JPWO2006103879A1 - 含水粉末化粧料 - Google Patents

Abstract

良好な保存安定性を有し、使用時には、粉っぽさやきしみ感のないみずみずしい使用感に優れ、カスやよれがなく均一な塗布性に優れ、経時での化粧膜の色沈みもなく、化粧持続性においても優れた含水粉末化粧料を提供することを目的とし、（ａ）表面積８０ｍ２／ｇ以上の疎水性粉体、（ｂ）スチレン類、メタクリル酸エステル類およびアクリル酸エステル類からなる群から選ばれた一種又は二種以上の単量体を、重合又は共重合して得られる重合体で構成される板状粉体および（ｃ）水性成分を含有し、塗擦により液化することを特徴とする含水粉末化粧料を提供する。

Description

本発明は、疎水性粉体で被覆した水性成分を、含水粉末組成物として含有せしめた含水粉末化粧料であって、使用時に皮膚上に取り、これを塗擦することにより、この含水粉末組成物が崩れて液化する粉末化粧料に関し、更に詳細には、粉っぽさやきしみ感のないみずみずしい使用感を有し、指や手もしくは小道具で肌に塗擦した時に、よれやカス残りがなく、均一に塗布ができるとともに、特に色材を配合した場合には、経時での持続性にも優れ、保存安定性の良好な含水粉末化粧料に関する。

含水粉末化粧料は、使用前は粉末形態でありながら、使用時に皮膚上で塗擦することにより液化して化粧水や乳液様の性状を呈する化粧料であり、水性成分を疎水性粉体で被覆した含水粉末組成物を含有する化粧料である（特許文献１参照）。この含水粉末組成物は、水性成分を粉末でコートしているため、外観は粉末状であり、これを使用する場合は、まず先に疎水性粉体が肌に触れ、次いで塗擦により内部の水性成分が出てくる。そのため、充分に水性成分が出てきて、みずみずしさや冷感を感じるようになるまでの間、きしみ感や粉っぽさを感じる場合があった。

このような問題を解決するために、様々な試みがなされており、例えば、含水粉末組成物の製造安定性や保存安定性の向上を目的として、水性成分を水性ゲルとした化粧料（特許文献２参照）や、パール剤やラメ剤などの粉末成分を多量に配合し、塗布時のよれを抑えた透明性の高い粉末状化粧料（特許文献３参照）等が開発されている。

特開平５−６５２１２号公報 特開２００１−１３１５２８号公報 特開２００３−２６７８２６号公報

しかしながら、含水粉末組成物中の水性成分をゲル化した粉末化粧料では、指や手もしくは小道具で肌に塗布する際に、カスやよれが出やすく、均一に塗布しにくい場合があり、また、含水粉末化粧料に粉末成分を多量に配合した化粧料では、塗布時のよれが抑制され、優れた透明性を有するものの、色材を配合した場合の化粧持続性や、保存安定性に劣ることがあった。そのため、みずみずしい使用感を失うことなく、指や手もしくは小道具で肌に塗擦した時に、カスやよれがなく、均一に塗布ができるとともに、色材を配合した場合には、経時での色沈みがなく、化粧持続性にも優れ、保存安定性の極めて良好な含水粉末化粧料の開発が切望されていた。

本発明者は、上記実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定の疎水性粉体、特定の板状体及び水性成分を組合せて用いれば、良好な保存安定性および優れた塗布性を有し、きしみ感のなく、みずみずしさを付与する優れた使用感や、特に色材を配合した場合でも、経時での色沈みがない等、優れた化粧持続性を具備した含水粉末化粧料が得られることを見出した。更に、上記水性成分をゲル化することにより、保存安定性がより向上することも見出した。

本発明は、上記知見に基づき完成したものであり、次の成分（ａ）〜（ｃ）：
（ａ）表面積８０ｍ^２／ｇ以上の疎水性粉体 ０．１〜７質量％
（ｂ）スチレン類、メタクリル酸エステル類およびアクリル酸エステル類からなる群か
ら選ばれた一種又は二種以上の単量体を重合又は共重合して得られる重合体 で構成される板状粉体 ０．５〜３０質量％
（ｃ）水性成分 ５０〜９０質量％
を含有し、塗擦により液化することを特徴とする含水粉末化粧料を提供するものである。

また本発明は、前記成分（ｃ）が水性ゲル化剤を含有し、水性ゲルを形成していることを特徴とする上記含水粉末化粧料を提供するものである。

更に本発明は、（ｄ）成分として油性成分を０.３〜５質量％含有する上記粉末化粧料を提供するものである。

本発明の含水粉末化粧料は、良好な保存安定性や、粉っぽさやきしみ感がなく、みずみずしさを付与できる優れた使用感を有するとともに、カスやよれがなく、均一な化粧膜が得られるという優れた塗布性を有し、更に色材を配合した場合であっても、化粧膜の経時での色沈みがない等化粧持続性も良好な優れたものである。

本発明の含水粉末化粧料における成分（ａ）である表面積８０ｍ^２／ｇ以上の疎水性粉体は、この表面積を有し、その粉体表面が疎水性を示すものであればよく、それ自体が疎水性である粉体、親水性粉体を通常公知の疎水化剤により表面処理した粉体、疎水化度をより高めるために疎水性粉体を更に疎水化剤により処理した粉体等が挙げられる。粉末が疎水性であるか否かは、粉末を水に分散することにより判断され、撹拌しても、沈降したり分散したりせず、水に浮いているものが疎水性粉末とされる。

成分（ａ）のうち、それ自体が疎水性である疎水性粉体としては、例えば、ポリスチレン粉末、ポリエチレン粉末、オルガノポリシロキサン粉末、Ｎ−アシルリジン粉末、四フッ化ポリエチレン粉末、エポキシ樹脂粉末等の有機樹脂粉末、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸粉末等が挙げられる。

また、表面処理により疎水化される親水性粉体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、炭化ケイ素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン等の無機粉体類、シルクパウダー、デンプン、ナイロン、結晶セルロース等の有機粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン等の複合粉体等が挙げられる。

また、粉体を疎水化するために用いられる疎水化剤としては、種々のトリメチルシリル化剤、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、パーフルオロアルキルリン酸、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸、パーフルオロアルキルシラン等のフッ素化合物、金属石鹸、油剤等が挙げられるが、この中でも有機ケイ素化合物やフッ素化合物が、疎水化度がより向上するため好ましい。

上記成分（ａ）の疎水性粉体として特に好ましいものは、含水粉末化粧料の保存安定性の点で、平均粒子径０.００１〜０.１μｍの煙霧状無水ケイ酸を疎水化処理したものである。具体的には、ＡＥＲＯＳＩＬ Ｒ９７４、ＡＥＲＯＳＩＬ Ｒ９７２、ＡＥＲＯＳＩＬ
ＲＸ２００、ＡＥＲＯＳＩＬ ＲＸ３００（何れも、日本アエロジル社製）、キャボジルＴＳ−５３０（キャボット社製）等として市販されているものが挙げられる。

本発明に使用される成分（ａ）の含有量は、含水粉末化粧料中の０.１〜７質量％（以下単に「％」と示す）であり、特に好ましくは２〜５％である。０.１％より少ないと、成分（ｃ）の水を粉末化できず、７％より多いと使用時に液化しづらくなる。また、表面積が８０ｍ^２／ｇより小さいと、水性成分をきれいに被覆できず、粉末化できなくなる。

一方、本発明の粉末化粧料における成分（ｂ）である板状粉体は、スチレン類、メタクリル酸エステル類およびアクリル酸エステル類からなる群から選ばれた一種又は二種以上の単量体を重合又は共重合して得られる重合体である。

この成分（ｂ）は、好ましくは、０.１μｍ〜２０μｍ、より好ましくは０.５μｍ〜２μｍの厚さで、好ましくは５μｍ〜６０μｍ、より好ましくは１５μｍ〜３５μｍの平均粒径、１０以上のアスペクト比である板状粉体が好ましい。この範囲のものを用いれば、柔らかな感触でスライド性も良く、肌に密着し、経時での色沈みがなく、塗布膜の透明感が持続し良好なものが得られる。

また、上記成分（ｂ）は、好ましくは５〜２０ｍＬ／ｇ、特に好ましくは１０〜１７ｍＬ／ｇの嵩比重のものである。この嵩比重は、ＪＩＳＫ−５１０１（静置法）により測定することができる。この範囲の嵩比重を有する板状粉体を利用すれば、化粧料中への分散性に優れ、粉っぽさやきしみ感がなく、よれやカス残りのない均一な塗布性に優れた化粧料が得られる。

上記した成分（ｂ）の製造方法としては、例えば、特開２００４−２２７４号公報に記載の方法が挙げられ、特に好ましくは、ポリマーを有機溶剤に溶解した重合体溶液を、常温で液体である液層上に膜状に展開して脱溶剤し、薄膜を形成させて、これを粉砕する方法が挙げられる。この方法によれば、液層の液面の平滑性が転写され、均一な厚さの粉体が得られ、本発明の含水粉末化粧料に配合した場合、感触、スライド性、密着感等の使用感に優れ、また経時での化粧膜の色沈みがなく、透明感が持続する良好な化粧料が得られる。

また、上記成分（ｂ）の板状粉体は、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素等を用いて表面処理を施したものを用いてもよく、これらを一種又は二種以上用いることができる。

本発明に使用される成分（ｂ）の含有量は、含水粉末化粧料中の０.５〜３０％であり、特に好ましくは３〜１５％である。成分（ｂ）の含有量が０.５％より少ないと、経時における化粧膜の色沈みが生じてしまい、逆に３０％より多いと粉っぽさが増し、みずみずしい使用感が得られなくなる。

本発明の含水粉末化粧料における成分（ｃ）の水性成分としては、水及び水に可溶な成分であれば特に制約なく使用することができ、水の他に、例えば、プロピレングリコール、１,３−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられ、これらを一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。

本発明においては、成分（ｃ）中に水性ゲル化剤を含有せしめることにより、水性ゲルを形成せしめることができ、その水性ゲルを疎水性粉体等で被覆して含水粉末化粧料とすることが好ましい。

この水性ゲル化剤は、水に溶解または膨潤することにより、水をゲル化するものであり、例えば、寒天、グァーガム、ローカストビーンガム、クインスシードガム、ファーセレラン、カラギーナン、アルギン酸ソーダ、ジェランガム、デンプン、ペクチン、コンニャク粉等の植物系天然高分子、スクレロチウムガム等の微生物系天然高分子、ゼラチン等の動物系天然高分子、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル（共）重合体等のカルボン酸ビニル（共）重合体、（メタ）アクリル酸（共）重合体、（メタ）アクリル酸ナトリウム（共）重合体等の親水性アクリル系ポリマー、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、含水ケイ酸アルミニウム、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、フッ素四ケイ素雲母等の水膨潤性粘土鉱物等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。これらの水性ゲル化剤は、保存安定性の観点より、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ジェランガム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、スクレロチウムガム等が好ましい。

また、水性ゲル化剤の含有量は、成分（ｃ）をゲル化させるために十分な量であればよく、水性ゲル化剤の種類により異なるが、成分（ｃ）の含有量中の０.１〜１０％とすることが好ましい。なお、上記水性ゲル化剤が、ゲル化のためにアルカリ性であることを必要とする場合には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカリ物質を用いることができる。この場合、水性ゲル化剤と前記アルカリ物質の質量比は、水性ゲル化剤の種類により異なるが、質量比で、１：０.００１〜１：１とすることが好ましい。

本発明の含水粉末化粧料における成分（ｃ）の含有量は、含水粉末化粧料中、５０〜９０％であり、特に好ましくは６５〜８５％である。９０％より多いと化粧持続性を付与しがたく、５０％より少ないと使用時にみずみずしさを与えることができにくくなる。

さらに、本発明の含水粉末化粧料には、成分（ｄ）として油性成分を加えることもできる。この成分（ｄ）としては、化粧料一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、親油性界面活性剤類、油溶性紫外線吸収剤類等が挙げられる。

具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フッシャートロプシュワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、Ｎ−ラウロイル−Ｌ−グルタミン酸ジ（コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル）等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、１２−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリンラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、セスキオレイン酸ソルビタン等の親油性界面活性剤類、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、１２−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、グリセリンモノステアレート、ソルビタントリステアレート等の親油性界面活性剤類、ｐ−アミノ安息香酸エチル、ｐ−メトキシケイ皮酸−２−エチルヘキシル、４−ｔｅｒｔ−ブチル−４'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等の油溶性紫外線吸収剤類、等が挙げられる。これらの油性成分は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。

また、成分（ｄ）の配合方法としては、合成炭化水素ワックス等の高融点ワックスを微粉末化したものや、炭酸マグネシウム等の多孔質粉体やアクリレートコポリマー等の高凝集性ポリマー等に油性成分を担持吸収させ粉末化したもの、ポリメチルメタクリレート等で油性成分をカプセル化したもの等を用いることができる。さらに、成分（ｃ）の水性成分として、水中に成分（ｄ）を乳化分散させた水中油型乳化物を用いることで、油分を配合することもできる。

成分（ｄ）を配合する場合の含有量は、含水粉末化粧料中の０.３〜５％が好ましく、特に好ましくは０.５〜３％である。この範囲であれば、粉体の肌への付着性が良好で、化粧持続性や保存安定性に優れた粉末化粧料が得られる。

本発明の含水粉末化粧料には、更に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、通常、化粧料や医薬部外品の製剤に用いられる成分、すなわち、成分（ａ）及び成分（ｂ）以外の粉体成分、親水性界面活性剤、アルコール、メントール等の清涼剤、被膜形成剤、親水性紫外線吸収剤、塩類、ｐＨ調整剤、酸化防止剤、保湿剤、ビタミンＣ誘導体等の美容成分、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤、香料等を各種の効果を付与するために適宜配合することができる。

このうち、粉体成分は、成分（ａ）又は成分（ｂ）以外では、球状、針状、板状、紡錘状等の形状、多孔質、無孔質等の粒子構造、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径等により特に限定されず、無機粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等いずれのものでも使用でき、基剤成分や感触調整、着色成分等として配合される。また、これら粉体はその表面をフッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素等を用いて表面処理を施したものを用いてもよい。

本発明の含水粉末化粧料の製造方法については、特に限定はないが、例えば成分（ａ）と成分（ｃ）を混合した後、これに成分（ｂ）を混合する方法や、成分（ｂ）を必要に応じて成分（ｄ）と混合した後粉末化し、これを成分（ａ）と成分（ｃ）を混合したものに添加して粉末化する方法等を挙げることができる。

また、本発明の含水粉末化粧料の好ましい製造方法の一つとして、成分（ｃ）として下記の水性ゲル粒子を用い、これを成分（ａ）で被覆して含水粉末組成物を調製し、それに成分（ｂ）及び必要に応じて他の添加成分を加え、混合する方法が挙げられ、このようにして得られた含水粉末組成物は保存安定性の点でより好ましい。

上記方法等で用いる成分（ｃ）の水性ゲルは、保存安定性の観点から、水性ゲルを粒子状に固めた状態で用いることが好ましい。水性ゲル粒子を製造するための方法としては、特に限定はされないが、水相と水性ゲル化剤で調製される水性ゲルを加熱して高速剪断する方法や、凍結粉砕する方法等が挙げられる。高速剪断する方法としては、高速ピンミルやカッターミキサー等を用いる方法が挙げられる。また、凍結粉砕する方法としては、水性ゲルを液体窒素等の冷媒を用いて凍結して粉砕する方法が挙げられる。得られる水性ゲル粒子の平均粒子径としては、１〜３００μｍが好ましい。

また、前記水性ゲル粒子の外側を疎水性粉体で被覆するための方法は特に限定されないが、例えば、攪拌機中に成分（ｃ）である水性ゲル粒子を入れ、温度の上昇によって融解、凝集をおこさないよう低温下で攪拌しながら、成分（ａ）疎水性粉末を添加し、混合攪拌して被覆する方法が挙げられる。混合する攪拌機としては、好ましくは冷却機構を有するジャケットを装着し、ジャケット内の壁面や底面に衝突、接触の少ない形状の攪拌羽根を装着している攪拌機が挙げられる。

上記含水粉末組成物の調製に当たり、成分（ａ）である疎水性粉体の粒子径は、成分（ｃ）である水性ゲル粒子の粒子径よりも小さいことが必要であるが、水性ゲル粒子表面への被覆効率の観点から、疎水性粉体（成分（ａ））の粒子径は水性ゲル粒子（成分（ｃ））の１／１０以下が好ましい。また、水性ゲル粒子と疎水性粉体との比率は、それぞれの粒子径等に影響されるが、質量比で１００：０.５〜１００：２５が好ましい。

以上のようにして得られる本発明の含水粉末化粧料は、アイカラー、ファンデーション、頬紅もしくは白粉等のメークアップ化粧料、美白パウダー、ボディパウダー、制汗パウダー、化粧水もしくは乳液等のスキンケア化粧料、または日焼け止め化粧料等に適用することができる。

以下に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。

実 施 例 １
含水粉末白粉
表１に示す、本発明品１〜６及び比較品１〜５の組成の含水粉末白粉を下記の製造方法で調製した。得られた含水粉末白粉について、使用感（みずみずしさ）、均一な塗布性（よれ・カスのなさ）、化粧持続性（経時での色沈みのなさ、透明感の持続性）、保存安定性についての評価を行った。その結果も併せて表１に示す。

（製造方法）
Ａ．成分１〜７を８５℃で加熱溶解し、冷却固化後、−８０℃で粉砕することにより、
水性ゲル粒子（３０〜１００μｍ）を得た。（本発明品３、６については、成分４〜
７を加熱溶解して水性成分を得た。）
Ｂ．Ａに成分８を加え、ヘンシェルミキサー（三井三池社製）で混合して、含水粉末
組成物を調製した。
Ｃ．あらかじめ混合しておいた成分９〜１７にＢを加え、ヘンシェルミキサーで混合し
て、含水粉末白粉を調製した。

（評価方法 １）
下記（イ）ないし（ハ）の評価項目については、各試料を専門パネル２０名による使用テストを行い、パネル各人が下記評価基準にて７段階に評価し評点を付け、各試料ごとにパネル全員の評点から、その平均値を算出し、下記判定規準により４段階で判定した。
評価項目：
（イ）使用感（みずみずしさ）
（ロ）均一な塗布性（よれ・カスのなさ）
（ハ）化粧持続性（経時での色沈みのなさ、透明感の持続性）

評価基準：
（評 点）： （評 価）
６ ： 非常に良い
５ ： 良い
４ ： やや良い
３ ： 普通
２ ： やや悪い
１ ： 悪い
０ ： 非常に悪い
判定基準：
（評点の平均点） ： （判 定）
５.０以上 ： ◎（非常に良好）
３.５以上５.０未満 ： ○（良好）
１.５以上３.５未満 ： △（普通）
１.５未満 ： ×（不良）

（評価方法 ２）
評価項目のうち、（ニ）の保存安定性については、含水粉末白粉を気密容器に封入し、５０℃で１ヵ月保存した後の状態を目視観察にて評価した。
（評 価） ： （判 定）
粉末がさらさらして流動性がある ： ◎
粉末が均一な大きさで流動性がある ： ○
粉末が一部凝集している ： △
粉末全体が凝集している ： ×

（結 果）
表１から明らかなように、本発明品１〜６の含水粉末白粉は、良好な保存安定性を有し、使用時に粉っぽさやきしみ感がなく、みずみずしさを与える優れた使用感を有し、塗布性も、カスやよれがなく優れていた。また、経時での透明感が持続し、化粧膜の色沈みもなく、化粧持続性の項目においても優れた効果を発現することができた。

一方、成分（ａ）が少ない比較品１では、保存安定性の項目において満足いくものが得られなかった。また、成分（ａ）を多く配合した比較品２では、特にみずみずしい使用感が悪くみずみずしさの点で満足いくものが得られなかった。さらに、成分（ｂ）を多く配合した比較品３では、使用感がみずみずしくなく問題があった。また、成分（ｂ）を配合してない比較品４では、塗布時によれ・カスが出やすく、経時での色沈みが生じ、透明感が維持されておらず、さらに成分（ｂ）に代えて有機球状粉体を配合した比較品５でも同様な項目において満足のいくものが得られなかった。

実 施 例 ２
含水粉末アイカラー：

（製造方法）
Ａ．成分１〜４を室温で混合溶解する。
Ｂ．Ａに成分５を加え、ヘンシェルミキサーにて混合して、含水粉末を調製した。
Ｃ．Ｂに成分６〜９を加え、さらに混合して、アイカラーを調製した。

本発明のアイカラーは、良好な保存安定性を有し、使用時には、粉っぽさやきしみ感がなく、みずみずしさを与える優れた使用感を有し、また、塗布性もカスやよれがなく均一な優れたものであり、更に、化粧持続性も経時での透明感が持続し、化粧膜の色沈みがなく、優れたものであった。

実 施 例 ３
含水粉末ファンデーション：

（製造方法）
Ａ．成分１〜６を８５℃で加熱溶解し、冷却固化後、−８０℃で粉砕することにより、
水性ゲル粒子（１４０〜２５０μｍ）を得た。
Ｂ．Ａに成分７を加え、ヘンシェルミキサーで混合して、含水粉末を調製した。
Ｃ．成分８〜１４を混合し、そこにＢを加え混合して、ファンデーションを調製した。

本発明のファンデーションは、良好な保存安定性を有し、使用時には、粉っぽさやきしみ感がなく、みずみずしさを与える優れた使用感を有し、また、塗布性もカスやよれがなく均一な優れたものであり、更に、化粧持続性も経時での透明感が持続し、化粧膜の色沈みがなく、優れたものであった。

Claims (5)

1. 次の成分（ａ）〜（ｃ）：
   （ａ）表面積８０ｍ^２／ｇ以上の疎水性粉体 ０.１〜７質量％
   （ｂ）スチレン類、メタクリル酸エステル類およびアクリル酸エステル類からなる群か
   ら選ばれた一種又は二種以上の単量体を重合又は共重合して得られる重合体 で構成される板状粉体 ０.５〜３０質量％
   （ｃ）水性成分 ５０〜９０質量％
   を含有し、塗擦により液化することを特徴とする含水粉末化粧料。
2. 前記成分（ｂ）の板状粉体が、厚さ０.１μｍ〜２０μｍ、平均粒径５μｍ〜６０μｍで、そのアスペクト比が１０以上のものである請求項１記載の含水粉末化粧料。
3. 前記成分（ｃ）が水性ゲル化剤を含有し、水性ゲルを形成しているものである請求項１または２記載の含水粉末化粧料。
4. 前記成分（ｃ）が水性ゲル粒子であり、その平均粒子径が１〜３００μｍである請求項１ないし３の何れかの項記載の含水粉末粒子。
5. 更に、成分（ｄ）として油性成分を０.３〜５質量％含有する請求項１ないし４の何れかの項記載の含水粉末化粧料。