JPWO2007026550A1 - 磁気ディスク及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

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圭二 諸石
石山 雅史
雅史 石山
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兼士 阿山
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藤吉郎 佐藤
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順一 安森
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Abstract

ガラス基板と磁性層とを備え、ガラス基板と磁性層との間に、下地層を設けた構造を有する磁気ディスクにおいて、下地層は、ガラス基板側に設けられた金属アモルファス下地層と、磁性層側に設けられた体心立方構造下地層とによって形成されている。金属アモルファス下地層及び体心立方構造下地層は、それぞれ複数層によって形成されても良く、且つ、金属アモルファス下地層の表面には、表面酸化層が設けることが望ましい。この構成により、磁気ディスクの円周方向の残留磁化と、半径方向の残留磁化との比を1以上に出来ると共に、SN比を改善出来る。

Description

本発明は、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略称する)などの磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスク及びその製造方法に関する。
磁気ディスクとは、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気記録媒体である。ハードディスクドライブは、少なくとも磁気ディスクと磁気ヘッドとを有し、磁気ヘッドにより磁気ディスクに情報が記録されて再生される。磁気ディスクは、通常は、基板上に、下地層、磁性層、保護層、潤滑層等の層がこの順で成膜されて形成される。
下地層は、磁性層のグレインの配向を制御するために形成される層であり、磁性層の磁化容易方向をディスクの面内方向又はディスクの法線方向に配向するよう制御する機能を有する。また、下地層は磁性層のグレインサイズを制御する機能も有する。下地層は磁性層のグレインを微細化させ、例えば、磁気記録媒体の信号雑音強度比(S/N)を向上させる効果や、静磁気特性を向上させる効果を発揮する。
下地層に関する技術としては、例えば、特許文献1(米国特許第5,800,931号)に記載の技術が挙げられる。特許文献1では、NiAlやFeAl等のB2結晶構造を有する下地層を利用することが好ましいとされている。
また、別の技術として、例えば、特許文献2(米国特許第5,789,056号)に記載の技術が知られている。特許文献2では、CrTi合金層を基板と下地層との間に介挿する技術が開示されている。
さらに別の技術として、特許文献3(特開2004−086936号公報)の技術が知られている。この技術では、ガラス基板上に、Fe7W6構造を有する合金下地層を利用することが開示されている。また、Fe7W6構造を形成する合金として、WCo系合金、Co−Mo系合金、Co−Ta系合金、Co―Nb系合金、Ni−Ta系合金、Ni−Nb系合金、Fe−W系合金、Fe−Mo系合金、Fe−Nb系合金など多種の合金を利用できることが開示されている。
なお、このような金属膜を成膜するのに用いられるスパッタリング装置は、成膜前に1x10-4Pa以下まで十分に排気された後、金属ターゲット表面をスパッタするためにArガスが導入される。そして、Arガスがチャンバー内に導入された後、金属ターゲット表面周辺にプラズマを発生させ、電離されたArによって金属ターゲット表面をスパッタする。
さらに別の技術として、特許文献4(特開2004−326844号公報)に記載された技術が知られている。特許文献4では、非磁性アモルファス層を利用することが開示されると共に、非磁性アモルファス層として、NiP、NiPB、NiZr、NiZrB、NiCrMoC、FeB、FeP、FePC、FeZrB、FeCrMoPC、CoZr、CoZrB、TiCr、CrB、TaB、CrTa、NiTa、WCo、CoTaなどの多種の合金を利用できることが開示されている。
一方、2層の下地層を備える媒体が特許文献5(特開2005−293664号公報)で開示されている。特許文献5によれば、第1の下地層の表面に対して酸素曝露、または、大気曝露による表面処理を行った後に、第2の下地層から磁性層を順次成膜をすると、基板表面のテクスチャにより、磁性層の磁化容易軸が基板円周方向に揃い、円周方向の磁気異方性が付与され、媒体ノイズの低い磁気ディスクが作製できることが記載されている。
このように、第1の下地層の成膜後に酸素を用いて表面処理を行う場合には、基板の円周方向への磁気異方性が良好に得られ、電磁変換特性が良好となる最適なガス濃度は、3%乃至20%の狭い範囲とされている。
米国特許公報 US5,800,931号公報 米国特許公報 US5,789,056号公報 特開2004−086936号公報 特開2004−326844号公報 特開2005−293664公報
ところで、磁気ディスクにおいて、高記録密度を達成させるためには、磁性層の粒径の微細化、孤立化及び均一化が挙げられるが、この他にも磁性層の配向性を揃えることも重要な項目として挙げられる。現在、非磁性基板上には円周方向にテクスチャが施されており、このテクスチャに沿って磁性層の粒が揃うと残留磁化膜厚積Mrtの円周方向の値と半径方向の値との比率(以下、これをMrt-ORともいう)が高くなり、高記録密度を達成するための一助となることが分かっている。なお、Mrt-ORは、(円周方向の残留磁化膜厚積Mrtの値)/(半径方向の残留磁化膜厚積Mrtの値)である。実際には、Mrt−ORは、磁気ディスクの円周方向の残留磁化をMrc、磁気ディスクの半径方向の残留磁化をMrrとした場合、両者の比(Mrc/Mrr)に等しく、円周方向及び半径方向における磁気異方性をもあらわしている。
しかしながら、表面にテクスチャ処理を施した非磁性基板上に、従来のような結晶性層をチャンバー内圧力0.5〜0.6Paで成膜した場合、上述したMrt-ORは1.36であり、また、成膜チャンバー内圧力を0.6Pa以上に高くしてもMrt-ORはほとんど変化せず、高配向性膜を得ることが困難であった。
また一方、Mrt-ORの値を大きくできれば、媒体ノイズを低減できることも知られており、高Mrt-OR化が要求されている。また、近年HDDに要求される格納情報量は飛躍的に増大しており、最近では、情報記録密度は1平方インチ当り60ギガビット或いは、60ギガビットを超えるよう求められてきている。このような高記録密度化の要請に応えるべく上記の技術を含め様々な開発がなされているが、高記録密度化にはSN比の改善が不可欠であるところ、十分なSN比を達成することが困難となっている。例えば、特許文献4には、非磁性基板上に、磁性層の結晶粒径分布を制御するため、非磁性アモルファス層をスパッタによって形成することが記載されている。特許文献4は、非磁性アモルファス層の表面をエキシマレーザーによって加熱し、非磁性アモルファス層に結晶粒成長核を形成することにより、非磁性アモルファス層の材料を最適化している。しかしながら、特許文献4は、Mrt−ORを改善することについて開示していないし、SN比を14dB以上にすることについては何等示唆していない。
また、特許文献5は、100Gbit/inch2以上の記録密度を達成するために、ガラス基板上に、第1の合金層及び第2の合金層を積層した磁気ディスクを開示しているが、ここでは、第1の合金層として、体心立方構造の化合物を生成する元素を含む合金を用いると共に、第2の合金層として、六方最密充填構造の合金を使用している。
しかしながら、特許文献4は、アモルファス層を加熱しないで使用した場合について何等開示していないし、また、特許文献5は、アモルファス層を使用することについて何等記載していない。このことは、他の特許文献1〜3においても同様である。
また、線記録密度として、800kfci又は、それ以上の高記録密度で情報を記録再生しても十分なSN比を達成することが求められている。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、磁性層の配向性をより向上できるようにした磁気ディスクの製造方法及び磁気ディスクおよび、磁気ディスクの媒体ノイズを低下させることができ、さらに高記録密度の高容量HDDに適した磁気ディスクを提供しようとするものである。
本発明はこのような高記録密度を達成することができる、低ノイズ磁気ディスクを提供することを第1の目的とする。また、本発明はこのような高記録密度を達成するに好適な磁気異方性を有する磁気ディスクを提供することを第2の目的とする。本発明は、800kfci又はそれ以上の線記録密度で記録再生されるハードディスクドライブ(HDD)に搭載するのに好適な磁気ディスクを提供することを第3の目的とする。本発明は、高線記録密度で記録再生されるHDDに搭載するのに好適な磁気ディスクを提供することを第4の目的とする。本発明は、1平方インチ当り60ギガビット或いは、60ギガビットを超える面記録密度で記録再生されるHDDに搭載するのに好適な磁気ディスクを提供することを第5の目的とする。
[構成1]
ガラス基板と、
このガラス基板の上方に形成された、Coを含む非磁性の金属アモルファス下地層と、
この金属アモルファス下地層の上方に形成された、Crよりも原子半径の小さな元素を含む、体心立方構造を有するCr含有下地層と、
この体心立方構造を有するCr含有下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含む磁気ディスク。
[構成2]
ガラス基板と、このガラス基板の上方に形成された、Crを含む非磁性の第1の金属アモルファス下地層と、
この第1の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Coを含む非磁性の第2の金属アモルファス下地層と、
この第2の金属アモルファス下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含む磁気ディスク。
[構成3]
ガラス基板と、
このガラス基板の上方に形成された、Crよりも原子半径の小さな元素を含む、体心立方構造を有する第1のCr含有下地層と、
この体心立方構造を有する第1のCr含有下地層の上方に形成された、Crよりも原子半径の大きな元素を含む、体心立方構造を有する第2のCr含有下地層と
この体心立方構造を有する第2のCr含有下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含む磁気ディスク。
[構成4]
ガラス基板と、
このガラス基板の上方に形成された、Crを含む非磁性の第1の金属アモルファス下地層と、
この第1の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Coを含む非磁性の第2の金属アモルファス下地層と、
この第2の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Cr、又は、Crよりも原子半径の小さな元素を含む、体心立方構造を有する第1のCr含有下地層と、
この体心立方構造を有する第1のCr含有下地層の上方に形成された、Crよりも原子半径の大きな元素を含む、体心立方構造を有する第2のCr含有下地層と、
この体心立方構造を有する第2のCr含有下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含む磁気ディスク。
[構成5]
構成1、2、又は4の何れか1項に記載の磁気ディスクであって、
前記Coを含む非磁性の金属アモルファス下地層は少なくとも表面部分に酸素を含有する表面酸化層を有することを特徴とする磁気ディスク。
[構成6]
構成1乃至4の何れか1項に記載の磁気ディスクであって、
ディスクの円周方向の残留磁化をMrc、ディスクの半径方向の残留磁化をMrrとしたときに、ディスクの円周方向の残留磁化とディスクの半径方向の残留磁化の比(即ち、Mrt−OR)である、Mrc/Mrrが1を超える磁気異方性を有することを特徴とする磁気ディスク。
[構成7]
構成5に記載の磁気ディスクであって、
ディスクの円周方向の残留磁化をMrc、ディスクの半径方向の残留磁化をMrrとしたときに、ディスクの円周方向の残留磁化とディスクの半径方向の残留磁化の比である、Mrc/Mrrが1を超える磁気異方性を有することを特徴とする磁気ディスク。
[構成8]
表面に円周方向のテクスチャ処理を施した非磁性の基板と、
該基板上に形成された非磁性の金属アモルファス下地層と、
該金属アモルファス下地層の表面を酸化処理して形成された表面酸化層と、
該表面酸化層上に形成され、Crを含み体心立方構造を有する体心立方構造下地層と、
該体心立方構造下地層上に形成された磁気記録層を含み、
前記金属アモルファス下地層の膜厚が10オングストローム以上140オングストローム以下であることを特徴とする磁気ディスク。
[構成9]
前記金属アモルファス下地層は、CoとWとを含む層であることを特徴とする構成8記載の磁気ディスク。
[構成10]
前記体心立方構造下地層が、CrとMnとを含む第1の体心立方構造下地層と、CrとMoとを含む第2の体心立方構造下地層とを備えていることを特徴とする構成8又は9記載の磁気ディスク。
[構成11]
前記基板と前記金属アモルファス下地層との間に、CrとTiとを含む層が形成されていることを特徴とする構成8〜10の何れか1項に記載の磁気ディスク。
[構成12]
主表面の円周方向にテクスチャが形成されたガラス基板上に少なくとも磁性層を備えた磁気ディスクを製造する方法であって、
前記ガラス基板と前記磁性層との間に、スパッタリング法により非磁性の金属アモルファス下地層を成膜するとともに、
前記金属アモルファス下地層の成膜時のスパッタ雰囲気の圧力を0.6〜1.6Paに設定することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
[構成13]
前記金属アモルファス下地層は、Co, Cr, V及びMnのうち少なくとも1つの元素を含有することを特徴とする構成12記載の磁気ディスクの製造方法。
[構成14]
前記金属アモルファス下地層は、W, Ti, Y, Zr, Nb, Mo, Hf, Ta, Si及びBのうち少なくとも1つの元素を含有することを特徴とする構成12記載の磁気ディスクの製造方法。
[構成15]
前記金属アモルファス下地層を成膜した後、前記金属アモルファス下地層の表面を酸化処理することを特徴とする構成12〜14の何れか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
[構成16]
前記金属アモルファス下地層と前記磁性層との間に、Crを含み体心立方構造を有する非磁性体の体心立方構造下地層を形成することを特徴とする構成12〜14の何れか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
[構成17]
前記ガラス基板と前記金属アモルファス下地層との間に、Crを含む非磁性の別の金属アモルファス下地層を形成することを特徴とする構成12〜14の何れか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
[構成18]
表面に円周方向のテクスチャ処理を施した非磁性の基板上に非磁性の金属アモルファス下地層を形成する工程と、
該金属アモルファス下地層の表面を酸化処理して表面酸化層を形成する工程と、
前記表面酸化層上に、Crを含み体心立方構造を有する体心立方構造下地層を形成する工程と、
該体心立方構造下地層上に磁気記録層を形成する工程を含み、
前記金属アモルファス下地層の膜厚を10オングストローム以上140オングストローム以下とすることを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
[構成19]
前記表面酸化層はCO雰囲気で酸化処理されることを特徴とする構成17記載の磁気ディスクの製造方法。
[構成20]
ガラス基板と、
このガラス基板の上方に形成され、金属アモルファスによって構成された下部下地層と、
この金属アモルファス下地層の上方に形成され、体心立方構造を有する上部下地層と、
この上部下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含み、
前記上部下地層は、前記磁性層側体心立方構造下地層と前記下部下地層側体心立方下地層を含み、前記磁性層側体心立方構造下地層と前記下部下地層側体心立方下地層は、互いに異なる格子定数を有する体心立方構造材料によって形成されていることを特徴とする磁気ディスク。
[構成21]
前記磁性層側体心立方構造下地層の体心立方構造材料の格子定数は、Cr金属に比べて大きく、且つ、前記下部下地層側体心立方下地層の体心立方構造材料の格子定数は、Cr金属に比べて小さいことを特徴とする構成20記載の磁気ディスク。
[構成22]
前記下部下地層側体心立方下地層及び前記磁性層側体心立方構造下地層の格子定数は、前記下部下地層側体心立方下地層から、前記磁性層側体心立方構造下地層に向かって段階的又は連続的に増大することを特徴とする構成20記載の磁気ディスク。
[構成23]
前記磁性層側体心立方構造下地層の体心立方構造材料には、Crよりも原子半径の大きな元素が含まれており、前記下部下地層側体心立方下地層の体心立方構造材料には、Crよりも原子半径の小さな元素が含まれていることを特徴とする構成20記載の磁気ディスク。
[構成24]
ガラス基板と、
このガラス基板の上方に形成された、Crを含む非磁性の第1の金属アモルファス下地層と、
この第1の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Wを含む非磁性の第2の金属アモルファス下地層と、
この第2の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Mn、Fe、Co、 Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Seのいずれか一つとCrを含む体心立方構造を有する第1のCr含有下地層と、
この体心立方構造を有する第1のCr含有下地層の上方に形成された、Mo、 Ti、V、Wのいずれか一つとCrを含む体心立方構造を有する第2のCr含有下地層と、
この体心立方構造を有する第2のCr含有下地層の上方に形成された磁性層を
少なくとも含む磁気ディスク。
本発明の実施形態に係る磁気ディスクの層構成を示す図である。 具体的なスパッタリング方法を示す図である。 本発明に係る実施例と比較例の図である。 本発明の他の実施形態に係る磁気ディスクの構造を示す図である。 表面にテクスチャ処理を施した非磁性基板上に非磁性アモルファス層としてWCo合金層を成膜したとき、その成膜チャンバー内圧力を変化させた時の残留膜厚積Mrtの円周方向の値と半径方向の値との比率(Mrt-OR)を示す図である。 表面にテクスチャ処理を施した非磁性基板上に非磁性アモルファス層としてCrTi合金層を成膜したとき、その成膜チャンバー内圧力を変化させた時の残留膜厚積Mrtの円周方向の値と半径方向の値との比率(Mrt-OR)を示す図である。 表面にテクスチャ処理を施した非磁性基板上に従来のような非磁性結晶性層を成膜したとき、その成膜チャンバー内圧力を変化させた時の残留膜厚積Mrtの円周方向の値と半径方向の値との比率(Mrt-OR)を示す図である。 図1に示す磁気ディスクにおいて、WCoによる第2の金属アモルファス下地層の膜厚を変化させた場合のMrt-OR及び規格化ノイズの測定結果を示した特性図である。 図1に示す第2の金属アモルファス下地層の表面酸化処理のための添加ガスとして酸素ガスを用い、添加濃度を変化させた場合のMrt-OR及び規格化ノイズの測定結果を示した特性図である。 本発明に係る実施例5−1及び比較例5−1の磁気ディスクについて、第1の下地層の成膜後に曝露したガス濃度に対し、規格化したノイズ特性(SNt)の変化を示すグラフ(a)及びDCノイズレベルの変化を示すグラフ(b)である。 規格化したノイズ特性(SNt)を説明するグラフ(a)及びDCノイズレベルを説明するグラフ(b)である。 AlRu合金層を形成した磁気ディスクの磁性層の平面断面のTEM写真である。 WCo合金層を形成し、さらにその表面を4%の酸素濃度の雰囲気中に曝露した磁気ディスクの磁性層の平面断面のTEM写真である。 WCo合金層を酸素雰囲気中に曝露しなかった磁気ディスクの磁性層の平面断面のTEM写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
最初に、図1を参照して、本発明の磁気ディスクの層構成について説明する。図1に示されているように、本発明に係る磁気ディスクは、ガラス基板1、金属アモルファス下地層2、体心立方構造下地層3、磁性層4、保護層5、及び、潤滑層6を順次積層した構造を有している。また、図示された例では、金属アモルファス下地層2は、第1の金属アモルファス下地層2aと第2の金属アモルファス下地層2bの二層構造を備え、また、体心立方構造下地層3は、第1の体心立方構造下地層3aと第2の体心立方構造下地層2bとの二層構造を備えている。更に、磁性層4は、第1の磁性層4a、スペーサー層4b、第2の磁性層4c、及び、第3の磁性層4dによって形成されている。
本発明において、図示されたガラス基板1としては、アモルファスガラス基板、結晶化ガラス基板などを用いることができる。特にアモルファスガラス基板を用いることが好ましい。ガラスの組成としては、アルミノシリケートガラスが特に好ましい。
本発明においては、ガラス基板1上に金属アモルファス下地層2を形成し、次いで金属アモルファス下地層2の上に体心立方構造の下地層3を形成する。なお、本発明においては、金属アモルファス下地層2と、体心立方構造下地層3とは接して形成することが好ましい。金属アモルファス下地層2は単一材料からなる単層でも良いが、図示されているように、複数層を積層して形成してもよい。
複数層からなる金属アモルファス下地層2において、体心立方構造下地層3側(例えば、第2の金属アモルファス下地層2b)は、Wを含む非磁性の金属アモルファス層とすることが好ましい。Wを含む非磁性の金属アモルファス層としては、WCo系アモルファス層、WCr系アモルファス層を用いることができる。WCo系アモルファス層を用いる場合にあっては、Wが50原子%を超える組成の材料を用いることが好ましい。さらに、金属アモルファス下地層2において、体心立方構造下地層3側(第2の金属アモルファス下地層2b)の表面部分は、酸素を含む材料とすることが好ましい。酸素を含有させると、メディアノイズを低減させることができるのでS/N比を向上させることができる。また、金属アモルファス下地層2において、体心立方構造下地層3側(第2の金属アモルファス下地層2b)の表面部分に酸素を含有させることで、磁気異方性比(Mrc/Mrr)(即ち、Mrt-OR)を向上させることができる。磁気異方性比が向上すると、ディスクの円周方向の磁気特性を卓越させることができる。磁気ディスクにおいてディスクの円周方向とは、磁気ヘッドの走行方向であるので、磁気異方性の大きな磁気ディスクは好適である。
金属アモルファス下地層2において、ガラス基板1側(第1の金属アモルファス下地層2a)はCrを含む非磁性の金属アモルファス層とすることが好ましい。なお、本発明においてアモルファスとは、例えば、XRD(X線回折法)等を用いて分析したときに、明瞭なピークが観察されない状態のことを言う。別の側面から言えば、アモルファスとは結晶が長距離秩序を有しない状態を言う。更に言えば、アモルファスとは結晶が短距離秩序を有していても良い状態を言う。本発明においては、金属アモルファス下地層2の上に形成される体心立方構造下地層3として、Cr含有下地層を利用する。Cr含有下地層を用いると、磁性層の磁化容易軸をディスク面内に配向させることができる。
具体的に説明すると、本発明において、体心立方構造下地層3の金属アモルファス層2側(この例では、第1の体心立方構造下地層3a)は、Cr金属下地層、またはCr合金下地層とすることができる。体心立方構造下地3層の、金属アモルファス層2側(第1の体心立方構造下地層3a)をCr合金下地層とする場合においては、Crよりも原子半径の小さな元素とCrとを含む、体心立方構造のCr合金下地層とする。また、体心立方構造下地層の金属アモルファス層2側(第1の体心立方構造下地層3a)は、Cr含有の体心立方構造の材料として、Cr金属か、Cr金属よりも格子定数の小さな体心立方構造の材料を用いると好ましい。なお、Crよりも原子半径の小さな元素としては例えば、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、等の周期律表第4周期元素を挙げることができる。本発明においては.、体心立方構造下地層3の金属アモルファス層2側(第1の体心立方構造下地層3a)は、CrMn系合金、CrFe系合金、CrCo系合金を好ましく挙げることができる。なお、CrMn系合金を利用する場合は、Mnの組成が10原子%以上とすることが好ましい。
本発明において、体心立方構造下地3層の磁性層4側(この例では、第2の体心立方構造下地層3b)はCrよりも原子半径の大きな元素を含むCr含有下地層とすることが好ましい。このようなCrよりも原子半径の大きな元素を含むCr含有下地層としては、CrMo系合金下地層、CrTi系合金下地層、CrMoTi系合金下地層、CrV系合金地層、CrW系合金下地層等を挙げることができる。このように、体心立方構造を有する下地層をCr含有下地層とし、更に、その金属アモルファス層側(第1の体心立方構造下地層3a)は、Cr金属に比べて相対的に格子定数の小さな体心立方構造とし、その磁性層側(第2の体心立方構造下地層3b)は、Cr金属に比べて相対的に格子定数の大きな体心立方構造とすることが好ましい。本発明においては、体心立方構造を有する下地層をCr含有下地層とし、金属アモルファス層2側(第1の体心立方構造下地層3a)から磁性層4側(第2の体心立方構造下地層3b)に向かって、段階的又は連続的に格子定数が増大する構造である下地層とすることが好ましい。また本発明においては、体心立方構造を有する下地層をCr含有下地層とし、更に、その金属アモルファス層2側(第1の体心立方構造下地層3a)は、Cr金属に比べて相対的に格子面間隔の小さな体心立方構造とし、その磁性層4側(第2の体心立方構造下地層3b)は、Cr金属に比べて相対的に格子面間隔の大きな体心立方構造とすることが好ましい。
即ち、本発明においては、体心立方構造を有する下地層をCr含有下地層とし、金属アモルファス層側(第1の体心立方構造下地層3a)から磁性層側(第2の体心立方構造下地層3b)に向かって、段階的又は連続的に格子面間隔が増大する構造である下地層とすることが好ましい。また、本発明においては、Coを含む非磁性の金属アモルファス下地層とCrよりも原子半径の小さな元素を含むCr含有の体心立方構造を有する下地層とを接して形成しても良い。この態様にあって、Coを含む非磁性の金属アモルファス下地層とCrよりも原子半径の小さな元素を含むCr含有の体心立方構造を有する下地層との界面部分に酸素を含有する態様であっても良い。
本発明の更に好ましい態様として、アモルファスガラス基板1上に、Crを含む非磁性の金属アモルファス下地層2a、Coを含む非磁性の金属アモルファス下地層2 b、Crよりも原子半径の小さな元素を含むCr含有の体心立方構造を有する下地層3a、Crよりも原子半径の大きな元素を含むCr含有の体心立方構造を有する下地層3bがこの順で順次形成された磁気ディスクを挙げることができる。この態様にあって、Coを含む非磁性の金属アモルファス下地層2bと、Crよりも原子半径の小さな元素を含むCr含有の体心立方構造を有する下地層3aとの界面部分に酸素を含有する態様であっても良い。
本発明において、ガラス基板表面は、磁性層4に磁気異方性を付与するテクスチャが形成されていることが好ましい。本発明によれば、Mrc/Mrrが1を超える磁気異方性を有する磁気ディスクが得られる。磁気異方性は大きければ大きいほど好ましいが、取り分けMrc/Mrrが1.5以上、好ましくは1.7以上とする磁気ディスクが好ましい。本発明において、ガラス基板表面は、ディスクの周方向に沿う略規則的な筋溝が形成されていることが好ましい。本発明によれば、Mrc/Mrrが1を超える磁気異方性を有する磁気ディスクが得られる。磁気異方性は大きければ大きいほど好ましいが、取り分けMrc/Mrrが1.5以上、好ましくは1.8以上とする磁気ディスクが好ましい。
図2は具体的なスパッタリング方法を開示したものである。まず、最初に、ガラス基板1は、CrTiスパッタリングステーションに投入され、ガラス基板1上に第1の金属アモルファス下地層2aが成膜される。このとき、成膜雰囲気はアルゴンガス雰囲気とされている。真空度は0.6パスカルである。次に、基板1 はWCoスパッタリングステーションに搬送される。基板1はWCoスパッタリングステーションで第2の金属アモルファス下地層2bを成膜される。雰囲気および真空度は図2に図示するとおりである。次に、第1の温度処理ステーションで第2の金属アモルファス下地層2bを250℃に加熱する。更に、加熱された第2の金属アモルファス下地層2bは酸素ガスを含む雰囲気ガスに接触する。酸素ガスを含む雰囲気の圧力は0.11Paである。即ち、この酸素ガスを含む雰囲気は、第2の金属アモルファス下地層2bを成膜した雰囲気よりも高真空とされている。次に、CrMnスパッタリングステーションで第1の体心立方構造を有する下地層3aが成膜される。成膜雰囲気および成膜圧力は図2に掲げるとおりである。次に、CrMoTiスパッタリングステーションで第2の体心立方構造を有する下地層が成膜される。成膜雰囲気および成膜圧力は図2に掲げるとおりである。次に、第2の温度処理ステーションで第2の体心立方構造を有する下地層3bを280℃に加熱する。この場合、第1の温度処理ステーションで第2の金属アモルファス下地層2bを加熱したときの温度よりも高温とすることが好ましい。次いで、図2に掲げるように、同様に第1の磁性層4a、スペーサー層4b、第2の磁性層4c、第3の磁性層4dをスパッタリング法で順次成膜する。その後、保護層5、潤滑層6を成膜し、図1の磁気ディスクが完成する。
以上のようにして実施例1Aの磁気ディスクが製造された。
この実施例1Aの磁気ディスクについて、磁気異方性比(Mrc/Mrr)を測定したところ、1.92という優れた値であった。次に、磁気ヘッドを用いて、線記録密度816kfciで実施例1Aの磁気ディスクに信号を記録し、S/N比を評価した。磁気ディスクに起因するノイズ(Nm)と、磁気ヘッド、磁気ディスクの双方の影響を含む全体のノイズ(Nt)を測定し、それぞれのS/N比を、S/Nm、S/Ntとした。実施例1Aの磁気ディスクについてS/Nmは20.1dB、S/Ntは18.0dBという優れた値であり、1平方インチ当り60ギガビット或いは、60ギガビットを超える面記録密度で記録再生されるハードディスクドライブ(HDD)に搭載するのに好適な磁気ディスクであることが分かった。
実施例1Aの磁気ディスクについてXRD(X線回折)法を用いて優先結晶配向を評価したところ、CrMn層である第1の体心立方構造を有する下地層3aおよびCrMoTi層である第2の体心立方構造を有する下地層3bともに、ディスク面に(002)面が優先配向していた。また、XRD法で分析したところ、CrMn層である第1の体心立方構造3aを有する下地層の格子面間隔は、Cr金属の格子面間隔よりも小さいことが分かった。また、同様にXRD法で分析したところ、CrMoTi層である第2の体心立方構造3bを有する下地層の格子面間隔はCr金属の格子面間隔よりも大きいことが分かった。また、XRD法で分析したところ、CrMn層である第1の体心立方構造を有する下地層3aの格子定数は、Cr金属の格子定数よりも小さいことが分かった。また、同様にXRD法で分析したところ、CrMoTi層である第2の体心立方構造を有する下地層3bの格子定数はCr金属の格子定数よりも大きいことが分かった。
つまり、CrMn層である第1の体心立方構造を有する下地層3aからCrMoTi層である第2の体心立方構造を有する下地層3bに向かって体心立方格子の格子面間隔および格子定数が増大していることが分かった。なお、第1の金属アモルファス下地層2aおよび第2の金属アモルファス下地層2bともに、ゴニオメーターXRDで回折ピークを観察することができなかった。つまり、第1の金属アモルファス下地層2aおよび第2の金属アモルファス下地層2bともにアモルファスであった。
[その他の実施例]
次に実施例1Aに倣って別の実施形態になる磁気ディスクを作製した。実施例1Bの磁気ディスクは、第1の体心立方構造下地層3aである、CrMn層を形成しない磁気ディスクである。この点以外は実施例1Aと同様の磁気ディスクである。即ち、実施例1Bの磁気ディスクは、第2のアモルファス下地層2bであるアモルファスWCo層上に、第2の体心立方構造下地層3bとしてCrMoTi層3bが形成されている。
実施例1Cの磁気ディスクは、第1の体心立方構造下地層3aである、CrMn層に代えてCr金属層を形成した磁気ディスクである。この点以外は実施例1Aと同様の磁気ディスクである。したがって、実施例1C の磁気ディスクは、第2の金属アモルファス下地層2bであるWCo層上に、第1の体心立方構造下地層3aであるCr層を介して、第2の体心立方構造下地層3bであるCrMoTi層が形成されている。
結果を図3に掲げる。前述したように、実施例1BはアモルファスWCo層上にCrMoTi層が形成された磁気ディスクであり、実施例1CはアモルファスWCo層上にCr層を介してCrMoTi層が形成された磁気ディスクである。他方、実施例1AはアモルファスWCo層上にCrMn層を介してCrMoTi層が形成された磁気ディスクである。実施例1A、実施例1B、実施例1Cの磁気ディスクはともに優れたS/Nm、S/Ntであるので、60ギガビット又はそれ以上の面記録密度で記録再生されるハードディスクドライブ(HDD)に搭載するのに好適である。
図3からも明らかな通り、実施例1A、実施例1B、実施例1Cの磁気ディスクはともに磁気異方性比が1を超える磁気異方性の磁気ディスクであるが、磁気異方性の大小について優劣がある。即ち、実施例1A、実施例1B、実施例1Cの結果を比較すると、アモルファスWCo層上に形成する体心立方構造の下地層としては、Crよりも格子定数の小さな材料(実施例1A)が最も好ましく、ついで、Crと同じ格子定数の材料が好ましく(実施例1C)、ついで、Crよりも格子定数の大きな材料(実施例1B)が好ましいことが分かる。
このことは、実施例1A、実施例1B、実施例1Cの結果を比較すると、体心立方構造を有する下地層としては、Crよりも格子定数の大きな材料のみを用いる場合(実施例1B)よりも、Crと同等か(実施例1C)、Crよりも格子定数の小さな材料(実施例1A)からなる下地層を形成し、この上にCrよりも格子定数の大きな材料からなる下地層を形成することが事が好ましいことを示している。
[比較例1−1]
次に、比較のため、実施例1Aで第2のアモルファス下地層2bであるWCo層の成膜を行わず、かつ、第1の体心立方構造下地層3aであるCrMn層の成膜を行わず、代わりにB2結晶構造を有するAlRu合金層を形成した磁気ディスクを作製し、これを比較例の磁気ディスクとした。即ち、比較例の磁気ディスクは、第2の金属アモルファス下地層2bであるCrTi層の上に、B2結晶構造のAlRu層を有し、このAlRu層の上に体心立方構造のCrMoTi層を有している。実施例1AにおけるアモルファスWCo層と体心立方構造のCrMn層とが、B2結晶構造のAlRu層に代替されている点以外は、実施例1Aと同様の磁気ディスクである。
図3には、比較例の磁気ディスクにおける測定結果も示されている。この比較例の磁気ディスクは、S/Nm及びS/Ntが不十分である。即ち、比較例1−1の磁気ディスクは磁気異方性が1.39であるので、実施例1Aに比べて低い。実施例1Aと比較例1−1とを比較すると、アモルファスWCo層とCr金属よりも格子定数の小さな体心立方構造の層とを組み合わせて形成する(実施例1A)ことにより、優れた特性が得られることが分かる。
次に、図4を参照して、本発明の他の実施形態に係る磁気ディスクについて詳細に説明する。この実施形態において磁気ディスクは、ガラス基板(非磁性基板)1上に非磁性の金属アモルファス下地層2、非磁性の体心立方構造下地層3、磁性層4、保護層5及び潤滑層6がこの順に積層されている。なお、体心立方構造下地層3を形成する前に金属アモルファス下地層2の表面が酸化処理され、表面酸化層2-1が形成されている点で、図1に示された磁気ディスクと異なっている。更に、図1と同様に、金属アモルファス下地層2は、第1及び第2の金属アモルファス下地層2a及び2bによって形成され、体心立方構造下地層3も第1及び第2の体心立方構造下地層3a及び3bによって形成されている。尚、磁性層4、保護層5、潤滑そう6が順次形成される点でも、図4の磁気ディスクと図1の磁気ディスクは同じである。
図4に示された表面酸化層2-1は、第2の金属アモルファス下地層2bの表面をガス曝露して形成される。ガス曝露する方法としては、例えば第2の金属アモルファス下地層2bを、酸素ガスを含む雰囲気中に曝す方法がある。あるいは、希ガス雰囲気中における第2の金属アモルファス下地層をスパッタする時に反応性ガスとして酸素ガスなどを添加しても良い。
ガラス基板1としては、アモルファスガラス基板、結晶化ガラス基板などを用いることができるが、本実施形態ではアモルファスガラス基板を用い、ガラスの組成としては、アルミノシリケートガラスを用いる。
ガラス基板1上に、非磁性の金属アモルファス下地層2を形成し、次いで、金属アモルファス下地層2の上に非磁性の体心立方構造の下地層3が形成されている。金属アモルファス下地層2は、第1の金属アモルファス下地層2aと第2の金属アモルファス下地層2bとの二層構造から成る。
ここで、非磁性の第2の金属アモルファス下地層2bは、第一の元素としてTi、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Si、Bから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を含有する。さらに、第2の金属アモルファス下地層2bは、第二の元素として更に、Cr、V、Mn、Coから成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を含有する。ここで、第一の元素としてのTi、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Si、Bは、どの金属もアモルファスを作製するときに使用可能な金属である。Mo,Ta,Wは、高融点金属材料であり、他の金属に比べて比較的高融点を持つ金属はアモルファスを作りやすい。Zr,Hf,Si,Yは、これらの金属を添加することにより、結晶化する温度が上昇するといわれている。高結晶化温度の合金は、磁気ディスク表面では結晶を組みにくくアモルファスになりやすい。ここで、ガラスの軟化点は500度以下である。
前述した第二の元素のうち、Ti,Y,Ta,Zrは、微細化構造を得たい時に使用される材料である。一般的に、スパッタ成膜でアモルファスになりやすい金属である。CrやCoが母体である時、原子寸法の比が12%以上異なる。Cr,V,Mn,Coは、周期表において共に隣り合う元素である。一般的に、ハードディスクドライブ(HDD)に成膜される金属は、CrもしくはCoが母体となる。この二つは、アモルファスにする金属というよりも母体となる金属である。なお、VはCrと同程度の融点を持ち、Crに取って代われる元素の一つである。
第2の金属アモルファス下地層2bは、例えば、WCo、WCrあるいはCrTiであり、スパッタリングにより積層される。ここで、第2の金属アモルファス下地層2bは、磁気記録層に磁気異方性を付与するための層として機能する。
本発明において、第2の金属アモルファス下地層2bは、Coを含む非磁性の金属アモルファス層またはWを含む非磁性の金属アモルファス層とすることが好ましく、WCo系アモルファス層、WCr系アモルファス層、CoZr系アモルファス層、CoHf系アモルファス層を用いることができるが、本実施形態ではWCo系アモルファス層を用いる。
金属アモルファス下地層2において、第2の金属アモルファス下地層2bの表面部分は、表面酸化層2-1として酸素を含むことが好ましいことが判明した。酸素を含有させると、媒体ノイズを低減させることができるのでS/N比を向上させることができ、また、第2の金属アモルファス下地層2bの表面部分に酸素を含有させることで、磁気異方性比(Mrc/Mrr)、すなわち、Mrt−ORを向上させることができる。前述したように、磁気異方性比(Mrc/Mrr)は、ディスクの円周方向の残留磁化をMrc、ディスクの半径方向の残留磁化をMrrとしたときに、ディスクの円周方向の残留磁化とディスクの半径方向の残留磁化との比である。磁気異方性比が向上すると、磁気ディスクの円周方向の磁気特性を向上させることができる。磁気ディスクにおいてディスクの円周方向とは、磁気ヘッドの走行方向であるので、磁気異方性の大きな磁気ディスクは好適である。
また、金属アモルファス下地層2において、第1の金属アモルファス下地層2aは、Crを含む非磁性の金属アモルファス層(例えば、CrTi合金)とすることが好ましい。
また、金属アモルファス下地層2の上に形成される体心立方構造下地層3として、Cr含有下地層を利用する。Cr含有下地層を用いると、磁性層4の磁化容易軸をディスク面内に配向させることができる。
図4に示された体心立方構造下地層3は、第1の体心立方構造下地層3aと第2の体心立方構造下地層3bとの二層構造から成る。第1の体心立方構造下地層3aは、Cr金属下地層またはCr合金下地層とすることが好ましい。
また、第1の体心立方構造下地層3aは、Cr含有の体心立方構造の材料として、Cr金属かCr金属よりも格子定数の小さな体心立方構造の材料を用いると好ましい。このような材料としては、例えば、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、等の周期律表第4周期元素を挙げることができる。例えば、第1の体心立方構造下地層3aとして、CrMn系合金、CrFe系合金、CrCo系合金を好ましく挙げることができる。なお、CrMn系合金を利用する場合は、Mnの組成が10原子%以上とすることが好ましい。
なお、第2の体心立方構造下地層3bは、Cr含有下地層とすることが好ましい。このようなCr含有下地層としては、CrMo系合金下地層、CrTi系合金下地層、CrMoTi系合金下地層、CrV系合金地層、CrW系合金下地層等を挙げることができる。
本実施の形態においては、第1の体心立方構造下地層3aをCr金属に比べて相対的に格子定数の小さな体心立方構造とし、第2の体心立方構造下地層3bをCr金属に比べて相対的に格子定数の大きな体心立方構造とすることが好ましい。
具体的に言えば、本実施の形態に係る磁気ディスクは、ガラス基板1上に、Crを含む非磁性の第1の金属アモルファス下地層2a、Coを含む非磁性の第2の金属アモルファス下地層2b、第2の金属アモルファス下地層2bの表面を酸化処理して形成した表面酸化層2-1、Cr含有の体心立方構造を有する第1の体心立方構造下地層3a、Cr含有の体心立方構造を有する第2の体心立方構造下地層3bをこの順で順次形成されている。
また、ガラス基板1の表面には、磁性層4に磁気異方性を付与する円周方向のテクスチャが形成されている。これにより、Mrc/Mrr(すなわち、Mrt−OR)が1を超える磁気異方性を有する磁気ディスクが得られる。このようにして得られた磁気異方性を有する磁気ディスクの磁気異方性を評価する方法として、本実施形態では、Mrt-ORを用いる。また、Mrt-ORの評価にはInnovative Instrumentation Incorporated社製ORM機を用いた。
一方、記録再生特性の評価、特にノイズの評価には、スピンスタンド評価装置を用いて、磁気再生ヘッドによる記録再生特性を評価した。
スピンスタンドには日立電子エンジニアリング社製スピンスタンドを用い、記録再生ヘッドはHDDに搭載されている120Gbpsi相当の記録再生能力を持つヘッドを用いた。記録ヘッドはインダクティブ、再生ヘッドはGMR素子を用いた。
ノイズは磁性膜厚差によるGMR再生ヘッド出力差を補正するために、孤立波周波数出力で規格化した規格化ノイズを用いる。
図4に掲げられた磁気ディスクの模式図を利用し、本発明を実施する磁気ディスクを実施例2として説明する。この実施例2において磁気ディスクは、ガラス基板1の上に金属アモルファス下地層2、体心立方構造下地層3、磁性層4、保護層5、潤滑層6がこの順に積層されている。金属アモルファス下地層2は、2つの層が積層して形成されており、そのガラス基板側が第1の金属アモルファス下地層2a、その体心立方構造下地層側が第2の金属アモルファス下地層2bである。体心立方構造下地層3は、2つの層が積層して形成されており、その金属アモルファス下地層側が、第1の体心立方構造下地層3a、その磁性層側が第2の体心立方構造下地層3bである。更に、図4に示されているように、金属アモルファス下地層2における第2の金属アモルファス下地層2bの表面部分には、表面酸化層2-1が形成され、酸素を含んでいる。
まず、ガラス基板及び各層の材料について詳細に説明する。
ガラス基板1はアモルファスガラス基板であり、組成はアルミノシリケートである。ガラス基板の表面には、ディスクの円周方向に磁気特性が卓越する磁気異方性を磁性層に付与するテクスチャが形成されている。このテクスチャは、ディスクの円周方向に沿う略規則的な線状の筋溝を有している。第1の金属アモルファス下地層2aは、CrTi合金層である。第1の金属アモルファス下地層2aの膜厚は200Åである。第1の金属アモルファス下地層2aは非磁性である。第2の金属アモルファス下地層2bは、WCo合金層である。このWCo合金層は後述するスパッタリング法により成膜された層である。このときスパッタリングターゲットとして、Wが55原子%、残部がCoである材料を使用した。図示された第2の金属アモルファス下地層2bは75Åの膜厚を有し、非磁性である。
第1の体心立方構造下地層3aは、非磁性のCrMn合金層である。このCrMn合金層はスパッタリング法により成膜された層である。このときスパッタリングターゲットとして、Mnが20原子%、残部がCrである材料を使用した。ここで、第1の体心立方構造下地層3aはCrとCrよりも原子半径の小さなMnとからなる体心立方構造を有する。第1の体心立方構造下地層3aは、Cr金属が形成する体心立方構造の格子定数よりも小さな格子定数の体心立方構造を有する。なお、第1の体心立方構造下地層3aはCr層とすることもできる。第1の体心立方構造下地層3aはディスク面を平面視したときに、体心立方格子の(002)面が優先配向している。優先配向面はXRD(X線回折法)により分析できる。
第2の体心立方構造下地層3bは、CrMoTi合金層である。このCrMoTi合金層は後述するスパッタリング法により成膜された層である。このときスパッタリングターゲットとして、Moが15原子%、Tiが5原子%、残部がCrである材料を使用した。第2の体心立方構造下地層は非磁性である。第2の体心立方構造下地層3bはCrとCrよりも原子半径の大きなMoを含む体心立方構造を有する。第2の体心立方構造下地層3bは、CrとCrよりも原子半径の大きなTiを含む体心立方構造を有する。第2の体心立方構造下地層3bは、Cr金属が形成する体心立方構造の格子定数よりも大きな格子定数の体心立方構造を有する。第2の体心立方構造下地層3bはディスク面を平面視したときに、体心立方格子の(002)面が優先配向している。優先配向面はXRD(X線回折法)により分析できる。
本実施例2において、第1の体心立方構造下地層3aと第2の体心立方構造下地層3bとを含めた体心立方構造下地層全体の膜厚は100Åである。
第1の磁性層4aは六方最密充填構造を有する強磁性層である。第1の磁性層4aはCoCrTa系合金からなる。スペーサー層4bは六方最密充填構造を有する非磁性層である。スペーサー層4bはRu材料からなる。第2の磁性層4cは六方最密充填構造を有する強磁性層である。第2の磁性層4cはCoCrPtB系合金からなる。第3の磁性層4dは六方最密充填構造を有する強磁性層である。第3の磁性層4dはCoCrPtB系合金からなる。磁性層はディスク面を平面視したときに六方最密充填格子の(11−20)面が優先配向している。磁性層の六方最密充填格子のc軸はディスク面内に平行に配向している。優先結晶配向面やc軸の配向はXRD(X線回折法)により分析できる。
保護層5はアモルファスカーボンを主体とする層である。潤滑層はフルオロポリエーテル化合物からなる層である。なおこの実施形態において、スペーサー層を介して第1の磁性層の磁化と第2又は第3の磁性層の磁化とを反平行に結合させてもよい。なおこの実施形態において、交換相互作用を利用し、複数の磁性層を結合させる交換結合媒体としてもよい。交換結合の態様としては反平行結合が好ましい。反平行結合された媒体は、Anti-ferro coupled mediaである。
次に、図4に示された磁気ディスクの製造方法について説明する。まず、ガラス基板の表面にテクスチャを形成する処理を行う。回転状態のガラス基板と研磨テープとを接触させ、ガラス基板1の表面に、テクスチャを形成する。次に、スパッタリング法により、ガラス基板上に順次、金属アモルファス下地層2、体心立方構造下地層3、第1の磁性層4a、スペーサー層4b、第2の磁性層4c、第3の磁性層4dが成膜される。保護層5についてはスパッタリング法以外にもCVD法を利用して成膜することができる。潤滑層6については、ディップ法により成膜することができる。
次に、本発明に係る非磁性の金属アモルファス下地層2と、その成膜時の成膜条件との関係を本発明に係る実施例3として説明する。
磁気ディスクの層構成は、上述した磁気ディスクと同様にガラス基板1/CrTi合金層(第1の金属アモルファス下地層2a)/WCo合金層(第2の金属アモルファス下地層2b)/CrMn合金層(第1の体心立方構造下地層3a)/CrMoTi合金層(第2の体心立方構造下地層3b)/磁性層4/保護層5/潤滑層6である。
金属膜を成膜するのに用いられるスパッタリング装置(図示せず)はキャノンアネルバ製C-3040であり、成膜前に1x10-4Pa以下まで十分に排気された後、金属ターゲット表面をスパッタするためにArガスが導入される。このときの非磁性の金属アモルファス下地層2の成膜チャンバー内圧力を0.6〜1.6Paに制御し成膜する。好ましくは、非磁性の金属アモルファス下地層2の成膜チャンバーの制御圧力範囲を1.0〜1.4Paにする。
このときの、チャンバー内圧力(Pressure)と残留膜厚積Mrtの円周方向の値と半径方向の値との比率(Mrt-OR)との関係を図5に示す。
図5に示すように、第2の金属アモルファス下地層2bにWCo合金層を使用すると、成膜チャンバー圧力が0.6Paの時、Mrt-ORは1.82であり、また、この成膜チャンバー内圧力を1.0Paまであげると1.92まで向上する。また、成膜チャンバー内圧力が1.4Paの時、Mrt-ORは1.89であり、成膜チャンバー内圧力が1.6Paの時、Mrt-ORは1.82である。
従って、非磁性の金属アモルファス下地層2の成膜チャンバーの制御圧力範囲を0.6〜1.6Pa、好ましくは、1.0〜1.4Paにすることが、高Mrt-ORを得るために好ましいことがわかる。
次に、第2の金属アモルファス下地層2bをCrTi合金にした例を説明する。この場合にも、磁気ディスクの層構成は、ガラス基板1/CrTi合金層(第1の金属アモルファス下地層2a)/CrTi合金層(第2の金属アモルファス下地層2b)/CrMn合金層(第1の体心立方構造下地層3a)/CrMoTi合金層(第2の体心立方構造下地層3b)/磁性層4/保護層5/潤滑層6である。
第2の金属アモルファス下地層2bにCrTi合金層を使用する以外は、同様にして磁気ディスクを作製した。つまり、非磁性の金属アモルファス下地層2の成膜チャンバー内圧力を0.6〜1.6Paに制御し成膜する。好ましくは、金属アモルファス下地層2の成膜チャンバーの制御圧力範囲を1.0〜1.4Paにする。
このときの、チャンバー内圧力(Pressure)と残留膜厚積Mrtの円周方向の値と半径方向の値との比率(Mrt-OR)との関係を図6に示す。
図6に示すように、この非磁性アモルファスCrTi合金層を成膜する時の成膜チャンバー内圧力が0.6Paの時、Mrt-ORは1.43であり、この成膜チャンバー内圧力を1.0Paまで上げると1.54まで向上する。また、成膜チャンバー内圧力が1.4Paの時、Mrt-ORは1.54であり、成膜チャンバー内圧力が1.6Paの時、Mrt-ORは1.47である。
従って、非磁性の金属アモルファス下地層2の成膜チャンバーの制御圧力範囲を0.6〜1.6Pa、好ましくは、1.0〜1.4Paにすることが、高Mrt-ORを得るために好ましいことがわかる。
[比較例3−1]
表面にテクスチャ処理を施した非磁性基板(ガラス基板)上に非磁性の結晶性層を成膜したとき、その成膜チャンバー内圧力(Pressure)を変化させた時の残留膜厚積Mrtの円周方向の値と半径方向の値との比率(Mrt-OR)との関係を図7に示す。
図7に示すように、非磁性基板上に非磁性の結晶性層を成膜したとき、成膜チャンバー内圧力が0.4Paの時には1.36であり、成膜チャンバー内圧力が0.6Paの時には1.35であり、成膜チャンバー内圧力が1.0Paの時には1.37であり、成膜チャンバー内圧力が1.4Paの時には1.36であり、成膜チャンバー内圧力が1.6Paの時には1.36である。このように、非磁性基板上に非磁性の結晶性層を成膜したときには、Mrt-ORはほとんど変化しなかった(最大でも、Mrt-OR は1.37にとどまった)。
つまり、図7に示すように、従来のような結晶性層では、成膜チャンバー内圧力を変化させてもMrt-ORの変化はほとんどみられなかったが、図5、図6に示すように、本発明のようなアモルファス層では、成膜チャンバー内圧力を変化させると、Mrt-ORが山状に変化することがわかった。したがって、Mrt-ORの高い磁気ディスクを得るには、予め、第2の金属アモルファス下地層2bを成膜する時の雰囲気の圧力と、Mrt-ORとの対応関係を把握し、この対応関係において所望のMrt-ORが誘導される圧力を選定することが好ましいことがわかった。
次に、第2の金属アモルファス下地層2bの膜厚を変化させた場合を実施例4として説明する。図4に示した構成の磁気ディスクにおいて、第2の金属アモルファス下地層2bの膜厚を変化させたサンプル群を用意した。つまり、WCoによる第2の金属アモルファス下地層2bに対して、添加ガスとしての酸素ガス濃度は3%で一定とし、膜厚を変えた。
[実施例4−1]
試験結果は、図8(a)、図8(b)に示す通りでり、表面酸化層2-1を持つ第2の金属アモルファス下地層2bを付与することでMrt-ORの向上(最大で1.98)、規格化ノイズの低減(5以下)ができることが判明した。言い換えれば、Mrt-OR、規格化ノイズは、WCoによる第2の金属アモルファス下地層単体の膜厚に依存していると言える。
また、図8(a)、図8(b)から、第2の金属アモルファス下地層2bの好ましい膜厚範囲としては、例えば1.60以上のMrt-ORを得るには10オングストローム以上140オングストローム以下、また1.80以上のMrt-ORを得るには20オングストローム以上100オングストローム以下の範囲であることが分かる。
本実施例では更に、第2の金属アモルファス下地層2bを形成し、酸素ガスを含む雰囲気で曝露を行った後、つまりCrMnターゲットを用いて第1の体心立方構造下地層3aを形成する前に酸化雰囲気中で加熱処理を行うことで保磁力Hcが高くなることが確認されている。
次に、上記の実施例4−1の更に好ましい例として、第2の金属アモルファス下地層2bの表面を酸化処理するための添加ガスによる曝露において添加ガスとして酸素ガスを用い、添加濃度を変化させた場合について説明する。
試験結果は、図9(a)に示す通り、表面酸化処理のために酸素ガスを添加した結果、酸素ガス濃度3%以上でMrt-ORが向上することがわかる。一方、図9(b)に示すように、表面酸化処理のために酸素ガスを添加した結果、酸素ガス濃度3%以上で規格化ノイズが低減することも確認された。
[実施例4−2]
磁気ディスクの層構成は、ガラス基板1/CrTi合金層(第1の金属アモルファス下地層2a)/CrTi合金層(第2の金属アモルファス下地層2b)/CrMn合金層(第1の体心立方構造下地層3a)/CrMoTi合金層(第2の体心立方構造下地層3b)/磁性層4/保護層5/潤滑層6である。第2の金属アモルファス下地層2bにCrTi合金層を使用する以外は、実施例4−1と同様にして磁気ディスクを作製した。
この実施例4−2においても実施例4−1と同様に、Mrt-ORが向上すると共に、規格化ノイズが低減することも確認された。
以上説明してきたように、上記した試験結果から、第2の金属アモルファス下地層2bの表面酸化処理のための酸素ガス濃度を制御することにより、異方性媒体で問題となる磁気ディスクの媒体ノイズを低下させると共に高Mrt-OR化を実現することができ、これにより高記録密度の高容量HDDに適した磁気記録媒体を提供することができることが分かる。
次に、前述の第2の金属アモルファス下地層2bの表面について酸素曝露を行う場合における製造上の効率化、容易化を実現できる例を実施例5として説明する。通常は最適なガス濃度が、3%乃至20%と狭い範囲であることが、製造の容易化を図るうえでの障害となっている。すなわち、この範囲になるように安定してガスを供給する必要があるため、制御が難しい。従って、磁気記録媒体の製造の容易性を向上させるためには、第2の金属アモルファス下地層2bの表面処理がより容易に行えることが望ましく、ガス濃度の最適範囲がより広い範囲である必要がある。
そこで、この課題を解決するために研究した結果、多層で形成された内の第1の下地層の成膜の後に、従来の酸素に代えて、CO(二酸化炭素)雰囲気中にて曝露による表面処理を行うことが有効であるとの知見を得た。図10(a)及び(b)に、添加ガスとして二酸化炭素を用いた試験結果を示す。
すなわち、本発明は、前述の課題を解決するため、第1の下地層を成膜した後に、COを用いて表面処理を行うことにより、表面処理を行うガスの最適濃度範囲を広くして、磁気記録媒体の製造の容易化を図るものであって、以下の構成のいずれか一を有するものである。
[構成1]
非磁性基板上に、少なくとも、第1の下地層、第2の下地層、磁性層、保護層及び潤滑層を順次積層して成膜する磁気記録媒体の製造方法において、第1の下地層成膜後に、COに曝露して第1の下地層の表面処理を行う。ここで、第1の下地層及び第2の下地層は、図1或いは図4に示されるように、それぞれ金属アモルファス下地層及び体心立方構造下地層によって形成される。
[構成2]
非磁性基板上に、少なくとも、第1の下地層、第2の下地層、磁性層、保護層及び潤滑層を順次積層して成膜する磁気記録媒体の製造方法において、第1の下地層成膜時に、COを用いた反応性成膜を行うことを特徴とするものである。この場合にも、第1の下地層及び第2の下地層は、図1或いは図4に示されるように、それぞれ金属アモルファス下地層及び体心立方構造下地層によって形成される。
即ち、この磁気記録媒体においても、図1及び図4と同様に、第2の下地層は、体心立方構造(即ち、bcc構造)を有し、純Crよりも大きい格子定数をもつCr系合金からなる第1の体心立方構造下地層と、体心立方構造(bcc構造)を有し第1の体心立方構造下地層よりも更に格子定数の大きいCr系合金からなる第2の体心立方構造下地層とからなることとしてもよい。磁性層としては、Co-Cr-Pt系合金、Co-Cr-Pt-Ta系合金、Co-Cr-Pt-B系合金、Co-Cr-Pt-B-Cu系合金のいずれか1種類以上を含むものを使用することができる。
第1の下地層成膜後に、COに曝露して第1の下地層の表面処理を行い、または、第1の下地層成膜時に、COを用いた反応性成膜を行う。COの最適濃度範囲は、40%乃至100%と広くすることができる。
すなわち、本発明は、非磁性基板上に、少なくとも、第1の下地層、第2の下地層、磁性層、保護層及び潤滑層を順次積層して成膜する磁気記録媒体の製造方法において、第1の下地層の表面に気体の曝露を行う場合において、ガス濃度の最適範囲が広く、第1の下地層の表面処理が容易に行えるようになされた磁気記録媒体の製造方法を提供することができるものである。
[実施例5−1]
ガラス基板の両主表面に、静止対向型のDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、Cr-Ti合金からなる密着層、W-Co合金の第1の下地層、Cr-Mn合金の第1層及びCr-Mo-Ti合金の第2層からなる第2の下地層、Co-Cr-Ta合金層、Ru層、Co-Cr-Pt-B合金層からなるカップリング層、Co-Cr-Pt-B-Cu合金の磁性層、炭素系保護層を順次成膜した。なお、第1の下地層は、磁性層の磁性グレインを微細化させる作用を奏し、第2の下地層は、磁性層の磁化容易軸を面内方向に配向させる作用を奏する。
まず、スパッタリングターゲットとして、Cr-Ti合金を用いて、ガラス基板上に、Cr-Ti合金からなる密着層をスパッタリングにより成膜した。次に、スパッタリングターゲットとして、WCo合金を用いて、ガラス基板上に、W-Co合金からなる第1の下地層をスパッタリングにより成膜した。
ここで、CO雰囲気中にて曝露することにより、第1の下地層の表面処理を行った。このときのCOのガス濃度を変えた複数のサンプルを作製した。
次に、スパッタリングターゲットとして、Cr-Mn合金を用いて、第1の下地層上に、Cr-Mn合金からなる第2の下地層の第1層をスパッタリングにより成膜し、次いで、Cr-Mo-Ti合金を用いて、第1の下地層上に、Cr-Mo-Ti合金からなる第2の下地層の第2層をスパッタリングにより成膜して、第2の下地層を成膜した。
そして、スパッタリングターゲットとして、Co-Cr-Ta合金、Ru、Co-Cr-Pt-B合金を順次用いて、第2の下地層上に、Co-Cr-Ta合金層、Ru層、Co-Cr-Pt-B合金層からなるカップリング層を成膜した。
次いで、スパッタリングターゲットとして、Co-Cr-Pt-B-Cu合金を用いて、Co-Cr-Pt-B-Cu合金からなる磁性層をバイアススパッタリングにより成膜した。
次に、磁性層上に炭素系保護層(水素化炭素保護層)をバイアスCVD法により形成し、さらに、PFPE(パーフロロポリエーテル)からなる潤滑層をディップ法で成膜した。炭素系保護層は、磁気ヘッドの衝撃から磁性層を保護する作用を奏する。このようにして、磁気ディスクを得た。
[比較例5−1]
比較例として、前述の実施例における第1の下地層の成膜後のCO雰囲気中での曝露に代えて、酸素雰囲気中での曝露を行ったサンプルを作製した。
[実施例5−1と比較例5−1との比較結果]
図10は、実施例及び比較例の磁気ディスクについて、第1の下地層の成膜後に曝露したガス濃度に対し、規格化したノイズ特性(SNt)の変化を示すグラフ(a)及びDCノイズレベルの変化を示すグラフ(b)である。
図10(a)及び(b)に示すように、ノイズ特性(SNt)及びDCノイズレベルのいずれについても、第1の下地層の表面をO雰囲気中に曝露した比較例の磁気ディスクでは、O濃度の最適範囲は、3%乃至20%であるのに対し、CO雰囲気中に曝露した実施例の磁気ディスクでは、CO濃度の最適範囲は、40%乃至100%と広くなっている。
図11は、規格化したノイズ特性(SNt)を説明するグラフ(a)及びDCノイズレベルを説明するグラフ(b)である。
ノイズ特性SNtとは、図11中の(a)に示すように、DCノイズと信号との比をいう。DCイレーズ時のノイズは、メディアノイズ、ヘッドノイズ、システムノイズを含んだものとなっている。DCノイズレベルは、図11中の(b)に示すように、DCイレーズ時のノイズからシステムノイズを差し引いたものである。
〔DCノイズ〕=√(〔DCイレーズ時のノイズ〕-〔システムノイズ〕
次に、本発明に係る第1の下地層2として、WCo合金層を形成し、酸素雰囲気に曝露した場合と、曝露しなかった場合における磁気ディスクの磁性層の表面状態を観測した。ここでは、比較のために、WCo合金層の代わりに、WCo合金層の代わりにB2結晶構造を有するAlRu合金層を形成した磁気ディスクの磁性層の表面状態をも観測した。
図12を参照すると、B2結晶構造を有するAlRu合金層を形成した磁気ディスクの磁性層の平面断面を透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)にて観察した結果が示されている。
図13を参照すると、WCo合金層を形成し、さらにその表面を4%の酸素濃度の雰囲気中に曝露した磁気ディスクの磁性層の平面断面が示され、図14を参照すると、WCo合金層を酸素雰囲気中に曝露しなかった磁気ディスクの磁性層の平面断面が示されている。いずれも、TEM写真である。
AlRu構成とWCo構成(O2曝露)での粒径および粒径分布は、AlRu構成において平均粒径=5.44nm、σ=1.36nmであり、WCo構成(O2曝露)においては、平均粒径=5.51nm、σ=1.32nmである。両者間では、明確な差が見えないが、AlRu構成の方がややCo粒径が小さくなっている。この磁性粒の微細化によって電磁変換特性の改善が期待されるが、実際には、WCo構成(O2曝露)の方が電磁変換特性が改善された。これは、図13のTEM写真からわかるように、WCo構成(O2曝露)ではテクスチャ形状が見える。つまり、基板のテクスチャ痕に沿ってその凹凸を体心立方構造下地層3へ伝え、さらに磁性層まで伝わっているためと推測できる。
一方、AlRu構成において凹凸形状が見られないのは、結晶性でカラム状に成長したAlRuによって凹凸が打ち消されているように見える。また、AlRuの直上のCrMoTiが微細化され、テクスチャの凹凸と無関係に成長していると推測される。
本実施例における磁気ディスクのMrt-ORを測定したところ、前述の実施例と同様にWCo構成(O2曝露)の方が大きかった。AlRu構成のMrt-ORは約1.36であり、WCo構成はMrt-ORは約1.90と高い値を示した。従って、粒径や粒径分散よりも、テクスチャ痕に沿った円周方向へ精度よく配列されたことが大きく影響していると考えられる。
次に、WCo構成(O2曝露)とWCo構成(O2曝露なし)を比較する。Coの平均粒径はWCo構成(O2曝露なし)が6.79nmであり、WCo構成(O2曝露)が5.51nmであった。WCo構成(O2曝露なし)のMrt-ORを測定したところ1.2以下と、低い値であった。また、実施例5の図10で示しているように、SNtやDC-Noiseも良くなかった。WCo合金層の表面への酸素曝露は、その上の層である体心立方構造下地層3の肥大成長を抑制し、且つ、精度良くカラム成長させる働きがあると推測される。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法の変形例としては、以下のような製造方法が用いられても良い。
即ち、ディスクの周方向に沿う筋溝が略規則的に配列した表面テクスチャを有するガラス基板上を用意し、当該ガラス基板上に、金属アモルファスを含む下地層、磁性層を積層する磁気ディスクの製造する場合、前記下地層として、ガラス基板上に成膜される際の雰囲気の圧力に応じて、前記磁性層にディスクの周方向に沿う磁気異方性を誘導する下地層を形成する。この下地層の形成の際、予め、前記下地層が成膜される際の雰囲気の圧力と、前記磁気異方性との対応関係を把握し、前記対応関係において所望の磁気異方性が誘導される圧力を選定するようにしても良い。
上記した金属アモルファス層には、WまたはTiを含んでいることが望ましい。
本発明は、磁気ディスク、当該磁気ディスクを含むHDD等の磁気ディスク装置に適用できる。

Claims (24)

  1. ガラス基板と、
    このガラス基板の上方に形成された、Coを含む非磁性の金属アモルファス下地層と、
    この金属アモルファス下地層の上方に形成された、Crよりも原子半径の小さな元素を含む、体心立方構造を有するCr含有下地層と、
    この体心立方構造を有するCr含有下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含む磁気ディスク。
  2. ガラス基板と、このガラス基板の上方に形成された、Crを含む非磁性の第1の金属アモルファス下地層と、
    この第1の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Coを含む非磁性の第2の金属アモルファス下地層と、
    この第2の金属アモルファス下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含む磁気ディスク。
  3. ガラス基板と、
    このガラス基板の上方に形成された、Crよりも原子半径の小さな元素を含む、体心立方構造を有する第1のCr含有下地層と、
    この体心立方構造を有する第1のCr含有下地層の上方に形成された、Crよりも原子半径の大きな元素を含む、体心立方構造を有する第2のCr含有下地層と、
    この体心立方構造を有する第2のCr含有下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含む磁気ディスク。
  4. ガラス基板と、
    このガラス基板の上方に形成された、Crを含む非磁性の第1の金属アモルファス下地層と、
    この第1の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Coを含む非磁性の第2の金属アモルファス下地層と、
    この第2の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Cr、又は、Crよりも原子半径の小さな元素を含む、体心立方構造を有する第1のCr含有下地層と、
    この体心立方構造を有する第1のCr含有下地層の上方に形成された、Crよりも原子半径の大きな元素を含む、体心立方構造を有する第2のCr含有下地層と、
    この体心立方構造を有する第2のCr含有下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含む磁気ディスク。
  5. 請求項1、請求項2、又は請求項4の何れか1項に記載の磁気ディスクであって、
    前記Coを含む非磁性の金属アモルファス下地層は少なくとも表面部分に酸素を含有する表面酸化層を有することを特徴とする磁気ディスク。
  6. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の磁気ディスクであって、
    ディスクの円周方向の残留磁化をMrc、ディスクの半径方向の残留磁化をMrrとしたときに、ディスクの円周方向の残留磁化とディスクの半径方向の残留磁化の比である、Mrc/Mrrが1を超える磁気異方性を有することを特徴とする磁気ディスク。
  7. 請求項5に記載の磁気ディスクであって、
    ディスクの円周方向の残留磁化をMrc、ディスクの半径方向の残留磁化をMrrとしたときに、ディスクの円周方向の残留磁化とディスクの半径方向の残留磁化の比である、Mrc/Mrrが1を超える磁気異方性を有することを特徴とする磁気ディスク。
  8. 表面に円周方向のテクスチャ処理を施した非磁性の基板と、
    該基板上に形成された非磁性の金属アモルファス下地層と、
    該金属アモルファス下地層の表面を酸化処理して形成された表面酸化層と、
    該表面酸化層上に形成され、Crを含み体心立方構造を有する体心立方構造下地層と、
    該体心立方構造下地層上に形成された磁気記録層を含み、
    前記金属アモルファス下地層の膜厚が10オングストローム以上140オングストローム以下であることを特徴とする磁気ディスク。
  9. 前記金属アモルファス下地層は、CoとWとを含む層であることを特徴とする請求項8記載の磁気ディスク。
  10. 前記体心立方構造下地層が、CrとMnとを含む第1の体心立方構造下地層と、CrとMoとを含む第2の体心立方構造下地層とを備えていることを特徴とする請求項8又は9記載の磁気ディスク。
  11. 前記基板と前記金属アモルファス下地層との間に、CrとTiとを含む層が形成されていることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の磁気ディスク。
  12. 主表面の円周方向にテクスチャが形成されたガラス基板上に少なくとも磁性層を備えた磁気ディスクを製造する方法であって、
    前記ガラス基板と前記磁性層との間に、スパッタリング法により非磁性の金属アモルファス下地層を成膜するとともに、
    前記金属アモルファス下地層の成膜時のスパッタ雰囲気の圧力を0.6〜1.6Paに設定することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  13. 前記金属アモルファス下地層は、Co, Cr, V及びMnのうち少なくとも1つの元素を含有することを特徴とする請求項12記載の磁気ディスクの製造方法。
  14. 前記金属アモルファス下地層は、W, Ti, Y, Zr, Nb, Mo, Hf, Ta, Si及びBのうち少なくとも1つの元素を含有することを特徴とする請求項12記載の磁気ディスクの製造方法。
  15. 前記金属アモルファス下地層を成膜した後、前記金属アモルファス下地層の表面を酸化処理することを特徴とする請求項12〜14の何れか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
  16. 前記金属アモルファス下地層と前記磁性層との間に、Crを含み体心立方構造を有する非磁性体の体心立方構造下地層を形成することを特徴とする請求項12〜14の何れか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
  17. 前記ガラス基板と前記金属アモルファス下地層との間に、Crを含む非磁性の別の金属アモルファス下地層を形成することを特徴とする請求項12〜14の何れか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
  18. 表面に円周方向のテクスチャ処理を施した非磁性の基板上に非磁性の金属アモルファス下地層を形成する工程と、
    該金属アモルファス下地層の表面を酸化処理して表面酸化層を形成する工程と、
    前記表面酸化層上に、Crを含み体心立方構造を有する体心立方構造下地層を形成する工程と、
    該体心立方構造下地層上に磁気記録層を形成する工程を含み、
    前記金属アモルファス下地層の膜厚を10オングストローム以上140オングストローム以下とすることを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  19. 前記表面酸化層はCO2雰囲気で酸化処理されることを特徴とする請求項18記載の磁気ディスクの製造方法。
  20. ガラス基板と、
    このガラス基板の上方に形成され、金属アモルファスによって構成された下部下地層と、
    この金属アモルファス下地層の上方に形成され、体心立方構造を有する上部下地層と、
    この上部下地層の上方に形成された磁性層を少なくとも含み、
    前記上部下地層は、前記磁性層側体心立方構造下地層と前記下部下地層側体心立方下地層を含み、前記磁性層側体心立方構造下地層と前記下部下地層側体心立方下地層は、互いに異なる格子定数を有する体心立方構造材料によって形成されていることを特徴とする磁気ディスク。
  21. 前記磁性層側体心立方構造下地層の体心立方構造材料の格子定数は、Cr金属に比べて大きく、且つ、前記下部下地層側体心立方下地層の体心立方構造材料の格子定数は、Cr金属に比べて小さいことを特徴とする請求項20記載の磁気ディスク。
  22. 前記下部下地層側体心立方下地層及び前記磁性層側体心立方構造下地層の格子定数は、前記下部下地層側体心立方下地層から、前記磁性層側体心立方構造下地層に向かって段階的又は連続的に増大することを特徴とする請求項20記載の磁気ディスク。
  23. 前記磁性層側体心立方構造下地層の体心立方構造材料には、Crよりも原子半径の大きな元素が含まれており、前記下部下地層側体心立方下地層の体心立方構造材料には、Crよりも原子半径の小さな元素が含まれていることを特徴とする請求項20記載の磁気ディスク。
  24. ガラス基板と、
    このガラス基板の上方に形成された、Crを含む非磁性の第1の金属アモルファス下地層と、
    この第1の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Wを含む非磁性の第2の金属アモルファス下地層と、
    この第2の金属アモルファス下地層の上方に形成された、Mn、Fe、Co、 Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Seのいずれか一つとCrを含む体心立方構造を有する第1のCr含有下地層と、
    この体心立方構造を有する第1のCr含有下地層の上方に形成された、Mo、 Ti、V、Wのいずれか一つとCrを含む体心立方構造を有する第2のCr含有下地層と、
    この体心立方構造を有する第2のCr含有下地層の上方に形成された磁性層を
    少なくとも含む磁気ディスク。
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