JPWO2007049469A1 - 架橋性組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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Abstract

本発明は、長時間での耐熱性に優れ、かつ圧縮永久歪みが優れる成形品および酸素センサー用シール材を提供することができる架橋性組成物を提供する。また、長時間での耐熱性に優れ、かつ圧縮永久歪みが優れる成形品および酸素センサー用シール材を提供する。(A)特定の架橋性反応基を含む化合物、(B)化合物(A)と架橋反応可能な非パーフルオロ系含フッ素エラストマーを含有する架橋性組成物である。

Description

本発明は、特定の架橋性反応基を少なくとも1個含む化合物、該化合物と架橋反応可能な非パーフルオロ系含フッ素エラストマーを含有する架橋性組成物、および該組成物を架橋して得られる成形品および酸素センサー用シール材に関する。
含フッ素エラストマーは、その卓越した耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、耐燃料油性などから、自動車工業、半導体工業、化学工業などの分野において、O−リング、ホース、ステムシール、シャフトシール、ダイヤフラム等の形状に成形されて広く使用されている。含フッ素エラストマーは、従来、パーオキサイド架橋反応を行う技術(たとえば、特開昭53−125491号公報参照)やポリオール架橋反応を行う技術(たとえば、特公昭53−4035号公報、特開平6−128334号公報参照)が一般に用いられている。
しかし、技術の進歩に伴い要求される特性はさらに厳しくなり、航空宇宙分野や半導体製造装置分野、化学プラント分野、自動車工業においても、200℃を越える、より高温環境下におけるシール性が要求されており、従来用いられているパーオキサイド架橋やポリオール架橋により得られる成形品やシール材では要求に充分に応えるのが困難である。
一方、かかる高温環境下での要求特性に対して、架橋系を工夫して耐熱性を向上させる試みが提案されている。たとえば、シアノ基を架橋点として導入した含フッ素エラストマーを使用し、有機スズ化合物によりトリアジン環を形成させるトリアジン架橋系(たとえば、特開昭58−152041号公報参照)、同じくシアノ基を架橋点として導入した含フッ素エラストマーを使用し、ビスアミノフェノールによりオキサゾール環を形成させるオキサゾール架橋系、ビスジアミノフェニル化合物によりイミダゾール環を形成させるイミダゾール架橋系(たとえば、特開昭59−109546号公報参照)、ビスアミノチオフェノールによりチアゾール環を形成させるチアゾール架橋系(たとえば、特開平8−104789号公報参照)、架橋点としてカルボキシル基を主鎖末端および/または分岐鎖に有する含フッ素エラストマーと、オキサゾール架橋剤、イミダゾール架橋剤またはチアゾール架橋剤からなる組成物(たとえば、国際公開第00/29479号パンフレット参照)が知られている。
しかし、いずれの提案においても含フッ素エラストマーとして、パーフルオロエラストマーを用いることが意図されているものであり、非パーフルオロエラストマーにおいて、前記オキサゾール架橋、イミダゾール架橋またはチアゾール架橋を施して得られる、高温での圧縮永久歪みに優れる含フッ素エラストマー組成物は存在しなかった。
本発明は、長時間での耐熱性に優れ、かつ圧縮永久歪みが優れる成形品および酸素センサー用シール材を提供することができる架橋性組成物を提供する。また、長時間での耐熱性に優れ、かつ圧縮永久歪みが優れる成形品および酸素センサー用シール材を提供する。
すなわち、本発明は、(A)一般式(1):
Figure 2007049469
(式中、X1は、同じかまたは異なり、水素原子または一価の有機基であり、R1は−OR3または−SR3であり、R3は水素原子または一価の有機基であり、R2は水素原子、−OR3または−SR3であり、R3は前記と同じである)
で示される架橋性反応基、一般式(2):
Figure 2007049469
(式中、R4は、同じかまたは異なり、水素原子またはシアノ基である)
で示される架橋性反応基および一般式(3):
Figure 2007049469
(式中、X2は、同じかまたは異なり、水素原子または一価の有機基であり、Z-は酸由来のアニオンであり、Y1は、−OH、−SHまたは−N+2 2H・Z-(X2、Z-は前記と同じである)である)
で示される架橋性反応基からなる群から選ばれる少なくとも1個の反応基を含む化合物、一般式(4):
Figure 2007049469
(式中、X1、R1は前記と同じである)
で示される化合物、一般式(5):
Figure 2007049469
(式中、R4は前記と同じである)
で示される化合物、または一般式(6):
Figure 2007049469
(式中、X2、Z-、Y1は前記と同じである)
で示される化合物
および(B)化合物(A)と架橋反応可能な非パーフルオロ系含フッ素エラストマー
を含む架橋性組成物に関する。
化合物(A)が、対称構造を有する化合物であることが好ましい。
非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)が、化合物(A)と架橋反応可能な架橋部位として、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基および酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有することが好ましい。
非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)が、フッ化ビニリデン単位および/またはテトラフルオロエチレン単位および/またはヘキサフルオロプロピレン単位と、少なくとも1種の異なるモノマー単位を含むことが好ましい。
非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)が、
(1)フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
(2)フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
(3)テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体、
(4)ヘキサフルオロプロピレン/エチレン共重合体、
(5)テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、または
(6)クロロトリフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体
であることが好ましい。
非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)が、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基および酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を、側鎖に0.1〜5モル%含有するエラストマーであることが好ましい。
また、本発明は、前記架橋性組成物を架橋して得られる成形品および酸素センサー用シール材に関する。
本発明は、(A)一般式(1):
Figure 2007049469
(式中、X1は、同じかまたは異なり、水素原子または一価の有機基であり、R1は−OR3または−SR3であり、R3は水素原子または一価の有機基であり、R2は水素原子、−OR3または−SR3であり、R3は前記と同じである)
で示される架橋性反応基、一般式(2):
Figure 2007049469
(式中、R4は、同じかまたは異なり、水素原子またはシアノ基である)
で示される架橋性反応基および一般式(3):
Figure 2007049469
(式中、X2は、同じかまたは異なり、水素原子または一価の有機基であり、Z-は酸由来のアニオンであり、Y1は、−OH、−SHまたは−N+2 2H・Z-(X2、Z-は前記と同じである)である)
で示される架橋性反応基からなる群から選ばれる少なくとも1個の反応基を含む化合物、一般式(4):
Figure 2007049469
(式中、X1、R1は前記と同じである)
で示される化合物、一般式(5):
Figure 2007049469
(式中、R4は前記と同じである)
で示される化合物、または一般式(6):
Figure 2007049469
(式中、X2、Z-、Y1は前記と同じである)
で示される化合物
および(B)化合物(A)と架橋反応可能な非パーフルオロ系含フッ素エラストマー
を含む架橋性組成物に関する。
従来、パーフルオロエラストマーの架橋剤として知られていたイミダゾール架橋剤のようなテトラアミンは、求核性が高く、主鎖への攻撃性が高いため好ましくない。
一般式(1)で示される架橋性反応基を含む化合物(A)は、一般式(1)で示される架橋性反応基を少なくとも1個有することが好ましく、2〜4個有することがより好ましく、さらに好ましくは2個有するものである。
一般式(1)で示される架橋性反応基は1個でもよいが、その場合は、少なくとももう一個の他の架橋性反応基を含有することにより架橋反応が可能になる。この場合、他の架橋性反応基は任意のものが選ばれるが、耐熱性の観点から特に2個以上のアミノ基を有する架橋性反応基であることが好ましい。ただし、一般式(1)で示される架橋性反応基は耐熱性が高いため、架橋性反応基は一般式(1)で示されるもののみで構成されることが好ましい。
一般式(1)中のR1は、−OR3または−SR3であり、R3は水素原子または一価の有機基である。
一価の有機基としては、限定されるものではないが、脂肪族炭化水素基、フェニル基またはベンジル基があげられる。具体的には、たとえば、−CH3、−C25、−C37などの炭素数1〜10、特に1〜6の低級アルキル基;−CF3、−C25、−CH2F、−CH2CF3、−CH225などの炭素数1〜10、特に1〜6のフッ素原子含有低級アルキル基;フェニル基;ベンジル基;−C65、−CH265などのフッ素原子で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基;−C65-n(CF3n、−CH265-n(CF3n(nは1〜5の整数)などの−CF3で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基などがあげられる。これらの中でも、R1としては、架橋反応性が良好である点から、−OHが好ましい。
一般式(1)中のR2は、水素原子、−OR3または−SR3であり、R3は前記と同じである。
一般式(1)中のX1は、同じかまたは異なり、水素原子または一価の有機基である。
一価の有機基としては、前記と同じものをあげることができる。これらのなかでも、耐熱性が特に優れており、さらに合成が比較的容易である点から、フェニル基、−CH3が好ましく、架橋反応性が良好である点から、水素原子であることが好ましい。
一般式(1)で示される架橋性反応基を2個有する化合物としては、たとえば、一般式(7):
Figure 2007049469
(式中、R1、X1は前記と同じであり、R5は、−SO2−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、単結合手、または
Figure 2007049469
で示される基である)
で示される化合物が、合成が容易な点から好ましい。
炭素数1〜6のアルキレン基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などをあげることができ、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基としては、
Figure 2007049469
などがあげられる。
一般式(2)で示される架橋性反応基を含む化合物(A)は、一般式(2)で示される架橋性反応基を少なくとも1個有することが好ましく、2〜4個有することがより好ましく、さらに好ましくは2個有するものである。
4は、同じかまたは異なり、水素原子またはシアノ基であり、架橋反応性の点から、R4の少なくとも1個がシアノ基であることが好ましい。
一般式(2)で示される架橋性反応基を有する化合物としては、たとえば、一般式(8):
Figure 2007049469
(式中、R4、R5は前記と同じである)
で示される化合物、一般式(9):
Figure 2007049469
(式中、R4は前記と同じである)
で示される化合物などをあげることができる。
具体的には、
Figure 2007049469
などをあげることができる。
なお、
Figure 2007049469
は、新規な化合物である。
一般式(3)で示される架橋性反応基を含む化合物(A)は、一般式(3)で示される架橋性反応基を少なくとも1個有することが好ましく、2〜4個有することがより好ましく、さらに好ましくは2個有するものである。
式中、X2は、同じかまたは異なり、水素原子、一価の有機基であり、一価の有機基としては、前記と同じものがあげられる。
一般式(3)で示される架橋性反応基は、酸と芳香族アミンとの反応により得られる。酸には、H+を放出するブレンステッド酸、H+を放出しないルイス酸の2種類があるが、弱塩基である芳香族アミンを一定の温度(架橋温度)まで安定である塩を作ることができる点から、ブレンステッド酸が好ましい。
一般式(3)のアニオンを形成する酸としては、無機酸、有機酸があげられる。
無機酸としては、HF、HCl、HBr、HI、硝酸、燐酸、硫酸、過塩素酸、炭酸、ほう酸、タングステン酸、クロム酸、HBF4、HPF6、HAsF6、HSbF6、HTaF6、HAlCl4、HFeCl4などをあげることができる。これらの中でも、除去が容易であり、かつ腐食性が低い点から、HCl、硝酸、炭酸が好ましい。
また、有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド酸などのスルホイミド酸や、トリフルオロメタンスルホニルアミド酸などのアミド酸、(CF3SO23CH、(C49SO23CHなどをあげることができる。
これらの中でも、酸は反応後除去されるので、カルボン酸、スルホン酸が好ましく、その中でもカルボン酸がより好ましい。カルボン酸の中でも除去が容易である点から炭素数1〜10の脂肪族カルボン酸が特に好ましい。具体例としては、CH3COOH、C25COOHをあげることができる。
一般式(3)で示される架橋性反応基を有する化合物としては、たとえば、一般式(10):
Figure 2007049469
(式中、X2、Y1、Z-、R5は前記と同じである)
で示される化合物などをあげることができる。
さらに、具体的には、一般式(11):
Figure 2007049469
(式中、R5は前記と同じである)
で示される化合物などをあげることができる。
また、化合物(A)としては、一般式(4):
Figure 2007049469
(式中、X1、R1は前記と同じである)
で示される化合物、一般式(5):
Figure 2007049469
(式中、R4は前記と同じである)
で示される化合物、または一般式(6):
Figure 2007049469
(式中、X2、Z-、Y1は前記と同じである)
で示される化合物も用いることができる。
一般式(4)で示される化合物としては、具体的には、
Figure 2007049469
などをあげることができる。
また、一般式(5)で示される化合物としては、具体的には、一般式(12):
Figure 2007049469
(式中、R4は前記と同じである)
で示される化合物をあげることができ、より具体的には、
Figure 2007049469
をあげることができる。
一般式(6)で示される化合物としては、具体的には、
Figure 2007049469
などをあげることができる。
これらのなかでも化合物(A)としては、耐熱性が優れており、架橋反応性が良好である点から、対称構造を有する化合物であることが好ましく、一般式(1)で示される架橋性反応基を少なくとも2個有する化合物であることがより好ましく、一般式(7)で示される化合物であることがより好ましく、長期的な耐熱性が優れており、架橋反応性が特に良好である点から、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ビスヒドロキシベンジジンがさらに好ましい。
以上に説明した化合物(A)を添加することで、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、耐寒性に優れ、特に耐熱性と耐寒性にバランスよく優れた架橋物を得ることができる。
化合物(A)の添加量は、架橋反応可能な非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜10重量部であることがより好ましい。化合物(A)が、0.1重量部未満であると、実用上充分な機械的強度、耐熱性、耐薬品性が得られない傾向があり、20重量部をこえると、架橋に多大な時間がかかる上、架橋物が硬く柔軟性がなくなる傾向がある。
化合物(A)と架橋反応可能な非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)は、特に限定されるものではない。
非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)としては、化合物(A)と架橋反応可能な架橋部位として、シアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)、アルコキシカルボニル基(−COOR6基(R6は一価の有機基であり、一価の有機基としては前記と同じものをあげることができる))および酸ハライド基(−COX3基(X3はハロゲン原子であり、ハロゲン原子としてはヨウ素原子、塩素原子、臭素原子などがあげられる))からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有するものが好ましくあげられる。これらの中でも、架橋反応性の点からはシアノ基がより好ましい。また、製造が容易な点からはカルボキシル基、アルコキシカルボニル基がより好ましい。
非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)としては、たとえば、フッ素ゴム(a)、熱可塑性フッ素ゴム(b)、およびこれらのフッ素ゴムからなるゴム組成物などがあげられるが、そのなかでもフッ素ゴム(a)が好ましい。
フッ素ゴム(a)としては、とくに限定されるものではないが、比較的安価で、重合性が良く、得られる化合物の耐熱性、耐寒性、耐薬品性に優れる点から、フッ化ビニリデン(VdF)単位および/またはテトラフルオロエチレン(TFE)単位および/またはヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位と、少なくとも1種のさらなるモノマーからなることが好ましい。
少なくとも1種のさらなるモノマーとしては、たとえば、TFE、HFP、フルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテル等のフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体等があげられ、これらのフッ素含有単量体およびフッ素非含有単量体のなかから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記PAVEは、一般式(13):
CF2=CFO(CF2CFY2O)p−(CF2CF2CF2O)q−Rf 1 (13)
(式中Y2は、フッ素原子または−CF3を表し、Rf 1は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。pは、0〜5の整数を表し、qは、0〜5の整数を表す。)
で表されるものを1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。一般式(13)で示されるものの中でも、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が好ましく、特にパーフルオロ(メチルビニルエーテル)が好ましい。
具体的には、化合物(A)との相溶性の観点から、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/Pr共重合体、VdF/Et/HFP共重合体が好ましく、特には、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体が好ましい。
VdF/HFP共重合体は、VdF/HFPの組成が、45〜85/55〜15モル%であることが好ましく、より好ましくは、50〜80/50〜20モル%であり、さらに好ましくは、60〜80/40〜20モル%である。
VdF/HFP/TFE共重合体は、VdF/HFP/TFEの組成が、40〜80/10〜35/10〜25モル%のものが好ましい。
VdF/PAVE共重合体としては、VdF/PAVEの組成が、65〜90/10〜35モル%のものが好ましい。
VdF/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/TFE/PAVEの組成が、40〜80/3〜40/15〜35モル%のものが好ましい。
VdF/HFP/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/PAVEの組成が、65〜90/3〜25/3〜25モル%のものが好ましい。
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合としては、VdF/HFP/TFE/PAVEの組成が、40〜90/0〜25/0〜40/3〜35のものが好ましく、40〜80/3〜25/3〜40/3〜25モル%のものがより好ましい。
また耐アミン性等の観点から、TFE/Pr共重合体、Et/HFP共重合体、Et/HFP/TFE共重合体が好ましい。
TFE/Pr共重合体は、TFE/Prの組成が、40〜70/60〜30モル%であることが好ましく、50〜60/50〜40モル%がより好ましい。
Et/HFP共重合体は、Et/HFPの組成が、35〜80/65〜20モル%であることが好ましく、40〜75/60〜25モル%がより好ましい。
Et/HFP/TFE共重合体は、Et/HFP/TFEの組成が、35〜75/50〜25/15〜0モル%であることが好ましく、45〜75/45〜25/10〜0モル%がより好ましい。
また、耐寒性等の観点から、TFE/VdF/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、CTFE/VdF/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体が好ましい。
そして、化合物(A)と架橋反応可能な架橋部位は、含フッ素エラストマーへ高分子反応により導入されるものであってもよいが、フッ素ゴムとして上記に例示した共重合体に、さらにその他の単量体として、架橋部位を与える単量体を用いることが製造容易であることから好ましい。架橋部位を与える単量体は、フッ素ゴムを構成する単量体のうち(該架橋部位を与える単量体を含む)合計量に対して、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、好ましくは5モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。
架橋部位を与える単量体としては、エチレン性不飽和結合をもち、かつ、官能基としてシアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)、アルコキシカルボニル基(−COOR6基(R6は一価の有機基であり、一価の有機基としては前記と同じものをあげることができる))、酸ハライド基(−COX3基(X3はハロゲン原子であり、ハロゲン原子としてはヨウ素原子、塩素原子、臭素原子))または
Figure 2007049469
(R6は前記と同じものである)
で示される基を有するものである。
このなかでも、得られる架橋物の圧縮永久歪みの観点から、架橋部位を与える単量体としては、エチレン性不飽和結合をもち、かつ、官能基としてシアノ基(−CN基)を有するものが好ましい。
単量体としては、鎖状および環状のいずれの化合物も用いることができる。単量体が環状化合物であれば、上記官能基を有する、シクロペンテンおよびその誘導体、ノルボルネンおよびその誘導体、多環ノルボルネンおよびその誘導体、ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ならびにこれらの化合物の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子、特にはフッ素原子や、含フッ素アルキル基に置換した化合物などを一例としてあげることができる。なお、重合性の観点から、単量体は鎖状化合物であることが好ましい。また、鎖状化合物の中でも特に、下記の一般式(14)で示される単量体が好ましい。
CY34=CY5(O)m(R7n−X4 (14)
(式中、Y3〜Y5は、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、−CH3、または−CF3であり、R7は2価の有機基であり、nは0または1であり、mは、nが0である場合は0、nが1である場合は0または1であり、X4は上記官能基のいずれかである)
上記の中でも、重合性の観点から、Y3〜Y5が水素原子またはハロゲン原子であるものが好ましく、ハロゲン原子の中でも特にフッ素原子が好ましい。具体的には、CH2=CH−、CH2=CF−、CFH=CF−、CFH=CH−、CF2=CF−が好ましく、CH2=CH−、CH2=CF−、CF2=CF−がより好ましい。なお、n=0の場合、CH2=CHCN、CH2=CHCOOR6
Figure 2007049469
CF2=CFCN、CF2=CFCOOR6
Figure 2007049469
(R6は前記と同じである)
で示される化合物が架橋可能な単量体としてあげることができる。
n=0の場合はm=0であるが、n=1の場合はmは0であっても1であってもよい。mが1である場合は、CH2=CHO−、CH2=CFO−、CFH=CFO−、CFH=CHO−、CF2=CFO−が好ましく、CH2=CHO−、CH2=CFO−およびCF2=CFO−がより好ましい。
7としては、2価の有機基から任意のものを選ぶことができるが、合成や重合の容易性の観点から、炭素数1〜100のエーテル結合を含んでいてもよいアルキレン基が好ましく、炭素数1〜50であることがより好ましく、炭素数1〜20であることがさらに好ましい。そのようなアルキレン基は、水素原子の一部または全部がハロゲン原子、特にはフッ素原子に置換されていてもよい。炭素数が100をこえると、重合が困難になり、架橋を行っても好ましい特性を得ることができない傾向があるため好ましくない。上記アルキレン基は、直鎖型や分岐型のアルキレン基でよい。そのような直鎖型や分岐型のアルキレン基を構成する最小構造単位の一例を下記に示す。
(i)直鎖型の最小構造単位:
−CH2−、−CHF−、−CF2−、−CHCl−、−CFCl−、−CCl2
(ii)分岐型の最小構造単位:
Figure 2007049469
7で表されるアルキレン基がエーテル基を含有しない場合、R7で表されるアルキレン基は、これらの最小構造単位単独で、または、直鎖型(i)同士、分岐鎖型(ii)同士、もしくはこれらを適宜組み合わせて構成される。また、R7で表されるアルキレン基がエーテル基を含有する場合、R7で表されるアルキレン基は、これらの最小構造単位単独と酸素原子で、または、直鎖型(i)同士、分岐鎖型(ii)同士と酸素原子で、もしくはこれらを適宜組み合わせて構成することができるが、酸素原子同士が結合することはない。なお、R7で表されるアルキレン基は、以上の例示のなかでも、塩基による脱HCl反応が起こらず、より安定なことから、Clを含有しない構成単位から構成されることが好ましい。
また、R7としては、−R8−、―(OR8)−、または−(R8O)−(R8は炭素数1〜6のフッ素を含んでいてもよいアルキレン基)で示される構造を有することがさらに好ましい。
8の好ましい具体例としては、下記の直鎖型または分岐鎖型のものをあげることができる。
直鎖型のものとしては、−CH2−、−CHF−、−CF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CF2CF2−、−CH2CF2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CH2−、−CH2CF2CF2−、−CF2CH2CH2−、−CF2CF2CH2−、−CF2CH2CF2−、−CF2CF2CF2−、−CH2CF2CH2CF2−、−CH2CF2CF2CF2−、−CH2CH2CF2CF2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CF2CH2CF2CH2−、−CH2CF2CF2CF2CH2−、−CH2CF2CF2CH2CH2−、−CH2CH2CF2CF2CH2−、−CH2CF2CH2CF2CH2−、−CH2CF2CH2CF2CH2CH2−、−CH2CH2CF2CF2CH2CH2−、−CH2CF2CH2CF2CH2CH2−などが例示でき、分岐鎖型のものとしては、
Figure 2007049469
などをあげることができる。また、上記の構成から、下記の化合物があげられる。
CH2=CH−(CF2n−X4 (15)
(式中、nは2〜8の整数)
CY6 2=CY6(CF2n−X4 (16)
(式中、Y6は水素原子またはフッ素原子、nは1〜8の整数である)
CF2=CFCF2f 2−X4 (17)
(式中、
Figure 2007049469
であり、nは0〜5の整数である)
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2m
(OCH2CF2CF2nOCH2CF2−X4 (18)
(式中、mは0〜5の整数であり、nは0〜5の整数である)
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2m
(OCF(CF3)CF2nOCF(CF3)−X4 (19)
(式中、mは0〜5の整数であり、nは0〜5の整数である)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2n−X4 (20)
(式中、mは0〜5の整数であり、nは1〜8の整数である)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m−X4 (21)
(式中、mは1〜5の整数である)
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2nCF(−X4)CF3 (22)
(式中、nは1〜4の整数である)
CF2=CFO(CF2nOCF(CF3)−X4 (23)
(式中、nは2〜5の整数である)
CF2=CFO(CF2n−(C64)−X4 (24)
(式中、nは1〜6の整数である)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)−X4 (25)
(式中、nは1〜2の整数である)
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)−X4 (26)
(式中、nは0〜5の整数である)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X4 (27)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数である)
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)−X4 (28)
CH2=CFCF2OCH2CF2−X4 (29)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)−X4 (30)
(式中、mは0以上の整数である)
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2n−X4 (31)
(式中、nは1以上の整数である)
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3)OCF2−X4 (32)
CF2=CF−(CF2C(CF3)F)n−X4 (33)
(式中、nは、1〜5の整数である)
CF2=CFO−(CFY7n−X4 (34)
(式中、Y7はFまたは−CF3であり、nは1〜10の整数である)
CF2=CFO−(CF2CFY8O)m−(CF2n−X4 (35)
(式中、Y8はFまたは−CF3であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜3の整数である)
CH2=CFCF2O−(CF(CF3)CF2O)n−CF(CF3)−X4 (36)
(式中、nは0〜10の整数である)
CF2=CFCF2O−(CF(CF3)CF2O)n−CF(CF3)−X4 (37)
(式中、nは1〜10の整数である)
(一般式(15)〜(37)中、X4は、上記官能基のいずれかである)
なお、上記X4が−COOR6である場合、−COOR6基が架橋部位として作用するためには、−COOR6基が架橋剤の反応性官能基と反応しやすい構造であることが好ましい。つまり、R6が脱離しやすいことが好ましい。そのようなR6としては、トルエンスルホン酸、ニトロトルエンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸などのスルホニルエステル、リン酸エステル、ならびに有機リン酸エステルなどがあげられる。しかし、スルホニルエステルは、脱離するスルホン酸の酸性度が高く金属(例えば成形器の金型)を腐食するおそれがあるため好ましくない。また、リン酸エステルや有機リン酸エステルは、脱離するリン酸および有機リン酸が環境に悪影響を与えることが懸念されるため好ましくない。したがって、R6はエーテル結合や芳香環を含んでもよいアルキル基であることが好ましい。この場合、炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。また、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されているものは脱離性が高いことから好ましい。R6がエーテル結合や芳香環を含んでもよいアルキル基である場合、R6としては、具体的に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基などがあげられる。
また、反応性が高い点では―COX3で示される酸ハライド基が好ましい。しかし、フッ素ゴムの重合は水系で行われる場合、酸ハライド基は水中では不安定であるため好ましくない。なお、フッ素ゴムの重合が非水溶液系で行われる場合、酸ハライド基は好ましい。
一般式(15)〜(37)で示される単量体では、上記官能基のいずれかが、架橋部位となり、架橋剤と架橋反応が進行する。
さらに、前記シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基または、
Figure 2007049469
で示される基含有単量体に加え、ヨウ素含有単量体、臭素含有単量体を用いると、上記の架橋反応に加えて、パーオキサイド架橋を進行させることもできる。
また、非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)が、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基および酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を、側鎖に0.1〜5モル%含有することが好ましく、0.3〜2モル%含有することがより好ましい。0.1モル%未満であると化合物(A)との架橋反応で得られる化合物は充分な機械的強度、耐熱性、耐薬品性が得られない傾向があり、5モル%をこえると架橋に多大な時間がかかる上、架橋物が硬く柔軟性がなくなる傾向がある。
本発明に使用される非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)は、常法により製造することができ、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などの重合法により製造することができる。重合時の温度、時間などの重合条件としては、モノマーの種類や目的とするエラストマーにより適宜決定すればよい。
乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルオロカーボン鎖または、フルオロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が望ましい。また、反応性乳化剤の使用が望ましい。
重合開始剤としては、好ましくはカルボキシル基またはカルボキシル基を生成し得る基(たとえば、酸フルオライド、酸クロライド、CF2OHなどがあげられる。これらはいずれも水の存在下にカルボキシル基を生ずる)をエラストマー末端に存在させ得るものが好ましい。具体例としては、たとえば過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)などがあげられる。
また、分子量の調整に通常使用される連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、一般式(38)〜(46):
I(CF2CF2nI (38)
ICH2CF2CF2(OCF(CF3)CF2mOCF(CF3)−X5 (39)
ICH2CF2CF2(OCH2CF2CF2mOCH2CF2−X5 (40)
I(CF2n5 (41)
I(CH2CF2n5 (42)
ICF2CF2OCF2CF(CF3)OCF2CF2−X5 (43)
ICH2CF2CF2OCH2CF2−X5 (44)
ICF2CF2OCF2CF2−X5 (45)
ICF2CF2O(CF2nOCF2CF2−X5 (46)
(式中、X5は、シアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)、アルコキシカルボニル基(−COOR9基、R9は炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基)、mは0〜5の整数であり、nは1以上の整数である)で示される化合物などを用いることができる。これらの中でも、化合物(A)と反応可能な架橋部位を有する点から、一般式(39)〜(46)で示される連鎖移動剤が好ましい。また、得られる架橋物の圧縮永久歪みが良好な点からは、一般式(39)〜(46)で示される連鎖移動剤のなかでも、X5としてシアノ基(−CN基)を有するものを用いることが好ましい。
重合反応混合物から重合生成物を単離方法としては、酸処理により凝析する方法が、工程の簡略化の点から好ましい。または、重合混合物を酸処理し、その後凍結乾燥などの手段で重合生成物を単離してもよい。さらに超音波などによる凝析や機械力による凝析などの方法も採用できる。
本発明で用いる非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)は、重合生成物を酸処理することにより、重合生成物に存在しているカルボン酸の金属塩やアンモニウム塩などの基をカルボキシル基に変換することができる。酸処理法としては、たとえば塩酸、硫酸、硝酸などにより洗浄するか、これらの酸で重合反応後の混合物の系をpH3以下にする方法が適当である。
また、ヨウ素や臭素を含有する架橋性エラストマーを発煙硝酸により酸化してカルボキシル基を導入することもできる。
さらに、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基の導入方法としては、国際公開第00/05959号パンフレットに記載の方法も用いることができる。
本発明において、とくに高純度かつ非汚染性が要求されない分野では、必要に応じて含フッ素エラストマー組成物に配合される通常の添加物、たとえば充填材、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤などを配合することができ、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋助剤を1種またはそれ以上配合してもよい。
本発明においては、架橋促進剤として無機物を添加することができる。
架橋促進剤として用いることができる無機物としては、無機酸化物、無機窒化物、炭素材料が好ましく、その中でも、水、アルコールに対する吸着性を有する化合物、塩基点を有する化合物などがより好ましい。
水、アルコールに対する吸着性を有する化合物としては、例えば、モレキュラーシーブス、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、活性炭、メソポーラスシリカなどをあげることができる。これらの中でも、架橋速度の向上および耐圧縮永久ひずみの点からモレキュラーシーブスがとくに好ましい。
塩基点を有する化合物としては、例えば、(1)アルカリ金属、アルカリ土類金属およびそれらの酸化物、(2)アルカリ金属、アルカリ土類金属およびそれらの酸化物を含むシリカ、アルミナ、カーボン、活性炭、(3)窒化ケイ素(Si34)やAlNなどの無機窒化物、(4)表面にアミン系官能基を有するシリカ、アルミナ、カーボン、活性炭などをあげることができる。これらのなかでも、(2)アルカリ金属、アルカリ土類金属およびそれらの酸化物を含むシリカ、アルミナ、カーボン、活性炭、(3)窒化ケイ素(Si34)やAlNなどの無機窒化物、(4)表面にアミン系官能基を有するシリカ、アルミナ、カーボン、活性炭などがより好ましく、(3)窒化ケイ素(Si34)やAlNなどの無機窒化物が特に好ましい。
またこれらをシリカ、アルミナ、カーボンなどに担持させたものも好適に用いることができる。
具体例としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ナトリウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ゾノトライト、ウォラストナイト、タルク、アタパルジャイト、ベントナイト、ゼオライト、クレー、パイロフィライト、セリナイトなどをあげることができる。これらの化合物としては、カープレックス♯1120(デグサジャパン製)、カープレックス♯100(デグサジャパン製)、トクシールGu((株)トクヤマ製)、ニップシールER(日本シリカ工業(株)製)、ニップシールNA(日本シリカ工業(株)製)、ニップシールg300(日本シリカ工業(株)製)などを用いることができる。
架橋促進剤として用いる無機物の添加量は、含フッ素エラストマー100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、1重量部以上であることがさらに好ましく、5重量部以上であることがとくに好ましい。また、上限値としては50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましい。0.1重量部未満であると無機物の添加効果が充分に得られない傾向があり、50重量部をこえると硬度が高くなり成形性が劣る傾向がある。
また、非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)を含む架橋性組成物に、前記架橋促進剤として作用する無機物を含む場合は、前記一般式(1)〜(6)で示される架橋性反応基を含む化合物(A)を含まないときでも、架橋させることも可能である。具体的には、架橋部位としてシアノ基(−CN基)を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有する非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)と架橋促進剤とを含むとき、前記と同様の架橋条件にて、シアノ基の環化三量化反応によってトリアジン架橋させることができる。この場合、無機物としては、前記したものの他に、ルイス酸系無機固体物やルイス酸系有機金属を好ましく用いることができる。
ルイス酸系無機固体物としては、ルイス酸系無機酸化物が好ましく、例えば、酸化銀、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化錫などをあげることができる。
ルイス酸系有機金属としては、例えば、テトラフェニル錫、テトラフェニルPBなどをあげることができる。
また、架橋部位としてシアノ基(−CN基)を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有する非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)としては、VdF単位を含むものが好ましく、より好ましい具体例としては前記同様である。なお、その他についてはこれまでの記載と同様に好ましい形態を採用することができる。
充填材は、架橋物の引張り強さ、モジュラス、硬度などの物性を向上させるものであり、本発明においても必要に応じて添加することができる。
充填材としては、カーボンブラック、タルク、ケイ酸、ケイ酸化合物、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、ハイスチレン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂などがあげられる。その中で一般的に用いられるカーボンブラックは、サーマルブラック、瀝青炭フィラー、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどがあげられる。これらの中でも、耐圧縮永久ひずみ性の点から、瀝青炭フィラーが好ましく、力学物性の点から、瀝青炭フィラーとサーマルブラックの混合物が好ましい。
充填材の添加量は、含フッ素エラストマー100重量部に対して、10〜50重量部であることが好ましく、15〜45重量部であることがより好ましい。
また、瀝青炭フィラーとサーマルブラックの混合物を用いる場合、その混合重量比(瀝青炭フィラー/サーマルブラック)は、9/95〜80/20であることが好ましく、30/70〜70/30であることがより好ましい。前記範囲外であると、耐圧縮永久ひずみ性の悪化や耐圧縮割れ性の低下が認められる。
本発明の組成物は、前記の各成分を、通常のエラストマー用加工機械、たとえば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混合することにより調製することができる。この他、密閉式混合機を用いる方法によっても調製することができる。
前記組成物から予備成形体を得る方法は通常の方法でよく、金型にて加熱圧縮する方法、加熱された金型に圧入する方法、押出機で押出す方法など公知の方法で行なうことができる。ホースや電線などの押出製品の場合は押出後にスチームなどによる加熱架橋を行なうことで、架橋成形体を得ることができる。
本発明において架橋条件としては、特に限定されるものではなく、通常の含フッ素エラストマーの架橋条件下で行なうことができる。たとえば、一般式(1)で示される架橋性官能基を有する化合物または一般式(4)で示される化合物を用いる場合は、金型に入れ、加圧下において120〜250℃(好ましくは180〜250℃)で1〜120分間保持することによって、プレス架橋を行ない、続いて120〜320℃(好ましくは250〜320℃、より好ましくは260〜320℃)の炉中で0〜48時間(好ましくは2〜48時間)保持することによってオーブン架橋を行なうと、架橋物を得ることができる。
また、一般式(2)で示される架橋性官能基を有する化合物または一般式(5)で示される化合物を用いる場合は、金型に入れ、加圧下において120〜300℃(好ましくは180〜250℃)で1〜180分間保持することによって、プレス架橋を行ない、続いて120〜320℃(好ましくは250〜320℃、より好ましくは260〜320℃)のの炉中で0〜48時間(好ましくは2〜48時間)保持することによってオーブン架橋を行なうと、架橋物を得ることができる。
一般式(3)で示される架橋性官能基を有する化合物または一般式(6)で示される化合物を用いる場合は、金型に入れ、加圧下において120〜250℃(好ましくは180〜250℃)で1〜120分間保持することによって、プレス架橋を行ない、続いて120〜320℃(好ましくは250〜320℃、より好ましくは260〜320℃)のの炉中で0〜48時間(好ましくは2〜48時間)保持することによってオーブン架橋を行なうと、架橋物を得ることができる。
また、公知のエラストマーの架橋方法、たとえば、ポリアミン架橋やポリオール架橋、パーオキサイド架橋の配合にビス(アミノフェノール)AFなどを添加して併用架橋することもできるが、得られる成形品の耐熱性や圧縮永久歪みの観点から、これらの架橋は行なわない方がより好ましい。
本発明の架橋性組成物を架橋成形して、本発明の成形品を得ることができる。本発明の成形品は、長時間における耐熱性および圧縮永久歪みに優れたものである。
本発明の成形品は、様々な分野の各種成形品として有用であり、下記に示す分野の各種成形品として有用であるが、そのなかでもシール材、特に輸送機(自動車等)のエンジン用の酸素センサー用のシール材として有用である。
好ましい分野としては、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体関連分野、自動車分野、航空機分野、ロケット分野、船舶分野、プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野、現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野、食品プラント機器分野、原子力プラント機器分野、鉄板加工設備等の鉄鋼分野、一般工業分野、燃料電池分野、電子部品分野などをあげることができる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
評価法
<組成分析>
19F−NMR(Bruker製AC300P型)により測定した。
<圧縮永久歪み>
JIS K6301に準じてO−リング(AS−568A−214)の250℃70時間、168時間、336時間後の圧縮永久歪みを測定した。
製造例1(COOH基含有エラストマー(B−1)の合成)
着火源をもたない内容積6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水2.4リットルおよび乳化剤としてC715COONH4 4.8gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、700rpmで撹拌しながら、80℃に昇温し、VdF、HFPの混合ガス(VdF/HFP=50/50モル比)を、内圧が1.52MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)の12mg/mlの濃度の水溶液4mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
重合の進行により内圧が、1.48MPa・Gまで降下した時点で、I(CF2CF22I 1.3gを窒素圧にて圧入した。ついで圧力が15.2MPa・Gになるように、VdF/HFPの混合ガス(78/22モル比)をそれぞれ自圧にて圧入した。以後、反応の進行にともない同様にVdF、HFPを圧入し、14.8〜15.2MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOH(CBVE)を34.3g窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から7時間後、VdF、HFPの合計仕込み量が400gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度14.7重量%の水性分散体3004gを得た。
この水性分散体のうち2000gを水2000gで希釈し、3.5重量%塩酸水溶液2000g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後30分間撹拌した後、凝析物を濾別し、得られたポリマーをさらに500g HCFC−141bの中にあけ、5分間撹拌し、再び濾別した。この後水洗、濾別の操作をさらに4回繰り返したのち、100℃で12時間真空乾燥させ、290gのポリマーを得た(架橋性含フッ素エラストマー(B−1))。
分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、VdF/HFP/CBVE=76.3/22.2/1.5モル%であった。また赤外分光分析により測定したところ、カルボキシル基の特性吸収が1773cm-1付近に、OH基の特性吸収が3538cm-1および3090cm-1付近に認められた。この含フッ素エラストマーの100℃でのムーニー粘度は85であった。
製造例2(COOH基含有エラストマー(B−2)の合成)
着火源をもたない内容積3リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水1.5リットルおよび乳化剤として、C715COONH4 3.0gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、700rpmで撹拌しながら、80℃に昇温し、VdF、TFE、HFPの混合ガス(VdF/TFE/HFP=19/11/70モル比)を、内圧が1.52MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、7.5mg/mlの過硫酸アンモニウム(APS)水溶液4mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
重合の進行により内圧が、1.48MPa・Gまで降下した時点で、I(CF2CF22I 0.77gを窒素圧にて圧入した。ついで圧力が15.2MPa・Gになるように、VdF、TFE、HFPの混合ガス(VdF/TFE/HFP=50/20/30モル比)をそれぞれ圧入した。以後、反応の進行にともないVdF、TFE、HFPを圧入し、14.8〜15.2MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOH(CBVE)を14.1g窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から5時間後、VdF、TFE、HFPの合計仕込み量が250gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度14.1重量%の水性分散体1732gを得た。
この水性分散体のうち1500gを水1500gで希釈し、3.5重量%塩酸水溶液1500g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後30分間撹拌した後、凝析物を濾別し、得られたポリマーをさらに500g HCFC−141bの中にあけ、5分間撹拌し、再び濾別した。この後水洗、濾別の操作をさらに4回繰り返したのち、100℃で12時間真空乾燥させ、205gのポリマーを得た(架橋性含フッ素エラストマー(B−2))。
分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、VdF/TFE/HFP/CBVE=52.8/22.9/23.4/0.9モル%であった。また赤外分光分析により測定したところ、カルボキシル基の特性吸収が1773cm-1付近に、OH基の特性吸収が3538cm-1および3090cm-1付近に認められた。この含フッ素エラストマーの100℃でのムーニー粘度は113であった。
製造例3(CNVE基含有エラストマー(B−3)の合成)
着火源をもたない内容積3リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水1.5リットルおよび乳化剤として、C715COONH4 3.0gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、700rpmで撹拌しながら、80℃に昇温し、VdF、TFE、HFPの混合ガス(VdF/TFE/HFP=19/11/70モル比)を、内圧が1.52MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、15mg/mlの過硫酸アンモニウム(APS)水溶液3mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
重合の進行により内圧が、1.48MPa・Gまで降下した時点で、I(CF2CF22I 0.77gを窒素圧にて圧入した。ついで圧力が15.2MPa・Gになるように、VdF、TFE、HFPの混合ガス(VdF/TFE/HFP=50/20/30モル比)をそれぞれ圧入した。以後、反応の進行にともないVdF、TFE、HFPを圧入し、14.8〜15.2MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)を11.0g窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から9時間後、VdF、TFE、HFPの合計仕込み量が125gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度7.7重量%の水性分散体1684gを得た。
この水性分散体のうち1600gを、3.5重量%塩酸水溶液1600g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後30分間撹拌した後、凝析物を濾別し、得られたポリマーをさらに500g HCFC−141bの中にあけ、5分間撹拌し、再び濾別した。この後水洗、濾別の操作をさらに4回繰り返したのち、70℃で48時間真空乾燥させ、205gのポリマーを得た(架橋性含フッ素エラストマー(B−3))。
分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、VdF/TFE/HFP/CNVE=53.6/21.0/24.1/1.3モル%であった。また赤外分光分析により測定したところ、シアノ基の特性吸収が2169cm-1付近に認められた。
製造例4(CNVE基含有エラストマー(B−4)の合成)
着火源をもたない内容積6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水3リットルおよび乳化剤として、C715COONH4 6.0gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、700rpmで撹拌しながら、70℃に昇温し、VdF、TFE、HFPの混合ガス(VdF/TFE/HFP=19/11/70モル比)を、内圧が1.52MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE) 2gと30mg/mlの過硫酸アンモニウム(APS)水溶液3mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
反応の進行にともないVdF、TFE、HFPを圧入し、1.48〜1.52MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)を18g窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から9時間後、VdF、TFE、HFPの合計仕込み量が330gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度9.8重量%の水性分散体3382gを得た。
この水性分散体のうち3300gを、3.5重量%塩酸水溶液3300g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後30分間撹拌した後、凝析物を濾別し、得られたポリマーをさらに500g HCFC−141bの中にあけ、5分間撹拌し、再び濾別した。この後水洗、濾別の操作をさらに4回繰り返したのち、70℃で48時間真空乾燥させ、320gのポリマーを得た(架橋性含フッ素エラストマー(B−4))。
分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、VdF/TFE/HFP/CNVE=52.1/22.5/23.8/1.6モル%であった。また赤外分光分析により測定したところ、シアノ基の特性吸収が2169cm-1付近に認められた。
製造例5(CNVE基含有エラストマー(B−5)の合成)
着火源をもたない内容積3リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水1.5リットルおよび乳化剤として、C715COONH4 3.0gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、700rpmで撹拌しながら、70℃に昇温し、VdF、TFE、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)の混合ガス(VdF/TFE/PMVE=70/12/18モル比)を、内圧が1.52MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)1.4gと15mg/mlの過硫酸アンモニウム(APS)水溶液3mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
反応の進行にともないVdF、TFE、PMVEを圧入し、1.48〜1.52MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)を12.6g窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から9時間後、VdF、TFE、PMVEの合計仕込み量が260gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度15.0重量%の水性分散体1766gを得た。
この水性分散体のうち1700gを、3.5重量%塩酸水溶液1700g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後30分間撹拌した後、凝析物を濾別し、得られたポリマーをさらに500g HCFC−141bの中にあけ、5分間撹拌し、再び濾別した。この後水洗、濾別の操作をさらに4回繰り返したのち、70℃で48時間真空乾燥させ、315gのポリマーを得た(架橋性含フッ素エラストマー(B−5))。
分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、VdF/TFE/PMVE/CNVE=66.2/13.5/19.3/1.0モル%であった。また赤外分光分析により測定したところ、シアノ基の特性吸収が2169cm-1付近に認められた。
製造例6(CNVE基含有エラストマー(B−6)の合成)
着火源をもたない内容積6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水3リットルおよび乳化剤として、C715COONH4 6.0gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、700rpmで撹拌しながら、70℃に昇温し、VdF、TFE、HFPの混合ガス(VdF/TFE/HFP=19/11/70モル比)を、内圧が1.52MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)1.4gと30mg/mlの過硫酸アンモニウム(APS)水溶液3mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
反応の進行にともないVdF、TFE、HFPを圧入し、1.48〜1.52MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)を12.6g窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から9時間後、VdF、TFE、HFPの合計仕込み量が330gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度10.1重量%の水性分散体3211gを得た。
この水性分散体のうち3200gを、3.5重量%塩酸水溶液3300g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後30分間撹拌した後、凝析物を濾別し、得られたポリマーをさらに500g HCFC−141bの中にあけ、5分間撹拌し、再び濾別した。この後水洗、濾別の操作をさらに4回繰り返したのち、70℃で48時間真空乾燥させ、315gのポリマーを得た(架橋性含フッ素エラストマー(B−6))。
分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、VdF/TFE/HFP/CNVE=52.5/22.7/23.7/1.1モル%であった。また赤外分光分析により測定したところ、シアノ基の特性吸収が2169cm-1付近に認められた。
実施例1
製造例1で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−1)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)とを重量比100/3.1/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性組成物を調製した。
この架橋性組成物を200℃で60分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表1に示す。
実施例2
製造例2で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−2)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)とを重量比100/1.8/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性組成物を調製した。
ついでこの架橋性組成物を200℃で90分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表1に示す。
実施例3
製造例3で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−3)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)とを重量比100/2.5/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性組成物を調製した。
ついでこの架橋性組成物を200℃で60分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表1に示す。
比較例1
製造例1で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−1)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤TA−AF)と充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)とを重量比100/3.8/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性組成物を調製した。
この架橋性組成物を180℃で90分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表1に示す。
比較例2
一般に市販されている含フッ素エラストマー1(VdF/HFP=78/22モル%からなる含フッ素エラストマー)とサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)、受酸剤(Caldic#2000、協和化学工業(株)製)、酸化マグネシウム(MA−150、協和化学工業(株)製)とを重量比100/20/6/3で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性組成物を調製した。
ついでこの架橋性組成物を170℃で10分間プレスしたのち、さらに230℃で24時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表1に示す
Figure 2007049469
実施例4
製造例4で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−4)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)を重量比100/2.9/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
この架橋性組成物を200℃で30分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表2に示す。
実施例5
製造例4で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−4)に、架橋剤である化合物として、3,3’−ビスヒドロキシベンジジン(架橋剤DOH)と充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)とを重量比100/1.5/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
この架橋性組成物を200℃で60分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表2に示す。
実施例6
製造例4で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−4)に、充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)と窒化ケイ素(宇部興産(株)製)を重量比100/20/0.75で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
この架橋性組成物を200℃で60分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表2に示す。
実施例7
製造例4で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−4)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3−アンモニウムアセテート−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤Salt-OH-AF)と充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)とを重量比100/2.2/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
この架橋性組成物を200℃で15分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表2に示す。
実施例8
製造例4で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−4)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるサーマルブラック(MT-C、カンカーブ製)と瀝青炭フィラー(ミネラルブラック325BA、キーストンフィラ−&Mfg製)を重量比100/2.4/16/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
この架橋性組成物を200℃で30分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表2に示す。
実施例9
製造例5で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−5)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)を重量比100/2.1/30で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
この架橋性組成物を200℃で60分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表2に示す。
実施例10
製造例6で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−6)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)とモレキュラーシーブス(4A、パウダー、アルドリッチ製)を重量比100/2.6/20/3で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
この架橋性組成物を200℃で15分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表2に示す。
実施例11
製造例6で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−6)に、架橋剤である化合物(A)として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるサーマルブラック(MT-C、カンカーブ製)とシリカ(カープレックス♯1120、デグサジャパン製)を重量比100/2.6/20/3で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
この架橋性組成物を200℃で15分間プレスして架橋を行なったのち、さらに200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。
比較例3
一般に市販されている含フッ素エラストマー2(VdF/TFE/PMVE=67.0/13.9/19.1モル%からなる含フッ素エラストマー)とサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)、トリアリルイソシアナート(日本化成(株)製)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)とを重量比100/30/3/1.5で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性組成物を調製した。
この架橋性組成物を170℃で10分間プレスしたのち、さらに230℃で24時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表2に示す。
また、実施例4〜11、比較例3で得られた架橋性組成物のキュラスト測定を下記の方法で行った。結果を表2に示す。
(キュラスト測定)
これらの架橋性組成物の一部をそれぞれ採取し、210℃の条件下(比較例3:170℃)でキュラストメーター(商品名:キュラストメーターII型、JSR(株)製)を用いて、JIS K 6300に準拠して適性加硫時間T90を測定した。
Figure 2007049469
製造例7(CNVE基含有エラストマー(B−7)の合成)
着火源をもたない内容積6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水3リットルおよび乳化剤として、C511COONH4 6.0gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、600rpmで撹拌しながら、80℃に昇温し、VdF、TFE、HFPの混合ガス(VdF/TFE/HFP=19/11/70モル比)を、内圧が1.52MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)3gと0.3g/mlの過硫酸アンモニウム(APS)水溶液6mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
反応の進行にともないVdF、TFE、HFPを圧入し、1.48〜1.52MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)を45g、マロン酸ジエチルを1g窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から10時間後、VdF、TFE、HFPの合計仕込み量が1000gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度24.4重量%の水性分散体4037gを得た。
この水性分散体のうち3900gを、0.1重量%硫酸アルミニウム水溶液中4900gに、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後凝析物を濾別し、得られたポリマーを水洗、濾別の操作を4回繰り返したのち、70℃で48時間真空乾燥させ、950gのポリマーを得た(架橋性含フッ素エラストマー(B−7))。
分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、VdF/TFE/HFP/CNVE=50.3/20.9/27.1/1.7モル%であった。また赤外分光分析により測定したところ、ニトリル基の特性吸収が2169cm-1付近に認められた。
実施例12
製造例7で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−7)に、架橋剤である化合物(A)として2,2-ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるカーボンブラック(MT−C、カンカーブ社製)を重量比100/3.1/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
実施例13
製造例7で得られた架橋性含フッ素エラストマー(B−7)に、架橋剤である化合物(A)として2,2-ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(架橋剤OH−AF)と充填材であるカーボンブラック(MT−C、カンカーブ社製)と窒化ケイ素(宇部興産(株)製)を重量比100/2.5/20/0.1で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性含フッ素エラストマー組成物を調製した。
実施例12と実施例13の架橋性組成物の一部をそれぞれ採取し、210℃の条件下でキュラストメーター(商品名:キュラストメーターII型、JSR社製)を用いて、JIS K 6300に準拠して適性加硫時間T90を測定した。結果を表3に示す。
これらの架橋性組成物を180℃で15分間プレスして架橋を行なったのち、さらにオーブン中で200℃で2時間、260℃で5時間ついで290℃で18時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表3に示す。
比較例4
一般に市販されている含フッ素エラストマー1(VdF/HFP=78/22モル%からなる含フッ素エラストマー)とサーマルブラック(MT−C、カンカーブ製)、受酸剤(Caldic#2000、協和化学工業(株)製)、酸化マグネシウム(MA−150、協和化学工業(株)製)とを重量比100/20/6/3で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な架橋性組成物を調製した。
この架橋性組成物の一部を採取し、170℃の条件下でキュラストメーター(商品名:キュラストメーターII型、JSR社製)を用いて、JIS K 6300に準拠して適性加硫時間T90を測定した。結果を表3に示す。
ついでこの架橋性組成物を170℃で10分間プレスしたのち、さらに230℃で24時間のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の圧縮永久歪みについて測定した。結果を表3に示す。
Figure 2007049469
本発明の架橋性組成物は、特定の架橋性反応基を少なくとも1個含む化合物、該化合物と架橋反応可能な非パーフルオロ系含フッ素エラストマーを含有することで、長時間での耐熱性に優れ、かつ圧縮永久歪みが優れる成形品および酸素センサー用シール材を提供することができる。

Claims (11)

  1. (A)一般式(1):
    Figure 2007049469
    (式中、X1は、同じかまたは異なり、水素原子または一価の有機基であり、R1は−OR3または−SR3であり、R3は水素原子または一価の有機基であり、R2は水素原子、−OR3または−SR3であり、R3は前記と同じである)
    で示される架橋性反応基、一般式(2):
    Figure 2007049469
    (式中、R4は、同じかまたは異なり、水素原子またはシアノ基である)
    で示される架橋性反応基および一般式(3):
    Figure 2007049469
    (式中、X2は、同じかまたは異なり、水素原子または一価の有機基であり、Z-は酸由来のアニオンであり、Y1は、−OH、−SHまたは−N+2 2H・Z-(X2、Z-は前記と同じである)である)
    で示される架橋性反応基からなる群から選ばれる少なくとも1個の反応基を含む化合物、一般式(4):
    Figure 2007049469
    (式中、X1、R1は前記と同じである)
    で示される化合物、一般式(5):
    Figure 2007049469
    (式中、R4は前記と同じである)
    で示される化合物、または一般式(6):
    Figure 2007049469
    (式中、X2、Z-、Y1は前記と同じである)
    で示される化合物
    および(B)化合物(A)と架橋反応可能な非パーフルオロ系含フッ素エラストマー
    を含む架橋性組成物。
  2. 化合物(A)が、対称構造を有する化合物である請求の範囲第1項記載の架橋性組成物。
  3. 非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)が、化合物(A)と架橋反応可能な架橋部位として、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基および酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有する請求の範囲第1項または第2項記載の架橋性組成物。
  4. 架橋部位としてシアノ基を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有する請求の範囲第3項記載の架橋性組成物。
  5. 架橋部位として架橋性官能基を、側鎖末端に有する請求の範囲第3項または第4項記載の架橋性組成物。
  6. 非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)が、フッ化ビニリデン単位および/またはテトラフルオロエチレン単位および/またはヘキサフルオロプロピレン単位と、少なくとも1種の異なるモノマー単位を含む請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載の架橋性組成物。
  7. 非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)が、
    (1)フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
    (2)フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
    (3)テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体、
    (4)ヘキサフルオロプロピレン/エチレン共重合体、
    (5)テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、または
    (6)クロロトリフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体
    である請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載の架橋性組成物。
  8. 非パーフルオロ系含フッ素エラストマー(B)が、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基および酸ハライド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を、側鎖に0.1〜5モル%含有するエラストマーである請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載の架橋性組成物。
  9. 請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載の架橋性組成物を架橋して得られる成形品。
  10. 請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載の架橋性組成物を架橋して得られる酸素センサー用シール材。
  11. 請求の範囲第1項〜第8項のいずれかに記載の架橋性組成物を、180〜250℃でプレス架橋する工程および250〜320℃でオーブン架橋する工程を有する成形品の製造方法。
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