ酸、その残基について、D−体とL−体とが存在する場合、特にD−と表示していない場合には、そのアミノ酸、その残基はL−アミノ酸を意味する。
本明細書に記載の「低級アルキル」、「低級アルコキシル」、「低級アシル」及び「低級アルキレン」の用語において、「低級」とは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を含むことを意味する。本明細書に記載の「低級アルケニル」、「低級アルキニル」、「低級アルケニレン」及び「低級アルキニレン」の用語において、「低級」とは、2、3、4、5又は6個の炭素原子を含むことを意味する。
本明細書に記載の「アルキル」、「アルコキシル」、「アシル」、「アルキレン」、「アルケニル」、「アルキニル」、「アルケニレン」及び「アルキニレン」は、直鎖型異性体及び分岐鎖型異性体のいずれの場合であってもよい。分岐鎖型異性体としては、第2級炭素を含む分岐鎖型異性体と第3級炭素を含む分岐鎖型異性体とのいずれの場合であってもよい。
前記低級アルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基等があるが、これらの例に限定されない。また、本明細書に記載の「C1−16アルキル基」、「ヒドロキシC1−16アルキル基」、「アミノC1−16アルキル基」、「(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基」、「(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基」等における「C1−16アルキル基」の好ましい例としては、前記低級アルキル基の好ましい例に加えて、直鎖又は分岐鎖のヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等があるが、これらの例に限定されない。C1−16アルキル基としては直鎖又は分岐鎖型のC6−12アルキル基が好ましく、C8−10アルキル基がより好ましい。特に好ましいのはC及びC10の直鎖又は分岐鎖型アルキル基である。
本明細書に記載の「低級アルコキシル基」は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子数のアルコキシル基を指す。前記低級アルコキシル基の好ましい例としては、メトキシ基、エトキシ基等があるが、これらの例に限定されない。
本明細書に記載の「C3−10シクロアルキル基」と、「C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基」における「C3−10シクロアルキル基」とは、ともに炭素原子の数が3、4、5、6、7、8、9又は10個のシクロアルキル基を指す。前記C3−10シクロアルキル基の好ましい例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等があるが、これらの例には限定されない。本明細書に記載の「C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基」における「C3−10シクロアルキル基」は低級アルキル基のどの炭素原子に置換していてもよく、低級アルキル基の炭素原子のうち何個の炭素原子に置換していてもよい。例えば1ないし4個、より好ましくは1ないし2個、特に好ましくは1個のC3−10シクロアルキル基が任意の位置の炭素原子に置換される場合がある。
本明細書に記載の「C2−16アルケニル基」及び「C2−16アルキニル基」は、それぞれ、炭素原子の数が2個から16個までのいずれかのアルケニル基及びアルキニル基であって、直鎖又は分岐鎖型のものを指す。前記C2−16アルケニル基及びC2−16アルケニル基にそれぞれ含まれる二重結合及び三重結合の位置及び数は特に限定されない,前記2−16アルケニル基の好ましい例としては、ビニル基すなわちエテニル基、2−プロペニル基、cis−1−プロペニル基、trans−1−プロペニル基等があるが、これらの例に限定されない。前記C2−16アルキニル基の好ましい例としては、エチニル基、2−プロピニル基等があるが、本発明はこれらの例には限定されない。
本明細書に記載の「複素環基」は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなるグループから選択される少なくとも1種類の原子と炭素原子とからなる、飽和、不飽和又は部分不鉋和の環状化合物を指す。前記複素環基の好ましい例は、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基等があるが、これらの例に限定されない。化学式(2)におけるR及びRと、化学式(9)におけるR13及びR14とは、これらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表す場合がある。該含窒素複素環基は、例えば、環を再成する原子として1個又は2個以上の窒素原子を含む5ないし6員の飽和又は部分不飽和の複素環基である場合がある。前記含窒素複素環基の好ましい例としては、ピロリジノ基、ピペリジノ基、3,4−デヒドロピロリジノ基、ピリジニオ基等が挙げられるが、本発明はこれらの例には限定されない。
本明細書に記載の「アリール基」と、「アリール置換低級アルキル基」における「アリール基」とは、1個または2個以上の環からなる芳香族置換基を指す。前記アリール基の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニリル基、フェナントリル基等があるが、これらの例に限定されない。本明細書に記載の「アリール置換低級アルキル基」における「アリール基」は、低級アルキル基のどの炭素原子に置換していてもよく、低級アルキル基の炭素原子のうち何個の炭素原子に置換していてもよい。例えば1ないし4個、より好ましくは1ないし2個、特に好ましくは1個のアリール基が任意の位置の炭素原子に置換される場合がある。前記アリール置換低級アルキル基の好ましい例としては、ベンジル基、フェネチル基等があるが、これらの例に限定されない。
本明細書に記載の「低級アシル基」と、「低級アシルアミノ基」における「低級アシル基」とは、ともに1、2、3、4、5又は6個の炭素原子数のアシル基すなわちアルカノイル基を指す。前記低級アシル基の好ましい例としては、ホルミル基、アセチル基等があるが、これらの例に限定されない。基本明細書に記載の「低級アシルアミノ基」における「低級アシル基」は、アミノ基の水素原子の一方又は両方を置換する。前記低級アシルアミノ基の好ましい例としては、モノアセチルアミノ基、ジアセチルアミノ基等があるが、これらの例に限定されない。
本明細書に記載の「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素のいずれでもよい。本明細書に記載の「ハロゲン化低級アルキル基」に置換するハロゲン原子の置換位置、個数及び種類は特に制限されず、モノハロゲン化低級アルキル基からパーハロゲン化低級アルキル基までいずれも利用可能である。2個以上のハロゲン原子が存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。前記ハロゲン化低級アルキル基の好ましい例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基等があるが、本発明はこれらの例には限定されない。
本明細書に記載の「ヒドロキシ低級アルキル基」又は「ヒドロキシC1−16アルキル基」における「ヒドロキシル基」は、アルキル基の炭素原子のうちどの炭素原子に置換していてもよく、アルキル基の炭素原子のうち何個の炭素原子に置換していてもよい。例えば1ないし4個、より好ましくは1ないし2個、特に好ましくは1個のヒドロキシル基が任意の位置の炭素原子に置換される場合がある。前記「ヒドロキシ低級アルキル基」及び「ヒドロキシC1−16アルキル基」の好ましい例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等があるが、これらの例に限定されない。
本明細書に記載の「アミノC1−16アルキル基」における「アミノ基」は、C1−16アルキル基の炭素原子のうちどの炭素原子に置換していてもよく、アルキル基の炭素原子のうち何個の炭素原子に置換していてもよい。例えば1ないし4個、より好ましくは1ないし2個、特に好ましくは1個のアミノ基が任意の位置の炭素原子に置換される場合がある。前記「アミノC1−16アルキル基」の好ましい例としては、アミノメチル基、2−アミノエチル基等があるが、これらの例に限定されない。
本明細書に記載の「(モノ低級アルキル)アミノ基」と、「(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基」における「(モノ低級アルキル)アミノ基」とは、ともに、炭素原子の数が1、2、3、4、5又は6個のアルキル基がアミノ基の1個の水素原子を置換したものを指す。本明細書に記載の「(モノ低級アルキル)アミノ基」と、「(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基」における「(モノ低級アルキル)アミノ基」との好ましい例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基等があるが、これらの例に限定されない。本明細書に記載の「(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基」における「(ジ低級アルキル)アミノ基」とは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子数のアルキル基がアミノ基の2個の水素原子のそれぞれを置換したものを指す。それぞれの水素原子を置換する低級アルキル基は、同じ低級アルキル基であっても、異なる低級アルキル基であってもかまわない。前記(ジ低級アルキル)アミノ基の例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等があるが、これらの例に限定されない。本明細書に記載の「(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基」は、前記(モノ低級アルキル)アミノ基が、C1−16アルキル基の炭素原子のどこに置換していてもよく、該アミノ基はさらに前記低級アルキル基1個で置換されていることを表す。前記(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基の好ましい例としては、3−(メチルアミノ)−n−プロニル基、2−(エチルアミノ)−n−ペンチル基等があるが、これらの例に限定されない。本明細書に記載の「(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基」は、前記(ジ低級アルキル)アミノ基が、C1−16アルキル基の炭素原子のどこに置換していてもよく、該アミノ基はさらに前記低級アルキル基2個で置換されていることを表す。前記(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基の好ましい例としては、2−(ジメチルアミノ)エチル基、2−(ジエチルアミノ)エチル基等があるが、これらの例には限定されない。
本発明の化合物は、化学式(1)においてRが水素原子であり、Rがメチル基であり、Yが−NHであるとき、1−イミノエチル−AA−AA−AA−AA−アミド又は1−イミノエチル−AA−AA−AA−AA−NHと表される。本発明の化合物は、化学式(1)においてR及びRがともに水素原子であり、Yが−NHであるとき、イミノメチル−AA−AA−AA−AA−アミド又はイミノメチル−AA−AA−AA−AA−NHと表される。本発明の化合物は、化学式(1)においてRが水素原子であり、Rがメチル基であり、Yが−NH−CHであるとき、1−イミノエチル−AA−AA−AA−AA−メチルアミド又は1−イミノエチル−AA−AA−AA−AA−NH−CHと表される。本発明の化合物は、化学式(1)においてR及びRがともに水素原子であり、Yが−NH−CHであるとき、イミノメチル−AA−AA−AA−AA−メチルアミド又はイミノメチル−AA−AA−AA−AA−NH−CHと表される。本明細書において、ペプチド誘導体の構造の最も左端に「RN=C(R)−」、「イミノメチル−」又は「1−イミノエチル−」と表示されない場合は、アミノ末端のアミノ酸のアミノ基は無置換であることを示す。また、本明細書において、ペプチド誘導体のカルボキシル末端に「−OH」と記載される場合には、カルボキシル末端のアミノ酸のカルボキシル基は無置換であることを示す。
本明細書において、「アミノ酸残基」という用語はペプチド化学の分野における通常の意味で用いられており、より具体的には、αアミノ酸においてα位の関係にあるアミノ基及びカルボキシル基、又はβアミノ酸においてβ位の関係にあるアミノ基及びカルボキシル基から、それぞれ水素原子及びヒドロキシル基を除いた残りの構造を意味する。アミノ酸残基の表記法は、生化学辞典(第3版、東京化学同人、1998年10月8日発行)、WIPO標準ST.25及び平成14年7月に特許庁が公表した「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」に準じる。D−アミノ酸残基を含む場合にはその旨を表示する。すなわち、化学式(1)において、「−AAi−」(iは1ないし4の整数)と表記される第i番目のアミノ酸残基が例えばチロシン残基のときには、「−[Tyr]−」、D−アルギニン残基のときには、「−[D−Arg]−」のようにアルファベット3文字による省略表記で表されるが、修飾アミノ酸残基の場合には、2,6−ジメチル−チロシン残基のときには、「−[2,6−ジメチル−Tyr]−」、N−メチルリジン残基のときには、「−[N−MeLys]−」、N−メチル−β−アラニン残基のときには、「−[N−MeβAla]−」、D−メチオニンスルホキシド残基のときには、「−[D−Met(O)]−」とそれぞれ表される。
本明細書におけるN−メチルリジン残基又はN−MeLysは以下の化学式(12)で表される構造を有する。
Figure 2007145208
本発明におけるN−メチル−β−アラニン残基又はN−MeβAlaは以下の化学式(13)で表される構造を有する。
Figure 2007145208
本発明におけるD−メチオニンスルホキシド残基又はD−Met(O)は以下の化学式(14)で表される構造を有する。
Figure 2007145208
本発明の化合物は、アミノ末端が1−イミノエチル基又はイミノプロピル基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが水素原子で、Rがメチル基又はエチル基であって、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(3)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(3)におけるXが、水素原子、ハロゲン原子及びヒドロキシル基と、化学式(4)及び(5)とからなるグループから選択され、化学式(4)又は(5)におけるR又はRが、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、アリール置換低級アルキル基及び複素環基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるRが、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基及びヒドロキシ低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるnが1〜4の整数から選択され、化学式(1)におけるAAが、非置換又は置換フェニルアラニン残基か、非置換又は置換D−フェニルアラニン残基かであり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZが、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、カルボキシル末端がアミド基又はメチルアミド基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、ともに水素原子であるか、一方が水素原子で他方がメチル基であり、化学式(3)におけるXが、水素原子、ハロゲン原子及びヒドロキシル基と、化学式(4)及び(5)とからなるグループから選択され、化学式(3)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(4)又は(5)におけるR又はRが、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、アリール置換低級アルキル基及び複素環基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるRが、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基及びヒドロキシ低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるnが1〜4の整数から選択され、化学式(1)におけるAAが、非置換又は置換フェニルアラニン残基か、非置換又は置換D−フェニルアラニン残基かであり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZが、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、化学式(3)におけるXがヒドロキシル基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(3)におけるXがヒドロキシル基であり、化学式(3)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるRが、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基及びヒドロキシ低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるnが1〜4の整数から選択され、化学式(1)におけるAAが、非置換又は置換フェニルアラニン残基か、非置換又は置換D−フェニルアラニン残基かであり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZは、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、化学式(3)におけるXが水素原子又はハロゲン原子の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(3)におけるXが、水素原子又はハロゲン原子であり、化学式(3)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるRが、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基及びヒドロキシ低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるnが1〜4の整数から選択され、化学式(1)におけるAAが、非置換又は置換フェニルアラニン残基か、非置換又は置換D−フェニルアラニン残基かであり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZは、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、化学式(1)におけるAAがチロシン残基又は2,6−ジメチル−チロシン残基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(1)におけるAAがチロシン残基又は2,6−ジメチル−チロシン残基であり、化学式(6)におけるRが、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基及びヒドロキシ低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるnが1〜4の整数から選択され、化学式(1)におけるAAが、非置換又は置換フェニルアラニン残基か、非置換又は置換D−フェニルアラニン残基かであり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZは、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、化学式(1)におけるAAがo−アシル−チロシン残基、o−アルコキシカルボニル−チロシン残基、o−フェノキシカルボニル−チロシン残基、o−アセチルチロシン残基又は2,6−ジメチル−フェニルアラニン残基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(1)におけるAAがo−アシル−チロシン残基、o−アルコキシカルボニル−チロシン残基、o−フェノキシカルボニル−チロシン残基、o−アセチルチロシン残基又は2,6−ジメチル−フェニルアラニン残基であり、化学式(6)におけるRが、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基及びヒドロキシ低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるnが1〜4の整数から選択され、化学式(1)におけるAAが、非置換又は置換フェニルアラニン残基か、非置換又は置換D−フェニルアラニン残基かであり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZは、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、化学式(1)におけるAAがD−アルギニン残基又はD−メチオニンスルホキシド残基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(3)におけるXが、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシル基か、化学式(4)又は(5)で表される官能基かであり、化学式(3)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(4)及び(5)におけるR及びRが、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、複素環基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるAAがD−アルギニン残基又はD−メチオニンスルホキシド残基であり、化学式(1)におけるAAが、非置換又は置換フェニルアラニン残基か、非置換又は置換D−フェニルアラニン残基かであり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZは、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、化学式(1)におけるAAがD−N−アセチルオルニチン残基、D−5−オキソノルロイシン残基、D−シトルリン残基又はD−5−ヒドロキシノルロイシン残基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(3)におけるXが、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシル基か、化学式(4)又は(5)で表される官能基かであり、化学式(3)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(4)及び(5)におけるR及びRが、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、複素環基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるAAがD−N−アセチルオルニチン残基、D−5−オキソノルロイシン残基、D−シトルリン残基又はD−5−ヒドロキシノルロイシン残基であり、化学式(1)におけるAAが、非置換又は置換フェニルアラニン残基か、非置換又は置換D−フェニルアラニン残基かであり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZは、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、化学式(1)におけるAAがフェニルアラニン残基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(3)におけるXが、水素、塩素、フッ素及びヒドロキシル基と、化学式(4)及び(5)とからなるグループから選択され、化学式(3)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(4)及び(5)におけるR及びRが、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノ−C1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、アリール置換低級アルキル基及び複素環基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるRが、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基及びヒドロキシ低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるnが1〜4の整数から選択され、化学式(1)におけるAAがフェニルアラニン残基であり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZが、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、化学式(1)におけるAAがp−フルオロフェニルアラニン残基、o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基、2,6−ジメチルフェニルアラニン残基、D−フェニルアラニン残基、D−p−フルオロフェニルアラニン残基又はD−o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(3)におけるXが、水素、塩素、フッ素及びヒドロキシル基と、化学式(4)及び(5)とからなるグループから選択され、化学式(3)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(4)及び(5)におけるR及びRが、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、アリール置換低級アルキル基及び複素環基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるRが、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基及びヒドロキシ低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるnが1〜4の整数から選択され、化学式(1)におけるAAがD−フェニルアラニン残基、p−フルオロフェニルアラニン残基、o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基、D−p−フルオロフェニルアラニン残基又はD−o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基であり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(7)及び(8)におけるR11が、水素原子と、化学式(9)とからなるグループから選択され、化学式(9)におけるZが、低級アルキレン基、低級アルケニレン基及び低級アルキニレン基からなるグループから選択され、化学式(9)におけるR13及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基を表すかである、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、化学式(1)におけるAAがN−メチルリジン残基又はn−メチル−β−アラニン残基の場合がある。すなわち、本発明の化合物は、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択されるか、あるいは、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基かであり、化学式(3)におけるXが、水素、塩素、フッ素及びヒドロキシル基と、化学式(4)及び(5)とからなるグループから選択され、化学式(3)におけるR及びRが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(4)及び(5)におけるR及びRが、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、アリール置換低級アルキル基及び複素環基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるRが、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基及びヒドロキシ低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(6)におけるnが1〜4の整数から選択され、化学式(1)におけるAAが、非置換又は置換フェニルアラニン残基か、非置換又は置換D−フェニルアラニン残基かであり、化学式(7)及び(8)におけるR10及びR12が、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、C6−10アリール基及びアリール置換低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるAAがN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基である、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、一般式(1)で表される化合物であって、化学式(1)におけるRが、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基及び低級アルコキシル基からなるグループから選択され、化学式(1)におけるRが、低級アルキル基からなるグループから選択され、化学式(2)におけるR及びRが、ともに水素原子であるか、一方が水素原子で他方がメチル基であり、AAは、チロシン残基、2,6−ジメチル−チロシン残基、o−アシル−チロシン残基、o−アルコキシカルボニル−チロシン残基、o−フェノキシカルボニル−チロシン残基、o−アセチルチロシン残基又は2,6−ジメチル−フェニルアラニン残基であり、AAは、D−メチオニンスルホキシド残基、D−アルギニン残基、D−シトルリン残基、D−N−アセチルオルニチン残基、D−5−オキソノルロイシン残基又はD−5−ヒドロキシノルロイシン残基であり、AAは、フェニルアラニン残基、D−フェニルアラニン残基、p−フルオロフェニルアラニン残基、D−p−フルオロフェニルアラニン残基、o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基又はD−o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基であり、AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基である、化学式(1)で表される化合物の場合がある。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物の好ましい例としては、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−アミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−アミド、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−アミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−アミド、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−アミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−アミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−メチルアミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−メチルアミドがあるが、これらに限定されない。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物の好ましい例としては、カルボキシル末端がメチルアミド基に置換された、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−メチルアミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−メチルアミド、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−メチルアミド及び1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−メチルアミドがあるが、これらに限定されない。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物の好ましい例としては、アミノ末端の1−イミノエチル基がイミノプロピル基に置換された、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−アミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−アミド、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−アミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−アミド、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−アミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−アミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−メチルアミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−メチルアミド、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−メチルアミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−メチルアミド、イミノプロピル−[2,6、−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−メチルアミド及びイミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−メチルアミドがあるが、これらに限定されない。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物の好ましい例としては、アミノ末端が1−イミノエチル基又はイミノプロピル基に置換され、かつ、カルボキシル末端がエチルアミド基に置換された、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−エチルアミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−エチルアミド、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−エチルアミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−エチルアミド、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−エチルアミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−エチルアミド、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−エチルアミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−エチルアミド、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−エチルアミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−エチルアミド、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−エチルアミド及びイミノプロピル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−エチルアミドがあるが、これらに限定されない。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物の好ましい例としては、アミノ末端が1−イミノエチル基又はイミノプロピル基に置換され、かつ、カルボキシル末端がジメチルアミド基に置換された、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−ジメチルアミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−ジメチルアミド、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−ジメチルアミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−ジメチルアミド、1−イミノエチル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−ジメチルアミド、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−ジメチルアミド、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−ジメチルアミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−ジメチルアミド、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−ジメチルアミド、イミノプロピル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−ジメチルアミド、イミノプロピル−[2,6−ジメチル−Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−ジメチルアミド及びイミノプロピル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−ジメチルアミドがあるが、これらに限定されない。本発明はこれらの化合物とその薬学的に許容できる塩とを提供する場合がある。
本発明の化合物は、任意の光学活性体またはラセミ体、ジアステレオ異性体またはそれらの任意の混合物がすべて含まれる。また、本発明の化合物の薬学的に許容できる塩の好ましい例としては、塩酸塩、酢酸塩、又はパラトルエンスルホン酸などの酸付加塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩などの塩基付加塩、遊離形態及び塩の形態のペプチド誘導体の任意の水和物及び溶媒和物等があるが、これらに限定されない。本発明の化合物には、一般式(1)で表されるペプチド誘導体の2量体ないし多量体である化合物と、これらのペプチド誘導体のC−末端とn−末端が結合した環状の化合物も含まれる場合がある。ここで、本発明の化合物は、その詳細は検討中であるが、現状、神経系のμ−オピオイドレセプタに作用して、鎮痛作用又は抗侵害作用を発現させると考えられている。
本発明は、痛み、特に疼痛の予防及び/又は治療に用いる医薬品組成物を提供する。本発明は、疼痛の予防及び/又は治療に用いる医薬の製造のための本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。本発明は、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩の有効量をヒトを含む動物に投与するステップを含む、疹痛の予防及び/又は治療方法を提供する。
本発明の医薬品組成物は、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つを有効成分として含む。本発明の医薬品組成物は、少なくとも1つの本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩と、少なくとも1つの薬学的に許容できる担体とを含む場合がある。本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含む。本発明の医薬品組成物は、一般的な疼痛の予防及び/又は治療をはじめ、ニューロパチックペインの予防及び/又は治療、癌性疼痛の予防及び/又は治療を目的として使用することができ、静脈内投与、皮下投与、直腸内投与などの非経口投与のほか、経口投与、経粘膜投与、又は経皮投与により適用可能である。これらの投与経路に適する剤形は当業者に種々知られており、当業者は所望の投与形態に適する剤形を適宜選択し、必要に応じて当業界で利用可能な1又は2以上の薬学的に許容できる担体又は製剤用添加物を用いて医薬用組成物の形態の製剤を製造することが可能である。例えば、経粘膜投与には、点鼻剤や鼻腔内スプレー剤などの鼻腔内投与剤又は舌下剤などのロ腔内投与剤などが好適である。本発明の医薬の有効成分として、本発明の化合物又はその薬学的に許容できる塩の水和物又は溶媒和物が用いられる場合がある。投与量は特に限定されないが、例えば、経皮投与又は経粘膜投与の場合には単回投与量を0.1〜10mgとし、経口投与の場合には単回投与量を1〜100mgとして、一日あたり2〜3回投与することができる。あるいは、通常成人1日あたり約0.1〜1,000mg、好ましくは、約1〜300mg投与することができる。また、投与量を患者の体重、年齢、遺伝子型、病状等のパラメータと関連づけて設定することができる。
本発明の医薬品組成物は、錠剤、顆粒剤(細粒)、カプセル剤、注射剤(点滴静注剤)、貼布剤、坐剤、懸濁液及びエマルジョン、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、点鼻剤、点眼剤等の剤形で提供される場合があるが、これらに限定されない。本発明の医薬品組成物は、持続時間を長時間維持することを目的として徐放化される場合がある。
本発明の医薬品組成物に含まれる薬学的に許容できる担体又は製剤用添加物には、安定化剤、界面活性剤、可溶化剤、吸着剤等が含まれるが、これらに限定されない。本発明の医薬品組成物に含まれる薬学的に許容できる担体又は製剤用添加物は、上記に列挙される本発明の医薬品組成物の剤形に対応して選択される。
本発明の化合物の製造方法は特に限定されないが、通常のペプチド合成に通常用いられる固相法および液相法で合成することができる。本明細書の実施例には、本発明の化合物の代表的化合物について、具体的かつ詳細に製造方法が説明されている。従って、当業者は、これらの実施例を参照しつつ、適宜の原料化合物及び試薬を選択し、必要に応じて反応条件や反応工程に適宜の修飾ないし改変を加えることによって、本発明の化合物を容易に製造することが可能である。アミノ基等の保護基および縮合反応の縮合剤等は、優れたものが種々知られており、以下の実施例を参考に、また、例えば:鈴木紘一編「タンパク質工学−基礎と応用」丸善(株)(1992)及びそこに引用された文献;M.Bondanszky,etal.,“PeptideSynthesis”,JohnWiley&Sons,n.Y.,1976;並びにJ.M.StewartandD.J.Young,”SolidPhasePeptideSynthesis”,W.H.FreemanandCo.,SanFrancisco,1969等を参照して適宜選択使用することができる。固相法では市販の各種ペプチド合成装置、例えば株式会社パーキン・エルマー・ジャパン製モデル430A、株式会社島津製作所製PSSM−8等を利用するのが便利な場合がある。合成に使用する樹脂、試薬等は市販品等を容易に入手できる。
本発明の化合物の抗侵害作用は、テイルフリック(tail flick)法、圧刺激(tail pressure)法等を用いる動物実験によって定量的に評価できる。テイルフリック法については本明細書の実施例において詳細に説明する。圧刺激法は、特許文献3及び4に説明されている。簡単には、マウスの尾根部に10mmHg/秒の割合で圧刺激を加え、もがき、刺激部位への噛みつきなどの行動を示す圧力を測定し、これを疼痛反応閾値とした。最大刺激圧は100mmHgとした。実験に供するマウスとして、予備実験において40〜50mmHgの圧力に反応するマウスを選抜した。異なる投与する薬物の種類及び投与量の条件ごとに、同一条件のマウス数匹ないし数十匹を投与後の一定時間間隔で、圧刺激を加え、疼痛反応閾値を測定した。疼痛反応閾値の測定値にもとづいて、次式:
% of MPE=(Pt−Po)/(Pc−Po)×100
(式中、Poは薬物投与前の疼痛反応閾値;Ptは薬物投与t分後の疼痛反応閾値;Pcは最大刺激圧である)にしたがって、percent of maximum possible effect(% of MPE)を算出し、抗侵害作用の定量化を行った。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本実施例を参照し、あるいは本実施例の方法を修飾・変更することによって、あるいは出発原料または反応試薬を適宜選択することにより、一般式(1)で表される本発明の化合物を容易に製造することができる。実施例において、アミノ酸基の意味は通常用いられているものと同様である。D−体とL−体とが存在するアミノ酸が言及される場合、特にD−と表示していない場合には、そのアミノ酸はL−アミノ酸を意味する。また、以下の略語を使うことがあり、特に示していない場合にも同様な略語を用いる場合がある。なお、イミノメチル−[Phe]−、Boc−[Phe]−等の表記は、フェニルアラニンのアミノ末端の窒素原子がそれぞれイミノメチル基又はt−ブトキシカルボニル基で修飾されていることを示す。
以下の実施例の説明において用いられる略語の意味は以下のとおりである。
Boc:t−ブトキシカルボニル(butoxycarbonyl)
BrZ:2−ブロモベンジルオキシカルボニル(bromobenzyloxycarbony1)
Bzl:ベンジル(benzyl)
ClZ:2−クロロベンジルオキシカルボニル(chlorobenzyloxycarbonyl)
D−Arg:D−アルギニン
D−Met(O):D−メチオニンスルホキシド(D−メチオニンの硫黄原子に1個の酸素原子が結合した構造を有する基を指す。)
DMF:N,N−ジメチルホルマミド(dimethylformamide)
DMT:2,6−ジメチル−チロシン
HF:無水フッ化水素
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(hydroxybenzotriazole)
HPLC:高速液体クロマトグラフィ−(high−performance liquid chromatography)
N−MeβAla:N−メチル−β−アラニン(β−アラニンのα−アミノ基の窒素原子にメチル基が一つ結合した構造を有する基を指す。)
N−MeLys:N−メチルリジン(リジンのα−アミノ基の窒素原子にメチル基が一つ結合した構造を有する基を指す。)
N−MeLys(ClZ):ClZ−N−メチルリジン(リジンのα−アミノ基の窒素原子にメチル基が1つ結合し、ε−アミノ基の窒素原子にClZ基が1つ結合した構造を有する基を指す。)
Phe:フェニルアラニン
TFA:トリフルオロ酢酸(trifluoroaceticacid)
Tos:p−トルエンスルホニル(toluenesulfonyl)
Tyr:チロシン
WSCD:水溶性カルボジイミド(water−solublecarbodiimide)の意味で、具体的には、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノープロピル)−カルボジイミドを指す。
1.SS8225−ペプチド
本明細書で実施例及び比較例として合成されたペプチド誘導体はSS8225−1、2、3、...という通し番号が付されている(以下、「SS8225−ペプチド」という。)。本明細書における実施例及び比較例のそれぞれのSS8225−ペプチド及び化学構造との対応関係は以下の表1に示すとおりである。比較例1及び2はそれぞれモルヒネ及びオキシコドンである。ペプチド誘導体SS8225−22は合成方法の説明に用いたので参考例として表に掲載した。
Figure 2007145208
また、本明細書における実施例1ないし8の化合物は以下の化学式(15)ないし(22)で表される構造を有する。
Figure 2007145208
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2.出発アミノ酸誘導体の合成
(1)出発アミノ酸誘導体の入手
以下に説明するペプチド誘導体の合成に用いた試薬は市販品であるか、あるいは、当業者が容易に調製することができるものである。ペプチド合成反応に用いた出発アミノ酸誘導体のうち、Boc−[N−MeLys(ClZ)]−OHは例えばアナスペック(Anaspec)社から、Boc−[N−MeβAla]−OHは例えば渡辺化学工業株式会社から、Boc−[Phe]−OH、Boc−[D−Arg(Tos)]−OH、Boc−[Tyr(BrZ)]−OH、Boc−[D−Met]−OH等は例えば株式会社ペプチド研究所から入手可能である。
(2)出発アミノ酸誘導体:Boc−[N−MeLys(ClZ)]−NHの合成
Boc−[N−MeLys(ClZ)]−OH、HOBtとNHClをDMFに溶解し、冷却下、WSCDを加え撹拌し、その後室温で終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1N塩酸、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮してBoc−[N−MeLys(ClZ)]−NHを油状物として得た。
(3)出発アミノ酸誘導体:Boc−[N−MeLys(ClZ)]−o−Bzlの合成
Boc−[N−MeLys(ClZ)]−OHとBzl−BrをDMFに溶解し、冷却下、トリエチルアミンを加え撹拌し、その後室温で終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1N塩酸、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮してBoc−[N−MeLys(ClZ)]−o−Bzlを油状物として得た。
(4)出発アミノ酸誘導体:Boc−[N−MeβAla]−o−Bzlの合成
Boc−[N−MeβAla]−OHとBzl−BrをDMFに溶解し、冷却下、トリエチルアミンを加え撹拌し、その後室温で終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1N塩酸、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮してBoc−[N−MeβAla]−o−Bzlを油状物として得た。
(5)出発アミノ酸誘導体:Boc−[N−MeβAla]−NHの合成Boc−[N−MeβAla]−OH、HOBtとNHClをDMFに溶解し、冷却下、WSCDを加え撹拌し、その後室温で終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1N塩酸、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮してBoc−[N−MeβAla]−NHを白色固体として得た。
(6)出発アミノ酸誘導体:Boc−[N−MeβAla]−NHCHの合成
Boc−[N−MeβAla]−OH、HOBtとNH3CH・ClをDMFに溶解し、冷却下、WSCDを加え撹拌し、その後室温で終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1N塩酸、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮してBoc−[N−MeβAla]−NHCHを無色油状物として得た。
(7)出発アミノ酸誘導体:Boc−[N−MeLys(ClZ)]−NHCHの合成
Boc−[N−MeLys(ClZ)]−OH、HOBtとNHCH・ClをDMFに溶解し、冷却下、WSCDを加え撹拌し、その後室温で終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1N塩酸、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮してBoc−[N−MeLys(ClZ)]−NHCHを無色油状物として得た。
3.SS8225−ペプチドの合成
(1)SS8225−22の合成本明細書における実施例及び比較例に記載のSS8225−09、01、02及び12は表1に参考例として掲載したSS8225−22と同様に合成したので、まず、SS8225−22の合成について説明する。Boc−[N−MeLys(ClZ)]−NHを出発物とし、アミノ末端のBoc基をTos−OH、TFA及び塩酸ジオキサン溶液で除去して、Tos−OH・N−MeLys(ClZ)−NHを得た。次にTos−OH・N−MeLys(ClZ)−NH、Boc−[Phe]−OHとHOBtをDMFに溶解し、冷却下、WSCDを加えて室温で終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1N塩酸、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮してBoc−[Phe]−[N−MeLys(ClZ)]−NHを得た。同様にして、順次Boc−[D−Arg(Tos)]−OH、Boc−[Tyr(BrZ)]−OHを縮合しBoc−[Tyr(BrZ)]−[D−Arg(Tos)]−[Phe]−[N−MeLys]−NHを得た。次にアミノ末端のBoc基をTFAで除去し、得られたTFA・Tyr(BrZ)−[D−Arg(Tos)]−[Phe]−[N−MeLys]−NH、アセトイミド酸エチル塩酸塩およびトリエチルアミンをDMFに溶解した。この溶液を室温で2時間30分撹拌した。反応液を減圧濃縮し、冷水を加え沈殿化後、沈殿物をろ取し、乾燥して1−イミノエチル−[Tyr(BrZ)]−[D−Arg(Tos)]−[Phe]−[N−MeLys]−NHを得た。次に1−イミノエチル−[Tyr(BrZ)]−[D−Arg(Tos)]−[Phe]−[N−MeLys]−NHを−3℃〜−5℃での冷却下、HF/p−creso1(85/15)の溶液で1時間処理した。HFを減圧留去後、得られた残留物を水に溶解し、イオン交換樹脂に負荷し、1%酢酸水溶液で溶出して、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeLys]−NH・酢酸の粗精製物を得た。次に逆相HPLCで分取精製し、凍結乾燥後、SS8225−22(1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeLys]−NH)・酢酸を得た。
(2)SS8225−09、01、02及び12の合成
SS8225−22と同様の方法により、Boc−[N−MeLys(ClZ)]−NHを出発物アミノ酸誘導体としてSS8225−1(比較例3)を、Boc−[N−MeLys(ClZ)]−o−Bzlを出発物アミノ酸誘導体としてSS8225−17(比較例6)を、Boc−[N−MeβAla]−NHを出発物アミノ酸誘導体としてSS8225−01及び02(実施例1及び2)をそれぞれ合成した。
(3)SS8225−06の合成
Boc−[N−MeLys(ClZ)]−NHを出発物とし、アミノ末端のBoc基をTos−OH、TFA及び塩酸ジオキサン溶液で除去して、Tos−OH・N−MeLys(ClZ)−NHを得た。次にTos−OH・N−MeLys(ClZ)−NH、Boc−[Phe]−OHとHOBtをDMFに溶解し、冷却下、WSCDを加えて室温で終夜撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、1N塩酸、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮してBoc−[Phe]−[N−MeLys(ClZ)]−NHを得た。同様にして、順次Boc−[D−Met]−OH、Boc−[Tyr(BrZ)]−OHを縮合しBoc−[Tyr(BrZ)]−[D−Met]−[Phe]−[N−MeLys]−NHを得た。次にアミノ末端のBoc基をTFAで除去し、得られたTFA・Tyr(BrZ)−[D−Met]−[Phe]−[N−MeLys]−NH、アセトイミド酸エチル塩酸塩およびトリエチルアミンをDMFに溶解した。この溶液を室温で2時間30分撹拌した。反応液を減圧濃縮し、冷水を加え沈殿化後、沈殿物をろ取し、乾燥して1−イミノエチル−[Tyr(BrZ)]−[D−Met]−[Phe]−[N−MeLys]−NHを得た。次に、1−イミノエチル−[Tyr(BrZ)]−[D−Met]−[Phe]−[N−MeLys]−NHを−3℃〜−5℃での冷却下、HF/p−cresol(85/15)の溶液で1時間処理した。HFを減圧留去後、得られた残留物を水に溶解し、イオン交換樹脂に負荷し、1%酢酸水溶液で溶出して、1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met]−[Phe]−[N−MeLys]−NH・酢酸の粗精製物を得た。次に1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met]−[Phe]−[N−MeLys]−NH・酢酸の粗精製物を酢酸水溶液に溶解し、過酸化水素水を加え1時間30分撹拌した。反応液を逆相HPLCで分取精製し、凍結乾燥後、SS8225−06(実施例6)の酢酸を得た。
なお、D−MetをD−Met(O)に変換した際に過酸化水素水を用いたので、本誘導体はD−メチオニン−(S)−スルホキシド及びD−メチオニン−(R)−スルホキシドを含む混合物である。
(4)SS8225−10、03、04、11、05、07及び08の合成
SS8225−06と同様の方法により、Boc−[N−MeLys(ClZ)]−NHを出発物アミノ酸誘導体としてSS8225−10及び05比較例4及び実施例5)を、Boc−[N−MeLys(ClZ)]−o−Bzlを出発物アミノ酸誘導体としてSS8225−11(比較例5)を、Boc−[N−MeβAla]−NHを出発物アミノ酸誘導体としてSS8225−03及び04(実施例3及び4)を、Boc−[N−MeβAla]−NHCHを出発物アミノ酸誘導体としてSS8225−07(実施例7)を、Boc−[N−MeLys(ClZ)]−NHCHを出発物アミノ酸誘導体としてSS8225−08(実施例8)をそれぞれ合成した。
4.SS8225−ペプチドのNMR解析結果
SS8225−ペプチドのそれぞれについてのNMR解析データは、日本電子JEOLJNM−EX270を用いて、270MHz、室温で測定された。
SS8225−01(実施例1)のNMR解析データ
H−NMR(DO)δ:7.30−7.10(5H,m),6.49(2H,s),5.10−4.88(1H,m),4.20(1H,q,J=5.3Hz),4.02−3.87(1H,m),3.68−3.32(2H,m),3.25−2.67(9H,m),2.35(2H,t,J=6.8Hz),2.16(2.6H,s),2.11(6H,s),1.92(0.4H,s),1.24−0.64(4H,m)
SS8225−02(実施例2)のNMR解析データ
H−NMR(DO)δ:7.30−7.10(5H,m),7.01(2H,d,J=8.0Hz),6.73(2H,d,J=8.0Hz),5.09−4.89(1H,m),4.34(1H,t,J=7.7Hz),3.99(1H,q,J=6.0Hz),3.54−3.45(2H,m),3.08−2.67(9H,m),2.34(2H,t,J=6.9Hz),2.11(2.6H,s),1.96(0.4H,s)1.33−0.62(4H,m)
SS8225−03(実施例3)のNMR解析データ
H−NMR(DO)δ:7.32−7.13(5H,m),6.51(2H,s),5.10−4.90(1H,m),4.30−4.13(1H,m),4.13−3.96(1H,m),3.68−3.35(2H,m),3.27−2.71(7H,m),2.48(3H,s),2.34(2H,t,J=6.8Hz),2.16(3H,s),2.11(6H,s),2.01−1.90(2H,m),1.67−1.30(2H,m)
SS8225−04(実施例4)のNMR解析データ
H−NMR(DO)δ:7.32−7.10(5H,m),7.03(2H,d,J=8.0Hz),6.75(2H,d,J=8.0Hz),5.08−4.90(1H,m),4.34(1H,t,J=7.6Hz),4.20−4.00(1H,m),3.65−3.33(2H,m),3.06−2.72(7H,m),2.49(3H,s),2.34(2H,t,J=6.5Hz),2.27−1.95(5H,m)1.78−1.40(2H,m)
SS8225−05(実施例5)のNMR解析データ
H−NMR(DO)δ:7.35−7.13(5H,m),6.53(2H,s),5.10−4.96(1H,m),4.85−4.76(1H,m),4.39−3.90(2H,m),3.24−2.78(9H,m),2.51(3H,s),2.18(3H,s),2.13(6H,s),1.98−1.36(8H,m),1.30−0.85(2H,m)
SS8225−06(実施例6)のNMR解析データ
H−NMR(DO)δ:7.40−7.13(5H,m),7.05(2H,d,J=8.0Hz),6.77(2H,d,J=8.0Hz),5.04(1H,t,J=7.6Hz),4.80−4.60(1H,m),4.36(1H,t,J=7.0Hz),4.24−4.00(1H,m),3.15−2.68(9H,m),2.52(3H,s),2.35−1.45(11H,m),1.26−0.85(2H,m)
SS8225−07(実施例7)のNMR解析データ
H−NMR(DO)δ:7.24−7.05(5H,m),6.97(2H,d,J=8.4Hz),6.68(2H,d,J=8.4Hz),4.98−4.83(1H,m),4.27(1H,t,J=7.6Hz),4.13−3.93(1H,m),3.58−3.25(2H,m),3.00−2.63(7H,m),2.49(3H,s),2.42(3H,s),2.30−1.86(7H,m),1.67−1.32(2H,m)
SS8225−08(実施例8)のNMR解析データ
H−NMR(DO)δ:7.35−7.06(5H,m),7.01(2H,d,J=8.2Hz),6.73(2H,d,J=8.2Hz),4.97(1H,t,J=7.4Hz),4.80−4.60(1H,m),4.31(1H,t,J=7.1Hz),4.20−3.95(1H,m),3.08−2.73(9H,m),2.65−2.43(6H,m),2.31−1.92(5H,m),1.75−1.38(6H,m),1.25−0.78(2H,m)
5.抗侵害作用試験、その1(テイル・フリック法での評価)
(1)実験動物体重22〜25gのddY系雄性マウス(日本SLC)を実験動物として使用した。動物は、実験に供するまで室温22±2℃、湿度55±5%、明暗12時間サイクル(明期9:00〜21:00、暗期21:00〜9:00)の一定環境で飼育された。なお、動物はマウス用固形飼料(F2、船橋農場、船橋市)および水道水を自由に摂取させた。
(2)投与薬物及び投与方法上記のとおり合成されたSS8225−ペプチドのうち、実施例としてSS8225−01、02、03、04、05、06、07及び08と、比較例としてSS8225−09、10、11及び12とを投与薬物として用いた。また、他の薬物と薬効を比較するために、モルヒネ及びオキシコドンも投与薬物として用いた。投与液は、マウスの体重1kgあたり0.03125〜20mg(mg/kg)のSS8225−01、02、03、04、05、06、07、08、09、10、11及び12を、マウスの体重1kgあたり0.89〜67.5mg(mg/kg)のモルヒネ又はオキシコドンかの投与量条件にあわせて、マウス体重10gあたり0.1mLとなるように、それぞれの薬物の濃度を調整してリンゲル液に希釈した。また、リンゲル液だけの投与液を実験対照として用いた。マウスを測定環境に慣れさせるために60分間測定プラスチックケージ内に放置してから以下で説明するテイル・フリック法にしたがってマウス各個体について薬物投与前の潜時を測定した。マウス尾先端部より2cmの部分に輻射熱照射を行い、その熱刺激に対してマウス各個体が尾を振るまでの時間を薬物投与前の潜時として測定した。薬物投与前の潜時が2.5−3.5秒のマウス個体を薬物投与用に選択した。1種類の薬物の1つの投与量条件の投与液を10匹のマウスに投与して、1つの実験群とした。マウスの各個体について体重を測定し、マウス体重10gあたり0.1mLとなるように、前記投与液の体積を調整して投与した。投与方法は、皮下投与(s.c.)又は経口投与(p.o.)の2種類の投与方法を用いた。皮下投与には、27番ゲージ注射針を用いて、マウス体重10gあたり0.1mL(O.1mL/10g)の投与液をマウス後背部に注射した。経口投与には、マウス体重10gあたり0.1mL(0.1mL/10g)の投与液を経ロゾンデを用いて投与した。
(3)抗侵害作用の評価方法抗侵害効果の指標として、熱侵害刺激であるテイル・フリック法を用いてそれぞれの薬物のそれぞれの投与方法及び投与量の条件ごとの抗侵害作用を定量的に評価した。薬物投与後、15、30又は60分の間隔を置いて設定した測定時間ごとに、それぞれの薬物のそれぞれの投与方法及び投与量の条件ごとの実験群について、マウス尾先端部より2cmの部分に輻射熱照射を行い、マウス各個体が尾を振るまでの潜時を測定し、該潜時を仮性疼痛閾値とした。刺激部位の損傷を最小限にするため、最長刺激時間(cut−offtime)は10秒とした。抗侵害作用は、下記の数式(I)から算出される%MPE(% of maximum possible effect)によって定量的に評価した。
[数1]

(T2−T1)
%MPE=───────── ×100 ……(I)
(Tc−T1)
上記の式において、T1は薬物投与前の潜時(秒)、T2は薬物投与後の潜時(秒)、Tcは最大刺激時間(cut−off time)を意味する。
各薬物の投与量条件ごとに10匹のマウスの各個体の%MPEを算出し、その平均値および標準誤差(mean±S.E.M.)を縦軸に、投与後の時間を横軸にプロットして、%MPEの経時変化を示すグラフを作成した(図1、図3、図5、図7、図9、図11、図13、図15、図17、図19、図21、図23、図25、図27、図29、図31、図33及び図35)。各薬物ごとに同じ測定時間における、それぞれの投与量での実験群の各個体の%MPEデータと、対照実験のリンゲル液での実験群の各個体の%MPEデータとを二元配置の分散分析(two−way ANOVA)により処理した後、Bonferroni post−testに従って、危険率5%未満を有意差ありと判断した。
本明細書において、それぞれの投与量条件での抗侵害作用の持続時間は、図1、図3、図5、図7、図9、図11、図13、図15、図17、図19、図21、図23、図25、図27、図29、図31、図33及び図35の%MPEの経時変化を示すグラフにおいて、各投与量条件の%MPEの経時変化を示す曲線について、投与後、最初にリンゲル液の対照と比べて抗侵害作用の有意差が5%未満になった時点から、最後に抗侵害作用の有意差が5%未満であった時点までの時間をいう。本明細書において、各薬物について抗侵害作用の持続時間とは、最も持続時間が長い投与量条件での抗侵害作用の持続時間をいう。
各薬物について、投与量条件ごとの%MPEの経時変化のデータを、曲線解析プログラム(GraphPad Prismソフトウェア、バージョン3.0、GraphPadSoftware、米国カリフォルニア州サンジエゴ市)を用いて解析し、50%有効用量(ED50)とその95%信頼限界を算出して、用量−反応曲線のグラフを作成した(図1〜12のB及びD)。ED50はmg/kgの単位で表された。本明細書において、それぞれの薬物のそれぞれの投与方法ごとのED50とは、それぞれの薬物・投与方法について薬効が最も強い投与量条件でのED50値、すなわち、各投与量条件でのED50のうち最小値を指す。本明細書において各薬物の抗侵害作用の強弱を比較する際には、ある薬物のED50値が別の薬物のED50値の何倍であるかで表す。
(4)抗侵害作用試験の結果実施例1〜8及び比較例1〜6についてのテイル・フリック法による抗侵害作用試験の結果を以下の表2及び図1、図3、図5、図7、図9、図11、図13、図15、図17、図19、図21、図23、図25、図27、図29、図31、図33及び図35に示す。これらの%MPEの経時変化を示すグラフでは投与量条件及び投与後時間ごとにプロットされた標準偏差の上限に*が付されている場合には、その投与量条件ではリンゲル液の対照と比べた抗侵害作用の有意差が危険率5%未満であることを意味する。前記グラフで標準偏差の上限に*が2個(**)付されている場合には、その投与量条件ではリンゲル液の対照と比べた抗侵害作用の有意差が危険率1%未満であることを意味する。これらの図から、それぞれの薬物について、皮下投与及び経口投与における抗侵害作用の経時変化の曲線が最大になる時間をピーク作用時間として求めることができる。表2における実施例及び比較例について、皮下ED50及び経口ED50の欄は、かっこの外の数値がそれぞれの薬物について作用ピーク時間におけるED50、すなわち、50%有効用量を表し、かっこ内の範囲が作用ピーク時間におけるED50の95%信頼限界を表す。抗侵害作用が弱いために、皮下投与でのED50が0.5mg/kgより大きい場合には「>0.5」と表され、経口投与でのED50が10mg/kgより大きい場合には「>10」と表される。
Figure 2007145208
上記グラフのうち、図1〜図4、図7〜図10、図13〜図16、図19、図20、図23〜図26、図29、図30、図33〜図36のグラフは皮下投与の試験結果を表すグラフであり、図5、図6、図11、図12、図17、図18、図21、図22、図27、図28、図31、及び、図32は経ロ投与の試験結果を表すグラフである。これらのうち、図番号が奇数のグラフは投与後の抗侵害作用の経時的変化を示し、縦軸は%MPE(単位はなし)、横軸は時間(単位は分)である。B及びDは用量−反応曲線を示し、縦軸は%MPE、横軸は投与量(単位はmg/kg)である。
<実施例1>
図1及び図2は、実施例1(SS8225−11:1−イミノエチル−[DMT]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−NH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−11の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である皮下投与後90分におけるED50値は0.12mg/kgで、95%信頼限界は0.08−0.20mg/kgであり、0.5mg/kgおよび0.25mg/kg皮下投与による持続時間は7時間以上であった。
<実施例2>
図3及び図4は、実施例2(SS8225−12:1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeβAla]−NH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−12の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である皮下投与後90分におけるED50値は0.06mg/kgで、95%信頼限界は0.03−0.10mg/kgであり、0.125mg/kg皮下投与による持続時間は6時間であった。図5及び図6は、実施例2を経口投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。経口投与時においても、用量依存的な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である経口投与後4時間におけるED50値は4.0mg/kgで、95%信頼限界は3.97−4.10mg/kgであり、10mg/kg経口投与による持続時間は10時間であった。
<実施例3>
図7及び図8は、実施例3(SS8225−13:1−イミノエチル−[DMT]−[D−Met−(0)]−[Phe]−[N−MeβAla]−NH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−13の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である皮下投与後90分におけるED50値は0.08mg/kgで、95%信頼限界は0.06−0.12mg/kgであり、0.25mg/kg皮下投与による持続時間は7時間であった。
<実施例4>
図9及び図10は、実施例4(SS8225−14:1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−NH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−14の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である皮下投与後90分におけるED50値は0.05mg/kgで、95%信頼限界は0.01−0.11mg/kgであり、0.125mg/kg皮下投与による持続時間は7時間であった。図11及び図12は、実施例4を経口投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。経口投与時においても、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である経口投与後180分におけるED50値は2.53mg/kgで、95%信頼限界は2.17−2.95mg/kgであり、10mg/kg経口投与による持続時間は10時間以上であった。
<実施例5>
図13及び図14は、実施例5(SS8225−19:1−イミノエチル−[DMT]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−NH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−19の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である皮下投与後120分におけるED50値は0.10mg/kgで、95%信頼限界は0.04−0.22mg/kgであり、0.25mg/kg皮下投与による持続時間は7時間であった。
<実施例6>
図15及び図16は、実施例6(SS8225−20:1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−NH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−20の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である皮下投与後90分におけるED50値は0.18mg/kgで、95%信頼限界は0.07−0.43mg/kgであり、0.25mg/kg皮下投与による持続時間は5時間であった。図17及び図18は、実施例6を経口投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。経口投与時においても、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である経口投与後120分におけるED50値は6.02mg/kgで、95%信頼限界は4.37−8.28mg/kgであり、10mg/kg経口投与による持続時間は7時間であった。
<実施例7>
図19及び図20は、実施例7(SS8225−23:1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met−(O)]−[Phe]−[N−MeβAla]−NHCH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−23の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である皮下投与後60分におけるED50値は0.05mg/kgで、95%信頼限界は0.03−0.09mg/kgであり、0.125mg/kg皮下投与による持続時間は5時間であった。図21及び図22は、実施例7を経口投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。経口投与時においても、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である経口投与後180分におけるED50値は2.51mg/kgで、95%信頼限界は2.23−2.83mg/kgであり、10mg/kg経口投与による持続時間は8時間であった。
<実施例8>
図23及び図24は、実施例8(SS8225−24:1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−NHCH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−24の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。皮下投与時のピーク時間である90分におけるED50値は0.1mg/kgで、95%信頼限界は0.05−0.24mg/kgであり、0.25mg/kg皮下投与による持続時間は5時間であった。
<比較例1>
図25及び図26は、比較例1(モルヒネ)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。モルヒネの皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である皮下投与後30分におけるED50値は2.51mg/kgで、95%信頼限界は1.48−4.26mg/kgであり、5mg/kg皮下投与による持続時間は90分であった。図27及び図28は、比較例1(モルヒネ)を経口投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。1経口投与時においても、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である経口投与後45分におけるED50値は29.92mg/kgで、95%信頼限界は26.37−33.95mg/kgであり、67.5mg/kg経口投与による持続時間は5時間であった。
<比較例2>
図29及び図30は、比較例2(オキシコドン)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。オキシコドンの皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である皮下投与後30分におけるED50値は1.21mg/kgで、95%信頼限界は0.95−1.54mg/kgであり、1.75mg/kg皮下投与による持続時間は90分であった。図31及びDは、比較例2(オキシコドン)を経口投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。経口投与時においても、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である経口投与後45分におけるED50値は7.82mg/kgで、95%信頼限界は6.46−9.47mg/kgであり、20mg/kg経口投与による持続時間は5時間であった。
<比較例3>
図33及び図34は、比較例3(SS8225−1:DMT−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeLys]−NH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−1の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である90分におけるED50値は0.44mg/kgで、95%信頼限界は0.33−0.59mg/kgであった。1mg/kg皮下投与による持続時間は5時間であった。ペプチド誘導体SS8225−1を経口投与した場合には、抗侵害作用のED50値は10mg/kgを超えた。
<比較例4>
図35及び図36は、比較例4(SS8225−5:DMT−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−NH)を皮下投与した場合の抗侵害作用試験の結果を示す。ペプチド誘導体SS8225−5の皮下投与により、用量依存的かつ有意な抗侵害作用が発現した。作用ピーク時間である90分におけるED50値は0.28mg/kgで、95%信頼限界は0.21−0.39mg/kgであり、0.5mg/kg皮下投与による持続時間は6時間であった。ペプチド誘導体SS8225−5を経口投与した場合には、抗侵害作用のED50値は10mg/kgを超えた。
<比較例5>
比較例5(SS8225−16:1−イミノエチル−[Tyr]−[D−Met(O)]−[Phe]−[N−MeLys]−OH)を皮下及び経口投与した場合の抗侵害作用試験の結果、SS8225−16を皮下投与した場合の抗侵害作用のED50値は0.5mg/kgを超え、経口投与した場合の抗侵害作用のED50値は10mg/kgを超えた(図示しない)。
<比較例6>
比較例6(SS8225−17:1−イミノエチル−[DMT]−[D−Arg]−[Phe]−[N−MeLys]−OH)を皮下及び経口投与した場合の抗侵害作用試験の結果、SS8225−17を皮下投与した場合の抗侵害作用のED50値は0.5mg/kgを超えるとの結果が得られ、経口投与した場合の抗侵害作用のED50値は10mg/kgを超えるとの結果が得られた(図示しない)。
以上の抗侵害作用試験(テイル・フリック法)の結果から、実施例のペプチド誘導体には、経口投与時のED50が2.5mg/kgに達する化合物が含まれ、これはモルヒネの経口投与における抗侵害作用より10倍以上、オキシコドン及び比較例のペプチド誘導体の抗侵害作用より数倍以上強力である。本発明の化合物は、皮下投与時の作用ピーク時間におけるED50値が0.12mg/kg以下であり、これは、モルヒネの皮下投与における抗侵害作用より20倍以上、オキシコドンの抗侵害作用より10倍以上強力である。比較例のペプチド誘導体は、皮下投与における抗侵害作用はオキシコドンより強力なものがあるが、経口投与における抗侵害作用はオキシコドンより弱く、実施例のペプチド誘導体の数分の1しかない。また、本発明の化合物の抗侵害作用の持続時間はモルヒネと同等以上であり、モルヒネの2倍の10時間に達する場合がある。したがって、本発明の化合物は、特に経口投与における抗侵害作用が強力であることがわかった。そこで、痛みの予防及び/又は治療のための医薬、特に非常に優れた経口薬として利用可能である。
ここで、これら投与薬剤における経口投与、及び、皮下投与での結果よりAUC(投与後の時間(経過時間)と%MPEとの関係を示すグラフにおける時間反応曲線と基線とで囲まれる面積)を算出し、投与量とAUCとの関係を、AUCを縦軸に、投与量を対数の横軸にとったグラフとして、図37及び図38に、それぞれ示した。
これら図より、本発明に係るSS8225−04及びSS8225−07では、同じAUCを得るために、経口投与及び皮下投与のいずれでも、モルヒネの投与量の1/20〜1/50以下の投与量で充分であり、さらに、投与量を比較的多くした場合には、モルヒネの通常の投与量では到底得られない桁外れに高い、抗侵害作用が得られることが理解される。
6.抗侵害作用試験、その2(アロディニア実験)
次に、ニューロパチックペイン(神経因性疼痛)を想定した神経損傷モデルでの抗侵害作用について検討した。
<神経損傷モデル>
神経損傷モデルとしてはSeltzer(ゼルツァー)らが考案したモデル(partial sciatic nerve ligation:PSLモデル)に従った。
すなわち、リンゲル液(扶桑薬品工業社製)により7倍希釈したネンブタール(大日本製薬社製)を6番ゲージ注射針(テルモ)を用いて、マウス腹腔へ0.1mL/10g(体重)の割合で投与して麻酔をかけた。麻酔下、マウスをうつ伏せに置き、大腿骨上の皮膚を切開した後、その下の筋膜を切開し、さらに大腿二頭筋の筋頭間を切り分けた後、次のように坐骨神経を固定した。すなわち、坐骨神経に傷を付けないよう迅速に剥離し、右下肢の坐骨神経周囲の1/3〜1/2を、血管用弱れん針000バネ穴(夏目製作所)を用い、ナイロン縫合糸No.9−0(夏目製作所社製)により完全に結紮した。その後、切開した皮膚を絹製縫合糸No.2(夏目製作所社製)により、外科強角針1バネ針(夏目製作所)を用いて縫合し、測定日まで飼育した.
<測定方法>
上記神経損傷モデル動物におけるアロディニアの測定は、神経結紮後7日後にVon Frey Filament(フォン フレイ フィラメント)法により行なった。
すなわち、モデル動物を床面が網状となったコンパートメントに1匹ずつ入れ、約1〜2時間後自発運動が消失したことを確認したのち、各薬液(モルヒネ、SS8225−04、あるいは、SS8225−07)を所定量、経皮投与した。
その後、刺激強度の異なる数種のフィラメント(Touch−Test Sensory Evaluator Instruction(タッチテスト センサリー エバルエター インストラクション)、North Coast Medical,Inc.(ノース コースト メディカル社製))を動物の後肢足底に対して垂直に、かつ、フィラメントが曲がるまで押しつけ、その時逃避反応を起こした闘値をグラム重(図中”gram”(1グラム重は0.00981N))として実測した。
また、比較のために、神経結紮を行わなかった左後肢についても同様に刺激を行い、その閾値を調べた。得られた結果よりAUC(投与後の時間(経過時間)と%MPEとの関係を示すグラフにおける時間反応曲線と基線とで囲まれる面積)を算出した。抗アロディニア作用はAUCを測定時間で除し、単位時間当たりの作用強度として比較した。
<試験結果>
SS8225−04(0.125〜0.7mg/kg 皮下投与)およびSS8225−07(0.125〜1mg/kg 皮下投与)モルヒネ(2.5〜10mgmg/kg 皮下投与)、の各用量を投与することによるアロディニアの測定を行なった。
このとき、SS8225−04を用いたときの結果を、図39(SS8225−04の皮下投与量とAUCとの関係を示すグラフ)、及び、図40〜図43(それぞれSS825−04の皮下投与量(マウス体重当たり)がそれぞれ、0.125mg/kg(体重)、0.25mg/kg(体重)、0.5mg/kg(体重)あるいは0.7mg/kg(体重))に、SS8225−07を用いたときの結果を、図44(SS825−07の皮下投与量とAUCとの関係を示すグラフ)、及び、図45〜図48(それぞれSS8225−07の皮下投与量(体重当たり)がそれぞれ、0.125mg/kg(体重)、0.25mg/kg(体重)、0.5mg/kg(体重)あるいは1.0mg/kg(体重))に、さらにモルヒネを用いたときの結果を、図49(モルヒネの皮下投与量とAUCとの関係を示すグラフ)、及び、図50〜図53(それぞれモルヒネの皮下投与量(体重当たり)がそれぞれ、2.5mg/kg(体重)、3.5mg/kg(体重)、5mg/kg(体重)、7mg/kg(体重)あるいは10mg/kg(体重))に、それぞれ示す。
これらグラフから、本発明に係るペプチド誘導体であるSS8225−04及びSS8225−07は高い抗侵害作用を示すこと、モルヒネに比して、同じ抗侵害作用を得るための投与量が1/10〜1/20程度で充分であること、さらに、そのときの抗侵害作用の持続時間がモルヒネでの抗侵害作用の持続時間に比して2倍程度、長いことが確認された。
神経因性疼痛とはアロディニアを主症状とし、オピオイドであるモルヒネに対して抵抗性を示すことが知られている。本実験においても、坐骨神経を結紮した左後肢でモルヒネの皮下投与による抗アロディニアの有意な減弱が認められた。しかしSS8225−04及びSS8225−07の用いた各用量においては、抗アロディニアの減弱は認められなかった。これらの結果から、SS8225−04及びSS8225−07はモルヒネとはとは異なり、抗アロディニア作用が減弱しないことが明らかになった。
このように、ニューロパチックペインを想定した神経損傷モデルでの実験においても、本発明に係るペプチド誘導体であるSS8225−04及びSS8225−07は高い抗侵害作用を有し、かつ、減弱しない抗アロディニア作用を有することが確認された。
7.抗侵害作用試験、その3(テイル−プレッシャーテスト(Tail−pressre Test)、圧刺激テスト)
上記のテイル・フリック法(熱刺激)、及び、神経損傷モデルでの神経因性疼痛以外の疼痛に対する抗侵害作用への応用の可能性を調べるため、圧刺激テストを行った。
<測定方法>
上記本発明のペプチド誘導体であるSS8225−04及びSS8225−07、さらに従来技術に架かる抗侵害剤としてモルヒネを用い、これらを所定量、皮下投与、あるいは、経口投与したマウスの尾根部に 133Pa(10mmHg)/秒の割合で圧刺激を加えていき、もがき、刺激部位への噛みつきなどの行動を示した圧力を測定し、これを疼痛反応閾値とした。実験には予め532〜665Pa(40〜50mmHg)の圧力に反応するマウスを用いた。また最大刺激圧は 1333Pa(100mmHg)とした。
このときの%MPEを上記同様に式(I)により算出した。
<試験結果>
SS8225−04の皮下投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフを図55、そのときの用量−反応曲線を示すグラフを図56、SS8225−04の経口投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフを図57に、用量−反応曲線を示すグラフを図58に、それぞれ示した。
また、SS8225−07の皮下投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフを図59に、そのときの用量−反応曲線を示すグラフを図60に、SS8225−07の経口投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフを図61に、そのときの用量−反応曲線を示すグラフを図62に、それぞれ示した。
さらに、モルヒネの皮下投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフを図63に、そのときの用量−反応曲線を示すグラフを図64に、モルヒネの経口投与後のテイルプレッシャーテストでの抗侵害作用の経時的変化を示すグラフを図65に、そのときの用量−反応曲線を示すグラフを図66に、それぞれ示した。
これらグラフから、本発明に係るペプチド誘導体であるSS8225−04及びSS8225−07は高い抗侵害作用を示すこと、モルヒネに比して、同じ抗侵害作用を得るための投与量が1/10〜1/20程度で充分であること、さらに、抗侵害作用の持続時間が投与後6時間以上(皮下投与)、あるいは、12時間以上(経口投与)とそれぞれモルヒネでの抗侵害作用の持続時間に比して遙かに長いことが確認された。
ここで、これら投与薬剤における経口投与、及び、皮下投与での結果よりAUCを算出し、投与量とAUCとの関係を、AUCを縦軸に、投与量を対数の横軸にとったグラフとして、図67及び図68に、それぞれ示した。
これら図より、本発明に係るSS8225−04及びSS8225−07では、同じAUCを得るために、経口投与及び皮下投与のいずれでも、モルヒネの投与量の1/100〜1/20の投与量で充分であり、さらに、投与量を比較的多くした場合には、モルヒネの通常の投与量では到底得られない桁外れに高い、抗侵害作用が得られることが理解される。
8.抗侵害作用試験、その4(変形性膝関節症による疼痛を想定して、MSU誘発性膝関節疼痛を人工的に発生させたときの抗侵害作用試験)
変形性膝関節症による疼痛のモデルとしてMSU誘発性膝関節疼痛を人工的に発生させ、この疼痛に対する抗侵害作用を、モルヒネ及びオキシコドンでの抗侵害作用と比較して評価した。
<実験動物>
実験には、体重170〜190gのSD系雄性ラットを使用した。実験に供するまで明暗12時間サイクル(明期;7:00〜19:00、暗期;19:00〜7:00)、室温23±1°C、湿度52±2%の一定環境下で飼育した。なお、使用動物には固形飼料(実験動物用固形飼料:F2、船橋農場、千葉)および水道水を自由に摂取させ、少なくとも2日以上実験室で予備飼育した。
<試験薬物>
モルヒネ(三共)、オキシコドンoxycodone(マリンクロット社)、SS8225−04およびSS8225−07を使用した。すべての試験薬物はリンゲル液(扶桑薬品)に溶解して用いた。
<起炎物質(尿酸ナトリウム塩針状結晶;MSU)の投与>
MSU0.1gあたりに1mLの分散媒(10%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80;ナカライテスク社)含有生理食塩液)を加えて懸濁した。動物をジエチルエーテルで麻酔後、投与対象動物の左後肢膝関節部表面を70%エタノール綿で清拭した後、上記の懸濁液を左後肢膝関節腔内にボーラス投与した。
<両後肢足底荷重の測定および両後肢足底荷重比(ppr)の算出>
足底荷重測定装置を用いて、両後肢の足底にかかる荷重をそれぞれ計測し、記録した。なお、各時点での計測時間は45秒とした。また、計測した両後肢の荷重について、左後肢にかかる荷重値を右後肢にかかる荷重値で除した計算値をppr(paw−pressure ratio)とした。
<最大有効反応率(%MPE)の算出>
抗侵害作用は、以下の数式(II)から算出した最大有効反応率(%MPE)を用いて評価した。
[数2]
(ppr1−ppr0)
%MPE=───────────── ×100 ……(II)
(1−ppr0)
式中、ppr0およびppr1はそれぞれ薬物投与前および投与後の両後肢足底荷重比とした。また、抗侵害作用のED50値はグラフパットプリズム(GraphPad Prism。 version 4.0a; San Diego, CA, USA:データのグラフ処理ソフトウェア)を用いて算出した。
<曲線下面積(area under the curve;AUC)の算出>
抗侵害作用の強度は上記グラフパットプリズムを用い、抗侵害作用の経時変化におけるAUCを算出することにより表した。また、抗侵害作用のED50値は各薬物処置ごとに「100%(各測定時における理論上の最大値)×測定時間(分)」を理論上の最大AUCとし、上記グラフパットプリズムを用いて算出した。
<実験方法>
MSU投与4時間後に足底荷重を各2回測定してそれぞれのpprを算出し、その平均値を薬物投与前の両後肢足底荷重比とした。薬物投与前の両後肢足底荷重を測定後、リンゲル液、または、試験薬物が溶解したリンゲル液を、ラットの体重100gあたり0.1mLの割合で経口投与し、経口投与後一定時間経過ごとに足底荷重を1回ずつ測定した。
<統計解析>
統計処理は上記グラフパットプリズムを用いて行った。二元配置分散分析処理後、ボンフェロニ(Bonferroni)法により後検定を行い、危険率5%未満を有意差有りと判定し、5%未満(P<0.05)および1%未満(P<0.01)とに分けてテイル・フリック法での場合と同様に”*”及び”**”にて表示した。
<実験結果>
ラットの後肢膝関節腔内にMSUを投与することにより誘発される疼痛に対する各試験薬物の影響について、調べた結果について、図69〜図78に示した。すなわち、経口投与後の%MPEの経時変化について、モルヒネ、オキシコドン、SS8225−04およびSS8225−07の各投与量での結果についてそれぞれ図69〜図72に、モルヒネ、オキシコドン、SS8225−04およびSS8225−07でのAUSの結果についてそれぞれ図73〜76に示した。また、AUCを縦軸にそして投与量を対数の横軸にとったグラフを図77に、%MPUを縦軸にそして投与量を対数の横軸にとったグラフを図78に、それぞれ示した。
これら図69〜図72により、経口投与による作用持続時間は、モルヒネ、オキシコドン、SS8225−04およびSS8225−07投与群において、それぞれ300分、120分、420分および360分であり、オキシコドン、SS8225−04およびSS8225−07の作用持続時間は、モルヒネでの結果と比較してそれぞれ0.4倍、1.4倍および1.2倍であることが判る。また、作用ピークはモルヒネ、オキシコドン、SS8225−04およびSS8225−07において、それぞれ90分、60分、180分および120分であり、作用ピーク時のED50値は、モルヒネ、オキシコドン、SS8225−04およびSS8225−07投与群においてそれぞれ37.23(17.65〜78.56)mg/kg、10.35(8.09〜13.25)mg/kg、15.84(11.24〜22.32)mg/kg、および、16.95(3.17〜90.59)mg/kgであり、オキシコドン、SS8225−04およびSS8225−07の抗侵害効果はモルヒネと比較してそれぞれ約3.6倍、約2.4倍および約2.2倍、大きかった。
また、抗侵害作用の経時変化におけるAUCを算出した結果の図である図73〜図76を用いて比較検討を行った。経口投与におけるAUCは、リンゲル液投与群では1283であり、モルヒネの15、30および60mg/kg投与群ではそれぞれ1724、4485および13883であり、オキシコドンの7.5、15および30mg/kg投与群ではそれぞれ2525、6363および10562であり、SS8225−04の7.5、15および30mg/kg投与群ではそれぞれ6410、8133および24702であり、SS8225−07の7.5、15および30mg/kg投与群ではそれぞれ2919、7894および20162であった。AUCのED50値は、モルヒネ、オキシコドン、SS8225−04およびSS8225−07投与群においてそれぞれ86.38(48.89〜152.6)mg/kg、49.35(9.98〜243.9)mg/kg、34.10(3.36〜345.8)mg/kgおよび40.38(31.08〜52.48)mg/kgであり、オキシコドン、SS8225−04およびSS8225−07の抗侵害効果はモルヒネと比較してそれぞれ約1.8倍、約2.5倍および約2.1倍強力だった。
また、図77及び図78により変形性膝関節症による疼痛のモデル実験では、SS8225−04およびSS8225−07の抗侵害効果はモルヒネよりも高く、オキシコドンと同等かそれ以上であることが判る。
9.抗侵害作用試験、その5(関節リウマチによる疼痛を想定した、人工的に発生させた炎症性疼痛モデルでの試験)
アジュバンドを用いて炎症性疼痛を発生させたマウスについて、本発明に係るSS8225−04の経口投与時の項侵害作用を、モルヒネと比較して調べた。
<使用動物>
実験には体重15〜20gのddY系雄性マウス(日本SLC)を使用した。動物は、実験に使用するまで明暗サイクル12時間(明期7:00〜19:00、暗期19:00〜7:00)室温23±1℃、湿度52±2%の一定環境下において飼育した。また、動物には水およびマウス用固形飼料(F2、船橋農場)を自由に摂取させ、少なくとも2日以上実験室で予備飼育した。
<使用薬物>
フロイント完全アジュバント(Complete Freund’s Adjuvant 以下”CFA”とも云う)(シグマ(SIGMA)社)、モルヒネ及びSS8225−04を使用した。モルヒネ及びSS8225−04はリンゲル液に溶解し経口投与した。
<炎症性疼痛モデル>
炎症性疼痛モデルは、マウスを無麻酔下でしっかりと固定し、フロイント完全アジュバント(CFA)25μLを30番ゲージ注射針(テルモ社)を用い、左後肢足甲へ皮下投与し作製した。その後、測定日まで上述の飼育条件下で飼育した。
<測定方法>
炎症性疼痛モデル動物における抗侵害作用の測定は、CFA投与5日後に、上記神経損傷モデルと同様にフォン フレイ フィラメント法により行った。なお、薬剤の投与は経口投与とした。
<データ解析方法>
薬物投与後の閾値の変化を経時的に測定し、得られた結果よりAUCを算出した。抗侵害作用は、総AUC値あるいはAUCを測定時間で除した単位時間AUC値(AUC/min)で表し、比較検討した。また抗侵害作用のED50値は、単位時間AUC値の上限を2.0に設定し、測定値を上限に対する百分率に換算することにより算出した。
<実験結果>
炎症性疼痛モデル
CFA投与5日目において、CFA非投与側足の疼痛閾値が約0.50g重であったのに対し、CFA投与側足の疼痛閾値は約0.25g重であった。このように、明らかな炎症性アロディニアが認められた。
<モルヒネの抗侵害作用>
モルヒネの抗侵害作用実験の結果を図79(CFA非投与側足での結果)及び図80(CFA投与側足での結果)に示す(ただし、これらの投与後30分〜90分での結果が、個体ごとに大きくばらつき、モルヒネ100mg/kg投与60分後のデータは特に著しく大きくばらついたため、そのデータはこの図70及び図80において図示を省いてある)。
モルヒネの経口投与(35、70あるいは100mg/kg)により、投与後30分をピークとする用量依存的な抗侵害作用が発現し、その持続時間は360分であった。その抗侵害作用をCFA非投与側足およびCFA投与側足間で比較検討したところ、CFA投与側足における総AUC値ならびに単位時間AUC値はCFA非投与側足における総AUC値ならびに単位時間AUC値のそれぞれ約6割程度であった。100mg/kg経口投与群における総AUC値は、CFA非投与側足で556、CFA投与側足で328であった。一方、単位時間AUC値(AUC/min)を用いてその抗侵害作用のED50値を算出したところ、CFA非投与側足およびCFA投与側足におけるED50値は、それぞれ67.88mg/kgおよび113.0mg/kgであった。なお、100mg/kg経口投与群における単位時間AUC値は、CFA非投与側足で1.545、CFA投与側足で0.910であった。
<SS8225−04の抗侵害作用>
SS8225−04の抗侵害作用実験の結果を図81(CFA非投与側足での結果)及び図82(CFA投与側足での結果)に示す
SS8225−04(7、10、あるいは14mg/kg)の経口投与により、投与後300分をピークとする用量依存的な抗侵害作用が発現したが、その持続時間は720分とモルヒネに比較して極めて持続的であった。その抗侵害作用をCFA非投与側足およびCFA投与側足間で比較検討したところ、CFA投与側足における総AUC値ならびに単位時間AUC値はCFA非投与側足における総AUC値ならびに単位時間AUC値のそれぞれ約6割程度であった。14mg/kg経口投与群における総AUC値は、CFA非投与側足で1058、CFA投与側足で577であり、それぞれモルヒネ100mg/kg投与群の約2倍であった。一方、単位時間AUC値(AUC/min)を用いてその抗侵害作用のED50値を算出したところ、CFA非投与側足およびCFA投与側足におけるED50値は、それぞれ9.849および17.04mg/kgであり、その抗侵害効力はCFA非投与側足およびCFA投与側足ともに、モルヒネの6.6〜6.9倍であった。なお、14mg/kg経口投与群における単位時間AUC値は、CFA非投与側足で1.470、CFA投与側足で0.814であった。
ここで、SS8225−04及びモルヒネでの経口投与での結果よりAUC、及び、単位時間当たりのAUC(単位時間AUC)を算出し、投与量とAUCとの関係を、AUCを縦軸に、投与量を対数の横軸にとったグラフとして図83に、また、投与量と短時間AUCとの関係を、単位時間AUCを縦軸に、投与量を対数の横軸にとったグラフとして図84に、それぞれ示した。
図83より、本発明に係るSS8225−04では、同じAUCを得るために、モルヒネの投与量の1/100〜1/50の投与量で充分であり、さらに、投与量を比較的多くした場合には、モルヒネの通常の投与量では到底得られない桁外れに高い、抗侵害作用が得られることが理解される。また、図84では、同じ単位時間当たりのAUCを得るためには、SS8225−04ではモルヒネの投与量の1/8〜1/4の投与で充分であることが判る。
なお、上記は抗侵害作用の比較のためにモルヒネ他の、抗侵害作用を有する従来の薬剤との比較を行ったが、上述の従来の薬剤が用いられる分野は当然のことながら、従来の薬剤が用いられていない他の分野へも応用が可能であり、その場合も当然、本発明に含まれる。
10.急性毒性の評価
本発明に係る上記SS8225−04の表2におけるED50(皮下投与)が0.05mg/kgであったことから、この値の2000倍、1000倍、500倍及び125倍に当たる100mg/kg、50mg/kg、25mg/kg、及び6.25mg/kgをそれぞれ投与量として急性毒性の評価を行った。
実験動物としては体重が22〜25gのddY系雄性マウスを用い、それぞれ5匹づつ用い、投与後72〜96時間以内の死亡数を調べた。また、同様にモルフィネの表2におけるED50(皮下投与)が2.51mg/kgであったため、その400倍及び200倍の、1000mg/kg及び500mg/kgをそれぞれ投与量として同様に死亡数を調べた。結果を表3に示す。
Figure 2007145208
Figure 2007145208
表4より、本発明にかかるSS8225−04ではED50(皮下投与)の値の2000倍及び1000倍を投与した場合の死亡率は20%であり、500倍を投与した場合には死亡率は0%であったが、モルヒネではED50(皮下投与)の値の400倍を与えた場合には死亡率100%であることがわかり、このことから本発明にかかるSS8225−04は急性毒性が充分に低いことが確認された。

Claims (26)

  1. 下記の一般式(1)

    N=C(R)−AA−AA−AA−AA−Y
    (1)

    で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩であって、
    上記Rは、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、及び、低級アルコキシル基から選ばれる1つであり、上記Rは、低級アルキル基であり、上記Yは、下記の化学式(2)

    −n(R)R
    (2)
    で表され、化学式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、及び、低級アルコキシル基から選ばれる1つであるか、または、R及びRはこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基であり、
    上記AAは下記の化学式(3)
    Figure 2007145208
    で表されるα−アミノ酸残基であり、
    化学式(3)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、及び、ハロゲン化低級アルキル基から選ばれる1つであり、
    化学式(3)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、下記の化学式(4)で表される基、及び、下記の化学式(5)で表される基

    −O−CO−R
    (4)

    −O−CO−O−R
    (5)

    から選ばれる1つであり、化学式(4)のR、及び、化学式(5)のRは、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、複素環基、アリール基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つであり、
    上記AAは下記の化学式(6)
    Figure 2007145208
    で表されるD−α−アミノ酸残基であり、化学式(6)において、Rは、アミノ基、(モノ低級アルキル)アミノ基、低級アシルアミノ基、グアニジノ基、低級アルキル基置換グアニジノ基、イミノ低級アルキル基、ウレイド基、低級アルキル基置換ウレイド基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基、及び、ヒドロキシ低級アルキル基から選ばれる1つであり、nは1〜4の整数であり、AAは非置換フェニルアラニン残基、置換フェニルアラニン残基、非置換D−フェニルアラニン残基、及び、置換D−フェニルアラニン残基から選ばれる1つであり、
    上記AAは、下記の化学式(7)

    −N(R10)−CH(R11)−CO−
    (7)

    で表されるα−アミノ酸残基、または、下記の化学式(8)

    −N(R10)−CH(R11)−CH(R12)−CO−
    (8)

    で表されるβ−アミノ酸残基であり、
    化学式(7)及び(8)において、R10及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つであり、
    上記R11は、水素原子、または、下記の化学式(9)

    −Z−N(R13)−R14
    (9)

    で表される基であり、
    化学式(9)において、Zは、低級アルキレン基、低級アルケニレン基、及び、低級アルキニレン基から選ばれる1つであり、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つ、または、R13及びR14はこれらが結合する窒素原子と一緒になった5員又は6員の含窒素複素環基である、化学式(1)で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  2. 上記Rが、水素原子である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  3. 上記Rはメチル基又はエチル基である、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  4. 上記AAは、下記の化学式(10)
    Figure 2007145208
    で表されるα−アミノ酸残基、または、化学式(11)
    Figure 2007145208
    で表されるD−α−アミノ酸残基であり、上記化学式(10)及び(11)において、R15及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、及び、ハロゲン化低級アルキル基から選ばれる1つである、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  5. 上記AAは、フェニルアラニン残基、D−フェニルアラニン残基、p−フルオロフェニルアラニン残基、D−p−フルオロフェニルアラニン残基、o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基、D−o−トリフルオロメチルフェニルアラニン残基、及び、2,6−ジメチルフェニルアラニン残基からなる群から選ばれるアミノ酸残基である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  6. 上記AAはN−メチルリジン残基、または、N−メチル−β−アラニン残基である、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  7. 上記化学式(3)において、Xが、ヒドロキシル基である、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  8. 上記化学式(3)において、Xは、水素原子、または、ハロゲン原子である、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  9. 上記化学式(3)において、Xは、化学式(4)、または、化学式(5)で表され、化学式(4)におけるR、および、化学式(5)におけるRは、それぞれ独立に、C1−16アルキル基、ヒドロキシC1−16アルキル基、アミノC1−16アルキル基、(モノ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、(ジ低級アルキル)アミノC1−16アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルキル置換低級アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、アリール基、複素環基、及び、アリール置換低級アルキル基から選ばれる1つである、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  10. 上記AAは、チロシン残基、2,6−ジメチル−チロシン残基、o−アシル−チロシン残基、o−アルコキシカルボニル−チロシン残基、o−フェノキシカルボニル−チロシン残基、o−アセチルチロシン残基、及び、2,6−ジメチル−フェニルアラニン残基から選ばれる1つである、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  11. 上記AAは、D−メチオニンスルホキシド残基、D−アルギニン残基、及び、D−シトルリン残基から選ばれる1つである、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  12. 上記AAは、D−N−アセチルオルニチン残基、D−5−オキソノルロイシン残基、及び、D−5−ヒドロキシノルロイシン残基から選ばれる1つである、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  13. 上記R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、及び、低級アルコキシル基から選ばれる1つである、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  14. 上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはo−アセチルチロシン残基であり、上記AAはD−メチオニンスルホキシド残基又はD−アルギニン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHまたは−NH−CHである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  15. 上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはチロシン残基であり、上記AAはD−メチオニンスルホキシド残基又はD−アルギニン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHあるいは−NH−CHである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  16. 上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはo−アセチルチロシン残基であり、上記AAはD−メチオニンスルホキシド残基又はD−アルギニン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NH−Cである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  17. 上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはチロシン残基であり、上記AAはD−5−ヒドロキシノルロイシン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHあるいは−NH−CHである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  18. 上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAはチロシン残基であり、上記AAはD−メチオニンスルホキシド残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHあるいは−NH−CHである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  19. 上記Rは水素原子であり、上記Rはメチル基であり、上記AAは2,6−ジメチル−チロシン残基であり、上記AAはD−メチオニルスルホキシド残基あるいはD−アルギニン残基であり、上記AAはフェニルアラニン残基であり、上記AAはN−メチルリジン残基又はN−メチル−β−アラニン残基であり、上記Yは−NHあるいは−NH−CHである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  20. 請求項1ないし請求項19のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つを有効成分として含む医薬物組成物。
  21. 請求項1ないし請求項19のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩の少なくとも1つと、薬学的に許容できる担体と、を含む医薬品組成物。
  22. 疼痛の予防及び/又は治療に用いる、請求項19又は請求項20に記載の医薬品組成物。
  23. 上記疼痛が癌性疼痛であることを特徴とする請求項22に記載の医薬品組成物。
  24. 上記疼痛が神経因性疼痛であることを特徴とする請求項22に記載の医薬品組成物。
  25. 上記疼痛が変形性膝関節症による疼痛であることを特徴とする請求項22に記載の医薬品組成物。
  26. 上記疼痛が関節リウマチによる疼痛であることを特徴とする請求項22に記載の医薬品組成物。
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