JPWO2007099857A1 - 光学ガラスおよびレンズ - Google Patents

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Abstract

本発明は、 酸化物基準の質量%表示で、B2O325〜50%、ZnO 5〜25%、La2O313〜25%、Gd2O310〜28%、及び、Li2O 1.5〜4%を含有し、屈折率(nd)が1.65〜1.76であり、アッベ数(νd)が45〜60であり、ガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)からなる関係式At+(At−Tg)/2によって定義される成形温度(Tp)の値が650℃以下であり、砒素、鉛およびフッ素を実質上含まない光学ガラス、及び、その光学ガラスからなるレンズを提供する。

Description

本発明は、光学ガラスおよびそれを用いたレンズに関する。
近年、デジタルカメラ等の普及により、光学系を使用する機器の高集積化、高機能化が急速に進められており、光学系の軽量化・小型化の要求が高まっている。この要求を実現するために、高機能性ガラスを使用した非球面レンズを使用した光学設計が主流となっており、通常それらのガラスを成形可能な温度まで加熱し精密プレスして作製される。特に、近年では口径の大きなレンズには球面レンズが使用されていたが、一層の高機能化のために、より大口径の非球面レンズへと切り替わってきており、また、これらに使用される高機能性ガラスとしては、高屈折率かつ低分散特性への要求が強まっている。こうした要求に対して、従来の高屈折率かつ低分散特性を示すガラスとしては、B、Laを主成分とする種々のガラスが知られている。
しかし、これらの従来のガラスは一般に高い成形温度Tを持つという問題点があった。
成形温度Tが高いと以下のような問題が発生する。すなわち、精密プレス成形に用いられる金型には、高い面精度の加工が可能であること、成形温度で変化しない特性を持つことが必要なため、超硬合金であるWCを用い、金型とガラスを融着させないために、金型表面に離型膜としてAu等の金属等が被覆されている。しかし、離型膜が金型表面に形成されていても、成形温度が高温になるほど繰り返し使用サイクルが低下するため、より低温でのプレス成形プロセスが望まれていた。
このような成形温度Tが高いという問題点を解決するために、低い屈伏点を持つ光学ガラスとして、B、La、LiOを主成分とする種々のガラスが知られているが、いずれも化学的耐久性、耐熱失透性、低プレス成形温度特性に重点が置かれたものであり、本質的にLa等の希土類元素を多量に含有するために、キャスティングやゴブ成形等の高温成形プロセス中に失透を生じやすいという問題点があった。
また、精密プレス成形プロセスにおいては、熱収縮でプレス時の形状と最終形状が異なってしまい、高精度成形が困難になるというヒケと呼ばれる現象が生じるため、それを防ぐために低温まで非常に高い圧力をかけたまま冷却をするプロセスが一般的に用いられている。
こうした問題を解決するために、特許文献1には、B−La−Gd―ZnOを主成分とし、屈折率n=1.72〜1.83、アッベ数ν=45〜55、ガラス転移点Tが630℃以下、液相温度における粘性が0.6Pa・s、以上であるガラスが開示されているが、La−Gdの合計含有量が14mol%以上と高いため、いずれも成形温度Tが650℃よりも高く、一般的なモールド成形に適した光学ガラスとは言い難い。
成形温度Tを低下させるためには、特許文献2においてB−LiO−Gd−LaFを必須成分として、屈伏温度が570℃以下の精密プレス用光学ガラスが開示されている。しかしながら、フッ素を含有するとガラスの熱膨張係数が高くなってしまい、高屈折率かつ低分散特性を示すガラスをプレス成型する超硬金属製金型の熱膨張係数は、光学ガラスに比べて熱膨張係数が小さいため、光学ガラスとの熱膨張差により非球面レンズの最も薄いコバの部分に応力が集中することになり、冷却過程で割れてしまうという新たな問題が生じてしまう。
また、特許文献3および4には、BおよびLaを主成分とし、それぞれ屈折率n=1.65〜1.70、アッベ数ν=50〜56、屈伏点At≦630℃、および、屈折率n=1.66〜1.77、アッベ数ν=43〜55、屈伏点At≦620℃という低いプレス成形温度を持ち、高屈折率・低分散特性を示すガラスが開示されているが、この光学ガラスはプレス成形のみが優れているものを提供することを目的とするものであって、高温成形プロセス中の失透特性についてはなんら言及されていない。
特開2002−249337号公報(特許請求の範囲) 特開平3−16932号公報(課題を解決するための手段) 特開平8−59282号公報 特開平8−26766号公報
上記のような問題を解決するためには、より低い成形温度Tと金型材料に近い平均熱膨張係数αを合わせ持つガラスが望ましい。通常、ガラス融液は固化する際に結晶析出物である失透が生成するが、ある温度に保持した場合に失透が生成しない最高温度は液相温度(T)と定義される。精密プリフォーム成形を行なう場合に、ガラスの流出温度が溶融ガラスを流出させるノズルの耐熱温度以下であることが必要となるが、ノズルから流出したガラス融液から失透が生成しないために、液相温度Tはノズルの耐熱温度以下である必要があり、その温度は一般的には970℃以下である。さらに、液相温度Tが低いガラスでは、精密プリフォーム成形時の粘度域で、広い成形温度域を取れるため、成形時に失透を生じることなく、所望の形状のプリフォームを作製することが可能になる。すなわち、低い液相温度Tを持つことは、優れた失透特性を有することを意味しており、高温成形プロセスで失透が析出しないような十分に低い液相温度Tを持つガラスが望ましい。
また、大口径非球面レンズへの要求を受けて、より大きなサイズのプリフォームをこれらの成形方法で分離させることが望まれている。分離可能なプリフォームのサイズは、ガラスの比重が小さいほうが大きくなることが知られており、4.30以下の比重が必要である。本発明はこのような課題のもとで、低い液相温度Tを持つため高温成形時に優れた失透特性を有し、さらにプレス成形性に優れ、光学系の軽量化・小型化を可能にする光学ガラスおよびレンズの提供を目的とする。
本発明者らは、前記課題を検討すべく鋭意検討したところ、以下に示す光学ガラス、及び、この光学ガラスからなるレンズにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)酸化物基準の質量%表示で、B 25〜50%、ZnO 5〜25%、La 13〜25%、Gd 10〜28%、及び、LiO 1.5〜4%を含有し、屈折率(n)が1.65〜1.76であり、アッベ数(ν)が45〜60であり、ガラス転移点(T)と屈伏点(At)からなる関係式At+(At−T)/2によって定義される成形温度(T)の値が650℃以下であり、砒素、鉛およびフッ素を実質上含まない光学ガラス。
(2)酸化物基準の質量%表示で、LaとGdの合計含有量が30%以上50%以下である(1)に記載の光学ガラス。
(3)50℃から350℃までの平均熱膨張係数(α)が66×10−7−1以上84×10−7−1以下である(1)または(2)に記載の光学ガラス。
(4)比重が4.30以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の光学ガラス。
(5)液相温度(T)が970℃以下である(1)〜(4)のいずれかに記載の光学ガラス。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の光学ガラスからなるレンズ。
本発明によれば、高温成形時の失透特性およびプレス成形性に優れ、光学系の軽量化・小型化を可能にする光学ガラスおよびレンズの提供が可能になる。
本発明の光学ガラス(以下、本発明のガラスという)の成分において、Bはガラス骨格を形成し、また液相温度Tを低下させる成分であり、必須である。Bの含有量は25〜50%の範囲であればよく、25質量%(以下単に%と表記する)未満ではガラス化が困難になるか、または液相温度Tが高くなる。好ましくは30%以上である。なお、より液相温度を低くしたい場合には、好ましくは32%以上、より好ましくは34%以上である。加えてアッベ数νを49〜57に高くしたい場合にはBは35%以上であることが好ましい。Bが50%超では屈折率nが低くなる、または耐水性等の化学的耐久性が低下する。好ましくは45%以下である。屈折率nを1.69〜1.75に高くしたい場合にはBは、好ましくは43%以下、より好ましくは40%以下である。
ZnOはガラスを安定化させる成分であり、必須である。ZnOの含有量は5〜25%の範囲であればよく、5%未満ではガラスが不安定になる。好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上である。25%超ではガラスがかえって不安定になる、または化学的耐久性が低下する。好ましくは23%以下、より好ましくは21%以下である。
Laは屈折率nを高くし、化学的耐久性を向上させる成分であり、必須である。Laの含有量は13〜25%の範囲であればよく、13%未満では屈折率nが低くなる。好ましくは15%以上、より好ましくは17%以上である。25%超ではガラス化しにくくなり成形温度Tも高くなり、または液相温度Tが高くなる。好ましくは23%以下、より好ましくは21%以下である。
GdはLa同様屈折率nを高くし、化学的耐久性を向上させる成分であり、必須である。Gdの含有量は10〜28%の範囲であればよく、10%未満では屈折率nが低くなる。好ましくは15%以上、より好ましくは17%以上である。28%超ではガラス化しにくくなり成形温度Tが高くなる、または液相温度Tが高くなる。好ましくは25%以下、より好ましくは23%以下である。
LaおよびGdの含有量の合計は30%以上50%以下が望ましい。合計量が30%未満では屈折率nが低くなる、または化学的耐久性が低くなるおそれがある。好ましくは34%以上、より好ましくは36%以上である。50%超では成形温度Tが高くなり、またガラスが失透しやすくなる。好ましくは47%以下、より好ましくは45%以下である。
LiOは、ガラスを安定化させ、成形温度Tまたは溶解温度を低下させる成分であり必須である。LiOの含有量は1.5〜4%の範囲であればよく、1.5%以下では、成形温度Tもしくは溶解温度が高くなりすぎる。好ましくは1.7%以上、より好ましくは2%以上である。4%超では失透しやすくなり、化学的耐久性が低下し、或いは溶解時の揮散が激しくなるおそれがある。好ましくは3.5%以下、より好ましくは3%以下である。
本発明のガラスは砒素、鉛およびフッ素を実質上含まない。砒素、鉛は有害物質であり実質上含まないことが、環境面での負荷を減少させるからである。また、本発明のガラスがフッ素を実質上含まないのは、フッ素を含有するとガラスの熱膨張係数が上昇し成型性に悪影響を与えるからである。さらに、フッ素を含有すると環境面への負荷の増大やプリフォームの成型時の揮散による金型材料の損傷、溶解時の揮散によるガラスの不均質性の増大などを生じるからである。
尚、本発明において、“実質上含まない”とは、対象となる成分の含有量が0.0001%以下であることを意味する。
ZrOは必須ではないが、ガラスを安定化させる、屈折率nを高くする、高温成形時の失透を抑制する等のために0〜5%含有してもよい。5%超では成形温度Tが高くなりすぎる、もしくはアッベ数νが小さくなりすぎるおそれがある。好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下である。
成形時の失透を抑制したい場合、ZrOを0.2%以上含有することが好ましく、0.4%以上含有することがより好ましい。
TiOは必須ではないが、ガラスを安定化させる、屈折率nを高くする、高温成形時の失透を抑制する等のために0〜5%含有してもよい。5%超では、アッベ数νが小さくなりすぎる、もしくは透過率が低下するおそれがある。好ましくは3%以下である。
WO、Nbはいずれも必須ではないが、ガラスを安定化させる、屈折率nを高くする、高温成形時の失透を抑制する等のために0〜10%含有してもよい。10%超では、アッベ数νが小さくなりすぎる、もしくは透過率が低下するおそれがある。好ましくは7%以下である。
は必須ではないが、屈折率nを高くする、高温成形時の失透を抑制する等のために0〜10%含有してもよい。10%超ではガラスがかえって不安定になる、成形温度Tが高くなりすぎる等のおそれがある。好ましくは7%以下である。
Taは必須ではないが、ガラスを安定化させる、屈折率nを高くする、高温成形時の失透を抑制する等のために0〜16%含有してもよい。16%超では成形温度Tが高くなりすぎる、もしくはアッベ数νが小さくなりすぎるおそれがある。好ましくは13%以下、より好ましくは10%以下である。
SiOは必須ではないが、ガラスを安定化させる、高温成形時の失透を抑制する等のために0〜15%含有してもよい。15%超では成形温度Tが高くなりすぎる、もしくは屈折率nが低くなりすぎるおそれがある。好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下である。
Al、Ga、GeO、Pはいずれも必須ではないが、ガラスを安定化させる、屈折率nの調整をする等の目的で0〜10%含有してもよい。10%超ではアッベ数νが低くなりすぎるおそれがある。好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下である。
なお、SiO、Al、Ga、GeOを含有する場合には、B、SiO、Al、Ga、GeOの合計含有量が30%以上45%以下であることが望ましい。30%未満であればガラス化が困難になる、または液相温度Tが高くなる。好ましくは33%以上、より好ましくは35%以上である。また45%超では屈折率nが低くなるもしくは成形温度Tが高くなるおそれがある。好ましくは42%以下、より好ましくは40%以下である。
BaO、SrO、CaO、MgOはいずれも必須ではないが、ガラスを安定化させる、アッベ数νを大きくする、または成形温度Tを低くする、比重を小さくする等のためにそれぞれ0〜15%含有してもよい。15%超ではかえってガラスが不安定になる、または屈折率nが低くなる等のおそれがある。
なお、BaO、SrO、CaO、MgOを含有する場合には、ZnO、BaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量が10%以上30%以下であることが望ましい。10%未満ではガラスが不安定になるもしくは成形温度が高くなりすぎる。好ましくは13%以上、より好ましくは16%以上である。また30%超ではかえってガラスが不安定になる、屈折率nが低くなる、化学的耐久性が低くなる等のおそれがある。好ましくは25%以下、より好ましくは22%以下である。
高温成形時の失透をより抑制したい等の場合、B 30〜40%、ZnO 10〜20%、La 17〜21%、Gd 19〜24%、LiO 2〜3%、かつLa+Gdが36〜45%であることが好ましい。
さらに高温成形時の失透をより抑制したい場合にはZrOもしくはTiOの含有量を0.1〜4%とすることがより好ましい。
本発明のガラスは本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。そのような成分を含有する場合それら成分の含有量の合計は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、典型的には6%または5%以下である。
例えば、清澄等の目的で、Sbをたとえば0〜1%含有してもよい。また、ガラスをより安定化させたい、屈折率nまたは比重を調整したい、溶解温度をより低下させたい、等の場合、NaO、KO、RbOまたはCsOを合計で0〜5%含有してもよい。5%超ではガラスが不安定になる、屈折率nが低くなる、硬度が小さくなる、または化学的耐久性が低下するおそれがある。なお、硬度を大きくしたい、または化学的耐久性を向上させたい場合にはこれらはいずれも含有しないことが好ましい。屈折率nをより高くしたい、ガラス転移点Tをより低くしたい等の場合、SnOを0〜4%まで含有してもよい。
また、屈折率nをより高くしたい等の場合にはTeOまたはBiを合計でたとえば0〜6%含有してもよい。6%超ではガラスが不安定になる、または透過率が著しく低下するなどのおそれがある。なお、アッベ数νをより大きくしたい場合、TeOまたはBiのいずれも含有しないことが好ましい。
なお、本発明のガラスはPbO、As、TlOのいずれも含有しないことが好ましい。また、本発明のガラスはFeを含有しないことが好ましいが、通常は原料から不可避的に混入する。しかし、その場合でもFe含有量は0.0001%以下、かつ質量百分率表示でも0.0001%以下であることが好ましい。
より好ましい本発明の光学ガラスは、下記酸化物基準の質量%表示で、B 30〜45%、ZnO 10〜23%、La 15〜23%、Gd 15〜25%、LiO 1.7〜3.5%を含有し、屈折率(n)=1.65〜1.76、アッベ数(ν)=45〜60、ガラス転移点(T)と屈伏点(At)からなる関係式At+(At−T)/2によって定義される成形温度(T)の値が650℃以下であり、砒素、鉛およびフッ素を実質上含まない光学ガラスである。
本発明のガラスの屈折率nが1.65以下ではレンズの小型化のための十分な特性を得ることが困難になる。好ましくは1.67以上、より好ましくは1.68以上である。また、本発明のガラスの屈折率nが1.76超ではアッベ数νの値が小さくなりすぎる。好ましくは1.75以下、より好ましくは1.74以下、さらに好ましくは1.73以下である。本発明のガラスのアッベ数νは典型的には45以上60以下である。屈折率nが1.68〜1.74である場合、アッベ数νは典型的には47以上58以下である。
本発明のガラスの成形温度Tは650℃以下であることが好ましい。本発明における成形温度Tは、ガラス転移温度Tと屈伏点Atであらわされる関係式、At+(At−T)/2によって定義される温度である。成形温度Tが650℃超ではプレス成型では、プリフォームの成形時に揮散に夜型材の損傷や、金型の繰り返し使用サイクルが低下するなどの成型性に問題を生じるおそれがある。より好ましくは645℃以下、特に好ましくは640℃以下である。
本発明のガラスの熱膨張係数αは、ガラスをプレス成型する超硬金属製金型のαは、およそ40〜50×10−7−1であるため、この数値に近いことが望ましい。そのため本発明のガラスの熱膨張係数αは82×10−7−1以下である事が好ましい。84×10−7−1以上ではプレス成形時の割れの傾向が強くなる、もしくはヒケにより精密成形が困難になる。より好ましくは68×10−7−1以上80×10−7−1以下、さらに好ましくは69×10−7−1以上78×10−7−1以下である。本発明のガラスの比重は4.30以下であり、4.30超では所望のプリフォーム質量を得ることが困難になる。好ましくは本発明のガラスの比重は4.25以下、より好ましくは4.20以下、特に好ましくは4.10以下である。
本発明のガラスの液相温度Tは970℃以下である。液相温度Tが970℃より高い場合には、キャスティングやゴブ成形等の高温成形時の失透を抑制することが困難になる。好ましくは本発明のガラスの液相温度Tは960℃以下、より好ましくは950℃以下、特に好ましくは940℃以下である。本発明のガラスは上記のように低い液相温度Tをもつので優れた失透特性を有する。
本発明のガラスは先に述べたようなデジタルカメラ等に用いられるレンズに好適である。このようなレンズはすなわち本発明のレンズであり、典型的には本発明のガラスを加工してプリフォームとし、このプリフォームを加熱して軟化させ金型を用いてプレス成形(精密プレス)して作製される。なお、前記プリフォームは溶融状態のガラスを成形して作製してもよい。
以下、本発明の具体的な態様を実施例(例1〜33)および比較例(例34〜36)により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1〜6のBからTiOまたはSbまでの欄に質量%表示で示す組成のガラスが得られるように原料を調合して白金製るつぼに入れ、1100〜1300℃で1時間溶解した。この際白金製スターラにより0.5時間撹拌して溶融ガラスを均質化した。均質化された溶融ガラスは流し出して板状に成形後、ガラス転移点T+10℃の温度で4時間保持後、−1℃/minの冷却速度で室温まで徐冷を行った。
原料としては、関東化学社製の特級の酸化ホウ素、炭酸リチウム、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化アンチモン、信越化学工業社製の純度99.9%酸化ランタン、酸化ガドリニウム、高純度化学研究所社製の純度99.9%以上の酸化タンタル、二酸化珪素、酸化アルミニウムを使用した。
得られたガラスについて、ガラス転移点T、屈伏点At(単位:℃)、50〜300℃における平均線膨張係数α(単位:10−7−1)、波長587.6nm(d線)における屈折率n、アッベ数ν、液相温度T(単位:℃)、および比重dを測定した。T、At、α、n、ν、T、dの測定法を以下に述べる。
、At、α:直径5mm、長さ20mmの円柱状に加工したサンプルを、マックサイエンス社製熱機械分析装置DILATOMETER5000(商品名)を用いて5℃/分の昇温速度で測定した。
、ν:一辺が20mm、厚みが10mmの直方体形状に加工したサンプルを、屈折率計(カルニュー光学社製、商品名:KPR−2)により測定した。尚、測定値は小数点以下5桁目まで求め、屈折率nについては小数点以下3桁目を四捨五入して記載し、アッベ数νについては小数点以下2桁目を四捨五入して記載した。
:1辺が10mmの立方体形状に加工したサンプルを白金製の皿に載せ、一定温度に設定した電気炉内で1時間静置した後に取り出したものを10倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の析出が見られない最高温度をTとした。
d:一辺が20mm、厚みが10mmの直方体形状に加工したサンプルを、比重計(島津製作所製、商品名:SGM300P)を用いて測定した。
失透特性として、970℃に1時間保持した後に失透の析出が見られない良好なものを○、見られたものを×とした。
Figure 2007099857
Figure 2007099857
Figure 2007099857
Figure 2007099857
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Figure 2007099857
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2006年2月24日出願の日本特許出願(特願2006−047929)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の光学ガラスは、デジタルカメラ等の光学レンズに利用できる。

Claims (6)

  1. 酸化物基準の質量%表示で、
    25〜50%、
    ZnO 5〜25%、
    La 13〜25%、
    Gd 10〜28%、及び、
    LiO 1.5〜4%を含有し、
    屈折率(n)が1.65〜1.76であり、
    アッベ数(ν)が45〜60であり、
    ガラス転移点(T)と屈伏点(At)からなる関係式At+(At−T)/2によって定義される成形温度(T)の値が650℃以下であり、
    砒素、鉛およびフッ素を実質上含まない光学ガラス。
  2. 酸化物基準の質量%表示で、LaとGdの合計含有量が30%以上50%以下である請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 50℃から350℃までの平均熱膨張係数(α)が66×10−7−1以上84×10−7−1以下である請求項1または2に記載の光学ガラス。
  4. 比重が4.30以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. 液相温度(T)が970℃以下である請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラスからなるレンズ。
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