JPWO2007138881A1 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

圧縮状態評価部19において、異なる2つの組織にそれぞれ設定された基準領域R1、R2に対応する歪み変化Δε1、Δε2を弾性演算部13から取込んでそれらの比Δε2/Δε1を求め、求めた歪み変化の比に基づいて圧縮状態を評価し、評価した圧縮状態をディスプレイ10に表示される関心領域に対応付けて表示することにより、弾性情報の計測時における圧縮状態の微小な変化から圧縮状態を評価することにより、病変組織の良悪性の診断の客観性及び再現性を担保する。【選択図】 図8

Description

本発明は、組織に圧縮を加えたときの組織の歪み等に基づいて組織の硬さ又は軟らかさを示す弾性画像等の弾性情報を生成する機能を備えた超音波診断装置に関する。特に、組織に作用する応力を計測するための圧力センサを設けなくても、関心部位の良悪性の診断の客観性及び再現性を担保するのに好適な圧力センサレスの超音波診断装置に関する。
特許文献1の段落[0049]では、超音波診断装置における弾性画像を用いた診断において、圧力センサにより探触子の超音波送受信面より被検体の外皮へ加えられる圧力を測定する技術が記載されている。前記圧力は、弾性率データを求めるために必要であるし、弾性率画像による関心部位の良性又は悪性の鑑別においても、その鑑別の客観性を担保するために必要だと考えられている。例えば、非特許文献1では、弾性率画像による関心部位の鑑別においては、前記圧力と相関する組織の歪み量(以下、圧縮状態ともいう。)によって、良性組織と悪性組織の弾性率の値の大小関係が入れ替わる例が報告されている。
本発明者らは、上記従来技術を検討した結果、以下の問題点に気が付いた。
すなわち、圧力センサによる方法は、前記圧力を直接検出できるという利点もあるが、超音波送受信面と接触する被検体の外皮よりも内側の組織内部の圧縮状態をも測定できれば、より診断や鑑別が確実になるではないかと考えられていた。
JP2004−261198A Krouskop T, et al : Elastic Moduli of Breast and Prostate Tissues Under Compression. Ultrasonic Imaging 20 : 260-274, 1998.
本発明の目的は、圧力センサ等を用いず、被検体の検査の対象とする組織の圧縮状態を好適に評価するための手段を備え、関心部位の良悪性の客観性及び再現性を担保するのに好適な超音波診断装置を提供することにある。
上記の課題を解決する本発明の超音波診断装置は、被検体に加えられた圧縮状態が変化する過程で取得した計測時刻が異なる一対の反射エコー信号のフレームデータに基づいて、複数の計測点における組織の弾性情報をそれぞれ求める弾性演算部と、該弾性演算部で求められた前記弾性情報に基づいて弾性画像を生成してディスプレイに表示する弾性画像生成部を備えた超音波診断装置であって、前記計測点における組織の歪み変化の情報を基に、前記圧縮状態を評価する圧縮状態評価部を備え、該評価した圧縮状態を前記弾性画像に対応付けて前記ディスプレイに表示するように構成されてなることを特徴とする。
この場合において、圧縮状態評価部は、計測点における組織の歪み変化の積算値(=ΣΔε)を基に前記圧縮状態を評価することができる。さらに、圧縮状態評価部は、設定された関心領域に含まれる前記計測点の組織について求めた前記歪み変化Δεを前記弾性演算部から取り込み、該歪み変化Δεを前記圧縮状態がゼロのときから積算して前記歪みεを求めることができる。また、圧縮状態評価部は、特定の組織に設定された基準領域に含まれる前記計測点の組織について求めた歪み変化Δεを前記弾性演算部から取込み、該歪み変化Δεに基づいて前記特定の組織の歪みε(=ΣΔε)を求め、予め計測されて記憶されている前記特定の組織の応力−歪み特性に基づいて前記歪みεに対応する応力σを求め、該求めた応力σを基に前記圧縮状態を評価することができる。
すなわち、図3に示した乳腺及び脂肪組織の応力−歪み特性から明らかなように、組織の種類にかかわらず、歪み変化Δεの積算値である歪みε(=ΣΔε)は応力σに一義的に対応する。したがって、微小な圧縮状態の変化の情報の1つである歪み変化Δεを積算して歪みεを求めることにより、計測時における応力σの大きさを評価することができる。その結果、本発明の第1の態様によれば、微小な歪み変化Δεに基づいて生成した弾性画像に合わせて、歪み変化Δεの積算値を表示することにより、圧縮状態の適否を評価できるから、関心部位の弾性を定量的に評価できる。これにより、病変組織の良悪性の診断の客観性、再現性及び確定性を担保することができる圧力センサレスの超音波診断装置を実現することができる。なお、圧縮状態の評価は、歪みεに限られるものではなく、例えば、変位や応力の大きさ(絶対量)によっても評価することができる。
また、組織の応力−歪み特性は組織の種類ごとに異なるが、個体差は少ないことが知られている。また、組織に作用する応力は圧縮方向の各部において共通である。したがって、特定の組織(例えば、脂肪、筋、乳腺、などの正常組織)の応力−歪み特性を求めて記憶しておき、計測時に特定の組織に対応する部位に基準領域を設定し、その基準領域の歪み変化ΣΔεを積算して歪みεを求めることにより、応力−歪み特性に基づいて関心部位に作用する応力σの大きさを推定できる。これにより、弾性演算部は、設定された関心領域について求めた歪み変化Δεと応力σ及び応力変化Δσに基づいて、定量的かつ客観的な弾性情報を求めることができる。ここで、弾性情報は、弾性率、粘性率、歪み、応力、歪み比、ポアソン比などの弾性に関する情報を示す包括的な言葉である。
また、本発明の圧縮状態評価部は、2つの基準領域における歪み変化の比に基づいて、圧縮状態を評価することができる。すなわち、圧縮状態評価部は、異なる2つの組織にそれぞれ設定された基準領域R1、R2に対応する歪み変化Δε1、Δε2を前記弾性演算部から取込んでそれらの比Δε2/Δε1(Δε1/Δε2でもよい。以下同じ。)を求め、該求めた歪み変化の比に基づいて圧縮状態を評価し、該評価した圧縮状態を前記ディスプレイに表示される関心領域に対応付けて表示する構成とすることができる。
すなわち、組織の応力−歪み特性は組織の種類ごとに異なる非線形特性を有し、その非線形特性は組織の種類ごとに異なり、かつ、同一の組織であればその非線形特性の個体差は少ない。したがって、異なる種類の2つの特定の組織に設定された基準領域R1、R2における歪み変化の比Δε2/Δε1は、計測時における応力σに応じて異なった値を示すことになる。言い換えれば、歪み変化の比Δε2/Δε1は、計測時の関心部位の応力の大きさ、すなわち圧縮状態に相関する。したがって、歪み変化の比Δε2/Δε1に基づいて、関心部位の弾性を定量的に評価できる。
ところで、基準領域R1、R2における組織の非線形特性を指数関数的な挙動(σ=exp(α×ε))として近似することができ、その近似関数の非線形パラメタをα1、α2とする。このとき、共通に作用する応力σの下で、応力変化Δσの作用が加わったと考えると、比Δε2/Δε1=α1/α2となる。ここで、計測する応力範囲内でα1、α2が一定であれば比Δε2/Δε1が一定になるから、比Δε2/Δε1も一定になり、計測時における応力σを評価できない。ところが、実際の組織による実測では、上記Δε2/Δε1の値は応力に応じて変化することが確認されている。これは、上記モデル化の方法が不完全であり、実際の組織の弾性応答を正確に表現できていないことが原因である。実際の組織においては、応力−歪み特性として線形の応答を示す圧縮状態の範囲を持った組織があることや、生体組織には圧縮の限界があり、圧縮限界に達するに従い、大きな応力変化を与えても組織が変形せず、歪み変化が生じにくくなることなどの挙動がある。そのため、上述した指数関数的な挙動で説明できる非線形特性は限られた局所的な圧縮状態範囲であり、比Δε2/Δε1は一定ではなく、応力σに相関するから、圧縮状態を評価することができる。このように応力σとの相関が得られる2つの基準領域は、例えば、乳がんの検査の場合は、脂肪と筋、脂肪と乳腺、乳腺と筋の部位に設定することができる。
また、第2の態様の圧縮状態評価部は、予め計測されて記憶されている前記2つの特定の組織の歪み変化の比Δε2/Δε1と圧縮状態の関係に基づいて、前記求めた歪み変化の比に対応する前記圧縮状態を求めるように構成することができる。これによれば、前述したように、同一種類の組織であれば弾性の個体差が小さいから、予め特定の組織の種類に対応させてΔε2/Δε1の大きさと応力σの関係を計測してメモリに記憶(テーブル化)しておくことにより、実際の歪み変化の比Δε2/Δε1の計測値から直ちに応力σを求めることができる。
さらに、上記の課題を解決する本発明の第3の態様は、第2の態様の基準領域に相当する2つの基準領域及び関心領域を含む広域関心領域を設定し、広域関心領域の歪み変化の平均値により、各計測点の歪み変化を規格化することを特徴とする。すなわち、第3の態様の圧縮状態評価部は、関心領域と異なる特定の2つの組織にそれぞれ設定された基準領域R1、R2とを含む広域関心領域に対応する歪み変化Δε1、Δε2、ΔεIを前記弾性演算部から取込み、前記広域関心領域の歪み変化の平均値Δεmeanを求めて前記弾性演算部に出力し、前記弾性演算部は、前記各計測点について求めた前記歪み変化Δεを前記平均値で規格化して前記弾性情報を求めることを特徴とする。
すなわち、検者は、関心領域ROIと異なる種類の2つの特定の組織の基準領域R1、R2を含むように広域関心領域L−ROIを設定する。なお、対象組織が、関心領域ROIを挟んで基準領域R1、R2が画像上で層状に位置される場合などのように、関心領域ROIに対して基準領域R1、R2が特定の位置関係になっている場合は、Bモード断層像上で広域関心領域L−ROIを設定するだけで、自動で基準領域R1、R2を設定するようにプログラムすることができる。
このように設定された広域関心領域の全ての計測点Pijの歪み変化Δεijの合計を計測点数Ntotで割り、広域関心領域の歪み変化の平均値Δεmeanを求める。そして、各計測点Pijの歪み変化Δεijを広域関心領域の歪み変化の平均値Δεmeanで除して、規格化された各計測点Pの歪み変化Δεij/Δεmeanを求める。規格化した各計測点Pの歪み変化Δεij/Δεmeanに基づいて弾性画像を生成することにより、各計測点Pijの歪み変化Δεijを指標化して表示できる。
ところで、加えられた応力σに応じて各計測点Pijの歪み変化Δεij/Δεmeanが変動するので、各部の弾性を定量的に評価することができない。そこで、第2の態様と同様に、圧縮状態評価部は、基準領域R1、R2に対応する歪み変化Δε1、Δε2の比Δε2/Δε1を求め、該求めた歪み変化の比に基づいて圧縮状態を評価し、該評価した圧縮状態を前記ディスプレイに表示させることができる。
また、圧縮状態評価部は、予め計測されて記憶されている特定の2つの組織の歪み変化の比Δε2/Δε1と圧縮状態(例えば、応力)の関係に基づいて、前記求めた歪み変化の比に対応する前記圧縮状態を求めることができる。
さらに、圧縮状態評価部は、歪み変化の比Δε2/Δε1又は規格化された歪み変化Δε1/Δεmean(又はΔε2/Δεmean)が急激に変化する現象を検知して注意報を前記ディスプレイに出力することができる。すなわち、組織は圧縮力(応力)を増大させていくと歪み変化がほとんど生じないいわゆる圧縮限界に達する。この圧縮限界に達する圧縮力(応力)は組織の種類によって異なるから、基準領域R1,R2の一方の組織が圧縮限界に達すると、歪み変化の比Δε2/Δε1及び規格化された歪み変化Δε1/Δεmean又はΔε2/Δεmeanが急激に変化する現象が現れる。基準領域R1,R2の一方の組織が圧縮限界に達すると、歪み変化Δε1とΔε2の間の大きさの関係が急激に変化する。そこで、歪み変化の比Δε2/Δε1及び規格化された歪み変化Δε1/Δεmean(又はΔε2/Δεmean)が急激に変化する現象を検知して、圧縮力(応力)を調整することにより、所定の圧縮状態における弾性画像を得ることが可能となり、客観的、確定的な画像診断を行うことができる。
上述したように、本発明によれば、弾性情報の計測時における圧縮状態の微小な変化から、圧縮状態を評価することができ、病変組織の良悪性の診断の客観性及び再現性を担保することができる圧力センサレスの超音波診断装置を実現することができる。
本発明の一実施形態の超音波診断装置のブロック構成図である。 探触子により対象組織に圧縮を加える圧縮操作の一例を説明する図である。 乳腺、脂肪組織の応力−歪み線図の一例を示す図である。 実施例1の処理手順のフローチャートである。 実施例1の表示画像の一例を示す図である。 実施例2の表示画像の一例を示す図である。 実施例2の脂肪部における応力−歪み特性の一例を示す図である。 実施例3の処理手順のフローチャートである。 実施例3の表示画像の一例を示す図である。 脂肪部、筋部、関心部の応力−歪み特性の一例を示す図である。 図10の応力−歪み特性の縦横軸を入れ替えた図である。 組織の圧縮限界を説明する応力−歪み特性図である。 組織の圧縮限界を説明する応力−歪み変化の比の特性図である。 実施例4の弾性率画像の一例を示す図である。 実施例5の処理手順のフローチャートである。 実施例5の規格化歪み画像の一例を示す図である。 規格化歪み変化の圧縮限界の挙動を説明する図である。 応力に対する規格化歪み変化を色相で表示するカラーマップの一例を示す図である。 応力に対する規格化歪み変化を色相で表示するカラーマップの他の例を示す図である。 規格化歪み変化の深度方向の分布を説明する図である。 圧縮量を増やしていくと深度が深くなる方向の歪み変化分布の傾きが負から正の方向に変化する例を説明する図である。 ライン領域毎に応力を評価する実施例8を説明する図である。 広域関心領域に基準領域を設定する実施例11の方法を説明する図である。 テンプレートを用いて基準領域を設定する実施例12の方法を説明する図である。 自動的に基準領域を設定する実施例13の方法を説明する図である。 基準領域が圧縮により変形する組織から外れることを説明する図である。 圧縮により変形する組織に追従させて基準領域を移動及び変更する例を説明する図である。 圧縮により変形する組織に追従させて基準領域を移動及び変更する例の詳細を説明する図である。 図26Cによる基準領域の移動及び変更の前後を示す図である。 本発明の係る超音波診断装置により表示する弾性画像の好適な実施例17を説明する図である。 関心部の関心領域ROIにおける応力−歪みの関係のグラフをリアルタイムにプロットして表示する実施例19を説明する図である。 実施例19の応力−歪み線図に組織の種類に対応するゾーンを表示する例を説明する図である。 応力インデックスσindexとして歪み変化の比(Δε2/Δε1)の値を用いて弾性をインデックス化した場合、良悪性を高精度で鑑別できる実験結果を説明する図である。
以下、本発明の超音波診断装置を実施形態に基づいて説明する。
図1に、本発明の超音波診断装置の一実施形態のブロック構成図を示す。図に示すように、被検体1の外皮に接触させて用いられる超音波の探触子2は、被検体1との間で超音波を送信及び受信する複数の振動子が配列された超音波送受信面を有して形成されている。探触子2は、送信回路3から供給される超音波パルスにより駆動される。超音波送受信制御回路4は、探触子2の複数の振動子を駆動する超音波パルスの送信タイミングを制御して、被検体1内に設定される焦点に向けて超音波ビームを形成するようになっている。また、超音波送受信制御回路4は、探触子2の振動子の配列方向に電子的に超音波ビームを走査するようになっている。
一方、探触子2は、被検体1内から発生する反射エコー信号を受信して受信回路5に出力する。受信回路5は、超音波送受信制御回路4から入力されるタイミング信号に従って、反射エコー信号を取り込んで増幅などの受信処理を行う。受信回路5により受信処理された反射エコー信号は、整相加算回路6において複数の振動子により受信された反射エコー信号の位相を合わせて加算することにより増幅される。整相加算回路6において整相加算された反射エコー信号のRF信号は、信号処理部7に入力され、ゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の信号処理がなされる。なお、整相加算回路6において生成されるRF信号は、複合復調したI、Q信号であっても良い。
信号処理部7により処理されたRF信号は白黒スキャンコンバータ8に導かれ、ここにおいてディジタル信号に変換されるとともに、超音波ビームの走査面に対応した2次元の断層像データに変換される。これらの信号処理部7と白黒スキャンコンバータ8によって断層像(Bモード像)の画像再構成手段が構成される。白黒スキャンコンバータ8から出力される断層像データは、切替加算部9を介して画像表示器10に供給されてBモード像が表示されるようになっている。
一方、整相加算回路6から出力されるRF信号は、RF信号フレームデータ選択部11に導かれる。RF信号フレームデータ選択部11は、超音波ビームの走査面(断層面)に対応するRF信号群を、フレームデータとして複数フレーム分を取得してメモリなどに格納する。変位演算部12は、RF信号フレームデータ選択部11に格納されている取得時刻が異なる複数対のフレームデータを順次取り込み、取り込んだ一対のフレームデータに基づいて断層面における複数の計測点の変位ベクトルを求め、変位フレームデータとして弾性演算部13に出力するようになっている。
本実施形態の弾性演算部13は、変位フレームデータに基づいて各計測点の組織の歪み変化を求めて歪みフレームデータを生成する機能、及び、その他の弾性情報を演算する機能を有して構成されている。弾性データ処理部14は、弾性演算部13から出力される弾性情報のフレームデータに対して、座標平面内におけるスムージング処理、コントラスト最適化処理、フレーム間における時間軸方向のスムージング処理などの様々な画像処理を施すようになっている。カラースキャンコンバータ15は、弾性データ処理部14から出力される弾性情報のフレームデータを取り込み、設定された弾性情報のカラーマップに従って、フレームデータの画素ごとに色調コードを付与してカラー弾性像を生成するようになっている。
カラースキャンコンバータ15により生成されたカラー弾性画像は、切替加算部9を介して画像表示器10に表示されるようになっている。また、切替加算部9は、白黒スキャンコンバータ8から出力される白黒の断層像と、カラースキャンコンバータ15から出力されるカラー弾性画像とを入力し、両画像を切り替えていずれか一方を表示させる機能と、両画像の一方を半透明にして加算合成して画像表示器10に重ねて表示させる機能と、両画像を並べて表示させる機能を有して形成されている。また、シネメモリ部18は、切替加算部9から出力される画像データをメモリに格納し、制御インターフェイス部17からの指令に従って、過去の画像データを呼び出して画像表示器10に表示するようになっている。さらに、選択された画像データをMOなどの記録メディアへ転送することが可能になっている。
圧縮状態評価部19は、本発明の特徴部を構成するものであり、被検体に加えられた圧縮状態を、計測時における歪みの微小な変化量に関する情報に基づいて評価するようになっている。この圧縮状態評価部19の詳細構成、及び弾性演算部13とカラースキャンコンバータ15との関連構成については、後述する実施例において説明する。
このように構成される本実施形態の基本的な動作について説明する。まず、探触子2による被検体1への圧迫操作の一例について、図2(A)〜(C)を参照して説明する。基本的には、図2に示すように、被検体1に探触子2を当てて圧力を加え、5〜20%の絶対的な歪みεが生じた状態で0.2〜1%の微小な歪み変化Δεを生じさせるように、生体組織に加わる絶対的な応力σを微小応力変化Δσだけ変化させる。そして、微小応力変化Δσを繰返しながら、被検体1に超音波ビームを走査するとともに、走査面からの反射エコー信号を連続的に受信する。そして、整相加算回路6から出力されるRF信号に基づいて、信号処理部7及び白黒スキャンコンバータ8により断層像(Bモード)が再構成され、切替加算器9を介して画像表示器10に表示される。
一方、RF信号フレームデータ選択部11は、被検体1に加えられる圧力が変化する過程で、RF信号を取り込んでフレームレートに同期させてフレームデータを繰り返し取得し、内蔵されたフレームメモリ内に時系列順に保存する。そして、取得時刻が異なる一対の反射エコー信号からなるフレームデータを単位として、連続的に複数対のフレームデータを選択して変位演算部12に出力する。変位演算部12は、選択された一対のフレームデータを1次元もしくは2次元相関処理し、走査面における各計測点の変位を計測して変位フレームデータを生成する。この変位ベクトルの検出法としては、例えば、画像を例えばN×N画素からなるブロックに分け、現フレーム中の着目しているブロックに最も近似しているブロックを前フレームから探索し、これに基づいて計測点の変位を求める周知のブロックマッチング法を適用できる。また、一対のRF信号フレームデータの同一領域における自己相関を計算して変位を算出することができる。
変位演算部12で求められた変位フレームデータは、弾性演算部13に入力され、各計測点の歪み変化などの、予め設定された弾性情報を演算して、必要な弾性情報フレームデータを弾性データ処理部14に出力する。歪み変化の演算は、周知のように変位を空間微分することによって計算される。
また、弾性演算部13は、後述する各実施例で説明するように、圧縮状態評価部19から出力される圧縮状態の評価データを取込み、必要に応じて定量化された弾性情報を求める。求めた弾性情報は、弾性情報処理部14を介してカラースキャンコンバータ15に入力されて弾性画像が生成され、画像表示器10に表示される。
以下に、本実施形態の特徴部である圧縮状態評価部19の詳細構成、及び関連する弾性演算部13、カラースキャンコンバータ15、制御インターフェイス部17の構成を、具体的な実施例に基づいて動作とともに説明する。
本実施例は、関心領域の歪み変化Δεを圧縮状態がゼロのときから積算した積算値ΣΔε(=歪みε)により、圧縮状態を評価する例である。図4に本実施例の処理手順のフローチャートを示す。
まず、ステップS1において、図5に示すように、画像表示器10に表示されているBモード像もしくは弾性画像などの画像を利用して、関心を持っている腫瘍などを含む関心領域ROIを設定する。図5では、弾性画像として歪み画像20を表示しているものとする。なお、歪み画像20として、後に示す規格化歪み変化画像を表示するようにしてもよい。
次に、ステップS2において、探触子を被検体の外皮に接触させて、かつ圧縮を加えない状態で、制御インターフェイス部17から圧縮状態評価部19に記憶されている歪み変化の積算値ΣΔεijをゼロに初期化(リセット)する。なお、圧縮状態のゼロは、反射エコー信号の入力開始で検知することができる。その後、ステップS3において被検体1に初期圧縮を加え(図2(B))、次いで微小な圧力を変化しながら付与して、超音波計測を実行する((図2(C))。これにより、ステップS4にて、弾性演算部13において関心領域ROIを含む所定領域の各計測点における微小な歪み変化Δεijが求められる。また、圧縮状態評価部19は、ステップS4と並行し、ステップS2の圧縮状態がゼロの状態から、関心領域ROIにおける微小な歪み変化Δεの積算値ΣΔε(=歪みε)を求める(S5)。カラースキャンコンバータ15は、弾性演算部13から出力される歪み変化Δεijに基づいてカラーの歪み画像20をリアルタイムで生成し、図5の左図に示すように、画像表示器10にカラー歪み画像20を表示する。圧縮状態評価部19から出力される歪みεは、ROIに対応させて数値21で表示され(S6)。このカラー歪み画像20の各部の硬さ及び軟らかさを示す弾性の程度は、カラーバー26の色調に対応付けて示される。また、計測された歪み変化Δεと、そのときの歪みε(%)をプロットして、図5の右図に示すように、歪み変化Δε−歪みε線図22を作成し、画像表示器10の弾性画像に並べて表示する。ただし、歪み変化Δε−歪みε線図は、後に示す規格化歪み変化Δεnorm−歪みε線図としてプロットする方が客観性、再現性が高く、望ましい。
本実施例の歪み変化Δεの積算値ΣΔεは、圧縮状態がゼロのときから積算した歪みεであるから、ROIの組織の応力−歪み特性に基づいて応力σに相関する。したがって、表示される弾性画像のカラー表示された弾性を歪みεの大きさを基準に評価することができる。また、歪み変化Δε−歪みε線図に、適正な基準歪み範囲を表示することにより、検者はROIの組織の弾性について適正な応力における定量的かつ再現性のある診断を行うことができる。
すなわち、歪み変化Δεはそのときに加えられた外部からの圧縮量(探触子2の変位量)に依存する値であるから、これに基づいて生成した弾性画像は、組織間の異なる弾性の相対的な関係を表すだけであり、組織固有の弾性を定量的に表す弾性情報ではない。例えば、非特許文献1に述べられているように、組織の弾性は図3に示す乳腺及び脂肪組織の応力−歪み線図のように、非線形性の特性を有し、絶対的な歪み(以下、単に歪みという。)εが大きくなるにつれ硬くなる性質を持っている。弾性率は、応力−歪み線図の傾きで与えられ、その組織固有の定量的な値であるが、絶対的な応力(以下、単に応力という。)σや歪みε等で表される圧縮状態に応じて大きさが変化する。つまり、組織固有の弾性率も、圧縮状態(応力σ、歪みε)に応じて変化するため、その弾性情報に基づいて構築される弾性画像も同様に圧縮状態に依存して相対的に変動することになる。そこで、本実施例のように、積算値ΣΔε(=ε)は応力σに相関するから、その大きさを基準にすることにより、組織固有の弾性を定量的に評価することができる。
また、本実施例における弾性情報は、歪み、弾性率のほか、粘性率、歪み比、ポアソン比などの弾性情報を適用することができる。また、関心領域ROIを複数設定し、それらのROIについて、本実施例の弾性画像及び弾性情報−歪みε線図、弾性情報−応力σ線図をそれぞれ表すことができる。
前述したように、組織の応力−歪み特性は組織の種類ごとに異なるが、個体差は少ない。そこで、予め関心部位とは異なる特定の組織(例えば、脂肪、筋、などの正常組織)の応力−歪み特性を求めてメモリに記憶しておき、計測時に特定の組織に対応する部位に基準領域R1を設定し、その基準領域R1の歪み積算値ΣΔε1を求めれば、その特定の組織の応力−歪み特性に基づいて関心領域と基準領域に共通に作用する応力σの大きさを推定できる。応力σの大きさを推定できれば、関心部位の弾性率E等の弾性情報を確定的に求めることができる。この実施例2について、以下に詳細に説明する。
生体組織は一般に、図3の乳腺部に示すような応力−歪み特性を有し、歪みに対して非線形な弾性特性を示す。この応答は一般に次式(1)のような指数関数を用いて解析される。
σ=exp(α×ε) (1)
組織の応力−歪みの実測値を式(1)で近似(フィッティング)した解析結果が式(1)のαに反映される。αの値が大きいほど非線形性が顕著であるということになり、このαは非線形パラメタと呼ばれている(非特許文献3参照)。
式(1)をεで微分すると、次式(2)となる。
(dσ/dε)=α×exp(α×ε) =α×σ (2)
したがって、微小な応力変化Δσと、それにより生じる微小な歪み変化Δεは、次式(3)の関係で結びついている。
Δσ=α×σ×Δε (3)
まず、式(3)のΔσを関心部位とは異なる特定の組織から求める方法を図6を用いて説明する。同図に示すように基準領域R1を、脂肪部に設定したものとすると、式(3)のαは脂肪の応力−歪み特性から既知であり、これをα1と表記する。また、図7に示すように、基準領域R1において計測される歪み変化とその積算値である歪みを、それぞれΔε1、ε1=ΣΔε1と表記する。このとき、式(1)から、関心領域と基準領域に共通に作用する応力σは、σ=exp(α1×ε1)として求められ、また、式(3)から、このときの共通の応力変化は、Δσ=α1×σ×Δε1として求められる。
ここで、弾性率Eとしてヤング率を用いる場合は、一般に、応力を歪みで除することによって得られ、関心領域のヤング率を包括的に得るとするならば、次式(4)で求めることができる。
E=Δσ/ΔεI (4)
ここで、ΔεIは関心領域において計測された歪み変化である。
この場合は、図6の右図の線図22を弾性率E−応力σ線図として表すことができ、圧縮状態と弾性率を関連付けて表示することができる。また、いうまでもなく、上記の方法に従って弾性率画像を構築する場合は、各計測点Pijについて上式(4)の処理を行い、Eij=Δσ/Δεijとして演算した弾性率を画像化すればよい。
なお、図6と図7に示した例では、非線形パラメタαに基づいて応力σを求めることを説明したが、これに代えて、図7の特性データをテーブル化してメモリに格納しておけば、ΣΔε1から直接、応力σを求めることができる。これによれば、非線形パラメタαが定数でない場合にも本実施例を適用できる。
また、本実施例及び実施例1によれば、探触子を被検体の外皮に接触させて、かつ圧縮を加えない状態で、制御インターフェイス部17から圧縮状態評価部19に記憶されている歪み変化の積算値ΣΔεijを、ゼロに初期化(リセット)する必要がある。このリセットは、検者により行われるから任意性があり、そのためにリセット操作が遅れると、積算値ΣΔεijに誤差が含まれる可能性がある。そこで、以下の実施例3,4等に説明するように、任意の圧縮状態下で、微小な歪み変化の比Δε2/Δε1だけを用いて圧縮状態を評価する方法に比べれば、画定性及び再現性が劣るといえる。
本実施例は、関心領域とは異なる特定の組織に設定された2つの基準領域R1,R2の歪み変化の比Δε2/Δε1により圧縮状態を評価する例である。図8に、本実施例の処理手順のフローチャートを示し、図9に、本実施例の歪み画像25の表示例を示す。
すなわち、図8に示すように、まず、ステップS11において、図9に示すように、Bモード像もしくは歪み画像などの対象部位を撮像した画像25を利用して、関心を持っている病変部などを含む関心領域ROIを設定する。また、予め定めた異なる特定の組織にそれぞれ基準領域R1,R2を設定する。図9は乳がんの診断を行う例であり、乳腺部等の関心部を挟んで上方に脂肪部が、下方に筋部が層状に位置されている。関心領域ROIは関心部に設定され、基準領域R1は正常組織である脂肪部に、基準領域R2は脂肪部とは異なる別の正常組織である筋部に設定されている。その後、ステップS12において、探触子を被検体の外皮に接触させ、被検体1に初期圧縮を加え(図2(B))、次いで微小な圧力を変化しながら付与して超音波の計測を実行する((図2(C))。
超音波計測が実行されると、弾性演算部13において関心領域ROIと基準領域R1,R2を含む計測範囲全領域の各計測点における微小な歪み変化Δεijが求められる(S13)。また、圧縮状態評価部19は、ステップS13と並行して基準領域R1,R2における微小な歪み変化の比Δε2/Δε1を求める(S14)。カラースキャンコンバータ15は、弾性演算部13から出力される歪み変化Δεijに基づいてカラーの歪み画像をリアルタイムで生成し、図9に示すように、画像表示器10に弾性画像を表示する(ステップS15)。なお、この歪み画像に代えて、後述する規格化歪み画像や弾性率画像を構築して表示することが好ましい。
例えば、図9に示したように、相対的に軟らかい脂肪部に基準領域R1、相対的に硬い大胸筋部の筋部に基準領域R2、関心部に関心領域ROIを設定する。脂肪部、筋部、関心部の組織は、それぞれ図10に示すような応力−歪み特性を有するものとする。ここで、実施例2でも説明した通り、基準領域R1、R2の応力−歪み特性をそれぞれモデル化して、次式(5)、(6)の指数関数で表わせるものと仮定する。同式において、α1、α2はそれぞれ基準領域R1,R2における組織の非線形性を表す非線形パラメタ(定数)である。
σ=exp(α1×ε) (5)
σ=exp(α2×ε) (6)
実施例2の説明と同様、基準領域R1、R2における歪みをそれぞれε1、ε2おくと、基準領域と関心領域に共通に作用する応力σの下における共通の応力変化は、次式(7)により求められる。
Δσ=α1×σ×Δε1、Δσ=α2×σ×Δε2 (7)
これにより、歪み変化の比Δε2/Δε1は次式(8)により求められる。
Δε2/Δε1=α1/α2 (8)
式(8)によれば、Δε2/Δε1は応力σに依存していないから、Δε2/Δε1の値によって圧縮状態を評価できないことになる。ところが、実際の組織による実測では、上記Δε2/Δε1の値は応力σに応じて変化することが確認されている。これは、上記モデル化の方法が不完全であり、実際の組織の弾性応答を正確に表現できていないことが原因である。
実際の組織においては、Δε2/Δε1の値が応力σと相関することを説明する。ここでは、組織の弾性応答の内、以下の2つの挙動を例にとり説明する。
(挙動1): 応力−歪み特性として線形の応答を示す圧縮状態の範囲を持った組織があること。
(挙動2): 生体組織には圧縮の限界があり、圧縮限界に達するに従い、大きな応力変化を与えても組織が変形せず、歪み変化が生じにくくなること。
まず、(挙動1)について本実施例で説明し、(挙動2)については次の実施例で説明する。
(挙動1)
基準領域R1の脂肪部は、非線形性が他の組織に比較して弱く、図3及び非特許文献1で示されるように、歪み30%程度までの通常の計測範囲では、基準領域R1の応力−歪み特性は、図11に示すように線形性を有する特性に近似できる。この脂肪部の応力σに対する歪みεの傾きを定数aで表し、次式(9)で表すことができる。
σ=a×ε (9)
これらの関係を応力の関数として見ると、次式(10)、(11)に変形できる。
ε=(1/α1)×ln(σ)、 (Δε/Δσ)=(1/α1)×(1/σ) (10)
ε=(1/α2)×ln(σ)、 (Δε/Δσ)=(1/α2)×(1/σ) (11)
(10)、(11)式から、基準領域R1,R2の歪み変化Δε1、Δε2は、次式(12)、(13)で表せる。
Δε1=(1/a)×Δσ (12)
Δε2=(1/α2)×(1/σ)×Δσ (13)
これらの式(12)、(13)から関心領域と基準領域に共通に負荷した応力変化Δσを消去して、歪み変化の比Δε2/Δε1と応力σの関係は、次式(14)で表せる。
Δε2/Δε1=(a/α2)×(1/σ)
σ=(a/α2)×(Δε1/Δε2) (14)
式(14)から明らかなように、歪み変化の比Δε2/Δε1は、圧縮状態の評価指標の一つである応力σに一義的に相関する。つまり、任意の計測時における歪み変化の比Δε2/Δε1の計測値によって、その計測時における圧縮状態を評価することができる。
また、実施例2と同様、特定の組織の弾性応答の固体差は小さいので、上式(14)のa、α2の定数は図3の実測データのように既知の数値としてもっておくことができる。これらの数値を利用すれば圧縮状態を表す応力σの値を得ることが可能となる。以下、実施例2の方法と同様に共通の応力変化Δσも求められ、最終的に関心領域の弾性率Eや計測点毎の弾性率Eijを求めることが可能となる。
そこで、図8のステップS15では、関心領域ROIを含む各計測点の歪み変化Δεijの値を、その計測時の歪み変化の比Δε2/Δε1に相関させてカラー階調化して、図9に示すように、カラー歪み画像25を生成する。このカラー歪み画像25の各部の硬さ及び軟らかさを示す弾性の程度は、カラーバー26の色調に対応付けて示される。
したがって、本実施例によれば、検者は、圧縮状態に基づいて評価されたカラー歪み画像とカラーバー21を対比して、関心部の弾性を客観的に診断することができる。
ところで、上記説明においては、弾性画像として歪み画像25を例にしたが、弾性率画像でも可能であり、歪み画像に限らない。また、上記説明においては、関心部の弾性情報の数値情報を取得するために関心領域ROIを設定することを前提に説明したが、弾性率画像を含む弾性画像を構築して表示することが目的であれば、関心領域ROIを設定しなくてもよい。
本実施例において、歪み変化Δε1、Δε2は、基準領域R1,R2内における計測点群の中の代表点の値を用いることができる。しかし、これに限らず、基準領域R1,R2内における各計測点の平均値Δε1mean、Δε2meanを用いることができる。
本実施例4は、実施例3で説明したように、実際の組織においては、Δε2/Δε1の値が応力σと相関するが、それを説明する組織の弾性応答の内、(挙動2)に基づく例である。
実際の組織の応力−ひずみ特性は、式(5)、(6)のような単純なモデルではなく、非線形性パラメタα1、α2は、応力及び歪みの大きさに関係する。つまり、組織に加える応力σを増大させていくと、図12の曲線28に示すように、大きな応力変化Δσを与えても組織が容易には変形せず、十分に歪み変化Δεが生じなくなる現象が現れる。図12の曲線28は、脂肪部の例として、上記現象が現れる前後で非線形パラメタα1がα1’に変化しているものとした。ただし、α1’>>α1である。この現象が生じる領域を圧縮限界領域とし、その境界応力をσfとし、その圧縮限界領域の境界歪みをεfとする。この境界応力σfは組織の種類によって異なり、基準領域R1,R2の一方の組織が圧縮限界に達すると、図11の曲線29に示すように、歪み変化の比Δε2/Δε1が急激に変化する現象が現れる。つまり、Δε2/Δε1は、圧縮状態を表す応力σに相関して変化することが理解される。
そこで、歪み変化の比Δε2/Δε1が急激に変化する現象を検知して、検者に注意報を出すようにすれば、検者は圧縮力を調整することにより、基準領域R1,R2のいずれか一方の組織が圧縮限界に達しない圧縮状態の範囲で計測を行うことができる。これにより、検者は、所定の圧縮状態の範囲で、関心領域ROIの歪み変化ΔεIを計測でき、かつ所定の圧縮状態におけるカラー歪み画像により関心部位の診断を行うことができる。
さらに、本実施例では、図12の圧縮限界領域までを含んだ組織の応力−歪み特性や図13のσ−Δε2/Δε1の特性曲線29を予め計測しておき、その特性データに基づいて、計測時の歪み変化の比Δε2/Δε1に対応する応力σを直接推定することを特徴とする。すなわち、図13に示すように、境界応力σfに達しない応力の範囲でも、歪み変化の比Δε2/Δε1が応力σに対して変化している。したがって、特性曲線29に基づいて、歪み変化の比Δε2/Δε1から一義的に計測時の応力σを推定できる。なお、特性曲線29の特性データとしては、α1(又は、a)及びα2の値を予め計測してメモリなどに記憶しておき、圧縮状態評価部19は、Δε2/Δε1から式(14)を用いて応力σを推定するようにできる。
このようにして、歪み変化の計測時の応力σの推定値を用いて、関心領域ROIにおける歪み変化ΔεIから、関心部位の弾性率、粘弾性率、等の弾性情報を求めることができる。例えば、図14に示すように、カラー弾性率画像30を生成し、ROIに対応付けて弾性率E及び応力σを数値で表示することにより、検者はカラー弾性率画像30を観察して、関心部位の客観的な弾性を診断して、確定的な診断を行うことができる。また、図12の右図に示すように、例えば、ROIについて計測したリアルタイムの応力σと弾性率Eの計測値をσ−Eグラフ31にプロット(図中の黒点)して表示することができる。また、現在の計測時刻tにおける応力σ(t)をインジケータ32により示すことができる。さらに、検者は、予め定められた診断基準となる歪み変化の比の基準範囲、もしくは、基準応力範囲において、関心部の弾性率Eを取得することにより組織鑑別を行う。
なお、実施例3、4において、基準領域R1、R2を設定する際、Δε2/Δε1が応力の大きさに対して感度よく変化する組織同士に設定することが好ましい。例えば、乳がんの検査の場合は、脂肪部と筋部、脂肪部と乳腺部、乳腺部と筋部の部位に設定することができる。因みに、脂肪<乳腺<筋の順に硬い。
また、実施例3、4において、圧縮状態は、応力の次元(kPa)で推定できる場合を除き、応力に相関したインデックス(以下、応力インデックス)として、歪み変化の比(Δε2/Δε1)の値をそのまま用いて、圧縮状態を評価するようにする。この場合、弾性情報は、弾性に関係したインデックス(以下、弾性インデックス)として鑑別に適用する。つまり、例えば弾性率の代用となる弾性率インデックスE(index)として、応力変化Δσの代わりに歪み変化の比(Δε2/Δε1)の値をそのまま用いて(式(14)参照)、次式(15)を適用することができる。
E(index) =(1/(Δε2/Δε1))×(1/ΔεI) (15)
図30を参照して、応力インデックスσindexとして歪み変化の比(Δε2/Δε1)の値をそのまま用い、弾性率インデックスE(index)により、良悪性を高精度で鑑別できる実験結果を説明する。実験では、基準領域R1を脂肪部、基準領域R2を筋部にそれぞれ取り、診断部位に関心領域ROIを取り、それぞれの領域内で計測された歪み変化をΔε1、Δε2、ΔεIとする。実施例3、4の方法に従って、
応力インデックス σindex = Δε2/Δε1
とする。さらに、例えば、
弾性インデックス Eindex = Δε1/ΔεI
と設定する。これに基づいて行った実際の臨床試験で取得した計測結果の一例を図30(A),(B)に示す。同図(A)は乳管内乳頭腫(良性)の例であり、同図(B)は浸潤性乳管癌(悪性)の例である。
Δε1/Δεで弾性をインデックス化した場合、良悪性の鑑別閾値を5と設定し、Eindex>5で悪性、Eindex≦5で良性と判定すると、比較的に高精度で鑑別できる。しかし、図30に示したように、実際、弾性インデックスは応力インデックスに大きく依存し、基準応力インデックスを設ける必要がある。例えば、基準応力インデックス範囲をσindex=0.5あたりに設定し、そのときの弾性インデックスを読むと、Eindex(良性)=4、Eindex(悪性)=10と検出されるから、鑑別の客観性を担保することが可能であることを確認できる。
また、実施例3,4では、被検体の深度方向の応力は発散ないし減衰しないという前提で説明した。しかし、実際には、応力は深度方向に減衰するので、応力分布が深度方向に一定ではないことを反映した応力分布推定法に基づいて、弾性情報を演算することが望ましい。
なお、本実施例及び実施例3では、歪み変化の比Δε2/Δε1を用いて圧縮状態を評価することを説明したが、歪み変化の比Δε2/Δε1に代えて、(Δε2−Δε1)/Δε1、あるいはLog(Δε2/Δε1)などを用いることができる。要するに、特定の2つの組織の応力σ−歪みε特性を反映したそれぞれのΔεとΔσの関係から、共通に付加するΔσを消去できる指標を用いれば圧縮状態を評価し得る指標となる。
実施例3,4では、基準領域を2つ設定して、それらの間の歪み変化の情報を利用して、圧縮状態を評価する方法、及び応力を推定する方法を説明した。本実施例4は、基準領域R1,R2と関心領域ROIを同時に含む一つの包括的な広域関心領域L−ROIを設定し、L−ROIの歪み変化によって、各計測点の歪み変化を規格化した弾性情報を得る方法に、本発明を適用した例である。
図15に、本実施例の処理手順のフローチャートを示す。まず、ステップS21において、図16に示すように、カラー歪み画像35(Bモード像又は弾性画像などの超音波画像であればよい。)上で、乳腺部等の関心部位を含む関心領域ROI、正常組織である脂肪部を含む基準領域R1、正常組織である筋部を含む基準領域R2を包含する広域関心領域L−ROIを設定する。これらの基準領域R1、R2は、実施例3、4と同様に定めるものとする。なお、図16のように、診断対象の組織が、関心領域ROIを挟んで基準領域R1、R2が層状に位置される場合など、関心領域ROIに対して基準領域R1、R2が特定の位置関係になっている場合は、Bモード断層像上で広域関心領域L−ROIを設定するだけで、自動的に基準領域R1、R2を例えば高さ5mmに設定するようにプログラムすることができる。
このように設定した後、ステップS22において、探触子を被検体の外皮に接触させ、被検体1に初期圧縮を加え(図2(B))、次いで微小な圧力を変化しながら付与して超音波の計測を実行する((図2(C))。超音波計測が実行されると、弾性演算部13において広域関心領域L−ROIを含む全計測領域の各計測点Pijにおける微小な歪み変化Δεijが求められる(S23)。これにより求められる基準領域R1、R2と関心領域ROIの各計測点Pの歪み変化を、それぞれΔε1、Δε2、ΔεIとする。
次いで、ステップS24で、広域関心領域L−ROIの全ての計測点Pijの歪み変化Δεijの合計を計測点数Ntotで割り、広域関心領域L−ROIの歪み変化の平均値Δεmeanを求める。そして、各計測点の歪み変化Δεijを広域関心領域の歪み変化の平均値Δεmeanで除して、規格化された各計測点の歪み変化Δεij/Δεmeanを求める(S25)。そして、カラースキャンコンバータ15は弾性演算部13から出力される規格化された歪み変化Δεij/Δεmeanに基づいて、カラー歪み画像35を生成して、画像表示器10に表示する(S26)。これにより、各計測点Pの歪み変化Δεijを指標化して表示することができる。
しかし、この場合にも、加えられた応力σに応じて、規格化された歪み変化Δεij/Δεmeanは変動する。したがって、関心部の弾性を確定的に評価することができない。そこで、実施例2と同様に、歪み変化の比Δε2/Δε1を求めて応力の大きさを評価し、これに基づいて生成した弾性画像における関心部位の弾性を確定的に評価することができる。
また、実施例4と同様に、図13のσ−Δε2/Δε1の特性曲線23を予め計測して、基準領域R1,R2のΔε2/Δε1と応力σの関係を予め計測してメモリに記憶しておき、比Δε2/Δε1の計測値から計測時の応力σを直ちに推定することができる。
さらに、広域関心領域L−ROIの歪み変化の平均値で規格化する場合、基準領域R1,R2の一方の組織が圧縮限界に達するとその影響を受けて、歪み変化Δε1とΔε2の間の大きさの関係が急激に変化する。そこで、本実施例でも、実施例4と同様に、規格化された歪み変化(Δε2/Δεmean)又は(Δε1/Δεmean)が急激に変化する現象を検知して、検者に注意報を出すようにすれば、検者は圧縮力を所定の範囲に調整することができる。これにより、検者は、所定の圧縮状態の範囲におけるカラー歪み画像により関心部位の診断を行うことができる。
ところで、規格化歪み画像に従った組織鑑別を進めているが、その組織鑑別のひとつの方法として、応力の大きさが大きくなる方向に変化させたときに、関心部の規格化歪み変化Δεnorm Iが増加する方向か、減少する方向かを診断する方法を提案する。
すなわち、悪性組織の場合は、応力増加と同時に規格化歪み変化Δεnorm Iも増加することが多い。一方、良性組織の場合は逆に、応力増加と同時に規格化歪み変化Δεnorm Iは減少することが多いことが分かってきている。本実施例により圧縮状態が評価できるようになったので、このような規格化歪み変化Δεnorm Iの増加の程度を定量的に評価することが可能になり、高精度な良悪性鑑別が可能になる。
ここで、念のため、圧縮限界によって規格化歪み変化(Δε2/Δεmean)又は(Δε1/Δεmean)が急激に変化する現象について説明する。図14に示したように、広域関心領域L−ROIと基準領域R1,R2を設定したものとする。このとき、広域関心領域L−ROIの内部における計測点Pの数を次のとおりとする。
基準領域R1が配置された組織を計測した計測点の数 N1個
基準領域R2が配置された組織を計測した計測点の数 N2個
関心領域における計測点の数 N個
広域関心領域L−ROIの計測点の数 Ntot=N1+N2+N個
L−ROIにおける歪み変化の平均値Δεmeanは、次式(16)で表すことができる。
Δεmean=(Σ(Δε1ij)+Σ(Δε2ij)+Σ(Δεij))/Ntot
=(N1×Δε1+N2×Δε2+N×Δε) /Ntot
={(N1/α1+N2/α2+N/α)/Ntot}×(Δσ/σ) (16)
ここで、各組織領域における規格化歪み変化は、それぞれの組織領域内において同一の値を計測したものと仮定する。つまり、Δε1ij=Δε1、Δε2ij=Δε2、Δεij=Δεとする。
各計測点において計測された歪み変化を式(8)のΔεmeanで除することにより、式(17)に示す規格化された歪み変化(以下、規格化歪み変化Δεnorm)を求める。
Δεnorm=Δε/Δεmean (17)
このように規格化すると、各計測点において得られた規格化歪み変化Δεnormは、平均値の何倍の値を持っているかが指標化されて得られることになり、平均値と同じ大きさであればΔεnormの値として「1」を持つことになる。ここで、基準領域R1,R2における規格化歪み変化Δεnorm1、Δεnorm2について、圧縮限界に達していない範囲と、圧縮限界に達した範囲に分けて検討する。
(1)圧縮限界に達していない範囲
基準領域R1の脂肪部の規格化歪み変化Δεnorm1は、式(18)で表せる。
Δεnorm1=Δε1/Δεmean
=(Ntot/α1)/(N1/α1+N2/α2+N/α) (18)
また、基準領域R2の筋部の規格化歪み変化Δεnorm2は、式(19)で表せる。
Δεnorm2=Δε2/Δεmean
=(Ntot/α2)/(N1/α1+N2/α2+N/α) (19)
(2)圧縮限界に達している範囲
基準領域R1の脂肪部の規格化歪み変化Δεnorm1は、式(20)で表せる。
Δεnorm1=Δε1/Δεmean
=(Ntot/α1´)/(N1/α1´+N2/α2+N/α) (20)
基準領域R2の筋部の規格化歪み変化Δεnorm2は、式(21)で表せる。
Δεnorm2=Δε2/Δεmean
=(Ntot/α2)/(N1/α1´+N2/α2+N/α) (21)
ここで、(α1´>>α2, α)と仮定すると、式(20)の Δεnorm1は「0」に近づき、式(21)のΔεnorm2は、次式(22)の値に近づく。
(Ntot/α2)/(N2/α2+N/α) (22)
この挙動を図17(A),(B)に示す。図17から明らかなように、脂肪部の組織が圧縮限界領域の境界応力σfを超えると、脂肪部の規格化歪み変化Δεnorm1は急激に減少してゼロに近づき、筋部の規格化歪み変化Δεnorm2は、急激に増加して式(22)の一定値に収束する。実際の組織では、圧縮限界の境界において不連続的に挙動が遷移するのではなく、連続的に変化するものと考えられるため、同図に示すように連続的な応答を示す。
この挙動を利用してその値に応じて、共通に負荷している応力を推定することが可能である。例えば、実施例3と同様に、現在の計測時刻tにおいて、規格化歪み変化Δεnorm1(t)、Δεnorm2(t)の比を求めれば、その規格化歪み変化の比は、圧縮状態の指標である応力σ(t)に一義的に相関する。応力σを用いて関心領域の歪み変化Δε(t)から弾性率E(t)等の弾性情報をリアルタイムで演算して、図14と同様に、それらの情報を数値やグラフやインジケータなどで表示する。ここで、弾性率E(t)としてヤング率を用いる場合は、一般に、応力を歪みで除することによって得られ、関心領域のヤング率を包括的に得るとするならば、次式(23)で求めることができる。
E(t)=Δσ(t)/Δε(t) (23)
規格化の方法は、上述したように平均値を利用する方法に限られるものではなく、例えば中央値を用いてもよい。また、正規分布とのフィッティングなど、統計情報を利用したものでもよい。さらに、一つの広域関心領域で、その平均的な歪み変化を計測した領域(本実施例では、乳腺部)を自動認識し、その領域の歪み変化によって規格化歪みを生成してもよい。
本実施例は、実施例5において得られた規格化歪み変化の情報に基づいて階調化した規格化歪み画像により基準応力を判定するのに好適な例について説明する。本実施例では、規格化歪みの大小に応じて、例えば図18(A),(B)に示すようなカラーマップの割り当てに従って色相を割り当て、規格化歪み変化を用いて規格化歪み画像を構築する。例えば、
規格化歪み変化 0.0辺り ⇒ 青色
規格化歪み変化 1.0辺り ⇒ 緑色
規格化歪み変化 2.0以上 ⇒ 赤色
のように色相を割り当て、それらの間は連続的なグラデーションをかけたカラーマップを構成する。
このようにカラーマップの割り当て方を工夫することにより、脂肪部、筋部ともに境界応力σfの近傍においては色相が急激に変化するようにできる。また、同時に、予め決められた所定の基準応力範囲の近傍でも、色相が変化する境界を設定するようにすることができる。例えば、脂肪部においては、基準応力範囲の前後において赤色から橙色に変化するようにする。同様に、筋部では、基準応力範囲の前後において青色から水色に変化するようにする。
また、広域関心領域の内部に分布する脂肪部、もしくは、筋部など、基準領域として選択した組織領域の規格化歪み画像の色相に注目し、基準領域の色相が基準応力範囲に相当する色相に変化したときを認識し、そのタイミングでの関心領域の弾性情報により鑑別を行う。例えば、規格化歪み画像の筋部の色相が青色から緑色に変化する直前の圧縮状態を適当と判定し、その圧縮状態での関心領域の弾性画像を用いて診断を行うようにすることができる。
また、応力基準となる所定の規格化歪み変化の基準範囲内で計測された時刻においては、基準領域内の計測点に、例えば、紫色の色相が付与されるようにすることができる。これによれば、規格化歪み変化の基準範囲内にあることが画像でより明確に認識できる。
以下、具体的な条件を与えて本実施例が実現することを確認する。
基準領域R1、R2と関心領域ROIにおける計測点の個数が同じであり、
基準領域R1が配置された組織を計測した計測点の数 N個
基準領域R2が配置された組織を計測した計測点の数 N個
関心領域ROIにおける計測点の数 N個
広域関心領域L−ROIの計測点の数 Ntot=3N個
と仮定する。更に、各組織の非線形性を表すα1、α2、αがそれぞれ、
α1=1
α2=8
α =16
と仮定する。このとき、上記式(18)、(19)、(22)は、
(Ntot/α1)/(N1/α1+N2/α2+N/α)=2.5
(Ntot/α2)/(N1/α1+N2/α2+N/α)=0.3
(Ntot/α2)/(N2/α2+N/α)=2.0
となる。この場合の規格化歪み変化Δεnorm1、Δεnorm2は、図19(A)、(B)に示すような挙動となる。同図(A)によれば、基準領域R1の脂肪組織が圧縮限界に到達しない範囲では、規格化歪み変化Δεnorm1は2.5辺りの値を持ち、その領域における規格化歪み画像は赤色を持つ。しかし、脂肪組織の圧縮限界の境界を与える境界応力σfを超えると、脂肪部の規格化歪み変化Δεnorm1は急激に減少してゼロに近づき、青色に変化することになる。一方、同図(B)に示すように、基準領域R1の脂肪部が圧縮限界に到達しない範囲では、基準領域R2の筋部の領域における規格化歪み変化Δεnorm2は0.3辺りの値を持ち、筋部の領域における規格化歪み画像は青色を持つ。しかし、脂肪組織の圧縮限界の境界を与える境界応力σfを超えると、筋部の規格化歪み変化Δεnorm2は急激に増加して2.0に近づき、赤色に変化することになる。
実施例5で説明したように、圧縮量を増加させていくと、近傍の脂肪部の規格化歪み変化Δεnorm1が小さい方向に変化し、深部の筋部の規格化歪み変化Δεnorm2が大きい方向に変化する。そこで、図20に示すように、規格化歪み変化の深度方向の分布に注目する。同図(A)に示すように、ある注目ラインL1を設定し、そのラインL1上の規格化歪み変化の分布を観察する。図21(A)、(B)に示すように、圧縮量を増やしていくと、深度が深くなる方向の歪み変化分布の傾き(例えば一次関数で近似した深度方向の傾き)が、負から正の方向に変化していく。そこで、深度方向の歪み変化分布の傾きの値を基準として、適切な歪み変化分布傾きの基準範囲を設定して、基準応力範囲を判定するようにすることができる。
また、図20(B)に示したように、ある注目ラインL2を設定し、同一深度の計測点同士で規格化歪み変化の平均値を取り、ひとつの深度方向の規格化歪み変化分布を求めて評価するようにしてもよい。以上の傾きを数値として表示するようにすれば、大雑把な傾向ではあるが、応力の程度を把握することができる。これによれば、特に基準領域R1,R2を設定しなくてもよい分、手間がかからない。
本実施例は、図22に示すように、基準領域R1、R2及び関心領域ROIを同一の計測ラインに基づいて複数のライン領域(1,2、・・・、M)に分け、ライン領域毎の基準領域R1、R2及び関心領域ROIについての歪み変化を求める。そして、各ライン領域における歪み変化の分布(すなわち、深度方向の歪み変化の分布)を求めて、実施例7と同様に圧縮状態を評価する。ここで、ライン領域は、探触子から放射される超音波ビームの実際のラインを複数束ねたものとして設定することができる。
実施例5の式(23)に、関心領域の弾性率(ヤング率)Eを包括的に得る場合は、E(t)=Δσ(t)/Δε(t)で求める例を示したが、同式を図24のライン領域ごとに独立して適用することができる。つまり、本実施例9は、各ライン領域の座標をi、深度方向の座標をjで表すと、各計測点における弾性率Eij(t)は、ライン領域毎の応力変化Δσi(t)と、各計測点における歪み変化Δεijを用いて、次式(24)で求めることができる。
Eij(t)=Δσi(t)/Δεij(t) (24)
つまり、計測点毎の弾性率が求められる。このように関心領域の弾性率を分布として得ることにより、本実施例によれば、ライン方向の応力分布の違いを加味して弾性画像としてヤング率の大きさを階調化したヤング率画像を構築して表示することができる。
なお、本実施例は、ライン領域毎に深度方向への応力が一定であるという前提で説明したが、実際には応力分布が深度方向に一定ではない場合がある。この場合は、周知の応力分布推定法に基づいて弾性情報を演算することが好ましい。
また、筋部の深さは、筋部に設定した基準領域の位置で把握される。例えば、広域関心領域の下辺部の座標で把握される。そして、筋部の深さに応じて、基準応力範囲の設定を適切な範囲に変えるようすることができる。
上記の各実施例では、圧力センサレスの超音波診断装置において、圧縮状態を定量的に評価する方法について説明した。しかし、患者によっては、計測断面に基準領域R1、R2を設定する正常組織(例えば、脂肪)の面積が十分に取れない場合がある。その場合は、応力−歪み特性が既知の音響カプラ(例えば、SONAR−AID、SONAGEL)を生体表皮と探触子間に介在させて、一方の基準領域の代用をさせることが可能である。このような音響カプラとしては、特開2005−66041号公報に記載されている。
本実施例では、広域関心領域L−ROI、基準領域R1、R2の設定の具体例を図23を用いて説明する。同図に示すように、広域関心領域L−ROIの中に基準領域R1、R2が配置されており、脂肪部や筋部に適当にそれらの基準領域R1、R2が配置できるよう、制御インターフェイス部17からトラックボールなどの入力デバイスを介して検者が調整できるようにする。例えば、脂肪部に設定された基準領域R1の下辺を上下に移動して調整することができるようになっている。同様に、筋部に設定された基準領域R2の上辺を上下に移動して調整できるようになっている。
本実施例は、基準領域R1、R2を自動で設定する例である。乳がんの検査対象部の場合、筋部の下方に肋骨があり、その肋骨で超音波が遮断されるから、肋骨表面から深部は反射エコー信号が得られない無エコー領域となる。この無エコー領域と有エコー領域の境界を閾値処理により検出することにより、筋部と肋骨表面の境界を検出することができる。
また、特開2005−118152号公報に記載のように、肋骨表面よりも深部の無エコー領域の弾性情報によるエラーを検出する処理を利用して、肋骨の領域を検出することより筋部と肋骨の境界を検出することができる。
また、図24(A)、(B)に示すように、乳がんの検査対象部位の各組織の配置、形状、超音波エコーレベル、超音波エコーレベルのパタン(例えば、繊維状パタン、スペックル状パタンなど)を反映したテンプレートを作成し、そのテンプレートとのマッチングにより脂肪、乳腺、腫瘍、筋、肋骨の領域を自動認識することができる。これによれば、基準領域と関心領域を独立に自動設定することができる。また、反射エコー信号のみならず、歪み画像等の弾性分布画像を閾値処理することにより、各組織の境界、輪郭を検出することもできる。ここで、テンプレートは、例えば、脂肪部、乳腺部、筋部のそれぞれの層状領域を区分けしてBモード像上に半透明で表示するようにする。そして、それぞれの領域をBモード像上でマウスなどにより微調整して領域を確定させるようにすることができる。
さらに、完全な自動認識ではないが、図25(A)に示すように、例えば、検者が超音波画像上で基準領域を設定する組織(例えば、脂肪部)の代表点を制御インターフェイス部17のポインタを操作してクリックして指定したとき、同図(B)に示すように、そのクリックした箇所から周囲に向けて、図中に点線で示した同一の組織領域を抽出し、抽出した領域に必要な大きさの基準領域を自動設定するようにすることができる。これにより、基準領域の計測点数を最大限に利用することで精度が増すと同時に、基準領域の設定も自動化されたことにより検者依存が低減し、客観性が向上する。
図26A及び図26Bを参照して、圧縮により変形する組織に追従させて基準領域を移動及び変更する実施例を説明する。図26Aは、基準領域R1が設定された脂肪部は、圧縮を受けて変形し易いから、同図の左側から右側に向って圧縮を大きくしていくと、脂肪部の厚みが薄くなって基準領域R1の一部から脂肪部が外れて、乳腺部の組織が混入するために計測誤差を生ずる。そこで、本実施例では、図26Bに示すように、脂肪部の変形に合わせて、基準領域R1を移動及び変形させるようにしている。これにより、各組織の領域からの歪み変化の情報を最大限の計測点数で利用することができるので、高精度な応力評価が可能になる。
このような基準領域の追従処理は、各計測点の変位の情報を用いて、基準領域を追従することができる。また、実施例12で説明した組織の自動認識を利用して、同一組織を追従するようにして実現することができる。
図26Bでは、基準領域R1を例に説明したが、同様に、基準領域R2、関心領域ROI、広域関心領域L−ROIについても、組織の変形に追従させて移動及び変形することができる。
ここで、基準領域R1の追従処理の具体的な実施方法を以下に示す。図1における変位計測部12において、変位分布(変位フレームデータ)を求める処理を具体的に図26Cを用いて説明する。例えば、横方向にy座標、深度方向にx座標を設定した座標系を設け、ラインy1に沿った方向にある計測点
(x1, y1)、 (x2, y1)
の2点に注目する。図示したように、時刻t-1(過去)から時刻t(現在)の時間変化の間に、対象組織が圧迫されたものとする。時刻t-1において、座標(x1(t-1), y1(t-1))にあった組織は、時刻tにおいて座標(x1(t), y1(t))に移動し、同様に、時刻t-1において、座標(x2〔t-1〕, y1(t-1))にあった組織は、時刻tにおいて座標(x2〔t〕, y1〔t〕)に移動する。
このとき、変位計測部12において、全計測点〔x, y〕における変位d(x, y)を演算しており、例えば、上記時刻t−1からtにおけるラインy1に沿った変位の分布d(x(t−1))は、図に示すように求められ、現時刻tにおける上記移動後のx座標、x1(t)、x2(t)は、それぞれ、
x1(t) = x1(t−1) + d( x1(t−1) )
x2(t) = x2(t−1) + d( x2(t−1) )
として求めることができる。
同様にして、y座標方向の移動後の座標y1(t), y2(t)も求められる。
以上の方法を基づけば、例えば図26Dに示すように、時刻t−1において
(x1(t−1), y1(t−1))、
(x2(t−1), y1(t−1))、
(x1(t−1), y2(t−1))、
(x2(t−1), y2(t−1))
の4点からなる長方形の基準領域R1を設定したとき、上記4点における組織が時刻tにおいてどこに移動したかを求めることができ、これにより、R1の内部における組織は同一の組織領域が指定されていることになる。
上記の処理をリアルタイムに行うことができ、図26Bに示すように、基準領域R1として、同一組織領域をトラッキングして追従するようにすることができる。
上記の説明では、基準領域R1を指定する角に配置された4点の座標における変位の情報を用いて追従する処理を示したが、この方法に限らず、基準領域R1の境界を示す線上に沿って配置された座標における変位の情報を用いて、より多くの情報に基づくことにより高精度に追従処理を行うようにしてもよい。
また、基準領域R1の内部の座標における変位の情報を用いて、更に高精度に追従処理を行うようにしてもよい。
上記の各実施例では、各実施例の弾性画像をリアルタイムで生成することを前提に説明した。しかし、現実問題として、リアルタイムで筋部などの基準領域を追従(トラッキング)する処理は、計測断面を変えると筋部の位置が大きく変わるので、基準領域の設定をやり直すことが多く、面倒である。そこで、本実施例では、フリーズ後の静止画で基準領域及び関心領域のサイズ及び位置を設定することができるようにしている。あるいは、設定されている基準領域及び関心領域のサイズ及び位置を調整することができる。
また、最初からリアルタイム計測中は基準領域、関心領域をあえて設定せず、フリーズ後の静止画で基準領域及び関心領域を初めて設定し、そのタイミングでの圧縮状態が適当であったかどうかを確認できるようになっている。
上記の実施例に基づいて求めた関心領域の弾性情報(含む弾性インデックス)と同時に、圧縮状態の情報として応力(含む応力インデックス)の情報を取得することができる。以下に、これらの情報を用いて組織鑑別を行う具体的な方法を説明する。
まず、基準領域R1、R2の一方として、少なくとも筋部を選択することが好ましい。実際の弾性計測の場合、筋部はほぼ全ての乳腺の超音波断面に入れることができ、かつ、圧縮方向に対して垂直に配置されるから、圧縮に係る情報を正しく検出することができるからである。一方、脂肪部は、個人差によって脂肪部の厚みが異なり、関心領域の上面に適当な厚みの脂肪部がない場合も多いからである。また、乳腺内の関心領域に対して、脂肪部からよりも筋部からの距離が近いため、関心領域の応力をより高精度に推定するにあたり有利である。また、筋部の下は肋骨なので、確実な固定端となり、その歪みの情報が周囲組織の硬さや形状の差異の影響を受けにくく、異なる被検者間でも、共通の条件下で応力を推定することができる。つまり、応力推定の再現性、客観性が高い。
ここで、本発明の実施例を用いて腫瘍等の良悪性を鑑別する場合の具体例を説明する。まず、規格化歪み変化画像そのものは、腫瘍等の良悪性を鑑別するのに有用であることは知られている。しかし、実施例4,5で説明したように、規格化歪み変化画像に本発明を適用し、例えば、筋部の色相が青色から緑色に変化する直前の状態で基準応力範囲を満たしたと判定し、その圧縮状態で取得された関心領域の規格化歪み変化画像を選択することにより、関心領域の弾性を定量的に鑑別することができる。
また、規格化歪み変化画像を用いた組織鑑別において、Bモード像の低エコー領域と規格化歪み変化画像の硬い領域との相対的な関係から、関心部位の弾性にスコアを付けて評価する弾性スコアリング手法を適用することもできる。なお、弾性スコアリングによる診断方法は、WO2005−025425に記載されている。
図27に、本発明の係る超音波診断装置により表示する弾性画像の好適な実施例を説明する。実施例5,6において説明した規格化歪み変化画像で、基準領域R1又はR2における規格化歪み変化Δεnorm1(t)又はΔεnorm2(t)が急激に変化する現象を検知して、基準応力の適否を判定する方法を説明した。この場合に、図18又は図19を用いて、筋部の色相が青色から緑色に変化する直前の状態で基準応力範囲であることを判定できるとしたが、これによれば、検者の主観が入る余地がある。
そこで、本実施例では、Δεnorm1(t)又はΔεnorm2(t)の急激な変化を客観的に評価できるように、図27に示す弾性画像のように、規格化歪み変化画像40に対応付けて、応力インデックスとして筋部における規格化歪み変化Δεnorm2(t)の大きさで伸縮する棒ゲージ41を画面上に表示するようにすることが好ましい。この場合、Δεnorm2(t)の平均値などを数値42で画面上に表示することができる。また、基準領域R2におけるΔεnorm2(t)の色相をインジケータ43に表示することができる。さらに、オシロスコープのように応力インデックスであるΔεnorm2(t)の計測中の変化をグラフ44で表示することができる。
本実施例によれば、現在の計測時刻における圧縮状態を視覚的に評価することができる。なお、応力インデックスとして、実施例2,3に示した歪み変化の比(Δε2/Δε1)を適用してもよい。さらに、応力インデックスに基づいて推定した応力σ(t)を適用してもよい。
図27において、本発明により推定した応力インデックスに基づいて、現在の計測時刻における圧縮状態が所定の基準応力範囲にあるか否かを判定することができる。さらに、本実施例では、応力インデックスが所定の基準応力範囲を超えた場合には、警告を画面に表示し、あるいは、音声などの警告音により注意をするようにする。これにより、過大圧縮下の診断によって、誤診になることを回避することができる。
また、基準応力範囲が、現在の圧縮状態よりも加圧する方向にあるのか、減圧する方向にあるのかをガイドする矢印の画像を表示するようにすることができる。さらに、基準応力範囲を満たしたタイミングに、基準領域の色相が変化したり、点滅したりして認識できるようにすることができる。さらに、応力基準範囲を満たしたときのみ、弾性画像が表示されるようにすることができる。また、基準応力範囲に近づくほど、弾性画像の輝度、半透明の透過度の値が大きく、もしくは小さくなるようにして、適圧に近づいていることが画像から把握されるようにすることができる。なお、上述した半透明の弾性画像表示の方法についてはWO2004−039262に記載されている。また、応力基準範囲の中央の最適な圧縮状態で取得された弾性画像が自動で選出されて検者に提供されるようにすることができる。
図14に、弾性率と応力の関係をプロットしてグラフ表示する例を示したが、関心領域における歪みの大きさと、応力の関係をグラフ化するようになっていてもよい。
すなわち、本実施例では、図28に示すように、関心領域ROIにおける応力−歪みの関係のグラフをリアルタイムにプロットして表示するようにする。これによれば、各組織(脂肪、乳腺、筋、繊維腺腫、乳管がん、浸潤性乳管がんなど)の応力σ−歪みεの関係をグラフに表示することができる。図示例では、乳管がんのσ―εの関係45、繊維腺種のσ―εの関係46、現在の計測で得られたσ―εの関係47が表示されている。この場合、組織ごとに例えば色分けして表示することができる。また、現在診断中の関心領域の応力−歪みのカーブがどの組織に近いかを、リアルタイムに比較できるようにしてもよい。同図では、計測中の応力−歪みの関係グラフは、繊維腺腫の応力−歪みの関係により近いので、繊維腺腫として判定される。
また、図29に示すように、それぞれの組織として判定できる応力−歪みの関係のゾーン48,49を設け、現時刻に計測された応力と歪みの関係47がどのゾーンに属しているかを判定できるようにしている。さらに、それぞれの組織のゾーン48,49には、ゾーン毎に固有の情報が割り当てられており、それが例えば色相であれば、現時刻において計測された応力−歪みの関係47が属するゾーンに割り当てられた色相が、関心領域に色付けされる。これにより、検者に容易に把握されるようにしている。
この場合において、最も近い曲線を選別する判定は、例えば、曲線同士の相関係数を演算して、自動で行うようにすることができる。その他、その非線形性を示す非線形パラメタαを自動で演算し、そのαの値から、その関心組織がFA(繊維腺腫)なのか、DCIS(乳管がん)なのか、DC(浸潤性乳管がん)なのかの鑑別を自動で行うようにしていてもよい。
本実施例と同様に、図14の弾性率と応力の関係の表示においても、各組織の性状を反映した弾性率−応力の曲線やゾーンを表示して、同様の処理で判定ができるようにしていてもよい。
また、歪み−応力、弾性率−応力など、圧縮状態に関係した曲線を表示して鑑別を行う本実施例は、本発明による圧縮状態の推定方法に従った場合に限るものではなく、例えば、圧力センサを用いて応力を計測した場合にも適用することができる。
以上、本発明を乳腺領域に適用した実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに限らず、前立腺、甲状腺など、他の組織に対しても同様に適用できることができる。特に、前立腺の皮膜部の脂肪部や筋部などの組織を基準領域として設定し、応力インジケータとして利用できる。
また、本発明に係る圧縮状態を評価する方法は、弾性画像診断に限らず、血流情報を評価するドプラ画像診断にも適用することができる。つまり、ドプラ画像診断においても圧縮状態に依存して診断結果が異なることが知られている。したがって、本発明に係る圧縮状態の評価方法を、ドプラ画像診断と同時に平行して適用することが望ましい。

Claims (16)

  1. 被検体に加えられた圧縮状態が変化する過程で取得した計測時刻が異なる一対の反射エコー信号のフレームデータに基づいて、複数の計測点における組織の弾性情報をそれぞれ求める弾性演算部と、該弾性演算部で求められた前記弾性情報に基づいて弾性画像を生成してディスプレイに表示する弾性画像生成部を備えた超音波診断装置であって、前記計測点における組織の歪み変化の情報を基に、前記圧縮状態を評価する圧縮状態評価部を備え、該評価した圧縮状態を前記弾性画像に対応付けて前記ディスプレイに表示するように構成されてなる超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、前記計測点における組織の歪み変化の積算値(=ΣΔε)を基に前記圧縮状態を評価することを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、設定された関心領域に含まれる前記計測点の組織について求めた前記歪み変化Δεを前記弾性演算部から取り込み、該歪み変化Δεを前記圧縮状態がゼロのときから積算して前記歪みεを求めることを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、特定の組織に設定された基準領域に含まれる前記計測点の組織について求めた歪み変化Δεを前記弾性演算部から取込み、該歪み変化Δεに基づいて前記特定の組織の歪みε(=ΣΔε)を求め、予め計測されて記憶されている前記特定の組織の応力−歪み特性に基づいて前記歪みεに対応する応力σを求め、該求めた応力σを基に前記圧縮状態を評価することを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項4に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、前記求めた応力σを前記弾性演算部に出力し、
    前記弾性演算部は、設定された関心領域について、前記歪み変化Δεと前記応力σに基づいて少なくとも弾性率を含む前記弾性情報を求めることを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項4に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、異なる2つの組織にそれぞれ設定された2つの基準領域に対応する歪み変化の関係を基に前記圧縮状態を評価することを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項6に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、2つの前記基準領域に対応する歪み変化の比(=ε1/ε2又はε2/ε1)を基に前記圧縮状態を評価することを特徴とする超音波診断装置。
  8. 請求項6に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、予め計測されて記憶されている前記2つの組織の歪み変化の比Δε2/Δε1と圧縮状態の関係に基づいて、前記求めた歪み変化の比に対応する前記圧縮状態を求めることを特徴とする超音波診断装置。
  9. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、関心領域ROI及び異なる2つの組織にそれぞれ設定された基準領域R1、R2に対応する歪み変化ΔεI、Δε1、Δε2を前記弾性演算部から取込み、前記関心領域ROI及び前記基準領域R1、R2を含む広域関心領域の歪み変化の平均値Δεmeanを求めて前記弾性演算部に出力し、
    前記弾性演算部は、前記各計測点について求めた前記歪み変化Δεを前記平均値Δεmeanで規格化して前記弾性情報を求めることを特徴とする超音波診断装置。
  10. 請求項9に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、基準領域R1、R2に対応する歪み変化Δε1、Δε2の比Δε2/Δε1を求め、該求めた歪み変化の比に基づいて圧縮状態を評価し、該評価した圧縮状態を前記ディスプレイに表示させることを特徴とする超音波診断装置。
  11. 請求項10に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、予め計測されて記憶されている前記2つの組織の歪み変化の比Δε2/Δε1と圧縮状態の関係に基づいて、前記求めた歪み変化の比に対応する前記圧縮状態を求めることを特徴とする超音波診断装置。
  12. 請求項10に記載の超音波診断装置において、
    前記圧縮状態評価部は、前記歪み変化の比Δε2/Δε1、前記規格化された歪み変化Δε1/Δεmean又はΔε2/Δεmeanが急激に変化する現象を検知して注意報を前記ディスプレイに出力することを特徴とする超音波診断装置。
  13. 請求項10に記載の超音波診断装置において、
    前記弾性画像生成部は、前記圧縮状態評価部で求められた前記歪み変化の比Δε2/Δε1、前記規格化された歪み変化Δε1/Δεmean、又はΔε2/Δεmeanの大きさを線図と大きさに基づいて階調化されたバーチャートの少なくとも一方を画像化して表示することを特徴とする超音波診断装置。
  14. 請求項1、2、5、9のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記弾性画像生成部は、前記圧縮状態評価部で求められた応力又は圧縮状態を数値、バーチャート、グラフの少なくとも1つで画像化して表示することを特徴とする超音波診断装置。
  15. 請求項6乃至13のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記基準領域を設定する前記組織は、少なくとも筋部であることを特徴とする超音波診断装置。
  16. 請求項9に記載の超音波診断装置において、
    前記弾性演算部は、前記各計測点について求めた前記歪み変化Δεを前記平均値で規格化して前記弾性情報を求め、
    前記圧縮状態評価部は、基準領域R1、R2に対応する歪み変化Δε1、Δε2の比Δε2/Δε1に基づいて応力を評価し、
    前記弾性画像生成部は、前記弾性演算部で求められた規格化された前記関心領域ROIの歪み変化ΔεIに基づいて規格化歪み画像を生成して前記ディスプレイに表示するとともに、前記応力の大きさが大きくなる方向に変化されたときに、前記関心領域ROIの規格化歪み変化Δεnorm Iが増加する方向か、減少する方向かを表示することを特徴とする超音波診断装置。
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