JPWO2007026746A1 - 半導体ナノ粒子及びその製造方法 - Google Patents

半導体ナノ粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、常温で発光する半導体ナノ粒子であって、亜鉛、周期表第11族元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とするか、又は周期表第11族元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とするものであり、例えば、Zn(1-2x)InxAgxS(0<x≦0.5)で表される半導体ナノ粒子が挙げられる。

Description

本発明は、半導体ナノ粒子及びその製造方法に関し、詳しくは常温で発光する半導体ナノ粒子及びその製造方法に関する。
従来より、CdS,CdSe,CdTe,PbS,PbSeなどの半導体ナノ粒子が知られている(例えば特許文献1,2参照)。このような半導体ナノ粒子は、その粒径が約10nm以下にまで小さくなると、量子サイズ効果により大きなバルク半導体粒子とは全く異なった物理化学特性を示す。このようなサイズの半導体ナノ粒子では、バルク半導体粒子で見られたエネルギーバンドの縮退が解けて離散化し、粒子サイズの減少と共にバンドギャップエネルギーが増加する。更に、半導体ナノ粒子の発光スペクトルは大きく変化し、粒子サイズの減少と共にバンドギャップ発光のピーク位置は短波長側にシフトする。半導体ナノ粒子のサイズ制御により発光波長を自在に制御できること、更に、半導体ナノ粒子の発光ピーク幅は有機色素に比べて十分に狭く、励起光照射下において有機色素よりも桁違いに安定であることなどから、現在、半導体ナノ粒子を用いる発光材料の開発が盛んに行われている。特に、生体分子など特定の分子を識別するためのマーカーとしての利用が実用化の段階にまで達している。
特開2004−243507 特開2004−352594
これまでの研究においては、半導体ナノ粒子の粒径を精密に制御して、目的とする発光ピーク波長を持つようなナノ粒子が作製されている。しかしながら、対象としている半導体ナノ粒子は、CdS,CdSe,CdTe,PbS,PbSeなどであり、毒性の高い元素を含むものであり、その合成前駆体も毒性の高いものである。また、InPなど比較的低毒性の半導体ナノ粒子も合成されているが、その前駆体は極めて毒性の高いリン化合物を使う。このような中で、製造過程において毒性の低い前駆体を用い、得られた半導体ナノ粒子も毒性の低いものが望まれている。
本発明では、このような要望に応えるためになされたものであり、製造過程で毒性の高い化合物を用いることなく良好に発光する半導体ナノ粒子を提供することを目的の一つとする。また、そのような半導体ナノ粒子を比較的容易に製造する製造方法を提供することを目的の一つとする。
上述した目的を達成すべく、本発明者らは鋭意研究を行ったところ、ある種の硫化物又は酸化物を主成分とする半導体ナノ粒子が常温で発光することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、常温で発光する半導体ナノ粒子であって、亜鉛、周期表第11族元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とするか、又は周期表第11族元素及び期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とするものである。なお、本発明の半導体ナノ粒子は、常温で発光するものであれば、常温以外の温度で発光するか否かは問わない。また、本明細書で常温とは15〜25℃を意味する。また、発光とは、エネルギー(例えば光エネルギー、電気エネルギー、化学エネルギー、熱エネルギーなど)を吸収して電子が励起した後、励起した電子が失活するときに光エネルギーを放出することをいい、蛍光であるかリン光であるかは問わない。吸収するエネルギーとしては、光エネルギーか電気エネルギーが好ましい。
ここで、周期表第11族元素としては、特に限定されるものではないが、例えばCu,Ag,Auが挙げられ、このうちCu,Agが好ましく、Agが特に好ましい。周期表第13族元素としては、特に限定されるものではないが、例えば、Ga,In,Tlが挙げられ、このうちGa,Inが好ましく、Inが特に好ましい。
本発明の第2は、常温で発光する半導体ナノ粒子であって、亜鉛、周期表第11族元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とする粒子の表面、又は周期表第11族元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とする粒子の表面が脂溶性化合物によって修飾されているものである。
ここで、周期表第11,13族元素については、本発明の第1と同様であるためその説明を省略する。また、脂溶性化合物は、前記硫化物若しくは前記酸化物を主成分とする粒子の表面に結合可能なものであればよい。そのときの結合の様式は、特に限定されるものではないが、例えば共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合、ファンデルワールス結合等の化学結合が挙げられる。かかる脂溶性化合物の具体例としては、例えば炭素数4〜20の炭化水素基を有する含窒素化合物、炭素数4〜20の炭化水素基を有する含硫黄化合物、炭素数4〜20の炭化水素基を有する含酸素化合物などが挙げられる。炭素数4〜20の炭化水素基としては、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などの飽和脂肪族炭化水素基;オレイル基などの不飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ナフチルメチル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられ、このうち飽和脂肪族炭化水素基や不飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。含窒素化合物としてはアミン類やアミド類が挙げられ、含硫黄化合物としてはチオール類が挙げられ、含酸素化合物としては脂肪酸類などが挙げられる。このような脂溶性化合物のうち、炭素数4〜20の炭化水素基を有する含窒素化合物が好ましく、例えばn−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミンなどのアルキルアミンや、オレイルアミンなどのアルケニルアミンが好ましい。
本発明の第3は、常温で発光する半導体ナノ粒子であって、亜鉛塩と周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合するか、又は周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合することにより錯体とし、該錯体を加熱することにより熱処理物とし、該熱処理物を脂溶性化合物と共に加熱することにより得られるものである。
ここで、周期表第11,13族元素については本発明の第1と同様であり、脂溶性化合物については本発明の第2と同様であるため、それらの説明を省略する。また、硫黄を配位元素とする配位子としては、特に限定されるものではないが、例えば、2,4−ペンタンジチオンなどのβ−ジチオン類;1,2−ビス(トリフルオロメチル)エチレン−1,2−ジチオールなどのジチオール類;ジエチルジチオカルバミド酸塩などが挙げられる。酸素を配位元素とする配位子としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトンなどのβ−ジケトン類;トロポロンなどが挙げられる。
錯体を熱処理する条件としては、使用する原料が変われば変わることもあるため一概に言えないが、反応温度は通常100〜300℃の範囲で設定するのが好ましく、150〜200℃の範囲で設定するのがより好ましい。なお、このときの温度は、反応容器を加熱する加熱装置の温度である。また、反応時間も反応温度などによって好ましい範囲が変わるが、通常は数秒〜数時間の範囲で設定するのが好ましく、1〜60分の範囲で設定するのがより好ましい。
また、熱処理物を脂溶性化合物と共に加熱する条件としては、使用する原料が変われば変わることもあるため一概に言えないが、反応温度は通常100〜300℃の範囲で設定するのが好ましく、150〜200℃の範囲で設定するのがより好ましい。この反応温度が低いほど発光ピーク波長が短波長側にシフトする傾向が見られる。その原因は明らかではないが、低温ほど粒子成長が抑制され、より小さなナノ粒子が生成し、量子サイズ効果の発現度合いが高くなったことが一因と考えられる。なお、このときの温度は、反応容器を加熱する加熱装置の温度である。また、反応時間も反応温度などによって好ましい範囲が変わるが、通常は数秒〜数時間の範囲で設定するのが好ましく、1〜60分の範囲で設定するのがより好ましい。この反応時間が長いほど発光ピーク波長が長波長側にシフトする傾向が見られる。その原因は明らかではないが、反応時間の増大により粒子成長が促進され、より大きなナノ粒子が生成し、量子サイズ効果の発現度合いが低下したことが一因と考えられる。
本発明の第4は、常温で発光する半導体ナノ粒子であって、亜鉛塩と周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合するか、又は周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合することにより錯体とし、該錯体を脂溶性化合物と共に加熱することにより得られるものである。既述した本発明の第3は、錯体を熱処理する工程と、熱処理物を脂溶性化合物と共に加熱する工程とを逐次行ったが(逐次法)、本発明の第4は、錯体を熱処理する工程を省略し、錯体を脂溶性化合物と共に加熱することにより錯体の熱処理とその熱処理物の脂溶性化合物との反応を同時に行うものである(同時法)。
ここで、周期表第11,13族元素については本発明の第1と同様であり、脂溶性化合物については本発明の第2と同様であり、硫黄を配位元素とする配位子や酸素を配位元素とする配位子については本発明の第3と同様であるため、それらの説明を省略する。また、錯体を脂溶性化合物と共に加熱するときの条件としては、使用する原料が変われば変わることもあるため一概に言えないが、反応温度は通常100〜300℃の範囲で設定するのが好ましく、150〜200℃の範囲で設定するのがより好ましい。この反応温度が低いほど発光ピーク波長が短波長側にシフトする傾向が見られる。その原因は明らかではないが、低温ほど粒子成長が抑制されてより小さなナノ粒子が生成し、量子サイズ効果の発現度合いが高くなったことが一因と考えられる。なお、このときの温度は、反応容器を加熱する加熱装置の設定温度である。また、反応時間も反応温度などによって好ましい範囲が変わるが、通常は数秒〜数時間の範囲で設定するのが好ましく、1〜60分の範囲で設定するのがより好ましい。この反応時間が長いほど発光ピーク波長が長波長側にシフトする傾向が見られる。その原因は明らかではないが、反応時間の増大により粒子成長が促進されてより大きなナノ粒子が生成し、量子サイズ効果の発現度合いが低下したことが一因と考えられる。
なお、本発明の第3及び第4は、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームであるため、請求項中に記載されているプロセスを経て得られる半導体ナノ粒子のみならず、この半導体ナノ粒子と実質同じ物質であれば、請求項中に記載されているプロセス以外のプロセスを経て得られる半導体ナノ粒子であっても、本発明の技術的範囲に属すると解する。また、本発明の第1〜第4の半導体ナノ粒子において、量子サイズ効果が現われる粒径サイズは組成によって異なるが、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましい。
本発明の第5は、常温で発光する半導体ナノ粒子の製造方法であって、亜鉛塩と周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合するか、又は周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合することにより錯体とし、該錯体を加熱することにより熱処理物とし、該熱処理物を脂溶性化合物と共に加熱することにより半導体ナノ粒子を得るものである。
ここで、周期表第11,13族元素については本発明の第1と同様であり、脂溶性化合物については本発明の第2と同様であり、硫黄を配位元素とする配位子や酸素を配位元素とする配位子については本発明の第3と同様であるため、それらの説明を省略する。また、錯体を熱処理する条件や熱処理物を脂溶性化合物と共に加熱するときの条件も、本発明の第3と同様であるため、それらの説明を省略する。
本発明の第6は、常温で発光する半導体ナノ粒子の製造方法であって、亜鉛塩と周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合するか、又は周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合することにより錯体とし、該錯体を脂溶性化合物と共に加熱することにより常温で発光する半導体ナノ粒子を得るものである。
ここで、周期表第11,13族元素については本発明の第1と同様であり、脂溶性化合物については本発明の第2と同様であり、硫黄を配位元素とする配位子や酸素を配位元素とする配位子については本発明の第3と同様である。また、錯体を脂溶性化合物と共に加熱するときの条件は、本発明の第4と同様である。
本発明の第1〜第6において、亜鉛塩と周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子又は酸素を配位元素とする配位子とを混合するにあたり、亜鉛と周期表第11族元素と周期表第13族元素との原子数比率(=モル比)が(1−2x):x:x(但し、0<x≦0.5)となるように混合するのが好ましい。本発明の半導体ナノ粒子は、xの値に応じて、励起光で励起させたあとの発光色が異なる性質を有する。このため、xの値を適宜設定することにより、所望の色に発光する半導体ナノ粒子を製造することができる。なお、xの値が0.5のときには亜鉛の原子数比率がゼロになるため、結局、周期表第11族元素と周期表第13族元素との原子数比率が1:1となるように混合することを意味する。
本発明の第1〜第4の半導体ナノ粒子によれば、製造過程で亜鉛、周期表第11族元素、周期表第13族元素を用いるため、従来のようにCd等の毒性の高い元素を用いることがない。したがって、安全な環境で製造することができる。また、常温で良好に発光するため、生体染色用の色素や光デバイスの材料などとして有望である。特に、亜鉛、周期表第11族元素、周期表第13族元素の原子数比率を変えるだけで種々の色を発光するように制御することが可能となるため、種々の技術分野での利用が期待される。
本発明の第5,第6の半導体ナノ粒子の製造方法によれば、製造過程で亜鉛、周期表第11族元素、周期表第13族元素を用いるため、従来のようにCd等の毒性の高い元素を用いることがない。したがって、安全な環境で製造することができる。また、この製造方法によって得られる半導体ナノ粒子は、常温で良好に発光するため、生体染色用の色素や光デバイスの材料などとして有望である。特に、亜鉛、周期表第11族元素、周期表第13族元素の原子数比率を変えるだけで種々の色を発光するように制御することが可能となるため、種々の技術分野での利用が期待される。
1−ブタノール中におけるヘキサデシルアミン修飾ナノ粒子の発光スペクトルを表すグラフである。 ヘキサデシルアミン修飾ナノ粒子のTEM像を表す写真である。 ヘキサデシルアミン修飾ナノ粒子の粒径分布を表すグラフである。 オレイルアミン中に溶解したオレイルアミン修飾ナノ粒子のスペクトルを表すグラフであり、(a)は励起スペクトル、(b)は発光スペクトルを表す。 オレイルアミン中で沈殿したオレイルアミン修飾ナノ粒子の発光スペクトルを表すグラフである。 クロロホルム及びオレイルアミン中に溶解したオレイルアミン修飾ナノ粒子のスペクトルを表すグラフであり、(a)は吸収スペクトル、(b)は発光スペクトルを表す。 化学修飾処理時間の異なるオレイルアミン修飾ナノ粒子の発光スペクトルを表すグラフである。 化学修飾処理温度の異なるアミン修飾ナノ粒子の発光スペクトルを表すグラフ(溶媒:クロロホルム)である。 異なる熱処理方法で作製したアミン修飾ナノ粒子の発光スペクトルを表すグラフ(溶媒:クロロホルム)であり、実線は同時法、点線は逐次法を表す。 Zn1-2xInxAgx2ナノ粒子のXRDパターンを示す説明図である。 ZnSの結晶系ごとのXRDパターンを示す説明図である。 AgInSの結晶系ごとのXRDパターンを示す説明図である。 Zn1-2xInxAgxSナノ粒子のxの値と発光ピーク位置との関係を表すグラフである。 クロロホルム中に溶解したオレイルアミン修飾ナノ粒子のスペクトルを表すグラフであり、(a)は吸収スペクトル、(b)は発光スペクトルを表す。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、実施例を用いて具体的に説明する。
Zn(NO32,In(NO33,AgNO3を(1−2x):x:xの割合(実施例1ではx=0.2)で含む水溶液(金属イオン濃度0.1mol・dm-3)に、0.1mol・dm-3のジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム水溶液を添加することにより、ジエチルジチオカルバミド酸塩(錯体Zn(1-2x)InxAgx(S2CN(C2522)の沈殿を得た(下記式(1)参照)。得られた錯体は、メタノールで洗浄し減圧乾燥して粉末とした。この粉末50mgを試験管に入れ、アルゴン置換した後、マグネティックスターラーバーで撹拌しながら180℃で30分間加熱することにより、錯体を熱処理した。なお、加熱時の温度は、試験管を囲うアルミブロックの温度を測定した。これにより半導体ナノ粒子(Zn(1-2x)InxAgxS)が生成した(下記式(2)参照)。その後、室温まで冷却し、アルキルアミンとしてヘキサデシルアミン0.5gを添加し、アルゴン置換したあと、撹拌しながら再び180℃で3分間加熱することにより、半導体ナノ粒子の表面をヘキサデシルアミンで化学修飾した。この段階では、ヘキサデシルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子が、常温で固体である過剰のヘキサデシルアミン中に分散した状態となっている。なお、本明細書では、半導体ナノ粒子をZn(1-2x)InxAgxSと表記するが、これは錯体を調製する際に使用した各金属の原子数比(モル比)に基づく便宜的な表記であり、実際に得られた半導体ナノ粒子はすべて組成式ZnInAgxSを満足するとは限らず、他の組成のものも含むと考えられる。
(1−2x)Zn2+,xIn3+,xAg+ + (C252NCS2 -
→Zn(1-2x)InxAgx(S2CN(C2522 …(1)
Zn(1-2x)InxAgx(S2CN(C2522
→Zn(1-2x)InxAgxS+ジエチルジチオカルバミド酸分解生成物 …(2)
x=0.3とした以外は、実施例1と同様にしてヘキサデシルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子を合成し、この半導体ナノ粒子を過剰のヘキサデシルアミン(常温で固体)に分散したものを得た。
x=0.5とした以外は、実施例1と同様にしてヘキサデシルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子を合成し、この半導体ナノ粒子を過剰のヘキサデシルアミン(常温で固体)に分散したものをそれぞれ得た。なお、このときの半導体ナノ粒子は、x=0.5であるからIn0.5Ag0.5Sである。
[実施例1〜3の半導体ナノ粒子の性質]
1.発光特性
実施例1〜3で得られた半導体ナノ粒子について、発光スペクトルを測定した。すなわち、ヘキサデシルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子が過剰のヘキサデシルアミン(常温で固体)に分散した状態のものは、実施例1〜3とも室内光下ではいずれの固体も茶色であったが、常温で紫外光(波長350nm)を当てると強く発光した。また、その発光色は、xの値が0.2,0.3,0.5へと増加するのに伴い、緑、黄、赤へと変化した。一方、実施例1〜3で得られた半導体ナノ粒子は、常温で固体である過剰のヘキサデシルアミン中に分散しているため、ここに1−ブタノールを加えて過剰のヘキサデシルアミンを溶解させたあと遠心分離することにより、ヘキサデシルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子を沈殿として得た。得られた沈殿を1−ブタノール中に懸濁させ、常温で紫外光(波長400nm)を当てたあと発光スペクトルを測定したところ、図1に示すように、合成時のIn及びAgの割合が増加すると、すなわちxの値が0.2,0.3,0.5へと増加すると、発光ピークは550nm,580nm,720nmへと長波長シフトした。
2.TEM観察
実施例1で得られた半導体ナノ粒子について、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子(株)製の型式2010F)を用いて観察を行った。そのときの様子を図2に示す。なお、図2(b)は図2(a)の部分拡大図である。TEMグリッドとして、市販のカーボン蒸着マイクログリッド(応研商事タイプB)を用いた。実施例1で得られた半導体ナノ粒子は、常温で固体である過剰のヘキサデシルアミン中に分散した状態であるため、これにメタノールを添加することにより過剰のヘキサデシルアミンを溶解して遠心分離により除去した。得られた沈殿を、さらにメタノールにより洗浄した後、メタノール中に懸濁させた。この懸濁液を、TEMグリッド上に滴下・乾燥させたものを試料とした。この試料のTEM観察を行ったところ、多くの球状粒子に加えて、ロッド形状粒子が観察された(図2参照)。粒子の高分解能像では明確な格子縞が観察されたことから、個々のナノ粒子は結晶性の高い粒子であることがわかった。エネルギー分散型X線分析装置(EDX)により粒子の組成分析を行ったところ、いずれの粒子もZn,In,Ag,Sのすべてを含んでいた。粒子中に含まれる原子数比率はSが約50%と粒子によらずほぼ一定であったのに対し、金属元素は粒子によって含有比率が異なり、Znで21〜31%、Inで7〜16%、Agで5〜11%の間で変動した。これらTEM像から、球状粒子について粒径分布を求めたところ、図3に示すようになった。粒子サイズは5〜15nmに分布しており、平均粒径8.8nm、標準偏差1.9nmであることがわかった。
3.錯体の組成分析
Zn1-2xInxAgx(S2CNEt22錯体(x=0.2,0.3,0.5)の組成を分析した。測定サンプルとしては、実施例1〜3の半導体ナノ粒子の作製途中で得られた錯体をメタノールにより数回洗浄したのち減圧乾燥したものを用いた。組成分析の結果を表1に示す。なお、表1の理論値及び分析値は錯体全体に対する重量%を表す。表1から明らかなように、xの値にかかわらず、いずれの錯体においてもS,C,N,Hの元素の分析値は理論値と良い一致を示した。このことから、仕込み比どおりの化学組成をもつZn1-2xInxAgx(S2CNEt22錯体が作製できたことがわかった。
Figure 2007026746
アルキルアミンをオレイルアミンとした以外は、実施例1と同様にして、オレイルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子(x=0.2)を合成した。但し、オレイルアミンは常温で液体であるため、処理手順を以下のようにした。すなわち、半導体ナノ粒子の表面をオレイルアミンで化学修飾した後、遠心分離により沈殿と上澄み溶液とに分離した。この上澄み液にメタノール3cm3を添加することにより、オレイルアミンで化学修飾された半導体ナノ粒子を析出させ、この析出物を遠心分離操作を行って単離することにより、過剰のオレイルアミンを除去した。続いて、得られた析出物に、クロロホルム1cm3を加えて再溶解させ、これらの操作(メタノール添加することによる沈殿生成とクロロホルムへの再溶解)を2回繰り返して、オレイルアミンで化学修飾された半導体ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。
x=0.3とした以外は、実施例5と同様にして、オレイルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子を合成し、遠心分離により沈殿と上澄み溶液に分離したものを得た。また、この半導体ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。
x=0.5とした以外は、実施例5と同様にして、オレイルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子を合成し、遠心分離により沈殿と上澄み溶液に分離したものを得た。また、この半導体ナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。
[実施例5〜7の半導体ナノ粒子の性質]
1.上澄み液と沈殿物の発光特性
オレイルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子の上澄み液と沈殿物にそれぞれ常温で紫外光(350nm)を照射したところ、いずれも強く発光した。その発光色は、xの値が0.2,0.3,0.5へと増加するのに伴い、緑、黄、赤へと変化した。
オレイルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子の上澄み液(オレイルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子が過剰のオレイルアミン中に溶解したもの)の発光及び励起スペクトルを図4に示す。図4(a)は励起スペクトルを表し、図4(b)は発光スペクトルを表す。図4(a)に示すように、励起スペクトルは、吸収端よりも短波長側に広い吸収を持っており、半導体に特有の光吸収挙動を示した。また、直線部分を外挿することにより立ち上がり波長を求めたところ、xの値が0.2,0.3,0.5へと増加するにしたがって、その立ち上がり波長は、500,520,644nmへと長波長シフトすることがわかった。更に、矢印で示したところに、エキシトン吸収ピークが観察され、xの値の増加と共に長波長シフトすることがわかった。一方、図4(b)に示すように、発光スペクトルでは、溶媒であるオレイルアミンからの発光ピークが430nmに見られたが、Zn(1-2x)InxAgxSナノ粒子からの発光ピークはxの値が0.2,0.3,0.5へと増加すると、発光ピークは530,560,670nmへと長波長シフトした。
図5に、オレイルアミンによって化学修飾された半導体ナノ粒子(オレイルアミン中で沈殿した粒子)の発光スペクトルを示す。これらの発光スペクトルも、上澄み液と同様に、Zn(1-2x)InxAgxSのxの値が0.2,0.3,0.5へと増加するにしたがって、発光ピークは長波長側にシフトした。しかしながら、同じxの値で比べると、沈殿物の発光ピークは均一に溶解したナノ粒子のものよりも長波長側に位置していた。このことは、これら2つのサンプル(上澄み液と沈殿)でZn(1-2x)InxAgxSナノ粒子の粒子サイズが異なっていることを示している。ここで、粒径の減少に伴って、量子サイズ効果の発現により半導体ナノ粒子のエネルギーギャップが増大し、小さなナノ粒子ほどより短い波長の発光を示すことが知られている。したがって、これらの結果は、沈殿した粒子の方がより大きなサイズの粒子であることが示唆される。
2.精製とクロロホルム中での発光挙動
実施例7で得られたクロロホルム溶液(オレイルアミンによって化学修飾した半導体ナノ粒子Zn(1-2x)InxAgxS(x=0.5)を含むもの)につき、常温で吸収及び発光スペクトルを測定した。その結果を図6に示す。図6(a)は吸収スペクトルを表し、図6(b)は発光スペクトルを表す。図6から明らかなように、吸収及び発光スペクトルは、用いる溶媒に関係なく、ほとんど同じであった。このことから、ナノ粒子の分離・精製操作をしても、ナノ粒子が凝集することなく安定に存在していることがわかった。また、吸収スペクトルは、約700nmから立ち上がっており、その立ち上がり位置の波長は発光ピーク波長とほぼ一致することがわかった。更に、二次粒子を形成した粒子が示すような光散乱による吸光度の増加が、700nm以上の波長領域で見られないことから、得られたナノ粒子はいずれの溶媒中においても均一に溶解(二次粒子を形成せず均一に分散)していることがわかった。
3.量子収率
0.1mol・dm-3NaOH水溶液中のフルオレセインの蛍光の量子収率(光吸収された光子数に対する発光により放出された光子数の比)が0.92であることを利用して、実施例7で得られたクロロホルム溶液中のZn(1-2x)InxAgxS(x=0.5)ナノ粒子の発光の量子収率を相対法により常温で求めたところ、約0.1となり、ナノ粒子が比較的高い効率で発光していることがわかった。
4.発光スペクトルに及ぼすアミン添加後の化学修飾処理時間の影響
オレイルアミンによる化学修飾処理(反応温度180℃)の時間を変化させて、得られた粒子の発光特性に及ぼす影響を調べた。すなわち、実施例7では化学修飾処理を180℃で3分間行ってクロロホルム溶液を得たが、ここでは化学修飾処理を180℃で10分間行ってクロロホルム溶液を得た。常温で両者の発光スペクトルを測定したところ、図7に示すように、反応時間が長くなるとピーク波長が長波長側にシフトすることがわかった。これは、加熱時間の増大により粒子成長が促進され、より大きなナノ粒子が生成したために、量子サイズ効果の発現度合いが低下したためと考えられる。
5.アミンによる表面化学修飾処理における反応温度の影響
粒子表面化学修飾処理における反応温度の影響を調べるために、オレイルアミンあるいはオクチルアミン中で150℃で化学修飾処理を行うことにより、Zn(1-2x)InxAgxS(x=0.5)ナノ粒子を作製した。オレイルアミンを用いた場合には、180℃で化学修飾処理を行った実施例7のクロロホルム溶液は常温で強く発光したのに対して、150℃で化学修飾処理を行った場合には常温でほとんど発光しなかった。一方、オクチルアミンを用いた場合には、150℃で化学修飾処理を行った場合でも常温で強い発光が見られた。図8に、このとき得られた発光スペクトル(図8のa)を、180℃でオレイルアミンによって化学修飾した半導体ナノ粒子の結果(図8のb)と共に示す。発光ピーク波長は、より低温で化学修飾したオクチルアミンの場合が、より短波長側にシフトしていた。このことは、低い表面処理温度により粒子成長が抑えられたためと考えられる。
6.アミン共存下での錯体の熱処理によるナノ粒子形成
実施例1〜6では、あらかじめ錯体を熱処理した後、アミンによって粒子表面の化学修飾を行うことにより、Zn(1-2x)InxAgxSナノ粒子を作製した(逐次法と称する)。ここでは、実施例7と同様にx=0.5としてオレイルアミン中に錯体を懸濁させた後、180℃で30分間加熱することにより、半導体ナノ粒子の形成と粒子表面の化学修飾とを同時に行った(同時法と称する)。得られた粒子の常温での発光スペクトルを図9に示す。同時法で作製したナノ粒子の方が、スペクトルの形状がわずかにシャープになったものの、発光ピーク波長に大きな変化は見られなかった。
7.ナノ粒子の結晶構造
粉末X線回折測定装置(理学電機、RINT2100)を用いて、Zn1-2xInxAgx2ナノ粒子のXRD測定を行い、その結晶構造を決定した。そのXRDパターンを図10に示す。なお、測定サンプルは、次のようにして調製した。すなわち、実施例5〜7で得られたナノ粒子(オレイルアミンと共に加熱して得られたナノ粒子)のオレイルアミン溶液に、メタノールを加えてナノ粒子を沈殿させた。続いて、遠心分離により沈殿を分離したのち、クロロホルムに溶解させた。その後、再度メタノールを加えて沈殿させ、遠心分離により沈殿を回収した。この沈殿をメタノールにより数回洗浄したのち減圧乾燥することにより、Zn1-2xInxAgx2ナノ粒子を得た。また、x=0のナノ粒子(つまりZnSナノ粒子)についても、これと同様にして調製した。
図10から明らかなように、xの値にかかわらず、いずれのナノ粒子においても、2θが25°以上の領域において大きなピークが3本観察されたことから、これらは類似した結晶構造を有していることが分かった。また、xの値の増加に伴って、これら3本のピークはいずれも低角度側にシフトした。この傾向は、工藤らが合成したバルクZn1-2x(AgIn)xS粒子(J. Am. Chem. Soc., vol.126, p13406(2004))で報告されているものとよく一致する結果であり、ナノ粒子の面間隔が、xの値の増加に伴って大きくなることが示唆される。ZnSでは、六方晶系(ウルツ鉱型)及び立方晶系(閃亜鉛鉱型)の結晶構造が知られている。このため、これら公知の結晶構造のXRDパターン(図11参照)とx=0の場合のXRDパターン(図10参照)との比較から、得られたZnSナノ粒子は、回折ピークが非常にブロードであるものの、ピーク位置及び強度は、報告されている立方晶系構造ZnSとよく一致していた。一方、AgInS2では、正方晶系、斜方晶系及び菱面晶系の結晶構造が知られている。このため、これら公知の結晶構造のXRDパターン(図12参照)とx=0.5の場合のXRDパターン(図10参照)との比較から、得られたAgInS2ナノ粒子は、回折ピークが非常にブロードであるものの、ピーク位置及び強度は、報告されている正方晶系構造AgInS2とよく一致していた。正方晶系AgInS2と立方晶系(閃亜鉛鉱型)ZnSは、その結晶構造において陽イオン(金属イオン)と陰イオン(硫化物イオン)のそれぞれの相対位置の関係は全く同じであるので、今回得られたZn1-2xInAgSナノ粒子(0<x<0.5)の結晶構造においても、陽イオン(金属イオン)と陰イオン(硫化物イオン)の相対位置は、これら2つの結晶構造と同じであることが示唆される。
x=0,0.02,0.05,0.1,0.2,0.3,0.4,0.48,0.5の9種類のZn1-2xInxAgxSナノ粒子を実施例5に準じて作製し、それぞれクロロホルムに溶かし、350nmの励起光を用いて発光を測定した。発光ピーク位置とxの数値との関係を図13に示す。図13から明らかなように、x=0.02から0.48へと増加するにつれ、ナノ粒子の発光ピーク波長が430nmから690nmへと長波長シフトすることがわかった。この結果から、Zn1-2xInxAgxSナノ粒子のxの値を0<x<0.5の範囲で変化させることにより青色から赤色まで発光させることが可能であることがわかる。
Zn1-2xInxCuxS(x=0.2)ナノ粒子を以下のようにして作製した。まず、Et2NCS2Na・3H2O(Wako,特級)を0.40mmol・dm-3含む水溶液を500ml調製した。また、CuCl(キシダ,特級)を0.080mmol・dm-3,InCl3・4H2O(Wako)を0.080mmol・dm-3,ZnCl2(キシダ,特級)を0.24mmol・dm-3含む水溶液を500ml調製した。そして、前者の溶液を1000mlナスフラスコに入れ、攪拌しながら後者の溶液をゆっくり加えた。20分間攪拌した後、遠心分離により生成した沈殿を回収し、イオン交換水で3回、メタノール(Wako,特級)で2回洗浄した。得られた沈殿を減圧乾燥し、茶色の沈殿(Zn1-2xInxCux(S2CNEt22錯体)を0.02g回収した。このようにして得られた錯体0.018gを試験管に入れ、気相を10分間窒素置換した後、栓をした。この試験管を180℃で30分間加熱、攪拌した。空冷後、さらにオレイルアミン(東京化成)3cm3を加え、10分間窒素バブリングした後、栓をし、180℃で3分間加熱、攪拌した。空冷した後、遠心分離して上澄み液を取り出し、メタノール(Wako,特級)を加え、オレイルアミンに溶解している粒子を沈殿させた。生成した沈殿を遠心分離にて回収してクロロホルム(Wako,特級)に溶解させ、再度メタノールを加え沈殿させることにより不純物を除去した。生成した沈殿(Zn1-2xInxCuxS(x=0.2)ナノ粒子)を遠心分離にて回収し、クロロホルムに溶解させ、吸収および発光スペクトルを測定した。このナノ粒子の吸収スペクトルを図14(a)に、発光スペクトルを図14(b)に示す。
図14(a)から明らかなように、720nmに吸収の立ち上がりが見られた。また、図14(b)から明らかなように、730nmに鋭い発光を示した。この発光ピークは、粒子の吸収端波長とほぼ一致していたことから、(CuIn)xZn1-2xS(x=0.2)粒子のバンドギャップ発光であることがわかる。
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。また、本出願は、2005年9月2日に出願された日本国特許出願第2005−255656号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
本発明の半導体ナノ粒子は、その発光特性を利用して、生体染色用の色素や白色LED等の光デバイスの材料などに利用可能である。

Claims (12)

  1. 亜鉛、周期表第11族元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とするか、又は周期表第11族元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とし、常温で発光する半導体ナノ粒子。
  2. 亜鉛、周期表第11族元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とする粒子の表面、又は周期表第11族元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を主成分とする粒子の表面が脂溶性化合物によって修飾され、常温で発光する半導体ナノ粒子。
  3. 亜鉛塩と周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合するか、又は周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合することにより錯体とし、該錯体を加熱することにより熱処理物とし、該熱処理物を脂溶性化合物と共に加熱することにより得られる、常温で発光する半導体ナノ粒子。
  4. 亜鉛塩と周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合するか、又は周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合することにより錯体とし、該錯体を脂溶性化合物と共に加熱することにより得られる、常温で発光する半導体ナノ粒子。
  5. 前記亜鉛塩と前記周期表第11族元素の塩と前記周期表第13族元素の塩と前記硫黄を配位元素とする配位子若しくは前記酸素を配位元素とする配位子とを混合するにあたり、亜鉛と周期表第11族元素と周期表第13族元素との原子数比率が(1−2x):x:x(但し、0<x<0.5)となるように混合するか、又は、前記周期表第11族元素の塩と前記周期表第13族元素の塩と前記硫黄を配位元素とする配位子若しくは前記酸素を配位元素とする配位子とを混合するにあたり、周期表第11族元素と周期表第13族元素との原子数比率が1:1となるように混合する、請求項3又は4に記載の半導体ナノ粒子。
  6. 前記xの値に応じて励起光で励起させたあとの発光色が異なる性質を有する、請求項5に記載の半導体ナノ粒子。
  7. 前記脂溶性化合物は、炭素数4〜20の炭化水素基を有する含窒素化合物である、請求項2〜6のいずれかに記載の半導体ナノ粒子。
  8. 前記周期表第11族元素は、Ag又はCuである、請求項1〜7のいずれかに記載の半導体ナノ粒子。
  9. 前記周期表第13族元素は、Ga又はInである、請求項1〜8のいずれかに記載の半導体ナノ粒子。
  10. 亜鉛塩と周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合するか、又は周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合することにより錯体とし、該錯体を加熱することにより熱処理物とし、該熱処理物を脂溶性化合物と共に加熱することにより常温で発光する半導体ナノ粒子を得る、
    半導体ナノ粒子の製造方法。
  11. 亜鉛塩と周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合するか、又は周期表第11族元素の塩と周期表第13族元素の塩と硫黄を配位元素とする配位子若しくは酸素を配位元素とする配位子とを混合することにより錯体とし、該錯体を脂溶性化合物と共に加熱することにより常温で発光する半導体ナノ粒子を得る、
    半導体ナノ粒子の製造方法。
  12. 前記亜鉛塩と前記周期表第11族元素の塩と前記周期表第13族元素の塩と前記硫黄を配位元素とする配位子若しくは前記酸素を配位元素とする配位子とを混合するにあたり、亜鉛と周期表第11族元素と周期表第13族元素との原子数比率が(1−2x):x:x(但し、0<x<0.5)となるように混合するか、又は、前記周期表第11族元素の塩と前記周期表第13族元素の塩と前記硫黄を配位元素とする配位子若しくは前記酸素を配位元素とする配位子とを混合するにあたり、周期表第11族元素と周期表第13族元素との原子数比率が1:1となるように混合する、請求項10又は11に記載の半導体ナノ粒子の製造方法。
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