JPWO2007088628A1 - 歯科用コンポジットレジンセメント、歯科用プライマー、およびそれらを含む歯科用接着剤キット - Google Patents

歯科用コンポジットレジンセメント、歯科用プライマー、およびそれらを含む歯科用接着剤キット Download PDF

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Abstract

本発明は、機械的強度、操作性および貯蔵安定性に優れた歯科用レジセメント、および歯牙のエナメル質および象牙質の双方に対する歯科用レジンセメントの接着性を著しく向上させる歯科用プライマーを提供する。本発明によれば、操作性および貯蔵安定性に優れたデュアルキュアー型の2ペースト型歯科用レジンセメントの重合開始剤にバルビツール酸類の塩を使用することによって貯蔵安定性を向上させ、バルビツール酸類およびアミンを含有するプライマーを歯面に適用することによって、歯牙のエナメル質および象牙質の双方に対する歯科用レジンセメントの接着性を著しく向上させることができる。

Description

本発明は、天然歯牙のエナメル質や象牙質等の生体硬組織の基体に、金属、セラミックス、高分子材料等の歯科用補綴修復材を接着するための2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントに関する。本発明のコンポジットレジンセメントは、優れた操作性と貯蔵安定性を有することを特徴とする。
また、本発明は、2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントと天然歯牙のエナメル質や象牙質等の生体硬組織の基体との接着性を向上させる歯科用プライマーに関する。
さらに、本発明は、これらの2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントと歯科用プライマーとを含む歯科用接着剤キットも提供する。
う蝕等により比較的大きな損傷を受けた歯の修復には、セラミックス、高分子材料、金属からなるクラウン、ブリッジ、インレー、アンレー等をレジンセメント用いて、接着させることが一般的である。
レジンセメントには、その機械的強度および、歯の硬組織に対する十分な接着力が要求される。さもないと過酷な口腔環境下での長期使用により脱落する可能性があるのみならず、レジンセメントと歯質の界面で間隙を生じ、そこから細菌が侵入して歯髄に悪影響を与えるおそれがあるためである。
レジンセメントは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)タイプおよびコンポジットタイプに大別される。PMMAタイプのレジンセメントは、PMMAおよびメチルメタクリレートからなり、機械的強度においては劣るものの、耐衝撃性および様々な材料に対する接着性に優れる。一方、コンポジットタイプのレジンセメントは、歯科用重合性モノマーと、有機複合材料、ガラス、シリカなどのフィラーからなり、接着性に加えて、曲げ強度や圧縮強度などの硬化後の材料特性が優れている。したがって、歯科の臨床では、目的や症例に応じて両タイプのレジンセメントを使い分けている。
近年では、審美性を有する歯科用補綴修復材の接着用としてレジンセメントを用いる要望が高く、この用途のためのレジンセメントには、高い機械的強度が要求される。したがって、この分野では、機械的強度に優れたコンポジットタイプのレジンセメントが用いられている。このコンポジットレジンセメントには、高い機械的強度を達成するため、一般に、フィラーの充填率は50重量部以上のものである。
従来のコンポジットレジンセメントは、例えば、フィラー(セメント粉末)とモノマー液の2包装状態で提供され、使用直前に粉体と液体とを練和する形態の粉液タイプが主流であった。
特許第1784478号明細書(特許文献1)には、メチルメタクリレート等のラジカル重合性単量体ならびに、有機過酸化物、アミン、バルビツール酸誘導体および酸無水物またはリン酸エステルを硬化剤とする歯科用修復組成物が開示されている。
しかしながら、このような粉液タイプのレジンセメントは、練和における操作性の観点から、臨床的に満足できるものとはいえない。
そこで、粉体と液体との練和操作の煩雑さを回避するため、予め2種類のペーストを作製し、2つのペーストを練和する2ペースト型レジンセメントの要求が高まっている。このようにペーストを練和する操作は粉液練和と比較し、練和時間の短縮や術者の個人差が少ないため、臨床家にとって好ましい形態といえる。
レジンセメントが硬化する機構には、化学重合と光重合があるが、一般的に化学重合のみでは、レジンセメントの表面硬化性が低く、セメントが露出した表面に未重合層が形成される。これは、空気中の酸素によって、重合が阻害されるためである。一方、光重合のみでは、クラウンなどの光透過性の低い補綴修復材料を接着する場合やう蝕により生じた窩洞を充填する場合、光が到達しない部位が存在するため、レジンセメントを十分に硬化させることが困難である。
光照射による光重合により表面部位の硬化を促進しつつ、光透過性の低い補綴修復材料にも用いることができるよう、光の到達しない部位においても十分に重合硬化させるために、光重合に加え、化学重合機能を有するデュアルキュアー型レジンセメントが主流となっている。
このようなデュアルキュアー型のコンポジットレジンセメントには、多種の重合性単量体や、酸化還元型重合開始剤等の反応性成分が含有されることになる。
従来の粉液タイプのレジンセメントの場合、練和前の包装状態であれば、各種の成分同士の反応を懸念する必要がなかったが、2ペースト型コンポジットレジンセメントの場合、ペースト中で各種の成分同士が反応してしまい、ペーストの貯蔵安定性が低下するおそれがある。
したがって、現在、歯科補綴修復の分野では、機械的強度および操作性に優れたデュアルキュアー型の2ペースト型コンポジットレジンセメントに、さらに貯蔵安定性を付与することが望まれている。
また、歯質のような生体硬組織に対するコンポジットレジンセメントの接着性を向上させるため、歯質表面へのコンポジットレジンセメントの適用に先立ち、歯質の表面を前処理するプライマーが用いられてきた。
特許第2670522号明細書(特許文献2)には、歯質のような硬質組織に用いられるプライマー組成物が開示されている。このようなプライマーの働きは、歯の表面を酸エッチングにより脱灰して、粗造面を形成することにある。その粗造面上の微細構造内にレジンセメントが侵入し、その状態でレジンセメントが硬化することによって、レジンセメントと歯面との機械的な結合が形成されて接着する機構が考えられる。
上記のように酸エッチングによる脱灰は歯質にダメージを与えることになる。また、歯の硬組織はエナメル質および象牙質からなり、臨床的には双方への接着が要求されるが、親水性に富む象牙質面に対するレジンセメントの接着強度は十分とはいえない。
特許第2634276号明細書(特許文献3)には、歯質にダメージを与えるような酸処理等の処理を行うことなく、エナメル質および象牙質の双方に対するレジンセメントの接着性を向上させるプライマーが開示されている。
このプライマーは、カルボキシル基やリン酸基などの酸基を有する重合性化合物を含有する。
特許第2865794号明細書(特許文献4)には、酸基を含有する重合性化合物として、(a)一般式(I):
Figure 2007088628
[式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数5〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜6のアルキレン基を示す。]で示されるホスホン酸基を含む(メタ)アクリル酸エステル誘導体、(b)少なくとも一種のラジカル重合性単量体および(c)少なくとも一種の重合開始剤を含有する接着剤組成物が開示されている。(メタ)アクリル酸エステル誘導体に含まれるホスホン酸基を歯質に塗布すると、ホスホン酸基が歯質のカルシウム成分と化学結合し、その結果、歯質表面に重合性基を付与することができる。この重合性基とレジンセメント中の他の重合性単量体とが共重合することによって、レジンセメント等の歯質に対する接着性を向上させることができる。
この接着剤組成物は、歯科用接着剤組成物、歯科用複合充填剤、歯冠用硬質レジン接着剤等を包含し、例えば、上記の組成物にシリカ等の粉剤を添加すれば、接着性レジンセメントを製造することができる。
特許第3449755号明細書(特許文献5)には、酸基を含有する重合性化合物として、(a)ホスホン酸基等の酸性基を有するビニル化合物、(b)水酸基を有する水溶性ビニル化合物、(c)水、(d)芳香族スルフィン酸塩および(e)芳香族第二または第三アミンを含有するプライマー組成物が開示されている。このプライマー組成物は、特定のアクリル系接着剤と組み合わせて接着剤キットとして提供され、この特定のアクリル系接着剤には酸性基を有するアクリル系モノマーが用いられる。
この接着剤キットによれば、歯牙エナメル質および象牙質に対して高い接着力が得られるが、酸性基を有するビニル化合物をレジンセメントに用いた場合、重合硬化が抑制され、十分なる硬化体が得られないという問題がある。
特開平10−251115号公報(特許文献6)には、酸基を含有する重合性化合物として、(A)リン酸基含有重合性単量体、(B)多価カルボン酸基含有重合性単量体及び(C)水を主成分とする歯科用プライマーが開示されている。
この歯科用プライマーによれば、象牙質およびエナメル質双方に20MPa以上の高い接着強さが得られる。
特開2000−204010号公報(特許文献7)には、酸基を含有する重合性化合物として、(A)スルホン酸含有重合性単量体、(B)水溶性重合性単量体および(C)水を含有するプライマー組成物が開示されている。このプライマー組成物は、特定の接着剤と組み合わせて歯科用接着キットとして提供され、この特定の接着剤には酸性リン酸エステル系多官能性重合性単量体が用いられる。
この歯科用接着キットによれば、象牙質およびエナメル質双方に20MPa以上の高い接着強さが得られる。
しかしながら、特許文献4ないし7に開示されたいずれの歯科用プライマー組成物も、2ペースト型のデュアルキュアー・コンポジットレジンセメントに対して使用した場合、エナメル質および象牙質の双方に対して十分な接着力を付与できるか否かは明らかではない。
特許第1784478号明細書 特許第2670522号明細書 特許第2634276号明細書 特許第2865794号明細書 特許第3449755号明細書 特開平10−251115号公報 特開2000−204010号公報
本発明は、このような現状に鑑み、機械的強度、操作性および貯蔵安定性に優れ、かつ、光透過性の低い補綴修復材料にも用いることができる、2ペースト型のデュアルキュアー・歯科用コンポジットレジンセメントならびに歯牙のエナメル質および象牙質の双方に対する歯科用コンポジットレジンセメントの接着性を著しく向上させる歯科用プライマーを提供する。
本発明は、優れた操作性および貯蔵安定性を有する歯科用レジンセメント組成物として、以下の成分:
(a)ラジカル重合性単量体;
(b)フルオロアルミノシリケートガラスフィラー;
(c)−(1)有機過酸化物;
(c)−(2)バルビツール酸類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩;
(c)−(3)光重合開始剤;
(c)−(4)芳香族第二または第三アミン;および
(d)棚寿命安定剤
を含有し、かつ、水を含まない2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントを提供する。
本発明の2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントは、レジンセメント組成全体を100重量部としたとき、
20.0〜45.0重量部の成分(a)ラジカル重合性単量体;
50.0〜80.0重量部の成分(b)フルオロアルミノシリケートガラスフィラー;
0.1〜0.5重量部の成分(c)−(1)有機過酸化物;
0.1〜2.0重量部の成分(c)−(2)バルビツール酸類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩;
0.05〜1.0重量部の成分(c)−(3)光重合開始剤;
0.1〜0.5重量部の成分(c)−(4)芳香族第三アミン;および
0.02〜0.2重量部の成分(d)棚寿命安定剤を含有することを特徴とする。ただし、各成分の合計は100重量部を超えないものとする。
また、本発明は、エナメル質および象牙質を含む歯の硬組織に対する上記コンポジットレジンセメントの接着性を向上させる歯科用プライマーとして、以下の成分:
(e)水;
(f)一般式(I):
Figure 2007088628
[式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数5〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜6のアルキレン基を示す。]で示される重合性単量体;
(g)二塩基性カルボキシル基または酸無水物残基を有する重合性単量体;
(h)バルビツール酸類;および
(i)アミン;
を含有する歯科用プライマーを提供する。
本発明の歯科用プライマーは、プライマー組成全体を100重量%としたとき、
20.0〜60.0重量%の成分(e)水;
2.0〜10.0重量%の成分(f)一般式(I)で示される重合性単量体;
5.0〜25.0重量%の成分(g)二塩基性のカルボキシル基を有する重合性単量体および酸無水物基を有する重合性単量体;
1.0〜5.0重量%の成分(h)バルビツール酸類;および
1.0〜5.0重量%の成分(i)アミンを含有することを特徴とする。さらに、50.0重量%以下の成分(j)水酸基を有するラジカル重合性単量体を含有することを特徴とする。ただし、各成分の合計は100重量%を超えないものとする。
さらに、本発明は、生体硬組織、特にエナメル質や象牙質の基体に、酸処理等の処理を行なうことなく、2ペースト型コンポジットレジンセメントの操作性および貯蔵安定性を確保しつつ、コンポジットレジンセメントに強固な接着性と高い耐久性を付与すべく、本発明の歯科用コンポジットレジセメントおよび歯科用プライマーからなる歯科用接着剤キットも提供する。
本発明において使用する成分(a)のラジカル重合性単量体は、限定されないが、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートおよび水酸基やハロゲンによるそのアルキル側鎖置換体、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2'−ビス(4−(メタ)アクロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス[4−(3−(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、エポキシ−(メタ)アクリレートおよびジ−2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメートなどのウレタンジメタクリレート(UDMA)またはシラノール基を含む重合性単量体、例えばγ−メタクリロイロキシプロピルメトキシシラン等を含む。
これらのラジカル重合性単量体は、単独または、適宜組合せて使用されるが、ジ−2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジカルバメートとトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや2,2'−ビス[4−(3−(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパンとトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとの組合せが好ましい。
上記ラジカル重合単量体の配合量は、レジンセメント組成全体を100重量部としたとき、通常20.0〜45.0重量部、好ましくは20.0〜40.0重量部、さらに好ましくは、20.0〜35.0重量部である。ラジカル重合単量体の配合量が20.0重量部より少ないとペーストの粘性が高く、45.0重量部より多いとペーストの粘性が低く、レジンセメントとして使用に適するペースト性状が得られない。
本発明において使用する成分(b)のフルオロアルミノシリケートガラス(FASG)フィラーは、公知のガラス製造方法により製造することができる。例えば、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、硅酸アルミニウム、ムライト、硅酸カルシウム、硅酸ストロンチウム、硅酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム、フッ化ストロンチウム、リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウムなどから選択されたガラス原料を1000℃以上の高温で溶解し冷却後、粉砕してガラス組成物を製造することができる。
本発明に用いるガラス組成物の好ましい組成は、ガラス組成全体を100モル%としたとき、以下の酸化物:
酸化カルシウム(CaO) 5〜40モル%;
シリカ(SiO) 15〜70モル%;
アルミナ(Al) 10〜50モル%;
酸化ナトリウム(NaO) 0〜7モル%;
五酸化リン(P) 0〜7モル%;
および
フッ化物(Fとして) 5〜20モル%
を含む。ただし、各成分の合計は100モル%を超えないものとする。
上記組成物において、酸化カルシウムに代えて、いずれのアルカリ土類金属の酸化物であっても使用できる。また、アルカリ土類金属の少なくとも一部は、ランタン、ガドリニウムまたはイッテルビウム等のランタニド金属で置き換えてもよい。
さらに、これらのガラス組成物中、一部またはすべてのアルミナをアルミニウム以外のIII族の金属で置き換えてもよい。同様にして、ガラス組成物中のシリカの一部を酸化ジルコニウムまたは酸化チタニウムで置き換えてもよい。X線不透過性とするため、ガラス組成物にストロンチウム、ランタン、ガドリニウム、イッテルビウムまたはジルコニウムを用いることができる。
本発明に用いるフッ素含有ガラスは、従来からのどの方法によって調製してもよいが、好ましくは溶融法、ゾルーゲル法により製造する。これは例えば、可溶性アルミニウム化合物と可溶性シリコン化合物を含有する第1溶液を、II族金属の可溶性化合物を含有する第2溶液とを反応させ、得られたゲルを熱乾燥または凍結乾燥により乾燥させて回収する方法である。この方法を使用すると、フラックス剤のごとき通常のガラスの製造に用いられる添加剤の使用を避け、比較的低い温度を用いることができることになる。このため、今までより透明度の高いガラスが得られる。
有機金属または無機塩のアルコール溶液のごとき他の化合物をゾルの段階で添加して2価または3価のガラスを得てもよい。
ゲル化速度を速めるために、酸性または塩基性溶媒をこのゾル−ゲル反応混合物へ添加してもよい。この方法により比較的低温にて均質な耐火性ガラスが得られる。
このゾル−ゲル法は、特にガドリニウムを導入したガラスの製造および以下の5つの成分:X−CaO−Al−SiO−F(式中XはX線不透過性物質の酸化物である。)を含有するガラスの製造に特に適している。
このような5成分ガラスは製造するのが難しい。しかしながらゾル−ゲル法によればガラスを容易に製造することが可能となる。
CaO源としてイソブチルアルコールとエタノール中のアルミニウム第2ブトキシド(Asb)、SiO源としてテトラエチルシリケート、F源として40%フッ化水素酸、Gd源としてエタノール易溶性のGd(NOまたはメタノール溶液と置換してもよい。
さらに、酸化カルシウムは50℃でエタノールに溶解させた無水Ca(NOと置換してもよい。これらの溶液は50℃でかきまぜながら混合する。これをその後70℃で還流してもよい。乾燥後、物質を柔らかいうちに粉砕し、その後400から500℃の温度で乾燥させる。これを必要なサイズとなるようさらに粉砕する。本発明に用いるFASGは従来の溶融法により得られたものであってもよい。
本発明において、平均粒径が0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μmのFASGフィラーを用いることができる。また、フFASGフィラーは、セメント本体の材料強化の目的でフィラーとして使用される。重合性単量体などのレジン成分との親和性を向上させる目的から、FASGフィラーは通法によりシラン処理を施すことが望ましい。シラン処理剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランが例示される。
本発明のFASGフィラーの配合量は、レジンセメント組成全体を100重量部としたとき、50.0〜80.0重量部、好ましくは50.0〜77.0重量部である。50.0重量部より少ないとフィラーの沈降、すなわち、液浮き現象を生じ、80.0重量部より多いとペーストの流動性が著しく低下し、セメントとしての機能が低下する。
また、本発明で使用するフルオロアルミノシリケート以外の添加物として、フィラーの沈降を防止するために、成分(b’)として、超微粒子フィラーを用いることができる。
本発明において使用する成分(c)−(1)の有機過酸化物は、限定されないが、ベンゾイルパーオキシド、4,4′−ジクロルベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、t−ブチルパーオキシマレイックアシッドおよびスクシニックアシッドおよびパーオキシド等を含む。なかでも、t−ブチルパーオキシマレイックアシッドスクシニックアシッドパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドおよび4,4'−ジクロルベンゾイルパーオキシドが特に好ましい。
本発明において使用する成分(c)−(2)のバルビツール酸類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩は、限定されないが、5−n−ブチルバルビツール酸ナトリウム塩、5−n−ブチルバルビツール酸カルシウム塩、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸ナトリウム塩、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸カルシウム塩、1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウム塩、1,3,5−トリメチルバルビツール酸カルシウム塩等を含む。
本発明において使用する(c)−(3)の光重合開始剤は、限定されないが、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イロキシ−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド、9,10−アントラキノン、カンファーキノン、ベンジル、4,4′−ジシクロベンジル、ジアセチル等の紫外線増感剤または可視光線増感剤を含む。
本発明において使用する(c)−(4)の芳香族第二または第三アミンは、窒素原子上に少なくとも一つの芳香族基を有するものであり、この芳香族基は置換基を有していてもよい。具体的には、N−ジメチルアニリン、N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N−メチル−p−トルイジン等が特に好ましい。
これらのアミンの使用量は、レジンセメント組成全体を100重量部としたとき、0.05〜0.8重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。アミンの使用量が0.05重量部より少ないと、硬化が不十分となり、0.8重量部より多いと変色の原因となり、しかも硬化が急速に進行するため、レジンセメントの可使時間が短くなり、適当な作業時間が得られない。
本発明において使用する成分(d)の棚寿命安定剤は、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンまたはブチル化ヒドロキシトルエン等を含む。
これらの棚寿命安定剤の使用量は、レジンセメント組成全体を100重量部としたとき、0.02〜0.2重量部、より好ましくは0.03〜0.06重量部である。棚寿命安定剤の使用量が0.02重量部より少ないと、ペーストの棚寿命が不十分となり、0.2重量部より多いと十分な硬化が得られない。
本発明において使用する成分(e)の水は、歯科医療用成分として臨床上受容され、当該組成物の成分並びに接着効果に有害な不純物を本質的に含まないものが好ましい。蒸留水またはイオン交換水が好適である。
水の配合量は、プライマー組成全体を100重量%としたとき、通常20.0〜60.0重量%、好ましくは25〜50.0重量%、さらに好ましくは、30.0〜45.0重量%であり、20.0重量%より少ないと接着性が低下し、60重量%より多いと接着性が低下する。
本発明において使用する成分(f)は、一般式(I):
Figure 2007088628
[式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数5〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜6のアルキレン基を示す。]で示される重合性単量体である。この重合性単量体は特許文献7に開示された方法により製造することができる。
上記一般式(I)で示される重合性単量体は、限定されないが、以下の化合物を含む。
Figure 2007088628
Figure 2007088628
Figure 2007088628
Figure 2007088628
本発明において使用する成分(f)の一般式(I)で示される重合性単量体は、ホスホン酸残基を導入しているにもかかわらず重合性を阻害することなく、他のラジカル重合性単量体と共重合することができ、ラジカル重合硬化型の歯質用プライマーに適用することができる。
上記ホスホン酸残基を有する重合性単量体の配合量は、プライマー組成全体を100重量%としたとき、通常0.5〜25.0重量%、好ましくは1.0〜20.0重量%、さらに好ましくは2.0〜10.0重量%である。この重合性単量体の配合量が、0.5重量%より少ないか、または25.0重量%より多いと接着性が低下する。
本発明において使用する成分(g)の二塩基酸のカルボキシル基を有する重合性単量体および酸無水基を有する重合性単量体は、限定されないが、1,4−ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリット酸、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸、4−アクリロキシブチルトリメリット酸、11−(メタ)アクリロキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸等を含む。4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸および4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物が特に好ましい。ここで、「(メタ)アクリロキシ」とは、アクリロキシまたはメタクリロキシを意味する。
上記ジカルボン酸基および酸無水物残基を有する重合性単量体の配合量は、プライマー組成全体を100重量%としたとき、通常2.0〜40.0重量%、好ましくは5.0〜35.0重量%、さらに好ましくは5.0〜25.0重量%である。この重合性単量体の配合量が、2.0重量%より少ないか、または25.0重量%より多いと接着性が低下し、40.0重量%より多いと溶解性が低下する。
本発明において使用する成分(h)のバルビツール酸類は、限定されないが、次式:
Figure 2007088628
[R、RおよびRは、同一もしくは異なっていてもよく、相互に独立して、水素原子または、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基もしくはシクロヘキシル基等の置換基を有していてもよい脂肪族、芳香族、脂環式もしくは複素環式残基を示す。]で示されるバルビツール酸誘導体を含む。
このようなバルビツール酸類として、バルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1−メチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−イソプロピルバルビツール酸、5−シクロヘキシルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバリビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−n−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−sec−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−tert−ブチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロペンチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−シクロフキシルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−フェニルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸、5−アミノバルビツール酸、および2−クロルバルビツール酸等が例示される。5−ブチルバルビツール酸、1,3,5−トリメチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−イソブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸および1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸が特に好ましい。
上記バルビツール酸類の配合量は、プライマー組成全体を100重量%としたとき、通常1.0〜5.0重量%、好ましくは0.8〜4.0重量%、さらに好ましくは、1.0〜3.0重量%である。バルビツール酸の配合量が、1.0重量%より少ないと接着性が低下し、5.0重量%より多いと再び接着性が低くなり、レジンセメントの可使時間が短くなり、適当な作業時間が得られない。
本発明において使用する成分(i)のアミンは、限定されないが、一般式:
Figure 2007088628
[式中、R、RおよびRは、相互に独立して、水素原子;水酸基、(メタ)アクリロイル基等の置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基もしくは炭素原子数6〜12のシクロアルキル基;または、ハロゲン、炭素原子数1〜10のアルキル基、水酸基、(メタ)アクリロイル基等の置換基を有していてもよいフェニル基を示す。ただし、R〜Rは同時には水素原子を示さない。]で示される化合物を含む。
その他、環状アミンまたは2価以上のアミン、例えばジアミンも含まれる。この種のアミンとしては、n−ブチルアミン、プロピルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジペンチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、フェニルエチルアミン、エチレンアミン、テトラメチレンアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、トリイジン、アニシジン、N,N−ジメチル−m−アニシジン、N,N−ジメチル−p−アニシジン、N,N−ジメチル−m−アミノフェノール、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、N,N−ジエチル−p−アニシジン、p−プロポキシ−N,N−ジメチルアニリン、p−ヘキシロキシ−N,N−ジメチルアニリン、p−ブトキシ−N,N−ジメチルアニリン、クロルアニリン、ブロムアニリン、ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、p−アミノフェニルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノフェニルメタクリレート、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)フェニルメタクリレート、p−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニルアミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)フェニル−グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチルモルホリン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−メチル−4−メチルイミダゾール、エチレンジアミン、メチレンジアニリン、フェニレンジアミン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)トリエチレンテトラミン、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、D,L−1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−4−フェニルフェノール、2−アミノ−2−フェニルエタノール、L−2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アニリノ−エタノール、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、o−またはp−アミノフェニチルアルコール、5−アミノ−1−ペンタノール、5−アミノ−2−メチルフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、アミノ安息香酸エステル、例えば、p−アミノ安息香酸メチル、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸ブチル、p−アミノ安息香酸プロピル、p−アミノ安息香酸イソプロピル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソプロピル等が例示される。N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、p−アミノフェニルメタクリレート、p−(β−ヒドロキシ−γ−メタクリロキシプロポキシ)フェニルアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソプロピル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等が好ましく、N,N−ジ(2―ヒドロキシエチル)−p−トルイジンまたはジメチル−p−トルイジンが特に好ましい。
上記アミンの配合量は、プライマー組成全体を100重量%としたとき、通常0.01〜10.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%、さらに好ましくは0.8〜4.0重量%である。アミンの配合量が、1.0重量%より少ないと接着性が低下し、5.0重量%より多いと再び接着性が低くなり、レジンセメントの可使時間が短くなり、適当な作業時間が得られない。
本発明による歯科用レジンセメントおよび歯科用プライマーには、所望により、成分(j)として、水酸基を有する重合性化合物を添加することができる。水酸基を有する重合性化合物は、水酸基と共に重合可能な不飽和基、例えば、アクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基またはアリル基等を有する重合性のモノマー、オリゴマーまたはポリマーであるが、モノマーが特に好ましい。この種の化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、ジアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、さらに1,2−または1,3−および2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル−1,2−ジ(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイル−1,2−ジヒドロキシプロピルアミン、N−(メタ)アクリロイル−1,3−ジヒドロキシプロピルアミン、フェノールとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加生成物、例えば、1−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート等が例示されるが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが特に好適である。
なお、これらの水酸基を有する化合物は、所望により、2種以上適宜併用してもよい。
上記の水酸基を有する化合物の配合量は、プライマー組成全体を100重量%としたとき、通常2.0〜20.0重量%、好ましくは5.0〜15.0重量%である。水酸基を有する化合物の配合量が2.0重量%より少ないか、または20.0重量%より多いと接着性が低下する。
本発明によるプライマー組成物には、所望により、成分(k)として、水溶性有機溶媒を用いることができる。水溶性有機溶媒は、成分(g)の二塩基性のカルボキシル基を有する重合性単量体および酸無水物基を有する重合性単量体等の溶解性を高め、均一溶液とし、接着性を向上させるために配合する。このような水溶性有機溶媒は、限定されないが、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、2−プロペン−1−オール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2,6−へキサントリオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシ)エトキシエタノール、2−エトキシメトキシエタノール等のアルコール化合物;またはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物を含む。なかでも、エチルアルコール、イソプロピルアルコールおよびアセトンの使用が好ましい。上記水溶性有機溶媒は必要に応じ2種以上を混合して用いることが可能である。
上記水溶性有機溶媒の配合量は、プライマー組成全体を100重量%としたとき、通常0.0〜50.0重量%、好ましくは0.0〜35.0重量%、さらに好ましくは、0.0〜30.0重量%であり、50.0重量%より多いとプライマー組成物の粘性が著しく低下し、包装容器からのプライマー組成物の適量採取が困難となる。
本発明によるコンポジットレジンセメントおよびプライマーは、各々その構成成分を必要に応じて2以上に分割して使用する。例えば、有機過酸化物と芳香族第三アミンとの組合せ、またはアミンと酸性基を有する重合性単量体との組合せは、共存させると反応してしまうため、不都合である。したがって、各成分同士が、ペースト中またはプライマー液中で反応しないように組み合わせることが望まれる。
例えば、硬化剤成分を開始剤と促進剤等で構成する場合、混合して使用するように2以上に分割する。プライマーにおいては、混合使用の方法として、歯科医が使用に際して小皿等の別容器中で混合使用する場合、あるいは患者の歯の接着窩洞内で混合使用する場合等、その方法は適宜選択できる。この分割方法による態様はその組合せの中から適宜選択できる。
本発明の歯科用接着剤キットによれば、歯質への接着性が高く、特に、プライマーが親水性に富むため、従来困難とされていた象牙質への接着にも優れる。
また、本発明の歯科用コンポジットレジンセメントは2ペースト型でありながら、その貯蔵安定性に優れる。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例中に示した略称、略号は以下の通りである。
(1)重合性単量体
[一般式(I)で示される重合性単量体]
2−MEPA: (2−メタクリロキシ)エチルホスホノアセテート
2−MEPP: (2−メタクリロキシ)エチル−3−ホスホノプロピオネート
6−MHPA: (6-メタクリロキシ)ヘキシルホスホノアセテート
6−MHPP: (6-メタクリロキシ)ヘキシル−3−ホスホノプロピオネート
10−MDPA: (10−メタクリロキシ)デシルホスホノアセテート
10−MDPP: (10−メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノプロピオネート
[二塩基酸のカルボキシル基または酸無水基を有する重合性単量体]
4−AET: 4−アクリロキシエチルトリメリット酸
4−META: 4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物
[その他の重合性単量体]
UDMA: ジ−2−メタクリロイロキシエチル−2,2,4−トリメチルへキサメチレンジカルバメート
3G: トリエチレングリコールジメタクリレート
Bis-GMA: 2,2'−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン
(2)重合触媒
[バルビツール酸類]
BBA: 5−n−ブチルバルビツール酸
BPBA: 1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸
TMBA: 1,3,5−トリメチルバルビツール酸
[バルビツール酸類の塩]
BBA・Na: 5−n−ブチルバルビツール酸ナトリウム
BBA・Ca: 5−n−ブチルバルビツール酸カルシウム
BPBA・Na: 1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸ナトリウム
BPBA・Ca: 1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸カルシウム
TMBA・Na: 1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウム
TMBA・Ca: 1,3,5−トリメチルバルビツール酸カルシウム
[アミン]
DEPT: N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
[その他の重合触媒]
p−TSNa: p−トルエンスルフィン酸ナトリウム
(3)フィラー
[ガラスフィラー]
FASGフィラー: フルオロアルミノシリケートガラスフィラー
平均粒径1.8μm、γ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン 8%シラン処理フィラー
[その他のフィラー]
R−711: 超微粒子シリカフィラー
R−972: 超微粒子シリカフィラー
R−974: 超微粒子シリカフィラー
実施例中で用いたレジンセメントおよびプライマーの特性の測定方法を以下に示す。
(1)TG(熱重量)/DTA(示差熱分析)の測定
測定試料をアルミ製の試料容器(アルミパン)に入れ、熱重量/示差熱分析装置(セイコー電子工業株式会社製)に設置する。200mL/分で窒素ガスを流入させながら、アルミナをレファレンスとし、10℃/分の昇温速度にて測定を行う。
(2)pHの測定
2重量%水溶液を作製し、2点校正したpHメーター「F−22」(株式会社堀場製)を用い、電極浸漬5分後のpHを測定する。
(3)ペーストの貯蔵安定性
ペン型容器「シリンジUC−18C」(株式会社ユニコスモ製)に約4.5gのペーストを充填する。このペン型容器は、ペンの後端部を回転させてピストンを前進させ、一定量の内容液を吐出させる機構の容器であり、内容物と空気との界面を最小限にすることができる。
ペーストを充填したペン型容器を一定温度に設定したインキュベータ「MIR−153」(三洋電機株式社製)中に保管し、24時間毎にペーストのゲル化を観察する。容器から一定量のペーストを吐出し、スパチュラで引き延ばし、目視にて固形物の存在が確認されれば、ペーストがゲル化したと判断する。
(4)レジンセメントの硬化時間測定
ペーストAおよびBの練和物の硬化時間はISO4049:2000(E)に準じて測定する。
具体的には、熱電対を取り付けた試料ウェル(4mmφ×6mm)に、練和したペースト0.8gを充填し、硬化反応による発熱曲線を記録する。ペーストの練和開始から発熱曲線のピークに達するまでの時間を硬化時間とし、3回の測定値を平均する。
(5)接着強さの測定
レジンセメントを界面に介在させて、エナメル質および象牙質と直径4.55mmステンレスロッドの引張り接着強さにより求める。
歯質は人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用い、その歯根部を除去後エポキシ樹脂包埋して用いる。接着試験方法として、同牛歯の唇面を耐水研磨紙(SiC#600)で研磨してエナメル質および象牙質を露出させ、水洗・エアー乾燥後、その面に歯質接着性プライマーIおよびII液の混和液を塗布し、20秒後にエアー乾燥を行って表面処理を行う。
一方、ステンレスロッドは予め、耐水研磨紙(SiC#600)で接着面を研磨後、粒径約50μmのアルミナを用いてサンドブラスト処理し、金属用プライマー「メタルリンク」(株式会社松風製)を塗布、10秒間自然乾燥させたものを用いる。
レジンセメントのペーストAおよびペーストBを練板紙上に等量採取し、プラスティックスパチュラを用いて、15秒間練和する。練和ペーストを歯質とステンレスロッドの間に介在させ、200gの荷重を加え接着させる。
余剰ペーストを、マイクロブラシを用いて除去後、セメントラインに沿って、光照射器「グリップライトII」(株式会社松風製)を用いて10秒間光照射を行う。光照射の10分後荷重を除去し、口腔内の環境を想定して、同接着試験体を37±2℃蒸留水中24時間浸漬後、インストロン万能試験機「インストロン5567」(インストロン社製)を用い、クロスヘッドスピード1mm/分にて引張り接着強さを測定する。
また、同接着試験体を37±2℃蒸留水中24時間浸漬後、さらに、4℃水中1分間、60℃水中1分間の浸漬を2000回繰り返した後、上記の方法で加速試験後の接着強さを測定する。
(6)操作時間の測定
レジンセメントの可使時間をより明確にするため、臨床的模擬使用試験において、プライマー処理面上でレジンセメントが手圧で移動しなくなるまでの時間を操作時間と定義し、操作時間をレジンセメントの操作性のパラメータとすることを考案した。
本発明において、操作時間の臨床的許容範囲を20〜60秒と設定した。
歯牙試験体: 歯質として、人歯に換えて新鮮抜去牛前歯を用い、その歯根部を除去後、エポキシ樹脂包埋して用いる。エナメル質が露出するように削り出し、耐水研磨紙(SiC#600)で表面を研磨後、水洗および乾燥して、歯牙試験体を作製する。
プライマー処理: プライマーI液およびII液を等量採取し、小筆等を用いて混合後、前記の歯牙試験体表面に20秒間処理し、エアー乾燥する。
金属被着体: 金属被着体としてΦ4.55mmのステンレス棒(SUS303)の被接着面を約50μmのアルミナ粒子を用いて、約0.5MPaの圧縮空気を用い、10秒間サンドブラスト処理を行う。水洗および乾燥後、金属接着促進用プライマー「メタルリンク」(松風社製)を塗布し、10秒間自然乾燥させる。
接着: レジンセメント練和泥をプライマー処理された歯牙試験体と「メタルリンク」を用いて処理された金属被着体との間に介在させ、接着させる。
操作時間の測定: 口腔内での操作を想定して37±2℃に設定された乾式恒温槽に上記の接着させた試料をセットし、手圧にて、ステンレス棒が移動するかどうかを5秒間隔で確認し、移動しなくなるまでの時間を測定し、操作時間とする。3個の試料の測定値を平均する。
(7)曲げ強さ測定
曲げ強さ(σ、単位:MPa)はISO4049:2000(E)に準じ、下式から曲げ強さを算出する。
σ=3F・I/2bh
ここで F: 試料に加えられた最大荷重(N)
I: 支持棒間の距離(mm)
b: 試験直前に測定された試料の幅(mm)
h: 試験直前に測定された試料の高さ(mm)
具体的には、スライドグラス上のステンレス製型枠にレジンセメント練和物を充填し、スライドガラスを圧接した状態で、一方の面から20秒×5回、反対面から20秒×5回、いずれも全体に光が照射されるように場所を変えながら、光照射器「グリップライトII](株式会社松風製)の照射口をスライドグラスに密着させて光照射を行って、硬化体を得る。
320番の研磨紙で緩やかに研磨してバリの除去を行い、2×2×25mmの角柱の試験片を作製する。口腔内の環境を想定して、これを37±2℃の水中に浸漬24時間後、インストロン万能試験機「インストロン5567」(インストロン社製)を用いて、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分にて、この試験片の3点曲げ強さを測定し、5個の試料の測定値を平均する。
製造例1: 5−n−ブチルバルビツール酸ナトリウムの製造
100mL三角フラスコに蒸留水25gを入れ、撹拌しながら、無水炭酸ナトリウム3.11g(29.34mmol)を加え、30℃湯浴中で溶解させて、NaCO水溶液を得た。
別に、200mLビーカーに蒸留水20gを入れ、撹拌しながら、5−n−ブチルバルビツール酸(BBA)10.82g(58.74mmol)を加え、均一に分散させて、BBA懸濁液を得た。
NaCO水溶液をBBA懸濁液にゆっくりと加え、30℃湯浴中で、撹拌しながら1時間反応させた。その後、40℃〜50℃の湯浴中で70cmHgにて、エバポレーターにより、約40gになるまで濃縮した。その残渣に約200mLのアセトンを加え、結晶化させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応のBBAを除去するため、得られた白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、5−n−ブチルバルビツール酸のナトリウム塩(BBA・Na)を得た。
熱重量分析(TG)および熱示差分析(DTA)により、得られた塩の融点および分解温度を測定した。また、得られた塩の2重量%水溶液のpHを測定した。これにより、純粋なバルビツール酸塩が生成されていることを確認した。測定結果を表1に示す。
製造例2: 5−n−ブチルバルビツール酸カルシウムの製造
100mL三角フラスコに蒸留水25gを入れ、撹拌しながら、炭酸カルシウム5.88g(58.75mmol)を加え、30℃湯浴中で均一に分散させて、CaCO懸濁液を得た。
別に、200mLビーカーに蒸留水20gを入れ、撹拌しながら、5−n−ブチルバルビツール酸(BBA)10.82g(58.74mmol)を加え、均一に分散させて、BBA懸濁液を得た。
CaCO懸濁液をBBA懸濁液にゆっくりと加え、30℃湯浴中で、撹拌しながら1時間反応させた。その後、40℃〜50℃の湯浴中で70cmHgにて、エバポレーターにより、約40gになるまで濃縮した。その残渣に約200mLのアセトンを加え、結晶化させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応のBBAを除去するため、得られた白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、5−n−ブチルバルビツール酸のカルシウム塩(BBA・Ca)を得た。
熱重量分析(TG)および熱示差分析(DTA)により、得られた塩の融点および分解温度を測定した。また、得られた塩の2重量%水溶液のpHを測定した。これにより、純粋なバルビツール酸類の塩が生成されていることを確認した。測定結果を表1に示す。
製造例3: 1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸ナトリウムの製造
100mL三角フラスコに蒸留水25gを入れ、撹拌しながら、無水炭酸ナトリウム3.11g(29.34mmol)を加え、30℃湯浴中で溶解させて、NaCO水溶液を得た。
別に、200mLビーカーに蒸留水40gおよびアセトン6gを入れ、撹拌しながら、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸(BPBA)17.29g(58.75mmol)を加え、BPBAアセトン水溶液を得た。
NaCO水溶液をBPBAアセトン水溶液にゆっくりと加え、30℃湯浴中で、撹拌しながら1時間反応させた。その後、40℃〜50℃の湯浴中で70cmHgにて、エバポレーターにより、約40gになるまで濃縮した。その残渣に約200mLのアセトンを加え、結晶化させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応のBPBAを除去するため、得られた白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸のナトリウム塩(BPBA・Na)を得た。
熱重量分析(TG)および熱示差分析(DTA)により、得られた塩の融点および分解温度を測定した。また、得られた塩の2重量%水溶液のpHを測定した。これにより、純粋なバルビツール酸類の塩が生成されていることを確認した。測定結果を表1に示す。
製造例4: 1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸カルシウムの製造
100mL三角フラスコに蒸留水25gを入れ、撹拌しながら、炭酸カルシウム5.88g(58.75mmol)を加え、30℃湯浴中で均一に分散させて、CaCO懸濁液を得た。
別に、200mLビーカーに蒸留水40gおよびアセトン6gを入れ、撹拌しながら、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸(BPBA)17.29g(58.75mmol)を加え、BPBAアセトン水溶液を得た。
CaCO懸濁液をBPBAアセトン水溶液にゆっくりと加え、30℃湯浴中で、撹拌しながら1時間反応させた。その後、40℃〜50℃の湯浴中で70cmHgにて、エバポレーターにより、約40gになるまで濃縮した。その残渣に約200mLのアセトンを加え、結晶化させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応のBPBAを除去するため、得られた白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸のカルシウム塩(BPBA・Ca)を得た。
熱重量分析(TG)および熱示差分析(DTA)により、得られた塩の融点および分解温度を測定した。また、得られた塩の2重量%水溶液のpHを測定した。これにより、純粋なバルビツール酸類の塩が生成されていることを確認した。測定結果を表1に示す。
製造例5: 1,3,5−トリメチルバルビツール酸ナトリウムの製造
100mL三角フラスコに蒸留水25gを入れ、撹拌しながら、無水炭酸ナトリウム3.11g(29.34mmol)を加え、30℃湯浴中で溶解させて、NaCO水溶液を得た。
別に、200mLビーカーに蒸留水20gを入れ、撹拌しながら、1,3,5−トリメチルバルビツール酸(TMBA)10.00g(58.76mmol)を加え、均一に分散させて、TMBA懸濁液を得た。
NaCO水溶液をTMBA懸濁液にゆっくりと加え、30℃湯浴中で、撹拌しながら1時間反応させた。その後、40℃〜50℃の湯浴中で70cmHgにて、エバポレーターにより、約40gになるまで濃縮した。その残渣に約200mLのアセトンを加え、結晶化させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応のTMBAを除去するため、得られた白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、1,3,5−トリメチルバルビツール酸のナトリウム塩(TMBA・Na)を得た。
熱重量分析(TG)および熱示差分析(DTA)により、得られた塩の融点および分解温度を測定した。また、得られた塩の2重量%水溶液のpHを測定した。これにより、純粋なバルビツール酸類の塩が生成されていることを確認した。測定結果を表1に示す。
製造例6: 1,3,5−トリメチルバルビツール酸カルシウムの製造
100mL三角フラスコに蒸留水25gを入れ、撹拌しながら、炭酸カルシウム5.88g(58.75mmol)を加え、30℃湯浴中で均一に分散させて、CaCO懸濁液を得た。
別に、200mLビーカーに蒸留水20gを入れ、撹拌しながら、1,3,5−トリメチルバルビツール酸(TMBA)10.00g(58.76mmol)を加え、均一に分散させて、TMBA懸濁液を得た。
CaCO懸濁液をTMBA懸濁液にゆっくりと加え、30℃湯浴中で、撹拌しながら1時間反応させた。その後、40℃〜50℃の湯浴中で70cmHgにて、エバポレーターにより、約40gになるまで濃縮した。その残渣に約200mLのアセトンを加え、結晶化させた後、吸引ろ過により、固液分離した。未反応のTMBAを除去するため、得られた白色結晶をアセトンで十分に洗浄し、残った結晶を真空乾燥して、1,3,5−トリメチルバルビツール酸のカルシウム塩(TMBA・Ca)を得た。
熱重量分析(TG)および熱示差分析(DTA)により、得られた塩の融点および分解温度を調べた。また、得られた塩の2重量%水溶液のpHを調べた。これにより、純粋なバルビツール酸類の塩が生成されていることを確認した。結果を表1に示す。
Figure 2007088628
実施例1: レジンセメントの貯蔵安定性に対するバルビツール酸化合物の影響
(1)レジンセメントの製造
表2の組成に基づき、ペーストAおよびペーストBからなる2ペースト型のレジンセメントを製造した。
この実施例において、成分(c)−(2)以外のペーストAの組成の合計を50重量部とし、ペーストAに0.001モルのバルビツール酸化合物を添加した。また、ペーストBの組成の合計を50重量部とした。
表2におけるバルビツール酸化合物として、表3に示すごとく、製造例1〜6で作製した各バルビツール酸類の塩を用いてペーストAを調製し、レジンセメント1〜6とした。また、比較のため、表2におけるバルビツール酸化合物として、表3に示すごとく、各バルビツール酸類の塩に対応するバルビツール酸類を用いてペーストAを調製し、レジンセメント7〜9とした。各レジンセメントにおいて、ペーストBの組成は共通である。












Figure 2007088628
Figure 2007088628
(2)レジンセメントの特性評価
[ペーストAの貯蔵安定性]
各ペーストAの貯蔵安定性を30℃および50℃にて測定した結果を表4に示す。
Figure 2007088628
貯蔵温度30℃の場合、バルビツール酸類を用いたレジンセメント7〜9のペーストAのゲル化日数が2日〜6日であるのに対し、バルビツール酸類の塩を用いたレジンセメント1〜6のペーストAのゲル化日数は20日以上であった。
また、貯蔵温度50℃の場合、バルビツール酸類を用いたレジンセメント7〜9のペーストAのゲル化日数が1日〜2日であるのに対し、バルビツール酸類の塩を用いたレジンセメント1〜6のペーストAのゲル化日数は9日〜24日であった。
バルビツール酸類に代えてバルビツール酸類の塩を用いることより、ペーストAの貯蔵安定性を顕著に向上させることができた。
[レジンセメントの硬化時間]
各レジンセメントのペーストAおよびペーストBを混合してから硬化するまでの硬化時間を、ペースト製造直後の初期段階ならびに、通常の貯蔵状態を想定して23±1℃または30±1℃にて貯蔵して30日後および90日後に測定した。硬化時間の結果を表5に示す。
Figure 2007088628
ペーストAにバルビツール酸類の塩を用いたレジンセメント1〜6の硬化時間は、初期段階から23℃および30℃にての貯蔵90日後まで、ほぼ一定であった。一方、ペーストAにバルビツール酸類を用いたレジンセメント7〜9の硬化時間は、23℃にての貯蔵では90日後まで大きな変化はないが、30℃にての貯蔵では、30日後にゲル化を起こしてしまい、硬化時間の測定が不能であった。
バルビツール酸類に代えてバルビツール酸類の塩を用いることより、レジンセメントの貯蔵安定性を顕著に向上させることができた。
実施例2: レジンセメント特性に対するプライマー組成の影響(1)
(1)レジンセメントの製造
まず、表6の組成に基づき、ペーストAおよびペーストBからなる2ペースト型のレジンセメント10を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成分(d)である棚寿命安定剤以外のペーストAおよびBの組成の合計を50重量部とし、各ペーストに適量の成分(d)を添加した。
Figure 2007088628
(2)プライマーの製造
つぎに、表7の組成に基づき、I液およびII液からなるプライマー1〜8を製造した。この実施例において、プライマー組成全体に対して、I液の組成の合計を50重量%とし、II液の組成の合計を50重量%とした。各プライマーにおいて、II液の組成は共通である。
Figure 2007088628
(3)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
プライマー1〜8で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、本発明のレジンセメント10の接着強度を測定した。比較のため、表面処理なしの歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、同様に、本発明のレジンセメント10の接着強度を測定した。測定結果を表8に示す。
[操作時間]
プライマー1〜8で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、本発明のレジンセメント10の操作時間を測定した。比較のため、表面処理なしの歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、同様に、本発明のレジンセメント10の操作時間を測定した。測定結果を表8に示す。
Figure 2007088628
プライマーを使用しない場合と比較して、プライマー1を用いた場合、接着強度はエナメル質、象牙質のいずれに対しても高くなり、操作時間も適正範囲内となった。
また、プライマー1と、プライマー2、3、4および5との比較により、成分(h)のバルビツール酸類および成分(i)のアミンのいずれかの成分が欠けるとエナメル質および象牙質の両歯質に対する接着強度が低下することが分かった。
これにより、プライマーの成分として、成分(h)のバルビツール酸類と成分(i)のアミンの双方が必須であることが確認された。
さらに、プライマー1、プライマー6、プライマー2、プライマー7およびプライマー8の比較により、成分(h)のバルビツール酸類と成分(i)のアミンがないと(プライマー2)、接着強度が低く、操作時間も極端に長いが、それらの含有量が多くなると、エナメル質に対する接着強度が徐々に低下し、操作時間が短くなることが分かった。プライマー8(TMBA10重量%およびDEPT10重量%)では、操作時間が許容範囲から逸脱した。
これにより、成分(h)のバルビツール酸類および成分(i)のアミンの各成分の含有量の適正範囲が、いずれも1重量%〜5重量%であることが確認された。
実施例3: レジンセメント特性に対するプライマー組成の影響(2)
(1)プライマーの製造
表9の組成に基づき、I液およびII液からなるプライマー9〜16を製造した。この実施例において、プライマー組成全体に対して、I液の組成の合計を50重量%とし、II液の組成の合計を50重量%とした。各プライマーにおいて、I液の組成は共通である。
Figure 2007088628
(2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
プライマー9〜16で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、本発明のレジンセメント10の接着強度を測定した。測定結果を表10に示す。
[操作時間]
プライマー9〜16で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、本発明のレジンセメント10の操作時間を測定した。測定結果を表10に示す。
Figure 2007088628
プライマー9および16と、プライマー10、11および12との比較により、成分(f)の一般式(I)で示される重合性単量体および成分(g)の二塩基性カルボキシル基または酸無水物残基を有する重合性単量体のいずれかの成分が欠けるとエナメル質および象牙質の両歯質に対する接着強度が低下することが分かった。
これにより、プライマーの成分として、成分(f)の一般式(I)で示される重合性単量体および成分(g)の二塩基性カルボキシル基または酸無水物残基を有する重合性単量体の双方が必須であることが確認された。
また、プライマー13、14、9および15の比較により、いずれのプライマーを用いても、接着強度および操作性が良好であるあることが分かった。
これにより、成分(f)の一般式(I)で示される重合性単量体の含有量の適正範囲が、2重量%〜10重量%であり、成分(g)の二塩基性カルボキシル基または酸無水物残基を有する重合性単量体の含有量の適正範囲が、5重量%〜25重量%であることが確認された。
実施例4: レジンセメント特性に対するプライマー組成の影響(3)
(1)プライマーの製造
表11の組成に基づき、I液およびII液からなるプライマー17〜24を製造した。この実施例において、プライマー組成全体に対して、I液の組成の合計を50重量%とし、II液の組成の合計を50重量%とした。各プライマーにおいて、I液の組成は共通である。
Figure 2007088628
(2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
プライマー17〜24で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、本発明のレジンセメント10の接着強度を測定した。接着強度は、初期段階および、耐久性を調べるため、加速試験(2000回のサーマルサイクル)の後に行った。測定結果を表12に示す。
[操作時間]
プライマー17〜24で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、本発明のレジンセメント10の操作時間を測定した。測定結果を表12に示す。
Figure 2007088628
プライマー17〜22と、プライマー23および24との比較により、初期段階の接着強度および操作時間については、同等であるが、加速試験後、プライマー23および24の接着強度が著しく低下することが分かった。
これにより、成分(f)の一般式(I)で示される重合性単量体において、Rの炭素原子数の適正範囲が、5〜10であることが確認された。
実施例5: レジンセメント特性に対するレジンセメント組成の影響(1)
(1)レジンセメントの製造
表13の組成に基づき、ペーストAおよびペーストBからなる2ペースト型のレジンセメント11〜15を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成分(d)である棚寿命安定剤以外のペーストAおよびBの組成の合計を50重量部とし、各ペーストに適量の成分(d)を添加した。
Figure 2007088628
(2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
本発明のプライマー1で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、レジンセメント11〜15の接着強度を測定した。測定結果を表14に示す。
[曲げ強度]
レジンセメント11〜15の曲げ強度を測定した。測定結果を表14に示す。
[硬化時間]
レジンセメント11〜15の硬化時間を測定した。測定結果を表14に示す。
[操作時間]
本発明のプライマー1で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、レジンセメント11〜15の操作時間を測定した。測定結果を表14に示す。
Figure 2007088628
レジンセメント11と、レジンセメント12および13との比較により、ペーストA中の成分(c)−(2)のバルビツール酸類の塩が欠けると接着強度が低下し、成分(c)−(4)のアミンが欠けると硬化時間が極端に長くなり、曲げ強度が極端に低下することから、十分に硬化しないことが分かった。
これにより、レジンセメントの成分として、成分(c)−(2)のバルビツール酸類の塩および成分(c)−(4)のアミンの双方が必須であることが確認された。
レジンセメント11と、レジンセメント14および15との比較により、ペーストB中の成分(c)−(1)の有機過酸化物が欠けると硬化時間が極端に長くなり、象牙質に対する接着強度および曲げ強度が低下することから、十分に硬化せず、成分(c)−(3)の光重合開始剤が欠けると象牙質に対する接着強度および曲げ強度が低下することが分かった。
これにより、レジンセメントの成分として、成分(c)−(1)の有機過酸化物および成分(c)−(3)の光重合開始剤の双方が必須であることが確認された。
実施例6: レジンセメント特性に対するレジンセメント組成の影響(2)
(1)レジンセメントの製造
表15の組成に基づき、ペーストAおよびペーストBからなる2ペースト型のレジンセメント16〜20を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成分(d)である棚寿命安定剤以外のペーストAおよびBの組成の合計を50重量部とし、各ペーストに適量の成分(d)を添加した。各レジンセメントにおいて、ペーストBの組成は共通である。
Figure 2007088628
(2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
本発明のプライマー1で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、レジンセメント16〜20の接着強度を測定した。測定結果を表16に示す。
[曲げ強度]
レジンセメント16〜20の曲げ強度を測定した。測定結果を表16に示す。
[硬化時間]
レジンセメント16〜20の硬化時間を測定した。測定結果を表16に示す。
[操作時間]
本発明のプライマー1で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、レジンセメント16〜20の操作時間を測定した。測定結果を表16に示す。
Figure 2007088628
レジンセメント16ないし20の比較により、いずれのレジンセメントにおいても、接着強度、曲げ強度、硬化時間および操作性が良好であることが分かった。
これにより、成分(c)−(2)のバルビツール酸類の塩の含有量の適正範囲が、0.1重量部〜2.0重量部であることが確認された。
実施例7: レジンセメント特性に対するレジンセメント組成の影響(3)
(1)レジンセメントの製造
表17の組成に基づき、ペーストAおよびペーストBからなる2ペースト型のレジンセメント21〜25を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成分(d)である棚寿命安定剤以外のペーストAおよびBの組成の合計を50重量部とし、各ペーストに適量の成分(d)を添加した。各レジンセメントにおいて、ペーストBの組成は共通である。
Figure 2007088628
(2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
本発明のプライマー1で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、レジンセメント21〜25の接着強度を測定した。測定結果を表18に示す。
[曲げ強度]
レジンセメント21〜25の曲げ強度を測定した。測定結果を表18に示す。
[硬化時間]
レジンセメント21〜25の硬化時間を測定した。測定結果を表18に示す。
[操作時間]
本発明のプライマー1で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、レジンセメント21〜25の操作時間を測定した。測定結果を表18に示す。
Figure 2007088628
レジンセメント21〜25の比較により、成分(c)−(4)のアミンの含有量が多くなると硬化時間および操作時間が短くなり、十分な接着強度および曲げ強度が得られないことが分かった。
なお、レジンセメント24は、硬化時間が短いため、曲げ強度の測定データが得られなかった。また、レジンセメント25においても、硬化時間および操作時間が短いため、接着強度、曲げ強度、硬化時間および操作時間の測定データが得られなかった。
これにより、成分(c)−(4)のアミンの含有量の適正範囲が、0.1重量部〜0.5重量部であることが確認された。
実施例8: レジンセメント特性に対するレジンセメント組成の影響(4)
(1)レジンセメントの製造
表19の組成に基づき、ペーストAおよびペーストBからなる2ペースト型のレジンセメント26〜30を製造した。この実施例において、レジンセメント組成全体に対して、成分(d)である棚寿命安定剤以外のペーストAおよびBの組成の合計を50重量部とし、各ペーストに適量の成分(d)を添加した。各レジンセメントにおいて、ペーストAの組成は共通である。
Figure 2007088628
(2)レジンセメントの特性評価
[接着強度]
本発明のプライマー1で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、レジンセメント26〜30の接着強度を測定した。測定結果を表20に示す。
[曲げ強度]
レジンセメント26〜30の曲げ強度を測定した。測定結果を表20に示す。
[硬化時間]
レジンセメント26〜30の硬化時間を測定した。測定結果を表20に示す。
[操作時間]
本発明のプライマー1で表面処理した歯牙試験体(エナメル質および象牙質)を用いて、レジンセメント26〜30の操作時間を測定した。測定結果を表20に示す。
Figure 2007088628
レジンセメント26〜30の比較により、成分(c)−(1)の有機過酸化物の含有量が多くなると、十分な接着強度が得られるものの、硬化時間および操作時間が短くなることが分かった。
これにより、成分(c)−(1)の有機過酸化物の含有量の適正範囲が、0.1重量部〜0.5重量部であることが確認された。

Claims (8)

  1. 以下の成分:
    (a)ラジカル重合性単量体;
    (b)フルオロアルミノシリケートガラスフィラー;
    (c)−(1)有機過酸化物;
    (c)−(2)バルビツール酸類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩;
    (c)−(3)光重合開始剤;
    (c)−(4)芳香族第二または第三アミン;および
    (d)棚寿命安定剤
    を含有し、かつ、水を含まない2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメント。
  2. 20.0〜45.0重量部の成分(a)ラジカル重合性単量体;
    50.0〜80.0重量部の成分(b)フルオロアルミノシリケートガラスフィラー;
    0.1〜0.5重量部の成分(c)−(1)有機過酸化物;
    0.1〜2.0重量部の成分(c)−(2)バルビツール酸類のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩;
    0.05〜1.0重量部の成分(c)−(3)光重合開始剤;
    0.1〜0.5重量部の成分(c)−(4)芳香族第三アミン;および
    0.02〜0.2重量部の成分(d)棚寿命安定剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメント。
  3. 以下の成分:
    (e)水;
    (f)一般式(I):
    Figure 2007088628
    [式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数5〜10のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜6のアルキレン基を示す。]で示される重合性単量体;
    (g)二塩基性カルボキシル基または酸無水物残基を有する重合性単量体;
    (h)バルビツール酸類;および
    (i)アミン;
    を含有する歯科用プライマー。
  4. 20.0〜60.0重量%の成分(e)水;
    2.0〜10.0重量%の成分(f)一般式(I)で示される重合性単量体;
    5.0〜25.0重量%の成分(g)二塩基性のカルボキシル基を有する重合性単量体および酸無水物基を有する重合性単量体;
    1.0〜5.0重量%の成分(h)バルビツール酸類;および
    1.0〜5.0重量%の成分(i)アミンを含有することを特徴とする請求項3に記載の歯科用プライマー。
  5. さらに、50.0重量%以下の成分(j)水酸基を有するラジカル重合性単量体を含有する請求項4に記載の歯科用プライマー。
  6. さらに、成分(k)有機溶媒を含有する請求項4に記載の歯科用プライマー。
  7. 2液型である請求項3に記載の歯科用プライマー。
  8. 請求項1または2に記載の2ペースト型歯科用コンポジットレジンセメントおよび請求項3ないし7いずれかに記載の歯科用プライマーを含む歯科用接着剤キット。
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