JPWO2006077818A1 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
近年、ポリアミド−ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は自動車のフェンダー等の大型成形品に使用されている。このような成形品を金属部品と組合せて用いる場合には、成形品の線膨張係数が金属部品の線膨張係数より大きすぎて、高温環境下では寸法差や噛み合い不良といった不具合を生じる。そこで一般に、線膨張係数を低減するためには、樹脂組成物中に無機フィラーを配合する手法が採用されている。しかし、その結果として著しく耐衝撃性が低下する問題があった。
また最近になって、無機フィラーおよび導電材を充填したポリアミド−ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を自動車外板等の大型で薄肉の成形品用途に用いることが検討され始めている。特に落錘などの面衝撃強度、薄肉流動性の向上および導電性の付与が要求されるようになっている。
こういった市場の要求に対して、上述した従来技術では面衝撃強度、引張伸びと流動性のバランスに劣り、十分に満足する実用化のレベルには達していないのが現状である。従って、面衝撃強度、流動性および線膨張係数のバランスに優れた樹脂組成物、さらに導電性も有する樹脂組成物が待望されている。
1.(A)ポリアミド30〜80質量部、(B)ポリフェニレンエーテル20〜70質量部の合計100質量部に対して、(C)ゴム状重合体0〜40質量部および(D)平均粒子径9〜20μmでかつ、粒子径の小さい方から25%の粒子径(d25%)と75%の粒子径(d75%)の比(d75%/d25%)が1.0以上2.5以下である板状無機フィラー10〜50質量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。
2.(D)板状無機フィラーの平均粒子径が10μmを超えて20μm以下である、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.(D)板状無機フィラーの平均粒子径が11〜17μmである、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.(D)板状無機フィラーの粒子径の小さい方から25%の粒子径(d25%)と75%の粒子径(d75%)の比(d75%/d25%)が1.5以上2.5以下である、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.(D)板状無機フィラーがタルクである、上記1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.(D)板状無機フィラーが、固め見掛け密度0.5〜0.8g/cm3のタルクである、上記5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
7.(D)板状無機フィラーがタルクであり、広角X線回折によるタルクの(0 0 2)回折面の結晶子径が600Å以上である、上記5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
8.(C)ゴム状重合体が、(A)ポリアミド樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル樹脂の合計100質量部に対して5〜40質量部である、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
9.(A)ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,12及びポリアミド6,6/6,Iからなる群から選ばれる少なくとも一種以上である、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
10.(C)ゴム状重合体が、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなる芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体及び/または水素添加されたブロック共重合体である、上記1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
11.(C)ゴム状重合体が、(C1)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55質量%以上90質量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)少なくとも1個の芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを20質量%以上55質量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物であり、混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が10,000以上30,000未満であり、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が50,000以上100,000未満である、上記10に記載の熱可塑性樹脂組成物。
12.(C)ゴム状重合体が、数平均分子量80,000より大きく120,000未満のブロック共重合体のみから構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物である、上記11に記載の熱可塑性樹脂組成物。
13.(E)成分として導電材を含んでなる、上記1〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
14.(E)導電材が、導電性カーボンブラックおよびカーボンフィブリルからなる群より選ばれる1種以上である、上記13に記載の熱可塑性樹脂組成物。
15.(E)導電材が、(A)ポリアミドと予め溶融混練された導電性マスターバッチとして添加されてなる、上記14に記載の熱可塑性樹脂組成物。
16.面衝撃強度が23℃において6J以上、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠し、荷重は5kg、設定温度は280℃として測定)が15g/10min以上、かつ線膨張係数(JIS K7197に準拠し、昇温速度が5℃/分、荷重が10mNで、温度が−30〜80℃として測定)が7.5×10−5/℃以下である、上記1〜15のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
17.上記1〜16のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
18.上記1〜16のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる自動車用外装部品。
本発明で使用することのできる(A)ポリアミドの種類としては、ポリマー主鎖繰り返し単位中にアミド結合{−NH−C(=O)−}を有するものであれば、いずれも使用することができる。一般にポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、ラクタム類の開環重合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られるが、これらに限定されるものではない。
上記ジアミンとしては大別して脂肪族、脂環式および芳香族ジアミンが挙げられる。具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルナノメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン等が挙げられる。
ラクタム類としては、具体的にはε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。
本発明においては、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を、単独あるいは二種以上の混合物にして重縮合を行って得られる共重合ポリアミド類のいずれもが使用できる。また、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を重合反応機内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量化したものも好適に使用することができる。
好ましいポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,12、ポリアミド6,6/6,I、またはそれらの混合物である。より好ましくはポリアミド6,6、ポリアミド6、またはポリアミド6,6とポリアミド6、ポリアミド6,6とポリアミド6,6/6,Iのブレンド物であり、更に好ましくはポリアミド6、またはポリアミド6とポリアミド6,6のブレンド物である。
なお、本発明でいう相対粘度とは、JIS K6920−1:2000に準拠して測定した値である。具体的には、98%濃硫酸に、1g/100cm3の濃度でポリアミドを溶解し、オストワルド型粘度計により25℃で測定した流下時間をt1、98%濃硫酸単体の25℃での流下時間をt0として、
ηr=t1/t0
で示される値である。
本発明においてポリアミドを混合物として用いた場合の相対粘度は、組成物中に含まれるポリアミド成分を分離して測定する方法、もしくは、原料とするポリアミド成分のηrを測定する濃度(1g/100cm3)の溶液として、それらを配合比に応じて混合した混合溶液を実測する方法で知ることができる。
これらポリアミド樹脂の末端基比率の調整方法は、当業者には明らかであるような公知の方法を用いることができる。例えばポリアミド樹脂の重合時に所定の末端基比率となるようにジアミン類やジカルボン酸類、モノカルボン酸類などを添加する方法、あるいは、末端基の比率が異なる2種類以上のポリアミド樹脂の混合物により調整する方法等が挙げられる。
さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド100質量部に対して10質量部未満の量で添加してもかまわない。
〔式中、Oは酸素原子、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
本発明で用いるポリフェニレンエーテルの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が使用できる。例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報及び同63−152628号公報等に記載されている製造方法等を挙げることができる。
本発明においては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても、何ら問題なく使用することができる。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
該変性されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で、100℃以上かつポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法;(2)ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度でポリフェニレンエーテルと変性化合物とを溶融混練して反応させる方法;(3)ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物とを溶液中で反応させる方法等が挙げられる。これらいずれの方法でも構わないが、(1)及び(2)の方法が好ましい。
分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の1個または2個がエステルになっているものも使用可能である。
分子内に炭素−炭素二重結合と水酸基とを同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式CnH2n−3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式CnH2n−5OH、CnH2n−7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
上述した変性化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組合せて用いても良い。
また、変性されたポリフェニレンエーテル中の変性化合物の付加率は、0.01〜5質量%が好ましい。より好ましくは0.1〜3質量%である。該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/または変性化合物の重合体が残存していても構わない。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル100質量部に対して10質量部未満の量で添加しても構わない。
ここでいう芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50質量%以上が芳香族ビニル化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」に関しても同様で、少なくとも50質量%以上が共役ジエン化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
本発明における芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体で使用することのできる芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
該ブロック共重合体の共役ジエン化合物のソフトセグメント部分のミクロ構造は1,2−ビニル含量もしくは1,2−ビニル含量と3,4−ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、10〜40%が最も好ましい。
本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[S]と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]がS−B型、S−B−S型、S−B−S−B型から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事が好ましい。また、これらの混合物であってももちろん構わない。これらの中でもS−B−S型、S−B−S−B型がより好ましい。これらはもちろん混合物であっても構わない。
また、本発明において、(C)成分のブロック共重合体は、(C1)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55質量%以上90質量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20質量%以上55質量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物であることが好ましい。
流動性と面衝撃強度を著しく改良するために、(C1)成分と(C2)成分から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量と、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量を上述の範囲内に調整することが好ましい。
具体的には、(C)成分の各ブロック共重合体の数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置[GPC SYSTEM21:昭和電工(株)製]を用いて、紫外分光検出器[UV−41:昭和電工(株)製]で測定し、標準ポリスチレンで換算した数平均分子量の事を指す。[溶媒:クロロホルム、温度:40℃、カラム:サンプル側(K−G,K−800RL,K−800R)、リファレンス側(K−805L×2本)、流量10ml/分、測定波長:254nm,圧力15〜17kg/cm2]。この時、重合時の触媒失活による低分子量成分が検出されることがあるが、その場合は分子量計算に低分子量成分は含めない。
Mn(a),n={Mn×a/(a+b)}/N(a) (2)
上式中において、Mn(a),nはブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mnはブロック共重合体nの数平均分子量、aはブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、bはブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、およびN(a)はブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの数を表す。
Mn(a),av=Σ(Mn(a),n×Cn) (3)
上式中において、Mn(a),avはブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mn(a),nはブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中のブロック共重合体nの重量分率を表す。
Mn(b),n={Mn×b/(a+b)}/N(b) (4)
上式中において、Mn(b),nはブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mnはブロック共重合体nの数平均分子量、aはブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、bはブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、およびN(b)はブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの数を表す。
Mn(b),av=Σ(Mn(b),n×Cn) (5)
上式中において、Mn(b),avはブロック共重合体の混合物中の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mn(b),nはブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中のブロック共重合体nの重量分率を表す。
これら芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量もしくは1,2−結合ビニル含有量と3,4−結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等混合して用いても構わない。
ここでいうパラフィンを主成分とするオイルとは、芳香環含有化合物、ナフテン環含有化合物及びパラフィン系化合物の三者が組み合わさった重量平均分子量500〜10000の範囲の炭化水素系化合物の混合物であり、パラフィン系化合物の含有量が50質量%以上のものである。より好ましくは、パラフィン系化合物が50〜90質量%、ナフテン環含有化合物が10〜40質量%、芳香環含有化合物が5質量%以下のものである。これら、パラフィンを主成分とするオイルは市販されており、例えば出光興産(株)製のPW380等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用することのできるエチレン−α−オレフィン共重合体としては、特開2001−302911号公報に記載されているようなシングルサイト触媒で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく使用可能である。
ここでいう分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または三重結合、及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物とは、変性されたポリフェニレンエーテルについて述べた変性化合物と同じものが使用できる。
一般に、板状無機フィラーの固め見かけ密度は、0.5〜1.3g/cm3の範囲内のものが多い。本発明においては、これらの中でも、固め見掛け密度が0.5〜0.8g/cm3のタルクを使用することが特に好ましく、線膨張係数、流動性、面衝撃性および引張伸びを同時に満足させることができる。
また、本発明で使用できるタルクのゆるめ見かけ密度には特に制限はないが、0.4g/cm3以下であることが望ましい。ゆるめ見かけ密度は、上述の固め見掛け密度の測定時の振動を加える前の100cm3の容積中に入っているタルクの重量から導き出される密度値である。
ここでいうタルクの(0 0 2)回折面は、広角X線回折装置(具体的には、RAD−RX型広角X線回折装置(理学電機(株)製))を用いて、タルクMg3Si4O10(OH)2が同定され、その層間距離がタルクの(0 0 2)回折面による格子面間隔である約9.39Åに一致することにより確認できる。また、タルクの(0 0 2)回折面の結晶子径は、そのピークの半値幅より算出される。
また、本発明の板状無機フィラーは、樹脂との親和性を向上させる目的で添加されるシランカップリング剤等の表面処理剤を含んでいても構わない。その量に制限はないが、概ね板状無機フィラー100質量部に対して5質量部を超えない範囲である。
本発明で使用可能な導電性カーボンブラックとしては、WO01/081473号公報に導電用カーボンブラックとして記載されているカーボンブラック等が挙げられる。市販されている導電性カーボンブラックの一例としては、ケッチェンブラックインターナショナル社から入手可能なケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD等が挙げられる。また、本発明で使用可能なカーボンフィブリルとしては、国際公開特許WO94/023433号公報に記載されている微細な炭素繊維等が挙げられる。市販されているカーボンフィブリルとしてはハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なBNフィブリル等が挙げられる。
該マスターバッチは市販しているものを使用しても構わない。市販品のマスターバッチの例としては、ハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なポリアミド66/カーボンフィブリルマスターバッチ(商品名:Polyamide66 with Fibril TM Nanotubes RMB4620−00:カーボンフィブリル量20%)等が挙げられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に、(E)導電材を添加する際の好ましい添加量は、熱可塑性樹脂組成物すべてを100質量%とした際に、0.5〜3.0質量%である。より好ましくは1.0〜2.0質量%である。
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸が挙げられる。それらの中でも無水マレイン酸が最も好ましい。
本発明で使用することのできる相溶化剤の好ましい量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.1〜10質量部である。
ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、難燃剤(ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル、モンタン酸金属塩類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。
これらの成分の具体的な添加量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して、合計で100質量部を超えない範囲である。
1.少なくとも上流部に1箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、ポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体、ポリアミド及び板状無機フィラー、さらに付加的に導電材(マスターバッチを含む)を供給し溶融混練する方法。
2.少なくとも上流部(第1供給口)及び中流部(第2供給口)の2箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、第1供給口よりポリフェニレンエーテル及びゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口よりポリアミド及び板状無機フィラー、さらに付加的に導電材(マスターバッチを含む)を供給し溶融混練する方法。
3.少なくとも上流部(第1供給口)、中流部(第2供給口)、下流部(第3供給口)の3箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、第1供給口よりポリフェニレンエーテル及びゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口よりポリアミド、さらに付加的に導電材(マスターバッチを含む)を供給し溶融混練し、次いで第3供給口より板状無機フィラー、さらに付加的に導電材(マスターバッチを含む)を供給し溶融混練する方法。
これらの中でも上記3の方法が最も好ましい。
また、溶融混練温度も特に限定されるものではないが、通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、面衝撃強度が23℃において6J以上、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠し、荷重は5kg、設定温度は280℃として測定)が15g/10min以上、かつ線膨張係数(JIS K7197に準拠し、昇温速度が5℃/分、荷重が10mNで、温度が−30〜80℃として測定)が7.5×10−5/℃以下であることが好ましい。
これら各種部品としては、例えばICトレー材料、各種ディスクプレーヤー等のシャーシー、キャビネット等の電気・電子部品、各種コンピューターおよびその周辺機器等のOA部品や機械部品、さらにはオートバイのカウルや、自動車のフェンダー、ドアーパネル、フロントパネル、リアパネル、ロッカーパネル、リアバンパーパネル、バックドアガーニッシュ、エンブレムガーニッシュ、燃料注入口パネル、オーバーフェンダー、アウタードアハンドル、ドアミラーハウジング、ボンネンットエアインテーク、バンパー、バンパーガード、ルーフレール、ルーフレールレッグ、ピラー、ピラーカバー、ホイールカバー、スポイラー等に代表される各種エアロパーツ、各種モール、エンブレムといった外装部品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等に代表される内装部品等に好適に使用できる。
これらの中でも、自動車の外板部品に好適に使用可能である。
(使用した原料)
実施例等において使用した原料は次のとおりである。
(A)ポリアミド(以下、PAと略記)
(PA−1)ポリアミド6
相対粘度(98%硫酸/25℃)=2.3(JIS K6810)
アミノ基/カルボキシル基比(濃度比)=0.4
(PA−2)ポリアミド6,6
相対粘度(98%硫酸/25℃)=2.6(JIS K6810)
アミノ基/カルボキシル基比(濃度比)=0.3
(PPE−1)ポリフェニレンエーテル
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(旭化成ケミカルズ(株)製)
還元粘度:0.42dl/g(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
(PPE−2)無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル
(PPE−1)100質量部に対して、ラジカル開始剤0.1質量部および無水マレイン酸1.5質量部を添加し、二軸押出機を用いてシリンダー温度320℃で溶融混練して作製した。なお、無水マレイン酸の付加率は、0.5%であった。
(SEBS−1)ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=246,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=41,300
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=167,500
スチレン成分合計含有量=33質量%
1,2−ビニル含有量=33%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(SEPS−2)ポリスチレン−水素添加ポリイソプレン−ポリスチレン
数平均分子量=100,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=15,000
水素添加ポリイソプレンの数平均分子量=70,000
スチレン成分合計含有量=30質量%
ポリイソプレン部の水素添加率=98%以上
(SEBS−3)ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=97,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=29,100
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=38,800
スチレン成分合計含有量=60質量%
1,2−ビニル含有量=36%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(タルク−1)
平均粒子径:8.89μm、メジアン径:8.38μm
d75%/d25%=1.64、(0 0 2)回折面の結晶子径=580Å
粒子径10μm以下の割合=68%、粒子径20μm以上の割合=1%
固め見掛け密度:0.92g/cm3
(タルク−2)
平均粒子径:11.85μm、メジアン径:10.68μm
d75%/d25%=1.91、(0 0 2)回折面の結晶子径=620Å
粒子径10μm以下の割合=45%、粒子径20μm以上の割合=9%
固め見掛け密度:0.78g/cm3
(タルク−3)
平均粒子径:13.62μm、メジアン径:12.31μm
d75%/d25%=1.88、(0 0 2)回折面の結晶子径=670Å
粒子径10μm以下の割合=33%、粒子径20μm以上の割合=15%
固め見掛け密度:0.70g/cm3
(タルク−4)
平均粒子径:17.67μm、メジアン径:12.41μm
d75%/d25%=2.64、(0 0 2)回折面の結晶子径=670Å
粒子径10μm以下の割合=38%、粒子径20μm以上の割合=27%
固め見掛け密度:0.86g/cm3
ポリアミド6,6(PA−2)を90質量部と、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックEC600−JD:ケッチェンブラックインターナショナル社製)を10質量部とを、二軸押出機を用いて溶融混練し、導電性マスターバッチ(PA/KB−MB)を得た。
上流部(第1供給口)、中流部(第2供給口)および下流部(第3供給口)の供給口を有する二軸押出機[ZSK−58MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用い、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量400kg/hrの条件に設定した。表1および表2に記載の組成にて、第1供給口より、ポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体を供給し、第2供給口より、ポリアミド及び付加的に導電性マスターバッチを供給し、更に、第3供給口より、種々のタルクを供給して溶融混練することにより、樹脂組成物のペレットを作成した。
得られた該ペレットについて、下記の方法に従って各種物性の測定を行った。結果を表1および表2に示す。なお、各実施例の組成物の製造時におけるタルクの供給量は安定していたが、各比較例の組成物の製造時はタルクの供給量にばらつきがあった。
以下に、各種物性の測定方法について述べる。
<流動性(MFR)>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、ASTM D1238に準拠して、温度280℃、荷重5kgの条件下での10分間あたりの流出量を求めた。
<薄肉流動性>
得られた樹脂組成物ペレットを日精樹脂工業(株)製FE120成形機を用いて、厚み2mmのスパイラルフロー(SFD)を測定した。成形条件は、シリンダー温度:300℃、金型温度:110℃、射出圧力:118MPaとした。
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて50×90×2.5mmの平板試験片を作成した。グラフィックインパクトテスター(東洋精機社製)を用いて、ホルダ径φ40mm、ストライカー径12.7mm、ストライカー重量6.5kgを使用し、高さ128cmから衝撃試験を行い、全吸収エネルギーを測定した。
<引張試験>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定)を用いて、ASTM D638に記載のTYPE I試験片を作成した。引張試験は、ASTM D638に準拠して引張伸びを測定した。
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて50×90×2.5mmの平板試験片を作成し、試験を実施した。
平板の中央部分から、10×4×2.5mmの試験片を切出し、JIS K7197に準拠して、TMA−7(パーキンエルマー社製)を用いて、昇温速度=5℃/分、荷重=10mNで、−30〜80℃の線膨張係数を測定した。
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定)を用いて、ダンベルバーとしてISO294の記載の如く成形した。この試験片の両端を折り取って均一な断面積10×4mm、長さ70mmで両端に破断面を持つ試験片とした。
試験片の折り取り方については、−75〜−70℃のドライアイス/メタノールの中に、予めカッターナイフでキズをつけた試験片を1時間浸漬後、折り取る方法で行った。この両端の破断面に銀塗料を塗布し、エレクトロメーター(アドバンテスト製、R8340A)を用いて、250Vの印加電圧で両方の破断面間の体積抵抗率を測定した。測定は5個の異なる試験片を用いて行い、その加算平均値を導電性(体積固有抵抗値)とした。
近年、ポリアミド−ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は自動車のフェンダー等の大型成形品に使用されている。このような成形品を金属部品と組合せて用いる場合には、成形品の線膨張係数が金属部品の線膨張係数より大きすぎて、高温環境下では寸法差や噛み合い不良といった不具合を生じる。そこで一般に、線膨張係数を低減するためには、樹脂組成物中に無機フィラーを配合する手法が採用されている。しかし、その結果として著しく耐衝撃性が低下する問題があった。
また最近になって、無機フィラーおよび導電材を充填したポリアミド−ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を自動車外板等の大型で薄肉の成形品用途に用いることが検討され始めている。特に落錘などの面衝撃強度、薄肉流動性の向上および導電性の付与が要求されるようになっている。
こういった市場の要求に対して、上述した従来技術では面衝撃強度、引張伸びと流動性のバランスに劣り、十分に満足する実用化のレベルには達していないのが現状である。従って、面衝撃強度、流動性および線膨張係数のバランスに優れた樹脂組成物、さらに導電性も有する樹脂組成物が待望されている。
1.(A)ポリアミド30〜80質量部、(B)ポリフェニレンエーテル20〜70質量部の合計100質量部に対して、(C)ゴム状重合体0〜40質量部および(D)平均粒子径10μmを超えて20μm以下でかつ、粒子径の小さい方から25%の粒子径(d25%)と75%の粒子径(d75%)の比(d75%/d25%)が1.0以上2.5以下である板状無機フィラー10〜50質量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。
2.(D)板状無機フィラーの平均粒子径が11〜17μmである、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.(D)板状無機フィラーの粒子径の小さい方から25%の粒子径(d25%)と75%の粒子径(d75%)の比(d75%/d25%)が1.5以上2.5以下である、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.(D)板状無機フィラーがタルクである、上記1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.(D)板状無機フィラーがタルクであり、広角X線回折によるタルクの(0 0 2)回折面の結晶子径が600Å以上である、上記4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.(C)ゴム状重合体が、(A)ポリアミド樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル樹脂の合計100質量部に対して5〜40質量部である、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
7.(A)ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,12及びポリアミド6,6/6,Iからなる群から選ばれる少なくとも一種以上である、上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
8.(E)成分として導電材を含んでなる、上記1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
9.(E)導電材が、導電性カーボンブラックおよびカーボンフィブリルからなる群より選ばれる1種以上である、上記8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
10.(E)導電材が、(A)ポリアミドと予め溶融混練された導電性マスターバッチとして添加されてなる、上記9に記載の熱可塑性樹脂組成物。
11.上記1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
12.上記1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる自動車用外装部品。
本発明で使用することのできる(A)ポリアミドの種類としては、ポリマー主鎖繰り返し単位中にアミド結合{−NH−C(=O)−}を有するものであれば、いずれも使用することができる。一般にポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、ラクタム類の開環重合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られるが、これらに限定されるものではない。
上記ジアミンとしては大別して脂肪族、脂環式および芳香族ジアミンが挙げられる。具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルナノメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン等が挙げられる。
ラクタム類としては、具体的にはε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。
本発明においては、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を、単独あるいは二種以上の混合物にして重縮合を行って得られる共重合ポリアミド類のいずれもが使用できる。また、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸を重合反応機内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量化したものも好適に使用することができる。
好ましいポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,12、ポリアミド6,6/6,I、またはそれらの混合物である。より好ましくはポリアミド6,6、ポリアミド6、またはポリアミド6,6とポリアミド6、ポリアミド6,6とポリアミド6,6/6,Iのブレンド物であり、更に好ましくはポリアミド6、またはポリアミド6とポリアミド6,6のブレンド物である。
なお、本発明でいう相対粘度とは、JIS K6920−1:2000に準拠して測定した値である。具体的には、98%濃硫酸に、1g/100cm3の濃度でポリアミドを溶解し、オストワルド型粘度計により25℃で測定した流下時間をt1、98%濃硫酸単体の25℃での流下時間をt0として、
ηr=t1/t0
で示される値である。
本発明においてポリアミドを混合物として用いた場合の相対粘度は、組成物中に含まれるポリアミド成分を分離して測定する方法、もしくは、原料とするポリアミド成分のηrを測定する濃度(1g/100cm3)の溶液として、それらを配合比に応じて混合した混合溶液を実測する方法で知ることができる。
これらポリアミド樹脂の末端基比率の調整方法は、当業者には明らかであるような公知の方法を用いることができる。例えばポリアミド樹脂の重合時に所定の末端基比率となるようにジアミン類やジカルボン酸類、モノカルボン酸類などを添加する方法、あるいは、末端基の比率が異なる2種類以上のポリアミド樹脂の混合物により調整する方法等が挙げられる。
さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド100質量部に対して10質量部未満の量で添加してもかまわない。
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
本発明で用いるポリフェニレンエーテルの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が使用できる。例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報及び同63−152628号公報等に記載されている製造方法等を挙げることができる。
本発明においては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても、何ら問題なく使用することができる。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
該変性されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で、100℃以上かつポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法;(2)ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度でポリフェニレンエーテルと変性化合物とを溶融混練して反応させる方法;(3)ラジカル開始剤の存在下又は非存在下で、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物とを溶液中で反応させる方法等が挙げられる。これらいずれの方法でも構わないが、(1)及び(2)の方法が好ましい。
分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の1個または2個がエステルになっているものも使用可能である。
分子内に炭素−炭素二重結合と水酸基とを同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式CnH2n−3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式CnH2n−5OH、CnH2n−7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
上述した変性化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組合せて用いても良い。
また、変性されたポリフェニレンエーテル中の変性化合物の付加率は、0.01〜5質量%が好ましい。より好ましくは0.1〜3質量%である。該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/または変性化合物の重合体が残存していても構わない。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル100質量部に対して10質量部未満の量で添加しても構わない。
ここでいう芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50質量%以上が芳香族ビニル化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」に関しても同様で、少なくとも50質量%以上が共役ジエン化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
本発明における芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体で使用することのできる芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
該ブロック共重合体の共役ジエン化合物のソフトセグメント部分のミクロ構造は1,2−ビニル含量もしくは1,2−ビニル含量と3,4−ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、10〜40%が最も好ましい。
本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[S]と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]がS−B型、S−B−S型、S−B−S−B型から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事が好ましい。また、これらの混合物であってももちろん構わない。これらの中でもS−B−S型、S−B−S−B型がより好ましい。これらはもちろん混合物であっても構わない。
また、本発明において、(C)成分のブロック共重合体は、(C1)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55質量%以上90質量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20質量%以上55質量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物であることが好ましい。
流動性と面衝撃強度を著しく改良するために、(C1)成分と(C2)成分から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量と、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量を上述の範囲内に調整することが好ましい。
具体的には、(C)成分の各ブロック共重合体の数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置[GPC SYSTEM21:昭和電工(株)製]を用いて、紫外分光検出器[UV−41:昭和電工(株)製]で測定し、標準ポリスチレンで換算した数平均分子量の事を指す。[溶媒:クロロホルム、温度:40℃、カラム:サンプル側(K−G,K−800RL,K−800R)、リファレンス側(K−805L×2本)、流量10ml/分、測定波長:254nm,圧力15〜17kg/cm2]。この時、重合時の触媒失活による低分子量成分が検出されることがあるが、その場合は分子量計算に低分子量成分は含めない。
Mn(a),n={Mn×a/(a+b)}/N(a) (2)
上式中において、Mn(a),nはブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mnはブロック共重合体nの数平均分子量、aはブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、bはブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、およびN(a)はブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの数を表す。
Mn(a),av=Σ(Mn(a),n×Cn) (3)
上式中において、Mn(a),avはブロック共重合体の混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mn(a),nはブロック共重合体nの芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中のブロック共重合体nの重量分率を表す。
Mn(b),n={Mn×b/(a+b)}/N(b) (4)
上式中において、Mn(b),nはブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mnはブロック共重合体nの数平均分子量、aはブロック共重合体n中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、bはブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、およびN(b)はブロック共重合体n中の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの数を表す。
Mn(b),av=Σ(Mn(b),n×Cn) (5)
上式中において、Mn(b),avはブロック共重合体の混合物中の共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Mn(b),nはブロック共重合体nの共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量、Cnはブロック共重合体混合物中のブロック共重合体nの重量分率を表す。
これら芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量もしくは1,2−結合ビニル含有量と3,4−結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等混合して用いても構わない。
ここでいうパラフィンを主成分とするオイルとは、芳香環含有化合物、ナフテン環含有化合物及びパラフィン系化合物の三者が組み合わさった重量平均分子量500〜10000の範囲の炭化水素系化合物の混合物であり、パラフィン系化合物の含有量が50質量%以上のものである。より好ましくは、パラフィン系化合物が50〜90質量%、ナフテン環含有化合物が10〜40質量%、芳香環含有化合物が5質量%以下のものである。これら、パラフィンを主成分とするオイルは市販されており、例えば出光興産(株)製のPW380等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用することのできるエチレン−α−オレフィン共重合体としては、特開2001−302911号公報に記載されているようなシングルサイト触媒で製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく使用可能である。
ここでいう分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または三重結合、及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物とは、変性されたポリフェニレンエーテルについて述べた変性化合物と同じものが使用できる。
一般に、板状無機フィラーの固め見かけ密度は、0.5〜1.3g/cm3の範囲内のものが多い。本発明においては、これらの中でも、固め見掛け密度が0.5〜0.8g/cm3のタルクを使用することが特に好ましく、線膨張係数、流動性、面衝撃性および引張伸びを同時に満足させることができる。
また、本発明で使用できるタルクのゆるめ見かけ密度には特に制限はないが、0.4g/cm3以下であることが望ましい。ゆるめ見かけ密度は、上述の固め見掛け密度の測定時の振動を加える前の100cm3の容積中に入っているタルクの重量から導き出される密度値である。
ここでいうタルクの(0 0 2)回折面は、広角X線回折装置(具体的には、RAD−RX型広角X線回折装置(理学電機(株)製))を用いて、タルクMg3Si4O10(OH)2が同定され、その層間距離がタルクの(0 0 2)回折面による格子面間隔である約9.39Åに一致することにより確認できる。また、タルクの(0 0 2)回折面の結晶子径は、そのピークの半値幅より算出される。
また、本発明の板状無機フィラーは、樹脂との親和性を向上させる目的で添加されるシランカップリング剤等の表面処理剤を含んでいても構わない。その量に制限はないが、概ね板状無機フィラー100質量部に対して5質量部を超えない範囲である。
本発明で使用可能な導電性カーボンブラックとしては、WO01/081473号公報に導電用カーボンブラックとして記載されているカーボンブラック等が挙げられる。市販されている導電性カーボンブラックの一例としては、ケッチェンブラックインターナショナル社から入手可能なケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD等が挙げられる。また、本発明で使用可能なカーボンフィブリルとしては、国際公開特許WO94/023433号公報に記載されている微細な炭素繊維等が挙げられる。市販されているカーボンフィブリルとしてはハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なBNフィブリル等が挙げられる。
該マスターバッチは市販しているものを使用しても構わない。市販品のマスターバッチの例としては、ハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なポリアミド66/カーボンフィブリルマスターバッチ(商品名:Polyamide66 with Fibril TM Nanotubes RMB4620−00:カーボンフィブリル量20%)等が挙げられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に、(E)導電材を添加する際の好ましい添加量は、熱可塑性樹脂組成物すべてを100質量%とした際に、0.5〜3.0質量%である。より好ましくは1.0〜2.0質量%である。
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸が挙げられる。それらの中でも無水マレイン酸が最も好ましい。
本発明で使用することのできる相溶化剤の好ましい量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.1〜10質量部である。
ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、難燃剤(ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル、モンタン酸金属塩類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。
これらの成分の具体的な添加量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して、合計で100質量部を超えない範囲である。
1.少なくとも上流部に1箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、ポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体、ポリアミド及び板状無機フィラー、さらに付加的に導電材(マスターバッチを含む)を供給し溶融混練する方法。
2.少なくとも上流部(第1供給口)及び中流部(第2供給口)の2箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、第1供給口よりポリフェニレンエーテル及びゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口よりポリアミド及び板状無機フィラー、さらに付加的に導電材(マスターバッチを含む)を供給し溶融混練する方法。
3.少なくとも上流部(第1供給口)、中流部(第2供給口)、下流部(第3供給口)の3箇所の供給口を備えた二軸押出機を用いて、第1供給口よりポリフェニレンエーテル及びゴム状重合体を供給し溶融混練した後、第2供給口よりポリアミド、さらに付加的に導電材(マスターバッチを含む)を供給し溶融混練し、次いで第3供給口より板状無機フィラー、さらに付加的に導電材(マスターバッチを含む)を供給し溶融混練する方法。
これらの中でも上記3の方法が最も好ましい。
また、溶融混練温度も特に限定されるものではないが、通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、面衝撃強度が23℃において6J以上、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠し、荷重は5kg、設定温度は280℃として測定)が15g/10min以上、かつ線膨張係数(JIS K7197に準拠し、昇温速度が5℃/分、荷重が10mNで、温度が−30〜80℃として測定)が7.5×10−5/℃以下であることが好ましい。
これら各種部品としては、例えばICトレー材料、各種ディスクプレーヤー等のシャーシー、キャビネット等の電気・電子部品、各種コンピューターおよびその周辺機器等のOA部品や機械部品、さらにはオートバイのカウルや、自動車のフェンダー、ドアーパネル、フロントパネル、リアパネル、ロッカーパネル、リアバンパーパネル、バックドアガーニッシュ、エンブレムガーニッシュ、燃料注入口パネル、オーバーフェンダー、アウタードアハンドル、ドアミラーハウジング、ボンネンットエアインテーク、バンパー、バンパーガード、ルーフレール、ルーフレールレッグ、ピラー、ピラーカバー、ホイールカバー、スポイラー等に代表される各種エアロパーツ、各種モール、エンブレムといった外装部品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等に代表される内装部品等に好適に使用できる。
これらの中でも、自動車の外板部品に好適に使用可能である。
(使用した原料)
実施例等において使用した原料は次のとおりである。
(A)ポリアミド(以下、PAと略記)
(PA−1)ポリアミド6
相対粘度(98%硫酸/25℃)=2.3(JIS K6810)
アミノ基/カルボキシル基比(濃度比)=0.4
(PA−2)ポリアミド6,6
相対粘度(98%硫酸/25℃)=2.6(JIS K6810)
アミノ基/カルボキシル基比(濃度比)=0.3
(PPE−1)ポリフェニレンエーテル
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(旭化成ケミカルズ(株)製)
還元粘度:0.42dl/g(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
(PPE−2)無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル
(PPE−1)100質量部に対して、ラジカル開始剤0.1質量部および無水マレイン酸1.5質量部を添加し、二軸押出機を用いてシリンダー温度320℃で溶融混練して作製した。なお、無水マレイン酸の付加率は、0.5%であった。
(SEBS−1)ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=246,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=41,300
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=167,500
スチレン成分合計含有量=33質量%
1,2−ビニル含有量=33%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(SEPS−2)ポリスチレン−水素添加ポリイソプレン−ポリスチレン
数平均分子量=100,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=15,000
水素添加ポリイソプレンの数平均分子量=70,000
スチレン成分合計含有量=30質量%
ポリイソプレン部の水素添加率=98%以上
(SEBS−3)ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=97,000
ポリスチレンブロック1個あたりの数平均分子量=29,100
水素添加ポリブタジエンの数平均分子量=38,800
スチレン成分合計含有量=60質量%
1,2−ビニル含有量=36%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(タルク−1)
平均粒子径:8.89μm、メジアン径:8.38μm
d75%/d25%=1.64、(0 0 2)回折面の結晶子径=580Å
粒子径10μm以下の割合=68%、粒子径20μm以上の割合=1%
固め見掛け密度:0.92g/cm3
(タルク−2)
平均粒子径:11.85μm、メジアン径:10.68μm
d75%/d25%=1.91、(0 0 2)回折面の結晶子径=620Å
粒子径10μm以下の割合=45%、粒子径20μm以上の割合=9%
固め見掛け密度:0.78g/cm3
(タルク−3)
平均粒子径:13.62μm、メジアン径:12.31μm
d75%/d25%=1.88、(0 0 2)回折面の結晶子径=670Å
粒子径10μm以下の割合=33%、粒子径20μm以上の割合=15%
固め見掛け密度:0.70g/cm3
(タルク−4)
平均粒子径:17.67μm、メジアン径:12.41μm
d75%/d25%=2.64、(0 0 2)回折面の結晶子径=670Å
粒子径10μm以下の割合=38%、粒子径20μm以上の割合=27%
固め見掛け密度:0.86g/cm3
ポリアミド6,6(PA−2)を90質量部と、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックEC600−JD:ケッチェンブラックインターナショナル社製)を10質量部とを、二軸押出機を用いて溶融混練し、導電性マスターバッチ(PA/KB−MB)を得た。
上流部(第1供給口)、中流部(第2供給口)および下流部(第3供給口)の供給口を有する二軸押出機[ZSK−58MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用い、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量400kg/hrの条件に設定した。表1および表2に記載の組成にて、第1供給口より、ポリフェニレンエーテル、ゴム状重合体を供給し、第2供給口より、ポリアミド及び付加的に導電性マスターバッチを供給し、更に、第3供給口より、種々のタルクを供給して溶融混練することにより、樹脂組成物のペレットを作成した。
得られた該ペレットについて、下記の方法に従って各種物性の測定を行った。結果を表1および表2に示す。なお、各実施例の組成物の製造時におけるタルクの供給量は安定していたが、各比較例の組成物の製造時はタルクの供給量にばらつきがあった。
以下に、各種物性の測定方法について述べる。
<流動性(MFR)>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、ASTM D1238に準拠して、温度280℃、荷重5kgの条件下での10分間あたりの流出量を求めた。
<薄肉流動性>
得られた樹脂組成物ペレットを日精樹脂工業(株)製FE120成形機を用いて、厚み2mmのスパイラルフロー(SFD)を測定した。成形条件は、シリンダー温度:300℃、金型温度:110℃、射出圧力:118MPaとした。
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて50×90×2.5mmの平板試験片を作成した。グラフィックインパクトテスター(東洋精機社製)を用いて、ホルダ径φ40mm、ストライカー径12.7mm、ストライカー重量6.5kgを使用し、高さ128cmから衝撃試験を行い、全吸収エネルギーを測定した。
<引張試験>
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定)を用いて、ASTM D638に記載のTYPE I試験片を作成した。引張試験は、ASTM D638に準拠して引張伸びを測定した。
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度290℃、金型温度80℃に設定)にて、射出時間20秒、冷却時間20秒にて50×90×2.5mmの平板試験片を作成し、試験を実施した。
平板の中央部分から、10×4×2.5mmの試験片を切出し、JIS K7197に準拠して、TMA−7(パーキンエルマー社製)を用いて、昇温速度=5℃/分、荷重=10mNで、−30〜80℃の線膨張係数を測定した。
得られた樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、東芝IS−80EPN成形機(シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定)を用いて、ダンベルバーとしてISO294の記載の如く成形した。この試験片の両端を折り取って均一な断面積10×4mm、長さ70mmで両端に破断面を持つ試験片とした。
試験片の折り取り方については、−75〜−70℃のドライアイス/メタノールの中に、予めカッターナイフでキズをつけた試験片を1時間浸漬後、折り取る方法で行った。この両端の破断面に銀塗料を塗布し、エレクトロメーター(アドバンテスト製、R8340A)を用いて、250Vの印加電圧で両方の破断面間の体積抵抗率を測定した。測定は5個の異なる試験片を用いて行い、その加算平均値を導電性(体積固有抵抗値)とした。
Claims (18)
- (A)ポリアミド30〜80質量部、(B)ポリフェニレンエーテル20〜70質量部の合計100質量部に対して、(C)ゴム状重合体0〜40質量部および(D)平均粒子径9〜20μmでかつ、粒子径の小さい方から25%の粒子径(d25%)と75%の粒子径(d75%)の比(d75%/d25%)が1.0以上2.5以下である板状無機フィラー10〜50質量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。
- (D)板状無機フィラーの平均粒子径が10μmを超えて20μm以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (D)板状無機フィラーの平均粒子径が11〜17μmである、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (D)板状無機フィラーの粒子径の小さい方から25%の粒子径(d25%)と75%の粒子径(d75%)の比(d75%/d25%)が1.5以上2.5以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (D)板状無機フィラーがタルクである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (D)板状無機フィラーが、固め見掛け密度0.5〜0.8g/cm3のタルクである、請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (D)板状無機フィラーがタルクであり、広角X線回折によるタルクの(0 0 2)回折面の結晶子径が600Å以上である、請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (C)ゴム状重合体が、(A)ポリアミド樹脂と(B)ポリフェニレンエーテル樹脂の合計100質量部に対して5〜40質量部である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (A)ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,12及びポリアミド6,6/6,Iからなる群から選ばれる少なくとも一種以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (C)ゴム状重合体が、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなる芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体及び/または水素添加されたブロック共重合体である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (C)ゴム状重合体が、(C1)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55質量%以上90質量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)少なくとも1個の芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを20質量%以上55質量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物であり、混合物中の芳香族ビニル化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が10,000以上30,000未満であり、かつ、共役ジエン化合物を主体とする一つの重合体ブロックの数平均分子量が50,000以上100,000未満である、請求項10に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (C)ゴム状重合体が、数平均分子量80,000より大きく120,000未満のブロック共重合体のみから構成される2種類以上のブロック共重合体の混合物である、請求項11に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (E)成分として導電材を含んでなる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (E)導電材が、導電性カーボンブラックおよびカーボンフィブリルからなる群より選ばれる1種以上である、請求項13に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (E)導電材が、(A)ポリアミドと予め溶融混練された導電性マスターバッチとして添加されてなる、請求項14に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 面衝撃強度が23℃において6J以上、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠し、荷重は5kg、設定温度は280℃として測定)が15g/10min以上、かつ線膨張係数(JIS K7197に準拠し、昇温速度が5℃/分、荷重が10mNで、温度が−30〜80℃として測定)が7.5×10−5/℃以下である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる自動車用外装部品。
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