JP3993833B2 - 含水粉末化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性成分を粉末化し、含水粉末として含有せしめた使用時に塗擦することにより含水粉末が崩れて液化する含水粉末化粧料に関し、更に詳細には、使用時の冷感を感じるまでの時間が短く、粉っぽさやきしみ感がなく、みずみずしい使用感を有し、仕上がりの化粧膜の均一性と化粧持続性に優れ、かつ保存安定性の極めて良好な含水粉末化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
使用前は粉末形態でありながら、使用時には塗擦により液化して化粧水や乳液様の性状を呈する含水粉末化粧料は、水性成分を疎水性粉体で被覆してなる含水粉末を含有する化粧料である(特許文献1参照)。この含水粉末化粧料は、水性成分を粉末でコートしているため、外観は粉末状であるが、これを使用する場合は、まず先に、外層である疎水性粉体が肌に触れ、次いで塗擦により一定時間後に内部の水性成分が出てくる。そのため、塗擦により充分に水性成分が出てきて、水性成分由来のみずみずしさや冷感を感じるようになるまでの間、きしみ感や粉っぽさを感じる場合があった。
【0003】
そこで、このような現象を改良するために、塗擦時に瞬時に内層の水を外層に移行させるよう界面活性剤や親油性物質等を配合し、外層の疎水性粉体を内層の水性成分に分散させたり、疎水性粉体を親油性物質に吸着させたりして、水性成分由来の冷感やみずみずしさを早く感じさせようとする試みがなされてきた。
【0004】
しかし、界面活性剤や親油性物質には、含水粉末自体を破壊または凝集させる働きがあり、配合方法やその成分の構造によっては、含水粉末の製造安定性や保存安定性を悪化させる場合もあった。
【0005】
そこで、含水粉末の製造安定性や保存安定性の向上を目的とし、水性成分を水性ゲルにした化粧料が開発された(特許文献2参照)。しかし、このものも粉体量の多い製品等種々のタイプの化粧料に展開するには、保存安定性や使用時の冷感を感じるまでの早さ、化粧膜の均一さの面で改善の余地が残されていた。
【0006】
また、含水粉末化粧料に、界面活性剤、オルガノポリシロキサンを含有させることに関しては、それを記載したものもあるが(特許文献2、3、4参照)、これらは、任意成分として発明の効果を損なわない範囲での配合の示唆や、あくまでも単に含有させてもよいものの例にとどまり、その種類を特定したものでも、特定の組合せによる効果を訴求したものでもなかった。すなわち、これらは使用時に冷感やみずみずしさを感じさせ、きしみ感や粉っぽさのない感触を得ることを目的としてはいるものの、冷感やみずみずしさを感じさせるまでの速度をより早め、なおかつムラのない均一で美しい仕上がりの化粧膜の実現や、より優れた製造安定性や保存安定性を同時に付与することを目的としたものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−65212号公報
【特許文献2】
特開2001−131528号公報
【特許文献3】
特開平11−130614号公報
【特許文献4】
特開2000−309506号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の含水粉末化粧料に比べ、使用時にみずみずしさや冷感を感じるまでの時間が短く、粉っぽさやきしみ感がなく、均一で美しい仕上がりの化粧膜と優れた化粧持続性を有し、更には製造安定性、保存安定性に優れた含水粉末化粧料の開発が切望されていた。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
上記実情に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、水性ゲルからなる芯物質を疎水性粉体で被覆してなる含水粉末を配合した含水粉末化粧料において、界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物を添加することで、従来の含水粉末化粧料の有する化粧特性と使用性を保ちつつ、使用時の冷感を感じるまでの速度がより早く、粉っぽさやきしみ感のないみずみずしい使用感に優れ、均一で美しい仕上がりの化粧膜が得られ、保存安定性がより向上することを見出し本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、次の成分(1)および(2)
(1)水性ゲル芯物質を疎水性粉体で被覆してなる含水粉末
(2)界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物
を含有することを特徴とする含水粉末化粧料を提供するものである。
【0011】
また、界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物が、次の成分(a)および(b)
(a)シリコーン系界面活性剤
(b)部分架橋型オルガノポリシロキサンおよび/またはシリコーンパウダーを含有する上記含水粉末化粧料を提供するものである。
【0012】
更に、本発明は、界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物が、その構造中にポリオキシアルキレン鎖を有する部分架橋型オルガノポリシロキサンである上記含水粉末化粧料を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の含水粉末化粧料の成分(1)である、水性ゲル芯物質を疎水性粉体で被覆してなる含水粉末(以下、「含水粉末」という)としては、例えば、上記特許文献2に記載された含水粉末組成物を利用することができる。
【0014】
上記含水粉末の原料である水性ゲル芯物質は、少なくとも、水や親水性成分を含有する水相と水溶性ゲル化剤より構成されるものである。このうち、親水性成分としては、ビタミンC誘導体等の薬剤、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の保湿剤、エタノール、メントール等の清涼剤、界面活性剤等を例示することができる。さらに、水相として水中に油分を乳化分散させた水中油型乳化物、または水中もしくは水中油型乳化物中に粉体を分散させた懸濁液等を例示することができる。
【0015】
また、水溶性ゲル化剤は、水に溶解または膨潤することにより、水をゲル化するものである。例えば、寒天、グァーガム、ローカストビーンガム、クインスシードガム、ファーセレラン、カラギーナン、アルギン酸ソーダ、ジェランガム、デンプン、ペクチン、コンニャク粉等の植物系天然高分子、スクレロチウムガム等の微生物系天然高分子、ゼラチン等の動物系天然高分子、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル(共)重合体等のカルボン酸ビニル(共)重合体、(メタ)アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸ナトリウム(共)重合体等の親水性アクリル系ポリマー、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、含水ケイ酸アルミニウム、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、フッ素四ケイ素雲母等の水膨潤性粘土鉱物等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。これらの水溶性ゲル化剤は、高速剪断や凍結粉砕時の粉砕のし易さや、保存安定性向上の観点より、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ジェランガム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、スクレロチウムガムのように水と硬いゲルを形成するものが好ましい。
【0016】
含水粉末中の水溶性ゲル化剤の含有量は、水相成分をゲル化させるために十分な量であればよく、水溶性ゲル化剤の種類により異なるが、0.1〜10質量%(以下単に「%」と示す)とすることが好ましい。
【0017】
なお、上記水溶性ゲル化剤が、ゲル化のためにアルカリ性であることを必要とする場合には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等を用いることができる。この場合、水溶性ゲル化剤と前記アルカリ物質の質量比は、水溶性ゲル化剤の種類により異なるが、質量比で、1:0.001〜1:1とすることが好ましい。
【0018】
水性ゲル芯物質を製造するための方法としては、特に限定はないが、上記水相と水溶性ゲル化剤で調製される水性ゲルを加熱して高速剪断する方法や、凍結粉砕する方法等が挙げられる。高速剪断する方法としては、高速ピンミルやカッターミキサー等を用いる方法が挙げられる。また、凍結粉砕する方法としては、水性ゲルを液体窒素等の冷媒を用いて凍結して粉砕する方法が挙げられる。得られる水性ゲル芯物質の平均粒子径としては、1〜300μmが好ましい。
【0019】
一方、上記水性ゲル芯物質を被覆するために使用される疎水性粉体としては、それ自体が疎水性である粉体、親水性粉体を通常公知の疎水化剤により表面処理した粉体、疎水化度をより高めるために疎水性粉体を更に疎水化剤により処理した粉体等が挙げられる。
【0020】
このうち、それ自体が疎水性である疎水性粉体としては、例えば、ポリスチレン粉末、ポリエチレン粉末、オルガノポリシロキサン粉末、N−アシルリジン粉末、四フッ化ポリエチレン粉末、アクリル樹脂粉末、エポキシ樹脂粉末、ポリアミド粉末等の有機樹脂粉末、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石けん等が挙げられる。
【0021】
また、親水性粉体を疎水化するために用いられる疎水化剤としては、種々のトリメチルシリル化剤、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、パーフルオロアルキルリン酸、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸、パーフルオロアルキルシラン等のフッ素化合物、金属石鹸、油剤等が挙げられるが、この中でも有機ケイ素化合物やフッ素化合物が、疎水化度がより向上するため好ましい。
【0022】
疎水化できる親水性粉体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、炭化ケイ素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン等の無機粉体類、シルクパウダー、デンプン、結晶セルロース等の有機粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン等の複合粉体等が挙げられる。
【0023】
疎水性粉体として特に好ましいものは、含水粉末の保存安定性の点で、平均粒子径0.001〜0.1μmの煙霧状無水ケイ酸を疎水化処理したものである。具体的には、AEROSIL R974、AEROSIL R972、AEROSIL RX200、AEROSIL RX300(何れも、日本アエロジル社製)、キャボジルTS−530(キャボット社製)等として市販されているものが挙げられる。
【0024】
成分(1)である含水粉末は、前記水性ゲル芯物質の外側を疎水性粉体で被覆することにより調製される。水性ゲル芯物質を疎水性粉末で被覆する方法は特に限定はないが、例えば、攪拌機中に水性ゲル芯物質を入れ、温度の上昇によって融解、凝集をおこさないよう低温下で攪拌しながら、疎水性粉末を添加し、混合攪拌して被覆する方法が挙げられる。混合する攪拌機としては、好ましくは冷却機構を有するジャケットを装着し、ジャケット内の壁面や底面に衝突、接触の少ない形状の攪拌羽根を装着している攪拌機が挙げられる。
【0025】
上記含水粉末の調製に当たり、疎水性粉体の粒子径は、水性ゲル芯物質の粒子径よりも小さいことが必要であるが、水性ゲル芯物質表面への被覆効率の観点から、疎水性粉体の粒子径は水性ゲル芯物質の1/10以下が好ましい。また、水性ゲル芯物質と疎水性粉体との比率は、それぞれの粒子径等に影響されるが、質量比で100:0.5〜100:25が好ましい。
【0026】
一方、本発明の含水粉末化粧料におけるもう1つの必須成分である成分(2)の界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物は、成分(1)の含水粉末とは実質的に別途独立させて添加されるものである。ここでいう粉粒状物とは、固形物または高粘性の液状物であってもよく、含水粉末化粧料の系中で局在化できる塊であればよい。界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物は、一種または二種以上の組み合わせでもよい。
【0027】
上記成分(2)の具体例としては、(a)シリコーン系界面活性剤、および(b)部分架橋型オルガノポリシロキサンおよび/またはシリコーンパウダーの混合物が挙げられる。
【0028】
上記成分(a)であるシリコーン系界面活性剤は、界面活性能を有するシリコーン系化合物であれば、その構造や性状は特に限定されず、種々のものを使用することができる。
【0029】
この成分(a)の具体例としては、例えば、KF−6004、KF−6018、KF−6019、KF−6017(以上信越化学工業社製)、DC2501(東レ・ダウコーニング社製)、NUCシリコンL−7002、NUCシリコンL−720(以上日本ユニカー社製)等の市販品が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0030】
また、この成分(a)は、その少なくとも1種のHLBが7以上、より好ましくはHLB12〜15であると着手時の冷感を感じるまでの速度がより早く、水系への粉の分散性もより良好であるため、みずみずしさを一層強く感じることができる。
【0031】
一方、成分(b)のうち、部分架橋型オルガノポリシロキサンは、三次元架橋構造を有するオルガノポリシロキサン重合物で、温度依存性が少なく粘性が高いため、成分(a)の局在化に非常に良好に作用するものである。この部分架橋型オルガノポリシロキサンとしては、特公平8−6035号公報に記載されているものが例示される。また市販品としては、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物にシリコーン油または一般油を配合したもので、例えば、KSG−15、KSG−16、KSG−18、KSG−41(以上信越化学工業社製)等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0032】
更に、成分(b)のうち、シリコーンパウダーは、シリコーン系の粉末状のものであれば、特に組成の限定はないが、オルガノポリシロキサンエラストマーまたは異種オルガノポリシロキサンからなる複合粉体が特に好ましく、市販品としては、トレフィルE506C(東レ・ダウコーニング社製)、KSP−100、KSP−101(共に信越化学工業社製)等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0033】
成分(2)の調製に当たり、成分(a)として使用されるシリコーン系界面活性剤の配合量は、含水粉末化粧料中の粉体量に対応させて適宜調整すればよく、特に限定はされないが、含水化粧料全体に対して、0.0001〜1.0%が好ましく、0.001〜0.1%がより好ましい。この範囲であれば着手時の冷感を感じる速度が早く、みずみずしさをより感じやすく、保存安定性を確保しやすい。
【0034】
また、成分(b)である部分架橋型オルガノポリシロキサンおよび/またはシリコーンパウダーの配合量も特に限定はされないが、含水化粧料全体に対して、0.01〜20%が好ましく、更に好ましくは0.5〜10%である。この範囲であれば、化粧持続性があると同時に保存安定性を確保しやすい。
【0035】
また、成分(a)と成分(b)が同一物質ではない場合には、該シリコーン系粉粒状物中における成分(a)と、成分(b)との質量比率は、効果的な分散状態が達成できれば限定はないが、好ましくは、0.001/100〜30/100である。この範囲内であれば、通常は保存安定性が確保でき、用時に含水粉末を破壊して液化を促進できる。特に好ましくは、0.01/100〜10/100である。
【0036】
成分(a)と成分(b)を使用して成分(2)を調製する場合の特に好ましい構成としては、(b)部分架橋型オルガノポリシロキサンおよび/またはシリコーンパウダーに、(a)シリコーン系界面活性剤を分散させた分散物(以下、「分散物」という)が挙げられる。これは、常法に従い、部分架橋型オルガノポリシロキサンまたはシリコーンパウダーにシリコーン系界面活性剤を分散せしめることにより調製される。
【0037】
この、成分(a)であるシリコーン系界面活性剤の分散の形態としては、成分(a)が成分(b)である部分架橋型オルガノポリシロキサンやシリコーンパウダー中に、吸収されている形態でも、拡散して分散している形態でも、また、成分(a)の周囲を成分(b)が取り囲み分散している形態であっても良い。
【0038】
また、成分(2)の別の例としては、それ自体が界面活性能を有する部分架橋型オルガノポリシロキサンを挙げることができる。このようなオルガノポリシロキサンは、その構造中にポリオキシアルキレン鎖を有するものであり、その具体例としては、例えば、KSG−210、KSG−310(以上信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0039】
ポリオキシアルキレン鎖を有する部分架橋型オルガノポリシロキサンの少なくとも1種のHLBが7以上、より好ましくはHLB12〜15であると着手時の冷感を感じるまでの速度がより早く、水系への粉の分散性もより良好であるため、みずみずしさを一層強く感じることができる。
【0040】
本発明の含水粉末化粧料の製造方法には特に限定はないが、(1)含水粉末と(2)界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物とを別個に調製し、それに必要に応じて他の添加成分を加え混合することにより製造することが好ましい。成分(2)として、シリコーン系界面活性剤(成分(a))と部分架橋型オルガノポリシロキサンないしシリコーンパウダー(成分(b))を同時に添加することも可能ではあるが、予め成分(a)と成分(b)を混合しておくことが、含水粉末化粧料の中でシリコーン系界面活性剤が局在化しやすく、含水粉末と接触しにくくなることから、保存安定性の点でより好ましい。
【0041】
本発明の含水化粧料には、更に必要に応じて粉体成分、油性成分、界面活性剤、油ゲル化剤、紫外線吸収剤、パラオキシ安息香酸誘導体もしくはフェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、保湿剤等の任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することにより製造できる。
【0042】
これら任意成分のうち、粉体成分としては、化粧効果の付与、感触調整の目的で、通常化粧料に用いられる粉体が配合可能であり、一般的に使用されている化粧料粉体であれば、球状、板状もしくは針状等の形状、煙霧状、微粒子もしくは顔料級等の粒子径、または多孔質もしくは無孔質等の粒子構造等により特に限定されない。
【0043】
具体的には、無機粉体類、有機粉体類、色素粉体類、光輝性粉体類、または複合粉体類等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。より具体的には、酸化チタン、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、コンジョウ、タール色素、天然色素、雲母チタン、酸化鉄雲母チタン、ナイロンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリイソプレンパウダー等が挙げられる。
【0044】
尚、これらの粉体の中で、親水性の粉体は通常公知の方法で表面処理されていることが好ましく、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性シリコーン、アクリレートシリコーン等のシリコーン化合物による処理;パーフルオロポリエーテルリン酸やパーフルオロアルキルリン酸、フッ素変性シリコーン等のフッ素化合物による処理、ラウリン酸亜鉛等の金属石鹸による処理、エステル類、ワックス類等による油処理等が挙げられる。
【0045】
また油性成分は、肌への付着性向上、エモリエント感の付与、化粧持続性の向上の目的で、通常化粧料に用いられる油剤が配合可能である。この油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、および固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、例えば、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。
【0046】
具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシュトロプスワックス、カルナウバロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の天然または合成の炭化水素類、オリーブ油、ひまし油、ミンク油等の油脂類、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリット、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ラノリン誘導体、12−ヒドロキシステアリン酸エステル等のエステル類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油類等を挙げることができる。
【0047】
以上説明した本発明の含水粉末化粧料は、アイカラー、ファンデーション、頬紅もしくは白粉等のメークアップ化粧料、美白パウダー、ボディパウダー、制汗パウダー、化粧水もしくは乳液等のスキンケア化粧料、または日焼け止め化粧料等の形態とすることができる。
【0048】
【作用】
本発明の含水粉末化粧料は、シリコーン系界面活性剤を配合したことによる含水粉末自体の破壊または凝集の問題を、界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物を利用することにより防ぎ、従来の水性ゲル芯物質の含水粉末による使用時の冷感を感じるまでの速度を早くし、経時での保存安定性を高めたものである。
【0049】
すなわち、界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物として成分(b)である部分架橋型オルガノポリシロキサンやシリコーンパウダーと、成分(a)であるシリコーン系界面活性剤を使用した場合、成分(b)が成分(a)の分散媒として作用し、含水粉末とは別に、シリコーン系界面活性剤を局在化させることができるものである。また、それ自身が界面活性能を有する部分架橋型オルガノポリシロキサンを用いた場合も、塗擦するまでは含水粉末に作用することはないのである。従って、界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物を用いることにより、シリコーン系界面活性剤が直接含水粉末に作用して、保存中に含水粉末の被覆構造を破壊することを防止できる。
【0050】
一方、化粧時に塗擦すると、シリコーン系界面活性剤等が速やかに含水粉末に作用して液化させ、冷感、みずみずしさを感じるまでの時間を早くするのである。
【0051】
上記のような作用により、本発明の含水粉末化粧料は経時安定性の非常に優れたものとなり、更に作用時の冷感を感じるまでの速度が早く、肌への付着力も高く化粧持続性が向上するのである。
【0052】
【実施例】
以下に実施例で本発明を更に説明するが、これらは本発明を何ら制約するものではない。
【0053】
実 施 例 1
アイカラー:
表1に示す組成のアイカラーを下記製法で調製し、(イ)着手時に冷感を感じるまでの早さ、(ロ)粉っぽさやきしみ感のないみずみずしい使用感、(ハ)仕上がりの化粧膜の均一性、(ニ)化粧持続性、(ホ)保存安定性について、下記方法および判断基準により評価した。表1に組成と評価結果を示す。
【0054】
< 組 成 >
【表1】
【0055】
< 製 法 >
A. 成分1〜8を加熱溶解し、粉砕することにより、水性ゲル芯物質を得た。ついで、これに成分9を加え混合して、含水粉末を調製した。
B. 成分10〜12および成分13〜15を必要に応じて混合して、界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物を調製した。
C. 成分16〜23を混合し、そこにA、Bを加え混合して、含水粉末化粧料(アイカラー)を調製した。
【0056】
< 評価方法及び判定基準 >
(イ)着手時に冷感を感じるまでの早さ
本発明品1〜5および比較品1〜3のアイカラーを化粧品専門パネラー20名に使用してもらい、下記5段階評価で評価し、その平均値を下記判定基準により判定した。
【0057】
( 評 価 )
評価基準 評 点
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
【0058】
( 判定基準 )
全パネルの評点の平均値 判 定
4.5以上〜5.0点 : ◎
3.5以上〜4.5点未満 : ○
2.0以上〜3.5点未満 : △
1.0以上〜2.0点未満 : ×
【0059】
(ロ)粉っぽさやきしみ感のないみずみずしい使用感
上記(イ)と同様に評価した。判定基準も上記(イ)と同一である。
【0060】
(ハ)仕上がりの化粧膜の均一性
上記(イ)と同様に評価した。判定基準も上記(イ)と同一である。
【0061】
(ニ)化粧持続性
上記(イ)と同様に評価した。判定基準も上記(イ)と同一である。
【0062】
(ホ)保存安定性
含水粉末化粧料の状態で、50℃で1ヶ月保存した後の状態を下記の判定基準で評価した。
( 判定基準 )
判定基準 判 定
粉がさらさらして流動性がある。 : ◎
粉が均一な大きさで流動性がある。 : ○
粉が一部凝集している。 : △
粉全体が凝集している。 : ×
【0063】
表1に示すように、本発明品1〜5のアイカラーは着手時に冷感を感じるまでが非常に早く、粉っぽさやきしみ感のないみずみずしい使用感で、仕上がりの化粧膜の均一性と化粧持続性を維持しつつ、保存安定性も極めて優れたものであった。
【0064】
実 施 例 2
美白パウダー:
下記の組成、製法で美白パウダーを調製し、(イ)着手時に冷感を感じるまでの早さ、(ロ)粉っぽさやきしみ感のないみずみずしい使用感、(ハ)仕上がりの化粧膜の均一性、(ニ)化粧持続性、(ホ)保存安定性について、実施例1と同様の方法で評価した。
【0065】
【0066】
( 製 法 )
A. 成分1〜7を加熱溶解し、粉砕して水性ゲル芯物質を製造し、そこに成分8を加え混合して、含水粉末を調製した。
B. 成分9〜14を混合して、界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物を調製した。
C. A、Bを混合し、美白パウダーとした。
【0067】
実施例2に記載した美白パウダーは着手時に冷感を感じるまでが早く、粉っぽさやきしみ感のないみずみずしい使用感、仕上がりの化粧膜の均一性、化粧持続性を有し、保存安定性にも優れたものであった。
【0068】
実 施 例 3
ファンデーション:
下記成分および製法でファンデーションを調製した。
【0069】
注15:DC2501(東レ・ダウコーニング社製)注10:表1記載と同じ
【0070】
( 製 法 )
A. 成分1〜8を加熱溶解し、粉砕して、水性ゲル芯物質を調製し、これに成分9を加え混合して、含水粉末を調製した。
B. 成分13〜15を混合して、分散物を調製した。
C. 成分10〜12および成分16〜20を混合し、A、Bを加え混合して、
ファンデーションを調製した。
【0071】
実施例3に記載したファンデーションは冷感を感じるまでの時間が非常に早く、粉っぽさやきしみ感のないみずみずしい使用感を持ちつつ、保存安定性にも極めて優れたものであった。
【0072】
【発明の効果】
本発明の含水粉末化粧料は、使用時にみずみずしさや冷感を感じるまでの時間が早く、粉っぽさやきしみ感がなく、均一で美しい仕上がりの化粧膜と化粧持続性に優れ、さらには、製造安定性、保存安定性に優れている。
以 上
Claims (5)
- 次の成分(1)および(2)
(1)水性ゲル芯物質を疎水性粉体で被覆してなる含水粉末
(2)次の成分( i )または( ii )
( i )部分架橋型オルガノポリシロキサンおよび/またはシリコーンパウダーに
、シリコーン系界面活性剤を分散させた分散物
( ii )ポリオキシアルキレン鎖を有する部分架橋型オルガノポリシロキサン
から選ばれる界面活性能を有するシリコーン系粉粒状物
を含有することを特徴とする含水粉末化粧料。 - 成分( i )のシリコーン系界面活性剤の少なくとも1種のHLBが7以上である請求項1記載の含水粉末化粧料。
- 成分( ii )のポリオキシアルキレン鎖を有する部分架橋型オルガノポリシロキサンの少なくとも1種のHLBが7以上である請求項1または2記載の含水粉末化粧料。
- 成分( i )のシリコーン系界面活性剤の含有量が、含水粉末化粧料全体に対して、0.0001〜1質量%である請求項1ないし3のいずれかに記載の含水粉末化粧料。
- 成分( i )の部分架橋型オルガノポリシロキサンおよび/またはシリコーンパウダーの含有量が、含水粉末化粧料全体に対して、0.01〜20質量%である請求項1ないし4のいずれかに記載の含水粉末化粧料。
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