JPWO2006059712A1 - ヒトステロイドサルファターゼに結合するモノクローナル抗体 - Google Patents

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Abstract

ヒトステロイドスルファターゼ(Steroid sulfatase;以下、STSと略記する)と特異的に結合する抗体が求められている。 本発明により、ヒトSTSと特異的に結合し、ヒトSTS以外のアリルサルファターゼに結合しない抗体または抗体断片、該抗体を生産するハイブリドーマが提供される。また、本発明は、該抗体または抗体断片を用いる、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法、ヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキットおよび免疫学的定量用試薬またはキットさらには、ヒトSTS関連疾患を判定、ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤の選択およびヒトSTS関連疾患の病態を判定するための、該抗体または抗体断片を用いる、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法、ヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキットおよび免疫学的定量用試薬またはキットが提供される。

Description

本発明は、ヒトステロイドスサファターゼ(Steroid sulfatase;以下、STSと略記する)と特異的に結合し、ヒトSTS以外のアリルサルファターゼ(以下、ARSと略記する)に結合しない抗体または抗体断片、該抗体を生産するハイブリドーマに関する。また、本発明は、該抗体または抗体断片を用いる、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法、ヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキットおよび免疫学的定量用試薬またはキット、さらには、ヒトSTS関連疾患を判定、ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤の選択およびヒトSTS関連疾患の病態の判定のための、該抗体または抗体断片を用いる、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法、ヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキットおよび免疫学的定量用試薬またはキットに関する。
ステロイドサルファターゼ(STS)(E.C.3.1.6.2.)は3β−ステロイド硫酸を脱硫酸化する酵素である。表皮上層において角質の正常な剥離に必須な、コレステロール硫酸からコレステロールへの変換は、STSにより触媒されており、STSの先天的欠損は魚鱗症を惹起する(非特許文献1)。また、STSは生体内において、エストロゲンの前駆体であるエストロン硫酸からエストロンへの変換を触媒する(非特許文献2)。生成したエストロンはさらにデヒドロゲナーゼの働き活性化ホルモンであるエストラジオールに変換される。エストラジオールはエストロゲンの一種である。
乳癌、卵巣癌および子宮癌の一部はその発生と増殖にエストロゲンが深く関与するホルモン依存性腫瘍である。乳癌や子宮体癌組織ではエストロゲン/エストロン硫酸の比、あるいはSTSの酵素活性が正常組織に比べ有意に高い(非特許文献3、非特許文献4)。また、STSに対する抗体を用いた解析により、ホルモン依存性腫瘍でのSTSは蛋白質レベルで発現亢進している。
抗ヒトSTSモノクローナル抗体を用いた免疫組織染色により、乳癌組織では、周囲の正常組織に比べSTSの発現が亢進していることが知られている(非特許文献5)。また、抗ヒトSTSモノクローナル抗体を用いて113例の浸潤性乳管癌患者の癌部の免疫組織染色を行った結果、74.3%がSTS陽性であり、さらにSTSの発現が腫瘍の大きさ、再発リスクおよび予後の不良と正の相関を示した(非特許文献6)。
乳癌はその発生部位によって、乳管癌、小葉癌、パジェット病に大きく分類できる。乳管内のみにある癌を非浸潤性癌と呼び、間質に浸潤しているものを浸潤性癌と呼ぶ。
子宮体癌は子宮体部の内膜にできる癌であるが、近年日本人において増加傾向が見られる。子宮体癌細胞において、STS活性の存在が確認されている(非特許文献8)。
子宮内膜症とは、子宮内膜に類似した組織が、子宮内腔以外の場所に異所性に存在する類腫瘍性の良性疾患である。子宮内膜はエストロゲンによって増殖するので、子宮内膜症ではエストロゲンによって増生する。子宮腺筋症とは、子宮内膜症の亜型で、子宮内膜が子宮筋層内に侵入したものである。21例の子宮腺筋症患者のうち、その78%の腺筋組織にSTSの発現が認められ、STSの発現は腺上皮細胞に限局していた(非特許文献7)。一方、正常子宮組織においては、内膜基底層の腺上皮細胞にSTSの発現が認められたことから、内膜基底層および腺筋組織がSTSによって産生されたエストロゲンの供給原となっていると考えられる。
STSの発現を調べる方法としては、酵素活性測定方法(非特許文献4)、mRNA量の定量などの方法(非特許文献9)、または抗体を用いた検出方法および定量方法(非特許文献5、6)が知られている。
ヒトSTSに対する抗体としては、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の報告されている(非特許文献6、10)。
STSはARSファミリーに属する蛋白質である。現在までにARS A,B,C,D,E,Fの6種類のARSが知られており、ヒトSTSはARS Cと同一の蛋白質である。
LancetI,70(1978) Endocrinology,90,390(1972) J.steroid Biochem.,33,1049(1989) Asia−Oceania,J.Obstet.Gynaecol.,15,101(1989) Breast Cancer,6,331(1999) Cancer Research,63,276(2003) Obstetrics & Gynecology,98,815(2001) Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism,65,164(1987) Cancer Research,59,377(1999) Cell,49,443(1987)
本発明の目的は、ヒトSTSと特異的に結合し、ヒトSTS以外のARSに結合しない抗体または抗体断片、該抗体を生産するハイブリドーマを提供することにある。また、本発明の目的は、該抗体または抗体断片を用いる、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法、ヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキットおよび免疫学的定量用試薬またはキット、さらには、ヒトSTS関連疾患を判定、ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤の選択およびヒトSTS関連疾患の病態の判定のための、該抗体または抗体断片を用いる、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法、ヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキットおよび免疫学的定量用試薬またはキットを提供することにある。
本発明は以下の(1)〜(53)に関する。
(1)ヒトステロイドスルファターゼ(以下、STSと略記する)と特異的に結合し、ヒトSTS以外のアリルスルファターゼに結合しない抗体または抗体断片。
(2)ヒトSTS以外のアリルスルファターゼが、アリルスルファターゼA、アリルスルファターゼB、アリルスルファターゼD、アリルスルファターゼEまたはアリルスルファターゼFである(1)に記載の抗体または抗体断片。
(3)抗体が、モノクローナル抗体である(1)または(2)に記載の抗体または抗体断片。
(4)モノクローナル抗体が、ハイブリドーマKM1053(FERM BP−10015)から生産されるモノクローナル抗体が結合するエピトープと結合するモノクローナル抗体である(3)に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
(5)ハイブリドーマKM1053(FERM BP−10015)から生産される(3)に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
(6)(3)〜(5)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片を生産するハイブリドーマ。
(7)ハイブリドーマが、ハイブリドーマKM1053(FERM BP−10015)である(6)に記載のハイブリドーマ。
(8)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いることを特徴とする、検体中のヒトSTSの免疫学的検出方法。
(9)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いることを特徴とする、検体中のヒトSTSの免疫学的定量方法。
(10)免疫学的定量方法が、酵素免疫測定法である(9)に記載の方法。
(11)検体が、ヒト由来の生体試料である(8)〜(10)のいずれか1項に記載の方法。
(12)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、ヒトSTS関連疾患を判定するための、検体中のヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法。
(13)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(12)に記載の方法。
(14)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(13)に記載の方法。
(15)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤を選択するための、検体中のヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法。
(16)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(15)に記載の方法。
(17)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(16)に記載の方法。
(18)ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤がホルモン療法剤またはSTS阻害剤である(15)〜(17)のいずれか1項に記載の方法。
(19)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患の病態を判定するための、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法。
(20)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(19)に記載の方法。
(21)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(20)に記載の方法。
(22)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、検体中のヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキット。
(23)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、検体中のヒトSTSの免疫学的定量用試薬またはキット。
(24)免疫学的定量が、酵素免疫測定法を用いる定量である(23)に記載の試薬またはキット。
(25)検体が、ヒト由来の生体試料である(22)〜(24)のいずれか1項に記載の試薬またはキット。
(26)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患判定用試薬またはキット。
(27)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(26)に記載の試薬またはキット。
(28)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(27)に記載の試薬またはキット。
(29)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤選択用試薬またはキット。
(30)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(29)に記載の試薬またはキット。
(31)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(30)に記載の試薬またはキット。
(32)ヒトSTS関連疾患治療に適する薬剤が、ホルモン療法剤またはSTS阻害剤である(29)〜(31)のいずれか1項に記載の試薬またはキット。
(33)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患の病態判定用試薬またはキット。
(34)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(33)に記載の試薬またはキット。
(35)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が、悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(34)に記載の試薬またはキット。
(36)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患の診断薬。
(37)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(36)に記載の診断薬。
(38)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(37)に記載の診断薬。
(39)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患の病態の診断薬。
(40)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(39)に記載の診断薬。
(41)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(40)に記載の診断薬。
(42)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患を診断する方法。
(43)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(42)に記載の方法。
(44)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(43)に記載の方法。
(45)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤を選択する方法。
(46)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(45)に記載の方法。
(47)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(46)に記載の方法。
(48)ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤がホルモン療法剤またはSTS阻害剤である(45)〜(47)のいずれか1項に記載の方法。
(49)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患の病態を診断する方法。
(50)ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である(49)に記載の方法。
(51)ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である(50)に記載の方法。
(52)(22)〜(41)のいずれか1項に記載の試薬、キットまたは診断薬を製造するための(1)〜(5)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
(53)(6)または(7)に記載のハイブリドーマを培地に培養し、培養物中に(3)〜(5)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片を生成蓄積させ、培養物から抗体または抗体断片を採取することを特徴とする(3)〜(5)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。本願は、2004年12月2日に出願された日本国特許出願2004−350246号の優先権を主張するものであり、当該特許出願の明細書および図面に記載される内容を包含する。
図1には、抗原として用いたヒト胎盤から精製したヒトSTSのSDS−ポリアクリルアミド電気泳動のクマシーブリリアント染色像を示した。左のレーンはヒト胎盤から精製したヒトSTSを、右のレーンは分子量マーカーを示す。精製したヒトSTSは矢印で示す。 図2には、モノクローナル抗体の、バインディングELISAにおけるヒト胎盤由来精製ヒトSTSに対する反応性を示した。左右のカラムはそれぞれ抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053での反応性を示す。縦軸は415nmでの吸光度を示す。黒塗りのカラムは、抗原としてヒト胎盤から精製したヒトSTSを、白抜きのカラムはBSAを固相化した場合の結果を示す。
図3には、ウェスタンブロッティングでの抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053のヒト胎盤由来精製ヒトSTSおよび大腸菌発現ヒトSTSとの反応性をそれぞれ示した。レーン1は大腸菌発現のヒトSTSを、レーン2はヒト胎盤由来精製ヒトSTSをそれぞれ示す。 図4には、ヒトSTS遺伝子導入細胞のARS活性を示した。縦軸は単位蛋白質量当たりの酵素活性を示す。cDNA3−1はヒトSTS遺伝子が含まれていないプラスミドを導入したコントロール細胞の、cs3−1はヒトSTS遺伝子を導入した細胞の活性をそれぞれ示す。
図5には、免疫沈降法でのモノクローナル抗体とヒトSTS遺伝子を導入した細胞cs3−1細胞由来のヒトSTSとの反応性を示す。レーン1は、陰性対照であるモノクローナル抗体KM1063で、レーン2は抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053で、レーン3は抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049で免疫沈降を行った結果をそれぞれ示す。 図6には、免疫細胞染色(フローサイトメトリー)でのモノクローナル抗体とヒトSTS遺伝子導入細胞との反応性を示した。白抜きのクロマトグラムは陰性対照であるモノクローナル抗体KM1063を、黒塗りのクロマトグラムは抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053を用いた場合の結果を示す。AにはヒトSTS遺伝子が含まれていないプラスミドを導入したコントロール細胞cDNA3−1細胞での、BにはヒトSTS遺伝子を導入した細胞cs3−1細胞での結果を示した。
図7には、各種ARS遺伝子導入細胞のARS活性を示した。いずれの図も縦軸は細胞当たりのARS活性を示す。いずれの図も左のカラムは陰性対照の各種ARS遺伝子を導入していない細胞のARS活性を、右のカラムは各種ARS遺伝子を導入した細胞のARS活性をそれぞれ示す。AにはARS A遺伝子導入細胞の、BにはARS B遺伝子導入細胞の、CにはARS D遺伝子導入細胞の、DにはARS E遺伝子導入細胞の、EにはARS F遺伝子導入細胞の結果を示す。 図8には、ウェスタンブロッティングでの、モノクローナル抗体KM1049との各種ARS遺伝子導入細胞由来のARSとの反応性を示す。レーン1はARS A、レーン2はARS B、レーン3はARS C、レーン4はARS D、レーン5はARS E、レーン6はARS Fをそれぞれ示す。
図9には、免疫沈降での、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053の各種ARS遺伝子導入細胞由来ヒトSTSとの反応性を示した。レーン1はARS A、レーン2はARS B、レーン3はARS C、レーン4はARS D、レーン5はARS E、レーン6はARS Fをそれぞれ示す。 図10は、バインディングELISAでの抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053の各種ARSとの反応性を示した。Aは、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049を用いた結果を、Bは、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053を用いた結果をそれぞれ示す。縦軸は415nmの吸光度を、横軸は抗体濃度をそれそれ示す。●は動物細胞発現精製ARS Cを、破線の▲はARS Aを、■はARS Bをそれぞれ示す。
図11には、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053とビオチン化抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049を用いたサンドイッチELISAによる動物細胞由来精製ヒトSTSの検量曲線を示した。横軸は蛋白質濃度、縦軸は415nmの吸光度をそれぞれ示す。●は動物細胞発現精製ヒトSTSを、破線の△は陰性対照である組換え精製IL−1βをそれぞれ示す。
本発明は、ヒトSTSに特異的に結合し、ヒトSTS以外のARSに結合しない抗体に関する。
ヒトSTS以外のARSとしては、ARSのA、B、D、EおよびFがあげられる。本発明のヒトSTSと特異的に結合し、ヒトSTS以外のARSに結合しない抗体としては、ヒトSTS(ARS C)に特異的に結合し、ARSのA、B、D、EおよびFには結合しない抗体などがあげられる。
本発明の抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体などがあげられるが、好ましくはモノクローナル抗体があげられる。
ポリクローナル抗体としては、免疫を施された動物の抗血清、または該抗血清から精製されたポリクローナル抗体をあげることができる。本発明のポリクローナル抗体としては、ヒトSTSと特異的に結合し、STS以外のARSに交叉反応性を示さないポリクローナル抗体であればいかなるものも包含されるが、具体的には、ヒト以外の哺乳動物にヒトSTSを免疫して、その動物の血清を採取し、ヒトSTS以外のARSであるARSのA、B、D、EおよびFに反応性を示す画分を除去した画分を公知のアフィニティー精製法により、調製したポリクローナル抗体などがあげられる。ヒト以外の哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ヤギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリなどがあげられる。
モノクローナル抗体としては、ハイブリドーマにより生産された抗体または抗体断片、あるいは抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した形質転換体により生産される遺伝子組換え抗体または抗体断片をあげることができる。
本発明のモノクローナル抗体の具体例としては、ハイブリドーマ細胞株KM1053が生産する抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053をあげることができる。ハイブリドーマ細胞株KM1053は平成16年4月27日付でブタペスト条約に基づき独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にFERM BP−10015として寄託されている。
また、本発明のモノクローナル抗体としては、上記のハイブリドーマ細胞株KM1053(FERM BP−10015)により生産されるモノクローナル抗体が結合するエピトープと同一のエピトープに結合するモノクローナル抗体なども包含される。
遺伝子組換え抗体は、上記本発明のモノクローナル抗体を遺伝子組換え技術を用いて改変したものである。遺伝子組換え抗体としては、ヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または抗体断片など、遺伝子組換えにより製造される抗体などがあげられる。本発明の遺伝子組換え抗体をしては、遺伝子組換え抗体において、モノクローナル抗体の特徴を保持している抗体があげられる。
ヒト型キメラ抗体は、ヒト以外の動物の抗体の抗体重鎖(以下、H鎖と表記する)V領域(以下、抗体重鎖可変領域をVHと表記する)、および抗体軽鎖(L鎖と表記する)V領域(以下、抗体可変領域軽鎖をVLと表記する)と、ヒト抗体の重鎖定常領域(以下、CHと表記する)またはヒト抗体の軽鎖定常領域(以下、CLと表記する)とからなる抗体を意味する。
本発明のヒト型キメラ抗体は、本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマから、VHおよびVLをコードするcDNAを取得し、ヒト抗体CHおよびヒト抗体CLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターに挿入したヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ製造することができる。
本発明のヒト型キメラ抗体の構造としては、いずれのイムノグロブリン(Ig)クラスに属するものでもよいが、IgG型、さらにはIgG型に属するIgG1、IgG2、IgG3、IgG4などのイムノグロブリンのC領域が好ましい。
ヒト化抗体は、ヒト型相補性決定領域(complementarity determining region;以下、CDRと表記する)移植抗体または新形態抗体(reshaped antibody)などとも呼ばれる。
ヒト化抗体は、本発明のモノクローナル抗体のVHおよびVLのCDR配列で任意のヒト抗体のVHおよびVLのCDR配列をそれぞれ置換したV領域をコードする遺伝子を構築し、ヒト抗体のCHおよびヒト抗体のCLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ導入し、発現させることにより製造することができる。
本発明のヒト化抗体のC領域の構造としては、いずれのイムノグロブリン(Ig)クラスに属するものでもよいが、IgG型、さらにはIgG型に属するIgG1、IgG2、IgG3、IgG4などのイムノグロブリンのC領域が好ましい。
ヒト抗体は、元来、ヒト体内に天然に存在する抗体を意味するが、最近の遺伝子工学的、細胞工学的、発生工学的な技術の進歩により作製されたヒト抗体ファージライブラリー、およびヒト抗体産生トランスジェニック動物から得られる抗体なども包含する。
ヒト体内に存在する抗体は、例えば、ヒト抗体を産生するヒト末梢血リンパ球を単離し、EBウイルスなどを感染させて不死化、単一クローン化することにより、該抗体を産生するリンパ球を抗体再生細胞として培養することができ、培養物中より該抗体を精製することができる。
ヒト抗体ファージライブラリーは、B細胞またはリンパ球などのヒト抗体産生細胞から調製した抗体cDNAをファージベクター中に挿入することにより、Fab、scFvなどの抗体断片をファージ表面に発現させたライブラリーのことをいう。該ライブラリーより、抗原を固定化した基質に対する結合活性を指標として所望の抗原結合活性を有する抗体断片を発現しているファージを回収することができる。該抗体断片は、さらに遺伝子工学的手法を用いて、2本の完全なH鎖および2本の完全なL鎖からなるヒト抗体分子に変換することも可能である。
ヒト抗体産生トランスジェニック動物は、ヒト抗体遺伝子がゲノム内に組み込まれた動物を意味する。具体的には、マウスES細胞へヒト抗体遺伝子を導入し、該ES細胞を他のマウス初期胚へ移植後、発生させることによりヒト抗体産生トランスジェニック動物を創製することができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物からのヒト抗体の作製方法は、通常のヒト以外の哺乳動物で行われているハイブリドーマ作製方法によりヒト抗体産生ハイブリドーマを取得し、培養することで培養物中より該抗体を精製することができる。
本発明の抗体断片としては、抗体を適当なペプチダーゼで消化して得られる抗体断片または遺伝子組換えにより作製される抗体断片があげられる。抗体断片は、Fab(Fragment of antigen binding)、Fab’、F(ab’)2、一本鎖抗体(Single chain Fv;以下、scFvと称す)[Science,242,423(1988)]、2量体化可変領域(Diabodyとも称す)[Nature Biotechnol.,15,629(1997)]、およびジスルフィド安定化V領域断片(disulfide stabilized Fv;以下、dsFvと称す)[Molecular Immunol.,32,249(1995)]などが包含される。また、抗体断片としては、上記VHおよびVLのCDRのアミノ酸配列を含むペプチド(以下、CDRを含むペプチドと表記する)[J.Biol.Chem.,271,2966(1996)]も包含する。あるいは、VHとVLをジスルフィド結合によって一体化せず、それぞれ別の分子(それぞれVH分子、VL分子として表記する)として発現させたもの[Nature Biotechnology,14,1714(1996)]も抗体断片として包含する。
Fabは、IgGのヒンジ領域で2本のH鎖を架橋している2つのジスルフィド結合の上部のペプチド部分を酵素パパインで切断して得られるH鎖のN末端側半分と、L鎖全体で構成される分子量約3万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のFabは、本発明のモノクローナル抗体を酵素パパインで処理して取得することができる。または、該抗体のFab断片をコードするDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物に導入することにより発現させ、Fabを製造することができる。
Fab’は、下記F(ab’)2のヒンジ間のジスルフィド結合を切断して得られる分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のFab’は、本発明のモノクローナル抗体のF(ab’)2を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。また、該抗体のFab’断片をコードするDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物に導入することにより発現させ、Fab’を製造することもできる。
F(ab’)2は、IgGのヒンジ領域の2対のジスルフィド結合の下部を酵素トリプシンで処理して得ることができる、2つのFab領域がヒンジ部分で結合した分子量約10万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のF(ab’)2は、本発明のモノクローナル抗体を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。または、該抗体のF(ab’)2断片をコードするDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物に導入することにより発現させ、F(ab’)2を製造することができる。
scFvは、一本のVHと一本のVLとを適当なペプチドリンカー(以下、Pと表記する)を用いて連結した、VH−P−VLないしはVL−P−VHポリペプチドに示される。本発明で使用されるscFvに含まれるVHおよびVLは、本発明のモノクローナル抗体のいずれのものも用いることができる。
本発明のscFVは、本発明のモノクローナル抗体から、VHならびにVLをcDNAを取得し、該抗体のscFv断片をコードするDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物に導入することにより発現させ、scFvを製造することができる。
Diabodyは、抗原結合特異性の同じまたは異なるscFvが2量体を形成した抗体断片で、同じ抗原に対する2価の抗原結合活性、または異なる抗原に対する2特異的な抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のDiabodyは、本発明のモノクローナル抗体から、VHならびにVLをcDNAを取得し、該抗体のDiabody断片をコードするDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物に導入することにより発現させ、Diabodyを製造することができる。
dsFvは、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換したポリペプチドをジスルフィド結合により結合させたものである。システイン残基に置換するアミノ酸残基はReiterらに示された方法[Protein Engineering,,697(1994)]に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。本発明のdsFvに含まれるVHならびにVLは、本発明のモノクローナル抗体のいずれのものも用いることができる。
本発明のdsFvは、本発明のモノクローナル抗体から、VHならびにVLをcDNAを取得し、該抗体のdsFv断片をコードするDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物に導入することにより発現させ、dsFvを製造することができる。
CDRを含むペプチドは、VHまたはVLのCDRの少なくとも1領域以上を含んで構成される。複数のCDRを含むペプチドは、直接または適当なペプチドリンカーを介して結合させることによって製造することができる。
VH分子とVL分子は、本発明のモノクローナル抗体の生産ハイブリドーマから調製されたmRNAからcDNAを合成し、VHまたはVLを含む遺伝子断片をそれぞれ、PCRなどの方法でクローニングし、これを適当な発現ベクターと宿主の組み合わせで発現することによって製造することができる。ヒトSTS分子との親和性のよい分子を得るために、該発現ベクターをファージ発現ベクター、宿主を大腸菌とすることも好ましい態様と言える。VH分子とVL分子を所望の蛋白質との融合蛋白質として発現し製造することもできる。
本発明のCDRを含むペプチドは、本発明のモノクローナル抗体から、VHならびにVLをcDNAを取得し、該抗体のCDRを含むペプチドをコードするDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物に導入することにより発現させ、CDRを含むペプチドを製造することができる。また、CDRを含むペプチドは、Fmoc法(フルオレメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法よって製造することもできる。
本発明のモノクローナル抗体または抗体断片は、該抗体または抗体断片に放射性同位元素、蛋白質、または薬剤などを化学的に、あるいは遺伝子工学的に導入または結合させた抗体の誘導体を包含する。
本発明の抗体の誘導体は、本発明のモノクローナル抗体または抗体断片のH鎖あるいはL鎖の、N末端側あるいはC末端側、さらには抗体あるいは抗体断片中の適当な置換基あるいは側鎖、さらには抗体または抗体断片中の糖鎖に放射性同位元素、蛋白質、または薬剤などを化学的に結合させることにより製造することができる[抗体工学入門、金光修著、(株)地人書館(1994)]。
または、抗ヒトSTS抗体または抗体断片をコードするDNAと、結合させたい蛋白質をコードするDNAを連結させたDNAを原核生物発現ベクターあるいは真核生物発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物に導入することにより発現させて遺伝子工学的に製造することができる。
薬剤としては、放射線同位元素、蛋白質、低分子などいかなるものでもよい。
本発明の抗体の誘導体を検出方法、定量方法、検出試薬、定量試薬または診断薬として使用する場合の薬剤としては、通常の免疫学的測定法で用いられる標識体があげられる。標識体としては、放射性同位元素、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどの酵素、アクリジニウムエステル、ロフィンなどの発光物質、フルオレッセインイソチオシアナート(FITC)、ローダミンイソチオシアナート(RITC)などの蛍光物質などがあげられる。また、薬剤として、ビオチンなどの物質も標識体として用いることが可能である。該物質は、放射性同位元素、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどの酵素、アクリジニウムエステル、ロフィンなどの発光物質、FITC、RITCなどの蛍光物質などが結合された、例えばアビジンなどの、該物質に特異的かつ高親和性をもって結合しうる2次標識物質を使用可能せしめる物質である。
また、本発明は上記の本発明の抗体または抗体断片を用いる検体中のヒトSTSを、免疫学的検出方法または免疫学的定量方法に関する。免疫学的検出方法または免疫学的定量方法としては、蛍光抗体法、免疫酵素抗体法(ELISA)、放射性物質標識免疫抗体法(RIA)などの免疫学的測定法、免疫細胞染色法、免疫組織染色法などの免疫化学染色法、ウェスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、免疫沈降法[単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)、続生化学実験講座5免疫生化学研究法、東京化学同人(1986)]などがあげられる。
免疫学的測定法としては、任意の公知の免疫学的測定方法があげられる。
上述のように、免疫学的測定法は標識方法の違いにより、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIAまたはELISA)、蛍光免疫測定法(FIA)、発光免疫測定法(luminescent immunoassay)、物理化学的検出法(TIA、LAPIA、PCIA)などがあげられるが、好ましくは酵素免疫測定法があげられる。
酵素免疫測定法で用いる標識体としては、任意の公知(石川榮次ら編、酵素免疫測定法、医学書院)の酵素を用いることができる。例えば、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどを用いることができる。
発光免疫測定法で用いる標識体としては、任意の公知[今井一洋編、生物発光と化学発光、廣川書店;臨床検査42(1998)]の発光物質を用いることができる。例えば、アクリジニウムおよびその誘導体、ルテニウム錯体化合物、ロフィンなどを用いることができる。ルテニウム錯体化合物としては、例えばClin.Chem.37,1534(1991)などに記載されたものが好ましい。該化合物は電子供与体と共に電気化学的に発光する。
蛍光免疫測定法で用いる標識体としては、任意の公知(川生明著、蛍光抗体法、ソフトサイエンス社製)の蛍光物質を用いることができる。例えば、FITC、RITCなどを用いることができる。その他の蛍光物質として、例えばquantum dot[Science,281,2016(1998)]があげられる。または、フィコエリスリンなどのフィコビリ蛋白質、GFP(Green fluorescent Protein)あるいはこれの類縁蛋白質のように蛍光を発する蛋白質であってもよい。
免疫学的測定法とは、上述した各種標識を施した抗原または抗体を用いて、抗体量または抗原量を測定する方法である。本発明の免疫学的測定法としては、抗原の検出または測定を行う方法であればいかなる方法でもよい。例えば、競合法、サンドイッチ法[免疫学イラストレイテッド 第5版、南光堂]があげられるが、サンドイッチ法が好ましい。
サンドイッチ法は、固相に第一の抗体を結合させた後、測定したい抗原をトラップさせ、標識した第二の抗体を反応させる方法である。サンドイッチ法に用いる抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれを用いてもよく、上述したFab、Fab’、F(ab)2などの抗体断片を用いてもよい。サンドイッチ法で用いる2種類の抗体の組み合わせとしては、異なるエピトープを認識する抗体あるいは抗体断片の組み合わせでもよいし、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体あるいは抗体断片の組み合わせでもよい。具体的には、本発明のモノクローナル抗体の一例である抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053および公知の抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049[Cancer Research,63,2762(2003)]の組み合わせなどがあげられる。
蛍光抗体法とは、ヒトSTSを含むと考えられる検体に、本発明の抗体または抗体断片を反応させ、さらにFITCなどの蛍光物質でラベルした抗マウスイムノグロブリン(Ig)抗体またはイムノグロブリンG(IgG)抗体あるいは抗体断片を反応させた後、蛍光色素をフローサイトメトリーまたは蛍光顕微鏡などで測定する方法である。該方法は、蛍光物質で直接的に本発明の抗体または抗体断片を標識した誘導体も使用可能であり、また、ビオチンなどで該抗体または抗体断片で標識した誘導体を反応せしめ、次にまたは同時に、蛍光物質で標識された2次標識物質を反応させた後、蛍光色素をフローサイトメトリーまたは蛍光顕微鏡などで測定する方法であってもよい。
蛍光物質の代わりにアクリジニウムエステル、ロフィンなどの発光物質を使用して上記の方法を実施することも可能である。この場合、測定器は発光測定器を用いることができる。
免疫酵素抗体法とは、ヒトSTSを含むと考えられる検体に、本発明の抗体または抗体断片を反応させ、さらにペルオキシダーゼなどの酵素標識を施した抗マウスIg抗体またはIgG抗体あるいは抗体断片を反応させた後、酵素の基質が酵素反応の結果色原体を生ずる物質であった場合には、その色素呈色反応を吸光光度計などで測定する方法である。該方法は、酵素で直接的に本発明の抗体または抗体断片を標識した誘導体も使用可能であり、また、ビオチンなどで該抗体または抗体断片で標識した誘導体を反応せしめ、次にまたは同時に、酵素で標識された2次標識物質を反応させた後、色素呈色反応を吸光光度計などで測定する方法であってもよい。
また、酵素の基質が酵素反応の結果、化学発光を呈する物質であった場合には、該発光を発光測定器で測定することも可能である。酵素により化学発光を呈する化合物としては、パーオキシダーゼの基質として、例えばルミノール化合物、ルシゲニン化合物などがあげられる。あるいはアルカリフォスファターゼの基質として、例えば3−(2’−adamantyl)−4−methoxy−4−(3”−phosphoryloxy)phenyl−1,2−dioxetane塩、アクリジニウムのリン酸誘導体であるAPS2,APS3,APS5など[以上Lumigen Incの発光化合物、H.Akhavan−Tafti,Z.Arghavani et al、John Wiley and Sons,Chichester,497(1997)]があげられる。あるいはルシフェラーゼの基質としてルシフェリン、セレンテラジンなどがあげられる。
放射性物質標識免疫抗体法(RIA)とは、ヒトSTSを含むと考えられる検体に、本発明の抗体または抗体断片を反応させ、さらに放射性物質標識を施した抗マウスIg抗体またはIgG抗体あるいは抗体断片を反応させた後、シンチレーションカウンターなどで測定する方法である。該方法は、放射性物質で直接的に本発明の抗体または抗体断片を標識した誘導体も使用可能であり、また、ビオチンなどで該抗体または抗体断片で標識した誘導体を反応せしめ、次にまたは同時に、放射性物質で標識された2次標識物質をを反応させた後、シンチレーションカウンターなどで測定する方法であってもよい。
免疫化学染色法とは、ヒトSTSまたはヒトSTSを発現した微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞に、本発明の抗体を反応させ、さらにFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなどの酵素標識を施した本発明の抗体あるいは抗体断片を反応させた後、顕微鏡またはフローサイトメトリーなどを用いて観察する方法である。
免疫細胞染色法は、ヒトまたは動物の生体組織などから採取した細胞または微生物、ヒトまたは動物あるいは昆虫などに由来する培養細胞などに、本発明の抗体または抗体断片を結合させた後、フローサイトメトリーなど単一細胞の抗体の結合量または結合状態を解析する手技を用いて、ヒトSTSの発現を解析する方法である。免疫細胞染色法は、上記の細胞をスライドガラス上に直接固着またはスライドガラス上で培養した後、本発明の抗体または抗体断片を反応させた後、該細胞に含まれるヒトSTSの発現を顕微鏡またはカメラなどを用いて観察または定量する方法も包含する。また、免疫細胞染色法は、上記の細胞を固定液を用いて固定化した後または固定化せず、アガロースなどにて凝塊を作製し、その後、該凝塊を凍結またはパラフィンへ包埋し、該組織片を切片へスライスし、該切片をガラスなどのスライドガラスに固着せしめ、上記と同様の処置によってヒトSTSの発現を顕微鏡またはカメラなどを用いて観察または定量する方法であってもよい。
免疫組織染色法は、ヒトまたは動物の生体組織から採取した組織片などを、ホルマリンやエタノールなどの固定液を用いて固定化した後または固定せず、該組織片を凍結またはパラフィンへ包埋し、該組織片から組織切片を調製し、該組織切片をガラスなどのスライドガラスに固着せしめ、脱パラフィンなどの不要物を除く処理、さらに必要に応じて抗原と抗体の反応性を向上させる処理を施した後、本発明の抗体または抗体断片で反応させた後、組織切片に含まれるヒトSTSの発現を顕微鏡またはカメラなどを用いて観察または定量する方法である。
上記免疫染色法において、蛍光物質、発光物質、酵素、放射性物質標識抗体を用いた免疫染色法が可能であり、それぞれの標識に適した上述の免疫学的測定法と同様の手技によって検出または測定が可能である。
ウェスタンブロッティング法とは、ヒトSTSまたはヒトSTSを発現した微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞などの細胞抽出液などをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動[Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]で分画した後、分画した蛋白質群をゲルからPVDF膜あるいはニトロセルロース膜にブロッティングし、該膜に本発明の抗体または抗体断片を反応させ、さらにFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなどの酵素標識を施した、本発明の抗体に結合できる二次抗体抗体または抗体断片を反応させた後、確認する方法である。
ドットブロッティング法とは、ヒトSTSまたはヒトSTSを発現した微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞の細胞抽出液などをニトロセルロース膜にブロッティングし、該膜に本発明の抗体を反応させ、さらにFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなどの酵素標識を施した、本発明の抗体に結合できる二次抗体抗体または抗体断片を反応させた後、確認する方法である。
免疫沈降法とは、ヒトSTSまたはヒトSTSを発現した微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞の細胞抽出液を本発明の抗体または抗体断片と反応させた後、プロテインG−セファロースなどのイムノグロブリンに特異的な結合能を有する担体を加えて抗原抗体複合体を沈降させる方法である。
以下に、本発明の抗体の作製方法、並びに該抗体の利用方法を詳細に説明する。
1.本発明の抗体の作製
本発明の抗体は例えば、以下のようにして作製することができる。
(1)抗原の調製
ヒトSTSをコードするcDNAを含む発現ベクターを大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などに導入して組換えヒトSTSを得る。免疫原である組換え蛋白質のC末又はN末にタグ蛋白質を融合させた融合蛋白質を免疫原として用いることもできる。ここで、「タグ蛋白質」とは、目的蛋白質のアフィニティー精製により分離を容易に行うためやその他、目的蛋白質の挙動を追跡するためなどの目的で、所望の蛋白質の末端に余分に付加する蛋白質をいう。タグ蛋白質としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、プロテインA、β−ガラクトシダーゼ、マルトース−バインディングプロテイン(MBP)などがあげられる。あるいは、胎盤などのSTSを多量に発現しているヒト組織からヒトSTSを精製し、抗原に用いることもできる。また、ヒトSTS部分配列を有する合成ペプチドを抗原に用いることもできる。
例えば、ヒト胎盤組織からのヒトSTSの精製は以下のように行う。操作は全て4℃で行う。胎盤組織は細断後バッファーA[0.25mol/Lサッカロース、5mmol/L EDTAで含む、10mmol/Lトリス−酢酸緩衝液(pH7.0)]中でホモジネートを調製する。10000×gで20分間遠心分離して得られた上清を、さらに105000×gで1時間遠心分離して得られた沈殿をミクロソーム画分とする。得られたミクロソーム画分はバッファーB[1mmol/L EDTA、1mmol/Lジチオエリスレイトール(Dithioerythreitol;DTE)、0.05%フェニルメチルスルフォニルフルオロイド(phenylmethansulfonylfluoride;PMSF)、0.5%トリトンX−100を含む10mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)]を加えて室温1時間攪拌し、可溶化する。105000×gで1時間遠心分離して不溶性画分を除く。得られた上清をバッファーB(pH8.0)で平衡化したPBE94カラムに通塔し、2倍容量の同バッファーにて洗浄後、バッファーC[1mmol/L EDTA、1mmol/L DTE、0.05%PMSF、0.5%トリトンX−100を含む、12.5%polybuffer74(pH4.0)]で溶出する。さらに溶出画分はバッファーBで平衡化したフェニルセファロースカラムに通塔し、充分量の同バッファーで洗浄後1.25%トリトンX−100を加えた同バッファーで溶出し、溶出画分を精製ヒトSTSとして用いる。この様にして得られたヒトSTSは、以下の抗体産生細胞を作製する際の抗原としての使用できる以外に、ヒトSTSの検出方法または定量方法において、標準物質として使用することもできる。
(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
3〜20週令のマウス、ラットまたはハムスターに上記(1)に記載の方法で調製した抗原を免疫して、その動物の脾、リンパ節、末梢血中の抗体産生細胞を採取する。
免疫は、動物の皮下あるいは静脈内あるいは腹腔内に、適当なアジュバント〔例えば、フロインドの完全アジュバント(Complete Freund’s Adjuvant)や水酸化アルミニウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を投与することにより行う。抗原が部分ペプチドである場合には、ウシ血清アルブミン(以下、BSAと略記する)やキーホーリンプトヘモシアニン(Keyhole Limpet hemocyanin;以下、KLHと略記する)などのキャリア蛋白質とコンジュゲートを作製し、これを免疫原として用いる。
抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2週間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目に眼底静脈叢より採血し、その血清が抗原と反応することを酵素免疫測定法〔Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)〕などで調べる。免疫に用いた抗原に対し、その血清が十分な抗体価を示したマウス、ラットまたはハムスターを抗体産生細胞の供給源とする。
抗体産生細胞と骨髄腫細胞の融合に供するにあたって、抗原の最終投与後3〜7日目に、免疫したマウス、ラットまたはハムスターより脾臓などを摘出し、脾細胞を採取する。脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上清を捨て、トリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去し、MEM培地で3回洗浄して抗体産生細胞として提供する。
(3)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞を使用する。たとえば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞株P3−X63Ag8−U1(P3−U1)[Current Topics in Microbiology and Immunology,18,1(1978)]、P3−NS1/1−Ag41(NS−1)[European J.Immunology,,511(1976)]、SP2/O−Ag14(SP−2)[Nature,276,269(1978)]、P3−X63−Ag8653(653)[J.Immunology,123,1548(1979)]、P3−X63−Ag8(X63)(Nature,256:495−497,1975)などが用いられる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地〔RPMI−1640培地にグルタミン(1.5mmol/L)、2−メルカプトエタノール(5×10−5mol/L)、ジェンタマイシン(10μg/mL)および牛胎児血清(FCS)を加えた培地(以下、正常培地という。)に、さらに8−アザグアニン(15μg/mL)を加えた培地〕で継代するが、細胞融合の3〜4日前に正常培地に継代し、融合当日2×10個以上の細胞数を確保する。
(4)細胞融合
上記(2)で免疫した抗体産生細胞と上記(3)で得られた骨髄腫細胞をMEM培地またはPBS(リン酸二ナトリウム1.83g、リン酸一カリウム0.21g、食塩7.65g、蒸留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよう混合し、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングライコール−1000(PEG−1000)2g、MEM 2mLおよびジメチルスルホキシド0.7mLの混液を10個の抗体産生細胞当たり0.2〜1mLを加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2mLを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mLになるようにする。遠心分離(900rpm、5分間)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吹出しでゆるやかに細胞をHAT培地〔正常培地にヒポキサンチン(10−4mol/L)、チミジン(1.5×10−5mol/L)およびアミノプテリン(4×10−7mol/L)を加えた培地〕100mL中に懸濁する。この懸濁液を96穴培養用プレートに100μL/穴ずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で7〜14日間培養する。
培養後、培養上清の一部をとり後述(6)の酵素免疫測定法などにより、ヒトSTSに結合し、ヒトSTSを含まない抗原およびSTS以外のARSに結合しないものを選択する。ついで、限界希釈法によりクローニングを2回繰り返し〔1回目は、HT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回目は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認められたものを抗ヒトSTSモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
(5)モノクローナル抗体の調製
プリスタン処理〔2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン(Pristane)0.5mLを腹腔内投与し、2週間飼育する〕した8〜10週令のマウスまたはヌードマウスに、(4)で得られた抗ヒトSTSモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞2×10〜5×10細胞/匹を腹腔内注射する。10〜21日でハイブリドーマは腹水癌化する。このマウスから腹水を採取し、遠心分離(3000rpm、5分間)して固形分を除去後、40〜50%硫酸アンモニウムで塩析した後、カプリル酸沈殿法、DEAE−セファロースカラム、プロテインA−カラムあるいはゲル濾過カラムによる精製を行ない、IgGあるいは、IgM画分を集め、精製モノクローナル抗体とする。
抗体のサブクラスの決定は、サブクラスタイピングキットを用いて酵素免疫測定法により行う。蛋白質量の定量は、ローリー法または280nmでの吸光度より算出する。
(6)酵素免疫測定法(バインディングELISA)
抗原としては、精製された組換えヒトSTS、ヒト胎盤などから得られた精製ヒトSTSあるいはヒトSTS部分ペプチドを用いる。抗原が部分ペプチドである場合には、BSAやKLHなどのキャリア蛋白質とコンジュゲートを作製して、これを用いる。
これらを96穴のEIA用プレートに1〜50μg/mLで10〜100μL/穴ずつ分注し、4℃で一晩放置してプレートにコートする。次いで、1%BSAを含むPBS溶液(以下、BSA−PBSと記す)を100〜200μL/穴分注し、室温で1〜2時間または、4℃で1〜2晩放置して、プレート上に残った蛋白質との結合残基をブロック(ブロッキング)する。その後、BSA−PBSを捨て、PBSでよく洗浄した後、第一抗体として被免疫動物血清、本発明のモノクローナル抗体のハイブリドーマ培養上清もしくは精製抗体1〜10μg/mLを20〜100μL/穴で分注し、室温で2〜3時間または、4℃で一晩放置する。PBSまたは、0.05%トゥイーン20を含むPBS(以下、Tween−PBSと記す)で、よく洗浄した後、第二抗体としてビオチン、酵素、化学発光物質あるいは放射線化合物などで標識した抗イムノグロブリン抗体1〜50μg/mLを50〜100μL/穴ずつ分注し、室温1〜2時間反応させる。Tween−PBSでよく洗浄した後、第二抗体の標識物質に応じた反応を行う。
2.本発明の抗体の利用
本発明の抗体は、免疫学的手法を用いて、検体中に含まれるヒトSTSまたはヒトSTSを発現した微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞などを検出または定量することができる。免疫学的手法としては、任意の公知の免疫学的測定法などが用いられるが、本発明の免疫学的測定法としては、ウェスタンブロッティング、免疫沈降法、免疫細胞染色、免疫組織染色またはサンドイッチELISA法などが好適に用いられる。
検体としては、例えばヒト由来の生体試料、ヒトSTSを発現すると考えられる微生物、動物あるいは昆虫などに由来する細胞または組織などがあげられるが、ヒト由来の生体試料が好ましい。
ヒト由来の生体試料としては、ヒトSTSが関連する疾患に羅患したことが疑われるヒト個体から採取した生体試料などがあげられる。生体試料としては、具体的には、疾患部位の組織または細胞、あるいは疾患部位から遊離し血液やリンパ液、腹腔液、乳汁、子宮粘液、尿、汗などの体液に含まれる組織または細胞も包含される。さらに、上記組織または細胞中から遊離したSTSを含む上記体液も包含される。また、生体試料としては、ヒト腫瘍培養細胞、ヒトSTSが関連する疾患に羅患したことが疑われるヒト個体から採取した組織または細胞および該組織または該細胞より調製した抽出液なども包含される。また、これらのヒト個体から採取した生体試料を加工処理したサンプルも生体試料として使用してもよい。加工処理としては、例えば希釈、濃縮、抽出、病理切片作製上の処理などがあげられる。病理切片作製上の処理としては、例えばホルマリン固定、切出し、包埋、薄切、伸展などの一連の処理があげられる。
上記組織または細胞の採取方法としては、穿刺吸引細胞診、針生検(マンモトーム)、外科生検、乳頭分泌液細胞診(乳汁細胞診)、乳管内視鏡による細胞採取などがあげられる。
血液、リンパ液、腹腔液、乳汁、子宮粘液、尿、汗などの体液サンプルは、遠心分離またはフィルター処理などにより、血漿または血清などの液体画分と細胞などの固体画分を分画してから使用することが望ましい。この場合、分画した液体画分と固体画分を生体試料として、用いることもできる。組織または細胞は、疾患部位から直接採取することが望ましいが、疾患部位から遊離した生体試料であっても本発明の検体として用いることができる。疾患部位としては、例えば、STSが関連する疾患が転移性の癌である場合には、原発巣であっても、転移巣であってもよい。
上記の組織または細胞などから、抽出液を調製する方法としては、採取した組織または細胞を液体とともに激しく攪拌する方法、酸またはアルカリで細胞膜を破壊する方法、界面活性剤で細胞膜を破壊する方法、超音波で破砕する方法、低張液で細胞を破壊する方法、凍結および融解を繰り返す方法などによって組織または細胞を破壊し細胞質を得る方法があげられる。上記方法で細胞を破壊後、遠心操作などによって抽出液から破壊されていない細胞片などを取り除く操作を行うことが望ましい。
以下に、具体的にヒトSTSまたはヒトSTSを発現した微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞などを検出または定量する方法について記載する。
(1)ウェスタンブロッティング法
本発明の抗体を用い、ヒトSTSをウェスタンブロッティングにより検出するには、以下のように行うことができる。
抗原としては大腸菌などで発現した組換えヒトSTSを用いるか(1〜10μg/レーン)、あるいはヒト胎盤組織、各種ヒト腫瘍培養細胞またはバイオプシーなどにより患者より採取した細胞から調製した細胞溶解液(5×10〜5×10細胞/mL)を用いる(10〜50μg/レーン)。SDS−ポリアクリルアミド電気泳動〔Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988〕にて分画後、PVDF膜あるいはニトロセルロース膜にブロッティングする。BSA−PBSでブロッキング後、本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマの培養上清もしくは精製した本発明のモノクローナル抗体1〜10μg/mLを室温で2時間または4℃で一晩反応させる。PBSまたはTween−PBSでよく洗浄した後、第二抗体としてビオチン、酵素、化学発光物質あるいは放射線化合物などで標識した抗イムノグロブリン抗体1〜50μg/mLを室温1〜2時間反応させる。よく洗浄した後、第二抗体の標識物質に応じた反応を行ない、ヒトSTSと特異的に結合し、STS以外のARSに結合しない抗体がヒトSTSのアミノ酸配列より予測される分子量の蛋白質と反応し、ヒトSTSを含まない抗原およびSTS以外のARSとは反応しないことを確認する。
(2)免疫沈降法
本発明の抗体を用いた免疫沈降は以下の方法で行うことができる。
抗原としては大腸菌などで発現した組換えヒトSTSを用いるか(1〜10μg/レーン)、あるいはヒト胎盤組織、各種ヒト腫瘍培養細胞またはバイオプシーなどにより患者より採取した細胞から調製した細胞溶解液(5×10〜5×10細胞/mL)を用いる(10〜50μg/レーン)。
上記のように調製したサンプルに本発明の抗体(1〜10μg/反応)を加え、4℃で1時間反応させる。そこにさらにプロテインG−セファロースなどイムノグロブリンに特異的な結合能を有する担体を5〜20μL加え4℃、1時間反応させた後、遠心分離し沈殿画分を得る。沈殿画分は細胞抽出バッファーにて数回洗浄後、免液沈降物として、ウェスタンブロッティングに供する。
あるいは以下のような方法によっても行うことができる。すなわち、ELISA用96穴プレートに本発明の抗体を固相化した後、BSA−PBSによりブロッキングする。抗体がモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの培養上清である場合には、ハイブリドーマの調製に用いた抗体産生細胞の動物のイムノグロブリンに結合する抗体またはプロテインAあるいはプロテインGなどをあらかじめELISA用96穴プレートに固相化しBSA−PBSでブロッキングした後、ハイブリドーマ株培養上清を分注して結合させる。BSA−PBSを捨てPBSで洗浄した後、上記のように調製したサンプルを20〜100μL/穴で分注し、室温で2時間または4℃で一晩反応させる。細胞抽出バッファーまたはTween−PBSでよく洗浄した後のプレートの各ウェルに残存するサンプルを上記のウェスタンブロッティングに供し、免疫沈降されたヒトSTSの検出または定量を行う。
(3)免疫細胞染色法
本発明の抗体を用い、以下のようにして、ヒトSTSの免疫細胞染色により検出することができる。
各種ヒト腫瘍細胞は、浮遊細胞はPBSにて洗浄し、付着細胞はトリプシン、EDTAなどで浮遊化させた後PBSで洗浄する。またバイオプシーなどにより患者より採取した細胞魂はコラゲナーゼなどで処理した後、PBSで洗浄する。これらの細胞は抗体の通過性を良くするため界面活性剤やメタノールなどで処理する。正常ヒト血清などを用いてブロッキングした後1×10〜1×10細胞/チューブで分注し、本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマの培養上清もしくは精製した本発明のモノクローナル抗体1〜10μg/mLを室温で30分間反応させる。洗浄後、蛍光色素で標識した抗イムノグロブリン抗体1〜50μg/mLを100〜500μL/チューブずつ分注し、室温30分間遮光反応させる。よく洗浄した後、グリセリンで封入し蛍光顕微鏡にて顕鏡するか、あるいはフローサイトメトリーにて解析する。
(4)免疫組織染色法
本発明の抗体を用い、以下のようにして、ヒトSTSを免疫組織染色により検出または定量することができる。
ヒト組織の採取については、手術時あるいはバイオプシーなどによって得られる病変部位など目的とする組織を含む組織を採取する方法などがあげられる。採取した組織はそのまま検体として使用することができる。
検体は、採取後、適当な方法により切片を作製して抗体との反応に供する。また、必要に応じて抗原の賦活化、内因性物質の阻止反応などの操作を加えて行ってもよい。
切片を作製する方法としては、未固定で凍結し、凍結切片を作製後、固定する方法、固定後凍結し、凍結切片を作製する方法および固定後にパラフィンなどに包埋し、切片を作製する方法などがあげられる。
未固定で凍結し、凍結切片を作製後、固定する方法としては、組織を細切した後、OCTコンパウンドなどの凍結包埋剤に入れてドライアイス・アセトンなどにて急速に凍結し、アセトンを風乾後、切片を作製し、下記の固定液を用いて固定する方法などが用いられる。直ちに切片を作製しない場合には、アセトン風乾後、密封して凍結細胞塊としてディープフリーザー中で保管することができる。
固定後凍結し、凍結切片を作製する方法としては、組織を細切した後、下記の固定液を用いて固定し、例えばPBSまたは10〜20%のショ糖を含むPBSなどで洗浄し、OCTコンパウンドなどの凍結包埋剤に入れてドライアイス・アセトンなどにて急速に凍結し、アセトンを風乾後、切片を作製する方法などが用いられる。直ちに切片を作製しない場合には、アセトン風乾後、密封して凍結細胞塊としてディープフリーザー中で保管することができる。
固定後にパラフィンなどに包埋し、切片を作製する方法としては、組織を細切し、下記の固定液により固定した後、エタノール、キシレンなどで脱水、透徹し、パラフィン包埋して、パラフィンブロックを作製し、パラフィンブロックから切片を作製する方法などが用いられる。直ちに切片を作製しない場合には、パラフィンブロックとして保管することができる。
固定方法としては、浸漬固定、注入固定、脱気固定、凍結置換固定、凍結乾燥固定などがあげられる。浸漬固定の場合の固定時間は、半日〜1週間が好ましいが、一般的には1〜2日間がより好ましい。また、マイクロウェーブや家庭用電子レンジを利用することで固定時間を数時間に短縮することもできる。
切片を作製する方法としては、凍結切片の場合にはクリオスタットを用いる方法が、またはパラフィン切片の場合にはミクロトームを用いる方法があげられる。
固定液としては、アルデヒド系を中心とした蛋白質・ペプチド鎖に架橋形成を生じさせるアルデヒド系固定液および蛋白質の凝固沈殿を基本とする有機溶剤系固定液などがあげられる。アルデヒド系固定液としては例えば、10〜20%の非緩衝ホルマリン、10%緩衝ホルマリン、緩衝4%パラホルムアルデヒド、PLP(periodate−lysine−paraformaldehyde)、ザンボニ液、ブアン液(飽和ピクリン酸:ホルマリン原液:氷酢酸=15:5:1)、グルタールアルデヒドなどがあげられる。有機溶剤系固定液として例えば、エタノール、アセトン、カルノア液(エタノール:クロロホルム:氷酢酸=6:3:1)、メタカン液(メタノール:クロロホルム:氷酢酸=6:3:1)などがあげられる。また、別の固定液(「改訂四版 渡辺・中根 酵素抗体法」、名倉宏、長村義之、堤寛 編集 学際企画株式会社出版)として、カルボジイミド固定液、パラベンゾキノン液、アクロレイン液、昇汞加ホルマリン系固定液、ホルマリン・エタノール混合液(ホルマリン原液:100%エタノール:水=1:8:1)、酢酸エタノール・ホルマリン混合液(ホルマリン原液:氷酢酸:エタノール=2:1:17)なども用いられる。
ヒトまたは動物の生体組織などから採取した血液細胞や微生物、ヒトまたは動物あるいは昆虫などの培養細胞などについては、それが浮遊細胞の場合には、サイトスピンを用いてスライドガラスへ貼付する方法、遠心分離によって細胞をペレット化した後、凝塊を作らせ、該凝塊から上記方法に従って切片を作製することができる。凝塊を作らせる方法としては、アガロースに封入する方法あるいはフィブリノーゲン次いでトロンビンを添加して人工的なフィブリン塊を作らせる方法などがあげられる。
酵素標識抗体法を用いる切片の染色は、例えば、以下の方法で行うことができる。
凍結切片の場合には、切片を適切な洗浄液で洗浄後、内因性物質の活性阻止を行った後、ブロッキング液にてブロッキングを行う。ブロッキング後、酵素標識した本発明の抗体または抗体断片を希釈液で希釈した液を反応させ、後述する洗浄液で洗浄後、発色反応を行う。適宜、メチルグリーンなどで核染色を行うこともできる。あるいは、細胞像を明瞭にするためにヘマトキシリンなどで染色を行うこともできる。
パラフィン切片の場合には、キシレン、トルエン、ベンゼンなどで脱パラフィン操作を行った後、100%エタノール、70%エタノールになじませた後に水洗し、内因性物質の活性阻止を行う。この場合、内因性物質の活性阻止より後の操作は、凍結切片の場合と同様に行うことができる。
また、内因性物質の活性化阻止は、本発明の抗体または抗体断片の反応後に行ってもよい。
内因性物質の活性阻止は、例えば、下記の溶液を用いて、室温で5分〜1時間反応させることでできるが、用いる溶液や切片の種類毎の適切な反応条件で行うことが好ましい。
内因性物質としては、免疫組織染色において、作製した切片中に存在する、反応に影響を与える物質があげられ、具体的には、内因性ペルオキシダーゼ、内因性アルカリフォスファターゼおよび内因性ビオチンなどがあげられる。
内因性ペルオキシダーゼの活性阻止のためには、0.2〜2%の過ヨウ素酸水溶液、1〜5%過酸化水素水、0.1〜0.5%過酸化水素加メタノールまたは0.1〜0.5%過酸化水素を含む0.05〜0.2%アジ化ナトリウム水溶液などを、内因性アルカリフォスファターゼの活性阻止のためには、レバミゾールの希釈液などを用いて切片を処理する方法が用いられる。内因性ビオチンの活性阻止の場合には、0.01〜0.1%のアビジン水溶液を反応させた後、次いで0.001〜0.01%のビオチン水溶液を用いて切片を処理する方法などが用いられる。
洗浄液としては、洗浄液として用いられるものであれば、いかなるものでもよいが、PBSまたはリン酸緩衝液またはトリス塩酸緩衝液などを用いることができる。pHは6.5〜7.8が好適で、7.2〜7.6がより好ましい。緩衝液の濃度は0.2〜0.005mol/Lが好適であるが、0.1〜0.01mol/Lがより好ましい。
ブロッキング液としては、正常動物血清、BSA、スキムミルク、カゼイン溶液などが好適に用いられる。正常動物血清に用いられる動物としては、ヒトまたはマウス以外ではすべての動物種が使用できるが、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ブタなどが好適である。後述の酵素非標識の本発明の抗体により免疫組織染色法を行う場合には、二次抗体として用いる抗マウスIgまたはIgG抗体の由来の動物種と同種の正常血清を用いるのが好ましい。使用する際の血清の濃度は0.1〜20%の範囲で任意に選べるが、1〜5%が好適である。ブロッキング温度は4℃〜37℃の範囲で自由に設定できる。ブロッキング時間は反応温度にしたがって適切に設定できるが、室温の場合には10分〜1時間が好ましい。
抗体の希釈液としては、希釈液として用いられるものであれば、いかなるものでもよいが、BSAを含むPBSが好適に用いられる。BSAの濃度は0.1〜5%が好ましい。さらに、界面活性剤を添加することできる。添加する界面活性剤の種類としては、トライトンX−100、ツイーン20などが用いることができる。界面活性剤の濃度は0.005〜0.5%が好ましく、0.01〜0.2%がより好ましい。
酵素標識した本発明の抗体または抗体断片を反応させる場合には、抗体濃度は0.33〜30μg/mLで反応させるのが好適であるが、1〜25μg/mLがより好ましく、4〜16μg/mLが特に好ましい。反応温度は抗体の反応性が変化しない範囲であればよく、4℃〜37℃の範囲で自由に設定することができる。反応時間は反応温度にしたがって設定することができ、例えば、反応温度が4℃の場合には反応時間は1時間以上であり、反応温度が室温の場合には反応時間は10分〜8時間が好ましい。
発色反応液としては、ペルオキシダーゼを標識酵素とする場合には、3,3’−diaminobenzidine(DAB)液、3−アミノ−9−エチルカルバゾール溶液および4−クロロ−1−ナフトールなどを用いることができる。DAB液は使用時に過酸化水素水を添加して使用することが望ましい。DAB液を用いる発色反応の増感剤として、イミダゾールを添加してもよい。
アルカリフォスファターゼを標識酵素とする場合には、ファストレッドまたはファストレッドバイオレットまたはファストブルーの各塩を発色剤とすることもができ、また、ニューフクシン液(Merck社製)あるいはBCIP/NBT液(Sigma社製)を利用することもできる。
グルコースオキシダーゼを標識酵素とする場合には、例えばグルコース、phenazinemethosulfate(PMS)および色原体を含む混合液が用いられる。色原体としてはPMSによって還元されて不溶性の色素を生じるものであればいかなる色原体であってもよいが、例えば、NBT、TNBT、BSPT、INT(いずれもPierce社製)などのテトラゾリウム塩などがあげられる。この場合の発色反応時間としては、30秒〜20分間が好ましく、1〜10分間がより好ましい。
上記は、酵素標識した本発明の抗体または抗体断片を用いた免疫細胞染色法の例示であるが、以下のようにして酵素非標識の本発明の抗体または抗体断片を用いることも可能である。
酵素非標識の本発明の抗体または抗体断片を上記希釈液で希釈した液を検体に反応させ、上記洗浄液などで洗浄後、本発明の抗体または抗体断片に結合できる二次抗体を反応させ、洗浄液で再び洗浄した後に、発色反応を行うことも可能である。
二次抗体としては、本発明の抗体または抗体断片に結合できる抗体であって、検出のために標識化されていればいかなるものでもよい。具体的には、本発明の抗体がマウスモノクローナル抗体の場合には、酵素標識抗マウスIgまたはIgG抗体などを用いることができる。
酵素非標識の本発明の抗体または抗体断片の反応条件および本発明の抗体または抗体断片結合できる、酵素標識した二次抗体の反応条件については、上記酵素標識した本発明の抗体または抗体断片を反応させる際の反応条件と同様である。
ホルマリン固定パラフィン包埋された切片では、アルデヒド固定によってしばしば抗原が隠された状態になるため抗原と抗体の接触が阻害されることがある。この場合、抗原の賦活化処理によって、染色性を向上させることが可能である。
賦活化処理としては、例えば、該切片を蛋白質分解酵素処理または加熱処理などがあげられる。蛋白質分解酵素は抗原上の抗体認識部位に対して切断活性がなければ任意のものが使用できるが、特に限定分解酵素が好ましく、例えば、トリプシン、プロナーゼ、ペプシン、アクチナーゼ、フィシン、プロテイナーゼK、サブチリシン、パパインなどがあげられる。
加熱処理としては、水または任意の緩衝液中で、マイクロウェーブ照射器、電子レンジ、オートクレーブ、圧力鍋、ウォーターバス、蒸し器、ホットプレートなどによる加熱操作をすることがあげられる。加熱処理に用いられる緩衝液としては、例えば、クエン酸緩衝液、EDTA溶液、水酸化ナトリウム加クエン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、グリシン塩酸緩衝液、炭酸緩衝液、酢酸緩衝液などを用いることができる。緩衝液の塩濃度は0.0005〜0.2mol/Lで、好ましくは0.001〜0.1mol/Lである。緩衝液のpHは5.0〜10で、好ましくはpH5.5〜9.5である。さらには、尿素水溶液、塩化アルミニウム水溶液、過ヨウ素酸水溶液なども用いることができる。これらの水溶液の濃度は、0.1〜7%が好ましく、1〜5%がより好ましい。
また、賦活化処理としては、酸またはアルカリ処理などの処理も用いることができる。アルカリ処理には、NaOH、KOHなどが用いられ、酸処理には、塩酸、ギ酸、酢酸などが用いられる。さらに、抗原の賦活化処理には、尿素、グアニジンなどの蛋白質変性剤を用いることもできる。
染色強度を向上させる目的で以下の高感度染色法[「改訂四版 渡辺・中根 酵素抗体法」、名倉宏、長村義之、堤寛 編集 学際企画株式会社出版]を行ってもよい。
高感度染色法としては、PAP(peroxidase anti−peroxidase)法あるいはその変法としての四段階PAP法、Double bridge PAP法、Fab fragmentを用いるPAP法、Hapten sandwich法、アビジン・ビオチン複合体形成の原理を応用したABC(avidin biotinylated−peroxidase complex)法、LAB(labeled avidin−biotin)法、BRAB(bridge avidin−biotin)法、streptavidinを利用したLSAB(labelled strept avidin biotin)法、SABC(strept avidin biotin complex)法、ビオチン化したtyramidを使用したCSA(catalyzed signal ampification)法、ABC法の変法として抗アビジン抗体を用いる方法、ビオチン化プロテインAを用いる方法、PAP法とABC法を組み合わせる方法、コロイド金標識抗ペルオキシダーゼ抗体によるABC法、酵素標識プロテインAを用いる方法、酵素標識ポリマー法、金属標識抗体を用いたイムノコロイド法などが用いられる。
酵素標識ポリマー法は、デキストランなどの高分子ポリマーに酵素と一次抗体、または酵素と二次抗体を結合させたものを利用する方法である。
また、高感度染色法としては、発色酵素をペルオキシダーゼの代わりにアルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼなどの発色酵素を利用できる。アビジン・ビオチン複合体とこれらの発色酵素の組み合わせ、APAAP(alkaline phosphatase−antialkaline phosphatase)法またはペルオキシダーゼ標識抗FITC抗体を用いる間接法などもあげられる。
本発明の免疫組織染色法には、上記の原理を使用した市販のキットも利用することができる。市販のキットとしては、例えばVector Stain Kit(Vector社製)、Strept AB Complex(DAKO社製)、AB Complex(DAKO社製)、SAB−POキット(ニチレイ社製)、SAB−APキット(ニチレイ社製)、Super Sensitive Ready−to−Use Detection Kit(BioGenex社製)、Polyvalant染色キット(ScyTek社製)、EPOS system(DAKO社製)、EnVision system(DAKO社製)、Super Sensitive Non−Biotin HRP Ready−to−Use Detection Kit(BioGenex社製)、Simple stain system(ニチレイ社製)などがあげられる。
LAB法、LSAB法は、例えば以下の条件により行うことができる。
本発明の抗体あるいは抗体断片の反応後または内因性物質の活性阻止の後、洗浄液で洗浄し、ビオチン標識抗マウスIg抗体またはビオチン標識抗マウスIgG抗体を反応し、次いでアビジン標識ペルオキシダーゼまたはストレプトアビジン標識ペルオキシダーゼを反応させる。ビオチン標識抗マウスIg抗体またはビオチン標識抗マウスIgG抗体およびアビジン標識ペルオキシダーゼの反応条件については、上記の酵素標識した本発明の抗体または抗体断片の反応条件と同様である。
また、上記の免疫細胞染色法を行うためには、市販の自動免疫染色装置などを使用することもできる。自動免疫染色装置としては、HIS−20(サクラ精機社製)、i6000(協和メデックス社製)、ST5050(ライカ社製)、HXベンチマーク(ベンタナ・ジャパン社製)、Autostainer(DAKO社製)、Horizon(DAKO社製)などがあげられる。
免疫染色像の定性的または定量的判定方法としては、抗体の標識物質に応じて適した方法を利用することができる。すなわち、酵素を標識物質として選択した場合には光学顕微鏡、共焦点レーザースキャン顕微鏡などを、蛍光物質を標識物質として選択した場合には蛍光顕微鏡、共焦点レーザースキャン顕微鏡、蛍光画像解析装置などを、放射性物質の場合にはオートラジオグラフィー、放射線画像解析装置などを、発光物質の場合には発光画像解析装置などを用いることができる。
顕微鏡で得られた画像について、目視にて染色陽性部位の形態および濃淡を検知することができ、これによって定性的または定量的判定ができる。
あるいは、顕微鏡で得られた画像に対して、目的に合った画像処理を行い、鮮明に表現するために、デジタルカメラなどのデジタル画像入力システムを用いて画像解析装置に画像データをデジタル信号として入力することができる。画像解析装置では、染色陽性部位の面積、最短径、最長径、周長などの計測、および染色陽性部位の透過率、光学的濃度、吸光度などを計測可能で、これらの測定値に基づいた反応産物の陽性率、分布など目的に応じた定量解析ができる。
(5)サンドイッチELISA
本発明の抗体を用いたサンドイッチELISAにより、検体中のヒトSTSは例えば、以下の方法により定量することができる。
ELISA用96穴プレートに第一の抗ヒトSTS抗体を固相化した後、BSA−PBSによりブロッキングする。BSA−PBSを捨てPBSでよく洗浄した後、濃度既知のヒトSTS標品あるいは濃度未知の被験サンプルを加え、4℃で1晩あるいは室温2時間反応させる。Tween−PBSでよく洗浄した後、固層化した第一抗体とは認識するエピトープが異なる第二の抗ヒトSTS抗体を反応させる。第二抗体はあらかじめビオチン、酵素、化学発光物質あるいは放射線化合物などで標識しておく。二次抗体の反応後、洗浄し、第二抗体の標識物質に応じた検出反応を行う。濃度既知のヒトSTS標準物質を段階的に希釈して作製した検量線より、被験サンプルの濃度を算出することができる。該方法に用いられる第一の抗ヒトSTS抗体と第2のヒトSTS抗体のうちのいずれか一方の抗体が本発明の抗体であれば、STSのみを特異的に測定することができる。第一の抗ヒトSTS抗体と第2のヒトSTS抗体の、具体的な組み合わせとしては、例えば、本発明のハイブリドーマFERM BP−10015が生産する抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053と公知の抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049[Cancer Research,63,2762(2003)]の組み合わせなどがあげられる。
本発明の抗ヒトSTS抗体を含む、ヒトSTSの免疫学的検出試薬または免疫学的定量試薬は、上記の2.(1)〜(5)で示された免疫学的手法を用いる検出方法または定量方法に用いられ、該方法が実施できる構成要素を含むヒトSTSの検出試薬または定量試薬の各構成要素と実質的に同一、またはその一部と実質的に同一な物質が含まれていれば、構成または形態が異なっていても、本発明の試薬に包含される。
構成要素としては、抗ヒトSTS抗体、抗ヒトSTS抗体を固定化するための担体、抗ヒトSTS抗体が固定化された固相、検出に用いる標識された二次抗体またはその抗体断片などがあげられ、また必要に応じ、生体試料の処理試薬、生体試料の希釈液、反応緩衝液、洗浄液、標識の検出用試薬またはヒトSTSの標準物質などを含む、キットの形態であってもよい。
また、本発明のキットまたは試薬に、測定に適した機器を組み合わせて、キットとしてもよい。
抗ヒトSTS抗体としては、ヒトSTSに特異的に結合し、STS以外のARSに交叉反応性を示さない抗体であれば特に制限はないが、例えば本発明のハイブリドーマFERM BP−10015が生産する抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053などが好適に用いられる。本発明に用いられる抗ヒトSTS抗体は、必要に応じて断片化した抗体断片を用いることができる。
抗体断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、dsFv、diabodyおよびCDRを含むペプチド、VHまたはその融合蛋白質、VLまたはその融合蛋白質などがあげられる。
上記の抗体あるいは抗体断片は、二次抗体を用いて検出することができ、また、該抗体を標識化して直接検出することもできる。
二次抗体を用いて検出する場合の、二次抗体としては、抗体に結合できる抗体であれば、いかなる抗体でも用いることができ、該抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体よく、あるいはFab、Fab’、F(ab’)2、scFv、dsFv、diabodyおよびCDRを含むペプチドなどを用いることができる。二次抗体に用いられる抗体あるいは抗体断片は、検出のために標識化して使用される。
上記の抗ヒトSTS抗体あるいは抗体断片または該抗体を検出するための二次抗体あるいは抗体断片を標識する物質としては、任意の公知(石川榮次ら編、酵素免疫測定法、医学書院)の酵素、発光物質、蛍光物質あるいは放射性同位元素などを用いることができる。例えば、標識が酵素であればアルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどを、標識が発光物質であればアクリジニウムエステル、ロフィンなどを、標識が蛍光物質であればグリーンフルオレセンスプロテイン、レッドフルオレセンスプロテイン、FITCなどを、放射性同位元素であれば14C、32P、125Iなどを用いることができる。また、ビオチン標識を用いて、標識化されたアビジンやストレプトアビジンなどを用いて検出することもできる。
抗体あるいは抗体断片を上記の標識により標識化する方法としては、遺伝子工学的に結合させる方法や、化学的に結合させる方法が用いられる。遺伝子工学的に結合させる方法は、文献[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93,974(1996);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93,7826(1996)]記載の方法に従って行うことができる。化学的に結合させる方法は、文献[Science,261,212(1993)]記載の方法に従って行うことができる。また、放射性同位元素を化学的に結合させる方法は、文献[Antibody Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals,,60(1990);Anticancer Research,11,2003(1991)]記載の方法に従って行うことができる。
標識量を測定する方法としては、吸光度法(比色法)、蛍光法、発光法、放射活性法などがあげられる。標識が酵素である場合、酵素の基質を当該酵素と反応させ、生成した物質を測定することにより、標識量を測定することができる。
酵素がペルオキシダーゼである場合には、例えば吸光度法、蛍光法などによりペルオキシダーゼ量を測定することができる。吸光度法によりペルオキシダーゼ量を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および酸化発色型色原体の組み合わせとを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計などで測定する方法などがあげられる。酸化発色型色原体としては、例えばロイコ型色原体、酸化カップリング発色型色原体などがあげられる。
ロイコ型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼなどの過酸化活性物質の存在下、単独で色素へ変換される物質である。具体的には、o−フェニレンジアミン、10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(CCAP)、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(MCDP)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム塩(DA−64)、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス〔3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチルアミノフェニル〕アミン(BCMA)などがあげられる。
酸化カップリング発色型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼなどの過酸化活性物質の存在下、2つの化合物が酸化的カップリングして色素を生成する物質である。2つの化合物の組み合わせとしては、カプラーとアニリン類(トリンダー試薬)との組み合わせ、カプラーとフェノール類との組み合わせなどがあげられる。カプラーとしては、例えば4−アミノアンチピリン(4−AA)、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラジンなどがあげられる。アニリン類としては、N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOPS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N,N−ジメチル−3−メチルアニリン、N,N−ジ(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン(EMSE)、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−アセチルエチレンジアミン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−4−フルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(F−DAOS)などがあげられる。フェノール類としては、フェノール、4−クロロフェノール、3−メチルフェノール、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIB)などがあげられる。
蛍光法によりペルオキシダーゼ量を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および蛍光物質の組み合わせとを反応させ、生成した蛍光の強度を測定する方法などがあげられる。当該蛍光物質としては、例えば4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、クマリンなどがあげられる。
酵素がアルカリ性ホスファターゼである場合には、例えば発光法などによりアルカリ性ホスファターゼ量を測定することができる。発光法によりアルカリ性ホスファターゼ量を測定する方法としては、例えばアルカリ性ホスファターゼとその基質とを反応させ、生成した発光の発光強度を発光強度計などで測定する方法などがあげられる。アルカリ性ホスファターゼの基質としては、例えば3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’−ホスホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン・二ナトリウム塩(AMPPD)、2−クロロ−5−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル}フェニル ホスフェート・二ナトリウム塩(CDP−StarTM)、3−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル}フェニル ホスフェート・二ナトリウム塩(CSPDTM)、[10−メチル−9(10H)−アクリジニルイデン]フェノキシメチルリン酸・二ナトリウム塩(LumigenTM APS−5)などがあげられる。
酵素がβ−D−ガラクトシダーゼである場合には、例えば吸光度法(比色法)などによりβ−D−ガラクトシダーゼ量を測定することができる。吸光度法(比色法)によりβ−D−ガラクトシダーゼ量を測定する方法としては、例えばβ−D−ガラクトシダーゼとその基質とを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計などで測定する方法などがあげられる。β−D−ガラクトシダーゼの基質としては、例えば2−クロロ−4−ニトロフェニルβ−D−ガラクトシドなどがあげられる。
標識が、放射性同位元素である場合、放射性同位元素の量は、放射活性をシンチレーションカウンターなどにより測定することにより決定することができる。
抗ヒトSTS抗体を固定化するための担体としては、抗体を結合させて保持できるものであればいかなるものも包含されるが、各種高分子素材を用途に合うように成形した素材が用いられる。
抗体などを固定化させる担体の形状としてはチューブ、ビーズ、プレート、ラテックスなどの微粒子、スティックなどが、素材としてはポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ゼラチン、アガロース、セルロース、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子素材、ガラス、セラミックス、磁性粒子や金属などがあげられる。
抗体の固相化の方法としては物理的方法と化学的方法またはこれらの併用など、公知の方法が用いられる。物理的結合としては、例えば物理吸着などがあげられる。化学的結合としては、例えば共有結合、非共有結合などがあげられる。非共有結合としては、例えば静電的結合、水素結合、疎水結合、配位結合などがあげられる。例えば、ポリスチレン製96ウェルの免疫測定用マイクロタープレートにペプチドなどを疎水固相化したものがあげられる。
固定化させる抗体は、直接抗体を固相に固定化してもよいし、抗体をビオチン−アビジンなどを介してから、固相に固定化してもよい。
上記の抗ヒトSTS抗体を固定化させた固相は、ブロッキングにより、担体上に残存する官能基を保護する。免疫学的測定法のブロッキングに用いられる物質としては、通常蛋白質、界面活性剤および市販のブロッキング試薬などが用いられるが、本発明のブロッキングに用いられる通常の蛋白質としては、BSA、KLHまたはガゼインなどが用いられる。
生体試料の希釈液としては、界面活性剤、緩衝剤などに安定化剤を含む水溶液などがあげられる。検体として全血を用いる場合には、水性溶液は、赤血球などの血球の膨張や収縮による血清中の成分濃度の変化を防止する目的で、塩類、糖類など、緩衝剤などにより等張液に調製されたものであることが好ましい。塩類としては、特に制限はないが、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのハロゲン化アルカリ金属塩などがあげられる。糖類としては、特に制限はないが、例えば、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコールなどがあげられる。
反応緩衝液としては、抗体固定化固相の抗体と生体試料中の抗原とが結合反応をすることができればいかなるものであってもよい。また、必要に応じて、界面活性剤、防腐剤、安定化剤、反応促進剤あるいは酵素活性調節剤などを添加してもよい。
洗浄液としては、通常未反応の物質を除去、洗浄でき、抗原抗体反応に影響を与えなければ、いかなるものも使用することができる。また、必要に応じて、緩衝剤、界面活性剤、BSAやカゼインなどの蛋白質、防腐剤あるいは安定化剤などを添加してもよい。例えば、Tween−PBSなどが使用される。
検体の希釈液、反応緩衝液あるいは洗浄液などに用いられる緩衝液としては、緩衝液に用いる緩衝剤は緩衝能を有するものならば特に限定されないが、pH1〜11の例えば乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤(但し、標識がアルカリ性ホスファターゼである場合を除く)、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、グッド緩衝剤などがあげられる。グッド緩衝剤としては、例えばMES(2−モルホリノエタンスルホン酸)緩衝剤、ビス−トリス[ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン]緩衝剤、ADA[N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸]緩衝剤、PIPES[ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)]緩衝剤、ACES{2−[N−(2−アセトアミド)アミノ]エタンスルホン酸}緩衝剤、MOPSO(3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝剤、BES{2−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸}緩衝剤、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)緩衝剤、TES〈2−{N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸〉緩衝剤、HEPES[N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−スルホエチル)ピペラジン]緩衝剤、DIPSO{3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸}緩衝剤、TAPSO〈2−ヒドロキシ−3−{[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸〉緩衝剤、POPSO[ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸)]緩衝剤、HEPPSO[N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)ピペラジン]緩衝剤、EPPS[N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(3−スルホプロピル)ピペラジン]緩衝剤、トリシン[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン]緩衝剤、ビシン[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン]緩衝剤、TAPS{3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノプロパンスルホン酸}緩衝剤、CHES[2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸]緩衝剤、CAPSO[3−(N−シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸]緩衝剤、CAPS[3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸]緩衝剤などがあげられる。
酵素活性調節剤、酵素安定化剤としては、例えばマグネシウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオンなどの金属イオンがあげられる。試薬中のこれらの金属イオンの含量としては、測定において、酵素が安定化される含量であれば特に制限はない。
防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム、抗生物質などがあげられる。試薬中のこれらの防腐剤の含量としては、測定において、検体中の被測定物質が適切に測定されるような含量であれば特に制限はない。
ヒトSTSの標準物質としては、遺伝子組換え技術により取得された、あるいは生体試料から取得されたヒトSTSや、ヒトSTSが発現している細胞、ヒトSTSの部分ペプチドなどがあげられる。
本発明の検体中のヒトSTSの免疫学的検出試薬またはキット、並びに免疫学的定量試薬またはキットは、ヒトSTS関連疾患の判定または診断、ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤の選択、ヒトSTS関連疾患の病態の判定または診断などに用いることができる。
ヒトSTS関連疾患は、軽度、重度に関わらず、ヒトSTSが病態に関与する疾患であればいかなる疾患も包含される。ヒトSTS関連疾患としては、ヒトSTSが病態に関与するエストロゲン依存性疾患があげられ、具体的には、ヒトSTSが病態に関与するエストロゲン依存性腫瘍があげられる。
エストロゲン依存性腫瘍としては、エストロゲン依存的な細胞の増殖を伴う腫瘍があげられ、例えば悪性腫瘍、良性腫瘍、皮膚疾患などがあげられる。悪性腫瘍としては、具体的には乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、スキルス胃癌などがあげられるが、乳癌、子宮癌が好ましい。乳癌としては、例えば乳管癌、小葉癌、パジェット病などがあげられるが、乳管癌が好ましく、浸潤性乳管癌が特に好ましい。子宮癌であれば、子宮内膜癌とも呼ばれる子宮体癌が特に好ましい。
疾患が悪性腫瘍である場合、疾患部位としては、原発巣であっても転移巣であってもよい。良性腫瘍としては、例えば子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などがあげられるが、子宮内膜症、子宮腺筋症が好ましい。皮膚疾患としては、例えば魚鱗症などがあげられる。
本発明の検体中のヒトSTSの免疫学的検出試薬またはキット、並びに免疫学的定量試薬またはキットによる検出または定量の結果、検体中のヒトSTSが検出され、またはヒトSTSが健常人または通常組織と比較して、ヒトSTSの存在量が増大している場合には、ヒトSTSが陽性である、またはヒトSTSが発現亢進していると判断される。このような患者は、ヒトSTS関連疾患であると判定または診断される。
上記のようにして、ヒトSTS関連疾患であると判定または診断された患者には、ヒトSTS関連疾患の治療に適した薬剤を選択することができる。また、ヒトSTS関連疾患は、ヒトSTSが病態に関与するエストロゲン依存性疾患を含むため、エストロゲン依存性疾患の治療に適した薬剤を選択してもよい。
ヒトSTS関連疾患の治療に適した薬剤としては、具体的には、STS阻害剤があげられる。
エストロゲン依存性疾患の治療に適した薬剤としては、例えば、ホルモン療法剤があげられる。
STS阻害剤としては、STSの機能を阻害する機能を有する薬剤であれば、いかなるものでもよいが、具体的にはnortropinyl−arylsulfonylureaまたはその誘導体[Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,13,3673(2003)]、estrone−3−O−sulfamateまたはその誘導体、2−difluoromethyloestrone 3−O−sulphamate[Biochemical & Biophysical Research Communications,317,169(2004)]、biphenyl−4−O−sulfamateまたはその誘導体、2’,4’−dicyanobiphenyl−4−O−sulfamate[Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology,87,141(2003)]、エストロン誘導体[Bioorganic & Medicinal Chemistry,11,1685(2003)]、2−Alkylchromen−4−one 6−O−sulfamates[Journal of Medicinal Chemistry,46,5091(2003)]、クマリン誘導体、667 COUMATE、2−methoxyoestradiol bis−sulphamate[Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology,86,423(2003)]、3−sulfamoyloxy−17alpha−p−tert−butylbenzyl(or benzyl)estra−1,3,5(10)−trien−17beta−ol、並びに2−methoxy−3−sulfamoyloxy−17alpha−benzylestra−1,3,5(10)−trien−17beta−olまたはこれらの類縁体[Cancer Research,63,6442(2003)]などがあげられる。
また、ホルモン療法剤としては、エストロゲンの機能を阻害する機能を有する薬剤であればいかなる薬剤も包含されるが、抗エストロゲン剤、選択的アロマターゼ阻害剤、黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制剤またはプロゲステロン製剤などがあげられ、具体的には、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、フルベストラント、酢酸リュープロレリン、メピチオスタン、エチニルエストラジオール、アナストロゾール、レトロゾール、エクセメスタン、塩酸ファドロゾール水和物、ゴセラリン、酢酸メドロキシプロゲステロンなどがあげられる。
さらに、本発明の検体中のヒトSTSの免疫学的検出試薬またはキット、並びに免疫学的定量試薬またはキットは、ヒトSTS関連疾患の病態の判定または診断などに用いることができる。
ヒトSTS関連疾患の病態の判定または診断としては、例えばヒトSTS関連疾患の現状を把握することや予後を予測することなどがあげられる。ヒトSTS関連疾患の現状としては、例えば疾患の進展度、進行度、増悪度または治療薬投与後の寛容度などがあげられる。疾患の予後としては、再発の可能性、病巣の転移度または罹患患者の生存率などがあげられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
抗ヒトSTSモノクローナル抗体の作製
(1)抗原の調製
ヒト胎盤組織から以下のようにして精製ヒトSTSを取得した。操作は全て4℃で行った。
胎盤組織ははさみで細断後、バッファーA[0.25mol/Lサッカロース,5mmol/L EDTAで含む10mmol/Lトリス−酢酸緩衝液(pH7.0)]中で細胞懸濁液を調製し、該細胞顕濁液を10000×gで20分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清をさらに105000×gで1時間遠心分離して得られた沈殿をミクロソーム画分とした。
得られたミクロソーム画分はバッファーB[1mmol/L EDTA,1mmol/Lジチオエリスレイトール(Dithioerythreitol;DTE)、0.05%フェニルメチルスルフォニルフルオロイド(phenylmethansulfonylfluoride;PMSF)、0.5%トリトンX−100を含む10mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)]を加えて室温にて1時間攪拌し、可溶化した。可溶化後、該溶液を105000×gで1時間遠心分離して不溶性画分を除き、得られた上清を、バッファーC[1mmol/L EDTA,1mmol/Lジチオエリスレイトール(Dithioerythreitol;DTE)、0.05%フェニルメチルスルフォニルフルオロイド(phenylmethansulfonylfluoride;PMSF)、0.5%トリトンX−100を含む10mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)]で平衡化したPBE94カラムに通塔し、2倍容量の同バッファーにて洗浄後、バッファーD[1mmol/L EDTA,1mmol/L DTE,0.05%PMSF,0.5%トリトンX−100を含む12.5%polybuffer74(pH4.0)]で溶出した。さらに溶出画分はバッファーBで平衡化したフェニルセファロースカラムに通塔し、充分量の同バッファーで洗浄後1.25%トリトンX−100を加えた同バッファーで溶出した。このようにして得られた溶出画分を精製ヒトSTSとして用いた。精製ヒトSTSはSDS変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(以下、SDS−PAGEと表記する)を用いて、純度を検定した。
図1に得られた精製ヒトSTSのSDS−PAGEのクマシーブリリアントブルーでの染色の結果を示した。矢印の位置に示されるように、精製ヒトSTSは分子量63KDaの単一バンドとして染色され、精製ヒトSTSの純度は、90%以上と推定された。
(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
上記(1)で得られた精製ヒトSTSをアルミニウムゲル2mgおよび百日咳ワクチン(千葉県血清研究所製)1×10細胞とともに5週令雌マウス(Balb/c)に投与し、2週間後より同様に調製した免疫原を1週間に1回、計4回投与した。眼底静脈叢より採血し、その血清抗体価を以下に示す酵素免疫測定法で調べ、十分な抗体価を示したマウスから最終免疫の3日後に脾臓を摘出した。
脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上清を捨て、トリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去し、MEM培地で3回洗浄して細胞融合に用いた。
(3)酵素免疫測定法
アッセイ用の抗原には上記(1)で得られた精製ヒトSTSを用いた。陰性対照の抗原にはBSAを用いた。
96穴のEIA用プレートに精製ヒトSTS、あるいはBSAを50μL/穴で分注し、4℃で一晩放置して吸着させた。洗浄後、BSA−PBSを100μL/穴で加え、室温1時間反応させて残っている活性基をブロックした。BSAーPBSを捨て、被免疫マウス抗血清、抗ヒトSTSモノクローナル抗体の培養上清もしくは精製モノクローナル抗体を50μL/穴で分注し2時間反応させた。Tween−PBSで洗浄後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスイムノグロブリン(ダコ社製)を50μL/穴で加えて室温、1時間反応させ、Tween−PBSで洗浄後、ABTS基質液[2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)アンモニウムの0.55gを1Lの0.1mol/Lクエン酸緩衝液(pH4.2)に溶解し、使用直前に過酸化水素水を1μL/mLで添加した溶液]を50μL/穴で加えて発色させ、415nmの吸光度(以下、OD415などと表記する)をプレートリーダー(NJ2001;日本インターメッド社製)にて測定した。
(4)マウス骨髄腫細胞の調製
8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3−U1[European Journal of Immunology,,511(1976)]を正常培地で培養し、細胞融合時に2×10個以上の細胞を確保し、細胞融合に供した。
(5)ハイブリドーマの作製
上記(2)で得られたマウス脾細胞と(4)で得られた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上清を除き、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングライコール−1000(PEG−1000)2g、MEM培地2mLおよびジメチルスルホキシド0.7mLの混液を1×10個マウス脾細胞当たり0.2〜1mLを加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2mLを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mLになるようにした。遠心分離(900rpm、5分間)した後、上清を除き、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吸出しでゆるやかに細胞をHAT培地100mL中に懸濁した。
この懸濁液を96穴培養用プレートに100μL/穴ずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で10〜14日間培養した。この培養上清を上記(3)に記載した酵素免疫測定法で調べ、精製ヒトSTSに反応してBSAに反応しない穴の細胞を選び、さらにHT培地、続いて正常培地を用いる2回クローニングを行い、抗ヒトSTSモノクローナル抗体産生ハイブリドーマKM1053とKM1049が得られた。ハイブリドーマ細胞株KM1053およびハイブリドーマ細胞株KM1049が産生するモノクローナル抗体をそれぞれ抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049と称す。
(6)モノクローナル抗体の精製
プリスタン処理した8週令ヌード雌マウス(Balb/c)に上記(5)で得られたハイブリドーマ株を5〜20×10細胞/匹それぞれ腹腔内注射した。10〜21日後に、ハイブリドーマは腹水癌化した。腹水のたまったマウスから、腹水を採取(1〜8mL/匹)し、遠心分離(3000rpm、5分間)して固形分を除去した。得られた腹水は、カプリル酸沈殿法[Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,(1988)]により精製し、精製モノクローナル抗体とした。
抗体のサブクラスはサブクラスタイピングキット(ZYMED社製)を用いて酵素免疫測定法により行ない決定した。結果を表1に示した。
Figure 2006059712
(7)モノクローナル抗体の胎盤由来精製ヒトSTSとの反応性(バインディングELISA)
上記(5)で選択された抗ヒトSTSモノクローナル抗体の精製ヒトSTSとの反応性を(3)に示した酵素免疫測定法にて調べた。図2に示すように、得られた抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049はいずれも精製ヒトSTSに特異的に結合した。
抗ヒトSTSモノクローナル抗体の反応性
(1)大腸菌発現組換えヒトSTSの作製
ヒトSTS遺伝子を含むプラスミドpSVL−STS[J.Biol.Chem.,264,13865(1989)](1ng/μL)を0.5μL、10倍濃度のPfu polymerase緩衝液5μL、2mmol/L dNTP 2μL、40μmol/Lの配列番号1および2に示された塩基配列のプライマーをそれぞれ0.5μL、DMSO 5μL、Pfu polymerase(STRATAGENE社製)0.5μL、滅菌水36μLからなる溶液にミネラルオイルを上層し、94℃で5分間加熱した後、94℃で1分間、50℃で1分間、72℃で2分間からなる反応サイクルを16サイクル行い、続けて72℃で7分間反応させた。PCR産物をアガロースゲル電気泳動で分画し、得られた約1.7kbの増幅断片をGENECLEAN Spin Kit(BIO101社製)を用いて抽出した。得られた抽出断片をBamHIとSmaIで消化し、DNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)によりBamHIとSmaIで消化したpQE30(QIAGEN社製)に連結した後、コーエンらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,69,2110(1972)]により大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(QIAGEN社製)を用いてプラスミドを抽出し、発現プラスミドpQE−STSを取得した。pQE−STSのDNA配列をDNAシークエンサー373(Perkin Elmer社製)およびBigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(Perkin Elmer社製)を使用して確認したところ、意図的にプライマーに変異を導入した箇所以外に変異は認められなかった。
pQE−STSを上記と同様の方法で大腸菌M15[pREP4]株に導入し、ヒトSTS発現大腸菌株M15[pREP4]/pQE−STSを作製した。
(2)ウェスタンブロッティング
実施例1(5)で得られた抗ヒトSTSモノクローナル抗体を用いてウェスタンブロッティングによるヒトSTSを以下のようにして検出した。
上記(1)で作製されたSTS発現大腸菌株M15[pREP4]/pQE−STS株を50mg/Lアンピシリンおよび10mg/Lカナマイシンを含むLB培地にて37℃で一晩シード培養し、培養液を50倍に希釈して1時間培養した後、終濃度が4mmol/LとなるようにIPTGを添加した。4時間の培養後、菌体を遠心分離により回収した。
回収したヒトSTS発現大腸菌株体およびヒト胎盤由来精製ヒトSTSを1倍濃度のPAGE buffer[2%SDS、62mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH6.8)、10%Glycerol]に溶解して95℃で5分間加熱処理し、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動〔Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,(1988)〕にて分画後、PVDF膜にブロッティングした。該膜をBSA−PBSでブロッキング後、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053または抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049を室温で2時間反応させた。反応後、Tween−PBSで洗浄した後、第二抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(DAKO社製)を室温で1時間反応させた。Tween−PBSでよく洗浄した後、検出はECL−detection kit(アマシャム社製)を用いて行い、X線フィルム上に感光させた。
図3に結果を示した。抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049は、いずれも実施例1(1)で得られた胎盤由来精製ヒトSTSだけでなく、大腸菌発現の組換えヒトSTSにも反応した。
以上のことから、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049はウェスタンブロッティングによりヒトSTSを検出することができ、STSが関与する各種疾病の判定または診断に応用できることが示された。
(3)ヒトSTS遺伝子導入細胞株の造成
ヒトSTS遺伝子を含むプラスミドpSVL−STS[J.Biol.Chem.,264,13865(1989)]を制限酵素XbaIおよびBamHIで消化し、得られた消化断片をアガロースゲル電気泳動で分離後、約2.4kbのヒトSTS遺伝子を含む断片を抽出した。抽出した断片をXbaIとBamHIで消化したpBlueScriptIISK(−)に連結した後、コーエンらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,69,2110(1972)]により大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(QIAGEN社製)を用いてプラスミドを抽出し、pBS−STSを取得した。pBS−STSをNotIおよびXhoIで消化し、上記と同様にしてヒトSTS遺伝子含む断片を得た。該断片を動物細胞発現用ベクターpcDNA3(Invitrogen社製)のNotI−XhoIサイトに挿入し、発現プラスミドpcSTSを取得した。
pcSTSは、エレクトロポレーション法[Cytotechnology,,133(1990)]により以下のようにして、CHO/dDXB11細胞[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,77,4216(1980)]へ導入した。
CHO/dDXB11細胞は、5%ウシ胎児血清(Life technologies社製)、0.09%重曹(Life technologies社製)、1%Penicillin−streptomycin(Life technologies社製)を添加したαMEM1900培地(Life technologies社製)(以下、A3培地とする)で継代培養した細胞を用いた。
CHO/dDXB11細胞をK−PBS緩衝液[137nmol/L塩化カリウム、2.7nmol/L塩化ナトリウム、8.1mmol/Lリン酸一水素二ナトリウム、1.5nmol/Lリン酸二水素一ナトリウム、4mmol/L塩化マグネシウム緩衝液]に懸濁して8×10細胞/mLとし、細胞懸濁液200μL(1.6×10個の細胞を含む)を上記プラスミド4μgと混和した。該混和液をキュベット(電極間距離2mm)に移し、GenePulserII(BioRad社製)装置を用いてパルス電圧0.35kV、電気容量250μFの条件で遺伝子導入を行った。キュベットを氷上で静置後、キュベット中の細胞懸濁液を、A3培地を含む細胞培養用容器に懸濁し、37℃、5%COインキュベーターで培養した。24時間の培養後、5%ウシ胎児透析血清(Life technologies社製)、0.09%重曹(Life technologies社製)、1%Penicillin−streptomycin(Life technologies社製)、600μg/mL G418 sulfateを添加したαMEM2000培地(Life technologies社製)(以下、B3培地と表記する)に培地交換し、培養を続けた。途中希釈しながら継代を続け、遺伝子導入より約2週間後に、G418に耐性を持つ形質転換細胞株を取得した。
得られた形質転換細胞を1.25細胞/mLとなるようB3培地で希釈し、希釈液を96穴プレートに200μLずつ分注し、シングルセルクローニングを行い、形質転換細胞cs3−1細胞株を取得した。
上記で取得された形質転換細胞のアリルサルファターゼ活性を測定することにより、ヒトSTSが導入された細胞を選択した。TT緩衝液[1%トリトンX−100を含む50mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.2)]に懸濁した細胞を超音波破砕し、約8000×gで5分間遠心分離した上清50μLとp−Nitrophenylsulfate(NPS)基質溶液[20mmol/L NPSを含む250mmol/Lトリス−酢酸緩衝液(pH8.2)]50μLを混和し、37℃、1時間反応を行った。反応後、該反応液に1N NaOH 400μLを添加して反応を停止し、420nmにおける吸光度(OD420)をMicroplate reader Benchmark(BIO−RAD社製)を用いて測定し、細胞の酵素活性を求めた。p−Nitrophenol(NP)のモル吸光係数をE1mmol/L=19.6、1時間に1μmol/LのNPを生じる酵素量を1Unitとして定義した。
結果を、図4に示した。ヒトSTS遺伝子を含まないpcDNA3プラスミドを導入したコントロール株cDNA3−1およびpcSTSプラスミドを導入した形質転換株cs3−1細胞株のアリルサルファターゼ酵素活性を比較した場合、cs3−1細胞株で有意な活性の上昇が認められた。
従って、ヒトSTS遺伝子の導入により、アリルサルファターゼ酵素活性を発現する細胞株が得られたことが確認できた。
(4)免疫沈降
実施例1(5)で得られた抗ヒトSTSモノクローナル抗体を用いて、免疫沈降によるヒトSTSを以下のようにして検出した。
上記(3)で造成したヒトSTS遺伝子導入細胞株cs3−1細胞を溶解緩衝液[1%トリトンX−100を含む50mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.2)]にて溶解した後、遠心分離を行い、上清を回収した。
回収した上清100μLに対し、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053または抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049を産生するハイブリドーマの培養上清50μLあるいは陰性対照のマウスIgG1クラスモノクローナル抗体を混合し、氷上に60分間静置して反応させた。反応後、溶解緩衝液で平衡化したProtein G Sepharose 4FF(Pharmacia社製)100μLを加え、4℃にて60分間、撹拌しながら反応させた。反応後、14000rpm、4℃で15秒間の遠心分離を行った後、上清を除去し、沈殿したビーズを回収した。該ビーズは上記の溶解緩衝液で3回洗浄した。洗浄後、該ビーズに35μLの2倍濃度のPAGE buffer[4%SDS、124mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH6.8)、20%Glycerol]を加え、95℃で5分間加熱処理し、沈殿したビーズに吸着した蛋白質を10%SDS−PAGEゲルによる電気泳動に供した。分画した蛋白質をPVDF膜に転写し、上記(2)に記載の方法と同様にしてウェスタンブロッティング法を行った。ウェスタンブロッティング法の一次抗体にはKM1049を、二次抗体にはHRP標識ウサギ抗マウス抗体(DAKO社製)をそれぞれ用いた。結果を図5に示した。
抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053はヒトSTSを免疫沈降することができたが、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049はヒトSTSを免疫沈降することはできなかった。
以上のことから、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053は免疫沈降により、ヒトSTSを検出することができ、STSが関与する各種疾病の診断に応用できることが示された。
(5)免疫細胞染色
実施例1(5)で得られた抗ヒトSTSモノクローナル抗体を用いた免疫細胞染色法によりヒトSTSを以下のようにして検出した。
細胞は、上記(3)で造成したヒトSTS遺伝子導入細胞株cs3−1細胞と、陰性対照として親株であるCHO/dDXB11細胞にヒトSTS遺伝子が含まれていないpcDNA3プラスミドを導入したcDNA3−1細胞用いた。
細胞をEDTAにより剥離し、PBSで洗浄した後、細胞膜の抗体透過性を上げるため、氷冷した100%メタノールにて4℃で10分間処理した。PBSで洗浄後、1mg/mLヒトイムノグロブリン(カッペル社製)にて室温で30分間ブロッキングした。反応当たり1×10細胞/となるように分注し、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053産生ハイブリドーマの培養上清を加えて室温で30分間反応させた。反応後、PBSで洗浄後、FITC標識抗マウスイムノグロブリン抗体(マウスイムノグロブリンに特異的に反応する抗体;和光純薬)を100μL/チューブで分注し、4℃、30分間遮光反応させた。PBSで洗浄した後、セルアナライザー(コールター社;EPICS XL systemII)にて解析した。
結果を図6に示した。図6に示されるように、免疫細胞染色法において、抗ヒトSTSモノクローナルKM1053はヒトSTSを発現していないcDNA3−1細胞には反応せず、ヒトSTS遺伝子が導入された細胞株cs3−1細胞に特異的な反応性を示した。また、陰性対照のマウスIgG1クラスのモノクローナル抗体はいずれの細胞とも反応しなかった。
以上のことから、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053は免疫細胞染色により、ヒトSTSを検出することができ、STSが関与する各種疾病の診断に応用できることが示された。
(6)免疫組織染色
実施例1(5)で選択された抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053を用いて、免疫組織染色法によるヒトSTSを以下のようにして検出した。
乳管癌標本25例を用いた。標本は、10%ホルマリンで固定後、パラフィン包埋されたブロックから、切片を調製して使用した。
切片は、後述する検出段階で用いたヒストファインSAB−PO(M)(以下、ヒストファインと記す。ニチレイ社製)に添付のウサギ正常血清由来のブロッキング溶液を用いて室温にて、30分間ブロッキングした。ブロッキング後、該標本を第一次抗体希釈液[0.5%BSA、0.05%アザイドを含むPBS(リン酸二ナトリウム32.27g、リン酸一ナトリウム4.5g、食塩80g、蒸留水1リットル)]で8.33μg/mLに希釈した抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053で4℃にて、一晩反応させた。この時、同時に第一次抗体の陰性対照として、正常マウスIgGを用いた。
反応後、洗浄し、内因性ペルオキシダーゼ(以下、ペルオキシダーゼと記す)の活性をブロックするため、ペルオキシダーゼブロッキング液(1mLの30%過酸化水素水をメタノールで全量を100mLに調整)で室温にて30分間反応させた。反応後、洗浄し、ヒストファインに添付の第二次抗体溶液(ビオチン標識抗マウスIgG+IgA+IgMウサギ抗体)を用いて、室温にて30分間反応させた。反応後、洗浄し、ヒストファインに添付のアビジン標識ペルオキシダーゼ溶液を用いて、室温にて30分間反応させた。反応後、洗浄し、DAB発色を行った。DAB発色は以下の通りに行った。
100mLの50mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.6)に、6mLのDAB溶液{40mLの250mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)に1gのDAB(3,3’−Diaminobenzidine,tetrahydrochloride;同仁社製)を溶解し、同緩衝液で200mLに調整}および20μLの30%過酸化水素水を添加したDAB発色溶液を調製しDAB発色反応に供した。発色反応は1〜5分間行った。
DAB発色後、洗浄し、細胞像をわかりやすくするために、定法に従ってヘマトキシリン染色を行った後、顕微鏡下で観察した。
25例の標本の癌部のうち、シグナルが観察された領域が50%以上であった標本は(2+)、10%〜50%であった標本は(1+)、10%未満であった標本は(−)として、各標本をそれぞれ分類した。
結果は、(2+)と判定された標本は9例(36%)、(1+)と判定された標本は14例(54%)、(−)と判定された標本は2例(8%)であった。一方、第一次抗体に陰性対照を用いた場合には、全ての標本においてシグナルは観察されなかった。
以上のことから、癌組織の90%以上を染色することが可能な抗ヒトSTSモノクローナルKM1053は、癌の免疫組織染色法に適した抗体であり、抗ヒトSTSモノクローナルKM1053は免疫細胞染色により、ヒトSTSを検出することができるので、STSが関与する各種疾病の診断に応用できることが示された。
抗ヒトSTSモノクローナル抗体の反応特異性
(1)各種ARS遺伝子導入細胞株の造成
(1−1)ARS A遺伝子導入細胞の造成
human placenta cDNA library(Clontech社製)よりARS A遺伝子のPCRクローニングを行った。cDNA library(0.5μg/μL)20μL、10倍濃度のKOD polymerase緩衝液5μL、2mmol/L dNTP2μL、40μmol/Lの配列番号1および2記載の塩基配列で示されるプライマーをそれぞれ0.5μL、DMSO5μL、KOD polymerase(東洋紡社製)0.5μL、滅菌水21.5μLからなる溶液にミネラルオイルを上層し、94℃で5分間加熱した後、94℃で1分間、45℃で1分間、72℃で2分間の反応サイクルを25サイクル行い、続いて72℃で10分間反応を行なった。PCR産物をアガロースゲル電気泳動で分画し、得られた約1.5kbの増幅断片をGENECLEAN Spin Kit(BIO101社製)を用いて抽出した。抽出した断片を鋳型として上記と同様のPCR反応を行い、上記と同様にして増幅断片の抽出を行なった。得られた増幅断片をHindIIIとXbaIで消化し、DNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)によりHindIIIとXbaIで消化したpBluescript SK(−)に連結した後、コーエンらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,69,2110(1972)]により大腸菌JM110(dam,dcm)に形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(Promega社製)を用いてプラスミドを抽出し、pBS−ARS A2とpBS−ARS 5を得た。pBS−ARS A2とpBS−ARS 5のDNA配列をDNAシークエンサー377(Perkin Elmer社製)およびBigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(Perkin Elmer社製)を使用して確認したところ、pBS−ARS A2には一ヶ所の変異、pBS−ARS A5には464−526位に欠失変異が存在することがわかった。それぞれ変異が導入された領域が異なっていたので、pBS−ARS A2をHindIIIおよびBsmBIで消化しアガロースゲル電気泳動で分離後、抽出した断片(0.8kbp)をpBS−ARS A5のHindIII−BsmBI断片(3.5kbp)に挿入することにより完全型ARS Aの翻訳領域を含むpBS−ARS A’を取得した。pBS−ARS A’をApaI消化してアガロース電気泳動の解析により0.5、0.6および3.4kbpの断片が出現すること、および変異点近傍のシーケンスを行うことにより、目的としたプラスミドpBS−ARS A’を取得したことを確認した。
pBS−ARS A’をHindIIIおよびXbaIで消化し、上記と同様にしてARS Aを含む断片を得た。該断片を動物細胞発現用ベクターpAGE210[J.Biochem.,101,1307(1987)]のHindIII−XbaIサイトに挿入し、発現プラスミドpAGE210−ARS Aを取得した。
pAGE210−ARS AはFspIで消化し、線状化した。フェノールクロロホルム抽出処理の後、エタノール沈殿を行い、回収した線状化プラスミドをTEに1μg/μLとなるよう溶解した。一方、CHO/DG44細胞[Somatic Cell and Moleculer Genetics,12,555(1986)]は、10%ウシ胎児血清(Life technologies社製)、1% HT Supplement(Life technologies社製)、1% Penicillin−streptomycin(Life technologies社製)を添加したIMDM培地(Life technologies社製)(以下、A1培地とする)で継代したものを用いた。CHO/DG44細胞をK−PBS緩衝液[137nmol/L塩化カリウム、2.7nmol/L塩化ナトリウム、8.1mmol/Lリン酸一水素二ナトリウム、1.5nmol/Lリン酸二水素一ナトリウム、4mmol/L塩化マグネシウム緩衝液]に懸濁して8×10細胞/mLとし、細胞懸濁液200μL(1.6×10個の細胞を含む)を上記線状化プラスミド4μgと混和した。該混和液を電極間距離2mmのキュベットに移し、GenePulserII(BioRad社製)装置を用いてパルス電圧0.30kV、電気容量250μFの条件で遺伝子導入を行った。キュベットを氷上で静置後、キュベット中の細胞懸濁液を10mLのA1培地に懸濁し、100μLずつ96穴plateに分注したものを37℃、5%炭酸ガス培養器中で培養した。1日間培養後、10%ウシ胎児透析血清(Life technologies社製)、1%Penicillin−streptomycin(Life technologies社製)、300μg/mLハイグロマイシンBを添加したIMDM培地(Life technologies社製)(以下、B1培地とする)に培地交換し、培養を続けた。途中希釈しながら継代を続け、遺伝子導入より約2週間後に、ハイグロマイシンBに耐性を持つ形質転換細胞株を取得した。
導入遺伝子の増幅を行うため、得られた形質転換細胞を、50、100または500nmol/LのMethotrexate(MTX)を添加したB1培地中で順次3回の継代(約2週間)を行い、各濃度のMTXに耐性を有する株を取得した。また、得られた発現株をEX−CELL 301(JRH Bioscience社製)培地で継代培養することにより無血清馴化を行ない、ARS Aが導入された形質転換細胞を取得した。
上記で取得された形質転換細胞のアリルサルファターゼ活性を以下の方法により測定し、ARS Aが導入された細胞を選択した。
形質転換細胞の培養上清100μLとp−Nitrocatecholsulfate(NCS)基質溶液[10mmol/L KNCSを含む500mmol/L酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)]100μLを混和し、37℃で反応を行った。反応開始から0および30分後に該反応液を100μL抜き取り、1N NaOH 50μLと混和して反応を停止後、490nmにおける吸光度をMicroplate reader Benchmark(BIO−RAD社製)を用いて測定し、細胞の酵素活性を求めた。その結果を、図7−Aに示した。ARS A遺伝子を含まないプラスミドpAGE210を導入したコントロール細胞株Vector1細胞株およびARS A遺伝子を含むpAGE210−ARS Aプラスミドを導入した形質転換株A7(100)細胞株のアリルサルファターゼ活性を比較したところ、形質転換株A7(100)細胞株は、アリルサルファターゼ活性を有していることが確認された。
(1−2)ARS B遺伝子導入細胞の造成
ヒト由来ARS B遺伝子を含むプラスミドpMPSVHE−ASB[Gene,68,213(1988)]を制限酵素EcoRIで消化しBlunting Kit(宝酒造)により平滑末端化したものを、BamHIで消化した。得られた消化断片をアガロースゲル電気泳動で分離後、約2.3kbのARS Bを含む断片をGENECLEAN Spin Kit(BIO101社製)を用いて抽出した。抽出断片をDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)により動物細胞発現用ベクターpAGE210[J.Biochem.,101,1307(1987)]のBamHI−SmaIサイトに挿入し、該断片挿入ベクターを用いてコーエンらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,69,2110(1972)]により大腸菌JM110株(dam,dcm)を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(Promega社製)を用いてプラスミドを抽出し、pAGE210−ARS Bを取得した。
FspIで消化し、線状化したpAGE210−ARS Bを用い、上記(1−1)と同様にCHO/DG44細胞[Somatic Cell and Molecular Genetics,12,555(1986)]へ導入し、形質転換株を取得した。
導入遺伝子の増幅を行うため、得られた形質転換細胞を、50、100または500nmol/LのMethotrexate(MTX)を添加したB1培地中で順次3回の継代(約2週間)を行い、各濃度のMTXに耐性を有する株を取得した。また、得られた発現株をEX−CELL 301(JRH Bioscience社製)培地で継代培養することにより無血清馴化を行なった。
上記で取得された形質転換細胞のアリルサルファターゼ活性を測定することにより、ARS Bが導入された細胞を選択した。培養上清100μLとp−Nitrocatecholsulfate(NCS)基質溶液[10mmol/L KNCSを含む500mmol/L酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)]100μLを混和し、37℃で反応を行った。反応開始から30および90分後に、該反応液の490nmにおける吸光度をMicroplate reader Benchmark(BIO−RAD社製)を用いて測定し、細胞の酵素活性を求めた。
その結果を、図7−Bに示した。ARS B遺伝子を含まないpAGE210プラスミドを導入したコントロール細胞株Vector1細胞株およびARS B遺伝子を含むpAGE210−ARS Bプラスミドを導入した形質転換株B45(100)細胞株のアリルサルファターゼ活性を比較したところ、形質転換株B45(100)細胞株は、明らかにアリルサルファターゼ活性を有していることが確認された。
(1−3)ARS D遺伝子導入細胞の造成
ヒト由来ARS D遺伝子を含むプラスミドpcDL−SR296(ARSD)[Cell,81,15(1995)]を制限酵素XhoIで消化し、得られた消化断片をアガロースゲル電気泳動で分離後、約2kbのARS D遺伝子を含む断片をGENECLEAN Spin Kit(BIO101社製)を用いて抽出した。抽出断片をDNAライゲーションキットver.2(T宝酒造社製)により動物細胞発現用ベクターpAGE210[J.Biochem.,101,1307(1987)]のSalIサイトに挿入し、コーエンらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,69,2110(1972)]により大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(Promega社製)を用いてプラスミドを抽出し、pAGE210−ARS Dを取得した。
pAGE210−ARS Dは、エレクトロポレーション法[Cytotechnology,,133(1990)]により以下のようにしてCHO/DG44細胞[Somatic Cell and Molecular Genetics,12,555(1986)]へ導入した。
pAGE210−ARS DはBstEIIで消化し、線状化した。該反応液をフェノールクロロホルム抽出したの後、エタノール沈殿法を行い回収し、回収した線状化プラスミドをTEに溶解した。一方、CHO/DG44細胞は、10%ウシ胎児血清(Life technologies社製)、1%のHT Supplement(Life technologies社製)、1%Penicillin−streptomycin(Life technologies社製)を添加したIMDM培地(Life technologies社製)(以下、A4培地とする)で継代したものを用いた。CHO/DG44細胞をK−PBS緩衝液[137nmol/L塩化カリウム、2.7nmol/L塩化ナトリウム、8.1mmol/Lリン酸一水素二ナトリウム、1.5nmol/Lリン酸二水素一ナトリウム、4mmol/L塩化マグネシウム緩衝液]に懸濁して8×106細胞/mLとし、細胞懸濁液200μL(1.6×10個の細胞を含む)を上記線状化プラスミド4μgと混和した。該混和液をキュベット(電極間距離2mm)に移し、GenePulserII(BioRad社製)装置を用いてパルス電圧0.30kV、電気容量250μFの条件で遺伝子導入を行った。キュベットを氷上で静置後、キュベット中の細胞懸濁液を12mLのA培地を含む10cmディッシュ4枚に懸濁し、37℃、5%COインキュベーター中で培養した。1日間培養後、10%ウシ胎児透析血清(Life technologies社製)、1%Penicillin−streptomycin(Life technologies社製)、300μg/mLハイグロマイシンBを添加したIMDM培地(Life technologies社製)(以下、B4培地とする)に培地交換し、培養を続けた。途中希釈しながら継代を続け、遺伝子導入より約2週間後に、ハイグロマイシンBに耐性を持つ形質転換細胞株を取得した。
導入遺伝子の増幅を行うため、得られた形質転換細胞を、50、100または500nmol/LのMethotrexate(MTX)を添加したB1培地中で約2週間毎に順次3回の継代を行い、各濃度のMTXに耐性を有する株を取得した。また、得られた発現株をB4培地で継代培養することにより無血清馴化を行なった。
上記で取得された形質転換細胞のアリルサルファターゼ活性を測定することにより、ARS Dが導入された細胞を選択した。100mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁した細胞を超音波破砕し、約8000×gで5分間遠心分離した上清の蛋白質量をBCA Protein assay reagent kit(PIERCE社製)を用いて測定した。2mg/mL蛋白質濃度に調製した該上清50μLとp−Nitrophenylsulfate(NPS)基質溶液[20mmol/L NPSを含む100mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)]50μLを混和し、37℃、4時間反応を行った。該反応液の415nmにおける吸光度をMicroplate reader Benchmark(BIO−RAD社製)を用いて測定し、細胞のアリルサルファターゼ活性を求めた。
結果を、図7−Cに示した。ARS D遺伝子を含まないpAGE210プラスミドを導入したコントロール細胞株Vector2細胞株およびARS D遺伝子を含むpAGE210−ARS Dプラスミドを導入した形質転換株D−b−100M細胞株のアリルサルファターゼ活性を比較したところ、形質転換株D−b−100M細胞株は、明らかにアリルサルファターゼ活性を有していることが確認された。
(1−4)ARS E遺伝子導入細胞の造成
ヒト由来ARS E遺伝子を含むプラスミドpcDL−SR296(ARSE)[Cell,81,15(1995)]を制限酵素XhoIおよびClaIで消化し、得られた消化断片をアガロースゲル電気泳動で分離後、約2.5kbのARS Eを含む断片をGENECLEAN Spin Kit(BIO101社製)を用いて抽出した。抽出断片をDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)によりXhoIとClaIで消化したpBluescript SK(−)に連結した後、コーエンらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,69,2110(1972)]により大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(Promega社製)を用いてプラスミドを抽出し、pBS−ARS Eを取得した。pBS−ARS EをKpnIおよびHindIIIで消化し、上記と同様にしてARS Eを含む断片を得た。該断片を動物細胞発現用ベクターpAGE210[J.Biochem.,101,1307(1987)]のKpnI−HindIIIサイトに挿入し、発現プラスミドpAGE210−ARS Eを取得した。
FspIで消化し、線状化したpAGE210−ARS Eを用い、上記(1−1)と同様にCHO/DG44細胞[Somatic Cell and Molecular Genetics,12,555(1986)]へ導入し、形質転換株を取得した。
得られた形質転細胞を1.25細胞/mLとなるようB4培地で希釈し、96穴プレートに200μLずつ分注し、シングルセルクローニングを行った。さらに、導入遺伝子の増幅を行うため、得られた形質転換細胞を、50、100または500nmol/LのMethotrexate(MTX)を添加したB4培地中で順次3回の継代(約2週間)を行い、各濃度のMTXに耐性を有する株を取得した。また、得られた発現株をB4培地で継代培養することにより無血清馴化を行なった。
上記で取得された形質転換細胞のアリルサルファターゼ活性を測定することにより、ARS Eが導入された細胞を選択した。TC緩衝液[1% CHAPSを含む50mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)]に懸濁した細胞を、約8000×gで5分間遠心分離した上清50μLとp−Nitrophenylsulfate(NPS)基質溶液[20mmol/L NPS,1%CHAPSを含む50mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)]50μLを混和し、37℃、5分間反応を行った。該反応液の415nmにおける吸光度をMicroplate reader Benchmark(BIO−RAD社製)を用いて測定し、細胞の酵素活性を求めた。p−Nitrophenol(NP)のモル吸光係数をE1mmol/L=32.7とし、5分間に1μmol/LのNPを生産する酵素量を1Unitとして定義した。また、該上清の蛋白質濃度はBCA Protein assay reagent kit(PIERCE社製)を用いて測定した。
結果を、図7−Dに示した。宿主細胞であるCHO/DG44細胞およびARS E遺伝子を含むpAGE210−ARS Eプラスミドを導入した形質転換株E−a21−50M細胞株のアリルサルファターゼ活性を比較したところ、形質転換株E−a21−50M細胞株は、明らかにアリルサルファターゼ活性を有していることが確認された。
(1−5)ARS F遺伝子導入細胞の造成
ヒト由来ARS F遺伝子を含むプラスミドpcDL−SR296(ARS F)[GENOMICS,42,192(1997)]を制限酵素EcoRIで消化し、得られた消化断片をアガロースゲル電気泳動で分離後、約2kbのARS Fを含む断片をGENECLEAN Spin Kit(BIO101社製)を用いて抽出した。抽出断片をDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)によりEcoRIで消化したpBluescript SK(−)に連結した後、コーエンらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,69,2110(1972)]により大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(Promega社製)を用いてプラスミドを抽出し、pBS−ARS Fを取得した。pBS−ARS FをXbaIおよびHindIIIで消化し、上記と同様にしてARS Fをコードする遺伝子を含む断片を得た。該断片を動物細胞発現用ベクターpAGE210[J.Biochem.,101,1307(1987)]のXbaI−HindIIIサイトに挿入し、発現プラスミドpAGE210−ARS Fを取得した。
FspIで消化し、線状化したpAGE210−ARS Fを用い、上記(1−1)と同様にCHO/DG44細胞[Somatic Cell and Molecular Genetics,12,555(1986)]へ導入し、形質転換株を取得した。
得られた形質転換細胞を1.25細胞/mLとなるようB4培地で希釈し、96穴プレートに200μLずつ分注し、シングルセルクローニングを行った。さらに、導入遺伝子の増幅を行うため、得られた形質転換細胞を、50、100または500nmol/LのMethotrexate(MTX)を添加したB4培地中で順次3回の継代(約2週間)を行い、各濃度のMTXに耐性を有する形質転換細胞株を取得した。
上記で取得された形質転換細胞株のアリルサルファターゼ活性を測定することにより、ARS Fが導入された細胞を選択した。TTN緩衝液[1%トリトンX−100,150mmol/L NaClを含む100mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)]に懸濁した細胞を、約8000×gで5分間遠心分離した上清の蛋白質量をBCA Protein assay reagent kit(PIERCE社製)を用いて測定した。0.2mg/mL蛋白質濃度に調製した該上清20μLと4−methylumbelliferylsulfate(MUS)基質溶液[0.1mmol/L MUS,100mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)]20μLを混和し、37℃、5分間反応を行った。該反応液に4mol/L Glycine−NaOH(pH10.3)160μLを添加することで反応を停止し、355nm(励起波長)/460nm(蛍光波長)における蛍光強度をARVO 1420 Multilabel counter(WALLAC社製)を用いて測定し、細胞の酵素活性を求めた。
結果を、図7−Eに示した。宿主細胞であるCHO/DG44細胞およびARS F遺伝子を含むpAGE210−ARS Fプラスミドを導入した形質転換株F−a31細胞株のアリルサルファターゼ活性を比較したところ、形質転換株E−a21−50M細胞株は、明らかにアリルサルファターゼ活性を有していることが確認された。
(2)抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049の反応特異性
上記(1)で造成した各種ARS遺伝子導入細胞を用いて抗ヒトSTSモノクローナルKM1049のSTS特異性を以下のように検討した。
上記(1−1)で得られたARS A遺伝子導入細胞および上記(1−2)で得られたARS B遺伝子導入細胞の無血清培養上清(7.5μL/レーン)、実施例1(1)で得られたヒトSTS遺伝子導入細胞の無細胞抽出液[100mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁した細胞を超音波破砕し、約8000×gで5分間遠心分離した上清の蛋白質5μg/レーン]、およびARS D、ARS E、ARS F各遺伝子導入細胞の無細胞抽出液[100mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁した細胞を超音波破砕し、約8000×gで5分間遠心分離した上清の蛋白質、20μg/レーン]をSDS−ポリアクリル電気泳動にて分画後、PVDF膜に転写した。BSA−PBSでブロッキング後、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049を室温で2時間反応させた。Tween−PBSでよく洗浄した後、第二抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体〔ダコ社製〕を室温で1時間反応させた。Tween−PBSで洗浄した後、検出はECL−detection kit(アマシャム社製)を用いて行い、X線フィルム上に感光させた。
結果を図8に示した。抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049はSTS(ARS C)以外にも、ARS D、ARS E、ARS Fに対しても結合することが明らかになった。
(3)抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053の反応特異性
上記(1)で造成した各種ARS遺伝子導入細胞を用いて抗ヒトSTSモノクローナルKM1053のヒトSTS特異性を、免疫沈降を用いて以下のようにして検討した。
Protein A Sepharoseビーズ(Protein A SepharoseTM CL−4B、Amersham Biosciences、Buckinghamshire、UK)をマイクロチューブ中で蒸留水に膨潤させながら、ビーズの量が約20μLになるように目で確認しながら加えた。ボルテックスで攪拌後、氷上で10分間静置し、ビーズを自然沈降させた後、上清を捨て、再度蒸留水1mLでビーズを洗浄後、卓上簡易遠心機で12秒間遠心してビーズを沈降させた(以降、ビーズの沈降は同様に卓上簡易遠心機を用いた)。上清を捨て、Wash buffer[0.05%トゥイーン20を含む0.1mol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)]を1mL加え、氷上で10分間静置した後、ビーズを自然沈降させ、上清を除去した。2μgの抗ヒトSTSモノクローナルKM1053を、ビーズを含む反応液に添加し、ボルテックスで攪拌した。Wash bufferを980μL加えボルテックスで攪拌後、ローテーターで攪拌しながら4℃で一晩反応させた。ビーズを沈降後、Wash buffer 980μLで2回ビーズを洗浄した。
上記(2)で調製した各アリルサルファターゼ溶液を蛋白質量で一反応当たり1mgとなるように添加し、ボルテックスで攪拌後Wash bufferを最終容量が1mLになるように添加した。また、陰性対照はWash bufferのみ980μL添加した。攪拌しながら4℃で2時間反応させ、各酵素溶液をビーズに吸着させた。ビーズを沈降し上清を除去後、0.5mLのWash bufferで2回ビーズを洗浄し、さらに0.5mLの0.1mol/Lトリス−塩酸(pH7.5)緩衝液で2回ビーズを洗浄した。ビーズを自然沈降後、上清を除去し、各アリルサルファターゼ溶液が吸着したビーズに1.2倍濃度のSample buffer[75mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、2.4%SDS、6%2−メルカプトエタノール、0.0045%bromophenol blue、10%glycerol]60μL添加した。ボルテックスで攪拌後、95℃で5分間インキュベートした。上清をSDS−ポリアクリル電気泳動にて分画後、PVDF膜にブロッティングした。BSA―PBSでブロッキング後、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049を室温で2時間反応させた。Tween−PBSでよく洗浄した後、第二抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体を室温で1時間反応させた。Tween−PBSでよく洗浄した後、検出はECL−detection kit(アマシャム社製)を用いて行い、X線フィルム上に感光させた。
結果を図9に示した。図9に示すように、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053による免疫沈降によりヒトSTSのシグナルのみが検出され、図9で認められたARS D、ARS E,ARS Fのシグナルが消失したことから抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053がARS D、ARS E,ARS Fに結合しないことが明らかとなった。
(4)抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053のARS A、ARS Bに対する交叉反応性の検討
ARS A、ARS BおよびARS CであるヒトSTSを固層化したバインディングELISAにより抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053のARS A、ARS Bに対する交叉反応性を検討した。動物細胞発現精製ARS A、ARS Bおよび実施例1(1)に記載の方法で取得した精製ヒトSTSを2μg/mLでプレートに固相化し、実施例1(3)に記載の方法と同様にしてバインディングELISAを行い、結果を図10に示した。
図10に示されるように、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053および抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049は、いずれもARS AまたはARS Bに対する交叉反応性は示さなかった。
上記(2)、(3)および(4)の結果、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053はヒトSTS以外のアリルサルファターゼに反応せず、ヒトSTSに特異的なモノクローナル抗体であることが示された。
ヒトSTS定量系の構築
(1)抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049のビオチン化
抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049精製抗体を、NHS−Lc−Biotin(PIERCE社製)を用いてビオチン化した。すなわち、1mLの1mg/mLの濃度の精製された抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049に、250μLの0.5mol/L炭酸緩衝液(pH9.2)を加え、250μLの1mg/mLの濃度のNHS−Lc−Biotin(1mg/mL)を加えて、室温で、3時間撹拌した。PBSで終夜透析したものを、ビオチン化抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049として用いた。
(2)ヒトSTS精製
ヒトSTS遺伝子導入細胞株cs3−1細胞より抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053抗体カラムを用いて、以下のようにしてヒトSTSを精製した。
5mL容積のHi−Trap NHS−activated(Pharmacia Biotech社製)に、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053を10mgカップリングさせた。実施例2(3)で得られたcs3−1細胞(約50×107cells)はシャーレにて、B3培地で静置培養を行った。該シャーレをPBSで洗浄した後、セルスクレイパーでシャーレ上の細胞を回収した。これを50mLのTCS buffer[1%CHAPS,0.5mol/L NaClを含む50mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)]で懸濁し、氷上にてマイクロチップをつなげたUltrasonic disruptor MODEL UR−200P(TOMY社製)で、出力6にて5秒ごとのon−offを10〜12回繰り返して超音波破砕を行った後、冷却遠心機で10000rpm、10分間、4℃で遠心分離し、その上清を0.45μmのフィルター(Sartorius社製)に通し、TCS bufferで平衡化した抗体カラムに、流速2.5mL/minで通塔し、吸着させた。これを25mLのTCS bufferで洗浄した後、DioC buffer[10%Dioxane,1%CHAPS,0.5mol/L NaClを含む20mmol/Lトリス緩衝液(pH11)]にて溶出した。最初の4mLは廃棄し、次の26mLを予め1.3mLの1mol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH6.8)を分注した容器に回収し、回収と同時に中和した。回収した溶液をcentriplus50(amicon社製)に移し、スイングローターで3000rpm、約20分間室温にて遠心分離し、約5mLに濃縮されたところで等量のTC buffer[1%CHAPSを含む50mmol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)]を加えさらに遠心分離した。この操作を5回繰り返して脱塩、濃縮を行い、液量が約4mLになったところで、centricon30(amicon社製)に移し替え、約1mLになるまで濃縮し、精製ヒトSTSを得た。得られたSTSはSTS定量系の標準抗原として用いた。
(3)ヒトSTS定量系
96穴のEIA用プレートに10μg/mLの濃度の精製した抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053を50μL/穴で分注し、4℃で一晩放置して吸着させた。洗浄後、1%BSA−PBSを100μL/穴で加え、室温1時間反応させて残っている活性基をブロックした。1%BSA−PBSを捨て、上記(2)で取得した精製ヒトSTSあるいはコントロール蛋白質(組換え精製IL−1β)を1μg/mLから作製した2倍希釈系列の溶液を50μL/穴で分注し4℃で一晩反応させた。Tween−PBSで洗浄後、上記(1)で調製した10μg/mLの濃度のビオチン化抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1049を50μL/穴で加えて50μL/穴で分注し、さらにTween−PBSで洗浄後アビジン−HRP(VECTOR社製)を50μL/穴で分注し室温、1時間反応させた。Tween−PBSで洗浄後、ABTS基質液を用いて発色させOD415nmの吸光度をプレートリーダー(NJ2001;日本インターメッド社製)にて測定した。図11に結果を示した。
図11に示されるように、抗ヒトSTSモノクローナル抗体KM1053を用いることにより、ヒトSTSを定量することができ、その検出限界濃度は約0.01μg/mLであった。
本発明によれば、ヒトステロイドスサファターゼ(Steroid sulfatase;以下、STSと略記する)と特異的に結合し、ヒトSTS以外のアリルサルファターゼ(以下、ARSと略記する)に結合しない抗体または抗体断片、該抗体を生産するハイブリドーマが提供される。また、本発明によれば、該抗体または抗体断片を用いる、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法、ヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキットおよび免疫学的定量用試薬またはキット、さらには、ヒトSTS関連疾患を判定、ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤の選択およびヒトSTS関連疾患の病態の判定のための、該抗体または抗体断片を用いる、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法、ヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキットおよび免疫学的定量用試薬またはキットが提供される。
配列番号1−人工配列の説明:合成DNA
配列番号2−人工配列の説明:合成DNA
配列番号3−人工配列の説明:合成DNA
配列番号4−人工配列の説明:合成DNA

Claims (53)

  1. ヒトステロイドスルファターゼ(以下、STSと略記する)と特異的に結合し、ヒトSTS以外のアリルスルファターゼに結合しない抗体または抗体断片。
  2. ヒトSTS以外のアリルスルファターゼが、アリルスルファターゼA、アリルスルファターゼB、アリルスルファターゼD、アリルスルファターゼEまたはアリルスルファターゼFである請求項1記載の抗体または抗体断片。
  3. 抗体が、モノクローナル抗体である請求項1または2に記載の抗体または抗体断片。
  4. モノクローナル抗体が、ハイブリドーマKM1053(FERM BP−10015)から生産されるモノクローナル抗体が結合するエピトープと結合するモノクローナル抗体である請求項3に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
  5. ハイブリドーマKM1053(FERM BP−10015)から生産される請求項3に記載のモノクローナル抗体または抗体断片。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片を生産するハイブリドーマ。
  7. ハイブリドーマが、ハイブリドーマKM1053(FERM BP−10015)である請求項6に記載のハイブリドーマ。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いることを特徴とする、検体中のヒトSTSの免疫学的検出方法。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いることを特徴とする、検体中のヒトSTSの免疫学的定量方法。
  10. 免疫学的定量方法が、酵素免疫測定法である請求項9に記載の方法。
  11. 検体が、ヒト由来の生体試料である請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、ヒトSTS関連疾患を判定するための、検体中のヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法。
  13. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項12記載の方法。
  14. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項13記載の方法。
  15. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤を選択するための、検体中のヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法。
  16. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項15に記載の方法。
  17. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項16記載の方法。
  18. ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤がホルモン療法剤またはSTS阻害剤である請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患の病態を判定するための、ヒトSTSの免疫学的検出方法または免疫学的定量方法。
  20. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項19に記載の方法。
  21. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項20記載の方法。
  22. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、検体中のヒトSTSの免疫学的検出用試薬またはキット。
  23. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、検体中のヒトSTSの免疫学的定量用試薬またはキット。
  24. 免疫学的定量が、酵素免疫測定法を用いる定量である請求項23に記載の試薬またはキット。
  25. 検体が、ヒト由来の生体試料である請求項22〜24のいずれか1項に記載の試薬またはキット。
  26. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患判定用試薬またはキット。
  27. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項26に記載の試薬またはキット。
  28. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項27記載の試薬またはキット。
  29. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤選択用試薬またはキット。
  30. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項29に記載の試薬またはキット。
  31. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項30記載の試薬またはキット。
  32. ヒトSTS関連疾患治療に適する薬剤が、ホルモン療法剤またはSTS阻害剤である請求項29〜31のいずれか1項に記載の試薬またはキット。
  33. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患の病態判定用試薬またはキット。
  34. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項33に記載の試薬またはキット。
  35. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が、悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項34記載の試薬またはキット。
  36. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患の診断薬。
  37. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項36に記載の診断薬。
  38. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項37に記載の診断薬。
  39. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を含有することを特徴とする、ヒトSTS関連疾患の病態の診断薬。
  40. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項39に記載の診断薬。
  41. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項40に記載の診断薬。
  42. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患を診断する方法。
  43. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項42に記載の方法。
  44. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項43に記載の方法。
  45. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤を選択する方法。
  46. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項45に記載の方法。
  47. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項46に記載の方法。
  48. ヒトSTS関連疾患の治療に適する薬剤がホルモン療法剤またはSTS阻害剤である請求項45〜47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を用いて、検体中のヒトSTSを免疫学的に検出または定量し、検出または定量結果よりヒトSTS関連疾患の病態を診断する方法。
  50. ヒトSTS関連疾患が、ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患である請求項49に記載の方法。
  51. ヒトSTSが関与するエストロゲン依存性疾患が悪性腫瘍、良性腫瘍および皮膚疾患から選ばれる疾患である請求項50に記載の方法。
  52. 請求項22〜41のいずれか1項に記載の試薬、キットまたは診断薬を製造するための請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片の使用。
  53. 請求項6または7に記載のハイブリドーマを培地に培養し、培養物中に請求項3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片を生成蓄積させ、培養物から抗体または抗体断片を採取することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体または抗体断片の製造方法。
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