JPWO2006080319A1 - 金属超微粒子含有樹脂組成物及び該組成物の製造方法 - Google Patents

金属超微粒子含有樹脂組成物及び該組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

金属超微粒子が均一に分散したビニル系樹脂組成物を提供する。有機基を有する金属錯体と、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーとの混合物を、金属錯体の熱分解温度以上に加熱して金属超微粒子含有樹脂組成物を生成させる。有機基を有する金属錯体を特定官能基を有する樹脂中で錯体の分解温度以上に加熱することにより該樹脂中に金属粒子が極めて微細に分散することができる。これにより、例えば平均粒子径が100nm未満の金属超微粒子が均一に分散した組成物を得ることができる。

Description

本発明は、金属超微粒子含有樹脂組成物に関する。より詳しくは、有機基を有する金属錯体と、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーとを混合し加熱して得られる金属超微粒子含有樹脂組成物及び該組成物の製造方法に関する。
粒子径が100nm未満の金属超微粒子は、100nm以上の粒子径をもつ金属粒子にない特性を有し、様々な用途が考えられる。例えば、金超微粒子は512nmの波長の光を吸収する特性を有する(表面プラズモン現象)。そのため金超微粒子分散液は512nmの補色である赤色を呈し、金超微粒子を含有した樹脂やペーストは光学材料や塗料としての用途が考えられる。また、数十nmの金属超微粒子は融点が低く200℃未満で融解することから、電子材料のプリント基板用の低温焼成導電ペーストとして応用されている。
一般的な金属超微粒子の製造方法としては、気相法と液相法、錯体の熱分解による合成法が知られている。気相法は、原料となる金属を高真空中で加熱し気化させ、金属超微粒子を捕集する方法である(特許文献1)。
しかしながら、金属を気化させる為にプラズマやレーザー、電子ビーム等の高価な装置を用いる必要がある。また少量の金属超微粒子しか得られない等の問題がある。液相法は、溶媒に溶解した金属錯体を還元剤で還元し金属超微粒子を得る方法であり、気相法よりも大量生産に向き、安価に金属超微粒子を製造できる(非特許文献1)。
しかしながら、得られた金属超微粒子は超微粒子同士の凝集が強く、樹脂への相溶性も低いため、樹脂中に均一に分散性させることは難しい。錯体の熱分解による方法は、分解温度の低い金属錯体を熱分解し金属超微粒子を簡便に合成する方法である(特許文献2)。
しかしながら、そのように合成した金属超微粒子と樹脂とを複合化しようとしても、修飾剤と樹脂との極性や粘度の違いにより、均一に金属超微粒子が分散した樹脂組成物は得ることができなかった。また、上記の方法により合成した金属超微粒子を、有機化処理剤を用いて処理し樹脂への相溶性を高め樹脂に溶融混練する方法が考えられるが、金属超微粒子同士の強い凝集力のため、金属超微粒子同士が一粒ずつ分離し均一に分散した樹脂組成物は得ることができない。
金属超微粒子の分散した樹脂組成物を製造する方法としては、金属超微粒子表面から樹脂を重合する方法(非特許文献2、3)、樹脂存在下金属超微粒子を合成する方法等(非特許文献4)がある。しかしながらこれらの方法は、製法が煩雑なため大量生産に不適である等の問題がある。
特開昭60−78635号公報 特開平10−183207号公報 K.Matsumoto et al.,「J.Soc.Powder Technol.Jpn.」,2003年,第41巻,第7号,489頁 T.K.Mandal et al.,「Nano Lett.」,2003年,第2巻,3頁 S.Hirano et al.,「J.Eur.Ceram.Soc.」,2001年,第21巻,1479頁 S.Ogawa et al.,「Jpn.J.Appl.Phys.」,1994年,第33巻,L331
金属超微粒子が凝集なく樹脂中に均一に分散した組成物は有用であるが、現状では工業的にはこのような樹脂組成物は得られていない。本発明の課題は、簡便にかつ大量に製造可能な金属超微粒子含有樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、有機基を有する金属錯体と、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーとの混合物を、金属錯体の熱分解温度以上に加熱して成ることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物に関する。
好適な実施態様としては、有機基を有する金属錯体の金属原子が、遷移金属元素、3B族および4B族の金属元素、ランタノイド類ならびにアクチノイド類からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物、 有機基を有する金属錯体が、有機酸金属塩、有機金属化合物および金属アルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーが、可逆的付加脱離連鎖移動重合法によって合成されたポリマーであることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物、
樹脂組成物が熱可塑性であることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物、
加熱温度が、有機基を有する金属錯体の分解開始温度以上、かつ完全分解温度未満の温度であることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物、
金属超微粒子の数平均粒子径が0.1nm〜100nmの範囲であることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物、
有機溶媒の存在下に有機基を有する金属錯体を熱分解することを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物、
熱可塑性樹脂を更に含有することを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物が挙げられる。
また、本発明は、有機基を有する金属錯体と、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーとを混合した後、該混合物を金属錯体の熱分解温度以上に加熱して、金属超微粒子を生成させることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物の製造方法に関する。
本発明においてはメルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーの存在下に金属超微粒子を生成させるため、金属超微粒子が均一分散した樹脂組成物を大量に、かつ簡便に製造することが可能である。またメルカプト基を末端に有するポリマーと熱可塑性樹脂との相溶性を調整することにより、モルフォロジーを制御した金属超微粒子含有樹脂組成物を得ることができる。さらにメルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーの分子量や使用量を調節することにより、金属超微粒子の粒子径を制御することが可能となる。還元法ではなく熱分解法により金属超微粒子を生成するため、適用範囲が広い。
本発明の金属超微粒子含有樹脂組成物は、有機基を有する金属錯体と、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーとを混合して加熱し、金属錯体の熱分解により金属超微粒子を生成させて得られるものである。
本発明で用いる有機基を有する金属錯体は、金属原子と有機基からなる錯体であり、その他の元素を含んでいても良い。金属成分は、アルカリ金属、アルカリ土類金属を除く金属元素であればよい。これら金属元素のうち、遷移金属元素、3B族〜4B族の金属元素、ランタノイド類、アクチノイド類は、これらの金属元素を有する錯体が加熱により金属超微粒子を生成させる性質を有することから好ましい。
なかでもCu、Ag、Au、Zn、In、Si、Ge、Sn、Pd、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Ir、Pt、Mn、Zrが、得られる金属超微粒子の特性、および入手性の点でより好ましい。本発明で使用する有機基を有する錯体としては特に限定されないが、有機酸金属塩、金属アルコキシド、または有機金属化合物が入手性の点で好ましい。
有機酸金属塩は、有機酸と金属イオンとの塩であり特に限定されないが、例えば脂肪族カルボン酸金属塩、脂環式カルボン酸金属塩、芳香族カルボン酸金属塩、脂肪族スルホン酸金属塩、脂環式スルホン酸金属塩、芳香族スルホン酸金属塩、脂肪族ホスホン酸金属塩、脂環式ホスホン酸金属塩、芳香族ホスホン酸金属塩などを挙げることができる。これらのうち入手性の点で上記金属の酢酸塩、ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、アセチル酢酸塩が好ましい。
金属アルコキシドとしては特に限定されないが、上記金属のメトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、イソプロポキシド、n−ブトキシド、t−ブトキシド、フェノキシドが入手性の点で好ましい。本発明において有機金属化合物とは、金属原子と炭素原子またはリン原子の結合が存在している化合物を指し、特に限定されないが例えばアルキル化金属化合物、アリール化金属化合物、ホスフィン化金属化合物などを挙げることができる。
このような有機金属化合物のうち入手性の点で、メチル金属化合物、エチル金属化合物、イソプロピル金属化合物、n−ブチル金属化合物、t−ブチル金属化合物、シクロペンタジエニル金属化合物、フェニル金属化合物、インデニル金属化合物、シクロオクタジエニル金属化合物、トリフェニルホスフィノ金属化合物、トリブチルホスフィノ金属化合物、トリエチルホスフィノ金属化合物が好ましい。
本発明で使用する有機基を有する金属錯体は単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。複数を組み合わせて使用する場合には、金属超微粒子を合金とすることが可能である。本発明においては有機基を有する金属錯体を加熱により熱分解させるため、その分解温度はメルカプト基を有するビニル系ポリマーの分解温度以下である必要があるが、低すぎると取り扱いが困難となるため、分解温度としては100℃〜250℃の範囲が好ましい。
本発明で使用する有機基を有する金属錯体の量は、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマー100重量部に対して、0.1〜300重量部となるように用いるのが望ましい。より好ましくは、1〜150重量部である。金属錯体の量が0.1重量部より少ないと金属超微粒子の物性を発現できない。一方、金属錯体の量が300重量部を超えると、金属錯体の量が多すぎ加熱生成した金属粒子が粗大になる。
本発明の樹脂組成物中に含まれる金属超微粒子は、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーの存在下で合成されるものである。メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーを存在させることにより、金属超微粒子の生成時に金属超微粒子同士が凝集したり融着したりするのを防止できるので、粒径が小さくかつ均一に制御された金属超微粒子を容易に合成することが可能である。また金属超微粒子の表面をメルカプト基を有するビニル系ポリマーによって修飾することにより、樹脂中との相溶性が向上するため、金属超微粒子が均一に樹脂組成物に分散した組成物を得ることができる。
本発明で使用するメルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーとしては特に限定されず、末端にメルカプト基を有しモノマーユニットが10個以上つながった構造の化合物を使用可能である。ポリマー構造としては直鎖状、枝状、デンドリマー、ハイパーブランチなど限定されないが、ナノ粒子を修飾する効率が高い点で直鎖状ポリマーが好ましい。またポリマーの1次構造も特に限定されず、単独重合体、ブロック重合体、ランダム重合体、傾斜重合体などいずれも使用可能であり、シンジオタクチックポリマー、イソタクチックポリマー、ヘテロタクチックポリマーなど立体規則性ポリマーも使用可能である。
このようなポリマーの具体例としては、チオ酢酸の存在下に酢酸ビニルを重合し、次いで末端基を加水分解させて得られるポリマーや、J.Am.Chem.Soc.,2001年,第123巻,10411頁に記載されているようなメルカプト基を有するポリスチレンなどを挙げることができる。
本発明で使用する末端にメルカプト基を有するビニル系ポリマーは、メルカプト基を容易にかつ確実に導入でき、分子量や分子量分布の制御が可能である点で、可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)重合の後、処理剤により末端メルカプト化されたポリマーが最も好ましい。すなわちチオカルボニルチオ化合物の存在下にビニル系モノマーをラジカル重合することにより、チオカルボニルチオ基を有するポリマーを合成し、続いて処理剤を用いてチオカルボニルチオ基の結合を切断しメルカプト基を生成させることにより、末端にメルカプト基を有するビニル系ポリマーを得ることができる。以下にRAFT重合により得られる末端にメルカプト基を有するポリマーについて説明する。
上記RAFT重合に供するモノマーとしては特に限定されないが、例えば以下の化合物を挙げることができる:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、2−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、2−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸アリルなどのアクリル酸エステル系モノマー;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2‐メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸2‐ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸アリルなどのメタクリル酸エステル系モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウムなど;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系モノマー;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、けい皮酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物およびその誘導体;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物など。
これらモノマーは単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。使用するモノマーは、最終的に得られる金属超微粒子含有樹脂組成物の要求特性に応じて選択すればよい。
本発明において適用する上記RAFT重合方法は、その形式に関しては特に限定されず、例えば塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、微細懸濁重合などを適用することができる。塊状重合以外の場合に使用する媒体(溶媒)としては特に限定されず、ラジカル重合において一般的に使用されているものを使用することができる。入手性および重合の容易さの点で、水、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトンが好ましい。
RAFT重合の実施に関しては一般的に知られている方法を採用すればよいが、典型的には以下のように行う。反応器に上記チオカルボニルチオ化合物、重合開始剤、単量体、必要に応じて媒体(溶媒)を入れ、系内の酸素を常法により除去した後、不活性ガス雰囲気で加熱撹拌する。RAFT重合の特徴として、単量体/チオカルボニルチオ化合物の仕込み比と単量体の反応率に応じて、得られるポリマーの分子量が決まるため、所望の分子量のポリマーを得ることができる。
本発明の実施においては、上記RAFT重合で得られるチオカルボニルチオ基を有するビニル系ポリマーを処理剤により処理し、片末端にメルカプト基を有するビニル系ポリマーを得る。このような処理剤としては限定されないが、反応効率が高い点で、塩基性化合物、還元剤、または水素−窒素結合含有化合物が好ましい。
上記処理剤のうち、塩基性化合物としては特に限定されないが、金属水酸化物、金属アルコキサイド、金属水素化物、強塩基と弱酸の無機塩、有機金属試薬、3級アミン化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属を挙げることができる。上記処理剤のうち還元剤としては特に限定されないが、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、LiAlH4、NaBH4、LiBEt3H、水素などを挙げることができる。
上記処理剤のうち水素‐窒素結合含有化合物としては特に限定されないが、例えばアンモニア、ヒドラジン、1級アミン系化合物、2級アミン系化合物、アミド系化合物、アミン塩酸塩系化合物、水素‐窒素結合含有高分子、およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)などを挙げることができる。
これらの化合物のうち、反応の効率が高い点で、塩基、および水素‐窒素結合含有化合物から選択される化合物が好ましく、取り扱いが容易である点で水素‐窒素結合含有化合物がより好ましく、入手性および回収除去の容易さの点でモノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミンがさらに好ましい。
末端にメルカプト基を有するビニル系ポリマーの分子量は、使用する超微粒子の種類、粒子径、使用するポリマーの種類、粒子の添加量などにより好ましい範囲が異なるため限定されないが、重合反応の進行の容易さ、メルカプト基の導入率の点で数平均分子量として1000〜10万の範囲が好ましく、2000〜5万の範囲がより好ましい。
上記RAFT重合により製造される末端にメルカプト基を有するビニル系ポリマーは、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が通常1.5以下、一般的には1.3以下となる。分子量分布が狭くなると、金属超微粒子の分散性が向上し、樹脂組成物の透明性、成形性、機械物性が優れるなどの利点がある。
本発明の金属超微粒子含有樹脂組成物は、メルカプト基を有するビニル系ポリマー以外の熱可塑性樹脂を含有してもよい。このような樹脂成分は、金属超微粒子を熱分解により合成する際にあらかじめ混合しておいてもよく、金属超微粒子を合成した後に添加してもよい。金属超微粒子を合成した後に添加して混合する場合には、適当な溶媒を使用してもよく、あるいは溶融混練してもよい。本発明で使用するこのような熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、末端にメルカプト基を有するポリマーとの相溶性を調節することにより、金属超微粒子の分散性やモルフォロジーを制御することが可能となる。例えば共連続構造や海島構造の一方の相にのみ金属超微粒子を局在化させたり、樹脂組成物の表面に金属超微粒子を局在化させたりすることが可能となる。
本発明で使用する上記熱可塑性樹脂の具体例としては特に限定されないが、ポリスチレンなどの芳香族ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のポリメタアクリル酸エステル系樹脂やポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンや環状ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂及びこれらの誘導体樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂やポリアクリル酸系樹脂及びこれらの金属塩系樹脂、ポリ共役ジエン系樹脂、マレイン酸やフマル酸及びこれらの誘導体を重合して得られるポリマー、マレイミド系化合物を重合して得られるポリマー、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアルキレンオキシド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、フッ素系樹脂、液晶ポリマー、及びこれら例示されたポリマーのランダム・ブロック・グラフト共重合体などが挙げられる。
本発明の加熱温度は、金属錯体の分解開始温度以上で、かつ金属錯体の完全分解温度未満とする。この際、反応系中に存在するポリマーの分解開始温度未満、かつ反応溶媒の沸騰温度未満とするのが望ましい。金属錯体の分解開始温度とは、その金属錯体の有機質成分が分解し重量減少が始まる温度をいい、また完全分解温度とはその金属錯体の有機質成分が完全に分解してしまう温度をいう。この温度は、少量の有機基を有する金属錯体を容器内に計量し、熱重量分析装置を用いて不活性ガス雰囲気下一定速度で昇温しながら重量変化を測定する方法などにより測定することが可能である。
本発明の加熱時間は加熱温度等に応じて適宜選択することができ特に限定されないが、好ましくは、30分から2時間である。加熱時間が短い場合は製造した樹脂組成物中の金属超微粒子の含有量が少なくなり、時間が長い場合は金属超微粒子の粒子径が肥大する、または樹脂の分解が進み樹脂の特性が劣化する。
本発明の金属超微粒子含有樹脂組成物を製造する際、金属超微粒子が均一に分散する点で攪拌することが好ましい。このとき攪拌速度は特に限定されないが、系中が均一に攪拌され、かつ生成した金属超微粒子に適度なせん断力が加わる攪拌速度にすることが好ましい。均一に攪拌されずに局所的に攪拌されない部分があった場合には、その部分で粗大粒子が生成する可能性がある。また、攪拌速度が非常に遅く、せん断力が加わらない場合には、金属超微粒子の粒子径が大きくなる傾向が有る。具体的な好ましい攪拌速度は100rpmから5000rpmである。
金属超微粒子の数平均粒径は特に限定されないが、金属超微粒子の量子的特性が顕著となる点で0.1〜100nmの範囲が好ましく、0.5〜50nmがより好ましく、1〜20nmがさらに好ましい。
なお本発明における数平均粒径とは、透過型電子顕微鏡にて撮影された写真を用いて、少なくとも100個以上の粒子の粒子径を定規により測定して算出した数平均粒子径をいう。但し、電子顕微鏡で撮影された粒子の写真が円形でない場合には、粒子の占める面積を算出した後、同面積を有する円形に置き換えた際の円直径を用いて計算する。
本発明の金属超微粒子含有樹脂組成物を製造する際、適切な有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒を使用すると攪拌効率が向上するため金属超微粒子の粒子径および樹脂中への分散性が均一となるため好ましい。この様な有機溶媒としては特に限定されないが、加熱時に分解したり、系中の化合物と反応する有機溶媒は適さない。望ましい有機溶媒は、有機基を有する金属錯体の分解温度以上の沸騰温度を持ち、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーを溶解することができ、かつ有機基を有する金属錯体およびメルカプト基
を末端に有するビニル系ポリマーと反応しないものである。
このような好ましい有機溶媒の具体例として高沸点エーテル類や、長鎖アルキル基を有するアミン類、長鎖アルキル基を有するエステル類があり、反応性が低いことから高沸点エーテル類がより好ましい。
そのような高沸点エーテル化合物の具体例としては特に限定されないが、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ヘキシルペンチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジ(パラトリル)エーテル、ジ(メタトリル)エーテル、ジ(オルトトリル)エーテル、ジ(2,3−ジメチルフェニル)エーテル、ジ(2,6−)−ジメチルフェニル)エーテル、ジ(2,4,6−トリメチルフェニル)エーテル、2―クロロエチルフェニルエーテル、2−ブロモエチルフェニルエーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2,3−トリメトキシベンゼン、3,4,5−トリメトキシトルエン、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,2−ジメトキシナフタレン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールi―プロピルエーテル、ジエチレングリコールnーブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジiープロピルエーテル、ジプロピレングリコールジnーブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6などを挙げることができる。
中でも、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ヘキシルペンチルエーテル、ジフェニルエーテルが、入手性、沸点が高い点で好ましい。
本発明の有機溶媒の量は、系を均一に攪拌できるような粘度に調整できれば、特に限定されない。有機溶媒の量は、樹脂100重量部に対して、1〜100000重量部であり、より好ましくは、100〜10000重量部である。有機溶媒の量が1重量部より少ない場合は、系の粘度が高く均一に攪拌できないために、粗大な金属粒子が生成する場合がある。また、有機溶媒の量が、100000重量部を超えると経済的でない。
本発明での加熱雰囲気は特に限定するものではなく、空気中でも製造することができるが、樹脂成分の劣化を防止する目的で不活性ガス中、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素中で製造することが望ましい。
本発明では、金属超微粒子含有樹脂組成物を架橋することによって、熱硬化性樹脂を製造することもできる。架橋方法としては、製造した金属超微粒子含有樹脂組成物に、架橋剤を加え加熱する方法、電子線やUVを照射する方法、製造時に架橋剤を加え金属超微粒子を生成させると同時に樹脂を架橋する方法等がある。架橋剤は特に制限されないが、硫黄、過酸化物、金属酸化物、ジスルフィド基を有する硫黄化合物、キノンオキシム類、多官能アミン類等があり、メルカプト基を有するビニル系ポリマーによって適宜選択することができる。
更に本発明の樹脂組成物は、本発明の特性を損なわない範囲で強化充填剤を含有していてもよい。これにより耐熱性や機械的強度等の向上を図ることができる。このような強化充填剤としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等の繊維状充填剤;ガラスビーズ、ガラスフレーク;タルク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、スメクタイト、珪藻土等のケイ酸塩化合物;炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。なかでも、ケイ酸塩化合物及び繊維状充填剤が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物をより高性能なものにするため、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等の酸化防止剤;リン系安定剤等の熱安定剤;等を1種のみで又は2種類以上併せて使用することが好ましい。更に、必要に応じて、通常良く知られた、滑剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、ドリッピング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤等の添加剤を使用することもできる。
本発明の樹脂組成物の成形加工法としては特に限定されず、一般に用いられている成形法、例えば、フィルム成形、射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形、発泡成形等を利用することができる。また本発明の樹脂組成物は、種々の用途に好適に使用することができる。
以下、実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。

樹脂組成物中の金属超微粒子の数平均粒径測定:得られた樹脂組成物から、ウルトラミクロトーム(ライカ製ウルトラカットUCT)を用いて超薄切片を作成した後、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子JEM−1200EX)を用いて、倍率1万倍〜40万倍で金属超微粒子の分散状態を複数箇所で写真撮影した。得られたTEM写真において少なくとも100個以上の粒子で粒径を測定することにより、粒子の数平均粒径を算出した。
(製造例1)片末端にメルカプト基を有するポリメチルメタクリレートの製造
還流冷却管、窒素ガス導入管、温度計、磁気撹拌子を備えた反応器に、チオカルボニルチオ基を有する化合物としてクミルジチオベンゾエート0.1702g、単量体としてメチルメタクリレート50.0g、溶媒としてトルエン100.0g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.021gを入れ、窒素ガスをバブリングしながら系内を減圧する方法により脱酸素・窒素置換を行った。90℃で5時間撹拌し重合を行った。
70℃まで温度を下げ、n−ブチルアミン0.132mlを滴下し70℃で5時間攪拌した。冷却後、メタノール400mLに注いで重合体を析出させた。さらにメタノールで洗浄後乾燥し、末端にメルカプト基を有するポリメチルメタクリレート7.4gを得た。えられた重合体のGPC測定を行い、分子量および分子量分布を決定した(Mn=26000、Mw=31000、Mw/Mn=1.20)。
(製造例2)片末端にメルカプト基を有するポリスチレンの製造
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管を備えた100mL反応器に、スチレン27.0g、アゾビスイソブチロニトリル9mg、およびベンジルジチオベンゾエート68mgを入れ、系内を窒素置換した。反応液を撹拌しながら60℃で20時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、メタノール200mL中に注ぎ込み、Mw=16200、Mn=14000、Mw/Mn=1.16の重合体4.3gを得た。1H NMR測定の結果、チオカルボニルチオ構造はポリスチレンの片末端に導入されており、導入率は片末端基準で90%であることを確認した。得られたポリスチレン2gをトルエン40mLに溶解し、室温でGoodriteUV−3034(Goodrich製)0.5gと、ジエチルアミン1gとを添加し、50℃で4時間撹拌した後減圧脱揮した。得られた重合体の1H NMR測定から、片末端にメルカプト基を有するポリスチレンであることを確認した。
(実施例1)
有機基を有する金属錯体として銀アセチルアセトネート(シグマアルドリッチジャパン (株)製)0.08g、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーとして製造例1で得られたメルカプト基を片末端に有するポリメチルメタクリレート(Mn=26,000、Mn/Mw=1.2)2.6g、有機溶媒としてジフェニルエーテル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)10mlを用い、窒素下150℃で10分、200℃で10分、250℃で20分加熱した。放冷後、貧溶媒として無水エタノール(和光純薬(株)製)50mlを反応溶液に加え金属超微粒子含有樹脂の黒色沈殿を析出させた後、遠心分離(6000rpm、10分)をし、不純物を含んだ上澄み溶液をデカンテーションによって取り除いた。
析出した金属超微粒子含有樹脂の沈殿に、良溶媒であるトルエン(和光純薬(株)製)20mlを加え、金属超微粒子含有樹脂を溶解させた。不純物である不溶物を遠心分離(6000rpm、10分)により除去した。再び、金属超微粒子含有樹脂のトルエン溶液に、無水エタノール(和光純薬(株)製)40mlを加え、遠心分離(6000rpm、10分)をし、不純物を含んだ上澄み溶液をデカンテーションによって取り除いた。金属超微粒子含有樹脂の沈殿に、トルエン(和光純薬(株)製)20mlを加え、金属超微粒子含有樹脂を溶解させ、不溶物を遠心分離(6000rpm、10分)により除去した。
トルエンに分散した金属超微粒子含有樹脂は数ヶ月後も凝集沈殿することなく良溶媒中に分散する。金属超微粒子含有樹脂のトルエン溶液を1滴スライドグラス上に滴下し乾燥の後、光学顕微鏡(キーエンス(株)製、デジタルマイクロスコープVHX−100、175倍)で観察した。フィルムは褐色透明であるが光学顕微鏡で観察できる程度の大きさの粒子塊は観察されなかった。金属超微粒子含有樹脂は上記分散溶液をシャーレ(直径5cm)で乾燥することによって得た。透過型電子顕微鏡による観察によって平均粒子径が7nmであることを測定した。
(実施例2)
有機基を有する金属錯体としてステアリン酸亜鉛(シグマアルドリッチジャパン(株)製)0.10gを用いた以外は実施例1と同様にして、亜鉛超微粒子含有樹脂組成物フィルムを得た。樹脂組成物中金属超微粒子の数平均粒径は約10nmであった。
(実施例3)
有機基を有する金属錯体として白金アセチルアセトネート(シグマアルドリッチジャパン(株)製)0.07gを用いた以外は実施例1と同様にして、白金超微粒子含有樹脂組成物フィルムを得た。樹脂組成物中金属超微粒子の数平均粒径は約15nmであった。
(実施例4)
有機基を有する金属錯体として銀アセチルアセトネート(シグマアルドリッチジャパン (株)製)0.08gを用い、メルカプト基を片末端に有するビニル系ポリマーとして製造例2で獲られたメルカプト基を片末端に有するポリスチレン2.6gを用いた以外は実施例1と同様にして、銀超微粒子含有樹脂組成物フィルムを得た。樹脂組成物中金属超微粒子の数平均粒径は約9nmであった。
(実施例5)
加熱合成の際に、ポリメタクリル酸メチル(住友化学(株)製、スミペックスLG−21、Mn=44,000)10.4gをさらに加え、溶媒としてジフェニルエーテル50ml用いた以外は実施例1と同様にして、銀超微粒子含有樹脂組成物フィルムを得た。樹脂組成物中金属超微粒子の数平均粒径は約10nmであった。
(比較例1)
加熱合成の際に、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーの替わりにポリメタクリル酸メチル(住友化学(株)製、スミペックスLG−21、Mn=44,000)2.6gを加えた以外は実施例1と同様にして、金属超微粒子含有樹脂のトルエン溶液を得た。金属超微粒子含有樹脂のトルエン溶液を1滴スライドグラス上に滴下し乾燥の後、光学顕微鏡で観察したところ、数μmの粗大金属粒子があることが分かった。

Claims (10)

  1. 有機基を有する金属錯体と、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーとの混合物を、金属錯体の熱分解温度以上に加熱して成ることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物。
  2. 有機基を有する金属錯体の金属原子が、遷移金属元素、3B族および4B族の金属元素、ランタノイド類ならびにアクチノイド類からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であることを特徴とする、請求項1に記載の金属超微粒子含有樹脂組成物。
  3. 有機基を有する金属錯体が、有機酸金属塩、有機金属化合物および金属アルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である、請求項1または2に記載の金属超微粒子含有樹脂組成物。
  4. メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーが、可逆的付加脱離連鎖移動重合法によって合成されたポリマーであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属超微粒子含有樹脂組成物。
  5. 樹脂組成物が熱可塑性であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の金属超微粒子含有樹脂組成物。
  6. 加熱温度が、有機基を有する金属錯体の分解開始温度以上、かつ完全分解温度未満の温度である、請求項1〜5のいずれかに記載の金属超微粒子含有樹脂組成物。
  7. 金属超微粒子の数平均粒子径が0.1nm〜100nmの範囲である、請求項1〜6のいずれかに記載の金属超微粒子含有樹脂組成物。
  8. 有機溶媒の存在下に有機基を有する金属錯体を熱分解することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属超微粒子含有樹脂組成物。
  9. 熱可塑性樹脂を更に含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の金属超微粒子含有樹脂組成物。
  10. 有機基を有する金属錯体と、メルカプト基を末端に有するビニル系ポリマーとを混合した後、該混合物を金属錯体の熱分解温度以上に加熱して、金属超微粒子を生成させることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物の製造方法。
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