JP2882728B2 - 熱遮断ガラスおよびそれを用いた複層ガラス - Google Patents

熱遮断ガラスおよびそれを用いた複層ガラス

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JP2882728B2 JP5159614A JP15961493A JP2882728B2 JP 2882728 B2 JP2882728 B2 JP 2882728B2 JP 5159614 A JP5159614 A JP 5159614A JP 15961493 A JP15961493 A JP 15961493A JP 2882728 B2 JP2882728 B2 JP 2882728B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築物等において、夏季
には日射エネルギーの入射を抑制し冷房負荷を低減し、
冬季には屋内からの外部への熱放射を抑制し暖房負荷を
低減する、省エネルギー窓材として好適な熱遮断ガラス
およびそれを配した複層ガラスに関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】従来、建築物、車両等におけ
る日射の入射を吸収・抑制し、高温時の冷房負荷を低減
するうえでいわゆる青色ガラス、ブロンズ色ガラス、灰
色ガラス等の着色熱線吸収ガラスを使用することは公知
であり、さらに、近年車両等に緑色系着色ガラスが採用
されつつある。しかしこれら熱線吸収ガラスは吸収され
た日射が熱に変換され、再度熱線(遠赤外線)として屋
外、車外はもとより、屋内、車内に放射される。
【0003】また、着色熱線吸収ガラスに熱遮断性の膜
を形成したガラスについてみれば、特開昭48−29815 号
には、可視光の少なくとも一部を透過するパネル、例え
ば着色熱線吸収ガラスに、周期律表の特定の族に属する
元素の硼化物、炭化物、窒化物、酸化物 (メタロイド)
膜を膜付けした日光フィルター熱絶縁ガラスが開示さ
れ、また、実開平3−55832 号には、グレー系熱線吸収
ガラスに窒化クロム膜、透明酸化物膜を順次積層し、あ
るいはブロンズ系熱線吸収ガラスに同様な膜を積層した
熱線遮蔽ガラスが開示される等、単に着色熱線吸収ガラ
スに熱遮断性の膜を形成することは公知である。
【0004】しかし、日射を効果的に遮断する熱線・紫
外線吸収緑色系ガラスと、特に熱エネルギーの高い遠赤
外線を効果的に反射する低放射性膜との組合せについて
は開示しておらず、また前記メタロイド膜等は低放射性
という観点からすれば適当とは言いがたい。
【0005】なお、着色熱線吸収ガラスを用いた複層ガ
ラス (二重ガラス) についてみれば、屋外側に着色熱線
吸収ガラス、屋内側に通常のガラスを配する等、設計す
ることにより断熱性を向上せしめることは公知であり、
本出願人の先の発明にかかる特願平2−321465号、特願
平2−405840号等においても緑色系着色 (熱線吸収)ガ
ラスを提唱したなかで、該ガラスを用いた合せガラス、
複層ガラスについて開示示唆する等すでに公知の技術事
項である。
【0006】さらに、少なくとも一方のガラスに熱遮断
性膜を形成した着色ガラス−ガラスの組合せからなる複
層ガラス (二重ガラス)についてみれば、アメリカ特許
第4069630 号には、屋外側には例えばブロンズ色ガラ
ス、灰色ガラス等の熱線吸収ガラスを配しその内側面に
は酸化錫よりなる赤外線反射膜を膜付けし、屋内側には
通常のガラスを配した熱線反射窓が開示され、また、ア
メリカ特許第4687687 号には、 2枚の被膜を組込んだ二
重ガラスユニットにおいて、一方の被膜はドープした酸
化錫および/ またはドープした酸化インジウムを有する
低輻射率被膜であり、他方の被膜は膜中に二酸化物換算
で少なくとも30wt%の錫、および少なくとも30wt%のチ
タンを含む熱反射性金属酸化物とすること、ガラス板の
一つはボディ着色ガラスとすることができることを提唱
し、例えば熱反射性金属酸化物被膜を外側面に有する外
側のブロンズ色ガラスと、低輻射率被膜を内面側に有す
る内側ガラスからなる二重ガラスユニットが開示されて
いる。
【0007】しかし、本発明におけるような、外側ガラ
スに熱線・紫外線吸収緑色系ガラスを配し、その内側面
に銀層を含む低放射性膜を形成することは開示示唆して
いない。
【0008】特開平1−105895号には、外側の緑色、ブ
ロンズ色等の着色熱線吸収ガラスと、内側のアニールし
たガラスからなる二重ガラスで、内側ガラスの内面 (外
側ガラスに向いた面) に15〜40nmの銀層を含む被膜を有
することが開示されている。前記銀層を含む被膜は低放
射作用を呈するものではあるが、低放射性膜を内側ガラ
ス内面に配したものは、後段実施例の項で例示するよう
に外側ガラス内面に配したものより遮熱、断熱性に劣
る。
【0009】すなわち、これら公知例は本発明における
ような構成を開示しておらず、構成はシンプルであるが
熱遮断、断熱作用において劣り、また有害な紫外線を有
効に遮断し難く、あるいは遮熱、断熱には相応の作用を
呈するが、構成が複雑で採光、透視性を損じ、コストが
きわめて高く汎く利用し難いという難点がある。本発明
はシンプルな構成で、視覚上穏やかで草木の緑色にマッ
チした色調を呈し、日射からの熱線を吸収し、有害な紫
外線を遮断する作用を呈する熱線・紫外線吸収緑色系ガ
ラスを基に、特に遠赤外域の熱線を遮断する低放射性膜
を被膜形成したことにより、熱遮断作用を向上させ、勿
論採光、透視性を損なうことのない熱遮断ガラス、およ
びそれを用いた複層ガラスを提供するものである。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明は熱遮断ガラス
に関し、熱線・紫外線吸収緑色系ガラスの片面に、銀層
を含む多層膜からなり、垂直放射率0.2 以下の低放射性
膜を形成したこと、前記熱線・紫外線吸収緑色系ガラス
が、板厚5mmにおける可視光透過率 (A光源) 65%以
上、日射透過率35〜50%、紫外線透過率15%以下、主波
長500 〜530nm 、刺激純度5以下であること、さらに前
記熱遮断ガラスを屋外側、クリアー系ガラスを屋内側に
配した複層ガラスであって、低放射性膜を熱遮断ガラス
の内側面に形成してなる複層ガラス、からなる。
【0011】前記熱線・紫外線吸収緑色系ガラスの特性
に合致したガラスとして、本出願人の発明にかかる特願
平2−321465号、特願平2−405840号、特願平3−1449
27号等において提唱したガラスが好適に採用できる。こ
れらはいずれもソーダ石灰シリカ系ガラスであって、総
ずれば着色成分としてFe2O3 0.58〜0.75wt%、CeO2 0.1
0 〜0.50wt%、TiO2 0.10 〜0.40wt%の範囲で含み、か
つMnO を300ppm以下において適宜量含有させたものであ
り、この組成範囲のものがセントラル硝子株式会社製商
品名グリーンラルSPとして市販されている。
【0012】なお、本出願人のさらに別の発明にかかる
特願平5−24456 号には、ソーダ石灰シリカ系ガラスに
おいて、着色成分としてFe2O3 ( 全鉄)0.1〜0.3 wt%、
CoO20〜50ppm およびCr2O3 200 〜400ppmを含み、還元
率 (Fe2+/ Fe3+) が20〜50%の緑色系ガラスを提唱した
が、これをベースとして前記色調を損なわない範囲で適
宜TiO2、CeO2等を添加したガラスも採用できる。
【0013】本発明における低放射性膜は、可視光は透
過し易いが、近赤外光〜遠赤外光、特に波長2100nm以上
の遠赤外域の光は反射する傾向を有するもので、例えば
屋内の人体、物体等の温熱体からの放射熱 (遠赤外線)
の逸散を抑制し、従って冬季は屋内の暖房負荷を軽減す
る。また、日射の赤外域の光の屋内への入射を抑制する
ので夏季の屋内の冷房負荷を軽減するものであるが、む
しろ熱線・紫外線吸収緑色系ガラスとの組合せによりそ
の作用を格段と向上するものである。
【0014】低放射性膜は金属層、特に銀層を含むもの
がコスト、性能面を勘案すれば最良であり、ただしガラ
スとの接着性や、雰囲気に対する安定性、耐食性を考慮
して、金属酸化物層−銀層−金属酸化物層を基本膜構成
とするのが好ましい。例示すれば、ZnO −Ag−ZnO 、あ
るいはこれにAu、Al、Pt、Crその他の金属層を適宜挟
み、TiO2、SiO2その他の金属酸化物層を適宜内側層、中
間層、または外郭層として配するのがよい。なお通常低
放射性膜はJIS R 3106に規定する測定方法により垂直放
射率が0.3 ないし0.4 以下のものをいうが、本発明にお
いては0.2 以下とすることによりその性能を充分発揮す
るもので、より好ましくは0.1 以下とするのが望まし
い。
【0015】本発明における複層ガラスは、外側ガラス
に熱線・紫外線吸収緑色系ガラス、その内側に低放射性
膜を配すること、内側ガラスにクリアー系のガラスを配
することをベースとする。前記クリアー系のガラスとは
淡色系ガラス、線材入りガラス、非着色性透明膜付クリ
アーガラス等を包含するものである。なお内側ガラスに
外側ガラスと同様の、あるいは他の着色熱線吸収ガラス
を配した場合、透明性が損なわれる恐れがあるので好ま
しくない。また低放射性膜は外側ガラスの内側に配する
のが熱遮断上効果的である。
【0016】なお、複層ガラスにおける各ガラスの厚み
や、ガラス間の空間厚み (幅) は特定するものではない
が、例えばガラス厚3mm−空間6mm−ガラス厚3mm、あ
るいはガラス厚3mm−空間12mm−ガラス厚3mmの配置構
成とするのが最も一般的である。勿論ガラス厚み、空間
の幅は適宜設計でき、また三層以上の多層ガラスとした
り、いずれか一方または双方のガラスを強化ガラスや半
強化ガラスとすること、内側ガラスの面に透視性等を著
しく損なわない範囲でさらに低放射性膜、熱線反射膜等
の機能性膜を膜付けすること、内部空間にエアー以外に
各種断熱性ガスを封入すること等も適宜設計事項であ
る。
【0017】本発明の構成からなる熱遮断ガラス、特に
それを用いた複層ガラスは、熱遮断性、断熱性、紫外線
遮断性に富み、勿論適度な採光、透視性を備え、緑色系
としたので視覚上穏やかな感触を与える等多岐にわたる
効果を奏する。
【0018】
【実施例】以下実施の数例を挙げて本発明を説明する。
図1Aは本実施例、比較例において採用したガラスの透
過率をあらわすグラフであり、分光光度計により測定し
たもので、図中aはセントラル硝子株式会社製紫外線・
赤外線吸収緑色系ガラス、商品名グリーンラルSP、bは
セントラル硝子株式会社製ブロンズ色ガラス、商品名ブ
ロンズラル、cはセントラル硝子株式会社製青色ガラ
ス、商品名ブルーラル、dはセントラル硝子株式会社製
クリアーガラス、品種名フロートガラス(FL)の、いずれ
も3mm厚における透過率曲線を示す。
【0019】図1Bは本実施例、比較例において採用し
た低放射性膜、熱線反射性膜の反射率 (3mm厚クリアー
ガラスに膜付けしたものでガラス面側より測定) をあら
わすグラフであり、上記同様の手段で測定したもので、
図中eは垂直放射率0.07の低放射性膜、fは垂直放射率
0.16の低放射性膜、gは垂直放射率0.36の熱線反射膜の
反射率曲線を示す。なお、熱線反射膜は、図示のとおり
可視光〜近赤外域にかかる日射を反射する傾向を有し、
一方遠赤外域の熱線の反射は低放射性膜ほど強くなく、
他方低放射膜は可視光を透過し易く、遠赤外線を選択的
に強く反射する点で区別される。
【0020】〔I〕熱遮断ガラス 〔実施例A〕熱線・紫外線吸収緑色系ガラス (厚み3mm
)の片面に、スパッタリング法により、ZnO 、Agの互層
積層とし総膜厚880Aであって、JIS R 3106に規定する測
定方法による垂直放射率0.07からなる低放射性膜を膜付
けした。この膜付けガラスをJIS R 3106に規定する測定
方法により、A光源による可視光透過率、可視光反射
率、日射透過率、日射反射率 (外側ガラス面のみ) 、日
射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽係数、日射熱
取得率を測定した。結果を表1に示す。
【0021】〔実施例B〕実施例A同様の熱線・紫外線
吸収緑色系ガラス (厚み3mm) の片面に、スパッタリン
グ法により、内、外郭層にSiNx、それに挟まれる金属層
にAgおよびNi−Crを配し、総膜厚920Aであって、垂直放
射率0.16からなる低放射性膜を膜付けした。実施例A同
様に、可視光透過率、可視光反射率、日射透過率、日射
反射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽係
数、日射熱取得率を測定した。結果を表1に示す。
【0022】〔比較例A〕ブロンズ色ガラス (厚み3m
m) に、Fe−Ni−Cr (ステンレススチール) およびTiNx
の2層積層とし、総膜厚480Aであって、垂直放射率0.36
からなる熱線反射膜をスパッタリング法により膜付けし
た。これを実施例A同様に、可視光透過率、可視光反射
率、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、紫外線遮断
率、熱貫流率、遮蔽係数、日射熱取得率を測定した。結
果を表1に示す。
【0023】〔比較例B〕比較例A同様のブロンズ色ガ
ラス (厚み3mm) に、実施例Aと全く同様の垂直放射率
0.07の低放射性膜を膜付けした。これを実施例A同様
に、可視光透過率、可視光反射率、日射透過率、日射反
射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽係
数、日射熱取得率を測定した。結果を表1に示す。
【0024】〔比較例C〕青色ガラス (厚み3mm) に、
実施例Aと全く同様の垂直放射率0.07の低放射性膜を膜
付けした。これを実施例A同様に、可視光透過率、可視
光反射率、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、紫外
線遮断率、熱貫流率、遮蔽係数、日射熱取得率を測定し
た。結果を表1に示す。
【0025】〔比較例D〕クリアーガラス (厚み3mm)
に、実施例Aと全く同様の垂直放射率0.07の低放射性膜
を膜付けした。これを実施例A同様に、可視光透過率、
可視光反射率、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、
紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽係数、日射熱取得率を測
定した。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1の結果から明らかなとおり本発明にか
かる実施例A、実施例Bの熱遮断ガラスは可視光透過率
が66%以上、紫外線遮断率が85%以上であり、特に日射
熱取得率が0.50以下と、透視性が良好で、紫外線、日射
熱の遮断性に優れ、例えばガラスの板厚を3mmから6mm
に換えても可視光透過率が50%を優に越えるので透視性
が阻害されることはなく、勿論紫外線、日射熱遮断性は
向上するのでより好ましい態様であるといえる。なお低
放射性膜は垂直放射率が0.20以下であればよいが、好ま
しくは0.10以下とすれば、より日射熱の遮断性が向上す
るので推奨するものである。
【0028】比較例Aは可視光透過率が10%未満であっ
て、窓材としての機能を殆ど喪失しており、また比較例
B〜Dは日射熱取得率が0.52以上であって、実施例に比
べ明らかに劣る。
【0029】〔II〕複層ガラス 〔実施例1〕既述の実施例Aで用いた熱遮断ガラス (膜
付熱線・紫外線吸収緑色系ガラス:厚み3mm) を外側ガ
ラスとして垂直放射率0.07の低放射性膜を内側面に配
し、空気空間 (6mm) を介してクリアーガラス (厚み3
mm) を内側ガラスとして配設した複層ガラスを作製し、
実施例A同様に、可視光透過率、可視光反射率、日射透
過率、日射反射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流
率、遮蔽係数、日射熱取得率を測定した。結果を表2に
示す。
【0030】〔実施例2〕実施例1と同様で、ただし空
気空間を12mmとした複層ガラスを作製し、実施例1同様
に、可視光透過率、可視光反射率、日射透過率、日射反
射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽係
数、日射熱取得率を測定した。結果を表2に示す。
【0031】〔実施例3〕実施例1と同様で、ただし空
間 (6mm) 内にアルゴンガスを封入した複層ガラスを作
製し、実施例1同様に、可視光透過率、可視光反射率、
日射透過率、日射反射率、日射吸収率、紫外線遮断率、
熱貫流率、遮蔽係数、日射熱取得率を測定した。結果を
表2に示す。
【0032】〔実施例4〕既述の実施例Bで用いた熱遮
断ガラス (膜付熱線・紫外線吸収緑色系ガラス:厚み3
mm) を外側ガラスとして垂直放射率0.16の低放射性膜を
内側面に配し、空気空間(6mm) を介してクリアーガラス
(厚み3mm) を内側ガラスとして配設した複層ガラスを
作製し、実施例1同様に、可視光透過率、可視光反射
率、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、紫外線遮断
率、熱貫流率、遮蔽係数、日射熱取得率を測定した。結
果を表2に示す。
【0033】〔実施例5〕既述の実施例Aで用いた熱遮
断ガラス (膜付熱線・紫外線吸収緑色系ガラス:厚み3
mm) を外側ガラスとして垂直放射率0.07の低放射性膜を
内側面に配し、空気空間 (6mm) を介して比較例Dで用
いた熱遮断ガラス (膜付クリアーガラス:厚み3mm) を
内側ガラスとして垂直放射率0.07の低放射性膜を内側面
に配した複層ガラスを作製し、実施例1同様に、可視光
透過率、可視光反射率、日射透過率、日射反射率、日射
吸収率、紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽係数、日射熱取
得率を測定した。結果を表2に示す。
【0034】〔比較例1〕既述の比較例Aで用いた熱遮
断ガラス (膜付ブロンズ色ガラス:厚み3mm) を外側ガ
ラスとして垂直放射率0.36の熱線反射膜を内側面に配
し、空気空間 (6mm) を介してクリアーガラス:厚み3
mm) を内側ガラスとして配設した複層ガラスを作製し、
実施例1同様に、可視光透過率、可視光反射率、日射透
過率、日射反射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流
率、遮蔽係数、日射熱取得率を測定した。結果を表2に
示す。
【0035】〔比較例2〕比較例Bで用いた熱遮断ガラ
ス (膜付ブロンズ色ガラス:厚み3mm) を外側ガラスと
して垂直放射率0.07の低放射性膜を内側面に配し、空気
空間 (6mm) を介してクリアーガラス (厚み3mm) を内
側ガラスとして配設した複層ガラスを作製し、実施例1
同様に、可視光透過率、可視光反射率、日射透過率、日
射反射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽
係数、日射熱取得率を測定した。結果を表2に示す。
【0036】〔比較例3〕比較例Cで用いた熱遮断ガラ
ス (膜付青色ガラス:厚み3mm) を外側ガラスとして、
垂直放射率0.07の低放射性膜を内側面に配し、空気空間
(6mm) を介してクリアーガラス (厚み3mm) を内側ガ
ラスとして配設した複層ガラスを作製し、実施例1同様
に、可視光透過率、可視光反射率、日射透過率、日射反
射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽係
数、日射熱取得率を測定した。結果を表2に示す。
【0037】〔比較例4〕比較例Dで用いた熱遮断ガラ
ス (膜付クリアーガラス:厚み3mm) を外側ガラスとし
て垂直放射率0.07の低放射性膜を内側面に配し、空気空
間 (6mm) を介してクリアーガラス (厚み3mm) を内側
ガラスとして配設した複層ガラスを作製し、実施例1同
様に、可視光透過率、可視光反射率、日射透過率、日射
反射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽係
数、日射熱取得率を測定した。結果を表2に示す。
【0038】〔参考例1〕実施例Aに採用したガラスと
同様の熱線・紫外線吸収緑色系ガラス (厚み3mm) を膜
付けすることなく外側ガラスとし、空気空間 (6mm) を
介して比較例Dで用いた熱遮断ガラス (膜付クリアーガ
ラス:厚み3mm) を内側ガラスとし、垂直放射率0.07の
低放射性膜を内側面に配設して複層ガラスを作製し、実
施例1同様に、可視光透過率、可視光反射率、日射透過
率、日射反射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流
率、遮蔽係数、日射熱取得率を測定した。結果を表2に
示す。
【0039】〔参考例2〕参考例1と同様で、ただし空
気空間を12mmとした複層ガラスを作製し、実施例1同様
に、可視光透過率、可視光反射率、日射透過率、日射反
射率、日射吸収率、紫外線遮断率、熱貫流率、遮蔽係
数、日射熱取得率を測定した。結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】結果は表2から明らかなとおり本発明にか
かる実施例1〜4の複層ガラスが可視光透過率60%以
上、紫外線遮断率90%以上、日射熱取得率0.45以下と好
適な可視光透過性、紫外線、日射熱遮断性を示し、就中
実施例1〜3におけるように垂直放射率0.10以下のもの
を採用すれば、日射熱取得率0.40前後と極めて望ましい
日射熱遮断性を示す。勿論熱遮断ガラスの板厚を実施例
1 〜3の3mmを6mm程度に換えれば、透視性を著しく損
ずることなく紫外線、日射遮断性を更に向上することが
できる。
【0042】なお、実施例5は可視光透過率が50%台
と、実施例1〜4に劣るが透視性を著しく損ずるもので
はなく、紫外線遮断率97%以上、日射熱取得率0.40未満
と最良の値を示す。
【0043】近年省エネルギーの観点から日射熱取得率
0.4 オーダーのものが奨用され、特に0.4 付近またはそ
れ以下のものを顧客から要求されるケースが多いが、本
発明にかかる実施例1〜5はそれを充分満足するもので
ある。
【0044】比較例1は可視光透過率10%未満と、殆ど
窓材としての機能を喪失し、比較例2〜4は紫外線遮断
率が高くないうえに、日射熱取得率は0.45を越える等実
施例に対し劣ることが明白である。
【0045】なお、参考例1、2は実施例1、2に対比
し、低放射性膜の配置構成を替え、内側ガラスに配した
ものであるが、夫々日射熱遮断性が該実施例1、2より
やや劣り、本発明にかかる実施例が配置構成として最良
であることが明らかである。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、熱遮断ガラスは視覚上
穏やかで草木の緑色にマッチした色調を呈し、日射から
の熱線を吸収し、有害な紫外線を遮断する作用を呈する
熱線・紫外線吸収緑色系ガラスを基に、遠赤外域の熱線
を遮断する低放射性膜を被膜形成したことにより、熱遮
断作用を向上させ、勿論採光、透視性を損なうことがな
い。また、それを用いた複層ガラスは紫外線遮断率が向
上し、熱遮断性、断熱性が格段に優れるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1Aは紫外線・赤外線吸収緑色系ガラス、ブ
ロンズ色ガラス、青色ガラス、クリアーガラスの透過率
をあらわすグラフである。図1Bは低放射性膜、熱線反
射膜の反射率をあらわすグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 正司 三重県松阪市大口町1510番地 セントラ ル硝子株式会社テクニカルセンター内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03C 17/36 C03C 27/06 101 E06B 3/66

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱線・紫外線吸収緑色系ガラスの片面に、
    銀層を含む多層膜からなり、垂直放射率0.2 以下の低放
    射性膜を形成したことを特徴とする熱遮断ガラス。
  2. 【請求項2】熱線・紫外線吸収緑色系ガラスが、板厚5
    mmにおける可視光透過率 (A光源)65%以上、日射透過
    率35〜50%、紫外線透過率15%以下、主波長500 〜530n
    m 、刺激純度5以下であることを特徴とする請求項1記
    載の熱遮断ガラス。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の熱遮断ガラスを屋
    外側、クリアー系ガラスを屋内側に配した複層ガラスで
    あり、低放射性膜を熱遮断ガラスの内側面に形成してな
    ることを特徴とする熱遮断ガラスを用いた複層ガラス。
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