JPWO2007020845A1 - ダイレクトコンバージョン受信機 - Google Patents

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Abstract

連続的に信号を受信した場合であっても直流オフセット電圧を除去した後の信号レベルに応じて自動利得制御を実施することができるダイレクトコンバージョン受信機を提供することを目的とする。ダイレクトコンバージョン受信機は、低雑音増幅器14、ミキサ16、局部発振器(LO)20、ローパスフィルタ(LPF)23、ベースバンド増幅器(第2の増幅器)24、アナログ−デジタル変換器(ADC)26、デジタル−アナログ変換器(DAC)28、32、信号処理部30、スピーカ34、DC成分抽出フィルタ100、平均値算出回路200、減算器210を備えている。平均値算出回路200によってベースバンド信号の信号レベルの平均値が算出され、DC成分抽出フィルタ100によって抽出された直流オフセット電圧が減算されて制御電圧が生成され、低雑音増幅器14あるいは入力回路10の利得が制御される。

Description

本発明は、受信した信号をベースバンド信号に変換して復調処理等を行うダイレクトコンバージョン受信機に関する。
ダイレクトコンバージョン受信機は、受信した高周波信号に対してこの高周波信号と同じ周波数の局部発振信号をミキサで混合することによりベースバンド信号を生成している。このミキサでは、局部発振信号が高周波信号の入力端子側に回り込むことによって、出力信号に直流オフセット電圧が含まれるため、受信感度が劣化する。このため、従来から、ガード区間を利用して直流オフセット電圧の除去を行う受信機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−245006号公報(第5−11頁、図1−10)
ところで、上述した特許文献1に開示された直流オフセット電圧の除去はガード区間を利用して行われるものであるため、AM受信機のように連続して信号を受信する場合には適用することができず、直流オフセット電圧を除去した後の正確な信号レベルに応じて自動利得制御(AGC)を実施することができないという問題があった。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、連続的に信号を受信した場合であっても直流オフセット電圧を除去した後の信号レベルに応じて自動利得制御を実施することができるダイレクトコンバージョン受信機を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、連続的に信号を受信した場合であっても直流オフセット電圧を除去することができるダイレクトコンバージョン受信機を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明のダイレクトコンバージョン受信機は、アンテナを介して受信した信号が入力され、制御電圧に応じた利得で増幅する第1の増幅器と、受信を希望する信号と同じ周波数を有する局部発振信号を生成する局部発振器と、第1の増幅器によって増幅された信号と局部発振信号とを混合してベースバンド信号を生成するミキサと、ミキサから出力されるベースバンド信号を増幅する第2の増幅器と、第2の増幅器によって増幅された信号をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器と、アナログ−デジタル変換器から出力されるデータに基づいて、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧としてのDC成分を抽出する第1のDC成分抽出フィルタと、アナログ−デジタル変換器から出力されるデータの平均値を算出する平均値算出回路と、平均値算出回路によって算出された平均値から第1のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分を減算する第1の減算器と、第1の減算器によって減算された後のデータをアナログの制御電圧に変換する第1のデジタル−アナログ変換器とを備える。また、第1のDC成分抽出フィルタは、所定個数Nの入力データの値を累積する累積手段と、累積手段によって累積された値に対して1/Nを係数として、あるいは1以下であって1/Nより大きい係数を乗算する係数乗算手段とを有する。
また、本発明のダイレクトコンバージョン受信機は、アンテナを介して受信した信号を増幅する第1の増幅器と、アンテナと第1の増幅器との間に設けられ、制御電圧に応じた利得を有する入力回路と、受信を希望する信号と同じ周波数を有する局部発振信号を生成する局部発振器と、第1の増幅器によって増幅された信号と局部発振信号とを混合してベースバンド信号を生成するミキサと、ミキサから出力されるベースバンド信号を増幅する第2の増幅器と、第2の増幅器によって増幅された信号をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器と、アナログ−デジタル変換器から出力されるデータに基づいて、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧としてのDC成分を抽出する第1のDC成分抽出フィルタと、アナログ−デジタル変換器から出力されるデータの平均値を算出する平均値算出回路と、平均値算出回路によって算出された平均値から第1のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分を減算する第1の減算器と、第1の減算器によって減算された後のデータをアナログの制御電圧に変換する第1のデジタル−アナログ変換器とを備える。また、第1のDC成分抽出フィルタは、所定個数Nの入力データの値を累積する累積手段と、累積手段によって累積された値に対して1/Nを係数として、あるいは1以下であって1/Nより大きい係数を乗算する係数乗算手段とを有する。
また、本発明のダイレクトコンバージョン受信機は、アンテナを介して受信した信号が入力され、制御電圧に応じた利得で増幅する第1の増幅器と、受信を希望する信号と同じ周波数を有する局部発振信号を生成する局部発振器と、第1の増幅器によって増幅された信号と局部発振信号とを混合してベースバンド信号を生成するミキサと、ミキサから出力されるベースバンド信号を増幅する第2の増幅器と、第2の増幅器によって増幅された信号をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器と、アナログ−デジタル変換器から出力されるデータに基づいて、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧としてのDC成分を抽出する第1および第2のDC成分抽出フィルタと、アナログ−デジタル変換器から出力されるデータの平均値を算出する平均値算出回路と、平均値算出回路によって算出された平均値から第1のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分を減算する第1の減算器と、第1の減算器によって減算された後のデータをアナログの制御電圧に変換する第1のデジタル−アナログ変換器と、第2のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分に相当するデータをアナログ電圧に変換する第2のデジタル−アナログ変換器と、ミキサから出力されるベースバンド信号から第2のデジタル−アナログ変換器の出力電圧を減算することにより、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を除去する第2の減算器とを備える。また、第1および第2のDC成分抽出フィルタは、所定個数Nの入力データの値を累積する累積手段と、累積手段によって累積された値に対して1/Nを係数として、あるいは1以下であって1/Nより大きい係数を乗算する係数乗算手段とを有する。
また、本発明のダイレクトコンバージョン受信機は、アンテナを介して受信した信号を増幅する第1の増幅器と、アンテナと第1の増幅器との間に設けられ、制御電圧に応じた利得を有する入力回路と、受信を希望する信号と同じ周波数を有する局部発振信号を生成する局部発振器と、第1の増幅器によって増幅された信号と局部発振信号とを混合してベースバンド信号を生成するミキサと、ミキサから出力されるベースバンド信号を増幅する第2の増幅器と、第2の増幅器によって増幅された信号をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器と、アナログ−デジタル変換器から出力されるデータに基づいて、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧としてのDC成分を抽出する第1および第2のDC成分抽出フィルタと、アナログ−デジタル変換器から出力されるデータの平均値を算出する平均値算出回路と、平均値算出回路によって算出された平均値から第1のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分を減算する第1の減算器と、第1の減算器によって減算された後のデータをアナログの制御電圧に変換する第1のデジタル−アナログ変換器と、第2のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分に相当するデータをアナログ電圧に変換する第2のデジタル−アナログ変換器と、ミキサから出力されるベースバンド信号から第2のデジタル−アナログ変換器の出力電圧を減算することにより、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を除去する第2の減算器とを備える。また、第1および第2のDC成分抽出フィルタは、所定個数Nの入力データの値を累積する累積手段と、累積手段によって累積された値に対して1/Nを係数として、あるいは1以下であって1/Nより大きい係数を乗算する係数乗算手段とを有する。
第1および第2のDC成分抽出フィルタは、入力データに対して移動平均を計算することにより、入力データに含まれる低域成分(直流成分)を抽出することができ、しかも、移動平均の計算対象に対応するような数の乗算手段が不要になるため回路規模の削減や処理内容の簡素化が可能になる。特に、入力データをN個分累積した後に所定の係数(1/N)を乗算しているため、移動平均を計算する際の累積処理による丸め誤差の発生を防止することができ、計算精度の低下を抑えることができる。また、係数を1以下であって1/Nより大きい値に設定することにより、直流成分の抽出と同時にデータの増幅を行うことができる。しかも、後段の回路等で増幅した場合には下位ビットの情報が欠落した後に増幅を行うことになるが、本発明では下位ビットの情報が欠落する前のデータを取り出すことができるため、S/N比やダイナミックレンジを向上させることができる。このような第1のDC成分抽出フィルタを用いて、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を抽出して、ベースバンド信号の平均値から減算することにより、搬送波の信号レベルを正確に検出することができるため、連続的な受信信号に対して自動利得制御を行うことが可能となる。また、このような第2のDC成分抽出フィルタを用いることにより、連続的に受信した信号に対応するベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を抽出して除去することが可能となる。
また、上述した累積手段は、N+1個の入力データを入力順に保持して出力する遅延手段と、入力データに累積値を加算する第1の加算手段と、第1の加算手段による加算結果を、入力データの入力間隔に相当する時間保持して出力するデータ保持手段と、データ保持手段から出力されるデータから遅延手段の出力データを減算した結果を累積値として第1の加算手段と係数乗算手段のそれぞれに向けて出力する第2の加算手段とを有することが望ましい。これにより、入力データが入力される毎に、新しい入力データを累積値に加算するとともに最も古い入力データの分を累積値から差し引いて累積値の更新を行うことができ、簡単な回路構成および少ない処理で移動平均を求めることが可能になる。
また、上述した第1の加算手段およびデータ保持手段のいずれかの出力を係数乗算手段に入力することが望ましい。これらの処理結果は、累積結果そのものあるいは累積結果と同等であり、入力データに対して所定の利得で増幅した出力(移動平均値)を得ることができる。
また、上述した遅延手段は、半導体メモリによって形成されていることが望ましい。これにより、規模の大きな遅延手段を容易に実現することができる。
また、上述した係数乗算手段の係数は、mを1以上の整数としたときに、1/2m で表され、係数乗算手段は、ビット位置をシフトさせることで1/2m を係数とする乗算を行うことが望ましい。N=2m とすると係数1/N=1/2m の乗算は、mビット分下位にビット位置をシフトさせることにより行うことができ、しかもこの係数が固定の場合には、さらに簡単に配線を工夫してデータを取り出すビット位置をmビット分上位側にシフトすることにより実現することができる。これにより、実質的に係数乗算手段を用いないDC成分抽出フィルタを構成することが可能になる。
第1の実施形態のダイレクトコンバージョン受信機の基本構成を示す図である。 DC成分抽出フィルタの詳細構成を示す図である。 DC成分抽出フィルタの周波数特性をシミュレートした結果を示す図である。 図1に示したダイレクトコンバージョン受信機の変形例を示す図である。 図1に示したダイレクトコンバージョン受信機の他の変形例を示す図である。 周波数成分分離フィルタの構成を示す図である。 周波数成分分離フィルタの周波数特性をシミュレートした結果を示す図である。 第2の実施形態のダイレクトコンバージョン受信機の基本構成を示す図である。 図8に示したダイレクトコンバージョン受信機の変形例を示す図である。 図1の構成に直交復調を追加した第3の実施形態のダイレクトコンバージョン受信機の構成を示す図である。 図8の構成に直交復調を追加したダイレクトコンバージョン受信機の構成を示す図である。
符号の説明
10 入力回路
14 低雑音増幅器(LNA)
16 ミキサ
20 局部発振器(LO)
23 ローパスフィルタ(LPF)
24 ベースバンド増幅器
26 アナログ−デジタル変換器(ADC)
28、32 デジタル−アナログ変換器(DAC)
30 信号処理部
34 スピーカ
100 DC成分抽出フィルタ
100A 周波数成分分離フィルタ
110 遅延回路
120、122、124 加算器
130 D型フリップフロップ
132 係数乗算器
200 平均値算出回路
以下、本発明を適用した一実施形態のダイレクトコンバージョン受信機について詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態のダイレクトコンバージョン受信機の基本構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態のダイレクトコンバージョン受信機は、入力回路10、低雑音増幅器(LNA、第1の増幅器)14、ミキサ16、局部発振器(LO)20、ローパスフィルタ(LPF)23、ベースバンド増幅器(第2の増幅器)24、アナログ−デジタル変換器(ADC)26、デジタル−アナログ変換器(DAC)28、32、信号処理部30、スピーカ34、DC成分抽出フィルタ100、平均値算出回路200、減算器210を備えている。上述したDC成分抽出フィルタ100が第1のDC成分抽出フィルタに、減算器210が第1の減算器に、デジタル−アナログ変換器28が第1のデジタル−アナログ変換器にそれぞれ対応する。
この受信機は、AM放送波あるいはFM放送波等の連続的に配信される信号を受信するものであるが、間欠受信を行う受信機に本発明を適用することもできる。また、このダイレクトコンバージョン受信機は、アンテナ12やスピーカ34あるいはその他のわずかな部品(例えば信号処理部30やDC成分抽出フィルタ100、平均値算出回路200の動作クロック生成に必要な水晶発振器等)を除くほとんどの部品が、MOSプロセスあるいはCMOSプロセスを用いて半導体基板上に一体形成されている。また、信号処理部30、DC成分抽出フィルタ100および平均値算出回路200は、例えばDSP(デジタル信号処理装置)を用いて実現することができる。
入力回路10は、アンテナ12と低雑音増幅器14のインピーダンス整合を行い、受信を希望する放送波を選択する同調回路あるいはバンドパスフィルタなどを含んで構成されている。低雑音増幅器14は、入力回路10を介して入力された受信信号を増幅する。低雑音増幅器14の増幅率(利得)は、デジタル−アナログ変換器28から入力される制御電圧に応じて設定される。ミキサ16は、低雑音増幅器14によって増幅された受信信号と局部発振器20から出力される局部発振信号とを混合してベースバンド信号を出力する。局部発振器20は、受信を希望する放送波と同じ周波数を有する局部発振信号を出力する。
ローパルフィルタ23は、ミキサ16から出力されるベースバンド信号に含まれる必要帯域よりも高い周波数成分を除去する。例えば、AM放送波を受信する場合を考えると、音声帯域以上の周波数成分が除去される。ベースバンド増幅器24は、ローパスフィルタ23を介して入力されるベースバンド信号を増幅する。アナログ−デジタル変換器26は、ベースバンド増幅器24から出力される増幅後のベースバンド信号を所定周波数でサンプリングしてデジタルデータに変換する。サンプリング周波数は、必要帯域の2倍以上に設定される。例えば、AM放送波を受信する場合を考えると、音声帯域の上限値の2倍以上の50kHzのサンプリング周波数が用いられる。
信号処理部30は、デジタルデータに変換されたベースバンド信号に対して復調等の信号処理を行って音声データを生成する。デジタル−アナログ変換器32は、信号処理部30から出力されたオーディオデータをアナログのオーディオ信号に変換し、スピーカ34から出力する。
DC成分抽出フィルタ100は、アナログ−デジタル変換器26から出力されるデジタルデータに基づいて、ベースバンド信号に含まれる直流成分(DC成分)である直流オフセット電圧を抽出する。例えば、10Hz以下の周波数成分が抽出される。平均値算出回路200は、アナログ−デジタル変換器26から出力されるデジタルデータに基づいて、ベースバンド信号の信号レベルの平均値を算出する。減算器210は、平均値算出回路200によって算出された平均値から、DC成分抽出フィルタ100によって抽出された直流オフセット電圧を減算する。ベースバンド信号の信号レベルの平均値は、受信信号に含まれる搬送波の信号レベル(振幅)によって変化するが、ベースバンド信号に直流オフセット電圧が含まれている場合には、この平均値には直流オフセット電圧に相当する成分も含まれている。減算器210を用いてこの直流オフセット電圧に相当する成分を除去することにより、搬送波の信号レベルを正確に求めることができる。
本実施形態のダイレクトコンバージョン受信機はこのような構成を有しており、受信信号の信号レベルに応じた自動利得制御を行う動作について説明する。ベースバンド増幅器24から出力されるベースバンド信号には、ミキサ16において局部発振信号が受信信号の入力側に回り込むことによって生じるDC成分と、ベースバンド増幅器24において発生するオフセット電圧としてのDC成分とが含まれている。DC成分抽出フィルタ100は、10Hz以下のこれらのDC成分を抽出し、これらのDC成分の電圧レベルに対応するデータを出力する。また、平均値算出回路200は、直流オフセット電圧に相当する成分が含まれるベースバンド信号の平均値を算出し、平均値に対応するデータを出力する。減算器210は、ベースバンド信号の平均値から直流オフセット電圧に相当する成分を減算し、搬送波の信号レベルに対応するデータを出力する。このデータは、デジタル−アナログ変換器28によって制御電圧に変換され、低雑音増幅器14に入力される。したがって、低雑音増幅器14では、搬送波の信号レベルに応じた自動利得制御が行われる。このように、ベースバンド信号から直流オフセット電圧を抽出することができるDC成分抽出フィルタ100を用いることにより、連続的に受信した搬送波の信号レベルを正確に検出して自動利得制御を行うことが可能になる。
次に、DC成分抽出フィルタ100の詳細構成について説明する。図2は、DC成分抽出フィルタ100の構成を示す図である。図2に示すDC成分抽出フィルタ100は、1つの遅延回路110と、2つの加算器120、122と、1つのD型フリップフロップ130と、1つの係数乗算器132とを含んで構成されている。このDC成分抽出フィルタ100には、例えば50kHzのサンプリング周波数fでサンプリングされた16ビットのデジタルデータ(アナログ−デジタル変換器26から出力されるデジタルデータ)が入力されている。
遅延回路110は、タップ数が4K(=4096)に設定されており、DC成分抽出フィルタ100に入力される16ビットのデジタルデータD1を入力順に4K個保持した後に出力する。この遅延回路110は、中間タップを有しないため、シフトレジスタあるいはRAM等の半導体メモリを用いて実現することができる。
加算器120は、DC成分抽出フィルタ100に入力されるデータD1と、後段の加算器122から出力されるデータD3とを加算する。D型フリップフロップ130は、加算器120から出力される加算結果としてのデータD4を1クロック分保持して出力する。加算器122は、D型フリップフロップ130に保持されたデータD5から、遅延回路110から出力されるデータD6を減算した結果を出力する。係数乗算器132は、係数aが1/(4K−1)=1/4095に設定されており、加算器122から出力されるデータD3をa倍した結果をデータD7として出力する。
上述した遅延回路110、加算器120、122、D型フリップフロップ130が累積手段に、係数乗算器132が係数乗算手段にそれぞれ対応する。遅延回路110が遅延手段に、加算器120が第1の加算手段に、加算器122が第2の加算手段に、D型フリップフロップ130がデータ保持手段にそれぞれ対応する。
DC成分抽出フィルタ100の動作開始時には、遅延回路110およびD型フリップフロップ130がリセットされる。したがって、以後、DC成分抽出フィルタ100が動作クロックに同期して動作を開始すると、最初の4K+1個のデータD1が入力されるまでは、D型フリップフロップ130に保持されたデータD5(=D3)が加算器122を介して加算器120に入力されて入力データD1に加算され、累積される。
次に、4K+1個目のデータD1が入力されてこれに対応する累積値がD型フリップフロップ130に保持されると、このタイミングに同期して遅延回路110からは最初のデータD1が出力される。したがって、加算器122では、それまでの累積値(4K個分の入力データD1の累積値)から最初のデータを差し引いて、2番目の入力データD1から4K+1個目の入力データまでの4K−1(=N)個分の累積値を出力する。このようにして、以後、新たなデータD1が入力される毎に、累積演算の対象となる4K−1個の入力データD1を一つずつずらした累積処理が行われる。この累積処理されたデータD3は係数乗算器132によってa(=1/(4K−1))倍されてデータD7として出力される。
ところで、係数乗算器132から出力されるデータD7は、4K−1個の入力データD1を累積した後a(=1/(4K−1))倍して移動平均をとったものであるため、入力データD1を4K−1個分平滑したものであり、入力データD1の低域成分(直流成分)を抽出したことになる。
図3は、DC成分抽出フィルタ100の周波数特性をシミュレートした結果を示す図である。図3において、横軸は周波数を、縦軸は振幅値をそれぞれ示している。図3に示すように、本実施形態のDC成分抽出フィルタ100を用いることにより、十数Hz以下の直流成分が抽出され、それ以上の周波数成分がほとんど除去されている(±0.3dBの範囲内)ことが確認された。
このように、DC成分抽出フィルタ100では、入力データに対して移動平均を計算することにより、入力データに含まれる低域成分(直流成分)を抽出することができる。特に、移動平均のみが行われているため、従来構成のFIRフィルタのように移動平均の計算対象に対応するような数の乗算手段(あるいはステップ)が不要になり、回路規模の削減や処理内容の簡素化が可能になる。
また、上述した移動平均演算は、所定個数Nの入力データの値を累積するとともに、この累積された値に対して1/Nを係数として乗算することにより実現されている。これにより、移動平均を計算する際の累積処理による丸め誤差の発生を防止することができ、計算精度の低下を抑えることができる。特に、この累積処理を行うためには、入力データのビット数よりも12ビット(累積処理の対象となる入力データの数が4K個の場合)多いデータを処理することが可能な加算器120、122、D型フリップフロップ130および係数乗算器132を備える必要があるが、これらによる回路規模の増大は遅延回路110の規模等に比べるとわずかであるといえる。
また、遅延回路110をRAM等の半導体メモリによって構成することにより、規模の大きな遅延回路を容易に実現することができる。
図4は、図1に示したダイレクトコンバージョン受信機の変形例を示す図である。図1に示した構成では、自動利得制御用の制御電圧を低雑音増幅器14に入力したが、図4に示すように、入力回路10に入力して自動利得制御を行うようにしてもよい。例えば、入力回路10には、PINダイオードを用いた可変減衰回路が含まれており、この可変減衰回路における減衰量(利得)を制御電圧に応じて設定するようにしてもよい。
図5は、図1に示したダイレクトコンバージョン受信機の他の変形例を示す図である。図5に示す構成は、図1に示した構成に対して、DC成分抽出フィルタ100を周波数成分分離フィルタ100Aに置き換えるとともにその接続形態を変更したものである。
周波数成分分離フィルタ100Aは、アナログ−デジタル変換器26から出力されるデジタルデータに基づいて、ベースバンド信号に含まれる直流成分(DC成分)を抽出するとともに、この直流成分を除去した後のベースバンド信号を出力する。これにより、例えば10Hz以下の周波数成分と10Hz以上の周波数成分とが分離される。一方の10Hz以下の周波数成分は、DC成分抽出フィルタ100によって抽出された直流オフセット電圧と同等であり、減算器210に入力することにより、図1に示した構成と同様に低雑音増幅器14に対して自動利得制御を行うことができる。また、他方の10Hz以上の周波数成分は、ベースバンド信号から直流オフセット電圧を除去した後の信号であって、後段の信号処理部30に入力される。
次に、周波数成分分離フィルタ100Aの詳細構成について説明する。図6は、周波数成分分離フィルタ100Aの構成を示す図である。図6に示す周波数成分分離フィルタ100Aは、2つの遅延回路110A、110B、3つの加算器120、122、124と、1つのD型フリップフロップ130と、1つの係数乗算器132とを含んで構成されている。なお、周波数成分分離フィルタ100Aは、図2に示したDC成分抽出フィルタ100と類似した構成を有しており、理解を容易にするため、基本的に共通する構成については同じ符号が用いられている。この周波数成分分離フィルタ100Aには、例えば50kHzのサンプリング周波数fでサンプリングされた16ビットのデジタルデータ(アナログ−デジタル変換器26から出力されるデジタルデータ)が入力されている。
一方の遅延回路110Aは、タップ数が2K(=2048)に設定されており、周波数成分分離フィルタ100Aに入力される16ビットのデジタルデータD1を入力順に2K個保持した後に出力する。同様に、他方の遅延回路110Bは、タップ数が2Kに設定されており、一方の遅延回路110Aから出力されるデジタルデータD2を入力順に2K個保持した後に出力する。これら2つの遅延回路110A、110Bは、ともに中間タップを有しないため、シフトレジスタあるいはRAM等の半導体メモリを用いて実現することができる。
加算器120は、周波数成分分離フィルタ100Aに入力されるデータD1と、後段の加算器122から出力されるデータD3とを加算する。D型フリップフロップ130は、加算器120から出力される加算結果としてのデータD4を1クロック分保持して出力する。加算器122は、D型フリップフロップ130に保持されたデータD5から、後段の遅延回路110Bから出力されるデータD6を減算した結果を出力する。
係数乗算器132は、係数aが1/(4K−1)=1/4095に設定されており、加算器122から出力されるデータD3をa倍した結果を出力する。加算器124は、前段の遅延回路110Aから出力されるデータD2から係数乗算器132の出力データD7を減算する。
上述した遅延回路110A、110B、加算器120、122、D型フリップフロップ130、加算器124が減算手段に、遅延回路110A、110B、加算器120、122、D型フリップフロップ130が累積手段に、係数乗算器132が係数乗算手段にそれぞれ対応する。2つの遅延回路110A、110Bが遅延手段に、加算器120が第1の加算手段に、加算器122が第2の加算手段に、D型フリップフロップ130がデータ保持手段にそれぞれ対応する。
周波数成分分離フィルタ100Aの動作開始時には、2つの遅延回路110A、110BおよびD型フリップフロップ130がリセットされる。したがって、以後、周波数成分分離フィルタ100Aが動作クロックに同期して動作を開始すると、最初の4K+1個のデータD1が入力されるまでは、D型フリップフロップ130に保持されたデータD5(=D3)が加算器122を介して加算器120に入力されて入力データD1に加算されて累積される。
次に、4K+1個目のデータD1が入力されてこれに対応する累積値がD型フリップフロップ130に保持されると、このタイミングに同期して後段の遅延回路110Bからは最初のデータD1が出力される。したがって、加算器122では、それまでの累積値(4K個分の入力データD1の累積値)から最初のデータを差し引いて、2番目の入力データD1から4K+1個目の入力データまでの4K−1(=N)個分の累積値を出力する。このようにして、以後、新たなデータD1が入力される毎に、累積演算の対象となる4K−1個の入力データD1を一つずつずらした累積処理が行われる。この累積処理されたデータD3は係数乗算器132によってa(=1/(4K−1))倍された後に加算器124の一方の入力端に入力される。
また、このような累積処理と並行して、累積演算の対象となった4K−1個の入力データD1の中央のデータD2が遅延回路110Aから取り出される。このデータD2は、加算器124の他方の入力端に入力される。加算器124では、係数乗算器132から出力されるデータD7を減算した結果を出力する。
ところで、加算器124の一方の入力端に入力されるデータD7は、4K−1個の入力データD1を累積した後a(=1/(4K−1))倍して移動平均をとったものであるため、入力データD1を4K−1個分平滑したものであり、入力データD1の低域成分(直流成分)を抽出したことになる。したがって、加算器124において、データD2からこの低域成分を減算することにより、直流成分を取り除いた高域成分のみを第2の出力として取り出すことができる。また、加算器124の一方の入力端に接続された係数乗算器132からは、入力データから直流成分を抽出して第1の出力として取り出すことができる。
図7は、周波数成分分離フィルタ100Aの周波数特性をシミュレートした結果を示す図である。図7において、横軸は周波数を、縦軸は振幅値をそれぞれ示している。図7に示すように、本実施形態の周波数成分分離フィルタ100Aを用いることにより、十数Hz以下の直流成分が除去された出力OUT1と、十数Hz以下の直流成分が抽出された出力OUT2を得ることができた。
このように、周波数成分分離フィルタ100Aでは、データに対して移動平均を計算することにより、入力データに含まれる低域成分(直流成分)を抽出することができる。また、この低域成分を入力データから減算することにより、入力データに含まれる直流成分を除去することが可能になる。これにより、入力データに含まれる直流成分とそれ以外の周波数成分の両方を同時に取り出すことが可能になる。特に、移動平均と減算のみが行われているため、移動平均の計算対象に対応するような数の乗算手段(あるいはステップ)が不要になり、回路規模の削減や処理内容の簡素化が可能になる。
また、上述した移動平均演算は、所定個数Nの入力データの値を累積するとともに、この累積された値に対して1/Nを係数として乗算することにより実現されている。これにより、移動平均を計算する際の累積処理による丸め誤差の発生を防止することができ、計算精度の低下を抑えることができる。特に、この累積処理を行うためには、入力データのビット数よりも12ビット(累積処理の対象となる入力データの数が4K個の場合)多いデータを処理することが可能な加算器120、122、D型フリップフロップ130および係数乗算器132を備える必要があるが、これらによる回路規模の増大は遅延回路110A、110Bの規模等に比べるとわずかであるといえる。
また、遅延回路110A、110BをRAM等の半導体メモリによって構成することにより、規模の大きな遅延回路を容易に実現することができる。
なお、図2や図6に示した構成では、DC成分抽出フィルタ100において、係数乗算器132から出力されるデータD7を、入力データに含まれる直流成分として取り出しているが、図2において示すA(加算器122の出力)、B(D型フリップフロップ130の出力)のいずれかから累積データあるいはこれと同等のデータを取り出して、加算器122から出力されるデータの代わりに係数乗算器132に入力するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、累積処理の対象となるデータの個数Nで累積値を除算するために係数乗算器132の係数aを1/Nに設定したが、この係数aを1以下であって1/Nより大きい値に設定するようにしてもよい。係数aを1以下であって1/Nより大きい値に設定することにより、直流成分の抽出と同時にデータの増幅を行うことができる。しかも、後段の回路等で増幅した場合には下位ビットの情報が欠落した後に増幅を行うことになるが、このような係数の設定を行う場合には、下位ビットの情報が欠落する前のデータを取り出すことができるため、S/N比やダイナミックレンジを向上させることができる。
また、上述した実施形態では、移動計算の対象となっているデータの数N(=4K−1個)を奇数に設定したが、この数Nを偶数に設定するとともに2のべき乗の数にすることにより(N=2m )、係数乗算器132を簡単なビットシフト回路によって、あるいはさらに簡単に、配線を工夫してデータを取り出すビット位置を上位側にシフトすることにより実現することができる。例えば、N=4096=212とすると、下位の12ビットの信号線を使用せずに下位から13ビット目より上位の所定ビット数に対応する信号線のみからデータD7を取り出すことにより、係数a=1/212の乗算処理を行うようにしてもよい。これにより、実質的に係数乗算器を用いないDC成分抽出フィルタ100を構成することが可能になる。
また、図6に示した構成では、移動計算の対象となっている4K−1個のデータの中の中央のデータD2を取り出して加算器124に入力したが、このデータD2は、中央位置からではなくその近傍から取り出すようにしてもよい。理論上は、リニアな位相特性を実現するためには、4K−1個の中の中央のデータD2を取り出すことが望ましいが、実際にはデータD2を取り出す位置が若干中央からずれても位相特性が極端に悪化せずに周波数特性および位相特性をほぼ維持することができる。しかも、前段の遅延回路110Aによって保持されるデータ数と後段の遅延回路110Bによって保持されるデータ数の差を1あるいはその他の奇数に設定することにより、これらの値の合計値を奇数にすることができる。この場合には、係数乗算器132の係数a=1/NのNの値を偶数にすることができるため、さらにこのNを2のべき乗の数にすることにより、係数乗算器132を簡単なビットシフト回路によって、あるいはさらに簡単に、配線を工夫してデータを取り出すビット位置を上位側にシフトすることにより実現することができる。例えば、N=4096=212とすると、下位の12ビットの信号線を使用せずに下位から13ビット目より上位の所定ビット数に対応する信号線のみを加算器124の一方端に接続し、これにより係数a=1/212の乗算処理を行うようにしてもよい。これにより、実質的に係数乗算器を用いない周波数成分分離フィルタ100Aを構成することが可能になる。
〔第2の実施形態〕
図8は、第2の実施形態のダイレクトコンバージョン受信機の基本構成を示す図である。図8に示すダイレクトコンバージョン受信機は、図1に示したダイレクトコンバージョン受信機と比べて、DC成分抽出フィルタ100B、デジタル−アナログ変換器(DAC)28A、減算器22を追加した点が異なっており、それ以外の構成については共通する。第1の実施形態と同様に、本実施形態のダイレクトコンバージョン受信機も、アンテナ12やスピーカ34あるいはその他のわずかな部品を除くほとんどの部品が、MOSプロセスあるいはCMOSプロセスを用いて半導体基板上に一体形成されている。また、信号処理部30、DC成分抽出フィルタ100、100Bおよび平均値算出回路200は、例えばDSPを用いて実現することができる。上述したDC成分抽出フィルタ100Bが第2のDC成分抽出フィルタに、デジタル−アナログ変換器28Aが第2のデジタル−アナログ変換器に、減算器22が第2の減算器にそれぞれ対応する。
DC成分抽出フィルタ100Bは、アナログ−デジタル変換器26から出力されるデジタルデータに基づいて、ベースバンド信号に含まれる直流成分(DC成分)である直流オフセット電圧(デジタルデータ)を抽出する。DC成分抽出フィルタ100Bの基本構成は図2に示すDC成分抽出フィルタ100と同じであり、詳細な構成および動作の説明は省略する。DC成分抽出フィルタ100Bの出力は、デジタル−アナログ変換器28Aによってアナログ電圧に変換される。
減算器22は、ミキサ16とローパスフィルタ23の間に挿入されている。減算器22は、ミキサ16から出力されるベースバンド信号からデジタル−アナログ変換器28Aの出力電圧を減算することにより、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を除去する。ベースバンド増幅器24から出力されるベースバンド信号には、ミキサ16において局部発振信号が受信信号の入力側に回り込むことによって生じるDC成分と、ベースバンド増幅器24において発生するオフセット電圧としてのDC成分とが含まれている。DC成分抽出フィルタ100Bは、10Hz以下のこれらのDC成分を抽出し、これらのDC成分の電圧レベルに対応するデータを出力する。このデータは、デジタル−アナログ変換器28Aによって直流オフセット電圧に変換され、減算器22に入力される。減算器22は、ミキサ16から出力されるベースバンド信号から、デジタル−アナログ変換器28Aから出力される直流オフセット電圧を減算して(除去して)出力する。
このように、本実施形態のダイレクトコンバージョン受信機では、10Hz以下のDC成分を抽出することができるDC成分抽出フィルタ100Bを用いることにより、連続的に受信した信号に対応するベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を抽出して除去することが可能になる。また、DC成分抽出フィルタ100を用いることにより、連続的に受信した搬送波の信号レベルを正確に検出して低雑音増幅器14の増幅率を可変することにより、自動利得制御を行うことが可能になる。
なお、図8において点線で示すように、デジタル−アナログ変換器28の出力電圧を入力回路10に入力して自動利得制御を行うようにしてもよい。この場合の入力回路10の動作は、第1の実施形態において図4に示す構成を用いて説明した通りである。
また、本実施形態では、ミキサ16とローパスフィルタ23の間に減算器22を挿入したが、代わりに減算器22をローパスフィルタ23とベースバンド増幅器24の間に挿入するようにしてもよい。
また、本実施形態では、2つのDC成分抽出フィルタ100、100Bを用いているが、これらはともにベースバンド信号に含まれるDC成分を抽出するために用いられているため、これら2つのDC成分抽出フィルタ100、100Bのいずれか一方を省略するようにしてもよい。例えば、図9に示すように、DC成分抽出フィルタ100Bを省略し、DC成分抽出フィルタ100の出力をデジタル−アナログ変換器28Aに入力してもよい。
〔第3の実施形態〕
ところで、上述した第1および第2の実施形態では、ベースバンド信号に含まれるオフセット電圧を抽出することにより、このオフセット電圧を除去したり、低雑音増幅器14等の自動利得制御を行ったりする場合の基本動作を説明したが、実用的なダイレクトコンバージョン受信機を考えた場合には、直交復調を行ってベースバンド信号の同相成分(I信号)と直交成分(Q信号)を分離して処理する必要がある。
図10は、図1の構成に直交復調を追加した第3の実施形態のダイレクトコンバージョン受信機の構成を示す図である。図10に示すダイレクトコンバージョン受信機は、図1に示したダイレクトコンバージョン受信機に比べて、ミキサ316、移相器321、ローパスフィルタ323、ベースバンド増幅器324、アナログ−デジタル変換器326を追加するとともに、信号処理部30を信号処理部330に置き換えた点が異なっている。
局部発振器20から出力される局部発振信号は、移相器321を通すことにより、位相が90°シフトされて出力される。この位相シフト後の局部発振信号がミキサ316に入力される。これにより、ミキサ16から出力されるベースバンド信号(I信号)に対して位相が90°シフトしたベースバンド信号が生成される。
ローパルフィルタ323は、ミキサ316から出力されるベースバンド信号に含まれる必要帯域よりも高い周波数成分を除去する。ベースバンド増幅器324は、ローパスフィルタ323を介して入力されるベースバンド信号を増幅する。アナログ−デジタル変換器326は、ベースバンド増幅器324から出力される増幅後のベースバンド信号を所定周波数でサンプリングしてデジタルデータに変換する。信号処理部330は、デジタルデータに変換されたI信号とQ信号を用いて復調等の信号処理を行って音声データを生成する。
なお、図10に示すダイレクトコンバージョン受信機では、I信号の処理系統にDC成分抽出フィルタ100と平均値算出回路200とを接続したが、Q信号の処理系統にDC成分抽出フィルタ100と平均値算出回路200とを接続するようにしてもよい。また、図10において点線で示すように、デジタル−アナログ変換器28の出力電圧を入力回路10に入力して自動利得制御を行うようにしてもよい。
図11は、図8の構成に直交復調を追加したダイレクトコンバージョン受信機の構成を示す図である。図11に示すダイレクトコンバージョン受信機は、図8に示したダイレクトコンバージョン受信機に比べて、ミキサ316、移相器321、減算器322、ベースバンド増幅器324、アナログ−デジタル変換器326、DC成分抽出フィルタ300B、DAC328Aを追加するとともに、信号処理部30を信号処理部330に置き換えた点が異なっている。図10に示す構成と基本的に同じ動作を行う構成については、同じ符号が付されている。
なお、図11に示すダイレクトコンバージョン受信機では、I信号の処理系統にDC成分抽出フィルタ100と平均値算出回路200とを接続したが、Q信号の処理系統にDC成分抽出フィルタ100と平均値算出回路200とを接続するようにしてもよい。また、図11において点線で示すように、デジタル−アナログ変換器28の出力電圧を入力回路10に入力して自動利得制御を行うようにしてもよい。また、減算器22の接続位置をローパスフィルタ23とベースバンド増幅器24の間に、減算器322の接続位置をローパスフィルタ323とベースバンド増幅器324の間にそれぞれ変更してもよい。
本発明によれば、DC成分抽出フィルタによって入力データに対して移動平均を計算することにより、入力データに含まれる低域成分(直流成分)を抽出することができ、しかも、移動平均の計算対象に対応するような数の乗算手段が不要になるため回路規模の削減や処理内容の簡素化が可能になる。特に、入力データをN個分累積した後に所定の係数(1/N)を乗算しているため、移動平均を計算する際の累積処理による丸め誤差の発生を防止することができ、計算精度の低下を抑えることができる。また、係数を1以下であって1/Nより大きい値に設定することにより、直流成分の抽出と同時にデータの増幅を行うことができる。しかも、後段の回路等で増幅した場合には下位ビットの情報が欠落した後に増幅を行うことになるが、本発明では下位ビットの情報が欠落する前のデータを取り出すことができるため、S/N比やダイナミックレンジを向上させることができる。このようなDC成分抽出フィルタを用いて、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を抽出して、ベースバンド信号の平均値から減算することにより、搬送波の信号レベルを正確に検出することができるため、連続的な受信信号に対して自動利得制御を行うことが可能となる。また、このようなDC成分抽出フィルタを用いることにより、連続的に受信した信号に対応するベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を抽出して除去することが可能となる。

Claims (22)

  1. アンテナを介して受信した信号が入力され、制御電圧に応じた利得で増幅する第1の増幅器と、
    受信を希望する信号と同じ周波数を有する局部発振信号を生成する局部発振器と、
    前記第1の増幅器によって増幅された信号と前記局部発振信号とを混合してベースバンド信号を生成するミキサと、
    前記ミキサから出力されるベースバンド信号を増幅する第2の増幅器と、
    前記第2の増幅器によって増幅された信号をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器と、
    前記アナログ−デジタル変換器から出力されるデータに基づいて、前記ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧としてのDC成分を抽出する第1のDC成分抽出フィルタと、
    前記アナログ−デジタル変換器から出力されるデータの平均値を算出する平均値算出回路と、
    前記平均値算出回路によって算出された平均値から前記第1のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分を減算する第1の減算器と、
    前記第1の減算器によって減算された後のデータをアナログの前記制御電圧に変換する第1のデジタル−アナログ変換器と、
    を備え、前記第1のDC成分抽出フィルタは、所定個数Nの入力データの値を累積する累積手段と、前記累積手段によって累積された値に対して1/Nを係数として、あるいは1以下であって1/Nより大きい係数を乗算する係数乗算手段とを有するダイレクトコンバージョン受信機。
  2. 請求項1において、
    前記累積手段は、
    N+1個の前記入力データを入力順に保持して出力する遅延手段と、
    前記入力データに累積値を加算する第1の加算手段と、
    前記第1の加算手段による加算結果を、前記入力データの入力間隔に相当する時間保持して出力するデータ保持手段と、
    前記データ保持手段から出力されるデータから前記遅延手段の出力データを減算した結果を前記累積値として前記第1の加算手段と前記係数乗算手段のそれぞれに向けて出力する第2の加算手段と、
    を有するダイレクトコンバージョン受信機。
  3. 請求項2において、
    前記第1の加算手段および前記データ保持手段のいずれかの出力を前記係数乗算手段に入力するダイレクトコンバージョン受信機。
  4. 請求項2において、
    前記遅延手段は、半導体メモリによって形成されているダイレクトコンバージョン受信機。
  5. 請求項1において、
    前記係数乗算手段の係数は、mを1以上の整数としたときに、1/2m で表され、
    前記係数乗算手段は、ビット位置をシフトさせることで1/2m を係数とする乗算を行うダイレクトコンバージョン受信機。
  6. アンテナを介して受信した信号を増幅する第1の増幅器と、
    前記アンテナと前記第1の増幅器との間に設けられ、制御電圧に応じた利得を有する入力回路と、
    受信を希望する信号と同じ周波数を有する局部発振信号を生成する局部発振器と、
    前記第1の増幅器によって増幅された信号と前記局部発振信号とを混合してベースバンド信号を生成するミキサと、
    前記ミキサから出力されるベースバンド信号を増幅する第2の増幅器と、
    前記第2の増幅器によって増幅された信号をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器と、
    前記アナログ−デジタル変換器から出力されるデータに基づいて、前記ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧としてのDC成分を抽出する第1のDC成分抽出フィルタと、
    前記アナログ−デジタル変換器から出力されるデータの平均値を算出する平均値算出回路と、
    前記平均値算出回路によって算出された平均値から前記第1のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分を減算する第1の減算器と、
    前記第1の減算器によって減算された後のデータをアナログの前記制御電圧に変換する第1のデジタル−アナログ変換器と、
    を備え、前記第1のDC成分抽出フィルタは、所定個数Nの入力データの値を累積する累積手段と、前記累積手段によって累積された値に対して1/Nを係数として、あるいは1以下であって1/Nより大きい係数を乗算する係数乗算手段とを有するダイレクトコンバージョン受信機。
  7. 請求項6において、
    前記累積手段は、
    N+1個の前記入力データを入力順に保持して出力する遅延手段と、
    前記入力データに累積値を加算する第1の加算手段と、
    前記第1の加算手段による加算結果を、前記入力データの入力間隔に相当する時間保持して出力するデータ保持手段と、
    前記データ保持手段から出力されるデータから前記遅延手段の出力データを減算した結果を前記累積値として前記第1の加算手段と前記係数乗算手段のそれぞれに向けて出力する第2の加算手段と、
    を有するダイレクトコンバージョン受信機。
  8. 請求項7において、
    前記第1の加算手段および前記データ保持手段のいずれかの出力を前記係数乗算手段に入力するダイレクトコンバージョン受信機。
  9. 請求項7において、
    前記遅延手段は、半導体メモリによって形成されているダイレクトコンバージョン受信機。
  10. 請求項6において、
    前記係数乗算手段の係数は、mを1以上の整数としたときに、1/2m で表され、
    前記係数乗算手段は、ビット位置をシフトさせることで1/2m を係数とする乗算を行うダイレクトコンバージョン受信機。
  11. アンテナを介して受信した信号が入力され、制御電圧に応じた利得で増幅する第1の増幅器と、
    受信を希望する信号と同じ周波数を有する局部発振信号を生成する局部発振器と、
    前記第1の増幅器によって増幅された信号と前記局部発振信号とを混合してベースバンド信号を生成するミキサと、
    前記ミキサから出力されるベースバンド信号を増幅する第2の増幅器と、
    前記第2の増幅器によって増幅された信号をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器と、
    前記アナログ−デジタル変換器から出力されるデータに基づいて、前記ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧としてのDC成分を抽出する第1および第2のDC成分抽出フィルタと、
    前記アナログ−デジタル変換器から出力されるデータの平均値を算出する平均値算出回路と、
    前記平均値算出回路によって算出された平均値から前記第1のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分を減算する第1の減算器と、
    前記第1の減算器によって減算された後のデータをアナログの前記制御電圧に変換する第1のデジタル−アナログ変換器と、
    前記第2のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分に相当するデータをアナログ電圧に変換する第2のデジタル−アナログ変換器と、
    前記ミキサから出力されるベースバンド信号から前記第2のデジタル−アナログ変換器の出力電圧を減算することにより、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を除去する第2の減算器と、
    を備え、前記第1および第2のDC成分抽出フィルタは、所定個数Nの入力データの値を累積する累積手段と、前記累積手段によって累積された値に対して1/Nを係数として、あるいは1以下であって1/Nより大きい係数を乗算する係数乗算手段とを有するダイレクトコンバージョン受信機。
  12. 請求項11において、
    前記累積手段は、
    N+1個の前記入力データを入力順に保持して出力する遅延手段と、
    前記入力データに累積値を加算する第1の加算手段と、
    前記第1の加算手段による加算結果を、前記入力データの入力間隔に相当する時間保持して出力するデータ保持手段と、
    前記データ保持手段から出力されるデータから前記遅延手段の出力データを減算した結果を前記累積値として前記第1の加算手段と前記係数乗算手段のそれぞれに向けて出力する第2の加算手段と、
    を有するダイレクトコンバージョン受信機。
  13. 請求項12において、
    前記第1の加算手段および前記データ保持手段のいずれかの出力を前記係数乗算手段に入力するダイレクトコンバージョン受信機。
  14. 請求項12において、
    前記遅延手段は、半導体メモリによって形成されているダイレクトコンバージョン受信機。
  15. 請求項11において、
    前記係数乗算手段の係数は、mを1以上の整数としたときに、1/2m で表され、
    前記係数乗算手段は、ビット位置をシフトさせることで1/2m を係数とする乗算を行うダイレクトコンバージョン受信機。
  16. 請求項11において、
    前記第1および第2のDC成分抽出フィルタのいずれか一方を省略し、他方の出力を前記第1の減算器と前記第2のデジタル−アナログ変換器に入力するダイレクトコンバージョン受信機。
  17. アンテナを介して受信した信号を増幅する第1の増幅器と、
    前記アンテナと前記第1の増幅器との間に設けられ、制御電圧に応じた利得を有する入力回路と、
    受信を希望する信号と同じ周波数を有する局部発振信号を生成する局部発振器と、
    前記第1の増幅器によって増幅された信号と前記局部発振信号とを混合してベースバンド信号を生成するミキサと、
    前記ミキサから出力されるベースバンド信号を増幅する第2の増幅器と、
    前記第2の増幅器によって増幅された信号をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器と、
    前記アナログ−デジタル変換器から出力されるデータに基づいて、前記ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧としてのDC成分を抽出する第1および第2のDC成分抽出フィルタと、
    前記アナログ−デジタル変換器から出力されるデータの平均値を算出する平均値算出回路と、
    前記平均値算出回路によって算出された平均値から前記第1のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分を減算する第1の減算器と、
    前記第1の減算器によって減算された後のデータをアナログの前記制御電圧に変換する第1のデジタル−アナログ変換器と、
    前記第2のDC成分抽出フィルタによって抽出されたDC成分に相当するデータをアナログ電圧に変換する第2のデジタル−アナログ変換器と、
    前記ミキサから出力されるベースバンド信号から前記第2のデジタル−アナログ変換器の出力電圧を減算することにより、ベースバンド信号に含まれる直流オフセット電圧を除去する第2の減算器と、
    を備え、前記第1および第2のDC成分抽出フィルタは、所定個数Nの入力データの値を累積する累積手段と、前記累積手段によって累積された値に対して1/Nを係数として、あるいは1以下であって1/Nより大きい係数を乗算する係数乗算手段とを有するダイレクトコンバージョン受信機。
  18. 請求項17において、
    前記累積手段は、
    N+1個の前記入力データを入力順に保持して出力する遅延手段と、
    前記入力データに累積値を加算する第1の加算手段と、
    前記第1の加算手段による加算結果を、前記入力データの入力間隔に相当する時間保持して出力するデータ保持手段と、
    前記データ保持手段から出力されるデータから前記遅延手段の出力データを減算した結果を前記累積値として前記第1の加算手段と前記係数乗算手段のそれぞれに向けて出力する第2の加算手段と、
    を有するダイレクトコンバージョン受信機。
  19. 請求項18において、
    前記第1の加算手段および前記データ保持手段のいずれかの出力を前記係数乗算手段に入力するダイレクトコンバージョン受信機。
  20. 請求項18において、
    前記遅延手段は、半導体メモリによって形成されているダイレクトコンバージョン受信機。
  21. 請求項17において、
    前記係数乗算手段の係数は、mを1以上の整数としたときに、1/2m で表され、
    前記係数乗算手段は、ビット位置をシフトさせることで1/2m を係数とする乗算を行うダイレクトコンバージョン受信機。
  22. 請求項17において、
    前記第1および第2のDC成分抽出フィルタのいずれか一方を省略し、他方の出力を前記第1の減算器と前記第2のデジタル−アナログ変換器に入力するダイレクトコンバージョン受信機。
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