JP5182671B2 - コイルドコイルを利用した膜タンパク質標識方法 - Google Patents
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Description
ラベル化原理としては、大きく分けて1)既知の分子間相互作用を用いるもの(非特許文献1、2及び3)、2)既知の酵素反応を利用するもの(非特許文献4、5及び6)、が報告されている。しかしこれらの手法においても、1)では、タグとして働くアミノ酸配列と金属イオン間の複合体形成を利用するものが多く、特にこの金属イオンが細胞にとって毒性を持ち、問題となる場合がある。また2)の酵素反応を利用する方法では、ラベル化に時間がかかる(典型的には 30分前後)うえに、蛍光ラベル基質を個別に加えなければならないという欠点がある。
B. A. Griffin, S. R. Adams, R. Y. Tsien, Science, 281, 269 (1998). A. Ojida, K. Honda, D. Shinmi, S. Kiyonaka, Y. Mori, I. Hamachi, J. Am. Chem. Soc., 128, 10452 (2006). C. T. Hauser, R. Y. Tsien, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 104, 3693 (2007). B. H. Meyer, J. M. Segura, K. L. Martinez, R. Hovius, N. George, K. Johnsson, H. Vogel, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 103, 2138 (2006). I. Chen, M. Howarth, W. Lin, A. Y. Ting, Nat. Methods, 2, 99 (2005). C. W. Lin, A. Y. Ting, J. Am. Chem. Soc., 128, 4542 (2006).
項1.コイルドコイルを形成し得る陰性コイルペプチドを融合した膜タンパク質を、陰性コイルペプチドが細胞外側に位置するように発現した形質転換体に、コイルドコイルを形成し得る陽性コイルペプチドに蛍光分子を結合した蛍光プローブを作用させ;
(ここで、
前記コイルドコイルは、αへリックス構造を有する陰性コイルペプチドとαへリックス構造を有する陽性コイルペプチドからなる2量体コイルドコイルであり;
前記陰性コイルペプチドは、αへリックスの7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gにおいて、生理的pHでe及びgが負に帯電したアミノ酸、a及びdが疎水性側鎖を有するアミノ酸、b、c及びfが任意のアミノ酸であって、全体として生理的pHで負に帯電しているαへリックスペプチドであり;
前記陽性コイルペプチドは、αへリックスの7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gにおいて、生理的pHでe及びgが正に帯電したアミノ酸、a及びdが疎水性側鎖を有するアミノ酸、b、c及びfが任意のアミノ酸であって、全体として生理的pHで正に帯電しているαへリックスペプチドであり、
前記形質転換体は哺乳類由来細胞又は酵母を形質転換したものである)
当該形質転換体の膜上に存在する該膜タンパク質を検出する方法。
項2.さらに、陰性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのfが生理的pHで正に帯電したアミノ酸である、項1に記載の方法。
項3.さらに、陽性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのfが生理的pHで負に帯電したアミノ酸である、項1又は2に記載の方法。
項4.さらに、陰性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのe及びgがグルタミン酸である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
項5.さらに、陽性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのe及びgがリジンである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
項6.さらに、陰性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのfがリジンである、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
項7.さらに、陽性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのfがグルタミン酸である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
項8.陰性コイルペプチドが、14から140アミノ酸残基からなる、項1から7のいずれか1項に記載の方法。
項9.陽性コイルペプチドが、14から140アミノ酸残基からなる、項1から8のいずれか1項に記載の方法。
項10.陰性コイルペプチドが、配列番号3もしくは4の配列からなる、項1から9のいずれか1項に記載の方法。
項11.陽性コイルペプチドが、配列番号1もしくは2の配列からなる、項1から10のいずれか1項に記載の方法。
項12.さらに、陰性コイルペプチドが1〜30アミノ酸残基よりなるリンカーを介して膜タンパク質に融合した、項1から11のいずれか1項に記載の方法。
項13.さらに、蛍光プローブが、陽性コイルペプチドが1〜30アミノ酸残基よりなるリンカーを介して蛍光分子に結合した蛍光プローブである、項1から12のいずれか1項に記載の方法。
項14.陽性コイルペプチドに蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)のためのドナー蛍光分子を結合させた蛍光プローブと、陽性コイルペプチドにFRETのための当該ドナー蛍光分子に対応するアクセプター蛍光分子を結合させた蛍光プローブの、2種類の蛍光プローブを同時に形質転換体に作用させ、陰性コイルペプチドを融合した膜タンパク質が2量体を形成し得るかをFRETにより検出する、項1から13のいずれか1項に記載の方法。
項15.形質転換体に、陰性コイルペプチドを融合した2種類の膜タンパク質を発現させ、当該2種類の膜タンパク質が2量体を形成し得るかを検出する、項14に記載の方法。
項16.膜タンパク質が、膜貫通型受容体タンパク質である、項1から15のいずれか1項に記載の方法。
項17.膜貫通型受容体タンパク質が、GPCRである、項16に記載の方法。
項18.蛍光分子が、Alexa、ローダミン、フルオレセイン、Bodipy、Cy3、Cy5、R6G、FAM、JOE、ROX、EDANS、Dabcyl、SNARF、NBD、ピレン、クマリンからなる群から選択される、項1から17のいずれか1項に記載の方法。
項19.形質転換体が、HeLa、CHO、293、COS−7、PC12細胞からなる群より選択される哺乳類由来細胞を形質転換したものである、項1から18のいずれか1項に記載の方法。
項20.項1から19のいずれか1項に記載の方法用の陰性コイルペプチドを融合した膜タンパク質をコードする、遺伝子構築物又はベクター。
項21.項20に記載の遺伝子構築物又はベクターを導入し、陰性コイルペプチドが細胞外側に位置するよう、陰性コイルペプチドを融合した膜タンパク質を発現した形質転換体。
項22.項16から19のいずれか1項に記載の方法により膜貫通型受容体タンパク質を検出した後に、該膜貫通型受容体タンパク質のシグナル応答を指標としてリガンドとなる物質をスクリーニングする方法。
項23.細胞内カルシウムイオン濃度変化をシグナル応答の指標とする、項22に記載の方法。
項24.項16から19のいずれか1項に記載の方法により膜貫通型受容体タンパク質を検出した後に、さらに該膜貫通型受容体タンパク質にリガンドを作用させることで、該膜貫通型受容体タンパク質が細胞内に取り込まれることを検出する方法。
項25.項13から19のいずれか1項に記載の方法により、細胞外側に陰性コイルペプチドを融合した膜タンパク質を発現した形質転換体に、陽性コイルペプチドに蛍光分子を結合した蛍光プローブを作用させ、陰性コイルペプチドと陽性コイルペプチドがコイルドコイルを形成した後に、当該両コイルペプチドを化学的手法により架橋してコイルドコイルをさらに安定化する方法。
項26.架橋のためのリンカーとして用いられる化合物が、Sulfo−GMBSである、項25に記載の方法。
項27.項25又は26に記載の方法により、コイルドコイルを安定化した後、さらに当該両コイルペプチドの架橋に寄与しないペプチド部分を切断し、コイルドコイルの大きさを小さくする方法。
項28.ペプチド部分の切断が、プロテアーゼを用いて行われる、項27に記載の方法。
項29.プロテアーゼがFactor Xaである、項28に記載の方法。
項30.項25又は26に記載の方法において、陽性コイルペプチドに蛍光分子を結合した蛍光プローブに代えて、陽性コイルペプチドに固体支持体を結合させたものを使用し、陰性コイルペプチドと陽性コイルペプチドがコイルドコイルを形成した後に、当該両コイルペプチドを化学的手法により架橋してコイルドコイルをさらに安定化させ、当該固体支持体を形質転換体から引き離すことにより細胞膜から膜タンパク質を分離させ、当該膜タンパク質及びそれに付着した分子を質量分析装置で解析することで、当該膜タンパク質に付着した分子を同定する方法。
また、IANBD2当量を緩衝液 (pH 8.0)中で1時間反応させることにより、溶液中の陽性コイルペプチドのシステイン側鎖に結合される。
本実施例でタグとして使用した陽性コイルペプチド及び陰性コイルペプチドのアミノ酸配列を、表1に示す。なお、表中に、本明細書中での各配列の表記の仕方も示す(例えば、配列番号1のアミノ酸配列は以後「K3」と表記する)。
Fmoc固相合成法により、N末端を蛍光色素テトラメチルローダミン(TMR)あるいはAlexaFluor488(AF488)でラベルしたK3, K4, E3, E4 ペプチドを合成した。NovaSyn TGR 樹脂(Novabiochem)0.31mmol/g、0.1mmolに、DMF中0.5 mmolのFmocアミノ酸、0.5 mmolのHOBt、0.5 mmolのジイソプロピルカルボジイミドを加え2時間攪拌した。反応の完了はKeiser試験で確認した。Fmoc基の脱保護は20%ピペリジン、20分間行った。樹脂からの脱保護はTFA/エタジチオール/m−クレゾール/チオアニソール/水=12.5/1/1/1/1(v/v)で3時間行った。ジエチルエーテルでペプチドを沈殿後、HPLCにより精製を行った(純度90%以上)。エレクトロスプレーイオン化質量分析により分子量を測定し、目的とするラベル化ペプチドが合成されたことを確認した。
Chinese Hamster Ovary 由来CHO細胞の培養は、10%ウシ胎児血清(JRH) を含むalpha modification Eagle’s培地(Sigma)中、5% CO2, 37°Cで行った。ベクターの導入にはLipofectAMINE およびPLUS試薬(Invitrogen)を用いた。1×105細胞を35 mm径のガラスボトムディッシュ(Iwaki)に播種して1日後、0.3 μgのDNA、2μLのLipofectAMINE、3μLのPLUS試薬を加え、37°C で3時間インキュベートした。
遺伝子導入後24−48時間に、共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss LSM PascalまたはNikon C1)による観察を行った。10%血清を含む培地1mLにペプチドプローブを希釈して約5分インキュベート後、培地で一度洗浄し、観察を行った。EYFP、Alexa488は励起:488 nm、蛍光505−530 nm BPフィルター、TMRは励起543 nm、蛍光560 nm LPフィルターで観察した。ペプチドを滴定する場合は、顕微鏡ステージ上を5% CO2, 37°C条件に保った。ペリスタックポンプでペプチド溶液10mLを循環し、顕微鏡ステージ外を循環している溶液(約5 mL)にペプチドを順次加えピペッティング混合した。ペプチド濃度が一定になるのを待つために、投与後10−15分待ってから各濃度での蛍光画像を取得した。複数の細胞膜領域の蛍光強度の平均値を用いて(n = 10)定量し、測定した蛍光強度範囲では、色素濃度と蛍光強度がリニアな関係にあることを確かめた。ペプチドを洗浄する場合は、ペプチドを含まない10%血清培地を毎分1mL流し続け、蛍光強度の減少を見た。
96ウェルプレートにCHO細胞(5000/ウェル)を播種して12時間後、培地に溶解したTMR−K3またはTMR−K4(100μL)を投与した。20時間後、WST試薬10μLを加え、1時間後450 nmの吸光度を測定した。また、この波長ではTMRの吸収はほとんど見られず、本アッセイ結果にTMRによる吸収の影響は無いこともあらかじめ確認した。
遺伝子導入24−48時間後、0.5μMインドメタシン、0.5 mMプロベネシドを含む培地で細胞を洗浄後、10μM Fura2−AMで30分染色した。測定は、2mM Ca2+および20 nMのTMR−K4を含むPhysiological Saline Solution 1mL中で行った。測定開始約2分後に、6μMのEP3βアゴニスト(Sulprostone)1mLを混合した(最終濃度3μM)。Fura2蛍光レシオ画像は励起波長を340 nm/380 nmで切り替えながら、蛍光510 nmで取得した。
EP3βR のN末端にK3またはE3タグ配列を融合させ、C末端に受容体の局在を調べるためEYFPを付加した融合膜貫通型受容体タンパク質、K3−EP3βR−EYFPおよびE3−EP3βR−EYFPをそれぞれCHO細胞に一過性に発現させ、K3−EP3βR−EYFPに対してはTMR−E3、TMR−E4蛍光プローブを、E3−EP3βR−EYFPに対してはTMR−K3、TMR−K4プローブを濃度20 nMで加え、培地で1回洗浄後、共焦点レーザー顕微鏡による観察を行った(図2A)。その結果、K3タグに対してTMR−Eプローブを加えた場合にはTMR蛍光がほとんど観測されなかったのに対して、E3タグに対してTMR−K蛍光プローブを加えた場合には、受容体を発現している細胞だけがTMR染色された。また、EYFPの蛍光は細胞膜、細胞内いずれでも見られるのに対し、TMR蛍光は細胞膜のみで見られ、細胞膜表面の受容体のみを蛍光ラベルできることがわかった。ペプチド投与直後(1分以内)から、TMRの染色が見られた。また、E3−EP3βRをCHO細胞に一過性に発現させた場合において、蛍光分子AF488でラベルしたK4ペプチド(AF488−K4)でも、TMR−K4と同様にE3−EP3βR をラベルできた(図2B)。以降、E3タグ−TMR−Kプローブ系のみ詳しい検討を行った。
TMR−K3、TMR−K4プローブのE3タグに対する結合力を調べるため、E3−EP3βR−EYFP発現CHO細胞に、2−100 nM程度の濃度範囲でプローブを滴定した(図3)。各プローブ濃度での、共焦点レーザー顕微鏡による観察結果を図3Aに、細胞膜のTMR蛍光強度をプロットした結果を図3Bに示す。ここから各プローブの見かけの解離定数を求めた(TMR−K4:Kd = 6 ± 2 nM, TMR−K3:Kd = 64 ± 31 nM)。TMR−K3の解離定数は、報告されている緩衝液中のE3−K3の解離定数(約70 nM)と同程度だった(非特許文献7;なお、E3−K4に関しては報告なし)。従って、TMR−K4を用いれば、20 nM程度の低濃度でも、十分なラベル化が行えることが明らかになった。次に、蛍光ラベルされた細胞を、TMR−Kプローブを含んでいない培地でwash out(1mL/min)し、一度ラベルされたプローブがどの程度の時間保たれているか調べた(図3C)。TMR−K3は50 mLの洗浄で約50%解離したのに対し、TMR−K4は80 mLの洗浄後でも約20%しか解離せず、より長時間結合が保たれることがわかった。
WST−1アッセイにより、TMR−K3、 TMR−K4のCHO細胞への毒性を調べた。いずれのペプチドも、10μM、1日程度で毒性は見られず、ラベル化に用いる濃度(数十μM)の100倍程度の濃度でも毒性を示さないことを確認した(図4)。
TMR−KプローブでラベルされたE3−EP3βRが、受容体の機能を持っているかどうか、Ca2+感受性蛍光色素Fura2による細胞内カルシウムイメージングを用いて調べた。E3−EP3βRを発現し、20 nMのTMR−K4で染色された細胞だけが、EP3βRのリガンドであるSulprostone投与による細胞内Ca2+濃度の上昇を引き起こした(図6)。このことから、TMR−K4が結合したE3−EP3βRが受容体の機能を持つことが確認できた。
β2AR(β2アドレナリン受容体)のN末端にE3タグを、C末端にEYFPを付加したE3−β2AR−EYFPをコードするベクターpcDNA3/E3−β2AR−EYFPを以下の手順により作製した。なお、基本的に各操作の条件は上記pcDNA3/E3−EP3βR−EYFPを用いた実験と同様とした。
PCRプライマーAR−F(atagcgataatagctagcgggcaacccgggaacgg:配列番号9)およびAR−R(ataaatgggcccttacagcagtgagtcatttgtactacaattcc:配列番号10)を用いて、 pDONR223/β2AR (Open Biosystems)をテンプレートとしてβ2ARコード領域をPCRにより増幅し、増幅断片をNhe IおよびApa Iで処理した。これをpcDNA3/E3−EP3β−EYFPをNheI及びApaIにより処理した断片のNhe I/Apa I サイトに挿入し、pcDNA3/E3−β2ARを得た。
さらに、PCRプライマーAR−FおよびAR−R2(ataaatgggcccacagcagtgagtcatttgtactacaattcc :配列番号11)を用いて上記と同様にしてpcDNA3/E3−β2AR(Stopコドンなし)を作成し、そのApa Iサイトに、pcDNA3/E3−EP3β−EYFPからApa Iで処理した断片(YFPをコード)を挿入することで得た。
E3タグとTMR−K3プローブ(42残基)、及び、E3タグとTMR−K4プローブ(49残基)からなるコイルドコイルをさらに小さくするために、1)タグとプローブがコイルドコイル形成後、2)アミノ基反応性クロスリンカーを用いてプローブとタグを共有結合させ、3)特異的プロテアーゼによりコイルドコイル部分を切り離した(図8)。クロスリンカーには、システイン側鎖のチオール基とリジン側鎖のアミノ基をクロスリンクするSulfo−GMBS(図9)を、プロテアーゼとしてIEGR配列(アミノ酸1文字表記)のC末端側を切断することが知られているFactor Xaを用いた。また、蛍光プローブとして、R3配列のN末端にTMRを、C末端にフルオレセイン (FL) を結合させたものを使用した。すなわち、当該蛍光プローブ及びタグ融合EP3βRは下表に示すものである。
標的タンパク質の単離
K4プローブを基盤上に固定し、上述の方法でE3タグとクロスリンクさせることで、標的タンパク質を単離することができる(図10)。この際、細胞膜中において、標的タンパク質と会合している別のタンパク質や、標的タンパク質周囲に存在する脂質分子もともに引き抜かれてくる。これらを、MALDI−TOF型あるいはESI型の質量分析器を用いて解析し、標的膜貫通型受容体タンパク質に付着した分子を同定した。
Claims (27)
- コイルドコイルを形成し得る陰性コイルペプチドを融合した膜タンパク質を、陰性コイルペプチドが細胞外側に位置するように発現した形質転換体に、コイルドコイルを形成し得る陽性コイルペプチドに蛍光分子を結合した蛍光プローブを作用させ;
(ここで、
前記コイルドコイルは、αへリックス構造を有する陰性コイルペプチドとαへリックス構造を有する陽性コイルペプチドからなる2量体コイルドコイルであり;
前記陰性コイルペプチドは、αへリックスの7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gにおいて、生理的pHでe及びgが負に帯電したアミノ酸、a及びdが疎水性側鎖を有するアミノ酸、b、c及びfが任意のアミノ酸であって、全体として生理的pHで負に帯電しているαへリックスペプチドであり;
前記陽性コイルペプチドは、αへリックスの7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gにおいて、生理的pHでe及びgが正に帯電したアミノ酸、a及びdが疎水性側鎖を有するアミノ酸、b、c及びfが任意のアミノ酸であって、全体として生理的pHで正に帯電しているαへリックスペプチドであり、
前記形質転換体は哺乳類由来細胞又は酵母を形質転換したものである)
当該形質転換体の膜上に存在する該膜タンパク質を検出する方法。 - さらに、陰性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのfが生理的pHで正に帯電したアミノ酸である、請求項1に記載の方法。
- さらに、陽性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのfが生理的pHで負に帯電したアミノ酸である、請求項1又は2に記載の方法。
- さらに、陰性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのe及びgがグルタミン酸である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、陽性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのe及びgがリジンである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、陰性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのfがリジンである、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、陽性コイルペプチドが、7アミノ酸反復配列a−b−c−d−e−f−gのfがグルタミン酸である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
- 陰性コイルペプチドが、14から140アミノ酸残基からなる、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
- 陽性コイルペプチドが、14から140アミノ酸残基からなる、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
- 陰性コイルペプチドが、配列番号3もしくは4の配列からなる、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
- 陽性コイルペプチドが、配列番号1もしくは2の配列からなる、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、陰性コイルペプチドが1〜30アミノ酸残基よりなるリンカーを介して膜タンパク質に融合した、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、蛍光プローブが、陽性コイルペプチドが1〜30アミノ酸残基よりなるリンカーを介して蛍光分子に結合した蛍光プローブである、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
- 陽性コイルペプチドに蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)のためのドナー蛍光分子を結合させた蛍光プローブと、陽性コイルペプチドにFRETのための当該ドナー蛍光分子に対応するアクセプター蛍光分子を結合させた蛍光プローブの、2種類の蛍光プローブを同時に形質転換体に作用させ、陰性コイルペプチドを融合した膜タンパク質が2量体を形成し得るかをFRETにより検出する、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
- 形質転換体に、陰性コイルペプチドを融合した2種類の膜タンパク質を発現させ、当該2種類の膜タンパク質が2量体を形成し得るかを検出する、請求項14に記載の方法。
- 膜タンパク質が、膜貫通型受容体タンパク質である、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
- 膜貫通型受容体タンパク質が、GPCRである、請求項16に記載の方法。
- 形質転換体が、HeLa、CHO、293、COS−7、PC12細胞からなる群より選択される哺乳類由来細胞を形質転換したものである、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項16から18のいずれか1項に記載の方法により膜貫通型受容体タンパク質を検出した後に、該膜貫通型受容体タンパク質のシグナル応答を指標としてリガンドとなる物質をスクリーニングする方法。
- 細胞内カルシウムイオン濃度変化をシグナル応答の指標とする、請求項19に記載の方法。
- 請求項16から18のいずれか1項に記載の方法により膜貫通型受容体タンパク質を検出した後に、さらに該膜貫通型受容体タンパク質にリガンドを作用させることで、該膜貫通型受容体タンパク質が細胞内に取り込まれることを検出する方法。
- 請求項13から18のいずれか1項に記載の方法により、細胞外側に陰性コイルペプチドを融合した膜タンパク質を発現した形質転換体に、陽性コイルペプチドに蛍光分子を結合した蛍光プローブを作用させ、陰性コイルペプチドと陽性コイルペプチドがコイルドコイルを形成した後に、当該両コイルペプチドを化学的手法により架橋してコイルドコイルをさらに安定化する方法。
- 架橋のためのリンカーとして用いられる化合物が、Sulfo−GMBSである、請求項22に記載の方法。
- 請求項22又は23に記載の方法により、コイルドコイルを安定化した後、さらに当該両コイルペプチドの架橋に寄与しないペプチド部分を切断し、コイルドコイルの大きさを小さくする方法。
- ペプチド部分の切断が、プロテアーゼを用いて行われる、請求項24に記載の方法。
- プロテアーゼがFactor Xaである、請求項25に記載の方法。
- 請求項22又は23に記載の方法において、陽性コイルペプチドに蛍光分子を結合した蛍光プローブに代えて、陽性コイルペプチドに固体支持体を結合させたものを使用し、陰性コイルペプチドと陽性コイルペプチドがコイルドコイルを形成した後に、当該両コイルペプチドを化学的手法により架橋してコイルドコイルをさらに安定化させ、当該固体支持体を形質転換体から引き離すことにより細胞膜から膜タンパク質を分離させ、当該膜タンパク質及びそれに付着した分子を質量分析装置で解析することで、当該膜タンパク質に付着した分子を同定する方法。
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