JPWO2006059607A1 - 光ビーム走査装置 - Google Patents

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Abstract

光ビーム走査装置(1a)は、880nmのレーザ光を出射する光源装置(10)と、この光源装置(10)から出射された光ビームを光偏向素子によって所定の角度範囲にわたって走査させる光偏向機構(200)とを有しており、光偏向機構(200)は、光偏向素子としてのポリゴンミラー(210)を備えている。光源装置(10)は、レーザダイオードからなる発光源(20)と、この発光源(20)から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方でポリゴンミラー(210)の反射面(211)あるいはその近傍で合焦する収束光として導くレンズ(30)とを有している。

Description

本発明は、光源装置から出射された光ビームを所定の方向に走査する光ビーム走査装置に関するものである。
光ビーム走査装置は、レーザプリンタ、デジタル複写機、ファクシミリ等の画像形成装置や、バーコード読取装置、車間距離測定装置などに幅広く利用されている。画像形成装置に用いられる光ビーム走査装置としては、レーザダイオードなどのレーザ発光素子から出射された光ビームをポリゴンミラーにより周期的に偏向させ、感光体などの被走査面上を反復走査させる。測定装置では、光ビーム走査装置から出射された走査ビームが被照射物で反射した反射ビームを光検出器により受光することによって情報を検出する。このとき、反射ビームは、ポリゴンミラーによる走査角度に対応する入射角度で光検出器に向かうことになる。光偏向素子としては、ポリゴンミラーを回転させる以外に、揺動する反射板が用いられることがあり、この場合、反射板の揺動により光ビームを一定の角度範囲で走査する。
ここで、ポリゴンミラーや反射板に照射する光ビームは、光源から出射された光ビームをコリメートレンズで発散度合いをある程度、小さくした光である。このような光のポリゴンミラーや反射板への入射面積は、光ビーム反射面の有効径に相当し、このような有効径によりポリゴンミラーや反射板のサイズが決定される(例えば、特許文献1、2参照)。
なお、光ビーム走査装置では、レーザ発光素子とコリメートレンズとの間に絞りを配置している。また、光ビーム走査装置では、光ビームを走査角度に同期してパルス状に照射している。
しかしながら、従来の光ビーム走査装置においては、ポリゴンミラーに入射する光ビームの径がかなり大きいため、ミラーには、これ以上のサイズが求められる。このため、従来の光ビーム走査装置においては、ポリゴンミラーを小型化できないので、光ビーム装置を小型化できないとともに、ポリゴンミラーの生産性が低いという問題点がある。また、ポリゴンミラーを樹脂成形により製造しようとすると、ヒケが起こりやすく、生産性や歩留まりを向上させるのが困難である。さらに、ポリゴンミラーをモータで駆動する際、バランスがとりにくく、ジッタ特性を悪化させる原因となっている。
一方、反射板を揺動運動させる方式の中にはシリコンマイクロマシニング技術を利用してシリコン基板とねじりバネを用いて電磁力や静電力で駆動するものが提案されている。しかしながら、この技術は、微小領域を形成するのには有効であるが、従来のように、ビーム径が大きな光ビームを扱う場合には極めて高コストとなり、超小型反射板のメリットを生かせないという問題点がある。
特開平11−014922号公報 特開平11−326806号公報
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ポリゴンミラーなどの光偏向素子の小型化を図ることのできる光ビーム走査装置を提供することにある。
また、ポリゴンミラーを用いた場合よりもさらに小型化を図ることのできる光ビーム走査装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明では、光源装置と、該光源装置から出射された光ビームを光偏向素子によって所定の角度範囲にわたって走査させる光偏向機構とを有する光ビーム走査装置において、前記光源装置は、光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光を出射することを特徴とする。
本発明において、光源装置は、光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光を出射するため、第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方では光偏向素子の小型化を図ることができる。従って、光偏向素子については、その生産性を高めることができるとともに、最新の微細化技術を利用して、例えば、走査点数を増大させることのできる光偏向素子を提供することができる。また、光偏向素子を小型化すると、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、光偏向素子を駆動するモータなどの駆動機構についてもその小型化を図ることができる。
本発明において、前記光源装置は、例えば、発光源と、該発光源から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光として導くレンズとを備えている。
本発明において、前記発光源は、例えば、レーザ発光素子である。
本発明において、前記レンズには、前記第1の方向と前記第2の方向で発散角の異なる光ビームが入射する場合、前記レンズは、前記発光源から出射された光ビームを、前記第1の方向と前記第2の方向のうち、少なくとも発散角が大きい方向で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦させることが好ましい。すなわち、発光源から出射される光ビームが楕円のファーフィールドパターンを有している場合には、長軸方向の光を収束させることが好ましく、光ビームが絞り部材によって整形されている場合には、その長径方向の光を収束させることが好ましい。このように構成すると、光偏向素子の小型化を効率よく行うことができる。
本発明において、前記レンズには、前記第1の方向と前記第2の方向で発散角の異なる光ビームが入射する場合、前記レンズは、前記発光源から出射された光ビームを、前記第1の方向と前記第2の方向のうち、少なくとも発散角が小さい方向で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦させる構成を採用してもよい。
本発明において、前記レンズは、前記発光源から出射された光ビームを前記第1の方向および前記第2の方向の双方で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光として導くことが好ましい。このように構成すると、第1の方向および第2の方向のいずれの方向においても光偏向素子の小型化を図ることができる。
本発明において、前記発光源から前記収束光の合焦位置までの距離が100mm以下であることが好ましい。
本発明において、前記レンズは、例えば、正のパワーを有する非球面レンズ、トーリックレンズ、トロイダルレンズ、またはシリンドリカルレンズである。
本発明において、前記レンズは、前記発光源側が正のパワーを備えた曲面であり、前記光偏向素子側が平面であることが好ましい。レンズの出射面が平面であれば光源装置の出射面の側にレンズの出っ張りがないので、光源装置を光ビーム装置に組み込む際、レンズの出射面を傷つけることがない。
本発明において、前記光源装置は、前記発光源と前記レンズとの間に前記発光源を装着可能な凹部を備えたホルダ状絞り部材を備える場合がある。この場合、前記ホルダ状絞り部材における絞り開口の中心位置は、当該ホルダ状絞り部材の外形の中心位置と一致し、前記凹部の中心位置は、前記発光源において前記凹部に装着される部分の外形の中心位置が発光点から偏芯している寸法分だけ、前記ホルダ状絞り部材の外形の中心位置から偏芯していることが好ましい。
本発明において、前記レンズと前記絞り開口とは外径寸法が略一致していることが好ましい。このように構成すると、絞りとレンズとの光軸調整を容易に行うことができる。
本発明において、前記レンズは、樹脂製であることが好ましい。発光源をパルス発光させれば発熱が極めて小さいので、樹脂製のレンズを用いることができ、このような樹脂製のレンズであれば、樹脂成形により安価に製造できる。
本発明において、前記光偏向機構としては、例えば、前記光偏向素子としての多角柱状のポリゴンミラーと、該ポリゴンミラーをその軸線回りに回転させる駆動駆動機構とを有しているものを用いることができる。
本発明において、前記光偏向素子としてポリゴンミラーを用いる場合、前記ポリゴンミラーに入射する光は、前記ポリゴンミラーの回転中心軸線に対して直交する方向で前記ポリゴンミラーあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることが好ましい。このように構成すると、光偏向素子の小型化を図ることができ、かつ、二次元の光走査を行うことができる。
本発明において、前記光偏向素子としてポリゴンミラーを用いる場合、前記ポリゴンミラーに入射する光は、前記ポリゴンミラーの回転中心軸線に対して直交する方向および平行方向の双方で前記ポリゴンミラーあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることが好ましい。このように構成すると、光偏向素子の小型化を図ることができ、かつ、二次元の光走査に加えて、一次元の光走査も行うことができる。
本発明において、前記光偏向機構は、前記光偏向素子としての光偏向ディスクと、該光偏向ディスクを回転駆動する回転駆動機構とを有し、前記光偏向ディスクのディスク面には、周方向において分割された複数の光偏向領域が形成され、当該複数の光偏向領域は、入射された光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に出射することが好ましい。ディスク状の光偏向素子を用いた場合には、光ビーム走査装置の小型化を図ることができ、かつ、光偏向素子を樹脂成形により製造する場合にも、ヒケなどの問題が発生しにくい。
本発明においては、前記光偏向ディスクとして透過型光偏向ディスクを用いることができる。この場合、前記透過型光偏向ディスクのディスク面には、周方向において分割された複数の光偏向領域が形成され、前記複数の光偏向領域の各々は、入射された光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に屈折させて出射する傾斜面が形成されていることにより、入射してきた光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に出射する。
本発明においては、前記光偏向ディスクとして反射型光偏向ディスクを用いることができる。この場合、前記反射型光偏向ディスクのディスク面には、周方向において分割された複数の光偏向領域が形成され、前記複数の光偏向領域の各々は、入射された光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に反射して出射する傾斜面が形成されていることにより、入射してきた光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に出射する。
このような光偏向ディスクを備えた光ビーム走査装置において、前記傾斜面は、例えば、前記複数の光偏向領域の各々で半径方向に向かって傾斜しており、前記傾斜面の傾斜角度は、周方向に並ぶ前記複数の光偏向領域の各々で連続的に変化していることが好ましい。
また、本発明において、前記傾斜面は、前記複数の光偏向領域の各々で周方向に向かって傾斜しており、前記傾斜面の傾斜角度は、周方向に並ぶ前記複数の光偏向領域の各々で連続的に変化している構成を採用してもよい。
本発明において、前記複数の光偏向領域は、周方向において放射状に分割されていることが好ましい。
本発明において、前記光偏向素子として前記光偏向ディスクを用いた場合、前記光偏向ディスクに入射する光は、前記光偏向ディスクの周方向で前記光偏向ディスクあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることが好ましい。このように構成すると、光偏向素子の小型化を図ることができ、かつ、二次元の光走査を行うことができる。
本発明において、前記光偏向素子として前記光偏向ディスクを用いた場合、前記光偏向ディスクに入射する光は、前記光偏向ディスクの周方向および半径方向の双方で前記光偏向ディスクあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることが好ましい。このように構成すると、光偏向素子の小型化を図ることができ、かつ、二次元の光走査だけでなく、一次元の光走査も行うことができる。
本発明において、前記光偏向機構は、前記光偏向素子としての光偏向ディスクと、該光偏向ディスクを回転駆動する回転駆動機構とを有し、前記光偏向ディスクとして、入射された光ビームを屈折させて出射する傾斜面がディスク面に形成された透過型光偏向ディスクを採用した場合、前記傾斜面は、半径方向あるいは周方向への傾斜角度が周方向で連続的に変化している構成を採用してもよい。
本発明において、前記光偏向機構は、前記光偏向素子としての光偏向ディスクと、該光偏向ディスクを回転駆動する回転駆動機構とを有し、前記光偏向ディスクとして、入射された光ビームを反射して出射する傾斜面がディスク面に形成された反射型光偏向ディスクを採用した場合、前記傾斜面は、半径方向あるいは周方向への傾斜角度が周方向で連続的に変化している構成を採用してもよい。
本発明の実施の形態1に係る光ビーム走査装置において光源装置から出射された光がポリゴンミラーに照射された状態を示す説明図である。 (a)、(b)はそれぞれ、実施の形態1に係る光ビーム走査装置に用いた光源装置から出射される光ビームの第1の方向での状態を示す説明図、および第2の方向での状態を示す説明図である。 (a)、(b)、(c)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係る光ビーム走査装置において光ビームの収束方向とポリゴンミラーとの方向関係を示す説明図である。 (a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、光源装置に用いた絞り部材および発光源の分解断面図、絞り部材の端面図、絞り開口の説明図、および別の絞り開口の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る光ビーム走査装置の概略構成を示す斜視図である。 図5に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略側面図である。 図5に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略斜視図である。 図5に示す光ビーム走査装置の透過型光偏向ディスクを示す上面図である。 (a)、(b)、(c)はそれぞれ、図8に示す透過型光偏向ディスクのX−X断面の断面図、Y−Y断面の断面図、およびZ−Z断面の断面図である。 図8に示す透過型光偏向ディスクの傾斜面に傾斜角度が0°の傾斜面が含まれている場合の説明図である。 本発明の実施の形態3に係る光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略側面図である。 図11に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態3に係る透過型光偏向ディスクを示す上面図である。 図13に示す透過型光偏向ディスクのW−W断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態4に係る光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略側面図である。 本発明の実施の形態2の変形例に係る光ビーム走査装置に用いた透過型光偏向ディスクの概略構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施の形態3の変形例に係る光ビーム走査装置に用いた透過型光偏向ディスクの概略構成を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1a、1b、1c 光ビーム走査装置
10 光源装置
20 発光源
30 レンズ
40 絞り部材
200、300、400 光偏向機構
210 ポリゴンミラー(光偏向素子)
310 透過型光偏向ディスク(光偏向素子)
410 反射型光偏向ディスク(光偏向素子)
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ビーム走査装置において光源装置から出射された光がポリゴンミラーに照射された状態を示す説明図である。図2(a)、(b)は、実施の形態1に係る光ビーム走査装置に用いた光源装置から出射される光ビームの第1の方向での状態を示す説明図、および第2の方向での状態を示す説明図である。図3(a)、(b)、(c)はそれぞれ、本発明の実施の形態1に係る光ビーム走査装置において光ビームの収束方向とポリゴンミラーとの方向関係を示す説明図である。
図1に示すように、本形態の光ビーム装置1aは、例えば、880nmのレーザ光を出射する光源装置10と、この光源装置10から出射された光ビームを光偏向素子によって所定の角度範囲にわたって走査させる光偏向機構200とを有している。本形態において、光偏向機構200は、光偏向素子としてのポリゴンミラー210と、このポリゴンミラー210を軸線L210周りに回転させるモータ(図示せず)からなる駆動機構とを有している。
ポリゴンミラー210を用いた光偏向機構200については、周知の構成のものを用いることができるので、その説明を省略する。光源装置10は、図2(a)、(b)に示すように、レーザダイオード(レーザ発光素子)からなる発光源20と、この発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向(例えば、垂直方向)および第2の方向(例えば、水平方向)のうちの少なくとも一方でポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する収束光として導くレンズ30とを有している。
レンズ30としては、正のパワーを有する非球面レンズ、トーリックレンズ、トロイダルレンズ、シリンドリカルレンズなどを用いることができる。本形態において、レンズ30は、図2(a)に示すように、光軸方向に直交する第1の方向では、ポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する収束光として導き、図2(b)に示すように、光軸方向および第1の方向に直交する第2の方向では発散光の状態でポリゴンミラー210の反射面211に導いている。
ここで、光源装置10は、図2(a)、(b)に示すように絞り部材40を有している。従って、本形態の光ビーム装置1aでは、発光源20から出射された光ビームは、例えば、以下の値
第1の方向(垂直方向)
発光源20から出射された光ビームの放射角=26°
絞り部材40から出射された光ビームの放射角=12.9°
レンズ30から出射された光ビームの放射角=0.52°
第2の方向(水平方向)
発光源20から出射された光ビームの放射角=11°
絞り部材40から出射された光ビームの放射角=5.49°
レンズ30から出射された光ビームの放射角=2.8°
をとる。それ故、レンズ30は、第1の方向および第2の方向のうち、発光源20から出射された光ビームにおいて発散角が大きい方で合焦させている。なお、レンズ30は、第1の方向および第2の方向のうち、発光源20から出射された光ビームにおいて発散角が小さい方で合焦させる構成を採用することもある。
このように構成した光ビーム装置1aにおいて、光源装置10から出射された光ビームは、図3(a)に示すように、ポリゴンミラー210の反射面211に横長のスポットとして照射され、ポリゴンミラー210によって矢印L1で示す方向に走査される。すなわち、光源装置10から出射された光ビームは、ポリゴンミラー210の軸線L210(回転中心軸線)と平行な方向でポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する光ビームであり、矢印L1で示す走査方向に延びた光ビームが、矢印L1で示す方向に走査される。
このような構成によれば、ポリゴンミラー210の反射面では、それに入射する光ビームが第1の方向で略合焦しているので、反射面211に形成されるスポットの上下幅が従来技術に比べて狭い。それ故、ポリゴンミラー210として薄型のものを用いることができる。また、一次元の光走査を行うことができる。
これに対して、図2(a)、(b)に示す形態とは反対に、図3(b)に示すように、レンズ30が、発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)では発散光の状態でポリゴンミラー210の反射面211に導き、光軸方向に直交する第2の方向(水平方向)ではポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合には、光源装置10から出射された光ビームは、ポリゴンミラー210の反射面211に縦長のスポットとして照射され、所定の放射角をもつ発散光の光ビームとして走査されることになる。すなわち、光源装置10から出射された光ビームは、ポリゴンミラー210の軸線L210(回転中心軸線)と直交する方向でポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する光ビームであり、矢印L1で示す走査方向と直交する方向に延びた光ビームが、矢印L1で示す方向に走査される。
このような構成によれば、ポリゴンミラー210の反射面211では、それに入射する光ビームが第2の方向で略合焦しているので、反射面に形成されるスポットの横幅が従来技術に比べて狭い。従って、ポリゴンミラー210として外形寸法の小さなものを用いることができる。また、ポリゴンミラー210からは、縦長の光ビームが出射され、かかる光ビームは、ポリゴンミラー210の回転により、矢印L1で示す方向に走査される。それ故、光ビーム装置1aを監視用として用いた場合、2次元の光走査を行うことができるとともに、矢印L1で示す走査方向と直交する方向における監視範囲も広いという利点がある。
また、図3(c)に示すように、レンズ30が光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のいずれにおいても、ポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合、すなわち、ポリゴンミラー210に入射する光が、ポリゴンミラー210の軸線L210(回転中心軸線)に対して直交する方向および平行方向の双方でポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する光ビームになっている場合には、極めて小さなスポットとして照射される。それ故、ポリゴンミラー210としては薄くて、外形寸法の小さなものを用いることができる。また、2次元の光走査に加えて、一次元の光走査も行うことができる。
このように本形態の光ビーム走査装置1aでは、ポリゴンミラー210の小型化を図ることができるため、ポリゴンミラー210として安価なものを用いることができる。また、ポリゴンミラー210を小型化すると、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、ポリゴンミラー210を駆動するモータなどの駆動機構についてもその小型化を図ることができる。それ故、光ビーム装置1aの大幅な小型化を図ることができる。
(光源装置の詳細説明)
図4(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、光源装置に用いた絞り部材および発光源の分解断面図、絞り部材の端面図、絞り開口の説明図、および別の絞り開口の説明図である。
本形態で用いた光源装置10は、発光源20とレンズ30との間に絞り部材40を備えている。この絞り部材40は、図4(a)、(b)に示すように、発光源20を装着可能な凹部41を備えたホルダ状絞り部材であり、その前端面の中央に絞り開口42が形成されている。ここで、図2(a)、(b)に示すレンズ30は、絞り部材40の絞り開口42と同一サイズの外径寸法を有しており、レンズ30は、絞り開口42と重なるように絞り部材40に取り付けられている。
絞り部材40における絞り開口42の中心位置は、絞り部材40の外形の中心位置と一致している。また、発光源20がCANタイプの半導体レーザであれば、その円筒ケース部分21が絞り部材40の凹部41に装着される。ここで、CANタイプの半導体レーザの場合、レーザチップ25はサブマウント26を介して基板27に搭載されているので、円筒ケース部分21の外形の中心位置は、発光点22からみて偏芯している。そこで、本形態では、凹部41の中心位置については、発光源20において円筒ケース部分21の外形の中心位置が発光点22から偏芯している寸法分Δtだけ、絞り部材40の外形の中心位置から偏芯させてある。発光源20において、円筒ケース部分21の先端側開口は透明カバー29で覆われ、背面側には配線基板28が取り付けられている。
絞り部材40における円筒部分43の端面には、絞り部材40に発光源20を保持させる際の角度位置を合わせるための位置合わせ穴44が形成されている。従って、絞り部材40の凹部41に発光源20の円筒ケース部分21を装着するだけで、絞り部材40の絞り開口42の中心位置を発光源20の発光点22からの光軸に一致させることができ、この状態で、発光源20の発光点22の位置(絞り部材40の絞り開口42の中心位置)は、絞り部材40の外形の中心位置と一致することになる。
従って、本形態では、絞り部材40の外形を基準に光源装置10を光ビーム走査装置1aに搭載するだけで、発光源20の発光点22の位置を高い精度で設定することができる。
また、本形態の光源装置10では、絞り部材40およびレンズ30が発光源20において円筒ケース部分21に一体に取り付けられているので、光源装置10の全長は、円筒ケース21の長さ寸法+2mm程度と小型である。
また、発光源20にレンズ30を近づけてあるため、レンズ30の有効径が小さくてよい。それ故、レンズ30として安価なものを用いることができる。さらに、発光源20にレンズ30を近づけてあるため、焦点距離が短い。従って、光源装置10とポリゴンミラー200との距離を100mm以下、例えば、本形態では、50mm程度にまで短くできるので、光ビーム走査装置1aの小型化を図ることができる。
また、本形態において、レンズ30は、発光源20側が正のパワーを備えた非球面(曲面)であり、ポリゴンミラー210側が平面である。従って、光源装置10の出射面には、レンズ30の出っ張りがないので、光源装置10を光ビーム走査装置1aに組み込む際、レンズ30の出射面を傷つけることがない。
しかも、レンズ30として非球面レンズを用いたため、トーリックレンズと違って回転対称であるため、光軸合わせが容易であり、かつ、回転調整を行う必要がないという利点がある。
また、本形態において、発光源20はパルス駆動されることから、発熱が極めて小さい。従って、レンズ30として、樹脂製のレンズを用いることができ、このような樹脂製のレンズであれば、非球面レンズであっても樹脂成形により安価に製造できる。
上記形態では、絞り部材40の絞り開口42は丸穴であったが、図4(c)に示すような長穴であってもよく、図4(d)に示すような矩形穴であってもよい。ここで、図4(c)に示すような長穴からなる絞り開口42をエンドミルで形成する場合には、絞り開口42が形成される絞り部材40の前端面45は肉薄であることが好ましい。また、図4(d)に示すような矩形穴からなる絞り開口42については、放電加工により形成することができる。
なお、レンズ30は、正のパワーを有する非球面レンズの他、トーリックレンズ、トロイダルレンズ、シリンドリカルレンズなどを用いることができる。また、レンズ30の一方の面が平面である場合、平面を発光源20の側に向けてレンズ30を配置してもよい。
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る光ビーム走査装置の概略構成を示す斜視図である。図6は、図5に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略側面図である。図7は、図5に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略斜視図である。
図5、図6および図7に示す光ビーム走査装置1bは、図2および図4を参照して説明した光源装置10と、この光源装置10から出射された光ビームを光偏向素子によって所定の角度範囲にわたって走査させる光偏向機構300とを有している。本形態において、光偏向機構300は、光偏向素子としての透過型光偏向ディスク310と、この透過型光偏向ディスク310を軸線周りに回転させるモータ350からなる駆動機構とを有している。また、光ビーム走査装置1bは、光源装置10から出射された光ビームを透過型光偏向ディスク310へ向けて立ち上げるミラー305と、透過型光偏向ディスク310の回転位置を検出する位置検出手段としての光学式エンコーダ306とを備えている。
本形態の光ビーム走査装置1bでは、透過型光偏向ディスク310を回転させた状態で、光源装置10から出射された光ビームを透過型光偏向ディスク310に入射させ、透過型光偏向ディスク310で光ビームを屈折させることで、光ビームを所定の方向に走査する。駆動モータ350とミラー305と光学式エンコーダ306はフレーム308に直接配設され、光源装置10はホルダ309を介してフレーム308に配設されている。
このように構成した光ビーム走査装置1bにおいて、光源装置10からは、図6に示すように、駆動モータ350の軸に直交する平面、言い換えると、透過型光偏向ディスク310のディスク面に対して平行方向に向かって光ビームが出射される。ここで、ミラー305は、光源装置10から出射された光ビームを駆動モータ350の軸方向に立ち上げて透過型光偏向ディスク310のディスク面に対して略直交するように入射させるミラーである。ミラー305は、例えば、全反射ミラーであり、光源装置10の出射側に配設されている。駆動モータ350は、高速回転可能なブラシレスモータであり、例えば10000(rpm)程度の回転が可能に構成されている。なお、駆動モータ350はブラシレスモータには限定されず、ステッピングモータなど、種々のモータを適用することができる。また、ミラー305を省略して光源装置10から出射された光を直接、透過型光偏向ディスク310に導いてもよい。
本形態において、透過型光偏向ディスク310は、中心に中心孔319が形成されており、この中心孔319が駆動モータ350の回転子に固定されている。従って、透過型光偏向ディスク310は、駆動モータ350の軸(透過型光偏向ディスク310の中心)を中心に回転駆動される。透過型光偏向ディスク310の詳細な構成については後述する。
光学式エンコーダ306は、駆動モータ350の軸方向で透過型光偏向ディスク310と対向するように配設されている。光学式エンコーダ306と対向する透過型光偏向ディスク310の対向面には、図示を省略する格子が形成されており、この格子を光学式エンコーダ306が検出することで、透過型光偏向ディスク310の回転位置の検出が行われている。本形態の光ビーム走査装置1bでは、光学式エンコーダ306の検出結果に基づいて駆動モータ350の回転動作が制御されるようになっている。また、光学式エンコーダ306の検出結果に基づいて光源装置10の発光源であるレーザダイオードの発光動作が制御されるようになっている。なお、透過型光偏向ディスク310の角度位置の検出には、光学式エンコーダ306に代えて、フォトカプラや磁気センサを用いてもよい。
(透過型光偏向ディスクの構成)
図8は、図5に示す光ビーム走査装置において用いた透過型光偏向ディスクを示す上面図である。図9は、図6に示す透過型光偏向ディスクの断面を示し、(a)、(b)、(c)はそれぞれ、X−X断面の断面図、Y−Y断面の断面図、Z−Z断面の断面図である。図10は、図8に示す透過型光偏向ディスクの傾斜面に傾斜角度が0°の傾斜面が含まれている場合の説明図である。
図6、図7および図8に示すように、透過型光偏向ディスク310は、中央に中心孔319を備える扁平な円盤状に形成されており、本形態では、透明な樹脂で形成されている。透過型光偏向ディスク310は、中心孔319を中心として円周方向に分割された複数の放射状の光偏向領域332a、332b、・・・(以下、光偏向領域332とする)を備えており、光偏向領域332は、中心孔319を中心として、略等角度間隔で円周方向に分割された領域である。
光偏向領域332の数は、光ビーム走査の走査点数によって決まるが、本形態では、201個の光偏向領域332が形成されている。従って、例えば、光ビームの走査範囲を±10°とした場合には、光ビームの走査の分解能は0.1°となる。また、例えば、光ビームが透過する位置における透過型光偏向ディスク310の径を40mmとすると、1つの光偏向領域332の光ビームの透過位置での円周方向幅は、0.63mmになる。なお、図7および図8では、説明の便宜上、光偏向領域332の数を減らして図示している。
光偏向領域332のそれぞれには、入射された光ビームを屈折させる傾斜面333が径方向に傾斜するように形成されている。本形態では、傾斜面333は、透過型光偏向ディスク310の出射側の面(図5、図6および図7における上面)にのみ全周にわたって形成され、入射側の面(図5、図6および図7における下面)は、駆動モータ350の軸に直交する平面状に形成されている。
傾斜面333は、光偏向領域332のそれぞれにおいて一定角度を持って形成されている。さらに、図7および図9に示すように、傾斜面333は、複数の光偏向領域332の各々で半径方向に向かって傾斜しているため、各光偏向領域332の径方向の断面は楔形状に形成されている。より具体的には、各光偏向領域332の径方向の断面は、内周側と外周側を平行とする台形状に形成されている。また、傾斜面333の傾斜角度は、周方向に並ぶ複数の光偏向領域332の各々で連続的に変化している。なお、複数の傾斜面333には、図10に示す傾斜面333eのように、傾斜角度が0°のものも含まれていてもよい。
本形態では、傾斜面333の傾斜角度をθw、透過型光偏向ディスク310から出射される光ビームの走査角度をθs(図6参照)、透過型光偏向ディスク310の屈折率をnとしたとき、
sin(θw+θs)=n・sinθw
の関係を満足するように、傾斜面333が形成されている。ここで、nは透過型光偏向ディスク310を構成する材料の屈折角であり、例えば、n=1.51862とすると、走査角度θsを10°とする場合には、傾斜角度θwを18.02°とすればよい。
さらに、本形態では、隣接する光偏向領域332の傾斜面333の傾斜角度θwは、次第に増加または減少するようになっている。例えば、図9(a)から(c)に示すように、隣接する光偏向領域332a、332b、332cのそれぞれの傾斜面333a、333b、333cの傾斜角度θwa、θwb、θwcが次第に増加するようになっている。
また、透過型光偏向ディスク310の全周でみた場合には、図10に示すように、光偏向領域332dの傾斜面333dは内周に向かって傾斜し、光偏向領域332fの傾斜面333fは外周に向かって傾斜している。そして、光偏向領域332dと光偏向領域332fとの間には、その傾斜面333eの傾斜角度が0°なる光偏向領域332eが存在する。すなわち、内周に向かう傾斜角、および外周に向かう傾斜角をそれぞれ、正の傾斜角、および負の傾斜角とした場合、傾斜面333の傾斜角度θwは、円周方向で、正の傾斜角から次第に減少して負の傾斜角となり、その後、さらに傾斜角が次第に減少して1周すると、正の傾斜角に戻るようになっている。なお、正の傾斜角から次第に減少して負の傾斜角となり、その後、逆に負の傾斜角から次第に増加して正の傾斜角となるように、正の傾斜角と負の傾斜角が円周方向で繰り返すように傾斜面333を形成してもよい。また、透過型光偏向ディスク310には、薄膜あるいは微細構造などによって反射防止処理を施してもよい。
(透過型光偏向ディスクの製造方法)
透過型光偏向ディスク310は、透明な樹脂を直接、切削などの超精密加工で製造してもよいし、製造コストを考慮して、金型を用いて製造してもよい。以下、透過型光偏向ディスク310を直接、切削加工する場合を説明するが、金型を切削する場合も同様である。
透過型光偏向ディスク310は、フライカットあるいはシェイパーカットで切削加工される。本形態では、傾斜面333が径方向に傾斜するように形成されていることから、切削加工に用いる刃先の進む方向を透過型光偏向ディスク310の径方向に設定する。より具体的には、透過型光偏向ディスク310の中心から外周側に向かって、あるいは外周側から中心に向かって、刃先の進む方向を設定する。
そして、軸方向に透過型光偏向ディスク310の素材を送りながら切削加工をして、1つの光偏向領域332の傾斜面333を形成する。その後、透過型光偏向ディスク310を円周方向に所定の角度回転させ、同様に、軸方向に透過型光偏向ディスク310の素材を送りながら切削加工をして、隣接する光偏向領域332の傾斜面333を形成する。この動作を1周分、繰り返すことで、透過型光偏向ディスク310が形成される。なお、透過型光偏向ディスク310の素材の軸方向の送りはNCデータ上で設定されており、これによって、隣接する光偏向領域332の傾斜面333の傾斜角度θwが次第に増加または減少するように、傾斜面333が形成されていく。
(光ビームの走査方法)
以上のように構成された光ビーム走査装置1bにおける光ビームの走査方法を以下に説明する。
まず、駆動モータ350によって、透過型光偏向ディスク310は、所定の回転数で回転する。この状態で、光源装置10からレーザ光が出射され、この光ビームはミラー305によって立ち上げられて、透過型光偏向ディスク310の入射側の面に、略直交するように入射する。より具体的には、1つの光偏向領域332の周方向幅の中心位置に向かって入射する。
ここで、透過型光偏向ディスク310に入射する光ビームの有効径は、1つの光偏向領域332の周方向における幅寸法以下であることが望ましい。以下では、説明の便宜上、透過型光偏向ディスク310に入射する光ビームの有効径は、1つの光偏向領域332の周方向幅以下であるとする。
透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に入射した光ビームは、透過型光偏向ディスク310を透過する際に、傾斜面333で屈折されて出射される。例えば、図6に示すように、ある光偏向領域332で走査角度θs1の方向に屈折されて出射される。ここで、隣接する光偏向領域332の傾斜面333の傾斜角度θwは、上述のとおり、次第に増加または減少するようになっているため、隣接する光偏向領域332では、例えば、走査角度θs1と0.1°の角度差がある走査角度θs2の方向に屈折されて出射される。従って、0.1°間隔で光ビームが順次出射されて、所定の走査範囲が走査される。その際、図10に示す光偏向領域332eでは、光ビームは屈折せずに出射される。
このような光走査を行う際、光学式エンコーダ306による透過型光偏向ディスク310の回転位置の検出結果に基づいて駆動モータ350の回転動作及び光源装置10の発光源の発光動作が制御される。すなわち、光学式エンコーダ306での検出結果に基づいて、光源装置10から発光されたレーザ光が1つの光偏向領域332の周方向の中心位置に向かって入射するように、駆動モータ350の回転及び発光源の発光タイミングが制御される。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光ビーム走査装置1bでは、駆動モータ350を回転させた状態で、光源装置10から出射したレーザ光を透過型光偏向ディスク310に入射させ、透過型光偏向ディスク310で光ビームを屈折させて、光ビームを所定の方向に走査している。すなわち、屈折機能によって光ビームを走査している。そのため、屈折角が互いに異なる傾斜面333を円周方向に多数形成することで、透過型光偏向ディスク310を1回転させれば、所定の走査範囲を走査することができる。ここで、1つの走査角度へ光ビームを出射させるために1つの屈折角度θwを有する傾斜面333を透過型光偏向ディスク310に形成すればよく、回折機能を備えた偏向ディスクのように1つの走査角度へ光ビームを出射させるために複数の格子溝を設ける必要がない。従って、光ビームの走査の分解能を上げていった場合であっても、透過型光偏向ディスク310の径を小さくすることができ、その結果、装置の小型化を図ることができる。さらに、透過型光偏向ディスク310は扁平な円盤状であるため、装置の薄型化を図ることも可能である。なお、上述した例では、光偏向領域332の光ビームの透過位置での円周方向幅は、0.63mmであるから、傾斜面333を十分に形成することが可能である。
また、本形態でも、実施の形態1と同様、光源装置10では、レンズ30が、発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する2方向のうちの少なくとも一方では透過型光偏向ディスク310の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導く。
従って、光源装置10から出射された光ビームは、図7に示すように、透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に対して半径方向(矢印L3で示す方向)に延びるスポットとして照射され、透過型光偏向ディスク310の周方向(矢印L2で示す方向)では幅が狭い。それ故、小型の透過型光偏向ディスク310であっても多数の光偏向領域332を形成することができる。
また、光源装置10において、レンズ30が光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のいずれにおいても、透過型光偏向ディスク310の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合には、極めて小さなスポットとして照射される。それ故、透過型光偏向ディスク310の小型化を図ることができるとともに、一次元の光走査を行うことができる。
なお、光源装置10から出射された光ビームは、例えば、透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に対して半径方向に延びるスポットとして照射される構成を採用してもよい。この場合、透過型光偏向ディスク310に入射する光ビームの有効径が1つの光偏向領域332の周方向幅以上であり、複数の光偏向領域332に跨って入射することがある。このような場合でも、光ビームを入射させたい光偏向領域332に隣接する光偏向領域332(さらには、これに隣接する光偏向領域332)に入射した光ビームは、光ビームを入射させたい光偏向領域332を透過した光ビームとは離れる方向に向かって、出射されていくため、ノイズの原因になることはない。
これらいずれの場合でも、透過型光偏向ディスク310の小型化を図ることができるため、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、透過型光偏向ディスク310を駆動するモータ350などについてもその小型化を図ることができる。それ故、光ビーム装置1bの大幅な小型化を図ることができる。
ここで、発光源20は、直交する2方向で発散角が異なる光ビームを出射しており、かつ、レンズ30から出射された光ビームは、直交する2方向で焦点位置が相違するため、図7に示すように、光源装置10の出射方向における手前側では縦長のスポットであるが、出射方向における遠方では横長のスポットとなる。従って、図7に示すように、光源装置10から出射された光ビームによって、透過型光偏向ディスク310のディスク面に縦長のスポットを形成し、幅の狭い方向が透過型光偏向ディスク310の周方向(矢印L2で示す方向)に向くように構成すると、透過型光偏向ディスク310からは、周方向で発散角が大きい横長の光ビームが出射される。かかる光ビームは、透過型光偏向ディスク310の回転により、半径方向(矢印L3で示す方向)に走査されることになる。それ故、光ビーム装置1を監視用として用いた場合、2次元の光走査を行うことができるとともに、矢印L1で示す走査方向と直交する方向における監視範囲も広いという利点がある。
また、本形態で用いた透過型光偏向ディスク310では、その屈折作用を利用しており、屈折角は、入射する光ビームの波長の影響をほとんど受けない。そのため、透過型光偏向ディスク310を用いた本形態の光ビーム走査装置1bでは、安定した強度の光ビームを走査することができる。さらに、透過型光偏向ディスク310は温度変動があっても、温度変動による透過率の変動は、回折効率の変動に比してわずかである。従って、温度変動の影響をあまり受けることなく安定した強度の光ビームを走査することができる。
本形態では、光源装置10から出射された光ビームが透過型光偏向ディスク310を透過するように構成されている。そのため、駆動モータ350で回転させた透過型光偏向ディスク310に回転ぶれや面ぶれが生じても屈折角はほとんど変化しない。そのため、光ビームの走査ジッタが良好になる。
本形態では、透過型光偏向ディスク310は、円周方向に分割された複数の放射状の光偏向領域332から構成され、光偏向領域332のそれぞれに、入射された光ビームを屈折させる傾斜面333が形成されている。そのため、簡易な構成で透過型光偏向ディスク310を形成することができる。
また、光偏向領域332のそれぞれには一定角度の傾斜面333が形成されるとともに、隣接する光偏向領域332の傾斜面333の傾斜角度θwは、次第に増加または減少するようになっている。そのため、簡易な構成で、各走査角度θsに順次、光ビームを出射することができる。さらに、光偏向領域332は、中心孔319を中心として、略等角度間隔で円周方向に分割された領域である。そのため、駆動モータ350の回転数が一定であれば、光源装置10からは、一定間隔でパルス状の光ビームを出射すればよいので、発光源の制御が容易である。
本形態では、傾斜面333が、透過型光偏向ディスク310の出射側の面にのみ形成されており、入射側の面は平面状に形成されている。そのため、金型を用いて透過型光偏向ディスク310を製造する場合には、金型の駒加工が1面のみでよいため、金型の製作が容易になる。また、透明な樹脂を直接、切削加工して製造して透過型光偏向ディスク310を製造する場合には、入射側の面が平面状であるため、素材を固定しやすく、加工が容易になる。
本形態では、透過型光偏向ディスク310には、反射防止処理が施されている。そのため、光源装置10の出力のばらつきの原因となり得る発光源への戻り光を少なくすることができる。また、透過率が向上するため光源装置10からの光量のロスを低減させることができる。なお、光ビーム走査装置1bが使用される上位装置で要求される光量が得られるのであれば、透過型光偏向ディスク310に反射防止処理を施す必要はない。この場合には、透過型光偏向ディスク310の構成を簡素化でき、その製造が容易になる。
本形態では、透過型光偏向ディスク310は樹脂で形成されている。そのため、透過型光偏向ディスク310は生産性に優れ、また、光ビーム走査装置1bの軽量化、低コスト化が可能である。なお、例えば±50℃程度の温度変動があっても、走査角度θsの変動率は1%以下であり、走査性能への影響はほとんどない。
本形態では、光源装置10から発光された光ビームが1つの光偏向領域332の周方向幅の中心位置に向かって入射するように、駆動モータ350の回転及び発光源の発光タイミングが制御されている。そのため、発光源の発光タイミングと透過型光偏向ディスク310の回転位置との同期を正確に取ることができ、適切な光ビームの走査を行うことができる。
[実施の形態3]
上記の実施の形態2では、入射したレーザ光を半径方向に走査したが、図11および図12に示すように、透過型光偏向ディスク310の接線方向に走査する場合には、以下のように構成すればよい。以下、本形態の構成を説明するが、その基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図11は、本発明の実施の形態3に係る光ビーム走査装置の構成図である。図12は、図11に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略斜視図である。図13は、本発明の実施の形態3に係る光ビーム走査装置発明に用いた透過型光偏向ディスクを示す上面図である。図14は、図13に示す透過型光偏向ディスクのW−W断面を示す断面図である。
図11および図12に示す光偏向機構300で用いた透過型光偏向ディスク310には、図13および図14に示すように、透過型光偏向ディスク310を構成する光偏向領域332のそれぞれには、一定角度で円周方向に傾斜する傾斜面333が形成されている。この形態でも、傾斜面333は、透過型光偏向ディスク3310の出射側の面にのみ形成されている。ここで、傾斜面333は、複数の光偏向領域332の各々で周方向に向かって傾斜しており、各光偏向領域332の断面は楔形状になっている。このため、各光偏向領域332の断面は、隣接する光偏向領域332との隣接面を平行とする台形状に形成されている。また、傾斜面333の傾斜角度は、周方向に並ぶ複数の光偏向領域332の各々で連続的に変化している。本形態でも、傾斜面333には、傾斜角度が0°のものが含まれていてもよい。
ここで、傾斜面333の傾斜角度をθw、透過型光偏向ディスク310から出射される光ビームの走査角度をθs、透過型光偏向ディスク310の屈折率をnとしたとき、
sin(θw+θs)=n・sinθw
の関係を満足するように、傾斜面333が形成されている点、また、図14に示すように、隣接する光偏向領域332g、332h、332iのそれぞれの傾斜面333g、333h、333iの傾斜角度θwg、θwh、θwiが、次第に増加するようになっている点は、上述した実施の形態2と同じである。なお、複数の傾斜面333には、図14に示す傾斜方向と反対側に向かって傾斜する傾斜面333が含まれていてもよい。例えば、図14において、中心より左側の傾斜面333を左下がりの傾斜面とし、中心より右側の傾斜面を右下がりとしてもよい。
このように、円周方向に傾斜する傾斜面333を備えた透過型光偏向ディスク310は、上述した形態と同様に、透明な樹脂を直接、切削などの超精密加工で製造してもよいし、製造コストを考慮して、金型を用いて製造してもよい。切削加工で、透過型光偏向ディスク310あるいは、金型を製造する場合には、切削加工に用いる刃先の進む方向を透過型光偏向ディスク310の径方向に設定して、1つの傾斜面333を形成するとともに、刃先の傾き方向を変えつつ、透過型光偏向ディスク310を円周方向に所定の角度回転させて隣接する光偏向領域332の傾斜面333を形成すればよい。
また、本形態でも、実施の形態1と同様、光源装置10では、レンズ30が、発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のうちの一方では透過型光偏向ディスク310の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導くことができる。
従って、光源装置10から出射された光ビームは、例えば、図12に示すように、透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に対して半径方向(矢印L3で示す)に延びるスポットとして照射され、半径方向に走査されることになる。従って、小型の透過型光偏向ディスク310であっても多数の光偏向領域332を形成することができる。
また、光源装置10において、レンズ30が光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のいずれにおいても、透過型光偏向ディスク310の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合には、極めて小さなスポットとして照射される。それ故、透過型光偏向ディスク310の小型化を図ることができ、かつ、一次元の光走査を行うことができる。
さらに、光源装置10から出射された光ビームは、例えば、透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に対して周方向(矢印L2で示す)に延びるスポットとして照射され、所定の放射角をもつ発散光の光ビームとして走査される構成を採用してもよい。
これらいずれの場合でも、透過型光偏向ディスク310の小型化を図ることができるため、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、透過型光偏向ディスク310を駆動するモータ350などについてもその小型化を図ることができる。それ故、光ビーム装置1bの大幅な小型化を図ることができる。
ここで、発光源20は、直交する2方向で発散角が異なる光ビームを出射しており、かつ、レンズ30から出射された光ビームは、直交する2方向で焦点位置が相違するため、図12に示すように、光源装置10の出射方向における手前側では縦長のスポットであるが、出射方向における遠方では横長のスポットとなる。従って、図12に示すように、光源装置10から出射された光ビームによって、透過型光偏向ディスク310のディスク面に横長のスポットを形成し、幅の狭い方向が透過型光偏向ディスク310の周方向(矢印L3で示す)に向くように構成すると、透過型光偏向ディスク310からは、半径方向(矢印L2で示す)で発散角が大きい横長の光ビームが出射され、かかる光ビームは、透過型光偏向ディスク310の回転により、周方向に走査されることになる。それ故、光ビーム装置1を監視用として用いた場合、2次元の光走査を行うことができるとともに、矢印L1で示す走査方向と直交する方向における監視範囲も広いという利点がある。
[実施の形態4]
上述した形態2、3では、発光源2から出射された光ビームが透過型光偏向ディスク310を透過するように構成されていたが、図15に示す光ビーム走査装置1cのように、光源装置10から出射された光ビームが、光偏向機構400の反射型光偏向ディスク410で反射されるように構成してもよい。この場合には、例えば、図8、図9を参照して説明した光偏向ディスク310の上面、あるいは図13、図14を参照して説明した光偏向ディスク310の上面を反射面にしたものを反射型光偏向ディスク410として用いればよい。また、図15に光の進行方向を一点鎖線で示すように、光源装置10から出射された光ビームが、光偏向機構400の反射型光偏向ディスク410の下面で反射されるように構成してもよい。この場合には、偏向ディスク310の下面に反射性の傾斜面を形成すればよい。また、図15に光の進行方向を一点鎖線で示すように、光源装置10から出射された光ビームが、光偏向機構400の反射型光偏向ディスク410の上面で屈折され、かつ、下面で反射されるように構成してもよい。この場合には、例えば、図8、図9を参照して説明した光偏向ディスク310の下面、あるいは図13、図14を参照して説明した光偏向ディスク310の下面を反射面にしたものを反射型光偏向ディスク410として用いればよい。
このように構成した場合も、実施の形態1と同様、光源装置10では、レンズ30が、発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のうちの一方では反射型光偏向ディスク410の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導くことができる。このため、光源装置10から出射された光ビームは、例えば、反射型光偏向ディスク410の光偏向領域に対して半径方向に延びるスポットとして照射され、所定の放射角をもつ発散光の光ビームとして走査されることになる。従って、小型の反射型光偏向ディスク410であっても多数の光偏向領域を形成することができる。また、光源装置10において、レンズ30が光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のいずれにおいても、反射型光偏向ディスク410の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合には、従来に比べて小さなスポットとして照射される。それ故、反射型光偏向ディスク410の小型化を図ることができる。これらいずれの場合でも、反射型光偏向ディスク410の小型化を図ることができるため、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、反射型光偏向ディスク410を駆動する駆動モータ350などについてもその小型化を図ることができる。それ故、光ビーム装置1cの大幅な小型化を図ることができる。
[他の実施の形態]
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、例えば、以下に説明するように、本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形可能である。
実施の形態2、3では、傾斜面333が透過型光偏向ディスク310の出射側の面にのみ形成されていたが、入射側の面にのみ形成するようにしてもよい。また、出射側の面と入射側の面の両面に傾斜面が形成されてもよい。両面に傾斜面を形成する場合には、例えば、入射側の面の傾斜角度は、全ての光偏向領域332で同一の角度に設定すればよい。
実施の形態2、3では、透過型光偏向ディスク310を樹脂で形成したが、透過型光偏向ディスク310をガラスで形成してもよい。この場合には、温度変動の影響をほとんど受けないため、温度特性が安定するとともに、高温環境下でも光ビーム走査装置の使用が可能となる。
実施の形態2、3では、傾斜面333は、必ずしも透過型光偏向ディスク310の出射側の面の全周にわたって形成される必要はなく、出射側の面の一部に平坦な平面部を形成してもよい。
実施の形態2、3においては、光学式エンコーダ306に替えて、駆動モータ350の内部に設けられたホール素子あるいはMR素子を位置検出手段として利用してもよい。この場合、駆動モータ350が有する駆動マグネットあるいは、パルス発生用のマグネット、さらには逆起電力からパルスを作り、このパルスに基づいて、光源装置10から出射された光ビームが1つの光偏向領域332の周方向の中心位置に向かって入射するように、発光源の発光タイミングを制御してやればよい。
また、実施の形態2、3において、光ビーム走査装置は、位置検出手段を備えていなくともよい。上述した形態のように、透過型光偏向ディスク310が、円周方向に略等角度間隔で分割された複数の光偏向領域332から構成されている場合には、駆動モータ350が一定速度で回転するように制御され、光源装置10から一定間隔でパルス状の光ビームが出射されれば、適切な光ビームの走査を行うことは可能である。
さらに、実施の形態2、3において、ミラー305を設けずに、光源装置10から透過型光偏向ディスク310のディスク面に向かって光ビームを出射し、直接、透過型光偏向ディスク310に入射するように構成してもよい。また、ミラー305を設けた場合に、光源装置10を透過型光偏向ディスク310の斜め下方に配置して、透過型光偏向ディスク310の斜め下方から光ビームが、透過型光偏向ディスク310に入射するように構成してもよい。
さらにまた、実施の形態2、3で用いた透過型光偏向ディスク310については、図16および図17を参照して以下に説明するように、円周方向で傾斜角が連続的に変化する傾斜面を備えている構成を採用してもよい。
図16は、本発明の実施の形態2の変形例に係る光ビーム走査装置に用いた透過型光偏向ディスクの概略構成を模式的に示す斜視図である。なお、本形態の光ビーム走査装置および透過型光偏向ディスクの基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
実施の形態2に係る透過型光偏向ディスク310では、周方向に複数の光偏向領域332に分割され、これらの光偏向領域332の各々に傾斜面333が形成されていたが、図16に示すように、透過型光偏向ディスク310のディスク面には、周方向に連続した傾斜面333が形成され、かつ、この傾斜面333は、半径方向に対する傾斜角度が周方向で連続的に変化している。
このように構成した透過型光偏向ディスク310は、図8を参照した例と同様、図16に示すx−x線、y−y線、z−z線で切断したときの断面は、図9(a)、(b)、(c)に示すように表され、半径方向における傾斜角度θwは、周方向で次第に増加または減少するようになっている。このため、透過型光偏向ディスク310を回転させながら、透過型光偏向ディスク310に光ビームを入射させると、光ビームは、透過型光偏向ディスク310を透過する際に、傾斜面333で屈折されて走査される。このように構成した場合は、レーザは連続発振させて分解能を最大限まで上げることが可能である。なお、傾斜面333は、周方向にも連続的に傾斜角度が変化しているが、入射するビーム径が小さいためこの方向の傾き変化は無視できるので、透過型光偏向ディスク310の接線方向への走査は無視できる。
図17は、本発明の実施の形態3の変形例に係る光ビーム走査装置に用いた透過型光偏向ディスクの概略構成を模式的に示す斜視図である。なお、本形態の光ビーム走査装置および透過型光偏向ディスクの基本的な構成は、実施の形態3と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
実施の形態3に係る透過型光偏向ディスク310では、周方向に複数の光偏向領域332が形成され、これらの光偏向領域332の各々には、傾斜角度θwが一定の傾斜面333が形成されていたが、本形態では、図17に示すように、周方向に複数の光偏向領域332が形成され、これらの光偏向領域332の各々には、周方向への傾斜角度θwが周方向で連続的に変化している傾斜面333が形成されている。この面の形状は接線方向で2次関数となっており、1次微分で表される傾きが接線方向に対して連続して変化するようになっている。このように構成した透過型光偏向ディスク310を用いた光ビーム走査装置でも、透過型光偏向ディスク310に入射した光ビームは、透過型光偏向ディスク310を透過する際に、傾斜面333で屈折されて、透過型光偏向ディスク310の接線方向に走査される。なお、図17では傾斜面333が片側のみに傾斜している例であったが、放物線のU形状としてもよいし、sinカーブにしてもよい。
また、図16および図17に示す透過型光偏向ディスク310の傾斜面に反射層を形成すれば、入射された光ビームを反射して出射する傾斜面がディスク面に形成された反射型光偏向ディスクを構成できる。このような反射型光偏向ディスクの動作などは実施の形態4と同様であるため、説明を省略する。
本発明に係る光ビーム走査装置では、光源装置から光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光を出射する。このため、第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方では光偏向素子の小型化を図ることができる。従って、光偏向素子については、その生産性を高めることができるとともに、最新の微細化技術を利用して、例えば、走査点数を増大させることのできる光偏向素子を提供することができる。また、光偏向素子を小型化すると、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、光偏向素子を駆動するモータなどの駆動機構についてもその小型化を図ることができる。
本発明は、光源装置から出射された光ビームを所定の方向に走査する光ビーム走査装置に関するものである。
光ビーム走査装置は、レーザプリンタ、デジタル複写機、ファクシミリ等の画像形成装置や、バーコード読取装置、車間距離測定装置などに幅広く利用されている。画像形成装置に用いられる光ビーム走査装置としては、レーザダイオードなどのレーザ発光素子から出射された光ビームをポリゴンミラーにより周期的に偏向させ、感光体などの被走査面上を反復走査させる。測定装置では、光ビーム走査装置から出射された走査ビームが被照射物で反射した反射ビームを光検出器により受光することによって情報を検出する。このとき、反射ビームは、ポリゴンミラーによる走査角度に対応する入射角度で光検出器に向かうことになる。光偏向素子としては、ポリゴンミラーを回転させる以外に、揺動する反射板が用いられることがあり、この場合、反射板の揺動により光ビームを一定の角度範囲で走査する。
ここで、ポリゴンミラーや反射板に照射する光ビームは、光源から出射された光ビームをコリメートレンズで発散度合いをある程度、小さくした光である。このような光のポリゴンミラーや反射板への入射面積は、光ビーム反射面の有効径に相当し、このような有効径によりポリゴンミラーや反射板のサイズが決定される(例えば、特許文献1、2参照)。
なお、光ビーム走査装置では、レーザ発光素子とコリメートレンズとの間に絞りを配置している。また、光ビーム走査装置では、光ビームを走査角度に同期してパルス状に照射している。
しかしながら、従来の光ビーム走査装置においては、ポリゴンミラーに入射する光ビームの径がかなり大きいため、ミラーには、これ以上のサイズが求められる。このため、従来の光ビーム走査装置においては、ポリゴンミラーを小型化できないので、光ビーム装置を小型化できないとともに、ポリゴンミラーの生産性が低いという問題点がある。また、ポリゴンミラーを樹脂成形により製造しようとすると、ヒケが起こりやすく、生産性や歩留まりを向上させるのが困難である。さらに、ポリゴンミラーをモータで駆動する際、バランスがとりにくく、ジッタ特性を悪化させる原因となっている。
一方、反射板を揺動運動させる方式の中にはシリコンマイクロマシニング技術を利用してシリコン基板とねじりバネを用いて電磁力や静電力で駆動するものが提案されている。しかしながら、この技術は、微小領域を形成するのには有効であるが、従来のように、ビーム径が大きな光ビームを扱う場合には極めて高コストとなり、超小型反射板のメリットを生かせないという問題点がある。
特開平11−014922号公報 特開平11−326806号公報
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ポリゴンミラーを用いた場合よりもさらに小型化を図ることのできる光ビーム走査装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明では、光源装置と、該光源装置から出射された光ビームを光偏向素子によって所定の角度範囲にわたって走査させる光偏向機構とを有する光ビーム走査装置において、前記光源装置は、光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光を出射し、前記光偏向機構は、前記光偏向素子としての光偏向ディスクと、該光偏向ディスクを回転駆動する回転駆動機構とを有し、前記光偏向ディスクのディスク面には、周方向において分割された複数の光偏向領域が形成され、当該複数の光偏向領域は、入射された光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に出射することを特徴とする
本発明において、光源装置は、光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光を出射するため、第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方では光偏向素子の小型化を図ることができる。従って、光偏向素子については、その生産性を高めることができるとともに、最新の微細化技術を利用して、例えば、走査点数を増大させることのできる光偏向素子を提供することができる。また、光偏向素子を小型化すると、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、光偏向素子を駆動するモータなどの駆動機構についてもその小型化を図ることができる。また、本発明において、前記光偏向機構では、ディスク状の光偏向素子を用いたため、光ビーム走査装置の小型化を図ることができ、かつ、光偏向素子を樹脂成形により製造する場合にも、ヒケなどの問題が発生しにくい。
本発明において、前記光源装置は、例えば、発光源と、該発光源から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光として導くレンズとを備えている。
本発明において、前記発光源は、例えば、レーザ発光素子である。
本発明において、前記レンズには、前記第1の方向と前記第2の方向で発散角の異なる光ビームが入射する場合、前記レンズは、前記発光源から出射された光ビームを、前記第1の方向と前記第2の方向のうち、少なくとも発散角が大きい方向で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦させることが好ましい。すなわち、発光源から出射される光ビームが楕円のファーフィールドパターンを有している場合には、長軸方向の光を収束させることが好ましく、光ビームが絞り部材によって整形されている場合には、その長径方向の光を収束させることが好ましい。このように構成すると、光偏向素子の小型化を効率よく行うことができる。
本発明において、前記レンズには、前記第1の方向と前記第2の方向で発散角の異なる光ビームが入射する場合、前記レンズは、前記発光源から出射された光ビームを、前記第1の方向と前記第2の方向のうち、少なくとも発散角が小さい方向で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦させる構成を採用してもよい。
本発明において、前記レンズは、前記発光源から出射された光ビームを前記第1の方向および前記第2の方向の双方で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光として導くことが好ましい。このように構成すると、第1の方向および第2の方向のいずれの方向においても光偏向素子の小型化を図ることができる。
本発明において、前記発光源から前記収束光の合焦位置までの距離が100mm以下であることが好ましい。
本発明において、前記レンズは、例えば、正のパワーを有する非球面レンズ、トーリックレンズ、トロイダルレンズ、またはシリンドリカルレンズである。
本発明において、前記レンズは、前記発光源側が正のパワーを備えた曲面であり、前記光偏向素子側が平面であることが好ましい。レンズの出射面が平面であれば光源装置の出射面の側にレンズの出っ張りがないので、光源装置を光ビーム装置に組み込む際、レンズの出射面を傷つけることがない。
本発明において、前記光源装置は、前記発光源と前記レンズとの間に前記発光源を装着可能な凹部を備えたホルダ状絞り部材を備える場合がある。この場合、前記ホルダ状絞り部材における絞り開口の中心位置は、当該ホルダ状絞り部材の外形の中心位置と一致し、前記凹部の中心位置は、前記発光源において前記凹部に装着される部分の外形の中心位置が発光点から偏芯している寸法分だけ、前記ホルダ状絞り部材の外形の中心位置から偏芯していることが好ましい。
本発明において、前記レンズと前記絞り開口とは外径寸法が略一致していることが好ましい。このように構成すると、絞りとレンズとの光軸調整を容易に行うことができる。
本発明において、前記レンズは、樹脂製であることが好ましい。発光源をパルス発光させれば発熱が極めて小さいので、樹脂製のレンズを用いることができ、このような樹脂製のレンズであれば、樹脂成形により安価に製造できる。
本発明においては、前記光偏向ディスクとして透過型光偏向ディスクを用いることができる。この場合、前記透過型光偏向ディスクのディスク面には、周方向において分割された複数の光偏向領域が形成され、前記複数の光偏向領域の各々は、入射された光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に屈折させて出射する傾斜面が形成されていることにより、入射してきた光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に出射する。
本発明においては、前記光偏向ディスクとして反射型光偏向ディスクを用いることができる。この場合、前記反射型光偏向ディスクのディスク面には、周方向において分割された複数の光偏向領域が形成され、前記複数の光偏向領域の各々は、入射された光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に反射して出射する傾斜面が形成されていることにより、入射してきた光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に出射する。
このような光偏向ディスクを備えた光ビーム走査装置において、前記傾斜面は、例えば、前記複数の光偏向領域の各々で半径方向に向かって傾斜しており、前記傾斜面の傾斜角度は、周方向に並ぶ前記複数の光偏向領域の各々で連続的に変化していることが好ましい。
また、本発明において、前記傾斜面は、前記複数の光偏向領域の各々で周方向に向かって傾斜しており、前記傾斜面の傾斜角度は、周方向に並ぶ前記複数の光偏向領域の各々で連続的に変化している構成を採用してもよい。
本発明において、前記複数の光偏向領域は、周方向において放射状に分割されていることが好ましい。
本発明において、前記光偏向素子として前記光偏向ディスクを用いた場合、前記光偏向ディスクに入射する光は、前記光偏向ディスクの周方向で前記光偏向ディスクあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることが好ましい。このように構成すると、光偏向素子の小型化を図ることができ、かつ、二次元の光走査を行うことができる。
本発明において、前記光偏向素子として前記光偏向ディスクを用いた場合、前記光偏向ディスクに入射する光は、前記光偏向ディスクの周方向および半径方向の双方で前記光偏向ディスクあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることが好ましい。このように構成すると、光偏向素子の小型化を図ることができ、かつ、二次元の光走査だけでなく、一次元の光走査も行うことができる。
本発明の参考例に係る光ビーム走査装置において光源装置から出射された光がポリゴンミラーに照射された状態を示す説明図である。 (a)、(b)はそれぞれ、本発明の参考例および各実施の形態に係る光ビーム走査装置に用いた光源装置から出射される光ビームの第1の方向での状態を示す説明図、および第2の方向での状態を示す説明図である。 (a)、(b)、(c)はそれぞれ、本発明の参考例および各実施の形態に係る光ビーム走査装置において光ビームの収束方向とポリゴンミラーとの方向関係を示す説明図である。 (a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、本発明の参考例および各実施の形態に係る光源装置に用いた絞り部材および発光源の分解断面図、絞り部材の端面図、絞り開口の説明図、および別の絞り開口の説明図である。 本発明の実施の形態に係る光ビーム走査装置の概略構成を示す斜視図である。 図5に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略側面図である。 図5に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略斜視図である。 図5に示す光ビーム走査装置の透過型光偏向ディスクを示す上面図である。 (a)、(b)、(c)はそれぞれ、図8に示す透過型光偏向ディスクのX−X断面の断面図、Y−Y断面の断面図、およびZ−Z断面の断面図である。 図8に示す透過型光偏向ディスクの傾斜面に傾斜角度が0°の傾斜面が含まれている場合の説明図である。 本発明の実施の形態に係る光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略側面図である。 図11に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態に係る透過型光偏向ディスクを示す上面図である。 図13に示す透過型光偏向ディスクのW−W断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略側面図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る光ビーム走査装置に用いた透過型光偏向ディスクの概略構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る光ビーム走査装置に用いた透過型光偏向ディスクの概略構成を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1a、1b、1c 光ビーム走査装置
10 光源装置
20 発光源
30 レンズ
40 絞り部材
200、300、400 光偏向機構
210 ポリゴンミラー(光偏向素子)
310 透過型光偏向ディスク(光偏向素子)
410 反射型光偏向ディスク(光偏向素子)
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
参考例
(全体構成)
図1は、本発明の参考例に係る光ビーム走査装置において光源装置から出射された光がポリゴンミラーに照射された状態を示す説明図である。図2(a)、(b)は、本発明の参考例および後述する各実施の形態に係る光ビーム走査装置に用いた光源装置から出射される光ビームの第1の方向での状態を示す説明図、および第2の方向での状態を示す説明図である。図3(a)、(b)、(c)はそれぞれ、本発明の参考例および後述する各実施の形態に係る光ビーム走査装置において光ビームの収束方向とポリゴンミラーとの方向関係を示す説明図である。
図1に示すように、本形態の光ビーム装置1aは、例えば、880nmのレーザ光を出射する光源装置10と、この光源装置10から出射された光ビームを光偏向素子によって所定の角度範囲にわたって走査させる光偏向機構200とを有している。本形態において、光偏向機構200は、光偏向素子としてのポリゴンミラー210と、このポリゴンミラー210を軸線L210周りに回転させるモータ(図示せず)からなる駆動機構とを有している。
ポリゴンミラー210を用いた光偏向機構200については、周知の構成のものを用いることができるので、その説明を省略する。光源装置10は、図2(a)、(b)に示すように、レーザダイオード(レーザ発光素子)からなる発光源20と、この発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向(例えば、垂直方向)および第2の方向(例えば、水平方向)のうちの少なくとも一方でポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する収束光として導くレンズ30とを有している。
レンズ30としては、正のパワーを有する非球面レンズ、トーリックレンズ、トロイダルレンズ、シリンドリカルレンズなどを用いることができる。本形態において、レンズ30は、図2(a)に示すように、光軸方向に直交する第1の方向では、ポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する収束光として導き、図2(b)に示すように、光軸方向および第1の方向に直交する第2の方向では発散光の状態でポリゴンミラー210の反射面211に導いている。
ここで、光源装置10は、図2(a)、(b)に示すように絞り部材40を有している。従って、本形態の光ビーム装置1aでは、発光源20から出射された光ビームは、例えば、以下の値
第1の方向(垂直方向)
発光源20から出射された光ビームの放射角=26°
絞り部材40から出射された光ビームの放射角=12.9°
レンズ30から出射された光ビームの放射角=0.52°
第2の方向(水平方向)
発光源20から出射された光ビームの放射角=11°
絞り部材40から出射された光ビームの放射角=5.49°
レンズ30から出射された光ビームの放射角=2.8°
をとる。それ故、レンズ30は、第1の方向および第2の方向のうち、発光源20から出射された光ビームにおいて発散角が大きい方で合焦させている。なお、レンズ30は、第1の方向および第2の方向のうち、発光源20から出射された光ビームにおいて発散角が小さい方で合焦させる構成を採用することもある。
このように構成した光ビーム装置1aにおいて、光源装置10から出射された光ビームは、図3(a)に示すように、ポリゴンミラー210の反射面211に横長のスポットとして照射され、ポリゴンミラー210によって矢印L1で示す方向に走査される。すなわち、光源装置10から出射された光ビームは、ポリゴンミラー210の軸線L210(回転中心軸線)と平行な方向でポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する光ビームであり、矢印L1で示す走査方向に延びた光ビームが、矢印L1で示す方向に走査される。
このような構成によれば、ポリゴンミラー210の反射面では、それに入射する光ビームが第1の方向で略合焦しているので、反射面211に形成されるスポットの上下幅が従来技術に比べて狭い。それ故、ポリゴンミラー210として薄型のものを用いることができる。また、一次元の光走査を行うことができる。
これに対して、図2(a)、(b)に示す形態とは反対に、図3(b)に示すように、レンズ30が、発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)では発散光の状態でポリゴンミラー210の反射面211に導き、光軸方向に直交する第2の方向(水平方向)ではポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合には、光源装置10から出射された光ビームは、ポリゴンミラー210の反射面211に縦長のスポットとして照射され、所定の放射角をもつ発散光の光ビームとして走査されることになる。すなわち、光源装置10から出射された光ビームは、ポリゴンミラー210の軸線L210(回転中心軸線)と直交する方向でポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する光ビームであり、矢印L1で示す走査方向と直交する方向に延びた光ビームが、矢印L1で示す方向に走査される。
このような構成によれば、ポリゴンミラー210の反射面211では、それに入射する光ビームが第2の方向で略合焦しているので、反射面に形成されるスポットの横幅が従来技術に比べて狭い。従って、ポリゴンミラー210として外形寸法の小さなものを用いることができる。また、ポリゴンミラー210からは、縦長の光ビームが出射され、かかる光ビームは、ポリゴンミラー210の回転により、矢印L1で示す方向に走査される。それ故、光ビーム装置1aを監視用として用いた場合、2次元の光走査を行うことができるとともに、矢印L1で示す走査方向と直交する方向における監視範囲も広いという利点がある。
また、図3(c)に示すように、レンズ30が光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のいずれにおいても、ポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合、すなわち、ポリゴンミラー210に入射する光が、ポリゴンミラー210の軸線L210(回転中心軸線)に対して直交する方向および平行方向の双方でポリゴンミラー210の反射面211あるいはその近傍で合焦する光ビームになっている場合には、極めて小さなスポットとして照射される。それ故、ポリゴンミラー210としては薄くて、外形寸法の小さなものを用いることができる。また、2次元の光走査に加えて、一次元の光走査も行うことができる。
このように本形態の光ビーム走査装置1aでは、ポリゴンミラー210の小型化を図ることができるため、ポリゴンミラー210として安価なものを用いることができる。また、ポリゴンミラー210を小型化すると、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、ポリゴンミラー210を駆動するモータなどの駆動機構についてもその小型化を図ることができる。それ故、光ビーム装置1aの大幅な小型化を図ることができる。
(光源装置の詳細説明)
図4(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、本発明の参考例および各実施の形態に係る光源装置に用いた絞り部材および発光源の分解断面図、絞り部材の端面図、絞り開口の説明図、および別の絞り開口の説明図である。
本形態で用いた光源装置10は、発光源20とレンズ30との間に絞り部材40を備えている。この絞り部材40は、図4(a)、(b)に示すように、発光源20を装着可能な凹部41を備えたホルダ状絞り部材であり、その前端面の中央に絞り開口42が形成されている。ここで、図2(a)、(b)に示すレンズ30は、絞り部材40の絞り開口42と同一サイズの外径寸法を有しており、レンズ30は、絞り開口42と重なるように絞り部材40に取り付けられている。
絞り部材40における絞り開口42の中心位置は、絞り部材40の外形の中心位置と一致している。また、発光源20がCANタイプの半導体レーザであれば、その円筒ケース部分21が絞り部材40の凹部41に装着される。ここで、CANタイプの半導体レーザの場合、レーザチップ25はサブマウント26を介して基板27に搭載されているので、円筒ケース部分21の外形の中心位置は、発光点22からみて偏芯している。そこで、本形態では、凹部41の中心位置については、発光源20において円筒ケース部分21の外形の中心位置が発光点22から偏芯している寸法分Δtだけ、絞り部材40の外形の中心位置から偏芯させてある。発光源20において、円筒ケース部分21の先端側開口は透明カバー29で覆われ、背面側には配線基板28が取り付けられている。
絞り部材40における円筒部分43の端面には、絞り部材40に発光源20を保持させる際の角度位置を合わせるための位置合わせ穴44が形成されている。従って、絞り部材40の凹部41に発光源20の円筒ケース部分21を装着するだけで、絞り部材40の絞り開口42の中心位置を発光源20の発光点22からの光軸に一致させることができ、この状態で、発光源20の発光点22の位置(絞り部材40の絞り開口42の中心位置)は、絞り部材40の外形の中心位置と一致することになる。
従って、本形態では、絞り部材40の外形を基準に光源装置10を光ビーム走査装置1aに搭載するだけで、発光源20の発光点22の位置を高い精度で設定することができる。
また、本形態の光源装置10では、絞り部材40およびレンズ30が発光源20において円筒ケース部分21に一体に取り付けられているので、光源装置10の全長は、円筒ケース21の長さ寸法+2mm程度と小型である。
また、発光源20にレンズ30を近づけてあるため、レンズ30の有効径が小さくてよい。それ故、レンズ30として安価なものを用いることができる。さらに、発光源20にレンズ30を近づけてあるため、焦点距離が短い。従って、光源装置10とポリゴンミラー200との距離を100mm以下、例えば、本形態では、50mm程度にまで短くできるので、光ビーム走査装置1aの小型化を図ることができる。
また、本形態において、レンズ30は、発光源20側が正のパワーを備えた非球面(曲面)であり、ポリゴンミラー210側が平面である。従って、光源装置10の出射面には、レンズ30の出っ張りがないので、光源装置10を光ビーム走査装置1aに組み込む際、レンズ30の出射面を傷つけることがない。
しかも、レンズ30として非球面レンズを用いたため、トーリックレンズと違って回転対称であるため、光軸合わせが容易であり、かつ、回転調整を行う必要がないという利点がある。
また、本形態において、発光源20はパルス駆動されることから、発熱が極めて小さい。従って、レンズ30として、樹脂製のレンズを用いることができ、このような樹脂製のレンズであれば、非球面レンズであっても樹脂成形により安価に製造できる。
上記形態では、絞り部材40の絞り開口42は丸穴であったが、図4(c)に示すような長穴であってもよく、図4(d)に示すような矩形穴であってもよい。ここで、図4(c)に示すような長穴からなる絞り開口42をエンドミルで形成する場合には、絞り開口42が形成される絞り部材40の前端面45は肉薄であることが好ましい。また、図4(d)に示すような矩形穴からなる絞り開口42については、放電加工により形成することができる。
なお、レンズ30は、正のパワーを有する非球面レンズの他、トーリックレンズ、トロイダルレンズ、シリンドリカルレンズなどを用いることができる。また、レンズ30の一方の面が平面である場合、平面を発光源20の側に向けてレンズ30を配置してもよい。
[実施の形態
図5は、本発明の実施の形態に係る光ビーム走査装置の概略構成を示す斜視図である。図6は、図5に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略側面図である。図7は、図5に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略斜視図である。
図5、図6および図7に示す光ビーム走査装置1bは、図2および図4を参照して説明した光源装置10と、この光源装置10から出射された光ビームを光偏向素子によって所定の角度範囲にわたって走査させる光偏向機構300とを有している。本形態において、光偏向機構300は、光偏向素子としての透過型光偏向ディスク310と、この透過型光偏向ディスク310を軸線周りに回転させるモータ350からなる駆動機構とを有している。また、光ビーム走査装置1bは、光源装置10から出射された光ビームを透過型光偏向ディスク310へ向けて立ち上げるミラー305と、透過型光偏向ディスク310の回転位置を検出する位置検出手段としての光学式エンコーダ306とを備えている。
本形態の光ビーム走査装置1bでは、透過型光偏向ディスク310を回転させた状態で、光源装置10から出射された光ビームを透過型光偏向ディスク310に入射させ、透過型光偏向ディスク310で光ビームを屈折させることで、光ビームを所定の方向に走査する。駆動モータ350とミラー305と光学式エンコーダ306はフレーム308に直接配設され、光源装置10はホルダ309を介してフレーム308に配設されている。
このように構成した光ビーム走査装置1bにおいて、光源装置10からは、図6に示すように、駆動モータ350の軸に直交する平面、言い換えると、透過型光偏向ディスク310のディスク面に対して平行方向に向かって光ビームが出射される。ここで、ミラー305は、光源装置10から出射された光ビームを駆動モータ350の軸方向に立ち上げて透過型光偏向ディスク310のディスク面に対して略直交するように入射させるミラーである。ミラー305は、例えば、全反射ミラーであり、光源装置10の出射側に配設されている。駆動モータ350は、高速回転可能なブラシレスモータであり、例えば10000(rpm)程度の回転が可能に構成されている。なお、駆動モータ350はブラシレスモータには限定されず、ステッピングモータなど、種々のモータを適用することができる。また、ミラー305を省略して光源装置10から出射された光を直接、透過型光偏向ディスク310に導いてもよい。
本形態において、透過型光偏向ディスク310は、中心に中心孔319が形成されており、この中心孔319が駆動モータ350の回転子に固定されている。従って、透過型光偏向ディスク310は、駆動モータ350の軸(透過型光偏向ディスク310の中心)を中心に回転駆動される。透過型光偏向ディスク310の詳細な構成については後述する。
光学式エンコーダ306は、駆動モータ350の軸方向で透過型光偏向ディスク310と対向するように配設されている。光学式エンコーダ306と対向する透過型光偏向ディスク310の対向面には、図示を省略する格子が形成されており、この格子を光学式エンコーダ306が検出することで、透過型光偏向ディスク310の回転位置の検出が行われている。本形態の光ビーム走査装置1bでは、光学式エンコーダ306の検出結果に基づいて駆動モータ350の回転動作が制御されるようになっている。また、光学式エンコーダ306の検出結果に基づいて光源装置10の発光源であるレーザダイオードの発光動作が制御されるようになっている。なお、透過型光偏向ディスク310の角度位置の検出には、光学式エンコーダ306に代えて、フォトカプラや磁気センサを用いてもよい。
(透過型光偏向ディスクの構成)
図8は、図5に示す光ビーム走査装置において用いた透過型光偏向ディスクを示す上面図である。図9は、図6に示す透過型光偏向ディスクの断面を示し、(a)、(b)、(c)はそれぞれ、X−X断面の断面図、Y−Y断面の断面図、Z−Z断面の断面図である。図10は、図8に示す透過型光偏向ディスクの傾斜面に傾斜角度が0°の傾斜面が含まれている場合の説明図である。
図6、図7および図8に示すように、透過型光偏向ディスク310は、中央に中心孔319を備える扁平な円盤状に形成されており、本形態では、透明な樹脂で形成されている。透過型光偏向ディスク310は、中心孔319を中心として円周方向に分割された複数の放射状の光偏向領域332a、332b、・・・(以下、光偏向領域332とする)を備えており、光偏向領域332は、中心孔319を中心として、略等角度間隔で円周方向に分割された領域である。
光偏向領域332の数は、光ビーム走査の走査点数によって決まるが、本形態では、201個の光偏向領域332が形成されている。従って、例えば、光ビームの走査範囲を±10°とした場合には、光ビームの走査の分解能は0.1°となる。また、例えば、光ビームが透過する位置における透過型光偏向ディスク310の径を40mmとすると、1つの光偏向領域332の光ビームの透過位置での円周方向幅は、0.63mmになる。なお、図7および図8では、説明の便宜上、光偏向領域332の数を減らして図示している。
光偏向領域332のそれぞれには、入射された光ビームを屈折させる傾斜面333が径方向に傾斜するように形成されている。本形態では、傾斜面333は、透過型光偏向ディスク310の出射側の面(図5、図6および図7における上面)にのみ全周にわたって形成され、入射側の面(図5、図6および図7における下面)は、駆動モータ350の軸に直交する平面状に形成されている。
傾斜面333は、光偏向領域332のそれぞれにおいて一定角度を持って形成されている。さらに、図7および図9に示すように、傾斜面333は、複数の光偏向領域332の各々で半径方向に向かって傾斜しているため、各光偏向領域332の径方向の断面は楔形状に形成されている。より具体的には、各光偏向領域332の径方向の断面は、内周側と外周側を平行とする台形状に形成されている。また、傾斜面333の傾斜角度は、周方向に並ぶ複数の光偏向領域332の各々で連続的に変化している。なお、複数の傾斜面333には、図10に示す傾斜面333eのように、傾斜角度が0°のものも含まれていてもよい。
本形態では、傾斜面333の傾斜角度をθw、透過型光偏向ディスク310から出射される光ビームの走査角度をθs(図6参照)、透過型光偏向ディスク310の屈折率をnとしたとき、
sin(θw+θs)=n・sinθw
の関係を満足するように、傾斜面333が形成されている。ここで、nは透過型光偏向ディスク310を構成する材料の屈折角であり、例えば、n=1.51862とすると、走査角度θsを10°とする場合には、傾斜角度θwを18.02°とすればよい。
さらに、本形態では、隣接する光偏向領域332の傾斜面333の傾斜角度θwは、次第に増加または減少するようになっている。例えば、図9(a)から(c)に示すように、隣接する光偏向領域332a、332b、332cのそれぞれの傾斜面333a、333b、333cの傾斜角度θwa、θwb、θwcが次第に増加するようになっている。
また、透過型光偏向ディスク310の全周でみた場合には、図10に示すように、光偏向領域332dの傾斜面333dは内周に向かって傾斜し、光偏向領域332fの傾斜面333fは外周に向かって傾斜している。そして、光偏向領域332dと光偏向領域332fとの間には、その傾斜面333eの傾斜角度が0°なる光偏向領域332eが存在する。すなわち、内周に向かう傾斜角、および外周に向かう傾斜角をそれぞれ、正の傾斜角、および負の傾斜角とした場合、傾斜面333の傾斜角度θwは、円周方向で、正の傾斜角から次第に減少して負の傾斜角となり、その後、さらに傾斜角が次第に減少して1周すると、正の傾斜角に戻るようになっている。なお、正の傾斜角から次第に減少して負の傾斜角となり、その後、逆に負の傾斜角から次第に増加して正の傾斜角となるように、正の傾斜角と負の傾斜角が円周方向で繰り返すように傾斜面333を形成してもよい。また、透過型光偏向ディスク310には、薄膜あるいは微細構造などによって反射防止処理を施してもよい。
(透過型光偏向ディスクの製造方法)
透過型光偏向ディスク310は、透明な樹脂を直接、切削などの超精密加工で製造してもよいし、製造コストを考慮して、金型を用いて製造してもよい。以下、透過型光偏向ディスク310を直接、切削加工する場合を説明するが、金型を切削する場合も同様である。
透過型光偏向ディスク310は、フライカットあるいはシェイパーカットで切削加工される。本形態では、傾斜面333が径方向に傾斜するように形成されていることから、切削加工に用いる刃先の進む方向を透過型光偏向ディスク310の径方向に設定する。より具体的には、透過型光偏向ディスク310の中心から外周側に向かって、あるいは外周側から中心に向かって、刃先の進む方向を設定する。
そして、軸方向に透過型光偏向ディスク310の素材を送りながら切削加工をして、1つの光偏向領域332の傾斜面333を形成する。その後、透過型光偏向ディスク310を円周方向に所定の角度回転させ、同様に、軸方向に透過型光偏向ディスク310の素材を送りながら切削加工をして、隣接する光偏向領域332の傾斜面333を形成する。この動作を1周分、繰り返すことで、透過型光偏向ディスク310が形成される。なお、透過型光偏向ディスク310の素材の軸方向の送りはNCデータ上で設定されており、これによって、隣接する光偏向領域332の傾斜面333の傾斜角度θwが次第に増加または減少するように、傾斜面333が形成されていく。
(光ビームの走査方法)
以上のように構成された光ビーム走査装置1bにおける光ビームの走査方法を以下に説明する。
まず、駆動モータ350によって、透過型光偏向ディスク310は、所定の回転数で回転する。この状態で、光源装置10からレーザ光が出射され、この光ビームはミラー305によって立ち上げられて、透過型光偏向ディスク310の入射側の面に、略直交するように入射する。より具体的には、1つの光偏向領域332の周方向幅の中心位置に向かって入射する。
ここで、透過型光偏向ディスク310に入射する光ビームの有効径は、1つの光偏向領域332の周方向における幅寸法以下であることが望ましい。以下では、説明の便宜上、透過型光偏向ディスク310に入射する光ビームの有効径は、1つの光偏向領域332の周方向幅以下であるとする。
透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に入射した光ビームは、透過型光偏向ディスク310を透過する際に、傾斜面333で屈折されて出射される。例えば、図6に示すように、ある光偏向領域332で走査角度θs1の方向に屈折されて出射される。ここで、隣接する光偏向領域332の傾斜面333の傾斜角度θwは、上述のとおり、次第に増加または減少するようになっているため、隣接する光偏向領域332では、例えば、走査角度θs1と0.1°の角度差がある走査角度θs2の方向に屈折されて出射される。従って、0.1°間隔で光ビームが順次出射されて、所定の走査範囲が走査される。その際、図10に示す光偏向領域332eでは、光ビームは屈折せずに出射される。
このような光走査を行う際、光学式エンコーダ306による透過型光偏向ディスク310の回転位置の検出結果に基づいて駆動モータ350の回転動作及び光源装置10の発光源の発光動作が制御される。すなわち、光学式エンコーダ306での検出結果に基づいて、光源装置10から発光されたレーザ光が1つの光偏向領域332の周方向の中心位置に向かって入射するように、駆動モータ350の回転及び発光源の発光タイミングが制御される。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光ビーム走査装置1bでは、駆動モータ350を回転させた状態で、光源装置10から出射したレーザ光を透過型光偏向ディスク310に入射させ、透過型光偏向ディスク310で光ビームを屈折させて、光ビームを所定の方向に走査している。すなわち、屈折機能によって光ビームを走査している。そのため、屈折角が互いに異なる傾斜面333を円周方向に多数形成することで、透過型光偏向ディスク310を1回転させれば、所定の走査範囲を走査することができる。ここで、1つの走査角度へ光ビームを出射させるために1つの屈折角度θwを有する傾斜面333を透過型光偏向ディスク310に形成すればよく、回折機能を備えた偏向ディスクのように1つの走査角度へ光ビームを出射させるために複数の格子溝を設ける必要がない。従って、光ビームの走査の分解能を上げていった場合であっても、透過型光偏向ディスク310の径を小さくすることができ、その結果、装置の小型化を図ることができる。さらに、透過型光偏向ディスク310は扁平な円盤状であるため、装置の薄型化を図ることも可能である。なお、上述した例では、光偏向領域332の光ビームの透過位置での円周方向幅は、0.63mmであるから、傾斜面333を十分に形成することが可能である。
また、本形態でも、参考例に用いた光源装置と同様、光源装置10では、レンズ30が、発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する2方向のうちの少なくとも一方では透過型光偏向ディスク310の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導く。
従って、光源装置10から出射された光ビームは、図7に示すように、透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に対して半径方向(矢印L3で示す方向)に延びるスポットとして照射され、透過型光偏向ディスク310の周方向(矢印L2で示す方向)では幅が狭い。それ故、小型の透過型光偏向ディスク310であっても多数の光偏向領域332を形成することができる。
また、光源装置10において、レンズ30が光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のいずれにおいても、透過型光偏向ディスク310の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合には、極めて小さなスポットとして照射される。それ故、透過型光偏向ディスク310の小型化を図ることができるとともに、一次元の光走査を行うことができる。
なお、光源装置10から出射された光ビームは、例えば、透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に対して半径方向に延びるスポットとして照射される構成を採用してもよい。この場合、透過型光偏向ディスク310に入射する光ビームの有効径が1つの光偏向領域332の周方向幅以上であり、複数の光偏向領域332に跨って入射することがある。このような場合でも、光ビームを入射させたい光偏向領域332に隣接する光偏向領域332(さらには、これに隣接する光偏向領域332)に入射した光ビームは、光ビームを入射させたい光偏向領域332を透過した光ビームとは離れる方向に向かって、出射されていくため、ノイズの原因になることはない。
これらいずれの場合でも、透過型光偏向ディスク310の小型化を図ることができるため、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、透過型光偏向ディスク310を駆動するモータ350などについてもその小型化を図ることができる。それ故、光ビーム装置1bの大幅な小型化を図ることができる。
ここで、発光源20は、直交する2方向で発散角が異なる光ビームを出射しており、かつ、レンズ30から出射された光ビームは、直交する2方向で焦点位置が相違するため、図7に示すように、光源装置10の出射方向における手前側では縦長のスポットであるが、出射方向における遠方では横長のスポットとなる。従って、図7に示すように、光源装置10から出射された光ビームによって、透過型光偏向ディスク310のディスク面に縦長のスポットを形成し、幅の狭い方向が透過型光偏向ディスク310の周方向(矢印L2で示す方向)に向くように構成すると、透過型光偏向ディスク310からは、周方向で発散角が大きい横長の光ビームが出射される。かかる光ビームは、透過型光偏向ディスク310の回転により、半径方向(矢印L3で示す方向)に走査されることになる。それ故、光ビーム装置1を監視用として用いた場合、2次元の光走査を行うことができるとともに、矢印L1で示す走査方向と直交する方向における監視範囲も広いという利点がある。
また、本形態で用いた透過型光偏向ディスク310では、その屈折作用を利用しており、屈折角は、入射する光ビームの波長の影響をほとんど受けない。そのため、透過型光偏向ディスク310を用いた本形態の光ビーム走査装置1bでは、安定した強度の光ビームを走査することができる。さらに、透過型光偏向ディスク310は温度変動があっても、温度変動による透過率の変動は、回折効率の変動に比してわずかである。従って、温度変動の影響をあまり受けることなく安定した強度の光ビームを走査することができる。
本形態では、光源装置10から出射された光ビームが透過型光偏向ディスク310を透過するように構成されている。そのため、駆動モータ350で回転させた透過型光偏向ディスク310に回転ぶれや面ぶれが生じても屈折角はほとんど変化しない。そのため、光ビームの走査ジッタが良好になる。
本形態では、透過型光偏向ディスク310は、円周方向に分割された複数の放射状の光偏向領域332から構成され、光偏向領域332のそれぞれに、入射された光ビームを屈折させる傾斜面333が形成されている。そのため、簡易な構成で透過型光偏向ディスク310を形成することができる。
また、光偏向領域332のそれぞれには一定角度の傾斜面333が形成されるとともに、隣接する光偏向領域332の傾斜面333の傾斜角度θwは、次第に増加または減少するようになっている。そのため、簡易な構成で、各走査角度θsに順次、光ビームを出射することができる。さらに、光偏向領域332は、中心孔319を中心として、略等角度間隔で円周方向に分割された領域である。そのため、駆動モータ350の回転数が一定であれば、光源装置10からは、一定間隔でパルス状の光ビームを出射すればよいので、発光源の制御が容易である。
本形態では、傾斜面333が、透過型光偏向ディスク310の出射側の面にのみ形成されており、入射側の面は平面状に形成されている。そのため、金型を用いて透過型光偏向ディスク310を製造する場合には、金型の駒加工が1面のみでよいため、金型の製作が容易になる。また、透明な樹脂を直接、切削加工して製造して透過型光偏向ディスク310を製造する場合には、入射側の面が平面状であるため、素材を固定しやすく、加工が容易になる。
本形態では、透過型光偏向ディスク310には、反射防止処理が施されている。そのため、光源装置10の出力のばらつきの原因となり得る発光源への戻り光を少なくすることができる。また、透過率が向上するため光源装置10からの光量のロスを低減させることができる。なお、光ビーム走査装置1bが使用される上位装置で要求される光量が得られるのであれば、透過型光偏向ディスク310に反射防止処理を施す必要はない。この場合には、透過型光偏向ディスク310の構成を簡素化でき、その製造が容易になる。
本形態では、透過型光偏向ディスク310は樹脂で形成されている。そのため、透過型光偏向ディスク310は生産性に優れ、また、光ビーム走査装置1bの軽量化、低コスト化が可能である。なお、例えば±50℃程度の温度変動があっても、走査角度θsの変動率は1%以下であり、走査性能への影響はほとんどない。
本形態では、光源装置10から発光された光ビームが1つの光偏向領域332の周方向幅の中心位置に向かって入射するように、駆動モータ350の回転及び発光源の発光タイミングが制御されている。そのため、発光源の発光タイミングと透過型光偏向ディスク310の回転位置との同期を正確に取ることができ、適切な光ビームの走査を行うことができる。
[実施の形態
上記の実施の形態では、入射したレーザ光を半径方向に走査したが、図11および図12に示すように、透過型光偏向ディスク310の接線方向に走査する場合には、以下のように構成すればよい。以下、本形態の構成を説明するが、その基本的な構成は、実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図11は、本発明の実施の形態に係る光ビーム走査装置の構成図である。図12は、図11に示す光ビーム走査装置の概略構成を模式的に示す概略斜視図である。図13は、本発明の実施の形態に係る光ビーム走査装置発明に用いた透過型光偏向ディスクを示す上面図である。図14は、図13に示す透過型光偏向ディスクのW−W断面を示す断面図である。
図11および図12に示す光偏向機構300で用いた透過型光偏向ディスク310には、図13および図14に示すように、透過型光偏向ディスク310を構成する光偏向領域332のそれぞれには、一定角度で円周方向に傾斜する傾斜面333が形成されている。この形態でも、傾斜面333は、透過型光偏向ディスク310の出射側の面にのみ形成されている。ここで、傾斜面333は、複数の光偏向領域332の各々で周方向に向かって傾斜しており、各光偏向領域332の断面は楔形状になっている。このため、各光偏向領域332の断面は、隣接する光偏向領域332との隣接面を平行とする台形状に形成されている。また、傾斜面333の傾斜角度は、周方向に並ぶ複数の光偏向領域332の各々で連続的に変化している。本形態でも、傾斜面333には、傾斜角度が0°のものが含まれていてもよい。
ここで、傾斜面333の傾斜角度をθw、透過型光偏向ディスク310から出射される光ビームの走査角度をθs、透過型光偏向ディスク310の屈折率をnとしたとき、
sin(θw+θs)=n・sinθw
の関係を満足するように、傾斜面333が形成されている点、また、図14に示すように、隣接する光偏向領域332g、332h、332iのそれぞれの傾斜面333g、333h、333iの傾斜角度θwg、θwh、θwiが、次第に増加するようになっている点は、上述した実施の形態1と同じである。なお、複数の傾斜面333には、図14に示す傾斜方向と反対側に向かって傾斜する傾斜面333が含まれていてもよい。例えば、図14において、中心より左側の傾斜面333を左下がりの傾斜面とし、中心より右側の傾斜面を右下がりとしてもよい。
このように、円周方向に傾斜する傾斜面333を備えた透過型光偏向ディスク310は、上述した形態と同様に、透明な樹脂を直接、切削などの超精密加工で製造してもよいし、製造コストを考慮して、金型を用いて製造してもよい。切削加工で、透過型光偏向ディスク310あるいは、金型を製造する場合には、切削加工に用いる刃先の進む方向を透過型光偏向ディスク310の径方向に設定して、1つの傾斜面333を形成するとともに、刃先の傾き方向を変えつつ、透過型光偏向ディスク310を円周方向に所定の角度回転させて隣接する光偏向領域332の傾斜面333を形成すればよい。
また、本形態でも、参考例に用いた光源装置と同様、光源装置10では、レンズ30が、発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のうちの一方では透過型光偏向ディスク310の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導くことができる。
従って、光源装置10から出射された光ビームは、例えば、図12に示すように、透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に対して半径方向(矢印L3で示す)に延びるスポットとして照射され、半径方向に走査されることになる。従って、小型の透過型光偏向ディスク310であっても多数の光偏向領域332を形成することができる。
また、光源装置10において、レンズ30が光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のいずれにおいても、透過型光偏向ディスク310の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合には、極めて小さなスポットとして照射される。それ故、透過型光偏向ディスク310の小型化を図ることができ、かつ、一次元の光走査を行うことができる。
さらに、光源装置10から出射された光ビームは、例えば、透過型光偏向ディスク310の光偏向領域332に対して周方向(矢印L2で示す)に延びるスポットとして照射され、所定の放射角をもつ発散光の光ビームとして走査される構成を採用してもよい。
これらいずれの場合でも、透過型光偏向ディスク310の小型化を図ることができるため、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、透過型光偏向ディスク310を駆動するモータ350などについてもその小型化を図ることができる。それ故、光ビーム装置1bの大幅な小型化を図ることができる。
ここで、発光源20は、直交する2方向で発散角が異なる光ビームを出射しており、かつ、レンズ30から出射された光ビームは、直交する2方向で焦点位置が相違するため、図12に示すように、光源装置10の出射方向における手前側では縦長のスポットであるが、出射方向における遠方では横長のスポットとなる。従って、図12に示すように、光源装置10から出射された光ビームによって、透過型光偏向ディスク310のディスク面に横長のスポットを形成し、幅の狭い方向が透過型光偏向ディスク310の周方向(矢印L3で示す)に向くように構成すると、透過型光偏向ディスク310からは、半径方向(矢印L2で示す)で発散角が大きい横長の光ビームが出射され、かかる光ビームは、透過型光偏向ディスク310の回転により、周方向に走査されることになる。それ故、光ビーム装置1を監視用として用いた場合、2次元の光走査を行うことができるとともに、矢印L1で示す走査方向と直交する方向における監視範囲も広いという利点がある。
[実施の形態
上述した形態1、2では、発光源2から出射された光ビームが透過型光偏向ディスク310を透過するように構成されていたが、図15に示す光ビーム走査装置1cのように、光源装置10から出射された光ビームが、光偏向機構400の反射型光偏向ディスク410で反射されるように構成してもよい。この場合には、例えば、図8、図9を参照して説明した光偏向ディスク310の上面、あるいは図13、図14を参照して説明した光偏向ディスク310の上面を反射面にしたものを反射型光偏向ディスク410として用いればよい。また、図15に光の進行方向を一点鎖線で示すように、光源装置10から出射された光ビームが、光偏向機構400の反射型光偏向ディスク410の下面で反射されるように構成してもよい。この場合には、偏向ディスク310の下面に反射性の傾斜面を形成すればよい。また、図15に光の進行方向を一点鎖線で示すように、光源装置10から出射された光ビームが、光偏向機構400の反射型光偏向ディスク410の上面で屈折され、かつ、下面で反射されるように構成してもよい。この場合には、例えば、図8、図9を参照して説明した光偏向ディスク310の下面、あるいは図13、図14を参照して説明した光偏向ディスク310の下面を反射面にしたものを反射型光偏向ディスク410として用いればよい。
このように構成した場合も、参考例に用いた光源装置と同様、光源装置10では、レンズ30が、発光源20から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のうちの一方では反射型光偏向ディスク410の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導くことができる。このため、光源装置10から出射された光ビームは、例えば、反射型光偏向ディスク410の光偏向領域に対して半径方向に延びるスポットとして照射され、所定の放射角をもつ発散光の光ビームとして走査されることになる。従って、小型の反射型光偏向ディスク410であっても多数の光偏向領域を形成することができる。また、光源装置10において、レンズ30が光軸方向に直交する第1の方向(垂直方向)および第2の方向(水平方向)のいずれにおいても、反射型光偏向ディスク410の上面あるいはその近傍で合焦する収束光として導いた場合には、従来に比べて小さなスポットとして照射される。それ故、反射型光偏向ディスク410の小型化を図ることができる。これらいずれの場合でも、反射型光偏向ディスク410の小型化を図ることができるため、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、反射型光偏向ディスク410を駆動する駆動モータ350などについてもその小型化を図ることができる。それ故、光ビーム装置1cの大幅な小型化を図ることができる。
[他の実施の形態]
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、例えば、以下に説明するように、本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形可能である。
実施の形態1、2では、傾斜面333が透過型光偏向ディスク310の出射側の面にのみ形成されていたが、入射側の面にのみ形成するようにしてもよい。また、出射側の面と入射側の面の両面に傾斜面が形成されてもよい。両面に傾斜面を形成する場合には、例えば、入射側の面の傾斜角度は、全ての光偏向領域332で同一の角度に設定すればよい。
実施の形態1、2では、透過型光偏向ディスク310を樹脂で形成したが、透過型光偏向ディスク310をガラスで形成してもよい。この場合には、温度変動の影響をほとんど受けないため、温度特性が安定するとともに、高温環境下でも光ビーム走査装置の使用が可能となる。
実施の形態1、2では、傾斜面333は、必ずしも透過型光偏向ディスク310の出射側の面の全周にわたって形成される必要はなく、出射側の面の一部に平坦な平面部を形成してもよい。
実施の形態1、2においては、光学式エンコーダ306に替えて、駆動モータ350の内部に設けられたホール素子あるいはMR素子を位置検出手段として利用してもよい。この場合、駆動モータ350が有する駆動マグネットあるいは、パルス発生用のマグネット、さらには逆起電力からパルスを作り、このパルスに基づいて、光源装置10から出射された光ビームが1つの光偏向領域332の周方向の中心位置に向かって入射するように、発光源の発光タイミングを制御してやればよい。
また、実施の形態1、2において、光ビーム走査装置は、位置検出手段を備えていなくともよい。上述した形態のように、透過型光偏向ディスク310が、円周方向に略等角度間隔で分割された複数の光偏向領域332から構成されている場合には、駆動モータ350が一定速度で回転するように制御され、光源装置10から一定間隔でパルス状の光ビームが出射されれば、適切な光ビームの走査を行うことは可能である。
さらに、実施の形態1、2において、ミラー305を設けずに、光源装置10から透過型光偏向ディスク310のディスク面に向かって光ビームを出射し、直接、透過型光偏向ディスク310に入射するように構成してもよい。また、ミラー305を設けた場合に、光源装置10を透過型光偏向ディスク310の斜め下方に配置して、透過型光偏向ディスク310の斜め下方から光ビームが、透過型光偏向ディスク310に入射するように構成してもよい。
さらにまた、実施の形態1、2で用いた透過型光偏向ディスク310については、図16および図17を参照して以下に説明するように、円周方向で傾斜角が連続的に変化する傾斜面を備えている構成を採用してもよい。
図16は、本発明の実施の形態の変形例に係る光ビーム走査装置に用いた透過型光偏向ディスクの概略構成を模式的に示す斜視図である。なお、本形態の光ビーム走査装置および透過型光偏向ディスクの基本的な構成は、実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
実施の形態1に係る透過型光偏向ディスク310では、周方向に複数の光偏向領域332に分割され、これらの光偏向領域332の各々に傾斜面333が形成されていたが、図16に示すように、透過型光偏向ディスク310のディスク面には、周方向に連続した傾斜面333が形成され、かつ、この傾斜面333は、半径方向に対する傾斜角度が周方向で連続的に変化している。
このように構成した透過型光偏向ディスク310は、図8を参照した例と同様、図16に示すx−x線、y−y線、z−z線で切断したときの断面は、図9(a)、(b)、(c)に示すように表され、半径方向における傾斜角度θwは、周方向で次第に増加または減少するようになっている。このため、透過型光偏向ディスク310を回転させながら、透過型光偏向ディスク310に光ビームを入射させると、光ビームは、透過型光偏向ディスク310を透過する際に、傾斜面333で屈折されて走査される。このように構成した場合は、レーザは連続発振させて分解能を最大限まで上げることが可能である。なお、傾斜面333は、周方向にも連続的に傾斜角度が変化しているが、入射するビーム径が小さいためこの方向の傾き変化は無視できるので、透過型光偏向ディスク310の接線方向への走査は無視できる。
図17は、本発明の実施の形態の変形例に係る光ビーム走査装置に用いた透過型光偏向ディスクの概略構成を模式的に示す斜視図である。なお、本形態の光ビーム走査装置および透過型光偏向ディスクの基本的な構成は、実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
実施の形態に係る透過型光偏向ディスク310では、周方向に複数の光偏向領域332が形成され、これらの光偏向領域332の各々には、傾斜角度θwが一定の傾斜面333が形成されていたが、本形態では、図17に示すように、周方向に複数の光偏向領域332が形成され、これらの光偏向領域332の各々には、周方向への傾斜角度θwが周方向で連続的に変化している傾斜面333が形成されている。この面の形状は接線方向で2次関数となっており、1次微分で表される傾きが接線方向に対して連続して変化するようになっている。このように構成した透過型光偏向ディスク310を用いた光ビーム走査装置でも、透過型光偏向ディスク310に入射した光ビームは、透過型光偏向ディスク310を透過する際に、傾斜面333で屈折されて、透過型光偏向ディスク310の接線方向に走査される。なお、図17では傾斜面333が片側のみに傾斜している例であったが、放物線のU形状としてもよいし、sinカーブにしてもよい。
また、図16および図17に示す透過型光偏向ディスク310の傾斜面に反射層を形成すれば、入射された光ビームを反射して出射する傾斜面がディスク面に形成された反射型光偏向ディスクを構成できる。このような反射型光偏向ディスクの動作などは実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
本発明に係る光ビーム走査装置では、光源装置から光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光を出射する。このため、第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方では光偏向素子の小型化を図ることができる。従って、光偏向素子については、その生産性を高めることができるとともに、最新の微細化技術を利用して、例えば、走査点数を増大させることのできる光偏向素子を提供することができる。また、光偏向素子を小型化すると、それを駆動する際のバランスも向上するので、精度の高い光走査を行うことができ、かつ、光偏向素子を駆動するモータなどの駆動機構についてもその小型化を図ることができる。

Claims (30)

  1. 光源装置と、該光源装置から出射された光ビームを光偏向素子によって所定の角度範囲にわたって走査させる光偏向機構とを有する光ビーム走査装置において、
    前記光源装置は、光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光を出射することを特徴とする光ビーム走査装置。
  2. 請求項1において、前記光源装置は、発光源と、該発光源から出射された光ビームを、光軸方向に直交する第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも一方で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光として導くレンズとを備えていることを特徴とする光ビーム走査装置。
  3. 請求項2において、前記発光源はレーザ発光素子であることを特徴とする光ビーム走査装置。
  4. 請求項2において、前記レンズには、前記第1の方向と前記第2の方向で発散角の異なる光ビームが入射し、
    前記レンズは、前記発光源から出射された光ビームを、前記第1の方向と前記第2の方向のうち、少なくとも発散角が大きい方向で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦させることを特徴とする光ビーム走査装置。
  5. 請求項2において、前記レンズには、前記第1の方向と前記第2の方向で発散角の異なる光ビームが入射し、
    前記レンズは、前記発光源から出射された光ビームを、前記第1の方向と前記第2の方向のうち、少なくとも発散角が小さい方向で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦させることを特徴とする光ビーム走査装置。
  6. 請求項2において、前記レンズは、前記発光源から出射された光ビームを、前記第1の方向および前記第2の方向の双方で前記光偏向素子あるいはその近傍で合焦する収束光として導くことを特徴とする光ビーム走査装置。
  7. 請求項2において、前記発光源から前記収束光の合焦位置までの距離が100mm以下であることを特徴とする光ビーム走査装置。
  8. 請求項2において、前記レンズは、正のパワーを有する非球面レンズ、トーリックレンズ、トロイダルレンズ、およびシリンドリカルレンズのうちのいずれかであることを特徴とする光ビーム走査装置。
  9. 請求項2において、前記レンズは、前記発光源側が正のパワーを備えた曲面であり、前記光偏向素子側が平面であることを特徴とする光ビーム走査装置。
  10. 請求項2において、前記光源装置は、前記発光源と前記レンズとの間に前記発光源を装着可能な凹部を備えたホルダ状絞り部材を備え、
    前記ホルダ状絞り部材における絞り開口の中心位置は、当該ホルダ状絞り部材の外形の中心位置と一致し、
    前記凹部の中心位置は、前記発光源において前記凹部に装着される部分の外形の中心位置が発光点から偏芯している寸法分だけ、前記ホルダ状絞り部材の外形の中心位置から偏芯していることを特徴とする光ビーム走査装置。
  11. 請求項10において、前記レンズと前記絞り開口とは外径寸法が略一致していることを特徴とする光ビーム走査装置。
  12. 請求項2において、前記レンズは、樹脂製であることを特徴とする光ビーム走査装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれかにおいて、前記光偏向機構は、前記光偏向素子としての多角柱状のポリゴンミラーと、該ポリゴンミラーをその軸線回りに回転させる駆動機構とを有していることを特徴とする光ビーム走査装置。
  14. 請求項13において、前記ポリゴンミラーに入射する光は、前記ポリゴンミラーの回転中心軸線に対して直交する方向で前記ポリゴンミラーあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることを特徴とする光ビーム走査装置。
  15. 請求項13において、前記ポリゴンミラーに入射する光は、前記ポリゴンミラーの回転中心軸線に対して直交する方向および平行方向の双方で前記ポリゴンミラーあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることを特徴とする光ビーム走査装置。
  16. 請求項1ないし12のいずれかにおいて、前記光偏向機構は、前記光偏向素子としての光偏向ディスクと、該光偏向ディスクを回転駆動する回転駆動機構とを有し、
    前記光偏向ディスクのディスク面には、周方向において分割された複数の光偏向領域が形成され、
    当該複数の光偏向領域は、入射された光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に出射することを特徴とする光ビーム走査装置。
  17. 請求項16において、前記光偏向機構は、前記光偏向ディスクとして透過型光偏向ディスクを有し、
    前記複数の光偏向領域の各々は、入射された光ビームを隣接する前記光偏向領域と異なる方向に屈折させて出射する傾斜面が形成されていることにより、入射してきた光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に出射することを特徴とする光ビーム走査装置。
  18. 請求項17において、前記傾斜面は、前記複数の光偏向領域の各々で半径方向に向かって傾斜しており、前記傾斜面の傾斜角度は、周方向に並ぶ前記複数の光偏向領域の各々で連続的に変化していることを特徴とする光ビーム走査装置。
  19. 請求項17において、前記傾斜面は、前記複数の光偏向領域の各々で周方向に向かって傾斜しており、前記傾斜面の傾斜角度は、周方向に並ぶ前記複数の光偏向領域の各々で連続的に変化していることを特徴とする光ビーム走査装置。
  20. 請求項17において、前記複数の光偏向領域は、周方向において放射状に分割されていることを特徴とする光ビーム走査装置。
  21. 請求項17において、前記光偏向ディスクに入射する光は、前記光偏向ディスクの周方向で前記光偏向ディスクあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることを特徴とする光ビーム走査装置。
  22. 請求項17において、前記光偏向ディスクに入射する光は、前記光偏向ディスクの周方向および半径方向の双方で前記光偏向ディスクあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることを特徴とする光ビーム走査装置。
  23. 請求項16において、前記光偏向機構は、前記光偏向ディスクとして反射型光偏向ディスクを有し、
    前記複数の光偏向領域の各々は、入射された光ビームを隣接する前記光偏向領域と異なる方向に反射して出射する傾斜面が形成されていることにより、入射してきた光ビームを隣接する光偏向領域と異なる方向に出射することを特徴とする光ビーム走査装置。
  24. 請求項23において、前記傾斜面は、前記複数の光偏向領域の各々で半径方向に向かって傾斜しており、前記傾斜面の傾斜角度は、周方向に並ぶ前記複数の光偏向領域の各々で連続的に変化していることを特徴とする光ビーム走査装置。
  25. 請求項23において、前記傾斜面は、前記複数の光偏向領域の各々で周方向に向かって傾斜しており、前記傾斜面の傾斜角度は、周方向に並ぶ前記複数の光偏向領域の各々で連続的に変化していることを特徴とする光ビーム走査装置。
  26. 請求項23において、前記複数の光偏向領域は、周方向において放射状に分割されていることを特徴とする光ビーム走査装置。
  27. 請求項23において、前記光偏向ディスクに入射する光は、前記光偏向ディスクの周方向で前記光偏向ディスクあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることを特徴とする光ビーム走査装置。
  28. 請求項23において、前記光偏向ディスクに入射する光は、前記光偏向ディスクの周方向および半径方向の双方で前記光偏向ディスクあるいはその近傍で合焦する光ビームになっていることを特徴とする光ビーム走査装置。
  29. 請求項1ないし12のいずれかにおいて、前記光偏向機構は、前記光偏向素子としての光偏向ディスクと、該光偏向ディスクを回転駆動する回転駆動機構とを有し、
    前記光偏向ディスクは、入射された光ビームを屈折させて出射する傾斜面がディスク面に形成された透過型光偏向ディスクであり、
    前記傾斜面は、半径方向あるいは周方向への傾斜角度が周方向で連続的に変化していることを特徴とする光ビーム走査装置。
  30. 請求項1ないし12のいずれかにおいて、前記光偏向機構は、前記光偏向素子としての光偏向ディスクと、該光偏向ディスクを回転駆動する回転駆動機構とを有し、
    前記光偏向ディスクは、入射された光ビームを反射して出射する傾斜面がディスク面に形成された反射型光偏向ディスクであり、
    前記傾斜面は、半径方向あるいは周方向への傾斜角度が周方向で連続的に変化していることを特徴とする光ビーム走査装置。
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