JPWO2007097435A1 - コンクリート硬化体及びコンクリート組成物 - Google Patents

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Abstract

コンクリート硬化体は、カルシウムサルホアルミネートを3〜60質量%及び無水石膏を1〜40質量%含むカルシウムサルホアルミネート組成物100質量部に対して、比表面積が1000〜4000cm2/gの炭酸リチウムを0.1〜3.0質量部含む水硬性組成物と、3CaO・SiO2-2CaO・SiO2-CaO-間隙物質系組成物、3CaO・SiO2-CaO-間隙物質系組成物、2CaO・SiO2-CaO-間隙物質系組成物、及びCaO-間隙物質系組成物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組成物を含み、かつCaOの含有割合が50〜92質量%であるクリンカ組成物、及び石膏を含む膨張性混和材とを含む配合物を硬化させてなるものである。このようなコンクリート硬化体であれば、急速な強度の発現を伴いつつ高い強度を有するとともに、自己収縮や乾燥収縮等による収縮ひずみを低減することができ、収縮ひずみによるひび割れ等を防止することができる。

Description

本発明は、コンクリート硬化体及びコンクリート組成物に関し、特に、収縮が抑制されたコンクリート硬化体、及び当該硬化体を製造するためのコンクリート組成物に関する。
セメント等の水硬性組成物は、その水和反応に伴い硬化し、硬化後のコンクリートは、自己収縮や乾燥収縮等により収縮して、収縮ひずみを生じる。特に、カルシウムサルホアルミネート(3CaO・3Al・CaSO)系の水硬性組成物は、水和反応により急速に硬化する性質を有するため、急速な水和反応により、コンクリート硬化体の収縮ひずみ量がより大きくなる。
コンクリート硬化体に収縮ひずみが生じると、それによりひび割れが生じることがある。発生したひび割れは、コンクリート硬化体の美観を損なうだけではなく、コンクリート硬化体中の鋼材の腐食やコンクリート硬化体の水密性の低下を招いたり、コンクリート硬化体の強度が低下したりすることになる。このようなコンクリート硬化体の収縮ひずみを抑制するために、従来、収縮低減剤や膨張材を添加したコンクリートが提案されている。
急速に硬化するセメント等の水硬性組成物に膨張材を添加して硬化させたコンクリート硬化体は、その硬化体の収縮によるひずみ量を低減させる効果は十分ではなかった。そのため、完全には収縮を抑制することはできず、それにより依然としてコンクリートにひび割れが生じてしまうという問題があった。また、水硬性組成物に収縮低減剤を添加して硬化させたコンクリート硬化体は、収縮低減剤が高価であり、コンクリート硬化体の製造にコストがかかってしまうとともに、完全には収縮を抑制することはできないという問題があった。
このような実情に鑑みて、本発明は、急速な強度の発現を伴いつつ高い強度を有するとともに、自己収縮や乾燥収縮等による収縮ひずみを低減することができ、収縮ひずみによるひび割れ等の発生を防止することのできるコンクリート硬化体、及び当該コンクリート硬化体を製造することのできるコンクリート組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、カルシウムサルホアルミネート(3CaO・3Al・CaSO)を3〜60質量%及び無水石膏を1〜40質量%含むカルシウムサルホアルミネート組成物100質量部に対して、比表面積が1000〜4000cm/gの炭酸リチウムを0.1〜3.0質量部含む水硬性組成物と、3CaO・SiO−2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、3CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、及びCaO−間隙物質系組成物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組成物を含み、かつCaOの含有割合が50〜92質量%であるクリンカ組成物、及び石膏を含む膨張性混和材とを含む配合物を硬化させてなることを特徴とするコンクリート硬化体を提供する(発明1)。
上記コンクリート硬化体は、水硬性組成物中のカルシウムサルホアルミネートにより、早期に強度を発現することができ、比表面積が1000〜4000cm/gの炭酸リチウムにより、収縮ひずみ量を低減することができる。また、膨張性混和材中の石膏(CaSO)とカルシウムアルミネート(特に、アルミン酸三カルシウム(CA))との反応により、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)が生成され、このエトリンガイトにより、コンクリート硬化体の収縮を抑制することができる。したがって、上記発明(発明1)によれば、自己収縮や乾燥収縮等の収縮を抑制することができ、収縮ひずみによるひび割れの発生を防止することができる。
ここで、本発明において「3CaO・SiO−2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物」とは、0.5質量%以上のエーライト(3CaO・SiO)と、0.5質量%以上のビーライト(2CaO・SiO)と、CaO結晶と、間隙物質とを含有する組成物をいう。
また、本発明において「3CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物」とは、0.5質量%以上のエーライト(3CaO・SiO)と、CaO結晶と、間隙物質とを含有し、ビーライト(2CaO・SiO)の含有率が0.5質量%未満の組成物をいう。
さらに、本発明において「2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物」とは、0.5質量%以上のビーライト(2CaO・SiO)と、CaO結晶と、間隙物質とを含有し、エーライト(3CaO・SiO)の含有率が0.5質量%未満の組成物をいう。
さらにまた、本発明において「CaO−間隙物質系組成物」とは、CaO結晶と間隙物質とを含有し、エーライト(3CaO・SiO)及びビーライト(2CaO・SiO)の含有率がともに0.5質量%未満のものをいう。
上記発明(発明1)においては、前記膨張性混和材は、前記クリンカ組成物100質量部に対して前記石膏5〜50質量部を含むことが好ましい(発明2)。
上記発明(発明2)によれば、膨張性混和材における石膏の配合量が上記範囲内であれば、生成されたエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)により、コンクリート硬化体の収縮を効果的に抑制することができる。
上記発明(発明1)においては、前記膨張性混和材は、さらに生石灰を含むことが好ましい(発明3)。かかる発明(発明3)によれば、膨張性混和材に含まれる生石灰が水和反応に伴って膨張するため、コンクリート硬化体の収縮をさらに抑制することができる。
上記発明(発明3)においては、前記膨張性混和材は、前記クリンカ組成物と前記生石灰との合計100質量部中前記クリンカ組成物を20質量部以上含むものであり、前記クリンカ組成物と前記生石灰との合計100質量部に対して、前記石膏5〜50質量部を含むことが好ましい(発明4)。
上記発明(発明4)における配合割合であれば、コンクリート硬化体が膨張しすぎることもなく、コンクリート硬化体の収縮を効果的に抑制することができ、収縮ひずみによるひび割れを防止することができる。
上記発明(発明1〜4)においては、前記コンクリート硬化体1m中に前記膨張性混和材が10〜40kg含まれるように前記膨張性混和材を配合することが好ましい(発明5)。上記発明(発明5)による配合量であれば、コンクリートの早期強度発現性等を損なうことなくコンクリート硬化体の収縮を効果的に抑制することができ、収縮ひずみによるひび割れの発生を防止することができる。
上記発明(発明1〜5)においては、前記配合物が、前記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、酒石酸換算で0.05〜1.5質量部の酒石酸若しくはその塩及び/又はヘプトン酸換算で0.05〜1.5質量部のヘプトン酸若しくはその塩をさらに含むことが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1〜6)においては、前記配合物が、前記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、ホウ酸換算で0.01〜0.3質量部のホウ酸又はその塩をさらに含むことが好ましい(発明7)。
また、本発明は、カルシウムサルホアルミネート(3CaO・3Al・CaSO)を3〜60質量%及び無水石膏を1〜40質量%含むカルシウムサルホアルミネート組成物100質量部に対して、比表面積が1000〜4000cm/gの炭酸リチウムを0.1〜3.0質量部含む水硬性組成物と、3CaO・SiO−2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、3CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、及びCaO−間隙物質系組成物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組成物を含み、かつCaOの含有割合が50〜92質量%であるクリンカ組成物、及び石膏を含む膨張性混和材とを含むことを特徴とするコンクリート組成物を提供する(発明8)。
上記発明(発明8)によれば、このようなコンクリート組成物を硬化させることで、急速な強度の発現を伴いつつ高い強度を有し、かつ収縮ひずみの生じないコンクリート硬化体を製造することができる。
上記発明(発明8)においては、前記膨張性混和材は、前記クリンカ組成物100質量部に対して前記石膏5〜50質量部を含むことが好ましい(発明9)。また、上記発明(発明8)においては、前記膨張性混和材は、さらに生石灰を含むことが好ましい(発明10)。さらに、上記発明(発明10)においては、前記膨張性混和材は、前記クリンカ組成物と前記生石灰との合計100質量部中前記クリンカ組成物を20質量部以上含むものであり、前記クリンカ組成物と前記生石灰との合計100質量部に対して、前記石膏5〜50質量部を含むことが好ましい(発明11)。
上記発明(請求項8〜11)においては、前記コンクリート組成物を硬化させてなるコンクリート硬化体1m中に前記膨張性混和材が10〜40kg含まれるように前記膨張性混和材を配合することが好ましい(請求項12)。
上記発明(発明8〜12)においては、前記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、酒石酸換算で0.05〜1.5質量部の酒石酸若しくはその塩及び/又はヘプトン酸換算で0.05〜1.5質量部のヘプトン酸若しくはその塩をさらに含むことが好ましい(発明13)。
上記水硬性組成物と上記膨張性混和材とを混合し、凝結遅延剤として一般的に用いられるクエン酸を添加してから水を加えて混練すると、コンクリート組成物が急結してしまい、十分な可使時間(ミキサーからコンクリートを排出した後からコンクリートの凝結開始までの時間)を確保することができないおそれがある。そして、上記水硬性組成物に凝結遅延剤としてのクエン酸を添加し、水を加えて混練してから最後に上記膨張性混和材を添加すると、コンクリート組成物が急結するまでの時間、すなわち可使時間を延長することができるが、コンクリート硬化体中に均一に膨張性混和材を混和させることが困難となるおそれがある。しかしながら、酒石酸若しくはその塩又はヘプトン酸若しくはその塩は、上記水硬性組成物と上記膨張性混和材とともに混合し、水を加えて混練しても、コンクリート組成物が急結することがなく、十分な可使時間を確保することができるため、上記発明(発明13)によれば、コンクリートの可使時間を十分に確保し、ワーカビリティーを良好にすることができる。
上記発明(発明8〜13)においては、前記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、ホウ酸換算で0.01〜0.3質量部のホウ酸又はその塩をさらに含むことが好ましい(発明14)。
上記発明(発明14)によれば、コンクリート組成物にホウ酸又はその塩が含まれていることにより、コンクリート組成物の水和熱を低減することができ、コンクリートの練り上がり温度(CT;Concrete Temperature)を低下させることができる。これにより、外気温が30℃を超えるような高温環境下においても、容易にコンクリートの出荷及び施工をすることができる。
本発明のコンクリート硬化体によれば、コンクリート硬化体の強度を急速に発現することができるとともに、自己収縮や乾燥収縮等の収縮を大幅に抑制することができ、収縮ひずみによるひび割れ等の発生を防止することができる。また、本発明のコンクリート組成物によれば、収縮ひずみによるひび割れ等の発生を防止し得るコンクリート硬化体を製造することができる。
実施例1のコンクリート硬化体の材齢とひずみ量との関係を示すグラフである。 外気温5℃でのコンクリート組成物のホウ酸添加率とコンクリート練り上がり温度との関係を示すグラフである。 外気温35℃でのコンクリート組成物のホウ酸添加率とコンクリート練り上がり温度との関係を示すグラフである。
以下、本発明のコンクリート組成物及びコンクリート硬化体について説明する。
本発明のコンクリート組成物は、水硬性組成物と、膨張性混和材とを含むものである。水硬性組成物は、カルシウムサルホアルミネート組成物と、炭酸リチウムとを含む。カルシウムサルホアルミネート組成物は、カルシウムサルホアルミネート(3CaO・3Al・CaSO)を3〜60質量%及び無水石膏を1〜40質量%含むものであり、カルシウムサルホアルミネートを20〜40質量%及び無水石膏を5〜15質量%含むことが好ましい。
水硬性組成物における炭酸リチウムの配合量は、カルシウムサルホアルミネート組成物100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であり、0.5〜1.5質量部であることが好ましい。水硬性組成物における炭酸リチウムの配合量が0.1質量部未満であると、コンクリート硬化体の初期強度が十分に発現しなくなり、3.0質量部を超えると、コンクリート硬化体の収縮ひずみの低減効果に大きな変化はないが、コンクリート硬化体の製造にコストがかかってしまう。
水硬性組成物に含まれる炭酸リチウムの比表面積(ブレーン比表面積)は、1000〜4000cm/gであり、好ましくは2000〜3000cm/gである。比表面積が1000cm/g未満であると、炭酸リチウムの粒子が粗く、カルシウムサルホアルミネート組成物と混合するとき、又はコンクリートに混練するときに炭酸リチウムが均質に分散しにくくなり、コンクリート硬化体の強度の低下を招いてしまう。一方、比表面積が4000cm/gを超えると、収縮ひずみの低減に十分な効果が得られなくなってしまう。
炭酸リチウムの比表面積の調整方法は、特に限定されるものではなく、例えば、原料となる炭酸リチウム鉱石を比表面積が1000〜4000cm/gになるように粉砕することにより行うことができる。炭酸リチウム鉱石の粉砕方法としては、例えば、ボールミルや自由粉砕機による方法等の任意の粉砕方法を適用することができる。
膨張性混和材は、クリンカ組成物と石膏とを含むものであり、好ましくは生石灰をさらに含むものである。上記クリンカ組成物は、3CaO・SiO−2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、3CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、及びCaO−間隙物質系組成物からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、かつCaOの含有割合が50〜92質量%のものである。このような膨張性混和材がコンクリート組成物に含まれることにより、得られるコンクリート硬化体の初期水和時の収縮ひずみを低減することができ、収縮ひずみによるひび割れの発生を防止することができる。
膨張性混和材中のクリンカ組成物に含まれる間隙物質は、セメントクリンカ鉱物中のエーライト(3CaO・SiO)やビーライト(2CaO・SiO)の間を埋める鉱物に類するものである。このような間隙物質としては、例えば、2CaO・Fe等のカルシウムフェライト鉱物;3CaO・Al等のカルシウムアルミネート鉱物;6CaO・Al・Fe、4CaO・Al・Fe、6CaO・2Al・Fe等のカルシウムアルミノフェライト鉱物等が挙げられる。
クリンカ組成物中のCaOの含有割合は、クリンカ組成物の全質量に対して50〜92質量%である。CaOの含有割合が50質量%未満であると、早期に強度を発現するのが困難となるおそれがあり、92質量%を超えると、相対的に間隙物質の含有量が減少し、コンクリート硬化体の収縮を抑制するのが困難になるおそれがある。
クリンカ組成物は、エーライト(3CaO・SiO)やビーライト(2CaO・SiO)を含むものであってもよいし、これらのエーライトやビーライトを含まないものであってもよいが、これらのエーライトやビーライトを含むクリンカ組成物は、CaOの水和速度を大幅に抑制することができ、これらのエーライトやビーライトの水和物がセメントの強度発現に貢献する。
クリンカ組成物は、石灰質原料、粘土原料、珪石、スラグ類、石膏等の原料を上記組成になるように混合して原料混合物を調製し、目標とするクリンカの鉱物組成が得られるまで、この原料混合物をロータリーキルン等にて1300〜1600℃の温度で十分に焼き締めて、焼成することで得られる。
なお、原料混合物を焼成する際に、鉱化剤(フラックス)を原料混合物に添加してもよい。これにより、クリンカ組成物の製造効率を高めることができる。鉱化剤としては、セメント系化合物を焼成する際に一般に使用されるものを用いることができる。具体的には、CaSO、CaF、FeO、MgO、Al等の化合物を含む石膏、蛍石、蛇紋岩等を鉱化剤として使用することができる。これらの鉱化剤の添加量は、原料混合物の質量に対して約10質量%以下であればよい。
膨張性混和材には、上記クリンカ組成物とともに石膏が含まれる。膨張性混和材に石膏が含まれることで、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)が生成されるため、これによりコンクリート硬化体の収縮を抑制することができるとともに、コンクリート硬化体の初期強度(簡易蒸気養生時の脱型強度)を高めることができる。
石膏としては、一般に市販されている石膏を使用することができる。石膏は、その結晶形態により無水石膏、半水石膏、二水石膏に分類されるが、いずれの石膏を使用してもよく、好ましくは無水石膏を使用することができる。
膨張性混和材における石膏の配合量は、クリンカ組成物100質量部に対し、5〜50質量部であることが好ましい。膨張性混和材に生石灰が含まれる場合には、石膏の配合量は、クリンカ組成物と生石灰との合計量100質量部に対し、5〜50質量部であることが好ましい。石膏の配合量が5質量部未満であると、コンクリート硬化体の収縮を抑制することが困難であり、また早期に強度が発現しないおそれがあり、50質量部を超えると、コンクリート硬化体の膨張ひび割れが生じるおそれがある。
膨張性混和材は、さらに生石灰を含むことが好ましい。生石灰は、水和反応に伴い膨張及び発熱するため、コンクリート硬化体の収縮をさらに抑制することができるとともに、膨張性混和材全体の発熱量が高まり、コンクリート硬化体の早期強度発現性をさらに向上させることができる。
生石灰は、その焼成度によって極軟焼生石灰、軟焼生石灰、中焼生石灰、硬焼生石灰、極硬焼生石灰に分類され、その評価方法としては一般に日本石灰協会の4N塩酸による粗粒滴定試験法が使用されている。この粗粒滴定試験法によれば、生石灰は、滴定に使用した4N塩酸の総量をもって分類され、極軟焼生石灰は4N塩酸の使用量が800mL以上のものであり、軟焼生石灰は4N塩酸の使用量が650mL以上800mL未満のものであり、中焼生石灰は4N塩酸の使用量が300mL以上650mL未満のものであり、硬焼生石灰は4N塩酸の使用量が130mL以上300mL未満のものであり、極硬焼生石灰は4N塩酸の使用量が130mL未満のものである。
膨張性混和材に含まれ得る生石灰としては、一般に市販されている生石灰であればよいが、上記のようにして分類される生石灰のうち、4N塩酸の使用量が650mL以下の生石灰を使用することが好ましく、特に4N塩酸の使用量が400mL以下の生石灰を使用することが好ましい。このような生石灰を含むことで、フレッシュコンクリートのワーカビリティーを良好にすることができる。
膨張性混和材に生石灰を含む場合、生石灰の含有量は、上記クリンカ組成物と生石灰との合計質量の80質量%以下であることが好ましい。生石灰の含有量が、クリンカ組成物と生石灰との合計質量の80質量%を超えると、水和反応によるコンクリート硬化体の膨張量が増大しすぎてしまうおそれがある。
膨張性混和材は、上記クリンカ組成物及び石膏を含み、好ましくは生石灰をさらに含むものであって、これらの混合物を粉砕した混合粉砕物であることが好ましい。この混合粉砕物は、上記クリンカ組成物、石膏、生石灰のそれぞれを粉砕してから混合したものでもよいし、上記クリンカ組成物、石膏及び生石灰のそれぞれを混合してから粉砕したものでもよい。粉砕は、ボールミル、ロールミル等の通常のセメントの粉砕に使用する粉砕機を使用して行うことができる。
このようにして得られた混合粉砕物のブレーン比表面積は、2000〜6000cm/gであることが好ましく、特に4000〜5000cm/gであることが好ましい。
コンクリート組成物において、膨張性混和材は、コンクリート組成物を硬化させてなるコンクリート硬化体1m中に10〜40kgを占める量を配合することが好ましく、コンクリート硬化体1m中に20〜30kgを占める量を配合することがより好ましい。10kg未満であると、コンクリート組成物を硬化させてなるコンクリート硬化体の収縮ひずみを低減することができず、コンクリート硬化体にひび割れが生じるおそれがあり、40kgを超えると、コンクリート硬化体が過大に膨張してしまい当該コンクリート硬化体の強度が低下するおそれがある。
本発明のコンクリート組成物は、上記水硬性組成物と上記膨張性混和材との合計100質量部に対して、酒石酸換算で0.05〜1.5質量部の酒石酸若しくはその塩及び/又はヘプトン酸換算で0.05〜1.5質量部のヘプトン酸若しくはその塩をさらに含んでいることが好ましい。本発明のコンクリート組成物を硬化させてコンクリート硬化体を製造するに際し、上記水硬性組成物と上記膨張性混和材とをあらかじめ混合しておき、水を加えて混練してもよいし、上記水硬性組成物に水を加えて混練し、その後上記膨張性混和材を添加してさらに混練してもよい。コンクリート硬化体の製造に際し、一般に凝結遅延剤としてクエン酸を含むものが使用されているが、前者の場合にクエン酸を添加すると、水硬性組成物及び膨張性混和材の水和反応に伴うエトリンガイトの急激な生成により、コンクリート組成物が急結してしまい、十分な可使時間を確保することができないおそれがある。凝結遅延剤としてクエン酸を使用しつつ可使時間を延長するためには、後者のようにして混練するのが好ましいが、この場合には膨張性混和材をコンクリート硬化体に均一に混和させることが困難となるおそれがある。そのため、クエン酸を添加せず、酒石酸(酒石酸塩)及び/又はヘプトン酸(ヘプトン酸塩)を添加することが好ましい。酒石酸(酒石酸塩)又はヘプトン酸(ヘプトン酸塩)は、クエン酸と同様に凝結遅延作用を有しているが、水硬性組成物と膨張性混和材と酒石酸(酒石酸塩)及び/又はヘプトン酸(ヘプトン酸塩)とをあらかじめ混合し、その後に水を添加したとしても、エトリンガイトの急激な生成が生じることもないため、コンクリート組成物の急結を防止することができる。これにより、十分な可使時間を確保することができるとともに、膨張性混和材をコンクリート硬化体に均一に混和させることができるため、より効果的にコンクリート硬化体の収縮ひずみを抑制することができる。
水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対する酒石酸(酒石酸塩)又はヘプトン酸(ヘプトン酸塩)の配合量が、酒石酸換算又はヘプトン酸換算で0.05質量部未満であると、コンクリート組成物の可使時間を十分に確保することができないおそれがあり、1.5質量部を超えると、可使時間が大幅に延長してしまうだけでなく、凝結不良を起こし当該コンクリートの強度が十分に発現しなかったり、場合によっては硬化しなくなってしまったりするおそれがある。
酒石酸(酒石酸塩)の配合量は、上記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、0.15〜1.2質量部であることがより好ましく、0.2〜1.0質量部であることが特に好ましい。また、ヘプトン酸(ヘプトン酸塩)の配合量は、上記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、0.2〜1.2質量部であることがより好ましく、0.25〜1.0質量部であることが特に好ましい。
酒石酸塩としては、例えば、酒石酸アンモニウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸リチウム、酒石酸アンモニウムナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、ヘプトン酸塩としては、例えば、ヘプトン酸ナトリウム、ヘプトン酸カリウム、ヘプトン酸リチウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のコンクリート組成物は、上記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、ホウ酸換算で0.01〜0.3質量部のホウ酸又はその塩を含むものであってもよい。コンクリート組成物に上記範囲内でホウ酸を含ませることで、コンクリート組成物の硬化の際の水和熱を低減することができ、コンクリートの練り上がり温度を低下させることができる。特に、JASS5(日本建築学会,建築工事標準仕様書5)にコンクリート打設温度として、「35℃を超えないこと」と規定されているが、外気温が30℃を超えるような現場で施工を行う場合であっても、コンクリートの練り上がり温度(CT)を低下することができるため、高温環境下であっても容易にコンクリートの出荷及び施工をすることができる。
ホウ酸(ホウ酸塩)の配合量が、水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、ホウ酸換算で0.01質量部未満であると、コンクリート組成物の硬化の際の水和熱を効果的に低減することができないおそれがあり、ホウ酸換算で0.3質量部を超えると、水和熱低減効果に差はみられないばかりか、ホウ酸(ホウ酸塩)の配合量が増加することでコストがかかるとともに、コンクリート硬化体の強度が低下したり、凝結遅延が発生したりするおそれがある。
ホウ酸(ホウ酸塩)の配合量は、より好ましくは、上記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、0.05〜0.2質量部であり、特に好ましくは0.1〜0.15質量部である。
ホウ酸塩としては、例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸アルミニウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
コンクリート組成物は、さらに粗骨材を含んでいてもよい。粗骨材としては、例えば、砂利、砕石又はこれらの混合物等を使用することができる。コンクリート組成物における粗骨材の粒径は、5〜25mmであることが好ましい。コンクリート組成物における粗骨材の配合量は、コンクリート硬化体の硬化後の機械的強度やフレッシュコンクリートの作業性(流動性)等の観点から、水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、0〜500質量部であることが好ましく、100〜200質量部であることがより好ましい。
コンクリート組成物には、さらに細骨材が含まれていてもよい。細骨材としては、例えば、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂又はこれらの混合物等を使用することができる。細骨材の粒径は、5mm以下であることが好ましい。コンクリート組成物における細骨材の配合量は、水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、0〜500質量部であることが好ましく、100〜200質量部であることがより好ましい。
コンクリート組成物における細骨材率(全骨材(粗骨材及び細骨材)容積の中で細骨材容積が占める割合)は、0〜100%であり、コンクリート組成物の作業性等の観点から、30〜70%であることが好ましい。
本発明のコンクリート組成物は、コンクリート硬化体の収縮ひずみの低減効果を妨げない限り、上記水硬性組成物及び上記膨張性混和材以外の他の成分を含んでいてもよい。コンクリート組成物は、例えば、エーライト(3CaO・SiO)、ビーライト(2CaO・SiO)等を含むポルトランドセメントクリンカ;リグニン系、ナフタリンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤等;その他の添加剤等を含んでいてもよい。コンクリート組成物におけるポルトランドセメントクリンカ、凝結遅延剤又は各種減水剤の配合量は、コンクリート硬化体の収縮ひずみの低減効果を妨げることのない量であればよい。
本発明のコンクリート組成物に所定量の水を添加して混練し、その混練物を型枠等に流し込み、加温養生、水中養生、蒸気養生、オートクレーブ養生等により養生して硬化させることにより、コンクリート硬化体を製造することができる。コンクリート硬化体を製造する場合、上記水硬性組成物と上記膨張性混和材とをあらかじめ混合し、その後所定量の水を添加して混練してもよいし、上記水硬性組成物に所定量の水を添加して混練し、その後上記膨張性混和材を添加してさらに混練してもよいが、前者の方が、コンクリート硬化体に膨張性混和材がより均一に混ざるため好ましい。この際に、凝結遅延剤として一般的なクエン酸を添加すると、コンクリート組成物の急結により十分な可使時間を確保することができないおそれがあるため、クエン酸を添加せず、酒石酸(酒石酸塩)及び/又はヘプトン酸(ヘプトン酸塩)をさらに含むコンクリート組成物を使用するのが好ましい。これにより、十分な可使時間を確保することができるとともに、膨張性混和材をコンクリート硬化体に均一に混ぜることができる。
コンクリートの可使時間を確保するとともに、早期に強度を発現させ、かつ収縮ひずみを低減させるために、水の配合量は、水結合材比として25〜65質量%であることが好ましく、30〜45質量%であることがより好ましい。
このようにして得られたコンクリート硬化体は、水硬性組成物が早期強度発現性を有するため、混練後2〜3時間で目的とする圧縮強度を発現することができる。また、コンクリート組成物に上述した膨張性混和材が含まれることにより、コンクリート硬化体の収縮を抑制することができるため、収縮ひずみにより生じるひび割れ等を防止することができる。特に、後述する実施例において示す配合により製造したコンクリート硬化体は、初期水和反応により膨張したまま収縮ひずみをほとんど生じさせないという、従来のコンクリート硬化体には見られない優れた効果を得ることができる。したがって、本発明のコンクリート硬化体は、道路の改修工事等に用いられる厚さの薄いコンクリート製品等として好適に使用することができる。
以下、実施例及び試験例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例及び試験例に何ら制限されるものではない。
〔実施例1〜4,比較例1〜2〕
細骨材S(静岡県御前崎産陸砂,表乾密度:2.60g/cm,絶乾密度:2.55g/cm,吸水率:1.99%,単位容積質量:1.74kg/L,実積率:68.0%,粗粒率:2.64,微粒分量:1.83%)と粗骨材G(茨城県岩瀬産6号砕石,粗骨材最大寸法:13mm,表乾密度:2.65g/cm,吸水率:1.52%,単位容積質量:1.55kg/L,実積率:59.0%,粗粒率:6.30)とを15秒間空練りし、水Wと高性能減水剤SP(ポリカルボン酸系高性能減水剤,商品名:レオビルド8000,NMB社製)と凝結遅延剤JS(商品名:ジェットセッター,小野田ケミコ社製)とを投入してさらに15秒間空練りし、水硬性組成物C(超速硬セメント,商品名:スーパージェットセメント,密度:3.01g/cm,太平洋セメント社製)を投入して120秒間混練した。
得られた混練物を掻落しした後に膨張性混和材EX(商品名:太平洋N−EX,密度:3.19g/cm,太平洋マテリアル社製)を投入して60秒間混練し、フレッシュコンクリートを得た。
各原料の配合割合を表1に示す。
Figure 2007097435
得られたフレッシュコンクリートを鋼製の型枠に流し込み、20℃の恒温室内で所定材齢にて強度試験に供するまで養生し、コンクリート硬化体を得た。
〔試験例1〕スランプ試験
実施例1〜4及び比較例1〜2により得られたフレッシュコンクリートについて、JIS−A1101に基づいてスランプ試験を行った。スランプ試験は、ミキサーから排出した後の各段階にて行った。スランプ試験の結果を表2に示す。
Figure 2007097435
表2に示すように、実施例1〜4のフレッシュコンクリートは、ミキサーから排出直後のスランプが12.0〜16.5cmであり、作業性に優れており、20〜40分程度の可使時間(ミキサーから排出した直後からスランプ値が5.0cm程度になるまでの時間)を確保できることが確認された。
〔試験例2〕圧縮強度試験
実施例1により得られたコンクリート硬化体について、JIS−A1108に基づいて圧縮強度試験を行った。この圧縮強度試験は、材齢3時間、6時間、24時間及び7日間のコンクリート硬化体について行った。試験結果を表3に示す。
Figure 2007097435
表3に示すように、実施例1〜4の材齢3時間のコンクリート硬化体は、その圧縮強度が31.3〜36.3N/mmであり、材齢7日間の圧縮強度も良好な値を示しており、本発明のコンクリート硬化体は、早期強度発現性に優れていることが確認された。
〔試験例3〕自己収縮試験及び凝結試験
実施例4及び比較例2により得られたコンクリート硬化体について自己収縮試験、及びJIS−A1147に基づいて凝結試験を行った。自己収縮試験は、10×10×40(cm)の試験体内に埋込型ひずみ計を埋設し、その長さ変化量を測定した。なお、長さ変化量の測定開始時期(材齢0時間)は、凝結試験の始発時期とした。自己収縮試験の結果を図1に示す。
凝結試験においては、実施例4により得られたフレッシュコンクリートを寸法5mmの網ふるいでウェットスクリーニングしたモルタルを硬化させたものを試料として使用して、プロクター貫入抵抗値にて始発時間及び終結時間を測定した。
図1に示すように、実施例4のコンクリート硬化体は、材齢24時間にて約170〜180μmの膨張量を維持しており、コンクリート硬化体の収縮が起こっていないことが確認された。したがって、実施例4のコンクリート硬化体は、自己収縮ひずみを原因とするひび割れの発生を防止できることが確認された。一方、比較例2のコンクリート硬化体は、材齢24時間にて約230μm収縮しており、自己収縮ひずみが生じていることが確認された。また、凝結試験の結果、実施例4のコンクリート硬化体の始発時間は41分であり、終結時間は58分であった。
〔実施例5〜42〕
細骨材S(茨城県結城産陸砂,表乾密度:2.58g/cm,絶乾密度:2.52g/cm,吸水率:2.30%,実積率:65.4%,粗粒率:2.64,微粒分量:1.70%)と、水Wと、高性能減水剤SP(ポリカルボン酸系高性能減水剤,商品名:レオビルド8000PX,NMB社製)と、クエン酸(又はホウ酸(オルトホウ酸)及び酒石酸(L−酒石酸)、酒石酸、ホウ酸及びヘプトン酸(ヘプトン酸ナトリウム)、若しくはヘプトン酸)とを投入して15秒間空練りし、水硬性組成物C(超速硬セメント,商品名:スーパージェットセメント,密度:3.01g/cm,太平洋セメント社製)と膨張性混和材EX(早強性膨張材,商品名:太平洋N−EX,密度:3.19g/cm,太平洋マテリアル社製)をあらかじめよく混合しておいた混合物を投入して120秒間混練した。その後、粗骨材G(茨城県岩瀬産6号砕石,粗骨材最大寸法:13mm,表乾密度:2.65g/cm,吸水率:0.62%,実積率:60.9%,粗粒率:6.68)を投入して60秒間混練し、フレッシュコンクリートを得た。
各原料の配合割合を表4に示す。
Figure 2007097435
〔試験例4〕スランプ試験・コンクリート練り上がり温度(CT)測定
実施例5〜42により得られたフレッシュコンクリートについて、JIS−A1101に基づいてスランプ試験を行った。スランプ試験は、ミキサーから排出した後の各段階にて行った。また、同時に、実施例10,13,16〜25,28,31及び33〜42について、コンクリートの練り上がり温度(CT)を測定した。
スランプ試験の結果を表5に、コンクリートの練り上がり温度の測定結果を図2及び3に示す。
Figure 2007097435
表5に示すように、外気温20℃にてクエン酸を含む実施例5〜7では、20〜25分程度の可使時間を確保できたが、クエン酸の配合割合を増加させても、可使時間を制御することが困難であった。そのため、外気温が30℃を超えるような環境下で使用すると、コンクリート組成物の急結が生じてしまうおそれがあると考えられる。一方、外気温20℃にて酒石酸又はヘプトン酸を含む実施例11及び29では、50分以上の可使時間を確保することができた。これにより、クエン酸を添加せずに酒石酸又はヘプトン酸を添加することで、コンクリート組成物の急結を防止し、十分な可使時間を確保可能であることが確認された。
また、実施例8〜42では、クエン酸を添加せずに酒石酸又はヘプトン酸を添加することで、実際の施工上最低限必要と考えられる20分程度の可使時間を確保することができ、十分なワーカビリティーを確保し得ることが確認された。特に、コンクリート組成物は、外気温が高いほど凝結しやすく、外気温等の施工条件により可使時間が変動するものであるが、実施例8〜15及び26〜32のように、酒石酸又はヘプトン酸の添加率を制御することにより、どのような温度条件下においても、20〜60分程度の可使時間を確保することが可能であり、容易に施工可能であることが確認された。
さらに、図2及び図3に示すように、ホウ酸を添加することにより、コンクリートの練り上がり温度(CT)を低下させることができることが確認された。このことから、コンクリート組成物にホウ酸を添加することで、コンクリート硬化体の水和熱を低減することができると考えられ、外気温が30℃を超えるような環境下であっても、コンクリートの練り上がり温度を35℃以下にすることが可能であり、容易にコンクリートの出荷及び施工をし得ることが確認された。さらにまた、水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対し、0.15質量部を超えてホウ酸を添加しても水和熱低減効果に差異がないことが確認された。
本発明のコンクリート硬化体は、道路の改修工事等に用いられる厚さの薄いコンクリート製品として、また本発明のコンクリート組成物は、このようなコンクリート硬化体を製造するためのコンクリート用原料として有用である。

Claims (14)

  1. カルシウムサルホアルミネート(3CaO・3Al・CaSO)を3〜60質量%及び無水石膏を1〜40質量%含むカルシウムサルホアルミネート組成物100質量部に対して、比表面積が1000〜4000cm/gの炭酸リチウムを0.1〜3.0質量部含む水硬性組成物と、
    3CaO・SiO−2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、3CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、及びCaO−間隙物質系組成物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組成物を含み、かつCaOの含有割合が50〜92質量%であるクリンカ組成物、及び石膏を含む膨張性混和材と
    を含む配合物を硬化させてなることを特徴とするコンクリート硬化体。
  2. 前記膨張性混和材は、前記クリンカ組成物100質量部に対して前記石膏5〜50質量部を含むことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート硬化体。
  3. 前記膨張性混和材は、さらに生石灰を含むことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート硬化体。
  4. 前記膨張性混和材は、前記クリンカ組成物と前記生石灰との合計100質量部中前記クリンカ組成物を20質量部以上含むものであり、前記クリンカ組成物と前記生石灰との合計100質量部に対して、前記石膏5〜50質量部を含むことを特徴とする請求項3に記載のコンクリート硬化体。
  5. 前記コンクリート硬化体1m中に前記膨張性混和材が10〜40kg含まれるように前記膨張性混和材を配合することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンクリート硬化体。
  6. 前記配合物が、前記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、酒石酸換算で0.05〜1.5質量部の酒石酸若しくはその塩及び/又はヘプトン酸換算で0.05〜1.5質量部のヘプトン酸若しくはその塩をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンクリート硬化体。
  7. 前記配合物が、前記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、ホウ酸換算で0.01〜0.3質量部のホウ酸又はその塩をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6に記載のコンクリート硬化体。
  8. カルシウムサルホアルミネート(3CaO・3Al・CaSO)を3〜60質量%及び無水石膏を1〜40質量%含むカルシウムサルホアルミネート組成物100質量部に対して、比表面積が1000〜4000cm/gの炭酸リチウムを0.1〜3.0質量部含む水硬性組成物と、
    3CaO・SiO−2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、3CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、2CaO・SiO−CaO−間隙物質系組成物、及びCaO−間隙物質系組成物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組成物を含み、かつCaOの含有割合が50〜92質量%であるクリンカ組成物、及び石膏を含む膨張性混和材と
    を含むことを特徴とするコンクリート組成物。
  9. 前記膨張性混和材は、前記クリンカ組成物100質量部に対して前記石膏5〜50質量部を含むことを特徴とする請求項8に記載のコンクリート組成物。
  10. 前記膨張性混和材は、さらに生石灰を含むことを特徴とする請求項8に記載のコンクリート組成物。
  11. 前記膨張性混和材は、前記クリンカ組成物と前記生石灰との合計100質量部中前記クリンカ組成物を20質量部以上含むものであり、前記クリンカ組成物と前記生石灰との合計100質量部に対して、前記石膏5〜50質量部を含むことを特徴とする請求項12に記載のコンクリート組成物。
  12. 前記コンクリート組成物を硬化させてなるコンクリート硬化体1m中に前記膨張性混和材が10〜40kg含まれるように前記膨張性混和材を配合することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のコンクリート組成物。
  13. 前記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、酒石酸換算で0.05〜1.5質量部の酒石酸若しくはその塩及び/又はヘプトン酸換算で0.05〜1.5質量部のヘプトン酸若しくはその塩をさらに含むことを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載のコンクリート組成物。
  14. 前記水硬性組成物と膨張性混和材との合計100質量部に対して、ホウ酸換算で0.01〜0.3質量部のホウ酸又はその塩をさらに含むことを特徴とする請求項8〜13に記載のコンクリート組成物。
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