JPWO2007132555A1 - 細胞膜透過性ペプチドと細胞内におけるその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞膜透過性ペプチド誘導体を用いた細胞内生体分子の機能を変更する方法の提供を目的とする。細胞内生体分子(例えば、タンパク質など)の機能に影響を与えるエフェクター分子、及びエフェクター分子の作用を生体分子に媒介するためのメディエーター分子を連結した細胞膜透過性ペプチドを細胞内に導入し、細胞内生体分子の機能又は性質、例えば、酵素的な活性、物理的な活性、細胞内局在性などに変更を与えるための有効な方法を提供する。

Description

本発明は、細胞膜透過性ペプチドの使用に関する。より詳細には、細胞膜透過性ペプチドの使用により、細胞内に存在する生体分子を機能化する方法に関する。
タンパク質、核酸、脂質などの生体分子は、細胞機能の維持や制御において重要な役割を担っており、これら生体分子の正常な機能及び制御が損なわれると、細胞の機能不全、さらには、組織、器官の機能不全が引き起こされ、その結果、疾患への発症へとつながっていく。従って、生体分子が細胞内において如何なる活性を発揮して、どのような役割を演じているかを知ることは、細胞レベルのみならず個体レベルにおける生命活動の諸現象を解明することにつながり、延いては疾患の治療や診断及び創薬に関する新しい技術開発のための重要な知見の獲得にもつながる。
特に生体分子の細胞内局在や挙動を解析することはこうした生体分子の機能及び制御を明らかにする上で有効な方法論であり、生体分子の作用機序を解明するのみならず、目的の生体分子の活性などを効率的に制御するための有益な情報を得ることができる。
特定の生体分子、特に、タンパク質の細胞内挙動やその機能を調べる手法として、対象のタンパク質に蛍光色素などをラベル化したり、細胞内の特定の小器官へ局在化するためのシグナル配列ペプチドなどを付加して、その挙動や細胞内活性を調べる方法などが用いられている。そのためには、対象タンパク質をin vitroにおいて発現及び精製したのち、適当な標識化を行う必要がある。しかしながら、タンパク質をin vitroで発現させる場合には、かならずしも所望の発現を実現できるとはかぎらず、また、発現できた場合でも発現タンパク質を精製するにあたり、活性を保持しながら精製を行うなど、多くの点に留意しながら行う必要がある。標識化に関しても現状としてはその制御が難しく、望ましい部位への修飾にはかなりの難度が伴う。
また、対象タンパク質をin vitroにおいて発現及び精製できたとしても、対象タンパク質を細胞内の所望の領域に局在化させるために、局在を制御する別のタンパク質をさらに結合させる場合などには、結合によるタンパク質の巨大化により対象タンパク質の活性に影響が出るなどの不都合も生じる可能性がある。さらに、局在化を望む領域が異なる毎に対象タンパク質と結合させる分子を選択して調製し直す必要があり、対象タンパク質の細胞内活性を網羅的に検証する点において難しい問題が存在している。
その他、in vitroにおいて修飾した生体分子を細胞内に導入し、その動態から該生体分子の作用機序などを検討する場合には、修飾した生体分子の量的調整などが困難であるため、例えば、元来生体内に存しているタンパク質などであっても、修飾したタンパク質を過剰に導入することは、細胞内を非正常な状況に導く可能性が高く、得られた結果の信憑性が問われるケースも少なからず生じていた。
以上のような問題を改善することは、精度の高い実験データを得る上でも重要なことであるが、現在のところ従来法に代わる新たな手法は見出されていない。
一方、細胞内に外来性分子を導入する手法は、細胞膜透過性ペプチドの発見以来、目的分子を迅速に細胞内へ導入する技術が開発され、順調な発展を示している。細胞膜透過性ペプチドとしては、例えば、HIV−1 TAT(配列番号1)、HIV−1 gp41(配列番号2)、HIV−1 Rev(配列番号3)、pAntp(配列番号4)、VP22ペプチド(配列番号5)、SV40NLS(配列番号6)、Pep−1(配列番号7)、Integrinβ3(配列番号8)、InfluenzaHA−2(配列番号9)、W/R(配列番号10)、Transportan(配列番号:11)、BMV−gag(配列番号12)、HTLV−IIRex(配列番号13)、Human cFOS(配列番号14)、Human cJUN(配列番号15)、FHVcoat(配列番号16)、Yeat GCN4(配列番号17)などがこれまでに報告されている(非特許文献1〜7などを参照のこと)。
また、上記細胞膜透過性ペプチドを用いた種々の分子の導入法に関しては、特許文献1〜9に記載されている。これらの文献には、細胞膜透過性ペプチドに所望の分子を結合して、該分子を細胞内に導入できることなどが開示されており、細胞膜透過性ペプチドは、細胞内に所望の分子を導入するための非常に有用なツールであるといえる。
Torchilinら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2003;100:1972−1977 Morrisら,Nature Biotechnology 2001;19:1173−1176 Phelanら,Nature Biotechnology 1998;16:440−443 Wenderら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2000;97:13003−13008 Chenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999;96:4325−4329 Suzukiら,J.Biol.Chem.2002;277:2437−2443 Gariepyら,Trends in Biotechnology 2001;19:21−28 US5,804,604号 US5,747,641号 US5,674,980号 US5,670,617号 US5,652,122号 WO2002/018572 特開2005−52083 特開2005−253408 特開2001−199997
本発明は、細胞膜透過性ペプチドの使用に関するもので、化学合成した小分子、高分子、ペプチド、又はタンパク質などを対象のタンパク質に連結修飾した半人工タンパク質を細胞内において形成する方法の提供を目的とする。
また、本発明は、細胞膜透過性ペプチドの使用により、細胞内局在化シグナルペプチドなどを対象タンパク質に対して所望のタイミングで連結する方法の提供を目的とする。
さらに、本発明は、細胞膜を透過しにくい種々の合成化合物を細胞膜透過性ペプチドの使用により細胞内に導入し、更に連結した細胞内局在化シグナルペプチドなどの働きによって、細胞内の所望の領域に局在化させる方法の提供を目的とする。
本発明者らは、生体分子(例えば、低分子化合物、ペプチド、タンパク質、脂質など)に所望の分子(例えば、合成小分子、ペプチド、タンパク質など)を、所望のタイミングで細胞内において連結、修飾させる方法に関し、鋭意研究を重ねた結果、細胞膜透過性ペプチドの使用により本課題の解決が可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は 以下の(1)〜(17)に関する。
(1)本発明の第1の態様は、「以下の(a)及び(b);
(a)メディエーター分子及びエフェクター分子が結合した細胞膜透過性ペプチドを細胞内に導入する工程、
(b)該メディエーター分子を介して、該細胞内に存在する生体分子と該エフェクター分子を一体化し又は一体化することなく、該生体分子の機能を変更する工程、
を含むことを特徴とする生体分子を機能化する方法」である。
(2)本発明の第2の態様は、「前記機能化が標識化であることを特徴とする上記(1)に記載の方法」である。
(3)本発明の第3の態様は、「前記機能化が前記生体分子の細胞内局在を変動させることである上記(1)に記載の方法」である。
(4)本発明の第4の態様は、「前記機能化が前記生体分子の活性を促進又は阻害することである上記(1)に記載の方法」である。
(5)本発明の第5の態様は、「前記生体分子と前記エフェクター分子を一体化させないことを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の方法」である。
(6)本発明の第6の態様は、「前記生体分子と前記エフェクター分子を一体化させることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の方法」である。
(7)本発明の第7の態様は、「前記生体分子と結合している受容分子と前記メディエーター分子が結合し、前記一体化が達成されることを特徴とする上記(6)に記載の方法」である。
(8)本発明の第8の態様は、「前記メディエーター分子が、低分子化合物、ペプチド、タンパク質、脂質、核酸、糖のいずれかであり、前記エフェクター分子が、低分子化合物、合成高分子、ペプチド、タンパク質、脂質、核酸、糖のいずれかであることを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の方法」である。
(9)本発明の第9の態様は、「前記メディエーター分子が、基質アナログ、金属錯体、補酵素のいずれかであることを特徴とする上記(8)に記載の方法」である。
(10)本発明の第10の態様は、「前記エフェクター分子が細胞内局在化シグナルペプチドであることを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の方法」である。
(11)本発明の第11の態様は、「前記細胞内局在化シグナルが、核局在化シグナル又は細胞膜局在化シグナルであることを特徴とする上記(10)に記載の方法」である。
(12)本発明の第12の態様は、「前記生体分子が外来性の分子であることを特徴とする上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の方法」である。
(13)本発明の第13の態様は、「前記生体分子がタンパク質であることを特徴とする上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の方法」である。
(14)本発明の第14の態様は、「前記タンパク質が細胞内に導入された発現ベクターに組み込まれた核酸から発現するものであることを特徴とする上記(13)に記載の方法」である。
(15)本発明の第15の態様は、「前記メディエーター分子と特異的に結合する前記受容分子がペプチド又はタンパク質であり、該受容分子が前記タンパク質と直接又はリンカーペプチドを介して連結するように、該受容分子をコードする核酸を、前記タンパク質をコードする核酸に隣接して組み込んだ発現ベクターを使用することを特徴とする上記(14)に記載の方法」である。
(16)本発明の第16の態様は、「前記タンパク質が蛍光タンパク質であることを特徴とする上記(13)乃至(15)のいずれかに記載の方法」である。
(17)本発明の第17の態様は、「メディエーター分子及びエフェクター分子が結合した細胞膜透過性ペプチド」である。
本発明によれば、生体分子への新たな機能付与を所望のタイミングで、容易に行うことができる。
本発明によれば、同一の生体分子に対して、異なる機能の付与を簡便に行うことができる。
本発明によれば、所望の分子を連結したタンパク質(半人工タンパク質とも称する)を細胞内において調製する方法であり、従来から試験管内における修飾が困難とされているタンパク質(例えば、膜タンパク質など)であっても、有効に修飾することができる。
本発明によれば、対象タンパク質の細胞内における局在を該タンパク質に連結させるペプチド配列を自在に選択することで、該タンパク質の局在を簡便かつ容易に制御することができる。
本発明によれば、対象タンパク質の細胞内における局在を、又は、細胞外部から導入せずに細胞内にて内在的に発現している該タンパク質の局在を、該タンパク質と特異的に結合するメディエーター分子を選択することにより、ほぼ生理的状態において、簡便かつ容易に観察することが出来る。
本発明によれば、薬理効果を示す合成化合物のうち細胞膜透過性を示さないものや、ペプチド性薬剤などであっても、細胞内の所望の領域に局在化させることが可能であるため、的確な薬理効果を実現することができ、また、必要となる薬剤量を低減させることもできる。
本発明によれば、細胞内の特定部位において薬理効果を発揮する化合物のスクリーニングと探索、及び、既知の薬効に関する薬効機序解析などを適正に行うことが可能となる。
エフェクター分子が生体分子と一体化することにより、生体分子を機能化する場合の一例を示す。 エフェクター分子が生体分子と一体化せずに、生体分子を機能化する場合の一例を示す。 膜透過性ペプチド誘導体(実施例1)の構成を示す。 実施例1の概念図を示す。細胞膜透過性ペプチド(R9)にエフェクター分子(NLS及びAlexaFluor647)及びメディエーター分子(TMP)を結合させた。 細胞膜透過性ペプチド(実施例1)を細胞内へ導入する前後での細胞蛍光画像を示す。 膜透過性ペプチド誘導体(実施例2)の構成を示す。 実施例2の概念図を示す。細胞膜透過性ペプチド(R9)にエフェクター分子(Myr−GC及びAlexaFluor647)及びメディエーター分子(TMP)を結合させた。 細胞膜透過性ペプチド(実施例2)を細胞内へ導入する前後での細胞蛍光画像を示す。
本発明によれば、細胞内の生体分子が従来保持していない機能を、所望のタイミングにて付与すること、又は、従来保持している機能に変更を加えることができる。ここでいう「機能」とは、特定の活性又は性質などを広く包含するものであり、例えば、酵素的な活性、物理的な活性、蛍光を発する性質などのほか、生体分子が細胞内の特定の部位に局在する性質なども含まれる。ここでの「機能化」とは、生体分子が従来保持している機能に変更を加えることを意味し、「機能化」により新規な機能が発現するか、又は従来の機能の一部又は全部が消失することである。従って、「機能化」の結果、従来の機能の全部を保持したまま新たな機能が付加されてもよく、また、従来の機能の全部又は一部が消失してもよく、さらに、従来の機能の全部又は一部が消失した後新たな機能が付加されてもよい。従って、「機能化」された生体分子としては、例えば、蛍光色素の付加により標識化された分子、特定の細胞内小器官への移行シグナルを付加された分子、生体分子固有の活性を抑制する因子の付与により活性が低下した分子、あるいは、生体分子固有の活性を促進する因子の付与により活性化された分子などを挙げることができる。ここでの「機能化」には、特定の分子又は原子(例えば、リン酸基、メチル基、アセチル基などの官能基、蛍光分子など)を直接生体分子に結合させることのほか、エフェクター分子と一体化することで生体分子に新たな活性又は性質などを付与する場合も含まれる。さらに、ここでの「機能化」は、エフェクター分子の直接的作用によって生じる場合だけでなく、他の因子を介した間接的作用によって生じる場合も含む。
生体分子を機能化するツールとして、生体分子を機能化するエフェクター分子、及びエフェクター分子の作用を生体分子に媒介(メディエート)するためのメディエーター分子を連結した細胞膜透過性ペプチドを用いることができる。細胞膜透過性ペプチドは、細胞に接触させると容易に細胞内に侵入することができる。そのため、生体分子に新たな機能を付与するために必要なエフェクター分子及びメディエーター分子を連結して細胞内に導入することにより、対象の生体分子への機能付与が可能となる。このような細胞膜透過性ペプチドを細胞に添加するタイミングを選ぶことで、所望のタイミングで対象の生体分子の機能付与を図ることができる。また、様々なエフェクター分子を適宜用いることで、多様な機能付与を実現することができる。
1つの細胞膜透過性ペプチドに対して、エフェクター分子及びメディエーター分子は1又は複数結合させることができる。特に、エフェクター分子を複数結合させた場合には、対象となる生体分子に複数の機能を付与することが可能となる。また、細胞膜透過性ペプチドとエフェクター分子又はメディエーター分子との結合様式は、エフェクター分子及び/又はメディエーター分子が直接細胞膜透過性ペプチドと結合してもよく、エフェクター分子又はメディエーター分子を介して細胞膜透過性ペプチドと結合してもよい。
「細胞膜透過性ペプチド」とは、塩基性アミノ酸を多く含むことを特徴とする細胞膜透過性を有するペプチドのことで、例えば、HIV−1 TAT(配列番号1)、HIV−1 gp41(配列番号2)、HIV−1 Rev(配列番号3)、pAntp(配列番号4)、VP22ペプチド(配列番号5)、SV40NLS(配列番号6)、Pep−1(配列番号7)、Integrinβ3(配列番号8)、InfluenzaHA−2(配列番号9)、W/R(配列番号10)、Transportan(配列番号:11)、BMV−gag(配列番号12)、HTLV−IIRex(配列番号13)、Human cFOS(配列番号14)、Human cJUN(配列番号15)、FHVcoat(配列番号16)、Yeat GCN4(配列番号17)、R9(配列番号18)などを挙げることができるが、特に、これらのペプチドに限定されるものではなく、当業者によって容易に選択することができる細胞膜透過性を有するペプチドであれば、如何なるものでも使用することができる。
「エフェクター分子」とは、メディエーター分子を介して生体分子に新たな機能を付与する(機能化と称する)ための分子のことを意味する。エフェクター分子は、例えば、生体分子に蛍光発色機能を付与する場合には各種の蛍光色素分子のことであり、生体分子に特定の細胞内部位に局在化する機能を付与する場合には、細胞内局在化シグナルペプチド(例えば、核移行シグナルペプチド、細胞膜局在化シグナルペプチド、小胞体局在化シグナル、ミトコンドリア局在化シグナルなど)などのことである。また、細胞内に存在する生体分子の機能を活性化、抑制又は阻害する活性を有する分子もエフェクター分子として使用することができる。エフェクター分子としては、シグナルペプチドなどのペプチドの他、タンパク質、非天然アミノ酸、低分子化合物、合成高分子、脂質、核酸、糖なども好適に使用可能である。
「メディエーター分子」とは、エフェクター分子による生体分子の機能化を達成するために、エフェクター分子と生体分子を一体化し又は一体化しないで、生体分子の機能に変更を加えるために、必要に応じて使用する媒介分子のことである。
「メディエーター分子」は、生体分子とエフェクター分子を一体化させる場合には(例えば、エフェクター分子が蛍光色素分子などの場合)、例えば、該生体分子又は該生体分子と直接連結されている受容分子と直接結合する分子(例えば、該生体分子又は受容分子に対する低分子リガンド、該生体分子又は受容分子を認識する抗体もしくはその一部など)を使用することができる(例えば、図1を参照のこと)。ここで「受容分子」とは、メディエーター分子と結合又は相互作用する分子のことで、例えば、メディエーター分子が何らかのリガンド分子であれば、そのリガンド分子と結合し得る酵素や受容体などが相当する。
また、「メディエーター分子」は、生体分子とエフェクター分子を一体化させることなくその活性を調節等する場合には(例えば、生体分子の存在する部位の極近傍にエフェクター分子を局在化させることで生体分子の活性に変更を加えることができ、必ずしも生体分子とエフェクター分子を常に接触させておく必要がない場合)、エフェクター分子を該生体分子の存在部位へ局在化させることができる分子(例えば、細胞膜で機能する生体分子の活性を調節する場合には、細胞膜局在化シグナルペプチドなど)などが使用可能である(例えば、図2を参照のこと)。
メディエーター分子としては、基質アナログ、金属錯体、補酵素などの低分子リガンドの他、ペプチド、タンパク質、脂質、核酸、糖などが好適に使用可能であり、特に、生体分子とエフェクター分子を一体化させる場合には、生体分子又は受容分子との結合親和性及び特異性の高い分子が好ましい。
本発明で使用される細胞膜透過性ペプチドとエフェクター分子及びメディエーター分子、又は、エフェクター分子とメディエーター分子を連結する場合、適当な架橋剤を介して連結することができる。架橋剤の選択は、当業者であれば容易に選択可能ないかなる物も使用可能であり、エフェクター分子及びメディエーター分子がペプチド、タンパク質、核酸又は糖などである場合には、2価の架橋剤、例えば、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ(コハク酸イミドエステル(EMCS)などが好適に使用可能である。特に、エフェクター分子及びメディエーター分子がペプチド又はタンパク質であれば、ジスルフィド結合を介して連結してもよく、また、該細胞膜透過性ペプチドのN末端又はC末端とエフェクター分子及び/又はメディエーター分子が直接又はリンカーペプチドなどを介し連結したキメラ分子の発現ベクターを用いて調製することもできる。
本発明における「生体分子」には、当業者の通常の知識として把握されるものの全てが含まれ、生物を構成し、あるいは、該生物の機能をつかさどる分子であれば如何なるものも含まれる。本発明の「生体分子」は、元々細胞内に内在する分子であっても、外来性の分子であってもよいが、好ましくは外来性の分子である。さらには、生物の機能をつかさどる分子であれば、天然に存在しない人工的なものを含んでもよい。「生体分子」には、例えば、タンパク質、核酸、糖、などを挙げることができるが、特にタンパク質が好ましく、外来性のタンパク質がより好ましい。
生体分子が外来性タンパク質である場合、対象となる該外来性タンパク質をコードする核酸を適当な発現ベクターに組み込んで、目的の細胞内で発現させることができる。
対象タンパク質をコードする核酸を組み込んだ発現ベクターは、適切な発現ベクターに対象タンパク質をコードする核酸を連結することにより得ることができる。細胞膜透過性ペプチドに連結されたメディエーター分子と高い親和性で特異的に結合する受容分子がペプチド(又はタンパク質)である場合、該受容分子をコードする核酸を直接又はリンカー配列を介して対象タンパク質の発現ベクター上に配置し、対象タンパク質と該受容分子が直接結合した複合体を発現させることもできる。発現ベクターとしては、対象とする細胞内で複製可能なものであって、対象タンパク質、受容分子をコードする核酸を発現させることができるプロモーターなどを有するものが使用可能である。
使用可能なベクターとしては、例えば、プラスミドDNA、ファージDNA等が挙げられる。プラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pCBD−C等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5、pC194等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13、YEp24、YCp50、YIp30等)などが挙げられ、対象とする細胞の性質に応じて選択することができる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、対象タンパク質の発現を行う細胞に対応した適切なプロモーターであれば特に限定されない。
例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、CMVプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、HSV−TKプロモーター、EF−1αプロモーター等が挙げられる。
宿主が大腸菌である場合には、tacプロモーター、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター等が、宿主が枯草菌である場合には、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等が挙げられる。
宿主が酵母である場合には、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター等が挙げられる。
宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
対象タンパク質の発現ベクターには対象タンパク質のコード化配列、プロモーター配列以外にも、選択マーカー、ターミネーター、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、リボソーム結合配列(SD配列)、SV40複製起点(SV40ori)などを連結することができる。
選択マーカーとしては、限定はしないが、ハイグロマイシン耐性マーカー(Hyg)、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(dhfr)、アンピシリン耐性遺伝子(Amp)、カナマイシン耐性遺伝子(Kan)、ネオマイシン耐性遺伝子(Neo, G418)などが利用可能である。
上述のベクターに対して対象タンパク質、受容分子をコードする核酸を挿入することは、クローニングされたDNAをそのまま、又は所望により制限酵素で消化して、リンカーを付加し、ベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入することにより行うことができる。連結するDNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGA又はTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。連結するDNAは、当該DNA中にコードされている対象タンパク質、受容分子が宿主細胞中で発現されるようにベクターに組み込まれることが必要である。
以下に実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕:EGFPの核内移行の誘発
実験
本実施例は、エフェクター分子として核局在化シグナル配列(配列番号19:SV40ラージT抗原由来の核局在化配列を三回繰り返したもの)及び蛍光色素(AlexaFluor647)、メディエーター分子として2,4−ジアミノ−5−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピリミジン(TMP:トリメトプリム)の誘導体()、細胞膜透過性ペプチドとしてR9(配列番号18)を用いて、細胞内に発現させたEGFPの細胞内局在の変更及びEGFPに更なる蛍光発色性を付与した結果を示したものである。
1.TMP誘導体()の合成
TNP誘導体の合成スキームを下記に示す。
1−1.化合物()の合成
Trimethoprim(Sigma)25.0g(86.1mmol)を48%HBr(Aldrich)300mLに溶解し、100℃の油浴中で20分間攪拌した。反応容器を油浴から上げ、そこへ50%水酸化ナトリウム水溶液60mLをゆっくり加えた。室温まで放冷後、4℃で一晩静置した。析出した固体結晶をろ取し、冷水100mLで洗浄後、沸騰水200mLに再溶解した。28%アンモニア水を用いてpHを7付近に調整し、室温まで放冷した。更に4℃で4時間静置することで得られた白色固体()をろ取し、デシケーター内で五酸化二リンの存在下、減圧乾燥した。生成物の同定はH―NMRにより行った。
収量:17.6g(収率:74%)
1−2.化合物()の合成
15.0g(54.3mmol)の化合物()を乾燥DMSO180mLに溶解し、カリウムtert―ブトキシド(東京化成)6.70g(59.7mmol)を加えた。室温で20分間攪拌した後、臭化吉草酸エチル(東京化成)9.53mL(59.7mmol)を加え、更に18時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた油状残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:クロロホルム/メタノール=20/1)により精製した。目的フラクションを回収し、減圧乾燥後、白色固体()を得た。生成物の同定はH―NMRおよびMALDI―TOF―MSにより行った。
収量:4.26g(収率:19%)
1−3.化合物()の合成
4.26g(10.5mmol)の化合物()をメタノール20mLに溶解し、5N水酸化ナトリウム水溶液6.3mL(2.52mmol)を加えた。1時間攪拌後、溶媒を減圧留去し、蒸留水80mLに再溶解した。若干の不溶物をろ過により除去し、濃塩酸を用いてろ液のpHを5付近に調整した。生じた白色固体()をろ取し、冷水50mLで洗浄後、デシケーター内で五酸化二リンの存在下、減圧乾燥した。生成物の同定はH―NMRおよびMALDI―TOF―MSにより行った。
収量:2.03g(収率:51%)
2.ペプチド合成
図3に示すペプチドをFmoc法による固相合成により合成した。Fmoc―NH―SAL―Resin(渡辺化学)を樹脂として用い、Fmoc―Cys(Trt)―OH、Fmoc―Gly―OH、Fmoc―Arg(Pbf)―OH、Fmoc―Val―OH、Fmoc―Lys(Boc)―OH、Fmoc―Pro―OH、Fmoc―Acp―OH(渡辺化学)をFmoc―アミノ酸として用いた。20%ピペリジン/DMFを用いて脱Fmocを行い、カップリングの縮合剤にはDIC/HOBt系を用いた。ペプチドのN末端には化合物()をHBTU/HOBt/DIEA系を用いて導入した。ペプチドの伸長後、TFA/EDT/HO(=92.5/5/2.5)を用いて切り出しおよび脱保護を行い、溶媒を減圧留去後、ジエチルエーテルにより粗ペプチドを沈殿させた。目的ペプチドは逆相HPLC(C18カラム)によって精製し、MALDI―TOF―MSにより同定を行った。ペプチドは凍結乾燥後、DMSO中でAlexaFluor647―C2―Maleimide(Invitrogen)をC末端のシステイン残基に修飾し、再度、逆相HPLC(C18カラム)によって精製を行った。ペプチドは水溶液ストックを作成し、その濃度はAlexaFluor647由来の吸光度を用いて算出した。
3.eDHFR―EGFP発現ベクターの構築
大腸菌由来のジヒドロ葉酸還元酵素(eDHFR)の遺伝子を大腸菌ゲノムからPCRによって増幅した。その際、5’―AAAACTGCAGACCATGGCTATCAGTCTGATTGCGGCGTTAGCG―3’(配列番号20)および5’―CGCGGATCCGAAGCGGCCGCCCGCCGCTCCAGAAT―3’(配列番号21)をプライマーとして用いた。そのPCR産物をpEGFP―N1ベクター(Clonetech)にPstIおよびBamHIサイトを用いて挿入し、eDHFR―EGFP融合蛋白質発現プラスミドを作成した。なおPCR断片の塩基配列はDNAシークエンシングによって確認した。
4.細胞培養
実験にはHeLa細胞を用いた。DMEM(10%FBS含)(Sigma)を培地として用い、2〜3日の間隔で継代を行った。培養は5%CO2雰囲気下、37℃のインキュベーター内で行った。
5.細胞実験
HeLa細胞を2×10個になるように35mmガラスボトムディッシュに播種し、24時間培養した。その後、eDHFR―EGFP発現プラスミドをLipofectamineおよびPlus試薬(Invitrogen)を用いて遺伝子導入を行った。更に24時間培養し、遺伝子発現を確認した後、以下の細胞内ペプチド導入実験を行った。
まず細胞培養液を除去し、そこへペプチド10μMを含んだ培地を添加した。インキュベーター内で4時間静置し、PBS(−)で3回洗浄した後に、改めて培地を加え、共焦点レーザー顕微鏡による蛍光観察を行った。
結果
本実験の概念図を図4に、またペプチドを細胞内へ導入する前後での細胞蛍光画像を図5に示す。本実施例においては、生体分子がEGFP、エフェクター分子がNLS及びAlexaFluor647、メディエーター分子がTMP誘導体、受容分子がeDHFR、細胞膜透過性ペプチドがR9(配列番号18)に相当する。
ペプチドの細胞内導入前には、eDHFR―EGFP由来の緑色蛍光は細胞質および核内に均一に分布しており、また核内の核小体からは蛍光がほとんど観察されなかった。ところが、TMPを連結した核局在化配列―R9ペプチド(TMP―NLS―R9)を細胞内へ導入した際には、核内の特に核小体から強い緑色蛍光が観察され、TMP―NLS―R9によって細胞内に発現させたeDHFR―EGFPを核内へ局在化できることが示された。またペプチドに修飾したAlexaFluor647由来の蛍光を観察することで、実際にペプチドが細胞内に取り込まれていることが確認された。一方、核局在化配列を持たないペプチド(TMP―R9)は、細胞内に取り込まれているにも関わらず、eDHFR―EGFPの局在を変化させないことが示された。
〔実施例2〕:EGFPの細胞膜移行の誘発
実験
本実施例は、エフェクター分子として細胞膜局在化シグナル配列(Srcファミリーに属するLyn蛋白質由来の細胞膜局在化モチーフの一部、配列番号18)及び蛍光色素(AlexaFluor647)、メディエーター分子として2,4−ジアミノ−5−(3,4,5−トリメトキシベンジル)ピリミジン(TMP:トリメトプリム)の誘導体()を用いて、細胞内に発現させたEGFPの細胞内局在の変更及びEGFPに更なる蛍光発色性を付与した結果を示したものである。
1.ペプチド合成
図6に示すペプチドをFmoc法による固相合成により合成した。Fmoc―NH―SAL―Resin(渡辺化学)を樹脂として用い、Fmoc―Gly―OH、Fmoc―Cys(Trt)―OH、Fmoc―Arg(Pbf)―OH,Fmoc―Lys(Mtt)―OH、Fmoc―Lys(Boc)―OH(渡辺化学)をFmoc―アミノ酸として用いた。20%ピペリジン/DMFを用いて脱Fmocを行い、カップリングの縮合剤にはDIC/HOBt系を用いた。C末端にLys(Mtt)基を導入後、DCM/TFA/TIS(=93/2/5)処理により脱保護を行い、化合物()をHBTU/HOBt/DIEA系を用いて導入した。その後、通常通りペプチド鎖を伸張した。ペプチドのN末端にはMyristic Acid(東京化成)をDIC/HOBt系を用いて導入した。その後、TFA/EDT/HO(=92.5/5/2.5)を用いて切り出しおよび脱保護を行い、溶媒を減圧留去後、ジエチルエーテルにより粗ペプチドを沈殿させた。目的ペプチドは逆相HPLC(C18カラム)によって精製し、MALDI―TOF―MSにより同定を行った。ペプチドは凍結乾燥後、pH8.3、0.1M炭酸水素ナトリウムバッファー中、AlexaFluor647―CarboxylicAcid―SuccinimidylEster(Invitrogen)をC末端付近のリジン残基に修飾し、再度、逆相HPLC(C18カラム)によって精製を行った。ペプチドは水溶液ストックを作成し、その濃度はAlexaFluor647由来の吸光度を用いて算出した。
2.HeLa/eDHFR−EGFP恒常発現株細胞の作製
eDHFR―EGFP発現プラスミド(実施例1参照)をLipofectamineおよびPlus試薬(Invitrogen)を用いてHeLa細胞に導入した。更に24時間培養し、遺伝子発現を確認した。その後G418による抗生物質選択を行い、eDHFR―EGFP恒常発現細胞株を得た。
3.細胞実験
HeLa/eDHFR―EGFP恒常発現株細胞を2×10個になるように35mmガラスボトムディッシュに播種し、48時間培養した後、以下の細胞内ペプチド導入実験を行った。
まず細胞培養液を除去し、そこへ図6に示すペプチド6μMを含んだ培地を添加した。インキュベーター内で1時間静置し、PBS(+)で3回洗浄した後に、改めて培地を加え、共焦点レーザー顕微鏡による蛍光観察を行った。
結果
本実験の概念図を図7に、またペプチドを細胞内へ導入する前後での細胞蛍光画像を図8に示す。本実施例においては、生体分子がEGFP、エフェクター分子がMyr−GC及びAlexaFluor647、メディエーター分子がTMP誘導体、受容分子がeDHFR、細胞膜透過性ペプチドがR9(配列番号18)に相当する。
ペプチドの細胞内導入前には、eDHFR―EGFP由来の緑色蛍光は細胞質に均一に分布していた。ところが、TMPを連結した細胞膜局在化配列―R9ペプチド(Myr―GC―R9―TMP)を細胞内へ導入した際には、細胞膜から強い緑色蛍光が観察され、Myr―GC―R9―TMPによって細胞内に発現させたeDHFR―EGFPを細胞膜の内膜上へ局在化できることが示された。またペプチドに修飾したAlexaFluor647由来の蛍光を観察することで、実際にペプチドが細胞内に取り込まれていることが確認された。
本発明の方法を使用すれば、細胞内の生体分子を容易に機能化することができるため、例えば、特定の生体分子の機能を促進又は抑制する手段、あるいは、特定の薬理効果を有する生体分子を細胞内の所望の領域に局在化させる手段などに利用可能である。従って、医療や医薬開発、さらには、新種の動植物などの研究開発などの分野において多大なる貢献をするものである。

Claims (17)

  1. 以下の(a)及び(b);
    (a)メディエーター分子及びエフェクター分子が結合した細胞膜透過性ペプチドを細胞内に導入する工程、
    (b)該メディエーター分子を介して、該細胞内に存在する生体分子と該エフェクター分子を一体化し又は一体化することなく、該生体分子の機能を変更する工程、
    を含むことを特徴とする生体分子を機能化する方法。
  2. 前記機能化が標識化であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記機能化が前記生体分子の細胞内局在を変動させることである請求項1に記載の方法。
  4. 前記機能化が前記生体分子の活性を促進又は阻害することである請求項1に記載の方法。
  5. 前記生体分子と前記エフェクター分子を一体化させないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記生体分子と前記エフェクター分子を一体化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
  7. 前記生体分子と結合している受容分子と前記メディエーター分子が結合し、前記一体化が達成されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記メディエーター分子が、低分子化合物、ペプチド、タンパク質、脂質、核酸、糖のいずれかであり、前記エフェクター分子が、低分子化合物、合成高分子、ペプチド、タンパク質、脂質、核酸、糖のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記メディエーター分子が、基質アナログ、金属錯体、補酵素のいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記エフェクター分子が細胞内局在化シグナルペプチドであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記細胞内局在化シグナルが、核局在化シグナル又は細胞膜局在化シグナルであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記生体分子が外来性の分子であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記生体分子がタンパク質であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記タンパク質が細胞内に導入された発現ベクターに組み込まれた核酸から発現するものであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記メディエーター分子と特異的に結合する前記受容分子がペプチド又はタンパク質であり、該受容分子が前記タンパク質と直接又はリンカーペプチドを介して連結するように、該受容分子をコードする核酸を、前記タンパク質をコードする核酸に隣接して組み込んだ発現ベクターを使用することを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 前記タンパク質が蛍光タンパク質であることを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載の方法。
  17. メディエーター分子及びエフェクター分子が結合した細胞膜透過性ペプチド。
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