JPWO2006080204A1 - 非水電解質およびこれを含む二次電池 - Google Patents

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Abstract

非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質と、添加剤とを含み、添加剤が、炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するとともに主鎖の炭素数が5以上である不飽和鎖状炭化水素化合物を含む二次電池用非水電解質を提供する。添加剤である不飽和鎖状炭化水素化合物としては、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンが好ましい。不飽和鎖状炭化水素化合物の量は、非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部が好適である。

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関し、詳しくは非水電解質の改良に関する。
現在、非水電解質二次電池の分野では、高電圧で高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池の研究が盛んである。非水電解質二次電池は、リチウムの吸蔵および放出が可能な正極、リチウムの吸蔵および放出が可能な負極、正極と負極との間に介在するセパレータならびに非水電解質を具備する。
ここで、正極は、例えばLiCoOなどのリチウム含有遷移金属酸化物からなる活物質を含む。負極は、例えば炭素材料からなる活物質を含む。非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質とを含む。非水溶媒は、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどを含む。溶質は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)などを含む。
電池特性を向上させる目的で、非水電解質に添加剤を含ませることが提案されている。例えば、非水電解質に、ビニレンカーボネート(VC)やビニルエチレンカーボネート(VEC)を添加することが提案されている。この提案の目的は、電池の充放電サイクル特性の向上である。VCやVECは、負極上で分解し、保護被膜を形成する。これにより、非水電解質と負極活物質との副反応が抑制されると考えられている(特許文献1、2参照)。
また、非水電解質に、1,5−シクロオクタジエン等の不飽和環状炭化水素化合物を添加することが提案されている。この提案の目的は、電池のサイクル信頼性および貯蔵安定性の向上である。1,5−シクロオクタジエン等は、リチウムイオンと溶媒和した状態で、負極活物質である炭素の層間にインターカレートされる。これにより、安定な充電状態が達成されるものと考えられている(特許文献3参照)。
また、非水電解質に、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等を添加することが提案されている。この提案の目的は、電池の過充電時の安全性を向上させることである。2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等は、電池の過充電時に、正極上で電解重合する。これにより、正極活物質の熱的安定性の低下を防止できると考えられている(特許文献4参照)。
特開2003−151621号公報 特開2003−31259号公報 特開平9−35746号公報 特開2001−15158号公報
従来の提案に沿って、VCやVECを非水電解質に添加した場合、高温下では、負極上に形成された保護被膜が剥がれるため、非水電解質と負極活物質との副反応が激しくなる。さらに、VCやVECを添加しても、非水電解質と正極活物質との副反応は抑制されないため、サイクル特性の低下を十分に防ぐことはできない。
また、1,5−シクロオクタジエン等の不飽和環状炭化水素化合物を非水電解質に添加した場合も、高温下では、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応を抑制することができない。よって、サイクル特性の低下を十分に防ぐことはできない。
さらに、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等を非水電解質に添加すると、リチウムイオンの活物質への挿入および活物質からの脱離が阻害されてしまう。よって、充放電効率が低下し、サイクル特性が劣化する。
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、高温環境下でも良好な充放電サイクル特性を示す非水電解質およびこれを含む二次電池(非水電解質二次電池)を提供するものである。
すなわち、本発明は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質と、添加剤とを含み、添加剤が、炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するとともに主鎖の炭素数が5以上である不飽和鎖状炭化水素化合物(以下、C5以上不飽和鎖状炭化水素という)を含む二次電池用非水電解質に関する。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、例えば一般式(1):
Figure 2006080204
(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であり、R〜Rの少なくとも1つは、主鎖の炭素数が5以上となるようなアルキル基である。)で表される。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンであることが好ましい。
C5以上不飽和鎖状炭化水素の量は、非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部であることが好ましい。
添加剤は、さらに、ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
溶質は、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)を含むことが好ましい。
本発明は、また、リチウムの吸蔵および放出が可能な正極、リチウムの吸蔵および放出が可能な負極、正極と負極との間に介在するセパレータならびに上記の非水電解質を具備する非水電解質二次電池に関する。
C5以上不飽和鎖状炭化水素を非水電解質に添加することにより、高温環境下における、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応が抑制され、サイクル特性の劣化が抑制される。よって、環境温度によらず良好な充放電サイクル特性を有する非水電解質二次電池が得られる。
本発明の円筒型非水電解質二次電池の概略縦断面図である。
本発明の非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質と、添加剤とを含む。ここで、添加剤は、炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するとともに主鎖の炭素数が5以上である不飽和鎖状炭化水素化合物(C5以上不飽和鎖状炭化水素)を含む。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、負極上および正極上の両方で、それぞれ非常に強固な保護被膜を形成する。強固な保護被膜は、高温環境下でも、負極表面および正極表面から剥がれにくい。よって、非水電解質にC5以上不飽和鎖状炭化水素を添加することにより、高温環境下でも、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応を抑制することが可能となる。この理由は以下のように考えられる。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、負極上で還元され、正極上で酸化されて、それぞれ重合反応を起こし、高分子からなる保護被膜を形成する。ここで、C5以上不飽和鎖状炭化水素には、還元または酸化を受ける反応点が、1分子中に2つ以上存在する。ゆえに、C5以上不飽和鎖状炭化水素は、2つ以上の反応点から重合反応を起こすことができる。そのため、保護被膜として生成する高分子の重合度は大きく、高分子の分子量も大きくなる。すなわち、負極表面および正極表面上に、緻密で強固な保護被膜が形成される。この強固な被膜の存在により、高温環境下でも、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応が抑制されるものと考えられる。
なお、1,5−シクロオクタジエン等の不飽和環状炭化水素化合物(特許文献3参照)は、分子が環状構造を有する点で、C5以上不飽和鎖状炭化水素と構造的に相違する。1,5−シクロオクタジエン等の不飽和環状炭化水素化合物は、環状であるため、立体障害が大きい。よって、成長鎖末端のカルバニオンまたはカルボカチオンによるモノマーの攻撃が阻害されやすい。そのため、得られる高分子の重合度は低くなる。そのような高分子からなる被膜は、高温環境下では、負極表面や正極表面から剥がれやすい。
また、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン(特許文献4参照)は、主鎖の炭素数が4である点で、C5以上不飽和鎖状炭化水素と構造的に相違する。主鎖の炭素数が4である不飽和鎖状炭化水素化合物(ブタジエン誘導体)は、分子サイズが非常に小さいため、立体障害がほとんどなく、重合は急激に進行する。よって、得られる高分子の重合度は、極度に大きくなる。そのため、リチウムイオンの活物質への挿入や活物質からの脱離が阻害され、充放電効率が低下する。
一方、C5以上不飽和鎖状炭化水素は、分子構造が鎖状であるため、立体障害が比較的小さく、成長鎖末端のカルバニオンまたはカルボカチオンによるモノマーの攻撃は、スムーズに起こる。すなわち、負極上および正極上での重合反応が速やかに進行し、それぞれ非常に強固な保護被膜が形成される。したがって、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応が十分に抑制される。
また、C5以上不飽和鎖状炭化水素の主鎖の炭素数は5以上であるため、適度な立体障害の効果も得られる。よって、C5以上不飽和鎖状炭化水素の急激な重合の進行は避けられ、リチウムイオンの活物質への挿入や活物質からの脱離が大きく阻害されることはない。
以上のように、C5以上不飽和鎖状炭化水素は、充放電サイクル特性を向上させる上で、従来から提案されている添加剤よりも、高い効果を得ることができる。
非水溶媒には、例えば環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどが用いられる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で用いることもできるが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
溶質には、リチウム塩を用いることが好ましい。例えばLiClO、LiBF、LiPF、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCFSO、LiCFCO、Li(CFSO、LiAsF、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、LiBCl、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウム等のホウ酸塩類、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CFSONLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CFSO)(CSO))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((CSONLi)等のイミド塩類等を挙げることができる。これらのうちでは、特に、LiBFおよびLiPFが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
非水電解質は、リチウム塩として、少なくともLiBFを溶解していることが好ましい。LiBFは、負極上および正極上で分解し、フッ化リチウム(LiF)を生成する。フッ化リチウムは、C5以上不飽和鎖状炭化水素が重合して生成する高分子被膜の内部に取り込まれる。その結果、リチウムイオンを含む無機−有機ハイブリッド高分子被膜が形成される。このようなハイブリッド高分子被膜のリチウムイオン伝導性は高いため、リチウムイオンの活物質への挿入および活物質からの脱離がスムーズになる。よって、サイクル特性の更なる向上を期待できる。
なお、リチウム塩として、LiBFとLiPFとを併用する場合には、サイクル特性と安全性とのバランスをとる観点から、LiBFとLiPFとのモル比:LiBF:LiPFは、2:8〜8:2が好ましい。
非水溶媒における溶質の濃度は、例えば0.8〜2mol/Lが好ましく、0.8〜1.6mol/Lが更に好ましい。
C5以上不飽和鎖状炭化水素には、例えば一般式(1):
Figure 2006080204
(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であり、R〜Rの少なくとも1つは、主鎖の炭素数が5以上となるようなアルキル基である。)で表される化合物を用いることができる。
一般式(1)で表されるC5以上不飽和鎖状炭化水素では、炭素−炭素二重結合が共役しており、π電子が非局在化している。よって、還元重合性または酸化重合性が高く、重合反応が進みやすい。したがって、重合度の高い保護被膜の形成に適している。
一般式(1)で表されるC5以上不飽和鎖状炭化水素のなかでも、主鎖の炭素数が5〜8のジエン、トリエンおよびテトラエンが好ましく、特に2,4−ヘキサジエンおよび1,3−ヘキサジエンが好ましい。1,3−ヘキサジエンおよび2,4−ヘキサジエンは、重合時の立体障害が適度に小さいため、特に重合反応が進みやすく、より重合度の高い保護被膜が形成されやすい。また、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンに由来する保護被膜は、リチウムイオンの活物質への挿入や活物質からの脱離を阻害しにくい。
非水電解質に含まれるC5以上不飽和鎖状炭化水素の量は、非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることが更に好ましい。また、非水電解質全体に占める割合で表現すると、0.8〜4.5重量%が好ましい。C5以上不飽和鎖状炭化水素の量が0.1重量部未満では、その添加による効果が小さくなり過ぎることがある。また、C5以上不飽和鎖状炭化水素の量が10重量部を超えると、負極表面および正極表面に形成される被膜が厚くなり過ぎ、抵抗が増加することがある。この場合、リチウムイオンの活物質への挿入および活物質からの脱離が阻害され、充放電効率が低下し、サイクル特性が劣化することがある。
非水電解質に含ませる添加剤は、さらに、ビニレンカーボネート(VC)およびビニルエチレンカーボネート(VEC)よりなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、不飽和環状炭酸エステルという)を含むことが好ましい。不飽和環状炭酸エステルは、負極上で分解して被膜を形成することが知られている。不飽和環状炭酸エステルは、正極上にも薄い被膜を形成していると考えられる。C5以上不飽和鎖状炭化水素と、不飽和環状炭酸エステルとが形成する混成被膜(コポリマー)は、正極および負極と、これらの間に介在するセパレータとの密着性を、大幅に高める働きがある。ただし、不飽和環状炭酸エステルの量は、非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部が特に好ましい。また、非水電解質全体に占める割合で表現すると、0.8〜4.5重量%が好ましい。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、2つ以上の反応点で重合反応を進行させることができるため、架橋反応が起こる。よって、3次元網目構造を有する高分子が形成されやすい。3次元網目構造を有する高分子は、強固で硬いため、負極表面および正極表面から剥がれにくい。ただし、その反面、3次元網目構造を有する高分子は、柔軟性に乏しいため、セパレータとの密着性が乏しくなる。
一方、添加剤が、不飽和環状炭酸エステルを含む場合には、C5以上不飽和鎖状炭化水素の架橋反応が緩和される。よって、生成するコポリマーのガラス転移温度が低くなり、低温域から高温領域にかけての混成被膜の弾性率は低くなる。そのため、混成被膜には、セパレータと密着できる程度の柔軟性が発現する。電極表面の被膜とセパレータとの密着性が高まることにより、セパレータがシャットダウンする際でもセパレータの収縮が抑制され、負極と正極との接触(内部短絡)が防止される。よって、異常モード(例えば過充電や高温加熱)に電池が晒された場合の電池の安全性は高められる。なお、シャットダウンとは、安全機構の一種であり、セパレータの細孔が閉塞し、正極と負極との間におけるイオンの移動が抑制される現象である。
非水電解質に含ませる添加剤は、さらに、過充電時に分解して電極上に被膜を形成し、電池を不活性化するベンゼン誘導体を含むことができる。このようなベンゼン誘導体は、フェニル基およびこれに隣接する環状基からなることが好ましい。環状基としては、フェニル基、環状エーテル基、環状エステル基、シクロアルキル基、フェノキシ基などが好ましい。ベンゼン誘導体の具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、ベンゼン誘導体の量は、非水溶媒100体積部あたり、10体積部以下であることが好ましい。
次に、非水電解質二次電池について説明する。
非水電解質二次電池は、リチウムの吸蔵および放出が可能な正極、リチウムの吸蔵および放出が可能な負極、正極と負極との間に介在するセパレータならびに上記の非水電解質を具備する。
正極は、例えば、正極合剤とこれを担持する帯状集電体からなる。正極合剤は、正極活物質を必須成分として含み、結着剤、導電材などの任意成分を含むことができる。
正極活物質には、例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−y、LiCo1−y、LiNi1−y、LiMn、LiMn2−y(ただし、M=Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBよりなる群から選択される少なくとも1種、x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3)などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記x値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
負極は、例えば、負極合剤とこれを担持する帯状集電体からなる。負極合剤は、負極活物質を必須成分として含み、結着剤、導電材などの任意成分を含むことができる。
負極活物質には、例えば天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維、合金、リチウム金属、錫化合物、珪素化合物、窒化物などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤または負極合剤に含ませる結着剤には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤または負極合剤に含ませる導電材には、例えば黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極の集電体には、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタンなどからなるシートや箔が用いられる。また、負極の集電体には、例えばステンレス鋼、ニッケル、銅などからなるシートや箔が用いられる。集電体の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜500μmである。
セパレータには、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度と絶縁性を有する微多孔性薄膜が用いられる。微多孔性薄膜は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系高分子やガラス繊維などからなるシート、不織布、織布などが用いられる。セパレータの厚さは、一般的に10〜300μmである。
次に、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるわけではない。
(1)非水電解質の調製
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物からなる非水溶媒(体積比EC:EMC=1:4)に、1.0mol/Lの濃度でLiPFを溶解した。得られた溶液に、添加剤として、表1記載の所定のC5以上不飽和鎖状炭化水素を、非水溶媒100重量部あたり、2重量部添加して、非水電解質を得た。
(2)正極の作製
正極活物質のコバルト酸リチウム粉末85重量部と、導電材のアセチレンブラック10重量部と、結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量部と、脱水N−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを混合し、正極合剤スラリーを調製した。このスラリーをアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、乾燥後、圧延して、正極を得た。
(3)負極の作製
負極活物質の人造黒鉛粉末75重量部と、導電材のアセチレンブラック20重量部と、結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量部と、脱水NMPとを混合し、負極合剤スラリーを調製した。このスラリーを銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、乾燥後、圧延して、負極を得た。
(4)円筒型電池の製造
図1に示すような円筒型電池を以下の要領で作製した。
正極11および負極12とを、セパレータ13を介して渦巻状に捲回して、極板群を作製した。極板群はニッケルメッキした鉄製電池ケース18内に収納した。正極11にはアルミニウム製正極リード14の一端を接続し、正極端子20に導通した封口板19の裏面に接続した。また、負極12にはニッケル製負極リード15を接続し、電池ケース18の底部に接続した。極板群の上部には絶縁板16を、下部には絶縁板17をそれぞれ設けた。その後、所定の非水電解質を電池ケース18内に注液し、封口板19を用いて電池ケース18の開口部を密封した。
(5)電池の評価
以上のようにして製造した電池に対して、下記条件で、電池の充放電サイクルを45℃で繰り返した。
充電:2時間30分の定電流・定電圧充電(最大電流1050mA、上限電圧4.2V)
放電:定電流放電(放電電流1500mA、放電終止電圧3.0V)
500サイクル目の電池の放電容量を求め、3サイクル目の放電容量を100%に設定して、500サイクル目の電池の容量維持率を算出した。結果を表1に示す。
比較例1
非水電解質に、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませなかったこと以外は、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
非水電解質に、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませる代わりに、1,5−シクロオクタジエンまたは2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンを含ませたこと以外は、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006080204
表1より、非水電解質にC5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませることにより、高温サイクル特性に優れた電池が得られることがわかる。これはC5以上不飽和鎖状炭化水素が、負極上および正極上の両方で、それぞれ非常に強固な保護被膜を形成したためと考えられる。強固な被膜は、高温下でも、負極表面および正極表面から剥がれにくいため、高温で充放電サイクルを繰り返す場合でも、非水電解質と活物質との副反応が抑制されたものと推察される。
なお、表1記載のC5以上不飽和鎖状炭化の中では、上述の一般式(1)で表される化合物、具体的にはピペリレン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエンおよび2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンが、高温サイクル特性を向上させる効果に優れていた。一般式(1)で表される化合物は、炭素−炭素二重結合が共役しており、π電子が非局在化しているため、還元重合性または酸化重合性が高くなっている。よって、一般式(1)で表される化合物は、重合反応が進みやすく、重合度の高い保護被膜が形成されたものと考えられる。
また、一般式(1)で表される化合物の中でも、特に1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンが、サイクル特性を向上させる効果に優れていた。このことは、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンは、重合時の立体障害が適度に小さいため、特に重合反応が進みやすく、より重合度の高い保護被膜が形成されやすいことと関連している。また、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンに由来する保護被膜は、リチウムイオンの活物質への挿入や活物質からの脱離を阻害しにくいことがわかる。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物からなる非水溶媒(体積比EC:EMC=1:4)100重量部あたり、表2記載の所定量の2,4−ヘキサジエンをC5以上不飽和鎖状炭化水素として添加した。得られた混合液に、1.0mol/Lの濃度でLiPFを溶解し、非水電解質を得た。こうして得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表2に示す。
Figure 2006080204
表2が示すように、2,4−ヘキサジエンの量が0.1重量部未満では、C5以上不飽和鎖状炭化水素による効果が小さくなった。また、2,4−ヘキサジエンの量が10重量部を超えると、高温サイクル特性がやや低下した。これは、被膜が厚くなり過ぎて抵抗が増加し、リチウムイオンの活物質への挿入および活物質からの脱離が阻害されたためと考えられる。以上より、2,4−ヘキサジエンの好適量は、非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部であることがわかる。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合物からなる非水溶媒(体積比EC:EMC:DMC=1:1:3)100重量部あたり、表3記載の所定量のビニレンカーボネート(VC)および/またはビニルエチレンカーボネート(VEC)を添加し、さらに表3記載のC5以上不飽和鎖状炭化水素を2重量部添加した。得られた混合液に、1.0mol/Lの濃度でLiPFを溶解し、非水電解質を得た。こうして得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表3に示す。
さらに、実施例3の電池に対して、以下の要領で、150℃で耐熱試験を行い、セパレータ収縮時間を測定した。
[耐熱試験]
最大電流1050mA、上限電圧4.2Vで、2時間30分の定電流・定電圧充電を行った電池の温度を、5℃/分の一定速度で20℃から150℃まで昇温させた。電池温度が150℃に到達した後は、その温度で3時間保持させた。
高温加熱により、セパレータがシャットダウンするとともにセパレータの収縮が起こると、負極と正極とが接触(短絡)する。その際、電池電圧は、約4.2Vから約0Vまで急激に低下する。
そこで、耐熱試験中、電池電圧を常時モニターし、試験開始から電池電圧が急激に低下するまでの時間を測定し、セパレータ収縮時間とした。結果を表3に示す。
比較例3
非水電解質に、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませず、表3記載の所定量のビニレンカーボネート(VC)および/またはビニルエチレンカーボネート(VEC)を添加したこと以外は、実施例3と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表3に示す。
Figure 2006080204
表3が示すように、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含み、かつ、VCおよび/またはVECを含む電池は、高温サイクル特性のみならず、耐熱性も大幅に改善できた。これは、C5以上不飽和鎖状炭化水素に由来する被膜と、VCおよび/またはVECに由来する被膜との混成被膜が生成したためと考えられる。混成被膜は、セパレータと電極との密着性を大幅に高める働きを有する。よって、電池が高温に加熱されてセパレータがシャットダウンした時に、セパレータの収縮が抑制され、負極と正極との接触(内部短絡)が抑制され、安全性が向上したものと考えられる。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物からなる非水溶媒(体積比EC:EMC=1:4)100重量部あたり、表4記載のC5以上不飽和鎖状炭化水素を2重量部添加した。得られた混合液に、表4記載の濃度になるように、LiPFおよび/またはLiBFを溶解し、非水電解質を得た。こうして得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表4に示す。
比較例4
非水電解質に、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませず、非水溶媒にLiPFの代わりにLiBFを1mol/Lの濃度で溶解させたこと以外は、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表4に示す。
Figure 2006080204
表4が示すように、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含み、かつ、リチウム塩としてLiBFを含む電池は、特に高温サイクル特性に優れていた。これは、C5以上不飽和鎖状炭化水素が重合して生成した高分子被膜の内部に、LiBFの分解生成物であるLiFが取り込まれ、高分子被膜のリチウムイオン伝導性が向上したためと推察される。
本発明の非水電解質を用いれば、高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池は、ポータブル機器用電源等として有用であり、その利用可能性は極めて高い。
本発明は、非水電解質二次電池に関し、詳しくは非水電解質の改良に関する。
現在、非水電解質二次電池の分野では、高電圧で高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池の研究が盛んである。非水電解質二次電池は、リチウムの吸蔵および放出が可能な正極、リチウムの吸蔵および放出が可能な負極、正極と負極との間に介在するセパレータならびに非水電解質を具備する。
ここで、正極は、例えばLiCoO2などのリチウム含有遷移金属酸化物からなる活物質を含む。負極は、例えば炭素材料からなる活物質を含む。非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質とを含む。非水溶媒は、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどを含む。溶質は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)などを含む。
電池特性を向上させる目的で、非水電解質に添加剤を含ませることが提案されている。例えば、非水電解質に、ビニレンカーボネート(VC)やビニルエチレンカーボネート(VEC)を添加することが提案されている。この提案の目的は、電池の充放電サイクル特性の向上である。VCやVECは、負極上で分解し、保護被膜を形成する。これにより、非水電解質と負極活物質との副反応が抑制されると考えられている(特許文献1、2参照)。
また、非水電解質に、1,5−シクロオクタジエン等の不飽和環状炭化水素化合物を添加することが提案されている。この提案の目的は、電池のサイクル信頼性および貯蔵安定性の向上である。1,5−シクロオクタジエン等は、リチウムイオンと溶媒和した状態で、負極活物質である炭素の層間にインターカレートされる。これにより、安定な充電状態が達成されるものと考えられている(特許文献3参照)。
また、非水電解質に、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等を添加することが提案されている。この提案の目的は、電池の過充電時の安全性を向上させることである。2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等は、電池の過充電時に、正極上で電解重合する。これにより、正極活物質の熱的安定性の低下を防止できると考えられている(特許文献4参照)。
特開2003−151621号公報 特開2003−31259号公報 特開平9−35746号公報 特開2001−15158号公報
従来の提案に沿って、VCやVECを非水電解質に添加した場合、高温下では、負極上に形成された保護被膜が剥がれるため、非水電解質と負極活物質との副反応が激しくなる。さらに、VCやVECを添加しても、非水電解質と正極活物質との副反応は抑制されないため、サイクル特性の低下を十分に防ぐことはできない。
また、1,5−シクロオクタジエン等の不飽和環状炭化水素化合物を非水電解質に添加した場合も、高温下では、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応を抑制することができない。よって、サイクル特性の低下を十分に防ぐことはできない。
さらに、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等を非水電解質に添加すると、リチウムイオンの活物質への挿入および活物質からの脱離が阻害されてしまう。よって、充放電効率が低下し、サイクル特性が劣化する。
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、高温環境下でも良好な充放電サイクル特性を示す非水電解質およびこれを含む二次電池(非水電解質二次電池)を提供するものである。
すなわち、本発明は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質と、添加剤とを含み、添加剤が、炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するとともに主鎖の炭素数が5以上である不飽和鎖状炭化水素化合物(以下、C5以上不飽和鎖状炭化水素という)を含む二次電池用非水電解質に関する。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、例えば一般式(1):
Figure 2006080204
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立であり、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であり、R1〜R6の少なくとも1つは、主鎖の炭素数が5以上となるようなアルキル基である。)で表される。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンであることが好ましい。
C5以上不飽和鎖状炭化水素の量は、非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部であることが好ましい。
添加剤は、さらに、ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
溶質は、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を含むことが好ましい。
本発明は、また、リチウムの吸蔵および放出が可能な正極、リチウムの吸蔵および放出が可能な負極、正極と負極との間に介在するセパレータならびに上記の非水電解質を具備する非水電解質二次電池に関する。
C5以上不飽和鎖状炭化水素を非水電解質に添加することにより、高温環境下における、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応が抑制され、サイクル特性の劣化が抑制される。よって、環境温度によらず良好な充放電サイクル特性を有する非水電解質二次電池が得られる。
本発明の非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質と、添加剤とを含む。ここで、添加剤は、炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するとともに主鎖の炭素数が5以上である不飽和鎖状炭化水素化合物(C5以上不飽和鎖状炭化水素)を含む。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、負極上および正極上の両方で、それぞれ非常に強固な保護被膜を形成する。強固な保護被膜は、高温環境下でも、負極表面および正極表面から剥がれにくい。よって、非水電解質にC5以上不飽和鎖状炭化水素を添加することにより、高温環境下でも、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応を抑制することが可能となる。この理由は以下のように考えられる。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、負極上で還元され、正極上で酸化されて、それぞれ重合反応を起こし、高分子からなる保護被膜を形成する。ここで、C5以上不飽和鎖状炭化水素には、還元または酸化を受ける反応点が、1分子中に2つ以上存在する。ゆえに、C5以上不飽和鎖状炭化水素は、2つ以上の反応点から重合反応を起こすことができる。そのため、保護被膜として生成する高分子の重合度は大きく、高分子の分子量も大きくなる。すなわち、負極表面および正極表面上に、緻密で強固な保護被膜が形成される。この強固な被膜の存在により、高温環境下でも、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応が抑制されるものと考えられる。
なお、1,5−シクロオクタジエン等の不飽和環状炭化水素化合物(特許文献3参照)は、分子が環状構造を有する点で、C5以上不飽和鎖状炭化水素と構造的に相違する。1,5−シクロオクタジエン等の不飽和環状炭化水素化合物は、環状であるため、立体障害が大きい。よって、成長鎖末端のカルバニオンまたはカルボカチオンによるモノマーの攻撃が阻害されやすい。そのため、得られる高分子の重合度は低くなる。そのような高分子からなる被膜は、高温環境下では、負極表面や正極表面から剥がれやすい。
また、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン(特許文献4参照)は、主鎖の炭素数が4である点で、C5以上不飽和鎖状炭化水素と構造的に相違する。主鎖の炭素数が4である不飽和鎖状炭化水素化合物(ブタジエン誘導体)は、分子サイズが非常に小さいため、立体障害がほとんどなく、重合は急激に進行する。よって、得られる高分子の重合度は、極度に大きくなる。そのため、リチウムイオンの活物質への挿入や活物質からの脱離が阻害され、充放電効率が低下する。
一方、C5以上不飽和鎖状炭化水素は、分子構造が鎖状であるため、立体障害が比較的小さく、成長鎖末端のカルバニオンまたはカルボカチオンによるモノマーの攻撃は、スムーズに起こる。すなわち、負極上および正極上での重合反応が速やかに進行し、それぞれ非常に強固な保護被膜が形成される。したがって、非水電解質と負極活物質もしくは正極活物質との副反応が十分に抑制される。
また、C5以上不飽和鎖状炭化水素の主鎖の炭素数は5以上であるため、適度な立体障害の効果も得られる。よって、C5以上不飽和鎖状炭化水素の急激な重合の進行は避けられ、リチウムイオンの活物質への挿入や活物質からの脱離が大きく阻害されることはない。
以上のように、C5以上不飽和鎖状炭化水素は、充放電サイクル特性を向上させる上で、従来から提案されている添加剤よりも、高い効果を得ることができる。
非水溶媒には、例えば環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどが用いられる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で用いることもできるが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
溶質には、リチウム塩を用いることが好ましい。例えばLiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(CF3SO22、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、LiBCl4、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウム等のホウ酸塩類、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CF3SO22NLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CF3SO2)(C49SO2))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((C25SO22NLi)等のイミド塩類等を挙げることができる。これらのうちでは、特に、LiBF4およびLiPF6が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
非水電解質は、リチウム塩として、少なくともLiBF4を溶解していることが好ましい。LiBF4は、負極上および正極上で分解し、フッ化リチウム(LiF)を生成する。フッ化リチウムは、C5以上不飽和鎖状炭化水素が重合して生成する高分子被膜の内部に取り込まれる。その結果、リチウムイオンを含む無機−有機ハイブリッド高分子被膜が形成される。このようなハイブリッド高分子被膜のリチウムイオン伝導性は高いため、リチウムイオンの活物質への挿入および活物質からの脱離がスムーズになる。よって、サイクル特性の更なる向上を期待できる。
なお、リチウム塩として、LiBF4とLiPF6とを併用する場合には、サイクル特性と安全性とのバランスをとる観点から、LiBF4とLiPF6とのモル比:LiBF4:LiPF6は、2:8〜8:2が好ましい。
非水溶媒における溶質の濃度は、例えば0.8〜2mol/Lが好ましく、0.8〜1.6mol/Lが更に好ましい。
C5以上不飽和鎖状炭化水素には、例えば一般式(1):
Figure 2006080204
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立であり、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であり、R1〜R6の少なくとも1つは、主鎖の炭素数が5以上となるようなアルキル基である。)で表される化合物を用いることができる。
一般式(1)で表されるC5以上不飽和鎖状炭化水素では、炭素−炭素二重結合が共役しており、π電子が非局在化している。よって、還元重合性または酸化重合性が高く、重合反応が進みやすい。したがって、重合度の高い保護被膜の形成に適している。
一般式(1)で表されるC5以上不飽和鎖状炭化水素のなかでも、主鎖の炭素数が5〜8のジエン、トリエンおよびテトラエンが好ましく、特に2,4−ヘキサジエンおよび1,3−ヘキサジエンが好ましい。1,3−ヘキサジエンおよび2,4−ヘキサジエンは、重合時の立体障害が適度に小さいため、特に重合反応が進みやすく、より重合度の高い保護被膜が形成されやすい。また、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンに由来する保護被膜は、リチウムイオンの活物質への挿入や活物質からの脱離を阻害しにくい。
非水電解質に含まれるC5以上不飽和鎖状炭化水素の量は、非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることが更に好ましい。また、非水電解質全体に占める割合で表現すると、0.8〜4.5重量%が好ましい。C5以上不飽和鎖状炭化水素の量が0.1重量部未満では、その添加による効果が小さくなり過ぎることがある。また、C5以上不飽和鎖状炭化水素の量が10重量部を超えると、負極表面および正極表面に形成される被膜が厚くなり過ぎ、抵抗が増加することがある。この場合、リチウムイオンの活物質への挿入および活物質からの脱離が阻害され、充放電効率が低下し、サイクル特性が劣化することがある。
非水電解質に含ませる添加剤は、さらに、ビニレンカーボネート(VC)およびビニルエチレンカーボネート(VEC)よりなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、不飽和環状炭酸エステルという)を含むことが好ましい。不飽和環状炭酸エステルは、負極上で分解して被膜を形成することが知られている。不飽和環状炭酸エステルは、正極上にも薄い被膜を形成していると考えられる。C5以上不飽和鎖状炭化水素と、不飽和環状炭酸エステルとが形成する混成被膜(コポリマー)は、正極および負極と、これらの間に介在するセパレータとの密着性を、大幅に高める働きがある。ただし、不飽和環状炭酸エステルの量は、非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部が特に好ましい。また、非水電解質全体に占める割合で表現すると、0.8〜4.5重量%が好ましい。
C5以上不飽和鎖状炭化水素は、2つ以上の反応点で重合反応を進行させることができるため、架橋反応が起こる。よって、3次元網目構造を有する高分子が形成されやすい。3次元網目構造を有する高分子は、強固で硬いため、負極表面および正極表面から剥がれにくい。ただし、その反面、3次元網目構造を有する高分子は、柔軟性に乏しいため、セパレータとの密着性が乏しくなる。
一方、添加剤が、不飽和環状炭酸エステルを含む場合には、C5以上不飽和鎖状炭化水素の架橋反応が緩和される。よって、生成するコポリマーのガラス転移温度が低くなり、低温域から高温領域にかけての混成被膜の弾性率は低くなる。そのため、混成被膜には、セパレータと密着できる程度の柔軟性が発現する。電極表面の被膜とセパレータとの密着性が高まることにより、セパレータがシャットダウンする際でもセパレータの収縮が抑制され、負極と正極との接触(内部短絡)が防止される。よって、異常モード(例えば過充電や高温加熱)に電池が晒された場合の電池の安全性は高められる。なお、シャットダウンとは、安全機構の一種であり、セパレータの細孔が閉塞し、正極と負極との間におけるイオンの移動が抑制される現象である。
非水電解質に含ませる添加剤は、さらに、過充電時に分解して電極上に被膜を形成し、電池を不活性化するベンゼン誘導体を含むことができる。このようなベンゼン誘導体は、フェニル基およびこれに隣接する環状基からなることが好ましい。環状基としては、フェニル基、環状エーテル基、環状エステル基、シクロアルキル基、フェノキシ基などが好ましい。ベンゼン誘導体の具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、ベンゼン誘導体の量は、非水溶媒100体積部あたり、10体積部以下であることが好ましい。
次に、非水電解質二次電池について説明する。
非水電解質二次電池は、リチウムの吸蔵および放出が可能な正極、リチウムの吸蔵および放出が可能な負極、正極と負極との間に介在するセパレータならびに上記の非水電解質を具備する。
正極は、例えば、正極合剤とこれを担持する帯状集電体からなる。正極合剤は、正極活物質を必須成分として含み、結着剤、導電材などの任意成分を含むことができる。
正極活物質には、例えばLixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1-y2、LixCoy1-yz、LixNi1-yyz、LixMn24、LixMn2-yy4(ただし、M=Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBよりなる群から選択される少なくとも1種、x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3)などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記x値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
負極は、例えば、負極合剤とこれを担持する帯状集電体からなる。負極合剤は、負極活物質を必須成分として含み、結着剤、導電材などの任意成分を含むことができる。
負極活物質には、例えば天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維、合金、リチウム金属、錫化合物、珪素化合物、窒化物などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤または負極合剤に含ませる結着剤には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤または負極合剤に含ませる導電材には、例えば黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などが用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極の集電体には、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタンなどからなるシートや箔が用いられる。また、負極の集電体には、例えばステンレス鋼、ニッケル、銅などからなるシートや箔が用いられる。集電体の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜500μmである。
セパレータには、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度と絶縁性を有する微多孔性薄膜が用いられる。微多孔性薄膜は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系高分子やガラス繊維などからなるシート、不織布、織布などが用いられる。セパレータの厚さは、一般的に10〜300μmである。
次に、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるわけではない。
(1)非水電解質の調製
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物からなる非水溶媒(体積比EC:EMC=1:4)に、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解した。得られた溶液に、添加剤として、表1記載の所定のC5以上不飽和鎖状炭化水素を、非水溶媒100重量部あたり、2重量部添加して、非水電解質を得た。
(2)正極の作製
正極活物質のコバルト酸リチウム粉末85重量部と、導電材のアセチレンブラック10重量部と、結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量部と、脱水N−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを混合し、正極合剤スラリーを調製した。このスラリーをアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、乾燥後、圧延して、正極を得た。
(3)負極の作製
負極活物質の人造黒鉛粉末75重量部と、導電材のアセチレンブラック20重量部と、結着剤のポリフッ化ビニリデン樹脂5重量部と、脱水NMPとを混合し、負極合剤スラリーを調製した。このスラリーを銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、乾燥後、圧延して、負極を得た。
(4)円筒型電池の製造
図1に示すような円筒型電池を以下の要領で作製した。
正極11および負極12とを、セパレータ13を介して渦巻状に捲回して、極板群を作製した。極板群はニッケルメッキした鉄製電池ケース18内に収納した。正極11にはアルミニウム製正極リード14の一端を接続し、正極端子20に導通した封口板19の裏面に接続した。また、負極12にはニッケル製負極リード15を接続し、電池ケース18の底部に接続した。極板群の上部には絶縁板16を、下部には絶縁板17をそれぞれ設けた。その後、所定の非水電解質を電池ケース18内に注液し、封口板19を用いて電池ケース18の開口部を密封した。
(5)電池の評価
以上のようにして製造した電池に対して、下記条件で、電池の充放電サイクルを45℃で繰り返した。
充電:2時間30分の定電流・定電圧充電(最大電流1050mA、上限電圧4.2V)
放電:定電流放電(放電電流1500mA、放電終止電圧3.0V)
500サイクル目の電池の放電容量を求め、3サイクル目の放電容量を100%に設定して、500サイクル目の電池の容量維持率を算出した。結果を表1に示す。
《比較例1》
非水電解質に、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませなかったこと以外は、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
《比較例2》
非水電解質に、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませる代わりに、1,5−シクロオクタジエンまたは2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンを含ませたこと以外は、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006080204
表1より、非水電解質にC5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませることにより、高温サイクル特性に優れた電池が得られることがわかる。これはC5以上不飽和鎖状炭化水素が、負極上および正極上の両方で、それぞれ非常に強固な保護被膜を形成したためと考えられる。強固な被膜は、高温下でも、負極表面および正極表面から剥がれにくいため、高温で充放電サイクルを繰り返す場合でも、非水電解質と活物質との副反応が抑制されたものと推察される。
なお、表1記載のC5以上不飽和鎖状炭化の中では、上述の一般式(1)で表される化合物、具体的にはピペリレン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエンおよび2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンが、高温サイクル特性を向上させる効果に優れていた。一般式(1)で表される化合物は、炭素−炭素二重結合が共役しており、π電子が非局在化しているため、還元重合性または酸化重合性が高くなっている。よって、一般式(1)で表される化合物は、重合反応が進みやすく、重合度の高い保護被膜が形成されたものと考えられる。
また、一般式(1)で表される化合物の中でも、特に1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンが、サイクル特性を向上させる効果に優れていた。このことは、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンは、重合時の立体障害が適度に小さいため、特に重合反応が進みやすく、より重合度の高い保護被膜が形成されやすいことと関連している。また、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンに由来する保護被膜は、リチウムイオンの活物質への挿入や活物質からの脱離を阻害しにくいことがわかる。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物からなる非水溶媒(体積比EC:EMC=1:4)100重量部あたり、表2記載の所定量の2,4−ヘキサジエンをC5以上不飽和鎖状炭化水素として添加した。得られた混合液に、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解し、非水電解質を得た。こうして得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表2に示す。
Figure 2006080204
表2が示すように、2,4−ヘキサジエンの量が0.1重量部未満では、C5以上不飽和鎖状炭化水素による効果が小さくなった。また、2,4−ヘキサジエンの量が10重量部を超えると、高温サイクル特性がやや低下した。これは、被膜が厚くなり過ぎて抵抗が増加し、リチウムイオンの活物質への挿入および活物質からの脱離が阻害されたためと考えられる。以上より、2,4−ヘキサジエンの好適量は、非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部であることがわかる。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合物からなる非水溶媒(体積比EC:EMC:DMC=1:1:3)100重量部あたり、表3記載の所定量のビニレンカーボネート(VC)および/またはビニルエチレンカーボネート(VEC)を添加し、さらに表3記載のC5以上不飽和鎖状炭化水素を2重量部添加した。得られた混合液に、1.0mol/Lの濃度でLiPF6を溶解し、非水電解質を得た。こうして得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表3に示す。
さらに、実施例3の電池に対して、以下の要領で、150℃で耐熱試験を行い、セパレータ収縮時間を測定した。
[耐熱試験]
最大電流1050mA、上限電圧4.2Vで、2時間30分の定電流・定電圧充電を行った電池の温度を、5℃/分の一定速度で20℃から150℃まで昇温させた。電池温度が150℃に到達した後は、その温度で3時間保持させた。
高温加熱により、セパレータがシャットダウンするとともにセパレータの収縮が起こると、負極と正極とが接触(短絡)する。その際、電池電圧は、約4.2Vから約0Vまで急激に低下する。
そこで、耐熱試験中、電池電圧を常時モニターし、試験開始から電池電圧が急激に低下するまでの時間を測定し、セパレータ収縮時間とした。結果を表3に示す。
《比較例3》
非水電解質に、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませず、表3記載の所定量のビニレンカーボネート(VC)および/またはビニルエチレンカーボネート(VEC)を添加したこと以外は、実施例3と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表3に示す。
Figure 2006080204
表3が示すように、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含み、かつ、VCおよび/またはVECを含む電池は、高温サイクル特性のみならず、耐熱性も大幅に改善できた。これは、C5以上不飽和鎖状炭化水素に由来する被膜と、VCおよび/またはVECに由来する被膜との混成被膜が生成したためと考えられる。混成被膜は、セパレータと電極との密着性を大幅に高める働きを有する。よって、電池が高温に加熱されてセパレータがシャットダウンした時に、セパレータの収縮が抑制され、負極と正極との接触(内部短絡)が抑制され、安全性が向上したものと考えられる。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物からなる非水溶媒(体積比EC:EMC=1:4)100重量部あたり、表4記載のC5以上不飽和鎖状炭化水素を2重量部添加した。得られた混合液に、表4記載の濃度になるように、LiPF6および/またはLiBF4を溶解し、非水電解質を得た。こうして得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表4に示す。
《比較例4》
非水電解質に、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含ませず、非水溶媒にLiPF6の代わりにLiBF4を1mol/Lの濃度で溶解させたこと以外は、実施例1と同様の電池を作製し、同様に評価した。結果を表4に示す。
Figure 2006080204
表4が示すように、C5以上不飽和鎖状炭化水素を含み、かつ、リチウム塩としてLiBF4を含む電池は、特に高温サイクル特性に優れていた。これは、C5以上不飽和鎖状炭化水素が重合して生成した高分子被膜の内部に、LiBF4の分解生成物であるLiFが取り込まれ、高分子被膜のリチウムイオン伝導性が向上したためと推察される。
本発明の非水電解質を用いれば、高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池は、ポータブル機器用電源等として有用であり、その利用可能性は極めて高い。
本発明の円筒型非水電解質二次電池の概略縦断面図である。

Claims (7)

  1. 非水溶媒と、前記非水溶媒に溶解した溶質と、添加剤とを含み、
    前記添加剤が、炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有するとともに主鎖の炭素数が5以上である不飽和鎖状炭化水素化合物を含む、二次電池用非水電解質。
  2. 前記不飽和鎖状炭化水素化合物が、一般式(1):
    Figure 2006080204
    (式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であり、R〜Rの少なくとも1つは、主鎖の炭素数が5以上となるようなアルキル基である。)で表される、請求項1記載の非水電解質。
  3. 前記不飽和鎖状炭化水素化合物が、1,3−ヘキサジエンまたは2,4−ヘキサジエンである、請求項2記載の非水電解質。
  4. 前記不飽和鎖状炭化水素化合物の量が、前記非水溶媒100重量部あたり、0.1〜10重量部である、請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質。
  5. 前記添加剤が、さらに、ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1記載の非水電解質。
  6. 前記溶質が、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)を含む、請求項1記載の非水電解質。
  7. リチウムの吸蔵および放出が可能な正極、リチウムの吸蔵および放出が可能な負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータならびに請求項1記載の非水電解質を具備する、非水電解質二次電池。
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