JPWO2006098225A1 - 窒素固定活性の高い根粒を着生する植物の作出法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、非共生型グロビン遺伝子を根粒着生植物中で過剰発現させることを特徴とする、窒素固定活性が増大した根粒を着生しうる根粒着生植物の作出方法に関する。

Description

本発明は、窒素固定活性の高い根粒を着生する植物の作出法に関する。
ダイズ、アズキ、インゲンマメ等のマメ科作物は、根粒菌の感染によって共生器官である根粒を着生(形成)し、この根粒中に共生している根粒菌(バクテロイド)が空中窒素固定を行うことにより、窒素含量の低い土壌においても良好に生育することができる。このため、マメ科作物を栽培する場合には、通常の肥料を与えること以外に、予め培養した根粒菌を作物の種子に塗布することが行われている。マメ科作物における根粒の窒素固定能をさらに高めるために、窒素固定能を増強した根粒菌の開発なども行われている(特許文献1)。
マメ科作物以外にも、アカシア、ネムノキなどのマメ科樹木や、ハンノキ、ヤシャブシなどの非マメ科樹木で、根に共生窒素固定菌が住み着いて根粒を形成し、効率よく空中窒素を固定して宿主樹木に窒素を供給することが知られている。これらの根粒を着生する樹木では、葉の窒素濃度が高く、そのため落葉の窒素濃度も高い。このことから根粒を着生する樹木は、土壌中の微生物量を増やし肥沃な土壌に改良するのに有効であり、いわゆる肥料木として荒地の緑化にも使用されている。
このような植物の根粒の窒素固定能を増強することは、農業上だけでなく環境保全の上でも非常に有用と思われる。
ところで、マメ科植物の根粒細胞には、マメ科植物だけが持つ共生型グロビン遺伝子が非常に強く発現していることが知られている。共生型グロビン遺伝子の遺伝子産物であるグロビンとヘムから構成される共生型ヘモグロビン(レグヘモグロビンとも呼ばれる)は、根粒の全可溶性タンパク質の20〜30%を占めると言われるが、根粒以外の組織には全く存在していない。共生型ヘモグロビンは、動物の血液中のヘモグロビンと同様に、酸素等と強い親和性を示す。共生型ヘモグロビンは、根粒細胞内の酸素分圧を、根粒中の根粒菌の呼吸に十分であり、かつ根粒菌の窒素固定能に必要なニトロゲナーゼ(酸素により失活する)を失活させないレベルに調節する機能を担うとされている。
一方、近年の遺伝子解析技術の発展に伴い、マメ科植物以外の植物もグロビン遺伝子を持つことが明らかになってきた。マメ科植物以外の植物で発見されたグロビン遺伝子は、マメ科植物が持つ共生型グロビン遺伝子とは異なる遺伝子であったため、「非共生型グロビン遺伝子」(非共生型ヘモグロビン遺伝子とも呼ばれる)と名付けられた。現在では、全ての植物が非共生型グロビン遺伝子を持つと考えられている。すなわち、マメ科植物は共生型グロビン遺伝子と非共生型グロビン遺伝子の両方を持つが、非マメ科植物は非共生型グロビン遺伝子のみを持つと考えられる。マメ科のモデル植物であるミヤコグサでも、非共生型グロビン遺伝子が報告されている(非特許文献1)。
非共生型グロビン遺伝子は、共生型グロビン遺伝子とは異なり、植物の全ての組織で発現していることが知られている。低温(4℃)や低酸素分圧(酸素濃度5%以下)に植物をさらすと、非共生型グロビン遺伝子の発現量が増加することが報告されている。非共生型グロビン遺伝子を導入して過剰発現させたシロイヌナズナでは、低酸素ストレスに対する耐性が強化されたという報告もある(非特許文献2)。
特開2003−33174号公報 Uchiumi et al.,Plant Cell Physiol.(2002)43(11):p.1351−1358 Hunt,P.W.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(2002)USA99:p.17197−17202
本発明は、窒素固定活性が増大した根粒を着生する根粒着生植物の作出方法、そして根粒において高い窒素固定活性を示す根粒着生植物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ミヤコグサ非共生型グロビン遺伝子を導入して過剰発現させたミヤコグサ、及びヤシャブシ非共生型グロビン遺伝子を導入して過剰発現させたミヤコグサは、窒素固定活性の高い根粒を着生できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1]非共生型グロビン遺伝子を根粒着生植物中で過剰発現させることを特徴とする、窒素固定活性が増大した根粒を着生できる根粒着生植物の作出方法。
この方法において非共生型グロビン遺伝子としては、以下の(a)〜(e)からなる群より選択されるDNAからなるものがより好ましい:
(a)配列番号1又は8に示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1又は8に示される塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号2又は9に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(d)配列番号2又は9に示されるアミノ酸配列において1〜50個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードする、DNA
(e)配列番号3又は10に示される塩基配列からなるDNA。
この方法においては、好ましくは、過剰発現プロモーターに連結された非共生型グロビン遺伝子を根粒着生植物に導入することにより、非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させる。
この方法により、好ましくは、野生株と比較して窒素固定活性が少なくとも3倍に増大した根粒を着生できる根粒着生植物を作出することができる。この方法により作出される根粒着生植物は、好ましくは、10〜100nM/min/gの窒素固定活性を示す、窒素固定活性が増大した根粒を着生することができる。
この方法において非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させる根粒着生植物は、マメ科植物であることが好ましい。さらにこの方法では、非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させた根粒着生植物に、さらに共生窒素固定菌を接種することがより好ましい。
[2]上記1の方法によって作出される、窒素固定活性が増大した根粒を着生できる根粒着生植物。この根粒着生植物は、根に根粒を有しているものがより好ましい。
[3]過剰発現プロモーターに連結された非共生型グロビン遺伝子を含む、根粒の窒素固定活性を増大させるためのベクター。
このベクターに含まれる非共生型グロビン遺伝子としては、マメ科植物又は非マメ科根粒着生植物由来のものが好ましい。その非共生型グロビン遺伝子としては、上記[1]の(a)〜(e)に示すDNAがなお好ましい。
[4]上記[2]の根粒着生植物を栽培することを特徴とする、植物栽培における窒素固定効率を増大させる方法。
本発明の根粒着生植物の作出法によれば、所望の根粒着生植物において、根粒の窒素固定活性を格段に向上させることができる。本発明の根粒の窒素固定活性を増大させるためのベクターは、この作出法において使用すると、根粒の窒素固定活性を顕著に増大させることができる。また本発明で得られる根粒着生植物は、高い窒素固定活性を有する根粒を着生することができ、その結果、その植物の生長が促進され、窒素含量も増加する。本発明に係る、根粒着生植物を栽培することにより植物栽培における窒素固定量を増大させる方法は、ある環境において空気中から固定される窒素量を増大させ、その環境下での当該根粒着生植物の収量又は生長量を増大させるだけでなく、ひいては土壌中の窒素量を増大させて土壌を肥沃化することができる。
本願明細書は、本願の優先権の主張の基礎となる日本国特許出願2005−071677号の明細書および図面に記載された内容を包含する。
図1は、ミヤコグサ非共生型グロビン遺伝子のゲノム構造とアミノ酸配列を示す図である。
図2は、野生型ミヤコグサにおける非共生型グロビン遺伝子の発現量を示す図である。図2Aは組織別の発現量、図2Bはストレス条件下での発現量を示す。
図3は、毛状根の形質転換に用いた形質転換用ベクターの構造を示す図である。
図4は、形質転換体における非共生型グロビン遺伝子導入を確認した実験を示す写真である。図4Aは、形質転換体における毛状根誘導の様子を示す。図4Bは、形質転換根において観察されたGFP蛍光を示す。図4Cは、RT−PCRによる導入遺伝子の発現確認の結果を示す。
図5は、形質転換毛状根における根粒の着生の様子を示す写真である。図5AはLjHb1遺伝子を含まないベクターを導入したミヤコグサ毛状根(コントロール根)である。図5BはLjHb1遺伝子を導入しそれを過剰発現させた毛状根である。白抜きの矢じりマークは形質転換毛状根に形成された根粒を示す。網掛けの矢じりマークは、形質転換されなかった毛状根に形成された根粒を示す。形質転換された根粒だけが蛍光を発していることが示されている。
図6は、形質転換毛状根に形成された根粒の窒素固定活性(ARA活性)を示すガスクロマトグラフィーによるエチレン量の測定データを示す図である。
図7は、ミヤコグサのグロビンタンパク質を大腸菌で発現させるのに用いたベクターを示す模式図である。
図8は、大腸菌で発現させたミヤコグサグロビンタンパク質(共生型[左のグラフ、図8A]及び非共生型[右のグラフ、図8B])と、一酸化窒素との親和性を示す吸光度スペクトルである。各ラインは、それぞれ一酸化窒素と混合した時間毎のデータを示す。
図9は、RT−PCRを用いたミヤコグサ形質転換体におけるAfHb1遺伝子の発現確認の結果を示す写真である。
図10は、AfHb1を導入したミヤコグサ形質転換体の植物全体及び形成された根粒における窒素固定活性(ARA活性)を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.根粒着生植物
本発明では、根粒着生植物中で非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させることにより、窒素固定活性が増大した根粒を着生することができる根粒着生植物を作製する。本明細書において根粒着生植物とは、根粒を着生(形成)することができる植物種を意味する。根粒とは、根に共生窒素固定菌が住み着いて粒状の構造を形成した共生器官である。根粒着生植物には、マメ科植物(マメ科作物及びマメ科樹木を含む)の他、アクチノリザル植物と総称される、カバノキ科やハンノキ科などの一部の非マメ科植物(主に非マメ科樹木)も含まれる。マメ科植物の根には根粒菌が共生窒素固定菌として共生し、根粒を形成する。一方、その一部の非マメ科植物では、根に放線菌が共生窒素固定菌として共生し、根粒を形成する。本発明において有用な根粒着生植物としては、マメ科植物ではミヤコグサ、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、エンドウ、ソラマメ、ラッカセイ、アルファルファ、タルウマゴヤシ、クローバー、ササゲ、レンズマメ、ニセアカシア、エニシダ、ハギ、エンジュ、モルッカネムなど、非マメ科植物ではヤシャブシ、ハンノキ、ヤマモモ、モクマオウ、ドクウツギ、グミなどが挙げられる。
本発明において、根粒着生植物は、根粒を着生(形成)することができる生物種の植物である限り、非共生型グロビン遺伝子を導入する時点において、植物体を再生する時点において、あるいは他の任意の時点において、根粒が着生している植物体であっても、根粒が着生していない植物体であってもよい。
本明細書において、用語「根粒着生植物」は、植物体(植物個体全体)だけでなく、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子、胚軸、子葉など)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織など)及び植物培養細胞(例えばカルス)などの植物体の任意の部分をも含めて意味するものとする。
2.非共生型グロビン遺伝子とその取得
本発明に係る非共生型グロビン遺伝子は、ヘム(ポルフィリンと2価鉄の錯塩)と会合して非共生型ヘモグロビンを形成するグロビンタンパク質をコードする。この非共生型ヘモグロビンは、動物のヘモグロビンと同様に、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素などに対して強い親和性を有するタンパク質である。また非共生型ヘモグロビンは、共生型ヘモグロビンと比較して、酸素や一酸化窒素などに対してより強力な親和性を有する。本明細書では、非共生型グロビン遺伝子にコードされているグロビンの活性を、非共生型グロビン活性と呼ぶ。
本発明に係る非共生型グロビン遺伝子は、任意の植物から単離したものであってよい。本発明の非共生型グロビン遺伝子は、根粒着生植物由来のものがより好ましく、ミヤコグサ、ダイズなどのマメ科植物から単離されるものであってもよいし、ヤシャブシなどの非マメ科の根粒着生植物から単離されるものであってもよい。本発明で用いる非共生型グロビン遺伝子は、さらに、オオムギ、イネ、トウモロコシなどの単子葉植物を含む、根粒着生植物以外の植物から単離されるものでもよい。なお本発明で用いることができる既知の非共生型グロビン遺伝子として、以下のようなものがある:ミヤコグサ(非特許文献1)、ヤシャブシ(DDBJ/EMBL/GenBankアクセッション番号AB221344)、イネ(DDBJ/EMBL/GenBankアクセッション番号U76030)、アルファルファ(DDBJ/EMBL/GenBankアクセッション番号AF172172;Serogelyes et al.,FEBS Lett.(2000)482,p.125−130)、ダイズ(DDBJ/EMBL/GenBankアクセッション番号U47143;Anderson,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996)93(12),p.5682−5687)、シロイヌナズナ(DDBJ/EMBL/GenBankアクセッション番号U94998;Trevaskis,et al.,PNAS(1997)94p.12230−12234)。
本発明で用いる非共生型グロビン遺伝子は、cDNAであってもよいし、エキソンとイントロンを含むゲノムDNAであってもよい。本明細書において「遺伝子」は、DNAおよびRNAを包含し、DNAは少なくともゲノムDNA、cDNA、合成DNAを包含し、RNAは、mRNAなどを包含する。本明細書において「遺伝子」は、コード配列以外に、非翻訳領域(UTR)の配列などの配列を含んでもよい。
限定するものではないが、好ましい1つの態様では、本発明に係るマメ科植物由来の非共生型グロビン遺伝子として、ミヤコグサ非共生型グロビン遺伝子を用いることができる。例えば、本発明の非共生型グロビン遺伝子として、ミヤコグサから単離した配列番号1の塩基配列からなるDNA、及びミヤコグサから単離した配列番号3の塩基配列からなるゲノム断片のDNAを好適に使用することができる。また、配列番号2のアミノ酸配列からなるミヤコグサ非共生型グロビンタンパク質をコードするDNAも、有利に使用できる。
本発明の非共生型グロビン遺伝子としては、非共生型グロビン活性を有する限り、配列番号2に示されるアミノ酸配列において1〜50個、好ましくは1〜35個、より好ましくは1若しくは数個(例えば2〜10個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAを用いてもよい。また本発明で用いる非共生型グロビン遺伝子は、配列番号1に示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNA、又は配列番号2のアミノ酸配列からなる非共生型グロビンタンパク質をコードするDNAの塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。本発明の非共生型グロビン遺伝子はまた、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなる非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。
一方、別の態様では、本発明に係る非マメ科根粒着生植物由来の非共生型グロビン遺伝子として、限定するものではないが、例えば、ヤシャブシ非共生型グロビン遺伝子を好適に用いることができる。例えば、本発明の非共生型グロビン遺伝子として、ヤシャブシから単離した配列番号8の塩基配列からなるDNA、及びヤシャブシから単離した配列番号10の塩基配列からなるゲノム断片のDNAを好適に使用することができる。また、配列番号9のアミノ酸配列からなるヤシャブシ非共生型グロビンタンパク質をコードするDNAも、有利に使用できる。
本発明の非共生型グロビン遺伝子として、非共生型グロビン活性を有する限り、配列番号9に示されるアミノ酸配列において1〜50個、好ましくは1〜35個、より好ましくは1若しくは数個(例えば2〜10個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAを用いてもよい。また本発明で用いる非共生型グロビン遺伝子は、配列番号8に示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNA、又は配列番号9のアミノ酸配列からなる非共生型グロビンタンパク質をコードするDNAの塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。本発明の非共生型グロビン遺伝子はまた、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなる非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。
本発明において「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成される条件をいう。例えば、相同性が高い核酸同士、すなわち90%以上、好ましくは95%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸同士がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム塩濃度が15〜750mM、好ましくは50〜750mM、より好ましくは300〜750mM、温度が25〜70℃、好ましくは50℃〜70℃、より好ましくは55〜65℃、ホルムアミド濃度0〜50%、好ましくは20〜50%、より好ましくは35〜45%での条件をいう。さらに、ストリンジェントな条件では、ハイブリダイゼーション後のフィルターの洗浄条件が、通常はナトリウム塩濃度が15〜600mM、好ましくは50〜600mM、より好ましくは300〜600mM、温度が50〜70℃、好ましくは55〜70℃、より好ましくは60〜65℃である。
限定するものではないが、本発明の一実施形態においては、非共生型グロビン遺伝子にコードされたグロビンタンパク質が持つ非共生型グロビン活性は、そのグロビンが形成する非共生型ヘモグロビンの酸素、二酸化炭素、又は一酸化窒素などに対する親和性によって表すことができる。本発明の非共生型グロビン活性は、例えば、その非共生型グロビンをコードする非共生型グロビン遺伝子を含む発現ベクターを用いてグロビンタンパク質を組換え生産し、得られたグロビンタンパク質とヘムとから再構成させた非共生型ヘモグロビンについて、酸素、二酸化炭素、又は一酸化窒素などに対する親和性を常法により測定し、その測定値を指標として表すことができる。非共生型ヘモグロビンの酸素、二酸化炭素、又は一酸化窒素に対する親和性の測定は、当業者に公知の方法によって行うことができる。
一例として、非共生型ヘモグロビンの一酸化窒素に対する親和性は、一酸化窒素の存在下で500nm〜600nmの波長で吸光度を測定し、その吸光度スペクトルから判断することができる。一般に、ヘモグロビンは500〜600nmの波長の光で吸光度曲線を描くと、540nmと575nmに2つの特徴的なピークが観察される(図8参照)。一酸化窒素との反応終了後の状態のヘモグロビンではこの2つのピークが見られなくなる。そこで、ヘモグロビンタンパク質について、一酸化窒素と混合した後、常法により吸光度スペクトルを解析することにより、そのヘモグロビンタンパク質の一酸化窒素との親和性を測定することができる。なお、単離及び/又は精製されたヘモグロビンは、通常、酸素と結合した状態(オキシヘモグロビンと呼ばれる)で存在する。非共生型ヘモグロビンも、例えば組換え生産される場合、酸素と結合した状態で単離される。非共生型ヘモグロビンは酸素よりも一酸化窒素との親和性が高いことから、単離された非共生型ヘモグロビンに一酸化窒素を添加すると、吸光度スペクトルにおいて2つのピークが消失し、一酸化窒素との反応終了後のスペクトルへの移行が観察されることになる。このようなヘモグロビンの一酸化窒素との親和性測定法については、Michele Perazzoli et al.,The Plant Cell(2004)16,p.2785−2794を参照することができる。
以上のようにして測定される吸光度スペクトルを非共生型ヘモグロビンと共生型ヘモグロビンとで比較解析すると、それらの一酸化窒素との親和性を相対的に比較できる。この吸光度スペクトルの比較からは、非共生型ヘモグロビンが、共生型ヘモグロビンと比べて急速に一酸化窒素と結合することができることが示される。本発明では、吸光度スペクトルにおいて非共生型ヘモグロビンと一酸化窒素との結合が示されるまでの一酸化窒素との混合時間を指標として、非共生型ヘモグロビンの一酸化窒素との親和性を判断することができる。
本発明では、例えば、非共生型グロビン(配列番号2又は9)をコードする遺伝子を含むベクターを用いて非共生型グロビンを大腸菌中で組換え生産させ、その大腸菌中で非共生型グロビンとヘムから再構成される非共生型ヘモグロビンを採取し、その非共生型ヘモグロビンについて、上記のような方法で一酸化窒素に対する親和性を測定することができる。本発明の非共生型グロビンは、限定するものではないが、このような非共生型グロビン(配列番号2又は9)由来の非共生型ヘモグロビンの一酸化窒素に対する親和性と比較して、同程度の一酸化窒素に対する親和性を有することが好ましい。
以上のような本発明に係る非共生型グロビン遺伝子は、例えば配列番号1〜3及び8〜10の配列に基づいて設計したプライマーを用いて、任意の植物(例えば根粒着生植物;ミヤコグサ、ヤシャブシなど)由来の核酸を鋳型としたPCR増幅を行うことにより、核酸断片として得ることができる。また本発明の非共生型グロビン遺伝子は、任意の植物(例えば根粒着生植物;ミヤコグサ、ヤシャブシなど)由来の核酸を鋳型とし、非共生型グロビン遺伝子の一部であるDNA断片をプローブとしてハイブリダイゼーションを行うことにより、核酸断片として得ることができる。これらの方法において鋳型として用いる核酸は、例えば、任意の植物から、常法により抽出したゲノムDNAであってよいし、常法により抽出したmRNAから逆転写合成したcDNA等であってもよい。鋳型として用いる核酸は、精製ゲノムDNA、精製cDNA、cDNAライブラリー又はゲノムDNAライブラリー等であってもよい。あるいは本発明で用いる非共生型グロビン遺伝子は、化学合成法等の当技術分野で公知の各種の核酸配列合成法によって、核酸断片として合成してもよい。
さらに、部位特異的突然変異誘発法等によって、得られた非共生型グロビン遺伝子の塩基配列(ひいてはコードされるアミノ酸配列)に所望の突然変異を導入してもよい。遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法、Gappedduplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan−K(TAKARA社製)やMutan−G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキットを用いて変異の導入が行われる。
なお本発明において用いるmRNAの調製、cDNAの作製、PCR、RT−PCR、ライブラリーの作製、ベクター中へのライゲーション、細胞の形質転換、DNAの塩基配列の決定、核酸化学合成、タンパク質のN末端側のアミノ酸配列決定、突然変異誘発、タンパク質の抽出等の実験は、通常の実験書に記載の方法によって行うことができる。そのような実験書としては、例えば、SambrookらのMolecular Cloning,A laboratory manual,2001,Eds.,Sambrook,J.& Russell,DW.Cold Spring Harbor Laboratory Pressを挙げることができる。
3.根粒着生植物における非共生型グロビン遺伝子の過剰発現
本発明では、非共生型グロビン遺伝子を遺伝子工学的手法により根粒着生植物中で過剰発現させる。本発明において、遺伝子を「過剰発現させる」とは、当該遺伝子を、宿主生物中で、任意の遺伝子工学的手法(例えば遺伝子導入)などにより、その宿主生物で通常発現されている量を超える量(例えば10%以上)で発現するように遺伝子操作するか、または当該遺伝子を持たない宿主生物中に当該遺伝子を導入して発現させることを意味する。非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させる具体的手段は限定されず、当業者に公知の任意の手法を用いることができる。限定するものではないが、一般的な方法としては、非共生型グロビン遺伝子を過剰発現プロモーターの下流に正しい読み枠で発現されるように連結して構築した形質転換ベクターを、根粒着生植物中に導入する手法が挙げられる。この場合、非共生型グロビン遺伝子をベクター中に組み込むには、例えば、非共生型グロビン遺伝子を含むDNA断片を適当な制限酵素で切り出し、過剰発現プロモーターを含有する発現ベクター中の過剰発現プロモーター下流の適当な制限酵素部位にイン・フレームとなるように挿入して連結すればよい。あるいは、予め過剰発現プロモーターの下流に非共生型グロビン遺伝子を連結したDNA断片を、ベクター中に組み込んでもよい。過剰発現プロモーターに連結した非共生型グロビン遺伝子のゲノム断片を相同組換えなどの方法により根粒着生植物のゲノムDNAに組み込んでもよい。非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させる根粒着生植物としては、上述の任意の根粒着生植物(例えばミヤコグサ)を好適に使用できる。
本発明において、「過剰発現プロモーター」とは、その過剰発現プロモーターに連結した遺伝子を、宿主の植物細胞中で、強力に(大量に)発現させる能力を有するプロモーターを意味する。本発明の過剰発現プロモーターは、特に、根粒特異的な発現をもたらすプロモーター(根粒特異的プロモーター)であってもよい。本発明の過剰発現プロモーターは、誘導性プロモーターであっても構成性プロモーターであってもよい。なおプロモーターとは、一般に構造遺伝子の5’側上流に存在する発現制御領域又はその改変配列を含むDNAを言う。本発明では、過剰発現プロモーターとして、植物細胞での外来遺伝子発現に適した任意のプロモーターを使用することができる。本発明で用いる過剰発現プロモーターの好適な例としては、限定するものではないが、例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、イネアクチンプロモーター、改変35Sブロモーター、タバコPR1aプロモーター、シロイヌナズナPR−1プロモーターなどが挙げられる。
非共生型グロビン遺伝子を導入するための形質転換ベクターとしては、植物細胞への導入用ベクターであれば任意のものを使用できる。例えば、アグロバクテリウム法を利用する場合には、アグロバクテリウム由来のプラスミドベクター(Tiプラスミドなど)又はバイナリーベクターを使用することが好ましい。本発明で用いる形質転換ベクターには、非共生型グロビン遺伝子、そして場合により過剰発現ベクターを含む他、形質転換体の選抜を容易にする選択マーカー遺伝子、レポーター遺伝子、バイナリーベクター系を使用するための複製開始点(TiまたはRiプラスミド由来の複製開始点など)などを含んでもよい。選択マーカー遺伝子としては、例えば、セフォタックス遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子が挙げられる。レポーター遺伝子としては、緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)やルシフェラーゼ)遺伝子(LUC,LUX)などが挙げられる。本発明においては、「ベクター」は、いわゆる発現カセットを包含するものとする。「発現カセット」とは、プロモーターDNA配列と発現させたい遺伝子のDNA配列とを含み、当該遺伝子のDNA配列が植物細胞中で発現可能であるような配置でプロモーターDNA配列に結合されているDNA断片を意味する。発現カセットは必ずしも自律複製能を有していなくてもよい。
また、過剰発現プロモーターを予め含むベクターとしては、pBI系バイナリーベクターなど、例えばpKANNIBAL、IG121−Hm、pBI121、pBI101、pBI101.2、pBI101.3、pCAMBIA1301などが挙げられる。
本発明は、以上のような非共生型グロビン遺伝子を過剰発現プロモーターに連結させて含むベクターも提供する。このような形質転換ベクターは、根粒の窒素固定活性を増大させるために任意の根粒着生植物に導入することができ、非常に便利に使用できる。
形質転換ベクターを根粒着生植物に導入する方法としては、限定するものではないが、例えばアグロバクテリウム法、パーティクルガン法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール(PEG)法、マイクロインジェクション法、プロトプラスト融合法などの、植物用に広く用いられている植物形質転換法を用いることができる。これらの植物形質転換法は、『島本功、岡田清孝 監修「新版 モデル植物の実験プロトコール 遺伝学的手法からゲノム解析まで」(2001)秀潤社』などの一般的な教科書の記載に記載されている。形質転換ベクターを導入した植物細胞は、カナマイシン耐性など選択マーカーを利用した方法で選択をかけ、レポータータンパク質の検出や導入遺伝子の発現解析などにより導入遺伝子の発現を確認しつつ、常法により植物体を再生させることが好ましい。
より具体的には、例えばアグロバクテリウム法では、例えばNagelらの方法を用い、まずベクターをエレクトロポレーションによってアグロバクテリウムに導入し、次いで形質転換されたアグロバクテリウムを、Plant Molecular Biology Manual(S.B.Gelvin et.al.,Academic Publishers)、Thykaer,T.et al.,Cell Biology,2nd ed.(1998)p,518−525、Stiller,J.,et al.,J.Exp.Bot.(1997)48,p.1357−1365、Ogar,P.et al.,Plant Science(1996)116 159−168、又はHiei Y.et al.,Plant J.(1994)6,271−282に記載されたような方法で目的の遺伝子を植物に導入し、植物体に再生させればよい。
ポリエチレングリコール法を用いる場合には、まず細胞壁を酵素で溶かして取り除き、プロトプラストにしてから、非共生型グロビン遺伝子を、ポリエチレングリコールを用いて細胞内に導入し、植物体に再生すればよい(Datta SK:In Gene Transfer To Plants(Potrykus I and Spangenberg,Eds)pp.66−74(1995))。
エレクトロポレーション法を用いる場合には、まず細胞壁を酵素で溶かして取り除き、プロトプラストにしてから、電気パルスをかけて非共生型グロビン遺伝子を細胞内に導入し、その後植物体に再生すればよい(Toki S,et al.,Plant Physiol.,100:1503(1992))。
パーティクルガン法を用いる場合には、植物体、植物器官、植物組織自体をそのまま使用してもよく、切片を調製した後に使用してもよく、プロトプラストを調製して使用してもよい(Christou P,et al.,Biotechnology 9:957(1991))。このように調製した試料に対し、遺伝子導入装置(例えばPDS−1000(BIO−RAD社)等)を用いて、非共生型グロビン遺伝子でコーティングした金やタングステンなどの微粒子(径約1〜2μm)を高圧ガスで噴射することにより、当該遺伝子を植物細胞内に導入する。処理条件は植物又は試料により異なるが、通常は450〜2000psi程度の圧力、4〜12cm程度の距離で行う。非共生型グロビン遺伝子を細胞内に導入したら、上記と同様にして植物体に再生すればよい。
以上のようにして形質転換された本発明の根粒着生植物においては、非共生型グロビン遺伝子は、その植物のゲノムDNA中に組み込まれている状態で発現されてもよいし、ゲノム外DNAとして(例えばベクター中に保持されたままで)発現されてもよい。
以上のようにして非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させた形質転換植物細胞若しくは植物組織(毛状根、葉、茎、根粒など)、又はその再生させた植物体については、非共生型グロビン遺伝子の発現をノーザンブロッティング法、サザンブロッティング法、リポーター遺伝子の発現などの常法により確認することが好ましい。
4.植物体における根粒形成と根粒の窒素固定活性の測定
本発明において非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させた形質転換された根粒着生植物は、共生窒素固定菌が存在する環境下で生育することにより根粒を着生することができる。しかしこの根粒着生植物に、共生窒素固定菌を接種することによって、人為的に根粒を着生させることも可能である。根粒着生植物への共生窒素固定菌の接種は、当業者に周知の方法に従って行うことができる(例えば、Higashi,S.,Katahira,S.and Abe,M.Plant and Soil 81,p.91−99(1984)を参照)。
本発明において「共生窒素固定菌」とは、植物に共生して根粒を形成し、窒素をアンモニアとして固定して宿主植物に与える能力(窒素固定能)を有する微生物を意味する。共生窒素固定菌には、真正細菌では根粒菌(リゾビウム(Rhizobium)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、アゾリゾビウム(Azorhizobium)、シノリゾビウム(Sinorhizobium)、メソリゾビウム(Mesorhizobium)、アロリゾビウム(Allorhizobium))、放線菌ではフランキア(Frankia)属菌がある。根粒菌はマメ科植物とニレ科パラスポニア(Parasponia)属植物に感染し、フランキア属菌はカバノキ科、ヤマモモ科などの主に樹木に感染することが知られているが、この共生窒素固定菌−宿主植物の関係には例外も知られている。従って形質転換された根粒着生植物には、その植物種に感染できる共生窒素固定菌を接種すればよい。例えば、ミヤコグサには、ミヤコグサ根粒菌(Mesorhizobium loti)を接種すればよい。
本発明において非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させた根粒着生植物に共生窒素固定菌を接種し、根粒を着生させると、その根粒において窒素固定活性が顕著に増大する。この根粒における窒素固定活性は、非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させていない同じ種の植物(野生株)を対照として比較して、根粒単位重量当たり少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、例えば3倍〜6倍に増大する。
根粒における窒素固定活性は、当業者に公知の任意の窒素固定活性の測定法を利用して行えばよい。本発明では、根粒における窒素固定活性を、根粒からの抽出物について、アセチレンをエチレンに還元する活性(アセチレン還元活性[Acetylene reduction activity];ARA活性)として測定することが好ましい。ARA活性は、根粒の単位重量(1グラムなど)当たり、かつ単位時間(1時間、1分間など)当たりのエチレン発生量として表すことができる。このARA活性の測定は、例えば後述の実施例に従って行えばよい。本発明に係る非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させた根粒着生植物は、限定するものではないが、例えば、根粒において10〜100nM/min/g、好ましくは11〜40nM/min/gのARA活性を示す。
本発明は、上記のようにして得られる、非共生型グロビン遺伝子を過剰発現し、根に根粒を有する根粒着生植物にも関する。
5.その他の実施形態
本発明の方法によって作出される根粒着生植物は、高い窒素固定活性を示す根粒を着生するため、それを栽培することにより、その栽培環境下で空気中の窒素を多量に固定することができる。従って本発明は、植物栽培における窒素固定効率を増大させる方法をも提供する。「植物栽培における窒素固定効率を増大させる」とは、一定栽培面積当たり又は栽培植物1個体当たりの一定期間内の窒素固定量を、同じ環境下での形質転換させていない同じ植物による窒素固定量と比較して増加させることを意味する。本発明において「栽培」とは、当該植物を意図的に特定の場所又は環境下で生育させることを意味する。本発明において「栽培」は農業上の栽培を包含するが、必ずしも農業的な作業(耕作、播種、植苗、間引き、消毒、剪定、間伐、収穫など)を行わなくてもよい。本発明における栽培には、限定するものではないが、例えば作物や園芸植物の栽培、造園、園芸、荒廃地や海岸などの緑化用の植栽、貧栄養土壌の肥沃化のための植栽、塩類土壌や乾燥土壌などの土壌改良用の植栽が含まれる。
本発明の方法によって作出される根粒着生植物は、植物栽培における窒素固定効率を増大させることにより、ある環境下で空気中から固定される窒素量を増大させ、当該植物組織中の窒素固定濃度を高め、その根粒着生植物の収量又は生長量を増大させることができる。さらに、本発明の根粒着生植物を栽培することにより、長期的には、土壌中の窒素量を増大させて土壌を肥沃化することができ、その土壌を利用して他の植物の収量も増加させることができる。また本発明の根粒着生植物を栽培することにより、貧栄養土壌、塩類土壌、乾燥土壌等を効果的に緑化することができる。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明の技術的範囲はこれらにより限定されるものではない。
[実施例1]ミヤコグサ非共生型グロビン遺伝子(LjHb1)の単離及び同定
ミヤコグサ(Lotus japonicus)の非共生型グロビン遺伝子(LjHb1)を、ミヤコグサのゲノムライブラリー(Sato et al.(2000)DNA Res.8:p.311−318)からPCR法によってスクリーニングして単離した。スクリーニングに用いるプライマーは、ミヤコグサのESTライブラリーに存在する非共生型グロビン遺伝子ホモログの配列(クローン名:AV413959、DDBJ/EMBL/GenBankアクセッション番号:AB238220)に基づいて設計した。このプライマーの配列は以下の通りである。
LjHb1F1:5’−TTCTCACTTCACTTCCATCGC−3’(配列番号4;フォワードプライマー)
LjHb1F2:5’−TTGGTCAAGTCATGGAGCG−3’(配列番号5;フォワードプライマー)
LjHb1R1:5’−TCACAGTGACTTTTCCAGCG−3’(配列番号6;リバースプライマー)
LjHb1R2:5’−AGACAGACATGGCATGAGGC−3’(配列番号7;リバースプライマー)
LjHb1遺伝子を増幅するためのPCRは、GeneAmp(R)PCR System9700(Applied Biosystems)を使用し、以下の反応条件で行った:94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30秒を30サイクル。
このようなミヤコグサのゲノムライブラリーのスクリーニングの結果、TACクローン(LjTOIO1)上に存在する遺伝子LjHb1を同定した。ミヤコグサゲノム上のLjHb1の塩基配列を解析した結果、この遺伝子は開始コドンから終止コドンまでの全長が1012bpであり、161アミノ酸残基をコードする遺伝子であることが分かった。ミヤコグサ非共生型グロビン遺伝子(LjHb1)のゲノム上の構造とそれにコードされるアミノ酸配列を図1に示す。遺伝子LjHb1は、植物グロビン遺伝子に共通する、4つのエキソンと3つのイントロンを含む構造をしており、ミヤコグサの6つの染色体のうち第3染色体に存在していた。
[実施例2]非共生型グロビン遺伝子(LjHb1)の発現解析
LjHb1の発現解析を、RT−PCRにより、組織別の発現と、ストレス条件下での発現の2つの実験系で行った。組織別の発現を調べた実験系では、組織サンプルとして、ミヤコグサ(発芽6週目の成長個体)の1)葉、2)茎、3)根、4)根粒の4つを用いた。ストレス条件下での発現を調べた実験系では、サンプルとして、1)無処理(対照)、2)ショ糖添加、3)低温、4)低酸素の4つを用いた。RT−PCRには実施例1で使用したプライマーLjHb1F1とLjHb1R2を用い、逆転写と転写産物の増幅のためにOne−step RT−PCR kit(QIAGEN)を使用した。遺伝子LjHb1の発現レベルは、電気泳動によって確認した。電気泳動写真をイメージングして、そのバンドの濃さに基づき、LjHb1の発現量を相対値で表した。
組織別の発現を調べた実験の結果を図2Aに示す。LjHb1は、成長個体の様々な器官で発現していることが示された。それぞれの発現量(相対値)は、葉で0.4、茎で0.4、根で1.0、根粒で36.0であった。このように、特に根粒組織では強く発現していた。またストレス条件下での発現を調べた実験の結果を図2Bに示す。LjHb1は、無処理と比較した相対的な発現量としてみた場合、低温(図2Bにおける発現量:約250)や低酸素(図2Bにおける発現量:約450)といったストレス処理によっても強く発現することが示された。
[実施例3]形質転換用ベクターの構築
LjHb1を過剰に発現する形質転換ミヤコグサ植物体及び形質転換毛状根を作出するために、強力なプロモーターにLjHb1のcDNAを連結した遺伝子を構築した。形質転換用のベクター構築には、プラスミドpKANNIBAL(Wesley et al.2001 the plant Journal 27,581−590)、pHKN29(Kumagai and Kouchi,2003 MPMI 16(8),663−668)、pIG121−Hm(Ohta et al.,1990 Plant Cell Physiol.,31,805−813)を使用した。
ミヤコグサの根粒から、全RNAを常法によって抽出し、RT−PCRによってcDNAを合成し、このcDNAを鋳型としたPCRによって完全長のLjHb1 cDNAをクローニングした。得られた完全長LjHb1 cDNA(配列番号1)は、まず、pKANNIBALのカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターの下流に連結した。さらにこのベクターから35S−LjHb1 cDNA断片を切り出し、それをpHKN29のGFP領域の下流に連結し、プラスミドベクターpR35SLjHb1とした(図3)。このpR35SLjHb1は、後述の通り、形質転換毛状根の誘導のために使用した。
また、完全長のLjHb1 cDNAをpIG12I−Hmの35Sプロモーターの下流に連結して、プラスミドベクターpT35SljLb1とした。このpT35SljLb1は、後述の通り、形質転換ミヤコグサ植物体の作出のために使用した。
[実施例4]形質転換毛状根の作出と遺伝子導入及び発現の確認
実施例3で作製したプラスミドベクターを使用して、アグロバクテリウム・リゾジェネスを介した毛状根誘導型の形質転換系により、LjHb1を導入したミヤコグサの形質転換毛状根を作出した。
まず、実施例3でLjHb1を過剰発現するように構築したベクターpR35SLjHb1を、アグロバクテリウム・リゾジェネス(Agrobacterium rhizogenes)LBA1334(Dr.Clara Diaz(Institute Molecular Plant Science,Leiden University)より分与)に、エレクトロポレーションにより直接導入した。このpR35SLjHb1を保持するアグロバクテリウム・リゾジェネスの菌体懸濁液を、胚軸の部分で切断した播種後5日目のミヤコグサ実生に接種した。その後、これを滅菌したろ紙上に載せ、共存培養培地(1/10 B5,BAP 0.5μg/ml,NAA 0.05μg/ml,MES(pH5.2)5mM,アセトシリンゴン20μg/ml)にて5日間共存培養した。共存培養終了後、抗生物質セフォタックス(cefotax)(200μg/ml;中外製薬株式会社)を添加したGamborgB5培地(製造:日本製薬株式会社、販売:和光純薬工業株式会社)上に載せ、毛状根を誘導した。誘導した毛状根を図4Aに示す。なお図4Aは、成長段階や毛状根の発生時期が異なる各種サンプルを示している。
毛状根へのLjHb1遺伝子導入の有無は、GFP蛍光の検出と、35SプロモーターとLjHb1との融合遺伝子をPCR増幅して検出することにより、確認した。LjHb1遺伝子が導入された毛状根では、GFPが産生され、緑色蛍光が観察された(図4B)。図4Bの左側(上段及び下段)の写真は明視野観察、右側(上段及び下段)の写真は暗視野観察の結果である。共生型グロビン遺伝子が過剰発現し、GFP蛍光が観察された根がはっきりと観察される。
さらに、形質転換毛状根から常法により全RNAを抽出し、RT−PCRを行って、導入したLjHb1遺伝子の発現を確認した。また野生株のミヤコグサ毛状根をコントロールとして使用した。この結果を図4Cに示す。図4C中、ミヤコグサのあらゆる組織及びあらゆる時期において同程度発現していることが知られる遺伝子LjeIF−4Aを、遺伝子発現に用いたRNA量が被験サンプルと対照(コントロール)サンプルとで同じであることを示す指標として用いた。
この結果に示される通り、LjHb1遺伝子を導入した毛状根では、LjHb1遺伝子を導入していない野生株の毛状根に比べ、約100倍を超える量のLjHb1遺伝子発現が誘導されていた。
[実施例5]形質転換毛状根における根粒形成及び根粒の窒素固定活性の測定
実施例4でLjHb1遺伝子の導入が確認された毛状根誘導植物を、培養土(バーミキュライト:パーライト=4:1)に移植し、KNOを終濃度が1mMになるように加えたフェラウス培地(Fahraeus,(1957)J.Gen.Microbiol.16(2)374−381)を与え、1週間生育させた。その後、新しい培養土に移植し、1×10細胞/mlの濃度のミヤコグサ根粒菌(Mesorhizobium loti MAFF303099)をその毛状根に接種した。根粒菌接種後、窒素源を含まない培地を与え、さらに4週間生育させた。なお形質転換植物の生育条件は、16時間 明/8時間 暗のサイクルで、植物育成チャンバー内、25〜26℃とした。4週間後、毛状根には根粒が形成された(図5)。
次いで、毛状根に着生した根粒について、窒素固定活性を、アセチレンをエチレンに還元する活性(Acetylene reduction activity;ARA)として測定した。具体的には、まず毛状根より採取した根粒を15cmの試験管に入れ、ゴムキャップで密閉した。試験管内の空気をアスピレーターで充分吸引した後、アセチレンガスを充満させた。この試験管を室温で2時間インキュベートした後、試験管中の気体を採取し、ガスクロマトグラフィーでエチレンの発生量を測定した。この測定結果を図6に示す。
図6に示す測定結果から、LjHb1を導入し過剰発現させた毛状根に着生した根粒における単位重量(根粒のグラム重量)当たりのARA活性は、11.15nM/min/gと算出された[1.45×21.5−0.5=30.67(nM/g);30.67(nM)÷2.75分=約11.15nM/min/g]。一方、対照実験として、LjHb1を導入していない毛状根に着生した根粒における単位重量(根粒のグラム重量)当たりのARA活性は、2.12nM/min/gと算出された[1.45×4−0.5=5.3(nM/g);5.3(nM)÷2.5分=2.12nM/min/g]。LjHb1を導入し過剰発現させた毛状根(形質転換体)に着生した根粒では、窒素固定活性が5倍以上になったことが示された。
[実施例6]形質転換植物体の作出
1)ミヤコグサへのアグロバクテリウム・ツメファシエンス(A.tumefaciens)の感染
播種後5日経過したミヤコグサ実生から、胚軸を、子葉の直下と根の境目で切り出した。一方、実施例3で作製したpT35SljLb1を、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(A.tumefaciens)EHA105(名古屋大学 中村研三教授より分与)に、エレクトロポレーションにより直接導入した。得られたpT35SljLb1を保持するアグロバクテリウム・ツメファシエンスEHA105の菌体懸濁液(1.0×10細胞/ml、OD600=0.10×0.15)に、終濃度100μMのアセトシリンゴンを加え、切り出した胚軸をその溶液に浸漬した。胚軸は溶液中で約5mm厚の切片に切断した。この切片は、そのまま30分間にわたり菌体懸濁液中に浸漬することにより、アグロバクテリウムに感染させた。感染後の切片を滅菌したろ紙上に載せ、共存培養培地(1/10 B5,BAP 0.5μg/ml,NAA 0.05μg/ml,MES(pH5.2)5mM,アセトシリンゴン20μg/ml)中で、25℃で3〜5日間にわたり共存培養した。
2)カルスの誘導
共存培養した切片を、除菌用の抗生物質セフォタックス(250μg/ml)と形質転換体選抜用の抗生物質ハイグロマイシンBを加えたカルス培地(1×B5,2%スクロース,BAP 0.5μg/ml,NAA 0.05μg/ml,10mM NH,0.3%phytagel)に移し、25℃にて、14時間 明/10時間 暗のサイクルで、5週間にわたり培養した。切片の植え替えは1〜2週間毎に行った。
3)カルスからのシュートの誘導
上記カルス培地で5週間培養した切片をシュート誘導培地(1×B5,2%スクロース,BAP 0.5μg/ml,NAA 0.05μg/ml,10mM NH,0.3%phytagel)に移し、25℃にて、14時間 明(6100 lux)/10時間 暗のサイクルで、2週間にわたり培養した。その後、カルス化した切片を、ハイグロマイシンBを添加していないシュート誘導培地に移植して、前記と同様の培養条件で3週間培養した。カルスの植え替えは1〜2週間毎に行った。
4)シュートの伸長
カルスをシュート伸長培地(1×B5,2%スクロース,BAP 0.2μg/ml,0.3%phytagel)に移し、25℃にて、14時間 明(6100 lux)/10時間 暗のサイクルで、3週間にわたり培養した。カルスの植え替えは1〜2週間毎に行った。その後、カルスを植物ホルモンを含まないシュート伸長培地に移植して、前記と同様の培養条件で2〜3週間培養して、シュート伸長を促した。
5)根の誘導と伸長
シュート伸長培地に置床したカルスから生じた5mm以上のシュートを、シュート基部からカミソリで切り出した。このシュートを縦にして、シュート基部を根誘導培地(1/2 B5,1%スクロース,0.5μg/ml NAA,0.4%phytagel)に差し込んだ状態で、14時間 明(6100 lux)/10時間 暗のサイクルで、1週間以上培養した。その後、切り口が肥大化したシュートを、根伸長培地(1/2 B5,1%スクロース)に差し込んで、前記と同様の培養条件で2〜3週間培養し、根の伸長を促した。
6)形質転換植物体の栽培
上記のように根を伸長させて得られた植物体を、培地から抜き取り、根に付着したゲルを水中でよく洗い落とした。この植物体を、1/10倍に希釈した市販のB5培地(和光純薬工業株式会社)を染み込ませたバーミキュライトに移植し、14時間 明(6100 lux)/10時間 暗のサイクルで栽培した。こうして栽培したミヤコグサ植物体は種子をつけたため、その種子を収穫した。その後、種子をパワーソイル(クレハ園芸用培土)を入れた播種し、栽培した。
こうして生長させた植物体については、35SプロモーターとLjHb1の融合遺伝子をPCR増幅して検出することにより、LjHb1の遺伝子導入の成否を確認した。またLjHb1遺伝子の発現量の増加は、RT−PCRを行って確認した。
[実施例7]ミヤコグサ形質転換植物体の根粒形成と窒素固定活性
実施例6で作製し、LjHb1遺伝子の導入と発現が確認されたミヤコグサ形質転換植物体を、培養土(バーミキュライト:パーライト=4:1)に移植して栽培し、1×10細胞/mlの濃度のミヤコグサ根粒菌(Mesorhizobium loti MAFF 303099)を接種した。根粒菌接種後、形質転換植物体を、16時間 明(6100 lux)/8時間 暗のサイクルで、植物育成チャンバー内、25〜26℃にて、4週間にわたり栽培した。4週間後、着生した根粒を植物体から採取し、実施例5と同様にして、ARA活性を測定した。測定の結果、LjHb1を過剰発現しているミヤコグサ形質転換植物体に着生した根粒における単位重量(根粒のグラム重量)当たりのARA活性は、17.21nM/min/gと算出された。一方、対照実験として、LjHb1を導入していないミヤコグサ(通常のミヤコグサ、野生型)に着生した根粒における単位重量(根粒のグラム重量)当たりのARA活性は、5.05nM/min/gと算出された。
なお、本実施例で得られた植物体に形成された根粒は、形質転換体及び非形質転換体のいずれも、平均7個であった。根粒の大きさ、色などの外観には特に差異は見られなかった。
[実施例8]ミヤコグサの非共生型グロビンと共生型グロビンの一酸化窒素との親和性の比較
実施例3で得られた完全長のLjHb1 cDNA(開始コドンから終止コドンまでの配列を配列番号1に示す;配列番号2のアミノ酸配列をコードする)を、タンパク質発現ベクターpGEX4T−3(Amersham Pharmacia Biotech)に常法によりクローニングし(図7)、それを大腸菌に導入して形質転換体を得た。また対照サンプルとして、ミヤコグサ共生型グロビン遺伝子を、同様に発現ベクターpGEX4T−3中にクローニングし(図7)、それを大腸菌に導入して形質転換体を得た。得られた大腸菌形質転換体を培養し、発現誘導することにより、大腸菌の体内で、可溶性であり活性をもった非共生型グロビンを大量に組換え生産させることができた。次いで、非共生型グロビン遺伝子を発現させた大腸菌を常法により回収し、破壊した後、タンパク質精製を行ったところ、活性をもった非共生型ヘモグロビンを得ることができた。非共生型グロビン遺伝子を導入した大腸菌中でヘムが同時に供給されるため、大腸菌を破壊して得られるグロビンは、大腸菌由来のヘムと会合してヘモグロビンとしての活性をもった状態で単離されたものである。
次いで、得られた共生型ヘモグロビンに一酸化窒素を混合し、経時的に吸光度測定を行った。一酸化窒素の混合を開始してから0分、5分後、15分後、30分後の500nm〜600nmの波長での吸光度スペクトルを図8に示す。図8に示される通り、一酸化窒素の混合時間が長くなるにつれて、540nmと575nmの2つのピークが消失したことが示されている。特に非共生型ヘモグロビンでは、575nmのピークがより早く喪失し、15分経過後にはほとんど消失していていた。一方共生型ヘモグロビンの方は、540nmのピークはあまり減失せず、30分経過後でも、575nmのピークも弱いながらもまだ存在し2つのピークが観察された。
[実施例9]ヤシャブシ非共生型グロビン遺伝子(AfHb1)の単離及び同定
ヤシャブシ(Alnus firma)の非共生型グロビン遺伝子(AfHb1)を、ミヤコグサ非共生型グロビン遺伝子LjHb1のDNA断片をプローブとして、ヤシャブシの根粒cDNAライブラリー(Sasakura,F.et al.,″A class 1 hemoglobin gene from A lnus firma functions in symbiotic and nonsymbiotic tissues to detoxify nitric oxide.″Mol.Plant Microbe.Interact.(2006)19(4)印刷中)のスクリーニングによって単離した。
スクリーニング用プローブは、ミヤコグサ非共生型グロビン遺伝子LjHb1(クローン名:AV413959、DDBJ/EMBL/GenBankアクセッション番号:AB238220)の配列に基づいて設計し、実施例1で使用したプライマーLjHb1F1(5’−TTCTCACTTCACTTCCATCGC−3’;配列番号4)とLjHb1R1(5’−TCACAGTGACTTTTCCAGCG−3’;配列番号6)を用いてミヤコグサのゲノムDNAからPCR増幅することにより得た。プローブとしてのLjHb1断片を増幅するためのこのPCRは、GeneAmp(R)PCR System 9700(Applied Biosystems)を使用し、94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30秒を30サイクルの条件で行った。
このようなヤシャブシの根粒cDNAライブラリーのスクリーニングの結果、AfHb1遺伝子が同定された。塩基配列解析の結果、AfHb1遺伝子は、そのcDNAにおける開始コドンから終止コドンまでの塩基長が483bpであり、160個のアミノ酸をコードする遺伝子であることが分かった。AfHb1(DDBJ/EMBL/GenBankアクセッション番号:AB221344)のcDNAの開始コドンから終止コドンまでの塩基配列を配列番号8に、コードされているアミノ酸配列を配列番号9に示す。さらに、ヤシャブシのAfHb1遺伝子のゲノムDNAの塩基配列(開始コドンから終止コドンまで)を配列番号10に示す。
[実施例10]ヤシャブシ非共生型グロビン遺伝子(AfHb1)の発現解析
AfHb1の発現解析は、ヤシャブシの各種器官の組織から常法により抽出したmRNAを試料として、RT−PCRを用いて行った。RT−PCRには下記のAfHb1F1プライマーとAfHb1R3プライマーを用い、逆転写とその転写産物の増幅にはOne−Step RT−PCR kit(QIAGEN)を使用し、逆転写産物の増幅にも下記AfHb1F1プライマーとAfHb1R3プライマーを用いた。使用したそれらプライマーの配列を以下に示す。
AfHb1F1:5’−GCTGCTATCAAATCTGCAAT−3’(配列番号11;フォワードプライマー)
AfHb1R3:5’−GGGGGGCTGTGATTTTAG−3’(配列番号12;リバースプライマー)
得られた増幅産物を電気泳動し、撮影した電気泳動写真をイメージングしてそのバンドの濃さから各組織におけるAfHb1遺伝子の発現量を決定した。
このRT−PCRによる発現解析の結果は、AfHb1遺伝子がヤシャブシの成長個体の様々な器官で発現していたことを示した。特に、根粒組織では強く発現していた。またAfHb1遺伝子は、ミヤコグサのLjHb1遺伝子と同様に、低温といったストレス処理によっても強く発現が誘導されることが分かった。
[実施例11]形質転換用ベクターの構築
AfHb1遺伝子の機能を明らかにするため、AfHb1遺伝子を過剰に発現する形質転換ミヤコグサの作出を試みた。形質転換用のベクター構築には、プラスミドpKANNIBAL(Wesley et al.2001 The Plant Journal 27,581−590)とpHKN29(Kumagai and Kouchi.2003 MPMI 16(8),663−668)を使用した。
まず、ヤシャブシの根粒から抽出した全RNAより逆転写によって合成したcDNAを鋳型として、PCRにより完全長のAfHb1 cDNAをクローニングした。得られたAfHb1cDNAは、pKANNIBALのカリフラワーモザイクウィルス由来35Sプロモーターの下流に連結した。さらにこの35S−AfHb1 cDNA断片を切り出し、pHKN29のGFP領域の下流へ連結して、最終的な形質転換ベクターpAfHb1Sとした。
[実施例12]形質転換毛状根の作出
AfHb1を用いたミヤコグサの形質転換には、アグロバクテリウム・リゾジェネスを介した毛状根誘導型の形質転換系を採用した。この形質転換法は共トランスフェクションという原理に基づくものであり、アグロバクテリウム・リゾジェネスによって、誘導される毛状根が形質転換される。本実施例における形質転換毛状根の作出は実施例3の方法に準じて行った。
実施例11で作製した、AfHb1遺伝子を過剰発現するように構築した形質転換ベクターpAfHb1Sを、アグロバクテリウム・リゾジェネスLBA1334にエレクトロポレーションにより直接導入した。該ベクターpAfHb1Sを導入したアグロバクテリウム・リゾジェネスLBA1334の菌体懸濁液を、胚軸の部分で切断した播種後5日目のミヤコグサ実生に接種し、感染させた。その後、これを滅菌したろ紙上に載せ、共存培養培地にて5日間共存培養した。共存培養終了後、寒天培地[抗生物質セフォタックス(cefotax)(200μg/ml;中外製薬株式会社)を添加したGamborgB5培地(製造:日本製薬株式会社、販売:和光純薬工業株式会社)]上にのせ、毛状根を誘導した。
毛状根へのAfHb1導入の有無は、実施例4と同様にして、GFP蛍光検出とRT−PCRを用いて確認した。その結果、AfHb1を導入したアグロバクテリウム・リゾジェネスを感染させた全てのミヤコグサ個体において,GFPの蛍光を発する毛状根が誘導されていた。一方、RT−PCRによる確認の結果、AfHb1を導入した毛状根(形質転換体)では、AfHb1を導入していない野生株の毛状根に比べ、約100倍を超える量のAfHb1の遺伝子発現が誘導されていた。RT−PCRを用いたAfHb1遺伝子の発現確認の結果を図9に示す。図9中、LjeIF−4Aは陽性対照である。
[実施例13]形質転換個体の表現型の解析
実施例12においてAfHb1遺伝子による形質転換が確認された毛状根を持つ植物を、培養土(バーミキュライト:パーライト=4:1)に移植し、KNOを終濃度が1mMになるように加えたフェラウス培地(Fahraeus,(1957)J.Gen.Microbiol.16(2)374−381)を与え、1週間生育させた。その後、新しい培養土に移植し、1×10細胞/mlの濃度のミヤコグサ根粒菌(Mesorhizobium loti MAFF 303099)をその毛状根に接種した。根粒菌接種後は、窒素源を入れないフェラウス培地を与え、さらに4週間生育させた。この形質転換植物の生育条件は、16時間 明/8時間 暗のサイクルで、植物育成チャンバー内で25〜26℃とした。生育した植物体の毛状根には根粒が形成された。根粒の数は、形質転換体及び非形質転換体のいずれも、1植物体当たり平均9個であった。根粒の大きさ、色などの外観には、形質転換体と非形質転換体の間で特に差異は見られなかった。
次いで、形質転換体の表現型の一つとして、毛状根に着生した根粒の窒素固定活性を測定した。窒素固定活性は、アセチレンをエチレンに還元する活性(Acetylene reduction activity;ARA)として、実施例5に記載した方法に従って測定した。結果を図10に示す。図10中、対照は、AfHb1遺伝子を含まないプラスミドpHKN29を導入したミヤコグサを試料として用いたものである。
測定の結果、AfHb1を導入し過剰発現させた毛状根に着生した根粒は、AfHb1を導入していないミヤコグサ野生株の毛状根に着生した根粒と比較して、単位重量当たり3〜5倍の窒素固定活性を示した。図10に示す通り、AfHb1を過剰発現させた毛状根に着生した根粒は、単位重量当たり7.2nM/min/gのARA活性(平均値)を示した。AfHb1を導入したミヤコグサの植物体全体についても測定を行ったところ、単位重量当たり13nM/min/gのARA活性(平均値)が示された。一方、対照実験として、AfHb1を導入していない野生株の毛状根に着生した根粒は、単位重量当たり2.6nM/min/gのARA活性(平均値)を示した。AfHb1を導入していない野生株の植物体全体では、単位重量当たり5nM/min/gのARA活性(平均値)が示された。
以上の結果から、ヤシャブシの非共生型グロビン遺伝子AfHb1を導入したミヤコグサでも、その毛状根に着生した根粒における窒素固定活性が顕著に向上することが示された。
本発明の根粒着生植物の作出法により、根粒の窒素固定活性を格段に向上させた根粒着生植物を得ることができる。本発明の根粒着生植物を栽培することにより植物栽培における窒素固定量を増大させる方法は、当該根粒着生植物の収量又は生長量を増大させる目的や、土壌中の窒素量を増大させて土壌を肥沃化し、また荒廃地等を緑化する目的のために使用することができる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体を参照により本明細書に組み入れるものとする。
配列番号4〜7、11及び12の配列は、プライマーを示す。
[配列表]

Claims (13)

  1. 非共生型グロビン遺伝子を根粒着生植物中で過剰発現させることを特徴とする、窒素固定活性が増大した根粒を着生できる根粒着生植物の作出方法。
  2. 非共生型グロビン遺伝子が、以下の(a)〜(e)からなる群より選択されるDNAからなるものである、請求項1に記載の方法。
    (a)配列番号1又は8に示される塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号1又は8に示される塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードするDNA
    (c)配列番号2又は9に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号2又は9に示されるアミノ酸配列において1〜50個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードする、DNA
    (e)配列番号3又は10に示される塩基配列からなるDNA
  3. 過剰発現プロモーターに連結された非共生型グロビン遺伝子を根粒着生植物に導入することにより、非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 窒素固定活性の増大が、野生株と比較して少なくとも3倍の増大である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 窒素固定活性が増大した根粒が、10〜100nM/min/gの窒素固定活性を示す根粒である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 根粒着生植物がマメ科植物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 非共生型グロビン遺伝子を過剰発現させた根粒着生植物に、共生窒素固定菌を接種することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって作出される、窒素固定活性が増大した根粒を着生できる根粒着生植物。
  9. 根に根粒を有している、請求項8に記載の根粒着生植物。
  10. 過剰発現プロモーターに連結された非共生型グロビン遺伝子を含む、根粒の窒素固定活性を増大させるためのベクター。
  11. 非共生型グロビン遺伝子が、マメ科植物又は非マメ科根粒着生植物由来のものである、請求項10に記載のベクター。
  12. 非共生型グロビン遺伝子が、以下の(a)〜(e)からなる群より選択されるDNAからなるものである、請求項10又は11に記載のベクター。
    (a)配列番号1又は8に示される塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号1又は8に示される塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードするDNA
    (c)配列番号2又は9に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (d)配列番号2又は9に示されるアミノ酸配列において1〜50個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ非共生型グロビン活性を有するタンパク質をコードする、DNA
    (e)配列番号3又は10に示される塩基配列からなるDNA
  13. 請求項8又は9に記載の根粒着生植物を栽培することを特徴とする、植物栽培における窒素固定効率を増大させる方法。
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