本発明は、モバイルノード(移動ノード)などの移動通信装置が上位のネットワークへ複数の接続を持つときに、ハンドオーバ中又はハンドオーバ後に、効率の良い通信環境をユーザに提供することを可能とする通信ハンドオーバ方法及び通信メッセージ処理方法に関する。
まず、非特許文献1に記載されているモバイルIP(Mobile IP:以降、MIPと呼ぶ)について説明する。MIPは、移動通信装置(Mobile Node:以降、MNと呼ぶ)がレイヤ3において、移動透過性を確保するための技術である。MIPでは、各MNはホームネットワークを有しており、そのホームネットワーク上で割り当てられるグローバルアドレスをホームアドレスとして使用する。ホームネットワークとは、MIPを使用するMNに、少なくとも1つ以上割り当てられるネットワークのことで、そのホームネットワーク上で割り当てられるアドレスのことを、ホームアドレスと呼んでいる。ホームアドレスは、移動によって接続するネットワークがホームネットワークではない別のネットワーク(以降、外部ネットワークと呼ぶ)に切り替わっているときにでも、通信相手(Correspondent Node:以降、CNと呼ぶ)がインターネット上のMNを識別するためのアドレスとして使われる。
一方MNは、移動によって接続するネットワークが外部ネットワークに切り替わった場合、そのネットワーク上で割り当てられるグローバルアドレスを気付アドレス(Care−of Address:以降、CoAと呼ぶ場合もある)として使用する。気付アドレスは、MNが移動先のネットワークに滞在中に使う一時的なアドレスである。MNはバインディングアップデート(Binding Update)メッセージを用いて、自身のホームネットワーク上に存在するホームエージェントへその気付アドレスとホームアドレスとの関連情報を登録する。ホームエージェントは、気付アドレスを登録しているMNのホームアドレスを宛先としているパケットを代理受信し、登録されている気付アドレス宛にそのパケットを転送する役割を果たす。これにより、MNへパケットを送信するCNは、そのMNが移動しているという事実を知る必要がなく、ホームアドレスを宛先としてパケットを送信するだけで、外部ネットワーク上にいるMNまで適切にパケットが届けられる。
このようにMIPを利用することによって、MNの接続先がホームネットワークではない外部ネットワークである場合でも、あたかもホームネットワークに接続しているかのようにホームアドレスを用いてCNと通信をすることが可能となる。しかしMIPを用いた場合、MNと移動前のネットワークとの接続が切断され、MNが移動先のネットワークに接続して再びホームアドレスを用いた通信が可能となるまでの間、つまり移動先のネットワークで取得する気付アドレスのホームエージェントへの登録が完了するまでの間、MNはパケットの送受信ができないという問題がある。この間のホームエージェントは、MNのホームアドレス宛のパケットを代理受信するものの、その転送先はMNの移動前のネットワークで使用していた気付アドレスのままであるため、MNはそのパケットを受信することができず、結果としてそのパケットは捨てられてしまう。MIPを用いた場合に生じるこのような問題を解決するための技術として、非特許文献2に記載されている、MIPのための高速ハンドオーバ(Fast Handovers for MobileIPv6:以降、FMIPと呼ぶ)という技術が知られている。
以下、図14を用いてFMIPについて説明する。
図14にはアクセスルータ(AR)21と、そのアクセスルータ21に接続されているアクセスポイント(AP)22と、アクセスルータ31と、そのアクセスルータ31に接続されているアクセスポイント32が図示されている。アクセスルータ21及び31は配下のAPによって構成されるサブネットワークであるサブネット24、34を管理するルータであり、それらのサブネットワーク内に存在するノードから送信されたパケットの外部ネットワークへのルーティングと、外部ネットワークからそのサブネットワーク内のノード宛のパケットのルーティングなどを行う。
AP22は無線カバーエリア23を構成し、AP32は無線カバーエリア33を構成している。MN10は、移動することでAP22又は32を介してAR21又は31が構成するサブネットワークに接続することができ、さらにIPネットワーク15に接続することができる。AR21とAR31はIPネットワーク15を介して通信することができる。MNとAP間の接続及び切断は、レイヤ2(データリンク層)の管理の下で行われる。MNはAPの無線カバーエリア内に存在する場合、そのAPとレイヤ2で接続した後、そのAPが接続されているARとの間でレイヤ3の通信を行うことでアドレスの生成や、デフォルトルータの設定などを行う。
次にこの図14を用いてFMIPの動作について説明する。初期状態としてMN10は、AP22に接続し、AR21が構成するサブネット24に属しているものとする。この状態にあるMN10が、無線カバーエリア23からAP32の方向へ移動し、無線カバーエリア23と33のオーバラップエリア25を通過して無線カバーエリア33へ向かう経路を通って移動するときに、FMIPを実行した場合の動作を説明する。なお以降では、MN10の移動前のアクセスルータであるAR21のことをPAR(Previous Access Router)、移動後のアクセスルータであるAR31のことをNAR(New Access Router)と呼ぶ場合もある。
図15はMNがFMIPを実行したときのシーケンスを表したものである。
MN10は、オーバラップエリア25に入ったときに、AP32から送信されているビーコンを受信する(S101)。そして受信したビーコンの中に含まれるAP32の識別子を取得し、その識別子を含めたRtSolPr(Router Solicitation for Proxy Advertisement)メッセージをAR21へ送信する(S102)。このメッセージを受信したAR21は、メッセージに含まれる識別子を持つAPを配下に持つARの情報(ここではAR31の情報)をPrRtAdv(Proxy Router Advertisement)メッセージを用いてMN10へ送信する(S103)。
MN10はAR31へのハンドオーバを決定すると、PrRtAdvメッセージで取得したAR31のプレフィックスを用いて、移動先で使用する新しい気付アドレス(New Care−of Address:以降、NCoAと呼ぶ場合もある)を生成する(S104)。そして生成した新しい気付アドレスをFast Binding Updateメッセージ(以降、FBUメッセージと呼ぶ)に含めてAR21へ送信する(S105)。
AR21はそのFBUメッセージに含まれている新しい気付アドレスをHandover Initiateメッセージ(以降、HIメッセージと呼ぶ)に含めてAR31へ送信する(S106)。
HIメッセージを受信したAR31は、その中に含まれる新しい気付アドレスが妥当なものかどうかを検証し、その結果をHandover Acknowledgementメッセージ(以降、HAckメッセージと呼ぶ)に含めてAR21へ送信する(S107)。
HAckを受信したAR21は、HAckメッセージに含まれる新しい気付アドレスの検証結果などの情報を含めたFBAckメッセージをMN10へ送信する(S108)。FBAckメッセージを送信したAR21は、MNのサブネット24上で使用していた古い気付アドレス(Previous Care−of Address:以降、PCoAと呼ぶ場合もある)宛に届いたパケットを代理受信し、それを新しい気付アドレス宛に転送する(S109)。
AR31は、MN10の新しい気付アドレス宛に送信されてきたパケットをバッファリングする(S110)。
MN10はレイヤ2ハンドオーバを実行してAP32に接続が完了した後(S111)、AR31へFast Neighbor Advertisementメッセージ(以降、FNAメッセージと呼ぶ)を送信する(S112)。FNAメッセージを受信したAR31は、S110でバッファリングしていたパケットをMN10へ転送する(S113)。
FMIPには、2つの動作モードが存在する、上記のようなハンドオーバ前にFBUメッセージを送信し、FBAckメッセージを受信する場合はPredictiveモードと呼ばれ、一方、移動後にAR31を経由してAR21へFBUメッセージを送信するReactiveモードと呼ばれる。このようにFMIPを利用することによって、MN10はレイヤ2ハンドオーバを開始してから移動先でMobileIPを実行するまでの間に届いたパケットでも、ロスすることなく受信することができるものの、レイヤ2ハンドオーバ中はパケットの受信が途絶えてしまうという課題がある。MNが複数のインターフェイスを持っている場合、上記の問題を解決することができる。
ここでまず複数のインターフェイスを持つMNについて簡単に説明する。複数のインターフェイスを持つMNとしては、例えばIEEE802.11a/b/gなどのワイヤレスLANと、W−CDMA、UMTSなどのセルラーへの接続インターフェイスの2つを持っている端末が考えられる。現在このような端末がすでに市場に登場してきており、今後さらに一般的なものとして普及していくものと考えられる。
このようにワイヤレスLANとセルラーのインターフェイスを合わせて持つ利点は、セルラー網がカバーするエリアはワイヤレスLANよりも広範囲であり、MNがワイヤレスLANのカバーエリアの外へ出たり、あるいは別のワイヤレスLANの接続ポイントにハンドオーバを実行したとしても、セルラーのインターフェイスは常にセルラー網のカバーエリア内には存在しているという場合が十分に起こり得る。
また、ワイヤレスLANとセルラーのインターフェイスを持つという形態に限らず、その他の様々な接続方法のインターフェイスを使用した場合においても、上記のように一方のインターフェイスがカバーエリア外へ出たり、ハンドオーバを実行したとしても、別のインターフェイスはカバーエリア内に存在していて、接続中であるということが起こり得る。また一般的に、ワイヤレスLANの方がセルラー網よりも広帯域であり、また利用料金が廉価であるため、利用者はセルラー網よりもワイヤレスLANを優先的に利用したいという要求を持つことが考えられる。
このようなMNが持つ複数のインターフェイスのうち、一方のインターフェイスがカバーエリアの外へ出たり、あるいはハンドオーバを実行するというような接続の切断・中断が伴う状況が起こったときでも、別のもう一方のインターフェイスは継続した接続を確保できているような状態であるとき、カバーエリア外へ移動するインターフェイス、あるいはハンドオーバするインターフェイスの接続に対してFMIPを実行することで、そのインターフェイスの切断・中断に関わらず、継続してパケットを受信することができる。その方法は、MNがFBUメッセージで送信する新しい気付アドレスとして、他の接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスを使用する、というものである。
こうすることでPARがFBUメッセージで通知された気付アドレス宛にパケットをカプセル化して転送しても、MNはそのアドレス宛のパケットを接続中のインターフェイスから受信できるので、NARによるバッファリングの必要がなくなる。つまり、一方のインターフェイスがレイヤ2ハンドオーバを実行中であっても、もう一方のインターフェイスでその間に届いたパケットを受信することが可能となる。
Johnson,D.B.,Perkins,C.E.,and Arkko,J.,"Mobility Support in IPv6",RFC3775,June 2004. Rajeev Koodli,"Fast Handover for Mobile IPv6",draft−ietf−mipshop−fast−mipv6−03.txt,25 October 2004.
しかしながら、上記のように、複数のインターフェイスを持つMNが通常のFMIPを用いて、新しい気付アドレスとして接続中の他のインターフェイスのアドレスを使用した場合、移動前のAR(Previous Access Router:以降、PARと呼ぶ)は通知されたアドレスがモバイルノードの接続中の別のインターフェイスのアドレスであることを知らないため、通常のFMIPの処理として、PCoA宛に届いたパケットは、PARが保持するエントリがタイムアウトするまでNCoA宛へ転送され続ける。つまり、MNは単に使用するインターフェイスを切り替えただけに過ぎず、実際にハンドオーバを実行しているインターフェイスの状態は全く考慮されない。
このため、モバイルノードがPARへ新しい気付アドレスとして通知した方のインターフェイスがセルラーであり、実際にハンドオーバしているインターフェイスがワイヤレスLANである場合、上記の方法を使うと、ワイヤレスLANのハンドオーバが完了しても、パケットの転送先は常にセルラーのインターフェイスの方になる。つまりモバイルノードはハンドオーバが完了し、広帯域な接続手段が確保できているWLANのインターフェイスを有効に使うことができない。
また、上記のようなワイヤレスLANとセルラーの場合に限らず、様々な接続形態が使われている場合においても、例えば通信品質の状態や、コスト、通信速度などを考慮して、ハンドオーバが完了したインターフェイスを再び使用するということは、現状のFMIPでは考えられていない。
また、PARは通常のFMIPの処理として、MNから通知された新しい気付アドレスが妥当なものかどうかをNARに確認するために、HIメッセージを送信し、その応答としてHAckメッセージを受信する。通常、FMIPにおけるNARは、MNのハンドオーバするインターフェイスの新しい接続先のサブネット上にあるアクセスルータとなるが、上記のように、MNが新しい気付アドレスとして、接続中の他のインターフェイスに割り当てられているアドレスを使用して、FBUメッセージを送信した場合、PARはそのアドレスが有効なサブネット上のアクセスルータがNARであると認識する。
しかしPARにとってそのNARは近隣に存在するアクセスルータである保証はなく、PARが知ることができるARの情報の中に、そのMNのNARは含まれていない可能性が高い。この場合、PARはHIメッセージの送信先アドレスを知ることができない、あるいは、送信先アドレスが分かったとしても、そのアクセスルータがFMIPに対応していないため、HAckメッセージを受信することができない、というような、FMIPの遂行の妨げとなる事象が起こり得る。
上記問題に鑑み、本発明は、複数のインターフェイスを持つモバイルノードが、パケットの転送先のアドレスとして接続中のインターフェイスのアドレスを使用してFMIPを実行した場合でも、FMIPの処理を円滑に実行し、かつハンドオーバしたインターフェイスの接続が完了した後に、そのインターフェイスへ転送先を変更することを可能とする通信ハンドオーバ方法及び通信メッセージ処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、第1サブネットに属する第1アクセスルータと、前記第1サブネットとは異なる第2サブネットに属する第2アクセスルータと、前記第1及び第2サブネットとは異なる第3サブネットに属する第3アクセスルータとが、IPネットワークにより接続されている通信システムにおいて、複数のインターフェイスを持ち、前記第1サブネットへは第1インターフェイスを用い、かつ、前記第3サブネットへは第2インターフェイスを用いて無線通信を介して接続している移動端末が、前記第1サブネットから前記第2サブネットに接続の切り換えを行う際に実施される通信ハンドオーバ方法であって、前記移動端末が、前記第1アクセスルータに対して、前記第2サブネット上で使用するアドレス情報と共に、前記第2インターフェイスに割り当てられているパケット転送先アドレス情報を含むFBUメッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記第2アクセスルータに対して、前記FBUメッセージに含まれる前記パケット転送先アドレス情報を含むパケット転送先アドレス通知メッセージを送信するステップと、前記第2アクセスルータが、前記パケット転送先アドレス通知メッセージに含まれる前記移動端末の前記パケット転送先アドレス情報を格納するステップと、前記第1アクセスルータが、前記移動端末の前記第1サブネット上のアドレス宛のパケットを代理受信し、それを前記移動端末の前記第2サブネット上で使用するアドレス宛にカプセル化して送信するステップと、前記第2アクセスルータが、前記第1アクセスルータが送信した前記移動端末の前記第2サブネット上で使用するアドレス宛にカプセル化されたパケットを代理受信し、それを前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化して送信するステップと、前記移動端末が、前記第2アクセスルータから送信された、前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化されて送信されたパケットを、前記第2インターフェイスから受信するステップと、前記移動端末が、前記第1インターフェイスによる前記第2アクセスルータへの接続が完了した際に、前記第2アクセスルータへパケットの転送を停止するよう要求するパケット転送停止指示メッセージを送信するステップと、前記第2アクセスルータが、前記パケット転送停止指示メッセージを受信した際に、前記移動端末のパケット転送先アドレスへのカプセル化送信を停止するステップとを、有する通信ハンドオーバ方法としたものである。
また、上記課題を解決するために本発明は、第1サブネットに属する第1アクセスルータと、前記第1サブネットとは異なる第2サブネットに属する第2アクセスルータと、前記第1及び第2サブネットとは異なる第3サブネットに属する第3アクセスルータとが、IPネットワークにより接続されている通信システムにおいて、複数のインターフェイスを持ち、前記第1サブネットへは第1インターフェイスを用い、かつ、前記第3サブネットへは第2インターフェイスを用いて無線通信を介して接続している移動端末が、前記第1サブネットから前記第2サブネットに接続の切り換えを行う際に実施される通信ハンドオーバ方法であって、前記移動端末が、前記第1アクセスルータに対して、前記第2サブネット上で使用するアドレス情報と共に、前記第2インターフェイスに割り当てられているパケット転送先アドレス情報を含むFBUメッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記FBUメッセージ含まれる前記移動端末のパケットの転送先アドレス情報を格納するステップと、前記第1アクセスルータが、前記移動端末に対して、前記第2サブネット上で使用するアドレスが有効である旨を通知するFBAckメッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記移動端末の前記第1サブネット上のアドレス宛のパケットを代理受信し、それを前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化して送信するステップと、前記移動端末が、前記第1アクセスルータから送信された、前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化されて送信されたパケットを、前記第2インターフェイスから受信するステップと、前記移動端末が、前記第1インターフェイスによる前記第2アクセスルータへの接続が完了した際に、前記第1アクセスルータへパケットの転送先を、前記第2サブネット上で使用するアドレスへ切り替えるよう要求するパケット転送先切替指示メッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記パケット転送先切替指示メッセージを受信した際に、前記移動端末のパケット転送先アドレスへのカプセル化を、前記移動端末の前記第2サブネット上で使用するアドレスへ切り替えるステップとを、有する通信ハンドオーバ方法としたものである。
また、上記課題を解決するために本発明は、第1サブネットに属する第1アクセスルータと、前記第1サブネットとは異なる第2サブネットに属する第2アクセスルータと、前記第1及び第2サブネットとは異なる第3サブネットに属する第3アクセスルータとが、IPネットワークにより接続されている通信システムにおいて、複数のインターフェイスを持ち、前記第1サブネットへは第1インターフェイスを用い、かつ、前記第3サブネットへは第2インターフェイスを用いて無線通信を介して接続している移動端末が、前記第1サブネットから前記第2サブネットに接続の切り換えを行う際に実施される通信ハンドオーバ方法であって、前記移動端末が、前記第1アクセスルータに対して、前記第2インターフェイスに割り当てられているパケット転送先アドレス情報と、前記パケット転送先アドレス情報が現在接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報とを含むFBUメッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記FBUメッセージに含まれる前記移動端末のパケットの転送先アドレス情報を格納するステップと、前記第1アクセスルータが、前記移動端末の前記第1サブネット上のアドレス宛のパケットを代理受信し、それを前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化して送信するステップと、前記移動端末が、前記第1アクセスルータから送信された、前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化されて送信されたパケットを、前記第2インターフェイスから受信するステップとを、有する通信ハンドオーバ方法としたものである。
本発明によれば、FMIPを用いてアクセスルータ間のハンドオーバを行った、複数のインターフェイスを持つ移動端末が、パケットの転送先アドレスとして接続中の他のインターフェイスのアドレスを使用した場合でも、ハンドオーバが完了した後、再びそのインターフェイスを使ってパケットの転送を受けることが可能となるという効果を有している。
本発明の実施の形態1における無線通信システムの構成を示す概略図
本発明の実施の形態1における移動通信装置MN10の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1におけるアクセスルータAR21の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1におけるアクセスルータAR31の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1における無線通信システムによる主要な処理を示すシーケンスチャート
本発明の実施の形態1におけるAR31がMN10へ転送するデータパケットの第1の構成を示す概略図
本発明の実施の形態1におけるAR31がMN10へ転送するデータパケットの第2の構成を示す概略図
本発明の実施の形態2における移動通信装置MN10の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2におけるアクセスルータAR21の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2における無線通信システムによる主要な処理を示すシーケンスチャート
本発明の実施の形態2におけるAR21がMN10へ転送するデータパケットの第1の構成を示す概略図
本発明の実施の形態2におけるAR21がMN10へ転送するデータパケットの第2の構成を示す概略図
本発明の実施の形態3における移動通信装置MN10の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態3におけるアクセスルータAR21の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態3における無線通信システムによる主要な処理を示すシーケンスチャート
従来の無線通信システムの構成を示す概略図
従来の無線通信システムによる主要な処理を示すシーケンスチャート
本発明は、MNが、IPネットワークに接続されたアクセスルータ間を、FMIPを用いてハンドオーバするとき、パケットの転送先として使用するアドレスとして、自身の接続中の他のインターフェイスに割り当てられているアドレスを含めたFBUメッセージを移動前のアクセスルータへ送信し、その旨をPARへ通知する。また、実際にハンドオーバしたインターフェイスの接続が完了したら、パケットの転送先をその再接続したインターフェイスに割り当てられるアドレス宛に変更する。これにより、ハンドオーバしているインターフェイスの接続が切れている間でも、転送先として指定したアドレスを持つインターフェイスを使ってパケットの受信が可能となり、さらにハンドオーバを実行したインターフェイスの接続が完了した後、FMIPを実行する前のインターフェイスと同じインターフェイスを用いて通信を行うことが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について説明する。図1は本発明による無線通信システムの構成を示したものである。図1に示されている構成要素のうち、図14に示した無線通信システムに図示されている構成要素と同じであるものは、図14で使用したものと同じ番号を用いており、ここではその説明を省略する。図1には新たにAR11、AP12、無線カバーエリア13が図示されている。AR11は、IPネットワーク15に接続しており、配下のAP12の無線カバーエリア13によって構成されるサブネットを管理するルータである。本実施の形態におけるMN10は、複数のインターフェイスを有しており、そのうちの1つのインターフェイスはAP12に接続し、AR11を介してIPネットワーク15と通信が可能であり、一方、別のインターフェイスの1つはAP22に接続し、AR21を介してIPネットワーク15と通信が可能である状態にあるときに、無線カバーエリア23からオーバラップエリア25を通って、無線カバーエリア33へ移動する場合を想定する。
なお、MN及びAR,APの接続構成は図1に示したシステム構成に限定するものではなく、本発明を実施できる構成であれば、異なる構成を有していてもよい。
図2は、本発明によるMNの構成の一例を示すブロック図である。図2に示すMNは2つのインターフェイス(インターフェイス1とインターフェイス2)を有しているが、本発明に関わるMNが保持するインターフェイスの数は2つに限定するものではなく、さらに多くのインターフェイスを有していてもよい。図2では、本発明に関わるインターフェイスだけを図示しており、インターフェイス1101は図1におけるAP12に接続しており、インターフェイス1108は、図1におけるAP22に接続しているものとする。
図2に示すMN10は、IPネットワーク15に接続しているインターフェイス1101、送信部1102、受信部1103、パケット変換部1104、パケット復元部1105、MIP処理部1106、上位レイヤ1107、インターフェイス1108、送信部1109、受信部1110、FBU生成部1111、パケット転送先アドレス選択部1112、パケット転送停止指示メッセージ生成部1113、リンク状態監視部1114、FBAck処理部1115、FBUエントリ保持部1116を有している。
インターフェイス1101と、インターフェイス1108は、AP12、AP22及びAP32を介してIPネットワーク15と接続することが可能である。送信部1102及び受信部1103はインターフェイス1101を使用してパケットの送受信を行う。また、送信部1109及び受信部1110はインターフェイス1108を使用してパケットの送受信を行う。
パケット変換部1104は、FBUエントリ保持部1116が保持する送信済みのFBUに関する情報(接続先のアクセスルータのアドレスなど)に基づいて、MIP処理部1106から通知されたパケットをPAR宛にカプセル化し、さらにそれをNAR宛にカプセル化して、それを送信部1102へ通知する。
MIP処理部1106は、上位レイヤ1107から通知された送信パケットをMobileIPの情報に基づいて変換し、それをパケット変換部1104へ通知する。上位レイヤ1107は、IPレイヤよりも上位のレイヤに相当するものであり、それにはTCPレイヤやUDPレイヤ、アプリケーションレイヤなどが含まれる。パケット復元部1105は、FBUエントリ保持部1116が保持する送信済みFBUに関する情報に基づいて、受信部1103から通知された受信パケットのデカプセル化を行い、それをMIP処理部1106へ通知する。
FBU生成部1111は、ハンドオーバ先のサブネット34で使用する新しい気付アドレスと、パケット転送先アドレス選択部1112から通知されたパケット転送先アドレスとを含むFBUメッセージを生成し、それを送信部1109へ通知してAR21へ送信するよう要求する。そしてさらに、FBUエントリ保持部1116に対して、送信したFBUメッセージに含まれる情報を格納するよう要求する。なお、FBUメッセージに含まれるアドレスが、新しい気付アドレスであるか、それともパケット転送先アドレスであるかの区別は、これらのアドレスを含むオプションのタイプの違いで表してもよいし、同一のオプションを用いて、そのオプション内のフィールドの違いで表してもよい。例えば、新しい気付アドレスには、モビリティオプションの1つであるAlternate CoA Optionを用いて、転送先アドレスには、新たなタイプを持つモビリティオプションを使用することができる。
パケット転送先アドレス選択部1112は、リンク状態監視部1114から取得した接続中のインターフェイスのリストの中から、パケットの転送先として適切なインターフェイスを選択し、そのインターフェイスに割り当てられているアドレスをFBU生成部1111へ通知する。
リンク状態監視部1114は、MN10が保持している複数のインターフェイスの状態を監視し、パケット転送先アドレス選択部1112からの要求を受けて、各インターフェイスの状態を含む情報を返す。
パケット転送停止指示メッセージ生成部1113は、FMIPを実行してハンドオーバを実行したインターフェイスが移動先のサブネット34への接続が完了したことをリンク状態監視部1114からの情報によって知ったとき、FBUエントリ保持部1116が保持する情報に基づいて、AR31によるパケットの転送を停止するよう要求するための、パケット転送停止指示メッセージを生成し、それを送信部1109へ通知してAR31へ送信するよう指示する。
FBAck処理部1115は、受信部1110によって受信されたFBAckメッセージの処理を行い、メッセージに含まれる、先に送信したFBUメッセージの受信結果を取得して、それをFBUエントリ保持部1116へ通知する。
FBUエントリ保持部1116は、FBU生成部1111から通知された情報を格納し、さらにFBAck処理部1115から通知されたFBUの受信結果に基づいて、そのエントリを継続して保持するかどうかを決定する。
図3は本発明によるAR21の構成の一例を示すブロック図である。送信部1201及び受信部1204は、配下のAP22やIPネットワーク15と接続して、パケットの送受信を行う。なお、通常は、AP22に接続するためのインターフェイスと、IPネットワーク15に接続するためのインターフェイスとは異なっており、各インターフェイスに応じて複数の送信部及び受信部が設けられているが、ここでは、それぞれまとめて1つの送信部1201及び受信部1204として図示する。
FBAck生成部1202は、HAck処理部1206の指示を受け、MN10へ送信するFBAckメッセージを生成する。FBAckメッセージにはHAck処理部1206から通知されるNARからのステータスが含まれる。
HI生成部1203はFBU処理部1205の指示を受け、FBUメッセージで取得した、新しい気付アドレスとパケット転送先アドレスとを含むHIメッセージを生成し、それをAR31へ送信するよう送信部1201へ要求する。
FBU処理部1205は、受信部1204によってMN10から受信されたFBUメッセージに関する処理を行い、新しい気付アドレスや転送先アドレスなどのFBUメッセージに含まれる情報をHI生成部1203へ通知し、HIメッセージを生成するよう要求する。
HAck処理部1206は、受信部1204によってAR31から受信されたHAckメッセージに関する処理を行い、HAckメッセージに含まれるNARからのステータスをFBAck生成部1202へ通知し、FBAckメッセージを生成してそれをMN10へ送信するよう要求する。
図4は本発明によるAR31の構成の一例を示すブロック図である。送信部1301及び受信部1304は、配下のAP32やIPネットワーク15と接続して、パケットの送受信を行う。なお、通常は、AP32に接続するためのインターフェイスと、IPネットワーク15に接続するためのインターフェイスとは異なっており、各インターフェイスに応じて複数の送信部及び受信部が設けられているが、ここでは、それぞれまとめて1つの送信部1301及び受信部1304として図示する。
気付アドレス宛パケット転送部1302は、受信部1304によって受信されたMN10の新しい気付アドレス宛のパケットを、MN情報保持部1306から取得したパケット転送先アドレスを宛先にしてカプセル化して、それを送信部1301へ通知して、送信するよう指示する。
HAck生成部1303は、HI受信部1305の指示を受け、MN10の新しい気付アドレスの妥当性検証結果と、パケット転送停止指示要求に対応していることを示す情報を含むHAckメッセージを生成する。
MN情報保持部1306は、HI受信部1305によって取得されたMNの情報(新しい気付アドレス、パケット転送先アドレスなど)を保持する。なお、不図示ではあるが、AR31はパケット転送停止指示メッセージ受信処理部を保持しており、MN10からパケット転送停止指示メッセージを受信した際に、気付アドレス宛パケット転送部1302に対して、そのメッセージに該当する代理受信を停止するよう指示する。このメッセージの受信処理後は、MN10の新しい気付アドレスあてパケットの代理受信が行われなくなるため、新しい気付アドレスあてのパケットに対しては通常のルーティング処理が行われる。
図5は本発明の無線通信システムにおける主要な処理を示すシーケンスチャートである。MN10がAP32からビーコンを受信してから(S201)、RtSolPrメッセージを送信し(S202)、PrRtAdvメッセージを受信するまで(S203)の処理は通常のFMIPの処理と同じであるため説明を省略する。
MN10は、AR31へハンドオーバをすることを決定したら、自身が保持する複数のインターフェイスのうち、接続中でありパケットの送受信が可能な状態にあるインターフェイスの中から、パケットの転送先として相応しいインターフェイスを選択し(ここではインターフェイス1101とする)、そのインターフェイスに割り当てられているアドレスをパケットの転送先アドレスとして選択する(S204)。さらにS203で取得したAR31のプレフィックスを用いて新しい気付アドレスを生成する(S205)。そして、選択したパケットの転送先アドレスと新しい気付アドレスを含むFBUメッセージを生成し、それをAR21へ送信する(S206)。
FBUメッセージを受信したAR21は、そのメッセージに含まれる、新しい気付アドレスと、パケット転送先アドレスを通常のHIメッセージに含めてAR31へ送信する(S207)。
HIメッセージを受信したAR31は、メッセージに含まれる新しい気付アドレスの妥当性を検証した結果と、さらにパケット転送先の変更に対応していることを示す情報を付加したHAckメッセージをAR21へ送信する(S208)。
HAckメッセージを受信したAR21は、通常のFMIPにおけるFBAckメッセージに、さらにHAckメッセージで通知されたAR31のパケット転送先変更に対応していることを示す情報を付加したFBAckメッセージを生成し、MN10へ送信する(S209)。AR21はFBAckを送信後、MN10の移動前の気付アドレス宛に送信されてきたパケットを代理受信し、そのパケットに対してMN10の新しい気付アドレスNCoAを宛先としたカプセル化処理を開始する(S210)。そしてそのカプセル化したパケットを送信する(S211)。
AR31は、AR21から送信されてきたMN10の新しい気付アドレス宛に転送されてきたパケットを代理受信し、そのパケットに対してMN10の転送先アドレスを宛先としたカプセル化処理を開始する(S212)。なお、ここでのカプセル化は、NCoA宛のアウターヘッダーを解いた後に転送先アドレス宛にカプセル化をするか、あるいは、NCoA宛のパケットに更に転送先アドレス宛にカプセル化をしてもよい。そしてそのカプセル化したパケットをMN10へ送信する(S213)。
MN10は、インターフェイス1101を使用してAR31から受信したパケット転送先アドレス宛のパケットを受信し、デカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S214)。ここでの処理は、S212でのカプセル化の方法に対応して、転送先アドレス宛のパケットをデカプセル化してPCoA宛のパケットを受信するか、あるいは、転送先アドレス宛のパケットをデカプセル化した後のNCoA宛のパケットを更にデカプセル化してPCoA宛のパケットを受信する。
一方MN10のインターフェイス1108は、レイヤ2ハンドオーバを行った後(S215)、接続先のAR31へ、パケット転送先アドレス宛へのパケットの転送を停止するよう要求するための、パケット転送停止指示メッセージを送信する(S216)。
MN10からパケット転送停止指示メッセージを受信したAR31は、パケットの代理受信及びカプセル化処理を停止し、MN10の新しい気付アドレスNCoA宛のパケットに対しても他のパケットと同じように、通常のルーティングの処理を開始する(S217)。そうすることでMN10へ新しい気付アドレス宛のパケットが転送される(S218)。
MN10は、インターフェイス1108を使用してAR31から受信した新しい気付アドレス宛のパケットを受信し、デカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S219)。
図6A及び6Bは、AR31がMN10へ転送するデータパケットの構成を示したものである。図6Aのパケットは、MN10のパケット転送先アドレス宛に送信するパケットの構成であり、図5におけるS213の処理において送信されるパケットである。最も外側のヘッダに指定されているアドレスは、宛先アドレスがMN10のパケット転送先アドレスであり、送信元アドレスがAR31のIPアドレスである。この図6Aのパケットは、MN10のインターフェイス1101によって受信される。このヘッダによってカプセル化されているパケットには、AR21から受信したパケットがそのまま使われている。つまり、AR21がMN10の新しい気付アドレス宛にカプセル化して送信したパケットであり、その内部パケットには、MN10の移動前の気付アドレス宛のパケットが含まれている。
また図6Bのパケットは、AR31がMN10からパケット転送停止指示メッセージを受信した後に、MN10へ転送するパケットの構成であり、図5におけるS218の処理において送信されるパケットである。AR31はAR21が送信したパケットに対して通常のルーティング処理をするだけであるため、このパケットはAR21が送信したパケットそのものである。この図6Bのパケットは、MN10のインターフェイス1108によって受信される。
なお、AR31は、MN10の新しい気付アドレス宛のパケットを代理受信した際に、新しい気付アドレス宛の外側のヘッダを外した後に、パケット転送先アドレス宛にカプセル化を行ってもよいし、あるいは上記のようにAR21から代理受信したままのパケットに対して、パケット転送先アドレス宛にカプセル化を行ってもよい。これらのいずれかの場合のパケットを受信したMN10は、施されているカプセル化を解くための適切な回数のデカプセル化を行い、デカプセル化を行った状態のパケットを正確に受信するための処理を行う。
このような構成をとることによって、MN10は、実際にハンドオーバしているインターフェイスの代わりに、別のインターフェイスをパケットの転送先として用いることができ、通信を行っていたインターフェイスがレイヤ2ハンドオーバを実行している間でも、通信を継続することできるという効果を得ることができる。又はンドオーバを実行していたインターフェイスの再接続が完了した後に、パケットの転送先を、パケットの転送先として用いていた別のインターフェイスから、再接続が完了したインターフェイスに戻すことによって、MN10は、ハンドオーバ前と同じインターフェイスを用いて通信を行うことができるという効果も得ることができる。さらに、AR31が、MN10へのパケット転送先変更を行うことで、AR21の負荷を軽減することができるという効果も得ることができる。
なお、本発明の第1の実施の形態において、MN10が、FBUメッセージで通知する情報を、モバイルIPにおけるBUメッセージに含めて通知することも可能である。この場合、MN10が利用可能である1つのHAがAR21と同様の役割を果たし、MN10から受信したBUメッセージを処理する。このとき、MN10は、BUメッセージの中に、新しい気付アドレス及び転送先アドレスを含めるだけでなく、BUメッセージを受信したHAが代理受信したパケットを転送する際のあて先アドレスとして、別のHAによって管理されているホームアドレスを含めることが望ましい。この場合、その別のHAが、AR31と同様の役割を果たし、代理受信したパケットを転送先アドレスへ転送する。また、MN10からパケット転送停止指示メッセージを受信した際には、転送先アドレスあてへの転送を、新しい気付アドレスあてへの転送へ切り替える。
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態における無線通信システムの構成は図1に示した構成と同一であり、説明を省略する。
図7は本発明によるMN10の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すMN10は、インターフェイス1401、インターフェイス1408、送信部1402、送信部1409、受信部1403、受信部1410、パケット変換部1404、パケット復元部1405、MIP処理部1406、上位レイヤ1407、FBU生成部1411、パケット転送先アドレス選択部1412、パケット転送先切替指示メッセージ生成部1413、リンク状態監視部1414、FBAck受信部1415、FBUエントリ保持部1416を有している。
なお、インターフェイス1401、インターフェイス1408、送信部1402、送信部1409、受信部1403、受信部1410、パケット変換部1404、パケット復元部1405、MIP処理部1406、上位レイヤ1407、FBU生成部1411、パケット転送先アドレス選択部1412、リンク状態監視部1414、FBAck受信部1415、FBUエントリ保持部1416は、図2に示すインターフェイス1101、インターフェイス1108、送信部1102、送信部1109、受信部1103、受信部1110、パケット変換部1104、パケット復元部1105、MIP処理部1106、上位レイヤ1107、FBU生成部1111、パケット転送先アドレス選択部1112、リンク状態監視部1114、FBAck処理部1115、FBUエントリ保持部1116と同一である。
パケット転送先切替指示メッセージ生成部1413は、FMIPを実行してハンドオーバを実行したインターフェイスが移動先のサブネット34への接続が完了したことをリンク状態監視部1414からの情報によって知ったとき、FBUエントリ保持部1416が保持する情報に基づいて、AR21に対して、転送先のアドレスを、パケット転送先アドレス選択部1412で選択されたアドレスから、ハンドオーバが完了したインターフェイス1408に割り当てられているアドレス宛に切り替えるよう要求するための、転送先切替指示メッセージを生成し、それを送信部1409へ通知してAR21へ送信するよう要求する。
図8は本発明によるAR21の構成の一例を示すブロック図である。図8に示すAR21は、送信部1501、受信部1506、旧気付アドレス宛パケット転送部1502、FBAck生成部1503、HI生成部1504、MN情報保持部1505、FBU処理部1507、HAck処理部1508、パケット転送先切替指示メッセージ処理部1509を有している。
なお、送信部1501、受信部1506は図3に示す送信部1201、受信部1204と同一である。
旧気付アドレス宛パケット転送部1502は、受信部1506によって受信された、MNの移動前の気付アドレス(旧気付アドレス)宛のパケットを、MN情報保持部1505に保持されているそのMNのパケット転送先アドレス宛にカプセル化して、それを送信部1501へ通知して送信するよう指示する。また、パケット転送先切替指示メッセージ処理部1509からの指示を受け、MNの旧気付アドレス宛のパケットの転送先を、パケット転送先アドレスから新しい気付アドレス宛に変更し、新しい気付アドレス宛にカプセル化して、それを送信部1501へ通知して送信するよう指示する。
FBAck生成部1503は、HAck処理部1508の指示を受け、通常のFBAckメッセージを生成し、さらにパケット転送に対応しているかどうかを示す情報を付加して、それを送信部1501へ通知して送信するよう指示する。
HI生成部1504は、FBU処理部1507の指示を受け、MN10から受信したFBUメッセージに含まれる情報に基づいて通常のHIメッセージを生成し、それを送信部1501へ通知して送信するよう指示する。
MN情報保持部1505は、FBU処理部1507及びHAck処理部1508の指示を受け、MN10からのFBUメッセージに含まれる情報、及びHAckメッセージに含まれるAR31からの情報を保持する。
FBU処理部1507は、MN10からのFBUメッセージに関する処理を行い、メッセージに含まれるMN10の新しい気付アドレスや、パケット転送先アドレスなどを取得して、それらをMN情報保持部1505へ通知して保持するよう指示する。
HAck処理部1508は、AR31から受信したHAckメッセージに関する処理を行い、HAckメッセージに含まれるAR31からの情報を取得し、それらをMN情報保持部1505へ通知して保持するよう指示する。また、FBAck生成部1503に対して、MN10へAR31からの情報を通知するためのFBAckメッセージを生成するよう指示する。
パケット転送先切替指示メッセージ処理部1509は、MN10から受信したパケット転送先切替指示メッセージに関する処理を行い、旧気付アドレス宛パケット転送部1502に対して、旧気付アドレス宛のパケットの転送先を、パケット転送先アドレスからMN10の新しい気付アドレス宛に変更するよう指示する。
図9は本発明の主要な処理を示すシーケンスチャートである。MN10が、AP32からビーコンを受信してから(S301)、RtSolPrメッセージを送信し(S302)、PrRtAdvメッセージを受信する(S303)までの処理は通常のFMIPの処理と同じであるため説明を省略する。
MN10は、AR31へハンドオーバをすることを決定したら、自身が保持する複数のインターフェイスのうち、接続中でありパケットの送受信が可能な状態にあるインターフェイスの中から、パケットの転送先として相応しいインターフェイスを選択し(ここではインターフェイス1101とする)、そのインターフェイスに割り当てられているアドレスをパケットの転送先アドレスとして選択する(S304)。さらにS303で取得したAR31のプレフィックスを用いて新しい気付アドレスを生成する(S305)。そして、選択したパケットの転送先アドレスと新しい気付アドレスを含むFBUメッセージを生成し、それをAR21へ送信する(S306)。
FBUメッセージを受信したAR21は、そのメッセージに含まれる情報を用いて通常のHIメッセージを生成し、AR31へ送信する(S307)。
HIメッセージを受信したAR31は、メッセージに含まれる新しい気付アドレスの妥当性を検証し、その検証結果を含む通常のHAckメッセージをAR21へ送信する(S308)。
HAckメッセージを受信したAR21は、通常のFBAckメッセージに、自身がパケット転送先変更に対応していることを示す情報を含めたFBAckメッセージを生成し、MN10へ送信する(S309)。AR21はFBAckを送信後、MNの移動前の気付アドレス宛に送信されてきたパケットを代理受信し、そのパケットに対してMN10のパケット転送先アドレスを宛先としたカプセル化処理を開始する(S310)。なお、ここでのカプセル化は、PCoA宛のパケットを直接転送先アドレス宛にカプセル化するか、あるいは、PCoA宛のパケットをいったんNCoA宛にカプセル化してから転送先アドレス宛にカプセル化してもよい。そしてそのカプセル化したパケットをMN10へ送信する(S311)。
MN10はインターフェイス1101を用いて、AR21からのカプセル化パケットを受信し、デカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S312)。ここでの処理は、S310でのカプセル化の方法に対応して、転送先アドレス宛のアウターヘッダーをデカプセル化した後のPCoA宛のパケットを受信するか、あるいは、転送先アドレス宛のアウターヘッダーをデカプセル化した後のNCoA宛のパケットを更にデカプセル化してPCoA宛のパケットを受信する。
一方MN10のインターフェイス1108は、レイヤ2ハンドオーバを行った後(S313)、接続先のAR31へFNAメッセージを送信するとともに(S314)、移動前のアクセスルータであるAR21へパケット転送先切替指示メッセージを送信する(S315)。なお、このパケット転送先切替指示メッセージは、新たにインターフェイス1108で接続したAR31や、別のインターフェイス1101で接続しているARを経由してAR31に到達する。
MN10から転送先切替メッセージを受信したAR21は、パケットの転送先をMN10のパケット転送先アドレスから、新しい気付アドレスNCoA宛へ変更する(S316)。そうすることでMN10の新しい気付アドレス宛へパケットが転送され(S317)、MN10はインターフェイス1108を使用してパケットを受信することとなる。
MN10は、インターフェイス1108を使用してAR21から受信した新しい気付アドレス宛のパケットに対しデカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S318)。
図10A及び10Bは、AR21がMN10へ転送するデータパケットの構成を示したものである。図10Aのパケットは、MN10のパケット転送先アドレス宛に送信するパケットの構成であり、図9におけるS311の処理において送信されるパケットである。最も外側のヘッダに指定されているアドレスは、宛先アドレスがMN10のパケット転送先アドレスであり、送信元アドレスがAR21のIPアドレスである。このヘッダによってカプセル化されているパケットには、AR21から受信したパケットがそのまま使われている。この図10AのパケットはMN10のインターフェイス1101によって受信される。
また図10Bのパケットは、AR21がMN10からパケット転送先切替指示メッセージを受信した後に、MN10へ転送するパケットの構成であり、図9におけるS317の処理において送信されるパケットである。この図10BのパケットはMN10のインターフェイス1108によって受信される。
なお、AR21は、MN10の移動前の気付アドレス宛のパケットを代理受信した際に、移動前の気付アドレス宛のパケットに対してパケット転送先アドレス宛にカプセル化を行ってもよいし、あるいは新しい気付アドレス宛にカプセル化を行った後のパケットに対して、パケット転送先アドレス宛にカプセル化を行ってもよい。これらのいずれかの場合のパケットを受信したMN10は、施されているカプセル化を解くための適切な回数のデカプセル化を行い、デカプセル化を行った状態のパケットを正確に受信するための処理を行う。
このような構成をとることによって、MN10は、実際にハンドオーバしているインターフェイスの代わりに、別のインターフェイスをパケットの転送先として用いることができ、通信を行っていたインターフェイスがレイヤ2ハンドオーバを実行している間でも、通信を継続することできるという効果を得ることができる。また、ハンドオーバを実行していたインターフェイスの再接続が完了した後に、パケットの転送先を、パケットの転送先として用いていた別のインターフェイスから、再接続が完了したインターフェイスに戻すことによって、MN10は、ハンドオーバ前と同じインターフェイスを用いて通信を行うことができるという効果も得ることができる。さらに、この構成においては、AR21がパケットの転送及びその転送先の切替を行うため、MN10の移動先であるNAR31の付加を軽減することができるという効果も得ることができる。
なお、本発明の第2の実施の形態において、MN10が、FBUメッセージで通知する情報を、モバイルIPにおけるBUメッセージに含めて通知することも可能である。この場合、HAがAR21と同様の役割を果たし、MN10から受信したBUメッセージを処理する。
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態における無線通信システムの構成は図1に示した構成と同一であり、説明を省略する。
図11は本発明によるMN10の構成の一例を示すブロック図である。図11に示すMN10は、インターフェイス1601、インターフェイス1608、送信部1602、送信部1609、受信部1603、受信部1610、パケット変換部1604、パケット復元部1605、MIP処理部1606、上位レイヤ1607、FBU生成部1611、パケット転送先アドレス選択部1612、リンク状態監視部1613、FBAck処理部1614、FBUエントリ保持部1615を有している。
なお、インターフェイス1601、インターフェイス1608、送信部1602、送信部1609、受信部1603、受信部1610、パケット変換部1604、パケット復元部1605、MIP処理部1606、上位レイヤ1607、パケット転送先アドレス選択部1612、リンク状態監視部1613、FBAck処理部1614、FBUエントリ保持部1615は、図2に示すインターフェイス1101、インターフェイス1108、送信部1102、送信部1109、受信部1103、受信部1110、パケット変換部1104、パケット復元部1105、MIP処理部1106、上位レイヤ1107、パケット転送先アドレス選択部1112、リンク状態監視部1114、FBAck処理部1115、FBUエントリ保持部1116と同一である。
FBU生成部1611は、パケット転送先アドレス選択部1612から通知されたパケット転送先アドレスを、通常のFBUメッセージにおける新しい気付アドレスに相当するものとして使用するとともに、さらにそのパケット転送先アドレスが、接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報を付加したFBUメッセージを生成し、それを送信部1609へ通知してAR21へ送信するよう要求する。そしてさらに、FBUエントリ保持部1615に対して、送信したFBUメッセージに含まれる情報を格納するよう要求する。なお、接続中のインターフェイスに割り当てられていることを示す場合、通知する転送先アドレスを含むオプションのタイプの違いで表してもよいし、通常の気付アドレスを通知するためのオプションと同一のオプションを用いて、そのオプション内のフィールドの違いで表してもよい。例えば、通常の気付アドレスには、モビリティオプションの1つであるAlternate CoA Optionを用いて、接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスとしての転送先アドレスには、新たなタイプを持つモビリティオプションを使用することができる。
図12は本発明によるAR21の構成の一例を示すブロック図である。図12に示すAR21は、送信部1701、受信部1706、旧気付アドレス宛パケット転送部1702、FBAck生成部1703、HI生成部1704、MN情報保持部1705、FBU処理部1707、HAck処理部1708を有している。
なお、送信部1701、受信部1706、FBAck生成部1703、HI生成部1704、HAck処理部1708は、図8に示す送信部1501、受信部1506、FBAck生成部1503、HI生成部1504、HAck処理部1508と同一である。
旧気付アドレス宛パケット転送部1702は、受信部1706によって受信された、MNの移動前の気付アドレス(旧気付アドレス)宛のパケットを、MN情報保持部1705に保持されているそのMNのパケット転送先アドレス宛にカプセル化して、それを送信部1701へ通知して送信するよう指示する。
MN情報保持部1705は、FBU処理部1707及びHAck処理部1708の指示を受け、MN10からのFBUメッセージに含まれる情報、及びHAckメッセージに含まれるAR31からの情報を保持する。
FBU処理部1707は、MN10からのFBUメッセージに関する処理を行い、メッセージに含まれるMN10のパケット転送先アドレスと、そのアドレスがMN10の持つ接続中の他のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報などを取得して、それらをMN情報保持部1705へ通知して保持するよう指示する。
この際に、FBUメッセージ内にそのアドレスがMNの接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報が含まれており、その情報によって、そのアドレスがMNの接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることが分かった場合には、FBU処理部1707はHI生成部1704に対してHIメッセージの生成の指示を行わない。一方、FBUメッセージが通常のFMIPにおけるFBUメッセージであり、そのアドレスがMNの接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報が含まれていない場合は、HI生成部1704に対して通常のFMIPにおけるHIメッセージを生成するよう指示する。
また、HAck処理部1708は、FBAck生成部1703に対して、MN10へAR31からの情報を通知するためのFBAckメッセージを生成するよう指示する。
図13は本発明の無線通信システムにおける主要な処理を示すシーケンスチャートである。MN10がAP32からビーコンを受信してから(S401)、RtSolPrメッセージを送信し(S402)、PrRtAdvメッセージを受信する(S403)までの処理は通常のFMIPの処理と同じであるため説明を省略する。なお、本実施の形態においては、このRtSolPrメッセージ及びPrRtAdvメッセージの送受信は任意であり、必須のものではない。
MN10は、インターフェイス1108がAR31へハンドオーバをする、あるいはAR21との接続が切れそうであることを認識したら、自身が保持する複数のインターフェイスのうち、接続中でありパケットの送受信が可能な状態にあるインターフェイスの中から、パケットの転送先として相応しいインターフェイスを選択し(ここではインターフェイス1101とする)、そのインターフェイスに割り当てられているアドレスをパケットの転送先アドレスとして選択する(S404)。そして選択したパケットの転送先アドレスを含むFBUメッセージを生成し、それをAR21へ送信する(S405)。
AR21は、MN10からFBUメッセージを受信したら、そのFBUメッセージに含まれているアドレスが、MN10の接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであるかどうかを判断し(S406)、その結果MN10の接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることが分かった場合は、AR31へのHIメッセージの送信を行わずに、MN10へ、接続中のインターフェイスへのパケット転送に対応していることを示す情報を付加したFBAckメッセージを送信する(S407)。そしてFBAckメッセージを送信した後、AR21はMN10のサブネット24上で使用していたアドレス宛のパケットを代理受信し、それをMN10のパケット転送先アドレス宛にカプセル化して送信する処理を開始する(S408)。そしてそのカプセル化したパケットをMN10へ送信する(S409)。
MN10はインターフェイス1101を用いて、AR21からのカプセル化されたパケットを受信し、デカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S410)。なお、図13には不図示だが、上述の本発明の実施の形態2と同様に、MN10のインターフェイス1108は、レイヤ2ハンドオーバを行った後、移動前のアクセスルータであるAR21へパケット転送先切替指示メッセージを送信してもよい。これにより、インターフェイス1108を再度使用してパケットを受信することが可能となる。
このような構成をとることによって、MN10は、実際にハンドオーバしているインターフェイスの代わりに、別のインターフェイスをパケットの転送先として用いることができ、通信を行っていたインターフェイスがレイヤ2ハンドオーバを実行している間でも、通信を継続することできるという効果を得ることができる。また、AR21は、MN10からのFBUメッセージに含まれるアドレスが、MN10の別のインターフェイスに割り当てられているアドレスであり、そのアドレスを持つインターフェイスは接続中であることを認識できるため、HIメッセージの送信が必要ないことを判断できるという新たな効果を得ることができる。なお、本発明の第3の実施の形態において、MN10が、FBUメッセージで通知する情報を、モバイルIPにおけるBUメッセージに含めて通知することも可能である。この場合、HAがAR21と同様の役割を果たし、MN10から受信したBUメッセージを処理する。
なお、上記の本発明の各実施の形態の説明で用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又はすべてを含むように1チップ化されてもよい。なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適応などが可能性としてあり得る。
本発明は、移動通信装置がハンドオーバする際に、自身が保持する複数のインターフェイスを有効に活用することによって、移動通信装置の通信効率を向上させるという効果を有しており、モバイルノードなどの移動通信装置を含むネットワーク技術に適用可能であり、特にFMIPなどのモビリティサポート技術を用いて、移動通信装置がサブネットワーク間のハンドオーバを行う際の通信制御技術に適用可能である。
本発明は、モバイルノード(移動ノード)などの移動通信装置が上位のネットワークへ複数の接続を持つときに、ハンドオーバ中又はハンドオーバ後に、効率の良い通信環境をユーザに提供することを可能とする通信ハンドオーバ方法及び通信メッセージ処理方法に関する。
まず、非特許文献1に記載されているモバイルIP(Mobile IP:以降、MIPと呼ぶ)について説明する。MIPは、移動通信装置(Mobile Node:以降、MNと呼ぶ)がレイヤ3において、移動透過性を確保するための技術である。MIPでは、各MNはホームネットワークを有しており、そのホームネットワーク上で割り当てられるグローバルアドレスをホームアドレスとして使用する。ホームネットワークとは、MIPを使用するMNに、少なくとも1つ以上割り当てられるネットワークのことで、そのホームネットワーク上で割り当てられるアドレスのことを、ホームアドレスと呼んでいる。ホームアドレスは、移動によって接続するネットワークがホームネットワークではない別のネットワーク(以降、外部ネットワークと呼ぶ)に切り替わっているときにでも、通信相手(Correspondent Node:以降、CNと呼ぶ)がインターネット上のMNを識別するためのアドレスとして使われる。
一方MNは、移動によって接続するネットワークが外部ネットワークに切り替わった場合、そのネットワーク上で割り当てられるグローバルアドレスを気付アドレス(Care-of Address:以降、CoAと呼ぶ場合もある)として使用する。気付アドレスは、MNが移動先のネットワークに滞在中に使う一時的なアドレスである。MNはバインディングアップデート(Binding Update)メッセージを用いて、自身のホームネットワーク上に存在するホームエージェントへその気付アドレスとホームアドレスとの関連情報を登録する。ホームエージェントは、気付アドレスを登録しているMNのホームアドレスを宛先としているパケットを代理受信し、登録されている気付アドレス宛にそのパケットを転送する役割を果たす。これにより、MNへパケットを送信するCNは、そのMNが移動しているという事実を知る必要がなく、ホームアドレスを宛先としてパケットを送信するだけで、外部ネットワーク上にいるMNまで適切にパケットが届けられる。
このようにMIPを利用することによって、MNの接続先がホームネットワークではない外部ネットワークである場合でも、あたかもホームネットワークに接続しているかのようにホームアドレスを用いてCNと通信をすることが可能となる。しかしMIPを用いた場合、MNと移動前のネットワークとの接続が切断され、MNが移動先のネットワークに接続して再びホームアドレスを用いた通信が可能となるまでの間、つまり移動先のネットワークで取得する気付アドレスのホームエージェントへの登録が完了するまでの間、MNはパケットの送受信ができないという問題がある。この間のホームエージェントは、MNのホームアドレス宛のパケットを代理受信するものの、その転送先はMNの移動前のネットワークで使用していた気付アドレスのままであるため、MNはそのパケットを受信することができず、結果としてそのパケットは捨てられてしまう。MIPを用いた場合に生じるこのような問題を解決するための技術として、非特許文献2に記載されている、MIPのための高速ハンドオーバ(Fast Handovers for MobileIPv6:以降、FMIPと呼ぶ)という技術が知られている。
以下、図14を用いてFMIPについて説明する。
図14にはアクセスルータ(AR)21と、そのアクセスルータ21に接続されているアクセスポイント(AP)22と、アクセスルータ31と、そのアクセスルータ31に接続されているアクセスポイント32が図示されている。アクセスルータ21及び31は配下のAPによって構成されるサブネットワークであるサブネット24、34を管理するルータであり、それらのサブネットワーク内に存在するノードから送信されたパケットの外部ネットワークへのルーティングと、外部ネットワークからそのサブネットワーク内のノード宛のパケットのルーティングなどを行う。
AP22は無線カバーエリア23を構成し、AP32は無線カバーエリア33を構成している。MN10は、移動することでAP22又は32を介してAR21又は31が構成するサブネットワークに接続することができ、さらにIPネットワーク15に接続することができる。AR21とAR31はIPネットワーク15を介して通信することができる。MNとAP間の接続及び切断は、レイヤ2(データリンク層)の管理の下で行われる。MNはAPの無線カバーエリア内に存在する場合、そのAPとレイヤ2で接続した後、そのAPが接続されているARとの間でレイヤ3の通信を行うことでアドレスの生成や、デフォルトルータの設定などを行う。
次にこの図14を用いてFMIPの動作について説明する。初期状態としてMN10は、AP22に接続し、AR21が構成するサブネット24に属しているものとする。この状態にあるMN10が、無線カバーエリア23からAP32の方向へ移動し、無線カバーエリア23と33のオーバラップエリア25を通過して無線カバーエリア33へ向かう経路を通って移動するときに、FMIPを実行した場合の動作を説明する。なお以降では、MN10の移動前のアクセスルータであるAR21のことをPAR(Previous Access Router)、移動後のアクセスルータであるAR31のことをNAR(New Access Router)と呼ぶ場合もある。
図15はMNがFMIPを実行したときのシーケンスを表したものである。
MN10は、オーバラップエリア25に入ったときに、AP32から送信されているビーコンを受信する(S101)。そして受信したビーコンの中に含まれるAP32の識別子を取得し、その識別子を含めたRtSolPr(Router Solicitation for Proxy Advertisement)メッセージをAR21へ送信する(S102)。このメッセージを受信したAR21は、メッセージに含まれる識別子を持つAPを配下に持つARの情報(ここではAR31の情報)をPrRtAdv(Proxy Router Advertisement)メッセージを用いてMN10へ送信する(S103)。
MN10はAR31へのハンドオーバを決定すると、PrRtAdvメッセージで取得したAR31のプレフィックスを用いて、移動先で使用する新しい気付アドレス(New Care-of Address:以降、NCoAと呼ぶ場合もある)を生成する(S104)。そして生成した新しい気付アドレスをFast Binding Updateメッセージ(以降、FBUメッセージと呼ぶ)に含めてAR21へ送信する(S105)。
AR21はそのFBUメッセージに含まれている新しい気付アドレスをHandover Initiateメッセージ(以降、HIメッセージと呼ぶ)に含めてAR31へ送信する(S106)。
HIメッセージを受信したAR31は、その中に含まれる新しい気付アドレスが妥当なものかどうかを検証し、その結果をHandover Acknowledgementメッセージ(以降、HAckメッセージと呼ぶ)に含めてAR21へ送信する(S107)。
HAckを受信したAR21は、HAckメッセージに含まれる新しい気付アドレスの検証結果などの情報を含めたFBAckメッセージをMN10へ送信する(S108)。FBAckメッセージを送信したAR21は、MNのサブネット24上で使用していた古い気付アドレス(Previous Care-of Address:以降、PCoAと呼ぶ場合もある)宛に届いたパケットを代理受信し、それを新しい気付アドレス宛に転送する(S109)。
AR31は、MN10の新しい気付アドレス宛に送信されてきたパケットをバッファリングする(S110)。
MN10はレイヤ2ハンドオーバを実行してAP32に接続が完了した後(S111)、AR31へFast Neighbor Advertisementメッセージ(以降、FNAメッセージと呼ぶ)を送信する(S112)。FNAメッセージを受信したAR31は、S110でバッファリングしていたパケットをMN10へ転送する(S113)。
FMIPには、2つの動作モードが存在する、上記のようなハンドオーバ前にFBUメッセージを送信し、FBAckメッセージを受信する場合はPredictiveモードと呼ばれ、一方、移動後にAR31を経由してAR21へFBUメッセージを送信するReactiveモードと呼ばれる。このようにFMIPを利用することによって、MN10はレイヤ2ハンドオーバを開始してから移動先でMobileIPを実行するまでの間に届いたパケットでも、ロスすることなく受信することができるものの、レイヤ2ハンドオーバ中はパケットの受信が途絶えてしまうという課題がある。MNが複数のインターフェイスを持っている場合、上記の問題を解決することができる。
ここでまず複数のインターフェイスを持つMNについて簡単に説明する。複数のインターフェイスを持つMNとしては、例えばIEEE802.11a/b/gなどのワイヤレスLANと、W−CDMA、UMTSなどのセルラーへの接続インターフェイスの2つを持っている端末が考えられる。現在このような端末がすでに市場に登場してきており、今後さらに一般的なものとして普及していくものと考えられる。
このようにワイヤレスLANとセルラーのインターフェイスを合わせて持つ利点は、セルラー網がカバーするエリアはワイヤレスLANよりも広範囲であり、MNがワイヤレスLANのカバーエリアの外へ出たり、あるいは別のワイヤレスLANの接続ポイントにハンドオーバを実行したとしても、セルラーのインターフェイスは常にセルラー網のカバーエリア内には存在しているという場合が十分に起こり得る。
また、ワイヤレスLANとセルラーのインターフェイスを持つという形態に限らず、その他の様々な接続方法のインターフェイスを使用した場合においても、上記のように一方のインターフェイスがカバーエリア外へ出たり、ハンドオーバを実行したとしても、別のインターフェイスはカバーエリア内に存在していて、接続中であるということが起こり得る。また一般的に、ワイヤレスLANの方がセルラー網よりも広帯域であり、また利用料金が廉価であるため、利用者はセルラー網よりもワイヤレスLANを優先的に利用したいという要求を持つことが考えられる。
このようなMNが持つ複数のインターフェイスのうち、一方のインターフェイスがカバーエリアの外へ出たり、あるいはハンドオーバを実行するというような接続の切断・中断が伴う状況が起こったときでも、別のもう一方のインターフェイスは継続した接続を確保できているような状態であるとき、カバーエリア外へ移動するインターフェイス、あるいはハンドオーバするインターフェイスの接続に対してFMIPを実行することで、そのインターフェイスの切断・中断に関わらず、継続してパケットを受信することができる。その方法は、MNがFBUメッセージで送信する新しい気付アドレスとして、他の接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスを使用する、というものである。
こうすることでPARがFBUメッセージで通知された気付アドレス宛にパケットをカプセル化して転送しても、MNはそのアドレス宛のパケットを接続中のインターフェイスから受信できるので、NARによるバッファリングの必要がなくなる。つまり、一方のインターフェイスがレイヤ2ハンドオーバを実行中であっても、もう一方のインターフェイスでその間に届いたパケットを受信することが可能となる。
Johnson, D. B., Perkins, C. E., and Arkko, J., "Mobility Support in IPv6", RFC3775, June 2004.
Rajeev Koodli, "Fast Handover for Mobile IPv6", draft-ietf-mipshop-fast-mipv6-03.txt, 25 October 2004.
しかしながら、上記のように、複数のインターフェイスを持つMNが通常のFMIPを用いて、新しい気付アドレスとして接続中の他のインターフェイスのアドレスを使用した場合、移動前のAR(Previous Access Router:以降、PARと呼ぶ)は通知されたアドレスがモバイルノードの接続中の別のインターフェイスのアドレスであることを知らないため、通常のFMIPの処理として、PCoA宛に届いたパケットは、PARが保持するエントリがタイムアウトするまでNCoA宛へ転送され続ける。つまり、MNは単に使用するインターフェイスを切り替えただけに過ぎず、実際にハンドオーバを実行しているインターフェイスの状態は全く考慮されない。
このため、モバイルノードがPARへ新しい気付アドレスとして通知した方のインターフェイスがセルラーであり、実際にハンドオーバしているインターフェイスがワイヤレスLANである場合、上記の方法を使うと、ワイヤレスLANのハンドオーバが完了しても、パケットの転送先は常にセルラーのインターフェイスの方になる。つまりモバイルノードはハンドオーバが完了し、広帯域な接続手段が確保できているWLANのインターフェイスを有効に使うことができない。
また、上記のようなワイヤレスLANとセルラーの場合に限らず、様々な接続形態が使われている場合においても、例えば通信品質の状態や、コスト、通信速度などを考慮して、ハンドオーバが完了したインターフェイスを再び使用するということは、現状のFMIPでは考えられていない。
また、PARは通常のFMIPの処理として、MNから通知された新しい気付アドレスが妥当なものかどうかをNARに確認するために、HIメッセージを送信し、その応答としてHAckメッセージを受信する。通常、FMIPにおけるNARは、MNのハンドオーバするインターフェイスの新しい接続先のサブネット上にあるアクセスルータとなるが、上記のように、MNが新しい気付アドレスとして、接続中の他のインターフェイスに割り当てられているアドレスを使用して、FBUメッセージを送信した場合、PARはそのアドレスが有効なサブネット上のアクセスルータがNARであると認識する。
しかしPARにとってそのNARは近隣に存在するアクセスルータである保証はなく、PARが知ることができるARの情報の中に、そのMNのNARは含まれていない可能性が高い。この場合、PARはHIメッセージの送信先アドレスを知ることができない、あるいは、送信先アドレスが分かったとしても、そのアクセスルータがFMIPに対応していないため、HAckメッセージを受信することができない、というような、FMIPの遂行の妨げとなる事象が起こり得る。
上記問題に鑑み、本発明は、複数のインターフェイスを持つモバイルノードが、パケットの転送先のアドレスとして接続中のインターフェイスのアドレスを使用してFMIPを実行した場合でも、FMIPの処理を円滑に実行し、かつハンドオーバしたインターフェイスの接続が完了した後に、そのインターフェイスへ転送先を変更することを可能とする通信ハンドオーバ方法及び通信メッセージ処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、第1サブネットに属する第1アクセスルータと、前記第1サブネットとは異なる第2サブネットに属する第2アクセスルータと、前記第1及び第2サブネットとは異なる第3サブネットに属する第3アクセスルータとが、IPネットワークにより接続されている通信システムにおいて、複数のインターフェイスを持ち、前記第1サブネットへは第1インターフェイスを用い、かつ、前記第3サブネットへは第2インターフェイスを用いて無線通信を介して接続している移動端末が、前記第1サブネットから前記第2サブネットに接続の切り換えを行う際に実施される通信ハンドオーバ方法であって、前記移動端末が、前記第1アクセスルータに対して、前記第2サブネット上で使用するアドレス情報と共に、前記第2インターフェイスに割り当てられているパケット転送先アドレス情報を含むFBUメッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記第2アクセスルータに対して、前記FBUメッセージに含まれる前記パケット転送先アドレス情報を含むパケット転送先アドレス通知メッセージを送信するステップと、前記第2アクセスルータが、前記パケット転送先アドレス通知メッセージに含まれる前記移動端末の前記パケット転送先アドレス情報を格納するステップと、前記第1アクセスルータが、前記移動端末の前記第1サブネット上のアドレス宛のパケットを代理受信し、それを前記移動端末の前記第2サブネット上で使用するアドレス宛にカプセル化して送信するステップと、前記第2アクセスルータが、前記第1アクセスルータが送信した前記移動端末の前記第2サブネット上で使用するアドレス宛にカプセル化されたパケットを代理受信し、それを前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化して送信するステップと、前記移動端末が、前記第2アクセスルータから送信された、前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化されて送信されたパケットを、前記第2インターフェイスから受信するステップと、前記移動端末が、前記第1インターフェイスによる前記第2アクセスルータへの接続が完了した際に、前記第2アクセスルータへパケットの転送を停止するよう要求するパケット転送停止指示メッセージを送信するステップと、前記第2アクセスルータが、前記パケット転送停止指示メッセージを受信した際に、前記移動端末のパケット転送先アドレスへのカプセル化送信を停止するステップとを、有する通信ハンドオーバ方法としたものである。
また、上記課題を解決するために本発明は、第1サブネットに属する第1アクセスルータと、前記第1サブネットとは異なる第2サブネットに属する第2アクセスルータと、前記第1及び第2サブネットとは異なる第3サブネットに属する第3アクセスルータとが、IPネットワークにより接続されている通信システムにおいて、複数のインターフェイスを持ち、前記第1サブネットへは第1インターフェイスを用い、かつ、前記第3サブネットへは第2インターフェイスを用いて無線通信を介して接続している移動端末が、前記第1サブネットから前記第2サブネットに接続の切り換えを行う際に実施される通信ハンドオーバ方法であって、前記移動端末が、前記第1アクセスルータに対して、前記第2サブネット上で使用するアドレス情報と共に、前記第2インターフェイスに割り当てられているパケット転送先アドレス情報を含むFBUメッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記FBUメッセージ含まれる前記移動端末のパケットの転送先アドレス情報を格納するステップと、前記第1アクセスルータが、前記移動端末に対して、前記第2サブネット上で使用するアドレスが有効である旨を通知するFBAckメッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記移動端末の前記第1サブネット上のアドレス宛のパケットを代理受信し、それを前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化して送信するステップと、前記移動端末が、前記第1アクセスルータから送信された、前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化されて送信されたパケットを、前記第2インターフェイスから受信するステップと、前記移動端末が、前記第1インターフェイスによる前記第2アクセスルータへの接続が完了した際に、前記第1アクセスルータへパケットの転送先を、前記第2サブネット上で使用するアドレスへ切り替えるよう要求するパケット転送先切替指示メッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記パケット転送先切替指示メッセージを受信した際に、前記移動端末のパケット転送先アドレスへのカプセル化を、前記移動端末の前記第2サブネット上で使用するアドレスへ切り替えるステップとを、有する通信ハンドオーバ方法としたものである。
また、上記課題を解決するために本発明は、第1サブネットに属する第1アクセスルータと、前記第1サブネットとは異なる第2サブネットに属する第2アクセスルータと、前記第1及び第2サブネットとは異なる第3サブネットに属する第3アクセスルータとが、IPネットワークにより接続されている通信システムにおいて、複数のインターフェイスを持ち、前記第1サブネットへは第1インターフェイスを用い、かつ、前記第3サブネットへは第2インターフェイスを用いて無線通信を介して接続している移動端末が、前記第1サブネットから前記第2サブネットに接続の切り換えを行う際に実施される通信ハンドオーバ方法であって、前記移動端末が、前記第1アクセスルータに対して、前記第2インターフェイスに割り当てられているパケット転送先アドレス情報と、前記パケット転送先アドレス情報が現在接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報とを含むFBUメッセージを送信するステップと、前記第1アクセスルータが、前記FBUメッセージに含まれる前記移動端末のパケットの転送先アドレス情報を格納するステップと、前記第1アクセスルータが、前記移動端末の前記第1サブネット上のアドレス宛のパケットを代理受信し、それを前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化して送信するステップと、前記移動端末が、前記第1アクセスルータから送信された、前記移動端末のパケット転送先アドレス宛にカプセル化されて送信されたパケットを、前記第2インターフェイスから受信するステップとを、有する通信ハンドオーバ方法としたものである。
本発明によれば、FMIPを用いてアクセスルータ間のハンドオーバを行った、複数のインターフェイスを持つ移動端末が、パケットの転送先アドレスとして接続中の他のインターフェイスのアドレスを使用した場合でも、ハンドオーバが完了した後、再びそのインターフェイスを使ってパケットの転送を受けることが可能となるという効果を有している。
本発明は、MNが、IPネットワークに接続されたアクセスルータ間を、FMIPを用いてハンドオーバするとき、パケットの転送先として使用するアドレスとして、自身の接続中の他のインターフェイスに割り当てられているアドレスを含めたFBUメッセージを移動前のアクセスルータへ送信し、その旨をPARへ通知する。また、実際にハンドオーバしたインターフェイスの接続が完了したら、パケットの転送先をその再接続したインターフェイスに割り当てられるアドレス宛に変更する。これにより、ハンドオーバしているインターフェイスの接続が切れている間でも、転送先として指定したアドレスを持つインターフェイスを使ってパケットの受信が可能となり、さらにハンドオーバを実行したインターフェイスの接続が完了した後、FMIPを実行する前のインターフェイスと同じインターフェイスを用いて通信を行うことが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について説明する。図1は本発明による無線通信システムの構成を示したものである。図1に示されている構成要素のうち、図14に示した無線通信システムに図示されている構成要素と同じであるものは、図14で使用したものと同じ番号を用いており、ここではその説明を省略する。図1には新たにAR11、AP12、無線カバーエリア13が図示されている。AR11は、IPネットワーク15に接続しており、配下のAP12の無線カバーエリア13によって構成されるサブネットを管理するルータである。本実施の形態におけるMN10は、複数のインターフェイスを有しており、そのうちの1つのインターフェイスはAP12に接続し、AR11を介してIPネットワーク15と通信が可能であり、一方、別のインターフェイスの1つはAP22に接続し、AR21を介してIPネットワーク15と通信が可能である状態にあるときに、無線カバーエリア23からオーバラップエリア25を通って、無線カバーエリア33へ移動する場合を想定する。
なお、MN及びAR,APの接続構成は図1に示したシステム構成に限定するものではなく、本発明を実施できる構成であれば、異なる構成を有していてもよい。
図2は、本発明によるMNの構成の一例を示すブロック図である。図2に示すMNは2つのインターフェイス(インターフェイス1とインターフェイス2)を有しているが、本発明に関わるMNが保持するインターフェイスの数は2つに限定するものではなく、さらに多くのインターフェイスを有していてもよい。図2では、本発明に関わるインターフェイスだけを図示しており、インターフェイス1101は図1におけるAP12に接続しており、インターフェイス1108は、図1におけるAP22に接続しているものとする。
図2に示すMN10は、IPネットワーク15に接続しているインターフェイス1101、送信部1102、受信部1103、パケット変換部1104、パケット復元部1105、MIP処理部1106、上位レイヤ1107、インターフェイス1108、送信部1109、受信部1110、FBU生成部1111、パケット転送先アドレス選択部1112、パケット転送停止指示メッセージ生成部1113、リンク状態監視部1114、FBAck処理部1115、FBUエントリ保持部1116を有している。
インターフェイス1101と、インターフェイス1108は、AP12、AP22及びAP32を介してIPネットワーク15と接続することが可能である。送信部1102及び受信部1103はインターフェイス1101を使用してパケットの送受信を行う。また、送信部1109及び受信部1110はインターフェイス1108を使用してパケットの送受信を行う。
パケット変換部1104は、FBUエントリ保持部1116が保持する送信済みのFBUに関する情報(接続先のアクセスルータのアドレスなど)に基づいて、MIP処理部1106から通知されたパケットをPAR宛にカプセル化し、さらにそれをNAR宛にカプセル化して、それを送信部1102へ通知する。
MIP処理部1106は、上位レイヤ1107から通知された送信パケットをMobileIPの情報に基づいて変換し、それをパケット変換部1104へ通知する。上位レイヤ1107は、IPレイヤよりも上位のレイヤに相当するものであり、それにはTCPレイヤやUDPレイヤ、アプリケーションレイヤなどが含まれる。パケット復元部1105は、FBUエントリ保持部1116が保持する送信済みFBUに関する情報に基づいて、受信部1103から通知された受信パケットのデカプセル化を行い、それをMIP処理部1106へ通知する。
FBU生成部1111は、ハンドオーバ先のサブネット34で使用する新しい気付アドレスと、パケット転送先アドレス選択部1112から通知されたパケット転送先アドレスとを含むFBUメッセージを生成し、それを送信部1109へ通知してAR21へ送信するよう要求する。そしてさらに、FBUエントリ保持部1116に対して、送信したFBUメッセージに含まれる情報を格納するよう要求する。なお、FBUメッセージに含まれるアドレスが、新しい気付アドレスであるか、それともパケット転送先アドレスであるかの区別は、これらのアドレスを含むオプションのタイプの違いで表してもよいし、同一のオプションを用いて、そのオプション内のフィールドの違いで表してもよい。例えば、新しい気付アドレスには、モビリティオプションの1つであるAlternate CoA Optionを用いて、転送先アドレスには、新たなタイプを持つモビリティオプションを使用することができる。
パケット転送先アドレス選択部1112は、リンク状態監視部1114から取得した接続中のインターフェイスのリストの中から、パケットの転送先として適切なインターフェイスを選択し、そのインターフェイスに割り当てられているアドレスをFBU生成部1111へ通知する。
リンク状態監視部1114は、MN10が保持している複数のインターフェイスの状態を監視し、パケット転送先アドレス選択部1112からの要求を受けて、各インターフェイスの状態を含む情報を返す。
パケット転送停止指示メッセージ生成部1113は、FMIPを実行してハンドオーバを実行したインターフェイスが移動先のサブネット34への接続が完了したことをリンク状態監視部1114からの情報によって知ったとき、FBUエントリ保持部1116が保持する情報に基づいて、AR31によるパケットの転送を停止するよう要求するための、パケット転送停止指示メッセージを生成し、それを送信部1109へ通知してAR31へ送信するよう指示する。
FBAck処理部1115は、受信部1110によって受信されたFBAckメッセージの処理を行い、メッセージに含まれる、先に送信したFBUメッセージの受信結果を取得して、それをFBUエントリ保持部1116へ通知する。
FBUエントリ保持部1116は、FBU生成部1111から通知された情報を格納し、さらにFBAck処理部1115から通知されたFBUの受信結果に基づいて、そのエントリを継続して保持するかどうかを決定する。
図3は本発明によるAR21の構成の一例を示すブロック図である。送信部1201及び受信部1204は、配下のAP22やIPネットワーク15と接続して、パケットの送受信を行う。なお、通常は、AP22に接続するためのインターフェイスと、IPネットワーク15に接続するためのインターフェイスとは異なっており、各インターフェイスに応じて複数の送信部及び受信部が設けられているが、ここでは、それぞれまとめて1つの送信部1201及び受信部1204として図示する。
FBAck生成部1202は、HAck処理部1206の指示を受け、MN10へ送信するFBAckメッセージを生成する。FBAckメッセージにはHAck処理部1206から通知されるNARからのステータスが含まれる。
HI生成部1203はFBU処理部1205の指示を受け、FBUメッセージで取得した、新しい気付アドレスとパケット転送先アドレスとを含むHIメッセージを生成し、それをAR31へ送信するよう送信部1201へ要求する。
FBU処理部1205は、受信部1204によってMN10から受信されたFBUメッセージに関する処理を行い、新しい気付アドレスや転送先アドレスなどのFBUメッセージに含まれる情報をHI生成部1203へ通知し、HIメッセージを生成するよう要求する。
HAck処理部1206は、受信部1204によってAR31から受信されたHAckメッセージに関する処理を行い、HAckメッセージに含まれるNARからのステータスをFBAck生成部1202へ通知し、FBAckメッセージを生成してそれをMN10へ送信するよう要求する。
図4は本発明によるAR31の構成の一例を示すブロック図である。送信部1301及び受信部1304は、配下のAP32やIPネットワーク15と接続して、パケットの送受信を行う。なお、通常は、AP32に接続するためのインターフェイスと、IPネットワーク15に接続するためのインターフェイスとは異なっており、各インターフェイスに応じて複数の送信部及び受信部が設けられているが、ここでは、それぞれまとめて1つの送信部1301及び受信部1304として図示する。
気付アドレス宛パケット転送部1302は、受信部1304によって受信されたMN10の新しい気付アドレス宛のパケットを、MN情報保持部1306から取得したパケット転送先アドレスを宛先にしてカプセル化して、それを送信部1301へ通知して、送信するよう指示する。
HAck生成部1303は、HI受信部1305の指示を受け、MN10の新しい気付アドレスの妥当性検証結果と、パケット転送停止指示要求に対応していることを示す情報を含むHAckメッセージを生成する。
MN情報保持部1306は、HI受信部1305によって取得されたMNの情報(新しい気付アドレス、パケット転送先アドレスなど)を保持する。なお、不図示ではあるが、AR31はパケット転送停止指示メッセージ受信処理部を保持しており、MN10からパケット転送停止指示メッセージを受信した際に、気付アドレス宛パケット転送部1302に対して、そのメッセージに該当する代理受信を停止するよう指示する。このメッセージの受信処理後は、MN10の新しい気付アドレスあてパケットの代理受信が行われなくなるため、新しい気付アドレスあてのパケットに対しては通常のルーティング処理が行われる。
図5は本発明の無線通信システムにおける主要な処理を示すシーケンスチャートである。MN10がAP32からビーコンを受信してから(S201)、RtSolPrメッセージを送信し(S202)、PrRtAdvメッセージを受信するまで(S203)の処理は通常のFMIPの処理と同じであるため説明を省略する。
MN10は、AR31へハンドオーバをすることを決定したら、自身が保持する複数のインターフェイスのうち、接続中でありパケットの送受信が可能な状態にあるインターフェイスの中から、パケットの転送先として相応しいインターフェイスを選択し(ここではインターフェイス1101とする)、そのインターフェイスに割り当てられているアドレスをパケットの転送先アドレスとして選択する(S204)。さらにS203で取得したAR31のプレフィックスを用いて新しい気付アドレスを生成する(S205)。そして、選択したパケットの転送先アドレスと新しい気付アドレスを含むFBUメッセージを生成し、それをAR21へ送信する(S206)。
FBUメッセージを受信したAR21は、そのメッセージに含まれる、新しい気付アドレスと、パケット転送先アドレスを通常のHIメッセージに含めてAR31へ送信する(S207)。
HIメッセージを受信したAR31は、メッセージに含まれる新しい気付アドレスの妥当性を検証した結果と、さらにパケット転送先の変更に対応していることを示す情報を付加したHAckメッセージをAR21へ送信する(S208)。
HAckメッセージを受信したAR21は、通常のFMIPにおけるFBAckメッセージに、さらにHAckメッセージで通知されたAR31のパケット転送先変更に対応していることを示す情報を付加したFBAckメッセージを生成し、MN10へ送信する(S209)。AR21はFBAckを送信後、MN10の移動前の気付アドレス宛に送信されてきたパケットを代理受信し、そのパケットに対してMN10の新しい気付アドレスNCoAを宛先としたカプセル化処理を開始する(S210)。そしてそのカプセル化したパケットを送信する(S211)。
AR31は、AR21から送信されてきたMN10の新しい気付アドレス宛に転送されてきたパケットを代理受信し、そのパケットに対してMN10の転送先アドレスを宛先としたカプセル化処理を開始する(S212)。なお、ここでのカプセル化は、NCoA宛のアウターヘッダーを解いた後に転送先アドレス宛にカプセル化をするか、あるいは、NCoA宛のパケットに更に転送先アドレス宛にカプセル化をしてもよい。そしてそのカプセル化したパケットをMN10へ送信する(S213)。
MN10は、インターフェイス1101を使用してAR31から受信したパケット転送先アドレス宛のパケットを受信し、デカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S214)。ここでの処理は、S212でのカプセル化の方法に対応して、転送先アドレス宛のパケットをデカプセル化してPCoA宛のパケットを受信するか、あるいは、転送先アドレス宛のパケットをデカプセル化した後のNCoA宛のパケットを更にデカプセル化してPCoA宛のパケットを受信する。
一方MN10のインターフェイス1108は、レイヤ2ハンドオーバを行った後(S215)、接続先のAR31へ、パケット転送先アドレス宛へのパケットの転送を停止するよう要求するための、パケット転送停止指示メッセージを送信する(S216)。
MN10からパケット転送停止指示メッセージを受信したAR31は、パケットの代理受信及びカプセル化処理を停止し、MN10の新しい気付アドレスNCoA宛のパケットに対しても他のパケットと同じように、通常のルーティングの処理を開始する(S217)。そうすることでMN10へ新しい気付アドレス宛のパケットが転送される(S218)。
MN10は、インターフェイス1108を使用してAR31から受信した新しい気付アドレス宛のパケットを受信し、デカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S219)。
図6A及び6Bは、AR31がMN10へ転送するデータパケットの構成を示したものである。図6Aのパケットは、MN10のパケット転送先アドレス宛に送信するパケットの構成であり、図5におけるS213の処理において送信されるパケットである。最も外側のヘッダに指定されているアドレスは、宛先アドレスがMN10のパケット転送先アドレスであり、送信元アドレスがAR31のIPアドレスである。この図6Aのパケットは、MN10のインターフェイス1101によって受信される。このヘッダによってカプセル化されているパケットには、AR21から受信したパケットがそのまま使われている。つまり、AR21がMN10の新しい気付アドレス宛にカプセル化して送信したパケットであり、その内部パケットには、MN10の移動前の気付アドレス宛のパケットが含まれている。
また図6Bのパケットは、AR31がMN10からパケット転送停止指示メッセージを受信した後に、MN10へ転送するパケットの構成であり、図5におけるS218の処理において送信されるパケットである。AR31はAR21が送信したパケットに対して通常のルーティング処理をするだけであるため、このパケットはAR21が送信したパケットそのものである。この図6Bのパケットは、MN10のインターフェイス1108によって受信される。
なお、AR31は、MN10の新しい気付アドレス宛のパケットを代理受信した際に、新しい気付アドレス宛の外側のヘッダを外した後に、パケット転送先アドレス宛にカプセル化を行ってもよいし、あるいは上記のようにAR21から代理受信したままのパケットに対して、パケット転送先アドレス宛にカプセル化を行ってもよい。これらのいずれかの場合のパケットを受信したMN10は、施されているカプセル化を解くための適切な回数のデカプセル化を行い、デカプセル化を行った状態のパケットを正確に受信するための処理を行う。
このような構成をとることによって、MN10は、実際にハンドオーバしているインターフェイスの代わりに、別のインターフェイスをパケットの転送先として用いることができ、通信を行っていたインターフェイスがレイヤ2ハンドオーバを実行している間でも、通信を継続することできるという効果を得ることができる。又はンドオーバを実行していたインターフェイスの再接続が完了した後に、パケットの転送先を、パケットの転送先として用いていた別のインターフェイスから、再接続が完了したインターフェイスに戻すことによって、MN10は、ハンドオーバ前と同じインターフェイスを用いて通信を行うことができるという効果も得ることができる。さらに、AR31が、MN10へのパケット転送先変更を行うことで、AR21の負荷を軽減することができるという効果も得ることができる。
なお、本発明の第1の実施の形態において、MN10が、FBUメッセージで通知する情報を、モバイルIPにおけるBUメッセージに含めて通知することも可能である。この場合、MN10が利用可能である1つのHAがAR21と同様の役割を果たし、MN10から受信したBUメッセージを処理する。このとき、MN10は、BUメッセージの中に、新しい気付アドレス及び転送先アドレスを含めるだけでなく、BUメッセージを受信したHAが代理受信したパケットを転送する際のあて先アドレスとして、別のHAによって管理されているホームアドレスを含めることが望ましい。この場合、その別のHAが、AR31と同様の役割を果たし、代理受信したパケットを転送先アドレスへ転送する。また、MN10からパケット転送停止指示メッセージを受信した際には、転送先アドレスあてへの転送を、新しい気付アドレスあてへの転送へ切り替える。
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態における無線通信システムの構成は図1に示した構成と同一であり、説明を省略する。
図7は本発明によるMN10の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すMN10は、インターフェイス1401、インターフェイス1408、送信部1402、送信部1409、受信部1403、受信部1410、パケット変換部1404、パケット復元部1405、MIP処理部1406、上位レイヤ1407、FBU生成部1411、パケット転送先アドレス選択部1412、パケット転送先切替指示メッセージ生成部1413、リンク状態監視部1414、FBAck受信部1415、FBUエントリ保持部1416を有している。
なお、インターフェイス1401、インターフェイス1408、送信部1402、送信部1409、受信部1403、受信部1410、パケット変換部1404、パケット復元部1405、MIP処理部1406、上位レイヤ1407、FBU生成部1411、パケット転送先アドレス選択部1412、リンク状態監視部1414、FBAck受信部1415、FBUエントリ保持部1416は、図2に示すインターフェイス1101、インターフェイス1108、送信部1102、送信部1109、受信部1103、受信部1110、パケット変換部1104、パケット復元部1105、MIP処理部1106、上位レイヤ1107、FBU生成部1111、パケット転送先アドレス選択部1112、リンク状態監視部1114、FBAck処理部1115、FBUエントリ保持部1116と同一である。
パケット転送先切替指示メッセージ生成部1413は、FMIPを実行してハンドオーバを実行したインターフェイスが移動先のサブネット34への接続が完了したことをリンク状態監視部1414からの情報によって知ったとき、FBUエントリ保持部1416が保持する情報に基づいて、AR21に対して、転送先のアドレスを、パケット転送先アドレス選択部1412で選択されたアドレスから、ハンドオーバが完了したインターフェイス1408に割り当てられているアドレス宛に切り替えるよう要求するための、転送先切替指示メッセージを生成し、それを送信部1409へ通知してAR21へ送信するよう要求する。
図8は本発明によるAR21の構成の一例を示すブロック図である。図8に示すAR21は、送信部1501、受信部1506、旧気付アドレス宛パケット転送部1502、FBAck生成部1503、HI生成部1504、MN情報保持部1505、FBU処理部1507、HAck処理部1508、パケット転送先切替指示メッセージ処理部1509を有している。
なお、送信部1501、受信部1506は図3に示す送信部1201、受信部1204と同一である。
旧気付アドレス宛パケット転送部1502は、受信部1506によって受信された、MNの移動前の気付アドレス(旧気付アドレス)宛のパケットを、MN情報保持部1505に保持されているそのMNのパケット転送先アドレス宛にカプセル化して、それを送信部1501へ通知して送信するよう指示する。また、パケット転送先切替指示メッセージ処理部1509からの指示を受け、MNの旧気付アドレス宛のパケットの転送先を、パケット転送先アドレスから新しい気付アドレス宛に変更し、新しい気付アドレス宛にカプセル化して、それを送信部1501へ通知して送信するよう指示する。
FBAck生成部1503は、HAck処理部1508の指示を受け、通常のFBAckメッセージを生成し、さらにパケット転送に対応しているかどうかを示す情報を付加して、それを送信部1501へ通知して送信するよう指示する。
HI生成部1504は、FBU処理部1507の指示を受け、MN10から受信したFBUメッセージに含まれる情報に基づいて通常のHIメッセージを生成し、それを送信部1501へ通知して送信するよう指示する。
MN情報保持部1505は、FBU処理部1507及びHAck処理部1508の指示を受け、MN10からのFBUメッセージに含まれる情報、及びHAckメッセージに含まれるAR31からの情報を保持する。
FBU処理部1507は、MN10からのFBUメッセージに関する処理を行い、メッセージに含まれるMN10の新しい気付アドレスや、パケット転送先アドレスなどを取得して、それらをMN情報保持部1505へ通知して保持するよう指示する。
HAck処理部1508は、AR31から受信したHAckメッセージに関する処理を行い、HAckメッセージに含まれるAR31からの情報を取得し、それらをMN情報保持部1505へ通知して保持するよう指示する。また、FBAck生成部1503に対して、MN10へAR31からの情報を通知するためのFBAckメッセージを生成するよう指示する。
パケット転送先切替指示メッセージ処理部1509は、MN10から受信したパケット転送先切替指示メッセージに関する処理を行い、旧気付アドレス宛パケット転送部1502に対して、旧気付アドレス宛のパケットの転送先を、パケット転送先アドレスからMN10の新しい気付アドレス宛に変更するよう指示する。
図9は本発明の主要な処理を示すシーケンスチャートである。MN10が、AP32からビーコンを受信してから(S301)、RtSolPrメッセージを送信し(S302)、PrRtAdvメッセージを受信する(S303)までの処理は通常のFMIPの処理と同じであるため説明を省略する。
MN10は、AR31へハンドオーバをすることを決定したら、自身が保持する複数のインターフェイスのうち、接続中でありパケットの送受信が可能な状態にあるインターフェイスの中から、パケットの転送先として相応しいインターフェイスを選択し(ここではインターフェイス1101とする)、そのインターフェイスに割り当てられているアドレスをパケットの転送先アドレスとして選択する(S304)。さらにS303で取得したAR31のプレフィックスを用いて新しい気付アドレスを生成する(S305)。そして、選択したパケットの転送先アドレスと新しい気付アドレスを含むFBUメッセージを生成し、それをAR21へ送信する(S306)。
FBUメッセージを受信したAR21は、そのメッセージに含まれる情報を用いて通常のHIメッセージを生成し、AR31へ送信する(S307)。
HIメッセージを受信したAR31は、メッセージに含まれる新しい気付アドレスの妥当性を検証し、その検証結果を含む通常のHAckメッセージをAR21へ送信する(S308)。
HAckメッセージを受信したAR21は、通常のFBAckメッセージに、自身がパケット転送先変更に対応していることを示す情報を含めたFBAckメッセージを生成し、MN10へ送信する(S309)。AR21はFBAckを送信後、MNの移動前の気付アドレス宛に送信されてきたパケットを代理受信し、そのパケットに対してMN10のパケット転送先アドレスを宛先としたカプセル化処理を開始する(S310)。なお、ここでのカプセル化は、PCoA宛のパケットを直接転送先アドレス宛にカプセル化するか、あるいは、PCoA宛のパケットをいったんNCoA宛にカプセル化してから転送先アドレス宛にカプセル化してもよい。そしてそのカプセル化したパケットをMN10へ送信する(S311)。
MN10はインターフェイス1101を用いて、AR21からのカプセル化パケットを受信し、デカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S312)。ここでの処理は、S310でのカプセル化の方法に対応して、転送先アドレス宛のアウターヘッダーをデカプセル化した後のPCoA宛のパケットを受信するか、あるいは、転送先アドレス宛のアウターヘッダーをデカプセル化した後のNCoA宛のパケットを更にデカプセル化してPCoA宛のパケットを受信する。
一方MN10のインターフェイス1108は、レイヤ2ハンドオーバを行った後(S313)、接続先のAR31へFNAメッセージを送信するとともに(S314)、移動前のアクセスルータであるAR21へパケット転送先切替指示メッセージを送信する(S315)。なお、このパケット転送先切替指示メッセージは、新たにインターフェイス1108で接続したAR31や、別のインターフェイス1101で接続しているARを経由してAR21に到達する。
MN10から転送先切替メッセージを受信したAR21は、パケットの転送先をMN10のパケット転送先アドレスから、新しい気付アドレスNCoA宛へ変更する(S316)。そうすることでMN10の新しい気付アドレス宛へパケットが転送され(S317)、MN10はインターフェイス1108を使用してパケットを受信することとなる。
MN10は、インターフェイス1108を使用してAR21から受信した新しい気付アドレス宛のパケットに対しデカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S318)。
図10A及び10Bは、AR21がMN10へ転送するデータパケットの構成を示したものである。図10Aのパケットは、MN10のパケット転送先アドレス宛に送信するパケットの構成であり、図9におけるS311の処理において送信されるパケットである。最も外側のヘッダに指定されているアドレスは、宛先アドレスがMN10のパケット転送先アドレスであり、送信元アドレスがAR21のIPアドレスである。このヘッダによってカプセル化されているパケットには、AR21から受信したパケットがそのまま使われている。この図10AのパケットはMN10のインターフェイス1101によって受信される。
また図10Bのパケットは、AR21がMN10からパケット転送先切替指示メッセージを受信した後に、MN10へ転送するパケットの構成であり、図9におけるS317の処理において送信されるパケットである。この図10BのパケットはMN10のインターフェイス1108によって受信される。
なお、AR21は、MN10の移動前の気付アドレス宛のパケットを代理受信した際に、移動前の気付アドレス宛のパケットに対してパケット転送先アドレス宛にカプセル化を行ってもよいし、あるいは新しい気付アドレス宛にカプセル化を行った後のパケットに対して、パケット転送先アドレス宛にカプセル化を行ってもよい。これらのいずれかの場合のパケットを受信したMN10は、施されているカプセル化を解くための適切な回数のデカプセル化を行い、デカプセル化を行った状態のパケットを正確に受信するための処理を行う。
このような構成をとることによって、MN10は、実際にハンドオーバしているインターフェイスの代わりに、別のインターフェイスをパケットの転送先として用いることができ、通信を行っていたインターフェイスがレイヤ2ハンドオーバを実行している間でも、通信を継続することできるという効果を得ることができる。また、ハンドオーバを実行していたインターフェイスの再接続が完了した後に、パケットの転送先を、パケットの転送先として用いていた別のインターフェイスから、再接続が完了したインターフェイスに戻すことによって、MN10は、ハンドオーバ前と同じインターフェイスを用いて通信を行うことができるという効果も得ることができる。さらに、この構成においては、AR21がパケットの転送及びその転送先の切替を行うため、MN10の移動先であるNAR31の付加を軽減することができるという効果も得ることができる。
なお、本発明の第2の実施の形態において、MN10が、FBUメッセージで通知する情報を、モバイルIPにおけるBUメッセージに含めて通知することも可能である。この場合、HAがAR21と同様の役割を果たし、MN10から受信したBUメッセージを処理する。
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態における無線通信システムの構成は図1に示した構成と同一であり、説明を省略する。
図11は本発明によるMN10の構成の一例を示すブロック図である。図11に示すMN10は、インターフェイス1601、インターフェイス1608、送信部1602、送信部1609、受信部1603、受信部1610、パケット変換部1604、パケット復元部1605、MIP処理部1606、上位レイヤ1607、FBU生成部1611、パケット転送先アドレス選択部1612、リンク状態監視部1613、FBAck処理部1614、FBUエントリ保持部1615を有している。
なお、インターフェイス1601、インターフェイス1608、送信部1602、送信部1609、受信部1603、受信部1610、パケット変換部1604、パケット復元部1605、MIP処理部1606、上位レイヤ1607、パケット転送先アドレス選択部1612、リンク状態監視部1613、FBAck処理部1614、FBUエントリ保持部1615は、図2に示すインターフェイス1101、インターフェイス1108、送信部1102、送信部1109、受信部1103、受信部1110、パケット変換部1104、パケット復元部1105、MIP処理部1106、上位レイヤ1107、パケット転送先アドレス選択部1112、リンク状態監視部1114、FBAck処理部1115、FBUエントリ保持部1116と同一である。
FBU生成部1611は、パケット転送先アドレス選択部1612から通知されたパケット転送先アドレスを、通常のFBUメッセージにおける新しい気付アドレスに相当するものとして使用するとともに、さらにそのパケット転送先アドレスが、接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報を付加したFBUメッセージを生成し、それを送信部1609へ通知してAR21へ送信するよう要求する。そしてさらに、FBUエントリ保持部1615に対して、送信したFBUメッセージに含まれる情報を格納するよう要求する。なお、接続中のインターフェイスに割り当てられていることを示す場合、通知する転送先アドレスを含むオプションのタイプの違いで表してもよいし、通常の気付アドレスを通知するためのオプションと同一のオプションを用いて、そのオプション内のフィールドの違いで表してもよい。例えば、通常の気付アドレスには、モビリティオプションの1つであるAlternate CoA Optionを用いて、接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスとしての転送先アドレスには、新たなタイプを持つモビリティオプションを使用することができる。
図12は本発明によるAR21の構成の一例を示すブロック図である。図12に示すAR21は、送信部1701、受信部1706、旧気付アドレス宛パケット転送部1702、FBAck生成部1703、HI生成部1704、MN情報保持部1705、FBU処理部1707、HAck処理部1708を有している。
なお、送信部1701、受信部1706、FBAck生成部1703、HI生成部1704、HAck処理部1708は、図8に示す送信部1501、受信部1506、FBAck生成部1503、HI生成部1504、HAck処理部1508と同一である。
旧気付アドレス宛パケット転送部1702は、受信部1706によって受信された、MNの移動前の気付アドレス(旧気付アドレス)宛のパケットを、MN情報保持部1705に保持されているそのMNのパケット転送先アドレス宛にカプセル化して、それを送信部1701へ通知して送信するよう指示する。
MN情報保持部1705は、FBU処理部1707及びHAck処理部1708の指示を受け、MN10からのFBUメッセージに含まれる情報、及びHAckメッセージに含まれるAR31からの情報を保持する。
FBU処理部1707は、MN10からのFBUメッセージに関する処理を行い、メッセージに含まれるMN10のパケット転送先アドレスと、そのアドレスがMN10の持つ接続中の他のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報などを取得して、それらをMN情報保持部1705へ通知して保持するよう指示する。
この際に、FBUメッセージ内にそのアドレスがMNの接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報が含まれており、その情報によって、そのアドレスがMNの接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることが分かった場合には、FBU処理部1707はHI生成部1704に対してHIメッセージの生成の指示を行わない。一方、FBUメッセージが通常のFMIPにおけるFBUメッセージであり、そのアドレスがMNの接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることを示す情報が含まれていない場合は、HI生成部1704に対して通常のFMIPにおけるHIメッセージを生成するよう指示する。
また、HAck処理部1708は、FBAck生成部1703に対して、MN10へAR31からの情報を通知するためのFBAckメッセージを生成するよう指示する。
図13は本発明の無線通信システムにおける主要な処理を示すシーケンスチャートである。MN10がAP32からビーコンを受信してから(S401)、RtSolPrメッセージを送信し(S402)、PrRtAdvメッセージを受信する(S403)までの処理は通常のFMIPの処理と同じであるため説明を省略する。なお、本実施の形態においては、このRtSolPrメッセージ及びPrRtAdvメッセージの送受信は任意であり、必須のものではない。
MN10は、インターフェイス1108がAR31へハンドオーバをする、あるいはAR21との接続が切れそうであることを認識したら、自身が保持する複数のインターフェイスのうち、接続中でありパケットの送受信が可能な状態にあるインターフェイスの中から、パケットの転送先として相応しいインターフェイスを選択し(ここではインターフェイス1101とする)、そのインターフェイスに割り当てられているアドレスをパケットの転送先アドレスとして選択する(S404)。そして選択したパケットの転送先アドレスを含むFBUメッセージを生成し、それをAR21へ送信する(S405)。
AR21は、MN10からFBUメッセージを受信したら、そのFBUメッセージに含まれているアドレスが、MN10の接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであるかどうかを判断し(S406)、その結果MN10の接続中のインターフェイスに割り当てられているアドレスであることが分かった場合は、AR31へのHIメッセージの送信を行わずに、MN10へ、接続中のインターフェイスへのパケット転送に対応していることを示す情報を付加したFBAckメッセージを送信する(S407)。そしてFBAckメッセージを送信した後、AR21はMN10のサブネット24上で使用していたアドレス宛のパケットを代理受信し、それをMN10のパケット転送先アドレス宛にカプセル化して送信する処理を開始する(S408)。そしてそのカプセル化したパケットをMN10へ送信する(S409)。
MN10はインターフェイス1101を用いて、AR21からのカプセル化されたパケットを受信し、デカプセル化を行って、内部パケットを受信する(S410)。なお、図13には不図示だが、上述の本発明の実施の形態2と同様に、MN10のインターフェイス1108は、レイヤ2ハンドオーバを行った後、移動前のアクセスルータであるAR21へパケット転送先切替指示メッセージを送信してもよい。これにより、インターフェイス1108を再度使用してパケットを受信することが可能となる。
このような構成をとることによって、MN10は、実際にハンドオーバしているインターフェイスの代わりに、別のインターフェイスをパケットの転送先として用いることができ、通信を行っていたインターフェイスがレイヤ2ハンドオーバを実行している間でも、通信を継続することできるという効果を得ることができる。また、AR21は、MN10からのFBUメッセージに含まれるアドレスが、MN10の別のインターフェイスに割り当てられているアドレスであり、そのアドレスを持つインターフェイスは接続中であることを認識できるため、HIメッセージの送信が必要ないことを判断できるという新たな効果を得ることができる。なお、本発明の第3の実施の形態において、MN10が、FBUメッセージで通知する情報を、モバイルIPにおけるBUメッセージに含めて通知することも可能である。この場合、HAがAR21と同様の役割を果たし、MN10から受信したBUメッセージを処理する。
なお、上記の本発明の各実施の形態の説明で用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又はすべてを含むように1チップ化されてもよい。なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適応などが可能性としてあり得る。
本発明は、移動通信装置がハンドオーバする際に、自身が保持する複数のインターフェイスを有効に活用することによって、移動通信装置の通信効率を向上させるという効果を有しており、モバイルノードなどの移動通信装置を含むネットワーク技術に適用可能であり、特にFMIPなどのモビリティサポート技術を用いて、移動通信装置がサブネットワーク間のハンドオーバを行う際の通信制御技術に適用可能である。
本発明の実施の形態1における無線通信システムの構成を示す概略図
本発明の実施の形態1における移動通信装置MN10の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1におけるアクセスルータAR21の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1におけるアクセスルータAR31の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1における無線通信システムによる主要な処理を示すシーケンスチャート
本発明の実施の形態1におけるAR31がMN10へ転送するデータパケットの第1の構成を示す概略図
本発明の実施の形態1におけるAR31がMN10へ転送するデータパケットの第2の構成を示す概略図
本発明の実施の形態2における移動通信装置MN10の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2におけるアクセスルータAR21の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態2における無線通信システムによる主要な処理を示すシーケンスチャート
本発明の実施の形態2におけるAR21がMN10へ転送するデータパケットの第1の構成を示す概略図
本発明の実施の形態2におけるAR21がMN10へ転送するデータパケットの第2の構成を示す概略図
本発明の実施の形態3における移動通信装置MN10の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態3におけるアクセスルータAR21の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態3における無線通信システムによる主要な処理を示すシーケンスチャート
従来の無線通信システムの構成を示す概略図
従来の無線通信システムによる主要な処理を示すシーケンスチャート