JPWO2007018065A1 - 近赤外線吸収材料およびその用途 - Google Patents

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Abstract

下記一般式[1]または一般式[2]で表される繰り返し単位(式中、Mは金属原子を表し、R1およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のヘテロアリール基、または、置換もしくは未置換のアルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、または、置換もしくは未置換のアルキレン基を表し、またR1とR2、R3とR4は互いに結合して環を形成してもよく、Y1〜Y4は直接結合もしくはヘテロ原子を表し、Aは直接結合もしくは二価の有機残基を表す。)を有する近赤外線吸収材料およびこれからなる近赤外線吸収剤、さらにこれら近赤外線吸収材料あるいは近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物並びに光学フィルター。一般式[1]:一般式[2]:

Description

本発明は、新規のジチオール系近赤外線吸収材料、該近赤外線吸収材料からなる近赤外線吸収剤、並びに、前記近赤外線吸収材料または近赤外線吸収剤を含有する近赤外線吸収組成物、近赤外線吸収フィルム、積層体および光学フィルターに関するものである。
有機ニッケル系錯体は、一般に950nm〜1200nmの近赤外部に吸収を有し、近赤外線吸収剤として優れた性質を有している。主な用途として、近赤外線を吸収・カットする機能を有する半導体受光素子用の光学フィルター、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用近赤外線吸収フィルム、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用近赤外線カットフィルター、写真用近赤外線フィルター、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学記録用色素、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー溶着、などに用いられる。またCCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルターとしても有用である。
プラズマディスプレイ(PDP)では、800〜1050nmのネオンガスの輝線を発しており、近赤外線リモコンを用いた機器の誤作動を招くという問題があり、近赤外線を吸収し、かつ可視透過率の優れたフィルターが必要である。このフィルターに用いる色素は高い熱安定性、高耐光性が要求されており、経時での材料劣化によるフィルターの色度変化・近赤外線吸収能力の低下が課題となっている。
また、カメラやビデオカメラ等の光学機器では、光信号を電気信号に変換するために、シリコンダイオード素子、相補型金属酸化物半導体(CMOS)や電荷結合素子(CCD)等が使用される。これらの光−電気変換素子(以下、光学素子という)は、300〜1100nmという広範囲の光感応領域を有するので、人間の目の視感度400〜700nmと比較すると、近赤外領域で強く感応することになる。一般に、カメラやビデオカメラのような光学機器では、人間の視感度領域の波長光に感応することが必要で、この領域から外れた波長光はむしろ好ましくなく、測光や色再現性に支障をきたすこととなる。したがって、この場合、可視光線を透過し、かつ、近赤外領域の光を効率よく吸収カットする光学フィルターが必要となる。
上記CCD、CMOS用フィルターとしてりん酸エステル銅化合物を樹脂に分散したもの(例えば、特許文献1〜5参照)、ローパス機能と視感度補正機能を有する複合光学フィルター(例えば、特許文献6参照)ホスフィン酸化物をモノマーの一成分として重合させた樹脂からなるフィルター(例えば、特許文献7参照)等があるが、耐久性・透明性という点では必ずしも満足したものではない。
一方、公知のジチオール系錯体近赤外線吸収剤としては、ビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体化合物(例えば、特許文献8、9参照)、ビス(1,2−アセナフチレンジチオラト)ニッケル錯体化合物(例えば、特許文献10参照)、4−tert−ブチル−1,2−ベンゼンジチオールニッケル錯体(例えば、特許文献11参照)、アルコキシ基を有するビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体化合物(例えば、特許文献12参照)が知られている。また、高分子ジチオール錯体ではジチオラートニッケル高分子錯体(例えば、特許文献13参照)、ビスジチオレン錯体ポリマー(例えば、特許文献14参照)等が知られている。ビスジチオレン錯体ポリマーは、〜800nmと比較的短波長に吸収波長領域があり、一般的な近赤外線吸収材料用途としては不適である。また錯体骨格部位に置換基を持たないため溶解性に乏しいという欠点があった。また多核型チオール錯体(例えば、特許文献15参照)あるいは4級ホスホニウムビス(シス−1,2−エチレンジチオラト)ニッケレート誘導体(例えば、特許文献16参照)、二級アルキル基を有するジチオレート金属錯体(例えば、特許文献17参照)も長波長吸収材料として知られているが、溶媒に対する溶解性が低い、樹脂との相溶性に乏しい、あるいは低い温度に融点を持ち耐熱性に欠けるなど、実用的ではなかった。
同様に近赤外線吸収化合物としてフタロシアニン系材料が知られている。このようなフタロシアニン系材料として、置換基を有するフタロシアニン化合物もしくはナフタロシアニン化合物(例えば、特許文献18参照)、アミノ基を有するフタロシアニン化合物(例えば、特許文献19〜23参照)、含フッ素フタロシアニン化合物(例えば、特許文献24、25参照)等が知られている。
また、ジイモニウム系色素は、長波長(950nm〜1100nm)を幅広く吸収し、かつ可視光の透明性も極めて良好な材料であり、種々のものが知られている(例えば、特許文献26〜、29参照)。そしてこの色素は、高い溶解性、樹脂相溶性をも有している。しかし、耐熱性や耐光性は、必ずしも満足できるものではない。
上記近赤外線吸収材に用いられる近赤外線吸収色素は、一般的に、溶媒に溶解させた後、樹脂と混合してプラスチック等の基板にコーティングするか、或いは樹脂と加熱混練されて、フィルム状、シート状、板状或いはその他の形状に成形されて用いられる。そのため、上記近赤外線吸収色素には、溶媒に対する溶解性や樹脂との相溶性等に優れていることが求められる。さらに、上記近赤外線吸収剤は、野外で使用される場合もあるので、近赤外線吸収色素自身にも高い耐久性、熱安定性等が要求される。
WO99/26951号公報 WO99/26952号公報 特開2000−7871号公報 WO98/55885号公報 特開2000−38396号公報 特開平8−146216号公報 特開2000−98130号公報 特開昭63−227597号公報 特開昭64−61492号公報 特許第2923084号公報 特開昭63−307853号公報 特開平2−264788号公報 特開平4−198304号公報 米国特許第5089585号明細書 特開2005−181966号公報 特公平6−72147号公報 特開2005−232158号公報 特開平10−78509号公報 特開2004−18561号公報 特開2001−106689号公報 特開2000−63691号公報 特許第2746293号公報、 特許第3226504号公報 特許第2907624号公報、 特許第3014221号公報 特開平05−247437号公報 特開2005−325292号公報 特許第3699464号公報 特開2003−096040号公報
従来近赤外線吸収色素として用いられている、置換ベンゼンジチオールニッケル錯体類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ビスジチオベンジルニッケル錯体類等は、近赤外線吸収剤に配合されて用いられたとき、必ずしも満足すべき効果を示しているとはいえない。例えば、フタロシアニン類は、種々の置換基で置換されて、溶媒への溶解性を向上させているが、その結果、耐光性、熱安定性等が劣ったものとなっている。また、吸収スペクトルがシャープであるため近赤外線を吸収できる波長範囲が小さい。一方、置換ベンゼンジチオールニッケル錯体類は、製造が比較的容易であること、耐久性が良好という等の点においては優れているが、溶媒への溶解性が小さく、また樹脂との相溶性に劣るという問題がある。
すなわち、溶媒への溶解度が小さいと、近赤外線吸収剤を溶媒に溶解させて用いるときに、基板として用いるガラス、紙又は樹脂の表面に、近赤外線を遮断するのに十分な量の色素を含有させることが困難となる。十分な量の色素を含有させるべく膜厚を厚くした場合、色素分子同士のスタッキングにより可視光領域に新しい吸収帯が現れ、可視光の透過率の減少を引き起こす。また、分子間相互作用が大きくなり、結果として近赤外線吸収特性の低下を招く。また、近赤外線吸収剤をモノマーと混合し、このモノマーを重合硬化させて近赤外線吸収部材とするときも、モノマーへの溶解度が小さいと、十分な量の色素を含有させることが困難となり、一方、十分な量の色素を含有させるべく溶解度以上の色素を含有させた場合、未溶解の色素が原因となって、近赤外線吸収層が部分的に不透明になるという問題が生じる。さらに、上記近赤外線吸収剤と樹脂との相溶性が悪いと均一な近赤外線吸収特性を有する層を得ることができないという問題も生じる。
したがって、本発明の目的は、製造が容易で、溶剤への溶解性、樹脂との相溶性が良好であり、しかも近赤外吸収領域が広く、耐久性に優れた近赤外線吸収材料を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記優れた特性を有する近赤外線吸収剤を提供することである。
また、本発明の更に他の目的は、上記優れた特性を有する近赤外線吸収材料あるいは近赤外線吸収剤を含有する近赤外線吸収組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記優れた特性を有する近赤外線吸収材料あるいは近赤外線吸収剤を少なくともその一層に含有する近赤外線吸収性積層体あるいはフィルムを提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記優れた特性を有する近赤外線吸収材料または近赤外線吸収剤を含有する光学フィルターを提供することである。
すなわち、本発明は、下記の近赤外線吸収材料、該近赤外線吸収材料からなる近赤外線吸収剤、並びに、該近赤外線吸収材料あるいは該近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収組成物、近赤外線吸収積層体、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収部材、および、光学フィルターに関する。
(1)下記一般式[1]または一般式[2]で表される繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料。
一般式[1]:
Figure 2007018065
一般式[2]:
Figure 2007018065
(一般式[1]および[2]中、Mは金属原子を表し、R1およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のヘテロアリール基、または、置換もしくは未置換のアルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、または、置換もしくは未置換のアルキレン基を表し、またR1とR2、R3とR4は互いに結合して環を形成してもよく、Y1〜Y4は直接結合もしくはヘテロ原子を表し、Aは直接結合もしくは二価の有機残基を表す。)
(2)上記1項に記載の近赤外線吸収材料において、一般式[1]で表される繰り返し単位が下記一般式[3]で表される繰り返し単位であり、また一般式[2]で表される繰り返し単位が下記一般式[4]で表される繰り返し単位であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
一般式[3]:
Figure 2007018065
一般式[4]:
Figure 2007018065
(一般式[3]および[4]中、M、R1、R2、R3、R4およびAは上記1項で定義したものと同一のものである。)
(3)上記1項に記載の近赤外線吸収材料において、一般式[1]で表される繰り返し単位が下記一般式[5]で表される繰り返し単位であり、また一般式[2]で表される繰り返し単位が下記一般式[6]で表される繰り返し単位であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
一般式[5]:
Figure 2007018065
下記一般式[6]:
Figure 2007018065
(式中、M、R1、R2、R3、R4およびAは上記1項で定義したものと同一のものである。)
(4)上記1項に記載の近赤外線吸収材料において、一般式[1]で表される繰り返し単位が下記一般式[7]で表される繰り返し単位であり、また上記一般式[2]で表される繰り返し単位が下記一般式[8]で表される繰り返し単位であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
一般式[7]:
Figure 2007018065
一般式[8]:
Figure 2007018065
(式中、M、R1、R2、R3、R4およびAは上記1項で定義したものと同一のものである。)
(5)上記1〜4項のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、Mがニッケル、白金、コバルト、パラジウムもしくは銅であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
(6)上記1〜5項のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、R1〜R4の少なくとも一つが置換基を有する基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
(7)上記1〜6項のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、R1とR2、および/または、R3とR4が結合して共役または非共役の環を形成していることを特徴とする近赤外線吸収材料。
(8)上記1〜7項のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、Aが、−NHCO−、−CONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−NH−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−、−S−S−、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、置換もしくは未置換のアルキレン基、および置換もしくは未置換のアミノ基からなる群より選ばれた基を任意に組み合わせて成る二価の有機残基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
(9)上記8項に記載の近赤外線吸収材料において、Aが、下記一般式[9]で表される基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
一般式[9]:
Figure 2007018065
(式中、X1〜X3は、それぞれ独立して、直接結合あるいは−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−NH−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−または−S−S−を表し、n1およびn2は0または自然数を表す。)
(10)上記1〜9項のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、該近赤外吸収材料が、2種以上の異なる繰り返し単位を有することを特徴とする近赤外線吸収材料。
(11)上記1〜10項のいずれかの近赤外線吸収材料からなる近赤外線吸収剤。
(12)上記11項に記載の近赤外線吸収剤の少なくとも一種を含有する近赤外線吸収組成物。
(13)上記12項に記載の近赤外線吸収組成物において、前記近赤外線吸収剤が2種以上の近赤外線吸収剤からなることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(14)上記12または13項に記載の近赤外線吸収組成物において、上記11項に記載の近赤外線吸収剤以外の近赤外線吸収剤が更に含有されることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(15)上記14項に記載の近赤外線吸収組成物において、上記11項に記載の近赤外線吸収剤以外の近赤外線吸収剤が、ニッケル錯体系色素、フタロシアニン系色素およびジイモニウム系色素から選ばれた少なくとも一種の近赤外線吸収剤であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(16)上記13項または上記14項に記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物に含まれる近赤外線吸収剤は、最大近赤外線吸収波長の異なる少なくとも2種の近赤外線吸収剤からなることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(17)上記12〜16項のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物に更にバインダー樹脂が含まれることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(18)上記12〜17項のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物に更に溶剤が含まれることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(19)上記12〜18項のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が塗布用組成物であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(20)上記12〜19項のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が粘着または接着剤組成物であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(21)上記項12〜19のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物がレーザー溶着用組成物、レーザーマーキング用組成物、熱線遮断材用組成物またはLED用組成物であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
(22)基材上に、上記1〜10項のいずれかに記載の近赤外線吸収材料を含む層が形成されてなる積層体。
(23)上記22項に記載の積層体において、前記近赤外線吸収材料を含む層が、上記12〜20項のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物により形成されていることを特徴とする積層体。
(24)上記1〜10項のいずれかに記載の近赤外線吸収材料を含む近赤外線吸収フィルム。
(25)上記22または23項に記載の積層体を含んでなる光学フィルター。
(26)上記25項記載の光学フィルターにおいて、該光学フィルターが、プラズマディスプレイ用、液晶ディスプレイ用、CCDカメラ用またはCMOSイメージセンサ用光学フィルターである光学フィルター。
本発明により、製造が容易で、溶媒への溶解性もしくは樹脂との相溶性が良好であり、また近赤外線吸収領域が広く、高耐久性の近赤外線吸収材料を得ることができる。
また、本発明により、前記優れた特性を有する近赤外線吸収剤、これを含有する近赤外線吸収組成物、近赤外線吸収積層体、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収部材、および、光学フィルターを得ることができた。そして、これら光学フィルターは、プラズマディスプレイ用、液晶ディスプレイ用、CCDカメラ用またはCMOSイメージセンサ用光学フィルターとして好ましく使用することができる。
本発明は、上記一般式[1]または一般式[2]で表される繰り返し単位を有する新規な近赤外線吸収材料、それを用いた近赤外線吸収剤、近赤外線吸収組成物、近赤外線吸収積層体、近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収部材、および、光学フィルターに関する。そして、上記一般式[1]または[2]で表わされる繰り返し単位としては、好ましくは、上記一般式[3]〜[8]の繰り返し単位が挙げられる。
前記一般式[1]〜[8]の繰り返し単位を持つ新規な近赤外線吸収材料において、R1、R4は、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のヘテロアリール基、または、置換もしくは未置換のアルキル基を表わし、好ましくは置換もしくは未置換のフェニル基、置換もしくは未置換のチエニル基、置換もしくは未置換のアルキル基である。
以下、一般式[1]〜[8]中のR1、R4における各基を更に詳細に説明する。
一般式[1]〜[8]中のR1、R4における置換もしくは未置換のアリール基は、置換もしくは未置換のアリール基であればよく特に限定されるものではない。置換もしくは未置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−5−ジメチルフェニル基、ビフェニレニル基、トリフェニレニル基、テトラフェニレニル基、3−ニトロフェニル基、4−メチルチオフェニル基、3,5−ジシアノフェニル基、o−,m−およびp−トリル基、キシリル基、o−,m−およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、アントラキノニル基、3−メチルアントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、2−エチル−1−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、6−クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
また、一般式[1]〜[8]中のR1、R4における置換もしくは未置換のヘテロアリール基は、置換もしくは未置換のヘテロアリール基であればよく、特に限定されるものではない。置換もしくは未置換のヘテロアリール基としては、例えば、チオニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フルフリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、2−メチルピリジル基、3−シアノピリジル基等が挙げられる。
さらに、一般式[1]〜[8]中のR1、R4における置換もしくは未置換のアルキル基は、置換もしくは未置換のアルキル基であればよく、特に限定されるものではない。またアルキル基は直鎖でも、分岐したものでも、環化したシクロアルキル基であってもよい。置換もしくは未置換のアルキル基を具体的に示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフロロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、2,4−シクロペンタジエン−1−イリデニル基などが挙げられる。
一方、一般式[1]〜一般式[8]中のR2およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、または、置換もしくは未置換のアルキレン基を表し、またR1とR2、R3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。一般式[1]〜一般式[8]において、RおよびRは、好ましくは、置換もしくは未置換のフェニレン基、置換もしくは未置換のチエニレン基、置換もしくは未置換のアルキレン基である。さらに好ましくはR1とR2あるいはR3とR4が置換基を有してよい共役もしくは非共役の環を形成しているものが好ましい。非共役の環を形成する場合はC2〜C6の炭素数で形成する場合が好ましい。また共役の環を形成する場合にはオレフィン、ベンゼン、チオフェン、を含むものが好ましい。
以下、R2およびR3の基について更に詳細に説明する。
一般式[1]〜[8]中のR2、R3における置換もしくは未置換アリーレン基は、置換もしくは未置換アリーレン基であればよく特に限定されない。置換もしくは未置換アリーレン基は、好ましくは炭素数6〜60の単環または縮合環の置換もしくは未置換アリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは未置換アリーレン基である。置換もしくは未置換アリーレン基を具体的に示すと、例えば、置換されたあるいは未置換のフェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントロリンジイル基、ピレンジイル基、トリフェニレンジイル基、ベンゾフェナントロリンジイル基、ペリレンジイル基、ペンタフェニレンジイル基、ペンタセンジイル基などが挙げられる。
また、一般式[1]〜[8]中のR2、R3における置換もしくは未置換ヘテロアリーレン基は、置換もしくは未置換ヘテロアリーレン基であればよく特に限定されないが、好ましくは炭素数4ないし60の単環または縮合環の置換または未置換の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子、酸素原子または硫黄原子の少なくとも一つを含有する炭素数4ないし60の置換または未置換の単環または縮合環の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは炭素数4ないし30の置換または未置換5員または6員の芳香族ヘテロ環基である。置換または未置換芳香族ヘテロ環基を具体的に示すと、例えば、置換されたあるいは未置換のピロールジイル、フランジイル、チエニレン、ピリジンジイル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、キノリンジイル、イソキノリンジイル、シンノリンジイル、キナゾリンジイル、キノキサリンジイル、フタラジンジイル、プテリジンジイル、アクリジンジイル、フェナジンジイル、フェナントロリンジイルなどが挙げられる。
さらに、一般式[1]〜[8]中のR2、R3における置換もしくは未置換アルキレン基は、置換もしくは未置換アルキレン基であればよく特に限定されない。またアルキレン基は直鎖以外に、分岐したものでも、環化したシクロアルキレン基であってもよい。置換もしくは未置換アルキレン基を具体的に示すと、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基、ステアリレン基、トリクロロメチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられる。
なお、本発明における各基における置換基とは、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。)、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のチオアルコキシ基、シアノ基、アミノ基、モノもしくはジ置換アミノ基、水酸基、メルカプト基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表し、また、置換基は、隣接した置換基同士で置換もしくは未置換をもつ共役もしくは非共役の環を形成しても良い。
置換基としての置換もしくは未置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニレニル基、トリフェニレニル基、テトラフェニレニル基、3−ニトロフェニル基、4−メチルチオフェニル基、3,5−ジシアノフェニル基、o−,m−およびp−トリル基、キシリル基、o−,m−およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、アントラキノニル基、3−メチルアントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、2−エチル−1−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、6−クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
また、置換基としての置換もしくは未置換のヘテロアリール基としては、例えば、チオニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フルフリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、2−メチルピリジル基、3−シアノピリジル基等が挙げられる。
また置換基としてのモノまたはジ置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(アセトオキシメチル)アミノ基、ビス(アセトオキシエチル)アミノ基、ビス(アセトオキシプロピル)アミノ基、ビス(アセトオキシブチル)アミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
また置換基としての置換もしくは未置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフロロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基、2,4−シクロペンタジエン−1−イリデニル基などが挙げられる。
また置換基としての置換もしくは未置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、トリフロロメトキシ基等が挙げられる。
また置換基としての置換もしくは未置換のチオアルコキシ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基等が挙げられる。
また置換基としての置換もしくは未置換のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、p−tert−ブチルフェニキシ基、3−フルオロフェニキシ基等が挙げられる。
また置換基としての置換もしくは未置換のアリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、3−フルオロフェニルチオ基等が挙げられる。
これらの中で好ましい置換基は、炭素数が1〜20のアルキル基、もしくはアルコキシ基、もしくはモノまたはジ置換アミノ基である。また、隣接した置換基同士で5ないし7員環の酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が含まれてもよい脂肪族、炭素環式芳香族、複素環式芳香族、複素環を形成してもよく、これらの環の任意の位置にさらに置換基を有してもよい。
また、一般式[1]または[2]中のY1〜Y4は直接結合もしくは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を表すが、硫黄原子が好ましい。前記一般式[1]または[2]において、Y1〜Yが直接結合である場合は、一般式[3]または[4]で表わされる繰り返し単位となり、Y1、Yが硫黄原子、Y、Yが直接結合である場合は一般式[5]または[6]で表わされる繰り返し単位となり、Y1〜Yがすべて硫黄原子である場合は、一般式[7]または[8]で表わされる繰り返し単位となる。これらはいずれも近赤外線吸収剤として好ましい材料である。
以下、一般式[1]または[2]中の−Y1−R1、−Y4−R4の好ましい例を表1−1、表1−2に示すが、本発明の近赤外線吸収材料における−Y1−R1、−Y4−R4がこれらに限定されるものではない。なお、−Y1−R1および/または−Y4−R4のR1、R4がアリール基である場合、アリール基の−Y1−または−Y4−に対するオルト位に置換基を有する場合、溶剤に対する溶解性が良好なものが得られ好ましい。
Figure 2007018065
Figure 2007018065
また、以下の表2−1、2−2に、基−Y2−R2−、−Y3−R3−の好ましい例を示すが、基−Y2−R2−、−Y3−R3−が表2−1、表2−2に例示されたものに限定されるものではない。なお、−Y2−R2−、−Y3−R3−のR2、R3がアリール基である場合、アリール基の−Y2−または−Y3−に対するオルト位に置換基を有する場合、溶剤に対する溶解性が良好なものが得られ好ましい。
Figure 2007018065
Figure 2007018065
また、一般式[5]〜[8]においては、R1、R4として、上記表1−1、1−2で挙げられたものを含め、下記表3−1、表3−2に記載のものが好ましいものとして挙げられる。
Figure 2007018065
Figure 2007018065
さらに、一般式[5]〜[8]においては、R2、R3として、上記表2−1、2−2で挙げられたものを含め、下記表4−1、表4−2に記載のものが好ましいものとして挙げられる。R2、R3としては、スルフィド結合基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキレン基を含むものが好ましい。スルフィド結合基を有するものは更に好ましい。
Figure 2007018065
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一般式[1]〜[8]において、Aは直接結合もしくは二価の有機残基を表す。Aの二価の有機残基は、例えば、−NHCO−、−CONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−NH−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−、−S−S−、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、置換もしくは未置換のアルキレン基、および置換もしくは未置換のアミノ基からなる群より選ばれた基を任意に組み合わせて成るものであるが、上記一般式[9]で表される二価の有機残基を含むもの、または置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、置換もしくは未置換のアルキレン基、エーテル基、スルフィド結合基、ウレタン結合基、アミド結合基、カルボニル基、エステル基またはアミノ基を含むもの、あるいは、これらを適宜組み合わせたものが好ましい。
一般式[1]〜[8]のAにおける置換もしくは未置換のアリーレン基は、任意の置換もしくは未置換のアリーレン基であってよい。アリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜60の単環または縮合環のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基である。具体例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、フェナントロリンジイル、ピレンジイル、トリフェニレンジイル、ベンゾフェナントロリンジイル、ペリレンジイル、ペンタフェニレンジイル、ペンタセンジイルなどが挙げられ、これらの基は任意に置換基を有していても良い。
また、Aの置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基は、任意の置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基であってよい。ヘテロアリーレン基としては、好ましくは炭素数4ないし60の単環または縮合環の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子、酸素原子または硫黄原子の少なくとも一つを含有する炭素数4ないし60の単環または縮合環の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは炭素数4ないし30の5員または6員の芳香族ヘテロ環基である。芳香族ヘテロ環基の具体例としては、ピロールジイル、フランジイル、チエニレン、ピリジンジイル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、キノリンジイル、イソキノリンジイル、シンノリンジイル、キナゾリンジイル、キノキサリンジイル、フタラジンジイル、プテリジンジイル、アクリジンジイル、フェナジンジイル、フェナントロリンジイルなどが挙げられるが、これらの基は任意に置換基を有していても良い。
Aにおける置換もしくは未置換のアルキレン基は、任意の置換もしくは未置換のアルキレン基であってよい。アルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基、ステアリレン基、トリクロロメチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられ、これらの基は任意に置換基を有していても良い。
なお、上記Aにおける置換基としては、R1〜R4において説明したと同様のものが挙げられる。
以下の表5−1、表5−2に、Aの例を示すが、Aがこれらに限定されるものではない。
Figure 2007018065
Figure 2007018065
本発明においては、一般式[1]〜[8]で表される繰り返し単位を持つ近赤外線吸収材料は重合体の混合物あるいは非共役重合体であっても共役重合体であっても良い。また本発明の近赤外線吸収材料は、一般式[1]および/または一般式[2]で表される繰り返し単位を有する単一重合体または共重合体であってもよい。共重合体においては、一般式[1]または一般式[2]で表される繰り返し単位に含まれる二種以上の異なる繰り返し単位ユニットの共重合体であっても、あるいは一般式[1]または一般式[2]で表される繰り返し単位と一般式[1]または一般式[2]以外の繰り返し単位とからなる共重合体であってもよい。該共重合体は、ランダム、ブロック、またはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子たとえばブロック性をもつランダム共重合体であってもよい。本発明の一般式[1]または一般式[2]で表される繰り返し単位以外の共重合成分としては、重合性反応末端をもつ化合物で、例えば同一分子内に−OH基を少なくとも二つ有する化合物、同一分子内にハロゲン基および−OH基をもつ化合物、同一分子内にハロゲン基を複数もつ化合物、同一分子内に−COOH基を複数もつ化合物、同一分子内に−COCl基を複数持つ化合物、同一分子内に−OH基および−COOH基をもつ化合物、同一分子内に−NH基を複数持つ化合物、同一分子内に−NH基および−COOH基をもつ化合物などが挙げられる。
本発明の近赤外線吸収材料は、耐熱性、耐光性の点からは重量平均分子量は特に限定されないが、たとえばゲルパーミエイションクロマトグラフィー測定法によるポリスチレン換算で1,000〜10,000程度であることが好ましい。
本発明の一般式[1]〜[8]におけるMは金属原子であれば特に限定はないが、ニッケル、コバルト、白金、パラジウムもしくは銅が好ましく、ニッケルが更に好ましい。
本発明の一般式[1]〜[8]のR1、R4は置換または未置換のフェニル基、置換または未置換のチエニル基、炭素数20以下の置換または未置換のアルキル基が好ましく、R2、R3は置換または未置換のフェニル基、スルフィド結合基を含む置換または未置換のフェニレン基、置換または未置換のチエニレン基、炭素数20以下の置換または未置換のアルキレン基が好ましい。
また、上記一般式[1]および一般式[2]、一般式[3]および一般式[4]、一般式[5]および一般式[6]、一般式[7]および[8]はそれぞれ構造異性体であり、区別せずに用いることができるので、近赤外線吸収剤としていずれか一方を用いてもよいし、分離せずに構造異性体の混合物として用いてもよい。また近赤外線吸収領域の異なるユニットを必要に応じて共重合しても良いし、近赤外線吸収領域の異なる重合体同士を混合しても良い。ポリマーに用いられるユニットの構造例を表6に具体的に示すが、本発明のポリマーは以下の代表例に限定されるものではない。なお、表6は、各ユニットモノマーの構造を示すのみで、その重合形態を示したものではない。
Figure 2007018065
Figure 2007018065
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Figure 2007018065
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Figure 2007018065
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Figure 2007018065
Figure 2007018065
本発明の一般式[1]または一般式[2]、一般式[3]または一般式[4]、一般式[5]または一般式[6]、一般式[7]または[8]で表わされる繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料は、例えば次のような合成スキームに従って製造することができる。
なお、合成スキーム中の一般式B〜Eの化合物は、例えばJournal of American Chemical Society,87:7,April 5,1965もしくは米国特許第5089585号公報記載の合成法に従った方法で製造することができる。また、一般式F〜Hの化合物は、特開2005−232158号公報記載の合成方法により製造することができる。式中Qは一般式[1]〜一般式[8]におけるAの一部に相当する。
<合成スキーム1>
Figure 2007018065
<合成スキーム2>
Figure 2007018065
<合成スキーム3>
Figure 2007018065
<合成スキーム4>
Figure 2007018065
<合成スキーム5>
Figure 2007018065
<合成スキーム6>
Figure 2007018065
<合成スキーム7>
Figure 2007018065
<合成スキーム8>
Figure 2007018065
上記スキームにおける合成は、例えば次のようにして行われる。
(合成条件例)
窒素雰囲気下、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトンなどの極性溶剤中NaOH、KOH、K2CO3、Na2CO3、トリエチルアミンなどの塩基をB〜Hに対して2当量〜50当量、好ましくは8当量〜20当量使用してQを含むジオール、ジアミン、ジ酸塩化物、ジブロマイドと共に40℃〜150℃、好ましくは50℃〜100℃において加熱撹拌するとスキーム中、括弧内の繰り返し単位をもつ化合物を合成することができる。取り出しは不溶物をろ過後、メタノール、エタノールなどのアルコールに再沈殿することにより行う。
前記一般式[1]または[2]の繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料あるいはこの近赤外線吸収材料からなる本発明の近赤外線吸収剤は、近赤外線の吸収が必要とされる用途であればどのような用途においても用いることができ、またその使用態様、使用形態も近赤外線吸収材料の構造により制限を受けることはない。すなわち、本発明の近赤外線吸収材料あるいは近赤外線吸収剤は、一般式[1]または一般式[2]の繰り返し単位構造を含む近赤外線吸収材料以外の他の近赤外線吸収剤等の光吸収性色素や紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤等の補助的材料とともに用いることができるし、また、本発明の近赤外線吸収材料および近赤外線吸収剤は、これら補助的成分と共に溶剤に溶解または溶剤または水に分散させる、あるいは必要であればバインダー樹脂等とともに溶剤に溶解または溶剤または水に分散して近赤外線吸収組成物(塗布剤)とし、これを基材等に塗布して近赤外線吸収層を形成することができるし、バインダー樹脂が自己支持性フィルムを形成することができるものであれば、剥離性基材上に塗布してフィルムを形成した後、剥離性基材からフィルムを剥離し、近赤外線吸収フィルムとして利用することもできる。このとき塗布用組成物は油性であっても、水性であってもよく、溶液であっても、ペースト状であってもよい。
また、前記のように近赤外線吸収層を形成することに代え、粘着剤あるいは接着剤層、紫外線吸収層、ハードコート層、基材など他の機能層に本発明の近赤外線吸収剤を含有させ、これら層に近赤外線吸収特性を付与してもよい。例えば、粘着剤層あるいは接着剤層に本発明の近赤外線吸収材料または近赤外線吸収剤を含有させるには、従来公知の粘着剤あるいは接着剤組成物に本発明の近赤外線吸収材料あるいは近赤外線吸収剤を添加し、近赤外線吸収性の粘着剤あるいは接着剤を得ること、この近赤外線吸収性の粘着剤あるいは接着剤を用いて、近赤外線吸収性の粘着層あるいは接着層を形成し、この層を近赤外線吸収フィルター層として利用すればよい。このとき、必要であれば、前記他の成分を含ませてもよい。また必要であれば、成形樹脂中に含有させ、近赤外線吸収フィルムあるいは成形物を形成することもできる。前記本発明の近赤外線吸収材料あるいは近赤外線吸収剤を含む近赤外線吸収層を有する積層体あるいは単体フィルムは光学フィルターとして好ましく用いられる。
前記のとおり、本発明の近赤外線吸収組成物は、本発明の近赤外線吸収材料または近赤外線吸収剤と、必要に応じ用いられる他の光吸収性色素、安定剤、バインダー樹脂、溶剤、粘着性樹脂、他の補助成分、必要であれば他の機能層を形成する成分などにより構成される。
前記他の光吸収性色素としては、例えば、シアニン系、キノリン系、クマリン系、チアゾール系、オキソノール系、アズレン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、アゾ系、ベンジリデン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ナフトキノン系、アントロキノン系、トリフェニルメタン系、ジイモニウム系、前記一般式[1]または一般式[2]で表される金属錯体以外のジチオール金属錯体系化合物等が挙げられる。
上記他の光吸収性色素としては、近赤外線吸収剤であるニッケル錯体系色素および/またはフタロシアニン系色素および/またはジイモニウム系色素が好ましいものである。本発明の近赤外線吸収剤に対するこれら他の光吸収性色素の添加量は、本発明の近赤外線吸収剤100重量部に対して、好ましくは20〜500重量部、より好ましくは50〜200重量部である。吸収スペクトルとの兼ね合いでフィルムとしたときの可視光透過率が70〜80%以上、近赤外領域の透過率は10%以下となる比率が好ましい。
上記ニッケル錯体系色素としては、下記一般式[10]の構造を有するものが挙げられ、これはさらに一価のカチオンとのイオン化化合物となっていても良い。
一般式[10]:
Figure 2007018065
[式中R9〜R12はOまたはSまたはNを表す。]
上記一般式[10]の構造を有するニッケル錯体系色素としては、具体的にはAmerican Dye Source,Ink(Laser Dyes & Near Infrared Dyes)から市販されるADS845MC、ADS870MC、ADS880MC、ADS890MC、ADS920MC、ADS990MC等が挙げられるがこれらに限定したものではない。
一方、フタロシアニン系色素としては、下記一般式[11]で挙げられるものが好ましいものである。
一般式[11]:
Figure 2007018065
(M1は金属原子、式中R13〜R28は水素原子もしくは置換基を表し、M1にはさらに置換基を有しても良い。)
具体的には株式会社日本触媒製イーエクスカラーIR−10、IR−12、IR−14等があるが、フタロシアニン系色素がこれらに限定されるものではない。
さらにジイモニウム系色素としては、下記一般式[12]の構造を含むものが好ましいものである。
一般式[12]:
Figure 2007018065
(式中、Xはハロゲンイオン、無機酸イオンまたは有機酸イオンを表す。)
上記一般式[12]においてXのハロゲンイオンとしては、例えばヨウ素イオン、臭素イオン、塩素イオン、フッ素イオン等が挙げられる。また、無機酸イオンとしては、例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。有機酸イオンとしては、例えば、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。市販品としては、例えば日本化薬(株)製IRG−022、IRG−023、IRG−040等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、本発明の近赤外線吸収剤や上記他の光吸収性色素の、光あるいは熱に対する安定化を図る目的で使用される上記各種安定化剤としては、例えば、ハイドロキノン誘導体(米国特許3935016号明細書、米国特許3982944号明細書)、ハイドロキノンジエーテル誘導体(米国特許4254216号明細書)、フェノール誘導体(特開昭54−21004号公報)、スピロインダン又はメチレンジオキシベンゼンの誘導体(英国特許出願公開2077455号明細書、英国特許2062888号明細書)、クロマン、スピロクロマン又はクマランの誘導体(米国特許3432300号明細書、米国特許3573050号明細書、米国特許3574627号明細書、米国特許3764337号明細書、特開昭52−152225号公報、特開昭53−20327号公報、特開昭53−17729号公報、特開昭61−90156号公報)、ハイドロキノンモノエーテル又はパラアミノフェノールの誘導体(英国特許1347556号明細書、英国特許2066975号明細書、特公昭54−12337号公報、特開昭55−6321号公報)、ビスフェノール誘導体(米国特許3700455号明細書、特公昭48−31625号公報)、金属錯体(米国特許4245018号明細書、特開昭60−97353号公報)、ニトロソ化合物(特開平2−300288号公報)、ジインモニウム化合物(米国特許465612号明細書)、ニッケル錯体(特開平4−146189号公報)、酸化防止剤(欧州特許820057号明細書)が挙げられる。また、本発明の光学フィルターは、一重項酸素等のクエンチャーとして、芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、ビスイミニウム化合物、遷移金属キレート化合物等を含有してもよく、本発明の近赤外線吸収剤の効果を阻害しない範囲において、ビスチオラート金属錯体アニオン等のクエンチャーアニオンを用いてもよい。
本発明の近赤外線吸収剤に対し補助的に用いられる、本発明の近赤外線吸収剤以外の光吸収性色素や各種安定剤等の添加剤の量は、本発明の近赤外線吸収剤100重量部に対し、好ましくは20〜200重量部、更に好ましくは50〜150重量部である。吸収スペクトルとの兼ね合いでフィルムとしたときの可視光透過率が70〜80%以上、近赤外領域の透過率は10%以下となる比率が好ましい。
前記したとおり、本発明の近赤外線吸収剤は、必要に応じてバインダー樹脂と共に塗布組成物を形成することができる。この塗布組成物を基材上に塗布することにより、近赤外線吸収剤を含む層を形成して、基材との積層体とすることができる。この積層体は、基材の種類を選択することにより、例えば、光学フィルター、光学反射板、光学拡散板などとして用いることができるし、その他、農業用近赤外線吸収フィルム、熱線遮断フィルム、保護めがね、サングラス、電子写真感光体などとしても利用できる。また本発明の近赤外線吸収剤は、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、光学記録用色素、光学文字読み取り記録用材料、機密文書複写防止用層、レーザー溶着のための近赤外線吸収剤などしても利用できる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、脂肪族エステル系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂およびそれらの共重合樹脂を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料も挙げられる。これらバインダー樹脂は、塗布組成物が油性であるか水性であるかにより、適宜の樹脂、共重合体が選択される。
油性の塗布剤を構成する有機溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、およびそれらの混合溶媒を挙げることができる。一方、水性の塗布剤の調製方法としては、例えば、本発明の近赤外線吸収剤を微粉化処理して数マイクロメーター以下の微粒子を得、当該微粒子を、未着色のアクリル系のポリマーエマルジョン中に分散させる方法を挙げることができる。
本発明の近赤外線吸収組成物が粘着剤として用いられる場合、バインダーとして粘着性バインダーを使用しても良い。粘着性バインダーとしては、アクリル系、ウレタン系、ゴム系などが挙げられる。アクリル系として用いることのできるモノマーとしてはアクリルモノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。これらは、粘着剤としての望ましい物性を得る目的のため、適宜選択して単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、粘着物性を確保するという点で、炭素数が4〜12のアクリル系モノマーを共重合成分として用いることが好ましく、さらに好ましくは、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを共重合成分として用いることである。
上述粘着性バインダーにおいてアクリル系モノマー、アルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー、及びその他のモノマー等を共重合してなるアクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は5万〜100万であることが好ましく、5万〜20万の低分子量アクリル系共重合体であることがより好ましい。
さらに、粘着性バインダーと本発明の近赤外線吸収剤とを含んでなる粘着剤は、基材上に公知の方法で塗工されて、積層体である粘着剤シートとなる。ここで用いられる基材は、後に記載する基材のほか、紙、金属、布なども用いられる。また、粘着性バインダーが、単独でシートを構成できる場合は、基材を必要としない粘着剤シートとなる。また、基材の両面に粘着剤が塗工される形態であってもよい。ただし、一方の面の粘着剤が、本発明の粘着剤を含まない場合であってもよい。
粘着性バインダー樹脂を含むバインダー樹脂に対する本発明の近赤外線吸収剤の添加量は、該樹脂100重量部に対して近赤外線吸収剤0.01〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは該樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部である。この割合が0.01重量部未満である場合には、近赤外線領域の波長光を効率よく吸収することができず、一方、20重量部を超える場合には、近赤外線吸収剤の分散性が低下して透明性(可視光線透過性)が損なわれることがある。
本発明における接着剤組成物は本発明の近赤外線吸収剤および接着剤からなる近赤外線吸収性を有する加工材料である。本発明の近赤外線吸収組成物としての接着剤組成物は、本発明の近赤外線吸収材料を、接着性を有する適宜の媒体に溶解または分散させることにより調製することができる。
本発明の近赤外線吸収材料または近赤外線吸収剤は、光学フィルターを構成する色素として好ましく利用することができる。光学フィルターを形成する方法としては、本発明の近赤外線吸収材料または近赤外線吸収剤、上記の他の光吸収性色素や各種安定剤を、例えば、光学フィルターを構成する基材又は任意の層に含有させる方法、基材又は任意の層上にコーティングする方法、各層間のポリマーバインダーや接着剤、粘着材に混入させる方法、本発明の近赤外線吸収剤等を含有する近赤外線吸収層を上記の各層とは別に設ける方法等が挙げられる。基材上に近赤外線吸収層を形成する場合、基材に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層等の各層が設けられてもよい。本発明の近赤外線吸収剤は、光学フィルターを構成する層間にポリマーバインダーや接着剤、粘着剤に混入させて近赤外線吸収層を設ける方法に好適に用いることができる。
本発明の近赤外線吸収材料または近赤外線吸収剤が光学フィルターで用いられる場合、その使用量は、光学フィルターの単位面積当たり、通常1〜1000mg/m2であり、好ましくは5〜100mg/m2である。1mg/m2未満の使用量では、近赤外線吸収効果を十分に発揮することができず、1000mg/m2を超えて使用した場合には、フィルターの色目が強くなりすぎて表示品質等を低下させるおそれがあり、さらには、明度が低下するおそれもあるため好ましくない。
上記基材の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;あるいは、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン等の高分子材料が挙げられる。光学フィルター用途であれば、基材は透明支持体であることが好ましく、透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
これらの基材中には、必要に応じ、光吸収性色素、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機微粒子等を添加することができ、また、これらの基材には各種の表面処理を施すことができる。
上記無機微粒子としては、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等の無機微粒子が挙げられる。また、上記各種表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。
上記下塗り層は、本発明の近赤外線吸収材料または近赤外線吸収剤を含有する近赤外線吸収層を設ける場合に、基材と近赤外線吸収層と接着性などを改善するために基材と近赤外線吸収層との間に用いる層である。上記下塗り層は、ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む層、近赤外線吸収層側の表面が粗面である層又は近赤外線吸収層のポリマーと親和性を有するポリマーを含む層として形成される。なお、近赤外線吸収層が設けられていない基材の面に下塗り層を設けて、基材とその上に設けられる層(例えば、反射防止層、ハードコート層)との接着力を改善するために設けてもよく、また、下塗り層は、光学フィルターと画像形成装置とを接着するための接着剤と光学フィルターとの親和性を改善するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、2nm〜20μmが好ましく、5nm〜5μmがより好ましく、20nm〜2μmがさらに好ましく、50nm〜1μmがさらにまた好ましく、80nm〜300nmが最も好ましい。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で、基材と近赤外線吸収層とを接着する。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーは、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル又はメチルビニルエーテルの重合又はこれらの共重合により得ることができる。上記ガラス転移温度は、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、25℃以下であることがさらにまた好ましく、20℃以下であることが最も好ましい。下塗り層の25℃における弾性率は、1〜1000MPaであることが好ましく、5〜800MPaであることがさらに好ましく、10〜500MPaであることが最も好ましい。表面が粗面である下塗り層は、粗面の上に近赤外線吸収層を形成することで、基材と近赤外線吸収層とを接着する。表面が粗面である下塗り層は、ポリマーラテックスの塗布により容易に形成することができる。ラテックスの平均粒径は、20nm〜3μmであることが好ましく、50nm〜1μmであることがさらに好ましい。近赤外線吸収層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマーとしては、アクリル樹脂、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、可溶性ナイロン、高分子ラテックス等が挙げられる。また、本発明の光学フィルターにおいては、二以上の下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、基材を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤や硬膜剤等を添加してもよい。
また、上記反射防止層中においては、低屈折率層が必須である。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、同6−115023号、同8−313702号、同7−168004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、同6−299091号、同7−168003号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、同6−56478号、同7−92306号、同9−288201号の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間又は微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。微粒子を含む層は、3〜50体積%の空隙率を有することが好ましく、5〜35体積%の空隙率を有することがさらに好ましい。
広い波長領域の反射を防止するためには、上記反射防止層において、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.90であることが好ましく、1.55〜1.70であることがさらに好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることがさらに好ましく、30nm〜1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、環状(脂環式又は芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応により形成されたポリマーを用いることもできる。
さらに高い屈折率を得るため、ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80〜2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物又は硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は硫化物としては、酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物又は硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。ここで、主成分とは、無機微粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S等が挙げられる。また、被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例えばキレート化合物)、活性無機ポリマー等を用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。
上記反射防止層の表面には、アンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成し、そしてその表面に反射防止層を形成するか、あるいは、反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を有する反射防止層を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
上記ハードコート層は、透明支持体の硬度よりも高い硬度を有する。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー、オリゴマー又はモノマー(例えば紫外線硬化型樹脂)を用いて形成することができる。また、シリカ系材料からハードコート層を形成することもできる。
上記反射防止層(低屈折率層)の表面には潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、低屈折率層表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例えばシリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤又はその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
上記の近赤外線吸収層、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層等は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)等が挙げられる。二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。
本発明の近赤外線吸収材料を樹脂材の溶着に用いれば、レーザーを照射することにより樹脂材同士の色調差を小さく接合することができ、また当接面同士を確実に溶着させて十分な接合強度を得ることができる。すなわち、近年、軽量化及び低コスト化等の観点より、自動車部品等、各種分野の部品として樹脂成形物が頻繁に用いられている。また、樹脂成形物の高生産性化等の観点より、樹脂成形物を予め複数に分割して成形し、これらの分割成形物を互いに接合する手段が採られることが多い。樹脂材同士の接合は、従来、レーザーに対して透過性のある透過性樹脂材と、レーザーに対して吸収性のある吸収性樹脂材とを重ね合わせた後、前記透過性樹脂材側からレーザーを照射することにより、透過性樹脂材と吸収性樹脂材との当接面同士を加熱溶融させて両者を一体的に接合するレーザー溶着方法により行われている。さらに、従来のレーザー溶着方法では、同種あるいは異なる種類の樹脂部材の接合において、接合される樹脂部材がレーザーに対して吸収性を有するものと吸収性を有さないものの2種類となるため、その色調に差が生じ、接合された樹脂部材の使用用途に限界があった。具体的には、レーザーに対して非吸収性の樹脂材料は白色あるいは透明のレーザー透過色であり、吸収性の部材はカーボンブラック等の黒色系のレーザー吸収色であるため、見た目の違和感を生じるようになっていた。すなわち、このような異なる色の樹脂材料を接合すると、見た目の接合力が弱く感じられるとともに、接合部が目立つという問題を有していた。
本発明の材料を用いれば、透過性樹脂材内を透過したレーザーが吸収性樹脂材の当接面に到達して吸収され、この当接面に吸収されたレーザーがエネルギーとして蓄積される。その結果、吸収性樹脂材の当接面が加熱溶融されると共に、この吸収性樹脂材の当接面からの熱伝達により透過性樹脂材の当接面が加熱溶融される。この状態で、透過性樹脂材及び吸収性樹脂材の当接面同士を圧着させれば、両者を一体的に接合することができる。本材料は可視光線の透過率が良好であることから、レーザー透過性樹脂材との色調差を小さくすることができ、また近赤外線領域の吸収において大きなモル吸光係数を有しているためレーザーの照射により透過性樹脂材及び吸収性樹脂材の当接面同士を確実に溶着させて十分な接合強度をもつ樹脂組成物を提供できる。
本発明の光学フィルターを用いれば太陽光の可視光線を有効に透過させ、かつ熱線を確実にカットできる。また耐久性に優れているため長期にわたって太陽光に暴露しても熱線遮断能力が損なわれることはない。
本発明の光学フィルターは、撮像装置(画像入力装置)におけるCCD(例えばシリコンフォトダイオードからなる光電変換素子)のための視感度補正フィルターとして好適に用いることができる。ここに、「CCDのための視感度補正フィルター」には、CCDに至る光路中に単独で配置される視感度補正フィルターのほか、リッド、レンズおよび保護板などが含まれるものとする。また、CCDを搭載する撮像装置としては、例えばビデオカメラ、デジタルカメラ、ボードカメラ、カラースキャナ、カラーファックス、カラー複写機、カラーテレビ電話装置などを挙げることができる。本発明の光学フィルターを搭載してなる撮像装置によれば、CCD(シリコンフォトダイオード)への入射光を、実質的に可視領域の光に限定することができ、この結果、正確な測光(露出操作)を行うことができ、しかも、赤色成分の再現にも支障を来すことはない。
本発明の光学フィルターは、CMOSイメージセンサまたは人工網膜が搭載された撮像装置(画像入力装置)のための視感度補正フィルターとして好適に用いることができる。本発明の光学フィルターを備えたCMOSイメージセンサおよび人工網膜、並びにこれらを搭載してなる撮像装置によれば、上述したCCDにおける効果と同様の効果を奏することができる。
また本発明の光学フィルターは、赤外線通信装置(850〜950nmの光を媒体とする通信装置)が使用される環境におけるノイズカットフィルターとして好適に用いることができる。かかるノイズカットフィルターによれば、近赤外線の発生源(例えば自動ドア、リモコンなど近赤外線を用いた機械)をカバーし、当該発生源からの赤外線を遮断することにより、通信中におけるノイズの発生を確実に防止することができる。
また、本発明の光学フィルターを、プラズマディスプレイ装置もしくは液晶パネルディスプレイ装置のパネルの前面に配置することによって、当該パネルから照射される近赤外線を効率よくカットすることができる。この結果、当該ディスプレイ装置の周囲において、近赤外線に起因するリモコンの誤動作などを生じさせることはない。
本発明の光学フィルターは好ましくは、ディスプレイ用フィルターまたはCCD、CMOSイメージセンサ用フィルターとして配置されその配置方法は何ら制限を受けるものではない。
さらに、LEDは高効率かつ高輝度発光でRGB三色にて現在様々な分野で利用されている。しかしながら、比較的大きなエネルギーを発生させるため発熱源となり、ダイオード使用機器は常に高温にさらされるという問題を有している。発熱の原因は、ダイオードの輻射熱・赤外線発生によるものである。本発明の近赤外線吸収材料および近赤外線吸収剤は、近赤外線の吸収能に優れており、かつ高い可視光透明性を有しているため、LEDの発光色を変えることなく赤外線をカットできる。また、高耐熱性および高耐光性を有しているため、長時間本材料をLEDに用いても近赤外線吸収能が衰えることは無い。このように、本発明の近赤外線吸収材料および近赤外線吸収剤を用いたLED用組成物により、LED発光ダイオードの発光による発熱を抑制することができる。
また、最近では、簡便かつ効率的にマーキングを行う方法として、レーザー光の照射によるマーキングが盛んに行われている。このレーザー光の照射によるマーキング方法は、文字やイラスト状にレーザー光を照射した部分が熱エネルギーにより変色し、光の散乱によって文字やイラストが識別できるというものである。
例えば、特開平9−302236号公報には、ロイコ色素、発色補助成分及び熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物を、成形後、レーザー光を照射することにより、レーザーマーキングが可能であることが開示されている。しかしながら、混練時の熱により発色成分の反応が起こるため、発色成分が限定され、発色の自由度が制約される。また、特開平11−92632号公報には、発色剤として銅系化合物及びニッケル系化合物を含むエポキシ樹脂にレーザー光を照射することにより、樹脂成形品の表面にレーザーマーキングする技術が開示されているが、この場合は黒色のマーキングに限られている。特開平8−120133号公報には、ゴム強化ビニル系樹脂にチタンブラック等の化合物を配合した有彩色のレーザーマーキングが可能な樹脂組成物が開示されているが、この場は樹脂が、ゴム強化ビニル系樹脂に限られており、その応用展開に制約がある。
本発明の材料は高い可視光線透過率および高い近赤外線吸収能を持つため低出力の活性エネルギー線でマーキング可能な、透明性の高いマーキング用組成物を提供できる。また鮮明で高速且つ高精度の文字やイラスト等の模様を、簡単に素早くマーキングすることができる。
図1は、P−1の吸収スペクトルを示す。 図2は、P−1の積層体における吸収スペクトルを示す。 図3は、P−23の積層体における吸収スペクトルを示す。 図4は、P−43の積層体における吸収スペクトルを示す。 図5は、実施例3におけるP−23使用の積層体における吸収スペクトルを示す。 図6は、実施例8におけるP−43使用の積層体における吸収スペクトルを示す。
以下、製造例および実施例にて本発明を詳細に説明する。しかし本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
[製造例1]化合物1の合成
Figure 2007018065
窒素気流下、四つ口フラスコにフェニルグリオキサール一水和物(4.56g、30mmol)、ブロモエチルベンゼン(11.1g、60mmol)、ジクロロエタン60mlを仕込み、これに四塩化チタン(8.54g、45mmol)をゆっくり滴下し、室温において3時間撹拌を行った。反応終了後水を加えて抽出を行ったのちエバポレーションを行い、ヘキサンで再結晶を行い、上記化合物1を得た。収率46%。
[製造例2]化合物2の合成
Figure 2007018065
製造例1で合成したベンゾイン誘導体化合物1(3.0g、9.4mmol)、五硫化二りん(12.53g、28.2mmol)、ジオキサン50mlを四つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、2時間リフラックスした。反応後ろ過を行い、ろ液にNiCl2・6H2O(1.12g、4.7mmol)水溶液を加え、再びリフラックスを2時間行った。反応終了後、水、メタノールを加えしばらく撹拌した後、ろ過を行い上記化合物2を回収した。収率45%。
[製造例3]P−1の合成
Figure 2007018065
製造例2で合成した化合物2(0.8g、1.06mmol)とビスフェノールA(0.24g、1.06g)およびK2CO3(1.16g、8.44mmol)およびDMF40mlを四つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下80℃で8時間撹拌した。反応終了後ろ過、エバポレーションを行い、水/メタノール=1/2の溶液に滴下、さらに少量のHCl水溶液を加え、洗浄を行った。ろ過して目的物であるP−1を回収した。収率50%。
図1にP−1のクロロホルム中での吸収スペクトルを示す。図1から、P−1は、可視光に吸収が少なく、近赤外領域で大きな吸収を持つことが分かる。
[製造例4]化合物3の合成
Figure 2007018065
窒素気流下、四つ口フラスコにジメチルフェニルグリオキサール(70g、388mmol)、ブロモエチルベンゼン(72g、388mmol)、ジクロロエタン500mlを仕込み、これに四塩化チタン(110g、583mmol)をゆっくり滴下し、室温において3時間撹拌を行った。反応終了後水を加えて抽出を行ったのちエバポレーションを行い、ヘキサンで再結晶を行い、上記化合物3を得た。収率60%。
[製造例5]化合物4の合成
Figure 2007018065
製造例4で得たベンゾイン誘導体化合物3(50g、94mmol)、五硫化二りん(12.5g、56mmol)、ジオキサン200mlを四つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、2時間リフラックスした。反応後ろ過を行ない、ろ液にNiCl2・6H2O(11.2g、47mmol)水溶液を加え、再びリフラックスを2時間行った。反応終了後、水、メタノールを加えしばらく撹拌した後、ろ過を行い、上記化合物4を回収した。収率45%。
[製造例6]P−23の合成
Figure 2007018065
製造例5で合成した化合物4(1.5g、1.8mmol)とデカンジオール(0.32g、1.8mmol)およびK2CO3(1.16g、8.44mmol)およびDMF(ジメチルホルムアミド)40mlを四つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下80℃で8時間撹拌した。反応終了後ろ過、エバポレーションを行い、水/メタノール=1/2の溶液に滴下、さらに少量のHCl水溶液を加え、洗浄を行った。ろ過して目的物である上記P−23を回収した。収率50%。
[実施例1]
下記化合物5、化合物6(特開平2−264788号公報参照)および製造例3で得られたP−1、製造例6で得られたP−23のトルエンに対する溶解度を測定した。結果を表3示す。
Figure 2007018065
Figure 2007018065
表7から、化合物5、化合物6に比べて本発明のP−1およびP−23の方が溶解性に優れていることが分かる。
[実施例2]
化合物5、化合物6、P−1およびP−23を、各々固形分25%のポリスチレン(Mw=100000)溶液(溶剤トルエン)に、固形分に対して約2%混合し、PETフィルムに塗工した。これらのフィルムについて下記<Haze値の測定>によりHaze値を測定した。結果を表4に示す。
<Haze値の測定>
Haze値の測定は、NIPPON DENSHOKU製 Haze Mater NDH2000にて行った。
Figure 2007018065
上記表8より、化合物5、化合物6に比べてP−1およびP−23が比較的低Haze値を有していることが分かる。このことは樹脂に対する相溶性、溶解性が他に比べて優れているということを意味していると考えられる。
[実施例3]
化合物5、化合物6、P−1およびP−23を、各々固形分25%のポリスチレン(Mw=100,000)溶液(溶剤トルエン)に、固形分に対して約1.0%、またそれぞれにジイモニウム色素(日本化薬株式会社製IRG−022)2%を混合し、PETフィルムに塗工した。これらフィルムについて、実施例2と同様にしてHaze値を測定した。結果を表9に示す。
Figure 2007018065
上記表9より、化合物5、化合物6に比べてP−1およびP−23が低Haze値を有していることが分かる。
[実施例4]
化合物5、化合物6、P−1およびP−23を、各々固形分25%のアクリル系粘着材(モノマー組成:アクリル酸ブチル60%、アクリル酸イソブチル30%、アクリル酸3%、アクリル酸−2−エチルヘキシル7%、溶剤組成:酢酸エチル80%、トルエン20%)に、固形分に対し約2.0%混合し、PETフィルムに塗工した。このフィルムについて実施例2と同様にしてHaze値を測定した。結果を表10に示す。
Figure 2007018065
上記表10より、化合物5、化合物6に比べてP−1およびP−23が低Haze値を有していることが分かる。
[実施例5]
P−1およびP−23を固形分25%のポリメチルメタクリレート(Mw=100,000)溶液(溶剤トルエン)に、固形分に対し約2%混合し、PETフィルムに塗工し、80℃、3分乾燥した。これらのフィルムについて、湿度90%、温度100℃の条件で48時間の耐湿熱試験を行い、試験前後における各フィルムのHaze値、色味(y値)を測定した。そして色味については試験前後の変化値(Δy値)を算出した。結果を表11に示す。なお、Haze値の測定は実施例2と同様の方法で、また色味(y値)の測定は下記方法により行った。
<色味(y値)の測定>
色味(y)値の測定は、MINOLTA製 色彩色差計CR−300にて行った。
(比較例1)
ビス(3−メタクリロイルオキシプロピル)ホスフィン酸19g、メチルメタクリレート50g、ジエチレングリコールジメタクリレート30g、α−メチルスチレン2.0gをよく混合し、この混合単量体に無水安息香酸銅5.0gを添加して、60℃で撹拌混合することにより、均一な青色混合溶液を得た。この混合溶液に、ラジカル開始剤tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート3.4部を添加し、グラスフィルターでろ過した。50℃で15時間、70℃で8時間、100℃で2時間と昇温加熱して、キャスト重合させた。得られた重合体を厚さ1mmの板状に切削し、表面を研磨して光学フィルター(特開2000−98130号公報参照)を製作した。このフィルターに対して湿度90%、温度100℃の条件で48時間の耐湿熱試験を行い、実施例5と同様にして試験前後における各フィルムのHaze値、色味変化値(Δy値)を測定または算出した。結果を表11に示す。
Figure 2007018065
表11から、P−1およびP−23を用いたフィルターのHaze値は比較例1のフィルターのHaze値に比べ小さく、さらにP−1およびP−23を用いたフィルターのHaze値は試験前後において殆ど変わらないのに対し、比較例のHaze値は試験後大きく増大しており、P−1およびP−23の方が比較例と比べてHaze値変化も小さい事が分かる。また、表11から、色味変化Δy値もP−1およびP−23のほうが小さいことが分かる。なお、比較例1のフィルターは、従来CCD、CMOS用フィルターとして知られているものであり、前記結果から、従来のCCD、CMOS用フィルターに比べ本発明のフィルターのほうがHaze値も小さく、且つ、耐久性にも優れていることが分かる。
[製造例7]化合物7の合成
Figure 2007018065
窒素雰囲気下、ポタッシウムイソイソプロピルキサンテート(25g、143mmol)、アセトン80mlに対し、ジクロロアセテート(10.2g、71.5mmol)を加え、5時間リフラックス撹拌を行った。反応終了後室温まで戻し、ろ過、脱溶剤を行い、得られたペーストを1.5L濃硫酸に0℃〜5℃において滴下した。その後室温まで戻し、4Lの氷水にゆっくりと注いだ。固体をろ過して得られたペーストをメタノールから再結晶し、上記化合物7を得た。収率75%。
[製造例8]化合物8の合成
Figure 2007018065
化合物7(5g、24mmol)に対し、1MのNaOCH/CHOH(48mL、48mmol)を窒素雰囲気下20℃以下で加え、10分撹拌を行った。これにジブロモプロパノール(5.2g、24mmol)を加え、室温にて3時間撹拌を行った後、水300mLに注ぎ、クロロホルムにて抽出を行った。抽出液の脱溶剤を行い、メタノールで再結晶を行って、化合物8を得た。収率80%。
[製造例9]化合物9の合成
Figure 2007018065
製造例8で合成した化合物8(5g、21mmol)、ナトリウムメトキシド(3.4g、63mmol)およびメタノール(250mL)を窒素雰囲気下60℃にて撹拌を行った。メタノール100mLに溶かした塩化ニッケル6水和物(5g、21mmol)を反応液中に加えた後、60℃で4時間撹拌して室温に戻した。反応液に1%HCl水溶液50mLを加え、撹拌、ろ過し、化合物9を得た。収率68%。
[製造例10]P−43の合成
Figure 2007018065
製造例9で合成した化合物9(1.5g、3.1mmol)、ジブロモデカン(0.9g、3.1mmol)、K2CO3(1.16g、8.44mmol)およびジメチルホルムアミド(DMF;40ml)を四つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下80℃で8時間撹拌した。反応終了後ろ過し、ろ液のエバポレーションを行い、水/メタノール=1/2の溶液に滴下し、さらに少量のHCl水溶液を加えて、反応物の洗浄を行い、ろ過して目的物である上記P−43を回収した。収率50%。
[実施例6]
下記化合物10、化合物11(特開2005−232185号公報参照)、化合物12(特許第3699464号公報参照)およびP−43を、各々固形分25%のポリメチルメタクリレート(Mw=200,000)溶液(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1:1)に、固形分に対して約2%混合し、PETフィルムに塗工した。これらのフィルムについて、100℃で400時間および800時間の耐熱試験を行い、試験前後における各フィルムについて化合物の極大吸収波長の透過率を測定し、その差(ΔT)を算出(%)した。結果を表12に示す。
Figure 2007018065
Figure 2007018065
表12から、化合物10、化合物11、化合物12に比べて本発明のP−43の方が耐熱性に優れていることが分かる。
[実施例7]
化合物10、化合物11、化合物12およびP−43を、各々固形分25%のアクリル系粘着材(モノマー組成:アクリル酸ブチル60%、アクリル酸イソブチル30%、アクリル酸3%、アクリル酸−2−エチルヘキシル7%、溶剤組成:酢酸エチル80%、トルエン20%)に、固形分に対して約2.0%混合し、PETフィルムに塗工した。これらフィルムについて、温度80℃、湿度80%条件下での24時間および48時間の耐湿熱試験を行い、試験前後における各フィルムについて化合物の極大吸収波長の透過率を測定し、その差(ΔT)を算出(%)した。結果を表13に示す。
Figure 2007018065
上記表13から、化合物10、化合物11、化合物12に比べて本発明のP−43のほうが粘着剤中における耐熱性が優れていることが分かる。
[実施例8]
化合物10、化合物11、化合物12およびP−43を、各々固形分25%のポリメチルメタクリレート(Mw=200000)溶液(溶剤:酢酸エチル/トルエン=1:1)に固形分に対して約2.0%、またそれぞれにチオールニッケル色素(化合物5)1.0%を混合し、PETフィルムに塗工した。これらフィルムについて、温度80℃、湿度80%条件下での24時間および48時間の耐湿熱試験を行い、試験前後における850nmおよび1000nmにおける各フィルムの透過率を測定し、各波長における透過率の差(ΔT)を算出(%)した。結果を表14に示した。
Figure 2007018065
上記表14から、色素二種類混合時でも、化合物10、化合物11、化合物12に比べて本発明のP−43のほうが耐熱性に優れていることが分かる。
[実施例9]
P−23、P−43を、各々固形分25%のポリメチルメタクリレート(Mw=100,000)溶液(溶剤トルエン)に固形分に対して約2%混合し、PETフィルムに塗工し、80℃、3分乾燥した。これらのフィルムについて湿度90%、温度100℃の条件で48時間の耐湿熱試験を行い、試験前後の各フィルムのHaze値、色味変化Δy値を実施例5と同様にして測定あるいは算出した。結果を表15に示す。
(比較例2)
米国特許第5089585号明細書に基づく下記化合物13を、固形分25%のポリメチルメタクリレート(Mw=100000)溶液(溶剤トルエン)に固形分に対して約2%混合し、PETフィルムに塗工し、80℃、3分乾燥した。このフィルターに対して湿度90%、温度100℃の条件で48時間の耐湿熱試験を行い、試験前後のフィルターのHaze値、色味変化Δy値を実施例5と同様にして測定あるいは算出した。結果を表15に示す。
Figure 2007018065
Figure 2007018065
表15から、P−23およびP−43のフィルターのHaze値は比較例2のフィルターのHaze値に比べ非常に小さく、さらにP−23およびP−43のフィルターのHaze値は試験前後において殆ど変わらないのに対し、比較例2のHaze値は試験後P−23およびP−43に比べ増大しており、P−23およびP−43の方が比較例と比べてHaze値変化が小さい事も分かる。また表15から、色味変化Δy値もP−23およびP−43の方が比較例2と比べて小さいことが分かる。これは化合物13の樹脂相溶性が低いことと、分子骨格の耐久性が低いことに起因しており、本発明のフィルターの方が耐久性に優れていることを意味している。
実施例1〜9より本発明の近赤外線吸収剤は溶剤に対する溶解性、樹脂に対する相溶性および耐久性に優れた材料であるということが明らかとなった。
[P−51の合成]
以下の合成スキームにしたがって、製造例11〜13にてP−51を合成した。
Figure 2007018065
[製造例11]化合物14の合成
フェニルグリオキサールに代えてチエニルグリオキサールを用い、またブロモエチルベンゼンに代えてクロロエチルベンゼンを用いたことを除き製造例1と同様に合成を行い、上記化合物14を得た。収率53%。
[製造例12]化合物15の合成
化合物1に代えて製造例11で得られた化合物14を用いることを除き製造例2と同様に合成を行い、上記化合物15を得た。収率22%。
[製造例13]P−51の合成
化合物2に代えて製造例12で得られた化合物15を用い、またビスフェノールAに代えてテトラクロロビスフェノールAを用いたことを除き製造例3と同様に合成を行い、P−51を得た。収率80%。
[P−52の製造]
以下の合成スキームにしたがって、製造例14〜16にてP−52を製造した。
Figure 2007018065
[製造例14]化合物16の合成
フェニルグリオキサールに代えて2’−クロロフェニルグリオキサールを用い、またブロモエチルベンゼンに代えてエトキシナフチルチオールを用いたことを除き製造例1と同様に合成を行い、上記化合物16を得た。収率73%。
[製造例15]化合物17の合成
化合物1に代えて製造例14で得られた化合物16を用いることを除き製造例2と同様に合成を行い、上記化合物15を得た。収率25%。
[製造例16]P−52の合成
化合物2に代えて製造例15で得られた化合物17を用い、またビスフェノールAに代えてジブロモドデカンを用いたことを除き製造例3と同様に合成を行い、P−52を得た。収率80%。
[P−53の合成]
以下の製造例17〜19にて下記繰り返し単位を有するP−53を合成した。
Figure 2007018065
[製造例17]化合物19の合成
Figure 2007018065
窒素雰囲気下5℃において、ジクロロエタン100mlおよびTiCl4(30mmol)撹拌下、ブチオニルクロライド(20mmol)をゆっくり滴下し、その後フェニルプロピルクロライド(20mmol)を滴下した。室温に戻し8時間撹拌した。反応液を氷水にゆっくり滴下し、分液後硫酸マグネシウムで有機層を乾燥し、脱溶剤を行った。ヘキサンで再結晶を行い、白色固体(上記化合物18)を得た。この固体を、窒素雰囲気下、ジクロロメタンに溶かし、撹拌下、臭素20mmolを室温にて加えた。3時間撹拌後脱溶剤を行い、黄色のオイル状物質をヘキサンで再結晶を行い、淡黄色固体(上記化合物19)を得た。収率53%。
[製造例18]化合物20の合成
Figure 2007018065
化合物1に代えて製造例17で得られた化合物19を用い、また、NiCl2・6H2Oに代えて塩化パラジウムを用いたことを除き製造例2と同様に合成を行い、化合物20を得た。収率15%。
[製造例19]P−53の合成
Figure 2007018065
化合物2に代えて製造例18で得られた化合物20を用い、またビスフェノールAに代えてビスクロロヒドロキシジフェニルスルフィドを用いたことを除き製造例3同様に合成を行い、P−53を得た。収率76%。
[P−54の合成]
以下の製造例20〜22にて下記繰り返し単位を有するP−54を製造した。
Figure 2007018065
[製造例20]化合物22の合成
Figure 2007018065
窒素雰囲気下5℃において、ジクロロエタン100mlおよびTiCl4(30mmol)撹拌下、メチルチオエチオニルクロライド(20mmol)をゆっくり滴下し、その後フェニルエチルクブロマイド(20mmol)を滴下した。室温に戻し8時間撹拌した。反応液を氷水にゆっくり滴下し、分液後硫酸マグネシウムで有機層を乾燥し、脱溶剤を行った。ヘキサンで再結晶を行い、白色固体(上記化合物21)を得た。この固体を窒素雰囲気下ジクロロメタンに溶かし、撹拌下、臭素20mmolを室温にて加えた。3時間撹拌後脱溶剤を行い、黄色のオイル状物質をヘキサンで再結晶を行い、淡黄色固体(上記化合物22)を得た。収率70%。
[製造例21]化合物23の合成
Figure 2007018065
化合物1に代えて製造例20で得られた化合物22を用い、また、NiCl2・6H2Oに代えて塩化コバルトを用いたことを除き製造例2と同様に合成を行い、上記化合物23を得た。収率11%。
[製造例22]
Figure 2007018065
化合物2に代えて製造例21で得られた化合物23を用いることを除き製造例3と同様に合成を行い、P−54を得た。収率78%。
[P−55の合成]
以下の製造例23〜25にて下記繰り返し単位を有するP−55を製造した。
Figure 2007018065
[製造例23]化合物24の合成
Figure 2007018065
製造例8においてジブロモプロパノールに代えてブロモエタンおよびブロモエタノールを用いることを除き同様の方法で合成を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)を行い、化合物24を得た。収率20%。
[製造例24]化合物25の合成
Figure 2007018065
化合物8に代えて製造例23で合成した化合物24を用いることを除き製造例9と同様の方法で合成を行い、化合物25を得た。収率30%。
[製造例25]P−55の合成
Figure 2007018065
化合物9に代えて製造例24で合成した化合物25を用い、また、ジブロムデカンに代えてジブロモプロピオニックアシッドを用いることを除き製造例10と同様の方法で合成を行い、P−55を得た。収率60%。
[製造例26]P−56の合成
Figure 2007018065
製造例5で合成した化合物4の15mmol、製造例9で合成した化合物9の15mmol、ブロモデカノール15mmol、KCO(150mmol)およびジメチルホルムアミド100mlを90℃で6時間撹拌した後、反応液をろ過し、ろ液を1%塩酸水溶液1L中に滴下した。固体をろ過し、メタノールでリスラリーを行い、P−56を得た。収率85%。
[実施例10]
下記に本発明の重合体のいくつかについて、分子量Mw、Mnおよび近赤外線極大吸収波長を示す。
分子量測定は東ソー株式会社製 高速GPC;HLC8120GPCを用い、溶媒THF、UV検出254nmにて行った。(ポリスチレン換算)
Figure 2007018065
上記したとおり、本発明の近赤外線吸収材料は、近赤外線吸収剤として有用であり、本発明の近赤外線吸収剤はこれまでの同種の近赤外線吸収剤に比べて、格段の溶解性と耐久性を付与できたため、例えば、光学フィルター用組成物、レーザー溶着用組成物、レーザーマーキング用組成物、熱線遮断材用組成物またはLED用組成物などの近赤外線吸収剤など様々な用途に使用することが可能になった。

Claims (32)

  1. 下記一般式[1]または[2]で表される繰り返し単位を有する近赤外線吸収材料。
    一般式[1]:
    Figure 2007018065
    一般式[2]:
    Figure 2007018065
    (一般式[1]および[2]中、Mは金属原子を表し、R1およびR4は、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のヘテロアリール基、または、置換もしくは未置換のアルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、または、置換もしくは未置換のアルキレン基を表し、またR1とR2、R3とR4は互いに結合して環を形成してもよく、Y1〜Y4は直接結合もしくはヘテロ原子を表し、Aは直接結合もしくは二価の有機残基を表す。)
  2. 請求の範囲1に記載の近赤外線吸収材料において、一般式[1]で表される繰り返し単位が下記一般式[3]で表される繰り返し単位であり、また一般式[2]で表される繰り返し単位が下記一般式[4]で表される繰り返し単位であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
    一般式[3]:
    Figure 2007018065
    一般式[4]:
    Figure 2007018065
    (一般式[3]および[4]中、M、R1、R2、R3、R4およびAは請求の範囲1で定義したものと同一のものである。)
  3. 請求の範囲1に記載の近赤外線吸収材料において、一般式[1]で表される繰り返し単位が下記一般式[5]で表される繰り返し単位であり、また一般式[2]で表される繰り返し単位が下記一般式[6]で表される繰り返し単位であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
    一般式[5]:
    Figure 2007018065
    一般式[6]:
    Figure 2007018065
    (一般式[5]および[6]中、M、R1、R2、R3、R4およびAは請求の範囲1で定義したものと同一のものである。)
  4. 請求の範囲1に記載の近赤外線吸収材料において、一般式[1]で表される繰り返し単位が下記一般式[7]で表される繰り返し単位であり、また上記一般式[2]で表される繰り返し単位が下記一般式[8]で表される繰り返し単位であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
    一般式[7]:
    Figure 2007018065
    一般式[8]:
    Figure 2007018065
    (一般式[7]および[8]中、M、R1、R2、R3、R4およびAは請求の範囲1で定義したものと同一のものである。)
  5. 請求の範囲1〜4のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、Mがニッケル、白金、コバルト、パラジウムもしくは銅であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
  6. 請求の範囲1〜5のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、R1〜R4の少なくとも一つが置換基を有する基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
  7. 請求の範囲1〜6のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、R1とR2、および/または、R3とR4が結合して共役または非共役の環を形成していることを特徴とする近赤外線吸収材料。
  8. 請求の範囲1〜7のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、Aが、−NHCO−、−CONH−、−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−NH−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−、−S−S−、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、置換もしくは未置換のアルキレン基、および置換もしくは未置換のアミノ基からなる群より選ばれた基を任意に組み合わせて成る二価の有機残基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
  9. 請求の範囲8に記載の近赤外線吸収材料において、Aが、下記一般式[9]で表される基であることを特徴とする近赤外線吸収材料。
    一般式[9]:
    Figure 2007018065
    (式中、X1〜X3は、それぞれ独立して、直接結合あるいは−NHCOO−、−OCONH−、−O−、−S−、−NH−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−CO−、−C=C−、−N=N−または−S−S−を表し、n1およびn2は0または自然数を表す。)
  10. 請求の範囲1〜9のいずれかに記載の近赤外線吸収材料において、該近赤外吸収材料が、2種以上の異なる繰り返し単位を有することを特徴とする近赤外線吸収材料。
  11. 請求の範囲1〜10のいずれかの近赤外線吸収材料からなる近赤外線吸収剤。
  12. 請求の範囲11に記載の近赤外線吸収剤の少なくとも一種を含有する近赤外線吸収組成物。
  13. 請求の範囲12に記載の近赤外線吸収組成物において、前記近赤外線吸収剤が2種以上の近赤外線吸収剤からなることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  14. 請求の範囲12または13に記載の近赤外線吸収組成物において、請求の範囲11に記載の近赤外線吸収剤以外の近赤外線吸収剤が更に含有されることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  15. 請求の範囲14に記載の近赤外線吸収組成物において、請求の範囲11に記載の近赤外線吸収剤以外の近赤外線吸収剤が、ニッケル錯体系色素、フタロシアニン系色素およびジイモニウム系色素から選ばれた少なくとも一種の近赤外線吸収剤であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  16. 請求の範囲13または請求の範囲14に記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物に含まれる近赤外線吸収剤は、最大近赤外線吸収波長の異なる少なくとも2種の近赤外線吸収剤からなることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  17. 請求の範囲12〜16のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物に更にバインダー樹脂が含まれることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  18. 請求の範囲12〜17のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物に更に溶剤が含まれることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  19. 請求の範囲12〜18のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が塗布用組成物であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  20. 請求の範囲12〜19のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が粘着または接着剤組成物であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  21. 請求の範囲12〜19のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物がレーザー溶着用組成物であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  22. 請求の範囲12〜19のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物がレーザーマーキング用組成物であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  23. 請求の範囲12〜19のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物が熱線遮断材用組成物であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  24. 請求の範囲12〜19のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物において、該近赤外線吸収組成物がLED用組成物であることを特徴とする近赤外線吸収組成物。
  25. 基材上に、請求の範囲1〜10のいずれかに記載の近赤外線吸収材料を含む層が形成されてなる積層体。
  26. 請求の範囲25に記載の積層体において、前記近赤外線吸収材料を含む層が、請求の範囲12〜20のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物により形成されていることを特徴とする積層体。
  27. 請求の範囲1〜10のいずれかに記載の近赤外線吸収材料を含む近赤外線吸収フィルム。
  28. 請求の範囲25または26に記載の積層体を含んでなる光学フィルター。
  29. 請求の範囲28記載の光学フィルターにおいて、該光学フィルターがプラズマディスプレイ用であることを特徴とする光学フィルター。
  30. 請求の範囲28記載の光学フィルターにおいて、該光学フィルターが液晶ディスプレイ用であることを特徴とする光学フィルター。
  31. 請求の範囲28記載の光学フィルターにおいて、該光学フィルターがCCDカメラ用であることを特徴とする光学フィルター。
  32. 請求の範囲28記載の光学フィルターにおいて、該光学フィルターがCMOSイメージセンサ用であることを特徴とする光学フィルター。
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