JPWO2007083681A1 - カーボンナノ材料の可溶化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一に溶解させることができ、長期間にわたって分散性を維持することができ、可溶化処理が低コストで行え、処理のコントロールが容易なカーボンナノ材料の可溶化方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のカーボンナノ材料の可溶化方法は、カーボンナノ材料を親水性溶媒に混入し、該親水性溶媒中でストリーマ放電を行って、カーボンナノ材料を親水性溶媒中に溶解し、安定して分散した状態を保持することを主要な特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、カーボンナノチューブ(以下、CNT)やフラーレン等のカーボンナノ材料を水やアルコール等の親水性溶媒に溶解するカーボンナノ材料の可溶化方法に関する。
近年、ナノテクノロジーは急速な進歩を遂げている。中でもCNTは優れた特性を備えており、注目を集めている。すなわち、CNTは電気的特性、機械的強度等に優れており、樹脂や有機半導体などから複合材料を構成するフィラーとして大きな期待が寄せられ、今後電子デバイス、電気化学などへの応用が限りなく見込まれている。また、CNTはそのサイズ(直径)が数nmであることから、プローブ等の材料として、さらに医療、薬学面においては抗癌や抗ウィルス等の医療用成分の生体内への輸送手段として、あるいは化粧品の配合成分として期待が高まっている。この点、C60、C70等のフラーレン、カーボンナノホーン、カーボンナノカプセルも同様である。なお、ここでいうCNT、フラーレン、カーボンナノカプセルは、純粋の炭素クラスターのほかに一部異種原子を置換したり、異種原子を内包したりした炭素クラスターを含むものである。
しかし、CNT、カーボンナノホーン、フラーレン等はこのような優れた特性にもかかわらず、水や有機溶媒(アルコール、酢酸等)などの親水性溶媒に溶け難いという性質を有している。CNTでも、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の方が多層カーボンナノチューブ(MWCNT)よりも格段に強い難溶性を示す。単層カーボンナノホーン(SWCNH)も同様である。そして、この性質がカーボンナノ材料に対する大きな期待と裏腹にその利用の拡大を阻んでいる。
すなわち、水等の親水性溶媒は親水性が高く、親水性の高い極性溶質を溶解し易いが、CNT、フラーレン等のカーボンナノ材料は無極性(疎水性)であるため、これに溶解し難い。このため、従来、CNT、フラーレンの表面に酸処理等の化学的処理を施して表面改質を行い、表面にカルボシキル基を形成する化学的結合法や、界面活性剤等の可溶化剤をCNT、フラーレンの表面に物理吸着させて可溶化する物理的吸着法が行われている(例えば特許文献1、2)。なお、物理的吸着法は可溶化を促進するため可溶化剤の添加の後に超音波振動等が加えられることが多い。このような物理的吸着法は、上述した化学的吸着法と異なり、CNT表面に構造上の欠陥を形成することが少ないという特徴を有している。ここで、親水性溶媒とは親水基を備えた誘電率の高い溶媒のことである。
ところで、この可溶化処理と直接の関係はないが、本発明者らは従来、カーボンナノ粒子の効率的生産方法として、水中での高電圧パルスアーク放電法を提案した(非特許文献1)。この研究の中で本発明者らは、非特許文献1の生産方法で生産されたカーボンナノ粒子が水中で均一に分散した状態で生成されることを発見した。
しかし、この非特許文献1で報告した生産方法は、水中でパルスアーク放電することによりカーボンナノ粒子の生産と可溶化を一挙に達成する画期的な方法であったが、このとき起こる分散はあくまでカーボンナノ粒子を生産するときに付随して発生するもので、任意の生産方法で生成されたカーボンナノ材料を親水性溶媒に溶解させる一般性のある可溶化方法ではなかった。しかも、ここで利用する高電圧パルスアーク放電法は、基本的には熱プラズマを利用するためにガス中での処理に馴染むもので、高エネルギーが必要であり、装置も簡便なものとは言い難いものであった。
ここで、本明細書において「可溶化」とは、親水性溶媒に溶解しがたい疎水性の溶質に一部親水性の性質を与え、その性質により溶媒中にこの溶質を分散させることを意味する。従って、本明細書でいう「可溶化」はエマルション(乳化)に対応した濁りのない状態を意味するものではなく、難溶解性溶質の溶解化処理と分散化(濁りを常態として形成する)を組み合わせたものに相当する。
さて、非特許文献1のパルスアーク放電のように熱プラズマを利用するのではなく、酸素または窒素ガス等の低温プラズマ(非平衡プラズマ)を利用し、多層CNTを気中でプラズマ処理して表面の炭素に対する酸性官能基の含有率を2%以上とし、超音波等を使って液中に分散させる分散方法が提案された(例えば特許文献3)。この方法は低温プラズマを利用するため、放電のための装置は高電圧パルスアーク放電法の場合よりは簡単なものになる。
この特許文献3においては、多層CNTの分散が可能になる理由として、酸性官能基が多層CNTの表面に存在することで、液中で隣接する別の多層CNTの酸性官能基同士が反発しあうようになり、絡み合っていた多層CNTがほぐれ、分散するとの仮説が述べられている。しかし、上記特定のガス雰囲気でプラズマ処理を行って酸性官能基の含有率を2%以上とし、さらにその後液中に超音波、高速攪拌等の物理的な分散処理を行うのは、ガス中の処理と液中での処理が必要で工程数が増え、処理が複雑になり、時間が掛かる上に装置が大掛かり化し、制御、管理が難しくなり、高コストになるものであった。
このようにCNTの表面修飾のための従来のプラズマ処理はガス雰囲気中での放電を利用するが、放電はガス雰囲気だけでなく水中でも発生する。これは非特許文献1のカーボンナノ粒子生産方法で本発明者らが報告したとおりである。
そして、水の中でパルスストリーマ放電を行えば、OHラジカル、Hラジカル、Oラジカル、H2O2などのラジカル、及びオゾンO3が生成されることも報告されている(例えば非特許文献2,3)。そして、放電プラズマからそのエネルギーの約30%に相当する強い紫外線が放射され、放電のチャネルに沿った付近が活性化され、このとき生成されたH2O2が紫外線によってOHラジカルに分解されるとも報告されている(非特許文献2)。しかし、これら非特許文献2,3で報告されたパルスストリーマ放電は、水中内にラジカルを形成し、その活性化された作用によって水中の微生物や有害化学物質を処理するものであり、カーボンナノ材料の親水性溶媒中における物理的性質の1つ、すなわち難溶性の性質を可溶性の性質に変えるという課題と、その解決手段(カーボンナノ材料を親水性溶媒に溶解させるための可溶化の方法)とは無縁のものである。なお、例えば、上記のような水の浄化に水中ストリーマ放電を利用したものとして排水処理装置がある(例えば特許文献4)。
さらに、水中でのパルスストリーマ放電を行うときガスバブリングを行うと、物理的な作用だけでなく直接化学的な作用を与え、ラジカルが生成されることも報告されている(非特許文献4)。非特許文献4によれば、ガスバブリングを行うガスが酸素の場合、OHラジカルが相当量生成され、アルゴンの場合、Hラジカル、Oラジカルが多く、OHラジカルは生成量が少ない。しかし、非特許文献4は非特許文献2,3と同様、カーボンナノ材料を親水性溶媒に溶解させる可溶化の方法を示唆するものではない。すなわち、カーボンナノ材料を可溶化するために、溶媒中でのストリーマ放電を利用してどのような寄与ができるのかについては、現在のところ未知である。
以上説明したように、CNTやカーボンナノホーン、フラーレン等のカーボンナノ材料は親水性溶媒に溶けないという性質を有している。このため化学的結合法や界面活性剤等による物理的吸着法が行われている。しかし、化学的結合法ではカーボンナノ材料の構造を傷つけ、カーボンナノ材料の構造劣化を招来してしまうし、物理的吸着法は可溶化剤の濃度コントロールなど微妙な処理が必要で、不安定因子が多く、処理を安定的にコントロールすることが難しい。
また、本発明者らは、水中での高電圧パルスアーク放電により生産したカーボンナノ粒子が水中で均一に分散することを発見したが、この分散はカーボンナノ粒子の生産の過程で生じた現象で、他の生産方法で生成されたカーボンナノ材料を親水性溶媒に溶解させるものではないし、この高電圧パルスアーク放電で得た粒子の分散性をさらに向上させることができ、その他様々な方法で生産された既存のカーボンナノ材料に対する一般性のある長期保存に適した最適な分散化方法であるとは言い難いものであった。
そして、特許文献3の分散方法は、気中でプラズマ処理して酸性官能基の比率をコントロールし、その後に液中に分散させるため、処理が複雑で時間を要し、高コストになり、コントロールが難しいものであった。また、非特許文献3、特許文献4で報告された水中パルスストリーマ放電は、水中の微生物や有害化学物質を処理するためOHラジカルを利用するもので、カーボンナノ材料の可溶化方法とは無関係である。
また、非特許文献4は、水中でパルスストリーマ放電を行うときガスバブリングを行うと、物理的な作用だけでなく直接化学的な作用により、ラジカルを生成することを開示する。しかし、これはラジカルの活性によって微生物や有害化学物質を処理するためのものにすぎないし、難溶性のカーボンナノ材料の可溶化という課題と、その方法を示唆するものではない。以上要するに、カーボンナノ材料の構造などには変化を与えず(構造劣化させず)に、1つの性質、すなわち難溶性の性質だけを可溶性の性質に変えるという課題とその解決手段は、特許文献1〜4、非特許文献1〜4には開示されていない。
今後カーボンナノ材料は電子デバイス、電気化学などの数多くの分野で応用が見込まれ、医療、薬学の分野における薬剤や医療用成分の輸送手段、さらに化粧品等の日常品の分野でも配合成分を生体内へ輸送する輸送手段などとして大きな期待が寄せられている。これらの技術にとってカーボンナノ材料の可溶化技術は欠かせない技術であり、カーボンナノ材料を親水性溶媒に簡単且つ均一に可溶化する技術の開発が望まれている。
そこで本発明は、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができ、可溶化処理が低コストで行え、処理のコントロールが容易なカーボンナノ材料の可溶化方法を提供することを目的とする。
本発明のカーボンナノ材料の可溶化方法は、カーボンナノ材料を親水性溶媒に混入し、親水性溶媒中で繰り返しストリーマ放電を行ってカーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な溶媒由来のラジカルを溶媒中に生成し、カーボンナノ材料を前記ラジカルで親水化して該溶媒に溶解可能に処理すると共に、親水性溶媒中に安定して分散させることを主要な特徴とする。
本発明のカーボンナノ材料の可溶化方法によれば、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができ、可溶化処理を低コストで行え、処理のコントロールを容易に行うことができる。
本発明の第1の形態は、カーボンナノ材料を親水性溶媒に混入し、親水性溶媒中で繰り返しストリーマ放電を行ってカーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な溶媒由来のラジカルを前記溶媒中に生成し、カーボンナノ材料を前記ラジカルで親水化して該溶媒に溶解可能にすると共に、親水性溶媒中に安定して分散させることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一に溶解させることができ、長期間にわたって分散性を維持することができ、可溶化処理を低コストで行え、処理のコントロールを容易にすることができる。
本発明の第2の形態は、第1の形態に従属する形態であって、ストリーマ放電がパルスストリーマ放電であることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、処理にきわめて簡便な装置を使え、カーボンナノ材料を親水性溶媒に簡単に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができる。
本発明の第3の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、ストリーマ放電が、親水性溶媒中に主としてHラジカル、Oラジカルを生成し、親水性溶媒中のカーボンナノ材料にOH基を形成することを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一、簡単に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができる。
本発明の第4の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、ストリーマ放電が、親水性溶媒中に主としてOHラジカルを生成し、親水性溶媒中のカーボンナノ材料にOH基を形成することを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一、簡単に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができる。
本発明の第5の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、放電中に該放電による自発または他発の物理力として衝撃波及び又は超音波が前記親水性溶媒中のカーボンナノ材料に加えられることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、カーボンナノ材料を親水性溶媒にラジカルと物理力の相乗作用で簡単、迅速に溶解させることができる。
本発明の第6の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、カーボンナノ材料が多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノカプセルのいずれかであることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、様々なカーボンナノ材料を可溶化して、様々な用途に利用することができる。
本発明の第7の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、ストリーマ放電がパルス幅10ns以上で1μs以下のパルス電圧を所定周波数で電極間に印加することにより行われることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、親水性溶媒中にラジカルを生成して、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく確実に親水化して親水性溶媒に簡単且つ均一に溶解させることができ、長期間にわたって分散性を維持することができ、可溶化処理を低コストで行え、処理のコントロールを容易にすることができる。
本発明の第8の形態は、カーボンナノ材料を親水性溶媒に混入し、親水性溶媒内にガスをバブリングさせながら繰り返しストリーマ放電を行ってカーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な溶媒由来のラジカルを溶媒中に生成し、カーボンナノ材料を前記ラジカルで親水化して該溶媒に溶解可能にすると共に、親水性溶媒中に安定して分散させることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、懸濁液中でガスをバブリングしながらストリーマ放電するため、簡単に単層カーボンナノチューブや単層カーボンナノホーンなどの難溶性のカーボンナノ材料を親水性溶媒へ可溶化することができ、カーボンナノ材料の分散性は長期間にわたって安定して維持することができる。また、カーボンナノ材料の構造劣化を生じさせることなく、可溶化を実現でき、分散性だけを向上させることができる。
本発明の第9の形態は、第8の形態に従属する形態であって、ガスが酸素、オゾンまたは不活性ガスのいずれかであることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、SWCNTやSWCNHなどの難溶性のカーボンナノ材料を効果的に親水性溶媒へ可溶化することができ、カーボンナノ材料の分散性は長期間にわたって安定して維持することができる。
本発明の第10の形態は、過酸化水素またはオゾンを溶解した親水性溶媒にカーボンナノ材料を混入し、親水性溶媒中で繰り返しストリーマ放電を行ってカーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な溶媒由来のラジカルを溶媒中に生成し、カーボンナノ材料を前記ラジカルで親水化して該溶媒に溶解可能にすると共に、親水性溶媒中に安定して分散させることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、簡単に単層カーボンナノチューブや単層カーボンナノホーンなどの難溶性のカーボンナノ材料を親水性溶媒へ可溶化することができ、カーボンナノ材料の分散性は長期間にわたって安定して維持することができる。また、カーボンナノ材料の構造劣化を生じさせることなく、可溶化を実現でき、分散性だけを向上させることができる。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1におけるカーボンナノ材料の可溶化方法について説明をする。なお、本明細書においては、CNT、カーボンナノホーン、フラーレン、カーボンナノカプセル等を対象とするためカーボンナノ材料というが、ナノサイズでなく、中にはミクロンサイズのものを含む場合がある。従ってこのような場合を含めてカーボンナノ材料という。また、実施例1においてはカーボンナノ材料の例として多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を可溶化させる場合を説明するが、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、フラーレン、カーボンナノカプセル等でも同様であり、以下の説明は多層ナノチューブだけに限られるものではない。なお、SWCNTと単層カーボンナノホーン(SWCNH)の可溶化を更に促進する可溶化方法については実施例2、3で詳細に説明する。
以下、本発明の実施例1におけるカーボンナノ材料の可溶化方法について説明をする。なお、本明細書においては、CNT、カーボンナノホーン、フラーレン、カーボンナノカプセル等を対象とするためカーボンナノ材料というが、ナノサイズでなく、中にはミクロンサイズのものを含む場合がある。従ってこのような場合を含めてカーボンナノ材料という。また、実施例1においてはカーボンナノ材料の例として多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を可溶化させる場合を説明するが、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、フラーレン、カーボンナノカプセル等でも同様であり、以下の説明は多層ナノチューブだけに限られるものではない。なお、SWCNTと単層カーボンナノホーン(SWCNH)の可溶化を更に促進する可溶化方法については実施例2、3で詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1における可溶化装置の説明図、図2は本発明におけるパルスストリーマ放電の発光像写真、図3は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電の出力電圧、電流波形の説明図、図4(a)は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電処理前の懸濁液の写真、図4(b)は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電処理後の懸濁液の写真、図5(a)は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電処理前後及び超音波分散処理を行った場合の透過率の説明図、図5(b)は(a)の透過率の鎖線部部分の拡大図、図6(a)は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電処理前の多層ナノチューブのSEM写真、図6(b)は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電処理後の多層カーボンナノチューブのSEM写真、図7は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電処理前後における多層カーボンナノチューブのFTIR測定結果説明図、図8は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電からの発光スペクトル測定図、図9(a)は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電処理後の多層カーボンナノチューブの分散化説明図、図9(b)は(a)の多層カーボンナノチューブの拡大説明図、図10は本発明の実施例1におけるパルスストリーマ放電処理後の多層ナノチューブのラマン分光測定図である。
図1において、1は水やエタノール、メタノール等の親水性溶媒にCNT、フラーレン、カーボンナノカプセル等のカーボンナノ材料、実施例1においては水に多層カーボンナノチューブ(以下、MWCNT)を混入した懸濁液であり、2はこの懸濁液1を収容でき内部で放電可能な放電管等の放電用容器である。なお、パルスストリーマ放電処理前に懸濁液1を攪拌しなければ、MWCNTは短時間で沈降して2層化してしまう。
懸濁液1に混入するMWCNTは純度が高いものが望ましく、実施例1では純度95%のMWCNT25mgをイオン交換水100mLに懸濁させ、これによって250μg/mLの懸濁液1とし、このうちの10mL程度を放電用容器2に収容すると共に、以下説明する針対平板電極を懸濁液1に浸漬して測定した。なお、MWCNTの純度を上げるための方法は、後で行う放電処理の妨げとならない限り、どのような方法でもよい。
3は針対平板電極を構成するパルスストリーマ放電をさせるための針電極、4は針電極3と対向して配置される平板電極である。針電極3の先端は微小な球状体となっており、実施例1ではタングステン製で約0.3mmの曲率半径を有している。また、平板電極4はステンレス製の直径10mmの円板で、針電極3と平板電極4にはギャップ長gとして10mmの間隔が設けられている。ギャップ長gは5mm〜50mm程度が好適である。すなわち、ギャップ長gが短すぎればアーク放電に移行し、長すぎるとストリーマ放電が発生しなくなる。従って、ストリーマ放電を発生させて目的とするラジカルを生成するためには、電圧の大きさやパルス幅の影響も考慮して5mm〜50mmの中から適したものを選択すればよい。針対平板電極間に高電圧が印加されると、針電極3と平板電極4の間でパルスストリーマ放電が発生する。なお、実施例1においては、針電極3とこれに対向する平板電極4の組合せによってパルスストリーマ放電を行うが、パルスストリーマ放電を発生させるためには水中に高電界領域を形成すればよく、針電極以外に細いワイヤー電極などを用いるのも好適である。
次に、5は電圧を可変することができる直流電源部であり、6はパルス発生部、7はスパークギャップを備えたギャップスイッチである。直流電源部5は一端を接地し、他端をパルス発生部6に接続して負極性の電圧を印加する。なお、電圧の極性は正極性であっても構わないが、電圧の極性によって安定してパルスストリーマ放電を発生させる条件(電圧の振幅、パルス幅など)が変化する場合がある。この点、ラジカルを生成するためには負極性の電圧を印加する方が優れている。パルスストリーマ放電のためのパルス発生部6はブルームライン型パルス生成回路を利用するものが好適であり、この回路は単位長さ当り静電容量C、インダクタンスLの特性を有するステージがライン方向に複数段分布した等価回路として表される。なお、実施例1のパルス発生部6はこのブルームライン型パルス生成回路によってパルスストリーマ放電を行うが、パルス発生部6は、溶媒中のカーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能であって、溶媒由来の親水化のために特有なラジカルを生成し、この作用によって直接または反応によるプロセスを経てカーボンナノ材料にOH基を結合でき、これによりCNTの凝集体がほぐれて、個々のCNTのバンドル単位(いわば繊維状のCNT)にまで分散できるように繰り返しストリーマ放電を行えればよく、このブルームライン型パルス生成回路を利用するものに限られない。
実施例1においてはブルームライン型パルス生成回路を構成するために、長さ30mで、特性インピーダンス(L/C)1/2が55Ωの同軸ケーブルを使用した。ギャップスイッチ7が動作すると、各ステージで電圧波が形成され、これが重畳、伝播されて、ブルームライン型パルス生成回路の負荷側に矩形波のパルス電圧を出力する。この時、発生するパルス電圧の極性は、直流電源部5によって発生した電圧の極性とは逆になる。すなわち、実施例1においては、ストリーマ放電の極性は正極性となる。また、このときの矩形波のパルス幅τはτ=2l(LC)1/2である。このlは同軸ケーブルの長さを示し、等価回路のステージ数に相当する。従って、同軸ケーブルの長さを調節することによって、パルス幅τをコントロールできる。そして、このパルス幅τをコントロールすることでラジカルの生成速度を制御できる。
なお、図1に示す可溶化装置においてR1は5MΩの充電抵抗であり、R2はインピーダンスマッチングのために設けられた150Ωの抵抗である。また、実施例1の可溶化装置においては直流電源部5を−40kV、スパークギャップを13mm、繰り返し周波数15Hz(pps)とした。このとき、理論上のパルス幅τは329nsとなる。
8は出力電圧を測定するための高圧プローブを用いた電圧測定部、9は同じくパルスストリーマ放電の出力電流を測定するためのロゴスキーコイル等を使った電流測定部である。次に、10は電圧測定部8と電流測定部9の測定結果に基づいて直流電源部5の電圧、パルスストリーマ放電の繰り返し周波数を制御する制御部である。11はパルスストリーマ放電を継続する時間を計時する計時部、12は繰り返し周波数をカウントするためのカウンタである。
そこで、以下、実施例1の可溶化装置の動作について説明する。図示しないスイッチをONすることにより、制御部10が直流電源部5を所定電圧に上昇させ、直流電源部5から負極性の電圧をパルス発生部6に印加する。ブルームライン型パルス生成回路の各ステージのコンデンサ成分で充電が進み、ギャップスイッチ7が導通すると放電のため各ステージで電圧波が形成され、これが重畳、伝播されて、負荷側の針対平板電極に所定の高パルス電圧を出力し、パルスストリーマ放電が発生する。
このパルスストリーマ放電は水中にプラズマを形成(部分的にガス化して形成)するが、このプラズマはアーク放電によって発生する熱プラズマ(電子温度、イオン温度、分子温度のいずれもが高温になるプラズマ)とは異なり、電子温度だけが高温になる非平衡プラズマである。従って、実施例1の場合水温は常温のままで活性化させることができ、水中にO3やO、H、OH、H2O2等のカーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な種類のラジカルを生成させることができる。その他のアルコール等の親水性溶媒でも生成量は異なるが同様である。なお、この非平衡プラズマは熱プラズマでは生成が難しいラジカルを生成することを可能にするものである。このCNTの難溶性を可溶性に変化させるラジカルを生成するパルスストリーマ放電を発生させるためには、電極間に立ち上がりが数十〜数百ns、波高値となるパルス幅はできれば10ns以上で1μs以下程度の高パルス電圧を印加すればよい。このパルス幅の上限と下限は以下の理由によって決定されたものである。すなわち、印加された電圧が所定値に達してからストリーマ放電が発生するまでには時間遅れが避けられない。このためパルス幅はこの時間遅れよりも長いことが放電に必要な、最低限の条件となる。また、逆にパルス幅が長すぎるとストリーマ放電がアーク放電に移行してしまい、電極金属の溶融とこれによるカーボンナノ材料の汚損を招いてしまう。カーボンナノ材料に影響を与えないことを条件に難溶性の性質だけを可溶性の性質に変えるためには、パルス幅が所定長さの1μs以下であることがきわめて重要である。また、繰り返し周波数は、ラジカルを生成して溶解性を高めるために、1Hz(pps)〜100Hz(pps)を選択するのが好適である。また、溶媒として水以外のエタノール、メタノール等の親水性溶媒を使用した場合も同様にラジカルを生成する。なお、放電時間は少なくとも1分間、できれば10分〜1時間、あるいはさらにそれ以上処理を継続して行うのがよい。
図2はこのパルスストリーマ放電の発光像の写真であり、図3は実施例1のパルスストリーマ放電の出力電圧と電流波形を示している。図3によれば、実施例1の可溶化装置のパルス幅は353nsで、理論値である329nsとほぼ一致している。また、立ち上がり後パルス電圧が印加されている間、出力電流は時間と比例して増加している。このため、この電流が増加している200nsの間に、パルスストリーマ放電が発生していることが分かる。なお、実施例1では一定パルス幅でパルスストリーマ放電を行っているが、ストリーマ放電を繰り返し行えば水中にラジカルを生成させることができるから、放電はこのようなパルスストリーマ放電に限られない。
続いて、水中でパルスストリーマ放電を行った懸濁液の分散性について説明する。実施例1の可溶化装置で5時間パルスストリーマ放電を行った懸濁液に対して、分散性を評価するために懸濁液の透過光強度測定とSEM観察を行った。透過光強度の測定には、He−Neレーザ(口径約4mm)を用いた。またSEM観察は、リアルサーフェスビュー顕微鏡(キーエンス(株)製 VE−7800)を用いた。観察は、パルスストリーマ放電処理後の懸濁液をカバーガラスに滴下し、水を蒸発させた後に行った。可溶化の理由を探求するため、パルスストリーマ放電処理後の懸濁液の吸収スペクトルを測定すると共に、パルスストリーマ放電の発光スペクトルの測定を行った。吸収スペクトルの測定には、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)(日本分光(株)製 FT/IR−620)を用い、発光スペクトルの測定においては、分光器(ウシオ電機(株)製 USR−40V)を用いた。また、パルスストリーマ放電がMWCNTの構造に影響を与えたかどうかを調査するため、懸濁液から水を蒸発させた後、レーザラマン分光光度計(日本分光(株)製 NRS−2000)によりその結晶性を評価した。
図4(a)(b)はパルスストリーマ放電処理前後の懸濁液の状態を示している。パルスストリーマ放電処理前の懸濁液は、掻き混ぜても図4(a)のようにMWCNTがすぐに沈殿し、上澄みの水溶液は透明となる。これに対して、この懸濁液中で5時間パルスストリーマ放電を行うと、時間の経過と共に溶媒の色は徐々に黒くなり、濁りが全体に広がった。パルスストリーマ放電終了から5日経過しても図4(b)に示すように懸濁液の分散性はこの状態で維持された。図示はしないが、その後1ヶ月以上経過してもこの分散性は変わりがない。この結果から、CNTを水に可溶化させるためにパルスストリーマ放電は有効であり、ある意味CNTにこのような性質が付与されたということができる。そして、後述する理由から、CNTだけでなく、CNT以外のフラーレン、カーボンナノカプセル等のカーボンナノ材料を親水性溶媒に可溶化し、長期間にわたって安定して溶媒中に分散させた状態を保つことができるものである。
次に、懸濁液の透過光強度測定の結果を説明する。図1において透光性の放電用容器2の側面から懸濁液1にHe−Neレーザを照射することにより透過光の強度を測定し、光の透過率を測定した。図5(a)(b)はパルスストリーマ放電処理前後の懸濁液に対する光の透過率と、これらと比較のための超音波分散処理(500W、5時間)を行った場合の3種類の透過率を示す。
パルスストリーマ放電処理前の懸濁液の場合、測定開始から常に透過率が100%であることから、MWCNTの分散性がきわめて低い(溶解しない)ことが分かる。超音波で分散処理したMWCNTの懸濁液も、図5(b)に示すように3分程度で透過率がほぼ100%に達し、上澄みは透明になった。これに対し、パルスストリーマ放電処理後のMWCNTの懸濁液では、測定開始から1週間経過しても透過率が5%以下であり、水溶液の分散性が維持された。なお、図5(a)(b)には示していないが、パルスストリーマ放電処理後のMWCNTの懸濁液は、図4(b)に関連して説明したとおり、パルスストリーマ放電終了から1ヶ月以上経過しても室温の水中で安定して分散性が維持された。
従って、透過光強度測定の面からみても、パルスストリーマ放電はカーボンナノ材料を親水性溶媒に可溶化し、長期間にわたって溶媒中に分散させることができることが分かる。
ここで、懸濁液中のMWCNTをパルスストリーマ放電処理前後でSEM観察した結果について説明する。図6(a)(b)はパルスストリーマ放電処理前後の懸濁液のSEM観察結果である。これらのSEM像は、MWCNT懸濁液の水分を蒸発させた後に撮影したものである。図6(a)はパルスストリーマ放電処理前の懸濁液を示し、溶媒に均一に分散せず、丸く凝集した粒子が観測される。この粒子を拡大したものが右上の写真で、平均直径が約20μmで丸まったMWCNTの凝集体となっている。この懸濁液中には全体的にこのようなMWCNTの凝集体のみが観測され、分散した状態の繊維状(概ねバンドル単位)のMWCNTは観測されなかった。
これに対し、パルスストリーマ放電処理後においては、図6(b)のように繊維状のMWCNTがほぼ均一に全体的に分散している。図6(a)に示すような凝集体は放電処理後の水溶液中にほとんど存在せず、図6(b)のような状態で均一に分散している。従って、パルスストリーマ放電は凝集体を形成して安定化しているMWCNTをほぐし、各繊維状のMWCNTをそれぞれ水中で安定的に存在させ、水溶液中にほぼ均一に分散させることが分かる。
このように実施例1のカーボンナノ材料の可溶化方法によれば、パルスストリーマ放電によってMWCNTが水中に安定して分散されるが、以下、この可溶化を可能にする理由を説明する。先ず、この可溶化にパルスストリーマ放電が寄与する最大の理由は、パルスストリーマ放電処理がMWCNTにOH基を結合することが考えられる。図7にパルスストリーマ放電処理前後でMWCNTの懸濁液のFTIR測定を行った結果を示す。図7によれば、パルスストリーマ放電処理した後にだけ、3200cm−1〜3500cm−1の領域においてスペクトルの吸収が生じている。
この領域はO−Hの伸縮振動による吸収スペクトルであることが知られているが、この領域で吸収があったことは、パルスストリーマ放電処理前には存在していないOH基が、パルスストリーマ放電によりMWCNTに結合されたことを意味する。この状態を図9(b)に示す。図9(b)に示すように、本来無極性(疎水性)であるMWCNTの一部に親水性であるOH基が多数形成され、これが親水性溶媒の親水基(OH基)と馴染み、安定して水中に存在することが可能となり、可溶化したと考えられる。すなわち、水や有機溶媒(アルコール、酢酸等)などの親水性溶媒は親水性が高いため、無極性の溶質を溶解せず、親水性の高い極性溶質を溶解し易いが、無極性のMWCNTに対してパルスストリーマ放電によってOH基が結合され、溶解可能になったものと考えられる。
そして、このMWCNTにOH基を結合させるメカニズムとして次の反応が考えられる。図8の発光スペクトルにおいて、実施例1の条件(パルス電圧、パルス幅、繰り返し周波数、放電時間等)では、Hαラジカル(656n)とOラジカル(777nm)のピークが明確に検出されることから、先ず放電により生成されたOラジカルがMWCNTの表面を酸化し、これによってMWCNTの表面改質が起こり、続いて放電により生成されたHラジカルがMWCNTの表面に吸着したOラジカルと反応し、OH基が生成されたと考えられる。
このほか図8に示す測定では明確に検出されていないが、上述した非特許文献3で説明したように、水中のパルスストリーマ放電がOHラジカル(309nm)を発生させることが知られている。従って、実施例1とは放電の条件を変えることによりHラジカル、OラジカルのほかにOHラジカルを生成して、あるいは主として直接OHラジカルを生成してMWCNTに結合させることによりOH基を形成することができる。
また、パルスストリーマ放電が可溶化に寄与する第2の理由として、パルスストリーマ放電により発生する衝撃波、超音波等の物理力の存在が考えられる。図2のような発光像を目視したとき、図9(a)に示すような状態で、衝撃波、超音波等により凝集したMWCNTが更に細かな凝集体へ粉砕されることが目視により確認できる。なお、パルスストリーマ放電の作用(自発的作用)だけでなく、外的(他発的)に物理力(粉砕力)として衝撃波、超音波等を加えるのも好適である。
このように実施例1によれば、パルスストリーマ放電によって親水性溶媒中にHラジカル、Oラジカル、OHラジカル等のラジカルを生成し、これらをカーボンナノ材料に結合することにより、炭素クラスターを親水化して親水性溶媒中に溶解し、併せて、ラジカル生成と同時に発生する衝撃波、超音波等の物理力でカーボンナノ材料が絡み合った凝集体を分離するので、カーボンナノ材料を親水性溶媒に安定して可溶化することができる。
最後に、パルスストリーマ放電がカーボンナノ材料の構造に与える影響について説明する。実施例1のカーボンナノ材料の構造に対する放電の影響はラマン分光測定で行った。図10はMWCNTのラマン分光測定結果である。図10によれば、パルスストリーマ放電処理の前後のいずれにおいても、CNTに特徴的な2つのピークが現れている。1つ目のピークは、1350cm−1付近の非晶質炭素によるDバンドである。2つ目のピークは、1590cm−1付近のグラファイト由来のGバンドである。このDバンドとGバンドの高さの比G/Dから、CNTの結晶性の良さを評価することができる。一般的にG/D比が大きければ結晶性が良好な物質ということができる。
そこで、図10の上段の測定結果を基にパルスストリーマ放電前のMWCNTのG/D比を求めると、パルスストリーマ放電前のG/D比は0.7となり、下段の測定結果を基にパルスストリーマ放電後のG/D比を求めると0.8となって、パルスストリーマ放電前後でG/D比がほぼ同じ値を示した。これは、パルスストリーマ放電によってMWCNTの構造劣化が生じていないことを示しており、パルスストリーマ放電がMWCNTの構造劣化を生じさせることなく、可溶化を実現し、分散性だけを向上させたことが分かる。
以上説明したように、実施例1の可溶化方法は、懸濁液中でのストリーマ放電を利用するため、簡単にカーボンナノ材料の親水性溶媒への可溶化を実現できる。この方法によるカーボンナノ材料の分散性は長期間にわたって安定して維持される。また、ストリーマ放電はカーボンナノ材料の構造劣化を生じさせることなく、可溶化を実現でき、分散性だけを向上させることができる。
また、実施例1のカーボンナノ材料の可溶化方法は、カーボンナノ材料を親水性溶媒に均一に溶解させることができ、この処理を行う可溶化装置が高電圧パルスアーク放電を行う装置やガス中でのストリーマ放電と分散処理を分離して行う装置等と比較して簡便な装置で済み、可溶化処理が低コストで行え、処理のコントロールが容易になる。
そして、ストリーマ放電をパルスストリーマ放電にすれば、きわめて簡便な装置となり、カーボンナノ材料を親水性溶媒に簡単、確実に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができる。
(実施例2)
以下、本発明の実施例2におけるカーボンナノ材料の可溶化方法について説明をする。実施例2においてはカーボンナノ材料として、難溶性の性質が多層カーボンナノチューブ(MWCNT)より強い単層カーボンナノチューブ(SWCNT、以下SWCT)、単層カーボンナノホーン(SWCNH、以下SWCH)を可溶化する場合を説明する。しかし、SWCNTやSWCNHに限られず、MWCNTなどカーボンナノ材料全般に適用できることは言うまでもない。
以下、本発明の実施例2におけるカーボンナノ材料の可溶化方法について説明をする。実施例2においてはカーボンナノ材料として、難溶性の性質が多層カーボンナノチューブ(MWCNT)より強い単層カーボンナノチューブ(SWCNT、以下SWCT)、単層カーボンナノホーン(SWCNH、以下SWCH)を可溶化する場合を説明する。しかし、SWCNTやSWCNHに限られず、MWCNTなどカーボンナノ材料全般に適用できることは言うまでもない。
図11は本発明の実施例2における可溶化装置の説明図、図12は本発明の実施例2におけるパルスストリーマ放電の発光像写真、図13(a)は本発明の実施例2における酸素ガスのバブリングと共に行ったパルスストリーマ放電処理後の懸濁液の写真、図13(b)は本発明の実施例2におけるバブリングなしで行ったパルスストリーマ放電処理後の懸濁液の写真、図13(c)は本発明の実施例2におけるパルスストリーマ放電処理前の懸濁液の写真、図14は本発明の実施例2におけるバブリングの有無と吸光度のスペクトル分布説明図、図15(a)は本発明の実施例2におけるバブリングの有無で比較したSWCNT懸濁液の吸光度の説明図、図15(b)は本発明の実施例2におけるバブリングの有無で比較したSWCNH懸濁液の吸光度の説明図、図16は本発明の実施例2における水中ストリーマ放電処理後のSWCNT懸濁液の吸光度の経時変化図、図17は本発明の実施例2における酸素ガスバブリングを併用してストリーマ放電処理したSWCNT懸濁液の粒径分布図、図18は本発明の実施例2における単層ナノチューブ懸濁液のパルスストリーマ放電中の発光スペクトル分布図である。
また、図19(a)は本発明の実施例2におけるアルゴンガスのバブリングと共に行ったパルスストリーマ放電処理後の単層カーボンナノチューブ懸濁液の写真、図19(b)は本発明の実施例2におけるバブリングなしで行ったパルスストリーマ放電処理後の単層カーボンナノチューブ懸濁液の写真、図20は本発明の実施例2におけるガスバブリングしたときのSWCNT懸濁液の吸光度への影響を示す比較図であり、図21(a)はガスバブリングなしで水中ストリーマ放電処理した後のSWCNT懸濁液の状態の写真、図21(b)は窒素のガスバブリングをしながら放電処理した後の状態の写真、図21(c)はアルゴンのガスバブリングをしながら放電処理した後の状態の写真、図22(a)は酸素、窒素、アルゴンでガスバブリングを行った場合のHαの発光強度を規格化した発光強度の比較図、図22(b)は酸素、窒素、アルゴンでガスバブリングを行った場合のOラジカルの発光強度を規格化した発光強度の比較図である。
本発明の実施例2の可溶化装置は、基本的に実施例1の可溶化装置と共通の構成を有している。従って、実施例1で説明した符号と同一符号は、基本的に共通の構成を示すから、実施例1に説明を譲り、ここでは省略する。
図11において、3aはパルスストリーマ放電をさせるためのタングステン製のワイヤー電極、4はワイヤー電極3aと対向して配置される平板電極である。ワイヤー電極3aは60μmの直径を有している。また、平板電極4はステンレス製の28mm×58mmの矩形をしており、ワイヤー電極3aと平板電極4にはギャップ長gとして13mmの間隔が設けられている。なお、ギャップ長gは上述した理由と同様で5mm〜50mm程度に設定するのが好適である。ワイヤー対平板電極間に高電圧が印加されると、ワイヤー電極3aと平板電極4の間でパルスストリーマ放電がワイヤー電極3aの複数箇所で発生する。なお、実施例2の放電用容器2は60mm(横方向)×30mm(縦方向)×30mm(高さ方向)の箱型容器である。
さらに実施例2の構成の説明を続ける。13は酸素や不活性ガスを放電容器2内の液中に導きバブリングさせるガス噴出路であり、14はガス噴出路13に設けられた流量制御弁、15は攪拌装置である。図12はワイヤー対平板電極間で発生したパルスストリーマ放電の様子を示す。図11に示す直流電源部5、パルス発生部6、ギャップスイッチ7、更に出力電圧を測定する電圧測定部8、出力電流を測定する電流測定部9、計時部11、カウンタ12は、実施例1と基本的に同様であり、説明を省略する。
SWCNTの可溶化の手順を説明すると、SWCNTを放電容器2内の親水性溶媒、実施例2においては水に混入し、制御部10を動作させる。制御部10はまず流量制御弁14を開き、酸素等のバブリングガスを一定の流量で送り液中に噴出させる。さらに制御部10は攪拌装置15を動作させ懸濁液1中で気泡とSWCNTの分布が均一になるように攪拌させる。その後、ワイヤー対平板電極間に高電圧を印加し、所定時間パルスストリーマ放電を行い、カーボンナノ材料を可溶化する。なお、この場合も実施例1と同様、CNTの難溶性を可溶性に変化させるラジカルを生成するパルスストリーマ放電を発生させるために、電極間に立ち上がりが数十〜数百ns、パルス幅はできれば10ns以上で1μs以下程度の高パルス電圧を1Hz〜100Hzで印加する。少なくとも1分間、できれば10分〜1時間、あるいはさらにそれ以上放電処理を行う。
そこで、以下バブリングガスとして噴出させた場合の作用について説明する。バブリングガスは酸素である。パルスストリーマ放電を行わない状態では図13(c)の懸濁液のようになり、ほとんどSWCNTが溶解することはない。しかし、これに対してパルスストリーマ放電を行うと、図13(b)のように溶解する。これは実施例1において説明したとおりである。このとき懸濁液1は全体的に濁ってSWCNTが溶解したことが分かる。なお、放電容器2内の水の量は50ml、混入したSMCNTは5mg/50ml、ガス流量は100ml/min、処理時間(放電時間)10分で実験している。このときのパルスストリーマ放電処理前のSMCNTのSEM写真は図6(a)とほとんど同様、また、パルスストリーマ放電処理後のSMCNTのSEM写真は図6(b)とほとんど同様になるので再掲しない。図6(a)(b)を参照されたい。
これに対し、酸素をバブリングしながらパルスストリーマ放電した場合の結果を図13(a)に示す。ガス流量は100ml/min、処理時間(放電時間)10分である。図13(b)の懸濁液1よりも濁りが相当に強く、全体的により濃い色(黒に近いグレー)に変色している。これはSWCNTが放電だけの場合より更に溶解し、液中に均等に分散していることを示している。なお、実験は上記の条件で行ったが、流量を100ml/min〜500ml/minに変えても結果は同様であった。さらに500ml/minを越えてバブリングした場合も同様と考えられる。
このガスバブリングの効果を定量的に評価するため紫外−可視線を照射し、バブリングの有無によりパルスストリーマ放電したときの懸濁液の吸光度の比較を行った。図14はパルスストリーマ放電時のバブリングの有無とSWCNT吸光度のスペクトル分布の関係を示したものである。これによれば256nmのところでバブリングの有無と関係なく最大の吸光度を示す。懸濁濃度はいずれも10μg/mlである。そこで、この256nmにおける最大吸収光度を指標として、バブリングの有無がパルスストリーマ放電によるSWCNTの水溶化にどのように影響するかを比較して示したものが図15(a)である。また、懸濁濃度50μg/mlのSWCNH懸濁液について同様の評価を行った結果が図15(b)である。
図15(a)は懸濁濃度10μg/mlでバブリングの有無によりSWCNT懸濁液の吸光度の比較を行ったものである。これによれば酸素をバブリングした方が、バブリングしなかった場合より1.5倍以上の吸光度となっている。これは酸素をバブリングしたSWCNTの懸濁液がより濁っていることを示す。同様に、図15(b)は懸濁濃度50μg/mlでバブリングの有無によりSWCNH懸濁液の吸光度の比較を行ったものである。これによれば酸素をバブリングした方が、バブリングしなかった場合より2倍程度の吸光度となっている。これは酸素をバブリングしたSWCNHの懸濁液が格段に濁っていることを示す。なお、図15(a)(b)には示していないが、SWCNTの懸濁液はパルスストリーマ放電終了から1ヶ月(31日)経過しても室温の水中で安定して分散性が維持された。同じく、SWCNHの懸濁液は26日まで室温の水中で安定して分散性が維持されることを確認した。いずれも安定していることが十分確認されたため実験を終了した。従って、パルスストリーマ放電はSWCNTやSWCNHなどの単層のカーボンナノ材料を親水性溶媒に可溶化し、長期間にわたって溶媒中に分散させることができる。
さらに図11の構成において測定条件を変更して実験した。すなわち、高電圧側のワイヤー電極3aとして直径60μmのワイヤー、接地側の平板電極4に15mm×40mmの矩形のステンレス板を用い、ギャップ長gを12mmとした。この装置で、長さ2μm〜5μm、直径1nm〜2nm(バンドル直径15nm)、純度50%〜70%、懸濁濃度100μg/mLのSWCNT(Aldrich社製519308−250MG)を混入した懸濁液60ML中で酸素ガスのバブリングをしながらパルスストリーマ放電を1時間行った。その結果を図16に示す。図16は水中ストリーマ放電処理後のSWCNT懸濁液の吸光度の経時変化を示すものである。これによれば、放電処理後からの数日間は酸素バブリングの有無に関わらず吸光度のピークは少し減少しており、水溶化したSWCNTの一部が僅かながら再凝集していることが分かる。しかし、どちらの懸濁液の吸光度も10日以降はほぼ一定の吸光度を維持している。長期間可溶化を保てるのはパルスストリーマ放電による作用の所以である。この10日間の吸光度の減少率は酸素バブリングを行ったときは約15%、酸素バブリングなしの場合は約40%であって、酸素バブリングの併用でSWCNTの可溶化濃度を高めるだけでなく、再凝集も抑制できていることが分かる。
図17は酸素ガスバブリングを併用してストリーマ放電処理したSWCNT懸濁液のSWCNTの凝集体の粒径分布を比較したものである。これによれば、放電処理により粒径分布が10−2〜10−3程度減少している。放電処理後のSWCNTの粒径は100nm程度で、SWCNTのバンドル直径15nmより大きい値であるが、SWCNTの高いアスペクト比を考慮すると、水中ストリーマ放電によってSWCNTの凝集体がほぐれて繊維状となり、個々のバンドル単位にまで均一に分散したと考えられる。
図18はSWCNT懸濁液のパルスストリーマ放電中の発光スペクトル分布図である。図18によれば、酸素ガスバブリングを行った場合のHα(656nm)ラジカル、Hβ(486nm)ラジカル、O(777nm)ラジカルの発光強度が、バブリングを行わなかった場合のHαラジカル、Hβラジカル、Oラジカルの発光強度より2倍近く上昇しており、酸素ガスのバブリングがOだけでなく、Oラジカル、Hラジカルを格段に増加させていることが分かる。
以上のことから、バブリングは単に物理的な攪拌効果だけではなく、化学的な反応にも寄与していることが分かる。すなわち、放電のチャネルに沿った付近には、放電による微小気泡だけでなく、バブリングによって形成された微小気泡が存在するようになり、この微小気泡内ではガス中の電子の平均自由行路(mean free path)が液体中のそれよりも長く、高エネルギーの電子が形成され、この衝突で例えばH2O→Hラジカル+OHラジカルのように、ラジカルを生成するものと考えられる。ただ、バブリングガスの種類でラジカルの量に違いがある。非特許文献4によれば、バブリングガスが酸素の場合、OHラジカルが非常に多く生成され、バブリングガスがアルゴンの場合、Hラジカル、Oラジカルが多く、OHラジカルは生成量が少ない。図20、図22(a)(b)(c)に関連して後述するが、アルゴンのガスバブリングはSWCNTの可溶化に最も優れた作用を有す。これは、アルゴンの場合、主として生成されるHラジカル、Oラジカルが可溶化に大きな役割を果たしていることを示す。言い換えれば、バブリングの際、ガスの種類(実はそのガスの溶解度)も影響し、溶解度の大きいガスが生成するラジカルがOH基結合に大きな寄与をすることをアルゴンが示しているともいえる。
酸素ガスの場合は、水中のパルスストリーマ放電が直接にOHラジカルを発生させ、このOHラジカルがSWCNTやSWCNHの表面に結合することによりOH基を形成したことが可溶化の主だった原因と考えられる。しかし、このほか放電により生成されたOラジカルやO3がSWCNTやSWCNHの表面を酸化し、これによって表面改質が起こり、続いて放電により生成されたHラジカルがSWCNTやSWCNHの表面に吸着したOラジカルやO3と反応し、OH基を生成することも可溶化に二次的な寄与をすると考えられる。それ故、オゾン(O3)ガスをバグリングするのでもよい。
この点、上記したようにバブリングガスがアルゴンガス等の不活性ガスの場合、言い換えればOHラジカルの生成量が少ないこれらのガスの場合は、Hラジカル、Oラジカルが生成され、このOラジカルがSWCNTやSWCNHの表面を酸化し、さらに放電により生成されたHラジカルがこの表面に吸着したOラジカルと反応し、OH基を生成する。この際不活性であるため電極等に影響を与えない。空気も酸素と不活性の窒素ガスからなるため総和として以上の説明から理解できる。図19(a)は本発明の実施例2におけるアルゴンガスのバブリングと共に行ったパルスストリーマ放電処理後の単層カーボンナノチューブ懸濁液の写真、図19(b)は本発明の実施例2におけるバブリングなしで行ったパルスストリーマ放電処理後の単層カーボンナノチューブ懸濁液の写真である。図19(a)(b)によれば、不活性ガスのアルゴンをバブリングしたとき最も高い懸濁状態となり、これを維持することが分かる。SWCNTの懸濁液濃度100μg/ml、アルゴンガスの流量100ml/min、処理時間(放電時間)10分である。
図20は不活性ガスとしてのアルゴン、窒素をガスバブリングしたときのSWCNT懸濁液の吸光度への影響、すなわち可溶化効率のガス依存性を示す。比較のため同時に、ガスバブリングなしの場合と、酸素をバブリングした場合の吸光度も示す。上述した15mm×40mmの平板電極4でギャップ長g12mm、SWCNT(Aldrich社製519308−250MG)の懸濁液で測定し、処理5日後のピーク吸光度をガスバブリングなしの数値を指標として規格化して定量化したものである。これによると、ガスバブリングの効果は、アルゴン、窒素、酸素の順に大きいことが分かる。とくにアルゴンのガスバブリングを併用した場合、バブリングなしの場合に対して3倍以上の吸光度上昇、すなわち可溶化SWCNTが増加する。
図21(a)(b)(c)は水中ストリーマ放電処理後のSWCNT懸濁液の様子を示しており、図21(a)はガスバブリングなしの水中ストリーマ放電処理後の状態、図21(b)は窒素のガスバブリングをしながら水中ストリーマ放電処理した後の状態、図21(c)はアルゴンのガスバブリングをしながら水中ストリーマ放電処理した後の状態を示す。目視でも一見してガスバブリングの有効性が分かる。このように、酸素や、アルゴン、窒素等の不活性ガスをガスバブリングすることにより、水中ストリーマ放電によるSWCNTの可溶化を高効率化できることが分かる。なお、空気は酸素と窒素の混合ガスであり、これについても同様であることは上述した。要するに、いずれのガスバブリングも水中ストリーマ放電によって発生するラジカルを増加させ、SWCNT表面の改質を促進させたと考えられる。SWCNH等でも同様である。ラジカルの生成に関しては図18の発光スペクトルによって説明したとおりであり、溶媒に由来し、例えば酸素バブリングを行って水中ストリーマ放電した場合、Hα(656nm)、O(777nm)ラジカルの発光強度はそれぞれ1.6倍、1.7倍に増加する。なお、Hβ(486nm)、O(844nm)ラジカルの発光強度もそれぞれ1.5倍、1.2倍に増加する。
図22(a)(b)は酸素、窒素、アルゴンでガスバブリングを行った場合のHαとOラジカルの発光強度をそれぞれガスバブリングなしの場合の発光強度を指標として規格化したものである。併せて、これらガスをガスバブリングしながら1分間水中ストリーマ放電を行い、その後バブリングなしの状態で水中ストリーマ放電した場合の発光強度を示す。後者は前者の発光強度よりやや減少するが、ガスバブリングなしの場合より少なくとも1.5倍以上に増加する。アルゴンの場合が最大で3倍程度になり、窒素の場合は2.2倍〜2.5倍程度、酸素の場合1.6倍程度となる。なお、図22(a)(b)において各発光強度頂点のI字状に示した表示幅は測定の変動幅を示す。従って、HαとOラジカルの生成はアルゴンのガスバブリングが最も効果的で、次いで窒素のガスバブリング、酸素のガスバブリングの順となる。図20に示した可溶化効率においても、同様にアルゴン、窒素、酸素のガスバブリングの順になることから、これはガスのバブリングによって生成されたラジカルがSWCNTの可溶化に密接に関与していることを示す。
そして図22(a)(b)に示すように、不活性ガスによってもOラジカルが増加したり、Hラジカルも増大したりしていることから、バブリングするために供給したガス原子が直接ラジカルの供給源になっているとは考えにくい。さらに、図22(a)(b)において、ガスバブリングしながら1分間水中ストリーマ放電し、その後バブリングを停止して水中ストリーマ放電した場合にも発光強度が増加していることから、1分経過して状態ではバブリングの物理的な作用は働いておらず、ガスバブリングによって水に溶解したガスがラジカルの発生を促進させたことが分かる。なお、アルゴンの水1cm3への溶解度(20℃)が0.035cm3であり、酸素の水1cm3への溶解度(20℃)が0.031cm3、窒素の水1cm3への溶解度(20℃)が0.016cm3であることがガスの溶解度の関与を強く示唆している。そして、このように溶解度の高いガスが生成するラジカルがOH基結合に大きな寄与をしているとすれば、酸素はOHラジカル、またアルゴンと窒素等の不活性ガスはHラジカル、Oラジカルを主として生成するため、溶解度とOH基結合の反応プロセスとの組合せから可溶性の大きさが決まっている可能性がある。少なくとも、アルゴンによるガスバブリングの有効性は特出している。
以上説明したように、実施例2の可溶化方法は、懸濁液中でガスをバブリングしながらストリーマ放電するため、簡単にSWCNTやSWCNHなどの難溶性のカーボンナノ材料を親水性溶媒へ可溶化することができる。この方法によるカーボンナノ材料の分散性は長期間にわたって安定して維持される。また、この方法によってカーボンナノ材料の構造劣化を生じさせることなく、可溶化を実現でき、分散性だけを向上させることができる。そして、ストリーマ放電とバブリングの併用でカーボンナノ材料の可溶化濃度を高めるだけでなく、その後の再凝集も抑制でき、長期間分散性を維持させることができる。
また、ストリーマ放電のほかガスバブリングするだけであるから、高電圧パルスアーク放電を行う装置やガス中でのストリーマ放電と分散処理を分離して行う装置等と比較して簡便な装置で済み、可溶化処理が低コストで行え、処理のコントロールが容易になる。
(実施例3)
以下、本発明の実施例3におけるカーボンナノ材料の可溶化方法について説明をする。実施例3も実施例2と同様に、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、単層カーボンナノホーン(SWCNH)を可溶化する場合を説明する。しかし、SWCNTやSWCNHに限られず、MWCNTなどのカーボンナノ材料に適用できることは言うまでもない。
以下、本発明の実施例3におけるカーボンナノ材料の可溶化方法について説明をする。実施例3も実施例2と同様に、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、単層カーボンナノホーン(SWCNH)を可溶化する場合を説明する。しかし、SWCNTやSWCNHに限られず、MWCNTなどのカーボンナノ材料に適用できることは言うまでもない。
実施例2においては、SWCNTやSWCNHなどの難溶性のカーボンナノ材料を可溶化するためにバブリングを行った。これに対して、実施例3においてはSWCNTやSWCNHの表面にOH基を生成するために、OHラジカルを生成し易い溶媒にしておいて水中ストリーマ放電を行うものである。
すなわち、実施例3では懸濁液を過酸化水素(H2O2)の水溶液にしておいて水中パルスストリーマ放電を行う。このとき、放電のチャネルに沿った付近はH2O2リッチの状態となる。この状態でパルスストリーマ放電のプラズマから強い紫外線が放射され、放電に沿った付近のH2O2を活性化し、例えばH2O2+hν→2OHラジカルの反応を生じ、OHラジカルに分解する。このOHラジカルをSWCNTやSWCNHの表面に直接結合させることによりOH基を形成するものである。図23(a)は本発明の実施例3における過酸化酸素の水溶液中で行ったパルスストリーマ放電処理後の単層カーボンナノチューブ懸濁液の写真、図23(b)は本発明の実施例3におけるパルスストリーマ放電処理前の単層カーボンナノチューブ懸濁液の写真である。図23(a)(b)によれば、過酸化水素溶液でパルスストリーマ放電処理したときも懸濁状態となり、これを維持することが分かる。ガスバブリングは行わず、SWCNTの懸濁液濃度100μg/ml、過酸化水素の濃度(30%)、流量100ml/min、処理時間(放電時間)10分である。なお、懸濁液をオゾンガスO3の水溶液(オゾン水)にしておくのでも同様にOH基を形成することができる。
実施例3の可溶化方法は、懸濁液中で過酸化水素水溶液にしてストリーマ放電するため、簡単にSWCNTやSWCNHなどの難溶性のカーボンナノ材料を親水性溶媒へ可溶化することができる。この方法によるカーボンナノ材料の分散性は長期間にわたって安定して維持される。また、この方法によってカーボンナノ材料の構造劣化を生じさせることなく、可溶化を実現でき、分散性だけを向上させることができる。
また、ストリーマ放電のほか過酸化水素水溶液にするだけであるから、高電圧パルスアーク放電を行う装置やガス中でのストリーマ放電と分散処理を分離して行う装置等と比較して簡便な装置で済み、可溶化処理が低コストで行え、処理のコントロールが容易になる。
本発明は、カーボンナノ材料を親水性溶媒に溶解させて長期間にわたって分散性を維持することができる可溶化方法に適用できる。
1 懸濁液
2 放電用容器
3 針電極
3a ワイヤー電極
4 平板電極
5 直流電源部
6 パルス発生部
7 ギャップスイッチ
8 電圧測定部
9 電流測定部
10 制御部
11 計時部
12 カウンタ
13 ガス噴出路
14 流量制御弁
15 攪拌装置
2 放電用容器
3 針電極
3a ワイヤー電極
4 平板電極
5 直流電源部
6 パルス発生部
7 ギャップスイッチ
8 電圧測定部
9 電流測定部
10 制御部
11 計時部
12 カウンタ
13 ガス噴出路
14 流量制御弁
15 攪拌装置
【0007】
法であり、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一、簡単に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができる。
[0025]
本発明の第4の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、ストリーマ放電が、親水性溶媒中に主としてOHラジカルを生成し、親水性溶媒中のカーボンナノ材料にOH基を形成することを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一、簡単に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができる。
[0026]
本発明の第5の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、放電中に該放電による自発または他発の物理力として衝撃波及び又は超音波が前記親水性溶媒中のカーボンナノ材料に加えられることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、カーボンナノ材料を親水性溶媒にラジカルと物理力の相乗作用で簡単、迅速に溶解させることができる。
[0027]
本発明の第6の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、カーボンナノ材料が多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノカプセルのいずれかであることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、様々なカーボンナノ材料を可溶化して、様々な用途に利用することができる。
[0028]
本発明の第7の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、ストリーマ放電がパルス幅1μs以下のパルス電圧を所定周波数で電極間に印加することにより行われることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、親水性溶媒中にラジカルを生成して、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく確実に親水化して親水性溶媒に簡単且つ均一に溶解させることができ、長期間にわたって分散性を維持することができ、可溶化処理を低コストで行え、処理のコントロールを容易にすることができる。
[0029]
本発明の第8の形態は、カーボンナノ材料を親水性溶媒に混入し、親水性溶媒内にガスをバブリングさせながら繰り返しストリーマ放電を行ってカーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な溶媒由来のラジカルを溶媒中に生成し、カーボンナノ材料を前記ラジカルで親水化して該溶媒に溶解可能にすると共に、親水性溶
法であり、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一、簡単に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができる。
[0025]
本発明の第4の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、ストリーマ放電が、親水性溶媒中に主としてOHラジカルを生成し、親水性溶媒中のカーボンナノ材料にOH基を形成することを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく親水性溶媒に簡単且つ均一、簡単に溶解させることができ、長期間にわたって安定して分散性を維持することができる。
[0026]
本発明の第5の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、放電中に該放電による自発または他発の物理力として衝撃波及び又は超音波が前記親水性溶媒中のカーボンナノ材料に加えられることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、カーボンナノ材料を親水性溶媒にラジカルと物理力の相乗作用で簡単、迅速に溶解させることができる。
[0027]
本発明の第6の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、カーボンナノ材料が多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノカプセルのいずれかであることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、様々なカーボンナノ材料を可溶化して、様々な用途に利用することができる。
[0028]
本発明の第7の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、ストリーマ放電がパルス幅1μs以下のパルス電圧を所定周波数で電極間に印加することにより行われることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法であり、親水性溶媒中にラジカルを生成して、カーボンナノ材料を構造劣化させることなく確実に親水化して親水性溶媒に簡単且つ均一に溶解させることができ、長期間にわたって分散性を維持することができ、可溶化処理を低コストで行え、処理のコントロールを容易にすることができる。
[0029]
本発明の第8の形態は、カーボンナノ材料を親水性溶媒に混入し、親水性溶媒内にガスをバブリングさせながら繰り返しストリーマ放電を行ってカーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な溶媒由来のラジカルを溶媒中に生成し、カーボンナノ材料を前記ラジカルで親水化して該溶媒に溶解可能にすると共に、親水性溶
Claims (10)
- カーボンナノ材料を親水性溶媒に混入し、前記親水性溶媒中で繰り返しストリーマ放電を行って前記カーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な溶媒由来のラジカルを前記溶媒中に生成し、前記カーボンナノ材料を前記ラジカルで親水化して該溶媒に溶解可能にすると共に、前記親水性溶媒中に安定して分散させることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法。
- 前記ストリーマ放電がパルスストリーマ放電であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノ材料の可溶化方法。
- 前記ストリーマ放電が、前記前記親水性溶媒中に主としてHラジカル、Oラジカルを生成し、前記前記親水性溶媒中のカーボンナノ材料にOH基を形成することを特徴とする請求項1または2記載のカーボンナノ材料の可溶化方法。
- 前記ストリーマ放電が、前記前記親水性溶媒中に主としてOHラジカルを生成し、前記前記親水性溶媒中のカーボンナノ材料にOH基を形成することを特徴とする請求項1または2記載のカーボンナノ材料の可溶化方法。
- 放電中に該放電による自発または他発の物理力として衝撃波及び又は超音波が前記前記親水性溶媒中のカーボンナノ材料に加えられることを特徴とする請求項1または2記載のカーボンナノ材料の可溶化方法。
- 前記カーボンナノ材料が多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノカプセルのいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載のカーボンナノ材料の可溶化方法。
- 前記ストリーマ放電がパルス幅10ns以上で1μs以下のパルス電圧を所定周波数で電極間に印加することにより行われることを特徴とする請求項1または2記載のカーボンナノ材料の可溶化方法。
- カーボンナノ材料を親水性溶媒に混入し、前記親水性溶媒内にガスをバブリングさせながら繰り返しストリーマ放電を行って前記カーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な溶媒由来のラジカルを前記溶媒中に生成し、前記カーボンナノ材料を前記ラジカルで親水化して該溶媒に溶解可能にすると共に、前記親水性溶媒中に安定して分散させることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法。
- 前記ガスが酸素、オゾンまたは不活性ガスのいずれかであることを特徴とする請求項8記載のカーボンナノ材料の可溶化方法。
- 過酸化水素またはオゾンを溶解した親水性溶媒にカーボンナノ材料を混入し、前記親水性溶媒中で繰り返しストリーマ放電を行って前記カーボンナノ材料の表面にOH基を結合させることが可能な溶媒由来のラジカルを前記溶媒中に生成し、前記カーボンナノ材料を前記ラジカルで親水化して該溶媒に溶解可能にすると共に、前記親水性溶媒中に安定して分散させることを特徴とするカーボンナノ材料の可溶化方法。
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