JPWO2007122677A1 - 流れを伴う非線形熱・物質拡散場の設計支援方法、設計支援システム、および設計支援用プログラム - Google Patents

流れを伴う非線形熱・物質拡散場の設計支援方法、設計支援システム、および設計支援用プログラム Download PDF

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Abstract

設計目標を実現するための設計パラメータの検討における数値シミュレーション回数を大幅に低減し、汎用的で利便性に富む熱対流場・物質拡散場の設計支援方法および設計支援システムを提供する。設計支援方法は、設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって熱対流場または物質拡散場を解析する順解析ステップS3と、設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析ステップS6と、前記逆解析ステップS6によって解析された感度の情報を表示装置にグラフィック表示させる感度表示ステップS7と、を備えている。

Description

本発明は、熱対流場・物質拡散場の設計を支援する設計支援方法、設計支援システム、および設計支援用プログラムに関するものである。
例えば、空気調和装置を用いた室内環境の設計、電子機器の熱設計、工場における排ガスの濃度管理等、様々な場所または用途において、熱対流場や物質拡散場の設計が必要とされている。
近年のコンピュータの高速化に伴い、熱対流場または物質拡散場の数値シミュレーションが実用化されており、既にいくつかの汎用熱流体解析ソフト等が市販され、設計ツールとして利用されている。しかしながら、その一般的な利用方法は、単に設計者が与えた適当な設計パラメータに対する解を求めることであり、最適化に関しては、設計者の経験をもとに、これらの設計パラメータの修正を試行錯誤的に繰り返しているのが現状である。すなわち、一回の数値シミュレーションで得られる解は、与えられた特定の境界条件(設計パラメータの初期設定値)に対する特解にすぎず、境界条件を変更すれば再度数値シミュレーションを実行する必要がある。
一方、近年、数値シミュレーションと数理計画法とを組み合わせることにより、最適化までを自動化しようとする逆問題的アプローチが注目されており、さまざまな最適化が試みられている。このような最適化法は、差分法等による数値的導関数を用いた勾配型最適化法と遺伝的アルゴリズム等を用いた大域的最適化法に大別されるが、いずれも設計パラメータの数の増加に伴い、必要な数値シミュレーションの回数は急激に増大する。そのため、設計変数の数が多い場合、または設計変数が無限自由度(分布量)である場合には、現実的な時間内での最適化は困難である。
このように、境界条件を与え、それらから目標位置の温度等を求める従来の手法(以下、順問題的アプローチという)は、設計目標に到達するまでに必要とされる数値シミュレーション回数が多すぎるため、実用的ではなかった。このような事情から、現状では、設計現場で簡単に利用できるような汎用的設計支援システムは皆無と言ってよかった。
一方、目標位置の微小温度変化等に対する境界条件の温度変化等の影響を調べ、所望の境界条件を求めようとする手法(以下、逆問題的アプローチという)が提案されている(例えば、下記非特許文献1および2参照)。非特許文献1および2に記載された方法では、熱および流れの境界摂動の影響を統一的に評価するため、基準となる対流場からの摂動方程式を導入し、この摂動方程式に対する随伴作用素を導出する。そして、問題に応じた随伴問題およびその境界条件を設定し、基準状態の数値解とこの随伴問題の数値解を併用することにより、境界上の任意の熱的摂動および任意の流れの摂動に対する種々の熱伝達特性の変化を推定する。
桃瀬一成 他,「対流熱伝達特性に対する熱および流れの境界摂動の影響」、日本機械学会論文集(B編)、平成12年6月,第66巻,第646号,p.215−221 KazunariMomose et al., "Influence of Thermal and Flow Boundary Perturbations onConvection Heat Transfer Characteristics: Numerical Analysis Based on AdjointFormulation", 2002 Wiley Periodicals, Inc., Heat Transfer Asian Research,32(1): 1-12,2003; Published online in Wiley InterScience (WWW.interscience. Wiley.com).DOI 10.1002/htj.10065
上述のように、随伴問題の数値解析を利用する方法についての研究が試みられているが、それらは簡単なモデルに基づいた検証実験レベルのものに過ぎず、実際の設計現場で利用可能な汎用的で利便性に富む設計支援システムは、未だ存在しなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、設計目標を実現するための設計パラメータの検討における数値シミュレーション回数を大幅に低減し、汎用的で利便性に富む熱対流場・物質拡散場の設計支援方法および設計支援システムを提供することである。
本発明に係る熱対流場・物質拡散場の設計支援方法は、グラフィック画面を表示する表示装置に所定の画面を表示させつつ、ユーザによって操作される入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援ステップと、解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成ステップと、メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析ステップと、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援ステップと、設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析ステップと、前記逆解析ステップによって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示ステップと、を備えた方法である。
なお、前記逆解析ステップは、対象空間内で定義された温度、物質濃度、流速または圧力に関する所定の設計目標に対する感度を解析するステップ、または対象空間境界上で定義された温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力に関する所定の設計目標に対する感度を解析するステップであってもよい。
本発明に係る熱対流場・物質拡散場の設計支援システムは、ユーザによって操作される入力装置と、コンピュータと、ユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とを備え、前記コンピュータは、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援手段と、解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成手段と、メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析手段と、前記表示手段に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段と、設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段と、前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段と、を備えているものである。
本発明に係る熱対流場・物質拡散場の設計支援用プログラムは、ユーザによって操作される入力装置とユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とに接続されたコンピュータを、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援手段、解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成手段、メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析手段、前記表示手段に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段、設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段、および、前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段、として機能させるためのコンピュータプログラムである。
本発明によれば、設計目標を実現するための設計パラメータの検討における数値シミュレーション回数を大幅に低減し、汎用的で利便性に富む熱対流場・物質拡散場の設計支援を実現することが可能となる。
実施形態に係る設計支援システムの構成図である。 室内環境の設計方法の一部を表すフローチャートである。 解析例のモデルを表す表示画面例である。 順解析の表示画面例である。 (a)および(b)は、順解析の解析結果を表す表示画面例である。 (a)〜(c)は、逆解析の目標設定を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、逆解析の表示画面例である。 (a)および(b)は、感度表示画面例である。 (a)および(b)は、感度表示画面例である。 (a)および(b)は、感度表示画面例である。 (a)および(b)は、他の解析例のモデルを表す表示画面例である。 (a)および(b)は、温度感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、加熱感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、X方向の気流感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、Z方向の気流感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、熱通過率感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、逆解析の計算結果例を示す表である。 室内環境の自動最適化設計に関するフローチャートである。
符号の説明
1 設計支援システム
10 入力装置
11 コンピュータ
12 表示装置
25 ターゲット
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る一の実施形態では、所定の境界条件(設計パラメータの初期設定値)を与えて数値解析(順解析)を行い、その解析結果をもとに随伴数値解析に基づく逆解析を行い、設計目標に対する感度解析を行う(なお、随伴数値解析では、任意の数の設計変数および任意の分布設計変数に対する感度が1回の数値解析で得られる)。これにより、設計改善に関する定量的かつ視覚的指標が得られる。また、他の実施形態では、さらにこの結果を数理計画法と併用する。これにより、熱伝達または物質伝達を伴う各種機器または各種空間の自動最適設計支援システムが実現可能となる。
本発明に係る一の実施形態では、熱対流場または物質拡散場の基礎方程式(質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存)を制約条件とし、ある目的関数(局所温度、ある領域内の均一性、目標値からの偏差等)を最大化または最小化する非線形最適化問題として定式化しており、この目的関数(Lagrange関数)の第一変分を考えることにより、ある状態近傍(例えば、現状の設計結果)で線形化された随伴問題を定義することができる。そして、この随伴問題(随伴場における質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存式)を適当な同次境界条件(目的関数の定義によって異なるが、物理的境界条件とは独立に決定できる)の下で数値シミュレーションの手法を用いて解くことにより、任意の境界条件(設計パラメータ)の変化に対する目的関数(対象空間内で定義された温度、物質濃度、流速または圧力等、あるいは、対象空間境界上で定義された温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力等に関する設計目標)の変化割合(感度)を求めることができる。
以下の説明では、始めに随伴数値解析に基づく逆解析の原理について説明し、その後、実施形態に係る設計支援システム1の構成および設計支援方法を説明する。
(随伴数値解析に基づく逆解析の原理)
熱流動および物質拡散を伴う任意の設計空間をΩとして、設計目標となる目的関数Jを、
のように定義する。ここで、f、f、fおよびfは空間Ω内で定義された温度、物質濃度、流速および圧力に関する関数であり、設計目標によって決定される(例えば、ある領域の温度、濃度、流速または圧力の最大最小化や均一化等)。また、Γ
Γ, Γ, Γ, Γはそれぞれ温度、熱流束、濃度、拡散流束および流速ベクトルが制御可能な空間Ωの境界であり、g
, g, g, gは各境界上で定義された設計目標である(例えば、境界伝熱量、境界物質移動量または境界流量の最大最小化等)。
本逆解析における目的は、上記の目的関数を最大化または最小化する最適境界条件を見つけることであるが、この最適解は場の物理法則(質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存)を満足する必要があるため、これらを制約条件としたLagrange関数Lを以下のように定義する。
ただし、Aは圧力p、流速ベクトルu、温度Tおよび濃度Cを従属変数とした場の支配方程式からなるベクトル(質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存を表す6個の非線形偏微分方程式)であり、p,u ,TおよびCはこれらの制約に対する重み関数である(ここでは便宜的にこれらを随伴変数と呼ぶことにする)。また、各物理量がそれぞれの保存則を満足していればL=Jとなり、目的関数とLagrange関数は一致する。
ここで、境界条件の微小変化を仮定して支配方程式Aを基準状態近傍(例えば、現状の設計状態近傍)で摂動展開し、さらに得られた線形摂動方程式系を式(2)の第一変分に適用後Gaussの発散定理等で領域積分と境界積分に分離すると、この線形摂動方程式系に対する随伴作用素行列Aが得られる。そして、この随伴作用素行列Aを用いて随伴問題(随伴圧力p、随伴流速u、随伴温度Tおよび随伴濃度Cを従属変数とした随伴場における質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存式)およびその境界条件を、
のように選ぶと、境界条件の微小変化に伴う目的関数の第一変分は境界積分項のみで表現でき、
となる。つまり、随伴問題(3)を境界条件(4)のもとで数値的に1回解くことにより、境界上のT(境界上の熱流束変化δqの影響)、q(境界上の温度変化δTの影響)、C(境界上の拡散流束変化δmの影響)、m(境界上の濃度変化δCの影響)、σ(境界上の流速ベクトル変化δuの影響)が同時に得られ、すべての制御可能な境界条件の変化に対する目的関数の変化(感度)を知ることができる。また、式(5)の右辺第3項は、能動的に制御することはできないが設計上重要である壁面熱通過率の変化δKに対する感度を表しており、壁や窓ガラス等の構造(断熱性能)の影響も評価可能である。
以下に具体的な目的関数および随伴問題の設定例を示す。
(i) 局所温度の最大化
微小領域をΩ、その体積をVとして、目的関数(微小領域の平均温度)を、
のように定義すると、式(3)および式(4)より、
となり、
が得られる。よって上記随伴問題を同次境界条件のもとで解くことにより、式(5)から各境界条件の変化に対する目的関数(局所温度)の変化(感度)を知ることができる。
(ii) 領域温度の均一化
対象領域をΩ、その体積をV、最適化前の領域内平均温度をTavとする。ここで目的関数を平均温度からのばらつき(分散)として、
のように定義すると、
より、
となり(境界条件は(i)と同じ)、やはり式(5)より均一性(分散量)に対する各境界条件の影響を評価することができる。なお、実装においては、分散ではなく偏差(温度単位)に換算することにより、直感的にばらつきの度合いが得られるようにしている。
(iii) 目標値の実現
n個の異なる領域Ω(i=1,n)の体積および目標温度をそれぞれV,T(i=1,n)として、目的関数を、
のように定義すると、
より、
となる(境界条件は(i), (ii)と同じ)。なお、この場合も実装においては、分散ではなく偏差(温度単位)に換算することにより、直感的な誤差の尺度としている。
(iv) 境界熱伝達量の最大化
最後に、境界上に設計目標を設定する例として、境界Γ上の熱伝達量を最大化する問題を考える。つまり、目的関数として境界上の総伝熱量、
を考えると、
より、この問題に対する随伴問題およびその境界条件は以下で与えられる。
また前出の領域内の目標設定(i), (ii), (iii)と同様にして、境界上の局所温度の最大化、境界温度の均一化、さらには複数の境界上で目標温度を達成する問題等も容易に設定可能である。
なお、上記の例では簡単のため熱環境の目標設定例に限定したが、物質拡散、流速および圧力に関する目標設定についても、式(3)および式(4)により同様に導出可能である。また、上記目標設定例では、最大化、均一化、目標値の実現を例にとったが、式(1),(3)および式(4)より、設計目標は設計空間内の温度、物質濃度、流速または圧力の関数、あるいは設計空間境界上の温度、熱流速、物質濃度、拡散流束または流速の関数で、かつ各物理量に関して1回微分可能であれば任意であり、設計者の要求に応じて適宜設定可能である。
(設計支援システム)
次に、実施形態に係る設計支援システムについて説明する。
図1に示すように、設計支援システム1は、キーボードやマウス等からなる入力装置10と、コンピュータ11と、LCDやCRT等からなる表示装置12とを備えている。コンピュータ11は、中央演算装置13と、ハードディスクドライブ等からなる記憶装置14と、入力装置10からの信号を受ける入力受付部15と、メモリ16と、表示装置12に信号を出力する画像出力部17と、CG処理部18とを備えている。ただし、設計支援システム1の具体的構成は、上記構成に限定される訳ではない。
本実施形態に係る設計支援用プログラムは、上記コンピュータ11に後述の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムである。なお、コンピュータ11は、入力装置10および表示装置12と通信可能な状態になっていればよく、有線で接続されている場合に限らず、無線で通信するようになっていてもよい。また、コンピュータ11は、入力装置10および表示装置12と別の場所に設置されていてもよい。例えば、コンピュータ11は、設計者側の端末装置とネットワークを介して接続(有線または無線により接続)されていてもよい。
図2を参照しながら、実施形態に係る熱対流場・物質拡散場の設計方法の流れについて説明する。なお、以下の説明では、設計方法の流れが理解しやすいように、具体例に沿って説明を行っていく。ここでの具体例は、図3に示すように、9個の吹出口(上吹出口21〜23、中吹出口31〜33、下吹出口41〜43)と1個の開口部20とからなる室内空間を対象とし、その室内空間の中心温度を最大化する例である。
なお、設計の際に指定される位置情報は、所定の点に限らず、所定の領域であってもよい。本実施形態では、所定の点として、室内空間の中心を指定している。このような点または領域は、キーボード等を用いて座標値(数値)で指定することも可能であるが、本実施形態では、利便性を高めるために、マウスをクリックおよびドラッグすることにより、画面上で点または領域を指定することができる。このように指定された点または領域は、ターゲット25として、解析対象モデルの中にグラフィック表示される。
始めに、ステップS1において、解析対象のモデルを作成する。本システム1は、モデル作成機能を有しており、ユーザ(設計者)は入力装置10を用いて(例えば、キーボードに対するコマンド入力、マウスのクリックまたはドラッグ等の操作によって)、メニューバーの選択、描画、コマンドの入力等を行うことにより、任意の解析対象を簡単に設定することができる。上述したように、ここでは、図3に示すように、対向する一方の壁面に9個の吹出口(上吹出口21〜23、中吹出口31〜33、下吹出口41〜43)が形成され、他方の壁面の上側に1個の開口部20が形成され、天井面および床面が冷却面となる室内空間モデルが設定されたものとする。なお、本実施形態では、このモデルの作成時に、設計パラメータの初期設定値(境界条件)も設定されるものとする。設計パラメータは、例えば、各吹出口の空気の吹き出し温度、吹き出し方向、吹き出し速度、天井面および床面の温度等である。ただし、設計パラメータの設定は、モデルの作成(ステップS1)と異なるステップで実行することも勿論可能である。
次に、メニューバーの「メッシュ(M)」ボタン(図6(a)参照)をクリックすることにより、上記モデルにメッシュが自動生成される(ステップS2)。なお、メッシュの個数は予め所定数に設定されていてもよく、ユーザが適宜に設定してもよい。すなわち、解析精度を高めるためにメッシュ数を多くしてもよく、あるいは、解析速度を上げるためにメッシュ数を少なくしてもよい。設計支援システム1は、ユーザがそれらを自由に設定できるようになっていてもよい。
メッシュが自動生成された後は、ユーザがメニューバーの「解析(T)」ボタン(図6(a)参照)をクリックする。これにより、上記モデルおよび設計パラメータの初期設定値に基づいて数値解析(順解析)が実行される(ステップS3)。なお、図4は、順解析の際に表示装置に表示される表示例である。
次に、順解析が終了し、ユーザがメニューバーの「表示(V)」ボタン(図6(a)参照)をクリックすると、図5に示すように、任意の面の速度分布および温度分布が表示される(ステップS4)。なお、表示される面は、マウス等を用いて容易に変更することができる。また、速度分布の表示画面(図5(a)参照)と温度分布の表示画面(図5(b)参照)との切り換えも容易に行われる。
次に、逆解析を行う。逆解析にあたっては、始めに設計目標の設定を行う(ステップS5)。本例では、室内空間の中心温度を最大にすることが設計目標であるので、室内空間の中心に前述のターゲット25を作成し(図6(a)参照)、目標スカラーを温度に設定し(図6(b)参照)、ターゲット25を実質的に点と見なせるように小さく設定する(図6(c)参照)。なお、ターゲット25を所定の領域とする場合には、図6(c)の画面において、ターゲット25の大きさを大きくすればよい。本例ではターゲット25の個数は1個であるが、室内空間の複数点の温度等を設計目標とする場合には、ターゲット25を複数設定すればよい。
次に、図7(a)に示すように、逆解析モード「最大化」に設定し、その他の条件(本例では、収束条件および最大反復回数)を設定した後、実行/継続ボタンをクリックする。すると、図7(b)に示すように、逆解析が実行される(ステップS6)。
逆解析が終了し、ユーザがメニューバーの「表示(V)」ボタンをクリックすると、図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)、および図10(a)に示すように、各パラメータの感度(設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合。本例では、室内中心の温度を上げるに際して、吹き出し温度等の変化が室内中心の温度にどの程度の影響を及ぼすかという程度)が定量的かつ視覚的に表示される。ユーザは、キーボードやマウス等を用いることにより、これらパラメータに対する感度表示画面を任意に切り換えることができる。
なお、図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)、および図10(a)は、感度の大小を濃淡で表示した例である。ただし、感度の表示方法は何ら限定されず、等高線表示や色分け表示(例えば、感度の大きな部分は赤色、感度の小さな部分は青色等)であってもよく、階調表示であってもよい。また、グラフ化して表示することも可能である。
以上が、本システム1による設計支援動作である。続いて、ユーザは、上述の感度表示画面を見ながら、設計内容を検討する。
例えば、図8(a)を参照すると、室内中心の温度を上げるに際しては、左下および右下の吹出口41,43(符号に関しては図3参照。以下同様)の吹き出し温度を上げ、中央上側および中央の吹出口22,32の吹き出し温度を下げることが最も効率の良い方法であることが分かる。
図8(b)を参照すると、室内中心の温度を上げるに際しては、中央下側の吹出口42の吹き出し方向流速を上げることが好ましいことが分かる。また、図9(b)を参照すると、中央下側の吹出口42の鉛直方向流速を上げることが好ましいことが分かる。
図10(a)を参照すると、壁面の上下方向中央位置の加熱量を増やすことが好ましいことが分かる。したがって、例えば、当該位置にヒータを取り付ける等の方策が考えられる。
本実施形態では、ユーザが入力装置10を通じて領域を指定すると、表示装置12の画面上に、当該領域の感度が表示される。例えば、図10(b)に示す画面上において、ユーザがマウスをドラッグ等することによって所定の領域R1を指定すると、当該領域R1の加熱量の変化に対するターゲットの温度変化が、画面上に表示される。この例では、上記領域R1の加熱量を1kW増加させると、ターゲットの温度が0.5124℃上昇することが示されている。これにより、例えば、壁面にヒータを取り付ける場合、ヒータを取り付けようとする位置に当該ヒータの面積に相当する領域を指定することによって、このヒータに要求される大体の加熱量を見積もることができる。
次に、他の具体例を説明する。本例は、2つのモデルを比較した例である。図11(a)および(b)に示すように、本例は、直方体形状の室内空間を対象とし、長手方向に対向する一方の壁面に3つの吹出口51,52,53を設け、当該壁面と直交する2つの壁面のうち一方に窓54を設け、当該窓54のある壁面と対向する壁面に開口部55を設け、室内の真ん中にパーテーション60を設けたものである。図11(a)のモデル例では、パーテーション60は天井まで到達しておらず、パーテーション60と天井との間に隙間が設けられている。一方、図11(b)のモデル例では、パーテーション60が天井まで延びている。
上記各モデル例に対して、前述と同様の解析を行い、その解析結果を示した例が図12〜図17である。図12(a)および(b)は温度感度を表し、図13(a)および(b)は壁面加熱量の感度を表し、図14(a)および(b)は壁面における吹き出し方向(X方向)の気流の感度を表し、図15(a)および(b)は鉛直方向(Z方向)の気流の感度を表し、図16(a)および(b)は窓面の熱通過率の感度を表している。図17(a)および(b)は、各設計パラメータに関する感度の数値データを表している。
これらの結果から、パーテーション60の高さによって、各パラメータの感度が異なってくることが分かる。例えば、図12(a)に示すように、パーテーション60(符号に関しては図11(a)および(b)を参照。以下同様)が天井まで延びていない場合には、左側の吹出口51の温度感度が高くなるが、図12(b)に示すように、パーテーションが天井まで延びている場合には、左側の吹出口51の温度感度は低くなり、右側の吹出口53の感度が最も高くなることが分かる。したがって、ターゲット25の温度を高くするためには、パーテーション60が天井まで延びていない場合には、左側吹出口51の温度を高く設定することが好ましく、パーテーション60が天井まで延びている場合には、右側吹出口53の温度を高くすることが好ましいことが分かる。
以上のように、実施形態に係る設計支援方法および設計支援システム1によれば、通常の数値シミュレーション(順解析)と最適化アルゴリズムとを組み合わせた設計方法に比べ、設計目標を実現するための設計パラメータの検討に際して、数値シミュレーション回数を大幅に低減することができ、計算機負荷を大幅に削減することができる。また、計算時間を大幅に短縮することができる。
また、本実施形態に係る設計支援方法および設計支援システム1によれば、設計目標を設定した後、逆解析を行うことによって各種パラメータの感度を求め、その感度の情報を表示装置12にグラフィック表示するので、熱対流場の設計に際して、どのパラメータをどの程度変更すればよいかの指針が容易に得られる。例えば、室内空間の所定点を所定温度にするためには、どの吹出口の吹き出し温度をどの程度上げればよいか等について、具体的な設計指針を得ることができる。したがって、従来のように設計者の勘に頼らなくても、明確な設計指針を得ることが可能となる。
特に、本実施形態によれば、感度の情報を3次元モデル上に視覚的かつ定量的に表示することとしたので、設計指針を容易かつ迅速に得ることができる。具体的には、感度の情報を濃淡表示、等高線表示、または色分け表示等することとしたので、3次元空間における感度の定量的な情報を一見して把握することができ、設計指針を直感的にも把握することができる。したがって、利便性に富んだ設計支援を実現することができる。
また、本実施形態によれば、表示装置12に表示された3次元グラフィック画面を参照しながら、解析対象のモデルを作成することができる。したがって、設計現場において、解析対象のモデルを簡易かつ迅速に作成することができる。また、上記モデルに対して自動的にメッシュが生成されるので、利便性に優れている。さらに、本実施形態によれば、このようなモデルの作成およびメッシュの生成と、順解析と、設計目標の設定と、逆解析と、逆解析の感度表示とを、入力装置10を用いた一連の簡単な操作のみで実行することができる。すなわち、本実施形態の設計支援システム1は、モデラー機能と、順解析機能と、ターゲット設定機能と、逆解析機能と、感度表示機能とを備えている。したがって、設計支援システム1は、設計現場において高い利便性を発揮する。
なお、前記各実施形態では、設計目標は、室内空間の所定点の温度を最大化することであった。しかし、設計目標は、他の目標であってもよい。例えば、設計目標は、室内空間の所定点における温度を最小化することであってもよい。また、設計目標は、室内空間の所定点における流速、物質濃度、または圧力を最大化または最小化することであってもよい。あるいは、設計目標は、対象空間内の所定領域における温度、物質濃度、流速または圧力を最大化または最小化することであってもよい。さらに、設計目標は、対象空間境界(例えば、室内空間を仕切る壁面、窓面等)上の所定点または所定領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を最大化または最小化することであってもよい。
また、設計目標は、室内空間の所定領域の温度を均一化することであってもよい。例えば、室内の空調環境を考えた場合、人が常時存在する箇所(例えば、オフィスにおける机の周囲等)の温度を均一化すること等が望まれることがある。そのような場合には、所定点の温度を最大化または最小化するよりも、所定領域の温度を均一化するように室内環境が設計される。本設計支援システム1によれば、所定領域の温度を均一化するようにターゲットの領域および温度を設定することにより、このような熱対流場の設計も支援することができる。
このように、設計目標は、対象空間内の所定領域の温度、物質濃度、流速または圧力を均一化すること、あるいは、対象空間境界上の所定領域の温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を均一化することであってもよい。
また、設計目標は、室内空間内の複数の点における温度をそれぞれ所定値にすることであってもよい。例えば、冬場のオフィス内の空調環境を考えた場合、人が常時存在する箇所は暖かくし、OA機器が存在する箇所は比較的涼しくすること等が望まれることがある。本設計支援システム1では、そのような場合には、複数のターゲットを設定し、それらのターゲットの目標温度を適宜設定すればよい。本設計支援システム1によれば、そのような場合の熱対流場の設計も支援することができる。
このように、設計目標は、対象空間内の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、物質濃度、流速または圧力を所定値にすること、あるいは、対象空間境界上の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を所定値にすることであってもよい。
また、予め室内空間内の複数の点における温度を実測しておき、設計目標を当該点における実測温度として、本設計支援システム1を未知設計パラメータの同定に利用してもよい。これにより、壁面からの熱漏洩量などを解析することができ、壁面の断熱条件の設計(断熱材の仕様等の設計)等を支援することが可能となる。
このように、設計目標は、対象空間内の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、物質濃度、流速または圧力を、それぞれ予め測定された前記点もしくは前記領域における温度、物質濃度、流速または圧力の実測値とすること、あるいは、対象空間境界上の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を、それぞれ予め測定された前記点もしくは前記領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力の実測値とすることであってもよい。
前記実施形態の設計支援方法は、逆解析の後、感度を表示することによって終了するものであった(図2参照)。しかし、逆解析の後、数理計画法(勾配型非線形最適化法)に基づいて設計変数を自動的に変更し、順解析と逆解析とを繰り返すことによって最適化を行うようにしてもよい。すなわち、設計支援システム1は、設計目標に対する設計パラメータの最適化を自動的に行う最適化機能を備えていてもよい。
例えば、図18に示すように、ステップS11において解析対象のモデル化を行い、ステップS12においてメッシュを自動生成した後、ステップS13において設計目標の設定および収束条件の設定を行う。次に、ステップS14に進み、順解析を行った後、ステップS15において逆解析を行う。その後、ステップS16で収束判定を行い、収束条件が満たされなければステップS17で設計パラメータの値を変更し、再びステップS14の順解析とステップS15の逆解析を繰り返す。そして、ステップS16の収束条件が満たされるまで、このような順解析と逆解析とを反復する。なお、このような最適化計算に際しては、反復計算が発散しないように、予めユーザが上限値および下限値を定めておくことが好ましい。
なお、前記実施形態では、逆解析によって求められた感度を、画面上にそのまま表示していた。しかし、感度の代わりに、要求される設計目標の変化を実現するのに必要な設計パラメータの変更量を表示するようにしてもよい。例えば、前述の具体例において、吹出口の温度感度を表示する代わりに、吹出口の温度変化量(例えば、ターゲットの温度を1℃上げるのに必要とされる吹出口の温度変化量等)を表示するようにしてもよい。これにより、設計者は、より一層設計がしやすくなる。
前記実施形態では、設計パラメータは室内空間の境界における温度等であったが、本発明の設計パラメータには、いわゆる境界条件だけでなく、対象空間等における内部発熱、内部物質拡散、および物体の形状等も含まれる。
前記実施形態は、室内空間を対象とした空調設計を対象としたものであった。しかし、本発明の適用対象は、空調設計に限定される訳ではなく、任意の熱対流場または物質拡散場の設計に適用することができる。本発明の適用対象は、屋内および屋外の空調設計に限らず、他の適用対象として、例えば、コンピュータ等の電子機器の筐体内部の熱設計、工場内の環境設計、駐車場における排ガスの影響の予測、蓄熱槽内の熱流体の挙動予測、等であってもよい。
以上説明したように、本発明は、熱または物質伝達を伴う各種機器または各種空間(環境)の設計等について有用である。
本発明は、流れを伴う非線形熱・物質拡散場の設計を支援する設計支援方法、設計支援システム、および設計支援用プログラムに関するものである。
例えば、空気調和装置を用いた室内環境の設計、電子機器の熱設計、工場における排ガスの濃度管理等、様々な場所または用途において、熱対流場や物質拡散場の設計が必要とされている。
近年のコンピュータの高速化に伴い、熱対流場または物質拡散場の数値シミュレーションが実用化されており、既にいくつかの汎用熱流体解析ソフト等が市販され、設計ツールとして利用されている。しかしながら、その一般的な利用方法は、単に設計者が与えた適当な設計パラメータに対する解を求めることであり、最適化に関しては、設計者の経験をもとに、これらの設計パラメータの修正を試行錯誤的に繰り返しているのが現状である。すなわち、一回の数値シミュレーションで得られる解は、与えられた特定の境界条件(設計パラメータの初期設定値)に対する特解にすぎず、境界条件を変更すれば再度数値シミュレーションを実行する必要がある。
一方、近年、数値シミュレーションと数理計画法とを組み合わせることにより、最適化までを自動化しようとする逆問題的アプローチが注目されており、さまざまな最適化が試みられている。このような最適化法は、差分法等による数値的導関数を用いた勾配型最適化法と遺伝的アルゴリズム等を用いた大域的最適化法に大別されるが、いずれも設計パラメータの数の増加に伴い、必要な数値シミュレーションの回数は急激に増大する。そのため、設計変数の数が多い場合、または設計変数が無限自由度(分布量)である場合には、現実的な時間内での最適化は困難である。
このように、境界条件を与え、それらから目標位置の温度等を求める従来の手法(以下、順問題的アプローチという)は、設計目標に到達するまでに必要とされる数値シミュレーション回数が多すぎるため、実用的ではなかった。このような事情から、現状では、設計現場で簡単に利用できるような汎用的設計支援システムは皆無と言ってよかった。
一方、目標位置の微小温度変化等に対する境界条件の温度変化等の影響を調べ、所望の境界条件を求めようとする手法(以下、逆問題的アプローチという)が提案されている(例えば、下記非特許文献1および2参照)。非特許文献1および2に記載された方法では、熱および流れの境界摂動の影響を統一的に評価するため、基準となる対流場からの摂動方程式を導入し、この摂動方程式に対する随伴作用素を導出する。そして、問題に応じた随伴問題およびその境界条件を設定し、基準状態の数値解とこの随伴問題の数値解を併用することにより、境界上の任意の熱的摂動および任意の流れの摂動に対する種々の熱伝達特性の変化を推定する。
桃瀬一成 他,「対流熱伝達特性に対する熱および流れの境界摂動の影響」、日本機械学会論文集(B編)、平成12年6月,第66巻,第646号,p.215−221 Kazunari Momose et al., "Influence ofThermal and Flow Boundary Perturbations on Convection Heat TransferCharacteristics: Numerical Analysis Based on Adjoint Formulation", 2002 WileyPeriodicals, Inc., Heat Transfer Asian Research, 32(1): 1-12,2003; Publishedonline in Wiley InterScience (WWW.interscience. Wiley.com). DOI10.1002/htj.10065
上述のように、摂動随伴問題の数値解析を利用する方法についての研究が試みられているが、それらは簡単なモデルに基づいた検証実験レベルのものに過ぎず、実際の設計現場で利用可能な汎用的で利便性に富む設計支援システムは、未だ存在しなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、設計目標を実現するための設計パラメータの検討における数値シミュレーション回数を大幅に低減し、汎用的で利便性に富む、流れを伴う非線形熱・物質拡散場の設計支援方法および設計支援システムを提供することである。
本発明に係る一の設計支援方法は、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記熱対流場または物質拡散場を解析する順解析の後に行われる、流れを伴う非線形の熱・物質拡散場の設計を支援する方法であって、表示装置に所定の画面を表示させつつ、入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援ステップと、設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する非線形問題に対する摂動随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析ステップと、を備えた方法である。
また、本発明に係る他の設計支援方法は、前記逆解析ステップによって解析された感度の情報を表示装置に表示させる感度表示ステップを更に備えた方法である。
本発明に係る他の設計支援方法は、グラフィック画面を表示する表示装置に所定の画面を表示させつつ、ユーザによって操作される入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援ステップと、解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成ステップと、メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析ステップと、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援ステップと、設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する非線形問題に対する摂動随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析ステップと、前記逆解析ステップによって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示ステップと、を備えた方法である。
なお、前記逆解析ステップは、対象空間内で定義された温度、物質濃度、流速または圧力に関する所定の設計目標に対する感度を解析するステップ、または対象空間境界上で定義された温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力に関する所定の設計目標に対する感度を解析するステップであってもよい。
本発明に係る熱対流場・物質拡散場の設計支援システムは、ユーザによって操作される入力装置と、コンピュータと、ユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とを備え、前記コンピュータは、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援手段と、解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成手段と、メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析手段と、前記表示手段に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段と、設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する非線形問題に対する摂動随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段と、前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段と、を備えているものである。
本発明に係る熱対流場・物質拡散場の設計支援用プログラムは、ユーザによって操作される入力装置とユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とに接続されたコンピュータを、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援手段、解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成手段、メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析手段、前記表示手段に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段、設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する非線形問題に対する摂動随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段、および、前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段、として機能させるためのコンピュータプログラムである。
本発明によれば、設計目標を実現するための設計パラメータの検討における数値シミュレーション回数を大幅に低減し、汎用的で利便性に富む、流れを伴う非線形熱・物質拡散場の設計支援を実現することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る一の実施形態では、所定の境界条件(設計パラメータの初期設定値)を与えて数値解析(順解析)を行い、その解析結果をもとに随伴数値解析に基づく逆解析を行い、設計目標に対する感度解析を行う(なお、随伴数値解析では、任意の数の設計変数および任意の分布設計変数に対する感度が1回の数値解析で得られる)。これにより、設計改善に関する定量的かつ視覚的指標が得られる。また、他の実施形態では、さらにこの結果を数理計画法と併用する。これにより、熱伝達または物質伝達を伴う各種機器または各種空間の自動最適設計支援システムが実現可能となる。
本発明に係る一の実施形態では、熱対流場または物質拡散場の基礎方程式(質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存)を制約条件とし、ある目的関数(局所温度、ある領域内の均一性、目標値からの偏差等)を最大化または最小化する非線形最適化問題として定式化しており、この目的関数(Lagrange関数)の第一変分を考えることにより、ある状態近傍(例えば、現状の設計結果)で線形化された随伴問題を定義することができる。そして、この随伴問題(随伴場における質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存式)を適当な同次境界条件(目的関数の定義によって異なるが、物理的境界条件とは独立に決定できる)の下で数値シミュレーションの手法を用いて解くことにより、任意の境界条件(設計パラメータ)の変化に対する目的関数(対象空間内で定義された温度、物質濃度、流速または圧力等、あるいは、対象空間境界上で定義された温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力等に関する設計目標)の変化割合(感度)を求めることができる。
以下の説明では、始めに随伴数値解析に基づく逆解析の原理について説明し、その後、実施形態に係る設計支援システム1の構成および設計支援方法を説明する。
(随伴数値解析に基づく逆解析の原理)
熱流動および物質拡散を伴う任意の設計空間をΩとして、設計目標となる目的関数Jを、
のように定義する。ここで、f、f、fおよびfは空間Ω内で定義された温度、物質濃度、流速および圧力に関する関数であり、設計目標によって決定される(例えば、ある領域の温度、濃度、流速または圧力の最大最小化や均一化等)。また、Γ
Γ, Γ, Γ, Γはそれぞれ温度、熱流束、濃度、拡散流束および流速ベクトルが制御可能な空間Ωの境界であり、g
, g, g, gは各境界上で定義された設計目標である(例えば、境界伝熱量、境界物質移動量または境界流量の最大最小化等)。
本逆解析における目的は、上記の目的関数を最大化または最小化する最適境界条件を見つけることであるが、この最適解は場の物理法則(質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存)を満足する必要があるため、これらを制約条件としたLagrange関数Lを以下のように定義する。
ただし、Aは圧力p、流速ベクトルu、温度Tおよび濃度Cを従属変数とした場の支配方程式からなるベクトル(質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存を表す6個の非線形偏微分方程式)であり、p,u ,TおよびCはこれらの制約に対する重み関数である(ここでは便宜的にこれらを随伴変数と呼ぶことにする)。また、各物理量がそれぞれの保存則を満足していればL=Jとなり、目的関数とLagrange関数は一致する。
ここで、境界条件の微小変化を仮定して、非線形の支配方程式Aを基準状態近傍(例えば、現状の設計状態近傍)で摂動展開し、さらに得られた線形摂動方程式系を式(2)の第一変分に適用後Gaussの発散定理等で領域積分と境界積分に分離すると、この線形摂動方程式系に対する随伴作用素行列Aが得られる。そして、この随伴作用素行列Aを用いて随伴問題(随伴圧力p、随伴流速u、随伴温度Tおよび随伴濃度Cを従属変数とした随伴場における質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存式)およびその境界条件を、
のように選ぶと、境界条件の微小変化に伴う目的関数の第一変分は境界積分項のみで表現でき、
となる。つまり、随伴問題(3)を境界条件(4)のもとで数値的に1回解くことにより、境界上のT(境界上の熱流束変化δqの影響)、q(境界上の温度変化δTの影響)、C(境界上の拡散流束変化δmの影響)、m(境界上の濃度変化δCの影響)、σ(境界上の流速ベクトル変化δuの影響)が同時に得られ、すべての制御可能な境界条件の変化に対する目的関数の変化(感度)を知ることができる。また、式(5)の右辺第3項は、能動的に制御することはできないが設計上重要である壁面熱通過率の変化δKに対する感度を表しており、壁や窓ガラス等の構造(断熱性能)の影響も評価可能である。
以下に具体的な目的関数および随伴問題の設定例を示す。
(i) 局所温度の最大化
微小領域をΩ、その体積をVとして、目的関数(微小領域の平均温度)を、
のように定義すると、式(3)および式(4)より、
となり、
が得られる。よって上記随伴問題を同次境界条件のもとで解くことにより、式(5)から各境界条件の変化に対する目的関数(局所温度)の変化(感度)を知ることができる。
(ii) 領域温度の均一化
対象領域をΩ、その体積をV、最適化前の領域内平均温度をTavとする。ここで目的関数を平均温度からのばらつき(分散)として、
のように定義すると、
より、
となり(境界条件は(i)と同じ)、やはり式(5)より均一性(分散量)に対する各境界条件の影響を評価することができる。なお、実装においては、分散ではなく偏差(温度単位)に換算することにより、直感的にばらつきの度合いが得られるようにしている。
(iii) 目標値の実現
n個の異なる領域Ω(i=1,n)の体積および目標温度をそれぞれV,T(i=1,n)として、目的関数を、
のように定義すると、
より、
となる(境界条件は(i),
(ii)と同じ)。なお、この場合も実装においては、分散ではなく偏差(温度単位)に換算することにより、直感的な誤差の尺度としている。
(iv) 境界熱伝達量の最大化
最後に、境界上に設計目標を設定する例として、境界Γ上の熱伝達量を最大化する問題を考える。つまり、目的関数として境界上の総伝熱量、
を考えると、
より、この問題に対する随伴問題およびその境界条件は以下で与えられる。
また前出の領域内の目標設定(i),
(ii), (iii)と同様にして、境界上の局所温度の最大化、境界温度の均一化、さらには複数の境界上で目標温度を達成する問題等も容易に設定可能である。
なお、上記の例では簡単のため熱環境の目標設定例に限定したが、物質拡散、流速および圧力に関する目標設定についても、式(3)および式(4)により同様に導出可能である。また、上記目標設定例では、最大化、均一化、目標値の実現を例にとったが、式(1),(3)および式(4)より、設計目標は設計空間内の温度、物質濃度、流速または圧力の関数、あるいは設計空間境界上の温度、熱流速、物質濃度、拡散流束または流速の関数で、かつ各物理量に関して1回微分可能であれば任意であり、設計者の要求に応じて適宜設定可能である。
(設計支援システム)
次に、実施形態に係る設計支援システムについて説明する。
図1に示すように、設計支援システム1は、キーボードやマウス等からなる入力装置10と、コンピュータ11と、LCDやCRT等からなる表示装置12とを備えている。コンピュータ11は、中央演算装置13と、ハードディスクドライブ等からなる記憶装置14と、入力装置10からの信号を受ける入力受付部15と、メモリ16と、表示装置12に信号を出力する画像出力部17と、CG処理部18とを備えている。ただし、設計支援システム1の具体的構成は、上記構成に限定される訳ではない。
本実施形態に係る設計支援用プログラムは、上記コンピュータ11に後述の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムである。なお、コンピュータ11は、入力装置10および表示装置12と通信可能な状態になっていればよく、有線で接続されている場合に限らず、無線で通信するようになっていてもよい。また、コンピュータ11は、入力装置10および表示装置12と別の場所に設置されていてもよい。例えば、コンピュータ11は、設計者側の端末装置とネットワークを介して接続(有線または無線により接続)されていてもよい。
図2を参照しながら、実施形態に係る熱対流場・物質拡散場の設計方法の流れについて説明する。なお、以下の説明では、設計方法の流れが理解しやすいように、具体例に沿って説明を行っていく。ここでの具体例は、図3に示すように、9個の吹出口(上吹出口21〜23、中吹出口31〜33、下吹出口41〜43)と1個の開口部20とからなる室内空間を対象とし、その室内空間の中心温度を最大化する例である。
なお、設計の際に指定される位置情報は、所定の点に限らず、所定の領域であってもよい。本実施形態では、所定の点として、室内空間の中心を指定している。このような点または領域は、キーボード等を用いて座標値(数値)で指定することも可能であるが、本実施形態では、利便性を高めるために、マウスをクリックおよびドラッグすることにより、画面上で点または領域を指定することができる。このように指定された点または領域は、ターゲット25として、解析対象モデルの中にグラフィック表示される。
始めに、ステップS1において、解析対象のモデルを作成する。本システム1は、モデル作成機能を有しており、ユーザ(設計者)は入力装置10を用いて(例えば、キーボードに対するコマンド入力、マウスのクリックまたはドラッグ等の操作によって)、メニューバーの選択、描画、コマンドの入力等を行うことにより、任意の解析対象を簡単に設定することができる。上述したように、ここでは、図3に示すように、対向する一方の壁面に9個の吹出口(上吹出口21〜23、中吹出口31〜33、下吹出口41〜43)が形成され、他方の壁面の上側に1個の開口部20が形成され、天井面および床面が冷却面となる室内空間モデルが設定されたものとする。なお、本実施形態では、このモデルの作成時に、設計パラメータの初期設定値(境界条件)も設定されるものとする。設計パラメータは、例えば、各吹出口の空気の吹き出し温度、吹き出し方向、吹き出し速度、天井面および床面の温度等である。ただし、設計パラメータの設定は、モデルの作成(ステップS1)と異なるステップで実行することも勿論可能である。
次に、メニューバーの「メッシュ(M)」ボタン(図6(a)参照)をクリックすることにより、上記モデルにメッシュが自動生成される(ステップS2)。なお、メッシュの個数は予め所定数に設定されていてもよく、ユーザが適宜に設定してもよい。すなわち、解析精度を高めるためにメッシュ数を多くしてもよく、あるいは、解析速度を上げるためにメッシュ数を少なくしてもよい。設計支援システム1は、ユーザがそれらを自由に設定できるようになっていてもよい。
メッシュが自動生成された後は、ユーザがメニューバーの「解析(T)」ボタン(図6(a)参照)をクリックする。これにより、上記モデルおよび設計パラメータの初期設定値に基づいて数値解析(順解析)が実行される(ステップS3)。なお、図4は、順解析の際に表示装置に表示される表示例である。
次に、順解析が終了し、ユーザがメニューバーの「表示(V)」ボタン(図6(a)参照)をクリックすると、図5に示すように、任意の面の速度分布および温度分布が表示される(ステップS4)。なお、表示される面は、マウス等を用いて容易に変更することができる。また、速度分布の表示画面(図5(a)参照)と温度分布の表示画面(図5(b)参照)との切り換えも容易に行われる。
次に、逆解析を行う。逆解析にあたっては、始めに設計目標の設定を行う(ステップS5)。本例では、室内空間の中心温度を最大にすることが設計目標であるので、室内空間の中心に前述のターゲット25を作成し(図6(a)参照)、目標スカラーを温度に設定し(図6(b)参照)、ターゲット25を実質的に点と見なせるように小さく設定する(図6(c)参照)。なお、ターゲット25を所定の領域とする場合には、図6(c)の画面において、ターゲット25の大きさを大きくすればよい。本例ではターゲット25の個数は1個であるが、室内空間の複数点の温度等を設計目標とする場合には、ターゲット25を複数設定すればよい。
次に、図7(a)に示すように、逆解析モード「最大化」に設定し、その他の条件(本例では、収束条件および最大反復回数)を設定した後、実行/継続ボタンをクリックする。すると、図7(b)に示すように、逆解析が実行される(ステップS6)。
逆解析が終了し、ユーザがメニューバーの「表示(V)」ボタンをクリックすると、図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)、および図10(a)に示すように、各パラメータの感度(設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合。本例では、室内中心の温度を上げるに際して、吹き出し温度等の変化が室内中心の温度にどの程度の影響を及ぼすかという程度)が定量的かつ視覚的に表示される。ユーザは、キーボードやマウス等を用いることにより、これらパラメータに対する感度表示画面を任意に切り換えることができる。
なお、図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)、および図10(a)は、感度の大小を濃淡で表示した例である。ただし、感度の表示方法は何ら限定されず、等高線表示や色分け表示(例えば、感度の大きな部分は赤色、感度の小さな部分は青色等)であってもよく、階調表示であってもよい。また、グラフ化して表示することも可能である。
以上が、本システム1による設計支援動作である。続いて、ユーザは、上述の感度表示画面を見ながら、設計内容を検討する。
例えば、図8(a)を参照すると、室内中心の温度を上げるに際しては、左下および右下の吹出口41,43(符号に関しては図3参照。以下同様)の吹き出し温度を上げ、中央上側および中央の吹出口22,32の吹き出し温度を下げることが最も効率の良い方法であることが分かる。
図8(b)を参照すると、室内中心の温度を上げるに際しては、中央下側の吹出口42の吹き出し方向流速を上げることが好ましいことが分かる。また、図9(b)を参照すると、中央下側の吹出口42の鉛直方向流速を上げることが好ましいことが分かる。
図10(a)を参照すると、壁面の上下方向中央位置の加熱量を増やすことが好ましいことが分かる。したがって、例えば、当該位置にヒータを取り付ける等の方策が考えられる。
本実施形態では、ユーザが入力装置10を通じて領域を指定すると、表示装置12の画面上に、当該領域の感度が表示される。例えば、図10(b)に示す画面上において、ユーザがマウスをドラッグ等することによって所定の領域R1を指定すると、当該領域R1の加熱量の変化に対するターゲットの温度変化が、画面上に表示される。この例では、上記領域R1の加熱量を1kW増加させると、ターゲットの温度が0.5124℃上昇することが示されている。これにより、例えば、壁面にヒータを取り付ける場合、ヒータを取り付けようとする位置に当該ヒータの面積に相当する領域を指定することによって、このヒータに要求される大体の加熱量を見積もることができる。
次に、他の具体例を説明する。本例は、2つのモデルを比較した例である。図11(a)および(b)に示すように、本例は、直方体形状の室内空間を対象とし、長手方向に対向する一方の壁面に3つの吹出口51,52,53を設け、当該壁面と直交する2つの壁面のうち一方に窓54を設け、当該窓54のある壁面と対向する壁面に開口部55を設け、室内の真ん中にパーテーション60を設けたものである。図11(a)のモデル例では、パーテーション60は天井まで到達しておらず、パーテーション60と天井との間に隙間が設けられている。一方、図11(b)のモデル例では、パーテーション60が天井まで延びている。
上記各モデル例に対して、前述と同様の解析を行い、その解析結果を示した例が図12〜図17である。図12(a)および(b)は温度感度を表し、図13(a)および(b)は壁面加熱量の感度を表し、図14(a)および(b)は壁面における吹き出し方向(X方向)の気流の感度を表し、図15(a)および(b)は鉛直方向(Z方向)の気流の感度を表し、図16(a)および(b)は窓面の熱通過率の感度を表している。図17(a)および(b)は、各設計パラメータに関する感度の数値データを表している。
これらの結果から、パーテーション60の高さによって、各パラメータの感度が異なってくることが分かる。例えば、図12(a)に示すように、パーテーション60(符号に関しては図11(a)および(b)を参照。以下同様)が天井まで延びていない場合には、左側の吹出口51の温度感度が高くなるが、図12(b)に示すように、パーテーションが天井まで延びている場合には、左側の吹出口51の温度感度は低くなり、右側の吹出口53の感度が最も高くなることが分かる。したがって、ターゲット25の温度を高くするためには、パーテーション60が天井まで延びていない場合には、左側吹出口51の温度を高く設定することが好ましく、パーテーション60が天井まで延びている場合には、右側吹出口53の温度を高くすることが好ましいことが分かる。
以上のように、実施形態に係る設計支援方法および設計支援システム1によれば、通常の数値シミュレーション(順解析)と最適化アルゴリズムとを組み合わせた設計方法に比べ、設計目標を実現するための設計パラメータの検討に際して、数値シミュレーション回数を大幅に低減することができ、計算機負荷を大幅に削減することができる。また、計算時間を大幅に短縮することができる。
また、本実施形態に係る設計支援方法および設計支援システム1によれば、設計目標を設定した後、逆解析を行うことによって各種パラメータの感度を求め、その感度の情報を表示装置12にグラフィック表示するので、熱対流場の設計に際して、どのパラメータをどの程度変更すればよいかの指針が容易に得られる。例えば、室内空間の所定点を所定温度にするためには、どの吹出口の吹き出し温度をどの程度上げればよいか等について、具体的な設計指針を得ることができる。したがって、従来のように設計者の勘に頼らなくても、明確な設計指針を得ることが可能となる。
特に、本実施形態によれば、感度の情報を3次元モデル上に視覚的かつ定量的に表示することとしたので、設計指針を容易かつ迅速に得ることができる。具体的には、感度の情報を濃淡表示、等高線表示、または色分け表示等することとしたので、3次元空間における感度の定量的な情報を一見して把握することができ、設計指針を直感的にも把握することができる。したがって、利便性に富んだ設計支援を実現することができる。
また、本実施形態によれば、表示装置12に表示された3次元グラフィック画面を参照しながら、解析対象のモデルを作成することができる。したがって、設計現場において、解析対象のモデルを簡易かつ迅速に作成することができる。また、上記モデルに対して自動的にメッシュが生成されるので、利便性に優れている。さらに、本実施形態によれば、このようなモデルの作成およびメッシュの生成と、順解析と、設計目標の設定と、逆解析と、逆解析の感度表示とを、入力装置10を用いた一連の簡単な操作のみで実行することができる。すなわち、本実施形態の設計支援システム1は、モデラー機能と、順解析機能と、ターゲット設定機能と、逆解析機能と、感度表示機能とを備えている。したがって、設計支援システム1は、設計現場において高い利便性を発揮する。
なお、前記各実施形態では、設計目標は、室内空間の所定点の温度を最大化することであった。しかし、設計目標は、他の目標であってもよい。例えば、設計目標は、室内空間の所定点における温度を最小化することであってもよい。また、設計目標は、室内空間の所定点における流速、物質濃度、または圧力を最大化または最小化することであってもよい。あるいは、設計目標は、対象空間内の所定領域における温度、物質濃度、流速または圧力を最大化または最小化することであってもよい。さらに、設計目標は、対象空間境界(例えば、室内空間を仕切る壁面、窓面等)上の所定点または所定領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を最大化または最小化することであってもよい。
また、設計目標は、室内空間の所定領域の温度を均一化することであってもよい。例えば、室内の空調環境を考えた場合、人が常時存在する箇所(例えば、オフィスにおける机の周囲等)の温度を均一化すること等が望まれることがある。そのような場合には、所定点の温度を最大化または最小化するよりも、所定領域の温度を均一化するように室内環境が設計される。本設計支援システム1によれば、所定領域の温度を均一化するようにターゲットの領域および温度を設定することにより、このような熱対流場の設計も支援することができる。
このように、設計目標は、対象空間内の所定領域の温度、物質濃度、流速または圧力を均一化すること、あるいは、対象空間境界上の所定領域の温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を均一化することであってもよい。
また、設計目標は、室内空間内の複数の点における温度をそれぞれ所定値にすることであってもよい。例えば、冬場のオフィス内の空調環境を考えた場合、人が常時存在する箇所は暖かくし、OA機器が存在する箇所は比較的涼しくすること等が望まれることがある。本設計支援システム1では、そのような場合には、複数のターゲットを設定し、それらのターゲットの目標温度を適宜設定すればよい。本設計支援システム1によれば、そのような場合の熱対流場の設計も支援することができる。
このように、設計目標は、対象空間内の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、物質濃度、流速または圧力を所定値にすること、あるいは、対象空間境界上の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を所定値にすることであってもよい。
また、予め室内空間内の複数の点における温度を実測しておき、設計目標を当該点における実測温度として、本設計支援システム1を未知設計パラメータの同定に利用してもよい。これにより、壁面からの熱漏洩量などを解析することができ、壁面の断熱条件の設計(断熱材の仕様等の設計)等を支援することが可能となる。
このように、設計目標は、対象空間内の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、物質濃度、流速または圧力を、それぞれ予め測定された前記点もしくは前記領域における温度、物質濃度、流速または圧力の実測値とすること、あるいは、対象空間境界上の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を、それぞれ予め測定された前記点もしくは前記領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力の実測値とすることであってもよい。
前記実施形態の設計支援方法は、逆解析の後、感度を表示することによって終了するものであった(図2参照)。しかし、逆解析の後、数理計画法(勾配型非線形最適化法)に基づいて設計変数を自動的に変更し、順解析と逆解析とを繰り返すことによって最適化を行うようにしてもよい。すなわち、設計支援システム1は、設計目標に対する設計パラメータの最適化を自動的に行う最適化機能を備えていてもよい。
例えば、図18に示すように、ステップS11において解析対象のモデル化を行い、ステップS12においてメッシュを自動生成した後、ステップS13において設計目標の設定および収束条件の設定を行う。次に、ステップS14に進み、順解析を行った後、ステップS15において逆解析を行う。その後、ステップS16で収束判定を行い、収束条件が満たされなければステップS17で設計パラメータの値を変更し、再びステップS14の順解析とステップS15の逆解析を繰り返す。そして、ステップS16の収束条件が満たされるまで、このような順解析と逆解析とを反復する。なお、このような最適化計算に際しては、反復計算が発散しないように、予めユーザが上限値および下限値を定めておくことが好ましい。
なお、前記実施形態では、逆解析によって求められた感度を、画面上にそのまま表示していた。しかし、感度の代わりに、要求される設計目標の変化を実現するのに必要な設計パラメータの変更量を表示するようにしてもよい。例えば、前述の具体例において、吹出口の温度感度を表示する代わりに、吹出口の温度変化量(例えば、ターゲットの温度を1℃上げるのに必要とされる吹出口の温度変化量等)を表示するようにしてもよい。これにより、設計者は、より一層設計がしやすくなる。
前記実施形態では、設計パラメータは室内空間の境界における温度等であったが、本発明の設計パラメータには、いわゆる境界条件だけでなく、対象空間等における内部発熱、内部物質拡散、および物体の形状等も含まれる。
前記実施形態は、室内空間を対象とした空調設計を対象としたものであった。しかし、本発明の適用対象は、空調設計に限定される訳ではなく、任意の熱対流場または物質拡散場の設計に適用することができる。本発明の適用対象は、屋内および屋外の空調設計に限らず、他の適用対象として、例えば、コンピュータ等の電子機器の筐体内部の熱設計、工場内の環境設計、駐車場における排ガスの影響の予測、蓄熱槽内の熱流体の挙動予測、等であってもよい。
以上説明したように、本発明は、熱または物質伝達を伴う各種機器または各種空間(環境)の設計等について有用である。
実施形態に係る設計支援システムの構成図である。 室内環境の設計方法の一部を表すフローチャートである。 解析例のモデルを表す表示画面例である。 順解析の表示画面例である。 (a)および(b)は、順解析の解析結果を表す表示画面例である。 (a)〜(c)は、逆解析の目標設定を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、逆解析の表示画面例である。 (a)および(b)は、感度表示画面例である。 (a)および(b)は、感度表示画面例である。 (a)および(b)は、感度表示画面例である。 (a)および(b)は、他の解析例のモデルを表す表示画面例である。 (a)および(b)は、温度感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、加熱感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、X方向の気流感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、Z方向の気流感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、熱通過率感度を表す表示画面例である。 (a)および(b)は、逆解析の計算結果例を示す表である。 室内環境の自動最適化設計に関するフローチャートである。
符号の説明
1 設計支援システム
10 入力装置
11 コンピュータ
12 表示装置
25 ターゲット
本発明に係る設計支援システムは、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記熱対流場または物質拡散場を解析する順解析の後に行われる、流れを伴う非線形の熱・物質拡散場の設計を支援する設計支援システムであって、ユーザによって操作される入力装置と、コンピュータと、ユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とを備え、前記コンピュータは、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段と、設定された設計目標に基づいて、設計パラメータの微小摂動の仮定のもとで設計パラメータと設計目標の因果律を反転した場の方程式であり、仮想的な圧力、流速、温度および濃度を従属変数とした質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存式である当該設計目標に対応する非線形問題に対する摂動随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段と、を備え、前記逆解析手段は、設計目標として下記(1)式の目的関数Jを設定し、下記(2)式の制約条件のもと、前記目的関数に対する下記(3)式で表される摂動随伴方程式を下記(4)式の境界条件のもとで解き、その結果得られる下記(5)式で表される感度を用いて解析を行う、流れを伴う非線形の熱・物質拡散場の設計支援システムである。
,f ,f ,f :設計空間Ω内で定義された温度、物質濃度、流速、圧力に関する関数
Γ ,Γ ,Γ ,Γ ,Γ :温度、熱流束、濃度、拡散流束、流速ベクトルが制御可能な空間Ωの境界
,g ,g ,g ,g :空間Ωの境界上で定義された温度、熱流束、濃度、拡散流束、流速ベクトルに関する関数
A:圧力p、流速ベクトルu、温度Tおよび濃度Cを従属変数とした場の支配方程式からなるベクトル(質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存を表す6個の非線形偏微分方程式)
,u ,T ,C :重み関数
:線形摂動方程式系に対する随伴作用素行列
,u ,T ,C ,:随伴圧力、随伴流速、随伴温度、随伴濃度
δq,δT,δK,δm,δC,δu:境界上の熱流束、温度、熱通過率、拡散流束、物質濃度、流速の変化
前記コンピュータは、前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段をさらに備えていてもよい。
また、本発明に係る他の設計支援システムは、ユーザによって操作される入力装置と、コンピュータと、ユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とを備え、前記コンピュータは、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援手段と、解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成手段と、メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析手段と、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段と、設定された設計目標に基づいて、設計パラメータの微小摂動の仮定のもとで設計パラメータと設計目標の因果律を反転した場の方程式であり、仮想的な圧力、流速、温度および濃度を従属変数とした質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存式である当該設計目標に対応する非線形問題に対する摂動随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段と、前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段と、を備え、前記逆解析手段は、設計目標として前記(1)式の目的関数Jを設定し、前記(2)式の制約条件のもと、前記目的関数に対する前記(3)式で表される摂動随伴方程式を前記(4)式の境界条件のもとで解き、その結果得られる前記(5)式で表される感度を用いて解析を行う、流れを伴う非線形熱・物質拡散場の設計支援システムである。
本発明に係る設計支援用プログラムは、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記熱対流場または物質拡散場を解析する順解析の後に行われる、流れを伴う非線形の熱・物質拡散場の設計を支援する設計支援用プログラムであって、ユーザによって操作される入力装置とユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とに接続されたコンピュータを、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段と、設定された設計目標に基づいて、設計パラメータの微小摂動の仮定のもとで設計パラメータと設計目標の因果律を反転した場の方程式であり、仮想的な圧力、流速、温度および濃度を従属変数とした質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存式である当該設計目標に対応する非線形問題に対する摂動随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段であって、設計目標として前記(1)式の目的関数Jを設定し、前記(2)式の制約条件のもと、前記目的関数に対する前記(3)式で表される摂動随伴方程式を前記(4)式の境界条件のもとで解き、その結果得られる前記(5)式で表される感度を用いて解析を行う逆解析手段と、として機能させるための流れを伴う非線形熱・物質拡散場の設計支援用プログラムである。
上記設計支援用プログラムは、前記コンピュータを、さらに、前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段として機能させるためのプログラムであってもよい。
また、本発明に係る他の設計支援用プログラムは、ユーザによって操作される入力装置とユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とに接続されたコンピュータを、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援手段、解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成手段、メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析手段、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段、設定された設計目標に基づいて、設計パラメータの微小摂動の仮定のもとで設計パラメータと設計目標の因果律を反転した場の方程式であり、仮想的な圧力、流速、温度および濃度を従属変数とした質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存式である当該設計目標に対応する非線形問題に対する摂動随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段、および、前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段、として機能させるための流れを伴う非線形熱・物質拡散場の設計支援用プログラムであって、前記逆解析手段は、設計目標として前記(1)式の目的関数Jを設定し、前記(2)式の制約条件のもと、前記目的関数に対する前記(3)式で表される摂動随伴方程式を前記(4)式の境界条件のもとで解き、その結果得られる前記(5)式で表される感度を用いて解析を行う、流れを伴う非線形熱・物質拡散場の設計支援用プログラムである。
以上のように、実施形態に係る設計支援システム1によれば、通常の数値シミュレーション(順解析)と最適化アルゴリズムとを組み合わせた設計方法に比べ、設計目標を実現するための設計パラメータの検討に際して、数値シミュレーション回数を大幅に低減することができ、計算機負荷を大幅に削減することができる。また、計算時間を大幅に短縮することができる。
また、本実施形態に係る設計支援システム1によれば、設計目標を設定した後、逆解析を行うことによって各種パラメータの感度を求め、その感度の情報を表示装置12にグラフィック表示するので、熱対流場の設計に際して、どのパラメータをどの程度変更すればよいかの指針が容易に得られる。例えば、室内空間の所定点を所定温度にするためには、どの吹出口の吹き出し温度をどの程度上げればよいか等について、具体的な設計指針を得ることができる。したがって、従来のように設計者の勘に頼らなくても、明確な設計指針を得ることが可能となる。
本発明に係る設計支援システムは、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記熱対流場または物質拡散場を解析する順解析の後に行われる、流れを伴う非線形の熱・物質拡散場の設計を支援する設計支援システムであって、ユーザによって操作される入力装置と、コンピュータと、ユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とを備え、前記コンピュータは、前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段と、設定された設計目標に基づいて、設計パラメータの微小摂動の仮定のもとで設計パラメータと設計目標の因果律を反転した場の方程式であり、仮想的な圧力、流速、温度および濃度を従属変数とした質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存式である当該設計目標に対応する非線形問題に対する摂動随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段と、を備え、前記逆解析手段は、設計目標として下記(1)式の目的関数Jを設定し、下記(2)式の制約条件のもと、前記目的関数に対する下記(3)式で表される摂動随伴方程式を下記(4)式の境界条件のもとで解き、その結果得られる下記(5)式で表される感度を用いて解析を行う、流れを伴う非線形の熱・物質拡散場の設計支援システムである。
,f,f,f:設計空間Ω内で定義された温度、物質濃度、流速、圧力に関する関数
Γ, Γ,Γ,Γ,Γ:温度、熱流束、濃度、拡散流束、流速ベクトルが制御可能な空間Ωの境界
, g,g,g,g:空間Ωの境界上で定義された温度、熱流束、濃度、拡散流束、流速ベクトルに関する関数
A:圧力p、流速ベクトルu、温度Tおよび濃度Cを従属変数とした場の支配方程式からなるベクトル(質量、運動量、エネルギーおよび濃度の保存を表す6個の非線形偏微分方程式)
:線形摂動方程式系に対する随伴作用素行列
,u ,T ,C :随伴圧力、随伴流速、随伴温度、随伴濃度
δq,δT,δK,δm,δC,δu:境界上の熱流束、温度、熱通過率、拡散流束、物質濃度、流速の変化

Claims (13)

  1. グラフィック画面を表示する表示装置に所定の画面を表示させつつ、ユーザによって操作される入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援ステップと、
    解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成ステップと、
    メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析ステップと、
    前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援ステップと、
    設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析ステップと、
    前記逆解析ステップによって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示ステップと、
    を備えた熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  2. 前記逆解析ステップは、対象空間内で定義された温度、物質濃度、流速または圧力に関する所定の設計目標に対する感度を解析するステップ、または対象空間境界上で定義された温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力に関する所定の設計目標に対する感度を解析するステップである、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  3. 前記設計目標は、対象空間内で定義された温度、物質濃度、流速または圧力に関する所定の目的関数を最大化または最小化すること、または対象空間境界上で定義された温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力に関する所定の目的関数を最大化または最小化することである、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  4. 前記設計目標は、対象空間内の所定点または所定領域における温度、物質濃度、流速または圧力を最大化または最小化すること、あるいは、対象空間境界上の所定点または所定領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を最大化または最小化することである、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  5. 前記設計目標は、対象空間内の所定領域の温度、物質濃度、流速または圧力を均一化すること、あるいは、対象空間境界上の所定領域の温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を均一化することである、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  6. 前記設計目標は、対象空間内の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、物質濃度、流速または圧力を所定値にすること、あるいは、対象空間境界上の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を所定値にすることである、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  7. 前記設計目標は、対象空間内の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、物質濃度、流速または圧力を、それぞれ予め測定された前記点もしくは前記領域における温度、物質濃度、流速または圧力の実測値とすること、あるいは、対象空間境界上の1または2以上の点もしくは1または2以上の領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力を、それぞれ予め測定された前記点もしくは前記領域における温度、熱伝達量、物質濃度、物質伝達量、流速または圧力の実測値とすることであり、
    前記実測値からの未知設計パラメータの同定を支援する、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  8. 前記感度表示ステップは、前記解析対象モデル上に感度の大きさに応じた色、濃淡、または等高線を付したグラフィック画面を表示させるステップである、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  9. 前記感度表示ステップは、前記入力装置を通じて指定された所定の境界領域内における設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合を表示するステップを含んでいる、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  10. 前記感度表示ステップにおいて、前記感度に代えて、要求される設計目標の変化を実現するのに必要な設計パラメータの変更量を表示する、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  11. 前記感度表示ステップに代えて、前記逆解析ステップの後、前記逆解析ステップで解析された前記感度に基づき、数理計画法に従って設計パラメータの値を変更し、前記順解析ステップおよび前記逆解析ステップを繰り返すことによって、設計目標に対する設計パラメータの最適化を行う自動最適化ステップを備えた、請求項1に記載の熱対流場・物質拡散場の設計支援方法。
  12. ユーザによって操作される入力装置と、コンピュータと、ユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とを備え、
    前記コンピュータは、
    前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援手段と、
    解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成手段と、
    メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析手段と、
    前記表示手段に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段と、
    設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段と、
    前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段と、
    を備えている熱対流場・物質拡散場の設計支援システム。
  13. ユーザによって操作される入力装置とユーザにグラフィック画面を表示する表示装置とに接続されたコンピュータを、
    前記表示装置に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて解析対象のモデル化を支援するモデル化支援手段、
    解析対象のモデルに対し、メッシュを生成するメッシュ生成手段、
    メッシュ化された前記解析対象モデルについて、前記入力装置を通じて入力された設計パラメータの初期設定値に基づいて、熱対流場または物質拡散場の方程式を解くことによって前記解析対象モデルの熱対流場または物質拡散場を解析する順解析手段、
    前記表示手段に所定の画面を表示させつつ、前記入力装置からの信号を受けて設計目標の設定を支援する目標設定支援手段、
    設定された設計目標に基づいて、当該設計目標に対応する随伴方程式を解くことによって、設計パラメータの変化に対する設計目標の変化割合で定義される感度を解析する逆解析手段、および、
    前記逆解析手段によって解析された感度の情報を前記表示装置にグラフィック表示させる感度表示手段、
    として機能させるための熱対流場・物質拡散場の設計支援用プログラム。
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