JPWO2006095534A1 - 平版印刷版材料、平版印刷版材料の製造方法、及び印刷方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、機上現像性、耐刷性、耐圧力カブリ性、に優れた平版印刷版材料、該平版印刷版材料の製造方法、及び該平版印刷版材料を用いた印刷方法を提供することを目的とし、その達成手段として、支持体上に親水性層と感熱画像形成層を積層して有する機上現像型平版印刷版材料において、該親水性層が付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤を含有する塗剤を支持体上に塗工後、該付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を重合させ形成された平版印刷版材料を特徴とする。
Description
本発明は、画像書き込み後、印刷機上で現像される平版印刷版材料、該平版印刷版材料の製造方法、及び該平版印刷版材料を用いた印刷方法に関する。
近年、印刷データのデジタル化に伴い、画像データを直接印刷版に記録するコンピューター・トゥー・プレート(CTP)が普及してきた。一般に、CTPに使用される印刷版材料は、従来のPS版と同様にアルミ支持体を使用するタイプとフィルム基材上に印刷版としての各種機能層を設けたフレキシブルタイプがある。
近年、商業印刷分野においては、印刷の少量多品種化の傾向が進み、市場では高品質で、かつ低価格な印刷版材料への要望が強まってきている。従来のフレキシブルタイプの印刷版材料としては、例えば、特開平5−66564号公報に開示されるようなフィルム基材上に銀塩拡散転写方式の感光層を設けたもの、あるいは特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号の各公報に開示されるようなフィルム基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層し、表層をレーザ露光でアブレーションさせて印刷版を形成するように構成されたもの、あるいは特開2001−96710号公報に開示されるようなフィルム基材上に親水性層と熱溶融性画像形成層を設け、レーザ露光により親水性層あるいは画像形成層を画像様に発熱させることで画像形成層を親水性層上に溶融固着させるもの等が挙げられる。
一方、印刷用の画像形成方法として、環境適性等の観点より画像データ書き込み(画像様露光)後の印刷版を直接オフセット印刷機で印刷することにより湿し水で非画像部の画像形成層のみ膨潤、溶解して印刷初期の印刷紙(損紙)上に転写除去する所謂印刷機上で現像を行う方法が知られている(特許文献1及び2参照)。これらの機上現像可能な印刷版材料は、鮮鋭なドット形状、高精細な画像が得られ、又露光後の現像プロセスを必要とせず、環境適性にも優れている。
しかしながら、これらの上記印刷版材料は、画像形成層自身の膜強度が弱いため、耐刷性不足であったり、現像前の非画像部の圧力カブリが発生し易いといった問題があった。これらの課題に対し、画像形成層に水溶性樹脂や熱可塑性樹脂を添加し改善がなされている(特許文献3)が、ブロッキングパウダーを使用した印刷のような場合には耐刷性が十分でなく、また溶融粘度の高い樹脂の添加は、機上現像性の低下や画像形成に必要なエネルギーが増加して(感度低下)生産性が低下する、という新たな課題を有している。
特開平9−123387号公報
特開平9−123388号公報
特開2000−238451号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、機上現像性、耐刷性、耐圧力カブリ性、に優れた平版印刷版材料、該平版印刷版材料の製造方法、及び該平版印刷版材料を用いた印刷方法を提供することにある。
本発明者等は上記のような問題点に対し鋭意検討した結果、親水性層に付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を含有せしめ、該化合物を製造時(すなわち、親水性層塗剤を支持体上に塗工して)に重合させることで、機上現像性を低下させることなく、ブロッキングパウダーを使用した印刷でも耐刷性、現像前の非画像部の耐圧力カブリ性に優れた平版印刷版材料が得られることを見出した。
すなわち、本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.支持体上に親水性層と感熱画像形成層を積層して有する機上現像型平版印刷版材料において、該親水性層が付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤を含有する塗剤を支持体上に塗工後、該付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を重合させて形成されたものであることを特徴とする平版印刷版材料。
2.前記付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤がそれぞれ水に1質量%以上の溶解性を有することを特徴とする1に記載の平版印刷版材料。
3.支持体上に親水性層と感熱画像形成層を積層して有する機上現像型平版印刷版材料の製造方法において、該親水性層を、付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤を含有する塗剤を支持体上に塗工後、該付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を熱又は光により重合させて形成することを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
4.前記付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤がそれぞれ水に1質量%以上の溶解性を有することを特徴とする3に記載の平版印刷版材料の製造方法。
5.1または2に記載の平版印刷版材料にサーマルヘッドまたはサーマルレーザを用いて画像を形成した後に、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い、印刷することを特徴とする印刷方法。
1.支持体上に親水性層と感熱画像形成層を積層して有する機上現像型平版印刷版材料において、該親水性層が付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤を含有する塗剤を支持体上に塗工後、該付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を重合させて形成されたものであることを特徴とする平版印刷版材料。
2.前記付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤がそれぞれ水に1質量%以上の溶解性を有することを特徴とする1に記載の平版印刷版材料。
3.支持体上に親水性層と感熱画像形成層を積層して有する機上現像型平版印刷版材料の製造方法において、該親水性層を、付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤を含有する塗剤を支持体上に塗工後、該付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を熱又は光により重合させて形成することを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
4.前記付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤がそれぞれ水に1質量%以上の溶解性を有することを特徴とする3に記載の平版印刷版材料の製造方法。
5.1または2に記載の平版印刷版材料にサーマルヘッドまたはサーマルレーザを用いて画像を形成した後に、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い、印刷することを特徴とする印刷方法。
本発明によれば、機上現像性、耐刷性、耐圧力カブリ性、に優れた平版印刷版材料、該平版印刷版材料の製造方法、及び該平版印刷版材料を用いた印刷方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の平版印刷版材料は、支持体上に親水性層と感熱画像形成層を積層して成る機上現像型平版印刷版材料である。本発明においては、該親水性層を形成する層塗剤中に付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤を含有することが必要である。
複数の親水性層を積層した印刷版材料の場合は、上記付加重合可能な不飽和結合を有する化合物、及び重合開始剤は、親水性層を形成する1層の層塗剤中に添加することも、全層に添加することも可能である。何れか1層の層塗剤中に添加する場合には、最も支持体に近い親水性層の層塗剤中に添加することが、より好ましい。
付加重合可能な不飽和結合を有する化合物とは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物(ラジカル重合性化合物)であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。本発明に係る親水性層の塗剤中に用いる場合、係るラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
本発明の親水性層に特に好適に用いられラジカル重合性化合物は、1気圧の下、25℃の純水に対して、1質量%以上の溶解性を有する化合物であり、より好ましくは、5質量%以上の溶解性を有する化合物である。
そのような化合物としては
(1)2塩基酸無水物とヒドロキシ基含有のアクリル酸エステル或いはメタクリル酸エステルとの反応生成物:それらの代表的な化合物としては、無水コハク酸、無水オルソフタル酸、無水マレイン酸などと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとの反応物を挙げることができる。
そのような化合物としては
(1)2塩基酸無水物とヒドロキシ基含有のアクリル酸エステル或いはメタクリル酸エステルとの反応生成物:それらの代表的な化合物としては、無水コハク酸、無水オルソフタル酸、無水マレイン酸などと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとの反応物を挙げることができる。
(2)エポキシ樹脂のアクリル酸エステルの2級水酸基に2塩基酸無水物を反応せしめた化合物:それらの代表的な化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂であるエピコート828、エピコート1001(商品名;油化シェルエポキシ製)、多価アルコール脂肪族エポキシ樹脂であるデナコール(商品名;ナガセ化成製)、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ペンタエリスルトリグリシジルエーテル、環状脂肪族エポキシ樹脂であるセロキサイド(商品名;ダイセル化学製)などにアクリル酸エステルを反応させた後、残留しているか、新たに生成した水酸基に無水コアク酸、無水マレイン酸を反応させて得られる化合物を挙げることができる。
(3)アクリル酸或いはメタクリル酸の多価アルコールエステルに2塩基酸無水物を反応せしめた化合物:これらの代表的な化合物としてはアクリル酸のグリコールないしポリエチレングリコールエステルに無水コハク酸、無水マレイン酸を反応させて得られる化合物を挙げることができ、ここで用いられるグリコールないしポリエチレングリコールとしては、分子量600以下程度のものがよい。
(4)分子鎖の中にカルボキシル基側鎖を有する水溶性のウレタンアクリレート及びメタクリレート:紫外線硬化樹脂としてのオリゴマーの合成は公知であるが、カルボキシル側鎖を有するオリゴマー化合物を合成するには、オリゴマー合成反応の途中で無水トリメリット酸に代表される多塩基酸、或いは、ジメチロールプロピオン酸などに代表される、1分子中に2個の水酸基と1個のカルボキシル基を有する化合物を挙げることができる。
また、以上例示した化合物(1)〜(4)は、塩基によって中和され、水に易溶の化合物となる。用いる塩基の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリメチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトアエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、ヘキシルアミン、ラウリルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルフォリン、ピペリジン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、NaOH、LiOH、KOHなどが挙げられる。
本発明に用いられるラジカル重合性化合物として水溶性のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体例を挙げると、メトキシポリエチレングリコール(N=9)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(N=9)メタクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、アクリロイルモルフォン、ダイアセトンアクリルアマイド、ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、ナノエチレングリオールジメタクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート(EO付加20モル)を挙げることができる。その他にも以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記式(1)〜(4)及び(13)におけるXは水素原子またはメチル基を表す。
本発明に係るラジカル重合性化合物として、紫外線によってラジカル重合する重合性化合物を挙げることができる。紫外線によってラジカル重合する重合性物質としては、例えば、下記一般式(1)で表される重合性化合物であり、例えば、Rが少なくともポリオールから導かれる基を有する連結基であり且つポリオールの残基で(即ち、−O−を介して)Aと結合する重合性化合物(一般式(A)で表される重合性化合物と称する)、および、Rが少なくともポリオールから導かれる基を有する連結基であり且つポリオールの残基から−O−を除いた残基で(即ち、−O−を介することなしに)Aと結合する重合性化合物(一般式(B)で表される重合性化合物と称する)、から選ばれる水溶性の重合性化合物が挙げられる。
一般式(1)
[Z]L−R−[A]K(式中、Kは2または3の整数を表し、Lは1または2の整数を表し、Zは−COO-またはその塩を表し、Rは少なくともポリオールから導かれる基を有する連結基を表し、Aは、
[Z]L−R−[A]K(式中、Kは2または3の整数を表し、Lは1または2の整数を表し、Zは−COO-またはその塩を表し、Rは少なくともポリオールから導かれる基を有する連結基を表し、Aは、
(式中、Xは水素原子、またはメチル基を表す。)を表す。)
上記一般式(1)で表される重合性化合物をより明確に表現すると、下記一般式(1′)で表される重合性化合物のようになる。
上記一般式(1)で表される重合性化合物をより明確に表現すると、下記一般式(1′)で表される重合性化合物のようになる。
一般式(1′)
(式中、Kは2または3の整数を表し、Lは1または2の整数を表し、Rは少なくともポリオールから導かれる基を有する連結基を表し、Xは水素原子、またはメチル基を表す。)
更に、一般式(A)で表される重合性化合物としては、以下に例示する一般式(A1)〜(A11)で表される重合性化合物が好ましいものとして挙げられる。
更に、一般式(A)で表される重合性化合物としては、以下に例示する一般式(A1)〜(A11)で表される重合性化合物が好ましいものとして挙げられる。
ここで、下記一般式(A1)〜(A11)で表される重合性化合物において、A、X、Rx、Ry、Rz及びRpは、夫々独立して下記の原子団を表している。
尚、Rpの構造の1つを示す上記式(1−4)中のX2のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子等が挙げられ、また、アルコキシル基としては、炭素数1〜3のアルコキシル基等が挙げられる。
先ず、下記に示す一般式(A1)で表される重合性化合物が挙げられるが、具体的には、例えば、下記重合性化合物A1−1、A1−2、等を使用することができる。
また、下記に示す一般式(A2)で表される重合性化合物が挙げられるが、具体的には、例えば、下記重合性化合物A2−1、等を使用することができる。
また、下記に示す一般式(A3)で表される重合性化合物が挙げられるが、具体的には、例えば、下記重合性化合物A3−1〜A3−4、等を使用することができる。
また、下記に示す一般式(A4)で表される重合性化合物が挙げられるが、具体的には、例えば、下記重合性化合物A4−1、等を使用することができる。
また、下記に示す一般式(A5)で表される重合性化合物が挙げられるが、具体的には、例えば、下記重合性化合物A5−1、等を使用することができる。
更に、下記に示す一般式(A6)〜(A11)で表される重合性化合物およびそれらに包含される各重合性化合物が挙げられる。
先に例示した重合性化合物A10−1やA10−2等は、アクリル酸のビニル基に、カルボキシル基を有するアミン、即ち、広儀のアミン酸を付加させることによって製造することができる。即ち、一般的には、下記式で表される。
ここで、Rは、重合性化合物A10−1の場合はメチレン基、A10−2の場合はフェニレン基である。この方法に用いられるカルボキシル基を有するアミンとしては、例えば、パラアミノ安息香酸、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、を挙げることができる。また、グルタミン酸、アスパラギン酸等の2個のカルボキシル基を有するアミノ酸からも、同等性能の物質を誘導することができる。
一方、一般式(B)で表される重合性化合物としては、具体例には下記一般式(B1)〜(B4)で表される重合性化合物が挙げられる。尚、一般式(B1)〜(B4)においてA及びRpは、下記の原子団を表す。
上記に挙げた多数の群の化合物の中でも、重合速度、硬化物の硬度、において特に優れているのは、分子中に、3個の重合性官能基を有する化合物である。
本発明に係る重合性化合物の含有量は、親水性層組成に対して、2〜50質量%であり、より好ましくは5〜30質量%の範囲である。含有量が2質量%未満では、重合後の親水性層膜強度への寄与が小さく、50質量%を越えると重合後の親水性が低下し印刷版としての機能が低下する。
(光重合開始剤)
重合開始剤は、光、又は熱によりラジカルを発生し、前述の付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を重合せしめるものである。本発明においては、平版印刷版材料の製造時に、(すなわち、親水性層塗剤を支持体上に塗工して)重合反応を進行せしめることが好ましい態様であり、重合開始剤としては、100℃前後の熱、又は400nm以下の紫外線で活性化されラジカルを発生する化合物が特に好ましい。
重合開始剤は、光、又は熱によりラジカルを発生し、前述の付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を重合せしめるものである。本発明においては、平版印刷版材料の製造時に、(すなわち、親水性層塗剤を支持体上に塗工して)重合反応を進行せしめることが好ましい態様であり、重合開始剤としては、100℃前後の熱、又は400nm以下の紫外線で活性化されラジカルを発生する化合物が特に好ましい。
重合開始剤は、1気圧の下、25℃の純水に対して0.1質量%以上の溶解性を有することが好ましく、1.0質量%以上の溶解性を有することがより好ましい。
具体例としては、下記一般式で表される光重合開始剤(以下、TX系と略称する)が挙げられ、本発明においては、これらの中から適宜に選択して使用することが特に好ましい。
上記一般式TX−1〜TX−3中、R2は−(CH2)x−(x=0または1)、−O−(CH2)y−(y=1または2)、置換若しくは未置換のフェニレン基を表す。またR2がフェニレン基の場合には、ベンゼン環中の水素原子の少なくとも1つが、例えば、カルボキシル基若しくはその塩、スルホン酸若しくはその塩、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、炭素数1〜4のアルコキシル基、フェノキシ基等のアリールオキシ基等から選ばれる1つまたは2つ以上の基や原子で置換されていてもよい。Mは、水素原子若しくはアルカリ金属(例えば、Li、Na、K等)を表す。更に、R3及びR4は各々独立に、水素原子、または置換若しくは未置換のアルキル基を表す。ここでアルキル基の例としては、例えば、炭素数1〜10程度、特には、炭素数1〜3程度の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また、これらのアルキル基の置換基の例としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、シュウ素原子等)、水酸基、アルコキシル基(炭素数1〜3程度)等が挙げられる。また、mは1〜10の整数を表す。
更に、本発明に係る重合開始剤は水溶性光重合開始剤と称されるグループのものを包含するものであり、該水溶性光重合開始剤としては、下記一般式からなる光重合開始剤 Irgacure2959(商品名:Ciba Specialty Chemicals製)の水溶性の誘導体(以下、IC系と略称する)を使用することができる。具体的には、下記式からなるIC−1〜IC−3を使用することができる。
上記したIC−1〜IC−3は、ノニオン性であるが、紫外線に対して感受し得る波長領域が、先に挙げたTX−1〜TX−3として示した光重合開始剤よりも短波長域にある。
重合開始剤の添加量は、一般に併用する付加重合可能な不飽和結合を有する化合物の添加量に依存するが、重合開始剤と付加重合可能な不飽和結合を有する化合物とのモル比が、1/1000〜1/10であることが好ましい。
本発明の平版印刷版材料の親水性層を形成するに用いる塗剤は、上述の付加重合可能な不飽和結合を有する化合物及び重合開始剤の他、親水性マトリクスを形成する素材、表面形状を制御するフィラー及びマット材、光熱変換材料、界面活性剤等、下記の素材で構成される。
なお、以下において、「平版印刷版材料の親水性層形成するに用いる塗剤」を対象として、各種含有する素材等の説明をするが、以下、対象を「親水性層」と略記する場合がある。
親水性層のマトリックスとしては金属酸化物が好ましく、更に好ましくは金属酸化物微粒子を挙げることができる。
例えばコロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物微粒子を含むゾルが挙げられ、金属酸化物微粒子の形態としては、球状、羽毛状その他のいずれの形態でもよく、平均粒径としては3〜100nmであることがこのましく、球形の場合、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。また、粒子表面に表面処理がなされていてもよい。
上記金属酸化物粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層の形成に適している。
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点が有り、良好な強度を得ることが出来る。
上記コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均1次粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含む事が好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
本発明に用いられるコロイダルシリカとは1次粒子径がnmのオーダーである球形シリカの水分散系の総称である。
本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは平均1次粒子径が10〜50nmの球形コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。
パールネックレス状(すなわち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスのような形状をしていることを意味する。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」を挙げることができ、また、これらにそれぞれ対応する酸性の製品としての「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」挙げることができる。
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、従って、ネックレス状コロイダルシリカは親水性層マトリックスの多孔質化材として好ましく使用できる。このなかでもアルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックス−PS−M」及び「スノーテックス−PS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均1次粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく3〜15nmであることが更に好ましい。又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性の物が地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均1次粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカ日産化学工業(株)製の「スノーテックス20(10〜20nm)」、「スノーテックス−30(10〜20nm)」、「スノーテックス−40(10〜20nm)」、「スノーテックス−N(10〜20nm)」、「スノーテックス−S(8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(4〜6nm)」が挙げられる。
平均1次粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
平均1次粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
本発明に係る親水性層のマトリックスの多孔質化材としては、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を用いることが出来る。多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカまたは多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることが出来る。
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法または乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることが出来る。乾式法では四塩化ケイ素を水素と酸素とともに燃焼し、シリカを析出することで得られる。
これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものがとくに好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は例えば特開平10−71764号に記載されている方法により製造される。即ちアルミニウムアルコキシドとケイ素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属アルコキシドを添加して3成分系以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。
細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷性能がやや不十分となる場合がある。
更に、多孔質化材としては、ゼオライトも使用できる。ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
(M1、M21/2)m(AlmSinO2(m+n))・xH2Oここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4N+(TMA)、Et4N+(TEA)、Pr4N+(TPA)、C7H15N2 +、C8H16N+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C8H18N2 2+等である。(なお、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を表す)又、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
本発明で使用するゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、又粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si12O48)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106O384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136O384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。
Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有させることで親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなる。又、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不充分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。
また、本発明の平版印刷版材料の親水性層のマトリクスとして、層状粘土鉱物粒子を含有させることができる。該層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
層状鉱物粒子の含有量としては、親水性層全体の0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを作製した後、塗布液に添加することが好ましい。
本発明において、性能をそこなわない程度に、以下の素材を本発明に係る親水性層に使用することができる。
先ず、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。すなわち、ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の、親水性層の塗剤(塗布液)全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
また、水溶性樹脂を含有してもよい。水溶性樹脂としては、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられるが、本発明に用いられる水溶性樹脂としては、多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、形成された親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
形成された親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜20μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層マトリクスに適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷適性を有する構造を得ることができ、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)はアルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
本発明で親水性層に添加された水溶性樹脂は、少なくともその一部が水溶性の状態のまま、水に溶出可能な状態で存在することが好ましい。水溶性の素材であっても、架橋剤等によって架橋し、水に不溶の状態になると、その親水性は低下して印刷適性を劣化させる懸念があるためである。
又、親水性層はさらにカチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加しても良い。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
また、本発明の親水性層の塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は、形成された親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、本発明の親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
また、後述する光熱変換素材を含有することもできる。光熱変換素材としては、粒子状素材の場合は粒径が1μm未満であることが好ましい。
本発明では平均粒径が1μm以上の無機粒子もしくは無機素材で被覆された粒子を親水性層の塗布液に含有することが好ましい。
被覆される粒子としては、多孔質、無孔質、有機樹脂粒子、無機微粒子を問わず用いても良く、無機フィラーとしてはシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、カーボンブラック、グラファイト、TiO2、BaSO4、ZnS、MgCO3、CaCO3、ZnO、CaO、WS2、MoS2、MgO、SnO2、Al2O3、α−Fe2O3、α−FeO(OH)、SiC、CeO2、BN、SiN、MoC、BC、WC、チタンカーバイド、コランダム、人造ダイアモンド、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト等、有機フィラーとしてはポリエチレン微粒子、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等を挙げることが出来る。
また、無機被覆フィラーとしては例えばPMMAやポリスチレン、メラミンといった有機粒子の芯材を芯材粒子よりも粒径の小さな無機粒子で被覆した粒子を挙げることができる。無機粒子の粒径としては芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
また、無機被覆フィラーとしては例えばPMMAやポリスチレン、メラミンといった有機粒子の芯材を芯材粒子よりも粒径の小さな無機粒子で被覆した粒子を挙げることができる。無機粒子の粒径としては芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
また、有機粒子の芯材を金属メッキした粒子も用いることができる。このような粒子としては、例えば、樹脂粒子に金メッキを施した積水化学工業社製の「ミクロパールAU」等が挙げられる。
本発明においては、特に塗布液中での沈降を抑制するためには多孔質シリカ粒子、多孔質アルミノシリケート粒子等の多孔質無機フィラー、多孔質無機被覆フィラーを用いるのがよい。
無機粒子もしくは無機素材で被覆された粒子の粒径は平均粒径が1〜12μmが好ましく、1.5〜8μmがより好ましく、2〜6μmがさらに好ましい。平均粒径が12μmを超えると、画像形成の解像度の低下や、ブランケット汚れの劣化が生じる懸念がある。
平均粒径が1μm以上の無機粒子もしくは無機素材で被覆された粒子の親水性層塗布液への添加量としては、親水性層全体の1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
親水性層全体としては、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、従って、親水性層の塗剤中には、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
また、本発明に係る親水性層は、1層でも、2層以上の複数の層から形成されたものでもよく、複数の層により親水性層が形成される構成が好ましい。この場合、1回の塗布にて形成しても、複数回に分けて塗布しても構わない。複数層により構成される場合、支持体から遠い側に設けられた親水性層の、付加重合可能な不飽和結合を有する化合物の含有量はその層に含有されるコロイダルシリカに対して、質量比で0.5〜50の範囲が好ましい。一方、当該支持体から遠い側に設けられた親水性層よりも支持体に近い側に設けられた親水性層の、付加重合可能な不飽和結合を有する化合物の含有量はその層に含有されるコロイダルシリカに対して、質量比で10〜100の範囲が好ましい。
本発明の形態として、形成された親水性層の支持体に近い側に下層を設けてもよい。
下層を設ける場合には、下層に用いる素材としては、親水性層と同様の素材を用いることができる。
ただし、下層は多孔質であることの利点が少なく、また、より無孔質である方が塗膜強度が向上するといった理由から、親水性マトリクスの多孔質化材の含有量は親水性層よりも少ないことが好ましく、含有しないことがより好ましい。
平均粒径が1μm以上の無機粒子もしくは無機素材で被覆された粒子の添加量としては、下層全体の1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
下層全体としても親水性層と同様に、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
本発明の親水性層、下層、および感熱画像形成層(単に、画像形成層ともいう)の少なくとも1層は下記の光熱変換素材を含有することで高感度を実現することができ、光熱変換素材を含有することは好ましい。
本発明に係る親水性層は、下記金属酸化物を光熱変換素材として含有することができる。
また、光熱変換素材として、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材も同様に使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄(Fe3O4)や、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
後者としては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn2O3(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al2O3・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの平均粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Ba、から選ばれる二種以上の金属からなる黒色複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
上記黒色複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−273393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの黒色複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの黒色複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は黒色複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
これらの黒色複合金属酸化物の添加量としては、親水性層全固形分に対して20質量%以上、40質量%未満であり、25質量%以上、39質量%未満がより好ましく、さらに好ましくは、25質量%以上、30質量%未満の範囲である。添加量が20質量%未満であると、十分な感度がでず、また40質量%以上であると、アブレートによるアブレーションカスが発生する傾向があり上記範囲が好ましい。
また本発明に係る親水性層、画像形成層には下記赤外吸収染料を光熱変換素材として含有することができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの赤外吸収染料の含有量としては、親水性層または画像形成層の、それぞれの全固形分に対して0.1質量%以上10質量%未満であり0.3質量%以上7質量%未満がより好ましく、さらに好ましくは0.5質量%以上6質量%未満の範囲である。含有量がこれを逸脱すると、上記同様に添加量が0.1質量%未満であると、十分な感度がでず、また10質量%以上であると、アブレートによるアブレーションカスが発生する傾向があり、従って、上記範囲が好ましい。
親水性層上には、熱溶融性化合物を微粒子状に分散した形態で含有する画像形成層を設けることが好ましい。
熱溶融性化合物とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材が好ましい。物性としては、融点が60℃〜100℃であることが好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が100℃よりも高い場合は印刷品質が低下する。
更に、熱溶融性化合物は常温では硬質であることが好ましく、JIS K2207に規格化されており25℃のおける針入度が5未満のものが好ましい。5以上になると、耐刷性、耐圧力カブリを低下させる。
使用可能な素材としては、カルナバワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。
これらの中でもカルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。特にカルナバワックスは、融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。
熱溶融性化合物を微粒子状に分散するには、該化合物に対して溶解性を持たない媒質中に公知の方法で分散して使用する。画像形成層を親水性層上に設けた後、融点を超えない温度で乾燥、熱処理を施すことで該化合物を微粒子状に保つことができる。
本発明に係る画像形成層は、上述の熱溶融性化合物以外に、機能を損なわない範囲で、公知の熱溶融性化合物粒子、熱可塑性化合物粒子、を含有することができる。
画像形成層にはさらに水溶性素材を含有することができる。水溶性素材を含有することにより、印刷機上で湿し水やインクを用いて未露光部の画像形成機能層を除去する際に、その除去性を向上させることができる。
水溶性素材としては、親水性層に含有可能な素材として挙げた水溶性樹脂を用いることもできる。本発明の画像形成機能層で使用できる水溶性樹脂は、親水性の天然高分子及び合成高分子から選ばれる。本発明に好ましく用いられる水溶性樹脂の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(好ましくは鹸化度70モル%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらを二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
画像形成層中の水溶性樹脂の含有量としては、画像形成層全体の1〜50質量%が好ましく、2〜10質量%がさらに好ましい。
本発明のひとつの態様として、印刷版材料の画像形成を熱により行うことができるが、特に赤外線レーザによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。より具体的には、赤外および/または近赤外領域で発光する、すなわち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザを使用した走査露光が好ましい。レーザとしてはガスレーザを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザを使用することが特に好ましい。
本発明の走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。一般的には、(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザビームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザビームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザビームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。本発明に関しては特に(3)の走査露光方式が好ましく、特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
本発明においては、取り扱い性及び保管時の物性変化防止のために、支持体の画像形成層を有する側とは反対側に少なくとも1層の裏塗り層(バックコーティング層)を有することが好ましい。裏塗り層としては、親水性結合剤を含有していることが好ましく、特に印刷版材料表面が疎水性であれば、特開2002−258469号公報の段落0033〜0038に記載されている水分散系樹脂(ポリマーラテックス)から得られたものでもよい。
親水性結合剤としては、親水性のものなら特に限定はされないが、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂(メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等)、キチン類、及びデンプン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルエーテル(PVE);アミド基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)及びポリビニルピロリドン(PVP)等を挙げることができる。又、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩及びゼラチン類;スルホン基を有するポリスチレンスルホン酸塩;アミノ基、イミノ基、第3アミン及び第4級アンモニウム塩を有するポリアリルアミン(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、エポキシ化ポリアミド(EPAm)、ポリビニルピリジン及びゼラチン類を挙げることができる。
疎水性結合剤は、結合剤として疎水性のものなら特に限定されないが、例えばα,β−エチレン性不飽和化合物に由来するポリマー、例えばポリ塩化ビニル、後−塩素化ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー、ポリ酢酸ビニル及び部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、出発材料としてポリビニルアルコールから作られ、繰り返しビニルアルコール単位の一部のみがアルデヒドと反応していることができるポリビニルアセタール、好ましくはポリビニルブチラール、アクリロニトリルとアクリルアミドのコポリマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン及びポリエチレン又はそれらの混合物等が挙げられる。
本発明においては、印刷機への取り付け易さ、及び、印刷中における印刷版の位置ズレによるカラー印刷での色ズレを防止するために、裏塗り層にはマット剤を含有することが好ましい。含有するマット剤は多孔質、無孔質、有機樹脂粒子、無機微粒子を問わず用いても良く、無機マット剤としてはシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、カーボンブラック、グラファイト、TiO2、BaSO4、ZnS、MgCO3、CaCO3、ZnO、CaO、WS2、MoS2、MgO、SnO2、Al2O3、α−Fe2O3、α−FeO(OH)、SiC、CeO2、BN、SiN、MoC、BC、WC、チタンカーバイド、コランダム、人造ダイアモンド、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト等、有機マット剤としてはポリエチレン微粒子、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等を挙げることが出来る。また無機被覆マット剤としてはたとえばPMMAやポリスチレン、メラミンといった有機粒子の芯剤を芯剤粒子よりも中継の小さな無機粒子で被覆した粒子が挙げられる。無機粒子の粒径としては芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
上記において、特にロール状に巻回された製品形態での場合、バックコーティング層のマット剤が、画像形成層へのキズを抑制するため、有機樹脂粒子を用いるのが好ましい。なお、マット剤の平均粒径は電子顕微鏡を用い、投影面積から円相当軽を算出して求められる。粒径は1〜12μmが好ましく、1.5〜8μmがより好ましく、2〜7μmがさらに好ましい。粒径が12μmを超えると、画像形成層へのキズが生じやすくなり、逆に1μmの粒子では、版胴上で版浮きが発生してしまう。
マット剤の添加量としては、バックコーティング層全体の0.2〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
さらに、レーザ記録装置あるいはプロセスレス印刷機には、装置内部において印刷版の搬送を制御するためのセンサーを有しており、これらの制御を滞りなく行うために、本発明において、構成層には、色素及び顔料を含有させることが好ましい。色素及び顔料としては、前述の光熱変換素材に用いられる赤外吸収色素及びカーボンブラック等の黒色顔料が好ましく用いられる。又、更に、該構成層には公知の界面活性剤を含有させることができる。
本発明に係る平版印刷版材料の支持体としては、プラスチックフィルムが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。中でも平版印刷版材料のハンドリング適性等から、ポリエステルのPETならびにPENが好ましく、特に好ましくはPETである。
PETはテレフタル酸とエチレングリコール、PENはナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールから構成されるが、これらを触媒の存在下で適当な反応条件下で結合させることによって重合できる。このとき、適当な1種、または2種以上の第3成分を混合しても良い。適当な第3成分としては、2価のエステル形成官能記を有する化合物であればよく、例えば、ジカルボン酸の例として次のようなものが挙げられる。
イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、グリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。
本発明のPET樹脂及びフィルムの固有粘度は0.5〜0.8であることが好ましい。また固有粘度の異なるものを混合して使用しても良い。
本発明のPETの合成方法は、特に限定があるわけではなく、従来公知のPETの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応触媒を用い、あるいは耐熱安定剤を添加することができる。熱安定剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、及びそれらのエステル化合物が挙げられる。また、合成時の各過程で着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させてもよい。
次に、上記支持体の製造方法について説明する。
未延伸シートを得る方法および縦方向に一軸延伸する方法は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法などにより冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群および/または赤外線ヒーターなどの加熱装置を介してポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、縦延伸する方法である。延伸倍率は、通常2.5倍〜6倍の範囲である。
この際、延伸温度を支持体の表裏で温度差を持たせることで巻きぐせをつきづらくすることができる。具体的には、縦延伸の加熱時に、赤外線ヒーター等の加熱手段を片面側に設けることで温度をコントロールすることができる。延伸時の温度差は、好ましく0℃〜40℃、より好ましくは0℃〜20℃である。温度差が40℃より大きくなると、均一に延伸できずにフィルムの平面性が劣化しやすくなり好ましくない。
次に、上記の様にして得られた縦方向に一軸延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tg+120℃の温度範囲内で、横延伸し、次いで熱固定する。横延伸倍率は通常3〜6倍であり、また、縦、横延伸倍率の比は、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整される。ついで熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、Tg+180℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。このとき、2つ以上の温度で熱固定されることが好ましい。このように2つ以上の温度で熱固定したフィルムは寸法安定性が向上し、印刷版材料用の支持体として有効である。
また、本発明の印刷版材料用支持体は寸法安定性の点で弛緩処理を行うことが好ましい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後に巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は、処理温度が80℃〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは、処理温度が100℃〜180℃である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1%〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。
また、上記の支持体中にはハンドリング性向上のため0.01μm〜10μmの微粒子を1ppm〜1000ppm添加することが好ましい。ここで、微粒子としては、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330、158号明細書等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号明細書等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号明細書等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等を用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号明細書等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号明細書や英国特許第981,198号明細書等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号公報等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートの様な有機微粒子を用いることができる。微粒子の形状は、定形、不定形どちらでもよい。
上記支持体は、平版印刷版材料に上記のハンドリング適性を付与する観点から、弾性率が300kg/mm2〜800kg/mm2であることが好ましく、より好ましくは400kg/mm2〜600kg/mm2である。ここで、弾性率とは、引張試験機を用い、JIS C2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、本発明では、前記ヤング率を弾性率と定義する。
さらに上記支持体は、本発明の平版印刷版材料が本発明の効果を奏し、また、前記印刷版材料を印刷機へ設置する際のハンドリング適性向上の観点から、平均膜厚が100μm〜500μmの範囲であり、且つ、厚み分布が5%以下であることが好ましい。特に好ましくは120μm〜300μmの範囲であり、厚み分布が2%以下である。支持体の厚み分布とは、厚みの最大値と最小値の差を平均厚みで割り百分率で表した値である。ここで、支持体の厚み分布の測定方法は、一辺が60cmの正方形に切り出した支持体を縦、横10cm間隔で碁盤目状に線を引き、この36点の厚みを測定し平均値と最大値、最小値を求める。
上記支持体は、巻ぐせカールを低減させるために、熱処理を施しても良い。熱処理の方法としては、印刷版材料の各構成層の塗布乾燥後にロール形態に巻き取った後やそのままの状態で熱処理をする方法と、塗布乾燥中に搬送ラインを使用して熱処理する方法がある。
ロール形態で熱処理する方法としては、特開昭51−16358号公報等に記載があるように、ポリエステル支持体を製膜後に、ガラス転移温度以下の温度範囲において、0.1〜1500時間の熱処理を行う方法がある。この場合、フィルム同志のブロッキングを防止する観点から、フィルムの縁や中央部に部分的に或いは全長に渡ってエンボス加工、端部を折り曲げる加工、部分的にフィルムの厚みを厚くする方法を施すことが好ましい。巻き芯の転写による変形を防止するために、フィルムが巻かれても撓みなどを起こさない強度を備え、かつ熱処理温度に耐える材質、構造であることが好ましい。
一方、搬送ラインを使用して熱処理する方法としては、特開平10−39448公報等に記載があるように、ガラス転移温度以上の温度〜ガラス転移温度に温度傾斜を付けたゾーンを搬送しながら熱処理することにより、巻癖低減ができる。時間は長い方が好ましいが、生産性、搬送性の観点から、CS(塗布速度):5m/min〜50m/minで搬送させながら熱処理することが好ましい。搬送張力は特に指定はないが、5kg/m〜60kg/mの張力が好ましい。上記以外のCSや搬送張力で熱処理をすると、巻きじわが発生したり支持体の表面性が悪くなり好ましくない。ライン搬送での熱処理においては、フィルムを平坦な状態に保持して搬送する方法、ピンやクリップによる搬送方法、エアー搬送方法、ロール搬送方法などが挙げられる。好ましくはエアー搬送、ロール搬送方法で、更に好ましくはロール搬送である。
上記支持体としては、プラスチックフィルム支持体が好ましく用いられるが、プラスチックフィルムと金属板(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムなど)やポリエチレンで被覆した紙などの材料(複合基材ともいう)を適宜貼り合わせた複合支持体を用いることもできる。これらの複合基材は、塗布層を形成する前に貼り合わせても良く、また、塗布層を形成した後に貼り合わせても良く、印刷機に取り付ける直前に貼り合わせても良い。
本発明においては、プラスチック支持体と親水性層間に下引層を設置することが好ましい。下引層の構成としては、2層構成が好ましく、プラスチック支持体側(下引下層)にはプラスチック支持体に接着性を考慮した素材を使用し、親水性層側には下引下層と親水性層との接着性を考慮した素材を使用することが好ましい。
下引下層で使用する素材としてはビニル系ポリマー、ポリエステル、スチレンージオレフィン等が挙げられ、特にビニル系ポリマー、ポリエステルが好ましく、これらの組み合わせまたは変性されていることが好ましい。
一方、下引上層で使用できる素材としては、親水性層との接着性を向上させる意味で、水溶性ポリマーを含有することが好ましく、特にゼラチン、ポリビニルアルコールユニットを主成分とする水性ポリマーが好ましい。これらは下引下層との接着性、親水性層との接着性を考慮する点で、下引下層で使用される素材と上記水溶性ポリマーを混合することが好ましい。
本発明では親水性層にビニルアルコールユニットを主成分として有する水性ポリマー(ポリビニルアルコール系ポリマー)を含有することが好ましいが、この場合、下引上層にもビニルアルコールユニットを主成分として有する水性ポリマーを含有することで、プラスチック支持体と親水性層間の接着性を向上させ、さらに機上現像性および耐刷性に優れた印刷版材料が得られる。
以下に下引層に使用できる各素材について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルとしては、多塩基酸又はそのエステルとポリオール又はそのエステルとを重縮合反応して得られる実質的に線状のポリエステルである。さらに水性で用いる場合、親水性基を有する成分、例えば、スルホン酸塩を有する成分、ジエチレングリコール成分、ポリアルキレンエーテルグリコール成分、ポリエーテルジカルボン酸成分等をポリエステル中に共重合成分として導入されたポリエステルをいう。親水性基を有する成分としては、スルホン酸塩を有するジカルボン酸(以下、ジカルボン酸を多塩基酸ともいう)を用いるのが好ましい。
ポリエステルとしては、多塩基酸又はそのエステルとポリオール又はそのエステルとを重縮合反応して得られる実質的に線状のポリエステルである。さらに水性で用いる場合、親水性基を有する成分、例えば、スルホン酸塩を有する成分、ジエチレングリコール成分、ポリアルキレンエーテルグリコール成分、ポリエーテルジカルボン酸成分等をポリエステル中に共重合成分として導入されたポリエステルをいう。親水性基を有する成分としては、スルホン酸塩を有するジカルボン酸(以下、ジカルボン酸を多塩基酸ともいう)を用いるのが好ましい。
ポリエステルの多塩基酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等を用いることができる。また、上記スルホン酸塩を有するジカルボン酸としては、スルホン酸アルカリ金属塩の基を有するものが特に好ましく、例えば、4−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸などのアルカリ金属塩を挙げることができるが、その中でも5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩が特に好ましい。これらのスルホン酸塩を有するジカルボン酸は、水溶性及び耐水性の点から全ジカルボン酸成分に対し5〜15モル%の範囲内、特に6〜10モル%の範囲内で用いることが好ましい。水性ポリエステルとしては、主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を有するものが好ましく、更に用いるテレフタル酸とイソフタル酸との割合は、モル比で30/70〜70/30であることがポリエステル支持体への塗布性及び水に対する溶解性の点で特に好ましい。また、これらテレフタル酸成分及びイソフタル酸成分を全ジカルボン酸成分に対し50〜80モル%含むことが好ましく、さらに共重合成分として脂環族ジカルボン酸を用いるのが好ましい。これら脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、4,4′−ビシクロヘキシルジカルボン酸を挙げることができる。更に、主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を用いた本発明の水性ポリエステルには、上記以外のジカルボン酸を共重合成分として用いることができる。これらジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖状脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分の30モル%以下の範囲内で用いることが好ましい。これら芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸が挙げられる。また、直鎖状脂肪族ジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分の15モル%以下の範囲内で用いることが好ましい。これら直鎖状脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が挙げられる。
また、ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを用いることができる。
水性ポリエステルのグリコール成分としてエチレングリコールを全グリコール成分の50モル%以上有するものを使用することが好ましい。
ポリエステルは、出発原料としてジカルボン酸又はそのエステル及びグリコール又はそのエステルを用いて合成することができる。合成には種々の方法を用いることができ、例えば、エステル交換法あるいは直接エステル化法でジカルボン酸とグリコールとの初期縮合物を形成し、これを溶融重合するという公知のポリエステルの製造法によって得ることができる。更に具体的に述べれば、例えば、ジカルボン酸のエステル、例えばジカルボン酸のジメチルエステルとグリコールとでエステル交換反応を行い、メタノールを留出せしめた後、徐々に減圧し、高真空下、重縮合を行う方法、ジカルボン酸とグリコールのエステル化反応を行い、生成した水を留出せしめた後、徐々に減圧し、高真空下、重縮合を行う方法、ジカルボン酸のエステルとグリコールとでエステル交換反応を行い、更に、ジカルボン酸を加えてエステル化反応を行った後、高真空下、重縮合を行う方法が挙げられる。エステル交換触媒及び重縮合触媒としては公知のものを使用することができ、エステル交換触媒としては、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛等を、重縮合触媒としては三酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、ジブチル錫オキシド、チタンテトラブトキシド等を用いることができる。しかし、重合方法、触媒等の種々条件は上述の例に限定されるものではない。
(ビニル系ポリマー)
ビニル系ポリマーとしては、アクリル系モノマー、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基又はその塩を含むモノマー等が挙げられる。また、アクリル系モノマー以外のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマー;ビニルイソシアネート;アリルイソシアネート;スチレン;ビニルトリスアルコキシシラン;アルキルマレイン酸モノエステル;アルキルフマール酸モノエステル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;アルキルイタコン酸モノエステル;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;塩化ビニル等が挙げられる。ビニル系単量体としては、塗膜強度の点からグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマーを用いることが好ましい。
ビニル系ポリマーとしては、アクリル系モノマー、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基又はその塩を含むモノマー等が挙げられる。また、アクリル系モノマー以外のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマー;ビニルイソシアネート;アリルイソシアネート;スチレン;ビニルトリスアルコキシシラン;アルキルマレイン酸モノエステル;アルキルフマール酸モノエステル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;アルキルイタコン酸モノエステル;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;塩化ビニル等が挙げられる。ビニル系単量体としては、塗膜強度の点からグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマーを用いることが好ましい。
ビニル系ポリマーは、ポリマーラテックスの形態であることが環境上好ましい。ポリマーラテックスは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水又は水溶性の分散媒中に分散したものにおいてポリマー成分を指す。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、或いはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。尚、本発明に係るポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。
ポリマーラテックスの分散粒子の平均粒径は1〜5万nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
ビニル系ポリマーラテックスとしては通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のポリマーラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。
ビニル系ポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロールする為に造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
(ビニルアルコールユニットを有するポリマー)
下引層用いられるビニルアルコールユニットを有するポリマーについて説明する。
下引層用いられるビニルアルコールユニットを有するポリマーについて説明する。
本発明においてビニルアルコールユニットを有するポリマーとしては、ポリビニルアルコール及びその誘導体、例えばエチレン共重合ポリビニルアルコール、部分ブチラール化して水に溶解したポリビニルアルコール変性物等が挙げられる。
ポリビニルアルコールとしては、重合度100以上、ケン化度60以上が好ましく、またその誘導体としては、ケン化前の酢酸ビニル系ポリマーの共重合成分として、エチレン、プロピレン等のビニル化合物、アクリル酸エステル類(例えば、t−ブチルアクリレート、フェニルアクリレート、2−ナフチルアクリレート等)、メタクリル酸エステル類(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、クレジルメタクリレート、4−クロロベンジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等)、アクリルアミド類(例えば、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド等)、スチレン類(例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル等)、ジビニルベンゼン、アクリルニトリル、メタアクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、塩化ビニリデン、フェニルビニルケトン等のモノマーユニットを持つポリマーを挙げることができる。これらの中で好ましくは、エチレン共重合ポリビニルアルコールである。本発明において、下引上層中に含まれるポリビニルアルコールユニットを含有するポリマーの割合は、下引上層の全バインダーの1〜50質量%、好ましくは5〜10質量%である。1質量%未満である効果小さく、好ましくない。また50質量%以上の場合、親水性が強くなり、高湿での耐刷性が劣化し、好ましくない。
(その他)
本発明の平版印刷版の下引層には、以下のような無機粒子を用いることができる。シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、チタニア、酸化スズ、酸化インジウム、タルクのような無機物が挙げられる。これらの微粒子の形状は特に制限がなく、針状でも、球形でも、板状でも破砕状でも用いることができる。好ましい大きさは0.1〜15μm、より好ましくは0.2〜10μm、さらに好ましくは0.3〜7μmである。粒子の添加量は片面1m2あたり0.1〜50mg、より好ましくは0.2〜30mg、さらに好ましくは0.3〜20mgである。
本発明の平版印刷版の下引層には、以下のような無機粒子を用いることができる。シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、チタニア、酸化スズ、酸化インジウム、タルクのような無機物が挙げられる。これらの微粒子の形状は特に制限がなく、針状でも、球形でも、板状でも破砕状でも用いることができる。好ましい大きさは0.1〜15μm、より好ましくは0.2〜10μm、さらに好ましくは0.3〜7μmである。粒子の添加量は片面1m2あたり0.1〜50mg、より好ましくは0.2〜30mg、さらに好ましくは0.3〜20mgである。
上記下引層は、透明性や塗布ムラ(干渉ムラ)の点から、0.05〜0.50μが好ましい。より好ましくは0.10〜0.30μである。0.05μ未満であると所望の接着性が得られず、機上現像性、見当ズレおよび耐刷性が劣化し、好ましくない。また0.50μ以上では干渉ムラが強く、商品価値上、好ましくない。
上記下引層は、支持体の製膜中、特に結晶配向化が完了する前のポリエステルフイルムの片面又は両面に塗布液を塗布することができるが、支持体の製膜後に、オンラインまたはオフラインにて、ポリエステルフイルムの片面又は両面に塗布液を塗布することが好ましい。
上記下引層の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばキスコート法、リバースコート法、ダイコート法、リバースキスコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤーバーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独または組み合わせて適用するとよい。
上記下引層に帯電防止層を設置することが好ましい。帯電防止層は、帯電防止剤とバインダーから構成されている。
帯電防止剤としては、金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V2O5等、あるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にバインダーとの混和性、導電性、透明性等の点から、SnO2(酸化スズ)が好ましい。異元素を含む例としてはSnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等を添加することができる。これらの異元素の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
上記酸化スズは、非晶性ゾルまたは結晶性粒子の形態が好ましい。水系塗布の場合は非晶性ゾルが好ましく、溶剤系塗布の場合は結晶性粒子の形態が好ましい。特に環境上、作業の取り扱い性の点で水系塗布の非晶性ゾルの形態が好ましい。
上記非晶性SnO2ゾルの製造方法に関しては、SnO2微粒子を適当な溶媒に分散して製造する方法、もしくは溶媒に可溶なSn化合物の溶媒中における分解反応から製造する方法等、いずれの方法でもよい。溶媒に可溶なSn化合物の溶媒中における分解反応から製造する方法に関して以下に述べる。溶媒に可溶なSn化合物とは、K2SnO3・3H2Oのようなオキソ陰イオンを含む化合物、SnCl4のような水溶性ハロゲン化物、R’2SnR2、R3SnX、R2SnX2の構造を有する例えば(CH3)3SnCl・(ピリジン)、(C4H9)2Sn(O2CC2H5)2など有機金属化合物、Sn(SO4)2・2H2O等のオキソ塩を挙げることができる。これらの溶媒に可溶なSn化合物を、溶媒に溶解後、加熱、加圧などの物理的方法、酸化、還元、加水分解などの化学的方法などにより、SnO2ゾルを製造するか、もしくは中間体を経由後、SnO2ゾルを製造する方法などである。例として、特公昭35−6616号に記載されたSnO2ゾルの製造方法を述べる。先ずSnCl4を100倍容量の蒸留水に溶解して、中間体としてSn(OH)4の沈澱をつくる。これにアンモニア水を加え微アルカリ性となし、ついでアンモニア臭の無くなるまで加温するとコロイド状SnO2ゾルが得られる。尚、例では、溶媒として水を用いたが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族有機溶媒、ベンゼン、ピリジンなどの芳香族有機溶媒などSn化合物に応じて様々な溶媒を用いることが可能であり、溶媒に関しては制限を加えないが、好ましくは、水、アルコール類の溶媒が選ばれる。
一方、結晶性粒子は、特開昭56−143430号公報、同60−258541号公報に詳細に記載されている。これら導電性金属酸化物微粒子の作製法としては、第一に金属酸化物微粒子を焼成により作製し、導電性を向上させるために異種原子の存在下で熱処理する方法、第二に焼成により金属酸化物微粒子作製時に異種原子を共存させる方法、第三に焼成時に酸素濃度を下げて酸素欠陥を導入する方法等の単独及び組み合わせが用いられる。
上記金属酸化物の一次粒子の平均粒径は、0.001〜0.5μm、特に0.001〜0.2μmが好ましい。本発明に用いられる金属酸化物の固型分付量は1m2当たり0.05〜2g、特に0.1〜1gが好ましい。また本発明における帯電防止層における金属酸化物の体積分率は、8〜40vol%、好ましくは10〜35vol%がよい。上記範囲は金属酸化物微粒子の色、形態、組成等により変化するが、透明性及び導電性の点から、上記範囲が最も好ましい。
一方、バインダーはポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、セルロースエステル及びゼラチン等が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
(支持体の作製)
(PET樹脂)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、0.5×9.8Paで重合を行い、固有粘度0.70のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を得た。
(支持体の作製)
(PET樹脂)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、0.5×9.8Paで重合を行い、固有粘度0.70のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を得た。
以上のようにして得られたPET樹脂を用いて、以下のようにして二軸延伸PETフィルムを作製した。
(二軸延伸PETフィルム)
PET樹脂をペレット化したものを150℃で8時間真空乾燥した後、285℃でTダイから層状に溶融押しだし、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、80℃で縦方向に3.3倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムに引き続き、テンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン90℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン100℃で総横延伸倍率3.3倍になるように延伸した。次いで、70℃2秒間、前熱処理し、さらに第一固定ゾーン150℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン220℃で15秒間熱固定した。次いで160℃で横(幅手)方向に5%弛緩処理し、テンターを出た後に、室温まで60秒かけて冷却し、フィルムをクリップから解放、スリットし、それぞれ巻き取り、厚さ175μの二軸延伸PETフィルムを得た。この二軸延伸PETフィルムのTgは79℃であった。なお、得られた支持体の厚み分布は2%であった。
PET樹脂をペレット化したものを150℃で8時間真空乾燥した後、285℃でTダイから層状に溶融押しだし、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、80℃で縦方向に3.3倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムに引き続き、テンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン90℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン100℃で総横延伸倍率3.3倍になるように延伸した。次いで、70℃2秒間、前熱処理し、さらに第一固定ゾーン150℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン220℃で15秒間熱固定した。次いで160℃で横(幅手)方向に5%弛緩処理し、テンターを出た後に、室温まで60秒かけて冷却し、フィルムをクリップから解放、スリットし、それぞれ巻き取り、厚さ175μの二軸延伸PETフィルムを得た。この二軸延伸PETフィルムのTgは79℃であった。なお、得られた支持体の厚み分布は2%であった。
二軸延伸PETフィルムの画像形成機能層上に表面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、下引塗布液a−1を乾燥膜厚が0.8μmとなるよう塗布し、123℃で乾燥し、親水性側に下引層A−1を設けた。
又、反対側の面、表面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、裏塗り層下引層として、下引塗布液b−1を乾燥膜厚が0.1μmとなるよう23℃で塗布し、123℃で乾燥し、帯電防止機能を持つ下引層B−1を設けた。
この後、下引層A−1、B−1の上表面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、下引層A−1の上には下引塗布液a−2を乾燥膜厚が0.1μmとなるよう塗布し、123℃で乾燥して下引層A−2を設け、又、下引層B−1の上には下引塗布液b−2を乾燥膜厚が0.2μmとなるよう塗布し、123℃で乾燥して下引層B−2を設け、更に140℃で2分間熱処理し、下引層形成済みの試料を得た。
(下引塗布液a−1)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃)固形分濃度30質量% 250g
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス(Tg=20℃)固形分濃度30質量% 25g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 30g
水で1kgに仕上げた。
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃)固形分濃度30質量% 250g
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス(Tg=20℃)固形分濃度30質量% 25g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 30g
水で1kgに仕上げた。
(下引塗布液b−1)
金属酸化物F−1(SnO2ゾル、8.3質量% ※) 109.5g
スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシメタクリレート=27/45/28の3元系共重合ラテックス(Tg=45℃)固形分濃度30質量% 3.8g
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス(Tg=20℃)固形分濃度30質量% 15g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 25g
以上に蒸留水を加えて1kgとした。
※:(金属酸化物F−1(コロイド状酸化錫分散液)の調製)
塩化第2錫水和物65gを、水/エタノール混合溶液2000mlに溶解して均一溶液を調製した。次いで、これを煮沸し、共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテーションにより取り出し、蒸溜水にて数回水洗した。沈殿物を洗浄した蒸溜水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸溜水を添加し、全量を2000mlとする。更に、30%アンモニア水を40ml添加し、水溶液を加温して、容量が470mlになるまで濃縮し、後、水300を添加してコロイド状酸化錫分散液を調製した。
金属酸化物F−1(SnO2ゾル、8.3質量% ※) 109.5g
スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシメタクリレート=27/45/28の3元系共重合ラテックス(Tg=45℃)固形分濃度30質量% 3.8g
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス(Tg=20℃)固形分濃度30質量% 15g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 25g
以上に蒸留水を加えて1kgとした。
※:(金属酸化物F−1(コロイド状酸化錫分散液)の調製)
塩化第2錫水和物65gを、水/エタノール混合溶液2000mlに溶解して均一溶液を調製した。次いで、これを煮沸し、共沈殿物を得た。生成した沈殿物をデカンテーションにより取り出し、蒸溜水にて数回水洗した。沈殿物を洗浄した蒸溜水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈殿物に蒸溜水を添加し、全量を2000mlとする。更に、30%アンモニア水を40ml添加し、水溶液を加温して、容量が470mlになるまで濃縮し、後、水300を添加してコロイド状酸化錫分散液を調製した。
(下引塗布液a−2)
変性水性ポリエステルL−4溶液(23質量%) 31g
クラレ製エクセバール(ポリビニルアルコールとエチレンの共重合体)RS−2117の5質量%水溶液 58g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 6g
硬膜剤H−1(0.5質量%) 100g
真球状シリカマット剤(日本触媒社のシーホスターKE−P50)2質量%分散液
10g
以上に蒸留水を加えて1000mlとした。
変性水性ポリエステルL−4溶液(23質量%) 31g
クラレ製エクセバール(ポリビニルアルコールとエチレンの共重合体)RS−2117の5質量%水溶液 58g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 6g
硬膜剤H−1(0.5質量%) 100g
真球状シリカマット剤(日本触媒社のシーホスターKE−P50)2質量%分散液
10g
以上に蒸留水を加えて1000mlとした。
(下引塗布液b−2)
変性水性ポリエステルL−3溶液(18質量%) 150g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 6g
真球状シリカマット剤(日本触媒社のシーホスターKE−P50)2質量%分散液
10g
以上に蒸留水を加えて1000mlとした。
変性水性ポリエステルL−3溶液(18質量%) 150g
アニオン系界面活性剤S−1(2質量%) 6g
真球状シリカマット剤(日本触媒社のシーホスターKE−P50)2質量%分散液
10g
以上に蒸留水を加えて1000mlとした。
(水性ポリエステルA−1溶液の調製)
テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.04質量部、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度でほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し、最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルA−1を作製した。得られた水性ポリエステルA−1の固有粘度は0.33であった。
テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.04質量部、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度でほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し、最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルA−1を作製した。得られた水性ポリエステルA−1の固有粘度は0.33であった。
次いで、攪拌翼、還流冷却管、温度計を伏した2Lの三口フラスコに、純水850mlを入れ、攪拌翼を回転させながら水性ポリエステルA−1を150g徐々に添加した。室温でこのまま30分間攪拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるよう加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置し、15質量%の水性ポリエステルA−1溶液を調製した。
(変性水性ポリエステルL−3溶液の調製)
攪拌翼、還流冷却管、温度計、滴下ロートを伏した3Lの四口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら内温が80℃になるよう加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24質量%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(アクリル酸エチル35.7g、メタクリル酸メチル35.7g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。この後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルL−3溶液を調製した。
攪拌翼、還流冷却管、温度計、滴下ロートを伏した3Lの四口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら内温が80℃になるよう加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24質量%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(アクリル酸エチル35.7g、メタクリル酸メチル35.7g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。この後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルL−3溶液を調製した。
(水性ポリエステル溶液の調製)
テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。
テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。
その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルを作製した。得られた水性ポリエステル固有粘度は0.33(100ml/g)であった。また、Mw=80,000〜100,000であった。
次いで、撹拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの3つ口フラスコに、純水850mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、水性ポリエステルを150g徐々に添加した。室温でこのまま30分間撹拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の水性ポリエステル溶液を調製した。
(変性水性ポリエステルL−4溶液の調製)
撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24質量%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、さらに3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−1溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。またビニル系成分変性比率5質量%にしたものを変性水性ポリエステルL被覆−4溶液とした。
撹拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの4つ口フラスコに、前記15質量%の水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、撹拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24質量%水溶液を6.52ml加え、モノマー混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、さらに3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−1溶液(ビニル系成分変性比率20質量%)を調製した。またビニル系成分変性比率5質量%にしたものを変性水性ポリエステルL被覆−4溶液とした。
(裏塗り(バックコーティング)層の調液)
下記表1の組成物をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過してバックコーティング層塗布液を作製した。
下記表1の組成物をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過してバックコーティング層塗布液を作製した。
(バックコーティング層の塗布)
バックコーティング層の塗布液を上記支持体下引き面B側にワイヤーバー#6を用いて下引き済みサンプルに塗布し15mの長さの120℃に設定押された乾燥ゾーンを搬送スピード50m/分の速度で通過させた。バックコーティング層の付量は1.8g/m2であった。
バックコーティング層の塗布液を上記支持体下引き面B側にワイヤーバー#6を用いて下引き済みサンプルに塗布し15mの長さの120℃に設定押された乾燥ゾーンを搬送スピード50m/分の速度で通過させた。バックコーティング層の付量は1.8g/m2であった。
(下層親水性層塗布液の調液)
下記表2に記載の組成物をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して下層親水性層塗布液(水性液)A、B、C、Dを作製した。
下記表2に記載の組成物をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して下層親水性層塗布液(水性液)A、B、C、Dを作製した。
(上層親水性層塗布液の調液)
下記表3に記載の組成物をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して上層親水性層塗布液A′、B′、C′、D′を作製した。
下記表3に記載の組成物をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して上層親水性層塗布液A′、B′、C′、D′を作製した。
(下層、上層親水性層の塗布)
それぞれの下層親水性層塗布液A、B、C、Dを、表5記載にようになるように、上記バックコート層を塗布済みの支持体の裏面(下引き塗布面A)にワイヤーバー#5を用いて塗布し15mの長さの120℃に設定押された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。引き続き上層親水層塗布液A′、B′、C′、D′を、表5記載にようになるように、ワイヤーバー#3を用いて塗布し30mの長さの120℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。各乾燥ゾーンの出口に設けた主波長365nmのUV照射装置から200mW/cm2の強度で紫外線を親水性層塗膜に照射し、親水性層中の付加重合可能な化合物を重合硬化した。下層、親水性層それぞれの付量は3.0g/m2、0.55g/m2であった。塗布後のサンプルは60℃で48時間の熱処理を行なった。
それぞれの下層親水性層塗布液A、B、C、Dを、表5記載にようになるように、上記バックコート層を塗布済みの支持体の裏面(下引き塗布面A)にワイヤーバー#5を用いて塗布し15mの長さの120℃に設定押された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。引き続き上層親水層塗布液A′、B′、C′、D′を、表5記載にようになるように、ワイヤーバー#3を用いて塗布し30mの長さの120℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード15m/分の速度で通過させた。各乾燥ゾーンの出口に設けた主波長365nmのUV照射装置から200mW/cm2の強度で紫外線を親水性層塗膜に照射し、親水性層中の付加重合可能な化合物を重合硬化した。下層、親水性層それぞれの付量は3.0g/m2、0.55g/m2であった。塗布後のサンプルは60℃で48時間の熱処理を行なった。
(画像形成層の調液及び塗工)
下記表4記載の組成になるよう、画像形成層塗工液(水性液)を調製し(塗工液の固形分濃度は10質量%)、上記で作製した上層親水性層の上にワイヤーバー#5を用いて塗布し、30mの長さの70℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード50m/分の速度で通過させ、画像形成層を形成して、表5に記載のように平版印刷版材料1〜16を作製した。尚、画像形成層の付量は0.5g/m2であった。塗布後のサンプルは50℃で24時間の熱処理を行った。
下記表4記載の組成になるよう、画像形成層塗工液(水性液)を調製し(塗工液の固形分濃度は10質量%)、上記で作製した上層親水性層の上にワイヤーバー#5を用いて塗布し、30mの長さの70℃に設定された乾燥ゾーンを搬送スピード50m/分の速度で通過させ、画像形成層を形成して、表5に記載のように平版印刷版材料1〜16を作製した。尚、画像形成層の付量は0.5g/m2であった。塗布後のサンプルは50℃で24時間の熱処理を行った。
次に、作製した平版印刷版材料を730mm幅に断裁し、外径76mmの紙コアに30m巻回し、ロール状平版印刷版材料1〜16を得た。得られた平版印刷版材料を以下のように評価した。
《評価方法》
(画像形成)
画像形成は、半導体レーザ光源を搭載したプレートセッター(SS−830:コニカミノルタエムジー(株)製)を使用し、175線相当の各種網点画像を露光した。
(画像形成)
画像形成は、半導体レーザ光源を搭載したプレートセッター(SS−830:コニカミノルタエムジー(株)製)を使用し、175線相当の各種網点画像を露光した。
(印刷)
印刷機として三菱重工工業(株)製DAIYAF−1を用い、ミューコート紙に湿し水としてアストロマーク3(日研化学研究所社製)2質量%、及びインクとしてトーヨーTK ハイユニティーM紅(東洋インキ社製)を用いて、印刷を行った。印刷は裏面印刷で行い、表印刷時にはパウダー(商品名:ニッカリコM(ニッカ(株)製))を使用し、印刷装置のパウダー目盛10で表印刷を行った。
印刷機として三菱重工工業(株)製DAIYAF−1を用い、ミューコート紙に湿し水としてアストロマーク3(日研化学研究所社製)2質量%、及びインクとしてトーヨーTK ハイユニティーM紅(東洋インキ社製)を用いて、印刷を行った。印刷は裏面印刷で行い、表印刷時にはパウダー(商品名:ニッカリコM(ニッカ(株)製))を使用し、印刷装置のパウダー目盛10で表印刷を行った。
この印刷物を観察して以下の印刷版材料の特性評価を行った。
(機上現像性評価)
刷り出し時、良好なS/N比(非画像部に地汚れが無く、すなわち、画像形成層の非画像部が印刷機上で除去され、かつ、画像部の濃度が適正範囲となっている)を有した印刷物が得られるまでの印刷枚数(損紙の枚数)を評価した。損紙の枚数が少ないほど優れている。40枚以上では実用上問題がある。
刷り出し時、良好なS/N比(非画像部に地汚れが無く、すなわち、画像形成層の非画像部が印刷機上で除去され、かつ、画像部の濃度が適正範囲となっている)を有した印刷物が得られるまでの印刷枚数(損紙の枚数)を評価した。損紙の枚数が少ないほど優れている。40枚以上では実用上問題がある。
(耐刷性評価)
画像の3%の小点の欠落、または、ベタ部の濃度低下のいずれかが確認された段階で耐刷終点とし、その枚数を求めた。
画像の3%の小点の欠落、または、ベタ部の濃度低下のいずれかが確認された段階で耐刷終点とし、その枚数を求めた。
(耐圧力カブリ性評価)
露光前の印刷版表面を、荷重200gかけた0.5mmφのサファイア針でこすり、印刷20枚目の現像後の非画像部のインキの付着度合いを下記評価基準(ランク)で評価した。○:インキが付着してない△:少しインキが付着している×:インキが付着している。
露光前の印刷版表面を、荷重200gかけた0.5mmφのサファイア針でこすり、印刷20枚目の現像後の非画像部のインキの付着度合いを下記評価基準(ランク)で評価した。○:インキが付着してない△:少しインキが付着している×:インキが付着している。
結果を併せて表5に示す。
表5から、明らかなように発明の場合に、機上現像性、耐刷性、耐圧力カブリ性、に優れた平版印刷版材料、該平版印刷版材料の製造方法、及び該平版印刷版材料を用いた印刷方法を提供できることがわかる。
Claims (5)
- 支持体上に親水性層と感熱画像形成層を積層して有する機上現像型平版印刷版材料において、該親水性層が付加重合可能な不飽和結合を有する化合物及び重合開始剤を含有する塗剤を支持体上に塗工後、該付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を重合させて形成されたものであることを特徴とする平版印刷版材料。
- 前記付加重合可能な不飽和結合を有する化合物及び重合開始剤が、それぞれ水に1質量%以上の溶解性を有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の平版印刷版材料。
- 支持体上に親水性層と感熱画像形成層を積層して有する機上現像型平版印刷版材料の製造方法において、該親水性層を、付加重合可能な不飽和結合を有する化合物及び重合開始剤を含有する塗剤を支持体上に塗工後、該付加重合可能な不飽和結合を有する化合物を熱又は光により重合させて形成することを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
- 前記付加重合可能な不飽和結合を有する化合物及び重合開始剤が、それぞれ水に1質量%以上の溶解性を有することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の平版印刷版材料の製造方法。
- 請求の範囲第1項または第2項に記載の平版印刷版材料にサーマルヘッドまたはサーマルレーザを用いて画像を形成した後に、平版印刷機上で湿し水または湿し水と印刷インキにより現像を行い、印刷することを特徴とする印刷方法。
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