JPWO2006098285A1 - 温室、温室を使用した植物の栽培方法、及び透過性基板 - Google Patents

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Abstract

可視光透過率を維持または上げて、断熱効果を有する透過性基板を利用して、ランニングコストを大幅に削減するとともに、植物の収率をも向上させる温室を提供する。本発明の温室は、温室を被覆する資材として、可視光透過率が86%以上であり、日射透過率が78%以下の透過性基板を使用する。

Description

本発明は、温室、及びこの温室を用いた植物の栽培方法に関する。本発明は、さらに、温室に使用される透過性基板に関する。
一般に温室とは、植物を育成させる目的で建てられた「日射を透過する資材で被覆した構造物」を意味する。このような温室は、太陽光利用型の栽培施設(植物工場等)、研究施設(ファイトトロン等)、また農林水産業用施設、例えば種苗養殖場等の飼育施設に利用される。
従来から、植物の育成のために植物用温室が利用されている。このような植物用室温に対しては、建設コストの低減等との観点から、温室の材料としては、主として、ビニールが使用されている。しかしながら、材料のビニールは、十分な耐久性がなく、台風などの被害を容易に受けやすく、その補修など大きな負担となっている。そのため、ビニールに代わり、近年では、樹脂板、ガラスなどが使用されている。最近では、紫外線の透過を許容し、赤外線の透過を減少させる光透過材を使用した温室が知られている(例えば、特開2001−128566号公報参照)。
しかしながら、従来から用いられているガラス温室は、ランニングコストが高いという欠点を有する。これは、冬期には、栽培する植物の生育温度を維持するための暖房が必要であり、一方で夏期には、栽培している植物の受粉能力が低下したり、例えば、トマトの栽培の場合、リコピン生成などに関する各種酵素の最適温度を越えて重要な酵素の活性を阻害する傾向にあるため、冷房等の温室内温度を下げる工夫が必要になるなど、一年を通して温室内の温度コントロールを行う必要があるためである。
また、上述した公開公報に記載の光透過材は、熱線反射フィルムの使用を必須とするので、熱線反射フィルムの調製が必要である。また熱線反射フィルムをガラスに付着させるために、接着剤の使用も前提とする。接着剤によって熱線反射フィルムの耐久性の問題も生じる。また、温室内が高温になると、受粉能力が低下したり、リコピン生成などに関与する各種酵素の最適温度を越えて重要な酵素の活性を阻害する傾向にもある。
そこで、本発明の目的は、断熱効果を有する透過性基板を利用して、温室のランニングコストを大幅に削減するとともに、可視光透過率を維持または上げて、植物の収穫量をも向上させる温室、及び、この温室を用いた植物の栽培方法を提供することにある。
なお、ここで「収穫量」とは、収穫された植物(果実)の全量から、色ムラ・奇形等、商品として適さない不良品を除いたものをいう。また、「収穫された植物(果実)の全量」に対する「収穫量」の比率を、「良品率」という。
本出願の発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、特定の透過性基板を使用すことにより本発明を完成するに至った。
本発明は、日射を透過する資材で被覆された温室であって、前記資材として、可視光透過率が86%以上であり、日射透過率が78%以下の透過性基板を備えることを特徴とする。
本発明の温室の好ましい実施態様において、前記透過性基板の熱貫流率が、4W/m2K以下であることを特徴とする。
本発明の温室の好ましい実施態様において、前記透過性基板が、単板からなることを特徴とする。
本発明の温室の好ましい実施態様において、前記単板が、基板と、前記基板上の透明導電膜と、前記透明導電膜上であって、前記透明導電膜の屈折率より低い屈折率を有する第一の低屈折率膜と、からなることを特徴とする。
本発明の温室の好ましい実施態様において、前記基板と前記透明導電膜との間に、前記基板と前記透明導電膜の屈折率の中間の値の屈折率を持つ第二の低屈折率膜を有することを特徴とする。
本発明の温室の好ましい実施態様において、前記基板と前記透明導電膜との間に、基板側から高屈折率膜と、第三の低屈折率膜とを有し、前記高屈折率膜が前記第三の低屈折率膜の屈折率より高い屈折率を有し、前記第三の低屈折率膜が前記透明導電膜の屈折率より低い屈折率を有することを特徴とする。
本発明の温室の好ましい実施態様において、膜面側最表面の凹凸の表面平均粗さ(Ra)が5nm〜100nmの範囲であることを特徴とする。
本発明の植物の栽培方法は、上記本発明の温室を使用して、植物を栽培することを特徴とする。
本発明の植物の栽培方法の好ましい実施態様において、前記植物が果菜類であることを特徴とする。
本発明の植物の栽培方法の好ましい実施態様において、前記果菜類がトマトであることを特徴とする。
また、本発明の透過性基板は、温室の被覆資材に用いる透過性基板であって、可視光透過率が86%以上であり、日射透過率が78%以下、熱貫流率が4W/m2K以下であることを特徴とする。
本発明の温室及びこの温室を用いた植物の栽培方法によれば、温室内の冷暖房費用等のランニングコストを大幅に低減するとともに、植物の収穫量を従来と同様またはそれ以上に向上させ得るという有利な効果を有する。また、高温による障害を防止することができることから、葉焼けなどを防いだり、或いは各種酵素の活性を維持でき、ひいては、果菜類の品質をも向上させ得るという有利な効果を奏する。
また、本発明の温室及びこの温室を用いた植物の栽培方法によれば、冷房を用いない温室でも、栽培している植物表面の温度上昇を抑制することができ、例えば、トマトの栽培の例では、高温によりトマトの色にムラが出る、着果率が低下するなどの問題を低減することができ、収穫量の向上が図れる。
さらに、受粉に用いるマルハナバチの体感温度を下げることにより、ハチの訪花活性の維持につながることが期待される。
さらにまた、本発明によれば、膜面側最表面に凹凸を有する基板を用いることで、結露した水滴が植物の葉などの上に落ちるのを防ぎ、落下水滴が元で引き起こされる病気を防ぐ効果を有する。
透過性基板の一例を示す断面図である。 オンラインCVD法による装置の一例を示す図である。 透過性基板の他の例を示す断面図である。 透過性基板のさらに他の例を示す断面図である。 実験に用いた温室の正面図である。 実験に用いた温室の上面図である。
本発明の温室は、可視光透過率が86%以上であり、日射透過率が78%以下の透過性基板を使用する。この透過性基板を、従来の温室で使用されているビニールやガラス部分と代えて、温室に使用することができる。この透過性基板の使用により、冷暖房器具の使用によるランニングコストを大幅に削減するとともに、栽培している植物の収穫量を従来の温室と同等或いは同等以上に向上させることが可能となる。
以下では、本発明の温室を主体に説明しつつ、本発明の透過性基板も温室の説明の中で併せて説明する。したがって、以下の説明において、温室に用いられる透過性基板は、同時に本発明の透過性基板を意味するものでもある。
ここで、可視光透過率について説明すれば、可視光透過率とは、ガラスなどの基板面に垂直に入射する昼光の光束について、透過光束の入射光束に対する比をいう。昼光とは、国際照明委員会(略称CIE:International Commision on Illumination )が定めたCIE昼光を意味するものとする。CIE昼光では、観測データに基づき、黒体放射の色温度と同じ色温度の昼光の分光照度分布を波長560nmの値に対する相対値で示している。また、光束とは、放射の波長ごとの放射束と視感度の値の積の数値を波長について積分したものである(日本工業規格JIS Z 8113及びJIS Z 8120参照)。
また、日射透過率とは、ガラスなどの基板面へ垂直に入射する日射の放射束について透過放射束の入射放射束に対する比をいう。また、日射とは、直達日射、すなわち、大気圏を透過して地上に直接到達する近紫外、可視及び近赤外の波長域(300〜2500nm)の放射をいう。
可視光透過率の下限を、86%以上としたのは、主として、温室用、ひいては植物の好ましい成長を促進するという観点からである。すなわち、植物の葉のクロロフィルが吸収できる波長、つまり400〜500nmと600〜700nmの範囲における波長が、光合成に最も有効であり、おおよそそれらの範囲の波長が、有効波長の9割程度を占めるといわれているので、可視光領域における透過率が温室栽培において重要である観点から、可視光透過率を規定したものである。
なお、可視光透過率の上限については、用途に応じて適宜設定すればよく、限定されるものではないが、実質上、現在の技術限界を考慮すれば、およそ96%である(ガラス板の片面の反射率が4%、片面を無反射条件として可視光透過率96%。但し、これは理論上の値であって、実際には、ガラスの吸収などがあり、93〜94%が商業上の限界と考えられる)。
また、日射透過率の上限については、高温による障害を回避するために、花の温度や果実の温度を下げることができる効果が期待されることから、78%以下としたものである。日射透過率の下限については、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。但し、実際問題として、高い可視光透過率を維持したまま日射透過率を下げることが技術上困難であるという観点から、日射透過率の下限は、42%程度である。
本発明の好ましい実施態様において、前記透過性基板の熱貫流率が、4W/mK以下である。ここで、熱貫流率とは、建築物の外壁のガラス窓において、室外側の周囲空気温度と室内側の周囲空気温度との差1K当たりの、1枚のガラス板または複層ガラスの中央部を貫流する熱流速を意味する。なお、1枚のガラス板または複層ガラスの室外側・室内側の表面の温度とそれぞれの側の周囲空気温度との差1K当たりの熱流速を表面熱伝達率と呼ぶ。熱貫流率を4W/mK以下としたのは、省エネ効果を向上させ、ランニングコストを低減するという観点からである。熱貫流率は、理想的には限りなくゼロに近くするのが良いのであるが、実際には、ある程度の限界がある。したがって、熱貫流率の下限は、特に限定されない。
透過性基板は、特に製造工程が簡便という観点から、単板が好ましい。単板は、図1に示すように、基板1と、この基板上の透明導電膜2と、この透明導電膜上であって、透明導電膜の屈折率より低い屈折率を有する第一の低屈折率膜3とからなる。
基板1としては、特に限定されるものではないが、少なくとも可視光領域で透明若しくは半透明のガラス板、または、少なくとも可視光領域で透明若しくは半透明の合成樹脂板などを挙げることができる。ガラス板の材料としては、フロートガラスソーダライムガラス、ほう珪酸ガラス、結晶化ガラスなどを用いることができる。また、合成樹脂板の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVB(ポリビニルブチラール)、EVA(エチルビニルアセテート)、セルロース系樹脂などを用いることができる。なお、基板の厚さも特に限定されるものではないが、一般的に言えば、0.5〜10mmであってよく、1〜5mmであるのが好ましい。
基板1上の透明導電膜2としては、可視光透過率を向上させるという観点から、酸化錫、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化亜鉛などが用いられる。
透明導電膜の成膜方法には、熱分解法、CVD法、スパッタリング法、ゾルゲル法など一般に薄膜形成に用いられる方法が用いられる。成膜方法は、特に限定されるものではないが、安価で大面積に成膜するためには、熱分解法、特に熱CVD法が好ましい。さらに、酸化錫は比較的容易に成膜できるため、より好ましい。ここで酸化錫とは、慣用に従い、組成成分の含有率が50質量%以上であることをいう。薄膜の特性は、主成分によっておおよそ定まるので、主成分を以って薄膜の特性を判断することが妥当と考えられる。
<酸化錫のCVDによる成膜>
熱分解法による酸化錫を主成分とする薄膜の原料としては、四塩化スズ、ジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジクロライド、テトラメチルスズ、テトラブチルスズ、ジオクチルスズジクロライド、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジアセテートなどが挙げられる。上記原料と反応して酸化錫を主成分とする薄膜を構成する酸化原料としては、酸素、水蒸気または乾燥空気などが挙げられる。
酸化錫膜を形成する場合には、その導電性を向上させるために、アンチモンやフッ素の化合物を混合ガス流中に添加してもかまわない。アンチモンの化合物としては、三塩化アンチモンや五塩化アンチモンなどが、フッ素の化合物としては、フッ化水素、トリフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタンないしクロロジフルオロメタンなどが挙げられる。
アンチモンやフッ素が酸化錫にドープされると、酸化錫中の電子キャリアが増え、放射率が低下するので、薄膜の熱貫流率が低下して断熱性能が向上する。酸化錫にドープされるアンチモンやフッ素の含有量は特に限定されないが、概ね0.01質量%以上1質量%以下が好ましい。この範囲で、効果的に導電性が向上する。
<オンラインCVDについて>
熱分解CVD法を用いる場合、フロート法におけるガラスリボンを基体として、フロートバス内で、前工程と後工程を連続して行う(以下、「オンラインCVD法」と称する)方法においては、ガラスリボンの持つ熱を利用できるため、加熱処理を必要とせず、さらに、生産性もより高くなる。
以下、オンラインCVD法による実施の形態について、さらに詳細に説明する。オンラインCVD法で使用する装置では、図2に示すように、熔融炉(フロート窯)11からフロートバス12内に流れ出し、スズ浴15上を帯状に移動するガラスリボン10の表面から所定距離を隔て、所定個数のコーター16(図示した形態では3つのコーター16a,16b,16c)がスズフロート槽内に配置されている。これらのコーターからは、ガス状の原料が供給され、ガラスリボン10上に前処理が施され薄膜が形成されていく。また、図示しないが、さらに多くのコーターを利用してもよく、前処理後に2層の下地膜を形成させたり、薄膜を複数のコーターから原料を供給して成形してもよい。薄膜が形成されたガラスリボン10は、ローラー17により引き上げられて、徐冷炉13へと送り込まれる。なお、徐冷炉13で徐冷されたガラスリボンは、図示を省略する切断装置により、所定の大きさのガラス板へと切断される。なお、薄膜の成形には、フロートバス12から出てきたガラスリボンに対してスプレー法を、フロートバス内でのCVD法と併用して行ってもよい。
<透明導電膜の膜厚>
透明導電膜2は、電子キャリアによる赤外反射能を有し、放射率を下げ、熱貫流率を低下させるという性質を有する。透明導電膜の膜厚は、可視光透過率、熱貫流率が維持されていれば、特に限定されるものではないが、透明導電膜に酸化錫を使用する場合には200〜500nmが好ましく、250〜400nmがより好ましい。膜厚が薄すぎると熱貫流率が大きくなってしまい好ましくなく、膜厚が厚すぎると可視光透過率が低減してしまい好ましくない。
また、透明導電膜2上の低屈折率膜(第一の低屈折率膜)3は、透明導電膜2の屈折率より低い屈折率を有する。
<第一の低屈折率膜>
透明導電膜2上の低屈折率膜(第一の低屈折率膜)3は、透明導電膜2の屈折率より低い屈折率を有するものであれば何でも良いが、安価で容易に作製できる酸化珪素膜またはフッ素マグネシウム膜が好ましい。成膜方法は、熱分解法、CVD法、スパッタリング法、ゾルゲル法など特に限定されるものではないが、安価で大面積に成膜するためには、工程に真空を必要としない、熱分解法、特に熱CVD法やゾルゲル法が好ましい。
酸化珪素膜のCVDによる成膜の場合、熱CVD法にて酸化珪素膜を作製する原料としては、モノシラン、ジシラン、トリシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン、1,2-ジメチルシラン、1,1,2-トリメチルジシラン、1,1,2,2-テトラメチルジシラン、テトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケートなどが挙げられる。また、この場合の酸化原料としては、酸素、水蒸気、乾燥空気、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化窒素またはオゾンなどが挙げられる。なお、シランを使用した場合に、ガラス表面に到達するまでにシランの反応を防止する目的で、エチレン、アセチレンまたはトルエンなどの不飽和炭化水素ガスを併用してもかまわない。
<第一の低屈折率膜の膜厚>
第一の低屈折率膜3の膜厚は、光の干渉を利用し可視光透過率を向上させる機能を有するためには、それに合う膜厚が必要となる。例えば、透明導電膜として酸化錫膜320nm形成させ、第一の低屈折率膜に酸化珪素膜を使用する際には、酸化珪素膜の膜厚は50〜120nmが好ましく、60〜100nmがより好ましい。膜厚が薄すぎても厚すぎても可視光透過率が低下してしまう。
ゾルゲル法による成膜は、公知の方法(例えば山本雄二、神谷寛一、作花済夫、窯業協会誌、90、328-333(1982).)で実施でき、有機金属化合物またはその加水分解物を含む溶液を基板に塗布する方法が一般的である。塗布の方法は、公知の技術を用いれば良く、特に限定されないが、スピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、カーテンコーター等の装置を用いる方法や、浸漬引き上げ法(ディップコーティング法)、流し塗り法(フローコーティング法)などの方法や、塗布液を含ませた布や紙をガラス板表面に接触させ適当な力をかけて擦る方法(ラビング法)や、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法が用いられる。
基板によっては、有機金属化合物塗布液をはじくなどして均一に塗布できない場合があるが、これは基材表面の洗浄や表面改質を行うことで改善できる。洗浄や表面改質の方法としては、アルコール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒による脱脂洗浄、アルカリや酸による洗浄、研磨剤により表面を研磨する方法、超音波洗浄、紫外線照射処理、紫外線オゾン処理(酸素ガス雰囲気下紫外線照射処理)、プラズマ処理などが挙げられる。
有機金属化合物は、加水分解、脱水縮合を行うものであれば基本的にはどんな化合物でも良いが、金属アルコキシドや金属キレートが好ましい。金属アルコキシドとして具体的には、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等のメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどが、単体あるいは混合体として好ましく用いられ、金属キレートとしては珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等のアセチルアセトネート錯体が好ましく用いられる。
塗布による場合、有機金属化合物を溶かす溶媒は、特に限定されないが、安全性やコストや作業性の観点から水、アルコール類、ケトン類が単独または混合して、好ましく用いられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどが挙げられる。
有機金属化合物は必要に応じて加水分解させて用いる。有機金属化合物溶液に水と必要に応じて酸触媒を加え、一定温度下で一定時間加水分解を行い、必要に応じて希釈して塗布に用いる。加水分解の条件は特に限定されないが、20〜60℃の温度で3分間〜50時間行うのが好ましい。温度が20℃より低かったり時間が3分間より短い場合には加水分解の促進が充分でなく、また温度が60℃より高かったり時間が50時間より長くても、もはや加水分解促進の効果が向上せず、また塗布液寿命が短くなるので好ましくない。
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸の他、酢酸、ギ酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸が用いられる。酸の添加量は特に限定されないが、有機金属化合物に対してモル比で0.001〜8が良い。添加酸量が、モル比で0.001より少ないと、有機金属化合物の加水分解の促進が充分でなく、またモル比で8より多くても、もはや加水分解促進の効果が向上せず、酸が過剰となり好ましくない。
加水分解のため添加する水の量は特に限定されないが、有機金属化合物に対してモル比で0.1以上が良い。添加水量が、モル比で0.1より少ないと、有機金属化合物の加水分解の促進が充分でなく好ましくない。塗布に用いる有機金属化合物溶液の濃度は特に限定されないが、0.001〜5質量%が好ましく用いられる。この範囲の濃度が、上記塗布方法で数十nmの厚みとなるように塗布するのに都合が良い。
塗布後の基板は、20〜250℃の温度で、3分間〜3時間乾燥または熱処理するのが好ましい。より好ましくは80〜200℃の温度で、3分間〜1時間加熱処理するのが良い。この処理により、低屈折率膜の強度や耐久性が向上する。温度が20℃より低かったり時間が3分間より短い場合には上記効果が充分でなく好ましくない。温度が250℃より高いと有機金属化合物が分解する場合があるので好ましくない。また、時間が3時間より長くても、もはや上記効果が向上しないので生産性の観点から好ましくない。
また、本発明の好ましい実施態様において、図3に示すように、基板1と透明導電膜2との間に、基板1の屈折率と透明導電膜2の屈折率との中間の値の屈折率を有する第二の低屈折率膜4を設ける。この第二の低屈折率膜4によって、干渉を低減させて、可視光の波長全域での透過率を高めることができる。
<第二の低屈折率膜>
基板1にソーダライムガラスを使用する場合には、基板1から拡散するアルカリにより透明導電膜2のキャリア濃度を低減させ、放射率を大きくさせてしまうため、基板1と透明導電膜2との間にアルカリ拡散防止膜を形成させることが好ましい。基板1と透明導電膜2との間に、透明導電膜2より高い屈折率の膜を有すると、可視光透過率が低減するため、基板と透明導電膜との間に設ける膜の屈折率は、透明導電膜の屈折率より低いことが必要である。透明導電膜より低い屈折率を有する膜であれば特に限定するものではないが、高いアルカリ拡散防止性能を有し、かつ安価で容易に作製できる酸化珪素膜が好ましく用いられる。この膜の膜厚は、アルカリの拡散を防止できる機能を有することができれば、特に限定するものではないが、15nm以上が好ましく、20nm以上が更に好ましい。膜厚が薄くなりすぎると、アルカリ拡散防止機能が効果的ではない。
また基板1の屈折率と透明導電膜2の屈折率との中間の屈折率を有する膜であれば、光の干渉により色調が無彩色化され、可視光全域での透過率を高めることができる。このような膜として、例えば酸炭化珪素膜や珪素−錫複合酸化物などを使用することができる。第二の低屈折率膜4の膜厚は、光の干渉により色調を無彩色にし、さらにアルカリ拡散を防止する機能を有すれば、特に限定するものではないが、色調の無彩色化の観点から50〜100nmが好ましく、60〜80nmがより好ましい。
酸炭化珪素膜や珪素−錫複合酸化物を作製する方法は、特に限定されるものではないが、熱CVD法を用いることにより容易に作製できる。酸炭化珪素膜は前記原料における酸化源の原料配分を変更することにより得られ、珪素−錫複合酸化物は、酸化珪素膜原料と酸化錫原料を混合させることにより得られる。
本発明の温室の好ましい実施態様において、図4に示すように、図1の基板1と透明導電膜2との間に、基板1側から高屈折率膜5と、第三の低屈折率膜6とを有し、高屈折率膜5が第三の低屈折率膜6の屈折率より高い屈折率を有し、第三の低屈折率膜6が透明導電膜2の屈折率より低い屈折率を有する。
これら高屈折率膜5と第三の低屈折率膜6との2層膜によって、光の干渉を利用した色調の無彩色化が達成でき、可視光全域での透過率を高めることができる。高屈折率膜5については、作製の容易さから、酸化錫膜、酸化チタン膜、窒化珪素膜などが用いられる。
成膜方法は熱分解法、CVD法、スパッタリング法、ゾルゲル法など特に限定されるものではないが、安価で大面積に成膜するためには、熱分解法、特に熱CVD法が好ましい。
酸化チタン原料としては、四塩化チタン、チタンイソプロポキシドなどが挙げられ、酸化原料としては、酸素、水蒸気または乾燥空気などが挙げられる。
窒化珪素の原料としては、珪素原料としてモノシラン(SiH)、ジシラン(Si)、四塩化ケイ素(SiCl)、ジクロルシラン(SiHCl)、三塩化シラン(SiHCl)、テトラメチルシラン((CHSi)または四フッ化ケイ素(SiF)などが挙げられ、窒化原料としてアンモニアなどが挙げられる。
<高屈折率膜の膜厚>
高屈折率膜の膜厚5は、第三の低屈折率膜6との2層により色調を無彩色し、可視光全域での透過率を高めることができれば、特に限定されるものではないが、高屈折率膜に酸化錫膜を、第三の低屈折率膜に酸化珪素膜を使用する場合には、酸化錫膜が20〜30nm、酸化珪素膜が20〜30nmの範囲にあることが好ましい。
また、好ましい実施態様において、膜面側最表面の凹凸の表面平均粗さ(Ra)が5nm〜100nmの範囲である。かかる範囲としたのは、ガラス内面の良好な親水性を設定し、温室内で栽培される植物へ水滴の落下をできるだけ防止するという観点から規定したものである。Raが5nmより小さいと、水滴の落下防止効果が小さく好ましくなく、100nmより大きいと、透明性が損なわれ可視光透過率が低下するので好ましくない。凹凸を有する最表面の材質は親水性を示せば特に限定されることはないが、酸化珪素を用いると、表面が汚れにくくなり長期にわたって親水性が維持され、水滴落下防止効果が持続するので特に好ましい。
ここで、表面平均粗さ(Ra)を表示する方法としては、日本工業規格JIS B0601(1994)に定義されている算術平均粗さ(Ra)を用いる。算術平均粗さの値(nm)は「平均線からの偏差の絶対値」と表現され、次式で与えられる。
Figure 2006098285
本発明において、膜面側最表面の凹凸を形成する方法としては、1)透明導電膜2形成の際に生じた結晶粒界を利用する方法、2)第一の低屈折率膜3の被覆の際に、例えば、金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子と加水分解・縮重合可能な有機金属化合物またはクロロシリル基含有化合物からなる塗布液を基材上に塗布して凹凸を形成する方法などが挙げられる。
結晶粒界を利用する方法については、例えば透明導電膜として酸化錫膜をCVD法など気相法にて形成すれば、膜の成長に従って結晶の粒子が成長し、表面に凹凸が形成される。その上に形成された凹凸を損なわない膜厚にて第一の低屈折率膜3を形成すれば、膜面側最表面に5nm〜100nmの表面平均粗さ(Ra)を有する透過性基板を形成することができる。
金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子を用いる方法において、金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子としては、酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化チタン(チタニア)、酸化セリウム(セリア)からなる群より選ばれる単成分の金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子や、これらの混合物、およびこれらの二種以上の成分からなる複合金属酸化物コロイドや微粒子が使用される。これらは、溶媒分散ゾルの形で好ましく用いられる。金属酸化物ゾルとしては、例えば日産化学工業株式会社製シリカゾルであるスノーテックス−OL、スノーテックス−O、スノーテックス−OUP、スノーテックス−UPや、同社製アルミナゾル520、ジルコニアゾルNZS−30A、石原産業株式会社製チタニアゾルSTS−01、STS−02、多木化学株式会社製ニードラールU−15(セリアゾル)、M−6(チタニアゾル)などの市販水分散ゾルの他、日産化学工業株式会社製IPA−ST、XBA−STのような市販有機溶剤分散シリカゾル、石原産業株式会社製ST−K01、ST−K03のようなバインダーを含んだ市販水アルコール混合溶剤分散チタニアゾルなどが挙げられる。
金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子の大きさは、粒径6〜500nmが好ましい。粒径が6nm未満では表面平均粗さ(Ra)が5nm未満となり易く、親水化に効果的な凹凸を形成できず好ましくない。また粒径が500nmを越えると算術平均粗さ(Ra)が100nmより大きくなり、凹凸が大きすぎて透明性が失われたり、製造工程でコロイドや微粒子が沈降しやすくなるので好ましくない。
金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子としては、鎖状コロイドまたは鎖状微粒子が好ましい。鎖状形状のコロイドや微粒子を用いることにより、表面凹凸の形状が三次元立体的に入り組んだ凹凸形状となり、親水特性や親水持続性の高い表面凹凸を形成することができる。鎖状コロイドの例として、日産化学工業株式会社製シリカゾルであるスノーテックス−OUP、スノーテックス−UPが挙げられ、これらは10〜20nmの直径と40〜300nmの長さを有する。
コロイドや微粒子の溶媒は、実質的にコロイド粒子や微粒子が安定に分散していれば、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、プロパノール等の単体または混合体が好ましく、水がさらに好ましい。これら水及び低級アルコールは、有機金属化合物を含む溶液と簡単に混じり合い、また成膜後の熱処理によって簡単に除去できるので良い。このうち水は製造環境上最も好ましい。
コロイドや微粒子を有機金属化合物やクロロシリル基含有化合物を含む溶液に添加する際、分散助剤を添加しても良い。分散助剤は特に限定されず、一般に用いられる添加剤、例えば、リン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、塩化アルミニウム、塩化鉄等の電解質、各種界面活性剤、各種有機高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が用いられ、その添加量はコロイドや微粒子に対して通常0.01〜5質量%である。
金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子とともに凹凸膜形成用塗布液中に含ませる加水分解・縮重合可能な有機金属化合物は、加水分解、脱水縮合を行うものであれば基本的にはどんな化合物でも良いが、金属アルコキシドや金属キレートが好ましい。
金属アルコキシドとして具体的には、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等のメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどが、単体あるいは混合体として好ましく用いられ、金属キレートとしては珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等のアセチルアセトネート錯体が好ましく用いられる。
また、有機金属化合物として、高分子量タイプのアルキルシリケート、例えばコルコート株式会社製エチルシリケート40や三菱化学株式会社製MS56なども用いることができる。有機金属化合物加水分解物として、市販のアルコキシシラン加水分解液、例えばコルコート株式会社製HAS−10、株式会社日板研究所製セラミカG−91、G−92−6、日本曹達株式会社製アトロンNSI−500などを用いることができる。
金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子とともに塗布液中に含ませるクロロシリル基含有化合物とは、クロロシリル基(−SiCl3−n、ここでnは1,2,または3であり、Xは水素、またはそれぞれ炭素数が1〜10のアルキル基、アルコキシ基、またはアシロキシ基である)を分子内に少なくとも1個有する化合物であり、その中でも、少なくとも2個の塩素を有する化合物が好ましく、シランSi2n+2(ここでnは1〜5の整数)の中の少なくとも2個の水素を塩素で置換し、他の水素を必要に応じてアルキル基、アルコキシ基、またはアシロキシ基で置換したクロロシランおよびその部分加水分解物およびその縮重合物が好ましく、例えば、テトラクロロシラン(SiCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、トリクロロモノメチルシラン(SiCHCl)、ジクロロシラン(SiHCl)、 およびCl−(SiClO)n−SiCl(nは1〜10の整数)等を挙げることができ、これらの中から、単独でまたは複数を組み合わせて使用することができるが、最も好ましいクロロシリル基含有化合物は、テトラクロロシランである。クロロシリル基は反応性が非常に高く、自己縮合または基材表面と縮合反応をすることにより緻密な被膜を形成する。
有機金属化合物またはクロロシリル基含有化合物またはそれらの加水分解物を含む溶液の溶媒は、実質的に有機金属化合物またはクロロシリル基含有化合物またはそれらの加水分解物を溶解すれば基本的に何でも良いが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類が最も好ましく、有機金属化合物またはクロロシリル基含有化合物またはそれらの加水分解物を1〜30質量%の濃度で含有させる。
有機金属化合物の加水分解には、水が必要である。これは、酸性、中性の何れでも良いが、加水分解を促進するためには、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、スルホン酸等で酸性にした水を用いるのが好ましい。酸の添加量は特に限定されないが、有機金属化合物に対してモル比で0.001〜8が良い。添加酸量が、モル比で0.001より少ないと、有機金属化合物の加水分解の促進が充分でなく、またモル比で8より多くても、もはや加水分解促進の効果が向上せず、また成膜後の膜の親水性があまり良くないので好ましくない。
有機金属化合物の加水分解に必要な水の添加量は、有機金属化合物に対してモル比で0.1〜100が良い。水添加量がモル比で0.1より少ないと、有機金属化合物の加水分解の促進が充分でなく、またモル比で100より多いと、液の安定性が低下する傾向になり好ましくない。
クロロシリル基含有化合物を用いる場合には、必ずしも水や酸の添加は必要ではない。付加的に全く水や酸を添加しなくても、溶媒中に含まれていた水分や雰囲気中の水分などにより加水分解が進行する。また、この加水分解に伴って液中に塩酸が遊離し、さらに加水分解が進行する。しかし、付加的に水や酸を加えても何ら差し支えない。酸としては塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、スルホン酸等が用いられ、酸の添加量は特に限定されないが、クロロシリル基含有化合物に対してモル比で0〜4が良い。添加酸量がモル比で4より多くても、もはや加水分解促進の効果が向上せず、また成膜後の凹凸膜の親水性があまり良くないので好ましくない。また水添加量はクロロシリル基含有化合物に対してモル比で0〜100が良い。水添加量がモル比で100より多いと、液の安定性が低下する傾向になり好ましくない。
コロイドや微粒子の膜中の含有量は、あまり小さすぎると、コロイドや微粒子を添加した効果、すなわち得られる親水性能が充分でなく好ましくなく、逆にコロイドや微粒子の含有量があまり大きすぎると、有機金属化合物やクロロシリル基含有化合物由来の金属酸化物マトリックス相が不連続になり凹凸膜が脆くなって膜の強度が低下する傾向が強くなるとともに、得られる防曇性能や防曇維持性能は飽和して実質上向上しない。従ってコロイドや微粒子の膜中の含有量は、金属酸化物換算で5質量%以上、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上、70質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以上、60質量%以下である。
金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子と、有機金属化合物やクロロシリル基含有化合物またはそれらの加水分解物とを混合し、基材上に凹凸を形成するためのコーティング液を調製する。このコーティング液の好ましい原料配合比は、以下の通りである。
有機金属化合物またはクロロシリル基含有化合物またはそれらのその加水分解物 100質量部
金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子 10〜200質量部
水 0〜150質量部
酸触媒 0〜5質量部
分散助剤 0.001〜10質量部
溶媒 500〜10000質量部
有機金属化合物またはクロロシリル基含有化合物を溶媒に溶かし、触媒と水を加え、10℃と溶液の沸点の間の所定の温度で5分間から2日間加水分解する。そこへ金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子と必要に応じ分散助剤を加えて、必要に応じさらに10℃と溶液の沸点の間の所定の温度で5分間から2日間反応させ、塗布液を得る。なお、金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子は、加水分解工程の前に加えても良い。また、有機金属化合物の加水分解工程を省略するために、上記市販の有機金属化合物加水分解物溶液を用いても良い。得られたコーティング液は、その後コーティング方法に応じて適当な溶媒で希釈しても構わない。
凹凸形成用塗布液を基板上に塗布し、乾燥、熱処理して、基材上に金属酸化物凹凸を形成する。塗布の方法は、公知の技術を用いれば良く、特に限定されないが、スピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、カーテンコーター等の装置を用いる方法や、浸漬引き上げ法(ディップコーティング法)、流し塗り法(フローコーティング法)などの方法や、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法が用いられる。
塗布後の基材は、室温から150℃の間の温度で1分間から2時間乾燥後、必要に応じて150℃と基材耐熱温度の間の温度で5秒から5時間熱処理する。基材耐熱温度とは、実質上基材の特性が保持できる上限の温度のことであり、ガラス基材ならば例えば軟化点や失透温度など、プラスチック基材ならば例えばガラス転移点や結晶化温度や分解点などが挙げられる。乾燥や熱処理により、基材表面に強固な金属酸化物凹凸膜が形成される。この凹凸膜は金属酸化物微粒子(金属酸化物コロイドからも由来する)と金属酸化物(有機金属化合物またはクロロシリル基含有化合物から由来する)のマトリックスからなり、金属酸化物微粒子が金属酸化物マトリックスにより基材に固着され、金属酸化物微粒子の表面形状がこの膜の凹凸を形成する。
このようにして得られた金属酸化物凹凸膜を形成した透過性基板は、水に対する濡れ性が向上しており水滴の接触角が低く親水性があり、また多少の表面汚れによっても容易には接触角が上昇せず、親水維持性を有している。
本発明の凹凸膜は、コーティング液中の金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子の粒径や粒子形状、有機金属化合物またはクロロシリル基含有化合物またはそれらの加水分解物と金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子の混合比、固形分濃度などを調節することにより、表面平均粗さ(Ra)が5〜100nmとするのが好ましい。Ra値が5nmより小さくても100nmより大きくても、親水性や親水持続性が低く好ましくない。特にRa値が100nmより大きいと、透明性が損なわれるので好ましくない。本発明の凹凸膜は、さらに好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が10〜30nmである。この範囲で親水性能、特に親水持続性がさらに良好である。ここで、Ra値は原子間力顕微鏡(例えば、セイコー電子株式会社製SPI3700)や電子顕微鏡(例えば、株式会社日立製作所製H−600)を用いて観察、測定した断面曲線から計算できる。
本発明の凹凸を有する第一の低屈折率膜にさらに界面活性剤を含有させることにより、親水特性や親水持続性が更に改良された透過性基板を得ることができる。膜中に界面活性剤を含有させる方法としては、コーティング液中に界面活性剤を添加する方法が簡単で好ましい。膜中に含有された界面活性剤はゆっくりと表面に移動し、結露した水滴の表面張力を低下させ水滴を濡れ拡がらせ、親水性を更に増大させる効果を有する。また汚れ成分を包み込み、表面が汚れて防曇性が低下するのを防ぐ働きも有する。
膜中に含有された界面活性剤は、金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子により形成される間隙や、金属酸化物マトリックスの細孔内に保持され、ゆっくりと表面に移動して防曇性や親水性に寄与できるので、界面活性剤を含まない凹凸膜よりも親水性の持続性能が向上する。また、使用を続けて界面活性剤が次第に流出して膜内部から表面に移動できる界面活性剤がなくなっても凹凸形状による高い防曇性は維持されるので、急激な親水性低下はない。
界面活性剤としては、陰イオン性のものが好ましく用いられる。陽イオン性または両性の界面活性剤は、金属酸化物よりなる凹凸膜に陽イオン部の親水性部を向けて吸着する傾向があるので、空気側には界面活性剤の疎水性部が向くことになり、その結果、物品表面の親水性が低下する傾向があるので好ましくない。非イオン系の界面活性剤は分子量の大きなものが多く、膜中に固定される傾向が強くやはり物品表面の親水性が低下するので好ましくない。
また、分子内にアミン性窒素またはアミド結合を含む界面活性剤は、イオン性に拘わらず、金属酸化物よりなる凹凸膜に、窒素原子を介して吸着する傾向が強く、やはり親水性が低下するので好ましくない。よって、アミン性窒素またはアミド結合を分子内に含まない界面活性剤が好ましく用いられる。
陰イオン性界面活性剤としては、スルホコハク酸ジアルキルナトリウムのようなスルホコハク酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸塩;アルキルエーテルリン酸塩;アルキルエーテルカルボン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような硫酸エステル塩等が例示されるが、これらのうちスルホコハク酸ジアルキルナトリウム、例えば、スルホコハク酸ジブチルナトリウム、スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム等が、親水性や親水維持性が良好であり好ましく用いられる。これら界面活性剤は、一種のみまたは二種以上を混合して用いる。
膜中に含有させる界面活性剤の添加量は、0.1〜15質量%が好ましい。添加量が0.1質量%より少ないと親水性の向上が不充分で添加の意味がなく好ましくない。一方、添加量が15質量%より多いと、膜が白化し外観不良になる傾向が強くまた膜強度も低下するのでやはり好ましくない。界面活性剤を含有させた凹凸膜は、成膜後、界面活性剤の分解温度以下の温度で乾燥や熱処理が施される。
本発明の凹凸膜または界面活性剤を含有する凹凸膜中に、さらにリン系化合物を含有させることにより、親水特性や親水持続性が更に改良された物品を得ることができる。凹凸膜中にリン系化合物を含有させる方法としては、凹凸形成用コーティング液中にリン系化合物を添加する方法が簡単で好ましい。リン系化合物としては、リン酸エステル、リン酸、酸化リン、亜リン酸エステル、亜リン酸等が挙げられ、これら化合物の一種または二種以上が用いられる。
リン系化合物の添加量は、0.1〜15質量%が好ましい。添加量が0.1質量%より少ないと、親水性の向上が不充分で添加の意味がなく好ましくない。一方、添加量が15質量%より多いと、膜が白化し外観不良になる傾向が強く、また膜強度も低下するのでやはり好ましくない。
温室の形式は、屋根の形状とその構造により、片屋根型・両屋根型・スリークォーター型に分けられ、さらに単棟式と連棟式がある。本発明の温室の構成としては、透過性基板を用いれば特に限定されるものではない。栽培する植物の種類に応じて、透過性基板を、温室の全面に使用しても一部(例えば、側面、上面、南側等の面)に使用しても良い。全面に使用しても一部に使用しても、所望の効果を達成することができるからである。要するに、透過性基板を用いる限り、本発明の温室においては、植物の種類や、温室の設置地域に応じて自由に設計変更することができる。
また、本発明の透過性基板は、温室の被覆資材としてのみならず、例えばアトリウム(高層建築の足元で上部をガラス張りにした吹き抜け大空間)の採光部分に用いることで、アトリウム内の緑化(室内庭園等)への貢献も期待できる。
次に、本発明の植物の栽培方法について説明する。本発明の植物の栽培方法は、本発明の温室を使用して、植物を栽培する。「本発明の温室」については、上述の説明をそのまま参照することができる。植物としては、果菜類を挙げることができ、限定されるものではないが、例えば、トマト、ピーマン(パプリカ)、キュウリ、ズッキーニ、ナス、トウガラシなどを挙げることができる。例えば、果菜類を表にまとめると、下記表1のようになる。
Figure 2006098285
温室で栽培される例として、最も一般的なトマトについての光合成飽和、光の波長と光合成との関係、高温による障害等との観点から、本発明の利点を説明すると以下のようである。
<光合成飽和>
トマトは、約7万Luxで光合成量が飽和することが知られている(7万Luxはおよそ700W/mに相当)。トマトは強い光を好む植物に分類される。
光量については、夏の野外最高では、約1200W/m、冬の野外最高が約600W/mである。また、ガラス透過後は、夏で最大、約1000W/m、冬の野外最高が約500W/mであるので、植物体の一番上であっても、夏近辺のみが光合成飽和の光量に達しており、冬を中心に飽和していない時期がかなり存在する。
したがって、透過性基板の透過率は、光合成量に大きな影響を与えることが分かる。本発明の温室は、このような透過性基板の透過率を植物の栽培という観点からも規定しているので、好適である。
<光の波長と光合成>
葉のクロロフィルが吸収できる波長400〜500nm及び600〜700nmの光が光合成に最も有効であり、これらの波長の光が有効波長の光の9割程度を占めているといわれている。このようなことから、かかる波長域での透過率が重要であるが、本発明の温室は、この点からも好適である。
<高温による障害>
花粉の稔性(受粉能力)は、30℃を越えると悪くなり始め、35℃でほぼ不能になる。果実のリコピン生成には多くの酵素が関与しており、主要反応の酵素のうち例えばPsy(フィトエンシターゼ)が20℃、Lyc(リコピンサイクラーゼ)が30℃の最適温度であるため、1日に両温度の時間帯がある程度ないと、リコピン生成が阻害される。夜温が下がらない、あるいは、昼温が高すぎると阻害されやすい。
したがって、ガラスの熱線透過を下げることで、花の温度が下げられる、果実の温度が下げられる、などの効果が期待され障害発生のリスクが軽減されるが、本発明の温室は日射透過率を規定しており、上記効果を期待できるという観点からも好適である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定して解釈される意図ではない。
実施例1
オンラインCVD法を利用して、ガラスリボン上に高屈折率膜、第三の低屈折率膜、透明導電膜及び第一の低屈折率膜をこの順で形成した。具体的には、フロートバス内がバス外よりもやや高圧に維持されるように、フロートバス空間内に98体積%の窒素と2体積%の水素とを供給した。フロートバス内を非酸化性雰囲気に保持した状態で、最上流側に位置する第1のコーターから、ジメチルスズジクロライド(蒸気)、酸素、水蒸気、窒素およびヘリウムからなる混合ガスを供給し、ガラスリボン上に厚さ25nmの酸化錫からなる高屈折率膜を形成した。引き続き、第2のコーターから、モノシラン、エチレン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、高屈折率膜上に厚さ25nmの酸化珪素からなる第三の低屈折率膜を形成した。さらに第3のコーターから、ジメチルスズジクロライド(蒸気)、酸素、水蒸気、窒素およびフッ化水素からなる混合ガスを供給して、フッ素を0.3質量%含む厚さ約320nmのフッ素含有酸化錫からなる透明導電膜を形成した。さらに引き続き、第4のコーターから、モノシラン、エチレン、酸素および窒素からなる混合ガスを供給し、透明導電膜上に厚さ100nmの酸化珪素からなる第一の低屈折率膜を形成した。このようにして、4mm厚みのフロートガラス基板上に、25nm厚の酸化錫膜、25nm厚の酸化珪素膜、320nm厚のフッ素ドープ酸化錫膜、100nm厚の酸化珪素膜をこの順に形成した、可視光透過率89%、日射透過率77%、熱貫流率3.9のガラスを得た。
比較例として、ガラス基板(4mm厚)のみ(比較例1)、実施例1から第一の低屈折率膜を除去した構成のガラス(比較例2)を用いた。用いた膜構成を表2に、透過性基板の可視光透過率(%)、日射透過率(%)、熱貫流率(W/mK)を表3にまとめた。
Figure 2006098285

但し、表中、Gはガラスを意味し、SnO:FはFドープしたものを示す。
Figure 2006098285

各透過性基板を温室の資材として用いて栽培試験した。試験内容は以下の通りである。
試験場所:カゴメ総合研究所 大規模温室 栽培室 No.1 (フェンロー型温室)
栽培方法:ロックウールを培地に用いた養液栽培
試験方法:トマトは2003年12月に播種を行い、2004年3月から収穫を継続していた。
図5Aおよび図5Bは、栽培試験に用いた大規模温室20の構造の正面図および平面図である。この温室の寸法は、床寸法は12.8m×24.4m、高さ4.9mである。
栽培室の天井ガラスの半分は「通常のガラス22(表2の比較例1のガラス)」、半分は「表2の実施例1のガラス24(本発明の温室に用いる透過性基板(以下、この実施例では、透過性基板ともいう。)」を設置(交換)した。ガラスの設置(交換)は、2004年7月1日に行った。
温室20内には、トマトを植え付ける畦A〜Iが作られている。それぞれのガラスの下に位置するトマトを「通常ガラス区」、もしくは「透過性基板区」とした。「通常ガラス区」と「透過性基板区」の境はビニルカーテン26で仕切った。全てのトマトについて、ガラスを設置(交換)した7月1日以降に発生した花房は、開花前につぼみを5個/房に調整(他のつぼみは摘去)した。通常ガラス区、もしくは透過性基板区には、それぞれ304本のトマトが位置し、トマトの伸長に合わせてトマトの先端部を横方向に移動した。ガラスを設置した7月1日以降に初めて発生した花房の果実が完熟になった時点(8月下旬)で、各区の中央に先端部が位置する10株のトマトを調査対象(図中、30,32で示す)とし、株ごとに調査を行った。
調査対象のトマト1株につき、3つの花房から、果実が完熟した時点で収穫し、調査した。花房当りの着果数、1果ごとの重量、果実への障害(不良要因)の発生有無を調査した。また、実施例1のガラスによる熱線カットの効果を調べるために、屋外で、上記の比較例1のガラスもしくは実施例1のガラスの下20cmの位置に、完熟したトマト果実をへたを下にして位置させ、1時間後に、果実の天面の表面温度を測定した。これらの結果を、表4に示す。
Figure 2006098285

また、比較例1のガラスと、実施例1のガラスを用いて、根の伸長、成長点、葉、マルハナバチの活動、花粉の活性等多数の要素を用いて、本発明の温室の効果を調べた。これらの結果を、表5に示す。
Figure 2006098285
実施例2
次にガラスの表面状態と水滴落下との関係について調べた。大浴場、温泉、植物温室の屋根にはガラスがトップライトとして使われることが多い。高湿度環境下で屋根内面で結露した水は徐々に成長し大きな水滴となってガラスから離脱する。その際、ガラス内面の親水性の状態によって、水滴はシート状に濡れ広がってガラス面からは落下しないものや、球状の水滴粒になって結露場所で垂直に落下するものがある。又それは屋根の傾斜にも関係がある。すなわち傾斜が急だと、水滴状のものでも結露ポイントではなく内面を伝ってガラスエッジのところまで水滴が到達する。
植物温室でこのような結露現象が起きると、結露場所から垂直落下した水滴が植物の葉に当たり、それが元で病気になることが多い。そこでガラスの表面状態(濡れ性、接触角)によって垂直落下限界角度がどのように変化することを調べ温室に必要なガラスの接触角がどの程度の接触角を持っていたらよいかを検討した。
具体的には、上述の実施例1、比較例1、比較例2で作製したガラスをそれぞれ、膜面を下方に向け傾斜22°に保持し、下方から霧吹きにて水滴をつけ、水滴の垂れ具合を観察した。その結果、実施例1、比較例2のガラスでは、水滴が濡れ広がり、水はガラス面を伝って端まで移動し、水滴となって落下することはなかったのに対し、比較例1のガラスでは、多数の水滴が落下した。
なお、これらガラスの表面平均粗さ(Ra)を測定した結果は、実施例1のガラスについては、50nmであり、比較例1のガラスについては、0.1nmであり、比較例2のガラスについては、60nmであった。
実施例3
次に、上述のように調製した種々の透過性基板を用いて、エネルギー負荷計算結果を調べた。エネルギー負荷計算については、住宅用熱負荷計算プログラムSMASH(財団法人建築環境・省エネルギー機構)を用いて、以下の計算条件にて12月から3月の冬季の暖房負荷を計算して行った。
<計算条件>
1.計算モデル寸法(直方体モデル)
SMASHは住宅用の熱負荷計算プログラムであるので、大型建造物について直接計算できない。そこで以下の寸法の温室を想定し計算するにあたり、1/10モデルにて計算を行い、1/1モデルを推定する方法にて、以下の寸法のガラス温室(帳壁、屋根とも全面を、実施例1、比較例1及び比較例2のガラスで構成)の暖房負荷を計算した。すなわち、SMASHで計算可能な1/10モデル、1/8モデル、1/6モデルの暖房負荷計算結果を用いて、数学的手法(外挿)で1/1モデルの暖房負荷の推定を行った。具体的には、1/10モデルの暖房負荷の計算結果の約99.73倍を、1/1モデルの暖房負荷とした。

床寸法 139.50m×320.40m
高さ 5.30m
床面積 44695.80m
容積 236887.74m
2.その他条件
自然換気回数:1時間あたり0.6回
室温設定:終日16℃
床:土間床として定義
設定都市:和歌山県和歌山市加太
計算対象期間:12月1日から3月31日
比較例1のガラスを用いた温室の暖房負荷の値を100として、各ガラスを用いた温室の暖房負荷を、表6に示す。
Figure 2006098285

ビニールまたはガラス基板が使用されている従来の温室に代えて、本発明の透過性基板が使用されている温室を用いることにより、飛躍的に冷暖房費用を削減することができる。また、栽培する植物の収穫量も従来の温室同等或いは同等以上とすることができる。ガラス基板の交換は比較的容易であることに加え、ガラスを用いた場合には、ビニールに比較すれば耐久性も向上する。

Claims (13)

  1. 可視光透過率が86%以上であり、日射透過率が78%以下の透過性基板を使用する温室。
  2. 前記透過性基板の熱貫流率が、4W/mK以下である、請求項1に記載の温室。
  3. 前記透過性基板が、単板からなる、請求項1または2に記載の温室。
  4. 前記単板が、基板と、前記基板上の透明導電膜と、前記透明導電膜上であって、前記透明導電膜の屈折率より低い屈折率を有する第一の低屈折率膜とからなる、請求項3に記載の温室。
  5. 前記透明導電膜が、酸化錫、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、及び酸化亜鉛のいずれか1つから選択される、請求項4に記載の温室。
  6. 前記第一の低屈折率膜が、酸化珪素またはフッ化マグネシウムである、請求項4または5に記載の温室。
  7. 前記基板と前記透明導電膜との間に、前記基板の屈折率と前記透明導電膜の屈折率の中間の値の屈折率を持つ第二の低屈折率膜を有する請求項4〜6のいずれか1項に記載の温室。
  8. 前記基板と前記透明導電膜との間に、基板側から高屈折率膜と、第三の低屈折率膜とを有し、前記高屈折率膜が前記第三の低屈折率膜の屈折率より高い屈折率を有し、前記第三の低屈折率膜が前記透明導電膜の屈折率より低い屈折率を有する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の温室。
  9. 膜面側最表面の凹凸の表面平均粗さ(Ra)が5nm〜100nmの範囲である、請求項4〜8のいずれか1項に記載の温室。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の温室を使用して、植物を栽培する栽培方法。
  11. 前記植物が果菜類である、請求項10に記載の栽培方法。
  12. 前記果菜類がトマトである、請求項11に記載の栽培方法。
  13. 温室の被覆資材に用いる透過性基板であって、可視光透過率が86%以上であり、日射透過率が78%以下、熱貫流率が4W/mK以下である透過性基板。
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