JPWO2007145142A1 - 旋回式クランプ - Google Patents

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Abstract

筒状のハウジング(2)に挿入したピストン(19)をクランプロッド(5)に連結する。そのピストン(19)の上側にロック室(20)を設け、上記クランプロッド(5)が挿入されるロッド孔(18)の周壁に環状の弁室(41)を形成する。上記クランプロッド(5)の旋回上昇の終期には、そのクランプロッド(5)の下部に外嵌されたシャトル部材(42)が、上記の弁室(41)に嵌合し始めたときに作用する圧油の差圧力によって上昇して上記の弁室(41)に嵌合する。次いで、上記ロック室(20)から排出される圧油の流量を、シャトル部材(42)とクランプロッド(5)との間の絞り隙間によって制御する。また、そのクランプロッド(5)の旋回下降の初期には、上記ロック室(20)へ供給される圧油の流量を弁室(41)とシャトル部材(42)との間の絞り隙間によって制御する。

Description

この発明は、クランプロッドを旋回させてワークを押圧する形式のクランプに関し、より詳しくいえば、筒状のハウジングに上記クランプロッドを軸心方向へ移動可能かつ軸心回りに回転可能に支持し、そのクランプロッドの上部にアームを取り付け可能に構成した形式のクランプに関する。
この種の旋回式クランプには、従来では、特許文献1(日本国・特開2005−329525号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
ハウジング内にシリンダ孔とロッド孔とを先端方向へ順に設け、上記シリンダ孔に挿入したピストンをクランプロッドに連結する。上記ロッド孔の周壁に絞り用の嵌合孔を同心状に設ける。旋回式クランプのリリース旋回移動の終期に上記の嵌合孔に環状の絞り隙間をあけて嵌入される嵌合部を、上記クランプロッドの基端部に設ける。そして、上記リリース旋回移動の終期には、前記ロック室の圧力流体を、上記の環状の絞り隙間を経由して給排口へ排出する。
特開2005−329525号公報
上記の従来技術は、リリース作動時において、その作動開始時からリリース旋回移動の終期の直前までは、前記ロック室の圧力流体が前記の環状流路を通って前記の給排口へ速やかに排出されるので、上記クランプロッドが高速で移動する。これに対して、リリース旋回移動の終期になって前記の嵌合部が旋回しながら前記の嵌合孔に嵌入し始めると、上記ロック室の圧力流体が前記の環状の絞り隙間を通って給排口へ排出され始める。このため、その絞り隙間を通過する圧力流体に付与される流動抵抗によって上記ロック室内に所定の背圧力が保持され、上記クランプロッドの移動速度が急速に減速される。このため、上記クランプロッド(及びアーム)が緩やかに停止する。
上述したように、リリース作動時の初期からリリース旋回移動の終期の直前までは、クランプロッドを高速で移動させ、リリース旋回移動の終期にクランプロッドを減速するので、リリース作動時間を短縮できる。しかも、上記リリース旋回移動の終期にクランプロッドを減速することにより、上記クランプロッド(及びアーム)を緩やかに停止できるので、ガイド溝や係合ボール等の旋回機構が損傷するのを防止して旋回精度を良好な状態に維持できる。
以上に示すように、上記の従来技術は、リリース作動時間の短縮と旋回精度の維持とを両立できる点で優れる。しかし、前記ロッド孔の周壁に設けた絞り用の嵌合孔と上記クランプロッドに設けた嵌合部を精度良く嵌合させるには、クランプロッドの軸心とハウジングのロッド孔の軸心との心ズレを設定範囲内におさめる必要がある。このため、旋回式クランプは、構成部品の寸法公差を厳しく管理する必要があるので、部品の製作コストが高くなり、その点で改善の余地が残されていた。
本発明の目的は、上記の弊害を改善することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、例えば、図1Aから図4、若しくは図5、又は図6に示すように、旋回式クランプを次のように構成した。
筒状のハウジング(2)にクランプロッド(5)を軸心方向へ移動可能かつ軸心回りに回転可能に支持する。そのクランプロッド(5)の先端部にクランピング用のアーム(6)を取り付け可能に構成する。上記ハウジング(2)にシリンダ孔(17)とロッド孔(18)とを先端方向へ順に設ける。上記シリンダ孔(17)に挿入したピストン(19)を上記クランプロッド(5)に連結する。そのピストン(19)の先端側に、圧力流体が供給および排出されるロック室(20)を設ける。上記ロック室(20)と圧力流体の給排口(24)との間で上記ロッド孔(18)の周壁に、環状の弁室(41)を上記ロック室(20)に対面するように形成する。上記クランプロッド(5)の絞り外周面(5a)に環状のシャトル部材(42)の内周面を内絞り隙間(44)をあけて軸心方向へ移動自在に外嵌する。上記シャトル部材(42)の外周面を上記の弁室(41)の内周面に軸心方向へ嵌合可能に構成すると共にその嵌合領域に沿って外絞り隙間(45)を設ける。上記ロック室(20)の圧力流体を上記の弁室(41)を介して上記の給排口(24)へ排出させるリリース作動時には、上記クランプロッド(5)を、上記の先端方向へ直進移動させた後で旋回機構を介してリリース旋回させながら上記の先端方向へ移動させるように構成する。上記リリース旋回移動の終期には、上記シャトル部材(42)が上記の弁室(41)の内周面に嵌合し始めたときに作用する圧力流体の差圧力によって上記シャトル部材(42)を先端方向へ移動させて上記の弁室(41)に嵌合させると共に、上記ロック室(20)から前記の給排口(24)へ排出される圧力流体の流量を少なくとも前記の内絞り隙間(44)によって制御可能に構成する。これに対して、上記の給排口(24)の圧力流体を上記ロック室(20)へ供給するロック作動時におけるロック旋回移動の初期には、その供給される圧力流体の流量を少なくとも前記の外絞り隙間(45)によって制御可能に構成する。
本発明は、次の作用効果を奏する。
リリース作動時において、その作動開始時からリリース旋回移動の終期の直前までは、ロック室の圧力流体が前記の弁室を通って前記の給排口へ速やかに排出されるので、クランプロッドが高速で移動する。これに対して、リリース旋回移動の終期になってシャトル部材の外周面が上記の弁室の内周面に嵌入し始めると、上記シャトル部材は、その嵌入し始めたときに作用する圧力流体の差圧力によって先端方向へ移動し、上記の弁室に嵌合する。これにより、前記ロック室の圧力流体は、少なくとも前記の内絞り隙間によって流量制御されて給排口へ排出され始める。このため、その内絞り隙間を通過する圧力流体に付与される流動抵抗によってロック室内に所定の背圧力が保持され、上記クランプロッドの旋回上昇速度が減速され始める。
そして、上記クランプロッドが旋回移動していくにつれて、前記の内絞り隙間の軸心方向の長さが大きくなって上記の内絞り隙間による流動抵抗も大きくなる。このため、上記クランプロッドが緩やかに旋回移動しリリース状態に切り換わる。
上述したように、リリース旋回移動の初期から終期の直前までは、クランプロッドを高速で移動させ、リリース旋回移動の終期に上記クランプロッドを減速するので、リリース作動時間を短縮できる。しかも、上記リリース旋回移動の終期にクランプロッドを減速することにより、上記クランプロッドを緩やかに停止できるので、旋回溝や係合ボール等からなる旋回機構が損傷するのを防止して旋回精度を良好な状態に維持できる。
従って、旋回式クランプは、圧力流体の供給量を多くしてリリース作動が完了するのに必要な時間を短縮することと寿命を長くすることとを両立できた。
しかも、クランプロッドとシャトル部材との間に形成した内絞り隙間によって上記の効果を達成できるので、クランプロッドの軸心と弁室の軸心との心ズレによって上記効果が低下するのを防止できる。このため、旋回式クランプは、構成部品の製作公差を必要以上に厳格に管理する必要がなくなり、製作コストを低減できる。
また、上記の旋回式クランプのロック旋回移動の開始時には、給排口の圧力流体は、少なくとも前記の外絞り隙間によって流量制御されてロック室へ供給されるので、ピストン及びクランプロッドが比較的に緩やかに旋回移動され始める。そして、上記ピストン及びクランプロッドがさらに移動して、前記の弁室とシャトル部材との嵌合が解除された後は、給排口の圧力流体が上記の弁室を通ってロック室へ速やかに供給されるので、上記クランプロッドが高速で移動する。
上述したように、ロック作動の開始時には、外絞り隙間の作用によってクランプロッドを比較的に低速で旋回させ始めることが可能である。しかも、ピストンに作用する推力は、シャトル部材の外径面積からクランプロッドの外周面におけるシール部の外径面積を差し引いた環状面積に作用する圧力となるので、その推力も小さい。このため、旋回開始時に旋回機構に過大な負荷がかかるのを防止できる。従って、旋回式クランプは、圧力流体の供給量を多くしてロック作動が完了するのに必要な時間を短縮することと寿命を長くすることとを両立できた。
本発明には、次の構成を加えることが好ましい。
例えば、図1Aから図4、又は図5に示すように、前記ピストン(19)の外径寸法(D1)と、前記クランプロッド(5)の前記の絞り外周面(5a)の外径寸法(D2)と、前記ハウジング(2)に支持されたクランプロッド(5)の摺動部分(11)の外径寸法(D3)とを、順に小さい値に設定したものである。
この場合、旋回式クランプを上下逆の姿勢または斜め姿勢に配置したときに前記シャトル部材が重力の作用で弁室に常時嵌合している場合であっても、リリース開始時からリリース旋回移動の終期の直前までの期間で、シャトル部材の内周面とクランプロッドの摺動部分の外周面との間に比較的に大きな隙間を確保できるので、クランプロッドの高速移動が妨げられない。
また、本発明には、次の構成を加えることが好ましい。
例えば、図2Cと図3A、若しくは図5、又は図6に示すように、前記シャトル部材(42)に、前記の弁室(41)の周囲壁に設けた弁座(47)に軸心方向に対面する弁部(48)を配置する。前記リリース旋回移動の終期には、前記の差圧力によって上記シャトル部材(42)が先端方向へ移動されたときに、上記の弁部(48)を上記の弁座(47)に接当させて前記の外絞り隙間(45)を閉じるように構成する。前記ロック旋回移動の初期には、前記シャトル部材(42)に作用する圧力流体によって上記の弁部(48)を上記の弁座(47)から離間させるように構成したものである。
この場合、リリース旋回移動の終期に内絞り隙間だけによって圧力流体の流量を制御することが可能となる。
また、本発明では、例えば、図2C、若しくは図5、又は図6に示すように、前記の内絞り隙間(44)を前記の外絞り隙間(45)よりも小さい値に設定することが好ましい。
この場合、内絞り隙間を小さくすることにより、リリース旋回移動の終期にクランプロッドを確実に減速できる。しかも、内絞り隙間を小さくすると共に外絞り隙間を大きくすることにより、クランプロッドの軸心と弁室の軸心との心ズレを吸収できるので、旋回式クランプは、構成部品の製作公差を厳格に管理する必要がなくなり、製作コストをさらに低減できる。
また、本発明では、例えば、図2C又は図6に示すように、前記の弁室(41)の先端壁に前記の弁座(47)を設けると共に前記シャトル部材(42)の先端部に前記の弁部(48)を設ける場合と、例えば、図5に示すように、前記の弁室(41)の基端部の周壁に前記の弁座(47)を設けると共に前記シャトル部材(42)の基端部に前記の弁部(48)を設ける場合とが考えられる。
後者の場合は、圧力流体の前記の給排口を弁室に開口させることが可能となるので、その弁室と給排口との間に弁座用の壁を設ける必要がある前者と比べて旋回式クランプの背丈を小さくできる。
さらに、本発明では、例えば、図2C、若しくは図5、又は図6に示すように、前記シャトル部材(42)の基端部に、前記ピストン(19)の先端面に設けた弁座(49)に軸心方向に対面する別の弁部(50)を配置することが好ましい。
この場合、ロック旋回移動の初期に、内絞り隙間を閉じて、外絞り隙間だけによって圧力流体の流量を制御することが可能となる。
図1Aと図1Bは、本発明の第1実施形態を示している。図1Aは、旋回式クランプのロック状態の立面視断面図であって、図1Bの1A−1A線矢視に相当する図である。図1Bは、上記の図1Aの平面図である。 図2Aは、上記の旋回式クランプのリリース移動の終期におけるシャトル部材の上昇開始状態を示している。図2Bは、上記シャトル部材の上昇終了状態を示している。図2Cは上記リリース移動を終了した状態を示している。 図3Aは、上記の旋回式クランプのロック移動の開始状態を示している。図3Bは、上記ロック移動の初期状態を示している。 図4は、上記の旋回式クランプを上下逆に配置した場合のリリース開始状態を示し、前記の図2Bに類似する図である。 上記シャトル部材の変形例を示し、前記の図2Aに類似する図である。 本発明の第2実施形態の旋回クランプのリリース状態を示している。
符号の説明
2:ハウジング,5:クランプロッド,5a:絞り外周面,6:アーム,11:クランプロッド5の摺動部分,17:シリンダ孔,18:ロッド孔,19:ピストン,20:ロック室,24:圧力流体(圧油)の給排口,41:弁室,42:シャトル部材,44:内絞り隙間,45:外絞り隙間,47:弁座,48:弁部,49:弁座,50:別の弁部,D1:ピストン19の外径寸法,D2:絞り外周面5aの外径寸法,D3:摺動部分11の外径寸法.
図1Aから図4は、本発明の第1実施形態を示している。まず、図1Aから図2Cによって旋回式クランプの構造を説明する。
ワークパレットPに、クランプ1の筒状ハウジング2のフランジ2aが複数のボルト3によって固定される。そのハウジング2の筒孔4にクランプロッド5が挿入される。そのクランプロッド5の上端部(先端部)に、半径方向の外方へ突出するクランピング用のアーム6が、回り止めピン7及びナット8によって所定の旋回位置に固定される。上記アーム6の突出部に固定した押ボルト9がワークWを上記ワークパレットPの上面に押圧するようになっている。
上記ハウジング2の上端壁2bに形成した貫通孔10に、上記クランプロッド5の上摺動部分11が上下移動自在で保密状に支持される。また、上記ハウジング2の下端壁2cの一部を構成する支持筒13に、上記クランプロッド5の下摺動部分12が上下移動自在に支持される。
上記クランプロッド5を駆動する手段は、ここでは、以下に示すように、油圧複動式に構成されている。
上記のハウジング2の前記の筒孔4は、ほぼ同心上で上向きに順に形成したシリンダ孔17とロッド孔18とを備える。上記シリンダ孔17に保密状に挿入したピストン19が上記クランプロッド5と一体に形成される。上記ピストン19の上側にロック室20が設けられ、同上ピストン19の下側にリリース室21が設けられる。
前記ロッド孔18の周壁と上記クランプロッド5の前記の上摺動部分11の外周面との間に環状流路23が形成される。その環状路23の上部にロック給排口24が連通される。
また、前記リリース室21は、前記ハウジング2の胴壁2dに形成した縦孔26を介してリリース給排口27へ連通される。即ち、そのリリース給排口27から上記リリース室21へ供給した圧油と前記ピストン19とによってリリース駆動手段Rを構成してある。
上記クランプロッド5の前記の下摺動部分12と前記の支持筒13の上部とにわたって旋回機構が設けられる。その旋回機構は次のように構成されている。
上記の下摺動部分12の外周面に複数のガイド溝31が周方向へ等間隔に設けられる。上記の各ガイド溝31は、螺旋状の旋回溝32と上下方向へ延びる直進溝33とを上向きに連ねて構成される。上記の各ガイド溝31に係合ボール34が嵌入される。各係合ボール34が、前記の支持筒13の上部に設けた横孔35に回転自在に支持される。これら複数の係合ボール34にわたってスリーブ36が軸心回りに回転自在に外嵌されている。
なお、上記の支持筒13の外周壁が、上下方向へ延びる位置決めピン38を介して、前記ハウジング2の前記の胴壁2dに回り止めされている。上記の支持筒13はリング部材39によって上記の胴壁2dに固定されている。
さらに、上記クランプロッド5の旋回移動を減速させる手段が設けられる。
即ち、上記ロック室20とロック給排口24との間で前記の環状流路23の下部を拡径するように上記ロッド孔18の周壁に環状の弁室41が形成され、その弁室41の下面が上記ロック室20に対面される。
主として図2Cに示すように、上記クランプロッド5の下部の絞り外周面5aに環状のシャトル部材42の内周面が内絞り隙間44をあけて上下方向 (軸心方向)へ移動自在に外嵌される。なお、前記ピストン19の外径寸法D1と、上記クランプロッド5の絞り外周面5aの外径寸法D2と、前記の上摺動部分11の外径寸法D3とが、順に小さい値に設定されている(図2Aを参照)。また、上記シャトル部材42の外周面が上記の弁室41の内周面に軸心方向へ嵌合可能に構成されると共にその嵌合領域に沿って外絞り隙間45が設けられる。この実施形態では、上記の内絞り隙間44を外絞り隙間45よりも小さい値に設定してある。
上記シャトル部材42の上端部(先端部)には、前記の弁室41の上端壁(先端壁)に設けた弁座47に上下方向に対面する弁部48が配置される。さらに、同上シャトル部材42の下端部(基端部)には、前記ピストン19の上端面に設けた弁座49に軸心方向に対面する別の弁部50が配置される。
上記構成の旋回式クランプ1の作動について、上記の図1Aから図2Cと図3A及び図3Bによって説明する。図3Aは、上記の旋回式クランプのロック移動の開始状態を示している。図3Bは、上記ロック移動の初期状態を示している。
図1A及び図1Bのロック状態では、前記リリース室21から圧油を排出すると共に前記ロック室20へ圧油を供給しており、これにより、前記クランプロッド5はロック旋回位置Xへ下降し、前記アーム6が前記ワークWを前記ワークパレットPに押圧している。なお、この第1実施形態では、図1Bに示すように、前記クランプロッド5及びアーム6は、ロック旋回位置Xから減速開始位置(図示せず)を経てリリース旋回位置Zまでの全旋回角度θを約90度に設定してある。
上記ロック状態のクランプをリリース状態へ切換えるときには、前記ロック給排口24を油タンク(図示せず)へ連通させると共に、油圧源(図示せず)の圧油を前記リリース給排口27と前記の縦孔26とを介して上記リリース室21へ供給する。
すると、前記ロック室20の圧油が前記の環状流路23の弁室41を通って前記ロック給排口24へ速やかに排出される。これにより、まず、前記ピストン19が前記クランプロッド5(及びアーム6)を前記の直進溝33に沿って真っすぐに高速上昇させ、引き続いて、上記クランプロッド5が、前記の旋回溝32に沿って平面視で反時計回りの方向へ高速で旋回しながら上昇していく。
そして、上記クランプロッド5(及びアーム6)が高速旋回角度(ここでは約70度)の領域を旋回したときに、図2Aに示すように、前記シャトル部材42の外周面が前記の弁室41の内周面に嵌入し始める。すると、上記シャトル部材42は、上下に作用する圧油の差圧力によって、図2Bに示すように上昇して、上記の弁室41に嵌合されると共に前記の弁部48を前記の弁座47に接当させる。このため、前記の外絞り隙間45が閉じられ、前記ロック室20の圧油は、上記シャトル部材42の内方の比較的に大きな隙間54を経由してロック給排口24へ排出され始める。
そのクランプロッド5の旋回上昇の初期には、上記シャトル部材42の内周下部の内テーパ面52にクランプロッド5の外周下部の外テーパ面53が対面しているので、減速を緩やかに行える。そして、図2Bの状態から図2Cのリリース終了状態へ至るまでには、上記クランプロッド5が旋回上昇していくにつれて、前記の内絞り隙間44の上下方向の長さが大きくなって上記の内絞り隙間44による流動抵抗も大きくなる。このため、上記クランプロッド5(及びアーム6)は、減速旋回角度(ここでは約20度)の領域を緩やかに旋回上昇していき、リリース旋回位置Z(図1B参照)に切り換わる。
なお、図2Cのリリース終了状態では、シャトル部材42の下部に設けた前記の別の弁部50とピストン19の弁座49との間には接当隙間が形成されている。
上述したように、上記リリース旋回移動の終期には上記クランプロッド5(及びアーム6)の速度が減速されて前記ピストン19が前記ハウジング2の上端壁2bに緩やかに接当する。このため、前記の旋回溝32・係合ボール34・回り止めピン7・位置決めピン38などに作用する衝撃力が小さくなる。
その結果、上記の旋回溝32や係合ボール34等の旋回機構の塑性変形や損傷を防止して旋回角度を良好な状態に維持でき、クランプ1の寿命も長くなる。さらには、衝撃が小さくなるので、騒音や振動も小さくなり、上記クランプロッド5にアーム6を固定する前記ナット8のネジ嵌合が緩むのを防止できるうえ、前記ワークパレットPやワークWにも悪影響を及ぼさない。従って、旋回式クランプは、圧油の供給量を多くしてリリース作動が完了するのに必要な時間を短縮することと寿命を長くすることとを両立できた。
上記の図2Cに示すリリース状態のクランプ1をロック状態へ切換えるときには、前記リリース室21の圧油をリリース給排口27から排出すると共に前記ロック給排口24へ圧油を供給すればよい。すると、ロック給排口24の圧油が前記シャトル部材42の上面に作用し、図3Aに示すように、シャトル部材42が下降し、前記の弁座47から前記の弁部48が離間して外絞り隙間45を開く共に前記の別の弁部50がピストン19の弁座49に接当して前記の内絞り隙間44を閉じる。すると、ロック給排口24の圧油は、上記の外絞り隙間45を通ってロック室20へ供給されるので、ピストン19を比較的に緩やかに下降させていく。これにより、上記クランプロッド5は、まず、前記の旋回溝32に沿って平面視で時計回りの方向へ比較的に緩やかに旋回しながら下降し、その後、前記の直進溝33に沿って真っすぐに下降して上記ロック状態へ切り換わる(図1A及び図1Bを参照)。
上記ロック作動の開始時には、外絞り隙間45の作用によってクランプロッド5(及びアーム6)を比較的に低速で旋回させ始めることができる。しかも、図3Aの状態では、ピストン19に作用する下降推力は、シャトル部材42の外径面積から上摺動部分11の外周面におけるシール部の外径面積を差し引いた環状面積に作用する油圧力となるので、その推力も小さい。このため、旋回開始時に旋回機構に過大な負荷がかかるのを防止できる。従って、旋回式クランプは、圧油の供給量を多くしてロック作動が完了するのに必要な時間を短縮することと寿命を長くすることとを両立できた。
上記の実施形態は、さらに次の長所を奏する。
リリース作動時の絞りを、主として内絞り隙間44で制御すると共に、ロック作動時の絞りを、主として外絞り隙間45で制御するので、旋回クランプのリリース作動とロック作動とで異なる制御を実施可能になった。
前記の内絞り隙間44は、軸心精度を確保しやすいクランプロッド5とシャトル部材42との間に形成されるので、寸法誤差による影響を受けにくい。また、外絞り隙間45は、上記の内絞り隙間44よりも大きな値に設定可能なので、軸心精度を確保しにくい前記ハウジング2の貫通孔10や前記の支持筒13の孔13aの寸法誤差による影響を受けにくい。このため、ハウジング2を所定の寸法公差で能率良く製作できる。
しかも、旋回式クランプの組み立て時において、上記クランプロッド5とシャトル部材42との2つの部品をサブアセンブリーした状態で絞り効果を予めテストできるので、最終組み立て後に絞り効果をテストする場合と比べて手間がかからない。即ち、旋回式クランプの最終組み立て後に絞り効果をテストせざるを得ない構造の場合には、不合格になったときに、そのクランプを分解して該当部品を交換した後に再テストする必要があり、このような試行錯誤のテストには極めて手間がかかるのである。
図4は、上記の旋回式クランプを上下逆に配置した場合のリリース開始状態を示し、前記の図2Bに類似する図である。
この図4に示されたリリース開始時には、シャトル部材42は、重力によってピストン19に先行して下降して弁室41に嵌合している。そして、前述したように、ピストン19の外径寸法D1とクランプロッド5の絞り外周面5aの外径寸法D2とクランプロッド5の上摺動部分11の外径寸法D3とが順に小さい値に設定されているので、リリース作動の初期から終期まではシャトル部材42の内周面と上摺動部分11の外周面との間の大きな隙間54を圧油が速やかに排出され、ピストン19及びクランプロッド5が急速に下降する。そして、そのクランプロッド5の絞り外周面5aがシャトル部材42の内周面に嵌合し始めた後は、前記の図2Bから図2Cへ至るまでの作動と同様に、内絞り隙間44が絞り作用を行うのである。
従って、本発明は、上下逆の姿勢や斜め姿勢に配置しても前述した各種の長所を奏する。
図5は、上記第1実施形態の変形例を示し、前記の図2Aに類似する図である。この変形例(及び後述の第2実施形態)においては、上記の第1実施形態の構成部材と類似する部材には原則として同一の符号を付けて説明する。
この図5の変形例は、上記の第1実施形態とは次の点で異なる。
前記の環状流路23のほぼ全体に前記の弁室41が形成され、その弁室41の上半部の小径孔56に前記ロック給排口24が開口されている。上記の小径孔56に、上記シャトル部材42の上半部が嵌合可能になっている。そのシャトル部材42の上半部の外周面と小径孔56の内周面との間に前記の外絞り隙間(図示せず)が形成可能になっている。
弁室41の下部の大径孔57にシャトル部材42のフランジ部58が挿入可能になっている。その大径孔57の頂壁(弁室41の基端部の周壁)に前記の弁座47が形成され、フランジ部58の上面に前記の弁部48が形成される。
弁室41の下端部(基端部)の周壁に弁座47を設け、シャトル部材42の下端部(基端部)に弁部48を設けたので、その弁室41の上部にロック給排口24を開口させることが可能になった。このため、環状流路23の軸心方向の長さが短くなり、旋回クランプの背丈を低くできる。
なお、前記の第1実施形態と同様に、上記シャトル部材42の下端部(基端部)には、前記ピストン19の上端面に設けた弁座49に軸心方向に対面する別の弁部50が配置される。
また、前記の第1実施形態と同様に、前記ピストン19の外径寸法D1と、クランプロッド5の絞り外周面5aの外径寸法D2と、クランプロッド5の前記の上摺動部分11の外径寸法D3とが、順に小さい値に設定されている。
上記の変形例は、前記の第1実施形態と同様に作動する。
図6は、本発明の第2実施形態の旋回クランプのリリース状態を示している。
この第2実施形態は、上記の第1実施形態とは次の点で異なる。
旋回式クランプ1は、油圧ロックでバネリリース式に構成されている。即ち、前記ピストン19から前記クランプロッド5が上向きに突出される。そのクランプロッド5は、前記の第1実施形態と同様に、上記ピストン19の上側に形成したロック室20の圧油によって下降駆動されるが、そのピストン19の下側のリリース室21に装着した復帰バネ60によって上昇駆動される。その復帰バネ60がリリース駆動手段Rを構成している。
また、前記ロッド孔18は、前記の図1Aの第1実施形態と比べて、上下方向へ長く形成される。そして、上記クランプロッド5の下部に前記の複数のガイド溝31が形成される。各ガイド溝31に嵌入した前記の係合ボール34は、前記ハウジング2の前記の胴壁2dに支持されている。なお、上記ガイド溝31の旋回溝32の螺進方向は、前記の第1実施形態とは逆向きに形成してある。前記ロック用給排口24は、前記のロッド孔18の上端部に開口されている。
上記ロッド孔18の下部に前記の弁室41が形成される。上記クランプロッド5の下部の絞り外周面5aと前記シャトル部材42の内周面との間に前記の内絞り隙間44が形成されている。また、上記シャトル部材42の外周面と弁室41の内周面との間に外絞り隙間45が形成されている。
上記シャトル部材42は止め輪61によって上方移動が規制されている。なお、内絞り隙間44を通る油は、上記の止め輪61のスリット又は装着隙間を通って流れるようになっている。弁座47・49と弁部48・50は前記の第1実施形態と同様に配置されている。
なお、上記の第2実施形態のクランプ1は、前記の第1実施形態と同様に作動する。
上記の止め輪61等の移動規制部材は、第1実施形態や変形例に設けてもよい。
上記の各実施形態や各変形例は次のように変更可能である。
前記した旋回角度θは、例示の値に限定されるものではなく、種々の所望の値に設定可能である。
前記の第1実施形態(図1Aから図4)の構造を、第2実施形態(図6)の構造と同様に、油圧ロックでバネリリース式に構成してもよい。また、第2実施形態(図6)の構造を、前記の第1実施形態(図1Aから図4)の構造と同様に、油圧ロックかつ油圧リリース式に構成してもよい。
旋回式クランプ1は、例示した上下方向の配置に代えて、斜め方向や上下逆に配置することも可能である。
圧力流体は、圧油に代えて、他の種類の液体や圧縮空気等の気体であってもよい。

Claims (7)

  1. 筒状のハウジング(2)にクランプロッド(5)を軸心方向へ移動可能かつ軸心回りに回転可能に支持し、そのクランプロッド(5)の先端部にクランピング用のアーム(6)を取り付け可能に構成し、上記ハウジング(2)にシリンダ孔(17)とロッド孔(18)とを先端方向へ順に設け、上記シリンダ孔(17)に挿入したピストン(19)を上記クランプロッド(5)に連結し、そのピストン(19)の先端側に、圧力流体が供給および排出されるロック室(20)を設けた、旋回式クランプであって、
    上記ロック室(20)と圧力流体の給排口(24)との間で上記ロッド孔(18)の周壁に、環状の弁室(41)を上記ロック室(20)に対面するように形成し、
    上記クランプロッド(5)の絞り外周面(5a)に環状のシャトル部材(42)の内周面を内絞り隙間(44)をあけて軸心方向へ移動自在に外嵌し、上記シャトル部材(42)の外周面を上記の弁室(41)の内周面に軸心方向へ嵌合可能に構成すると共にその嵌合領域に沿って外絞り隙間(45)を設け、
    上記ロック室(20)の圧力流体を上記の弁室(41)を介して上記の給排口(24)へ排出させるリリース作動時には、上記クランプロッド(5)を、上記の先端方向へ直進移動させた後で旋回機構を介してリリース旋回させながら上記の先端方向へ移動させるように構成し、
    上記リリース旋回移動の終期には、上記シャトル部材(42)が上記の弁室(41)の内周面に嵌合し始めたときに作用する圧力流体の差圧力によって上記シャトル部材(42)を先端方向へ移動させて上記の弁室(41)に嵌合させると共に、上記ロック室(20)から前記の給排口(24)へ排出される圧力流体の流量を少なくとも前記の内絞り隙間(44)によって制御可能に構成し、
    これに対して、上記の給排口(24)の圧力流体を上記ロック室(20)へ供給するロック作動時におけるロック旋回移動の初期には、その供給される圧力流体の流量を少なくとも前記の外絞り隙間(45)によって制御可能に構成した、
    ことを特徴とする旋回式クランプ。
  2. 請求項1の旋回式クランプにおいて、
    前記ピストン(19)の外径寸法(D1)と、前記クランプロッド(5)の前記の絞り外周面(5a)の外径寸法(D2)と、前記ハウジング(2)に支持されたクランプロッド(5)の摺動部分(11)の外径寸法(D3)とを、順に小さい値に設定した、ことを特徴とする旋回式クランプ。
  3. 請求項1又は2の旋回式クランプにおいて、
    前記シャトル部材(42)に、前記の弁室(41)の周囲壁に設けた弁座(47)に軸心方向に対面する弁部(48)を配置し、
    前記リリース旋回移動の終期には、前記の差圧力によって上記シャトル部材(42)が先端方向へ移動されたときに、上記の弁部(48)を上記の弁座(47)に接当させて前記の外絞り隙間(45)を閉じるように構成し、
    前記ロック旋回移動の初期には、前記シャトル部材(42)に作用する圧力流体によって上記の弁部(48)を上記の弁座(47)から離間させるように構成した、ことを特徴とする旋回式クランプ。
  4. 請求項1又は2の旋回式クランプにおいて、
    前記の内絞り隙間(44)を前記の外絞り隙間(45)よりも小さい値に設定した、ことを特徴とする旋回式クランプ。
  5. 請求項1又は2の旋回式クランプにおいて、
    前記の弁室(41)の先端壁に前記の弁座(47)を設け、前記シャトル部材(42)の先端部に前記の弁部(48)を設けた、ことを特徴とする旋回式クランプ。
  6. 請求項1又は2の旋回式クランプにおいて、
    前記の弁室(41)の基端部の周壁に前記の弁座(47)を設け、前記シャトル部材(42)の基端部に前記の弁部(48)を設けた、ことを特徴とする旋回式クランプ。
  7. 請求項1又は2の旋回式クランプにおいて、
    前記シャトル部材(42)の基端部に、前記ピストン(19)の先端面に設けた弁座(49)に軸心方向に対面する別の弁部(50)を配置した、ことを特徴とする旋回式クランプ。
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