JPWO2007069755A1 - 人工リンパ節を用いた効率的な抗原特異的ハイブリドーマの作成法 - Google Patents

人工リンパ節を用いた効率的な抗原特異的ハイブリドーマの作成法 Download PDF

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Abstract

人工リンパ節を用いて効率よく特異的抗体産生ハイブリドーマを作成する方法の提供。以下の工程を含む抗原特異的モノクローナル抗体を作製する方法:(a) 抗原で非ヒト動物を免疫し、免疫した非ヒト動物にサイトカインを産生するストローマ細胞を含む高分子生体材料を移植し、前記非ヒト動物に人工リンパ節を形成させる工程;(b) 工程(a)で形成された人工リンパ節を回収し、免疫不全非ヒト動物に移植する工程;(c) 工程(b)で人工リンパ節を移植した免疫不全非ヒト動物を前記工程(a)の抗原で免疫する工程;(d) 工程(c)で免疫した免疫不全非ヒト動物より脾細胞を採取する工程;ならびに(e) 工程(d)で採取した脾細胞をミエローマ細胞と融合させて抗体産生ハイブリドーマを形成させる工程。

Description

本発明は、人工リンパ節を用いて抗原特異的ハイブリドーマを作成する方法に関する。
モノクローナル抗体を作製するためには、マウス等の動物を抗原で免疫し、抗原産生形質細胞を生成させる。次いで、免疫動物から抗原産生形質細胞を多く含む脾臓細胞を採取し、該脾臓細胞とミエローマ細胞を融合することによりハイブリドーマを形成させる。さらに、多数のハイブリドーマの中から目的の抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングし、得られたハイブリドーマにモノクローナル抗体を産生させる(Koller G et al.,Nature,256,495(1975)等)。
モノクローナル抗体の作製において、電気融合法を用いた細胞融合により細胞融合効率を高める等、目的の抗体を産生するハイブリドーマを多く得るための種々の検討がなされてきた。しかしながら、動物にマウスを用いた場合、ハイブリドーマが形成してくるのは脾細胞2〜4×10個に1個であり、一般には一頭のマウスからは500個程度のハイブリドーマしか増殖してこない。従って、目的とする特異抗体を産生する細胞が脾細胞中に10個以下しか存在しない場合には、目的とするハイブリドーマを得ることは困難であった。脾臓中の特異的抗体を産生する細胞の数は、用いる抗原の種類等で異なるが、目的の抗体産生ハイブリドーマは、一般的に増殖してきたハイブリドーマの数%であった。分子量の小さい抗原や種間で構造が比較的保存されているタンパク質等、抗原によっては抗体が生成されにくく、従来のハイブリドーマ法でモノクローナル抗体を得るのは困難であった。
動物の免疫にはリンパ節が深く関わっており、リンパ節は高度に組織化された三次元構造をとることにより、リンパ球が抗原及び抗原提示細胞と相互作用して抗原特異的な免疫反応を開始する場所であり、外来微生物等外来の異種抗原に対して生体を防御するための必須の器官である。本発明者等は、先にストローマ細胞およびサイトカインを高分子生体材料から構成される三次元構造に組み込み、これをマウスの腎被膜下に移植することによって、人工リンパ節が構築できること、さらに上記組合せに骨髄由来の活性化樹状細胞を加えることにより効率よく人工リンパ節を構築できることを報告した(特許文献1参照)。
特開2004−255110号公報
本発明は、人工リンパ節を用いて効率よく特異的抗体産生ハイブリドーマを作成する方法を提供する。
従来の細胞融合法によるハイブリドーマの作成法では、必ずしも特異的抗体産生ハイブリドーマの形成効率は高くなかった。本発明者等は先に開発した人工リンパ節の構築方法と組合せてハイブリドーマを作成する方法について鋭意検討を行った。抗原を投与したマウスの腎被膜下で抗原でパルスした活性化樹状細胞を用いて構築した人工リンパ節を免疫不全マウスに再移植し、該免疫不全マウスを抗原で免疫し、脾細胞を採取しハイブリドーマを作成することにより、特異的抗体産生ハイブリドーマの形成率が著しく上昇することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 以下の工程を含む抗原特異的ハイブリドーマを作成する方法:
(a) 抗原で非ヒト動物を免疫し、免疫した非ヒト動物にサイトカインを産生するストローマ細胞を含む高分子生体材料を移植し、前記非ヒト動物に人工リンパ節を形成させる工程;
(b) 工程(a)で形成された人工リンパ節を回収し、免疫不全非ヒト動物に移植する工程;
(c) 工程(b)で人工リンパ節を移植した免疫不全非ヒト動物を前記工程(a)の抗原で免疫する工程;
(d) 工程(c)で免疫した免疫不全非ヒト動物より脾細胞を採取する工程;ならびに
(e) 工程(d)で採取した脾細胞をミエローマ細胞と融合させて抗体産生ハイブリドーマを形成させる工程。
[2] 高分子材料がさらに[1]の工程(a)の抗原でパルスした活性化樹状細胞を含む[1]の方法。
[3] ストローマ細胞が、TEL−2細胞である[1]または[2]の方法。
[4] 高分子材料がコラーゲンスポンジである[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] サイトカインが、リンホトキシンおよび/またはケモカインである[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] 非ヒト動物がマウスである[1]〜[5]のいずれかの方法。
[7] 免疫不全動物が免疫不全マウスである[1]〜[6]のいずれかの方法。
[8] 免疫不全マウスがSCIDマウスまたはRAG2遺伝子欠損マウスである[1]〜[7]のいずれかの方法。
[9] 以下を含む、抗原特異的なハイブリドーマを作成するためのキット:
(a) サイトカイン発現ベクターおよびストローマ細胞、またはサイトカイン発現ベクターが導入されたストローマ細胞;
(b) 高分子生体材料;ならびに
(c) 活性化樹状細胞。
[10] 以下をさらに含む[9]の抗原特異的なハイブリドーマを作成するためのキット:
(d) 人工リンパ節形成用マウス;および
(e) 免疫不全マウス。
[11] さらに、抗原を含み活性化樹状細胞が該抗原でパルスされている、[9]または[10]の抗原特異的なハイブリドーマを作成するためのキット。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2005−357949号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1は、人工リンパ節構築の模式図である。
図2は、人工リンパ節を構築し、免疫不全マウスに再移植して免疫細胞を得るまでの本発明の方法の概要を示す図である。
図3は、人工リンパ節の構築時およびSCIDマウスの免疫時の条件を変えた場合のマウス血清中の特異的IgG抗体量を示す図である。
図4は、得られたハイブリドーマの各ウェルの培養液中の特異的抗体を測定した結果を示す図である。
本発明の方法において、人工リンパ節は特開2004−255110号公報に記載の方法に従って作成することができる。図1に人工リンパ節構築の模式図を示す。
リンパ節とは、リンパ系組織(リンパ球が非リンパ系細胞と相互作用する組織)であって、リンパ球系の細胞の成熟や適応免疫応答に重要な役割を果たす組織器官である。リンパ系組織は一次リンパ組織と二次リンパ組織に分類することができる。一次リンパ組織はリンパ球産生の場所であり、骨髄と胸腺がこれに含まれる。また、二次リンパ組織は、抗原を補足するための特殊な構造をしており、適応免疫応答が開始される場所である。二次リンパ組織(末梢リンパ組織とも呼ば
れる)には、脾臓、リンパ節、粘膜関連リンパ性組織(扁桃、気管関連リンパ性組織、腸管関連リンパ性組織、パイエル板(Peyer’s patches)(PP)、その他のリンパ球系細胞の凝集塊)が含まれる。
本発明の抗原特異的ハイブリドーマの作成に用いる抗原特異的抗体産生人工リンパ節は、以下の三要素を組み合わせて、動物に移植することにより構築され得る:
(a) リンパ節の形成に重要であるストローマ細胞を代替する細胞;
(b) リンパ節の形成に重要であるサイトカイン;および
(c) 生体適合性高分子材料から構成される三次元構造骨格。
本発明の抗原特異的ハイブリドーマの作成に用いる特異抗体産生人工リンパ節は、以下に挙げる、抗原特異的な免疫反応を起こす場として必須であると考えられるリンパ節の基本構造を備える。
[1] 明確に区別されるT細胞領域とB細胞領域を有する。
正常リンパ組織と同様、本発明の特異抗体産生人工リンパ節においてもT細胞とB細胞の領域は明確に分かれており、それぞれ「T細胞領域」、「B細胞領域」と呼ぶ。特にB細胞集団は「濾胞(follicle)」とも呼ばれる。
[2] T細胞およびB細胞と共に、免疫反応において重要な役割を果たす樹状細胞が存在する。
[3] 中心部に濾胞樹状細胞のネットワークを含むB細胞領域が存在する。
濾胞樹状細胞(FDC:follicular dendritic cell)は、「濾胞中心部に存在する樹状の突起を持つ特殊な細胞」を意味し、濾胞中心部でネットワークを形成している(FDC networkという)。FDCは、樹状細胞(dendritic cell)とは別の種類の細胞である。
[4] 胚中心B細胞様のPNA(peanut agglutinin)強陽性B細胞が存在する。
抗原刺激による抗体産生に先立って、濾胞の中心部でB細胞の活発な増殖と形質細胞(抗体産生細胞)への分化が起きる。この部位を胚中心(GC:germinal center)と呼ぶが、この胚中心で活発に増殖するB細胞は、胚中心B細胞(germinal center B cell)と称する。胚中心B細胞はPNAとよく結合する性質を持つため、PNAで染色した時にPNA強陽性(PNAhigh+)となることが知られている。
[5] 抗体産生細胞である形質細胞が存在する。
抗体産生細胞は、B細胞が最終段階まで分化した細胞であり、これを形質細胞と呼ぶ。
[6] リンパ節へのリンパ球の侵入門戸となるHEV様の血管構造が存在する。
高内皮細静脈(HEV)は、リンパ節、パイエル板などの二次リンパ組織に特異的に観察される特殊な血管構造であり、一般的な血管とは異なり、背の高い(壁が分厚い)内皮細胞を有する。このHEVは、ある種の接着因子やケモカインを発現しており、リンパ球が血流からこれらの二次リンパ組織に遊走して入ってくる時の入り口となっている。
サイトカインとは、各種の血球細胞の増殖と分化を制御するタンパク質性の生理活性物質の総称を意味し、さらには、非免疫系細胞を含む細胞の増殖因子および増殖抑制因子をいうこともある。作用の特性から、インターロイキン、コロニー刺激因子、インターフェロン、ケモカイン、リンホカイン、腫瘍壊死因子(TNF)などに分類される。本発明において使用されるインターロイキンは、特に限定されず、IL−1〜IL−18の中から任意に選択することができる。コロニー刺激因子としては、例えば、G−CSF、M−CSF、GM−CSFなどが使用され得る。インターフェロン(IFN)としては、例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−γなどが使用され得る。ケモカインとしては、例えば、CCL21(SLC(secondary lymphoid tissue chemokine)ともいう)、CXCL13(BLC(B lymphocyte chemoattractant)ともいう)、CCL19(ELC(Epstein−Barr virus−induced molecule 1 ligand chemokine)ともいう)などが使用され得る。TNFとしては、例えば、TNF−α、TNF−βなどが使用され得る。TNF−βは、リンホトキシンα(LTα)ともいわれる。LTαは、リンパ節(LN)およびパイエル板(PP)の器官形成のために、ならびに正常な脾臓組織構造の形成のために必須であることが見出された最初の分子である。リンホトキシンには、LTαの他に、LTβが存在する。これらのリンホトキシンもまた、本発明に使用され得る。
本発明において使用されるサイトカインは、好ましくは、リンホトキシンおよび/またはケモカインであり、より好ましくは、LTα、CCL21、CXCL13、および/またはCCL19である。これらのサイトカインは市販されており、容易に入手することが可能である。
ストローマ細胞とは、腺あるいは器官に特異的な固有の機能を持つ様々な細胞(実質細胞)を取り巻く微小環境を構成する細胞の総称であり、「支質細胞」ともいう。この「支質細胞」は、文字どおり実質の細胞を物理的に支持するとともに、細胞同士の相互作用により相手の細胞に何らかの作用を及ぼすという意味での支持機能も果たしていると考えられている。ストローマ細胞はまた、「支持細胞」あるいは「間質細胞」ともいう。
本発明において使用されるストローマ細胞としては、例えば、2週齢のBalb/cマウス胸腺から樹立されたTEL−2ストローマ細胞(Eur.J.Immunol 20:47−53,1990)が挙げられる。このTEL−2細胞は、10%の非働化したFCSおよび50μMの2−メルカプトエタノールを補充したRPMI−1640培地で培養することによって、維持および継代することができる。例えば、培養している細胞を、3日毎に、Trypsin−EDTA溶液で培養用ディッシュから収集し、1/10〜1/20に希釈して継代することができる。
本発明に用いられる、サイトカインを産生するストローマ細胞は、サイトカインをコードする遺伝子を含む発現ベクター(サイトカイン発現ベクターともいう)を構築し、この発現ベクターを、公知の遺伝子導入技術によって、ストローマ細胞に導入することにより作製することができる。種々のサイトカインに関する遺伝子情報は公知であり、例えば、GenBankなどの公に利用可能な遺伝子データベースから入手可能である。
例えば、TEL−2ストローマ細胞において、上述のサイトカインまたはケモカインを産生させるには、それらをコードする遺伝子を含む発現ベクターをリポフェクション法などにより導入し、G418(500μg/ml)を添加した選択培地で10日から2週間培養して、薬剤耐性細胞株を得ることができる。導入遺伝子の発現は、細胞培養上清の生物活性を測定して確認することができる。生物活性の測定には、例えば、ケモカインの場合であれば、T細胞またはB細胞に対する遊走活性を測定するchemotaxis assayを用いることができる。
本発明において使用される高分子生体材料としては、三次元構造骨格を有する生体適合性高分子材料が使用され得る。本発明において「三次元構造骨格」とは「ストローマ細胞と、リンパ球や樹状細胞などのリンパ節構成細胞とを、三次元的に組織化させるための足場(scaffold)」を意味する。また、「生体適合性高分子材料」とは、「生体に何らかの方法で適用した時、生体が異物としてそれを排除しようとする反応を極力低く抑えるようにされた、様々な高分子から構成される材料」のことを意味する。
このような高分子生体材料としては、例えば、コラーゲン、グリコサミノグリカン、ポリグリコール酸、ポリ−L−乳酸などが挙げられる。また、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンまたはエチレンビニルアセテートなどの非生体分解性の材料も、単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。
コラーゲンスポンジは、生体の構成成分であり、炎症反応や免疫反応を低く抑えられる点で、高分子生体材料として好ましい。「コラーゲンスポンジ」とは、コラーゲンを含むスポンジ構造を有する多孔性材料を意味し、例えば、ウシアキレス腱の不溶性コラーゲンを凍結乾燥することにより、多孔性のスポンジ状にした、三次元組織培養用コラーゲンなどが本発明に利用可能である。
本発明で使用される高分子生体材料は、それが生体分解性であっても、非生体性分解性であってもよく、生体へ移植した際に、それ自身の抗原性による免疫反応および/または物理的刺激による炎症反応を起こしにくい素材である限り、任意の素材を用いることができる。ただし、ストローマ細胞と免疫担当細胞が三次元的に組織化され、人工リンパ節として機能するためには、例えば、多孔性の高分子材料であれば、人工リンパ節の構築に適した孔径(ポアサイズ)、または、移植する高分子材料全体の大きさを選択する必要がある。このような移植物の孔径および大きさは、当業者により適宜決定され得る。
樹状細胞とは、造血幹細胞由来の樹枝状形態をとる細胞群の総称であり、リンパ系器官のみならず、リンパ系器官以外にも広く分布している。樹状細胞は、活性化の際に、T細胞およびB細胞の有効な刺激因子となり、免疫応答の開始に重要な役割を果たしている。
本発明に用いる樹状細胞は、その前駆細胞を培養することによって得ることができる。樹状細胞の前駆細胞は、骨髄、臍帯血、末梢血由来の造血幹細胞、末梢血由来の単球細胞などを起源とする。樹状細胞の前駆細胞は、採取した骨髄液、臍帯血、あるいは末梢血液などの懸濁液から必要に応じて分離精製することができる。
樹状細胞の前駆細胞を含む細胞群を増殖させ、さらに成熟/活性化樹状細胞へと分化誘導させるには、適切な誘導剤を使用する。誘導剤として、サイトカイン類を選択して使用することができる。サイトカインとしては、例えば、GM−CSF、IL−1、IL−4、IFN−α、TNF−αなどが挙げられ、これらを単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。
例えば、樹状細胞を成熟/活性化させるには、5〜20ng/mlの上記サイトカインを加えたRPMI−1640培地、あるいはMcCoy’s培地などを使用し、最終的に活性化させるためには、LPS(lipopolysaccharide)などの活性化因子を加えて培養すればよい。
さらに、本発明の方法においては、モノクローナル抗体を作製しようとする抗原を加えて培養することによって、樹状細胞を抗原パルスすることが好ましい。
本発明の抗原特異的ハイブリドーマの作成に用いる特異抗体産生人工リンパ節を構築するには、任意のサイトカインをコードする遺伝子を含む発現ベクターをストローマ細胞に導入して作製した、サイトカイン産生ストローマ細胞を高分子生体材料に付着させた後、この高分子生体材料を、モノクローナル抗体を作製しようとする抗原で免疫した動物の組織に移植すればよい。ストローマ細胞を高分子生体材料に付着させるには、高濃度に調製した細胞浮遊液に浸すか、あるいは、この細胞を、注射針(例えば、26ゲージ)を装着した注射器を用いて、高分子生体材料に注入する。
好ましくは、この高分子生体材料には、サイトカイン産生ストローマ細胞の他に、樹状細胞が加えられ得る。より好ましくは、動物の免疫に用いたのと同じ抗原(すなわち、モノクローナル抗体を作製しようとする抗原)でパルスした活性化樹状細胞が加えられ得る。
ストローマ細胞(および活性化樹状細胞)を付着させた高分子生体材料の移植の対象となる動物は、ヒトおよび非ヒト動物であり、非ヒト動物は、好ましくは、非ヒト哺乳動物(例えば、サル、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)である。この中でも通常ハイブリドーマ作成に用いられるマウスが好ましい。
これらの動物は、高分子生体材料の移植の前に、モノクローナル抗体を作製しようとする抗原で免疫される。この免疫によって、動物の二次リンパ組織内等の免疫担当細胞(B細胞、T細胞など)は抗原刺激され、この抗原に特異的な抗体(好ましくは、IgG、IgA、および/またはIgM)を細胞表面等に発現する抗体産生細胞(B細胞)もしくは抗原特異的T細胞を生じる。
免疫に用いられる抗原は限定されず、例えば、原虫、真菌、細菌、ウィルスなどの病原微生物が挙げられる。さらに、抗原としては、これらの病原微生物の他、癌、または特定の疾患に関係する、タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、糖質なども用いられ得る。
免疫の際、これらの抗原は、好ましくは、アジュバント(例えば、alum、フロイントの完全もしくは不完全アジュバントなど)と共に動物へ投与される。
リンパ節を構築させる動物の免疫に用いる抗原の量は、使用する動物の種類、年齢、体重、投与の経路などによって異なるが、例えば、成体マウスの場合、alum中に沈殿させた10μg〜1000μg、好ましくは、10〜100μgの抗原を腹腔内投与すればよい。
さらに、免疫担当細胞(例えば、B細胞)の抗原刺激を確実にするために、1〜2週間の間隔で、1または数回(例えば、1〜3回)、一次免疫を繰り返してもよい。免疫を繰り返す場合、抗原は、好ましくは、静脈(i.v.)投与される。
高分子生体材料の移植から約3週間後には、動物の体内で本発明の抗原特異的ハイブリドーマの作成に用いる特異抗体産生人工リンパ節が構築され得る。このようにして構築された特異抗体産生人工リンパ節を生体から回収する。回収した人工リンパ節は、適切な保存剤(例えば、10%DMSO)を添加した培養液中で−80℃以下の低温にて保存して、使用前に調製して用いることもできる。
回収した人工リンパ節をレシピエントである免疫不全動物に再移植する。該免疫不全動物は、人工リンパ節の構築に用いた動物と同一種であることが好ましい。移植の部位は、人工リンパ節の構築の際に、ストローマ細胞等を含む生体高分子材料を移植する部位と同様でよく、例えば腎臓被膜下に移植すればよい。
回収した人工リンパ節を再移植する免疫不全動物としては、機能的なT、Bリンパ球を持っていない免疫不全動物が挙げられ、例えば免疫不全マウスがある。免疫不全マウスとしては、ヌードマウス、SCIDマウス(重症免疫不全マウス)、RAG2遺伝子欠損マウス等を用いることができ、SCIDマウスとして、NOD/Shiマウス、C.B−17/IcrCrj−scid/scid、NOGマウス(NOD/Shi−scid/IL−2γ−/−mouse)等があり、これらのSCIDマウスは日本クレア株式会社から入手可能である。
再移植の際、2〜4個の人工リンパ節を移植するのが好ましく、片側の腎臓皮膜下に1〜2個ずつ移植すればよい。
免疫不全動物に人工リンパ節を移植した後、免疫不全動物を人工リンパ節を構築する際に用いた抗原で免疫する。この際、免疫は複数回行ってもよい。例えば、1日〜2週間後、好ましくは1〜2日後に免疫し、さらに1〜2週間後、好ましくは1週間から10日後に免疫すればよい。好ましくは2回免疫する(一次免疫および二次免疫)。この際の免疫方法は、静脈投与が望ましい。抗原投与量は、マウスの場合、10μg〜1000μg、ましくは、10〜100μgであり、2回目の免疫の投与量は1回目の免疫の投与量より少なくてもよく、例えば、1回目の10分の1量を投与すればよい。一次免疫によって抗原刺激されたBリンパ球は、移植された人工リンパ節に集まり、その後、一次免疫に用いたのと同じ抗原に曝露されると、人工リンパ節においてクラススイッチを起こし、IgG、IgE、またはIgAを産生する抗体産生細胞を誘導する。本発明において、抗体産生細胞は、好ましくは、IgGタイプ(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG)の抗体を産生する細胞である。
最後の免疫から数日後、好ましくは4〜5日後に、哺乳動物から免疫細胞を採取し、細胞融合を行う。この際、免疫細胞としては、脾細胞を用いるのが好ましい。また、細胞融合を行う前に、免疫不全動物の免疫血清中に所望の抗体レベルが上昇していることをELISA、ウエスタンブロッティング等により確認するのが望ましい。
図2に人工リンパ節を構築し、免疫不全マウスに再移植して免疫細胞を得るまでの本発明の概要を示す。
本発明はヒト型の特異抗体産生ハイブリドーマの作成方法をも提供する。この場合、抗原特異的ハイブリドーマの作成に用いるヒト型の特異抗体産生人工リンパ節は、例えば、免疫不全動物(例えば、免疫不全マウス)にヒトリンパ球、ヒトリンパ球前駆体、骨髄細胞、および/または造血幹細胞などを導入して免疫不全動物の生体内にヒト免疫系を構築した後、このヒト免疫系を有する動物を、上記の方法に従って、モノクローナル抗体を作製しようとする抗原で免疫し、ストローマ細胞および/または樹状細胞を付着させた高分子生体材料(人工リンパ節)を移植し、そして、必要に応じて、同じ抗原で二次免疫することによって構築できる。
このようにして構築したヒト型の特異抗体産生人工リンパ節を免疫不全動物に再移植してヒト型モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作成することができる。
免疫不全動物から採取した免疫細胞と融合する細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞は、公知の種々の細胞株、例えば、マウス由来細胞の場合、P3(P3x63Ag8.653)(J.Immnol.(1979)123,1548−1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81,1−7)、NS−1(Kohler.G.and Milstein,C.Eur.J.Immunol.(1976)6,511−519)、MPC−11(Margulies.D.H.et al.,Cell(1976)8,405−415)、SP2/0(Shulman,M.et al.,Nature(1978)276,269−270)、FO(de St.Groth,S.F.et al.,J.Immunol.Methods(1980)35,1−21)、S194(Trowbridge,I.S.J.Exp.Med.(1978)148,313−323)、R210(Galfre,G.et al.,Nature(1979)277,131−133)等が好適に使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、ケーラーとミルステインらの方法(Kohler.G.and Milstein,C.、Methods Enzymol.(1981)73,3−46)等の公知の方法により行うことができる。具体的には、前記細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で行うことができる。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウィルス(HVJ)等が使用され、融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。また、エレクトロポレーションを用いた電気融合法により融合してもよい。
細胞融合の際のミエローマ細胞と免疫細胞の混合比率は限定されないが、1:1〜1:10が好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、RPMI1640培地、MEM培地等を用いればよく、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を混合してもよい。
細胞融合は、例えば、前記免疫細胞とミエローマ細胞を培地中で混合し、予め37℃程度に加温したPEG溶液(例えば平均分子量1000〜6000程度)を30〜60%(w/v)の濃度で添加し、混合することにより行うことができる。次いで、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。上記HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)行う。次いで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよびクローニングを行えばよい。スクリーニングは、ELISA、ウエスタンブロッティング等公知の方法で行うことができる。
このようにして作成されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
本発明は、抗原特異的ハイブリドーマを作成するためのキットをも包含する。該キットは、サイトカイン発現ベクターおよびストローマ細胞、またはサイトカイン発現ベクターが導入されたストローマ細胞、高分子生体材料、活性化樹状細胞を含み、さらに、人工リンパ節形成用マウスや免疫不全マウスを含んでいてもよい。さらに、ハイブリドーマを作成しようとする抗原を含んでいてもよく、この場合、活性化樹状細胞は、あらかじめ前記抗原でパルスされていてもよい。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例において使用した培養液、試薬および器具は以下の通りである。
RPMI−1640:GIBCO社
2−メルカプトエタノール:Sigma社
FCS(fetal calf serum;ウシ胎仔血清):Cell Culture Technologies社
細胞培養液:10%の非働化したFCSおよび50μMの2−メルカプトエタノールを補充したRPMI−1640
Trypsin−EDTA溶液:GIBCO社
G418(geneticin):GIBCO社
リコンビナントマウスGM−CSF(granulocyte−macrophage colony stimulating factor):PeproTech社
LPS(lipopolysaccharide):Sigma社
BSA(bovine serum albumin):Sigma社
培養ディッシュ、培養プレート、ペトリディッシュ;全て、FALCON社製
人工リンパ節の作製
特開2004−255110号公報に記載の方法に従って人工リンパ節(artificial lymphnodes)をBalb/cマウスの腎臓皮膜下で作製した。具体的には以下の方法で作製した。
ストローマ細胞として、2週齢のBALB/cマウスの胸腺から樹立したTEL−2細胞(Nakashima M.et al.,Eur J Immunol.1990 Jan;20(1):47−53)を、10%ウシ胎仔血清および50μM 2−メルカプトエタノールを補充したRPMI1640中で培養した。マウスのリンホトキシンα(LTα)またはケモカイン(CCL21、CCL19およびCXCL13)cDNAを、マウス脾臓RNAからRT−PCR(reverse transcription−polymerase chain reaction)によりクローニングした。各cDNAを、pCXN2ベクター(Niwa H,et al.,Gene.1991 Dec 15;108(2):193−9)のEcoRI部位へと挿入した。このベクターは、ニワトリβアクチンプロモーター、CMVエンハンサー、およびウサギβグロビンスプライシングドナーを有する。得られた発現ベクターをTEL−2細胞へと導入し、そして安定なトランスフェクタント細胞株を、2週間のG418選択(500μg/ml)後に得た。安定なトランスフェクタント細胞株を樹立させた後、全ての細胞株を200μg/mlのG418を含む培養培地中で培養した。導入された遺伝子の発現を、LTαについては蛍光表示式細胞分取器(FACS)分析およびケモカインについては走化性アッセイにより確認した。
コラーゲンスポンジ(”Collagen Sponge”#CS−35,KOKEN,Tokyo,Japan)を、一定の形および大きさに小さく切り、48ウェルプレートのウェルに1片ずつ入れた。上記のように樹立したサイトカイン産生TEL−2ストローマ細胞を、Trypsin−EDTA溶液を用いて収集し、培養液で1回洗浄して培養液に浮遊させ、さらに、PBS(phosphate buffered saline)、0.1%BSA/PBSでそれぞれ1回ずつ洗浄した後、1mlの1%BSA/PBSを加えて細胞浮遊液を作製した。この細胞浮遊液を遠心分離に供して細胞を沈澱させてペレットの状態にし、少量の1%BSA/PBSに細胞を浮遊させて、細胞濃度の非常に濃い、均一な細胞浮遊液を作製した。この細胞浮遊液をコラーゲンスポンジの上に滴下し、スポンジを揉むようにして細胞をコラーゲンスポンジに吸着させた。少量の1%BSA/PBS溶液に細胞を浮遊させてコラーゲンスポンジに吸着させているので、乾燥させないように注意した。この細胞を吸着させたコラーゲンスポンジを入れた48ウェルプレートを、マウスの腎皮膜下への移植まで氷上に置いた。
7週齢から12週齢の雌性BALB/cAnNCrjマウスの大腿骨と脛骨の骨髄腔内を、26ゲージの注射針を装着した注射器を用いてPBSで洗い出し、骨髄細胞液を得た。この骨髄細胞液をナイロンメッシュでろ過して大きな細胞塊等を除き、培養液で2×10cells/mlの濃度に調製して細胞浮遊液を作製した。なお、細胞浮遊液中には赤血球系の細胞がかなり含まれているが、赤血球系の細胞を無視して細胞の濃度を2×10cells/mlと計算した。この細胞浮遊液を、直径10cmのプラスチック製ディッシュ(ペトリディッシュ)に、1ディッシュ当たり7mlを移し、リコンビナントマウスGM−CSFを最終濃度5ng/mlとなるように添加した。3日又は4日毎に細胞上清を半分捨て、5ng/mlのGM−CSFを加えた新しい培養液を加えた。培養8日目または9日目に浮遊細胞を集め、5ng/mlのGM−CSFを加えた新しい培養液で2×10cells/mlの細胞浮遊液を作り、1μg/mlのLPS(もしくはTNF−α)、および、抗原パルスを行う場合、高分子生体材料の移植前にマウスに接種される抗原と同じ抗原を加えて、細胞培養ディッシュで17〜20時間培養し、樹状細胞を成熟および活性化させた。
コラーゲンスポンジ(”Collagen Sponge”#CS−35,KOKEN,Tokyo,Japan)を、一定の形および大きさに小さく切り、48ウェルプレートのウェルに1片ずつ入れた。上記のようにして樹立したサイトカイン産生TEL−2ストローマ細胞を、Trypsin−EDTA溶液を用いて収集し、培養液で1回洗浄して培養液に浮遊させ、細胞数を数えて氷上に置いた。上記方法により調製した活性化樹状細胞を、培養液で2回洗浄して培養液に浮遊させて細胞数を数え、氷上に置いた。その際、樹状細胞をLPSで活性化した場合は、LPSが残らないように丁寧に洗浄した。その後、それぞれの細胞を、PBS(phosphate buffered saline)、0.1%BSA/PBSでそれぞれ1回ずつ洗浄した後、1mlの1%BSA/PBSを加えて細胞濃度のほぼ同じ均一な細胞浮遊液を作製した。これらの浮遊液を1対1の容量で混合し、遠心分離により細胞を沈澱させてペレットの状態にし、さらに少量の1%BSA/PBSを加えて、非常に細胞濃度の濃い均一な細胞浮遊液を作製した。この細胞浮遊液をコラーゲンスポンジの上に滴下し、スポンジを揉むようにして細胞をコラーゲンスポンジに吸着させた。少量の1%BSA/PBS溶液に細胞を浮遊させてコラーゲンスポンジに吸着させているので、乾燥させないように注意した。この細胞を吸着させたコラーゲンスポンジを入れた48ウェルプレートは、細胞を吸着させたコラーゲンスポンジをマウスの腎皮膜下に移植するまで氷上に保った。
8週齢から14週齢の雌性BALB/cAnNCrjマウス(日本チャールズリバー社、SPF環境のマウス飼育室で飼育)に麻酔をし、体表面を70%エタノールで消毒して右側臥位にした。左季肋部の皮を約1cm切開し、その真下の筋層もほぼ同じ大きさに切開した。腎周辺の脂肪組織をピンセットでつまみ、腎臓を体外に引き出した。実体顕微鏡下で観察しながら、先の鋭利なピンセットを用いて、腎実質に傷をつけないように注意しながら、腎皮膜を開き、腎皮膜と腎臓の間にコラーゲンスポンジを挿入した。通常、片方の腎臓につき2ケ所(腎上極、下極付近)移植するため、左右の腎臓で一匹のマウスあたり計4つの、ストローマ細胞を付着させたコラーゲンスポンジを移植した。
レシピエントであるBALB/cAnNCrjマウスはNP−ovalbumin(NP−OVA)をalum中に沈殿させた抗原を腹腔内に投与することにより4週間前に免疫しておいた。
移植3週間後に人工リンパ節を回収した。回収した人工リンパ節をSCIDマウス(C.B−17/IcrCrj−scid/scid)の腎臓皮膜下に移植した。
翌日、SCIDマウスをNP−OVAを用いて免疫した。この際、NP−OVAをPBSに溶解し、抗原100μgを静脈内投与した。さらに1週間後、同じ抗原で追加免疫行った。抗原量は1回目の10分の1の10μgであった。
2回目の免疫後、4〜5日目にSCIDマウスから血清を回収するとともに、脾臓を取り出した。回収した血清については、血清中のIgG抗NP抗体濃度を測定した。さらに、脾臓中の抗体産生細胞数をELISpot法にて測定した。また、脾臓細胞を調製し、細胞培養用培地で細胞浮遊液を調製した。なお、人工リンパ節の構築、人工リンパ節のSCIDマウスへの再移植およびSCIDマウスの免疫の工程において人工リンパ節の構築時に用いる樹状細胞の抗原によるパルスの有無および100μgの抗原による一次免疫および10μgの抗原による二次免疫の有無の条件を変えて行った。さらに、免疫マウスとしてナイーブBalb/cマウス、ナイーブSCIDマウス、抗原でプレ免疫したBalb/cマウスをさらに抗原を用いてi.v.により2回再免疫したマウスおよび抗原でプレ免疫したBalb/cマウスから採取した脾細胞(1×10細胞)を静脈注射によりSCIDマウスに移植し、その後マウスを抗原を用いて2回再免疫したSCIDマウスを対照として用いた。
表1に人工リンパ節を再移植せずに二次免疫まで行ったBalb/cマウス、人工リンパ節を再移植して二次免疫を行ったSCIDマウス(本発明の方法)、人工リンパ節を再移植してその後の免疫を行わなかったSCIDマウスおよび人工リンパ節を再移植せずに二次免疫まで行ったSCIDマウスの血清中抗NP抗体濃度を示す。
表1に示すように、人工リンパ節を移植され、抗原で免疫したSCIDマウスの血清中には抗原に対して高親和性の抗体(この場合は、NP6に対する抗体)が大量に含まれていた。実施例では7mg/mlの抗原特異的なIgGクラスの抗体が含まれていた。通常マウスの血清中の全イムノグロブリンの量は1mg/mlであるから如何に大量の抗体が産生されているかがわかる。各条件で免疫したSCIDマウスの血清中のIgG抗体量を図3に示す。図3より樹状細胞をあらかじめ抗原でパルスしておくこと、静脈内に2回免疫することが重要であることがわかる。また、図3は単純にSCIDマウスに大量の抗原刺激した正常のリンパ節を静脈内投与して抗原で同様に免疫しても効果を得られないこと、および人工リンパ節を用いないとこのような効果は得られないことを示す。
表2に、人工リンパ節を再移植したSCIDマウスの脾臓中のIgGクラスの抗NP特異的抗体産生細胞の数を示す。
表2に示すように、本発明の方法により免疫された(人口リンパ節を移植された)SCIDマウスの脾臓細胞を調べてみると、10万個の脾臓細胞中に3万個以上(約30%以上)の(NP)抗原特異的なIgGクラスの抗体を産生している細胞が存在していることがわかる。すなわち、本発明の方法により、リンパ球(脾臓細胞)3〜4個に1個以上が抗原特異的抗体産生細胞である個体を作成することが出来る。
脾臓細胞:骨髄腫細胞(ミエローマ)を10:1で混合し、融合剤としてポリエチレングリコール1500(Boehringer Mannheim社製)を用いて細胞融合させることにより多数のハイブリドーマを作製した。骨髄腫細胞は、P3X63Ag8U.1を用いた。ハイブリドーマの選択は、10%のウシ胎児血清(Fetal Calf Serum、FCS)とヒポキサンチン(H)、アミノプテリン(A)、チミジン(T)を含有するHAT含有DMEM培地(Gibco BRL社製)中で培養することにより行った。さらに、HT含有DMEM培地を用いて限界希釈法によりシングルクローンにした。培養は、96ウェルマイクロタイタープレート中で行い、各ウェルに10の細胞を播いて行った。抗NPモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンのスクリーニングは、酵素標識免疫吸着アッセイ(ELISA)により行った。この際、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を二次抗体として用い、酵素反応後の各ウェルの吸光度をELISAリーダーを用いて測定した。
図4に各ウェル中のELISA測定結果を示す。図4に示すように、本発明の方法でマウス骨髄腫細胞と細胞融合を行うと殆ど全てが抗原特異的な抗体を産生しているハイブリドーマを得ることができた。
本発明の方法で用いる人工リンパ節は、迅速かつ大量に抗原特異的な免疫反応を誘導し、有効な抗体産生細胞を効率よく供給することができる。該人工リンパ節を用いてハイブリドーマを作成することにより、高い形成率で抗原特異的ハイブリドーマを作成することができる。特に、免疫原性が低い抗原に対する特異的ハイブリドーマの作成等に有利である。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (11)

  1. 以下の工程を含む抗原特異的ハイブリドーマを作成する方法:
    (a) 抗原で非ヒト動物を免疫し、免疫した非ヒト動物にサイトカインを産生するストローマ細胞を含む高分子生体材料を移植し、前記非ヒト動物に人工リンパ節を形成させる工程;
    (b) 工程(a)で形成された人工リンパ節を回収し、工程(a)の非ヒト動物と同種の免疫不全非ヒト動物に移植する工程;
    (c) 工程(b)で人工リンパ節を移植した免疫不全非ヒト動物を前記工程(a)の抗原で免疫する工程;
    (d) 工程(c)で免疫した免疫不全非ヒト動物より脾細胞を採取する工程;ならびに
    (e) 工程(d)で採取した脾細胞をミエローマ細胞と融合させて抗体産生ハイブリドーマを形成させる工程。
  2. 高分子材料がさらに請求項1の工程(a)の抗原でパルスした活性化樹状細胞を含む請求項1記載の方法。
  3. ストローマ細胞が、TEL−2細胞である請求項1または2に記載の方法。
  4. 高分子材料がコラーゲンスポンジである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. サイトカインが、リンホトキシンおよび/またはケモカインである請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 非ヒト動物がマウスである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 免疫不全動物が免疫不全マウスである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 免疫不全マウスがSCIDマウスまたはRAG2遺伝子欠損マウスである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 以下を含む、抗原特異的なハイブリドーマを作成するためのキット:
    (a) サイトカイン発現ベクターおよびストローマ細胞、またはサイトカイン発現ベクターが導入されたストローマ細胞;
    (b) 高分子生体材料;ならびに
    (c) 活性化樹状細胞。
  10. 以下をさらに含む請求項9記載の抗原特異的なハイブリドーマを作成するためのキット:
    (d) 人工リンパ節形成用マウス;および
    (e) 免疫不全マウス。
  11. さらに、抗原を含み活性化樹状細胞が該抗原でパルスされている、請求項9または10に記載の抗原特異的なハイブリドーマを作成するためのキット
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