JP2007278741A - 試料液分析用ディスクならびに試料液の分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体試料に対して固体試薬を迅速に溶解させることができるようにして、固体試薬を迅速かつ正確に反応させることができ、試料液の検出の正確性を確保することができる試料液分析用ディスクおよび試料液の分析方法を提供すること。
【解決手段】ディスク本体に液体試料貯留部23、試薬チャンバー24および測定チャンバー25を設け、試薬チャンバー24に、複数種類で、各々複数個の固体試薬30を配列し、液体試料貯留部23から試薬チャンバー24に1種類の固体試薬30の総体積分に相当する量の液体試料を供給し、ディスク本体を回転させることにより、試薬チャンバー24で液体試料と固体試薬30を混合させ、試料液を測定チャンバー25に供給する。
【選択図】図2

Description

本発明は試料液分析用ディスクおよび試料液の分析方法に関し、特に、臨床検査分野に属し、ディスク本体の内部に展開された血液等の試料と反応した液体試料と試薬の混合溶液に、ディスク本体の内部に設置された固体試薬を混合して作用させ、その混合された試料液の化学反応を検出することにより、試料の分析を行うための試料液分析用ディスクおよび試料液の分析方法に関するものである。
近年、分析・解析・検査技術の進歩により、様々な物質を測定することが可能となってきている。特に、臨床検査分野においては、生化学反応、酵素反応、若しくは、免疫反応等の特異反応に基づく測定原理の開発により、病態に反映する体液中の物質を測定できるようになった。
その中で、ポイント・オブ・ケアテスティング(POCT)と呼ばれる臨床検査分野が注目されている。POCTは、簡易迅速測定を第一とし、検体を採取してから検査結果が出るまでの時間の短縮を目的とした取組みが行われている。したがって、POCTに要求される仕様は、小型で携帯性があり、操作性が良いことである。
近時のPOCT対応測定機器は、簡易測定原理の構築、それに伴う生体成分の固相化技術、センサデバイス化技術、センサシステム化技術、微細加工技術、およびマイクロ流体制御技術の進歩により実用性の高いものが提供されるようになってきている。
このような、POCT対応測定機器として用いることが可能な分析装置として、従来、ディスク上に展開した試料の定性・定量分析を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この測定装置は、血液等の試料を分析することで病気の診断等を行うことができるものであり、この測定装置を図5、6に基づいて構成を説明する。ディスク1には試料注入孔2および試料注入孔2に連通する流路3が設けられており、流路3中には試料5と反応して光学特性(透過率・色等)が変化する試薬4が塗布してある。試料5の分析は、試料注入孔2からディスク1内に試料を注入して分析装置により装着して行う。
図6は上述した分析装置を示す構成図であり、この分析装置の構成は、所謂光ディスク装置に類似しており、ディスク1を回転させるためのスピンドルモータ6、ディスク1内に展開された試料5または試料5と反応した試薬4に光ビームを照射するための光ピックアップ7、光ピックアップ7をディスク1の半径方向に移動させるための送りモータ8等から構成されている。
分析装置に装着されたディスク1は、スピンドルモータ6により回転し、その遠心力により試料5がディスク1の流路3内に展開され、同時に流路3内に塗布された試薬4と反応する。
反応の終了後、ディスクを回転させながら光ピックアップ7を用いて流路3内の試料5若しくは試薬4に光ビームを照射し、その反射光若しくは透過光を検出することで試薬の反応状態を検出して分析を行う。
このような従来のディスクの構成に、例えば、血液中の血漿成分のみを試薬と反応させるために、血球を遠心分離により除去したり、複数の試薬を順次溶解、反応させたりするために、試薬を塗布する複数のチャンバー部分とチャンバー部分間を結ぶ流路を設けることにより、試料液を自由に移動、停止させる機能を付加した構造も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図7に基づいて特許文献2に対応するメカニズムを簡単に説明する。図7において、屈曲した流路12は、試料液流動の上流側チャンバー11の遠心力の方向を基準に見た場合の上流側チャンバー11の下側11aから出た後、上流側チャンバー11の遠心力方向を基準に見た場合の上側壁面より水準以上の位置12aまで持ち上がり、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていき、その先に配置された下流側チャンバー13に連結されている。
また、下流側チャンバー13は流路12と同様に屈曲した流路14によって透過光測定チャンバー15にまで連結されている。ここで重要なことは上流側チャンバー11の深さが流路12の深さより大であることである。これにより、流路12を毛細管現象で移動してきた試料液は、流路12が上流側チャンバー11に連結している部分で毛細管現象による移動が妨げられ、この結果、上流側チャンバー11の手前で試料液を停止させることができる。
この状態からディスクを回転させる等して遠心力を与えることで、停止していた試料液は下方側チャンバー13に流入する。ここで更に重要な構造として、上述したような上流側チャンバー11の遠心力方向を基準に見た場合の上側壁面より水準以上の位置12aまで持ち上がり、続いて、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていくという、流路12の配置上の特色である。
この特色のため、遠心力を加えた際に、上流側チャンバー11に溜まり、流路12の下方側チャンバー手前13部分まで満たした試料液に、サイフォン効果が働き、流路12を経由して、上流側チャンバー11に溜まった試料液のほぼ全量が下方側チャンバー13に流入するのである。
ところで、遠心力が作用している間は、下方側チャンバー13に流入した試料液が流路14にも浸入するが、下流側チャンバー13の液面と、遠心力方向を基準に見た場合の同じ水準までしか液面は到達しない。
したがって、流路14を上述した流路12と同様に下方側チャンバー13の上側側面より上方まで持ち上げた構造にしておけば、遠心力が作用している間は、次のチャンバー手前まで試料液が移動することはない。
そして、回転を停止する等して、遠心力の作用を除去したときに、直ちに毛細管現象で試料液は流路14を移動して透過光測定チャンバー15の手間まで到達する。そして、この状態から遠心力を作用させることで透過光測定チャンバー15に試料液が流入する。
この状態で遠心力の作用を中止すると、透過光測定チャンバー15内の試料液が毛細管現象により流路14を逆流し、透過光測定チャンバー15内の試料液量が不足する場合があること等の理由により、透過光測定時にも遠心力を作用させる。
各チャンバー間11、13、15の試料液の流入を円滑にするために、各チャンバー11、13、15上部には試料液が到達し得ない部分に空気穴16,17,18が設けられている。このような構造により、試料液に十分溶解、反応させ、流路を移動させることが可能である。
また、上流側チャンバー11に試料液中の特定成分の測定に必要な反応試薬を乾燥担持する場合、反応に必要な濃度以上の試薬濃度の水溶液を上流側チャンバー11の容積量だけ滴下乾燥するか、上流側チャンバー11の容積量の試料液に反応試薬が溶解した際に、反応に必要な試薬濃度足りうる量の試薬を上流側チャンバー11内に担持できるような濃度と滴下量の試薬溶液を滴下乾燥することで反応試薬層を得ることができる。
ところが、上流側チャンバー11に試薬溶液の風乾により試薬層を形成する構成では、試料液が流入した際に、特に撹拌の効果を得ることができない場合には、試薬層の成分によっては、試薬層が溶解してから、試料液中全体に均一に拡散するまでに長時間を要する場合があった。試薬溶液の風乾によって試薬層を得た場合、試薬層表面が稠密になることも、試料液による溶解に長時間を要する要因となる。さらに、試薬溶液の風乾過程で、水分の蒸発により試薬溶液が非常に濃縮されるので、試薬層の組成によっては、部分的に変性する可能性がある。
このような固体状試薬の溶解性に関する課題を解決する有効な方策として、反応試薬の固形化を試薬溶液の凍結乾燥によって行うことで、溶解性を向上させるようにしたものがある。このような技術としては、試薬溶液を液体窒素等の冷凍剤液中に滴下して、球状の凍結体を得て、これを凍結乾燥して均一な顆粒状の固体試薬を得るものがある(例えば、特許文献3参照)。
この顆粒状の固体試薬を遠心分離用ロータに組み入れることも提案されている(例えば、特許文献4参照)。このものは、全血から血漿を遠心力によって分離する機能を有し、内部チャンバーと複数の試験用凹部と通路を有するものであり、ロータに凍結乾燥によって得た球状の顆粒を配置することで、迅速な試薬の溶解性を得て、良好な反応性を得ることができる。
国際公開第00/26677号パンフレット 特開2000−580007号公報 特表平7−501880号公報 米国特許第5122284号明細書
しかしながら、試薬成分の特性上、反応時には混合が必要だが、保存特性的には混合を避けたい試薬の組み合わせのために、試薬顆粒を複数用いる場合には、各々の試薬顆粒の体積を、試薬顆粒を溶解させるための試料液量より少なくしなければならない。
例えば、2個の試薬顆粒を同時に溶解させて反応させるためには、各々の試薬顆粒の体積は、試料液量の2分の1以下にしなければならない。あるいは、試薬顆粒を1個ずつ別々のチャンバーに配置し、試料液が順次試薬顆粒を溶解していくようにチャンバーを結ぶ通路を設ける必要がある。
前者の場合、試薬顆粒の密度が大きくなり、試薬の溶解性が悪化する場合があり、また、後者の場合には、試料液の移送において、2つのチャンバーへの流入出の過程を挿入しなければならず、その分、全体の測定時間が長くなるという不利が生じる。
また、測定に必要な試薬量を試薬顆粒とした場合、その寸法が大きくなり、試薬顆粒を内包するチャンバーの天井高を大きくする必要があり、ひいては試料液分析用ディスクの厚みを大きくとる必要が生じる場合があった。
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、液体試料に対して固体試薬を迅速に溶解させることができるようにして、固体試薬を迅速かつ正確に反応させることができ、試料液の検出の正確性を確保することができる試料液分析用ディスクおよび試料液の分析方法を提供することを目的とする。
本発明の試料液分析用ディスクは、液体試料と固体試薬の化学反応を検出することにより、試料液の分析を行うための試料液分析用ディスクであって、ディスク本体と前記ディスク本体内に設けられた少なくとも1個以上の試料混合手段とを備え、前記試料混合手段は前記液体試料を貯留可能な液体試料貯留部と、前記液体試料貯留部に第1の流路を介して接続されるとともに、複数種類の固体試薬をそれぞれ複数個備え、前記ディスク本体の回転による遠心力および前記第1の流路に生じる毛細管力によって前記液体試料貯留部から液体試料が供給される試薬チャンバーと、前記試薬チャンバーに第2の流路を介して接続され、前記ディスク本体の回転による遠心力および前記第2の流路に生じる毛細管力によって前記試薬チャンバーで混合された前記液体試料と前記固体試薬が混合された前記試料液が供給される測定チャンバーとを備えることを特徴とする。
さらに、前記試薬チャンバーが測定チャンバーとして機能する構造であることを特徴とする。また、前記固体試薬は、1個あたりの質量が作製時に制御されており、チャンバーに実装する際にはその個数を制御することでチャンバー内の試薬総量を制御することができる。前記固体試薬のそれぞれの試薬毎の総量は、前記試薬チャンバーの体積の試料液に溶解した際、反応に必要な濃度が確保されている。
従って、それぞれの試薬毎の総量の調整を、前記試薬チャンバーに実装する固体試薬の個数で行うことができ、試薬溶液の固形化を、ディスク外で行うことと、固体試薬のディスクへの実装時の試薬量の調整および、ディスク完成時の品質管理を容易かつ確実にすることが可能である。
また、固体試薬を顆粒状に成型し、反応に必要な、それぞれの種類の固体試薬を複数個ずつ試薬チャンバーに実装することで、それぞれの固体試薬の単位質量あたりの表面積を大きくすることができ、その結果、試料液への溶解性が向上することが期待できる。また、それぞれの種類の固体試薬の、チャンバー内での分布を、より均一に近づけることができるので、試料液に溶解した際のチャンバー内の濃度分布の偏りも抑制できる。本発明の試料液分析用ディスクは、凍結乾燥法によって製造された凍結乾燥顆粒を用いることを特徴とする固体試薬を用いることもできる。凍結乾燥法によって、固体試薬の溶解性は、更に向上する。
また、本発明の、試料液分析用ディスクを用いて試料液の分析を行う方法は、前記固体試薬が溶解した試料液の化学反応を、光学的検出手段で検出することを特徴とする。
そして、ここに記載された試料液分析用ディスクを用いて試料液の分析を行う方法は、前記液体試料貯留部から前記試薬チャンバーに前記試薬チャンバーの容積分に相当する量の液体試料を供給し、前記ディスク本体を回転させることにより、前記試薬チャンバーで遠心力および毛細管現象を利用して前記液体試料と前記固体試薬を混合させるか、またはディスク表面の試薬チャンバーに対応する位置に、測定器本体に備えられた振動子を押し当てて前記固体試薬を溶解させたのち、前記試料液を前記測定チャンバーに供給することを特徴とする。
試薬チャンバーへの試料液の流入と、測定チャンバーへの移送のみでも十分に固体試薬の溶解が期待できるが、更に、振動子を接触させることで、より迅速な溶解が可能になる。特に、試薬チャンバーが測定チャンバーを兼ねる構造の場合、振動子を用いることで、試薬チャンバー内に溶解した各試薬成分の濃度分布が均一になり、測定時の応答のばらつきを抑制することが可能になる。
以上説明したように、本発明によれば、液体試料に対して固体試薬を迅速に溶解させることができるようにして、固体試薬を迅速かつ正確に反応させることができ、試料液の検出の正確性を確保することができる試料液分析用ディスクおよび試料液の分析方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1および図2は本発明に係る試料液分析用ディスクおよび試料液の分析方法の第1の実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。図1において、試料液分析用ディスクのディスク本体21に試料混合部(試料混合手段)22が設けられている。
この試料混合部22は、図2に示すように液体試料貯留部23、試薬チャンバー24および測定チャンバー25を備えている。液体試料貯留部23には液体試料が供給される供給口26が設けられており、供給口26から供給される液体試料が貯留される。
液体試料貯留部23は流路(第1の流路)27を介して試薬チャンバー24に接続されており、試薬チャンバー24には、例えば、4種の固体試薬がそれぞれ10個ずつ配置されている。同一種類の試薬のチャンバー内で分布に偏りが出ないように、配置は、他の個体試薬と一緒に、ランダムに配置されている。
ディスク本体21の回転による遠心力Aおよび第1の流路27に生じる毛細管力によって液体試料貯留部23から液体試料が供給されるようになっている。
測定チャンバー25は流路(第2の流路)28を介して試薬チャンバー24に接続されており、ディスク本体21の回転による遠心力および流路28に生じる毛細管力によって試薬チャンバー24で混合された液体試料と固体試薬30の混合された試料液が供給され、測定チャンバー25で図示しない光学的検出手段で試料液の分析が行われる。
また、測定チャンバー25は流路29を介して試薬チャンバー24に接続されており、流路29には液体試料および試料液の流通を円滑にするための穴29aが形成されている。
また、ディスク本体21は上基板、スペーサおよび下基板から構成されており、上基板には液体試料貯留部23、試薬チャンバー24および測定チャンバー25の側壁の一部と上面が形成されており、スペーサには流路27〜29の側壁と液体試料貯留部23、試薬チャンバー24および測定チャンバー25の側壁の一部に相当する切り抜きが形成され、下基板には液体試料貯留部23、試薬チャンバー24および測定チャンバー25の底面が形成されている。
本実施の形態の試薬チャンバー24は複数の固体試薬30を縦横に配列するように、形成されている。試薬チャンバー24の深さは流路27の深ささより大きければよい。流路27と試薬チャンバー24の深さが同じでなく、その接続部分に段差があることで、試料液が毛細管現象で流路27に流入した際、そのまま試薬チャンバー24にまで流入するのを防ぐことができる。ディスク本体を回転させることによる遠心力を加えることで、流路27と試薬チャンバー24の接続部で停止した試料液を試薬チャンバー24に流入させることができる。また、試薬チャンバー24の深さは、固体試薬の大きさと同じかそれ以上であることが好ましい。
図2では、試薬チャンバー24内には40個の固体試薬30が密着して同一平面に配列されているが、試薬チャンバー24の深さを固体試薬の大きさより大きくすることで、試薬固体を立体的に充填する構造を持たせることも可能である。試薬チャンバー24と測定チャンバー25は流路28により接続されている。流路28は、試薬チャンバー24の、ディスク本体回転時の遠心力の方向に対して下手側の側面に開口し、U字状に湾曲し、一旦遠心力の上手方向に向かい、更にもう1箇所のU字状の湾曲部分を有することで、遠心力の下手方向に向かい、測定チャンバーに接続する。
このもう1箇所のU字状の湾曲部分は、試薬チャンバー24に試料液が流入した際の試薬チャンバー24内での液面の位置より、遠心力の方向に対して上手側に位置する必要がある。この位置にU字状の湾曲部分を設けることより、前記のように遠心力で試料液が試薬チャンバー24に流入した際、流路28内の一部に浸入した試料液と流路28内の壁面の間の毛細管力より強い遠心力が加えられている間は、試料液は、試薬チャンバー24内と、流路28の、試薬チャンバー24と前記もう1箇所のU字状湾曲部分の間に滞留し、測定チャンバー25へ流れ出すことは無い。
従って、固体試薬が試料液に完全に溶解するまで試料液を試薬チャンバー24内に留めておくことが可能である。この状態から、ディスク本体の回転を弱める、あるいは停止させるなどして遠心力を試料液と流路28内の壁面の間の毛細管力より弱くすると、試料液は流路28内を毛細管現象により移動し、測定チャンバー25近傍に到達する。この状態で遠心力が加えられると、試薬チャンバー24に滞留している試料液もほぼ全て測定チャンバー25に流入する。
このような動作機除で試料液の移送と滞留を制御するために、添加される試料液量は、試薬チャンバー24内と、流路28の、試薬チャンバー24と前記もう1箇所のU字状湾曲部分の間の容積より少なくないといけない。従って、液体試料貯留部23の容積は、これを考慮したものである必要がある。
ディスク本体21の構成を具体的に説明する。上基板31および下基板32はポリカーボネート製の板材から構成されており、これに両面に粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレート製の厚み100μmの板材からなるスペーサ32が貼り合わされる。
本実施の形態では、上基板31の片面には液体試料貯留部23、試薬チャンバー24および測定チャンバー25が上基板31の成型過程で作成される。上基板31の試薬チャンバー24はディスク本体21の回転時の遠心力が加わる向きを「縦方向」とした場合、縦2.5mm、横6mmの長方形の平面形状を有し、深さが0.5mmになるように加工された底面構造を有する。
これに100μmのスペーサ32を挟んで上基板31を張り合わせるので、試薬チャンバー24の底面の部分から上面までの距離、すなわち試薬チャンバー24の深さは0.6mmになる。
ここに、40個の固体試薬30の顆粒を配置する。また、液体試料貯留部23には1.0μlの試料液が入るように寸法を規定し、かつ固体試薬30の体積の総和を4.0μlになるように球状の固体試薬が作製される。固体試薬30は各々体積0.1μlの球なので、直径は計算上約0.6mmである。従って、上述した寸法の試薬チャンバー24に40個の固体試薬30を配置することが可能である。これを、上基板の試薬チャンバー24の凹部に配置し、上基板をスペーサおよび下基板と貼り合わせて、試薬チャンバー24中に配置する。この際、試薬チャンバー24の天井高は0.6mmなので、直径0.6mmの球である固体試薬30は潰れることなく配置される。
なお、本発明における固体試薬は、可算で、各々の固体試薬の大きさと密度と組成を制御でき、同じ種類として作製した固体試薬は、大きさ、密度、組成が全て同じであることを特徴としている。実際的には、固体試薬が球状の場合、直径が0.1mm以上、体積にして約0.5nl程度以上の、所謂「粒体」(「神保著 粉体の科学,1985,講談社」による分類を参照)の体裁を持つものがこれに該当する。これより微細な固体の場合、固体同士の付着力が相対的に大きくなり、取り扱いが煩雑になるので好ましくない。
なお、固体試薬30の形状は球状に限らず、半球形、円柱形、多角柱形、多面体でも良い。このような形状の固体試薬を用いても、試薬チャンバー24の幅、深さ、長さは上述したように試薬の高さ、幅、長さに応じて形成される。また、固体試薬30の総数を、本実施例では40個としたが、適切な試薬チャンバー24の寸法と、試薬固体30の寸法を選択することで、これに限定されず、用途に適した個数とすることが可能である。
次に、試料液の分析方法を説明する。
まず、試薬チャンバー24で液体試料と固体試薬30が混合されるメカニズムを説明する。
固体試薬30の溶解性、固体試薬30の作製時に用いる試薬溶液の安定性等の観点から、固体試薬30中の試薬密度(単位体積あたりの試薬量)は、試薬溶液中での試薬濃度と略同じ水準以下にすることが望ましいが、固体試薬30同士の混合による安定性低下を避けるために、別々の固体試薬30として形成して、反応時に混合されることが求められる試薬もあるので、1つの試薬チャンバー24には複数の固体状試薬を配置する。
次いで、供給口26から固体試薬30の1種類の試薬固体の総量の体積に相当する液体試料を液体試料貯留部23に供給してディスク本体21を図示しないモータによって回転させると、ディスク本体21の回転による遠心力と流路27の毛細管現象により、液体試料貯留部23の液体試料が試薬チャンバー24に流入する。この際、液体試料が固体試薬30の周囲に確実に接触し、少なくともこの固体試薬30の外周部を溶解する。
また、このとき、液体試料の量は固体試薬30の1種類の固体試薬の総体積にしか相当しないので、試薬チャンバー24に液体試料が全て流入しても、固体試薬30の遠心力方向にみて、概ね「1/固体試薬の種類数」の部分の固体試薬しか溶解しない。
したがって、液体試料の流入時に溶解しなかった固体試薬30は、そのままでは溶け残り続ける。ところが、固体試薬30は試薬チャンバー24を塞ぐように配列されるので、固体試薬30の外周の溶解と、遠心力の作用とにより、溶け残った固体試薬30は試薬チャンバー24の遠心力方向Xの外側に貯留している液体試料に没し、液体試料中に溶解する。
この際、遠心力の作用下においても、試料液面と溶け残った固体試薬30の間に、ゲル状になった一部の固体試薬30が試薬チャンバー24の内壁に残留し、ここに含まれる試料液が、毛細管現象によって溶け残った固体試薬30に対して未だ液体試料に接触せずに乾燥状態のままになっている部分にまで到達し、さらにゲル状の部分も徐々に溶解が進み、最後には全ての固体試薬30が液体試料に没して溶解する。
1種類の固体試薬を複数個ずつ試薬チャンバー24に実包する構造にすることで、個々の固体試薬における表面積/質量比がより大きくなり、試料液に対する溶解性の向上が期待される。
固体試薬30の溶解に引き続き、液体試料と固体試薬30が混合された試料液が毛細管現象と遠心力の作用とによって流路28を介して測定チャンバー25に供給される。
次に、具体的な分析対象として血漿中のトリグリセリド(中性脂質、以下TGと記す)濃度を測定する方法を説明する。
固体試薬30は、後述するように、反応に必要な試薬群を水あるいはpH緩衝液に溶解させた溶液を凍結乾燥法で形成される。TGを検出する試薬系では、全ての固体試薬30を1つの層にした場合、固体試薬30同士の相互作用による変性の懸念がある。そこで、本実施の形態では、4種類に分割した固体試薬30を1個の試薬チャンバー24に配置する。
ここで、固体試薬30は、反応に必要な試薬を固形化したもので、固体試薬30の粉体を固体試薬30の直径の球形の鋳型に封入、圧縮したり、固体試薬30の水溶液の液滴を求められる固体試薬30の直径に制御して凍結乾燥したりして得ることができるが、試薬チャンバー24内に流入した液体試料によって溶解した際に、反応に必要な濃度が確保できるだけの試薬量を試薬チャンバー24内に実包できるような固体試薬30の製造方法であれば上記の方法に限られるものではない。
固体試薬の密度と体積を制御する方法としては、鋳型に封入する方法を用いる場合、直径、あるいは一番長い部分の長さが50μm以下の粉体を同じ量ずつ、同じ形状、容積の雌型に封入し、同じ体積になるように圧縮して形成することで、同じ形状、密度、組成の固体試薬を得ることができる。また、一定濃度の試薬溶液を、溶液吐出装置によって、撥水基板上に一定量ずつ吐出して、試薬溶液の液滴を形成し、そのまま凍結乾燥する方法でも、同じ形状、密度、組成の固体試薬を得ることができる。また、上述した、鋳型を用いて、同じ形状、容積の鋳型に試薬溶液を注入し、その鋳型ごと冷却し、凍結した試薬溶液を凍結乾燥してもよい。
また、固体試薬30は、単一あるいは複数の物質の混合物である。1つの試薬チャンバー24内に実包される固体試薬30が複数種類必要であるのは以下のような場合である。
例えば、液体試料の特定成分の検出のための化学反応に10種類の物質が必要な場合があるとすると、10種類の物質すべてを1個の固体試薬にすれば、試料液で固体試薬が溶解したのち直ちに化学反応が進行して都合が良いが、10種類の物質のうち、接触することで互いに干渉し、徐々に変性するような組み合わせの試薬が含まれる場合など、すべてを1つの固体試薬にするのが困難な場合である。
上述したように試薬チャンバー24によって混合された試料液が測定チャンバー25に供給されると、測定チャンバー25において後述するように、TGの化学反応に起因する、固体状試薬層に含まれる色素の特定波長の吸光度変化の検出を行う。
したがって、上述したように、測定チャンバー25の底面および上面を平面に形成し、光学的に波長に対して略透明であることが求められる。測定チャンバー25の深さは、後述する固体試薬30の構成の場合は200μmが適切であるが、一般的には、透過光測定時の光路長に相当するので、測定時に透過光量または吸光度が変化することにより測定対象物質の濃度を示す物質の透過光量または吸光度が適切な数値になるように適切に設定する必要がある。
血漿中のTG濃度を測定するために、以下の反応機構を用いる。
(1)TG→グリセロール(酵素:リポ蛋白リパーゼ)
(2)グリセロール+NAD→ジヒドロキシアセトン+NADH(酵素:グルセロールデヒドロゲナーゼ)
(3)NADH+WST−9→NAD+ホルマザン(酵素:ジアホラーゼ)
上記の式(3)中のホルマザンの生成による波長650nmの透過光に対する吸光度が濃度に対応する変化量を測定し、TGから生成したグリセロール濃度を算出する。血漿中には微量のグリセロールが含まれているので、より正確にTG濃度を測定する場合には、反応式(2)(3)のみを用いた測定系でグリセロール濃度を測定し、相殺することで、TG濃度を求めることが望ましい。
また、反応にはpHを調整するための緩衝剤として、例えばCHES(N−Cyclohexyl−2−aminoethanesulfonic acid)を用いる。なお、上記の式(2)、(3)中の略語NADはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化形態、NADHは同還元の形態である。WST−9は「水溶性テトラゾリウム−9」の英語の頭文字をとった略称で、(株)同仁化学研究所より入手できるテトラゾリウム塩の1種である。ジアホラーゼはNADHのNADへの酸化反応とそれに共役する還元反応を触媒する酵素である。
また、4種の固体試薬30は上記の反応を行うようにするために作製される。具体的には、固体試薬30の1つはpH緩衝剤であるCHES、固体試薬30の他の1つはジアホラーゼ、固体試薬30の他の1つはWST−9とNADの混合物、固体試薬30の他の1つはリポ蛋白リパーゼとグリセロールデヒドロゲナーゼの混合物である。
血漿中グリセロール濃度の測定の場合には、グルセロールデヒドロゲナーゼのみを用いる。試薬チャンバー24には、4種の固体試薬30をなるべく同じ種類の試薬が隣り合わないように配置することが望ましい。これは各々の成分が、試薬チャンバー24中の各部に均一に溶解させるためである。
また、固体試薬30は、水溶液を凍結乾燥した後、球状に成型することにより製造される。凍結乾燥粉を球状の鋳型に入れて成型しても良い。同じ鋳型で成型するので、同じ大きさ、密度、組成の固体試薬を大量に得ることができる。また、反応性に影響を与えない範囲で糖や、蛋白等を適宜用いて物理的な強度の向上を図ることができる。
各々の固体試薬30は体積0.1μlの球状になるように形成され、試薬チャンバー24に各々10個ずつ、計40個配置される。さらに、それぞれの固体試薬30を得るための試薬水溶液の濃度は、1μlの試料液で反応に必要な濃度になるように調整される。
各固体試薬は、下記の成分を下記の濃度で溶解した溶液を凍結乾燥することで形成される。
固体試薬1:200mM(ミリモル/リットル)CHES水溶液
固体試薬2:1.5キロユニット/ml ジアホラーゼ(東洋紡DAD−301、60ユニット/mg)、1重量% ポリエチレングリコール(平均分子量6000)
固体試薬3:12mM NAD、15mM WST−9、2.5重量% ウシ血清アルブミン
固体試薬4:1.2キロユニット/ml グリセロールデヒドロゲナーゼ(東洋紡、76ユニット/mg)、1.25キロユニット/ml リポタンパクリパーゼ(東洋紡、30.6ユニット/mg)、1重量% ポリエチレングリコール(平均分子量6000)
固体試薬5:1.2キロユニット/ml グリセロールデヒドロゲナーゼ(東洋紡、76ユニット/mg)、1重量% ポリエチレングリコール(平均分子量6000)
上記の固体試薬1〜5を構成する試薬のうち、上述した反応式(1)〜(3)に関連しないものは、固体化した際に形状の維持、強度の確保のために添加したものである。
この目的のために添加される試薬としては、蛋白質や糖、高分子化合物などが一般的に知られているが、反応に必要な試薬の組み合わせに応じて、適切な種類、濃度を設定する必要がある。また、反応に必要な試薬の濃度について、上記の数値を用いることで、適切な反応を得ることができるが、実用的には、前記の添加物の種類や濃度とも関連して、数分の一から数倍程度の冗長度があるので、上記の数値に必ずしも限定されるものではない。
上記の試薬溶液1〜5を、0.1μlずつ撥水処理した板の上に滴下して略球状の液滴を得て、これを凍結、その状態で凍結乾燥すると液滴の形状と大きさを維持したまま固形化される。なお、上記の試薬溶液の各試薬の濃度は、反応時に最適な濃度である。固体試薬1〜5のうち、固体試薬1,2,3,4を1つの試薬チャンバー24に、各々体積0.1μlの略球状の固体10個ずつ、計40個を試薬チャンバー24に配置し、これを「主反応ディスク」と呼ぶことにする。
これに対し、固体試薬1,2,3,5を同様に配置したディスクを作成し「ブランクディスク」と呼ぶことにする。「主反応ディスク」では、上述した反応式に従い、TGをグリセロールに変化させ、グリセロールを酸化させた際にWST−9から生じるホルマザン生成を検出し、「ブランクディスク」では、もともと試料液に含まれるグリセロールを酸化させ、その際WST−9から生じるホルマザンを検出する。
各々、1つのディスク、即ち1つの試薬チャンバー24に配置された個体試薬の体積の総計は4μlになる。以下に記すように、測定時には、試薬チャンバー24には1μlの試料液が流入してくるように流路、チャンバーの構成が設計されているが、液体試料で固体試薬30を溶解させる過程において、液体試料が試薬チャンバー24に流入するときに各固体試薬30の一部が溶解し、引き続き、ディスク本体21に作用する遠心力と毛細管力により、溶け残った固体試薬30も完全に溶解させることができるので、固体試薬の体積の総計が試料液量の4倍にも及んでも試料液で完全に溶解させることができ、そのとき試料液中の各試薬の濃度は反応に最適な濃度になっている。
「主反応ディスク」「ブランクディスク」についてそれぞれ、上述した方法で作成された固体試薬30を包含するディスク本体21の液体試料貯留部23に、標準血清またはこれを生理食塩水で希釈した液体試料を点着し、測定装置によって試料液の吸光度を測定したところ、固体試薬30は完全に溶解し、吸光度を測定することができ、「主反応ディスク」の吸光度から「ブランクディスク」の吸光度を引き算した数値は、試料液中のTG濃度に依存した。
このように本実施の形態では、ディスク本体21に液体試料貯留部23、試薬チャンバー24および測定チャンバー25を設け、試薬チャンバー24を、配置する固体試薬30がすべて内部に収納できるだけの容積が確保される寸法であればよい。
この結果、液体試料に対して固体試薬30を迅速に溶解させることができ、固体試薬30を迅速かつ正確に反応させることができ、試料液の検出の正確性を確保することができる。
なお、本実施例では、固体試薬作製時の試薬溶液の濃度は、反応時に最適な濃度にしたが、試薬の溶液中での安定性と、試料液に対する溶解性が確保できるならば、更に濃い濃度で作製してもよい。例えば、測定時の試薬濃度Cn(試薬aの場合nはa、試薬bの場合nはb・・・・)、固体試薬の種類数N、全固体試薬の全体積V、測定時の試料液量Lであるとき、試薬溶液の濃度を全試薬について、N×Cnにすることが可能であるなら、V=Lを満たすように調整した試薬溶液で固体試薬を作製することができる。この場合、試料液が試薬チャンバー24に流入したときには、直ちに全ての固体試薬が試料液中に没し、迅速な溶解が期待される。
また、本実施の形態では、固体試薬30として、凍結乾燥法によって製造された凍結乾燥顆粒を用いるので、固体試薬30の実質的な表面積を大きくして液体試料に対して溶解し易くすることができ、更に、小径の顆粒を複数個用いることにより、更なる表面積増大の効果から溶解性の向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、測定チャンバー25に供給された試料液の化学反応を、光学的検出手段で検出するので、試料液の透過光量または吸光度の変化を検出することにより、試料液の化学反応を高精度に検出することができる。
(第2の実施の形態)
図3〜4は本発明に係る試料液分析用ディスクおよび試料液の分析方法の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
図4に示すように、第2の実施の形態においては、試薬チャンバー24が測定チャンバー25を兼ねた構造(以降試薬チャンバー24/測定チャンバー25と記述する)になっている。
このような構造にすることで、試料液の搬送に要する時間を短縮することが可能である。しかし、第1の実施の形態と異なり、試薬チャンバー24/測定チャンバー25内での固体試薬30の溶解性を向上させるために、図示していない攪拌治具を測定装置に備えている。この攪拌装置は、ディスク本体21の、試薬チャンバー24/測定チャンバー25の近傍に、振動子を押し当てることができる機能を有しており、ディスク本体21が静止したときに、ディスク本体21の、試薬チャンバー24/測定チャンバー25の近傍に振動子を押し当て、振動子が500ヘルツ程度で振動することで、試料液中に没した固体試薬の溶解を促進する。
なお、測定時、ディスク本体21は吸光度測定のための光源部と検出部にはさまれる位置にあるので、試薬チャンバー24/測定チャンバー25の深さは、吸光度測定する際の光路長と関連する。従って、第1の実施の形態と同様にTG濃度を測定する場合に、波長650nmの吸光度を測定するのであれば、試薬チャンバー24/測定チャンバー25の深さは200μmにすべきであるが、固体試薬の直径を200μmにする場合、固体試薬1個の体積は約0.04μlになり、固体試薬の取り扱いが困難になる。そこで、本実施の形態では、TGの単位濃度あたりの吸光度変化がより小さい測定波長として、波長780nmで測定することにし、試薬チャンバー24/測定チャンバー25の深さを第1の実施の形態と同じ0.6mmとした。
次に、第2の実施の形態での試料液の分析方法を説明する。
供給口26から固体試薬30の10個分の体積に相当する液体試料を液体試料貯留部23に供給してディスク本体21を図示しないモータによって回転させると、ディスク本体21の回転による遠心力と流路27の毛細管現象により、液体試料貯留部23の液体試料が試薬チャンバー24/測定チャンバー25に流入する。
このとき、全ての固体試薬30の試薬チャンバー24/測定チャンバー25の長辺部分に近い部分が液体試料に確実に没し、少なくともこの固体試薬30の一部を溶解する。また、第1の実施の形態で説明したように、液体試薬中での試薬濃度と略同じ水準以下にすることが望ましいので、1つの試薬チャンバー24に複数種類の固体試薬30を配置する場合、試薬チャンバー24に液体試料が全て流入しても、流入直後には固体試薬30は液体試料に全没しない。
したがって、固体試薬30の液体試料の流入時に溶解しなかった部分は、そのままでは溶け残り続ける。ところが、固体試薬30は試薬チャンバー24/測定チャンバー25の側壁に接して配置されているので、その一部が液体試料で溶解すると、溶け残った部分も液体試料に接触し続けるため、遠心力の作用下でも、毛細管現象で溶け残った固体試薬30に液体試料が浸透する。
この作用により、溶け残った固体試薬30の一部が溶解し、さらに、その後の遠心力の添加により、依然溶け残っている固体試薬30も、試薬チャンバー24/測定チャンバー25の遠心力方向の外側に貯留している液体試料中に没し、結果的に液体試料に溶解する。そして、最終的に全ての固体試薬30が液体試料に没して溶解する。
このようにして固体試薬30と液体試薬が混合された試料液は、しかしながら、第1の実施の形態の場合と異なり、この後他の場所に搬送されることがないので、攪拌される機会が無く、このままでは試薬濃度が全体で均一にならない。
そこで、ディスク本体の回転を停止し、ディスク本体の外側、試薬チャンバー24/測定チャンバー25の近傍に、測定装置に設置された攪拌子を押し当て、攪拌子の振動により、試薬チャンバー24/測定チャンバー25内の試料液に振動を付与する。攪拌子には500ヘルツの振動を付与したところ、試料液に付与された振動により、試料液中に不均一に溶解した固体試薬は、試料液中に均一に拡散する結果が得られたが、振動数については、これに限定されるものではない。あまりに低周波では攪拌の効果が得られにくく、また、あまりに高出力かつ高周波の場合には、ディスクの攪拌子と接触している部分が破損したり、試薬チャンバー24/測定チャンバー25内の試料液が加熱されたり、沸騰したりする場合があるが、このような現象が生じない限りにおいて振動数と出力は任意の値とすることができる。
本実施の形態にあっても、第1の実施の形態と同様の条件で血漿中のTG濃度を測定した結果、固体試薬30は完全に溶解し、試料液中のTG濃度に依存した吸光度変化を観測することができた。
なお、上記各実施の形態では、色素たるWST−9の吸光度変化を検出することで、血漿中のTG濃度を測定する例を示したが、検出方法はこれに限定されるものではない。
吸光度変化を検出する代わりに、電気化学的変化を検出することでTG濃度を測定することも可能である。例えば、水溶液になった際、フェリシアン化物イオンを生成するフェリシアン化カリウムをWST−9に代えて用いることもできる。フェリシアン化カリウムを固体状試薬層に含有させ、測定チャンバー25内に少なくとも対極と作用極の役割を果たすことができる電極を設け、さらに、ディスク本体21に、上述した電極にディスク本体21の外部から接触することができる端子を設ける。このディスクを用い、血漿中のグリセロールの酸化によってフェリシアン化物イオンが還元されて生じるフェロシアン化物イオンを、前記電極間に電圧を印加することで再度酸化させる際に生じる酸化電流値を計測して測定することができる。この場合には、フェリシアン化カリウムのかわりに、NADHとの間で電子授受が可能なレドックス化合物を任意に用いることができる。
また、血漿中のTG以外にも、目的の成分に対する化学反応により生じた変化を光学的あるいは電気化学的に検出可能な反応系の確立が可能な場合には任意の測定対象について本発明を用いることが可能である。
本発明にかかる試料液分析用ディスクおよび試料液の分析方法は、液体試料に対して固体試薬を迅速に溶解させることができるようにして、固体試薬を迅速かつ正確に反応させることができ、試料液の検出の正確性を確保することができるという効果を有し、臨床検査分野に属し、ディスク本体の内部に展開された血液等の試料と反応した液体試料と試薬の混合溶液に、ディスク本体の内部に設置された固体試薬を混合して作用させ、その試料液の化学反応を検出することにより、試料の分析を行うための試料液分析用ディスクおよび試料液の分析方法等として有用である。
本発明の第1の実施の形態における試料液分析用ディスクの構成図 本発明の第1の実施の形態における試料液分析用ディスクの試料混合部の構成図 本発明の第2の実施の形態における試料液分析用ディスクの試料混合部の構成図 本発明の第2の実施の形態における試料液分析用ディスクの分解図 従来の試料液分析装置で使用される分析用ディスク内のチャンバーの一例を示す断面模式図 従来の試料液分析装置を示す構成図 従来の試料液分析用ディスクの試料液移送の機構を示す模式図
符号の説明
1 ディスク
2 試料注入孔
3,12,14 流路
4 試薬
5 試料
6 スピンドルモータ
7 光ピックアップ
11 上流側チャンバー
13 下流側チャンバー
15 透過光測定チャンバー
16,17,18 空気孔
21 ディスク本体
22 試料混合部(試料混合手段)
23 液体試料貯留部
24 試薬チャンバー
25 測定チャンバー
26 試料液供給口
27 流路(第1の流路)
28 流路(第2の流路)
29 流路
29a 空気穴
30 固体試薬
31 基板
32 スペーサ

Claims (9)

  1. 液体試料と固体試薬の化学反応を検出することにより試料液の分析を行うための試料液分析用ディスクであって、ディスク本体と前記ディスク本体内に設けられた少なくとも1個以上の試料混合手段とを備え、
    前記試料混合手段は、前記液体試料を貯留可能な液体試料貯留部と前記液体試料貯留部に第1の流路を介して接続されるとともに、複数種類の固体試薬を、それぞれ複数個備え、
    前記ディスク本体の回転による遠心力および前記第1の流路に生じる毛細管力によって前記液体試料貯留部から液体試料が供給される試薬チャンバーと、前記試薬チャンバーに第2の流路を介して接続され前記ディスク本体の回転による遠心力および前記第2の流路に生じる毛細管力によって前記試薬チャンバーとで混合された前記液体試料と
    前記固体試薬とが混合された前記試料液が供給される測定チャンバーとを備えることを特徴とする試料液分析用ディスク。
  2. ディスク本体と前記ディスク本体内に設けられた少なくとも1個以上の試料混合手段とを備え、
    前記試料混合手段は、前記液体試料を貯留可能な液体試料貯留部と、
    前記液体試料貯留部に第1の流路を介して接続されるとともに複数種類の固体試薬をそれぞれ複数個、担持可能に構成され、前記ディスク本体の回転による遠心力および前記第1の流路に生じる毛細管力によって前記液体試料貯留部から液体試料が供給される試薬チャンバーとを備え、
    前記試薬チャンバーが測定チャンバーとなる構造であることを特徴とする試料液分析用ディスク。
  3. 前記固体試薬のうち同一種の固体試薬間においては、1個あたりの質量および体積が制御されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の試料液分析用ディスク。
  4. 前記固体試薬のそれぞれの試薬毎の総量は、前記試薬チャンバーの体積の試料液に溶解した際、反応に必要な濃度を有することを特徴とする請求項1から3に記載の試料液分析用ディスク。
  5. 前記固体試薬のそれぞれの試薬毎の総量の調整が、前記試薬チャンバーに実装する固体試薬の個数でなされていることを特徴とする請求項4に記載の試料液分析用ディスク。
  6. 前記固体試薬として、凍結乾燥法によって製造された凍結乾燥顆粒を用いることを特徴とする固体試薬が前記試薬チャンバーに担持されていることを特徴とする請求項5に記載の試料液分析用ディスク。
  7. 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の試料液分析用ディスクを用いて試料液の分析を行う方法であって、前記液体試料貯留部から前記試薬チャンバーに前記試薬チャンバーの容積分に相当する量の液体試料を供給し、前記ディスク本体を回転させることにより、前記試薬チャンバーで遠心力および毛細管現象を利用して前記液体試料と前記固体試薬を混合させ、前記試料液を前記測定チャンバーに供給することを特徴とする試料液の分析方法。
  8. 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の試料液分析用ディスクを用いて試料液の分析を行う方法であって、前記液体試料貯留部から前記試薬チャンバーに前記試薬チャンバーの容積分に相当する量の液体試料を供給し、前記ディスク本体を回転させることにより、前記試薬チャンバーで遠心力および毛細管現象を利用して前記液体試料と前記固体試薬を混合させ、更にディスク表面の試薬チャンバーに対応する位置に、測定器本体に備えられた振動子を押し当てて前記固体試薬を溶解させることを特徴とする試料液の分析方法。
  9. 前記測定チャンバーに供給された前記試料液の化学反応を、光学的検出手段で検出することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の試料液の分析方法。
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