JPWO2006090814A1 - 光学活性2級アルコールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、医薬品中間体として有用な光学活性2級アルコール、中でも光学活性1,2−ジオール及び光学活性2−アルカノールをそのエナンチオマー混合物から簡便に製造できる方法を提供する。2級アルコールの一方のエナンチオマーを選択的に酸化する能力を有する酸化酵素源を、上記と逆のエナンチオマー選択的にケトン誘導体を還元する能力を有する還元酵素源存在下に、2級アルコールのエナンチオマー混合物に作用させ、理論収率100%にてそのエナンチオマー混合物を実質的に単一なエナンチオマーに変換することにより、光学活性2級アルコールを製造する。

Description

本発明は、医薬品中間体として有用な光学活性ジオールを含めた光学活性2級アルコールをそのエナンチオマー混合物から製造する方法に関する。
従来、光学活性ジオールを含めた光学活性2級アルコールをそのエナンチオマー混合物から製造する方法としては、以下の様な方法が知られている。
1)微生物を用いて、ラセミの3−クロロ−1,2−プロパンジオールの一方の異性体を分解させることにより、残存する光学活性3−クロロ−1,2−プロパンジオールを取得する方法。(特許文献1)。
2)ラセミ体の1,2−ペンタンジオールにキャンディダ・パラプシロシスの菌体を作用させ、50%を超える収率で(S)−1,2−ペンタンジオールを生産する方法(非特許文献1、2)。
3)キャンディダ・パラプシロシス由来の2級アルコール脱水素酵素を生産する大腸菌を用いて、ラセミの1、3−ブタンジオールのS体を4−ヒドロキシ−2−ブタノンに酸化させた後、前記菌体を除去する。その後、クライベロマイセス・ラクティス由来の(R)−2,3−ブタンジオール脱水素酵素を生産する大腸菌を上記反応物に加えて、反応物中の4−ヒドロキシ−2−ブタノンをR体に還元することにより、(R)−1,3−ブタンジオールを製造する方法(特許文献2)。
しかしながら、1)の方法では、収率は最大でも50%にとどまる。また、適用できるアルコールの種類も制限される。2)の方法は、収率が50%を超えることから、エナンチオマーの反転が起きていると推測されている。しかしながら、非特許文献1では、反応に関与する酸化酵素及び還元酵素の詳細は明らかにされておらず、非特許文献2においては、反応に関わる酵素について一部推定がなされているが、いずれの方法も1つの微生物の菌体内でアルコールのケトンへの酸化と、ケトンの逆の立体配置を有するアルコールへの還元が行われることから、酸化酵素と還元酵素の組合せが固定され、この方法を適用できるアルコールの種類が制限される。更に、酸化反応及び/又は還元反応に補酵素再生系を組み合わせて効率的に反応を行うことができない為、生産性も十分ではない。3)の方法は、理論収率は100%であるが、還元反応を行う前に酸化反応に利用した菌体を除去する必要がある為、工程が煩雑となる。更に、一旦ケトン化合物が蓄積されることにより、a)酸化反応が生成物阻害を受ける、b)還元反応が基質阻害をうける、c)酸化酵素及び/又は還元酵素が失活する、d)ケトンが不安定な場合には、ケトンの分解により収率が低下する等の問題も生じる。
この様に、いずれの方法においも収率が低い、生産性が低い、工程が煩雑である等、工業的製法としては改善すべき課題を有している。
特開昭63−251098 特開2002−345479 Agric. Biol. Chem., 54(7), 1819-1827, 1990 Organic Process Research & Development, 8(2), 246-251 (2004)
上記に鑑み、本発明の目的は、医薬品の中間体として有用な光学活性アルコールをそのエナンチオマー混合物から簡便かつ高収率で製造する方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題につき鋭意検討を行った結果、特定の性質を有する酸化酵素源及び還元酵素源を併用することにより、2級アルコールのエナンチオマー混合物を、理論収率100%で且つ簡便に、実質的に単一なエナンチオマーに変換する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の概要を以下のスキームに示す。
Figure 2006090814
本発明は、スキーム1に示すように、2級アルコールのエナンチオマー混合物の一方のエナンチオマーを選択的に酸化する能力を有する酸化酵素源と、上記酸化酵素源とは逆のエナンチオ選択性を有し、酸化反応によって生成するケトン化合物を光学活性2級アルコールへと還元する能力を有する還元酵素源の共存下に、2級アルコールのエナンチオマー混合物を理論収率100%にて実質的に単一なエナンチオマーに変換、即ちデラセミ化することにより、光学活性アルコールを製造する方法である。
前記特許文献2のように、酸化反応と還元反応を2段階に分けて実施する方法は知られているが、本発明の方法は、それとは異なり、酸化酵素源と還元酵素源の共存下に実施する、すなわち、酸化反応と還元反応を同時に行うことを特徴とする。
ここで、単純に酸化酵素源と還元酵素源を共存させるだけでは、本発明のデラセミ化は達成できないことに注意すべきである。本発明における上記酸化、または還元反応を行う酵素(酸化酵素源、還元酵素源)としてはE.C.1.1.1に分類されるデヒドロゲナーゼなどの酸化還元酵素(Oxidoreductases)が使用されるが、これらの酵素はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+(NADH))やニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+(NADPH))などの補酵素を要求し、一般に可逆的に反応を触媒する(酸化反応も還元反応も触媒する)。従って、効率よくデラセミ化を行うために、前記スキーム1において、左から右へと反応が順調に進む条件を設定する必要がある。
通常、これらデヒドロゲナーゼを使用して酸化反応を行う場合、使用する補酵素は酸化型(NAD+またはNADP+)が還元型(NADHまたはNADPH)に対し過剰に存在する事が望ましく、一方で還元反応を行う場合、補酵素は還元型が酸化型に対し過剰に存在することが望ましい。しかし、スキーム1に示すデラセミ化反応において、酸化酵素と還元酵素補酵素に対する特異性が同一である場合には、両酵素が使用しうる補酵素の酸化型と還元型が反応系に相当量存在するため、目的とする反応(酸化及び還元反応)の逆反応も同時に進行し、その結果、デラセミ化反応は効率的に進行しない。
そこで、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、補酵素に対する特異性が異なる酸化酵素源と還元酵素源を組み合わせて用いることにより、デラセミ化反応が効率的に進行することを見出し、本発明を完成するに至った。ここで、「補酵素に対する特異性が異なる」とは、酸化酵素源がNAD+に特異的な場合には還元酵素源がNADPHに特異的であるか、または、酸化酵素源がNADP+に特異的である場合には、還元酵素源がNADHに特異的であることを意味する。
即ち、本発明は、2級アルコールのエナンチオマー混合物を、実質的に単一なエナンチオマーからなる光学活性2級アルコールに変換する光学活性2級アルコールの製造方法であって、下記(1)の性質を有する酸化酵素源と下記(2)の性質を有する還元酵素源の共存下に、上記変換反応を行うことを特徴とする製造方法である:
(1)酸化酵素源は、酸化型補酵素NAD+又はNADP+のうち一方に特異性を示し、且つ、2級アルコールのS体又はR体のうち一方のエナンチオマーを選択的に酸化して、対応するケトン化合物を生成する活性を有する、
(2)還元酵素源は、還元型補酵素NADPH又はNADHの一方に特異性を示し(ここで、酸化酵素源がNAD+に特異的な場合は、還元酵素源はNADPHに特異的であり、酸化酵素源がNADP+に特異的な場合には、還元酵素源はNADHに特異的である)、かつ、酸化酵素源とは逆のエナンチオ選択性を有し、前記ケトン化合物を還元してS体(又はR体)の2級アルコールを生成する活性を有する。
かくして、本発明の製造法においては、酸化反応と還元反応を同時に行うことが可能であり、還元反応の開始前に酸化酵素を除去する必要が無く、工程が簡略化される。また、生成したケトン化合物は速やかに還元されるため、前述したような、ケトンの蓄積に起因する種々の問題を回避して、極めて効率よく光学活性2級アルコールを製造することができる。
本発明の方法によれば、医薬品中間体として有用な光学活性ジオールを含めた光学活性アルコールを、そのエナンチオマー混合物、とりわけ安価なラセミ体から簡便且つ高収率で製造することができる。
組換えベクターpNTNXの作成方法を示す図である。 オクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.) KNKc71−3由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子が組み込まれた組換えベクターpTSOBの制限酵素地図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、前述のごとく、2級アルコールのエナンチオマー混合物を、実質的に単一なエナンチオマーからなる光学活性2級アルコールに変換する光学活性2級アルコールの製造方法であって、下記(1)の性質を有する酸化酵素源と下記(2)の性質を有する還元酵素源の共存下に、上記変換反応を行うことを特徴とする製造方法である:
(1)酸化酵素源は、酸化型補酵素NAD+又はNADP+のうち一方に特異性を示し、且つ、2級アルコールのS体又はR体のうち一方のエナンチオマーを選択的に酸化して、対応するケトン化合物を生成する活性を有する、
(2)還元酵素源は、還元型補酵素NADPH又はNADHの一方に特異性を示し(ここで、酸化酵素源がNAD+に特異的な場合は、還元酵素源はNADPHに特異的であり、酸化酵素源がNADP+に特異的な場合には、還元酵素源はNADHに特異的である)、かつ、酸化酵素源とは逆のエナンチオ選択性を有し、前記ケトン化合物を還元してS体(又はR体)の2級アルコールを生成する活性を有する。
本発明の本質は、いかなる2級アルコールに対しても、そのエナンチオマー混合物から、理論収率100%で実質的に単一なエナンチオマーからなる光学活性2級アルコールを生成しうる反応システム(デラセミ化反応システム)である。したがって、本発明は、製造する2級アルコールの種類、更には酸化及び還元反応に使用する酵素源の由来並びに形態によって、なんら限定されるものでない。
本発明において、「2級アルコールのエナンチオマー混合物」とは、その光学純度が、目的とする用途において要求される水準に満たない2級アルコール全般を意味する。ラセミ体は言うまでもなく、例えば、90%e.e.の(R)体が要求される場合には、高光学純度の(S)体も含め、(R)体が90%e.e.に満たない2級アルコールは、全て本発明の範疇に含まれる。通常は、ラセミ体が安価で入手容易であることから、ラセミ体を用いる場合に、本発明の効果が最大限に発揮される。
本発明において、「実質的に単一なエナンチオマーからなる光学活性2級アルコール」とは、その光学純度が目的とする用途において要求される水準を満足する2級アルコールを意味し、必ずしも光学純度が100%e.e.である必要はない。例えば、医薬中間体では、目的とするエナンチオマーの光学純度が90%e.e.以上、好ましくは95%e.e.以上、より好ましくは98%e.e.以上が目安であるが、以降の工程における光学純度向上の可否などの要因によって、要求される水準が変動することは言うまでもない。
本発明において、「還元酵素源は、酸化酵素源とは逆のエナンチオ選択性を有する」とは、酸化酵素源が2級アルコールのR体を選択的に酸化してケトン化合物を生成する場合に、還元酵素源は、当該ケトン化合物を還元してS体の2級アルコールを選択的に生成するか、または、酸化酵素源が2級アルコールのS体を選択的に酸化してケトン化合物を生成する場合に、還元酵素源は、当該ケトン化合物を還元してR体の2級アルコールを選択的に生成することを意味する。
本発明におけるエナンチオ選択的な酸化反応及び還元反応を行う酵素は、前述の通り、E.C.1.1.1に分類されるデヒドロゲナーゼなどの酸化還元酵素である。本発明では、これらの酵素を、酸化反応に使用する場合には「酸化酵素(酸化酵素源)」と、また還元反応に使用する場合には「還元酵素(還元酵素源)」と表現する。
本発明において、「酸化酵素がNAD+(又はNADP+)に特異的である」とは、NAD+(又はNADP+)を補酵素とした場合に、他方を補酵素とした場合よりも高い活性を示す(特異性を示す)ことを意味する。特異性を示す補酵素を用いた際の活性と他方の補酵素を用いた際の活性の比率は、通常100/50以上、好ましくは100/10以上、さらに好ましくは100/2以上である。
本発明において、「還元酵素がNADPH(又はNADH)に特異的である」とは、上記と同様の意味を表し、特異性を示す補酵素を用いた際の活性と他方の補酵素を用いた際の活性の比率も、上記と同様である。
本発明のデラセミ化反応は、適当な溶媒中に基質である2級アルコールのエナンチオマー混合物、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+(NADH))、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+(NADPH))、上記酸化酵素源、および還元酵素源を添加し、pH調整下攪拌することにより行うことができるが、補酵素の再生系を組み合わせて反応を行うのが好ましい。
通常、デヒドロゲナーゼによる酸化反応及び還元反応には、それぞれ化学量論量の酸化型補酵素及び還元型補酵素を必要とするが、酸化型補酵素NAD+(又はNADP+)の再生系、及び/又は、還元型補酵素NADPH(又はNADH)の再生系を組み合せることにより、高価な補酵素の使用量を大幅に減少させることが可能である。従って、上記デラセミ化反応を構成する酸化反応、及び/又は還元反応に補酵素再生系を組み合わせるのが好ましく、酸化反応及び還元反応の両方にそれぞれの補酵素再生系を組み合わせるのがより好ましい。
補酵素の再生系としては、まず、微生物菌体、例えば上記酸化酵素を生産する微生物細胞内の補酵素再生能を利用する方法を挙げることができる。酸化型補酵素の再生に、微生物菌体、例えば酸化酵素を生産する組換え大腸菌細胞内の補酵素再生能を利用する場合、アルコールの酸化反応及び酸化型補酵素再生系が細胞膜により外界と分離されているため、還元型補酵素再生系の酵素の補酵素特異性が低い若しくはない場合でも、先に述べたような酸化型補酵素の再生系と還元型補酵素再生系の共役による不具合が生じにくいなどの利点を有する。
また、補酵素の再生系としては、デラセミ化反応の酸化酵素及び還元酵素とは別の、酸化型補酵素及び/又は還元型補酵素を再生する酵素を利用する方法が挙げられる。この場合、酸化型補酵素を再生する反応と還元型補酵素を再生する反応とが補酵素を中間体として共役すると、目的とする補酵素の再生が効率的に進行しない。したがって、補酵素再生系に使用する酵素は、それぞれの補酵素に対して高い特異性を示すことが好ましい。即ち、酸化酵素がNAD+特異的である場合には、酸化型補酵素再生系の酵素はNADH特異的であり、還元型補酵素再生系の酵素はNADP+特異的であることが好ましく、同様に、酸化酵素がNADP+特異的でである場合には、酸化型補酵素再生系の酵素はNADPH特異的であり、還元型補酵素再生系の酵素はNAD+特異的であることが好ましい。
酸化型補酵素を再生する能力を有する酵素としては、NADHオキシダーゼ、NADPHデヒドロゲナーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼが挙げられ、その中でも、NADHオキシダーゼは、補酵素再生反応ための基質として酸素が利用できること、その多くがNADHに特異的であり、また触媒される反応が不可逆的であるなど点において好ましい。なお、NADHオキシダーゼには水を生成するもの(水生成型NADHオキシダーゼ)と過酸化水素を生成するもの(過酸化水素生成型NADHオキシダーゼ)の2種が知られている。過酸化水素は酵素などに悪影響を与えることが知られており、過酸化水素生成型NADHオキシダーゼを用いる場合は、反応系にカタラーゼを添加することにより過酸化水素を分解し、その悪影響を低減、除去することが好ましい。過酸化水素の生成自体をさけられることから、水生成型NADHオキシダーゼを用いるのがより好ましい。
上記水生成型NADHオキシダーゼの起源となる生物としては特に限定されず、微生物であっても良いし、高等生物であってもよいが、細菌、カビ、酵母などの微生物が好適であり、好ましくは細菌が挙げられる。例えば、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトバシルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ロイコノストック(Leuconostock)属、エンテロコッカス(Entrococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、メタノコッカス(Methanococcus)属、セルプリナ(Serpulina)属、マイコプラズマ(Mycoplasma)属、又はジアルディア(Giardia)属に属する微生物が挙げられ、好ましくはストレプトコッカス(Streptococcus)属微生物、さらに好ましくはストレプトコッカス・ミュータンス、特に好ましくはストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans) NCIB11723が挙げられる。ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans) NCIB11723由来の水生成型NADHオキシダーゼは、そのアミノ酸配列およびそれをコードするDNAの塩基配列はすでに報告されている(特開平8−196281)。
還元型補酵素を再生する能力を有する酵素としては、グルコース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、グルコース6−リン酸脱水素酵素が挙げられ、好ましくはグルコース脱水素酵素、より好ましくはNADP+特異的グルコース脱水素酵素が挙げられる。
上記グルコース脱水素酵素の起源となる生物としては特に限定されず、微生物であっても良いし、高等生物であってもよいが、細菌、カビ、酵母などの微生物が好適であり、好ましくは細菌が挙げられる。例えば、バチルス(Bacillus)属微生物、好ましくはバチルス・メアテリウム(Bacillus megaterium)が挙げられる。
上記NADP+特異的グルコース脱水素酵素の起源となる生物としては特に限定されず、微生物であっても良いし、高等生物であってもよいが、細菌、カビ、酵母などの微生物が好適である。例えば、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、又はサッカロミセス(Saccharomyces)属に属する微生物が挙げられる。好ましくは、クリプトコッカス属に属する微生物が挙げられる。クリプトコッカス属微生物としては、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)、クリプトコッカス・フミコーラス(Cryptococcus humicolus)、クリプトコッカス・テレウス(Cryptococus terreus)、クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)が挙げられ、好ましくはクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)、更に好ましくはクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus) JCM3687株を挙げられる。
なお、クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)JCM3687株は理化学研究所微生物系統保存施設(JMC:Japan Collection of Microorganisms、〒351−0198 日本国埼玉県和光市広沢2−1)に保存されており、同保存施設から入手する事が出来る。
また、酸化酵素遺伝子及びこの酵素が依存する酸化型補酵素を再生する能力を有する酵素(例えばNADHオキシダーゼ)の遺伝子を同一宿主細胞内に導入した組換え微生物の培養物またはその処理物等を用いて、上記と同様の反応を行えば、別途に補酵素の再生に必要な酵素源を調製する必要がないため、より低コストで光学活性アルコールを製造することができる。同様に、還元酵素遺伝子及びこの酵素が依存する還元型補酵素を再生する能力を有する酵素(例えばグルコース脱水素酵素)の遺伝子を同一宿主細胞内に導入した組換え微生物の培養物またはその処理物等を用いて、上記と同様の反応を行えば、別途に補酵素の再生に必要な酵素源を調製する必要がないため、より低コストで光学活性ジオールを製造することができる。
また、酸化反応系(アルコールの酸化及び酸化型補酵素再生系)、還元反応系(ケトン誘導体の還元反応及び還元型補酵素再生系)の片方、または双方とも、上記の様に関与する酵素を同一宿主細胞内で発現させれば、酸化および/または還元反応系はそれぞれ宿主細胞膜で分離されることになり、その結果、先に述べたような酸化型補酵素再生系と還元型補酵素再生系の共役による不具合が起こらない、又は起こりにくくなり、その結果、補酵素再生系に関与する酵素の補酵素に対する特異性が低い場合も、反応が良好に進行する場合がある。
一方、酸化酵素遺伝子および還元酵素遺伝子を同一宿主微生物細胞内に導入した組換え微生物、さらには、酸化酵素遺伝子および還元酵素遺伝子に加え、還元酵素が依存する還元型補酵素を再生する能力を有する酵素の遺伝子を同一宿主微生物内に導入した組換え微生物、または酸化酵素遺伝子および還元酵素遺伝子に加え、酸化酵素が依存する酸化型補酵素を再生する能力を有する酵素の遺伝子を同一宿主微生物内に導入した組換え微生物の培養物またはその処理物等を用いて反応を行うことは、製造プロセスの効率化において好ましい。また、酸化酵素、酸化酵素が依存する酸化型補酵素を再生する能力を有する酵素、還元酵素および還元酵素が依存する還元型補酵素を再生する能力を有する酵素のすべての酵素遺伝子を同一宿主微生物内に導入した組換え微生物の培養物またはその処理物等を用いて反応を行うことは、より好ましい。また、本特許は、このよう組換え微生物を提供することも目的としている。
このような組換え微生物は、使用する酸化酵素をコードするDNA、使用する還元酵素をコードするDNA、酸化型補酵素再生能力を有する酵素をコードする遺伝子、還元型補酵素再生する能力を有する酵素をコードするDNAからなる群より選ばれる2〜4のDNAを同一のベクターに組込み、これを宿主に導入することにより製造できる。または、これら2〜4種類のDNAを不和合性グループの異なる複数種のベクターにそれぞれ組込み、それらを同一の宿主に導入することによっても製造できる。
本発明に使用する酸化酵素、還元酵素、酸化型補酵素の再生酵素及び還元型補酵素再生系酵素は、単一にまたは部分的に精製された酵素であってもよいし、これら酵素の産生能を有する微生物の培養物またはその処理物を使用することも可能である。ここで「微生物の培養物」とは、菌体を含む培養液あるいは培養菌体を意味し、「その処理物」とは、例えば、粗抽出液、凍結乾燥微生物菌体、アセトン乾燥微生物菌体、またはそれら菌体の磨砕物等を意味する。さらにそれらは、酵素自体あるいは菌体のまま公知の手段で固定化されて用いることができる。固定化は、当業者に周知の方法(例えば架橋法、物理的吸着法、包括法等)で行うことができる。
上記酵素の産生能を有する微生物としては、野生株または変異株、あるいは上記酵素のDNAをベクターに組込み、これを宿主内に導入してなる組換え体であってもよい。
次に、本発明で使用或いは製造する2級アルコールについて説明する。しかし、本発明の本質は、前述の通り、補酵素の特異性が異なり且つエナンチオ選択性の異なる酸化酵素源と還元酵素源を組合せて使用すること、さらには、それら酸化反応と還元反応に効率的に補酵素再生系を組合せて使用することを特徴とした光学活性2級アルコールの製造方法である。
従って、本発明で用いる2級アルコールのエナンチオマー混合物としては、前述のとおり2級水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、その代表的なものとして、1,2−ジオール、2−アルカノールを挙げることができる。
1,2−ジオールとしては一般式(1):
Figure 2006090814
(式中、Rは置換基を有しても良い炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有しても良い炭素数5〜15のアリール基を表す)で表される1,2−ジオールを挙げることができる。
2−アルカノールとしては、一般式(2):
Figure 2006090814
(式中、Rは置換基を有しても良い炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有しても良い炭素数5〜15のアリール基を表す)で表される2−アルカノールを挙げることができる。
また、本発明で製造される光学活性2級アルコールとしては、2級水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、一般式(3):
Figure 2006090814
(式中、Rは前記と同じ。*は不斉炭素を表す)で表される光学活性1,2−ジオールや一般式(4):
Figure 2006090814
(式中、Rは前記と同じ。*は不斉炭素を表す)で表される光学活性2−アルカノールを挙げることができる。前記一般式(3)および(4)において、*は不斉炭素を表し、その絶対配置は(R)体であってもよいし、(S)体であっても良い。
即ち一般式(5):
Figure 2006090814
(式中、Rは前記と同じ。)、或いは一般式(6):
Figure 2006090814
(式中、Rは前記と同じ。)で表される光学活性1,2−ジオール、さらには一般式(7):
Figure 2006090814
(式中、Rは前記と同じ。)、或いは一般式(8):
Figure 2006090814
(式中、Rは前記と同じ。)で表される光学活性2−アルカノールおよびそれら誘導体を挙げることができる。
前記式(1)〜(8)において、置換基を有しても良い炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル、又はハロメチル基等が挙げられる。ハロメチル基としてはクロロメチル基、ブロモメチル基、又はヨードメチル基が挙げられる。置換基を有しても良い炭素数5〜15のアリール基としては、フェニル基、o−クロロフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−シアノフェニル基、又はp−メトキシフェニル基等が挙げられる。
前記式(1)、(3)、(5)、(6)で示される1,2−ジオールとして具体的には3−クロロ−1,2−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール、1−フェニル−1,2−エタンジオールおよびそれら誘導体を挙げることができる。
前記式(2)、(4)、(7)、(8)で示される2−アルカノールとして具体的には、2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール、1−フェニルエタノール、3−ヒドロキシ−2−ブタノールおよびそれら誘導体を挙げることができる。
次に、本発明で用いる酸化酵素源および還元酵素源について説明する。本発明では、酸化酵素源および還元酵素源として、EC.1.1.1に分類されるデヒドロゲナーゼを使用する。酸化酵素源と還元酵素源の組合せは、目的とする2級アルコールに応じて適宜選択すればよい。
酵素的不斉還元は、光学活性アルコールの合成において最も有用な手法の1つであり、種々の微生物あるいは動物組織由来のデヒドロゲナーゼが、その基質特異性及びエナンチオ選択性とともに報告されている。これらの情報を参考に、本願発明の方法に適したエナンチオ選択性と補酵素に対する特異性を有する酸化酵素源並びに還元酵素源を選択すれば良い。
目的の2級アルコールに関して、既知の情報が存在しない場合には、下記のようにして酸化酵素源および還元型酵素源を選択することができる。
1)目的の2級アルコールに対応するケトン化合物、例えば、一般式(9):
Figure 2006090814
(式中Rは前記と同じ)、或いは一般式(10):
Figure 2006090814
(式中Rは前記と同じ)で表されるケトン化合物を入手あるいは調製する。
2)次に、種々の市販のデヒドロゲナーゼあるいは微生物を用いて、当該ケトン化合物を2級アルコールに還元し、エナンチオ選択性を確認する。
3)良好な(R)選択性を示した酵素源、および、良好な(S)選択性を示した酵素源をそれぞれ数種ずつ選択し、補酵素に対する特異性を確認する。
4)エナンチオ選択性と補酵素に対する特異性をもとに、酸化酵素と還元酵素の組合せを決定する。
以下に、本発明で使用しうる酸化酵素源および還元酵素源について述べる。前述の通り、本発明の本質は、補酵素の特異性が異なり且つエナンチオ選択性の異なる酸化酵素源と還元酵素源を組合せて使用すること、さらには、それら酸化反応と還元反応に効率的に補酵素再生系を組合せて使用することを特徴とした光学活性2級アルコールの製造方法である。したがって、使用する酸化酵素源、還元酵素源によってなんら限定されるものではない。
本発明で使用しうる酸化酵素源および還元酵素源として例を挙げると、例えば、前記式(5)で表される1,2−ジオールのエナンチオマーを選択的に酸化する能力を有し、NAD+に特異性を有する酵素源としては、セルロモナス(Cellulomonas)属に属する微生物由来の酵素源が挙げられ、好ましくは、セルロモナス・スピーシズ(Cellulomonas sp.) KNK0102由来(WO05/123921)の酵素源が挙げられる。
前記式(6)で表される1,2−ジオールのエナンチオマーを選択的に酸化する能力を有し、NAD+に特異性を有する酵素源としては、キャンディダ(Candida)属、オクロバクトラム(Ochrobactrum)属からなる群から選ばれた微生物由来の酵素源が挙げられ、好ましくは、キャンディダ・マリス(Candida malis) NBRC10003由来(WO01/005996)およびオクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.) KNKc71−3由来の酵素源が挙げられる。
前記式(7)で表される2−アルカノールのエナンチオマーを選択的に酸化する能力を有し、NAD+に特異性を有する酵素源としては、オクロバクトラム(Ochrobactrum)属に属する微生物由来の酵素源が挙げられ、好ましくは、オクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.) KNKc71−3由来の酵素源が挙げられる。
前記式(8)で表される2−アルカノールのエナンチオマーを選択的に酸化する能力を有し、NAD+に特異性を有する酵素源としては、キャンディダ(Candida)属に属する微生物由来の酵素源が挙げられ、好ましくは、キャンディダ・マリス(Candida malis) NBRC10003由来の酵素源が挙げられる。
前記式(9)で表されるケトン化合物を前記式(6)で表される1,2−ジオールのエナンチオマーに還元する能力を有し、NAHPHに特異性を有する酵素源としては、キャンディダ(Candida)属に属する微生物由来の酵素源が挙げられ、好ましくは、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae) NBRC0705由来の酵素源(WO98/035025)が挙げられる。
前記式(9)で表されるケトン化合物を前記式(5)で表される1,2−ジオールのエナンチオマーに還元する能力を有し、NADPHに特異性を有する酵素源としては、ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物由来の酵素源が挙げられ、好ましくは、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis) NBRC415由来の酵素源(WO03/093477)が挙げられる。
前記式(10)で表されるケトン化合物を前記式(8)で表される2−アルカノールのエナンチオマーに還元する能力を有し、NADPHに特異性を有する酵素源としては、キャンディダ(Candida)属に属する微生物由来の酵素源が挙げられ、好ましくは、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae) NBRC0705由来の酵素源が挙げられる。
前記式(10)で表されるケトン化合物を前記式(7)で表される2−アルカノールのエナンチオマーに還元する能力を有し、NADPHに特異性を有する酵素源としては、ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物由来の酵素源が挙げられ、好ましくは、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis) NBRC415由来の酵素源が挙げられる。
本発明に適した酸化酵素源および還元酵素源の組合せについて説明する。
前記式(5)で表される1,2−ジオールをエナンチオ選択的に酸化して前記式(9)で表されるケトン化合物を生成しうる酸化酵素源は、ケトン化合物(9)をエナンチオ選択的に還元して前記式(6)で表される1,2−ジオールを生成する還元酵素源と組み合わせる。同様に、1,2−ジオール(6)をエナンチオ選択的に酸化しうる酸化酵素源は、ケトン(9)をエナンチオ選択的に還元して1,2−ジオール(5)を生成しうる還元酵素源と組み合わせる。
前記式(7)で表される2−アルカノールをエナンチオ選択的に酸化して前記式(10)で表されるケトン化合物を生成しうる酸化酵素源は、ケトン化合物(10)をエナンチオ選択的に還元して2−アルカノール(8)を生成しうる還元酵素源と組み合わせる。同様に、2−アルカノール(8)をエナンチオ選択的に酸化しうる酸化酵素源は、ケトン(10)をエナンチオ選択的に還元して2−アルカノール(7)を生成しうる還元酵素源と組み合わせる。
上記のいずれの組み合わせにおいても、酸化酵素源と還元酵素源の補酵素特異性が異なることが好ましい。すなわち、酸化酵素源がNAD+に特異的な場合は還元酵素源はNADPHに特異的であり、酸化酵素源がNADP+に特異的な場合は還元酵素源はNADH特異的である。
特に、NAD+特異的な酸化酵素源とNADPHに特異的な還元酵素源の組み合わせは、酸化型補酵素再生系にNADHオキシダーゼ、還元型補酵素再生系にNADP+特異的グルコース脱水素酵素を使用することが出来、好ましい。
以下に、酸化酵素源と還元酵素源の組み合わせ例をいくつか挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記式(6)で表される光学活性1,2−ジオールを製造するためには、例えば、セルロモナス(Cellulomonas)属に属する微生物、好ましくは、セルロモナス・スピーシズ(Cellulomonas sp.) KNK0102由来の酸化酵素源と、キャンディダ(Candida)属に属する微生物、好ましくは、キャンディダ・マグノリエ(Candidamagnoriae) NBRC0705由来の還元酵素源の組合せを挙げることができる。
前記式(5)で表される光学活性1,2−ジオールを製造するためには、例えば、キャンディダ(Candida)属、又はオクロバクトラム(Ochrobactrum)属に属する微生物、好ましくは、キャンディダ・マリス(Candida malis) NBRC10003、又はオクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrumsp.) KNKc71−3由来の酸化酵素源と、ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物、好ましくは、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorulaglutinis) NBRC415由来の還元酵素源の組合せを挙げることができる。
前記式(8)で表される光学活性2−アルカノールを製造するためには、例えば、オクロバクトラム(Ochrobactrum)属に属する微生物、好ましくは、オクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.) KNKc71−3由来の酸化酵素源と、キャンディダ(Candida)属に属する微生物、好ましくは、キャンディダ・マグノリエ(Candidamagnoriae) NBRC0705由来の還元酵素源の組合せを挙げることができる。
前記式(7)で表される光学活性2−アルカノールを製造するためには、例えば、キャンディダ(Candida)属に属する微生物、好ましくは、キャンディダ・マリス(Candida malis) NBRC10003由来の酸化酵素源と、ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物、好ましくは、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorulaglutinis) NBRC415由来の還元酵素源の組合せを挙げることができる。
上記微生物のうち、キャンディダ・マリス(Candida malis) NBRC1003、キャンディダ・マグノリエ(Candidamagnoriae) NBRC0705、およびロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis) NBRC415は独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部・生物遺伝資源部門(NBRC:〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に保存されており、同機関より入手可能である。
セルロモナス・スピーシズ(Cellulomonas sp.) KNK0102は本発明者らにより土壌から分離・同定されたものであり、その取得方法などはWO05/123921に記載されている。
なお、本発明に使用する酸化酵素、および還元酵素の産生能を有する微生物としては、野生株または変異株のいずれでもよい。あるいは細胞融合または遺伝子操作等の遺伝学的手法により誘導される微生物も用いることができる。遺伝子操作された上記酵素を生産する微生物は、例えば、これらの酵素を単離及び/または精製して酵素のアミノ酸配列の一部または全部を決定する工程、このアミノ酸配列に基づいて酵素をコードするDNA配列を得る工程、このDNAを他の宿主微生物に導入して組換え微生物を得る工程、及びこの組換え微生物を培養して、本酵素を得る工程を含有する方法により得ることができる(WO98/35025)。宿主としては細菌、酵母、糸状菌などが挙げられるが、大腸菌が特に好ましい。
上記の酸化酵素あるいは還元酵素をコードするDNAを有するプラスミドで形質転換された組換え微生物としては、例えば、以下のような組換え微生物を挙げることができる。
a)セルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.) KNK0102由来のグリセロールデヒドロゲナーゼ(以後デヒドロゲナーゼと記載:酸化酵素)遺伝子で形質転換されたEscherichiacoli HB101 (pTSCS) FERM BP−10024(WO05/123921)。
b)キャンディダ・マリス(Candida malis) NBRC10003由来のデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)遺伝子で形質転換されたEscherichiacoli HB101 (pNTFP) FERM BP−7116(WO01/005996)。
c)オクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.)KNKc71−3由来のデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)で形質転換されたEscherichiacoli HB101 (pTSOB) FERM BP−10461。
d)キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoliae) IFO0705由来のデヒドロゲナーゼ(還元酵素)遺伝子で形質転換されたEscherichiacoli HB101 (pNTS1) FERM BP−5834(WO98/035025)。
e)ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis) NBRC415由来のデヒドロゲナーゼ(還元酵素)遺伝子で形質転換されたEscherichiacoli HB101 (pNTRG) FERM BP−7857(WO03/093477)。
上記の組み換え微生物は、それぞれ前記の受託番号にて独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD:〒305-8566 茨城県つくば市東1丁目1番地 中央第6)に寄託されている。
[寄託日]
Escherichia coli HB101 (pTSCS) FERM BP-10024:2004年5月12日
Escherichia coli HB101 (pNTFP) FERM BP-7116:2000年4月11日
Escherichia coli HB101 (pTSOB) FERM BP-10461:2005年11月30日
Escherichia coli HB101 (pNTS1) FERM BP-5834:1997年2月24日
Escherichia coli HB101 (pNTRG) FERM BP-7857:2002年1月22日
また、本発明では、前述のように、酸化酵素、酸化型補酵素を再生する能力を有する酵素、還元酵素、及び還元型補酵素のうちの2〜4酵素を同時に発現する組換え微生物を好適に使用し得る。これら複数の酵素を生産する組換え微生物は、上記a)〜e)に挙げた組換え微生物に含まれる、酸化酵素遺伝子、還元酵素遺伝子、あるいはそれらを導入された組換えプラスミドを利用することにより、通常の遺伝子組換え技術で調製し得る。前記のa)〜e)に挙げた組換え微生物中に含まれる、酸化酵素遺伝子または還元酵素遺伝子、並びに、組換えプラスミドの詳細は、それぞれの項で挙げた参照文献に記載されている。
なお、オクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.) KNKc71−3は本発明者らにより土壌から分離・同定された微生物である。オクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.)KNKc71−3由来のデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)は、図2に示す組換えベクターpTSOBとして前記組換え微生物・Escherichia coli HB101 (pTSOB) FERM BP−10461に導入されている。当業者であれば、常法により当該組換え微生物から組換えベクターpTSOBを単離し、更なる遺伝子の導入等に利用することができる。
酵素源として用いる微生物の為の培養培地は、その微生物が増殖し得るものである限り特に限定されない。例えば、炭素源として、グルコース、シュークロース等の糖質、エタノール、グリセロール等のアルコール類、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸及びそのエステル類、菜種油、大豆油等の油類、窒素源として、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、カザミノ酸、コーンスティープリカー、ふすま、酵母エキスなど、無機塩類として、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、燐酸1水素カリウム、燐酸2水素カリウムなど、他の栄養源として、麦芽エキス、肉エキス等を含有する通常の液体培地が使用することができる。培養は好気的に行い、通常、培養時間は1〜5日間程度、培地のpHが3〜9、培養温度は10〜50℃で行うことができる。
本発明のデラセミ化の反応条件は用いる酵素、微生物またはその処理物、基質濃度等によって異なるが、通常、基質濃度は約0.1〜100重量%、好ましくは1〜60重量%であり、補酵素NAD(P)+は基質に対して0.0001〜100モル%、好ましくは0.0001〜0.1モル%、補酵素NAD(P)Hは基質に対して0.0001〜100モル%、好ましくは0.0001〜0.1モル%。反応温度は10〜60℃、好ましくは20〜50℃であり、反応のpHは4〜9、好ましくは5〜8であり、反応時間は1〜120時間、好ましくは1〜72時間で行うことができる。
基質は一括、または連続的に添加して行うことができる。反応はバッチ方式または連続方式で行うことができる。また、酸化型補酵素の再生に酸化酵素を産生する微生物のNAD+再生能又はNADHオキシダーゼを用いる場合は、反応を空気または比較的純粋な酸素存在下、好気条件にて行うことが好ましい。また、酸素の反応液への溶解を促進するため、反応は振盪あるいは攪拌条件下で行われることが好ましい。さらに大気圧以上の加圧下で反応することにより、反応液への酸素の溶解度が向上し、反応がより効率的に進む場合もある。
デラセミ化反応で生じた光学活性2級アルコールは、常法により精製することが出来る。例えば、光学活性3−クロロ−1,2−プロパンジオールは、微生物等を用いた場合には必要に応じ遠心分離、濾過等の処理を施して菌体等の懸濁物を除去し、次いで酢酸エチル、トルエン等の有機溶媒で抽出し、有機溶媒を減圧下に除去し、そして減圧蒸留またはクロマトグラフィー等の処理を行う事により、精製することができる。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(大腸菌菌体を用いた酸化型補酵素の再生系、グルコース脱水素酵素による還元型補酵素再生系を併用)
E. coli HB101 (pTSCS) FERM BP−10024を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地(バクト・トリプトン 1.6%、バクト・イーストエキス 1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)に接種し、37℃で18時間振とう培養した。上記培養液50mlを遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH8.0)50mlに懸濁した。
また、E. coli HB101 (pNTS1) FERM BP−5834を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地(トリペプトン 1.6%、イーストエキス 1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)に接種し、37℃で18時間振とう培養した。この培養液50mlを遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH8.0)50mlに懸濁して、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて超音波破砕し無細胞抽出液を得た。
上記E. coli HB101 (pTSCS)の懸濁液1ml、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール 20mg、上記E. coli HB101 (pNTS1)の無細胞抽出液1ml、グルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製)10U、NADP+ 0.2mg、及びグルコース40mgを栓付試験管に添加し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液によりpH8.0に調整しながら、30℃で20時間攪拌した。反応終了後、反応液を硫酸アンモニウムで飽和させてから、酢酸エチルを加えて抽出を行い、抽出液中に残存する3−クロロ−1,2−プロパンジオール含量をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析し、収率(%)を算出した。また、上記生成物をトリフルオロアセチル化した後、キャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析し、光学純度(%e.e.)を算出した。その結果、収率は90%、光学純度は96.1%e.e.(R)であった。
[含量の分析条件]
カラム:HP−5 30m×0.32mmI.D.(Agilent Technologies社製)
検出:FID
カラム初期温度:50℃
カラム最終温度:200℃
昇温速度:6℃/分
注入温度:150℃
検出温度:300℃
キャリアーガス:ヘリウム(70kPa)
スプリット比:100/1
検出時間:3−クロロ−1,2−プロパンジオール 10.2分
[光学純度の分析条件]
カラム:Chiradex G−PN(30m×0.25mm)(ASTEC社製)
カラム温度:90℃
注入温度:150℃
検出温度:150℃
キャリアーガス:ヘリウム(130kPa)
スプリット比:100/1
検出時間:R体 10.0分、S体 10.6分。
光学純度(%e.e.)=(A−B)/(A+B)x100
(A及びBは対応する鏡像異性体量を表し、A>Bである)
(実施例2)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(過酸化水素生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素の再生系、グルコース脱水素酵素による還元型補酵素再生系を併用)
実施例1で得たE. coli HB101 (pTSCS)の培養液50mlを遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH8.0)50mlに懸濁した。その後、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて超音波破砕し無細胞抽出液を得た。
上記E. coli HB101 (pTSCS)の無細胞抽出液1ml、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール20mg、NAD+ 0.2mg、NADHオキシダーゼ(SIGMA社製)1U、カタラーゼ(SIGMA社製)20U、実施例1で得たE. coli HB101 (pNTS1)の無細胞抽出液1ml、グルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製)10U、NADP+ 0.2mg、及びグルコース40mgを栓付試験管に添加し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液によりpH8.0に調整しながら、30℃で20時間攪拌した。反応終了後、実施例1記載の方法にて分析を行った結果、収率は67%、光学純度は71.2%e.e.(R)であった。
(実施例3)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(大腸菌菌体を用いた酸化型補酵素の再生系、グルコース脱水素酵素による還元型補酵素再生系を併用)
実施例1で得たE. coli HB101 (pNTS1)の培養液500mlを遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)25mlに懸濁した。その後、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて超音波破砕し無細胞抽出液を得た。
実施例1で得たE. coli HB101 (pTSCS)の培養液2ml、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール 100mg、上記E. coli HB101 (pNTS1)の無細胞抽出液200μl、グルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製)10U、NADP+ 0.2mg、及びグルコース80mgを栓付試験管に添加し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液によりpH7.0に調整しながら、30℃で28時間攪拌した。反応終了後、実施例1記載の方法で分析を行った結果、収率93.2%、光学純度は98.6%e.e.(R)であった。
(実施例4)(S)−1,2−ブタンジオールの合成(大腸菌菌体を用いた酸化型補酵素の再生系、グルコース脱水素酵素による還元型補酵素再生系を併用)
ラセミ体の1,2−ブタンジオールを用いて、実施例3と同様の方法によりデラセミ化反応を行った。反応終了後、反応液を硫酸アンモニウムで飽和させてから、酢酸エチルを加えて抽出を行い、抽出液中に残存する1,2−ブタンジオール含量を実施例1記載の方法により分析し、収率(%)を算出した。また、上記生成物をトリフルオロアセチル化した後、キャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析し、光学純度(%e.e.)を算出した。その結果、収率は83%、光学純度は99.2%e.e.(S)であった。
[光学純度の分析条件]
カラム:Chiradex G−TA(20m×0.25mm)(ASTEC社製)
カラム温度:60℃
注入温度:150℃
検出温度:150℃
キャリアーガス:ヘリウム(130kPa)
スプリット比:100/1
検出時間:1,2−ブタンジオール R体5.0分、S体5.8分。
(実施例5)(S)−1,3−ブタンジオールの合成(大腸菌菌体を用いた酸化型補酵素の再生系、グルコース脱水素酵素による還元型補酵素再生系を併用)
ラセミ体の1,3−ブタンジオールを用いて、実施例3と同様の方法によりデラセミ化反応を行った。反応終了後、実施例4記載の方法で分析した結果、収率は77.2%、光学純度は72.3%e.e.(S)であった。
(実施例6)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(大腸菌菌体を用いた酸化型補酵素の再生系、グルコース脱水素酵素による還元型補酵素再生系を併用)
実施例1で得たE. coli HB101 (pTSCS)の培養液100ml、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール7g、実施例3で得たE. coli HB101 (pNTS1)の無細胞抽出液10ml、グルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製)500U、NADP+ 10mg、及びグルコース11.4gを500mlマイクロジャーに添加し、30%水酸化ナトリウム水溶液によりpH7.0に調整しながら、30℃で64時間攪拌した(350回転、通気:1ml/min)。反応終了後、反応液を硫酸アンモニウムで飽和させ、酢酸エチルを加えて抽出を行い、抽出液を減圧濃縮した後、濃縮物を減圧蒸留して無色透明油状物6.8gを得た。実施例1記載の方法で分析した結果、収率は96%、光学純度は98.6%e.e.(R)であった。
(実施例7)(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(大腸菌菌体を用いた酸化型補酵素の再生系、グルコース脱水素酵素による還元型補酵素再生系を併用)
E. coli HB101 (pNTFP) FERM BP−7116を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地(バクト・トリプトン 1.6%、バクト・イーストエキス 1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)に接種し、37℃で18時間振とう培養した。
また、E. coli HB101 (pNTRG) FERM BP−7857を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地(バクト・トリプトン 1.6%、バクト・イーストエキス 1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)に接種し、37℃で18時間振とう培養した。この培養液50mlを遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)2.5mlに懸濁した。その後、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて超音波破砕し無細胞抽出液を得た。
上記E. coli HB101 (pNTFP)の培養液2ml、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール60mg、上記E. coli HB101 (pNTRG)の無細胞抽出液200μl、グルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製)10U、NADP+ 0.2mg、及びグルコース80mgを栓付試験管に添加し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液によりpH7.0に調整しながら、30℃で20時間攪拌した。反応終了後、実施例1記載の方法で分析を行った結果、収率98.7%、光学純度は43.8%e.e.(S)であった。
(実施例8)NADHオキシダーゼ遺伝子を含む組換えベクターの作成及び組換え大腸菌の作成
大腸菌においてストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼを発現させるために、形質転換に用いる組換えベクターを作成した。まず水生成型NADHオキシダーゼの構造遺伝子の開始部分にNdeI部位を付加し、かつ終止コドンの直後に新たな終止コドンとPstI部位を付加した二本鎖DNAを以下の方法により取得した。合成プライマーprimer-1(gaggatttgcatatgagtaaaatcgttattg:配列番号1)及びprimer-2(atgaaaacatgtgaattcccattgacatatc:配列番号2)の組み合わせ、更に合成プライマーprimer-3(gatatgtcaatgggaattcacatgttttcat:配列番号3)及びprimer-4(tttctgcagttatcatttagcttttaatgct:配列番号4)の組み合わせで、水生成型NADHオキシダーゼ遺伝子を含有するプラスミドpSSW61(Biosci. Biotech. Biochem., 60(1), 39-43, 1996参照)を鋳型としてPCRを行い、それぞれ二本鎖DNA(a),(b)を合成した。更に前記合成プライマーprimer-1及びprimer-4を用い、上記で得た二本鎖DNA(a),(b)の混合物を鋳型にPCRを行い、二本鎖DNAを得た。得られたDNA断片をNdeI及びPstI消化し、プラスミドpUCNT(WO94/03613参照)のlacプロモーターの下流のNdeI、PstI部位に挿入することにより、組換えプラスミドpNTNXをいた。pNTNXの作製法及び構造を図1に示す。本組換えベクターpNTNXを用いてE. coli HB101(宝酒造株式会社製)を形質転換し、E. coli HB101 (pNTNX)を得た。
(実施例9)組換え大腸菌による水生成型NADHオキシダーゼの発現
実施例8で得たE. coli HB101 (pNTNX)を100μg/mlのアンピシリン及びグリセリン0.8%(w/v)を含む2×YT培地(バクト・トリプトン1.6%(w/v)、バクト・イーストエキス1.0%(w/v)、NaCl0.5%(w/v)、pH7.0)で培養し、集菌後、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁し、超音波破砕法により破砕し、無細胞抽出液を得た。この無細胞抽出液のNADHオキシダーゼ活性を以下のように測定した。NADHオキシダーゼ活性は、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)にNADH 0.17mM、EDTA 0.2mM、FAD 0.02mM及び酵素液0.05mlを含む反応液1.0mlの30℃での波長340nmの吸光度の減少を測定することにより行った。この反応条件において、1分間に1μmolのNADHをNAD+に酸化する酵素活性を1Uと定義した。その結果、上記無細胞中のNADHオキシダーゼの比活性は30U/mgタンパクであった。
(実施例10)バチルス・メガテリウム由来のグルコース脱水素酵素とクリプトコッカス・ユニガツラタス由来のグルコース脱水素酵素の補酵素選択性
バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由来のグルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製)とクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcusuniguttulatus)のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(SIGMA社製)について、補酵素NAD+及びNADP+に対する活性を調べた。100mMリン酸緩衝液、75mMグルコース、2mM NAD+又はNADP+を含む反応液980μlにバチルス・メガテリウム(Bacillusmegaterium)由来のグルコース脱水素酵素またはクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のグルコース脱水素酵素を添加し、30℃で反応を行い、340nmの吸収増加を指標に、活性を測定した。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、バチルス・メガテリウム由来のグルコース脱水素酵素は補酵素に対して非特異的であり、クリプトコッカス・ユニガツラタス由来のグルコース脱水素酵素は、NADP+に特異的である。
Figure 2006090814
(実施例11)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系、及びNADP+特異的/非特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用)
実施例1と同様の方法で得たE. coli HB101 (pTSCS) 培養液、E. coli HB101 (pNTS1)培養液および実施例9で得たE. coli HB101 (pNTNX)の培養液から、遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。その後UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて超音波破砕し、遠心分離により破砕残渣を除去し、それぞれセルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoliae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)およびストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)を調製した。
以下の3種のデラセミ化反応液を調製し、それぞれ1mlを試験管中、20℃で5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ20時間振盪した。
(1)100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、30mgラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール、49mgグルコース、0.71mgNAD+、0.15mgNADP+、前記NAD+特異的なデヒドロゲナーゼ50U(3−クロロ−1,2−プロパンジオール酸化活性として)、前記NADPH特異的なデヒドロゲナーゼ300U(3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン還元活性として)、及び、前記水生成型NADHオキシダーゼ60U(グルコース脱水素酵素添加なし)。
(2)(1)の組成+バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由来の補酵素非特異的グルコース脱水素酵素(天野エンザイム社製) 35U。
(3)(1)の組成+クリプトコックス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(SIGMA社製) 35U。
[3−クロロ−1,2−プロパンジオール酸化活性の測定条件]
100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に3−クロロ−1,2−プロパンジオール100mM、NAD+ 0.17mM、及び酵素液0.05mlを含む反応液1.0mlの30℃での波長340nmの吸光度の増加を測定することにより行った。この反応条件において、1分間に1μmolのNADHをNAD+に酸化する酵素活性を1Uと定義した。
[3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン還元活性の測定条件]
100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン20mM、NADPH 0.17mM、及び酵素液0.05mlを含む反応液1.0mlの30℃での波長340nmの吸光度の減少を測定することにより行った。この反応条件において、1分間に1μmolのNADHをNAD+に酸化する酵素活性を1Uと定義した。
反応終了後、実施例1記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 2006090814
(実施例12)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(5%仕込み:水生成型NADHオキシダを用いた酸化型補酵素再生系、及びNADP+特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用)
300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール50mg、グルコース81mg、NAD+ 0.71mg、NADP+ 0.15mg、実施例11で得たセルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)50U(3−クロロ1,2−プロパンジオール酸化活性として)、キャンディダ・マグノリエ(Candidamagnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)300U(3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン還元活性として)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)300U、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(SIGMA社製:還元型補酵素を再生する酵素)100Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ22時間反応させた。反応終了後、実施例1記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。 その結果、光学純度100%の(R)−3−クロロ1,2−プロパンジオールが収率95%で生成していた。
(実施例13)(S)−1,2−ブタンジオールの合成(水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系、及びNADP+特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用)
ラセミ体の3−クロロ1,2−プロパンジオールの代わりにラセミの体1,2−ブタンジオールを用いた以外は実施例12と同様の方法で23時間の反応を行った。反応終了後、実施例4記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%の(S)−1,2−ブタンジオールが収率99.5%で生成していた。
(実施例14)(S)−1−フェニルエタノールの合成(水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系、及びNADP+特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用)
実施例7と同様の方法で得たE. coli HB101 (pNTF)の培養液およびE. coli HB101 (pNTRG)の培養液から、遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。その後UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて超音波破砕し、遠心分離により破砕残渣を除去し、それぞれキャンディダ・マリス(Candida maris)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)、およびロドトルラ・グリチニス(Rhodotorula glutinis)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)を調製した。
300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の1−フェニルエタノール10mg、グルコース7.4mg、NAD+ 0.71mg、NADP+ 0.15mg、前記NAD+特異的デヒドロゲナーゼ40U(1−フェニルエタノール酸化活性として)、前記NADPH特異的なデヒドロゲナーゼ70U(アセトフェノン還元活性として)、実施例8で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)40U、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcusuniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(SIGMA社製:還元型補酵素を再生する酵素)20Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ8時間反応させた。反応液100μlを硫酸アンモニウムで飽和させた後、酢酸エチル700μlにより1−フェニルエタノールを抽出し、本抽出液中の1−フェニルエタノールの光学純度及び収率をHPCLにより分析した。その結果、光学純度96.7%の(S)体−1−フェニルエタノールが収率98%で生成していた。
[1−フェニルエタノール酸化活性の測定条件]
3−クロロ−1,2−プロパンジオールの代わりに1−フェニルエタノールを用いた以外は、実施例11記載の酸化活性測定条件と同じ。
[アセトフェノン還元活性の測定条件]
3−クロロ−1−ヒドロキシアセトンの代わりにアセトフェノンを用いた以外は、実施例11記載の還元活性測定条件と同じ。
[1−フェニルエタノールのHPLC分析条件]
カラム:ダイセル化学工業社製、Chiralcell OD−H(0.46×25cm)
カラム温度:25℃
溶離液:n−ヘキサン/2−プロパノール=9/1
流速:0.5ml/分
溶離時間:(R)体−12.2分、 (S)体−13.3分)。
(実施例15)クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)JCM3687株のNADP+特異的グルコール脱水素酵素で形質転換された組換え大腸菌の調製
(1)酵素の精製
酵母エキス(日本製薬社製)5g、ポリペプトン(日本製薬社製)7g、リン酸二水素カリウム2.5g、塩化アンモニウム1.0g、塩化ナトリウム1.0g、塩化カルシウム2水和物0.33g、硫酸第一鉄7水和物0.0005g、硫酸マグネシウム7水和物0.5g、スクロース10g(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地に、予め同一培地にて前培養しておいたクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus) JCM3687株の培養液2mlを無菌的に接種し30℃で50時間振とう培養した。得られた培養液500mlより遠心分離により菌体を集め50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄後、同緩衝液200mlに懸濁した。本菌体培養液をミニビードビーダー(BIOSPEC社製)で破砕後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液250mlを取得した。
この無細胞抽出液に氷冷下スターラーで攪拌しながら、所定量の硫酸アンモニウムを添加し、硫酸アンモニウム70−100%飽和で沈殿するタンパク質を遠心分離により集めた。得られたタンパク質を50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で溶解し、同緩衝液により透析を行った後、これを同緩衝液で予め平衡化したCIM DEAE−8(BIA Separations社製)カラムに供し、酵素を吸着させ、0Mから1.0Mまでの塩化ナトリウム濃度のリニアグラジエントにより活性画分を溶出させた。得られた酵素液を50mMリン酸緩衝液(pH7.0)により透析を行い、予め同緩衝液で平衡化したResourceQ(アマシャムバイオサイエンス社製)カラム6mlに供し酵素を吸着させ、0Mから0.5Mまでの塩化ナトリウム濃度のリニアグラジエントにより活性画分を溶出させた。得られた酵素液に硫酸アンモニウムを1.5Mになるまで添加し、次いで予め硫酸アンモニウム1.5Mを含むリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したResourcePHE(アマシャムバイオサイエンス社製)カラムに供し、素通り画分を活性画分として集めた。
本活性画分を未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ単一バンドを形成した。また、本酵素をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ、分子量58000に相当する単一のバンドを形成した。
(2)グルコース脱水素酵素のクローニング
精製したクリプトコッカス・ユニグツラタスJCM3687株のグルコース脱水素酵素を8M尿素存在下で変性させた後、アクロモバクター由来のリシルエンドペプチダーゼ(和光純薬工業株式会社製)で消化し、得られたペプチド断片の配列をエドマン法により決定した。このアミノ酸配列から予想されるDNA配列を考慮し、PCRプライマー2種、primer-5(gagaagcagc acaagatyaargayca:配列番号5)及びprimer-6(catgtgrgcr agngargtraaytg:配列番号6)を合成した。
上記2種のプライマーを各50pmol、染色体DNAを800ng、dNTP各20nmol、ExTaq(タカラバイオ株式会社製)2.0Uを含むExTaq用緩衝液100μlを調製し、熱変性(94℃、30秒)、アニーリング(55℃、30秒)、伸長反応(72℃、1分)を25サイクル行い、得られた約750塩基の増幅断片をpT7Blue-2 Vector(ノバジェン社製)にサブクローニングし、その配列を決定した(配列番号7)。
次に、グルコース脱水素酵素をコードするcDNAの全塩基配列等を決定するために、ここで決定した塩基配列(配列番号7)をもとに遺伝子配列特異的プライマー2種、primer-7(agttggccgagtacgttcagggagcgtatga:配列番号8)及びprimer-8(ggaaagcctc atcctcgtcatacgctccctg:配列番号9)を合成した。
前記(1)の項で示した培地60mlにあらかじめ同一培地にて前培養しておいたクリプトコッカス・ユニグツラタスJCM3687株の培養液3mlを無菌的に接種し30℃で6時間振とう培養した。培養菌体より、RNAgents Total RNA Isolation System(プロメガ社製)によって全RNA 424μgを得た。得られた全RNAをOligotex-dT30カラム(タカラバイオ株式会社製)により精製しmRNA 4μgを得た。得られたmRNA 200ngを用いてGeneRacer Kit(インビトロジェン社製)によりプロトコールに記載の方法でcDNAを調製した。
得られたcDNA溶液2.5μl、前記primer-7、及び、GeneRacer Kit付属のGeneRacer3’ nestedプライマー(primer-9、cgctacgtaacggcatgacagtg:配列番号10)各50pmol、又は、前記primer-8及びGeneRacer Kit付属のGeneRacer5’ nestedプライマー(primer-10、ggacactgacatggactgaaggagta:配列番号11)各50pmol、dNTP各20nmol、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製)2.5Uを含むPyrobest DNA Polymerase用緩衝液100μlを調製し、熱変性(96℃、20秒)、アニーリング及び伸長反応(72℃、90秒)を4サイクル行い、引き続き熱変性(96℃、20秒)、アニーリング及び伸長反応(70℃、90秒)を4サイクル行い、更に引き続き熱変性(96℃、20秒)、アニーリング(58℃、30秒)、伸長反応(72℃、90秒)を20サイクル行い、4℃まで冷却後アガロースゲル電気泳動によりそれぞれの増幅cDNAを確認した。増幅されたcDNAを各々QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)により抽出し、pCR4Blunt-TOPOベクター(インビトロジェン社製)にサブクローニングし、増幅DNAの配列決定を行い、該グルコース脱水素酵素をコードするcDNAの全塩基配列を決定した。全塩基配列及び該DNAがコードする推定アミノ酸配列をそれぞれ配列表の配列番号12及び13に示す。
(3)グルコース脱水素酵素遺伝子を含む組換えベクターの作製
大腸菌においてグルコース脱水素酵素を発現させるために、形質転換に用いる組換えベクターを作製した。まず、ベクターに挿入する遺伝子を以下のように調製した。上記(2)の項で決定した塩基配列に基づき、グルコース脱水素酵素構造遺伝子の開始コドン部分にNdeI部位を付加したprimer-11(acagacctgcccatatgtcgagca:配列番号14)および終止コドン直後にXbaI部位を付加したprimer-12(ggacggcgtctagatttactgcaaa:配列番号15)を合成した。
上記2種のプライマーを各50pmol、鋳型として上記(2)の項で調製したcDNA溶液2.5μl、Pyrobest DNA Polymerase 2.5Uを含むPyrobest DNA Polymerase用緩衝液100μlを調製し、熱変性(98℃、10秒)、アニーリング(57℃、30秒)、伸長反応(72℃、3分)を25サイクル行い、得られた増幅DNA断片をNdeI及びXbaIで消化し、プラスミドpUCNT(WO94/03613参照)のlacプロモーター下流のNdeI及びXbaI部位に挿入した。得られたプラスミドをpNTGDH−J3687と命名した。
(4)組換え大腸菌の調製
前記プラスミドにより、大腸菌HB101株を形質転換した。得られた形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含む2xYT培地(バクト・トリプトン1.6%(w/v)、バクト・イーストエキス1.0%(w/v)、NaCl 0.5%(w/v)、pH7.0)で培養した後、遠心分離により菌体を集め50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で懸濁後、超音波破砕により無細胞抽出液を得た。この無細胞抽出液をSDS処理してSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った結果、分子量58000の位置に該酵素タンパク質のバンドを確認できた。
得られた組換え大腸菌をEscherichia coli HB101 (pNTGDH-J3687)と称する。なお、Escherichia coli HB101 (pNTGDH-J3687)は、FERM P−20374の受託番号にて、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD:〒305-8566 茨城県つくば市東1丁目1番地 中央第6)に寄託されている(寄託日:2005年1月21日)。
(実施例16)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系、及びJCM3687株由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用)
実施例15で得たEscherichia coli HB101 (pNTGDH-J3687) FERM P−20374をアンピシリン50μg/mlを含む50mlの2×YT培地(バクトトリプトン 1.6%(w/v)、バクト・イーストエキス 1.0%(w/v)、NaCl 0.5%(w/v)、pH7.0)に植菌し、500ml容坂口フラスコ中で、30℃、30時間培養した。遠心分離により菌体を集め、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)5mlに懸濁し、超音波破砕法により破砕し、無細胞抽出液を得、これをNADP+特異的グルコース脱水素酵素源として、以下の反応に使用した。
300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール50mg、グルコース81mg、NAD+ 0.71mg、NADP+ 0.15mg、実施例11で得たセルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)50U(3−クロロ1,2−プロパンジオール酸化活性として)、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)300U(3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン還元活性として)、実施例9と同様な方法で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)300U、及び上記クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus) JCM3687由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(還元型補酵素を再生する酵素)50Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ20時間反応させた。反応終了後、実施例1記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。 その結果、光学純度100%の(R)−3−クロロ1,2−プロパンジオールが収率96%で生成していた。
(実施例17)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系、及びJCM3687株由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用:小型培養装置中での反応)
300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール12g、グルコース16g、NAD+ 12mg、NADP+ 12mg、実施例11と同様な方法で得たセルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)3600U(3−クロロ1,2−プロパンジオール酸化活性として)、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)12000U(3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン還元活性として)、実施例9と同様な方法で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)48000U、及び実施例16と同様にして得たクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus) JCM3687由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(SIGMA社製:還元型補酵素を再生する酵素)3600Uを含む反応液120mlを250ml容の小型培養装置(三ツワ理化学工業(株))中で、20℃、通気(1vvm)、攪拌(900rpm)条件下、7.5Nの水酸化ナトリウム水溶液によりpH7.5に調整しながら、34時間反応させた。その結果、光学純度100%の(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールが収率96%で生成していた。
(実施例18)セルロモナス・スピーシーズ由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ遺伝子、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼ遺伝子を含む組換えベクター、及び組換え大腸菌の作成(2酵素共生産菌)
セルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)の2酵素を大腸菌において共生産するために、形質転換に用いる組換えベクターを作成した。
まず、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼの構造遺伝子の開始部分にBamHI部位とShine-Dalgarno配列(以下SD配列と略す)を付加し、かつ終止コドンの直後に新たな終止コドンとPstI部位を付加した二本鎖DNAを以下の方法により取得した。
primer-13(cgcggatcctaaggaggttaacaatgagtaaaatcgttattgttggagc:配列番号16)およびprimer-14(gcatgcctgcagttatcatttagcttt:配列番号17)を用い、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼ遺伝子を含有する実施例8で得たプラスミドpNTNXを鋳型としてPCRを行い、二本鎖DNAを得た。この二本鎖DNAをBamHIおよびPstIで消化し、セルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子を含有するプラスミドpTSCS(WO05/123921参照)のBamHI、PstI部位に挿入することにより、組換えベクターpTSCSNXを得た。本組換えベクターpTSCSNXをE. coli HB101(宝酒造株式会社製)を形質転換し、セルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のデヒドロゲナーゼ、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼの2酵素共生産菌E. coli HB101 (pTSCSNX)を得た。
(実施例19)キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ遺伝子、クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)JCM3687由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素遺伝子を含むベクターの作成、及び組換え発現菌の作成(2酵素共生産菌)
キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的なグルコース脱水素酵素(還元型補酵素を再生する酵素)の2酵素を大腸菌において共生産するために、形質転換に用いる組換えベクターを作成した。
まず、クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素遺伝子の開始部分にXbaI部位とSD配列を付加し、かつ終止コドンの後ろにHindIII部位を付加した二本鎖DNAを以下の方法により取得した。primer-15(tgtctagacacacaggaaacacatatgtcgagcaccg:配列番号18)およびprimer-16(agtaagcttatttactgcaaaccagccgtgtatccaaac:配列番号19)を用い、クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素遺伝子を含有するプラスミドpNTGDH−J3687(実施例15参照)を鋳型としてPCRを行い、二本鎖DNAを得た。この二本鎖DNAをXbaIおよびHindIIIで消化し、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子を含有するプラスミドpNTS1(WO98/035025参照)のXbaI、HindIII部位に挿入することにより、組換えベクターpNTS1G―Jを得た。本組換えベクターpNTS1G―JをE. coli HB101(宝酒造株式会社製)を形質転換し、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のデヒドロゲナーゼおよびクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素の2酵素共生産菌E. coli HB101 (pNTS1G-J)を得た。
(実施例20)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(2酵素共生産菌を組合せ使用)
実施例18及び19で得た2酵素共生産菌E. coli HB101 (pTSCSNX)および、E. coli HB101 (pNTS1G-J)をそれぞれ500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地(バクト・トリプトン 1.6%、バクト・イーストエキス 1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)に接種し、30℃で36時間振とう培養した。上記E. coli HB101 (pTSCSNX)および、E. coli HB101 (pNTS1G-J)の培養液50mlを遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)4mlに懸濁した。
上記E. coli HB101 (pTSCSNX)および、E. coli HB101 (pNTS1G-J)菌体懸濁液80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール70mg、グルコース114mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mgを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ20時間反応させた。反応終了後、実施例1記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%e.e.の(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールが収率97%で生成していた。
(実施例21)セルロモナス・スピーシーズ由来グリセロールデヒドロゲナーゼ遺伝子、キャンディダ・マグノリエ由来デヒドロゲナーゼ遺伝子、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス由来グルコース脱水素酵素遺伝子を含む組換えベクター、及び組換え大腸菌の作製(3酵素共生産菌)
セルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的なグルコース脱水素酵素(還元型補酵素を再生する酵素)の3酵素を大腸菌において共生産させるために、形質転換に用いる組換えベクターを作成した。
まず、セルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のデヒドロゲナーゼの構造遺伝子の開始部分にEcoRI部位とSD配列を付加し、かつ終止コドンの直後に新たな終止コドンとXbaI部位を付加した二本鎖DNAを以下の方法により取得した。primer-17(aagccgaattctaaggaggttaacaatgtccgaggttcccgtccg:配列番号20)及びprimer-18(ttgcgtctagattatcagtgggcggtgtgcttga:配列番号21)を用い、セルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のグリセロールデヒドロゲナーゼ遺伝子を含有するプラスミドpTSCS(WO05/123921参照)を鋳型としてPCRを行い、二本鎖DNAを得た。この二本鎖DNAをEcoRI及びXbaIで消化し、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子を含有するプラスミドpNTS1(WO98/035025参照)のEcoRI、XbaI部位に挿入することにより、組換えベクターpNTS1CSを得た。
次に、クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素の構造遺伝子の開始部分にXbaI部位とSD配列を付加し、かつ終止コドンの直後にHindIII部位を付加した二本鎖DNAを以下の方法により取得した。primer-19(aagcctctagataaggaggttaacaatgtcgagcaccgaatttca:配列番号22)及びprimer-20(ttgcgaagcttttagggaagcgtgtagccac:配列番号23)を用い、クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素遺伝子を含有するプラスミドpNTGDH−J3687(実施例15参照)を鋳型としてPCRを行い、二本鎖DNAを得た。この二本鎖DNAをXbaI及びHindIIIで消化し、上述のpNTS1CSのXbaI、HindIII部位に挿入することにより、組換えベクターpNTS1CSGPを得た。
本組換えベクターpNTS1CSGPを用いてE. coli HB101(宝酒造株式会社製)を形質転換し、3酵素共生産菌E. coli HB101 (pNTS1CSGP)を得た。
(実施例22)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(3酵素共生産菌と水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系を併用)
実施例21で得た3酵素共生産菌E. coli HB101 (pNTS1CSGP)を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地(バクト・トリプトン 1.6%、バクト・イーストエキス 1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)に接種し、30℃で36時間振とう培養した。上記培養液50mlを遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)4mlに懸濁した(12.5倍濃縮菌体)。
上記濃縮菌体80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール70mg、グルコース114mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、及び実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼ300Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ21時間反応させた。反応終了後、実施例1記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%e.e.の(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールが収率100%で生成していた。
(実施例23)(S)−1,2−プロパンジオールの合成(3酵素共生産菌と水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系を併用)
実施例22で得た濃縮菌体80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の1,2−プロパンジオール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、及び実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ300Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ21時間反応させた。反応終了後、反応液を硫酸アンモニウムで飽和させてから、酢酸エチルを加えて抽出を行い、抽出液中に残存する1,2−プロパンジオール含量をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析し、収率を算出した。また、上記生成物をトリフルオロアセチル化した後、キャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析し、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%e.e.の(S)−1,2−プロパンジオールが収率98%で生成していた。
[含量の分析条件]
カラム:HP−5 30m×0.32mmI.D.(Agilent Technologies社製)
検出:FID
カラム温度:70℃
注入温度:150℃
検出温度:150℃
キャリアーガス:ヘリウム(150kPa)
スプリット比:100/1
[光学純度の分析条件]
カラム:Chiradex G−PN(30m×0.25mm)(ASTEC社製)
カラム温度:70℃
注入温度:150℃
検出温度:150℃
キャリアーガス:ヘリウム(130kPa)
スプリット比:100/1
(実施例24)(S)−1,2−ブタンジオールの合成(3酵素共生産菌と水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系を併用)
実施例22で得た濃縮菌体80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の1,2−ブタンジオール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、及び実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ300Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ5時間反応させた。反応終了後、実施例23記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%e.e.の(S)−1,2−ブタンジオールが収率98%で生成していた。
(実施例25)(S)−1,2−ペンタンジオールの合成(3酵素共生産菌と水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系を併用)
実施例22で得た濃縮菌体80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の1,2−ペンタンジオール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、及び実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ300Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ2時間反応させた。反応終了後、実施例23記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%e.e.の(S)−1,2−ペンタンジオールが収率96%で生成していた。
(実施例26)(S)−1,2−ヘキサンジオールの合成(3酵素共生産菌と水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系を併用)
実施例22で得た濃縮菌体80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の1,2−ヘキサンジオール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、及び実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ300Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ5時間反応させた。反応終了後、実施例23記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%e.e.の(S)−1,2−ヘキサンジオールが収率98%で生成していた。
(実施例27)(S)−4−メチル−1,2−ペンタンジオールの合成(3酵素共生産菌と水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系を併用)
実施例22で得た濃縮菌体80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の4−メチル−1,2−ペンタンジオール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、及び実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ300Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ27時間反応させた。反応終了後、実施例23記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度81.3%e.e.の(S)−4−メチル−1,2−ペンタンジオールが収率100%で生成していた。
(実施例28)(S)−1−フェニル−1,2−エタンジオールの合成(3酵素共生産菌と水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系を併用)
実施例22で得た濃縮菌体80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の1−フェニル−1,2−エタンジオール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、及び実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ300Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ27時間反応させた。反応終了後、実施例23記載と同様の方法(含量分析:カラム温度 150℃、光学純度分析:カラム温度 80℃)で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度93.3%e.e.の(S)−1−フェニル−1,2−エタンジオールが収率100%で生成していた。
(実施例29)(S)−4−フェニル−1,2−ブタンジオールの合成(3酵素共生産菌と水生成型NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系を併用)
実施例22で得た濃縮菌体80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の4−フェニル−1,2−ブタンジオール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、及び実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ300Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ27時間反応させた。反応終了後、実施例23記載と同様の方法(含量分析:カラム温度 180℃、光学純度分析:カラム温度 115℃)で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%e.e.の(S)−4−フェニル−1,2−ペンタンジオールが収率97%で生成していた。
(実施例30)(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系、及びNADP+特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用)
E. coli HB101 (pTSOB) FERM BP−10461、及びE. coli HB101 (pNTGDH-J3687) FERM P−20374(実施例15参照)を、100μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(バクト・トリプトン 1.6%、バクト・イーストエキス 1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)でそれぞれ培養し、集菌後100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。その後UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて超音波破砕し、遠心分離により破砕残渣を除去してオクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素を調製した。
300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール70mg、グルコース114mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、前記オクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)7U(3−クロロ−1,2−プロパンジオール酸化活性として)、実施例14で得たロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)600U(3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン還元活性として)、実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)300U、及び前記クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(還元型補酵素を再生する酵素)25Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ29時間反応させた。反応終了後、実施例1記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度99.2%e.e.の(S)−3−クロロ1,2−プロパンジオールが収率92%で生成していた。
(実施例31)(R)−2−ペンタノールの合成(NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系、及びNADP+特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用)
300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の2−ペンタノール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、実施例30で得たオクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)7U(3−クロロ−1,2−プロパンジオール酸化活性として)、実施例11で得たキャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)100U(3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン還元活性として)、実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)300U、及び実施例30で得たクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(還元型補酵素を再生する酵素)30Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ2時間反応させた。反応終了後、実施例23記載と同様の方法(含量分析、光学純度分析:カラム温度 30℃)で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%e.e.の(R)−2−ペンタノールが収率100%で生成していた。
(実施例32)(R)−1−フェニルエタノールの合成(NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系、及びNADP+特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用)
300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の1−フェニルエタノール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、実施例30で得たオクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)7U(3−クロロ−1,2−プロパンジオール酸化活性として)、実施例11で得たキャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)100U(3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン還元活性として)、実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)300U、及び実施例30で得たクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(還元型補酵素を再生する酵素)30Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ2時間反応させた。反応終了後、実施例14記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度99.7%e.e.の(R)−1−フェニルエタノールが収率98%で生成していた。
(実施例33)(R)−1,3−ブタンジオールの合成(NADHオキシダーゼを用いた酸化型補酵素再生系、及びNADP+特異的グルコース脱水素酵素を用いた還元型補酵素再生系を併用)
300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の1,3−ブタンジオール10mg、グルコース40mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、実施例30で得たオクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)7U(3−クロロ−1,2−プロパンジオール酸化活性として)、実施例11で得たキャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)100U(3−クロロ−1−ヒドロキシアセトン還元活性として)、実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)300U、及び実施例30で得たクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素(還元型補酵素を再生する酵素)30Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ8時間反応させた。反応終了後、実施例4記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度76.8%e.e.の(R)−1,3−ブタンジオールが収率70%で生成していた。
(実施例34)オクロバクトラム・スピーシーズ由来デヒドロゲナーゼ遺伝子、ロドトルラ・グルチニス由来デヒドロゲナーゼ遺伝子、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス由来グルコース脱水素酵素遺伝子を含む組換えベクター、及び組換え大腸菌の作製(3酵素共生産菌)
オクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.)由来のNAD+特異的なデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的なグルコース脱水素酵素(還元型補酵素を再生する酵素)の3酵素を大腸菌において共生産させるために、形質転換に用いる組換えベクターを作成した。
まず、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)由来のデヒドロゲナーゼの構造遺伝子の開始部分にBamHI部位とSD配列を付加し、かつ終止コドンの直後に新たな終止コドンとXbaI部位を付加した二本鎖DNAを以下の方法により取得した。配列primer-21(aagccggatcctaaggaggttaacaatgcccgcagcaaagactta:配列番号24)及びprimer-22(ttgcgtctagattactaccacggcacggtcttgc:配列番号25)を用い、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子を含有するプラスミドpNTRG(WO03/093477参照)を鋳型としてPCRを行い、二本鎖DNAを得た。この二本鎖DNAをBamHI及びXbaIで消化し、オクロバクトラム・スピーシーズ(Ochrobactrum sp.)由来のデヒドロゲナーゼ遺伝子を含有するプラスミドpTSOB(図2参照)のBamHI、XbaI部位に挿入することにより、組換えベクターpTSOBRGを得た。
次に、クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素の構造遺伝子の開始部分にXbaI部位とSD配列を付加し、かつ終止コドンの直後にSphI部位を付加した二本鎖DNAを以下の方法により取得した。前記primer-19(配列番号22)及びprimer-23(ttgcggcatgcttactgcaaaccagccgtgt:配列番号26)を用い、クリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的グルコース脱水素酵素遺伝子を含有するプラスミドpNTGDH−J3687(実施例15参照)を鋳型としてPCRを行い、二本鎖DNAを得た。この二本鎖DNAをXbaI及びSphIで消化し、上述のpTSOBRGのXbaI、SphI部位に挿入することにより、組換えベクターpTSOBRGGPを得た。本組換えベクターpTSOBRGGPを用いてE. coli HB101(宝酒造株式会社製)を形質転換し、3酵素共生産菌E. coli HB101 (pTSOBRGGP)を得た。
(実施例35)(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(三3酵素共生産菌と水生成型NADHオキシダーゼを併用)
実施例34で得た3酵素共生産菌E. coli HB101 (pTSOBRGGP)を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地(バクト・トリプトン 1.6%、バクト・イーストエキス 1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)に接種し、30℃で36時間振とう培養した。上記培養液50mlを遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)4mlに懸濁した(12.5倍濃縮菌体)。
上記濃縮菌体80μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール70mg、NAD+ 1mg、NADP+ 1mg、及び実施例9で得たストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来水生成型NADHオキシダーゼ300Uを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ27時間反応させた。反応終了後、実施例1記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度99.8%e.e.の(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールが収率100%で生成していた。
(実施例36)セルロモナス・スピーシーズ由来グリセロールデヒドロゲナーゼ遺伝子、ストレプトコッカス・ミュータンス由来NADHオキシダーゼ遺伝子、キャンディダ・マグノリエ由来デヒドロゲナーゼ遺伝子、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス由来グルコース脱水素酵素遺伝子を含む組換えベクター、及び組換え大腸菌の作製(4酵素共生産菌)
セルロモナス・スピーシーズ(Cellulomonas sp.)由来のNAD+特異的なグリセロールデヒドロゲナーゼ(酸化酵素)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)由来の水生成型NADHオキシダーゼ(酸化型補酵素を再生する酵素)、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoriae)由来のNADPH特異的なデヒドロゲナーゼ(還元酵素)、及びクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)由来のNADP+特異的なグルコース脱水素酵素(還元型補酵素を再生する酵素)の4酵素を大腸菌において共生産させるために、形質転換に用いる組換えベクターを作成した。
まず、水生成型NADHオキシダーゼの構造遺伝子の開始部分にHindIII部位とSD配列を付加し、かつ終止コドンの直後に新たな終止コドンとHindIII部位を付加した二本鎖DNAを以下の方法により取得した。合成プライマーprimer-24(aagccaagctttaaggaggttaacaatgagtaaaatcgttattgt:配列番号27)及びprimer-25(ttgccaaaataagtttctcatagcttt:配列番号28)の組み合わせ、更にprimer-26(aaagctatgagaaacttattttggcaa:配列番号29)及びprimer-27(ttgcgaagcttttatcatttagcttttaatgctg:配列番号30)の組み合わせで、水生成型NADHオキシダーゼ遺伝子を含有するプラスミドpNTNXを鋳型としてPCRを行い、それぞれ二本鎖DNA(c),(d)を合成した。更に前記primer-16(配列番号19)及び前記primer-19(配列番号22)を用い、上記で得た二本鎖DNA(c),(d)の混合物を鋳型にPCRを行い、二本鎖DNAを得た。得られたDNA断片をHindIIIで消化し、実施例21に記載のプラスミドpNTS1CSGPのHindIII部位に挿入することにより、組換えベクターpNTS1CSGPNXを得た。本組換えベクターpNTS1CSGPNXを用いてE. coli HB101を形質転換し、4酵素共生産菌E. coli HB101 (pNTS1CSGPNX)を得た。
(実施例37)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(4酵素共生産菌を使用)
実施例36で得た4酵素共生産菌E. coli HB101 (pNTS1CSGPNX)を500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2×YT培地(バクト・トリプトン 1.6%、バクト・イーストエキス 1.0%、NaCl 0.5%、pH7.0)に接種し、30℃で36時間振とう培養した。上記E. coli HB101 (pTSCSNX)および、E. coli HB101 (pNTS1G-J)の培養液50mlを遠心分離により集菌し、100mMリン酸緩衝液(pH7.0)4mlに懸濁した。
上記E. coli HB101 (pNTS1CSGPNX)菌体懸濁液120μl、300mMリン酸カリウム緩衝液、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール70mg、グルコース114mg、NAD +1mg、NADP +1mgを含む反応液1mlを試験管中で20℃で振盪し、5Mの水酸化ナトリウムでpHを7に調整しつつ20時間反応させた。反応終了後、実施例1記載の方法で分析し、収率、光学純度を算出した。その結果、光学純度100%e.e.の(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールが収率95%で生成していた。
(比較例1)(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(酸化反応)
実施例2で得たE. coli HB101 (pTSCS)の無細胞抽出液1ml、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール10mg、及びNAD+ 35mgを栓付試験管に添加し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液によりpH8.0に調整しながら、30℃で92時間攪拌した。反応終了後、実施例1と同様の方法で分析を行った結果、収率は60%、光学純度は48.6%e.e.(R)であった。
(比較例2)酸化型補酵素の再生に大腸菌のNAD再生能を利用した、(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(酸化反応)
実施例1で得たE. coli HB101 (pTSCS)の培養液1ml、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール10mgを栓付試験管に添加し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液によりpH8.0に調整しながら、30℃で92時間攪拌した。反応終了後、比較例1と同様の方法で分析を行った結果、収率41%、光学純度は99.8%e.e.(R)であった。
(比較例3)酸化型補酵素の再生にアミノ酸脱水素酵素を利用した、(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(酸化反応)
実施例2で得たE. coli HB101 (pTSCS)の無細胞抽出液1ml、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール10mg、NAD+ 1.0mg、ロイシン脱水素酵素(SIGMA社製)10U、α−ケトイソ吉草酸ナトリウム15.2mg、及び塩化アンモニウム5.3mgを栓付試験管に添加し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液によりpH8.0に調整しながら、30℃で92時間攪拌した。反応終了後、比較例1と同様の方法で分析を行った結果、収率37%、光学純度は97.1%e.e.(R)であった。
(比較例4)酸化型補酵素の再生にNADHオキシダーゼを利用した、(R)−3−クロロ−1,2−プロパンジオールの合成(酸化反応)
実施例2で得たE. coli HB101 (pTSCS)の無細胞抽出液1ml、ラセミ体の3−クロロ−1,2−プロパンジオール10mg、NAD+ 1.0mg、過酸化水素生成型NAD Hオキシダーゼ(SIGMA社製)1U、及びカタラーゼ(SIGMA社製)20Uを栓付試験管に添加し、2Mの水酸化ナトリウム水溶液によりpH8.0に調整しながら、30℃で92時間攪拌した。反応終了後、比較例1と同様の方法で分析を行った結果、41%、光学純度は64.9%e.e.(R)であった。

Claims (34)

  1. 2級アルコールのエナンチオマー混合物を、実質的に単一なエナンチオマーからなる光学活性2級アルコールに変換する光学活性2級アルコールの製造方法であって、下記(1)の性質を有する酸化酵素源と下記(2)の性質を有する還元酵素源の共存下に、上記変換反応を行うことを特徴とする製造方法:
    (1)酸化酵素源は、酸化型補酵素NAD+又はNADP+のうち一方に特異性を示し、且つ、2級アルコールのS体又はR体のうち一方のエナンチオマーを選択的に酸化して、対応するケトン化合物を生成する活性を有する、
    (2)還元酵素源は、還元型補酵素NADPH又はNADHの一方に特異性を示し(ここで、酸化酵素源がNAD+に特異的な場合は、還元酵素源はNADPHに特異的であり、酸化酵素源がNADP+に特異的な場合には、還元酵素源はNADHに特異的である)、かつ、酸化酵素源とは逆のエナンチオ選択性を有し、前記ケトン化合物を還元してS体(又はR体)の2級アルコールを生成する活性を有する。
  2. 酸化酵素源が酸化型補酵素NAD+に特異性を示し、還元酵素源が還元型補酵素NADPHに特異性を示す請求項1記載の製造方法
  3. 酸化型補酵素の再生系、及び/又は、還元型補酵素の再生系を組み合わせて上記変換反応を行う、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 上記酸化酵素源として当該酸化酵素を生産する微生物菌体を用い、上記酸化型補酵素の再生に、微生物細胞内のNAD+又はNADP+の再生能を利用することを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 上記酸化酵素を産生する微生物が組換え大腸菌である請求項4記載の製造方法。
  6. 上記酸化型補酵素の再生にNADHオキシダーゼ、NADPHデヒドロゲナーゼ、又はアミノ酸デヒドロゲナーゼを用いることを特徴とする、請求項3記載の製造方法。
  7. 上記NADHオキシダーゼが水生成型NADHオキシダーゼである請求項6記載の製造方法。
  8. 水生成型のNADHオキシダーゼがストレプトコッカス(Streptococcus)属に属する微生物由来の酵素である請求項7記載の製造方法。
  9. ストレプトコッカス属微生物がストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)である請求項8記載の製造方法。
  10. ストレプトコッカス・ミュータンスがストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans) NCIB11723である請求項9記載の製造方法。
  11. 上記還元型補酵素の再生にグルコース脱水素酵素、蟻酸脱水素酵素又はグルコース6−リン酸脱水素酵素を用いることを特徴とする、請求項3記載の製造方法。
  12. 上記グルコース脱水素酵素がNADP+に特異的なグルコース脱水素酵素である請求項11記載の製造方法。
  13. NADP+に特異的なグルコース脱水素酵素がクリプトコッカス(Cryptococcus)属に属する微生物由来の酵素である請求項12記載の製造方法。
  14. クリプトコッカス属微生物がクリプトコッカス・ユニグツラタス(Cryptococcus uniguttulatus)である請求項14記載の製造方法。
  15. 酸化酵素源として、下記の(A)及び(B)の酵素を同一宿主細胞内で発現させた組換え微生物細胞を用いる、請求項3記載の製造方法:
    (A)酸化型補酵素NAD+に特異性を示し、且つ、2級アルコールのS体又はR体のうち一方のエナンチオマーを選択的に酸化して対応するケトン化合物を生成する活性を有する酵素、
    (B)酸化型補酵素NAD+を再生する能力を有する酵素。
  16. 酸化型補酵素NAD+を再生する能力を有する酵素がNADHオキシダーゼである請求項15記載の製造方法。
  17. NADHオキシダーゼが水生成型NADHオキシダーゼである請求項16記載の製造方法。
  18. 還元酵素源として、下記の(C)及び(D)の酵素を同一宿主細胞内で発現させた組換え微生物細胞を用いる、請求項(3)記載の製造方法:
    (C)還元型補酵素NADPHに特異性を示し、且つ、ケトン化合物を立体選択的に還元してS体又はR体の2級アルコールを生成する酵素、
    (D)還元型補酵素NADPHを再生する能力を有する酵素。
  19. 還元型補酵素NADPHを再生する能力を有する酵素がグルコース脱水素酵素である請求項18記載の製造方法。
  20. グルコース脱水素酵素がNADP+に特異的なグルコース脱水素酵素である請求項19記載の製造方法。
  21. 酸化酵素源及び還元酵素源として、下記の(A)及び(C)の酵素を同一宿主細胞内で発現させた組換え微生物細胞を用いる、請求項3記載の製造方法:
    (A)酸化型補酵素NAD+に特異性を示し、且つ、2級アルコールのS体又はR体のうち一方のエナンチオマーを選択的に酸化して対応するケトン化合物を生成する活性を有する酵素、
    (C)還元型補酵素NADPHに特異性を示し、且つ、ケトン化合物を立体選択的に還元してS体又はR体の2級アルコールを生成する酵素。
  22. 前記(A)及び(C)の酵素に加え、下記(B)の酵素を同一宿主細胞内で発現させた組換え微生物細胞を用いる、請求項21記載の製造方法:
    (B)酸化型補酵素NAD+を再生する能力を有する酵素。
  23. 前記(A)及び(C)の酵素に加え、下記の(D)の酵素を同一宿主細胞内で発現させた組換え微生物細胞を用いる、請求項21記載の製造方法:
    (D)還元型補酵素NADPHを再生する能力を有する酵素。
  24. 前記(A)、(C)の酵素に加え、下記(B)及び(D)の酵素を同一宿主細胞内で発現させた組換え微生物細胞を用いる、請求項21記載の製造方法:
    (B)酸化型補酵素NAD+を再生する能力を有する酵素、
    (D)還元型補酵素NADPHを再生する能力を有する酵素。
  25. 下記の(A)及び(B)の酵素を同一宿主細胞内で発現させた組換え微生物:
    (A)酸化型補酵素NAD+に特異性を示し、且つ、2級アルコールのS体又はR体のうち一方のエナンチオマーを選択的に酸化して、対応するケトン化合物を生成する活性を有する酵素、
    (B)酸化型補酵素NAD+を再生する能力を有する酵素。
  26. 酸化型補酵素NAD+を再生する能力を有する酵素がNADHオキシダーゼである請求項25記載の組換え微生物。
  27. NADHオキシダーゼが水生成型NADHオキシダーゼである請求項25記載の組換え微生物
  28. 下記の(C)及び(D)の酵素を同一宿主細胞内で発現させた組換え微生物:
    (C)還元型補酵素NADPHに特異性を示し、且つ、ケトン化合物を立体選択的に還元してS体又はR体の2級アルコールを生成する酵素、
    (D)還元型補酵素NADPHを再生する能力を有する酵素。
  29. 還元型補酵素NADPHを再生する能力を有する酵素がグルコース脱水素酵素である請求項28記載の組換え微生物。
  30. グルコース脱水素酵素がNADP+に特異的なグルコース脱水素酵素である請求項29記載の組換え微生物。
  31. 下記の(A)又は(C)の酵素を同一宿主細胞内で発現させた組換え微生物:
    (A)酸化型補酵素NAD+に特異性を示し、且つ、2級アルコールのS体又はR体のうち一方のエナンチオマーを選択的に酸化して、対応するケトン化合物を生成する活性を有する酵素、
    (C)還元型補酵素NADPHに特異性を示し、且つ、(A)の酵素とは逆のエナンチオ選択性を有し、前記ケトン化合物を立体選択的に還元してS体又はR体の2級アルコールを生成する酵素。
  32. 前記(A)及び(C)の酵素に加え、下記(B)の酵素を同一宿主細胞内で発現する請求項31記載の組換え微生物:
    (B)酸化型補酵素NAD+を再生する能力を有する酵素。
  33. 前記(A)及び(C)の酵素に加え、下記(D)の酵素を同一宿主細胞内で発現する請求項31記載の組換え微生物:
    (D)還元型補酵素NADPHを再生する能力を有する酵素。
  34. 前記(A)及び(C)の酵素に加え、下記の(B)及び(D)の酵素を同一宿主細胞内で発現する請求項31記載の組換え微生物:
    (B)酸化型補酵素NAD+を再生する能力を有する酵素、
    (D)還元型補酵素NADPHを再生する能力を有する酵素。
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