JPWO2007111366A1 - イオントフォレーシス装置 - Google Patents
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Abstract
電気的な駆動により薬物イオン(リドカインイオン)を生体内部へと経皮導入するイオントフォレーシス装置であって、電源(112)のアノードと接続された作用側電極(124A)と、作用側電極(124A)の前面に配置され、電解液が保持されている電解液保持部(126A)と、電解液保持部(126A)の前面に配置され、カチオンを通過させることが可能であって、且つ、リドカインイオンが結合したカチオン交換膜(132A)を少なくとも有し、前記電解液に含まれるカチオンを、通電時において、リドカインイオンと置換し易く且つリドカインイオンとの再置換がおこり難い電解物イオンとする。
Description
本発明は、イオントフォレーシス装置、更に、詳しくは、イオン交換部材を介して生体内部に薬物イオンを導入するイオントフォレーシス装置に関する。
従来、特開2000−237328号公報に記載のイオントフォレーシス装置が知られている。このイオントフォレーシス装置を図6に示す。
イオントフォレーシス装置Xは、電源3に接続された作用側電極構造体1と、非作用側電極構造体2とで構成されている。
作用側電極構造体1は、電源3のカソードと接続される作用側電極11と、この作用側電極11の前面に配置され、電解液としての生理食塩水が保持される部分12と、更に前面に配置されるカチオン交換膜13と、このカチオン交換膜13の更に前面側に配置され、薬物としてのアスコルビン酸ナトリウム水溶液が保持される部分14と、更に前面に配置されるアニオン交換膜15とから構成されている。
一方、非作用側電極構造体2は、電源3のアノードと接続された非作用側電極21と、この非作用側電極21の前面に配置され、電解液としての生理食塩水が保持されている部分22と、この生理食塩水が保持される部分の更に前面に配置されたカチオン交換膜23とで構成されている。
又、本件出願人は、特開2000−237328号公報における作用側電極構造体31を更に改良したイオントフォレーシス装置を案出し、これを米国特許仮出願第60/693668号(以下、「改良装置」という)として出願している。
図7は、上記改良装置において一実施形態として開示されるイオントフォレーシス装置の作用側電極構造体の構成を示す説明図である。上述のイオントフォレーシス装置Xと同一又は類似する部分に同一の符号を付して説明する。
図示されるように、作用側電極構造体1は、第1導電型の電源と電気的に接続される電極11、電解液を保持する電解液保持部12及び第1導電型のイオン交換膜15を有しており、イオン交換膜15には第1導電型の薬物イオンが結合している。この作用側電極構造体1では、イオン交換膜15を生体皮膚に当接させた状態で電極11に第1導電型の電圧を印加することにより、電解液保持部12の電解液中の第1導電型のイオン(以下単に「電解物イオン」という。)がイオン交換膜15に移行し、イオン交換膜15に結合していた薬物イオンが電解物イオンに置換されて生体側に移行する。
イオントフォレーシス装置において、電極に電圧が印加されると、電界が生じ、各層のイオンは極性に基づいた方向に移動し始める。電解液保持部においては電解液中のイオンが移動する。仮に電荷の滞留がおこると、電界が弱まってイオンの移動がさまたげられる。従って、電解液保持部に保持される電解液に必要とされる第一の機能は、電荷の滞留を起こさずに、電流を流すことである。又、第二の機能としては、例えば、水の酸化電位より低い電解液成分と、水の還元電位より高い電解液成分を混合して用いることにより、通電中に電解液中のイオン成分が、ガス化することと水の電気分解を防ぎ、さらに、これらの電解液成分の緩衝作用により、pHの変化を防ぐことにある。電解液としては、典型的には、上記機能を発揮するものであれば、適用する薬物等の条件に応じて適宜所望のものが使用できるが、電極反応により生体の皮膚に障害を与えるものは回避すべきである。上記のイオントフォレーシス装置においては、上記の機能を発揮しつつ、手軽さ、コスト面等の理由から、例えば生理食塩水(NaCl)が電解液として使用されていた。
なお、上記説明した改良装置は、本件出願時点において未公知である。
しかしながら、上記改良装置におけるイオントフォレーシス装置を実際に使用した際に、期待したレベルの薬物イオンの輸送(放出)がされずに、電解液保持部に保持されるイオンであって薬物イオンと同一の導電型のイオンが輸送されてしまう場合があった。
本発明は、係る不都合を解消するためになされたものである。
以下で説明する実施形態のように、電気的な駆動により薬物イオンを生体内部へと経皮導入するイオントフォレーシス装置であって、電源と接続された第1の導電型の電極と、該電極の前面に配置され、電解液が保持されている電解液保持部と、該電解液保持部の前面に配置され、第1の導電型のイオンを通過させることが可能であって、且つ、第1の導電型の薬物イオンが結合したイオン交換部材を少なくとも有し、前記電解液に含まれる第1導電型の電解物イオンを、通電時において、前記第1の導電型の薬物イオンと置換し易く且つ前記第1の導電型の薬物イオンとの再置換がおこり難い電解物イオンで構成することで、上記課題を解決するものである。
これにより、電解物イオンの輸送される効率を下げることができ、その結果、本来の投与目的たる薬物イオンの輸送効率を向上させることが可能となった。
又、第1導電型の電解物イオンを2価又は3価のイオンで構成してもよい。
これにより、電解物イオンとイオン交換部材(のイオン交換基)との結合を、薬物イオンとイオン交換部材(のイオン交換基)との結合よりも安定的とすることができる。
又、更に、前記電解液と前記イオン交換部材の間に、取り外し可能な非透水性のセパレータを配置してもよい。
これにより、保存時において、イオン交換部材に備わる第1導電型の薬物イオンが、電解液保持部に備わる第1の導電型の電解物イオンと、保存中に置換してしまうことを防止することができる。
又、更に、前記電解液と前記イオン交換部材を、両者の間に空間が存在するように非接触状態で保持し、外部からの押し圧力又は回転によって前記電解液と前記イオン交換部材とが接触するような構成としてもよい。
これにより、保存時において、イオン交換部材に備わる第1導電型の薬物イオンが、電解液保持部に備わる第1の導電型の電解物イオンと、保存中に置換してしまうことを防止することができる。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「前面」とは、当該イオントフォレーシス装置を使用する際において、より生体(皮膚や粘膜など)側に近い側のことを意味する。
又、ここでいう「第1の導電型」、「第2の導電型」とは、電気の極性のことを意味している。例えば「第1の導電型」がプラスであるとすれば、「第2の導電型」はマイナスとなる。仮に、「第1の導電型」がプラスとすれば、「第1の導電型の電極」はアノード、「第1の導電型のイオン」はカチオンとなる。一方、「第2の導電型の電極」はカソード、「第2の導電型のイオン」はアニオンとなる。
又、「電解液」とは、電解物が水等の溶媒に溶解した状態のものを含むことは勿論であるが、例えば、装置の使用直前に溶媒を添加することで電解液となる溶質のみで構成されている状態も含み得る概念である。
本発明を適用することによってイオン交換部材に結合した薬物イオンを効率よく生体内へと導入することが可能となる。
以下、添付図面を用いて、本発明の実施形態に係る一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例であるイオントフォレーシス装置110の構成断面図である。図2は、図1における矢示II部の拡大図である。
イオントフォレーシス装置110は、電源112に接続された作用側電極構造体120Aと、非作用側電極構造体120Bとから構成される。
作用側電極構造体120Aは、容器122Aの内部に、電源112のアノードと接続された作用側電極124Aと、この作用側電極124Aの前面に配置され、電解液が保持されている電解液保持部126Aと、この電解液保持部126Aの前面に配置されるセパレータ128Aと、このセパレータ128Aの前面に配置されるカチオン交換膜132Aとで構成される。又、カチオン交換膜132Aには、多数の孔134が設けられている。更に、この孔134には、複数のイオン交換基142が備わっている。このイオン交換基142には、生体に輸送しようとする薬物イオンであるリドカインイオンが結合している。
一方、非作用側電極構造体120Bは、容器122Bの内部に、電源112のカソードと接続される非作用側電極124Bと、この非作用側電極124Bの前面に配置され、電解液が保持されている電解液保持部126Bと、この電解液保持部126Bの前面に配置されるカチオン交換膜128Bと、このカチオン交換膜128Bの前面に配置され、電解液が保持されている電解液保持部130Bと、この電解液保持部130Bの前面に配置されるアニオン交換膜132Bとで構成されている。なお、この非作用側電極構造体120Bにおける、2つの電解液保持部126B、130Bは、必ずしもカチオン交換膜128Bで分離されている必要は無く、一体的に構成されていても良い。
又、本実施形態においては、薬効成分がカチオンに解離する薬物(リドカイン等)を投与するためのイオントフォレーシス装置を例として説明するが、これとは逆に、薬効成分がアニオンに解離する薬物を投与するためのイオントフォレーシス装置(例えば背景技術で説明した特開2000−237328号公報記載のイオントフォレーシス装置)の場合は、以下の実施形態における電極に印加される電圧、及びイオン交換膜乃至イオン交換樹脂に導入される交換基の極性(プラスとマイナス)を入れ換えることにより構成することができる。
作用側電極構造体120Aのカチオン交換膜132Aは、使用時に皮膚Sに接触させて使用される。又、非作用側電極構造体120Bにおけるアニオン交換膜132Bも、皮膚Sに接触させて使用される。
電源112は、1次電池や蓄電池(2次電池、キャパシタ含む)、更には燃料電池など種々のものを使用することが可能である。
容器122A、122Bは、作用側電極構造体120A及び非作用側電極構造体120Bの一次構造要素として機能し、各電極構造体120A、120Bにその柔軟性、被覆性を与えるのが好ましい。容器122A、122Bに使用される材料は、不活性で、防水性に優れ、各電極構造体120A、120B内に含まれた薬物、電解液、安定剤等のその他の成分を吸収し得るべきではない。又、外部との隔壁、即ち、保護カバーとしての役目を果たす。容器122A、122Bは、好ましくは軟質材料の一層以上のシート又はフィルムから作られ、各電極構造体が生体面(皮膚又は粘膜等)の輪郭に追従することが好ましい。
作用側電極124A、非作用側電極124Bは、任意の導電性材料を用いることができるが、本実施形態のように後述する電解液保持部126A、126Bが存在するような場合には、炭素電極(カーボン電極)を用いるのが好ましい。
背景技術でも説明したが、電解液保持部126A、126B、130Bに保持される電解液に求められる機能の第一の機能は、電荷の滞留を起こさずに、電流を流すことである。電解液の第二の機能としては、例えば、水の酸化電位より低い電解液成分と、水の還元電位より高い電解液成分を混合して用いることにより、通電中に電解液中のイオン成分が、ガス化することと水の電気分解を防ぎ、さらに、これらの電解液成分の緩衝作用により、pHの変化を防ぐことにある。電解液としては、典型的には、上記機能を発揮するものであれば、適用する薬物等の条件に応じて適宜所望のものが使用できるが、電極反応により生体の皮膚に障害を与えるものは回避すべきである。
本実施形態の電解液保持部126Aにおいては、このような機能を発揮しつつ、更に、薬物イオンを効率よく放出させる目的で、薬物イオンと置き換わりやすいがその逆の置換はおこりにくく、結果的にイオン交換膜に結合している薬物イオンが優先的に押し出されるようなカチオンを有する電解液が使用される。具体的には、カチオンが2価となる物質、例えば、塩化カルシウム、カルメロースカルシウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、臭化カルシウム、水酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、糖酸カルシウム、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、アスパラギン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化第二鉄などが溶質とされた電解液が用いられる。又、3価のカチオンにイオン解離する物質を利用することも可能である。
なお、本実施形態とは極性が異なるイオントフォレーシス装置に適用する場合には、イノシン酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、5´- グアニル酸二ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム六水和物、酒石酸、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、フィチン酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム十水塩、リンゴ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素ナトリウムなどを用いて電解液を構成することにより同様の効果を持たせることが可能である。又、3価のアニオンにイオン解離する物質を利用することも可能である。
セパレータ128Aは、非透水性の任意の材料(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレートなど)よりなるシート状の薄膜体から構成されている。又、このセパレータ128Aは、例えば手で簡単に引き抜くことが可能であり、引き抜くことによって、電解液保持部126Aに保持される電解液とカチオン交換膜132Aとが接触するように構成されている。このような構成により、当該装置を使用する時点まで電解液とカチオン交換膜132Aとを非接触状態に保つことができ、カチオン交換膜132Aに結合している薬物イオンと、電解液保持部126Aに保持されている電解物イオンとが保存中に置換してしまうことを防止することができる。
カチオン交換膜132Aは、カチオンを通過させる機能を有するイオン交換膜であり、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等からなる多孔質フィルムの孔の一部又は全部に、カチオン交換樹脂が充填されたタイプのカチオン交換膜を特に好ましく使用することができる。この場合のカチオン交換樹脂の充填は、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン−ジビニルベンゼン等の架橋性単量体に重合開始剤を配合した溶液を上記多孔質フィルムの孔中に含浸させた後に重合させ、この重合体にスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等のカチオン交換基を導入することにより行なうことができる。
カチオン交換膜132Aへの薬物イオンの導入(置換)は、適当な濃度に調整された薬物イオンを含む薬液に、カチオン交換膜132Aを浸漬することにより行うことができる。カチオン交換膜132Aへの薬物イオンの導入量は、カチオン交換膜132Aのイオン交換容量や薬液中の薬物イオンの濃度、或いはカチオン交換膜132Aの薬液への浸漬時間、浸漬回数などにより適宜調整することが可能である。
カチオン交換膜128Bは、カチオンを通過させる機能を有するイオン交換膜であり、例えば、株式会社トクヤマ製ネオセプタ(NEOSEPTA)CM−1、CM−2、CMX、CMS、CMB等のカチオン交換膜を特に制限無く使用できる。又、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等からなる多孔質フィルムの孔の一部又は全部に、カチオン交換樹脂が充填されたタイプのカチオン交換膜を特に好ましく使用することができる。この場合のカチオン交換樹脂の充填は、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン−ジビニルベンゼン等の架橋性単量体に重合開始剤を配合した溶液を上記多孔質フィルムの孔中に含浸させた後に重合させ、この重合体にスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等のカチオン交換基を導入することにより行なうことができる。
アニオン交換膜132Bは、アニオンを通過させる機能を有するイオン交換膜であり、例えば、株式会社トクヤマ製ネオセプタ(NEOSEPTA)AM−1、AM−3、AMX、AHA、AMH、ACS等のアニオン交換膜を特に制限無く使用できる。又、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂からなる多孔質フィルムの孔の一部又は全部に、アニオン交換樹脂が重合されたタイプのアニオン交換膜を特に好ましく使用することができる。この場合のアニオン交換樹脂の充填は、スチレン−ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン−ジビニルベンゼン等の架橋性単量体に重合開始剤を配合した溶液を、上記多孔質フィルムの孔中に含浸させた後に重合させ、この重合体に1乃至3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基、4級イミダゾリウム基等のアニオン交換基を導入することにより行なうことができる。
次に、当該イオントフォレーシス装置110の作用について説明する。
電極に電圧が印加されると、電界が生じ、各層のイオンは極性に基づいた方向に移動し始める。
結果として、電解液保持部126Aに保持されている電解液中のカチオンが、イオン交換基142に結合した薬物イオン(リドカインイオン)140と置換することによって、薬物イオン140が、生体側へと輸送(放出)される。上記説明したのとは逆に、電源112からの電流が非通電とされれば、薬物の輸送は直ちに停止される。即ち、電源112からの通電/非通電を適宜コントロールすることによって、薬物の輸送量をコントロールすることが可能になる。
次に、作用側電極構造体120Aにおける電解液保持部126Aに保持される電解液中のカチオンを、1価のイオンとした場合と、2価のイオンとした場合の作用の違いについて図3及び図4を用いて説明する。なお、具体的なイオンの種別は下記で説明するものに限定されるものではなく、他の2価のイオンを使用することも出来るし、3価以上のイオンを使用してもよい。
図3は、図1のイオントフォレーシス装置における電解液保持部126Aに保持される電解液中のカチオンを1価のカチオンであるナトリウムイオンとした場合の作用例を示す図であって、(A)が通電前の状態、(B)が通電直後の状態、(C)が更にその後の状態を示している。図4は、図1のイオントフォレーシス装置における電解液保持部126Aに保持される電解液中のカチオンを2価のカチオンであるカルシウムイオンとした場合の作用例を示す図であって、(A)が通電前の状態、(B)が通電直後の状態、(C)が更にその後の状態を示している。
図3のように、電解液保持部126Aに保持される電解液中のカチオンがナトリウムイオンである場合には、通電によって、当該ナトリウムイオンがカチオン交換膜132A側へと移動する。一方、図4のように、電解液保持部126Aに保持される電解液中のカチオンがカルシウムイオンである場合にも、通電によって、当該カルシウムイオンがカチオン交換膜132A側へと移動する。
カチオン交換膜132Aは、自身に多数備わる孔134に導入されたイオン交換基142に結合したカチオン(本実施形態の場合は薬物イオンであるリドカインイオン)が、他のカチオンと順に置換することによってカチオンを通過させている。即ち、電源112からの電圧の印加によって、電解液保持部126Aに保持される電解液中のナトリウムイオン又はカルシウムイオン(電解物イオン)が、薬物イオン140と置換してイオン交換基142(即ちイオン交換部材)に結合し、置換により押し出された薬物イオン140が皮膚側へと放出される。但し、このとき、常に順序良く薬物イオン140が電解物イオンに置換されて装置外部へと放出されるわけではなく、中には薬物イオン140との置換をせずにそのままイオン交換膜132Aを通過してしまうものも中には存在する。
電解物イオンが、薬物イオンと置き換わることで薬物イオンを押し出すか、そのままイオン交換膜を通り抜けてしまうかは薬物イオンとイオン交換膜(イオン交換部材)との結合の安定性と電解物イオンなどの濃度に関係する。即ち、薬物イオンとイオン交換膜との結合は固定したものではなく、常に付いたり離れたりしているのであり、離れた状態で次に何と結合するかは、相手イオンとの結合しやすさ、濃度、近傍の水分子の数などに依存する。電解物イオンが1価の場合と2価の場合では、2価のほうの結合が安定で、一度結合したものが、異種の同極性のイオンに入れ替わるチャンスが少ない。従って2価の電解物イオンのほうがイオン交換膜をそのまま通過してくる可能性が小さくなる。
リドカインイオン(1価)とカルシウムイオン(2価)の場合では、リドカインイオンはカルシウムイオンに置き換わりやすいが逆はおこりにくく(即ち、電解液に含まれる第1導電型の電解物イオンは、通電時において、前記第1の導電型の薬物イオンと置換し易く且つ前記第1の導電型の薬物イオンとの再置換がおこり難い)、結果的にイオン交換膜中のリドカインイオンが優先的に押し出されることになる。
本実施形態においては、電解液保持部126Aに保持される電解液は、1価のカチオンを含んでおらずに2価のカチオン(例えばカルシウムイオン)のみをカチオンとして含有しているため、上記の通り、リドカインイオンが優先的に押し出され、効率よく生体側へ投与することが可能となっている。
又、図示はしないが、電解液保持部に保持される電解液とカチオン交換膜とを、両者の間に空間が存在するように非接触状態で保持し、外部からの押し圧力や回転力を加えることによって接触するような構成としてもよい。押し圧力を加える例としては、例えば、電解液保持部に保持される電解液をゲル状に構成した上でカチオン交換膜と非接触となるように配置し、更に、作用側電極構造体を収容する容器の一部を押圧により所定の形状に変形させたままで固定可能とし、当該変形によりゲル状の電解液がカチオン交換膜に接触するような構成である。回転力を加える例としては、例えば、電解液保持部に保持される電解液をゲル状に構成した上でカチオン交換膜と非接触となるように配置し、更に、作用側電極構造体を収容する容器の一部が独立してねじ込み可能に構成され、当該ねじ込みによりゲル状の電解液がカチオン交換膜に接触するような構成である。
このような構成を採用することにより、装置の保存時において、イオン交換膜に備わる薬物イオンが、電解液の電解物イオンと、保存中に置換してしまうことを防止することができる。なお、上記のセパレータ、非接触の構造はそれぞれが単独で適用される場合に限らず、適宜組み合わせて利用することも可能である。例えば、セパレータを配置した上で、更に、セパレータと電解液とを非接触とする構成を採用してもよい。
次に、本発明の他の実施形態の一例を、図5を用いて説明する。
図5は、本発明の他の実施形態の一例であるイオントフォレーシス装置310の構成断面図である。
なお、前述したイオントフォレーシス装置110と同一又は類似する部分については、数字下2桁が同一の符号を付するに止め、詳細な構成及び作用の説明は省略する。又、非作用側電極構造体320Bにおいては、前述したイオントフォレーシス装置110における非作用側電極構造体120Bと同一である。
イオントフォレーシス装置310において、特徴のある部分は、薬物イオンが保持されるカチオン交換膜332Aが三層に重ねられていることである。これにより、薬物イオンの結合量(含浸量、保持量)が飛躍的に増大し、より多くの薬物の導入が可能となっている。更に、各層別に異なる薬物イオンを結合させることにより、組み合わせ製剤として機能させることが可能である。例えば、1の層に抗悪性腫瘍剤を結合させ、他の1の層に当該抗悪性腫瘍剤に伴う副作用(悪心嘔吐)軽減のための制吐剤を結合させておくような場合である。
本発明は、イオン交換機能を有するイオン交換部材を用いたイオントフォレーシス装置に広く適用することが可能である。
Claims (4)
- 電気的な駆動により薬物イオンを生体内部へと経皮導入するイオントフォレーシス装置であって、
電源と接続された第1の導電型の電極と、
該電極の前面に配置され、電解液が保持されている電解液保持部と、
該電解液保持部の前面に配置され、第1の導電型のイオンを通過させることが可能であって、且つ、第1の導電型の薬物イオンが結合したイオン交換部材を少なくとも有し、
前記電解液に含まれる第1導電型の電解物イオンは、通電時において、前記第1の導電型の薬物イオンと置換し易く且つ前記第1の導電型の薬物イオンとの再置換がおこり難い電解物イオンである
ことを特徴とするイオントフォレーシス装置。 - 請求項1において、
前記第1導電型の電解物イオンは2価又は3価のイオンである
ことを特徴とするイオントフォレーシス装置。 - 請求項1又は2において、
更に、前記電解液と前記イオン交換部材の間には、取り外し可能な非透水性のセパレータが配置されている
ことを特徴とするイオントフォレーシス装置。 - 請求項1又は2において、
更に、前記電解液と前記イオン交換部材とは、両者の間に空間が存在するように非接触状態で保持されており、外部からの押し圧力又は回転によって前記電解液と前記イオン交換部材とが接触する
ことを特徴とするイオントフォレーシス装置。
Applications Claiming Priority (3)
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