JPWO2007052647A1 - 試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法 - Google Patents

試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法 Download PDF

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Abstract

液体試料に対して試薬体を迅速かつ正確に溶解、反応させることができるようにして、混合試料液の反応の検出を正確に行う。ディスク本体とディスク本体に設けられた1個以上の試料混合部とを具備し、試料混合部は、液体試料貯留部と、内部に試薬体複数個が配列可能に構成される試薬チャンバーと、試薬チャンバーで混合された液体試料と試薬体とを含む混合試料液が供給される測定チャンバーと、を備え、試薬チャンバーは、遠心力の発生するディスクの径方向と略平行な方向または径方向と略垂直な方向に試薬体複数個が配列可能な形状を有する試料液分析用ディスクを提供する。

Description

本発明は、ディスク本体の内部に供給される液体試料と、ディスク本体の内部に配列される試薬体とを混合して、得られた混合試料液の化学反応を検出することにより、試料の分析を行うための試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法に関する。
近年、分析・解析・検査技術の進歩により、様々な物質を測定することが可能となってきている。特に、臨床検査分野においては、生化学反応、酵素反応、若しくは、免疫反応等の特異反応に基づく測定原理の開発により、病態に反映する体液中の物質を測定できるようになった。
なかでも、ポイント・オブ・ケアテスティング(POCT)が注目されている。POCTは、簡易で迅速な測定を第一とし、検体を採取してから検査結果が出るまでの時間の短縮を目的としている。そのため、POCTには、簡易な測定原理が必要である。また、小型で携帯し易く、かつ操作し易い測定装置が求められている。
近時のPOCT対応測定機器においては、簡易測定原理が構築されてきている。それに伴い、生体成分の固相化技術、センサデバイス化技術、センサシステム化技術、微細加工技術、およびマイクロ流体制御技術も進歩している。そのため、実用性の高い測定機器が提供されるようになってきている。
このようなPOCT対応測定機器として、例えば、特許文献1ではディスク上に供給した試料の定性・定量分析を行う装置が提案されている。特許文献1の測定装置について、図を参照しながら説明する。図9は、分析用ディスク内のチャンバーの一部の概略断面図である。ディスク1には試料注入孔2および試料注入孔2に連通する流路3が設けられている。流路3には、試料5と反応して光学特性(透過率・色等)が変化する試薬4が塗布されている。試料5を、試料注入孔2からディスク1内に注入して分析が行われる。
図10は上記のディスク1を用いた分析装置の一部を透明にした概略斜視図である。この分析装置の構成は、所謂光ディスク装置に類似しており、ディスク1を回転させるためのスピンドルモータ6と、ディスク1内に供給されて展開される試料5または試料5と反応した試薬4に光ビームを照射するための光ピックアップ7と、光ピックアップ7をディスク1の半径方向に移動させるための送りモータ8と、を具備する。
分析装置に装着されたディスク1は、スピンドルモータ6により回転する。その遠心力により、試料5がディスク1の流路3内に供給されて展開され、流路3内に塗布された試薬4と反応する。反応後、ディスク1を回転させながら光ピックアップ7より流路3内の試料5または試薬4に光ビームを照射する。光ビームの反射光または透過光を検出することで試薬の反応状態を分析する。
また、特許文献2では、ディスクにおいて、例えば、試薬を塗布する複数のチャンバー間を結ぶ流路を設けることが提案されている。これにより、ディスクに、混合試料液を自由にチャンバー間で移動、停止させる機能を付加することができる。そのため、複数の試薬を順次溶解、反応させることができる。
ここで、図を参照しながら特許文献2が提案するマイクロフルイド装置の構造を有する、試料液分析用ディスクを簡単に説明する。図11は、特許文献2に記載されている技術内容を説明するために、本発明者が作成した図である。図11は、特許文献2で提案されている装置に含まれる、試料液分析ディスクの主面の法線方向から見た場合の当該ディスクの要部を示す概略図である。図11において、屈曲した流路12は、ディスクの遠心力方向Xを基準に見た場合の上流側チャンバー11の下側11aと連結されている。流路12の屈曲部12aは、上流側チャンバー11の遠心力方向Xを基準に見た場合に、上側壁面より上に位置する。屈曲部12a以降の流路12は、遠心力方向Xを基準に見た場合の下方に続いていき、下流側チャンバー13に連結されている。
また、下流側チャンバー13は、流路12と同様に屈曲した流路14によって透過光測定チャンバー15に連結されている。ここで、上流側チャンバー11のディスクの主面の法線方向における深さは、流路12の深さより大である。これにより、流路12内を下流側チャンバー13に向かって毛細管力で移動してきた混合試料液は、流路12が下流側チャンバー13に連結している部分に滞留する。この結果、上流側チャンバー11から下流側チャンバー13に向かう混合試料液を、下流側チャンバー13の直前で停止させることができる。
この状態からディスクを回転させて遠心力を与えることで、停止していた混合試料液は下方側チャンバー13に流入する。ここで、流路12の屈曲部12aは、上記したように上流側チャンバー11の遠心力方向Xを基準に見た場合に、上側壁面より上に位置する。そして、屈曲部12a以降の流路12は、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いている。この構造により、遠心力を加えた際に、上流側チャンバー11に溜まり、流路12の下方側チャンバー13の直前部分まで満たしている混合試料液に、サイフォン効果が働き、流路12を経由して、上流側チャンバー11に溜まった混合試料液のほぼ全量が下方側チャンバー13に流入する。
遠心力が作用している間は、下方側チャンバー13に流入した混合試料液が流路14にも浸入するが、遠心力方向Xを基準に見た場合において、流路14内の液面と、下流側チャンバー13の液面とは同じである。
したがって、上述した流路12と同様に、流路14の屈曲部(図示せず)が下方側チャンバー13の上側側面より上に位置していれば、遠心力が作用している間、次のチャンバー(透過光測定チャンバー15)の直前まで混合試料液が移動することはない。
ディスクの回転を停止させると、遠心力の作用がなくなる。このとき、混合試料液は、流路14から毛細管力で透過光測定チャンバー15の直前まで到達する。その後、再びディスクを回転させると、遠心力を作用させることで透過光測定チャンバー15に混合試料液が流入する。
この状態でディスクの回転(遠心力の作用)を中止すると、透過光測定チャンバー15内の混合試料液が毛細管力により流路14を逆流するおそれがある。逆流すると、透過光測定チャンバー15内の混合試料液の量が不足するため、透過光測定時にもディスクを回転させて、遠心力を作用させる。
各チャンバー11、13および15への混合試料液の流入を円滑にするために、各チャンバー11、13および15の上部(遠心力方向Xを基準に見た場合)のうちの混合試料液が到達し得ない部分に空気穴16、17および18が設けられている。これにより、混合試料液を反応試薬と十分に溶解、反応させることができる。また、混合試料液を円滑に流路内において移動させることができる。
また、上流側チャンバー11に混合試料液中の特定成分の測定に必要な反応試薬は、例えば乾燥により担持する。この場合、反応に必要な濃度以上の試薬濃度の水溶液を上流側チャンバー11の容積量だけ滴下し、乾燥させるか、上流側チャンバー11の容積量の混合試料液に反応試薬が溶解した際に、反応に必要な量の試薬を上流側チャンバー11内に担持できるような濃度と滴下量の試薬溶液を滴下乾燥することで、反応試薬層を形成する。
また、反応試薬の固形化を試薬溶液の凍結乾燥によって行うことで、溶解性を向上させることも提案されている。例えば、特許文献3では、試薬溶液を液体窒素等の冷凍剤中に滴下して、球状の凍結体を得て、これを凍結乾燥して均一な顆粒状の試薬体を得ることが提案されている。
特許文献4では、血液の測定において、血球を遠心分離により除去することで、血液中の血漿成分のみを試薬と反応させることが提案されている。特許文献4記載の装置は、遠心力によって、全血から血漿を分離する機能を有し、遠心分離用ロータ、内部チャンバー、複数の試験用凹部、および通路を有する。遠心分離用ロータに、例えば球状の顆粒状の試薬体を配置することで、迅速な試薬の溶解性、すなわち、良好な反応性を得ることができる。試薬体は、保存性の観点から、凍結乾燥により形成した顆粒状の試薬体を用いることもできる。
この装置は、液体試料を段階的に供給することが可能である。これにより、試薬体と液体試料における、複数の反応を同時ではなく段階的に行う場合や、試薬体を複数種に分ける必要がある場合にも、測定を行うことができる。
WO0026677号公報 特表2002−534096号公報 特許第3187835号公報 米国特許5122284号公報
特許文献2に提案されている装置では、上流側チャンバー11に、試薬溶液の風乾により試薬層が形成されている。しかしながら、このような試薬層では、チャンバーに混合試料液が流入しても、撹拌の効果を得ることができず、試薬層の溶解が十分ではなくなる場合がある。すなわち、測定に必要な化学反応が十分に進行しないおそれがある。また、試薬溶液の風乾によって試薬層を得た場合、試薬層表面が稠密になる。このことも、試薬層の混合試料液への溶解を妨げる要因となる。さらに、試薬溶液の風乾過程では、水分の蒸発により試薬溶液が非常に濃縮される。そのため、試薬層の組成によっては、変性するおそれがある。
また、特許文献4で提案されている装置に、保存特性の観点から混合を避けたい試薬顆粒を複数種用いる場合には、単一の試薬顆粒を用いる場合に比べて、各々の試薬顆粒の体積を、試薬顆粒を溶解させるための試料液量より相対的に少なくしなければならない。
例えば、2個の試薬顆粒を同時に溶解させて反応させるためには、各々の試薬顆粒の体積は、混合試料液量の2分の1以下にしなければならない。そのため、試薬顆粒の密度が大きくなり、試薬顆粒の溶解性が低下することがある。また、試薬顆粒を1個ずつ別々のチャンバーに配置し、混合試料液が順次試薬顆粒を溶解していくようにチャンバーを結ぶ通路を設けることも考えられる。しかし、チャンバーを複数配置することで、測定の工程が増えるため、全体の測定時間が長くなってしまう。
以上のような従来技術に鑑み、本発明は、液体試料に対して試薬体を迅速かつ正確に溶解、反応させることができ、混合試料液の反応の検出を正確に行うことができる試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法を提供することを目的とする。
本発明は、液体試料と試薬体との化学反応を検出することにより、前記液体試料と前記試薬体とを含む混合試料液の分析を行うための試料液分析用ディスクであって、ディスク本体と、前記ディスク本体に設けられた1個以上の試料混合部と、を具備し、前記試料混合部は、前記液体試料を貯留するための液体試料貯留部と;前記液体試料貯留部に第1の流路を介して接続され、内部に前記試薬体複数個が配列可能に構成され、かつ少なくとも前記ディスク本体の回転による遠心力によって、前記液体試料貯留部から前記第1の流路を介して前記液体試料が供給される試薬チャンバーと;前記試薬チャンバーに第2の流路を介して接続され、かつ前記ディスク本体の回転による遠心力および前記第2の流路に生じる毛細管力によって、前記試薬チャンバーで混合された前記液体試料と前記試薬体とを含む前記混合試料液が供給される測定チャンバーと;を備え、前記試薬チャンバーは、前記遠心力の発生する前記ディスクの径方向と略平行な方向または前記径方向と略垂直な方向に前記試薬体複数個が配列可能な形状を有することを特徴とする。
本発明における「試薬体」とは、反応に必要な試薬を固形化したものである。試薬体の形状は、反応に必要な試薬量を試薬チャンバーに配列できるような形状であれば、特に限定されない。例えば、半球状、球状、円柱、多面体のいずれであってもよい。また、試薬体の製造方法は、上記のような試薬体を得られる製造方法であれば、特に限定されない。例えば、試薬体を構成する試薬の粉体を、所定の形状の鋳型に封入して、圧縮することで得られる。また、試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下し、任意の試薬体の直径に制御して凍結乾燥を行うことでも得ることができる。
これにより、ディスク本体に作用する遠心力と試薬チャンバー内の毛細管力とによって、液体試料と試薬体とがより確実に混合される。そのため、各々の試薬体の体積を、試薬体を溶解させるための液体試料の体積より相対的に少なくする必要がない。
前記試薬チャンバーは、前記ディスクの主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形であり、前記長辺が前記径方向と略平行となるように構成されていることが好ましい。
また、前記試薬チャンバーは、前記ディスクの主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形であり、前記長辺が前記径方向と略垂直となるように構成されていてもよい。
前記試薬体は、前記試薬チャンバー内において、固定されていることが好ましい。
これにより、試薬チャンバーと試薬体との間により確実に毛細管力を作用させることができる。そのため、ディスク本体に作用する遠心力と、毛細管力により、試薬チャンバー内の試薬体を完全に溶解させることができ、反応時間の短縮を図ることができる。
前記ディスクの主面の法線方向において、前記試薬体の少なくとも一部が前記試薬チャンバーに固定されていることが好ましい。例えば、ディスクの主面の法線方向において、前記試薬チャンバーの内側部分の高さを、前記試薬体の高さ以下として、前記試薬チャンバーの上部と下部とで前記試薬体を挟持させてもよい。
また、ディスクの主面の面方向において、略矩形の前記試薬チャンバーの短辺の長さを前記試薬体の幅以下としてもよい。
さらに、前記試薬チャンバーの内壁の少なくとも一部の形状は、前記試薬体を配列する際に、前記試薬体と前記内壁とが接触する部分に隙間が生じないような凹型の断面形状であってもよい。
これにより、曲面を有する試薬体を試薬チャンバーに配列したときに、試薬体に割れや欠けが生じるのを防止することができる。
前記試薬チャンバーに、前記試薬体複数個が配列されていることが好ましい。
前記試薬体は、凍結乾燥顆粒であることが好ましい。
これにより、試薬体の表面積を大きくすることができる。よって、液体試料に対して、試薬体をより溶解し易くすることができる。
また、本発明は、上記の試料液分析用ディスクを用いる混合試料液の分析方法であって、前記液体試料貯留部前記試薬体の1個分の体積に相当する体積の前記液体試料を供給し、前記ディスク本体を回転させることにより、遠心力によって前記液体試料貯留部から前記試薬チャンバーへ前記液体試料を供給し、前記試薬チャンバーで遠心力および毛細管力を利用して前記液体試料と前記試薬体を混合させ、前記混合試料液を前記測定チャンバーに供給し、前記測定チャンバーにおいて前記混合試料液の化学反応を検出することを特徴とする混合試料液の分析方法を提供する。
液体試料で試薬体を溶解させる過程において、液体試料が試薬チャンバーに流入するときに各試薬体の一部が溶解し、引き続き、ディスク本体に作用する遠心力と毛細管力により、溶け残った試薬体も完全に溶解させることができる。これにより、反応時間の短縮を図ることができる。その結果、混合試料液の化学反応の検出を正確に行うことができる。
前記検出は、光学的に行うことが好ましい。
混合試料液において、例えば、透過光量または吸光度の変化を検出することにより、混合試料液の化学反応を高精度に検出することができる。
本発明によれば、液体試料に対して試薬体を迅速かつ正確に溶解、反応させることができ、混合試料液の反応の検出を正確に行うことができる試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る試料液分析用ディスクの構成図である。 本発明の一実施の形態に係る試料液分析用ディスクの試料混合部を、ディスクの主面の法線方向から見た拡大概略図である。 本発明の一実施の形態に係る試薬チャンバーの要部の断面図(図2のA−A方向矢視断面図)である。 本発明の一実施の形態に係る試薬チャンバーの要部をディスクの主面の法線方向において分解した概略図である。 本発明の一実施の形態における混合試料液のTG濃度に依存した吸光度変化を示す図である。 本発明の他の実施の形態に係る試料液分析用ディスクの試料混合部を、ディスクの主面の法線方向から見た拡大概略図である。 本発明の他の実施の形態に係る試薬チャンバーの要部の断面図(図6のB−B方向矢視断面図)である。 本発明の他の実施の形態に係る試薬チャンバーの要部をディスクの主面の法線方向において分解した概略図である。 従来の混合試料液分析装置で使用されている分析用ディスク内のチャンバーの一例を示す概略断面図である。 従来のディスクを用いた混合試料液分析装置の一部を透明にした概略斜視図である。 従来の試料液分析用ディスクの主面の法線方向から見た場合の当該ディスクの要部を示す概略図である。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明における試料液分析用ディスクの構成について、図を参照しながらを説明する。図1は、本発明の一実施の形態である試料液分析用ディスクの構成を示す概略図である。図1において、試料液分析用ディスクのディスク本体20は複数の試料混合部21および22を具備する。試料混合部21において、ディスクの遠心力と毛細管力とによって、液体試料は段階的に各チャンバーに供給される。ディスク本体20の径が、80〜120mmであることで、後述するようにディスクの径方向に直列に配置される各流路および各チャンバーを配置する十分な領域を確保することができる。また、この大きさは、市販されているCD等と同程度の寸法である。そのため、ディスクの取り扱いが容易であることから好ましい。
次に、本発明の一実施の形態として、略半球状の試薬体を用いる場合について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態1に示す試料混合部21を、ディスク本体20の主面の法線方向から見た拡大概略図である。試料混合部21は、液体試料貯留部23と、試薬チャンバー24と、測定チャンバー25とを備えている。液体試料貯留部23は、液体試料供給口26を有する。
本実施の形態では、試薬チャンバー24はディスク本体20の径方向と略平行な方向に試薬体30を配列するように構成されている。液体試料貯留部23は第1の流路27を介して試薬チャンバー24に接続されている。第1の流路27の幅は、例えば、0.2〜1.0mmであることで、より確実に液体試料を供給することができ、かつ試薬チャンバー24から液体試料貯留部23への液体試料の逆流を抑制できるため好ましい。また第1の流路27の長さは、例えば5〜10mmであればよい。本実施の形態の試薬チャンバー24の形状は、ディスク本体20の主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形である。また、長辺はディスクの径方向(遠心力Aの発生する方向)と略平行となるように構成されている。これにより、液体試料がより確実に、第一の流路27から試薬チャンバー24に流入する。
上記の略矩形の長辺の長さは、複数個の試薬体30を配列可能であればよい。例えば、半径R0の試薬体30をn(n≧2)個配列する場合、長辺の長さは2R0×nより大であればよい。なかでも、長辺の長さは、2R0×nに略等しいことで試薬チャンバー24の壁面に試薬体30を密着させることができることから特に好ましい。
また、短辺の長さは、試薬体30を内部に配列することができる寸法であれば特に限定されない。短辺の長さは、例えば0.8〜2.0mmであればよく、このとき、後述する試薬体30の直径に略等しいことが好ましい。成型した短辺の長さが試薬体30の径に略等しいことで、試薬チャンバー24の壁面に試薬体30を密着させることができる。これによって、例えば試薬チャンバー24と試薬体30との間には、より確実に毛細管力を作用させることができる。このとき、試薬チャンバー24に流入した液体試料は、試薬体30のうちの、少なくとも試薬チャンバー24の壁面と接する部分を確実に溶解する。ここで、後述の第二の流路28が屈曲した構造を有するため、液体試料は、測定チャンバー25に流入することなく、試薬チャンバー24のうちの、ディスクの主面の外周側に滞留する。試薬体30は、試薬チャンバー24と接触していた部分が溶解しているため、遠心力によってディスクの外周側に滞留している液体試料に接触し溶解する。
試薬チャンバー24には、例えば、4個の略半球状の試薬体30を配列する。試薬体30の径は、例えば0.7〜2.0mmであることが好ましい。このとき、試薬体30の体積は0.1μl〜2.0μlとなる。これにより、試薬体30の形成が容易となり、試薬チャンバー24へ配列し易いことから好ましい。試薬チャンバー24は、ディスク本体20の回転による遠心力Aおよび第1の流路27に生じる毛細管力によって、液体試料貯留部23から第1の流路27を介して液体試料が供給されるように構成されている。
測定チャンバー25は第2の流路28を介して試薬チャンバー24に接続されている。第2の流路28は、例えば、屈曲した構造を有することが好ましい。これにより、液体試料は、試薬チャンバー24のうちのディスクの主面の外周側に滞留する。また、第2の流路28の幅は、例えば、0.2〜1.0mmであることが好ましい。これにより、混合試料液を、測定チャンバー25により確実に供給することができ、かつ測定チャンバー25から試薬チャンバー24への混合試料液の逆流を抑制できる。測定チャンバー25には、ディスク本体20の回転による遠心力および第2の流路28に生じる毛細管力によって、試薬チャンバー24で混合された液体試料と試薬体30とを含む混合試料液が供給される。測定チャンバー25で、例えば、光学的検出部(図示せず)によって混合試料液の化学反応の検出が行われる。
また、測定チャンバー25は第3の流路29を介して試薬チャンバー24に接続されている。第3の流路29は、液体試料および混合試料液の流通を円滑にするための穴29aを有する。
試薬体30を構成する試薬は、本発明を実施できる範囲において、測定を行う液体試料の種類と、測定の種類によって、適宜選択することができる。例えば、血液に含まれる血漿中のトリグルセリド濃度を測定する場合には、例えば、シクロヘキシルアミノエタンスルフォン酸(CHES)、ジアホラーゼ、テトラゾリウム塩(WST−9)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、リポ蛋白リパーゼおよびグリセロールデヒドロゲナーゼのうちの少なくとも一種を用いればよい。これらは、全て単一の試薬を含む試薬体30として用いてもよい。単一の試薬を含む試薬体30を用いることが、保存特性の観点等から問題ない場合、試薬複数種を含む単一の試薬体30を用いることもできる。
また、ディスク本体20は上基板(後述する図3の31)、スペーサ(同、32)および下基板(同、33)から構成されている。ディスク本体20が、上記の試料混合部21をディスク内部に有する場合、液体試料貯留部23、試薬チャンバー24、および測定チャンバー25は、それぞれ空間部34a、34b、および34cからなる。空間部34a、34b、および34cは、上基板31と、スペーサ32と、下基板33とで構成されている。
図3は試薬チャンバー24の要部の断面図(図2のA−A方向矢視断面図)である。また、図4は、図3に示す試薬チャンバー24の要部をディスク本体20の主面の法線方向において分解した図である。図3および図4において、上基板31は、試薬チャンバー24の側壁の一部と上面とを構成する凹部31aを有する。上基板31には、例えば、ポリカーボネートを含む、0.5〜1mmの厚さのものを用いることができる。凹部31aの曲率半径は、試薬体30の形状と略等しくなることが好ましい。これにより、試薬体30は、より確実に試薬チャンバー24によって固定され、試薬体30の変形や破損を抑制できる。そのような曲率半径としては、例えば、0.4〜1.0mmであればよい。
スペーサ32は、試薬チャンバー24の側壁の一部に相当する切り抜き部32aを有する。スペーサ32には、例えば、ポリエチレンテレフタレートを含む、50〜200μmの厚さのものを用いることができる。
また、下基板33は試薬チャンバー24の底面となる。下基板33には、例えば、ポリカーボネートを含む、0.5〜5.0mmの厚さのものを用いることができる。
また、試薬チャンバー24の高さH(ディスク主面の法線方向と略平行な辺の長さ)は、試薬体30(半径R0)を内部に配列することができる寸法であれば、特に限定されないが、試薬体30の高さ(半径R0)に略等しいか、またはR0より小さいことが好ましい。なかでも、試薬チャンバー24の高さHと、試薬体30の半径R0とが、関係式0.7R0≦H≦R0を満たすことが好ましい。
試薬チャンバー24の高さHが、試薬体30の半径R0より小さい場合、試薬チャンバー24を形成する際に、試薬体30は試薬チャンバー24の内壁に押圧され、試薬体30の高さR0は、R1となる。これにより、試薬体30は試薬チャンバー24内で固定される。このとき、R1は、試薬チャンバー24の高さHと略等しくなっている。
また、試薬チャンバー24の高さHが、試薬体30の半径R0と略等しい場合、試薬体30は凹部31a、切り抜き部32aおよび下基板33と密着するような形状を有することが好ましい。これにより、試薬体30は試薬チャンバー24内で固定され、割れや欠けが起こりにくくなる。
次に、ディスク本体20の構成の具体的な一例を挙げて説明する。上基板31および下基板33には、例えば、ポリカーボネート製の板材を用いることができる。上基板31には、例えば厚さ0.6mmのものを用いる。また、下基板33には、例えば厚さ0.6mmのものを用いる。上基板31および下基板33の間には、スペーサ32を介在させる。スペーサ32には、例えば、ポリエチレンテレフタレート製の板材を用いることができる。スペーサ32の厚さは、例えば、100μmのものを用いる。スペーサ32の両面には、粘着剤が塗布されている。
上基板31の一方の面には液体試料貯留部23、試薬チャンバー24、測定チャンバー25、第1の流路27、第2の流路28および第3の流路29の一部が形成されている。試薬チャンバーを形成する凹部31aは、例えば曲率半径0.75mmの曲面であり、ディスク本体20の主面の法線方向に略平行な方向の寸法は、例えば0.6mmである。
下基板33のうちの試薬チャンバー24が形成される部分に、例えば、4個の試薬体30を、試薬体30の球面と凹部31aとが接するように配列する。このとき、それぞれの試薬体30が密着するように配列する。試薬体30は、例えば、体積1.0μlの略半球状のものを用いる。試薬体30の直径は、体積1.0μlの略半球の場合、約1.56mmである。また、液体試料貯留部23は、少なくとも試薬体30と同じ体積、すなわち1.0μlの液体試料が入るように寸法を規定する。例えば、高さ0.3mm、底面積3.5mm2とすればよい。(体積1.05μl)であるので、この条件に適う。しかし、実際には液体試料貯留部23から第一の流路27を介して試薬チャンバー24に供給されるまでに、液体試料貯留部23および第一の流路27の内壁に吸着、残留する。すなわち、試薬チャンバー24に供給される液体試料は、液体試料貯留部23に供給される量より小さくなる。そのため、液体試料貯留部23の容積は1.0μlより大きいことが好ましい。例えば、高さ0.3mm、底面積4mm2(体積1.2μl)とすることで、試薬チャンバー24に十分な量の液体試料を供給することができる。
上記の上基板31と、下基板33とを、厚さ100μmのスペーサ32を間に介在させて、貼り合わせる。これにより、液体試料貯留部23、試薬チャンバー24、測定チャンバー25、第1の流路27、第2の流路28、および第3の流路29が形成される。このとき、試薬体30は、試薬チャンバー24内で固定される。この試薬チャンバー24は、ディスク本体20の主面の法線方向から見て、長辺および短辺を有する略矩形である。長辺は、ディスク本体20の径方向と略平行となるように構成されている。長辺の長さは、例えば7mmであり、短辺の長さは、例えば1.56mmである。また、上基板31、スペーサ32、および下基板33を貼り合わせることで、試薬チャンバー24(空間部34b)の高さHは約0.7mmとなる。
ここで、試薬体30の製造方法は、液体試料によって溶解させる際に、反応に必要な試薬量を試薬チャンバー24に配列できるような試薬体30を得られる製造方法であれば特に限定されない。例えば、試薬体30を構成する試薬の粉体を所定の形状の鋳型に封入して、圧縮することで得られる。また、試薬体30を構成する試薬を含む水溶液を基板等に滴下し、任意の直径に制御して凍結乾燥を行うことでも得られる。この場合、凍結乾燥粉を所定の形状の鋳型に入れて成型してもよい。また、適度に撥水性を有する基板、すなわち、テフロン(登録商標)板や、フッ素系あるいはシリコン系撥水剤で処理した樹脂や金属の板材に試薬体30を構成する試薬を含む水溶液を滴下し、凍結乾燥して略半球状の試薬体30を得ることもできる。
なかでも、試薬体は、凍結乾燥顆粒であることが好ましい。凍結乾燥顆粒は、試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下し、形成することが好ましい。これにより、試薬体の表面積を制御することができる。よって、液体試料に対して、試薬体をより溶解し易くすることができる。また、滑らかな表面、等しい形状および粒の揃った寸法を有する試薬体を得ることができる。
以下、試薬体の好適な形態である凍結乾燥顆粒を得る好ましい一実施の形態について説明する。少なくとも1種の試薬体を構成する試薬を含む水溶液から、試薬体である凍結乾燥顆粒を得る方法は、(A)試薬体を構成する試薬を含む水溶液を、撥水処理された表面を有する基板上に滴下する工程、(B)基板上に滴下された試薬体を構成する試薬を含む水溶液を凍結する工程、および(C)試薬体を構成する試薬を含む水溶液の凍結物を、減圧環境下で加熱することによって水分子を昇華させて乾燥し、試薬体である凍結乾燥顆粒を得る工程、を含むことが好ましい。
本形態では、試薬体を構成する試薬を含む水溶液を、表面を撥水処理した基板に液滴を吐出機やピペットで滴下し、均一な大きさの液滴を得る。そして、この液滴を凍結させ、更に減圧条件下で凍結乾燥させる。撥水処理された表面は、球状の一部の形状を有する凹部を有し、当該凹部内で上記の工程(A)〜(C)を行うことで、基板に滴下された試薬溶液の液滴がそれぞれの凹部に配列される。すなわち、形状が揃った試薬溶液の液滴を、基板上に配列することができる。これを凍結乾燥することで形状が揃った複数の試薬体を、容易に形成することができるため好ましい。
[工程(A)]
また、試薬体を構成する試薬を含む水溶液の濃度などについては、本発明の効果を損なわない凍結乾燥顆粒が得られる範囲において、適宜調整することが可能である。例えば、WST−9(分子量629.6)を用いる場合は、100mM程度の水溶液を用いることが好ましい。
試薬体を構成する試薬を含む水溶液の液滴と基板との接触角は、75°以上であることで、滴下した試薬溶液が、凍結前に基板表面に拡散するのを抑制できるため好ましい。これにより、試薬溶液を含む略半球状の凍結固体が得られる。これを凍結乾燥することにより、略半球状の試薬体を得ることが容易になる。接触角は、150°以上であることで、試薬体の形状をより容易に制御できるため、さらに好ましい。基板には、例えば、撥水性の表面を有するポリテトラフルオロエチレン(PET)製基板などを用いることができる。また、親水性を有する基板の表面を、撥水処理剤で撥水処理して用いてもよい。かかる撥水処理剤としては、撥水効果が非常に高く、かつ、試薬体を構成する試薬を含む水溶液によって変性したり溶解したりすることが無いようなコーティング剤を用いることが好ましい。
すなわち、撥水処理された表面は、フッ素樹脂系コーティングで形成されていることが好ましい。また、撥水処理された表面は、シリコーン樹脂系コーティングで形成されていてもよい。これらのコーティング剤には、純水に対する接触角が100°以上、なかには150°以上の接触角を示すものもある。さらに、これらのコーティング剤のなかには、界面活性剤を含む水溶液に対しても、かなり大きな接触角を示すものが存在する。このようなコーティング剤で表面処理した基板の場合、界面活性剤を含む水溶液であっても基板上を拡散しにくい。
ただし、基板の撥水性が余りに大きすぎる場合には、試薬体を構成する試薬を含む水溶液が基板に吸着されずに吐出機やピペットから滴下しにくいことがある。これを抑制するには、例えば、吐出機やピペットの先端も撥水処理することが挙げられる。また、吐出機やピペットからの吐出時間を短くし、液滴を飛ばして基板に叩きつけることにより、基板に対して液滴を容易に付着させることができる。
さらに、確実かつ容易に基板に液滴を付着させるために、撥水処理をされる基板として、親水性の素材を選び、撥水処理をされた表面の一部からコーティング剤を剥ぎ取ることが好ましい。これにより、液滴の吸着を誘発することができる。コーティング剤を剥ぎ取る広さは、吐出機やピペットの先端への液滴の吸着力よりも、基板が大きな吸着力を示すだけの広さであることが好ましい。すなわち、滴下された液滴の基板への接触部分に出来る円形領域の外側部分がコーティング剤に接触する程度の大きさであることが好ましい。これにより、基板は、液滴に対してコーティング剤の剥ぎ取りをしない場合と同様の接触角を維持することが可能である。例えば、剥ぎ取り部分の直径は、1μlの試薬溶液の液滴の場合、0.3〜0.6mmであればよい。例えば、直径0.3mmのとき、試薬溶液と基板との接触角は約150°となる。また、直径0.6mmのとき、試薬溶液の液滴は、例えば略半球状となる。一方、あまりに広くすると、吸着力が大きくなりすぎるため、液滴の基板への接触角が小さくなる。そのため、結果として球状や半球状の凍結乾燥顆粒を得ることが困難になる場合がある。
例えば、接触角が150°のコーティング剤を用いる場合、滴下された液滴は、略真球状となる。このとき、基板に接触している部分の径は、液滴の直径のほぼ半分になると考えられる。このことは、幾何学的な考察から容易に導き出すことができる。
また、上記の基板の表面においては、撥水処理されていない部分が、撥水処理された部分に囲まれた位置関係で存在するのが好ましい。これにより、試薬溶液の液滴の形状を制御し易くなる。このような基板の撥水処理されていない部分に試薬溶液を滴下すれば、試薬溶液の滴下量と当該撥水処理されていない部部の面積とにより、撥水処理された基板と試薬溶液の接触角より小さい接触角とし、かつ大きな液滴を任意に得ることができる。
このような基板は、例えば以下のようにして得られる。まず、PET製基板などの通常の撥水性(または親水性)の表面を有する基板の表面に撥水処理剤を塗布する。その後、塗布した撥水処理剤の一部を掻きとって、基板の表面を露出させることによって得られる。
これにより、ピペットなどで上記基板の表面に試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下する際、当該水溶液が上記ピペットの先端から基板の表面に移り易くなる。すなわち、撥水性の大きな部分と撥水性の小さな部分とを形成することによって、撥水性の大きな部分と、小さな部分との間にアンカー効果を持たせることができる。そのため、液滴をより確実に基板の表面に保持することができる。
[工程(B)]
上記工程(A)につづいて、上記基板上に滴下された試薬体を構成する試薬を含む水溶液を凍結する。その後、凍結乾燥(工程(C))を行う前、または行った後に、上記水溶液の凍結物を基板から剥離することが好ましい。これにより、剥離時に試薬溶液の凍結体または試薬体を破損することなく、所定の形状の試薬溶液の凍結体または試薬体を得られるため好ましい。
[工程(C)]
凍結乾燥の条件は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整することができる。例えば、以下のように調整することができる。例えば、613Pa(4.6Torr)の気圧環境下において、水は0℃で沸騰する。すなわち、純水であれば0℃、4.6Torrの気圧にすれば昇華する。そして、気圧をさらに下げると昇華を始める温度もさらに下がる。例えばマイナス40℃まで温度を下げると、0.1Torr以下の気圧で昇華が起こる。気圧を0.1Torrにして、マイナス40℃から徐々に温度を上げていくとどんどん昇華が盛んになる。こうして凍結した試薬体を構成する試薬を含む水溶液から、凍結した状態のままで水分のみが昇華し、ついにはほとんど水分が含まれなくなる。これにより、試薬体を構成する試薬のみが、固体化して基板上に保持される。
しかし、実際には、昇華が始まると、凍結した試薬体を構成する試薬を含む溶液の近傍に、水蒸気が滞留する。これにより、その近傍の局所的な気圧(水蒸気圧)が上がってしまい、昇華の効率は悪化してしまう。そこで、実質的に昇華を迅速に進めるためには、(1)温度を上げて、より高い気圧でも昇華がすすむように温度を上げることと、(2)試薬体を構成する試薬を含む水溶液まわりの水蒸気を迅速に除去して気圧上昇を抑制することが肝要となる。
上記(1)のため、徐々に気温を上げていき、最終的には温度を20〜30℃程度にする。昇華時に潜熱が奪われるため、外部の温度が上がっても、温度上昇をあまり急激にしないなら、凍結している試薬体を構成する試薬を含む水溶液は溶解しない。
上記(2)のため、凍結乾燥機には、「トラップ装置」を設けることが好ましい。トラップ装置は、凍結乾燥するための庫内の最低温度よりさらに低い温度に設定され、周囲の水蒸気を凍結、捕集する機能を有する。トラップ装置と凍結乾燥するための庫内とは連通しており、ガスが行き来できる。このトラップ装置で水蒸気が捕集され、水蒸気圧が低下するため、凍結した試薬体を構成する試薬を含む水溶液近傍の水蒸気圧もどんどん下がる。
凍結温度を0℃未満、気圧を4.6Torr未満にした状態であれば、凍結乾燥を行うことが可能である。ここで、実際には試薬体を構成する試薬を含む水溶液のモル凝固点降下のため、マイナス20℃程度でも部分的に凍結しない場合がある。また、開始時の気圧を4.6Torrに設定した場合、少しでも昇華が生じると、水蒸気によって昇華可能な気圧を超えてしまい、効率が悪化してしまうことがあるため、さらに低圧にすることが好ましい。
したがって、本形態においては、マイナス40℃以下、気圧0.1Torr以下から凍結乾燥を開始し、気圧をそのまま保って、温度を徐々に上げていくのが好ましい。本発明者らは、実験から、試薬体を構成する試薬を含む水溶液の体積が100μl以下の場合、気圧を0.1Torr以下に保ちつつ約4時間以上かけて常温(例えば25〜40℃、さらには25〜30℃)まで温度を上げ、そのまま約4時間以上乾燥させると、均質な凍結乾燥顆粒を得られることを確認した。なお、加熱後の温度は、常温付近(20〜40℃)であるのが好ましい。温度が低すぎると水分昇華に時間がかかりすぎるため好ましくない。一方、温度が高すぎると凍結乾燥顆粒の変性が懸念されるため好ましくない。
本形態では、試薬体を構成する試薬を含む水溶液の量は、10μl以下にすることが好ましい。これにより、加熱時間および加熱後の温度における乾燥時間は、さらに短縮できる。なお、開始温度からの加熱があまりに急激であると、まだ水分が残った状態で融点を超えてしまい、凍結状態が失われる場合があるので好ましくない。一方、加熱後の放置時間があまりに長いと、残った凍結乾燥顆粒が変性するおそれがあるので好ましくない。
本形態の製造方法は、試薬体を構成する試薬を含む水溶液の液滴の体積が0.1〜10μl程度の場合に用いることがより好ましい。液滴の体積がこの範囲であることで、凍結乾燥後の取り扱いが容易になり、良好な略真球状の液滴が得られる。
また、基板に試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下してから基板を冷却するのではなく、試薬溶液の融点以下に冷却した基板上に試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下することが好ましい。すなわち、工程(A)の前に、基板を上記水溶液の凝固点以下の温度に冷却する工程を含むことが好ましい。これにより、基板に接触した部分がほぼ瞬間的に凍結し、引き続き液滴の表面が凍結する。そのため、当該水溶液が基板上に拡散することなく、非常に良好な真球状の凍結粒子を得ることができる。この状態で凍結乾燥すれば、非常に良好な真球状の凍結乾燥粒子を得ることができる。
この方法を用いる場合、滴下後に基板と液滴の周りを冷却することにより液滴を凍結させる場合と比して更に大きな液滴を得ることも可能である。基板に液滴の一部を接触させ、凍結が開始されたときに、吐出機からの溶液の吐出量を調整しつつ吐出機の先端を引き上げて液滴全体を凍結させることで、液滴の凍結形状の制御が可能であるからである。
しかし、溶液の凍結速度は、基板表面温度、液滴の温度、基板と液滴の周りの温度や湿度などに影響され、同じ条件で滴下してもばらつくことが多い。従って、コーティング剤の効果が比較的得られにくい液体に限定して用いることが好ましい。
また、コーティング剤なしでもこの方法を用いて真球状の凍結乾燥顆粒を得ることは可能であるが、凍結乾燥後に凍結乾燥顆粒を基板から剥ぎ取るときに基板との接触部付近で凍結乾燥顆粒の割れや欠けが生じやすく、また基板への残留が生じやすいので好ましくない。
このような方法で凍結乾燥顆粒を得るためには、試薬体を構成する試薬だけでなく、必要に応じて、凍結乾燥顆粒の外形を保持するための添加剤が必要な場合がある。
添加剤の種類や量は、用途に依存するが、当業者であれば適宜調整することが可能である。例えば、シュクロース等の糖類は、この用途に好適である。
試薬体を構成する試薬を含む水溶液の組成や濃度は、各試薬体の性状に大きく依存する。試薬の組み合わせによっては、反応全体に必要な試薬の組み合わせであっても、混合溶液として上記の方法で凍結乾燥した場合、室内程度の湿度の外気に接触させると迅速に潮解する場合がある。この場合、反応に必要な試薬のうちから、2種以上の好適な組み合わせの試薬群を選択して凍結乾燥顆粒を形成することで、潮解を回避することも可能である。また、反応全体に必要な試薬の組み合わせであっても、混合溶液として非常に不安定な場合にも同様の対応が可能であり、このようにすることで試薬体の保存安定性が向上する。
次に、上記の試料液分析用ディスクを用いる混合試料液の分析方法について説明する。
まず、試薬チャンバー24において液体試料と試薬体30とが混合されるメカニズムを説明する。
試薬体30の溶解性や、試薬体30の作製時に用いる試薬溶液の安定性等の観点から、試薬体30の試薬密度(単位体積あたりの試薬量)は、試薬溶液中での試薬濃度と略同じか、またはそれ以下にすることが望ましい。試薬体30同士の混合による安定性の低下を避けるために、別々の試薬体30として形成して、反応時に混合されることが求められる試薬もあるので、1つの試薬チャンバー24には複数の試薬体30を配列する。
次いで、供給口26から試薬体30の1個分の体積に相当する液体試料を液体試料貯留部23に供給する。ディスク本体20をモータ(図示せず)によって回転させると、ディスク本体20の回転による遠心力と第1の流路27の毛細管力により、液体試料貯留部23の液体試料が試薬チャンバー24に流入する。この際、液体試料が試薬体30の周囲に確実に接触し、少なくとも試薬体30の外周部を溶解する。
また、このとき、液体試料の量は試薬体30の1個分の体積にしか相当しないので、試薬チャンバー24に液体試料が全て流入しても、遠心力方向Xに直列に配列された試薬体30のうちの遠心力方向Xに一番外側の試薬体のみ全没する。
したがって、液体試料の流入時に溶解しなかった試薬体30は、そのままでは溶け残り続ける。ここで、試薬体30は試薬チャンバー24を塞ぐように配列されるので、液体試料はディスク本体20の円周側に貯留する。試薬体30の外周の溶解と、遠心力の作用とにより、溶け残った試薬体30はディスク本体20の円周側に貯留している液体試料に没し、液体試料中に溶解する。
このとき、混合試料液面と溶け残った試薬体30の間において、ゲル状になった一部の試薬体30が、試薬チャンバー24の内壁に残留する。そして、ゲル状になった一部の試薬体30に含まれる混合試料液が、毛細管力によって液体試料に接触していない部分に到達し、溶解が始まる。さらに、ゲル状になった試薬体30も徐々に溶解が進み、最後には全ての試薬体30が液体試料に没して溶解し、混合試料液となる。
これにより、液体試料と試薬体との溶解、反応時間を短縮することができる。よって、試料液の化学反応をより正確に検出することができる。
混合試料液は、毛細管力と遠心力の作用とによって第2の流路28を介して試薬チャンバー24から測定チャンバー25に供給される。測定チャンバー25に供給された混合試料液の化学反応は、光学的に検出することが好ましい。例えば、混合試料液の透過光量または吸光度の変化を検出することにより、混合試料液の化学反応をより高精度に検出することができる。
次に、具体的な分析方法として、血漿中のトリグルセリド(中性脂質、以下TGと記す)濃度を測定する場合について説明する。
試薬体30には、反応に必要な試薬群を水またはpH緩衝液に溶解させた溶液を、凍結乾燥することで得られる凍結乾燥顆粒を用いる。TGを検出するために用いる試薬は、全ての試薬を1つの試薬体30とすると、各試薬同士の相互作用による変性が発生するおそれがある。そこで、本実施の形態では、試薬を4つの群に分割し、それぞれの試薬を含む試薬体30を用いる。この4種類に分割した試薬体30を1個の試薬チャンバー24に配置する。
上記のように、試薬チャンバー24において混合される混合試料液は、測定チャンバー25に供給される。そして、測定チャンバー25において、TGの化学反応に依存する、試薬体30に含まれる色素の特定波長の吸光度変化を検出する。
したがって、上述したように、測定チャンバー25の底面および上面は平滑であり、かつ光学的に波長に対して略透明であることが求められる。測定チャンバー25の深さは、透過光測定時の光路長に相当するので、測定時に混合試料液の透過光量または吸光度が適切になるように適切に設定する必要がある。後述する試薬体30の構成の場合、例えば、200μmとするのが好ましい。
血漿中のTG濃度を測定するためには、以下の反応機構を用いる。
(1)TG→グリセロール(酵素:リポ蛋白リパーゼ)
(2)グリセロール+NAD→ジヒドロキシアセトン+NADH(酵素:グルセロールデヒドロゲナーゼ)
(3)NADH+WST−9→NAD+ホルマザン(酵素:ジアホラーゼ)
上記の式(3)中のホルマザンの生成による波長650nmの透過光に対する吸光度が濃度に対応する変化量を測定し、TGから生成したグリセロール濃度を算出する。
ここで、血漿には微量のグリセロールが含まれている。そのため、より正確にTG濃度を測定する場合には、反応式(2)、(3)のみを用いた測定系でグリセロール濃度を測定し、相殺することで、TG濃度を求めることが望ましい。
また、反応にはpHを調整するための緩衝剤としてCHESというpH緩衝剤を用いる。なお、上記の式(2)、(3)中の略語NADはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化型であり、NADHは同還元型である。WST−9は「水溶性テトラゾリウム−9」の英語の頭文字をとった略称で、(株)同仁化学研究所より入手できるテトラゾリウム塩の1種である。ジアホラーゼはNADHのNADへの酸化反応とそれに共役する還元反応を触媒する酵素である。
試薬体30にはpH緩衝剤であるCHES、ジアホラーゼ、WST−9とNADとの混合物、およびリポ蛋白リパーゼとグリセロールデヒドロゲナーゼとの混合物の4種類を用いる。
各々の試薬体30は、例えば、体積1μlの略半球のものを用い、試薬チャンバー24にそれぞれが接するように直列に4個配列する。
試薬チャンバー24には、ディスク本体20の中心から上記の順番に試薬体30を配列することが好ましい。このように、溶解性の違いを考慮した順番に配列することで、より確実に試薬体30を液体試料に溶解させることができる。
上記の試薬体30を含むディスク本体20の液体試料貯留部23に、標準血清または標準血清を生理食塩水で希釈した液体試料を供給する。その後、ディスクを回転させ、測定装置によって混合試料液の吸光度を測定した。その結果、試薬体30は完全に溶解し、混合試料液のTG濃度に依存する吸光度変化を観測することができた。図5にその結果を示す。
[実施の形態2]
本実施の形態は、試料混合部の形状、特に試薬チャンバーの形状の異なる試料液分析用ディスクである。図6は、本発明の実施の形態2に示す試料混合部22を、ディスク本体20の主面の法線方向から見た拡大概略図である。実施の形態1と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
本実施の形態では、試薬チャンバー40はディスク本体20の径方向と略垂直な方向に試薬体30を配列するように構成されている。
図7は試薬チャンバー40の要部の断面図(図6のA−A方向矢視断面図)である。また、図8は、図7に示す試薬チャンバー40の要部をディスク本体20の主面の法線方向において分解した図である。図7に示すように、試薬チャンバー40(空間部44)は上基板41、スペーサ42および下基板43によって構成されている。
上基板41は試薬チャンバー40の空間部44を構成する内壁の一部(上面および側壁の一部)を構成する凹部41aを有する。また、スペーサ42は試薬チャンバー40の側壁の一部を構成する切り抜き部42aを有する。下基板43は試薬チャンバー40の底面となる。上基板41、スペーサ42、および下基板43には、それぞれ実施の形態1と同様の材料を用いることができる。
本実施の形態の試薬チャンバー40は、ディスク本体20の主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形である。また、長辺は、ディスク本体20の径方向(遠心力Aの発生する方向)と略垂直となるように構成されている。
上記の略矩形の長辺の長さは、試薬体30を試薬チャンバー40内部に配列可能であればよい。例えば、半径R0の試薬体30をn個配列する場合、長辺の長さは2R0×nより大であればよい。なかでも、長辺の長さは、2R0×nに略等しいことで、流入した液体試料が、ディスク本体20の主面の外周側に貯留するときの、径方向における液体試料の水位を、本構成で許容される範囲内で最大にできる。これにより、液体試料が試薬チャンバー40に供給される際、試薬体30が液体試料に没する部分を大きくできるので特に好ましい。試薬チャンバー40の短辺の長さは、試薬体30を内部に配列することができる寸法であれば特に限定されない。短辺の長さは、例えば、2〜10mmであればよい。
また、試薬チャンバー40の高さ(ディスク本体20の主面の法線方向と略平行な辺の長さ)も、試薬体30を内部に配列することができる寸法であれば特に限定されないが、試薬体30の高さ(半径R0)に略等しいか、またはR0小さいことが好ましい。なかでも、試薬チャンバー40の高さHと、試薬体30の半径とが、関係式0.7≦H≦R0を満たすことが好ましい。
試薬チャンバー40の高さHが、試薬体30の高さR0より小さい場合、実施の形態1の場合と同様に、試薬体30は試薬チャンバー40の内壁に押圧され、試薬体30の高さR0は、R1となる。これにより、試薬体30は試薬チャンバー40内で固定される。このとき、R1は、試薬チャンバー40の高さHと略等しくなっている。
また、試薬チャンバー40の高さHが、試薬体30の半径R0と略等しい場合、試薬体30は、凹部41a、切り抜き部42aおよび下基板43と密着するような形状を有することが好ましい。これにより、試薬体30は、試薬チャンバー40内で固定され、割れや欠けが起こりにくくなる。
次に、試料混合部22の構成の具体的な一例をあげて説明する。上基板41の一方の面には液体試料貯留部23、試薬チャンバー40、測定チャンバー25、第1の流路27、第2の流路28および第3の流路29の一部が形成されている。試薬チャンバー40を形成する凹部41aは、例えば、曲率半径0.75mmの曲面であり、ディスク本体20の主面の法線方向に略平行な寸法は、例えば0.6mmである。
下基板43のうちの、試薬チャンバー40が形成される部分に実施の形態1と同様の試薬体30を4個配列する。このとき、4個の試薬体30は、試薬体30の球面と凹部41aとが接するように配列する。なお、試薬体30は、密着するように配列する。これにより、試薬体30と試薬チャンバー40の壁面との間により確実に毛細管力が作用する。すなわち、試薬チャンバー40の壁面と試薬体30との間に確実に試料液が浸透するため、試薬体30がより確実に溶解する。
また、試薬チャンバー40の上面のうちの、ディスクの中心側(試薬体30が接触しない部分)は平面でも構わない。また、この部分には、液体試料貯留部23からの流入部分との段差があればよいので、高さを200μmとした。これに100μmのスペーサ42を挟んで上基板41を貼り合わせる。これにより、液体試料貯留部23、試薬チャンバー40、測定チャンバー25、第1の流路27、第2の流路28、および第3の流路29が形成される。このとき、試薬体30は、試薬チャンバー40内で固定される。この試薬チャンバー40は、ディスク本体20の主面の法線方向から見て、長辺および短辺を有する略矩形である。長辺は、ディスク本体20の径方向と略垂直となるように構成されている。長辺の長さは、例えば、6.25mmであり、短辺の長さは、例えば3mmである。また、上基板31、スペーサ32、および下基板33を貼り合わせることで、試薬チャンバー40(空間部44)の高さHは約0.7mmとなる。それ以外の部分は0.3mmになる。
次に、混合試料液の分析方法を説明する。
液体試料供給口26から試薬体30の1個分の体積に相当する液体試料を液体試料貯留部23に供給する。ディスク本体20をモータ(図示せず)によって回転させると、ディスク本体20の回転による遠心力と第1の流路27の毛細管力により、液体試料貯留部23に液体試料が試薬チャンバー40に流入する。
このとき、全ての試薬体30の試薬チャンバー40の長辺部分に近い部分が液体試料に確実に没し、少なくともこの試薬体30の一部を溶解する。また、実施の形態1で説明したように、液体試薬中での試薬濃度と略同じ水準以下にすることで、1つの試薬チャンバー40に複数個の試薬体30を配列する場合において、試薬チャンバー40に液体試料が全て流入しても、流入直後には試薬体30は液体試料に全没しない。
したがって、試薬体30の液体試料の流入時に溶解しなかった部分は、そのままでは溶け残り続ける。図7に示すように試薬体30は凹部41aに接して試薬チャンバー40の長辺部分に接して配列されている。試薬チャンバー40に液体試料が供給されると、まず、試薬体30の一部が液体試料で溶解する。そして、溶け残った部分も液体試料に接触し続けるため、毛細管力で溶け残った試薬体30に液体試料が浸透する。溶け残った試薬体30の一部が溶解し、さらに、遠心力の作用により、依然溶け残っている試薬体30も、試薬チャンバー40の遠心力方向の外側に貯留している液体試料中に没し、結果的に液体試料に溶解する。そして、最終的に全ての試薬体30が液体試料に没して溶解する。
試薬体30と液体試薬とが混合された混合試料液は、遠心力と毛細管力とによって第3の流路29から測定チャンバー25に供給され、測定チャンバー25によって光学的手段によって測定される。
なお、上記各実施の形態では、測定チャンバー25は光学測定用に混合試料液を貯留するものであるが、試薬チャンバー40にさらに試薬チャンバーを接続することで、より多数の試薬体30を要する測定系に用いることもできる。このようなチャンバーの構成は、測定系の試薬構成に最適な形態を適宜選んで用いることが可能である。
本実施の形態の試料液分析用ディスクを用いて、実施の形態1と同様の条件で血漿のTG濃度を測定した。その結果、試薬体30は完全に溶解し、混合試料液中のTG濃度に依存した吸光度変化を検出することができた。
このように本実施の形態では、ディスク本体20に液体試料貯留部23、試薬チャンバー40および測定チャンバー25を設け、試薬チャンバー40を、遠心力方向Xと直交し、試薬体30が配列される方向を遠心力方向Xよりも長く延在し、遠心力方向Xと略平行する方向の幅が試薬体30の幅より大きく、深さが試薬体30の高さに略等しくなるような形状に形成し、液体試料貯留部23から試薬チャンバー40に試薬体30の1個分に相当する量の液体試料を供給し、ディスク本体20を回転させることにより、試薬チャンバー40で液体試料と試薬体30を混合させ、混合試料液を測定チャンバー25に供給するようにしたので、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、上記の実施の形態1および2では、色素であるWST−9の吸光度変化を検出し、血漿のTG濃度を測定する例を示した。本発明は、上記のほかにも、例えば、WST−9に代えて、フェリシアン化カリウムを含む試薬体を用いた測定等に好適に用いることができる。この測定では、試料液分析用ディスクの測定チャンバー25内に、少なくとも対極の役割と作用極の役割とを有する電極を設ける。さらに、ディスク本体20に、上述した電極にディスク本体20の外部から電気的に接触させるための端子を設ける。このような試料液分析用ディスクを用いて、例えば、フェリシアン化物イオンが還元することにより生成されるフェロシアン化物イオンに対して、当該電極間に電圧を印加して、再度酸化させる際に生じる電流値を測定することにより、TG濃度を測定することができる。
血漿中のグリセロール血漿中のグリセロールの酸化によってフェリシアン化物イオンが還元されて生じるこの場合には、フェリシアン化カリウムのかわりに、NADHとの間で電子授受が可能なレドックス化合物等を任意に用いることができる。レドックス化合物は、グリセロールとNADの間の酸化還元反応が可能な反応条件下において、NADの還元により生成したNADHとの電子授受が可能なものであれば特に限定されない。例えば、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムサルフェート(1−Methoxy−5−methylphnazinium sulfate)、 メルドラブルー、1.2−ナフトキノン−4−スルホン酸(1.2−Naphtoquinone−4−sulfonate)等が挙げられる。
また、血漿に含まれるTG以外にも、目的の成分を得るための化学反応により生じる変化を、光学的または電気化学的に検出可能な反応系を有する場合には、任意の測定対象について本発明を用いることが可能である。
試薬体30の形状は略半球状に限らず、球形、円柱形または多面体であってもよい。また、試薬体30は、反応性に影響を与えない範囲で糖や蛋白等を含むことで、物理的な強度が向上する。試薬体30を構成する試薬は、一種または複数種のどちらであってもよい。
また、上基板と下基板とスペーサとで構成されている上記実施の形態の試料液分析用ディスク中の各チャンバーは、別の部材で構成して、ディスク状部材上に搭載してもよく、また、各チャンバーが上基板と下基板とスペーサとで構成されているとともに、ディスクそのものが上基板と下基板とスペーサとで構成されていてもよい。また、上基板と下基板とスペーサとで構成されているチャンバーは、ディスクに内蔵されていてもよいし、ディスク上に搭載されていてもよい。なお、図1および2においては、各チャンバーは上基板と下基板とスペーサとで構成されており、ディスクに内蔵されている。
本発明は、ディスク本体の内部に供給された液体試料と、ディスク本体の内部に配列された試薬体とを混合して作用させ、その混合試料液の化学反応を検出することにより、血液等の試料の分析を行うための試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法等として有用である。
本発明は、ディスク本体の内部に供給される液体試料と、ディスク本体の内部に配列される試薬体とを混合して、得られた混合試料液の化学反応を検出することにより、試料の分析を行うための試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法に関する。
近年、分析・解析・検査技術の進歩により、様々な物質を測定することが可能となってきている。特に、臨床検査分野においては、生化学反応、酵素反応、若しくは、免疫反応等の特異反応に基づく測定原理の開発により、病態に反映する体液中の物質を測定できるようになった。
なかでも、ポイント・オブ・ケアテスティング(POCT)が注目されている。POCTは、簡易で迅速な測定を第一とし、検体を採取してから検査結果が出るまでの時間の短縮を目的としている。そのため、POCTには、簡易な測定原理が必要である。また、小型で携帯し易く、かつ操作し易い測定装置が求められている。
近時のPOCT対応測定機器においては、簡易測定原理が構築されてきている。それに伴い、生体成分の固相化技術、センサデバイス化技術、センサシステム化技術、微細加工技術、およびマイクロ流体制御技術も進歩している。そのため、実用性の高い測定機器が提供されるようになってきている。
このようなPOCT対応測定機器として、例えば、特許文献1ではディスク上に供給した試料の定性・定量分析を行う装置が提案されている。特許文献1の測定装置について、図を参照しながら説明する。図9は、分析用ディスク内のチャンバーの一部の概略断面図である。ディスク1には試料注入孔2および試料注入孔2に連通する流路3が設けられている。流路3には、試料5と反応して光学特性(透過率・色等)が変化する試薬4が塗布されている。試料5を、試料注入孔2からディスク1内に注入して分析が行われる。
図10は上記のディスク1を用いた分析装置の一部を透明にした概略斜視図である。この分析装置の構成は、所謂光ディスク装置に類似しており、ディスク1を回転させるためのスピンドルモータ6と、ディスク1内に供給されて展開される試料5または試料5と反応した試薬4に光ビームを照射するための光ピックアップ7と、光ピックアップ7をディスク1の半径方向に移動させるための送りモータ8と、を具備する。
分析装置に装着されたディスク1は、スピンドルモータ6により回転する。その遠心力により、試料5がディスク1の流路3内に供給されて展開され、流路3内に塗布された試薬4と反応する。反応後、ディスク1を回転させながら光ピックアップ7より流路3内の試料5または試薬4に光ビームを照射する。光ビームの反射光または透過光を検出することで試薬の反応状態を分析する。
また、特許文献2では、ディスクにおいて、例えば、試薬を塗布する複数のチャンバー間を結ぶ流路を設けることが提案されている。これにより、ディスクに、混合試料液を自由にチャンバー間で移動、停止させる機能を付加することができる。そのため、複数の試薬を順次溶解、反応させることができる。
ここで、図を参照しながら特許文献2が提案するマイクロフルイド装置の構造を有する、試料液分析用ディスクを簡単に説明する。図11は、特許文献2に記載されている技術内容を説明するために、本発明者が作成した図である。図11は、特許文献2で提案されている装置に含まれる、試料液分析ディスクの主面の法線方向から見た場合の当該ディスクの要部を示す概略図である。図11において、屈曲した流路12は、ディスクの遠心力方向Xを基準に見た場合の上流側チャンバー11の下側11aと連結されている。流路12の屈曲部12aは、上流側チャンバー11の遠心力方向Xを基準に見た場合に、上側壁面より上に位置する。屈曲部12a以降の流路12は、遠心力方向Xを基準に見た場合の下方に続いていき、下流側チャンバー13に連結されている。
また、下流側チャンバー13は、流路12と同様に屈曲した流路14によって透過光測定チャンバー15に連結されている。ここで、上流側チャンバー11のディスクの主面の法線方向における深さは、流路12の深さより大である。これにより、流路12内を下流側チャンバー13に向かって毛細管力で移動してきた混合試料液は、流路12が下流側チャンバー13に連結している部分に滞留する。この結果、上流側チャンバー11から下流側チャンバー13に向かう混合試料液を、下流側チャンバー13の直前で停止させることができる。
この状態からディスクを回転させて遠心力を与えることで、停止していた混合試料液は下流側チャンバー13に流入する。ここで、流路12の屈曲部12aは、上記したように上流側チャンバー11の遠心力方向Xを基準に見た場合に、上側壁面より上に位置する。そして、屈曲部12a以降の流路12は、遠心力方向を基準に見た場合の下流に続いている。この構造により、遠心力を加えた際に、上流側チャンバー11に溜まり、流路12の下流側チャンバー13の直前部分まで満たしている混合試料液に、サイフォン効果が働き、流路12を経由して、上流側チャンバー11に溜まった混合試料液のほぼ全量が下流側チャンバー13に流入する。
遠心力が作用している間は、下流側チャンバー13に流入した混合試料液が流路14にも浸入するが、遠心力方向Xを基準に見た場合において、流路14内の液面と、下流側チャンバー13の液面とは同じである。
したがって、上述した流路12と同様に、流路14の屈曲部(図示せず)が下流側チャンバー13の上側側面より上に位置していれば、遠心力が作用している間、次のチャンバー(透過光測定チャンバー15)の直前まで混合試料液が移動することはない。
ディスクの回転を停止させると、遠心力の作用がなくなる。このとき、混合試料液は、流路14から毛細管力で透過光測定チャンバー15の直前まで到達する。その後、再びディスクを回転させると、遠心力を作用させることで透過光測定チャンバー15に混合試料液が流入する。
この状態でディスクの回転(遠心力の作用)を中止すると、透過光測定チャンバー15内の混合試料液が毛細管力により流路14を逆流するおそれがある。逆流すると、透過光測定チャンバー15内の混合試料液の量が不足するため、透過光測定時にもディスクを回転させて、遠心力を作用させる。
各チャンバー11、13および15への混合試料液の流入を円滑にするために、各チャンバー11、13および15の上部(遠心力方向Xを基準に見た場合)のうちの混合試料液が到達し得ない部分に空気穴16、17および18が設けられている。これにより、混合試料液を反応試薬と十分に溶解、反応させることができる。また、混合試料液を円滑に流路内において移動させることができる。
また、混合試料液中の特定成分の測定に必要な反応試薬は、上流側チャンバー11に、例えば乾燥により担持する。この場合、反応に必要な濃度以上の試薬濃度の水溶液を上流側チャンバー11の容積量だけ滴下し、乾燥させるか、上流側チャンバー11の容積量の混合試料液に反応試薬が溶解した際に、反応に必要な試薬濃度となるような量の試薬を与え、かつ上流側チャンバー11内に担持できるような、濃度と滴下量の試薬水溶液を滴下乾燥することで、反応試薬層を形成する。
また、反応試薬の固形化を試薬溶液の凍結乾燥によって行うことで、溶解性を向上させることも提案されている。例えば、特許文献3では、試薬溶液を液体窒素等の冷凍剤中に滴下して、球状の凍結体を得て、これを凍結乾燥して均一な顆粒状の試薬体を得ることが提案されている。
特許文献4では、血液の測定において、血球を遠心分離により除去することで、血液中の血漿成分のみを試薬と反応させることが提案されている。特許文献4記載の装置は、遠心力によって、全血から血漿を分離する機能を有し、遠心分離用ロータ、内部チャンバー、複数の試験用凹部、および通路を有する。遠心分離用ロータに、例えば球状の顆粒状の試薬体を配置することで、迅速な試薬の溶解性、すなわち、良好な反応性を得ることができる。試薬体は、保存性の観点から、凍結乾燥により形成した顆粒状の試薬体を用いることもできる。
この装置は、液体試料を段階的に供給することが可能である。これにより、試薬体と液体試料における、複数の反応を同時ではなく段階的に行う場合や、試薬体を複数種に分ける必要がある場合にも、測定を行うことができる。
WO0026677号公報 特表2002−534096号公報 特許第3187835号公報 米国特許5122284号公報
特許文献2に提案されている装置では、上流側チャンバー11に、試薬溶液の風乾により試薬層が形成されている。しかしながら、このような試薬層では、チャンバーに混合試料液が流入しても、撹拌の効果を得ることができず、試薬層の溶解が十分ではなくなる場合がある。すなわち、測定に必要な化学反応が十分に進行しないおそれがある。また、試薬溶液の風乾によって試薬層を得た場合、試薬層表面が稠密になる。このことも、試薬層の混合試料液への溶解を妨げる要因となる。さらに、試薬溶液の風乾過程では、水分の蒸発により試薬溶液が非常に濃縮される。そのため、試薬層の組成によっては、変性するおそれがある。
また、特許文献4で提案されている装置に、保存特性の観点から混合を避けたい試薬顆粒を複数種用いる場合には、単一の試薬顆粒を用いる場合に比べて、各々の試薬顆粒の体積を、試薬顆粒を溶解させるための試料液量より相対的に少なくしなければならない。
例えば、2個の試薬顆粒を同時に溶解させて反応させるためには、各々の試薬顆粒の体積は、混合試料液量の2分の1以下にしなければならない。そのため、試薬顆粒の密度が大きくなり、試薬顆粒の溶解性が低下することがある。また、試薬顆粒を1個ずつ別々のチャンバーに配置し、混合試料液が順次試薬顆粒を溶解していくようにチャンバーを結ぶ通路を設けることも考えられる。しかし、チャンバーを複数配置することで、測定の工程が増えるため、全体の測定時間が長くなってしまう。
以上のような従来技術に鑑み、本発明は、液体試料に対して試薬体を迅速かつ正確に溶解、反応させることができ、混合試料液の反応の検出を正確に行うことができる試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法を提供することを目的とする。
本発明は、液体試料と試薬体との化学反応を検出することにより、前記液体試料と前記試薬体とを含む混合試料液の分析を行うための試料液分析用ディスクであって、ディスク本体と、前記ディスク本体に設けられた1個以上の試料混合部と、を具備し、前記試料混合部は、前記液体試料を貯留するための液体試料貯留部と;前記液体試料貯留部に第1の流路を介して接続され、内部に前記試薬体複数個が配列可能に構成され、かつ少なくとも前記ディスク本体の回転による遠心力によって、前記液体試料貯留部から前記第1の流路を介して前記液体試料が供給される試薬チャンバーと;前記試薬チャンバーに第2の流路を介して接続され、かつ前記ディスク本体の回転による遠心力および前記第2の流路に生じる毛細管力によって、前記試薬チャンバーで混合された前記液体試料と前記試薬体とを含む前記混合試料液が供給される測定チャンバーと;を備え、前記試薬チャンバーは、前記遠心力の発生する前記ディスクの径方向と略平行な方向または前記径方向と略垂直な方向に前記試薬体複数個が配列可能な形状を有することを特徴とする。
本発明における「試薬体」とは、反応に必要な試薬を固形化したものである。試薬体の形状は、反応に必要な試薬量を試薬チャンバーに配列できるような形状であれば、特に限定されない。例えば、半球状、球状、円柱、多面体のいずれであってもよい。また、試薬体の製造方法は、上記のような試薬体を得られる製造方法であれば、特に限定されない。例えば、試薬体を構成する試薬の粉体を、所定の形状の鋳型に封入して、圧縮することで得られる。また、試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下し、任意の試薬体の直径に制御して凍結乾燥を行うことでも得ることができる。
これにより、ディスク本体に作用する遠心力と試薬チャンバー内の毛細管力とによって、液体試料と試薬体とがより確実に混合される。そのため、各々の試薬体の体積を、試薬体を溶解させるための液体試料の体積より相対的に少なくする必要がない。
前記試薬チャンバーは、前記ディスクの主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形であり、前記長辺が前記径方向と略平行となるように構成されていることが好ましい。
また、前記試薬チャンバーは、前記ディスクの主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形であり、前記長辺が前記径方向と略垂直となるように構成されていてもよい。
前記試薬体は、前記試薬チャンバー内において、固定されていることが好ましい。
これにより、試薬チャンバーと試薬体との間により確実に毛細管力を作用させることができる。そのため、ディスク本体に作用する遠心力と、毛細管力により、試薬チャンバー内の試薬体を完全に溶解させることができ、反応時間の短縮を図ることができる。
前記ディスクの主面の法線方向において、前記試薬体の少なくとも一部が前記試薬チャンバーに固定されていることが好ましい。例えば、ディスクの主面の法線方向において、前記試薬チャンバーの内側部分の高さを、前記試薬体の高さ以下として、前記試薬チャンバーの上部と下部とで前記試薬体を挟持させてもよい。
また、ディスクの主面の面方向において、略矩形の前記試薬チャンバーの短辺の長さを前記試薬体の幅以下としてもよい。
さらに、前記試薬チャンバーの内壁の少なくとも一部の形状は、前記試薬体を配列する際に、前記試薬体と前記内壁とが接触する部分に隙間が生じないような凹型の断面形状であってもよい。
これにより、曲面を有する試薬体を試薬チャンバーに配列したときに、試薬体に割れや欠けが生じるのを防止することができる。
前記試薬チャンバーに、前記試薬体複数個が配列されていることが好ましい。
前記試薬体は、凍結乾燥顆粒であることが好ましい。
これにより、試薬体の表面積を大きくすることができる。よって、液体試料に対して、試薬体をより溶解し易くすることができる。
また、本発明は、上記の試料液分析用ディスクを用いる混合試料液の分析方法であって、前記液体試料貯留部に、前記試薬体の1個分の体積に相当する体積の前記液体試料を供給し、前記ディスク本体を回転させることにより、遠心力によって前記液体試料貯留部から前記試薬チャンバーへ前記液体試料を供給し、前記試薬チャンバーで遠心力および毛細管力を利用して前記液体試料と前記試薬体を混合させ、前記混合試料液を前記測定チャンバーに供給し、前記測定チャンバーにおいて前記混合試料液の化学反応を検出することを特徴とする混合試料液の分析方法を提供する。
液体試料で試薬体を溶解させる過程において、液体試料が試薬チャンバーに流入するときに各試薬体の一部が溶解し、引き続き、ディスク本体に作用する遠心力と毛細管力により、溶け残った試薬体も完全に溶解させることができる。これにより、反応時間の短縮を図ることができる。その結果、混合試料液の化学反応の検出を正確に行うことができる。
前記検出は、光学的に行うことが好ましい。
混合試料液において、例えば、透過光量または吸光度の変化を検出することにより、混合試料液の化学反応を高精度に検出することができる。
本発明によれば、液体試料に対して試薬体を迅速かつ正確に溶解、反応させることができ、混合試料液の反応の検出を正確に行うことができる試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法を提供することができる。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明における試料液分析用ディスクの構成について、図を参照しながらを説明する。図1は、本発明の一実施の形態である試料液分析用ディスクの構成を示す概略図である。図1において、試料液分析用ディスクのディスク本体20は複数の試料混合部21および22を具備する。試料混合部21において、ディスクの遠心力と毛細管力とによって、液体試料は段階的に各チャンバーに供給される。ディスク本体20の径が、80〜120mmであることで、後述するようにディスクの径方向に直列に配置される各流路および各チャンバーを配置する十分な領域を確保することができる。また、この大きさは、市販されているCD等と同程度の寸法である。そのため、ディスクの取り扱いが容易であることから好ましい。
次に、本発明の一実施の形態として、略半球状の試薬体を用いる場合について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態1に示す試料混合部21を、ディスク本体20の主面の法線方向から見た拡大概略図である。試料混合部21は、液体試料貯留部23と、試薬チャンバー24と、測定チャンバー25とを備えている。液体試料貯留部23は、液体試料供給口26を有する。
本実施の形態では、試薬チャンバー24はディスク本体20の径方向と略平行な方向に試薬体30を配列するように構成されている。液体試料貯留部23は第1の流路27を介して試薬チャンバー24に接続されている。第1の流路27の幅は、例えば、0.2〜1.0mmであることで、より確実に液体試料を供給することができ、かつ試薬チャンバー24から液体試料貯留部23への液体試料の逆流を抑制できるため好ましい。また第1の流路27の長さは、例えば5〜10mmであればよい。本実施の形態の試薬チャンバー24の形状は、ディスク本体20の主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形である。また、長辺はディスクの径方向(遠心力Aの発生する方向)と略平行となるように構成されている。これにより、液体試料がより確実に、第一の流路27から試薬チャンバー24に流入する。
上記の略矩形の長辺の長さは、複数個の試薬体30を配列可能であればよい。例えば、半径R0の試薬体30をn(n≧2)個配列する場合、長辺の長さは2R0×nより大であればよい。なかでも、長辺の長さは、2R0×nに略等しいことで試薬チャンバー24の壁面に試薬体30を密着させることができることから特に好ましい。
また、短辺の長さは、試薬体30を内部に配列することができる寸法であれば特に限定されない。短辺の長さは、例えば0.8〜2.0mmであればよく、このとき、後述する試薬体30の直径に略等しいことが好ましい。短辺の長さが試薬体30の径に略等しいことで、試薬チャンバー24の壁面に試薬体30を密着させることができる。これによって、例えば試薬チャンバー24と試薬体30との間には、より確実に毛細管力を作用させることができる。このとき、試薬チャンバー24に流入した液体試料は、試薬体30のうちの、少なくとも試薬チャンバー24の壁面と接する部分を確実に溶解する。ここで、後述の第二の流路28が屈曲した構造を有するため、液体試料は、測定チャンバー25に流入することなく、試薬チャンバー24のうちの、ディスクの主面の外周側に滞留する。試薬体30は、試薬チャンバー24と接触していた部分が溶解しているため、遠心力によってディスクの外周側に滞留している液体試料に接触し溶解する。
試薬チャンバー24には、例えば、4個の略半球状の試薬体30を配列する。試薬体30の径は、例えば0.7〜2.0mmであることが好ましい。このとき、試薬体30の体積は0.1μl〜2.0μlとなる。これにより、試薬体30の形成が容易となり、試薬チャンバー24へ配列し易いことから好ましい。試薬チャンバー24は、ディスク本体20の回転による遠心力Aおよび第1の流路27に生じる毛細管力によって、液体試料貯留部23から第1の流路27を介して液体試料が供給されるように構成されている。
測定チャンバー25は第2の流路28を介して試薬チャンバー24に接続されている。第2の流路28は、例えば、屈曲した構造を有することが好ましい。これにより、液体試料は、試薬チャンバー24のうちのディスクの主面の外周側に滞留する。また、第2の流路28の幅は、例えば、0.2〜1.0mmであることが好ましい。これにより、混合試料液を、測定チャンバー25により確実に供給することができ、かつ測定チャンバー25から試薬チャンバー24への混合試料液の逆流を抑制できる。測定チャンバー25には、ディスク本体20の回転による遠心力および第2の流路28に生じる毛細管力によって、試薬チャンバー24で混合された液体試料と試薬体30とを含む混合試料液が供給される。測定チャンバー25で、例えば、光学的検出部(図示せず)によって混合試料液の化学反応の検出が行われる。
また、測定チャンバー25は第3の流路29を介して試薬チャンバー24に接続されている。第3の流路29は、液体試料および混合試料液の流通を円滑にするための穴29aを有する。
試薬体30を構成する試薬は、本発明を実施できる範囲において、測定を行う液体試料の種類と、測定の種類によって、適宜選択することができる。例えば、血液に含まれる血漿中のトリグルセリド濃度を測定する場合には、例えば、シクロヘキシルアミノエタンスルフォン酸(CHES)、ジアホラーゼ、テトラゾリウム塩(WST−9)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、リポ蛋白リパーゼおよびグリセロールデヒドロゲナーゼのうちの少なくとも一種を用いればよい。これらは、全て単一の試薬を含む試薬体30として用いてもよい。複数の試薬を含む試薬体30を用いることが、保存特性の観点等から問題ない場合、試薬複数種を含む単一の試薬体30を用いることもできる。
また、ディスク本体20は上基板(後述する図3の31)、スペーサ(同、32)および下基板(同、33)から構成されている。ディスク本体20が、上記の試料混合部21をディスク内部に有する場合、液体試料貯留部23、試薬チャンバー24、および測定チャンバー25は、それぞれ空間部34a、34b、および34cからなる。空間部34a、34b、および34cは、上基板31と、スペーサ32と、下基板33とで構成されている。
図3は試薬チャンバー24の要部の断面図(図2のA−A方向矢視断面図)である。また、図4は、図3に示す試薬チャンバー24の要部をディスク本体20の主面の法線方向において分解した図である。図3および図4において、上基板31は、試薬チャンバー24の側壁の一部と上面とを構成する凹部31aを有する。上基板31には、例えば、ポリカーボネートを含む、0.5〜1mmの厚さのものを用いることができる。凹部31aの曲率半径は、試薬体30の形状と略等しくなることが好ましい。これにより、試薬体30は、より確実に試薬チャンバー24によって固定され、試薬体30の変形や破損を抑制できる。そのような曲率半径としては、例えば、0.4〜1.0mmであればよい。
スペーサ32は、試薬チャンバー24の側壁の一部に相当する切り抜き部32aを有する。スペーサ32には、例えば、ポリエチレンテレフタレートを含む、50〜200μmの厚さのものを用いることができる。
また、下基板33は試薬チャンバー24の底面となる。下基板33には、例えば、ポリカーボネートを含む、0.5〜5.0mmの厚さのものを用いることができる。
また、試薬チャンバー24の高さH(ディスク主面の法線方向と略平行な辺の長さ)は、試薬体30(半径R0)を内部に配列することができる寸法であれば、特に限定されないが、試薬体30の高さ(半径R0)に略等しいか、またはR0より小さいことが好ましい。なかでも、試薬チャンバー24の高さHと、試薬体30の半径R0とが、関係式0.7R0≦H≦R0を満たすことが好ましい。
試薬チャンバー24の高さHが、試薬体30の半径R0より小さい場合、試薬チャンバー24を形成する際に、試薬体30は試薬チャンバー24の内壁に押圧され、試薬体30の高さR0は、R1となる。これにより、試薬体30は試薬チャンバー24内で固定される。このとき、R1は、試薬チャンバー24の高さHと略等しくなっている。
また、試薬チャンバー24の高さHが、試薬体30の半径R0と略等しい場合、試薬体30は凹部31a、切り抜き部32aおよび下基板33と密着するような形状を有することが好ましい。これにより、試薬体30は試薬チャンバー24内で固定され、割れや欠けが起こりにくくなる。
次に、ディスク本体20の構成の具体的な一例を挙げて説明する。上基板31および下基板33には、例えば、ポリカーボネート製の板材を用いることができる。上基板31には、例えば厚さ0.6mmのものを用いる。また、下基板33には、例えば厚さ0.6mmのものを用いる。上基板31および下基板33の間には、スペーサ32を介在させる。スペーサ32には、例えば、ポリエチレンテレフタレート製の板材を用いることができる。スペーサ32の厚さは、例えば、100μmのものを用いる。スペーサ32の両面には、粘着剤が塗布されている。
上基板31の一方の面には液体試料貯留部23、試薬チャンバー24、測定チャンバー25、第1の流路27、第2の流路28および第3の流路29の一部が形成されている。試薬チャンバーを形成する凹部31aは、例えば曲率半径0.75mmの曲面であり、ディスク本体20の主面の法線方向に略平行な方向の寸法は、例えば0.6mmである。
下基板33のうちの試薬チャンバー24が形成される部分に、例えば、4個の試薬体30を、試薬体30の球面と凹部31aとが接するように配列する。このとき、それぞれの試薬体30が密着するように配列する。試薬体30は、例えば、体積1.0μlの略半球状のものを用いる。試薬体30の直径は、体積1.0μlの略半球の場合、約1.56mmである。また、液体試料貯留部23は、少なくとも試薬体30と同じ体積、すなわち1.0μlの液体試料が入るように寸法を規定する。例えば、高さ0.3mm、底面積3.5mm2とすればよい。(体積1.05μl)であるので、この条件に適う。しかし、実際には液体試料貯留部23から第一の流路27を介して試薬チャンバー24に供給されるまでに、液体試料貯留部23および第一の流路27の内壁に吸着、残留する。すなわち、試薬チャンバー24に供給される液体試料は、液体試料貯留部23に供給される量より小さくなる。そのため、液体試料貯留部23の容積は1.0μlより大きいことが好ましい。例えば、高さ0.3mm、底面積4mm2(体積1.2μl)とすることで、試薬チャンバー24に十分な量の液体試料を供給することができる。
上記の上基板31と、下基板33とを、厚さ100μmのスペーサ32を間に介在させて、貼り合わせる。これにより、液体試料貯留部23、試薬チャンバー24、測定チャンバー25、第1の流路27、第2の流路28、および第3の流路29が形成される。このとき、試薬体30は、試薬チャンバー24内で固定される。この試薬チャンバー24は、ディスク本体20の主面の法線方向から見て、長辺および短辺を有する略矩形である。長辺は、ディスク本体20の径方向と略平行となるように構成されている。長辺の長さは、例えば7mmであり、短辺の長さは、例えば1.56mmである。また、上基板31、スペーサ32、および下基板33を貼り合わせることで、試薬チャンバー24(空間部34b)の高さHは約0.7mmとなる。
ここで、試薬体30の製造方法は、液体試料によって溶解させる際に、反応に必要な試薬量を試薬チャンバー24に配列できるような試薬体30を得られる製造方法であれば特に限定されない。例えば、試薬体30を構成する試薬の粉体を所定の形状の鋳型に封入して、圧縮することで得られる。また、試薬体30を構成する試薬を含む水溶液を基板等に滴下し、任意の直径に制御して凍結乾燥を行うことでも得られる。この場合、凍結乾燥粉を所定の形状の鋳型に入れて成型してもよい。また、適度に撥水性を有する基板、すなわち、テフロン(登録商標)板や、フッ素系あるいはシリコン系撥水剤で処理した樹脂や金属の板材に試薬体30を構成する試薬を含む水溶液を滴下し、凍結乾燥して略半球状の試薬体30を得ることもできる。
なかでも、試薬体は、凍結乾燥顆粒であることが好ましい。凍結乾燥顆粒は、試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下し、形成することが好ましい。これにより、試薬体の表面積を制御することができる。よって、液体試料に対して、試薬体をより溶解し易くすることができる。また、滑らかな表面、等しい形状および粒の揃った寸法を有する試薬体を得ることができる。
以下、試薬体の好適な形態である凍結乾燥顆粒を得る好ましい一実施の形態について説明する。少なくとも1種の試薬体を構成する試薬を含む水溶液から、試薬体である凍結乾燥顆粒を得る方法は、(A)試薬体を構成する試薬を含む水溶液を、撥水処理された表面を有する基板上に滴下する工程、(B)基板上に滴下された試薬体を構成する試薬を含む水溶液を凍結する工程、および(C)試薬体を構成する試薬を含む水溶液の凍結物を、減圧環境下で加熱することによって水分子を昇華させて乾燥し、試薬体である凍結乾燥顆粒を得る工程、を含むことが好ましい。
本形態では、試薬体を構成する試薬を含む水溶液を、表面を撥水処理した基板に液滴を吐出機やピペットで滴下し、均一な大きさの液滴を得る。そして、この液滴を凍結させ、更に減圧条件下で凍結乾燥させる。撥水処理された表面は、球状の一部の形状を有する凹部を有し、当該凹部内で上記の工程(A)〜(C)を行うことで、基板に滴下された試薬溶液の液滴がそれぞれの凹部に配列される。すなわち、形状が揃った試薬溶液の液滴を、基板上に配列することができる。これを凍結乾燥することで形状が揃った複数の試薬体を、容易に形成することができるため好ましい。
[工程(A)]
また、試薬体を構成する試薬を含む水溶液の濃度などについては、本発明の効果を損なわない凍結乾燥顆粒が得られる範囲において、適宜調整することが可能である。例えば、WST−9(分子量629.6)を用いる場合は、100mM程度の水溶液を用いることが好ましい。
試薬体を構成する試薬を含む水溶液の液滴と基板との接触角は、75°以上であることで、滴下した試薬溶液が、凍結前に基板表面に拡散するのを抑制できるため好ましい。これにより、試薬溶液を含む略半球状の凍結固体が得られる。これを凍結乾燥することにより、略半球状の試薬体を得ることが容易になる。接触角は、150°以上であることで、試薬体の形状をより容易に制御できるため、さらに好ましい。基板には、例えば、撥水性の表面を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製基板などを用いることができる。また、親水性を有する基板の表面を、撥水処理剤で撥水処理して用いてもよい。かかる撥水処理剤としては、撥水効果が非常に高く、かつ、試薬体を構成する試薬を含む水溶液によって変性したり溶解したりすることが無いようなコーティング剤を用いることが好ましい。
すなわち、撥水処理された表面は、フッ素樹脂系コーティングで形成されていることが好ましい。また、撥水処理された表面は、シリコーン樹脂系コーティングで形成されていてもよい。これらのコーティング剤には、純水に対する接触角が100°以上、なかには150°以上の接触角を示すものもある。さらに、これらのコーティング剤のなかには、界面活性剤を含む水溶液に対しても、かなり大きな接触角を示すものが存在する。このようなコーティング剤で表面処理した基板の場合、界面活性剤を含む水溶液であっても基板上を拡散しにくい。
ただし、基板の撥水性が余りに大きすぎる場合には、試薬体を構成する試薬を含む水溶液が基板に吸着されずに吐出機やピペットから滴下しにくいことがある。これを抑制するには、例えば、吐出機やピペットの先端も撥水処理することが挙げられる。また、吐出機やピペットからの吐出時間を短くし、液滴を飛ばして基板に叩きつけることにより、基板に対して液滴を容易に付着させることができる。
さらに、確実かつ容易に基板に液滴を付着させるために、撥水処理をされる基板として、親水性の素材を選び、撥水処理をされた表面の一部からコーティング剤を剥ぎ取ることが好ましい。これにより、液滴の吸着を誘発することができる。コーティング剤を剥ぎ取る広さは、吐出機やピペットの先端への液滴の吸着力よりも、基板が大きな吸着力を示すだけの広さであることが好ましい。すなわち、滴下された液滴の基板への接触部分に出来る円形領域の外側部分がコーティング剤に接触する程度の大きさであることが好ましい。これにより、基板は、液滴に対してコーティング剤の剥ぎ取りをしない場合と同様の接触角を維持することが可能である。例えば、剥ぎ取り部分の直径は、1μlの試薬溶液の液滴の場合、0.3〜0.6mmであればよい。例えば、直径0.3mmのとき、試薬溶液と基板との接触角は約150°となる。また、直径0.6mmのとき、試薬溶液の液滴は、例えば略半球状となる。一方、あまりに広くすると、吸着力が大きくなりすぎるため、液滴の基板への接触角が小さくなる。そのため、結果として球状や半球状の凍結乾燥顆粒を得ることが困難になる場合がある。
例えば、接触角が150°のコーティング剤を用いる場合、滴下された液滴は、略真球状となる。このとき、基板に接触している部分の径は、液滴の直径のほぼ半分になると考えられる。このことは、幾何学的な考察から容易に導き出すことができる。
また、上記の基板の表面においては、撥水処理されていない部分が、撥水処理された部分に囲まれた位置関係で存在するのが好ましい。これにより、試薬溶液の液滴の形状を制御し易くなる。このような基板の撥水処理されていない部分に試薬溶液を滴下すれば、試薬溶液の滴下量と当該撥水処理されていない部分の面積とに基づいて、撥水処理された基板に対する試薬溶液の接触角より小さい接触角とし、かつ大きな液滴を任意に得ることができる。
このような基板は、例えば以下のようにして得られる。まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)製基板などの通常の撥水性(または親水性)の表面を有する基板の表面に撥水処理剤を塗布する。その後、塗布した撥水処理剤の一部を掻きとって、基板の表面を露出させることによって得られる。
これにより、ピペットなどで上記基板の表面に試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下する際、当該水溶液が上記ピペットの先端から基板の表面に移り易くなる。すなわち、撥水性の大きな部分と撥水性の小さな部分とを形成することによって、撥水性の大きな部分と、小さな部分との間にアンカー効果を持たせることができる。そのため、液滴をより確実に基板の表面に保持することができる。
[工程(B)]
上記工程(A)につづいて、上記基板上に滴下された試薬体を構成する試薬を含む水溶液を凍結する。その後、凍結乾燥(工程(C))を行う前、または行った後に、上記水溶液の凍結物を基板から剥離することが好ましい。これにより、剥離時に試薬溶液の凍結体または試薬体を破損することなく、所定の形状の試薬溶液の凍結体または試薬体を得られるため好ましい。
[工程(C)]
凍結乾燥の条件は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整することができる。例えば、以下のように調整することができる。例えば、613Pa(4.6Torr)の気圧環境下において、水は0℃で沸騰する。すなわち、純水であれば0℃、4.6Torrの気圧にすれば昇華する。そして、気圧をさらに下げると昇華を始める温度もさらに下がる。例えばマイナス40℃まで温度を下げると、0.1Torr以下の気圧で昇華が起こる。気圧を0.1Torrにして、マイナス40℃から徐々に温度を上げていくとどんどん昇華が盛んになる。こうして凍結した試薬体を構成する試薬を含む水溶液から、凍結した状態のままで水分のみが昇華し、ついにはほとんど水分が含まれなくなる。これにより、試薬体を構成する試薬のみが、固体化して基板上に保持される。
しかし、実際には、昇華が始まると、凍結した試薬体を構成する試薬を含む溶液の近傍に、水蒸気が滞留する。これにより、その近傍の局所的な気圧(水蒸気圧)が上がってしまい、昇華の効率は悪化してしまう。そこで、実質的に昇華を迅速に進めるためには、(1)温度を上げて、より高い気圧でも昇華がすすむように温度を上げることと、(2)試薬体を構成する試薬を含む水溶液まわりの水蒸気を迅速に除去して気圧上昇を抑制することが肝要となる。
上記(1)のため、徐々に気温を上げていき、最終的には温度を20〜30℃程度にする。昇華時に潜熱が奪われるため、外部の温度が上がっても、温度上昇をあまり急激にしないなら、凍結している試薬体を構成する試薬を含む水溶液は融解しない。
上記(2)のため、凍結乾燥機には、「トラップ装置」を設けることが好ましい。トラップ装置は、凍結乾燥するための庫内の最低温度よりさらに低い温度に設定され、周囲の水蒸気を凍結、捕集する機能を有する。トラップ装置と凍結乾燥するための庫内とは連通しており、ガスが行き来できる。このトラップ装置で水蒸気が捕集され、水蒸気圧が低下するため、凍結した試薬体を構成する試薬を含む水溶液近傍の水蒸気圧もどんどん下がる。
凍結温度を0℃未満、気圧を4.6Torr未満にした状態であれば、凍結乾燥を行うことが可能である。ここで、実際には試薬体を構成する試薬を含む水溶液のモル凝固点降下のため、マイナス20℃程度でも部分的に凍結しない場合がある。また、開始時の気圧を4.6Torrに設定した場合、少しでも昇華が生じると、水蒸気によって昇華可能な気圧を超えてしまい、効率が悪化してしまうことがあるため、さらに低圧にすることが好ましい。
したがって、本形態においては、マイナス40℃以下、気圧0.1Torr以下から凍結乾燥を開始し、気圧をそのまま保って、温度を徐々に上げていくのが好ましい。本発明者らは、実験から、試薬体を構成する試薬を含む水溶液の体積が100μl以下の場合、気圧を0.1Torr以下に保ちつつ約4時間以上かけて常温(例えば25〜40℃、さらには25〜30℃)まで温度を上げ、そのまま約4時間以上乾燥させると、均質な凍結乾燥顆粒を得られることを確認した。なお、加熱後の温度は、常温付近(20〜40℃)であるのが好ましい。温度が低すぎると水分昇華に時間がかかりすぎるため好ましくない。一方、温度が高すぎると凍結乾燥顆粒の変性が懸念されるため好ましくない。
本形態では、試薬体を構成する試薬を含む水溶液の量は、10μl以下にすることが好ましい。これにより、加熱時間および加熱後の温度における乾燥時間は、さらに短縮できる。なお、開始温度からの加熱があまりに急激であると、まだ水分が残った状態で融点を超えてしまい、凍結状態が失われる場合があるので好ましくない。一方、加熱後の放置時間があまりに長いと、残った凍結乾燥顆粒が変性するおそれがあるので好ましくない。
本形態の製造方法は、試薬体を構成する試薬を含む水溶液の液滴の体積が0.1〜10μl程度の場合に用いることがより好ましい。液滴の体積がこの範囲であることで、凍結乾燥後の取り扱いが容易になり、良好な略真球状の液滴が得られる。
また、基板に試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下してから基板を冷却するのではなく、試薬溶液の融点以下に冷却した基板上に試薬体を構成する試薬を含む水溶液を滴下することが好ましい。すなわち、工程(A)の前に、基板を上記水溶液の凝固点以下の温度に冷却する工程を含むことが好ましい。これにより、基板に接触した部分がほぼ瞬間的に凍結し、引き続き液滴の表面が凍結する。そのため、当該水溶液が基板上に拡散することなく、非常に良好な真球状の凍結粒子を得ることができる。この状態で凍結乾燥すれば、非常に良好な真球状の凍結乾燥粒子を得ることができる。
この方法を用いる場合、滴下後に基板と液滴の周りを冷却することにより液滴を凍結させる場合と比して更に大きな液滴を得ることも可能である。基板に液滴の一部を接触させ、凍結が開始されたときに、吐出機からの溶液の吐出量を調整しつつ吐出機の先端を引き上げて液滴全体を凍結させることで、液滴の凍結形状の制御が可能であるからである。
しかし、溶液の凍結速度は、基板表面温度、液滴の温度、基板と液滴の周りの温度や湿度などに影響され、同じ条件で滴下してもばらつくことが多い。従って、コーティング剤の効果が比較的得られにくい液体に限定して、この方法を適用することが好ましい。
また、コーティング剤なしでもこの方法を用いて真球状の凍結乾燥顆粒を得ることは可能であるが、凍結乾燥後に凍結乾燥顆粒を基板から剥ぎ取るときに基板との接触部付近で凍結乾燥顆粒の割れや欠けが生じやすく、また基板への残留が生じやすいので好ましくない。
このような方法で凍結乾燥顆粒を得るためには、試薬体を構成する試薬だけでなく、必要に応じて、凍結乾燥顆粒の外形を保持するための添加剤が必要な場合がある。
添加剤の種類や量は、用途に依存するが、当業者であれば適宜調整することが可能である。例えば、シュクロース等の糖類は、この用途に好適である。
試薬体を構成する試薬を含む水溶液の組成や濃度は、各試薬体の性状に大きく依存する。試薬の組み合わせによっては、反応全体に必要な試薬の組み合わせであっても、混合溶液として上記の方法で凍結乾燥した場合、室内程度の湿度の外気に接触させると迅速に潮解する場合がある。この場合、反応に必要な試薬のうちから、2種以上の好適な組み合わせの試薬群を選択して凍結乾燥顆粒を形成することで、潮解を回避することも可能である。また、反応全体に必要な試薬の組み合わせであっても、混合溶液として非常に不安定な場合にも同様の対応が可能であり、このようにすることで試薬体の保存安定性が向上する。
次に、上記の試料液分析用ディスクを用いる混合試料液の分析方法について説明する。
まず、試薬チャンバー24において液体試料と試薬体30とが混合されるメカニズムを説明する。
試薬体30の溶解性や、試薬体30の作製時に用いる試薬溶液の安定性等の観点から、試薬体30の試薬密度(単位体積あたりの試薬量)は、試薬溶液中での試薬濃度と略同じか、またはそれ以下にすることが望ましい。試薬体30同士の混合による安定性の低下を避けるために、別々の試薬体30として形成して、反応時に混合されることが求められる試薬もあるので、1つの試薬チャンバー24には複数の試薬体30を配列する。
次いで、供給口26から試薬体30の1個分の体積に相当する液体試料を液体試料貯留部23に供給する。ディスク本体20をモータ(図示せず)によって回転させると、ディスク本体20の回転による遠心力と第1の流路27の毛細管力により、液体試料貯留部23の液体試料が試薬チャンバー24に流入する。この際、液体試料が試薬体30の周囲に確実に接触し、少なくとも試薬体30の外周部を溶解する。
また、このとき、液体試料の量は試薬体30の1個分の体積にしか相当しないので、試薬チャンバー24に液体試料が全て流入しても、遠心力方向Xに直列に配列された試薬体30のうちの遠心力方向Xに一番外側の試薬体のみ全没する。
したがって、液体試料の流入時に溶解しなかった試薬体30は、そのままでは溶け残り続ける。ここで、試薬体30は試薬チャンバー24を塞ぐように配列されるので、液体試料はディスク本体20の円周側に貯留する。試薬体30の外周の溶解と、遠心力の作用とにより、溶け残った試薬体30はディスク本体20の円周側に貯留している液体試料に没し、液体試料中に溶解する。
このとき、混合試料液面と溶け残った試薬体30の間において、ゲル状になった一部の試薬体30が、試薬チャンバー24の内壁に残留する。そして、ゲル状になった一部の試薬体30に含まれる混合試料液が、毛細管力によって液体試料に接触していない部分に到達し、溶け残った試薬体30の溶解が始まる。さらに、ゲル状になった試薬体30も徐々に溶解が進み、最後には全ての試薬体30が液体試料に没して溶解し、混合試料液となる。
これにより、液体試料の試薬体への溶解、および両者間の反応時間を短縮することができる。よって、試料液の化学反応をより正確に検出することができる。
混合試料液は、毛細管力と遠心力の作用とによって第2の流路28を介して試薬チャンバー24から測定チャンバー25に供給される。測定チャンバー25に供給された混合試料液の化学反応は、光学的に検出することが好ましい。例えば、混合試料液の透過光量または吸光度の変化を検出することにより、混合試料液の化学反応をより高精度に検出することができる。
次に、具体的な分析方法として、血漿中のトリグルセリド(中性脂質、以下TGと記す)濃度を測定する場合について説明する。
試薬体30には、反応に必要な試薬群を水またはpH緩衝液に溶解させた溶液を、凍結乾燥することで得られる凍結乾燥顆粒を用いる。TGを検出するために用いる試薬は、全ての試薬を1つの試薬体30とすると、各試薬同士の相互作用による変性が発生するおそれがある。そこで、本実施の形態では、試薬を4つの群に分割し、それぞれの試薬を含む試薬体30を用いる。この4種類に分割した試薬体30を1個の試薬チャンバー24に配置する。
上記のように、試薬チャンバー24において混合される混合試料液は、測定チャンバー25に供給される。そして、測定チャンバー25において、TGの化学反応に依存する、試薬体30に含まれる色素の特定波長の吸光度変化を検出する。
したがって、上述したように、測定チャンバー25の底面および上面は平滑であり、かつ光学的に波長に対して略透明であることが求められる。測定チャンバー25の深さは、透過光測定時の光路長に相当するので、測定時に混合試料液の透過光量または吸光度が適切になるように適切に設定する必要がある。後述する試薬体30の構成の場合、例えば、200μmとするのが好ましい。
血漿中のTG濃度を測定するためには、以下の反応機構を用いる。
(1)TG→グリセロール(酵素:リポ蛋白リパーゼ)
(2)グリセロール+NAD→ジヒドロキシアセトン+NADH(酵素:グセロールデヒドロゲナーゼ)
(3)NADH+WST−9→NAD+ホルマザン(酵素:ジアホラーゼ)
上記の式(3)中のホルマザンの生成によって生じるホルマザンの濃度変化が、波長650nmの透過光に対する吸光度の変化に対応するから、その吸光度の変化量を測定することにより、TGから生成したグリセロール濃度を算出する。
ここで、血漿には微量のグリセロールが含まれている。そのため、より正確にTG濃度を測定する場合には、反応式(2)、(3)のみを用いた測定系でグリセロール濃度を測定し、相殺することで、TG濃度を求めることが望ましい。
また、反応にはpHを調整するための緩衝剤としてCHESというpH緩衝剤を用いる。なお、上記の式(2)、(3)中の略語NADはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化型であり、NADHは同還元型である。WST−9は「水溶性テトラゾリウム−9」の英語の頭文字をとった略称で、(株)同仁化学研究所より入手できるテトラゾリウム塩の1種である。ジアホラーゼはNADHのNADへの酸化反応とそれに共役する還元反応を触媒する酵素である。
試薬体30にはpH緩衝剤であるCHES、ジアホラーゼ、WST−9とNADとの混合物、およびリポ蛋白リパーゼとグリセロールデヒドロゲナーゼとの混合物の4種類を用いる。
各々の試薬体30は、例えば、体積1μlの略半球のものを用い、試薬チャンバー24にそれぞれが接するように直列に4個配列する。
試薬チャンバー24には、ディスク本体20の中心から上記の順番に試薬体30を配列することが好ましい。このように、溶解性の違いを考慮した順番に配列することで、より確実に試薬体30を液体試料に溶解させることができる。
上記の試薬体30を含むディスク本体20の液体試料貯留部23に、標準血清または標準血清を生理食塩水で希釈した液体試料を供給する。その後、ディスクを回転させ、測定装置によって混合試料液の吸光度を測定した。その結果、試薬体30は完全に溶解し、混合試料液のTG濃度に依存する吸光度変化を観測することができた。図5にその結果を示す。
[実施の形態2]
本実施の形態は、試料混合部の形状、特に試薬チャンバーの形状の異なる試料液分析用ディスクである。図6は、本発明の実施の形態2に示す試料混合部22を、ディスク本体20の主面の法線方向から見た拡大概略図である。実施の形態1と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
本実施の形態では、試薬チャンバー40はディスク本体20の径方向と略垂直な方向に試薬体30を配列するように構成されている。
図7は試薬チャンバー40の要部の断面図(図6のB−B方向矢視断面図)である。また、図8は、図7に示す試薬チャンバー40の要部をディスク本体20の主面の法線方向において分解した図である。図7に示すように、試薬チャンバー40(空間部44)は上基板41、スペーサ42および下基板43によって構成されている。
上基板41は試薬チャンバー40の空間部44を構成する内壁の一部(上面および側壁の一部)を構成する凹部41aを有する。また、スペーサ42は試薬チャンバー40の側壁の一部を構成する切り抜き部42aを有する。下基板43は試薬チャンバー40の底面となる。上基板41、スペーサ42、および下基板43には、それぞれ実施の形態1と同様の材料を用いることができる。
本実施の形態の試薬チャンバー40は、ディスク本体20の主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形である。また、長辺は、ディスク本体20の径方向(遠心力Aの発生する方向)と略垂直となるように構成されている。
上記の略矩形の長辺の長さは、試薬体30を試薬チャンバー40内部に配列可能であればよい。例えば、半径R0の試薬体30をn個配列する場合、長辺の長さは2R0×nより大であればよい。なかでも、長辺の長さは、2R0×nに略等しいことで、流入した液体試料が、ディスク本体20の主面の外周側に貯留するときの、径方向における液体試料の水位を、本構成で許容される範囲内で最大にできる。これにより、液体試料が試薬チャンバー40に供給される際、試薬体30が液体試料に没する部分を大きくできるので特に好ましい。試薬チャンバー40の短辺の長さは、試薬体30を内部に配列することができる寸法であれば特に限定されない。短辺の長さは、例えば、2〜10mmであればよい。
また、試薬チャンバー40の高さ(ディスク本体20の主面の法線方向と略平行な辺の長さ)も、試薬体30を内部に配列することができる寸法であれば特に限定されないが、試薬体30の高さ(半径R0)に略等しいか、またはR0小さいことが好ましい。なかでも、試薬チャンバー40の高さHと、試薬体30の半径とが、関係式0.7≦H≦R0を満たすことが好ましい。
試薬チャンバー40の高さHが、試薬体30の高さR0より小さい場合、実施の形態1の場合と同様に、試薬体30は試薬チャンバー40の内壁に押圧され、試薬体30の高さR0は、R1となる。これにより、試薬体30は試薬チャンバー40内で固定される。このとき、R1は、試薬チャンバー40の高さHと略等しくなっている。
また、試薬チャンバー40の高さHが、試薬体30の半径R0と略等しい場合、試薬体30は、凹部41a、切り抜き部42aおよび下基板43と密着するような形状を有することが好ましい。これにより、試薬体30は、試薬チャンバー40内で固定され、割れや欠けが起こりにくくなる。
次に、試料混合部22の構成の具体的な一例をあげて説明する。上基板41の一方の面には液体試料貯留部23、試薬チャンバー40、測定チャンバー25、第1の流路27、第2の流路28および第3の流路29の一部が形成されている。試薬チャンバー40を形成する凹部41aは、例えば、曲率半径0.75mmの曲面であり、ディスク本体20の主面の法線方向に略平行な寸法は、例えば0.6mmである。
下基板43のうちの、試薬チャンバー40が形成される部分に実施の形態1と同様の試薬体30を4個配列する。このとき、4個の試薬体30は、試薬体30の球面と凹部41aとが接するように配列する。なお、試薬体30は、相互に密着するように配列する。これにより、試薬体30と試薬チャンバー40の壁面との間により確実に毛細管力が作用する。すなわち、試薬チャンバー40の壁面と試薬体30との間に確実に試料液が浸透するため、試薬体30がより確実に溶解する。
また、試薬チャンバー40の上面のうちの、ディスクの中心側(試薬体30が接触しない部分)は平面でも構わない。また、この部分には、液体試料貯留部23からの流入部分との段差があればよいので、高さを200μmとした。これに100μmのスペーサ42を挟んで上基板41を貼り合わせる。これにより、液体試料貯留部23、試薬チャンバー40、測定チャンバー25、第1の流路27、第2の流路28、および第3の流路29が形成される。このとき、試薬体30は、試薬チャンバー40内で固定される。この試薬チャンバー40は、ディスク本体20の主面の法線方向から見て、長辺および短辺を有する略矩形である。長辺は、ディスク本体20の径方向と略垂直となるように構成されている。長辺の長さは、例えば、6.25mmであり、短辺の長さは、例えば3mmである。また、上基板31、スペーサ32、および下基板33を貼り合わせることで、試薬チャンバー40(空間部44)の高さHは約0.7mmとなる。それ以外の部分は0.3mmになる。
次に、混合試料液の分析方法を説明する。
液体試料供給口26から試薬体30の1個分の体積に相当する液体試料を液体試料貯留部23に供給する。ディスク本体20をモータ(図示せず)によって回転させると、ディスク本体20の回転による遠心力と第1の流路27の毛細管力により、液体試料貯留部23液体試料が試薬チャンバー40に流入する。
このとき、全ての試薬体30の試薬チャンバー40の長辺部分に近い部分が液体試料に確実に没し、少なくともこの試薬体30の一部を溶解する。また、実施の形態1で説明したように、液体試料中での試薬濃度と略同じ水準以下にすることで、1つの試薬チャンバー40に複数個の試薬体30を配列する場合において、試薬チャンバー40に液体試料が全て流入しても、流入直後には試薬体30は液体試料に全没しない。
したがって、試薬体30の液体試料の流入時に溶解しなかった部分は、そのままでは溶け残り続ける。図7に示すように試薬体30は凹部41aに接して試薬チャンバー40の長辺部分に接して配列されている。試薬チャンバー40に液体試料が供給されると、まず、試薬体30の一部が液体試料で溶解する。そして、溶け残った部分も液体試料に接触し続けるため、毛細管力で溶け残った試薬体30に液体試料が浸透する。溶け残った試薬体30の一部が溶解し、さらに、遠心力の作用により、依然溶け残っている試薬体30も、試薬チャンバー40の遠心力方向の外側に貯留している液体試料中に没し、結果的に液体試料に溶解する。そして、最終的に全ての試薬体30が液体試料に没して溶解する。
試薬体30と液体試薬とが混合された混合試料液は、遠心力と毛細管力とによって第3の流路29から測定チャンバー25に供給され、測定チャンバー25によって光学的手段によって測定される。
なお、上記各実施の形態では、測定チャンバー25は光学測定用に混合試料液を貯留するものであるが、試薬チャンバー40にさらに試薬チャンバーを接続することで、より多数の試薬体30を要する測定系に用いることもできる。このようなチャンバーの構成は、測定系の試薬構成に最適な形態を適宜選んで用いることが可能である。
本実施の形態の試料液分析用ディスクを用いて、実施の形態1と同様の条件で血漿のTG濃度を測定した。その結果、試薬体30は完全に溶解し、混合試料液中のTG濃度に依存した吸光度変化を検出することができた。
このように本実施の形態では、ディスク本体20に液体試料貯留部23、試薬チャンバー40および測定チャンバー25を設け、試薬チャンバー40を、遠心力方向Xと直交し、試薬体30が配列される方向の長さを遠心力方向Xよりも長く延在し、遠心力方向Xと略平行する方向の幅が試薬体30の幅より大きく、深さが試薬体30の高さに略等しくなるような形状に形成し、液体試料貯留部23から試薬チャンバー40に試薬体30の1個分に相当する量の液体試料を供給し、ディスク本体20を回転させることにより、試薬チャンバー40で液体試料と試薬体30を混合させ、混合試料液を測定チャンバー25に供給するようにしたので、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、上記の実施の形態1および2では、色素であるWST−9の吸光度変化を検出し、血漿のTG濃度を測定する例を示した。本発明は、上記のほかにも、例えば、WST−9に代えて、フェリシアン化カリウムを含む試薬体を用いた測定等に好適に用いることができる。この測定では、試料液分析用ディスクの測定チャンバー25内に、少なくとも対極の役割を有する電極と作用極の役割を有する電極を設ける。さらに、ディスク本体20に、上述した電極にディスク本体20の外部から電気的に接触させるための端子を設ける。このような試料液分析用ディスクを用いて、例えば、フェリシアン化物イオンが還元することにより生成されるフェロシアン化物イオンに対して、当該電極間に電圧を印加して、再度酸化させる際に生じる電流値を測定することにより、TG濃度を測定することができる。
漿中のグリセロールの酸化によってフェリシアン化物イオンが還元されて生じるこの場合には、フェリシアン化カリウムのかわりに、NADHとの間で電子授受が可能なレドックス化合物等を任意に用いることができる。レドックス化合物は、グリセロールとNADの間の酸化還元反応が可能な反応条件下において、NADの還元により生成したNADHとの電子授受が可能なものであれば特に限定されない。例えば、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムサルフェート(1−Methoxy−5−methylphenazinium sulfate)、 メルドラブルー、1.2−ナフトキノン−4−スルホン酸(1.2−Naphtoquinone−4−sulfonate)等が挙げられる。
測定対象を含む反応系における特定成分の濃度変化を光学的または電気化学的に検出可能な場合には、血漿に含まれるTG以外にも、任意の測定対象について本発明を用いることが可能である。
試薬体30の形状は略半球状に限らず、球形、円柱形または多面体であってもよい。また、試薬体30は、反応性に影響を与えない範囲で糖や蛋白等を含むことで、物理的な強度が向上する。試薬体30を構成する試薬は、一種または複数種のどちらであってもよい。
また、上基板と下基板とスペーサとで構成されている上記実施の形態の試料液分析用ディスク中の各チャンバーは、別の部材で構成して、ディスク状部材上に搭載してもよく、また、各チャンバーが上基板と下基板とスペーサとで構成されているとともに、ディスクそのものが上基板と下基板とスペーサとで構成されていてもよい。また、上基板と下基板とスペーサとで構成されているチャンバーは、ディスクに内蔵されていてもよいし、ディスク上に搭載されていてもよい。なお、図1および2においては、各チャンバーは上基板と下基板とスペーサとで構成されており、ディスクに内蔵されている。
本発明は、ディスク本体の内部に供給された液体試料と、ディスク本体の内部に配列された試薬体とを混合して作用させ、その混合試料液の化学反応を検出することにより、血液等の試料の分析を行うための試料液分析用ディスクおよび混合試料液の分析方法等として有用である。
本発明の一実施の形態に係る試料液分析用ディスクの構成図である。 本発明の一実施の形態に係る試料液分析用ディスクの試料混合部を、ディスクの主面の法線方向から見た拡大概略図である。 本発明の一実施の形態に係る試薬チャンバーの要部の断面図(図2のA−A方向矢視断面図)である。 本発明の一実施の形態に係る試薬チャンバーの要部をディスクの主面の法線方向において分解した概略図である。 本発明の一実施の形態における混合試料液のTG濃度に依存した吸光度変化を示す図である。 本発明の他の実施の形態に係る試料液分析用ディスクの試料混合部を、ディスクの主面の法線方向から見た拡大概略図である。 本発明の他の実施の形態に係る試薬チャンバーの要部の断面図(図6のB−B方向矢視断面図)である。 本発明の他の実施の形態に係る試薬チャンバーの要部をディスクの主面の法線方向において分解した概略図である。 従来の混合試料液分析装置で使用されている分析用ディスク内のチャンバーの一例を示す概略断面図である。 従来のディスクを用いた混合試料液分析装置の一部を透明にした概略斜視図である。 従来の試料液分析用ディスクの主面の法線方向から見た場合の当該ディスクの要部を示す概略図である。

Claims (9)

  1. 液体試料と試薬体との化学反応を検出することにより、前記液体試料と前記試薬体とを含む混合試料液の分析を行うための試料液分析用ディスクであって、
    ディスク本体と、前記ディスク本体に設けられた1個以上の試料混合部と、を具備し、
    前記試料混合部は、前記液体試料を貯留するための液体試料貯留部と;前記液体試料貯留部に第1の流路を介して接続され、内部に前記試薬体複数個が配列可能に構成され、かつ少なくとも前記ディスク本体の回転による遠心力によって、前記液体試料貯留部から前記第1の流路を介して前記液体試料が供給される試薬チャンバーと;前記試薬チャンバーに第2の流路を介して接続され、かつ前記ディスク本体の回転による遠心力および前記第2の流路に生じる毛細管力によって、前記試薬チャンバーで混合された前記液体試料と前記試薬体とを含む前記混合試料液が供給される測定チャンバーと;を備え、
    前記試薬チャンバーは、前記遠心力の発生する前記ディスクの径方向と略平行な方向または前記径方向と略垂直な方向に前記試薬体複数個が配列可能な形状を有することを特徴とする試料液分析用ディスク。
  2. 前記試薬チャンバーは、前記ディスクの主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形であり、前記長辺が前記径方向と略平行となるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の試料液分析用ディスク。
  3. 前記試薬チャンバーは、前記ディスクの主面の法線方向から見た場合に、長辺および短辺を有する略矩形であり、前記長辺が前記径方向と略垂直となるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の試料液分析用ディスク。
  4. 前記試薬体は、前記試薬チャンバー内において、固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の試料液分析用ディスク。
  5. 前記ディスクの主面の法線方向において、前記試薬体の少なくとも一部が前記試薬チャンバーに固定されていることを特徴とする請求項4に記載の試料液分析用ディスク。
  6. 前記試薬チャンバーに、前記試薬体複数個が配列されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の試料液分析用ディスク。
  7. 前記試薬体は、凍結乾燥顆粒であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の試料液分析用ディスク。
  8. 請求項6または7記載の試料液分析用ディスクを用いる混合試料液の分析方法であって、
    前記液体試料貯留部に前記試薬体の1個分の体積に相当する体積の前記液体試料を供給し、前記ディスク本体を回転させることにより、遠心力によって前記液体試料貯留部から前記試薬チャンバーへ前記液体試料を供給し、前記試薬チャンバーで遠心力および毛細管力を利用して前記液体試料と前記試薬体を混合させ、前記混合試料液を前記測定チャンバーに供給し、前記測定チャンバーにおいて前記混合試料液の化学反応を検出することを特徴とする混合試料液の分析方法。
  9. 前記検出を、光学的に行うことを特徴とする請求項8記載の混合試料液の分析方法。

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