JPWO2007099711A1 - 分化誘導剤 - Google Patents
分化誘導剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2007099711A1 JPWO2007099711A1 JP2008502669A JP2008502669A JPWO2007099711A1 JP WO2007099711 A1 JPWO2007099711 A1 JP WO2007099711A1 JP 2008502669 A JP2008502669 A JP 2008502669A JP 2008502669 A JP2008502669 A JP 2008502669A JP WO2007099711 A1 JPWO2007099711 A1 JP WO2007099711A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bone marrow
- differentiation
- cells
- heparin
- liver
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N5/00—Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
- C12N5/06—Animal cells or tissues; Human cells or tissues
- C12N5/0602—Vertebrate cells
- C12N5/069—Vascular Endothelial cells
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P1/00—Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
- A61P1/16—Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system for liver or gallbladder disorders, e.g. hepatoprotective agents, cholagogues, litholytics
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P43/00—Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L5/00—Compositions of polysaccharides or of their derivatives not provided for in groups C08L1/00 or C08L3/00
- C08L5/10—Heparin; Derivatives thereof
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2501/00—Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
- C12N2501/90—Polysaccharides
- C12N2501/91—Heparin
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2506/00—Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells
- C12N2506/13—Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells from connective tissue cells, from mesenchymal cells
- C12N2506/1346—Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells from connective tissue cells, from mesenchymal cells from mesenchymal stem cells
- C12N2506/1353—Differentiation of animal cells from one lineage to another; Differentiation of pluripotent cells from connective tissue cells, from mesenchymal cells from mesenchymal stem cells from bone marrow mesenchymal stem cells (BM-MSC)
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Public Health (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Zoology (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Vascular Medicine (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤を提供すること。ヘパリンまたはその塩を有効成分とする骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤。
Description
本発明は、分化誘導剤、特に骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤に関する。
内皮細胞は、血管やリンパ管の内壁をなす細胞であり、このうち血管内皮細胞は、血液と血管壁との接点に位置し、物質の透過性を制御する役割を担うとともに、血液と組織との情報伝達の役割を担っている。これら内皮細胞は、高脂血症、高血圧症、糖尿病などの疾患によって損傷を受けることが知られており、修復方法の研究がされている。
とりわけ、肝類洞内皮細胞は免疫応答・炎症制御、微小循環制御、物質交換などを介して、肝機能発現に重要な貢献をなしている。類洞内皮細胞は、ハイポキシアや障害因子に極めて脆弱であり、その機能障害や細胞死による損失は、慢性肝炎、肝硬変、劇症肝不全、肝癌、移植後のグラフト障害など主要な肝疾患においてその病態惹起機序の中心的な役割を果たしている(非特許文献1〜3)。
一方、骨髄細胞は、さまざまな臓器における未成熟細胞の起源となることが示唆されており(非特許文献4〜6)、近年肝臓などの組織においては、移植した骨髄細胞から分化させて再生させることが検討されている(非特許文献7〜9)。
これらの背景から、骨髄由来細胞の分化誘導を用いることにより、損傷した類洞内皮細胞を正所性に再生することが可能になれば、現在有効な治療法が存在しない肝硬変、劇症肝炎など難治性肝疾患の画期的な治療法になることが期待される。
とりわけ、肝類洞内皮細胞は免疫応答・炎症制御、微小循環制御、物質交換などを介して、肝機能発現に重要な貢献をなしている。類洞内皮細胞は、ハイポキシアや障害因子に極めて脆弱であり、その機能障害や細胞死による損失は、慢性肝炎、肝硬変、劇症肝不全、肝癌、移植後のグラフト障害など主要な肝疾患においてその病態惹起機序の中心的な役割を果たしている(非特許文献1〜3)。
一方、骨髄細胞は、さまざまな臓器における未成熟細胞の起源となることが示唆されており(非特許文献4〜6)、近年肝臓などの組織においては、移植した骨髄細胞から分化させて再生させることが検討されている(非特許文献7〜9)。
これらの背景から、骨髄由来細胞の分化誘導を用いることにより、損傷した類洞内皮細胞を正所性に再生することが可能になれば、現在有効な治療法が存在しない肝硬変、劇症肝炎など難治性肝疾患の画期的な治療法になることが期待される。
一方、ヘパリンは、肝臓、小腸、肺、皮膚などに存在する複雑な構造をもつヘテロ多糖であり、強い血液抗凝固活性を有することから、汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)の治療、種々の血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症、術中・術後の血栓塞栓症など)の治療および予防のほか、血液透析・人工心肺などの体外循環装置使用時や血管カテーテル挿入時または輸血および血液検査の際などにおける血液凝固の防止に用いられている。また、ヘパリンの投与により、肝細胞や類洞内皮細胞の増殖因子である肝細胞成長因子(HGF)の発現を上昇させ、肝再生を促進させることが報告されている(非特許文献10〜12)。しかしながら、通常の肝再生においては、既存の肝細胞の複製のみが行われ、骨髄細胞からの分化は稀であり、骨髄細胞の分化との関係については何ら知られていない。
Takei Y, et al. Targeted gene delivery to sinusoidal endothelial cells:DNA nanoassociate bearing hyaluronan−glycocalyx. FASEB J, 2004;18:699−701.(10.1096/fj.03−0494fje).
Bach FH, Robson SC, Winkler H, et al. Barriers to xenotransplantation. Nature Med 1995;1:869−873
Mochida, S., Ogata, I., Hirata, K., Ohta, Y., Yamada, S., and Fujiwara, K.(1990) Provocation of massive hepatic necrosis by endotoxin after partial hepatectomy in rats. Gastroenterology 99, 771-777
Krause DS, et al. Cell 2001;105:369−77.
Tanaka R, et al. Neuroscience 2003;117:531−9.
Jackson KA, et al. J Clin Invest 2001;107:1395−402.
Fujii H, et al. J Hepatol 2002;36:653−9.
Ferry N, et al. J Hepatol 2002;36:659−7.
Grompe M. Semin Liver 2003;23:363−72.
Matsumoto K, et al. Biochem Biophys Res Commun 1996;227:455−61.
Nakao T, et al. J Hepatol 2002;37:87−92.
Ishii T, et al. J Biochem(Tokyo) 1995;117:1105−12.
したがって、本発明の目的は、骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討したところ、従来血液凝固阻止剤などとして用いられていたヘパリンまたはその塩が、骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導を顕著に促進させることを見出した。
すなわち、本発明は、ヘパリンまたはその塩を有効成分とする骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤を提供するものであり;ヘパリンまたはその塩を有効量投与することを特徴とする骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導方法を提供するものであり;骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤の製造のためのヘパリンまたはその塩の使用を提供するものである。
ヘパリンまたはその塩は、骨髄細胞から内皮細胞への分化を誘導する作用を有することから、骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤の有効成分として用いることができる。本発明の分化誘導剤を用いれば、in vitroでの骨髄細胞から内皮細胞への分化を効率的に行うことができるほか、生体内に投与することにより、内皮細胞に障害のある器官の再生に供することができる。本発明の分化誘導剤は、特に、炎症などの疾患を発症している対象組織に骨髄細胞を移植したのち用いることにより、内皮細胞への優れた分化誘導効果が得られる。
本発明の分化誘導剤に用いられるヘパリンとしては、例えば、健康な食用獣(例えば、ウシ、ブタ等)の肝臓、肺あるいは腸粘膜から得られ、ウロン酸とグルコサミンが交互に1,4結合した構造を有し、5000〜20000の平均分子量からなるムコ多糖類の硫酸エステルが挙げられる。また、ヘパリンとしては、優れた分化誘導効率が得られる点から、低分子ヘパリンが好ましい。低分子ヘパリンとしては、平均分子量2000〜10000のものが挙げられる。低分子ヘパリンとしては、出血等のリスクが低いため安全性が高く、また、分化誘導促進活性に優れている点から、平均相対分子量が約5000で、90%が分子量2000〜9000の範囲に分布し、硫酸エステル化の度合が二糖当たり2〜2.5であるダルテパリンが好ましい。ヘパリンの塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩等が例示される。
ヘパリンは既に医薬・化粧品原料として開発されており市販品を利用することができるが、ヘパリンの調製は、第14日本薬局方に開示された方法等に準じた方法により行うことができる。低分子ヘパリンは、ウシまたはブタ腸粘膜由来のヘパリンを過酸化水素と硫酸第二銅により分解して得ることができる。
後記実施例に示すとおり、ヘパリンは、四塩化炭素肝障害モデルマウスにおいて、骨髄細胞から内皮細胞への分化を誘導した。したがって、ヘパリンは、骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤の有効成分として用いることができる。従来ヘパリンは、肝細胞成長因子(HGF)の発現を上昇させ、それにより肝実質細胞や類洞内皮細胞などの非実質細胞を増殖させることが報告されている。しかしながら、通常の肝再生においては、既存の肝細胞の複製のみが行われ、骨髄細胞からの分化は稀であり骨髄細胞の分化との関係については何ら知られておらず、ヘパリンが骨髄細胞の分化を誘導することは意外なことである。
本発明の分化誘導剤は、生体内における骨髄細胞の他、生体内から分離されin vitroの系で培養される骨髄細胞からの分化誘導に用いられるが、生体内における骨髄細胞の分化誘導に好適に用いられる。
また、本発明の分化誘導剤は、生体が本来有する骨髄細胞からの分化誘導、および対象組織に移植された骨髄細胞の分化誘導に用いることができ、このうち、高い分化誘導効率が得られ疾患の治療効果に優れる点から、対象組織に移植された骨髄細胞の分化誘導に好適に用いられる。この場合、本発明の分化誘導剤は、移植後にヘパリンまたはその塩を投与するのが好ましい。
本発明の分化誘導剤は、ヘパリンまたはその塩により優れた分化誘導効率が得られる点から、骨髄細胞が移植される対象組織が肝臓である場合に好適に用いられる。また、骨髄細胞が移植される臓器は、炎症等の疾患を発症している場合に好適に用いられる。臓器が肝臓の場合、疾患としては、劇症肝炎、慢性肝炎等の肝炎、肝硬変などの終末期肝疾患、肝臓癌が挙げられ、肝炎を発症している場合に好適に用いられる。肝炎を発症している肝臓に対して用いた場合、本発明の分化誘導剤により、肝臓の類洞内皮細胞への分化を誘導することもできる。肝臓に移植された骨髄細胞は、肝実質細胞などに分化することも報告されているが、本発明の分化誘導剤により、類洞内皮細胞への分化を誘導することもできる。
また、本発明の分化誘導剤は、生体が本来有する骨髄細胞からの分化誘導、および対象組織に移植された骨髄細胞の分化誘導に用いることができ、このうち、高い分化誘導効率が得られ疾患の治療効果に優れる点から、対象組織に移植された骨髄細胞の分化誘導に好適に用いられる。この場合、本発明の分化誘導剤は、移植後にヘパリンまたはその塩を投与するのが好ましい。
本発明の分化誘導剤は、ヘパリンまたはその塩により優れた分化誘導効率が得られる点から、骨髄細胞が移植される対象組織が肝臓である場合に好適に用いられる。また、骨髄細胞が移植される臓器は、炎症等の疾患を発症している場合に好適に用いられる。臓器が肝臓の場合、疾患としては、劇症肝炎、慢性肝炎等の肝炎、肝硬変などの終末期肝疾患、肝臓癌が挙げられ、肝炎を発症している場合に好適に用いられる。肝炎を発症している肝臓に対して用いた場合、本発明の分化誘導剤により、肝臓の類洞内皮細胞への分化を誘導することもできる。肝臓に移植された骨髄細胞は、肝実質細胞などに分化することも報告されているが、本発明の分化誘導剤により、類洞内皮細胞への分化を誘導することもできる。
本発明の分化誘導剤が用いられる対象としては、例えば、ヒト、マウス、ラットなどの哺乳類が挙げられる。
本発明の分化誘導剤は、一般的な医薬製剤の形態で用いられるが、その代表的なものとして、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
注射剤として調製する場合、液剤、乳剤および懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であることが好ましく、これらの形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているもの、例えば水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用することができる。この場合等張性の溶液を調製するのに必要な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを医薬製剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
本発明のこれら医薬製剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度およびその他の条件により適宜選択されるが、通常ヘパリンの質量として、体重1kg当り、一日約5I.U./Kg〜100I.U./Kgを1時間〜24時間で注入するのがよい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
参考例1 GFP陽性骨髄細胞の調製
8週齢GFPトランスジェニックマウス(Okabe M, et al. FEBS Lett 1997;407:313−9)を、5−フルオロウラシル(150μg/g BW)で処理し、増殖細胞を破壊した。48時間後、頚椎脱臼により屠殺し四肢を除去したのち、28G針を用いてダルベッコ修正イーグル培地(GIBCO, Grand Island, New York)により洗い出し、大腿骨、頚骨髄腔からGFP陽性骨髄細胞を得た。
8週齢GFPトランスジェニックマウス(Okabe M, et al. FEBS Lett 1997;407:313−9)を、5−フルオロウラシル(150μg/g BW)で処理し、増殖細胞を破壊した。48時間後、頚椎脱臼により屠殺し四肢を除去したのち、28G針を用いてダルベッコ修正イーグル培地(GIBCO, Grand Island, New York)により洗い出し、大腿骨、頚骨髄腔からGFP陽性骨髄細胞を得た。
実施例1 骨髄移植された肝炎発症マウスからの肝小葉組織の調製
〔肝炎発症マウスへの骨髄移植〕
メス8週齢C57/B6マウス(日本チャールズリバー(株))に、個体1kgあたり0.2mlの四塩化炭素を、4週間にわたり週2回の頻度で投与した。4週間の四塩化炭素投与後のマウスの全身に、致死量のX線(10Gy)を照射したのち、参考例1で得られた1×107のGFP陽性骨髄細胞を、31Gの針で尾静脈に注入し、骨髄移植を行った。骨髄移植された一部の群のマウスに、骨髄移植の翌日からダルテパリンナトリウム50IU/kgを28日間連続腹腔内投与し、四塩化炭素+ダルテパリンナトリウム投与群とした。ダルテパリンナトリウムを投与しなかったマウスは、四塩化炭素投与群とした。また、四塩化炭素を投入していないC57/B6マウスに対して、上と同様にして1×107のGFP陽性骨髄細胞を注入して骨髄移植したものを用意し、コントロール群とした。
〔肝小葉組織の調製〕
それぞれの群のマウスについて、PBS(phosphate buffered saline)バッファーによって心臓経由で肝臓をかん流し、肝臓中に混入した血液細胞を除去した。かん流した肝臓を、4%パラホルムアルデヒドによって一晩固定したのち、数日間30%スクロースで処理した。得られた肝臓組織をパウダードライアイスで凍結させ、低温保持装置(LEICA CM 1900、(株)FINETEC)によって18μmの組織切片とした。
四塩化炭素投与群の組織のHE(ヘマトキシリン エオシン)染色像、アザン染色像の代表的な顕微鏡写真を、それぞれ図1a、図1bに示す。図1aに示すとおり、炎症細胞の浸潤は認められなかったが、図1bのように、肝組織の線維化が認められ、肝障害が起こっていることが確かめられた。
〔肝炎発症マウスへの骨髄移植〕
メス8週齢C57/B6マウス(日本チャールズリバー(株))に、個体1kgあたり0.2mlの四塩化炭素を、4週間にわたり週2回の頻度で投与した。4週間の四塩化炭素投与後のマウスの全身に、致死量のX線(10Gy)を照射したのち、参考例1で得られた1×107のGFP陽性骨髄細胞を、31Gの針で尾静脈に注入し、骨髄移植を行った。骨髄移植された一部の群のマウスに、骨髄移植の翌日からダルテパリンナトリウム50IU/kgを28日間連続腹腔内投与し、四塩化炭素+ダルテパリンナトリウム投与群とした。ダルテパリンナトリウムを投与しなかったマウスは、四塩化炭素投与群とした。また、四塩化炭素を投入していないC57/B6マウスに対して、上と同様にして1×107のGFP陽性骨髄細胞を注入して骨髄移植したものを用意し、コントロール群とした。
〔肝小葉組織の調製〕
それぞれの群のマウスについて、PBS(phosphate buffered saline)バッファーによって心臓経由で肝臓をかん流し、肝臓中に混入した血液細胞を除去した。かん流した肝臓を、4%パラホルムアルデヒドによって一晩固定したのち、数日間30%スクロースで処理した。得られた肝臓組織をパウダードライアイスで凍結させ、低温保持装置(LEICA CM 1900、(株)FINETEC)によって18μmの組織切片とした。
四塩化炭素投与群の組織のHE(ヘマトキシリン エオシン)染色像、アザン染色像の代表的な顕微鏡写真を、それぞれ図1a、図1bに示す。図1aに示すとおり、炎症細胞の浸潤は認められなかったが、図1bのように、肝組織の線維化が認められ、肝障害が起こっていることが確かめられた。
実施例2 GFP陽性細胞、CD31陽性細胞の観察
得られた組織の抗GFP抗体染色像、および抗CD31抗体染色像を観察した。すなわち、得られた組織切片をPBSバッファーによって3回洗浄したのち、10%ヤギ血清に1時間浸漬した。血清を洗浄後、抗GFP抗体(Santa Cruz Biotechnology社)で1時間処理し、続いて、TRITCヤギ抗IgG抗体(Santa Cruz Biotechnology社)を37℃で1時間培養し、2次抗体処理した。顕微鏡観察は、1%ゼラチン/生理食塩液を載せたスライドガラス上で行った。また、抗CD31抗体染色像も、抗GFP抗体の代わりに抗CD31抗体(BD Bioscience社)を用いた他は同様の手法により得た。
得られた組織の抗GFP抗体染色像、および抗CD31抗体染色像を観察した。すなわち、得られた組織切片をPBSバッファーによって3回洗浄したのち、10%ヤギ血清に1時間浸漬した。血清を洗浄後、抗GFP抗体(Santa Cruz Biotechnology社)で1時間処理し、続いて、TRITCヤギ抗IgG抗体(Santa Cruz Biotechnology社)を37℃で1時間培養し、2次抗体処理した。顕微鏡観察は、1%ゼラチン/生理食塩液を載せたスライドガラス上で行った。また、抗CD31抗体染色像も、抗GFP抗体の代わりに抗CD31抗体(BD Bioscience社)を用いた他は同様の手法により得た。
〔コントロール群〕
コントロール群由来の組織の染色像を図3に示す。図3a、dは、抗GFP抗体染色像を示す。また、図3dで示す領域における抗CD31抗体(内皮細胞マーカー)染色像を、図3cに示す。図3bは、これら抗GFP抗体染色像と抗CD31抗体染色像を重ね合わせた像である。これらに示されるように、GFP陽性細胞はわずかに観察されたが、GFP陽性でありかつCD31陽性である細胞は、ほとんど見られなかった。
コントロール群由来の組織の染色像を図3に示す。図3a、dは、抗GFP抗体染色像を示す。また、図3dで示す領域における抗CD31抗体(内皮細胞マーカー)染色像を、図3cに示す。図3bは、これら抗GFP抗体染色像と抗CD31抗体染色像を重ね合わせた像である。これらに示されるように、GFP陽性細胞はわずかに観察されたが、GFP陽性でありかつCD31陽性である細胞は、ほとんど見られなかった。
〔四塩化炭素投与群〕
四塩化炭素投与群における組織の抗GFP抗体染色像を、図2、図4a、図4dに示す。図2、図4a、図4dに示されるとおり、肝小葉におけるGFP陽性細胞の大半の細胞は、門脈域から中心静脈域にかけて、網目構造状に広がっており、肝実質細胞の中にはほとんど観察されなかった。このことから、GFP陽性細胞は類洞内皮細胞に密接に関係すると考えられる。
また、内皮細胞マーカーである抗CD31抗体染色像を図4cに示し、同領域の抗GFP抗体染色像(図4d)との重ね合わせた像を図4bに示す。図4b中の矢印は、GFP陽性であるとともにCD31陽性である細胞を示す。これらに示されるように、GFP陽性細胞の大半が、CD31陽性であった。このことから、移植された骨髄細胞は、類洞内皮細胞に特異的に分化したものと考えられる。
四塩化炭素投与群における組織の抗GFP抗体染色像を、図2、図4a、図4dに示す。図2、図4a、図4dに示されるとおり、肝小葉におけるGFP陽性細胞の大半の細胞は、門脈域から中心静脈域にかけて、網目構造状に広がっており、肝実質細胞の中にはほとんど観察されなかった。このことから、GFP陽性細胞は類洞内皮細胞に密接に関係すると考えられる。
また、内皮細胞マーカーである抗CD31抗体染色像を図4cに示し、同領域の抗GFP抗体染色像(図4d)との重ね合わせた像を図4bに示す。図4b中の矢印は、GFP陽性であるとともにCD31陽性である細胞を示す。これらに示されるように、GFP陽性細胞の大半が、CD31陽性であった。このことから、移植された骨髄細胞は、類洞内皮細胞に特異的に分化したものと考えられる。
〔四塩化炭素+ダルテパリンナトリウム投与群〕
四塩化炭素投与群における組織の抗GFP抗体染色像および抗CD31抗体染色像を、図5に示す。図5a、dは抗GFP抗体染色像を、図5cは抗CD31抗体染色像を、図5bは図5dと図5cとの重ね合わせた像である。これらに示されるように、四塩化炭素投与群に比べて、GFP陽性細胞の顕著な増加が観察された。また、GFP陽性細胞の大半は、CD31陽性であった。
四塩化炭素投与群における組織の抗GFP抗体染色像および抗CD31抗体染色像を、図5に示す。図5a、dは抗GFP抗体染色像を、図5cは抗CD31抗体染色像を、図5bは図5dと図5cとの重ね合わせた像である。これらに示されるように、四塩化炭素投与群に比べて、GFP陽性細胞の顕著な増加が観察された。また、GFP陽性細胞の大半は、CD31陽性であった。
〔分化誘導効率の定量的比較〕
得られた染色像をもとに、GFP陽性かつCD31陽性細胞(GFP+CD31+細胞)の単位領域中における数を求め、上の3群間で比較した(図6)。図6に示されるように、コントロール群では1領域あたり1.0±1.2ときわめて少数であったのに対し、四塩化炭素投与群では1領域あたり3.8±1.3と多数であった。また、四塩化炭素+ダルテパリンナトリウム投与群では1領域あたり8.3±1.3であり、骨髄細胞から分化した類洞内皮細胞数の顕著な増加が観察された(四塩化炭素投与群との対比でp<0.05)。以上のことから、肝炎を発症した肝臓に骨髄細胞を移植した場合、類洞内皮細胞に分化することが明らかになり、また、ダルテパリンナトリウムの投与により、この分化誘導効率が顕著に上昇することが明らかになった。
得られた染色像をもとに、GFP陽性かつCD31陽性細胞(GFP+CD31+細胞)の単位領域中における数を求め、上の3群間で比較した(図6)。図6に示されるように、コントロール群では1領域あたり1.0±1.2ときわめて少数であったのに対し、四塩化炭素投与群では1領域あたり3.8±1.3と多数であった。また、四塩化炭素+ダルテパリンナトリウム投与群では1領域あたり8.3±1.3であり、骨髄細胞から分化した類洞内皮細胞数の顕著な増加が観察された(四塩化炭素投与群との対比でp<0.05)。以上のことから、肝炎を発症した肝臓に骨髄細胞を移植した場合、類洞内皮細胞に分化することが明らかになり、また、ダルテパリンナトリウムの投与により、この分化誘導効率が顕著に上昇することが明らかになった。
Claims (21)
- ヘパリンまたはその塩を有効成分とする骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤。
- ヘパリンが低分子ヘパリンである請求項1記載の分化誘導剤。
- 骨髄細胞が、移植された骨髄細胞である請求項1または2記載の分化誘導剤。
- 対象組織に骨髄細胞を移植した後、ヘパリンまたはその塩を投与するものである請求項3記載の分化誘導剤。
- 対象組織が肝臓である請求項4記載の分化誘導剤。
- 対象組織が肝炎を発症している肝臓である請求項5記載の分化誘導剤。
- 内皮細胞が、肝類洞内皮細胞である請求項1〜6のいずれか1項記載の分化誘導剤。
- ヘパリンまたはその塩を有効量投与することを特徴とする骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導方法。
- ヘパリンが低分子ヘパリンである請求項8記載の分化誘導方法。
- 骨髄細胞が、移植された骨髄細胞である請求項8または9記載の分化誘導方法。
- 対象組織に骨髄細胞を移植した後、ヘパリンまたはその塩を投与するものである請求項10記載の分化誘導方法。
- 対象組織が肝臓である請求項11記載の分化誘導方法。
- 対象組織が肝炎を発症している肝臓である請求項12記載の分化誘導方法。
- 内皮細胞が、肝類洞内皮細胞である請求項8〜13のいずれか1項記載の分化誘導方法。
- 骨髄細胞から内皮細胞への分化誘導剤の製造のためのヘパリンまたはその塩の使用。
- ヘパリンが低分子ヘパリンである請求項15記載の使用。
- 骨髄細胞が、移植された骨髄細胞である請求項15または16記載の使用。
- 対象組織に骨髄細胞を移植した後、ヘパリンまたはその塩を投与するものである請求項17記載の使用。
- 対象組織が肝臓である請求項18記載の使用。
- 対象組織が肝炎を発症している肝臓である請求項19記載の使用。
- 内皮細胞が、肝類洞内皮細胞である請求項15〜20のいずれか1項記載の使用。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006053683 | 2006-02-28 | ||
JP2006053683 | 2006-02-28 | ||
PCT/JP2007/000141 WO2007099711A1 (ja) | 2006-02-28 | 2007-02-28 | 分化誘導剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2007099711A1 true JPWO2007099711A1 (ja) | 2009-07-16 |
Family
ID=38458832
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008502669A Pending JPWO2007099711A1 (ja) | 2006-02-28 | 2007-02-28 | 分化誘導剤 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPWO2007099711A1 (ja) |
WO (1) | WO2007099711A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2603579B1 (en) * | 2010-08-12 | 2015-07-01 | ABAG Verwaltungs GmbH | Method for producing cells having characteristics of hepatocytes |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2557884C (en) * | 2004-03-09 | 2011-12-06 | Tohoku Technoarch Co., Ltd. | An agent for promoting induction of vascular differentiation, comprising hepatocyte growth factor |
-
2007
- 2007-02-28 WO PCT/JP2007/000141 patent/WO2007099711A1/ja active Search and Examination
- 2007-02-28 JP JP2008502669A patent/JPWO2007099711A1/ja active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2007099711A1 (ja) | 2007-09-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Terai et al. | Status of and candidates for cell therapy in liver cirrhosis: overcoming the “point of no return” in advanced liver cirrhosis | |
Kudo et al. | Autologous transplantation of peripheral blood endothelial progenitor cells (CD34^ sup+^) for therapeutic angiogenesis in patients with critical limb ischemia | |
Callow et al. | Platelet—arterial synthetic graft interaction and its modification | |
Rojas et al. | Human adult bone marrow-derived stem cells decrease severity of lipopolysaccharide-induced acute respiratory distress syndrome in sheep | |
RU2010114044A (ru) | Применение белка полосы 3 (824-829) и/или фактора ингибирования высвобождения меланотропина в качестве терапевтического средства при лечении инфекции pseudomonas aeruginosa | |
EP1880721A1 (en) | Agent for improving circulatory disorder | |
JPH0418028A (ja) | 肝硬変治療剤 | |
KR20120005025A (ko) | 허혈 재관류 관련 부종 치료방법 | |
US11351190B2 (en) | Composition for treating tissue lesions | |
JP2021046440A (ja) | 急性呼吸促迫症候群治療剤 | |
Pawlaczyk et al. | Animal models of peritoneal dialysis: thirty years of our own experience | |
JP5562939B2 (ja) | アクチン細胞骨格再編成及び細胞間ギャップ形成調節の方法 | |
JPWO2004100972A1 (ja) | 組織破壊を伴う疾患の予防及び/または治療剤 | |
Zhou et al. | Protective effect of ginsenoside Rb1 nanoparticles against contrast-induced nephropathy by inhibiting high mobility group box 1 Gene/toll-like receptor 4/NF-κB signaling pathway | |
JPH09176040A (ja) | ヘパリンコファクターiiの医薬用途 | |
Tomizawa et al. | The effects of a neutrophil elastase inhibitor (ONO-5046· Na) and neutrophil depletion using a granulotrap (G-1) column on lung reperfusion injury in dogs | |
JPWO2007099711A1 (ja) | 分化誘導剤 | |
RU2010114035A (ru) | Применение rfrp индивидуально или в комбинации с нейрокинином в в качестве терапевтического средства | |
WO2007102562A1 (ja) | 新規抗血栓薬 | |
CA2253629A1 (en) | Agent for preventing and/or treating cachexia | |
KR101144687B1 (ko) | G-csf 를 함유하는 선유아세포 동원제 및 창상 치료제 | |
ES2289795T3 (es) | Preparacion para administracion intravenosa continua. | |
KR20200132550A (ko) | 편도 유래 중간엽 줄기세포 또는 이의 조정 배지를 포함하는 혈관질환 예방 또는 치료용 조성물 | |
RU2489168C1 (ru) | Фармацевтическая композиция, продуцирующая антиоксидантный, антимикробный, антитоксический белок - лактоферрин человека, способ ее получения и способ терапии | |
JP5098018B2 (ja) | 肝炎治療剤 |