JPWO2007052648A1 - 試料分析用ディスク - Google Patents

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Abstract

【課題】より少ない試料量で、迅速で正確な反応を実現し、測定値の正確性を確保することを可能とする液体試料分析用ディスク用チャンバを提供する。【解決手段】上基板と下基板との間にスペーサを介して設けられた空隙からなるチャンバと、前記チャンバに設けられた少なくとも2個の開口部とを有する試料分析用ディスクにおいて、前記チャンバを、前記上基板に設けられた凸状部分と、前記下基板に設けられた凹状部分とで構成し、前記凹状部分に試薬を担持する。【選択図】図1

Description

本発明は、主として臨床検査分野において試料と試薬との化学反応を検出するために用いるデバイスに関する。
近年、分析・解析・検査技術の進歩により、様々な物質を測定することが可能となってきている。特に、臨床検査分野においては、生化学反応、酵素反応、もしくは、免疫反応等の特異反応に基づく測定原理の開発により、病態に反映する体液中の物質を測定できるようになった。
その中で、ポイント・オブ・ケアテスティング(POCT)と呼ばれる臨床検査分野が注目されている。POCTでは、簡易迅速測定を第一とし、検体を採取してから検査結果が出るまでの時間の短縮を目的とした取組が行われている。したがって、POCTに要求される測定原理及び測定装置は、簡易な測定原理に基づき、小型で携帯性があり、操作性が良い測定装置である。
今日、POCT対応測定機器は、簡易測定原理の構築、それに伴う生体成分の固相化技術、センサデバイス化技術、センサシステム化技術、微細加工技術、及びマイクロ流体制御技術の進歩により、実用性が高くなってきている。
このような、POCT対応測定機器として用いることが可能な分析装置として、従来、ディスク上に展開した液体試料の定性・定量分析を行う装置が、例えば特許文献1において提案されている。
上記特許文献1記載の技術を用いた液体試料分析装置は、血液等の試料を分析することで病気の診断などを行うことができる。ここで、図16は上記従来の液体試料分析装置で使用される分析用ディスクを示す構成図である。図16に示すように、ディスク101には、試料が注入される試料注入孔104、流路105が設けられ、流路105内には試料と反応して、例えば、透過率、色などの光学特性が変化する試薬106が塗布されている。
分析は、前記試料注入孔104を介して試料900が注入されたディスク101を液体試料分析装置に装着して行われる。
図17は上記特許文献1における液体試料分析装置を示す構成図である。液体試料分析装置の構成はいわゆる光ディスク装置に類似しており、ディスク101を回転させるためのスピンドルモータ201、ディスク101内に展開された試料900または試料900と反応した試薬106に光ビームを照射するための光ピックアップ212、光ピックアップ212をディスク101の半径方向に移動させるための送りモータ213等から構成されている。
液体試料分析装置に装着されたディスク101は、スピンドルモータ201により回転し、その遠心力により試料900はディスク101の流路105内に展開され、同時に流路105内に塗布された試薬106と反応する。反応の終了後、ディスク101を回転させながら光ピックアップ212を用いて流路105内の試料900もしくは試薬106に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することで試薬の反応状態を検出して分析を行う。
また、上記のようなディスクの構成に、更に、例えば血液中の血漿成分のみを試薬と反応させるために、血球を遠心分離により除去したり、複数の試薬を順次溶解、反応させたりするために、試薬を塗布した複数のチャンバ部分とチャンバ部分間を結ぶ複数の流路を設けて、試料液を複数のチャンバ部分と複数の流路内を移動、停止させる機能を付加した構造も提案されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2記載の発明においては、上記特許文献1記載の構造によりもたらされる試料液の移動と停止は下述する基本的なメカニズムに基づく。図18は、特許文献2において提案されている技術を説明するための図である。
図18に示すように、流路302は、試料液流動の上流側チャンバ301の遠心力の方向を基準に見た場合の下側301aから出て、同チャンバ301の遠心力方向を基準に見た場合の上側壁面より上方の位置302aまで持ち上がり、続いて、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていき、その先に配置された下流側チャンバ303に連結している。流路304も遠心力の方向を基準に見た場合の下流側チャンバ303の下側から出て、流路302と同様の形状で透過光測定チャンバ305に連結している。
ここで留意すべき点は、チャンバの深さが流路の深さより深いことである。これにより、流路を毛細管現象で移動してきた試料液は、流路がチャンバに連結している部分で毛細管現象の発生が妨げられ、結果、チャンバの手前で試料液の毛細管現象による移動を停止させることが出来る。この状態からディスクを回転させるなどして、試料液に遠心力を与えることで、停止していた試料液はチャンバ(下方側チャンバ303)に流入するようになっている。
ここで更に留意すべき構造として、上述したような、例えば上流側チャンバ301において、遠心力方向を基準に見た場合の同チャンバの上側壁面より上方の位置302aまで持ち上がり、続いて、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていくという、流路の配置上の特徴である。
この特徴のため、遠心力を加えた際に、上流側チャンバ301に溜まり、流路302の逆U字形部分の位置302aを越えて下方側チャンバ303手前部分まで満たした試料液は、サイフォン効果の働きにより、流路302を経由して、上流側チャンバ301に溜まった試料液のほぼ全量が下方側チャンバ303に流入するようになっている。
然るに、遠心力が作用している間は、下方側チャンバ303に流入した試料液は、流路304にも浸入するが、下方側チャンバ303の液面と、遠心力方向を基準に見た場合の同じ水準までしか液面は到達しないため、流路304の遠心力方向を基準に見た場合の下方側チャンバ303上側壁面より上方の逆U字形部分手前の下方側チャンバ303側で停止する。したがって、流路304を上述した流路302と同様、下方側チャンバ303の上側側面より上方まで持ち上げた構造にしておけば、遠心力が作用している間は、次のチャンバチャンバ手前まで試料液が移動することはない。
そして、回転を停止するなどして、遠心力の作用を除去したときに、直ちに毛細管現象で試料液は流路304の遠心力方向を基準に見た場合の下方側チャンバ303上側壁面より上方の逆U字形部分を移動して次のチャンバ、図18では透過光測定チャンバ305の手間まで到達する。この状態から遠心力を作用させることで透過光測定チャンバ305に試料液が流入する。なお、試料液が透過光測定チャンバ305に流入している状態で遠心力の作用を中止すると、透過光測定チャンバ305内の試料液が毛細管現象により前記流路304を逆流し、透過光測定チャンバ内の試料液量が不足する場合があること等の理由から、透過光測定時にも遠心力を作用させる必要がある。
各チャンバ間の試料液の流入を円滑にするために、各チャンバ上部には試料液が到達し得ない部分に空気穴306、307、308が設けられている。このような構造により、試料液に十分溶解、反応させ、流路を移動させることが可能である。
また、例えば上記チャンバ301に試料液中の特定成分の測定に必要な反応試薬を乾燥担持する場合、反応に必要な濃度以上の試薬濃度の水溶液をチャンバ301の容積量、滴下乾燥するか、チャンバ301の容積量の試料液に反応試薬が溶解した際に、反応に必要な試薬濃度足りうる量の試薬をチャンバ301内に担持できるような濃度と滴下量の試薬溶液を滴下乾燥することで反応試薬層をえることができる。
国際公開第00/026677号パンフレット 特開2000−580007号公報
しかしながら、例えばチャンバ301に試薬層を形成する構成では、試料液が流入した際に、特に撹拌の効果を得ることができないので、試薬層の溶解が十分ではなくなる場合があった。
また、例えばチャンバ301の底面と側面の接続部分が直角または鋭角である、従来の試料分析用ディスクにおいては、図19に示すように、試薬の溶液をチャンバ301に滴下し、乾燥させることによってチャンバ301内に固体状の試薬910を保持するとき、溶液の表面張力等によって固体状の試薬910がチャンバ301の側面301aに近いほど底面301b上に厚く堆積してしまうという問題があった。そのため、液体状の試料がチャンバ301内に流入したときに、底面301b上に堆積した固体状の試薬910がチャンバ301の側面301a付近において液体状の試料に十分に溶解することができない場合があった。
いずれの場合も、固体状の試薬910が試薬の溶液との反応の起こりやすい部位であるチャンバ301内において均一に保持されていないため、試料液中の試薬濃度が十分ではなく、結果的に測定に必要な化学反応が十分に進行しない、あるいは、溶解の進行の再現性が得られにくく、結果として、応答の再現性が損なわれるという問題が生じる懸念があった。
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたもので、チャンバ内に形成された固体状の試薬の層の厚みの偏りを特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において少なくし、液体状の試料と固体状の試薬とを迅速及び均一に溶解させることにより、迅速および均一な反応を惹起せしめ、測定の迅速性及び正確性を確保することができる試料分析用ディスクを提供することを目的とする。
上記の目的を達成すべく、本発明の試料分析用ディスクは、液体状の試料が流入させられるためのチャンバを構成する壁面と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内の前記壁面に付着して保持された固体状の試薬とを備えた試料分析用ディスクであって、更に、(1)前記チャンバ内の前記壁面に形成された前記試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が、凹形状の曲面である、(2)前記チャンバ内の前記壁面に形成された前記試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が凹形状であることに加え、前記試薬付着壁面に対向する前記チャンバ内の前記壁面に形成された対向壁面の一部の形状が凸形状で、かつ、前記試薬付着壁面に包含されうる大きさである、(3)前記壁面は、前記試薬を保持するべき前記チャンバ内に形成された試薬付着壁面と、前記試薬付着壁面に対向する対向壁面と、試薬付着壁面から延在して前記チャンバを囲む周壁面と、を有し、前記試薬付着壁は、前記一方のディスク面に対して傾けられて前記周壁に接続した傾斜部を有し、前記周壁面は、前記傾斜部のうち前記対向壁面に最も近い部分に接続して前記傾斜部と共に前記試薬が付着させられた試薬付着部と、前記ディスク面に平行な方向において前記試薬付着部と対向して配置されて前記試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有する、(4)前記固体状の試薬を保持するべき前記チャンバ内の前記壁面から突出した柱状体が形成されている、という4つの構造的特徴の少なくとも1つを備えて、前記チャンバ内の前記壁面に付着して保持された固体状の試薬の厚みを特に試料液との反応の起こりやすい部位において均一にした構成を有している。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくすることができるため、試料液がチャンバ内に流入したときに、速やかに前記固体状試薬が溶解し、化学反応を空間的な偏りなく進行させ、更に、チャンバ部分の体積を少なくすることができ、もって、化学反応検出による試料液中の特定成分の検出の正確性の確保をより少ない試料量で実現することが可能となる。
また、本発明の試料分析用ディスクは、前記チャンバは、凸状部分を有する上基板と凸状部分を有する下基板との間にスペーサを介して設けられた、少なくとも2つの開口部が形成された空隙により画定され、前記凹状部分に試薬が担持されている構成を有しても良い。また、前記上基板の凹状部分の形状と前記下基板の凸状部分の形状とが互いに相似することが好ましい。 即ち、前記上基板の凹状部分と前記下基板の凸状部分との間の距離が、前記凹状部分および前記凸状部分の全体にわたって略均一であることが好ましい。また、前記凹状部分の形状と前記凸状部分の形状とが曲面状であることが好ましい。さらに、本発明の試料分析用ディスクは、連結用流路を介して相互に連通される、前記チャンバと同一の構成のチャンバを複数個有しても良い。
換言すると、本発明の試料分析用ディスク内には、少なくとも2個の開口部を有する空隙であるチャンバを少なくとも1個もち、チャンバ間を前記チャンバの開口部を介し連結する連結用流路を有し、前記チャンバの底面が曲面の凹形状であり、天井面は底面と相似形の曲率の凸形状を有する構造を有し、前記チャンバ底面に、固体状の試薬が担持されている構成を有しても良く、内部または外部に、注入された試料液と前記試薬の混合溶液の化学反応を検出する検出部、および連結用流路とチャンバ内への試料液の搬送部を具備していても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくすることができるため、試料液がチャンバ内に流入したときに、速やかに前記固体状試薬が溶解し、化学反応を空間的な偏りなく進行させ、更に、チャンバ部分の体積を少なくすることができ、もって、化学反応検出による試料液中の特定成分の検出の正確性の確保をより少ない試料量で実現することが可能となる。
また、本発明の試料液分析用ディスクは、上述の(3)の構成を有しても本発明の目的を果たすことが可能である。
即ち、本発明の試料分析用ディスクは、液体状の試料が流入させられるためのチャンバを形成した壁と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内に保持された固体状の試薬とを備えた試料分析用ディスクであって、前記壁は、前記試料分析用ディスクの一方のディスク面側に配置されて前記試薬が付着させられた試薬付着壁と、前記試薬付着壁から延在して前記チャンバを囲む周壁とを有し、前記試薬付着壁は、前記一方のディスク面に対して傾けられて前記周壁に接続した傾斜部を有し、前記周壁は、前記傾斜部のうち前記一方のディスク面に最も近い部分に接続して前記傾斜部と共に前記試薬が付着させられた試薬付着部と、前記ディスク面に平行な方向において前記試薬付着部と対向して配置されて前記試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有した構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、試薬の溶液が一方のディスク面側に押し付けられた状態で試薬の溶液がチャンバ内で乾燥させられることによってチャンバ内に固体状の試薬が生成されるときに、固体状の試薬の厚みが特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において従来より均一化され、その結果、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。また、本発明の試料分析用ディスクは、試薬付着壁が傾斜部を有しているので、試薬の溶液が一方のディスク面側に押し付けられた状態で試薬の溶液がチャンバ内で乾燥させられることによってチャンバ内に固体状の試薬が生成されるときに、試薬の溶液が周壁の試薬非付着部に及ぶことを抑制することができ、その結果、固体状の試薬が周壁の試薬非付着部に及ぶことを抑制することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記試薬付着壁は、前記試薬非付着部に前記傾斜部以外の部分で接続した構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、試薬付着壁が周壁の試薬非付着部に傾斜部以外の部分で接続しているので、試薬の溶液が一方のディスク面側に押し付けられた状態で試薬の溶液がチャンバ内で乾燥させられることによってチャンバ内に固体状の試薬が生成されるときに、試薬の溶液の濡れ性が大きい場合等であっても、試薬の溶液が周壁の試薬非付着部に及ぶことを抑制することができ、その結果、固体状の試薬が周壁の試薬非付着部に及ぶことを抑制することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの製造方法は、液体状の試料が流入させられるためのチャンバを形成した壁と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内に保持された固体状の試薬とを備えた試料液分析用ディスクであって、前記壁は、前記試料分析用ディスクの一方のディスク面側に配置されて前記試薬が付着させられた試薬付着壁と、前記試薬付着壁から延在して前記チャンバを囲む周壁とを有し、前記試薬付着壁は、前記一方のディスク面に対して傾けられて前記周壁に接続した傾斜部を有し、前記周壁は、前記傾斜部のうち前記一方のディスク面に最も近い部分に接続して前記傾斜部と共に前記試薬が付着させられた試薬付着部と、前記ディスク面に平行な方向において前記試薬付着部と対向して配置されて前記試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有した上述の試料液分析用ディスクの製造方法であって、前記試薬の溶液が前記一方のディスク面側に押し付けられた状態で前記溶液を前記チャンバ内で乾燥することによって前記チャンバ内に前記固体状の試薬を生成する構成を有しても良い。
この構成によっても、本発明の製造方法によって製造された試料分析用ディスクは、固体状の試薬の厚みが特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において従来より均一化され、その結果、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。
更に、上述の(4)の構成を有しても本発明の目的を果たすことが可能である。
即ち、液体状の試料が流入させられるためのチャンバが形成され、前記チャンバ内に配置されて前記チャンバの一面から突出した柱状体と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内の前記一面側に保持された固体状の試料とを備えた構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、液体状の試料がチャンバ内に流入させられるときに柱状体によって液体状の試料を攪拌することができるので、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。また、本発明の試料分析用ディスクは、試薬の溶液がチャンバ内で乾燥させられることによってチャンバ内の一面側に固体状の試薬が生成される場合、固体状の試薬が柱状体の近傍にも厚く堆積するので、チャンバ内の一面側に生成される固体状の試薬の厚みが特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において従来より均一化され、その結果、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記柱状体は、複数あり、正三角形格子の交点上にそれぞれ配置された構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、柱状体が等間隔に配置されているので、柱状体が等間隔に配置されてない構成と比較して、固体状の試薬の厚みを特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位においてより均一化することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記柱状体は、複数あり、直交格子の交点上にそれぞれ配置された構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、複数の柱状体が正三角形格子の交点上に配置される場合と比較して、固体状の試薬の厚みをより均一化することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記柱状体は、前記柱状体は、前記チャンバの前記一面と対向する面に接続された構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、柱状体がチャンバの対向する面の一方のみに接続されて他方に非接触である構成と比較して、液体状の試料がチャンバ内に流入させられるときに柱状体によって液体状の試料を強力に攪拌することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記柱状体は、前記チャンバの前記一面と対向する面に非接触である構成を有している。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、チャンバの面のうち柱状体が接続された面に対向する面と、柱状体との隙間を液体状の試料が流れることができるので、柱状体がチャンバの対向する両面に接続された構成と比較して、液体状の試料をチャンバ内に迅速に流入させることができる。
また、上述の本発明の試料分析用ディスクの製造方法は、液体状の試料が流入させられるためのチャンバが形成され、前記チャンバ内に配置されて前記チャンバの一面から突出した柱状体と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内の前記一面側に保持された固体状の試料とを備えた試料液分析用ディスクの製造方法であって、前記試薬の溶液を前記チャンバ内で乾燥することによって前記チャンバ内の前記一面側に固体状の前記試薬を生成する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の製造方法によって製造された試料分析用ディスクは、固体状の試薬が柱状体の近傍にも厚く堆積するので、チャンバ内の一面側に生成された固体状の試薬の厚みが特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において従来より均一化され、その結果、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。また、本発明の製造方法によって製造された試料分析用ディスクは、液体状の試料がチャンバ内に流入させられるときに柱状体によって液体状の試料を攪拌することができるので、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。
本発明の試料分析用ディスクにおいては、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくすることができるため、試料液がチャンバ内に流入したときに、速やかに前記固体状試薬が溶解し、化学反応を空間的な偏りなく進行させ、更に、チャンバ部分の体積を少なくすることができ、もって、化学反応検出による試料液中の特定成分の検出の正確性の確保をより少ない試料量で実現することが可能となる。
本発明の試料分析用ディスクの一実施の形態の概略上面図 図1に示す試料分析用ディスクのa−a線断面図 本発明に示す試料分析用ディスクの一実施の形態の平面図 本発明に示す試料分析用ディスクの一実施の形態の一部の平面図 (a)本発明に示す試料分析用ディスクの試薬保持チャンバの近傍の平面図 (b)図5(a)のA−A矢視断面図 (a)試薬保持チャンバが図5に示す形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果を示すグラフ (b)試薬保持チャンバが従来と同様な形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果を示すグラフ (c)試薬保持チャンバが図2に示す形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果を示すグラフ 従来と同様な形状である試薬保持チャンバの近傍の側面断面図 図5に示す試薬保持チャンバであって図5に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の平面図 (a)図5に示す試薬保持チャンバであって図5及び図8に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の平面図 (b)図9(a)のB−B矢視断面図 本発明に示す試料分析用ディスクの一実施の形態の平面図 本発明に示す試料分析用ディスクの一実施の形態の一部の平面図 (a)図10に示す試料液分析用ディスクの試薬保持チャンバの近傍の平面図 (b)図10に示す試料液分析用ディスの試薬保持チャンバの近傍の側面断面図 図12に示す試薬保持チャンバであって図12に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の平面図 図12に示す試薬保持チャンバであって図12及び図13に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の平面図 図12に示す試薬保持チャンバであって図12、図13及び図14に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の側面断面図 従来の液体試料分析装置で使用される分析用ディスクの構成を示す図 従来の分析装置の構成を示す図 従来の試料分析用ディスクおよび本発明の試料分析用ディスクにおける試料移送の機構を説明するための模式図 従来の試料分析用ディスクのチャンバの近傍の側面断面図
符号の説明
1、2 開口部
3 チャンバ
4 凸状部分
5a 凹状部分
5b 試薬層
6 上基板
7 スペーサ
8 下基板
101 液体試料分析用ディスク
104 試料注入口
105 流路
106 試薬
201 スピンドルモータ
900 試料
212 光ピックアップ
213 送りモータ
302、304 流路
301、303、305 チャンバ
306、307、308 空気口
10 試料分析用ディスク
10a ディスク面(一方のディスク面)
10b ディスク面
40 試薬保持チャンバ
41 ChE層(固体状の試薬)
42 壁(試薬付着壁)
42a 傾斜部
42b 水平部分(傾斜部以外の部分)
42c 柱状体
43 壁(周壁)
43a 試薬付着部
43b 試薬非付着部
44 壁
48 直交格子
49 正三角形格子
50 試薬保持チャンバ
51 ChDH層(固体状の試薬)
52 柱状体
60 試薬保持チャンバ
61 WST−9層(固体状の試薬)
62 柱状体
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の試料分析用ディスクの一実施の形態を示す概略上面図である。図1において、試料分析用ディスクを一点鎖線で示し、その回転中心をCで示した。また、図2は、図1に示す試料分析用ディスクのa−a線断面図である。
図1および図2に示すように、本発明の試料分析用ディスクは、上基板6と下基板8との間にスペーサ7を介して設けられた空隙からなるチャンバ3と、チャンバ3に設けられた少なくとも2個の開口部1、2とを有し、チャンバ3が、上基板6に設けられた凸状部分4と、下基板8に設けられた凹状部分5aとで構成され、凹状部分5aに試薬層5bが設けられている。
上基板6と下基板8とで構成されているチャンバ3は、別の部材で構成されたディスク上に搭載されていても良く、また、チャンバ3が上基板6と下基板8とで構成されているとともに、ディスクそのものもが上基板6と下基板8と同一の部材で構成されていても良い。また、上基板6と下基板8とで構成されているチャンバ3は、ディスクに内蔵されていても良い。本実施の形態において、図1および図2に示されるように、チャンバ3は上基板6と下基板8とで構成されているものとする。ディスクは図1に一点鎖線10aで仮想的に示されている。
この試料分析用ディスクでは、チャンバ3は境界3a、3bで囲まれており、回転中心Cに近い開口部1に接続された流路(図示せず)から試料(例えば液状)が流入し、回転中心Cから最も遠い位置の開口部2から流出する。
図1では、チャンバ3の形状は説明を容易にするため円形としているが、実際には底面(即ち下基板8)に凹状部分5aが形成され得るような形状であれば円形以外の形状でも構わない。チャンバ3の天井部、即ち上基板6には、チャンバ3の底部、即ち曲面状の凹状部分5aの形状と相似の上曲面と、この上曲面の平面投影形状を底面とする柱状部分との組み合わせによる突起、即ち凸状部分4が設けられている。さらに、図2に示すように凸状部分4は凹状部分5aに包含されうる大きさであることが好ましい。
凹状部分5aの形状と凸状部分4、特に上曲面の形状とは互いに相似しており、また、凹状部分5aと凸状部分4との間の距離H(中央)が、凹状部分5aおよび凸状部分4の全体にわたって略均一となっている。
チャンバ3の底面、即ち凹状部分5aには、試薬層5bが形成されている。この試薬層5bは、固体状であっても良く、また、完全に乾燥されてはいないゲル状などの半固体状であっても良い。
図2に示すように、本発明の試料分析用ディスクは、上から上基板6、開口部1、2および流路(図示せず)の高さと同じ厚さのスペーサ7、および下基板8を積層することによって構成されている。
スペーサ7はその一部がくりぬかれて開口部1、2につながる流路が形成されている。上基板6のうち開口部1付近の天井面は、流路から連続して平面状であり、下基板8で構成される下面はチャンバ3の部分において傾斜しており、凹状部分5aが構成されている。
毛細管現象により開口部1に移送されてきた試料は、開口部1に接続する流路とチャンバ3の接続部である凹状部分5aの手前、即ち境界3a部分の手前で静止する。引続き、試料分析用ディスクに回転が加えられると、遠心力で試料はチャンバ3内に流入し、開口部2に接続する流路を介して流出する。
本発明の試料分析用ディスクには、上記チャンバ3と同様の構成のチャンバが複数個含まれていても良く、この場合には、それぞれのチャンバから流出した試料は、開口部2に接続する流路を介して次のチャンバ(図示せず)に移送されるようになる。
試薬層5bは、凹状部分5a全体に接触する形で担持されている。チャンバ3の中央部付近においては、上述したように、天井部にチャンバ3の凹状部分5aの形状と相似形の曲面状の凸状部分4がある。
この凸状部分4が無いと、チャンバ3の底面が曲面であるため、当該底面から天井面への高さがチャンバ3内の位置によって異なり、不均一となる。一方で、試薬層5bは凹状部分5aに沿ってほぼ均一な厚みをもつ。従って、凸状部分4が無くても、試薬層5bの厚みがほぼ均一であることから、試薬の良好な溶解性が期待できる。しかし、以下に述べる理由によって凸状部分4を設けた方がより好ましい。即ち、凸状部分4があることで、試料がチャンバ3内に流入し、試薬層5bが溶解したとき、濃度が場所によって不均一にはならず、チャンバ3外周部付近の溶解も遅れることがない。さらに、試薬層5bが溶け残りにくい。即ち、上記のような突起状の凸状部分4を設けることで、底面から天井部までの高さが均一になり、試薬の溶解も一様になる。
また、凸状部分4が存在することによってチャンバ3の容積が小さくなり、少ない体積の試料に接触し得る試薬層5bの表面積を広くすることができる。このことによっても試薬層5bの溶解性向を期待することができる。
つぎに、下基板8に設けられたチャンバ3の凹状部分5aの深さ(H(下基板))、流路の天井高さ(H(流路))、チャンバ3内の天井高さ(H(中央))、上基板6の凸状部分4の各寸法(H(上曲面)、H(上柱))は以下のように規定される。
まず、流路の天井高さ(H(流路))は、毛細管現象で試料が移送され得る高さであれば良い。概ね50〜300μmの範囲であればこの要件に合致する。
下基板8に形成される凹状部分5aの深さ(H(下基板))と平面寸法は、特に制限はなく、開口部1の境界3aの部分に、毛細管現象により移送されてきた試料が静止できる程度の段差を確保できる傾斜面の角度を確保できる程度で、かつ、試薬層5bを形成する際に試薬溶液を必要量滴下した際にあふれない程度の容積を確保できる範囲であれば良い。このため、凸状部分4は凹状部分5aに包含されうる大きさであることが好ましい。
これは概ね200〜600μmであれば良いが、必ずしもこの範囲内で無ければならない必然性はない。
ただし、上基板6を張り合わせたときの凸状部分4の先端と凹状部分5aとの間の距離(H(中央))は、少なくとも前記流路の天井高さ(H(流路))と同程度であるのが好ましい。
また、凸状部分4の高さ(図2におけるH(上柱)とH(上曲面)との合計)が、天井高さ(H(流路))より大きく、上基板6の凸状部分4の先端の一部が下基板8の凹状部分5bに入り込んでいても良い。
試薬層5bは、試薬溶液を下基板8の凹状部分5aに滴下、乾燥することによって形成されるが、滴下量と濃度は、張り合わせ前の凹状部分5aの容積と、スペーサ7と上基板8とを張り合わせた際のチャンバ3内の容積との比率によって規定される。
上基板6上の凸状部分4の形状は、少なくとも流入口である開口部1に接しない形状であれば良い。凸状部分4が開口部1に接すると、開口部1付近の天井高さが流路の天井高さより低くなってしまい、試料が開口部1で静止できなくなる。
試薬層5bは、反応に必要な試薬群を、水およびpH緩衝液などの少なくとも1種に溶解させた溶液を凹状部分5aに滴下、乾燥させることにより形成することができる。
本発明の試料分析用ディスクにおいては、上記のようなチャンバ3を複数個有していても良く、例えばコレステロールを検出する試薬系では、すべての試薬を1つの層にすると、試薬同士の相互作用による変性のため、期待する反応が生じにくくなる。そこで、この場合には、3種に分割した試薬層を、3つのチャンバに別個に形成するのが好ましい。
以下において、本実施の形態の実施例を用いてさらに詳細に本発明を説明する。なお、本発明をより具体的に説明する為に、具体的な測定対象物、部材の材質等を具体的に記載しているが、本発明がそれらの記載によって制限を受けるものではない。
(第1の実施の形態の実施例)
血漿中の総コレステロール濃度を測定するために、図1および図2に示す構造を有する本発明の液体試料分析用ディスクに搭載されるチャンバ3を作製した。
ポリカーボネート製の上基板6および下基板8と、両面に粘着剤を塗布したポリエチレンテレフタレート製の厚み100μmのスペーサ7を用意した。下基板8を成型により作製する際に、一方の面に凹状部分5bを設けた。また、上基板6には、凸状部分4を設けた。
凹状部分5bは、曲面状であり、直径2mmの円形で中央部の深さ(H(下基板))は0.4mmとした。凹状部分5bの容積はおよそ2.78μlであった。また、この直径2mmの円形部分に接続するように、スペーサ7を切り抜いて幅0.5mmの流路を形成した。
上基板6のチャンバ3に相当する部分には、直径1.7mmの円形の上面および下面を有する高さ(H(上柱))0.1mmの円柱と、凹状部分5aの曲面と相似形の直径1.7mmの曲面を有する先端部とが組み合わされて構成された突起、即ち凸状部分4を設けた。
この凸状部分4全体の高さを0.4mmとすると、凸状部分4の先端部分では上基板6、スペーサ7、下基板8を張り合わせた後の天井高(H(中央))が0.1mmとなり、かつ、凸状部分4と凹状部分5aが対向する部分では、チャンバ3のどの部分であっても、天井高がH(中央)と同様にほぼ0.1mmになった。
このときのチャンバの容積は約1.10μlであった。
上記のような上基板6、下基板8、および両面に粘着剤を有するスペーサ7、流路をチャンバの平面形状どおりに切り抜かれた板材を貼り合わせて、本発明の試料分析用ディスクを形成した。また、貼り合わせる前に凹状部分5aに試薬層5bを形成した。
試薬層5bは、後述するように、反応必要な試薬群を、水あるいはpH緩衝液に溶解させた溶液をチャンバ3に滴下、乾燥させることにより形成されるが、コレステロールを検出する試薬系では、すべての試薬を1つの層にすると、試薬同士の相互作用による変性のため、期待する反応が生じにくくなる。そこで、3種に分割した試薬層を、3つのチャンバに別個に形成するのが好ましい。
本発明において3つのチャンバを有する試料分析用ディスクは、図18に示す従来の試料分析用ディスクにおいて、チャンバ301、303および305として上述したチャンバ3を適用することによって実現することができる。
したがって、この場合、流路302は、上述したように、試料を流動させる上流側の第1のチャンバ301の遠心力の方向を基準に見た場合の、下側301aから出て、第1のチャンバ301の遠心力方向を基準に見た場合の上側壁面より上方の位置302aまで持ち上がり、続いて、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていき、その先に配置された遠心力の方向を基準に見た場合の下流側の第2のチャンバ303に連結している。流路304も遠心力の方向を基準に見た場合の下流側チャンバ303の下側から出て、流路302と同様の形状で透過光測定チャンバ305に連結している。
ここで更に留意すべき構造として、上述したような、例えば上流側チャンバ301において、遠心力方向を基準に見た場合の同チャンバの上側壁面より上方の位置302aまで持ち上がり、続いて、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていくという、流路の配置上の特徴である。
この特徴のため、遠心力を加えた際に、上流側チャンバ301に溜まり、流路302の逆U字形部分の位置302aを越えて下方側チャンバ303手前部分まで満たした試料液は、サイフォン効果の働きにより、流路302を経由して、上流側チャンバ301に溜まった試料液のほぼ全量が下方側チャンバ303に流入するようになっている。
然るに、遠心力が作用している間は、チャンバ303に流入した試料は、流路304にも浸入するが、下方側チャンバ303の液面と、遠心力方向を基準に見た場合の同じ水準までしか液面は到達しないため、流路304の遠心力方向を基準に見た場合の下方側チャンバ303上側壁面より上方の逆U字形部分手前の下方側チャンバ303側で停止する。したがって、流路304を上述した流路302と同様、下方側チャンバ303の上側側面より上方まで持ち上げた構造にしておけば、遠心力が作用している間は、次のチャンバチャンバ手前まで試料液が移動することはない。
そして、回転を停止するなどして、遠心力の作用を除去したときに、直ちに毛細管現象で試料は流路304の遠心力方向を基準に見た場合の下方側チャンバ303上側壁面より上方の逆U字形部分を移動して次のチャンバ、図18では透過光測定用のチャンバ305の手間まで到達する。この状態から遠心力を作用させることでチャンバ305に試料が流入する。なお、試料液が透過光測定チャンバ305に流入している状態で遠心力の作用を中止すると、チャンバ305内の試料が毛細管現象により前記流路304を逆流し、チャンバ305内の試料量が不足する場合があること等の理由から、透過光測定時にも遠心力を作用させる必要がある。
各チャンバ間の試料の流入を円滑にするために、各チャンバ上部には試料が到達し得ない部分に空気穴306、307、308が設けられている。このような構造により、試料に十分溶解、反応させ、流路を移動させることが可能である。
また、例えば上記チャンバ301に試料液中の特定成分の測定に必要な反応試薬を乾燥担持する場合、反応に必要な濃度以上の試薬濃度の水溶液をチャンバ301の容積量、滴下乾燥するか、チャンバ301の容積量の試料に反応試薬が溶解した際に、反応に必要な試薬濃度足りる量の試薬をチャンバ301内に担持できるような濃度と滴下量の試薬溶液を滴下乾燥することで試薬層を得ることができる。
化学変化の検出は、コレステロールの化学反応に起因する、試薬層5bに含まれる色素の特定波長の吸光度変化の検出により実施する。したがって、測定用のチャンバ305の底面部および天井部は平面状とし、光学的に前記波長に対して、略透明とした。
測定用チャンバの深さは、後述する測定試薬の構成の場合は200μmが適切であるが、一般的には、透過光測定時の光路長に相当するので、測定時に透過光量または吸光度が変化することにより測定対象物質の濃度を示す物質の透過光量または吸光度が適切な数値になるように適切に設定する必要がある。
試薬層5bを担持するチャンバは上述したように、容積が約1.1μlであり、測定用チャンバは直径2mmで深さが200μmの平面形状を有する。この場合、測定用のチャンバの容積は約0.6μlになるので、流路移送中に流路に残留する試料が生じても、測定に必要な試料量の確保が可能である。
血漿中のコレステロール濃度を測定するために、以下の反応機構を用いる。
(化1)E-Chol→Chol(酵素:ChE)
(化2)Chol+NAD → コレステノン+NADH(酵素:ChDH)
(化3)NADH + WST−9 → NAD+ホルマザン(酵素:DI)
上記の式(3)中のホルマザンの生成による波長650nmの透過光に対する吸光度が濃度に対応する変化量を測定し、総コレステロール濃度を算出する。なお、上記式(1)〜(3)において、E-Cholはコレステロールエステルを示す。血漿中のコレステロールの大半はエステル化している。Cholはコレステロールを示す。ChEはE-CholをCholに変化させる反応を触媒する酵素であるコレステロールエステラーゼ(EC3.1.1.13)を示す。
ChDHは、コレステロールデヒドロゲナーゼ(ECは不明、アマノエンザイム(株)より購入)、NADはChDHの補酵素であるニコチンアデニンジヌクレオチド、NADHはNADの還元状態を示す。WST−9は「水溶性テトラゾリウム−9」の英語の頭文字をとった略称で、(株)同仁化学研究所より入手できるテトラゾリウム塩の1種である。DIはジアホラーゼ(EC1.6.99.2)を示す。DIはNADHのNADへの酸化反応とそれに共役する還元反応を触媒する酵素である。
上記の反応を行わせるために、上記のチャンバ301、303および305にそれぞれ下記の試薬層5bのうち1種類ずつ計3種類の試薬層5bを形成する。一つはChEを含むChE層、もう一つはChDHを含むChDH層、もう一つはWST−9を含むWST−9層である。
ChE層は、ChE、ChEの触媒活性を活性化するための界面活性剤としてn-オクチル−β−D−チオグルコシド、コール酸ナトリウム、反応時のpHを調整するためのpH緩衝剤であるトリス塩酸塩、DIからなる水溶液を下基板8の凹状部分5aに滴下乾燥することで形成する。下基板8の凹状部分5aの容積が2.78μlで、上基板6、スペーサ7、下基板8を貼り合わせた後のチャンバ3容積が1.10μlであるため、反応に必要な濃度の1.10/2.78倍の溶液2.78μlをチャンバ3に滴下乾燥担持した。
ChDH層は、ChDHとDIからなる水溶液を滴下乾燥することで形成し、WST−9層はWST−9水溶液を滴下乾燥することで形成した。
pH緩衝剤は、ChDHの至適pHがpH8以上のアルカリ性領域であることから反応系に必須だが、ChDHのアルカリ性領域での安定性が良くないのでChDH層ではなくChE層に混合されている。なおChEはアルカリ性領域での安定性が悪くなく、かつ反応性も悪くない酵素を市販品から選ぶことができる。
反応性や測定時間の観点からは試薬層5bの設置数はなるべく少ない方が好適であるが、本実施例での反応系の場合、上述した理由から、ChE層、ChDH層の2種類の試薬層が必要である上に、更にWST−9層もこれらとは分離して形成する必要がある。その理由は、WST−9がChDHの触媒活性を阻害する傾向が認められることにある。このことから、上記の式(化1)および(化2)の反応を、WST−9が含まれていない条件で行い、しかる後、WST−9を混合し、呈色反応を誘導する必要が生じるため、試薬層は試料液の流れる順に、ChE層、ChDH層、WST−9層の順に少なくともこの3種を配置する必要がある。
上述した方法で作成された試薬層5bを包含する液体試料分析用ディスクに血液を点着し、図17に示す構造を有する測定装置で吸光度を測定したところ図6(c)に示す血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化を観測することができた。
なお、本実施例では、色素たるWST−9の吸光度変化を検出することで、血漿中の総コレステロール濃度を測定する例を示したが、WST−9のかわりに、水溶液になった際、フェリシアン化物イオンを生成するフェリシアン化カリウムを試薬層に含有させ、測定用のチャンバ内に少なくとも対極と作用極の役割を果たすことができる電極を設けても良い。
この場合、更に、図17の分析装置に、前記電極にディスク外部から接触することができる端子を設けることにより、血漿中のコレステロールの酸化によってフェリシアン化物イオンが還元されて生じるフェロシアン化物イオンを、前記電極間に電圧を印加することで再度酸化させる際に生じる酸化電流値を計測して測定することもできる。この場合、フェリシアン化カリウムのかわりに、NADHとの間で電子授受が可能なレドックス化合物を任意に用いることができる。
また、更に、本実施例中で示した、血漿中のコレステロール以外にも、目的の成分に対する化学反応により生じた変化を光学的あるいは電気化学的に検出可能な反応系の確立が可能な場合には任意の測定対象について本発明を用いることが可能である。
また、上述の実施の形態では、チャンバ内の壁面に形成された試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が凹形状であることに加え、試薬付着壁面に対向するチャンバ内の壁面に形成された対向壁面の一部の形状が凸形状で、かつ、試薬付着壁面に包含されうる大きさである場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするのであれば、いかなる構成でも良い。例えば、チャンバ内の壁面に形成された試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状のみが、凹形状の曲面であっても良い。
さらに、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするため、チャンバ内の試薬付着壁面を試料液との反応の起こりにくい部位ではなく、特に試料液との反応の起こりやすい部位に集中する構成も考えられる。チャンバ内の試薬付着壁面を特に試料液との反応の起こりやすい部位、具体的には、ディスクの回転中心に対向する部位に集中するように構成した場合について次の実施の形態で説明する。
(第2の実施の形態)
続いて、以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施の形態について説明する。
説明を容易にするため、血漿中の総コレステロール濃度を測定するための試料分析用ディスクを用いた場合について一例を挙げて説明する。
図3に示すように、液体状の試料としての血液の血漿中の総コレステロール濃度を測定するための試料分析用ディスクとしてのコレステロール濃度測定用ディスク10は、図17に示す分析装置に装着されるようになっている。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、血漿中のコレステロール濃度を測定するために上述した実施例と同様の反応機構を有する。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、図3及び図4に示すように、血液から血球を遠心分離により除去して血漿のみを取り出すための血球分離チャンバ20と、血球分離チャンバ20によって取り出された血漿から一定量を取り出すための定量チャンバ30と、ChEを含む固体状の試薬としてのChE層41を堆積させている試薬保持チャンバ40と、ChDHを含む固体状の試薬としてのChDH層51を堆積させている試薬保持チャンバ50と、WST−9を含む固体状の試薬としてのWST−9層61を堆積させている試薬保持チャンバ60と、ホルマザンの波長650nmの吸光度を測定するための測定チャンバ70と、不要となった液体が廃棄されるための廃液チャンバ80とが形成されている。
血球分離チャンバ20は、同一円周上に等間隔で6つ配置されており、定量チャンバ30は、1つの血球分離チャンバ20に対して3つずつ配置されており、試薬保持チャンバ40は、1つの定量チャンバ30に対して1つずつ配置されており、試薬保持チャンバ50は、1つの試薬保持チャンバ40に対して1つずつ配置されており、試薬保持チャンバ60は、1つの試薬保持チャンバ50に対して1つずつ配置されており、測定チャンバ70は、1つの試薬保持チャンバ60に対して2つずつ配置されており、廃液チャンバ80は、1つの血球分離チャンバ20に対して1つずつ配置されている。
また、血球分離チャンバ20には、血液が供給される血液供給口20aが形成されている。また、血球分離チャンバ20、試薬保持チャンバ40、50、60には、コレステロール濃度測定用ディスク10内の液体の流通を円滑にするために空気を通す空気穴20b、40b、50b、60bがそれぞれ形成されている。血液供給口20a及び空気穴20b、40b、50b、60bは、コレステロール濃度測定用ディスク10が分析装置(図17参照。)によって駆動されているときに液体がコレステロール濃度測定用ディスク10の内部から外部に漏れないような位置に配置されている。
試薬保持チャンバ40、50、60は、コレステロール濃度測定用ディスク10の厚み方向(以下「ディスク厚方向」という。)と直交する面上の形状が2.0mm×5.0mmの略長方形であって、5.0mmの辺がコレステロール濃度測定用ディスク10の径方向(以下「ディスク径方向」という。)と略直交するように配置されており、ディスク厚方向における深さが最も深いところで400μm、最も浅いところで200μmである。
なお、定量チャンバ30の容積は、試薬保持チャンバ40、50、60の容積である3μlの半分の1.5μlである。
また、測定チャンバ70は、ディスク厚方向と直交する面上の形状が直径2mmの円形であって、容積が約1μlである。ディスク厚方向における測定チャンバ70の深さは、本実施の形態の場合は200μmが適切であるが、一般的には、透過光測定時の光路長に相当するので、測定時に透過光量又は吸光度が変化することにより測定対象物質の濃度を示す物質の透過光量又は吸光度が適切な数値になるように適切に設定する必要がある。また、上述したように波長650nmの透過光に対する吸光度の変化によって血漿中の総コレステロール濃度を測定するので、測定チャンバ70は、ディスク厚方向と直交する面が平面であり、波長650nmに対して光学的に略透明である。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、図5に示すように、コレステロール濃度測定用ディスク10のディスク面10a、10bのうちディスク面10a側に配置されてChE層41が付着させられた試薬付着壁としての壁42と、壁42から延在して試薬保持チャンバ40を囲む周壁としての壁43と、壁43から延在して壁42に対向した壁44とを有し、壁42、43、44によって試薬保持チャンバ40が形成されている。壁42は、ディスク面10aに対して傾けられて壁43に接続してChE層41が付着させられた傾斜部42aを有している。壁43は、傾斜部42aのうちディスク面10aに最も近い部分に接続してChE層41が付着させられた試薬付着部43aと、ディスク面10aに平行な方向において試薬付着部43aと対向して配置されてChE層41が付着させられていない試薬非付着部43bとを有している。試薬保持チャンバ40について説明したが、試薬保持チャンバ50、60も同様な壁によって形成されている。
なお、反応性や測定時間の観点からは固体状の試薬が設置されたチャンバの数はなるべく少ない方が好適であるが、コレステロール濃度測定用ディスク10は、以下に説明する理由から、ChE層41と、ChDH層51と、に必要なWST−9層61とを試薬保持チャンバ40、50、60という別々のチャンバに分けて保持している。
ChDHは、至適pHがpH8以上のアルカリ性領域であることからpH緩衝剤が必要であるが、アルカリ性領域での安定性が良くない。したがって、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChE層41と、ChDH層51とを試薬保持チャンバ40、50という別々のチャンバに分けて保持し、pH緩衝剤をChDH層51ではなくChE層41に混合している。なお、ChEとしては、アルカリ性領域での安定性が悪くなく、反応性も悪くない酵素を市販品から選ぶことができる。
また、WST−9は、ChDHの触媒活性を阻害する傾向がある。したがって、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChDH層51と、WST−9層61とを試薬保持チャンバ50、60という別々のチャンバに分けて保持している。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、図4に示すように、血球分離チャンバ20に接続されるとともに定量チャンバ30のうちコレステロール濃度測定用ディスク10の回転時の中心(以下「ディスク中心」という。)に近い部分に接続された流路110と、定量チャンバ30のうちディスク中心から遠い部分に接続されるとともに試薬保持チャンバ40のうちディスク中心に近い部分に接続された流路120と、試薬保持チャンバ40のうちディスク中心から遠い部分に接続されるとともに試薬保持チャンバ50のうちディスク中心に近い部分に接続された流路130と、試薬保持チャンバ50のうちディスク中心から遠い部分に接続されるとともに試薬保持チャンバ60のうちディスク中心に近い部分に接続された流路140と、試薬保持チャンバ60のうちディスク中心から遠い部分に接続されるとともに測定チャンバ70及び廃液チャンバ80のうちそれぞれディスク中心に近い部分に接続された流路150と、定量チャンバ30のうちそれぞれディスク中心に近い部分に接続された流路160とが形成されている。流路110〜160は、ディスク厚方向における深さが100μmである。
ここで、流路110、120、130、140、150は、それぞれ血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60よりディスク中心に近い湾曲部111、121、131、141、151を有している。また、流路150は、湾曲部151と、測定チャンバ70及び廃液チャンバ80との間に配置されて他の部分よりも径が大きい大径部152を有している。また、流路160には、コレステロール濃度測定用ディスク10内の液体の流通を円滑にするために空気を通す空気穴160aが形成されている。空気穴160aは、コレステロール濃度測定用ディスク10が分析装置800によって駆動されているときに液体がコレステロール濃度測定用ディスク10の内部から外部に漏れないような位置に配置されている。
次に、コレステロール濃度測定用ディスク10の製造方法について説明する。
血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60、測定チャンバ70、廃液チャンバ80に対応する穴11a 、血液供給口20a、空気穴20b、40b、50b、60b、160aに対応する穴等が成型されたポリカーボネート製の板材11(図5(b)参照。)が製造される。
また、両面に接着剤が付加されて血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60、測定チャンバ70、廃液チャンバ80や流路110〜160に対応する穴13a(図5(b)参照。)等が切り取られたポリエチレンテレフタラート製の板材13が製造される。
そして、板材11に板材13が接着される。
次いで、ChE、ChEの触媒活性を活性化するための界面活性剤としてn−オクチル−β−D−チオグルコシド、コール酸ナトリウム、反応時のpHを調整するためのpH緩衝剤であるトリス塩酸塩、DIからなる1.5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ40に対応する部分に滴下して、水溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態で水溶液を乾燥することによって、試薬保持チャンバ40のChE層41を形成する。
また、ChDHとDIからなる1.5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ50に対応する部分に滴下して、水溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態で水溶液を乾燥することによって、試薬保持チャンバ50のChDH層51を形成する。
また、WST−9の1.5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ60に対応する部分に滴下して、水溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態で水溶液を乾燥することによって、試薬保持チャンバ60のWST−9層61を形成する。
最後に、ポリカーボネート製の板材12が板材13に接着されてコレステロール濃度測定用ディスク10が製造される。
次に、コレステロール濃度測定用ディスク10の動作について説明する。
コレステロール濃度測定用ディスク10の血液供給口20aから血球分離チャンバ20内に血液が供給された後、コレステロール濃度測定用ディスク10が分析装置800(図1参照。)に装着されてスピンドルモータ810(図1参照。)によって回転させられると、血球分離チャンバ20内の血液は、遠心力によって血球と、血漿とに分離される。ここで、血球分離チャンバ20内で分離された血漿は、一部が流路110内にも流入するが、流路110内の血漿の液面のディスク中心からの距離と、血球分離チャンバ20内の血漿の液面のディスク中心からの距離とが遠心力によって等しくなるので、血球分離チャンバ20よりディスク中心に近い湾曲部111までは到達しない。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられると、血球分離チャンバ20及び流路110内の血漿は、流路110の毛細管力によって定量チャンバ30に向けて流路110内を流れる。そして、流路110内の血漿は、液面が流路110及び定量チャンバ30の接続部分まで達すると、流路110の毛細管力が働かなくなって停止する。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、流路110内の血漿が遠心力によって定量チャンバ30内に流入するので、血球分離チャンバ20内の血漿は、遠心力が加わっている間、サイフォン効果によって流路110を介して定量チャンバ30に流入する。ここで、定量チャンバ30に流入した血漿は、一部が流路120内にも流入するが、流路120内の血漿の液面のディスク中心からの距離と、定量チャンバ30内の血漿の液面のディスク中心からの距離とが遠心力によって等しくなるので、定量チャンバ30よりディスク中心に近い湾曲部121までは到達しない。また、定量チャンバ30内の血漿が定量チャンバ30及び流路160の接続部分に到達すると、定量チャンバ30及び流路160の接続部分に到達した余分な血漿は、流路160を介して廃液チャンバ80に排出される。
そして、コレステロール濃度測定用ディスク10内の血漿は、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられ、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、血球分離チャンバ20から定量チャンバ30に流入した動作と同様に、定量チャンバ30から試薬保持チャンバ40に流入する。試薬保持チャンバ40に流入した血漿は、試薬保持チャンバ40に保持されたChE層41と接触してChE層41の表面からChE層41を溶解し、「化1」の反応が行われる。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10内の血漿は、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられ、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、定量チャンバ30から試薬保持チャンバ40に流入した動作と同様に、試薬保持チャンバ40から試薬保持チャンバ50に流入し、試薬保持チャンバ50に保持されたChDH層51と接触してChDH層51の表面からChDH層51を溶解し、「化2」の反応が行われる。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10内の血漿は、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられ、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、試薬保持チャンバ40から試薬保持チャンバ50に流入した動作と同様に、試薬保持チャンバ50から試薬保持チャンバ60に流入し、試薬保持チャンバ60に保持されたWST−9層61と接触してWST−9層61の表面からWST−9層61を溶解し、「化3」の反応が行われる。
そして、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられると、試薬保持チャンバ60及び流路150内の血漿は、流路150の毛細管力によって測定チャンバ70に向けて流路150内を流れる。流路150内の血漿は、液面が大径部152まで達すると、流路150の毛細管力が働かなくなって停止する。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、流路150内の血漿が遠心力によって大径部152内に流入した後、更に測定チャンバ70及び廃液チャンバ80に流入するので、試薬保持チャンバ60内の血漿は、遠心力が加わっている間、サイフォン効果によって流路150を介して測定チャンバ70及び廃液チャンバ80に流入する。
そして、分析装置は、測定チャンバ70に血漿が流入しているときに、送りモータ213(図17参照。)によって光ピックアップ212(図17参照。)をディスク径方向に移動させて、測定チャンバ70内の血漿に光ピックアップ212によって光ビームを照射し、その透過光を検出することによって、試薬の反応状態を検出して分析を行う。
以上に説明したように、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChEの溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態でChEの溶液が試薬保持チャンバ40内で乾燥させられることによって試薬保持チャンバ40内にChE層41が生成されるときに、ChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化される。
血漿へのChE層41の溶解は、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入する途中での血漿の流動による攪拌と、血漿が試薬保持チャンバ40を満たした後の拡散とによってなされる。したがって、試薬保持チャンバ40内でChE層41の厚みが不均一であると、ChE層41の厚みが厚い部分での溶解性が非常に悪く、溶解時間が長時間必要である。しかしながら、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40内に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化されるので、血漿とChEとを従来より迅速に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の迅速性を確保することができる。例えば、試薬保持チャンバ40が図5に示す形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果は、図6(a)に示すようになり、試薬保持チャンバ40が図7に示すように従来と同様な形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果は、図6(b)に示すようになった。図6によれば、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40が図5に示す形状であるとき、試薬保持チャンバ40が図7に示すように従来と同様な形状であるときと比較して、コレステロール濃度が高い場合の反応が迅速であることが明らかである。
また、試薬保持チャンバ40内に血漿が一旦流入した後で血漿の流動による攪拌効果が殆ど期待できないので、試薬保持チャンバ40内でChE層41の厚みが不均一であると、血漿中に溶解するChEの濃度分布に偏りが生じるが、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40内に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化されるので、血漿とChEとを従来より均一に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の正確性を確保することができる。コレステロール濃度測定用ディスク10は、定量チャンバ30の容積が試薬保持チャンバ40の容積の半分であるため、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ201によって回転させられて「化1」の反応が行われているとき、遠心力によって血漿が試薬保持チャンバ40内のディスク中心側とは反対側に押し付けられるので、例えば試薬保持チャンバ40が図7に示すように従来と同様な形状である場合、ChE層41のうちディスク中心側の半分が溶け残ることさえあるが、試薬保持チャンバ40が図17に示す形状である場合、ChE層41の全てを血漿に溶解させることができる。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、壁42が傾斜部42aを有しているので、ChEの溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態でChEの溶液が試薬保持チャンバ40内で乾燥させられることによって試薬保持チャンバ40内にChE層41が生成されるときに、ChEの溶液が壁43の試薬非付着部43bに及ぶことを抑制することができ、その結果、ChE層41が壁43の試薬非付着部43bに及ぶことを抑制することができる。
なお、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChEの溶液の粘性が高い場合、試薬付着部43aのみにChEの溶液を接触させて、試薬非付着部43bだけではなく試薬付着部43a及び試薬非付着部43bの間の部分43cにもChEの溶液を接触させない状態で、ChEの溶液が乾燥させられることによって、図8に示すようなChE層41が生成されることも可能である。コレステロール濃度測定用ディスク10は、図8に示すChE層41が生成される場合、図17に示すChE層41が生成される場合と比較して、部分43cにChE層41が堆積しないので、血漿へのChEの溶解性が向上する。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、図9に示すように傾斜部42aが壁42の一部であって壁42が試薬非付着部43bに傾斜部42a以外の水平部分42bで接続した構成であっても良い。コレステロール濃度測定用ディスク10は、図9に示す構成である場合、ChEの溶液がディスク面10a側に押し付けられた状態でChEの溶液が試薬保持チャンバ40内で乾燥させられることによって試薬保持チャンバ40内に固体状のChE層41が生成されるときに、ChEの溶液の濡れ性が大きい場合等であっても、ChEの溶液が壁42の水平部分42bに及ぶことを抑制することができ、その結果、ChE層41が壁42の水平部分42bに及ぶことを抑制することができる。
以上においては、試薬保持チャンバ40について説明したが、試薬保持チャンバ50や試薬保持チャンバ60についても同様である。
また、上述の実施の形態では、チャンバ内の試薬付着壁面をディスクの回転中心に対向する部位に集中するように構成した場合に説明したが、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするのであれば、いかなる構成でも良く、例えば、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするため、チャンバ内の試薬付着壁面を、特に試料液との反応が起こりやすい構成にしても良い。チャンバ内の試薬付着壁面において特に試料液との反応が起こりやすくする構成について次の実施の形態で説明する。
(第3の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施の形態について説明する。
説明を容易にするため、ここでも、血漿中の総コレステロール濃度を測定するための試料分析用ディスクを用いた場合について一例を挙げて説明する。
反応機構は、上述した実施の形態、実施例と同様である。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、図10及び図11に示すように、血液から血球を遠心分離により除去して血漿のみを取り出すための血球分離チャンバ20と、血球分離チャンバ20によって取り出された血漿から一定量を取り出すための定量チャンバ30と、コレステロール濃度測定用ディスク10の厚み方向(以下「ディスク厚方向」という。)とは直交した面40a(図12(b)参照。)にChEを含む固体状の試薬としてのChE層41を堆積させている試薬保持チャンバ40と、ディスク厚方向とは直交した面にChDHを含む固体状の試薬としてのChDH層51を堆積させている試薬保持チャンバ50と、ディスク厚方向とは直交した面にWST−9を含む固体状の試薬としてのWST−9層61を堆積させている試薬保持チャンバ60と、ホルマザンの波長650nmの吸光度を測定するための測定チャンバ70と、不要となった液体が廃棄されるための廃液チャンバ80とが形成されている。各チャンバ、流路の配置は、上述した実施の形態と同様である。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40の面40aから突出して面40aと対向する面40c(図12(b)参照。)に接続された柱状体42cと、試薬保持チャンバ40内に配置された柱状体42cと同様に試薬保持チャンバ50、60内にそれぞれ配置された柱状体52、62とを備えている。図12(b)に示すように、ChE層41は、試薬保持チャンバ40の側面40d又は柱状体42に近いほど面40a上に厚く堆積している。同様に、ChDH層51は、試薬保持チャンバ50の側面50d又は柱状体52に近いほど面上に厚く堆積しており、WST−9層61は、試薬保持チャンバ60の側面60d又は柱状体62に近いほど面上に厚く堆積している。
なお、反応性や測定時間の観点からは固体状の試薬が設置されたチャンバの数はなるべく少ない方が好適であるが、上述した実施の形態の説明で述べたと同じ理由により、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChE層41と、ChDH層51と、WST −9層61とを試薬保持チャンバ40、50、60という別々のチャンバに分けて保持している。
次に、コレステロール濃度測定用ディスク10の製造方法について説明する。
血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60、測定チャンバ70、廃液チャンバ80に対応する穴11a(図12(b)参照。)や、試薬保持チャンバ40の柱状体42c、試薬保持チャンバ50の柱状体52、試薬保持チャンバ60の柱状体62に対応する突起11b、血液供給口20a、空気穴20b、40b、50b、60b、160aに対応する穴等が成型されたポリカーボネート製の板材11(図12(b)参照。)が製造される。
また、両面に接着剤が付加されて血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60、測定チャンバ70、廃液チャンバ80や流路110〜160に対応する穴13a(図12(b)参照。)等が切り取られたポリエチレンテレフタラート製の板材13が製造される。
そして、板材11に板材13が接着される。
次いで、ChE、ChEの触媒活性を活性化するための界面活性剤としてn−オクチル−β−D−チオグルコシド、コール酸ナトリウム、反応時のpHを調整するためのpH緩衝剤であるトリス塩酸塩、DIからなる5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ40に対応する部分に滴下して乾燥することによって、試薬保持チャンバ40のChE層41を形成する。なお、ChE層41は、水溶液の表面張力等によって試薬保持チャンバ40の側面40d又は柱状体42に近いほど面40a上に厚く堆積する。
また、ChDHとDIからなる5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ50に対応する部分に滴下して乾燥することによって、試薬保持チャンバ50のChDH層51を形成する。なお、ChDH層51は、水溶液の表面張力等によって試薬保持チャンバ50の側面50d又は柱状体52に近いほど厚く堆積する。
また、WST−9の5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ60に対応する部分に滴下して乾燥することによって、試薬保持チャンバ60のWST−9層61を形成する。なお、WST−9層61は、水溶液の表面張力等によって試薬保持チャンバ60の側面60d又は柱状体62に近いほど厚く堆積する。
最後に、ポリカーボネート製の板材12が板材13に接着されてコレステロール濃度測定用ディスク10が製造される。
以上に説明したように、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChEの溶液が試薬保持チャンバ40内で乾燥させられることによって試薬保持チャンバ40内の面40a側にChE層41が生成されるときに、ChE層41が試薬保持チャンバ40の側面40dの近傍だけではなく柱状体42の近傍にも厚く堆積するので、試薬保持チャンバ40内の面40a側に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化される。
血漿へのChE層41の溶解は、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入する途中での血漿の流動による攪拌と、血漿が試薬保持チャンバ40を満たした後の拡散とによってなされる。したがって、試薬保持チャンバ40内でChE層41の厚みが不均一であると、ChE層41の厚みが厚い部分での溶解性が非常に悪く、溶解時間が長時間必要である。しかしながら、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40内の面40a側に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化されるので、血漿とChEとを従来より迅速に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の迅速性を確保することができる。
また、試薬保持チャンバ40内に血漿が一旦流入した後で血漿の流動による攪拌効果が殆ど期待できないので、試薬保持チャンバ40内でChE層41の厚みが不均一であると、血漿中に溶解するChEの濃度分布に偏りが生じるが、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40内の面40a側に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化されるので、血漿とChEとを従来より均一に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の正確性を確保することができる。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入させられるときに柱状体42cによって血漿を攪拌するので、血漿とChE層41とを従来より迅速に反応させることができる。また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入させられるときに柱状体42によって血漿を攪拌するので、血漿とChE層41とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の迅速性及び正確性を確保することができる。
なお、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40の面40aの単位面積当りの柱状体42の数量が多いほど、ChE層41の厚みを特に血漿との反応の起こりやすい部位においてより均一化することができ、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入させられるときに柱状体42cによって血漿をより効率的に攪拌することができる。また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、複数の柱状体42cを備える場合、複数の柱状体42を等間隔に配置すると、柱状体42cが等間隔に配置されてない構成と比較して、ChE層41の厚みを特に血漿との反応の起こりやすい部位においてより均一化することができる。例えば、図13に示すように、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40の面40a(図12(b)参照。)に仮想的に引いた直交格子48の交点上に柱状体42cを配置することによって、複数の柱状体42cを等間隔に配置することができる。また、1つの柱状体42cの周りに多くの柱状体42cが隣接している方が効果が大きい。図14に示すように、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40の面40aに仮想的に引いた正三角形格子49の交点上に柱状体42cを配置することによって、複数の柱状体42cを等間隔に配置するだけではなく、1つの柱状体42cの周りに6つの柱状体42cを配置することができる。1つの柱状体42cの周りに6つより多くの柱状体42cを配置することは可能であるが、連続的に等間隔に配置することができないので、1つの柱状体42cの周りに6つの柱状体42cを配置した図14に示すような配置が好ましい。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、図12(b)に示すように試薬保持チャンバ40の面40aから突出して面40aと対向する面40cに接続された柱状体42cを備えているので、図15に示すように柱状体42cが試薬保持チャンバ40の面40aのみに接続されて面40cに接続されていない構成と比較して、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入させられるときに柱状体42cによって血漿を強力に攪拌することができる。なお、コレステロール濃度測定用ディスク10は、図15に示すように、柱状体42cが面40cに非接触であっても良い。コレステロール濃度測定用ディスク10は、柱状体42cが面40cに非接触である場合、試薬保持チャンバ40の面40cと、柱状体42cとの隙間40eを血漿が流れることができるので、図12(b)に示すように柱状体42cが試薬保持チャンバ40の対向する面40a及び面40cに接続された構成と比較して、血漿を試薬保持チャンバ40内に迅速に流入させることができる。
以上においては、試薬保持チャンバ40内の柱状体42cについて説明したが、試薬保持チャンバ50内の柱状体52や試薬保持チャンバ60内の柱状体62についても同様である。
なお、本実施の形態では、色素たるWST−9の吸光度変化を検出することで、血漿中の総コレステロール濃度を測定する例を示したが、他の測定方法であっても良い。例えば、WST−9の代わりに、水溶液になった際、フェリシアン化物イオンを生成するフェリシアン化カリウムを固体状の試薬に含有させ、測定チャンバ70内に少なくとも対極と作用極の役割を果たすことができる電極を設け、更に、分析装置に、測定チャンバ70内の電極にコレステロール濃度測定用ディスク10の外部から接触することができる端子を設けることによって、血漿中のコレステロールの酸化によってフェリシアン化物イオンが還元されて生じるフェロシアン化物イオンを、前記電極間に電圧を印加することで再度酸化させる際に生じる酸化電流値を計測して測定することもできる。この場合、フェリシアン化カリウムの代わりに、NADHとの間で電子授受が可能なレドックス化合物を任意に用いることができる。
また、本実施の形態中で示した血漿中のコレステロール以外にも、目的の成分に対する化学反応により生じた変化を光学的或いは電気化学的に検出可能な反応系の確立が可能な場合には任意の測定対象について本発明を用いることが可能である。
また、本実施の形態においては、遠心力と毛細管力の組み合せで血漿を移送するようになっているが、他の方法によって移送するようになっていても良い。例えば、重力によって血漿を移送するようになっていても良いし、ポンプによって血漿を移送するようになっていても良い。ディスク回転により生じる遠心力を制御することによって、前チャンバと次チャンバの間を接続する流路を、ディスク回転による遠心力の方向に従い、前チャンバの下端部分と、次チャンバの上端部分を直線的に結ぶことが可能である。このような流路配置により、ディスク上での流路部分の占有部分を狭くすることができ、ディスク全体の小型化が可能である。ただし、ディスク回転により生じる遠心力の制御により、前チャンバでの試料液の貯留、流路への試料液の浸入と次チャンバへの移送、次チャンバでの液の貯留、次チャンバから更にその次のチャンバへの移送をなすためには、前記ディスク本体の回転による遠心力と、流路に生じる毛細管力、流路とチャンバとの接続部および流路内壁面と試料液との表面張力、流路とチャンバとの接続部および流路内壁面の断面周囲長、流路とチャンバの接続部から、前記ディスク本体の回転による遠心力付与時のチャンバでの試料液面までの距離、流路とチャンバの接続部から、前記ディスクの回転中心までの距離、前記試料液の粘性のバランスにより決定される前記ディスク本体の回転数制御による遠心力制御により、チャンバ中での試料液の貯留と、流路を通じての次チャンバへの試料液の移送の制御が必要である。多数のチャンバと流路の直列の接続により、チャンバ間を段階的に送付するためには、回転中心に近いチャンバ内での試料液の貯留限界の遠心力の方が、回転中心からより遠いチャンバ内での試料液の貯留限界の遠心力より小さくないといけない。(そうでないと、回転中心に近いチャンバでの試料液の貯留限界を超えた遠心力を付与された瞬間に、引き続き、直列に接続された次チャンバ以降のチャンバを、そこで停止することなく試料液が移送されてしまう。)従って、あまり多くの段数のチャンバを設けることはできない。
従って、上述した実施の形態、実施例での送液方法と組み合わせるのが適切である。
なお、本実施の形態中では、ディスクは円形で、回転中心はディスクの外周内部にある構成を示したが、図10に示す構成を1枚のディスクにし、スピンドルモータ810に直結される回転盤を備え、その回転盤に、前記のディスクを固定できる装置、例えば前記回転盤に、前記ディスクを勘合可能な窪みを設ける、などを実装することで、回転中心がディスクの外周外にあるような構成も可能である。その際、本実施例で述べた測定方法、即ち光学測定を用いる際には、前記の回転盤には、測定チャンバ70に対応する部分に貫通部を設けるなどの処置が必要である。
また、上述の実施の形態では、(1)チャンバ内の壁面に形成された試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が、凹形状の曲面である、(2)チャンバ内の壁面に形成された試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が凹形状であることに加え、試薬付着壁面に対向するチャンバ内の壁面に形成された対向壁面の一部の形状が凸形状で、かつ、試薬付着壁面に包含されうる大きさである、(3)壁面は、試薬を保持するべきチャンバ内に形成された試薬付着壁面と、試薬付着壁面に対向する対向壁面と、試薬付着壁面から延在してチャンバを囲む周壁面と、を有し、試薬付着壁は、一方のディスク面に対して傾けられて周壁に接続した傾斜部を有し、周壁面は、傾斜部のうち対向壁面に最も近い部分に接続して傾斜部と共に試薬が付着させられた試薬付着部と、ディスク面に平行な方向において試薬付着部と対向して配置されて試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有する、(4)固体状の試薬を保持するべきチャンバ内の壁面から突出した柱状体が形成されている、という4つの構造的特徴についてそれぞれ単独に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするのであれば、例えば、上述の構造的特定を1つ以上有しても良いことは言うまでもない。
以上のように、本発明に係る試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくすることができるため、液体状の試料と固体状の試薬とを迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができるという効果を有し、血液成分測定装置等として有用である。

本発明は、主として臨床検査分野において試料と試薬との化学反応を検出するために用いるデバイスに関する。
近年、分析・解析・検査技術の進歩により、様々な物質を測定することが可能となってきている。特に、臨床検査分野においては、生化学反応、酵素反応、もしくは、免疫反応等の特異反応に基づく測定原理の開発により、病態に反映する体液中の物質を測定できるようになった。
その中で、ポイント・オブ・ケアテスティング(POCT)と呼ばれる臨床検査分野が注目されている。POCTでは、簡易迅速測定を第一とし、検体を採取してから検査結果が出るまでの時間の短縮を目的とした取組が行われている。したがって、POCTに要求される測定原理及び測定装置は、簡易な測定原理に基づき、小型で携帯性があり、操作性が良い測定装置である。
今日、POCT対応測定機器は、簡易測定原理の構築、それに伴う生体成分の固相化技術、センサデバイス化技術、センサシステム化技術、微細加工技術、及びマイクロ流体制御技術の進歩により、実用性が高くなってきている。
このような、POCT対応測定機器として用いることが可能な分析装置として、従来、ディスク上に展開した液体試料の定性・定量分析を行う装置が、例えば特許文献1において提案されている。
上記特許文献1記載の技術を用いた液体試料分析装置は、血液等の試料を分析することで病気の診断などを行うことができる。ここで、図16は上記従来の液体試料分析装置で使用される分析用ディスクを示す構成図である。図16に示すように、ディスク101には、試料が注入される試料注入孔104、流路105が設けられ、流路105内には試料と反応して、例えば、透過率、色などの光学特性が変化する試薬106が塗布されている。
分析は、前記試料注入孔104を介して試料900が注入されたディスク101を液体試料分析装置に装着して行われる。
図17は上記特許文献1における液体試料分析装置を示す構成図である。液体試料分析装置の構成はいわゆる光ディスク装置に類似しており、ディスク101を回転させるためのスピンドルモータ201、ディスク101内に展開された試料900または試料900と反応した試薬106に光ビームを照射するための光ピックアップ212、光ピックアップ212をディスク101の半径方向に移動させるための送りモータ213等から構成されている。
液体試料分析装置に装着されたディスク101は、スピンドルモータ201により回転し、その遠心力により試料900はディスク101の流路105内に展開され、同時に流路105内に塗布された試薬106と反応する。反応の終了後、ディスク101を回転させながら光ピックアップ212を用いて流路105内の試料900もしくは試薬106に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することで試薬の反応状態を検出して分析を行う。
また、上記のようなディスクの構成に、更に、例えば血液中の血漿成分のみを試薬と反応させるために、血球を遠心分離により除去したり、複数の試薬を順次溶解、反応させたりするために、試薬を塗布した複数のチャンバ部分とチャンバ部分間を結ぶ複数の流路を設けて、試料液を複数のチャンバ部分と複数の流路内を移動、停止させる機能を付加した構造も提案されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2記載の発明においては、上記特許文献1記載の構造によりもたらされる試料液の移動と停止は下述する基本的なメカニズムに基づく。図18は、特許文献2において提案されている技術を説明するための図である。
図18に示すように、流路302は、試料液流動の上流側チャンバ301の遠心力の方向を基準に見た場合の下側301aから出て、同チャンバ301の遠心力方向を基準に見た場合の上側壁面より上方の位置302aまで持ち上がり、続いて、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていき、その先に配置された下流側チャンバ303に連結している。流路304も遠心力の方向を基準に見た場合の下流側チャンバ303の下側から出て、流路302と同様の形状で透過光測定チャンバ305に連結している。
ここで留意すべき点は、チャンバの深さが流路の深さより深いことである。これにより、流路を毛細管現象で移動してきた試料液は、流路がチャンバに連結している部分で毛細管現象の発生が妨げられ、結果、チャンバの手前で試料液の毛細管現象による移動を停止させることが出来る。この状態からディスクを回転させるなどして、試料液に遠心力を与えることで、停止していた試料液はチャンバ(下方側チャンバ303)に流入するようになっている。
ここで更に留意すべき構造として、上述したような、例えば上流側チャンバ301において、遠心力方向を基準に見た場合の同チャンバの上側壁面より上方の位置302aまで持ち上がり、続いて、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていくという、流路の配置上の特徴である。
この特徴のため、遠心力を加えた際に、上流側チャンバ301に溜まり、流路302の逆U字形部分の位置302aを越えて下方側チャンバ303手前部分まで満たした試料液は、サイフォン効果の働きにより、流路302を経由して、上流側チャンバ301に溜まった試料液のほぼ全量が下方側チャンバ303に流入するようになっている。
然るに、遠心力が作用している間は、下方側チャンバ303に流入した試料液は、流路304にも浸入するが、下方側チャンバ303の液面と、遠心力方向を基準に見た場合の同じ水準までしか液面は到達しないため、流路304の遠心力方向を基準に見た場合の下方側チャンバ303上側壁面より上方の逆U字形部分手前の下方側チャンバ303側で停止する。したがって、流路304を上述した流路302と同様、下方側チャンバ303の上側側面より上方まで持ち上げた構造にしておけば、遠心力が作用している間は、次のチャンバチャンバ手前まで試料液が移動することはない。
そして、回転を停止するなどして、遠心力の作用を除去したときに、直ちに毛細管現象で試料液は流路304の遠心力方向を基準に見た場合の下方側チャンバ303上側壁面より上方の逆U字形部分を移動して次のチャンバ、図18では透過光測定チャンバ305の手間まで到達する。この状態から遠心力を作用させることで透過光測定チャンバ305に試料液が流入する。なお、試料液が透過光測定チャンバ305に流入している状態で遠心力の作用を中止すると、透過光測定チャンバ305内の試料液が毛細管現象により前記流路304を逆流し、透過光測定チャンバ内の試料液量が不足する場合があること等の理由から、透過光測定時にも遠心力を作用させる必要がある。
各チャンバ間の試料液の流入を円滑にするために、各チャンバ上部には試料液が到達し得ない部分に空気穴306、307、308が設けられている。このような構造により、試料液に十分溶解、反応させ、流路を移動させることが可能である。
また、例えば上記チャンバ301に試料液中の特定成分の測定に必要な反応試薬を乾燥担持する場合、反応に必要な濃度以上の試薬濃度の水溶液をチャンバ301の容積量、滴下乾燥するか、チャンバ301の容積量の試料液に反応試薬が溶解した際に、反応に必要な試薬濃度足りうる量の試薬をチャンバ301内に担持できるような濃度と滴下量の試薬溶液を滴下乾燥することで反応試薬層をえることができる。
国際公開第00/026677号パンフレット 特開2000−580007号公報
しかしながら、例えばチャンバ301に試薬層を形成する構成では、試料液が流入した際に、特に撹拌の効果を得ることができないので、試薬層の溶解が十分ではなくなる場合があった。
また、例えばチャンバ301の底面と側面の接続部分が直角または鋭角である、従来の試料分析用ディスクにおいては、図19に示すように、試薬の溶液をチャンバ301に滴下し、乾燥させることによってチャンバ301内に固体状の試薬910を保持するとき、溶液の表面張力等によって固体状の試薬910がチャンバ301の側面301aに近いほど底面301b上に厚く堆積してしまうという問題があった。そのため、液体状の試料がチャンバ301内に流入したときに、底面301b上に堆積した固体状の試薬910がチャンバ301の側面301a付近において液体状の試料に十分に溶解することができない場合があった。
いずれの場合も、固体状の試薬910が試薬の溶液との反応の起こりやすい部位であるチャンバ301内において均一に保持されていないため、試料液中の試薬濃度が十分ではなく、結果的に測定に必要な化学反応が十分に進行しない、あるいは、溶解の進行の再現性が得られにくく、結果として、応答の再現性が損なわれるという問題が生じる懸念があった。
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたもので、チャンバ内に形成された固体状の試薬の層の厚みの偏りを特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において少なくし、液体状の試料と固体状の試薬とを迅速及び均一に溶解させることにより、迅速および均一な反応を惹起せしめ、測定の迅速性及び正確性を確保することができる試料分析用ディスクを提供することを目的とする。
上記の目的を達成すべく、本発明の試料分析用ディスクは、液体状の試料が流入させられるためのチャンバを構成する壁面と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内の前記壁面に付着して保持された固体状の試薬とを備えた試料分析用ディスクであって、更に、(1)前記チャンバ内の前記壁面に形成された前記試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が、凹形状の曲面である、(2)前記チャンバ内の前記壁面に形成された前記試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が凹形状であることに加え、前記試薬付着壁面に対向する前記チャンバ内の前記壁面に形成された対向壁面の一部の形状が凸形状で、かつ、前記試薬付着壁面に包含されうる大きさである、(3)前記壁面は、前記試薬を保持するべき前記チャンバ内に形成された試薬付着壁面と、前記試薬付着壁面に対向する対向壁面と、試薬付着壁面から延在して前記チャンバを囲む周壁面と、を有し、前記試薬付着壁は、前記一方のディスク面に対して傾けられて前記周壁に接続した傾斜部を有し、前記周壁面は、前記傾斜部のうち前記対向壁面に最も近い部分に接続して前記傾斜部と共に前記試薬が付着させられた試薬付着部と、前記ディスク面に平行な方向において前記試薬付着部と対向して配置されて前記試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有する、(4)前記固体状の試薬を保持するべき前記チャンバ内の前記壁面から突出した柱状体が形成されている、という4つの構造的特徴の少なくとも1つを備えて、前記チャンバ内の前記壁面に付着して保持された固体状の試薬の厚みを特に試料液との反応の起こりやすい部位において均一にした構成を有している。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくすることができるため、試料液がチャンバ内に流入したときに、速やかに前記固体状試薬が溶解し、化学反応を空間的な偏りなく進行させ、更に、チャンバ部分の体積を少なくすることができ、もって、化学反応検出による試料液中の特定成分の検出の正確性の確保をより少ない試料量で実現することが可能となる。
また、本発明の試料分析用ディスクは、前記チャンバは、凸状部分を有する上基板と凸状部分を有する下基板との間にスペーサを介して設けられた、少なくとも2つの開口部が形成された空隙により画定され、前記凹状部分に試薬が担持されている構成を有しても良い。また、前記上基板の凹状部分の形状と前記下基板の凸状部分の形状とが互いに相似することが好ましい。 即ち、前記上基板の凹状部分と前記下基板の凸状部分との間の距離が、前記凹状部分および前記凸状部分の全体にわたって略均一であることが好ましい。また、前記凹状部分の形状と前記凸状部分の形状とが曲面状であることが好ましい。さらに、本発明の試料分析用ディスクは、連結用流路を介して相互に連通される、前記チャンバと同一の構成のチャンバを複数個有しても良い。
換言すると、本発明の試料分析用ディスク内には、少なくとも2個の開口部を有する空隙であるチャンバを少なくとも1個もち、チャンバ間を前記チャンバの開口部を介し連結する連結用流路を有し、前記チャンバの底面が曲面の凹形状であり、天井面は底面と相似形の曲率の凸形状を有する構造を有し、前記チャンバ底面に、固体状の試薬が担持されている構成を有しても良く、内部または外部に、注入された試料液と前記試薬の混合溶液の化学反応を検出する検出部、および連結用流路とチャンバ内への試料液の搬送部を具備していても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくすることができるため、試料液がチャンバ内に流入したときに、速やかに前記固体状試薬が溶解し、化学反応を空間的な偏りなく進行させ、更に、チャンバ部分の体積を少なくすることができ、もって、化学反応検出による試料液中の特定成分の検出の正確性の確保をより少ない試料量で実現することが可能となる。
また、本発明の試料液分析用ディスクは、上述の(3)の構成を有しても本発明の目的を果たすことが可能である。
即ち、本発明の試料分析用ディスクは、液体状の試料が流入させられるためのチャンバを形成した壁と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内に保持された固体状の試薬とを備えた試料分析用ディスクであって、前記壁は、前記試料分析用ディスクの一方のディスク面側に配置されて前記試薬が付着させられた試薬付着壁と、前記試薬付着壁から延在して前記チャンバを囲む周壁とを有し、前記試薬付着壁は、前記一方のディスク面に対して傾けられて前記周壁に接続した傾斜部を有し、前記周壁は、前記傾斜部のうち前記一方のディスク面に最も近い部分に接続して前記傾斜部と共に前記試薬が付着させられた試薬付着部と、前記ディスク面に平行な方向において前記試薬付着部と対向して配置されて前記試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有した構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、試薬の溶液が一方のディスク面側に押し付けられた状態で試薬の溶液がチャンバ内で乾燥させられることによってチャンバ内に固体状の試薬が生成されるときに、固体状の試薬の厚みが特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において従来より均一化され、その結果、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。また、本発明の試料分析用ディスクは、試薬付着壁が傾斜部を有しているので、試薬の溶液が一方のディスク面側に押し付けられた状態で試薬の溶液がチャンバ内で乾燥させられることによってチャンバ内に固体状の試薬が生成されるときに、試薬の溶液が周壁の試薬非付着部に及ぶことを抑制することができ、その結果、固体状の試薬が周壁の試薬非付着部に及ぶことを抑制することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記試薬付着壁は、前記試薬非付着部に前記傾斜部以外の部分で接続した構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、試薬付着壁が周壁の試薬非付着部に傾斜部以外の部分で接続しているので、試薬の溶液が一方のディスク面側に押し付けられた状態で試薬の溶液がチャンバ内で乾燥させられることによってチャンバ内に固体状の試薬が生成されるときに、試薬の溶液の濡れ性が大きい場合等であっても、試薬の溶液が周壁の試薬非付着部に及ぶことを抑制することができ、その結果、固体状の試薬が周壁の試薬非付着部に及ぶことを抑制することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの製造方法は、液体状の試料が流入させられるためのチャンバを形成した壁と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内に保持された固体状の試薬とを備えた試料液分析用ディスクであって、前記壁は、前記試料分析用ディスクの一方のディスク面側に配置されて前記試薬が付着させられた試薬付着壁と、前記試薬付着壁から延在して前記チャンバを囲む周壁とを有し、前記試薬付着壁は、前記一方のディスク面に対して傾けられて前記周壁に接続した傾斜部を有し、前記周壁は、前記傾斜部のうち前記一方のディスク面に最も近い部分に接続して前記傾斜部と共に前記試薬が付着させられた試薬付着部と、前記ディスク面に平行な方向において前記試薬付着部と対向して配置されて前記試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有した上述の試料液分析用ディスクの製造方法であって、前記試薬の溶液が前記一方のディスク面側に押し付けられた状態で前記溶液を前記チャンバ内で乾燥することによって前記チャンバ内に前記固体状の試薬を生成する構成を有しても良い。
この構成によっても、本発明の製造方法によって製造された試料分析用ディスクは、固体状の試薬の厚みが特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において従来より均一化され、その結果、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。
更に、上述の(4)の構成を有しても本発明の目的を果たすことが可能である。
即ち、液体状の試料が流入させられるためのチャンバが形成され、前記チャンバ内に配置されて前記チャンバの一面から突出した柱状体と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内の前記一面側に保持された固体状の試料とを備えた構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、液体状の試料がチャンバ内に流入させられるときに柱状体によって液体状の試料を攪拌することができるので、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。また、本発明の試料分析用ディスクは、試薬の溶液がチャンバ内で乾燥させられることによってチャンバ内の一面側に固体状の試薬が生成される場合、固体状の試薬が柱状体の近傍にも厚く堆積するので、チャンバ内の一面側に生成される固体状の試薬の厚みが特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において従来より均一化され、その結果、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記柱状体は、複数あり、正三角形格子の交点上にそれぞれ配置された構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、柱状体が等間隔に配置されているので、柱状体が等間隔に配置されてない構成と比較して、固体状の試薬の厚みを特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位においてより均一化することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記柱状体は、複数あり、直交格子の交点上にそれぞれ配置された構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、複数の柱状体が正三角形格子の交点上に配置される場合と比較して、固体状の試薬の厚みをより均一化することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記柱状体は、前記柱状体は、前記チャンバの前記一面と対向する面に接続された構成を有しても良い。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、柱状体がチャンバの対向する面の一方のみに接続されて他方に非接触である構成と比較して、液体状の試料がチャンバ内に流入させられるときに柱状体によって液体状の試料を強力に攪拌することができる。
また、本発明の試料分析用ディスクの前記柱状体は、前記チャンバの前記一面と対向する面に非接触である構成を有している。
この構成により、本発明の試料分析用ディスクは、チャンバの面のうち柱状体が接続された面に対向する面と、柱状体との隙間を液体状の試料が流れることができるので、柱状体がチャンバの対向する両面に接続された構成と比較して、液体状の試料をチャンバ内に迅速に流入させることができる。
また、上述の本発明の試料分析用ディスクの製造方法は、液体状の試料が流入させられるためのチャンバが形成され、前記チャンバ内に配置されて前記チャンバの一面から突出した柱状体と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内の前記一面側に保持された固体状の試料とを備えた試料液分析用ディスクの製造方法であって、前記試薬の溶液を前記チャンバ内で乾燥することによって前記チャンバ内の前記一面側に固体状の前記試薬を生成する構成を有しても良い。
この構成により、本発明の製造方法によって製造された試料分析用ディスクは、固体状の試薬が柱状体の近傍にも厚く堆積するので、チャンバ内の一面側に生成された固体状の試薬の厚みが特に液体状の試料との反応の起こりやすい部位において従来より均一化され、その結果、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。また、本発明の製造方法によって製造された試料分析用ディスクは、液体状の試料がチャンバ内に流入させられるときに柱状体によって液体状の試料を攪拌することができるので、液体状の試料と固体状の試薬とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができる。
本発明の試料分析用ディスクにおいては、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくすることができるため、試料液がチャンバ内に流入したときに、速やかに前記固体状試薬が溶解し、化学反応を空間的な偏りなく進行させ、更に、チャンバ部分の体積を少なくすることができ、もって、化学反応検出による試料液中の特定成分の検出の正確性の確保をより少ない試料量で実現することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の試料分析用ディスクの一実施の形態を示す概略上面図である。図1において、試料分析用ディスクを一点鎖線で示し、その回転中心をCで示した。また、図2は、図1に示す試料分析用ディスクのa−a線断面図である。
図1および図2に示すように、本発明の試料分析用ディスクは、上基板6と下基板8との間にスペーサ7を介して設けられた空隙からなるチャンバ3と、チャンバ3に設けられた少なくとも2個の開口部1、2とを有し、チャンバ3が、上基板6に設けられた凸状部分4と、下基板8に設けられた凹状部分5aとで構成され、凹状部分5aに試薬層5bが設けられている。
上基板6と下基板8とで構成されているチャンバ3は、別の部材で構成されたディスク上に搭載されていても良く、また、チャンバ3が上基板6と下基板8とで構成されているとともに、ディスクそのものもが上基板6と下基板8と同一の部材で構成されていても良い。また、上基板6と下基板8とで構成されているチャンバ3は、ディスクに内蔵されていても良い。本実施の形態において、図1および図2に示されるように、チャンバ3は上基板6と下基板8とで構成されているものとする。ディスクは図1に一点鎖線10aで仮想的に示されている。
この試料分析用ディスクでは、チャンバ3は境界3a、3bで囲まれており、回転中心Cに近い開口部1に接続された流路(図示せず)から試料(例えば液状)が流入し、回転中心Cから最も遠い位置の開口部2から流出する。
図1では、チャンバ3の形状は説明を容易にするため円形としているが、実際には底面(即ち下基板8)に凹状部分5aが形成され得るような形状であれば円形以外の形状でも構わない。チャンバ3の天井部、即ち上基板6には、チャンバ3の底部、即ち曲面状の凹状部分5aの形状と相似の上曲面と、この上曲面の平面投影形状を底面とする柱状部分との組み合わせによる突起、即ち凸状部分4が設けられている。さらに、図2に示すように凸状部分4は凹状部分5aに包含されうる大きさであることが好ましい。
凹状部分5aの形状と凸状部分4、特に上曲面の形状とは互いに相似しており、また、凹状部分5aと凸状部分4との間の距離H(中央)が、凹状部分5aおよび凸状部分4の全体にわたって略均一となっている。
チャンバ3の底面、即ち凹状部分5aには、試薬層5bが形成されている。この試薬層5bは、固体状であっても良く、また、完全に乾燥されてはいないゲル状などの半固体状であっても良い。
図2に示すように、本発明の試料分析用ディスクは、上から上基板6、開口部1、2および流路(図示せず)の高さと同じ厚さのスペーサ7、および下基板8を積層することによって構成されている。
スペーサ7はその一部がくりぬかれて開口部1、2につながる流路が形成されている。上基板6のうち開口部1付近の天井面は、流路から連続して平面状であり、下基板8で構成される下面はチャンバ3の部分において傾斜しており、凹状部分5aが構成されている。
毛細管現象により開口部1に移送されてきた試料は、開口部1に接続する流路とチャンバ3の接続部である凹状部分5aの手前、即ち境界3a部分の手前で静止する。引続き、試料分析用ディスクに回転が加えられると、遠心力で試料はチャンバ3内に流入し、開口部2に接続する流路を介して流出する。
本発明の試料分析用ディスクには、上記チャンバ3と同様の構成のチャンバが複数個含まれていても良く、この場合には、それぞれのチャンバから流出した試料は、開口部2に接続する流路を介して次のチャンバ(図示せず)に移送されるようになる。
試薬層5bは、凹状部分5a全体に接触する形で担持されている。チャンバ3の中央部付近においては、上述したように、天井部にチャンバ3の凹状部分5aの形状と相似形の曲面状の凸状部分4がある。
この凸状部分4が無いと、チャンバ3の底面が曲面であるため、当該底面から天井面への高さがチャンバ3内の位置によって異なり、不均一となる。一方で、試薬層5bは凹状部分5aに沿ってほぼ均一な厚みをもつ。従って、凸状部分4が無くても、試薬層5bの厚みがほぼ均一であることから、試薬の良好な溶解性が期待できる。しかし、以下に述べる理由によって凸状部分4を設けた方がより好ましい。即ち、凸状部分4があることで、試料がチャンバ3内に流入し、試薬層5bが溶解したとき、濃度が場所によって不均一にはならず、チャンバ3外周部付近の溶解も遅れることがない。さらに、試薬層5bが溶け残りにくい。即ち、上記のような突起状の凸状部分4を設けることで、底面から天井部までの高さが均一になり、試薬の溶解も一様になる。
また、凸状部分4が存在することによってチャンバ3の容積が小さくなり、少ない体積の試料に接触し得る試薬層5bの表面積を広くすることができる。このことによっても試薬層5bの溶解性向を期待することができる。
つぎに、下基板8に設けられたチャンバ3の凹状部分5aの深さ(H(下基板))、流路の天井高さ(H(流路))、チャンバ3内の天井高さ(H(中央))、上基板6の凸状部分4の各寸法(H(上曲面)、H(上柱))は以下のように規定される。
まず、流路の天井高さ(H(流路))は、毛細管現象で試料が移送され得る高さであれば良い。概ね50〜300μmの範囲であればこの要件に合致する。
下基板8に形成される凹状部分5aの深さ(H(下基板))と平面寸法は、特に制限はなく、開口部1の境界3aの部分に、毛細管現象により移送されてきた試料が静止できる程度の段差を確保できる傾斜面の角度を確保できる程度で、かつ、試薬層5bを形成する際に試薬溶液を必要量滴下した際にあふれない程度の容積を確保できる範囲であれば良い。このため、凸状部分4は凹状部分5aに包含されうる大きさであることが好ましい。
これは概ね200〜600μmであれば良いが、必ずしもこの範囲内で無ければならない必然性はない。
ただし、上基板6を張り合わせたときの凸状部分4の先端と凹状部分5aとの間の距離(H(中央))は、少なくとも前記流路の天井高さ(H(流路))と同程度であるのが好ましい。
また、凸状部分4の高さ(図2におけるH(上柱)とH(上曲面)との合計)が、天井高さ(H(流路))より大きく、上基板6の凸状部分4の先端の一部が下基板8の凹状部分5bに入り込んでいても良い。
試薬層5bは、試薬溶液を下基板8の凹状部分5aに滴下、乾燥することによって形成されるが、滴下量と濃度は、張り合わせ前の凹状部分5aの容積と、スペーサ7と上基板8とを張り合わせた際のチャンバ3内の容積との比率によって規定される。
上基板6上の凸状部分4の形状は、少なくとも流入口である開口部1に接しない形状であれば良い。凸状部分4が開口部1に接すると、開口部1付近の天井高さが流路の天井高さより低くなってしまい、試料が開口部1で静止できなくなる。
試薬層5bは、反応に必要な試薬群を、水およびpH緩衝液などの少なくとも1種に溶解させた溶液を凹状部分5aに滴下、乾燥させることにより形成することができる。
本発明の試料分析用ディスクにおいては、上記のようなチャンバ3を複数個有していても良く、例えばコレステロールを検出する試薬系では、すべての試薬を1つの層にすると、試薬同士の相互作用による変性のため、期待する反応が生じにくくなる。そこで、この場合には、3種に分割した試薬層を、3つのチャンバに別個に形成するのが好ましい。
以下において、本実施の形態の実施例を用いてさらに詳細に本発明を説明する。なお、本発明をより具体的に説明する為に、具体的な測定対象物、部材の材質等を具体的に記載しているが、本発明がそれらの記載によって制限を受けるものではない。
(第1の実施の形態の実施例)
血漿中の総コレステロール濃度を測定するために、図1および図2に示す構造を有する本発明の液体試料分析用ディスクに搭載されるチャンバ3を作製した。
ポリカーボネート製の上基板6および下基板8と、両面に粘着剤を塗布したポリエチレンテレフタレート製の厚み100μmのスペーサ7を用意した。下基板8を成型により作製する際に、一方の面に凹状部分5bを設けた。また、上基板6には、凸状部分4を設けた。
凹状部分5bは、曲面状であり、直径2mmの円形で中央部の深さ(H(下基板))は0.4mmとした。凹状部分5bの容積はおよそ2.78μlであった。また、この直径2mmの円形部分に接続するように、スペーサ7を切り抜いて幅0.5mmの流路を形成した。
上基板6のチャンバ3に相当する部分には、直径1.7mmの円形の上面および下面を有する高さ(H(上柱))0.1mmの円柱と、凹状部分5aの曲面と相似形の直径1.7mmの曲面を有する先端部とが組み合わされて構成された突起、即ち凸状部分4を設けた。
この凸状部分4全体の高さを0.4mmとすると、凸状部分4の先端部分では上基板6、スペーサ7、下基板8を張り合わせた後の天井高(H(中央))が0.1mmとなり、かつ、凸状部分4と凹状部分5aが対向する部分では、チャンバ3のどの部分であっても、天井高がH(中央)と同様にほぼ0.1mmになった。
このときのチャンバの容積は約1.10μlであった。
上記のような上基板6、下基板8、および両面に粘着剤を有するスペーサ7、流路をチャンバの平面形状どおりに切り抜かれた板材を貼り合わせて、本発明の試料分析用ディスクを形成した。また、貼り合わせる前に凹状部分5aに試薬層5bを形成した。
試薬層5bは、後述するように、反応必要な試薬群を、水あるいはpH緩衝液に溶解させた溶液をチャンバ3に滴下、乾燥させることにより形成されるが、コレステロールを検出する試薬系では、すべての試薬を1つの層にすると、試薬同士の相互作用による変性のため、期待する反応が生じにくくなる。そこで、3種に分割した試薬層を、3つのチャンバに別個に形成するのが好ましい。
本発明において3つのチャンバを有する試料分析用ディスクは、図18に示す従来の試料分析用ディスクにおいて、チャンバ301、303および305として上述したチャンバ3を適用することによって実現することができる。
したがって、この場合、流路302は、上述したように、試料を流動させる上流側の第1のチャンバ301の遠心力の方向を基準に見た場合の、下側301aから出て、第1のチャンバ301の遠心力方向を基準に見た場合の上側壁面より上方の位置302aまで持ち上がり、続いて、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていき、その先に配置された遠心力の方向を基準に見た場合の下流側の第2のチャンバ303に連結している。流路304も遠心力の方向を基準に見た場合の下流側チャンバ303の下側から出て、流路302と同様の形状で透過光測定チャンバ305に連結している。
ここで更に留意すべき構造として、上述したような、例えば上流側チャンバ301において、遠心力方向を基準に見た場合の同チャンバの上側壁面より上方の位置302aまで持ち上がり、続いて、遠心力方向を基準に見た場合の下方に続いていくという、流路の配置上の特徴である。
この特徴のため、遠心力を加えた際に、上流側チャンバ301に溜まり、流路302の逆U字形部分の位置302aを越えて下方側チャンバ303手前部分まで満たした試料液は、サイフォン効果の働きにより、流路302を経由して、上流側チャンバ301に溜まった試料液のほぼ全量が下方側チャンバ303に流入するようになっている。
然るに、遠心力が作用している間は、チャンバ303に流入した試料は、流路304にも浸入するが、下方側チャンバ303の液面と、遠心力方向を基準に見た場合の同じ水準までしか液面は到達しないため、流路304の遠心力方向を基準に見た場合の下方側チャンバ303上側壁面より上方の逆U字形部分手前の下方側チャンバ303側で停止する。したがって、流路304を上述した流路302と同様、下方側チャンバ303の上側側面より上方まで持ち上げた構造にしておけば、遠心力が作用している間は、次のチャンバチャンバ手前まで試料液が移動することはない。
そして、回転を停止するなどして、遠心力の作用を除去したときに、直ちに毛細管現象で試料は流路304の遠心力方向を基準に見た場合の下方側チャンバ303上側壁面より上方の逆U字形部分を移動して次のチャンバ、図18では透過光測定用のチャンバ305の手間まで到達する。この状態から遠心力を作用させることでチャンバ305に試料が流入する。なお、試料液が透過光測定チャンバ305に流入している状態で遠心力の作用を中止すると、チャンバ305内の試料が毛細管現象により前記流路304を逆流し、チャンバ305内の試料量が不足する場合があること等の理由から、透過光測定時にも遠心力を作用させる必要がある。
各チャンバ間の試料の流入を円滑にするために、各チャンバ上部には試料が到達し得ない部分に空気穴306、307、308が設けられている。このような構造により、試料に十分溶解、反応させ、流路を移動させることが可能である。
また、例えば上記チャンバ301に試料液中の特定成分の測定に必要な反応試薬を乾燥担持する場合、反応に必要な濃度以上の試薬濃度の水溶液をチャンバ301の容積量、滴下乾燥するか、チャンバ301の容積量の試料に反応試薬が溶解した際に、反応に必要な試薬濃度足りる量の試薬をチャンバ301内に担持できるような濃度と滴下量の試薬溶液を滴下乾燥することで試薬層を得ることができる。
化学変化の検出は、コレステロールの化学反応に起因する、試薬層5bに含まれる色素の特定波長の吸光度変化の検出により実施する。したがって、測定用のチャンバ305の底面部および天井部は平面状とし、光学的に前記波長に対して、略透明とした。
測定用チャンバの深さは、後述する測定試薬の構成の場合は200μmが適切であるが、一般的には、透過光測定時の光路長に相当するので、測定時に透過光量または吸光度が変化することにより測定対象物質の濃度を示す物質の透過光量または吸光度が適切な数値になるように適切に設定する必要がある。
試薬層5bを担持するチャンバは上述したように、容積が約1.1μlであり、測定用チャンバは直径2mmで深さが200μmの平面形状を有する。この場合、測定用のチャンバの容積は約0.6μlになるので、流路移送中に流路に残留する試料が生じても、測定に必要な試料量の確保が可能である。
血漿中のコレステロール濃度を測定するために、以下の反応機構を用いる。
(化1)E-Chol→Chol(酵素:ChE)
(化2)Chol+NAD → コレステノン+NADH(酵素:ChDH)
(化3)NADH + WST−9 → NAD+ホルマザン(酵素:DI)
上記の式(3)中のホルマザンの生成による波長650nmの透過光に対する吸光度が濃度に対応する変化量を測定し、総コレステロール濃度を算出する。なお、上記式(1)〜(3)において、E-Cholはコレステロールエステルを示す。血漿中のコレステロールの大半はエステル化している。Cholはコレステロールを示す。ChEはE-CholをCholに変化させる反応を触媒する酵素であるコレステロールエステラーゼ(EC3.1.1.13)を示す。
ChDHは、コレステロールデヒドロゲナーゼ(ECは不明、アマノエンザイム(株)より購入)、NADはChDHの補酵素であるニコチンアデニンジヌクレオチド、NADHはNADの還元状態を示す。WST−9は「水溶性テトラゾリウム−9」の英語の頭文字をとった略称で、(株)同仁化学研究所より入手できるテトラゾリウム塩の1種である。DIはジアホラーゼ(EC1.6.99.2)を示す。DIはNADHのNADへの酸化反応とそれに共役する還元反応を触媒する酵素である。
上記の反応を行わせるために、上記のチャンバ301、303および305にそれぞれ下記の試薬層5bのうち1種類ずつ計3種類の試薬層5bを形成する。一つはChEを含むChE層、もう一つはChDHを含むChDH層、もう一つはWST−9を含むWST−9層である。
ChE層は、ChE、ChEの触媒活性を活性化するための界面活性剤としてn-オクチル−β−D−チオグルコシド、コール酸ナトリウム、反応時のpHを調整するためのpH緩衝剤であるトリス塩酸塩、DIからなる水溶液を下基板8の凹状部分5aに滴下乾燥することで形成する。下基板8の凹状部分5aの容積が2.78μlで、上基板6、スペーサ7、下基板8を貼り合わせた後のチャンバ3容積が1.10μlであるため、反応に必要な濃度の1.10/2.78倍の溶液2.78μlをチャンバ3に滴下乾燥担持した。
ChDH層は、ChDHとDIからなる水溶液を滴下乾燥することで形成し、WST−9層はWST−9水溶液を滴下乾燥することで形成した。
pH緩衝剤は、ChDHの至適pHがpH8以上のアルカリ性領域であることから反応系に必須だが、ChDHのアルカリ性領域での安定性が良くないのでChDH層ではなくChE層に混合されている。なおChEはアルカリ性領域での安定性が悪くなく、かつ反応性も悪くない酵素を市販品から選ぶことができる。
反応性や測定時間の観点からは試薬層5bの設置数はなるべく少ない方が好適であるが、本実施例での反応系の場合、上述した理由から、ChE層、ChDH層の2種類の試薬層が必要である上に、更にWST−9層もこれらとは分離して形成する必要がある。その理由は、WST−9がChDHの触媒活性を阻害する傾向が認められることにある。このことから、上記の式(化1)および(化2)の反応を、WST−9が含まれていない条件で行い、しかる後、WST−9を混合し、呈色反応を誘導する必要が生じるため、試薬層は試料液の流れる順に、ChE層、ChDH層、WST−9層の順に少なくともこの3種を配置する必要がある。
上述した方法で作成された試薬層5bを包含する液体試料分析用ディスクに血液を点着し、図17に示す構造を有する測定装置で吸光度を測定したところ図6(c)に示す血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化を観測することができた。
なお、本実施例では、色素たるWST−9の吸光度変化を検出することで、血漿中の総コレステロール濃度を測定する例を示したが、WST−9のかわりに、水溶液になった際、フェリシアン化物イオンを生成するフェリシアン化カリウムを試薬層に含有させ、測定用のチャンバ内に少なくとも対極と作用極の役割を果たすことができる電極を設けても良い。
この場合、更に、図17の分析装置に、前記電極にディスク外部から接触することができる端子を設けることにより、血漿中のコレステロールの酸化によってフェリシアン化物イオンが還元されて生じるフェロシアン化物イオンを、前記電極間に電圧を印加することで再度酸化させる際に生じる酸化電流値を計測して測定することもできる。この場合、フェリシアン化カリウムのかわりに、NADHとの間で電子授受が可能なレドックス化合物を任意に用いることができる。
また、更に、本実施例中で示した、血漿中のコレステロール以外にも、目的の成分に対する化学反応により生じた変化を光学的あるいは電気化学的に検出可能な反応系の確立が可能な場合には任意の測定対象について本発明を用いることが可能である。
また、上述の実施の形態では、チャンバ内の壁面に形成された試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が凹形状であることに加え、試薬付着壁面に対向するチャンバ内の壁面に形成された対向壁面の一部の形状が凸形状で、かつ、試薬付着壁面に包含されうる大きさである場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするのであれば、いかなる構成でも良い。例えば、チャンバ内の壁面に形成された試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状のみが、凹形状の曲面であっても良い。
さらに、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするため、チャンバ内の試薬付着壁面を試料液との反応の起こりにくい部位ではなく、特に試料液との反応の起こりやすい部位に集中する構成も考えられる。チャンバ内の試薬付着壁面を特に試料液との反応の起こりやすい部位、具体的には、ディスクの回転中心に対向する部位に集中するように構成した場合について次の実施の形態で説明する。
(第2の実施の形態)
続いて、以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施の形態について説明する。
説明を容易にするため、血漿中の総コレステロール濃度を測定するための試料分析用ディスクを用いた場合について一例を挙げて説明する。
図3に示すように、液体状の試料としての血液の血漿中の総コレステロール濃度を測定するための試料分析用ディスクとしてのコレステロール濃度測定用ディスク10は、図17に示す分析装置に装着されるようになっている。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、血漿中のコレステロール濃度を測定するために上述した実施例と同様の反応機構を有する。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、図3及び図4に示すように、血液から血球を遠心分離により除去して血漿のみを取り出すための血球分離チャンバ20と、血球分離チャンバ20によって取り出された血漿から一定量を取り出すための定量チャンバ30と、ChEを含む固体状の試薬としてのChE層41を堆積させている試薬保持チャンバ40と、ChDHを含む固体状の試薬としてのChDH層51を堆積させている試薬保持チャンバ50と、WST−9を含む固体状の試薬としてのWST−9層61を堆積させている試薬保持チャンバ60と、ホルマザンの波長650nmの吸光度を測定するための測定チャンバ70と、不要となった液体が廃棄されるための廃液チャンバ80とが形成されている。
血球分離チャンバ20は、同一円周上に等間隔で6つ配置されており、定量チャンバ30は、1つの血球分離チャンバ20に対して3つずつ配置されており、試薬保持チャンバ40は、1つの定量チャンバ30に対して1つずつ配置されており、試薬保持チャンバ50は、1つの試薬保持チャンバ40に対して1つずつ配置されており、試薬保持チャンバ60は、1つの試薬保持チャンバ50に対して1つずつ配置されており、測定チャンバ70は、1つの試薬保持チャンバ60に対して2つずつ配置されており、廃液チャンバ80は、1つの血球分離チャンバ20に対して1つずつ配置されている。
また、血球分離チャンバ20には、血液が供給される血液供給口20aが形成されている。また、血球分離チャンバ20、試薬保持チャンバ40、50、60には、コレステロール濃度測定用ディスク10内の液体の流通を円滑にするために空気を通す空気穴20b、40b、50b、60bがそれぞれ形成されている。血液供給口20a及び空気穴20b、40b、50b、60bは、コレステロール濃度測定用ディスク10が分析装置(図17参照。)によって駆動されているときに液体がコレステロール濃度測定用ディスク10の内部から外部に漏れないような位置に配置されている。
試薬保持チャンバ40、50、60は、コレステロール濃度測定用ディスク10の厚み方向(以下「ディスク厚方向」という。)と直交する面上の形状が2.0mm×5.0mmの略長方形であって、5.0mmの辺がコレステロール濃度測定用ディスク10の径方向(以下「ディスク径方向」という。)と略直交するように配置されており、ディスク厚方向における深さが最も深いところで400μm、最も浅いところで200μmである。
なお、定量チャンバ30の容積は、試薬保持チャンバ40、50、60の容積である3μlの半分の1.5μlである。
また、測定チャンバ70は、ディスク厚方向と直交する面上の形状が直径2mmの円形であって、容積が約1μlである。ディスク厚方向における測定チャンバ70の深さは、本実施の形態の場合は200μmが適切であるが、一般的には、透過光測定時の光路長に相当するので、測定時に透過光量又は吸光度が変化することにより測定対象物質の濃度を示す物質の透過光量又は吸光度が適切な数値になるように適切に設定する必要がある。また、上述したように波長650nmの透過光に対する吸光度の変化によって血漿中の総コレステロール濃度を測定するので、測定チャンバ70は、ディスク厚方向と直交する面が平面であり、波長650nmに対して光学的に略透明である。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、図5に示すように、コレステロール濃度測定用ディスク10のディスク面10a、10bのうちディスク面10a側に配置されてChE層41が付着させられた試薬付着壁としての壁42と、壁42から延在して試薬保持チャンバ40を囲む周壁としての壁43と、壁43から延在して壁42に対向した壁44とを有し、壁42、43、44によって試薬保持チャンバ40が形成されている。壁42は、ディスク面10aに対して傾けられて壁43に接続してChE層41が付着させられた傾斜部42aを有している。壁43は、傾斜部42aのうちディスク面10aに最も近い部分に接続してChE層41が付着させられた試薬付着部43aと、ディスク面10aに平行な方向において試薬付着部43aと対向して配置されてChE層41が付着させられていない試薬非付着部43bとを有している。試薬保持チャンバ40について説明したが、試薬保持チャンバ50、60も同様な壁によって形成されている。
なお、反応性や測定時間の観点からは固体状の試薬が設置されたチャンバの数はなるべく少ない方が好適であるが、コレステロール濃度測定用ディスク10は、以下に説明する理由から、ChE層41と、ChDH層51と、に必要なWST−9層61とを試薬保持チャンバ40、50、60という別々のチャンバに分けて保持している。
ChDHは、至適pHがpH8以上のアルカリ性領域であることからpH緩衝剤が必要であるが、アルカリ性領域での安定性が良くない。したがって、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChE層41と、ChDH層51とを試薬保持チャンバ40、50という別々のチャンバに分けて保持し、pH緩衝剤をChDH層51ではなくChE層41に混合している。なお、ChEとしては、アルカリ性領域での安定性が悪くなく、反応性も悪くない酵素を市販品から選ぶことができる。
また、WST−9は、ChDHの触媒活性を阻害する傾向がある。したがって、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChDH層51と、WST−9層61とを試薬保持チャンバ50、60という別々のチャンバに分けて保持している。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、図4に示すように、血球分離チャンバ20に接続されるとともに定量チャンバ30のうちコレステロール濃度測定用ディスク10の回転時の中心(以下「ディスク中心」という。)に近い部分に接続された流路110と、定量チャンバ30のうちディスク中心から遠い部分に接続されるとともに試薬保持チャンバ40のうちディスク中心に近い部分に接続された流路120と、試薬保持チャンバ40のうちディスク中心から遠い部分に接続されるとともに試薬保持チャンバ50のうちディスク中心に近い部分に接続された流路130と、試薬保持チャンバ50のうちディスク中心から遠い部分に接続されるとともに試薬保持チャンバ60のうちディスク中心に近い部分に接続された流路140と、試薬保持チャンバ60のうちディスク中心から遠い部分に接続されるとともに測定チャンバ70及び廃液チャンバ80のうちそれぞれディスク中心に近い部分に接続された流路150と、定量チャンバ30のうちそれぞれディスク中心に近い部分に接続された流路160とが形成されている。流路110〜160は、ディスク厚方向における深さが100μmである。
ここで、流路110、120、130、140、150は、それぞれ血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60よりディスク中心に近い湾曲部111、121、131、141、151を有している。また、流路150は、湾曲部151と、測定チャンバ70及び廃液チャンバ80との間に配置されて他の部分よりも径が大きい大径部152を有している。また、流路160には、コレステロール濃度測定用ディスク10内の液体の流通を円滑にするために空気を通す空気穴160aが形成されている。空気穴160aは、コレステロール濃度測定用ディスク10が分析装置800によって駆動されているときに液体がコレステロール濃度測定用ディスク10の内部から外部に漏れないような位置に配置されている。
次に、コレステロール濃度測定用ディスク10の製造方法について説明する。
血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60、測定チャンバ70、廃液チャンバ80に対応する穴11a 、血液供給口20a、空気穴20b、40b、50b、60b、160aに対応する穴等が成型されたポリカーボネート製の板材11(図5(b)参照。)が製造される。
また、両面に接着剤が付加されて血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60、測定チャンバ70、廃液チャンバ80や流路110〜160に対応する穴13a(図5(b)参照。)等が切り取られたポリエチレンテレフタラート製の板材13が製造される。
そして、板材11に板材13が接着される。
次いで、ChE、ChEの触媒活性を活性化するための界面活性剤としてn−オクチル−β−D−チオグルコシド、コール酸ナトリウム、反応時のpHを調整するためのpH緩衝剤であるトリス塩酸塩、DIからなる1.5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ40に対応する部分に滴下して、水溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態で水溶液を乾燥することによって、試薬保持チャンバ40のChE層41を形成する。
また、ChDHとDIからなる1.5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ50に対応する部分に滴下して、水溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態で水溶液を乾燥することによって、試薬保持チャンバ50のChDH層51を形成する。
また、WST−9の1.5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ60に対応する部分に滴下して、水溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態で水溶液を乾燥することによって、試薬保持チャンバ60のWST−9層61を形成する。
最後に、ポリカーボネート製の板材12が板材13に接着されてコレステロール濃度測定用ディスク10が製造される。
次に、コレステロール濃度測定用ディスク10の動作について説明する。
コレステロール濃度測定用ディスク10の血液供給口20aから血球分離チャンバ20内に血液が供給された後、コレステロール濃度測定用ディスク10が分析装置800(図1参照。)に装着されてスピンドルモータ810(図1参照。)によって回転させられると、血球分離チャンバ20内の血液は、遠心力によって血球と、血漿とに分離される。ここで、血球分離チャンバ20内で分離された血漿は、一部が流路110内にも流入するが、流路110内の血漿の液面のディスク中心からの距離と、血球分離チャンバ20内の血漿の液面のディスク中心からの距離とが遠心力によって等しくなるので、血球分離チャンバ20よりディスク中心に近い湾曲部111までは到達しない。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられると、血球分離チャンバ20及び流路110内の血漿は、流路110の毛細管力によって定量チャンバ30に向けて流路110内を流れる。そして、流路110内の血漿は、液面が流路110及び定量チャンバ30の接続部分まで達すると、流路110の毛細管力が働かなくなって停止する。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、流路110内の血漿が遠心力によって定量チャンバ30内に流入するので、血球分離チャンバ20内の血漿は、遠心力が加わっている間、サイフォン効果によって流路110を介して定量チャンバ30に流入する。ここで、定量チャンバ30に流入した血漿は、一部が流路120内にも流入するが、流路120内の血漿の液面のディスク中心からの距離と、定量チャンバ30内の血漿の液面のディスク中心からの距離とが遠心力によって等しくなるので、定量チャンバ30よりディスク中心に近い湾曲部121までは到達しない。また、定量チャンバ30内の血漿が定量チャンバ30及び流路160の接続部分に到達すると、定量チャンバ30及び流路160の接続部分に到達した余分な血漿は、流路160を介して廃液チャンバ80に排出される。
そして、コレステロール濃度測定用ディスク10内の血漿は、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられ、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、血球分離チャンバ20から定量チャンバ30に流入した動作と同様に、定量チャンバ30から試薬保持チャンバ40に流入する。試薬保持チャンバ40に流入した血漿は、試薬保持チャンバ40に保持されたChE層41と接触してChE層41の表面からChE層41を溶解し、「化1」の反応が行われる。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10内の血漿は、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられ、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、定量チャンバ30から試薬保持チャンバ40に流入した動作と同様に、試薬保持チャンバ40から試薬保持チャンバ50に流入し、試薬保持チャンバ50に保持されたChDH層51と接触してChDH層51の表面からChDH層51を溶解し、「化2」の反応が行われる。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10内の血漿は、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられ、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、試薬保持チャンバ40から試薬保持チャンバ50に流入した動作と同様に、試薬保持チャンバ50から試薬保持チャンバ60に流入し、試薬保持チャンバ60に保持されたWST−9層61と接触してWST−9層61の表面からWST−9層61を溶解し、「化3」の反応が行われる。
そして、コレステロール濃度測定用ディスク10の回転がスピンドルモータ810によって停止させられると、試薬保持チャンバ60及び流路150内の血漿は、流路150の毛細管力によって測定チャンバ70に向けて流路150内を流れる。流路150内の血漿は、液面が大径部152まで達すると、流路150の毛細管力が働かなくなって停止する。
次いで、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ810によって回転させられると、流路150内の血漿が遠心力によって大径部152内に流入した後、更に測定チャンバ70及び廃液チャンバ80に流入するので、試薬保持チャンバ60内の血漿は、遠心力が加わっている間、サイフォン効果によって流路150を介して測定チャンバ70及び廃液チャンバ80に流入する。
そして、分析装置は、測定チャンバ70に血漿が流入しているときに、送りモータ213(図17参照。)によって光ピックアップ212(図17参照。)をディスク径方向に移動させて、測定チャンバ70内の血漿に光ピックアップ212によって光ビームを照射し、その透過光を検出することによって、試薬の反応状態を検出して分析を行う。
以上に説明したように、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChEの溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態でChEの溶液が試薬保持チャンバ40内で乾燥させられることによって試薬保持チャンバ40内にChE層41が生成されるときに、ChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化される。
血漿へのChE層41の溶解は、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入する途中での血漿の流動による攪拌と、血漿が試薬保持チャンバ40を満たした後の拡散とによってなされる。したがって、試薬保持チャンバ40内でChE層41の厚みが不均一であると、ChE層41の厚みが厚い部分での溶解性が非常に悪く、溶解時間が長時間必要である。しかしながら、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40内に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化されるので、血漿とChEとを従来より迅速に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の迅速性を確保することができる。例えば、試薬保持チャンバ40が図5に示す形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果は、図6(a)に示すようになり、試薬保持チャンバ40が図7に示すように従来と同様な形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果は、図6(b)に示すようになった。図6によれば、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40が図5に示す形状であるとき、試薬保持チャンバ40が図7に示すように従来と同様な形状であるときと比較して、コレステロール濃度が高い場合の反応が迅速であることが明らかである。
また、試薬保持チャンバ40内に血漿が一旦流入した後で血漿の流動による攪拌効果が殆ど期待できないので、試薬保持チャンバ40内でChE層41の厚みが不均一であると、血漿中に溶解するChEの濃度分布に偏りが生じるが、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40内に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化されるので、血漿とChEとを従来より均一に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の正確性を確保することができる。コレステロール濃度測定用ディスク10は、定量チャンバ30の容積が試薬保持チャンバ40の容積の半分であるため、コレステロール濃度測定用ディスク10がスピンドルモータ201によって回転させられて「化1」の反応が行われているとき、遠心力によって血漿が試薬保持チャンバ40内のディスク中心側とは反対側に押し付けられるので、例えば試薬保持チャンバ40が図7に示すように従来と同様な形状である場合、ChE層41のうちディスク中心側の半分が溶け残ることさえあるが、試薬保持チャンバ40が図17に示す形状である場合、ChE層41の全てを血漿に溶解させることができる。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、壁42が傾斜部42aを有しているので、ChEの溶液が重力によってディスク面10a側に押し付けられた状態でChEの溶液が試薬保持チャンバ40内で乾燥させられることによって試薬保持チャンバ40内にChE層41が生成されるときに、ChEの溶液が壁43の試薬非付着部43bに及ぶことを抑制することができ、その結果、ChE層41が壁43の試薬非付着部43bに及ぶことを抑制することができる。
なお、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChEの溶液の粘性が高い場合、試薬付着部43aのみにChEの溶液を接触させて、試薬非付着部43bだけではなく試薬付着部43a及び試薬非付着部43bの間の部分43cにもChEの溶液を接触させない状態で、ChEの溶液が乾燥させられることによって、図8に示すようなChE層41が生成されることも可能である。コレステロール濃度測定用ディスク10は、図8に示すChE層41が生成される場合、図17に示すChE層41が生成される場合と比較して、部分43cにChE層41が堆積しないので、血漿へのChEの溶解性が向上する。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、図9に示すように傾斜部42aが壁42の一部であって壁42が試薬非付着部43bに傾斜部42a以外の水平部分42bで接続した構成であっても良い。コレステロール濃度測定用ディスク10は、図9に示す構成である場合、ChEの溶液がディスク面10a側に押し付けられた状態でChEの溶液が試薬保持チャンバ40内で乾燥させられることによって試薬保持チャンバ40内に固体状のChE層41が生成されるときに、ChEの溶液の濡れ性が大きい場合等であっても、ChEの溶液が壁42の水平部分42bに及ぶことを抑制することができ、その結果、ChE層41が壁42の水平部分42bに及ぶことを抑制することができる。
以上においては、試薬保持チャンバ40について説明したが、試薬保持チャンバ50や試薬保持チャンバ60についても同様である。
また、上述の実施の形態では、チャンバ内の試薬付着壁面をディスクの回転中心に対向する部位に集中するように構成した場合に説明したが、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするのであれば、いかなる構成でも良く、例えば、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするため、チャンバ内の試薬付着壁面を、特に試料液との反応が起こりやすい構成にしても良い。チャンバ内の試薬付着壁面において特に試料液との反応が起こりやすくする構成について次の実施の形態で説明する。
(第3の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施の形態について説明する。
説明を容易にするため、ここでも、血漿中の総コレステロール濃度を測定するための試料分析用ディスクを用いた場合について一例を挙げて説明する。
反応機構は、上述した実施の形態、実施例と同様である。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、図10及び図11に示すように、血液から血球を遠心分離により除去して血漿のみを取り出すための血球分離チャンバ20と、血球分離チャンバ20によって取り出された血漿から一定量を取り出すための定量チャンバ30と、コレステロール濃度測定用ディスク10の厚み方向(以下「ディスク厚方向」という。)とは直交した面40a(図12(b)参照。)にChEを含む固体状の試薬としてのChE層41を堆積させている試薬保持チャンバ40と、ディスク厚方向とは直交した面にChDHを含む固体状の試薬としてのChDH層51を堆積させている試薬保持チャンバ50と、ディスク厚方向とは直交した面にWST−9を含む固体状の試薬としてのWST−9層61を堆積させている試薬保持チャンバ60と、ホルマザンの波長650nmの吸光度を測定するための測定チャンバ70と、不要となった液体が廃棄されるための廃液チャンバ80とが形成されている。各チャンバ、流路の配置は、上述した実施の形態と同様である。
コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40の面40aから突出して面40aと対向する面40c(図12(b)参照。)に接続された柱状体42cと、試薬保持チャンバ40内に配置された柱状体42cと同様に試薬保持チャンバ50、60内にそれぞれ配置された柱状体52、62とを備えている。図12(b)に示すように、ChE層41は、試薬保持チャンバ40の側面40d又は柱状体42に近いほど面40a上に厚く堆積している。同様に、ChDH層51は、試薬保持チャンバ50の側面50d又は柱状体52に近いほど面上に厚く堆積しており、WST−9層61は、試薬保持チャンバ60の側面60d又は柱状体62に近いほど面上に厚く堆積している。
なお、反応性や測定時間の観点からは固体状の試薬が設置されたチャンバの数はなるべく少ない方が好適であるが、上述した実施の形態の説明で述べたと同じ理由により、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChE層41と、ChDH層51と、WST −9層61とを試薬保持チャンバ40、50、60という別々のチャンバに分けて保持している。
次に、コレステロール濃度測定用ディスク10の製造方法について説明する。
血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60、測定チャンバ70、廃液チャンバ80に対応する穴11a(図12(b)参照。)や、試薬保持チャンバ40の柱状体42c、試薬保持チャンバ50の柱状体52、試薬保持チャンバ60の柱状体62に対応する突起11b、血液供給口20a、空気穴20b、40b、50b、60b、160aに対応する穴等が成型されたポリカーボネート製の板材11(図12(b)参照。)が製造される。
また、両面に接着剤が付加されて血球分離チャンバ20、定量チャンバ30、試薬保持チャンバ40、50、60、測定チャンバ70、廃液チャンバ80や流路110〜160に対応する穴13a(図12(b)参照。)等が切り取られたポリエチレンテレフタラート製の板材13が製造される。
そして、板材11に板材13が接着される。
次いで、ChE、ChEの触媒活性を活性化するための界面活性剤としてn−オクチル−β−D−チオグルコシド、コール酸ナトリウム、反応時のpHを調整するためのpH緩衝剤であるトリス塩酸塩、DIからなる5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ40に対応する部分に滴下して乾燥することによって、試薬保持チャンバ40のChE層41を形成する。なお、ChE層41は、水溶液の表面張力等によって試薬保持チャンバ40の側面40d又は柱状体42に近いほど面40a上に厚く堆積する。
また、ChDHとDIからなる5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ50に対応する部分に滴下して乾燥することによって、試薬保持チャンバ50のChDH層51を形成する。なお、ChDH層51は、水溶液の表面張力等によって試薬保持チャンバ50の側面50d又は柱状体52に近いほど厚く堆積する。
また、WST−9の5μlの水溶液を板材11及び板材13の試薬保持チャンバ60に対応する部分に滴下して乾燥することによって、試薬保持チャンバ60のWST−9層61を形成する。なお、WST−9層61は、水溶液の表面張力等によって試薬保持チャンバ60の側面60d又は柱状体62に近いほど厚く堆積する。
最後に、ポリカーボネート製の板材12が板材13に接着されてコレステロール濃度測定用ディスク10が製造される。
以上に説明したように、コレステロール濃度測定用ディスク10は、ChEの溶液が試薬保持チャンバ40内で乾燥させられることによって試薬保持チャンバ40内の面40a側にChE層41が生成されるときに、ChE層41が試薬保持チャンバ40の側面40dの近傍だけではなく柱状体42の近傍にも厚く堆積するので、試薬保持チャンバ40内の面40a側に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化される。
血漿へのChE層41の溶解は、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入する途中での血漿の流動による攪拌と、血漿が試薬保持チャンバ40を満たした後の拡散とによってなされる。したがって、試薬保持チャンバ40内でChE層41の厚みが不均一であると、ChE層41の厚みが厚い部分での溶解性が非常に悪く、溶解時間が長時間必要である。しかしながら、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40内の面40a側に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化されるので、血漿とChEとを従来より迅速に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の迅速性を確保することができる。
また、試薬保持チャンバ40内に血漿が一旦流入した後で血漿の流動による攪拌効果が殆ど期待できないので、試薬保持チャンバ40内でChE層41の厚みが不均一であると、血漿中に溶解するChEの濃度分布に偏りが生じるが、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40内の面40a側に生成されたChE層41の厚みが特に血漿との反応の起こりやすい部位において従来より均一化されるので、血漿とChEとを従来より均一に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の正確性を確保することができる。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入させられるときに柱状体42cによって血漿を攪拌するので、血漿とChE層41とを従来より迅速に反応させることができる。また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入させられるときに柱状体42によって血漿を攪拌するので、血漿とChE層41とを従来より迅速及び均一に反応させることができ、その結果、血漿中の総コレステロール濃度の測定の迅速性及び正確性を確保することができる。
なお、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40の面40aの単位面積当りの柱状体42の数量が多いほど、ChE層41の厚みを特に血漿との反応の起こりやすい部位においてより均一化することができ、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入させられるときに柱状体42cによって血漿をより効率的に攪拌することができる。また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、複数の柱状体42cを備える場合、複数の柱状体42を等間隔に配置すると、柱状体42cが等間隔に配置されてない構成と比較して、ChE層41の厚みを特に血漿との反応の起こりやすい部位においてより均一化することができる。例えば、図13に示すように、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40の面40a(図12(b)参照。)に仮想的に引いた直交格子48の交点上に柱状体42cを配置することによって、複数の柱状体42cを等間隔に配置することができる。また、1つの柱状体42cの周りに多くの柱状体42cが隣接している方が効果が大きい。図14に示すように、コレステロール濃度測定用ディスク10は、試薬保持チャンバ40の面40aに仮想的に引いた正三角形格子49の交点上に柱状体42cを配置することによって、複数の柱状体42cを等間隔に配置するだけではなく、1つの柱状体42cの周りに6つの柱状体42cを配置することができる。1つの柱状体42cの周りに6つより多くの柱状体42cを配置することは可能であるが、連続的に等間隔に配置することができないので、1つの柱状体42cの周りに6つの柱状体42cを配置した図14に示すような配置が好ましい。
また、コレステロール濃度測定用ディスク10は、図12(b)に示すように試薬保持チャンバ40の面40aから突出して面40aと対向する面40cに接続された柱状体42cを備えているので、図15に示すように柱状体42cが試薬保持チャンバ40の面40aのみに接続されて面40cに接続されていない構成と比較して、血漿が試薬保持チャンバ40内に流入させられるときに柱状体42cによって血漿を強力に攪拌することができる。なお、コレステロール濃度測定用ディスク10は、図15に示すように、柱状体42cが面40cに非接触であっても良い。コレステロール濃度測定用ディスク10は、柱状体42cが面40cに非接触である場合、試薬保持チャンバ40の面40cと、柱状体42cとの隙間40eを血漿が流れることができるので、図12(b)に示すように柱状体42cが試薬保持チャンバ40の対向する面40a及び面40cに接続された構成と比較して、血漿を試薬保持チャンバ40内に迅速に流入させることができる。
以上においては、試薬保持チャンバ40内の柱状体42cについて説明したが、試薬保持チャンバ50内の柱状体52や試薬保持チャンバ60内の柱状体62についても同様である。
なお、本実施の形態では、色素たるWST−9の吸光度変化を検出することで、血漿中の総コレステロール濃度を測定する例を示したが、他の測定方法であっても良い。例えば、WST−9の代わりに、水溶液になった際、フェリシアン化物イオンを生成するフェリシアン化カリウムを固体状の試薬に含有させ、測定チャンバ70内に少なくとも対極と作用極の役割を果たすことができる電極を設け、更に、分析装置に、測定チャンバ70内の電極にコレステロール濃度測定用ディスク10の外部から接触することができる端子を設けることによって、血漿中のコレステロールの酸化によってフェリシアン化物イオンが還元されて生じるフェロシアン化物イオンを、前記電極間に電圧を印加することで再度酸化させる際に生じる酸化電流値を計測して測定することもできる。この場合、フェリシアン化カリウムの代わりに、NADHとの間で電子授受が可能なレドックス化合物を任意に用いることができる。
また、本実施の形態中で示した血漿中のコレステロール以外にも、目的の成分に対する化学反応により生じた変化を光学的或いは電気化学的に検出可能な反応系の確立が可能な場合には任意の測定対象について本発明を用いることが可能である。
また、本実施の形態においては、遠心力と毛細管力の組み合せで血漿を移送するようになっているが、他の方法によって移送するようになっていても良い。例えば、重力によって血漿を移送するようになっていても良いし、ポンプによって血漿を移送するようになっていても良い。ディスク回転により生じる遠心力を制御することによって、前チャンバと次チャンバの間を接続する流路を、ディスク回転による遠心力の方向に従い、前チャンバの下端部分と、次チャンバの上端部分を直線的に結ぶことが可能である。このような流路配置により、ディスク上での流路部分の占有部分を狭くすることができ、ディスク全体の小型化が可能である。ただし、ディスク回転により生じる遠心力の制御により、前チャンバでの試料液の貯留、流路への試料液の浸入と次チャンバへの移送、次チャンバでの液の貯留、次チャンバから更にその次のチャンバへの移送をなすためには、前記ディスク本体の回転による遠心力と、流路に生じる毛細管力、流路とチャンバとの接続部および流路内壁面と試料液との表面張力、流路とチャンバとの接続部および流路内壁面の断面周囲長、流路とチャンバの接続部から、前記ディスク本体の回転による遠心力付与時のチャンバでの試料液面までの距離、流路とチャンバの接続部から、前記ディスクの回転中心までの距離、前記試料液の粘性のバランスにより決定される前記ディスク本体の回転数制御による遠心力制御により、チャンバ中での試料液の貯留と、流路を通じての次チャンバへの試料液の移送の制御が必要である。多数のチャンバと流路の直列の接続により、チャンバ間を段階的に送付するためには、回転中心に近いチャンバ内での試料液の貯留限界の遠心力の方が、回転中心からより遠いチャンバ内での試料液の貯留限界の遠心力より小さくないといけない。(そうでないと、回転中心に近いチャンバでの試料液の貯留限界を超えた遠心力を付与された瞬間に、引き続き、直列に接続された次チャンバ以降のチャンバを、そこで停止することなく試料液が移送されてしまう。)従って、あまり多くの段数のチャンバを設けることはできない。
従って、上述した実施の形態、実施例での送液方法と組み合わせるのが適切である。
なお、本実施の形態中では、ディスクは円形で、回転中心はディスクの外周内部にある構成を示したが、図10に示す構成を1枚のディスクにし、スピンドルモータ810に直結される回転盤を備え、その回転盤に、前記のディスクを固定できる装置、例えば前記回転盤に、前記ディスクを勘合可能な窪みを設ける、などを実装することで、回転中心がディスクの外周外にあるような構成も可能である。その際、本実施例で述べた測定方法、即ち光学測定を用いる際には、前記の回転盤には、測定チャンバ70に対応する部分に貫通部を設けるなどの処置が必要である。
また、上述の実施の形態では、(1)チャンバ内の壁面に形成された試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が、凹形状の曲面である、(2)チャンバ内の壁面に形成された試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が凹形状であることに加え、試薬付着壁面に対向するチャンバ内の壁面に形成された対向壁面の一部の形状が凸形状で、かつ、試薬付着壁面に包含されうる大きさである、(3)壁面は、試薬を保持するべきチャンバ内に形成された試薬付着壁面と、試薬付着壁面に対向する対向壁面と、試薬付着壁面から延在してチャンバを囲む周壁面と、を有し、試薬付着壁は、一方のディスク面に対して傾けられて周壁に接続した傾斜部を有し、周壁面は、傾斜部のうち対向壁面に最も近い部分に接続して傾斜部と共に試薬が付着させられた試薬付着部と、ディスク面に平行な方向において試薬付着部と対向して配置されて試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有する、(4)固体状の試薬を保持するべきチャンバ内の壁面から突出した柱状体が形成されている、という4つの構造的特徴についてそれぞれ単独に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくするのであれば、例えば、上述の構造的特定を1つ以上有しても良いことは言うまでもない。
以上のように、本発明に係る試料分析用ディスクは、固体状試薬がチャンバ底面に担持されて形成される層の厚みの偏りを特に試料液との反応の起こりやすい部位において少なくすることができるため、液体状の試料と固体状の試薬とを迅速及び均一に反応させることができ、もって測定の迅速性及び正確性を確保することができるという効果を有し、血液成分測定装置等として有用である。
本発明の試料分析用ディスクの一実施の形態の概略上面図 図1に示す試料分析用ディスクのa−a線断面図 本発明に示す試料分析用ディスクの一実施の形態の平面図 本発明に示す試料分析用ディスクの一実施の形態の一部の平面図 (a)本発明に示す試料分析用ディスクの試薬保持チャンバの近傍の平面図 (b)図5(a)のA−A矢視断面図 (a)試薬保持チャンバが図5に示す形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果を示すグラフ (b)試薬保持チャンバが従来と同様な形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果を示すグラフ (c)試薬保持チャンバが図2に示す形状であるときの血漿中の総コレステロール濃度に依存した吸光度変化の観測結果を示すグラフ 従来と同様な形状である試薬保持チャンバの近傍の側面断面図 図5に示す試薬保持チャンバであって図5に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の平面図 (a)図5に示す試薬保持チャンバであって図5及び図8に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の平面図 (b)図9(a)のB−B矢視断面図 本発明に示す試料分析用ディスクの一実施の形態の平面図 本発明に示す試料分析用ディスクの一実施の形態の一部の平面図 (a)図10に示す試料液分析用ディスクの試薬保持チャンバの近傍の平面図 (b)図10に示す試料液分析用ディスの試薬保持チャンバの近傍の側面断面図 図12に示す試薬保持チャンバであって図12に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の平面図 図12に示す試薬保持チャンバであって図12及び図13に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の平面図 図12に示す試薬保持チャンバであって図12、図13及び図14に示す例とは異なる例での試薬保持チャンバの近傍の側面断面図 従来の液体試料分析装置で使用される分析用ディスクの構成を示す図 従来の分析装置の構成を示す図 従来の試料分析用ディスクおよび本発明の試料分析用ディスクにおける試料移送の機構を説明するための模式図 従来の試料分析用ディスクのチャンバの近傍の側面断面図
符号の説明
1、2 開口部
3 チャンバ
4 凸状部分
5a 凹状部分
5b 試薬層
6 上基板
7 スペーサ
8 下基板
101 液体試料分析用ディスク
104 試料注入口
105 流路
106 試薬
201 スピンドルモータ
900 試料
212 光ピックアップ
213 送りモータ
302、304 流路
301、303、305 チャンバ
306、307、308 空気口
10 試料分析用ディスク
10a ディスク面(一方のディスク面)
10b ディスク面
40 試薬保持チャンバ
41 ChE層(固体状の試薬)
42 壁(試薬付着壁)
42a 傾斜部
42b 水平部分(傾斜部以外の部分)
42c 柱状体
43 壁(周壁)
43a 試薬付着部
43b 試薬非付着部
44 壁
48 直交格子
49 正三角形格子
50 試薬保持チャンバ
51 ChDH層(固体状の試薬)
52 柱状体
60 試薬保持チャンバ
61 WST−9層(固体状の試薬)
62 柱状体

Claims (14)

  1. 液体状の試料が流入させられるためのチャンバを構成する壁面と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内の前記壁面に付着して保持された固体状の試薬とを備えた試料分析用ディスクであって、
    更に、(1)前記チャンバ内の前記壁面に形成された前記試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が、凹形状の曲面である、(2)前記チャンバ内の前記壁面に形成された前記試薬を保持するべき試薬付着壁面の形状が凹形状であることに加え、前記試薬付着壁面に対向する前記チャンバ内の前記壁面に形成された対向壁面の一部の形状が凸形状で、かつ、前記試薬付着壁面に包含されうる大きさである、(3)前記壁面は、前記試薬を保持するべき前記チャンバ内に形成された試薬付着壁面と、前記試薬付着壁面に対向する対向壁面と、試薬付着壁面から延在して前記チャンバを囲む周壁面と、を有し、前記試薬付着壁は、前記一方のディスク面に対して傾けられて前記周壁に接続した傾斜部を有し、前記周壁面は、前記傾斜部のうち前記対向壁面に最も近い部分に接続して前記傾斜部と共に前記試薬が付着させられた試薬付着部と、前記ディスク面に平行な方向において前記試薬付着部と対向して配置されて前記試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有する、(4)前記固体状の試薬を保持するべき前記チャンバ内の前記壁面から突出した柱状体が形成されている、という4つの構造的特徴の少なくとも1つを備えて、前記チャンバ内の前記壁面に付着して保持された固体状の試薬の厚みを特に試料液との反応の起こりやすい部位において均一にしたことを特徴とする試料液分析用ディスク。
  2. 前記チャンバは、凸状部分を有する上基板と凸状部分を有する下基板との間にスペーサを介して設けられた、少なくとも2つの開口部が形成された空隙により画定され、前記凹状部分に試薬が担持されていることを特徴とする請求項1に記載の試料液分析用ディスク。
  3. 前記上基板の凹状部分の形状と前記下基板の凸状部分の形状とが互いに相似することを特徴とする請求項2記載の試料液分析用ディスク。
  4. 前記上基板の凹状部分と前記下基板の凸状部分との間の距離が、前記凹状部分および前記凸状部分の全体にわたって略均一であることを特徴とする請求項3の試料液分析用ディスク。
  5. 前記凹状部分の形状と前記凸状部分の形状とが曲面状であることを特徴とする請求項2に記載の試料液分析用ディスク。
  6. 連結用流路を介して相互に連通される、前記チャンバと同一の構成のチャンバを複数個有することを特徴とする請求項2に記載の試料液分析用ディスク。
  7. 前記試薬付着壁面は、前記試薬非付着部に前記傾斜部以外の部分で接続したことを特徴とする請求項1に記載の試料液分析用ディスク。
  8. 液体状の試料が流入させられるためのチャンバを形成した壁と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内に保持された固体状の試薬とを備えた試料液分析用ディスクであって、前記壁は、前記試料分析用ディスクの一方のディスク面側に配置されて前記試薬が付着させられた試薬付着壁と、前記試薬付着壁から延在して前記チャンバを囲む周壁とを有し、前記試薬付着壁は、前記一方のディスク面に対して傾けられて前記周壁に接続した傾斜部を有し、前記周壁は、前記傾斜部のうち前記一方のディスク面に最も近い部分に接続して前記傾斜部と共に前記試薬が付着させられた試薬付着部と、前記ディスク面に平行な方向において前記試薬付着部と対向して配置されて前記試薬が付着させられていない試薬非付着部とを有した請求項1に記載の試料液分析用ディスクの製造方法であって、前記試薬の溶液が前記一方のディスク面側に押し付けられた状態で前記溶液を前記チャンバ内で乾燥することによって前記チャンバ内に前記固体状の試薬を生成することを特徴とする試料液分析用ディスクの製造方法。
  9. 液体状の試料が流入させられるためのチャンバが形成され、前記チャンバ内に配置されて前記チャンバの一面から突出した柱状体と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内の前記一面側に保持された固体状の試料とを備えたことを特徴とする請求項1記載の試料液分析用ディスク。
  10. 前記柱状体は、複数あり、正三角形格子の交点上にそれぞれ配置されたことを特徴とする請求項9に記載の試料液分析用ディスク。
  11. 前記柱状体は、複数あり、直交格子の交点上にそれぞれ配置されたことを特徴とする請求項9に記載の試料液分析用ディスク。
  12. 前記柱状体は、前記チャンバの前記一面と対向する面に接続されたことを特徴とする請求項9に記載の試料液分析用ディスク。
  13. 前記柱状体は、前記チャンバの前記一面と対向する面に非接触であることを特徴とする請求項9に記載の試料液分析用ディスク。
  14. 液体状の試料が流入させられるためのチャンバが形成され、前記チャンバ内に配置されて前記チャンバの一面から突出した柱状体と、前記試料に溶解させられるために前記チャンバ内の前記一面側に保持された固体状の試料とを備えた試料液分析用ディスクの製造方法であって、前記試薬の溶液を前記チャンバ内で乾燥することによって前記チャンバ内の前記一面側に固体状の前記試薬を生成することを特徴とする請求項9に記載の試料分析用ディスクの製造方法。
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