JPH10239621A - 光走査装置 - Google Patents

光走査装置

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JPH10239621A
JPH10239621A JP9046453A JP4645397A JPH10239621A JP H10239621 A JPH10239621 A JP H10239621A JP 9046453 A JP9046453 A JP 9046453A JP 4645397 A JP4645397 A JP 4645397A JP H10239621 A JPH10239621 A JP H10239621A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転多面鏡に光ビームを2度入射させて光ビ
ームの偏向・走査を行なう光走査装置において、伝達光
学系を構成するレンズや反射鏡などを高精度に取り付け
ることが可能あって、かつ光走査装置全体を収納する光
学ケースを安価に製造することを目的とする。 【解決手段】 光源と、光源からの光ビームを所定の特
性の整形光ビームに変換するビーム整形光学系と、整形
光ビームを第1の反射面で偏向し、少なくとも第1の反
射面と第2の反射面を有する回転多面鏡と、回転多面鏡
を駆動する偏向モーターと、回転多面鏡の第1の反射面
により偏向された光ビームを回転多面鏡の第2の反射面
に入射させる伝達光学系と、回転多面鏡の第2の反射面
で偏向された走査光ビームを所定の被走査面に結像させ
る走査光学系を有し、走査光ビームで被走査面を走査す
る光走査装置において、伝達光学系及び偏向モーターを
支持するベース部材を光走査装置のケースとは異なる部
材で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザービームプリ
ンターなどに用いられる光走査装置に関するもので、特
に回転多面鏡の反射面に光ビームが2度入射する光学系
を用いた光走査装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザービームプリンターなど画像記録
装置や、各種画像読込み、測定装置に用いられる光走査
装置においては、光ビームを偏向走査する偏向器として
回転多面鏡が多く用いられてきた。
【0003】これらの装置においては光ビームを被走査
面上において、直線あるいは曲線上を光走査装置によっ
て繰り返し走査し、被走査面に位置する被走査媒体を前
記の走査方向とはおおむね直交方向に相対移動させ2次
元の走査を行う。なお、前者の光走査装置による走査方
向を「主走査方向」とし、後者の被走査媒体の相対移動
方向を「副走査方向」と定義する。
【0004】近年、上記の装置においては解像度や処理
速度の向上のため、より高速の光走査装置が求められる
ようになってきている。光ビームの偏向に回転多面鏡を
用いた光走査装置では、走査速度(走査周波数)を上げ
るためには、 (1)回転多面鏡の回転数を上げる (2)回転多面鏡の面数を増加させる の2つの方法が考えられる。
【0005】回転多面鏡の回転数を上げるためには、高
速回転可能な軸受が必要になるが、現在最も多く用いら
れているボールベアリングでは毎分20000回転程度
が上限となる。エアベアリングを用いれば毎分3000
0回転以上の回転数で使用可能であるが、軸受が高価な
ため使用できる装置が限られる。特に、一般消費者向け
の安価なレーザービームプリンターなどには使えない。
【0006】一方、回転多面鏡の面数を増加させると、
1つの反射面当りの回転角度が小さくなってしまう。ま
た、個々の反射面の大きさを一定以上確保しようとする
と、回転多面鏡の直径が大きくなってしまう。
【0007】光走査装置では被走査面上に光ビームを結
像させて用いるが、レーザービームを走査する場合、小
さなスポットに結像させるには、光ビームの拡がり角に
応じて回転多面鏡の反射面は主走査方向にある一定の大
きさが必要である。ところが、回転多面鏡の面数を増加
させた場合、1つの反射面での回転角度が小さいため光
ビームの走査角も小さくなる。光ビームの走査角が小さ
いと、所定の走査幅を得るためには走査光学系の焦点距
離が長くなり、回転多面鏡から被走査面までの光路長も
伸びる。このため、回転多面鏡の反射面上での光ビーム
の主走査方向の直径も大きくなり、面数が少ない場合に
比べてより反射面が大きくなり、さらに一層回転多面鏡
の大きさが増加する。
【0008】すなわち回転多面鏡の面数が増加するに従
って、必要な反射面の大きさは面数の少ない場合に比べ
てより大きくなるという矛盾した特性をもつため、回転
多面鏡の大きさ(内接円筒の大きさ)が決まれば、面数
の上限が決まる。例えば、レーザービームプリンターに
用いる光走査装置において、所要走査幅350mm、波
長780nm、回転多面鏡の内接円筒の半径を25m
m、被走査面での主走査方向のスポット直径を50μm
以下にする場合、面数はおおむね7面が上限となる。
【0009】そこで、面数を多く取るために、回転多面
鏡の直径を大きくすると、回転多面鏡の重量や慣性2次
モーメントが増加し、回転に伴う空気抵抗(風損)も増
加するので、回転数が低く制限される。
【0010】このように回転多面鏡の面数、回転数とも
上限があり、かつ各々が矛盾する特性を有するので、そ
れを越える走査速度を得るために様々な走査装置が考案
されてきた。
【0011】例えば、特開昭51−100742号公報
記載の技術では、光源に半導体レーザーアレーを用い、
同時に複数のレーザービームで被走査面を走査すること
で、走査速度を向上させている。この方法によれば、回
転多面鏡の回転数を上げることなく、素子に集積された
レーザーの個数だけ走査速度を早めることができる。
【0012】一方、特開昭51−32340号公報で
は、光源から射出された光ビームを主走査方向に非常に
直径の小さい状態で回転多面鏡に入射させ、偏向された
光ビームを伝達光学系を介して再び回転多面鏡に入射さ
せる方法が開示されている。2回目に回転多面鏡に入射
した後に、光ビームは走査光学系によって被走査面上に
スポットとして結像する。すなわち、回転多面鏡に光ビ
ームを2度入射させている。
【0013】この後者の方法においては、光ビームが最
初に回転多面鏡に入射するときの主走査方向の光ビーム
の直径を2回目に入射する場合に比べて極めて小さく
し、かつ2回目に回転多面鏡に入射する光ビームが回転
する反射面の主走査方向の中心点を追従するように伝達
光学系を構成している。
【0014】このように構成することで、光ビームが最
初に回転多面鏡に入射する際には、光ビームの直径を極
端に小さくできるので、回転多面鏡の分割角度一杯まで
走査可能となる。第1の反射面で偏向された光ビームが
伝達光学系を経由して、2回目に回転多面鏡に入射する
際には、光ビームの直径は被走査面上で所定のスポット
を得るのに必要な大きさに拡大されるものの、反射面の
回転に追従するため、回転多面鏡の回転角度とは無関係
に光ビームの大きさを設定できる。従って、回転多面鏡
の反射面の主走査方向の大きさを小さくすることが可能
となり、小径で面数の多い回転多面鏡が使用可能とな
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】このように回転多面鏡
に光ビームが2度入射する光走査装置では、伝達光学系
を構成するレンズや反射鏡を高精度に取り付ける必要が
あるので、高精度の加工や成形技術が要求される。たと
えば収縮の少ないプラスチックの射出成形や、ダイキャ
ストの鋳物に対してさらに必要な部分に切削加工を行な
うなどの方法で製作される。ところが、このような方法
で製作された部品は、一般的なプラスチックの射出成形
部品や板金部品に比べて高価なものとなるという課題を
有していた。
【0016】上記の課題に鑑み本発明では、回転多面鏡
に光ビームを2度入射させて光ビームの偏向・走査を行
なう光走査装置において、伝達光学系を構成するレンズ
や反射鏡などを高精度に取り付けることが可能あって、
かつ光走査装置全体を収納する光学ケースを安価に製造
することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明の光走査装置では、光源と、光源からの光ビ
ームを所定の特性の整形光ビームに変換するビーム整形
光学系と、整形光ビームを第1の反射面で偏向し、少な
くとも第1の反射面と第2の反射面を有する回転多面鏡
と、回転多面鏡を駆動する偏向モーターと、回転多面鏡
の第1の反射面により偏向された光ビームを回転多面鏡
の第2の反射面に入射させる伝達光学系と、回転多面鏡
の第2の反射面で偏向された走査光ビームを所定の被走
査面に結像させる走査光学系を有し、走査光ビームで被
走査面を走査する光走査装置において、伝達光学系及び
偏向モーターを支持するベース部材を光走査装置のケー
スとは異なる部材で構成したことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】図1、図2は本発明による光走査
装置の実施例の概観を示す斜視図であって、図2は図1
より補正レンズ62及び第3の折り返し鏡93を取り除
いた状態を示す斜視図である。また、図3、図4は本発
明による光走査装置の実施例の主走査断面での平面図を
示す。図3、図4において回転多面鏡30の第1の反射
面31以降の光ビームについては、ビーム検出位置、走
査開始位置、走査光学系の光軸位置、走査終了位置の4
ヵ所での光ビーム位置を示している。図3は走査光学系
及び光ビーム検出光学系とその中を通過する光ビームを
示し、図4は伝達光学系とビーム整形光学系とその中を
通過する光ビームを示している。さらに、図5には本発
明による光走査装置の実施例のビーム整形光学系を含ん
だ副走査面内の断面図を示し、図6には本発明による光
走査装置の実施例の走査光学系を含んだ副走査面内の断
面図を示す。
【0019】光源には半導体レーザー11が用いられて
おり、発散光として射出されたレーザービームはコリメ
ータレンズ21で緩やかな集束角を持つ集束光ビームに
整形される。コリメータレンズ21の射出面は、球面収
差を減ずるために光軸に回転対称な非球面形状に形成さ
れている。
【0020】コリメータレンズ21を射出した光ビーム
は、入射側が平面で射出側が凹のシリンドリカル面であ
る整形レンズ22に入射する。整形レンズ22は主走査
方向にのみ負の屈折力を有しており、入射した集束光ビ
ームは主走査方向には比較的小さな直径の平行な光ビー
ムに変換される。一方、副走査方向においては、コリメ
ータレンズ21によって変換された集束光ビームのまま
である。以上に述べたコリメータレンズ21と整形レン
ズ22とでビーム整形光学系を構成している。
【0021】すなわち、図4に示すように回転多面鏡3
0の第1の反射面31に入射する光ビームは、主走査方
向には通常の光走査装置に比べて小さい直径を有する平
行光ビームで、副走査方向には第1の反射面31上に結
像するような集束光ビームである。なお、回転多面鏡3
0については後ほど説明する。
【0022】上記のように本発明の実施例においては、
半導体レーザー11から射出した光ビームの直径がある
程度広がった位置で、コリメータレンズ21で緩い集束
光ビームに変換し、さらにこのコリメータレンズ21か
ら距離をおいて凹のシリンドリカルレンズである整形レ
ンズ22を配して、主走査方向にのみ平行光ビームに変
換する。このため、コリメータレンズ21の焦点距離を
比較的大きくでき、そのことによってコリメータレンズ
21のレンズ面の曲率半径も大きくでき、レンズ面ある
いはそれを成形する金型の加工が容易になる。また、レ
ンズ面の大きさが大きくなることで、収差上レンズ面に
要求される精度が緩和され製造が容易となると同時に、
被走査面への結像性能も向上することが期待できる。
【0023】また、本発明の実施例においては、図4に
示すように、光源である半導体レーザー11から回転多
面鏡30の第1の反射面31に入射するまでの光路を長
く取れるので、主走査面内で見た場合の第1の反射面3
1から後で述べる伝達光学系の第1の反射鏡51までの
距離より、第1の反射面31から光源部までの距離を長
くなる。そのため、図5に示すように、光源部の上下方
向の空間的な制約がなく、特に半導体レーザー11の駆
動回路基板の大きさを任意に設定できる。そのため、半
導体レーザー11の高度な制御、特に階調制御を行なう
ための電子回路を半導体レーザー11の直近に集積する
ことができる。
【0024】整形レンズ22を出た光ビームは、回転多
面鏡30の第1の反射面31に入射する。第1の反射面
31に入射する光ビームが通過するビーム整形光学系の
光軸と、反射された光ビームが通過する伝達光学系の光
軸は、図4に示すように主走査面内では重なっている。
一方、図5に示すように、副走査面内において第1の反
射面31の垂線とは角度γ1を有している、すなわち副
走査面内で入射角γ1で入射している。従って、第1の
反射面31で反射され偏向される光ビームと入射光ビー
ムは副走査面内において角度2・γ1をなしており、互
いに干渉することがない。本実施例ではγ1を6゜とし
ている。
【0025】第1の反射面31で反射かつ偏向された光
ビームは、伝達光学系を構成する伝達レンズ第1群41
に入射する。伝達レンズ第1群41は入射側から順に、
平面と凸のシリンドリカル面からなる第1伝達レンズ、
凸のシリンドリカル面と平面からなる第2伝達レンズ、
凹のシリンドリカル面と平面からなる第3伝達レンズの
3枚で構成され、いずれのレンズも主走査方向にのみ屈
折力を有する。
【0026】伝達レンズ第1群41を出た光ビームは、
主走査方向に関しては集束光ビームとなり、伝達レンズ
第1群41の後ろ側焦点に一旦結像する。一旦結像した
光ビームは発散光ビームとなり、反射鏡51で反射され
て伝達レンズ第2群42に向かう。伝達レンズ第2群4
2は、入射側が凸のシリンドリカル面で射出側が平面の
第4伝達レンズ1枚で構成されている。伝達レンズ第2
群42は副走査方向にのみ屈折力を有する。
【0027】伝達レンズ第2群42を出た光ビームは、
伝達レンズ第3群43に入射する。伝達レンズ第3群4
3は、入射側が平面で、射出側が凸のシリンドリカル面
の第5伝達レンズ1枚で構成されている。伝達レンズ第
3群43は主走査方向にのみ屈折力を有する。
【0028】伝達レンズ第3群43を出た光ビームは、
主走査方向に関してはほぼ平行な光ビームとなる。この
平行光ビームは反射鏡52で光軸の向きを変えられて、
回転多面鏡30の第2の反射面32に入射する。第2の
反射面32に入射する光ビームは第1の反射面31での
偏向にともない、第2の反射面32の中心に追従するよ
う光ビームの中心が移動する。これらの伝達レンズ第1
群41から第3群43までの3群のレンズで伝達光学系
を構成している。
【0029】第2の反射面32に入射する平行光ビーム
の主走査方向の直径は、第1の反射面31に入射する平
行光ビームの直径に比べて数倍大きくなるが、第2の反
射面32の回転移動に追従して光ビームが移動するの
で、反射面の大きさをはみ出ることはない。
【0030】また、第2の反射面32に入射する光ビー
ムが通過する伝達光学系の光軸と、偏向された光ビーム
のが通過する走査光学系の光軸は、図4に示すように主
走査面内では重なっている。一方、図6に示すように回
転多面鏡30の回転軸を含む面内すなわち副走査面内で
は、第2の反射面32に対して垂直とは異なる斜め方向
に配置されている。この実施例においては、副走査面内
での第2の反射面32に入射する光ビームが反射面の垂
線に対する角度、すなわち入射角γ2を6゜としてい
る。
【0031】伝達光学系に置かれている反射鏡51、反
射鏡52には、フロートガラスの表面に反射膜を蒸着し
たミラーを用いている。連続的に生産されるフロートガ
ラスは、製造工程の進行方向とその直交方向で平面度が
異なる。本発明の実施例では、その平面度の良好な方向
を主走査方向に一致させることで、安価な反射鏡が利用
可能にしている。なお、ガラスの平面度を維持させるに
は所定の厚みが必要なことは、研磨ガラスでもフロート
ガラスでも同様であり、本実施例でも反射鏡51、52
には厚み5mmのガラスを用いて十分な平面度を得てい
る。
【0032】また、伝達光学系に限らずビーム整形光学
系に反射鏡を介在させる場合も上記と全く同様に、主走
査方向に平面度の良好な方向を一致させることで、安価
なフロートガラスが使用可能となる。さらに、このよう
なビーム整形光学系に介在する反射鏡は、本発明の実施
例のような回転多面鏡の反射面に光ビームが2度入射す
るような光学系のみならず、一般の走査光学系におい
て、回転多面鏡に光源からの光ビームを導く光学系に広
く適用できる。
【0033】本発明の実施例の伝達光学系を副走査断面
内で見ると、伝達レンズ第2群42のみが光学的に屈折
力を有しており、第1の反射面31と第2の反射面32
が光学的な共役関係になるように配置されている。この
ため、回転多面鏡30の第1の反射面31の各々が副走
査方向に倒れ誤差をもっていても、反射された光ビーム
は第2の反射面32上では副走査方向に同じ位置に入射
する。すなわち倒れ補正機能を有している。
【0034】次に、第2の反射面32で偏向された光ビ
ームは結像レンズ61、補正レンズ62に入射して集束
光ビームに整形された後に被走査面71上に結像する。
結像レンズ61と補正レンズ62とで、走査光学系を構
成しており、一定速度で回転する回転多面鏡30の回転
に伴って、等角速度で走査される光ビームを等線速で被
走査面上71を走査させる。
【0035】図6に示すように、結像レンズ61を出た
光ビームは、第1の折り返し鏡91で、回転多面鏡30
の上方に折り返される。この折り返された光ビームはさ
らに第2の折り返し鏡92で折り返され、補正レンズ6
2に入射する。補正レンズ62を出た光ビームは最後に
第3の折り返し鏡93で折り返されて、被走査面70に
向かう。これら3つの折り返し鏡は光走査装置の容器と
なる光学ケース82に取り付けられている。
【0036】このように、走査光学系の光軸を含む副走
査面内で見ると、後で述べるベース部材81あるいは光
学ケース82の上に、(A)伝達光学系の第2の反射鏡
52から回転多面鏡30の第2の反射面32に至る部
分、(B)走査光学系の回転多面鏡30の第2の反射面
32から、結像レンズ61を含み第1の折り返し鏡91
に至る部分、(C)第1の折り返し鏡91から第2の折
り返し鏡92に至る部分、(D)第2の折り返し鏡93
から、補正レンズ62と経由して第3の折り返し鏡93
に至る部分、の4段に光路が折り重なっている。
【0037】本発明の実施例においては、このような構
造をとることで、走査光学系全体の光路長にかかわら
ず、光走査装置の走査光学系の光軸方向の長さを短縮で
きる。
【0038】また、走査光学系内においては、光ビーム
が回転偏向するので、回転多面鏡30の第2の反射面3
2から離れるに従って、走査される光ビームの振れ幅が
増加し、必要な折り返し鏡の幅も増加していく。これに
対して上記のような構造の場合、光学ケース82の底面
から離れるに従って折り返し鏡の幅も増加するので、折
り返し鏡の両側にその保持部分を設けた場合に、下方
(光学ケース82の底面側)に位置するレンズや、走査
される光ビームに干渉することが避けられる。
【0039】また、光学ケースの表面側、すなわち回転
多面鏡や走査光学系を構成するレンズ群が載置されてい
る側に全ての折り返し鏡を配置しているので、組立・調
整・検査作業が容易なため製造費用が低下するととも
に、装置の信頼性も増す。
【0040】特に本発明の実施例のように、光学ケース
82の底面に近い側に、伝達光学系が位置する場合に
は、伝達光学系を構成する各伝達レンズや反射鏡を避け
て、折り返し鏡の支持部を設けることが容易となる。
【0041】被走査面上71に光ビームが結像して得ら
れるスポットは、回転多面鏡30の回転に応じた方向に
直線状に移動して走査線を形成する。本発明の実施例に
おいては、既に述べたように副走査面内おいて、回転多
面鏡30の回転軸に対して直角とは異なる方向で光ビー
ムが入射し、得られる偏向光ビームも回転多面鏡30の
回転軸に直角な方向とは異なる角度をもって偏向される
ので、偏向光ビームが掃引してできる面は平面ではなく
円錐面となる。従って、結像レンズ61や補正レンズ6
2に入射する光ビームの軌跡も湾曲しているが、被走査
面上71で得られる走査線は直線となるように、走査光
学系が構成されている。
【0042】被走査面71には走査対象物が設置され
る。本発明の光走査装置は主走査方向一方向にしか光ビ
ームを走査しないので、2次元走査を実現させるために
は走査対象物を主走査方向とは直交する副走査方向に移
動させる必要がある。この副走査方向の移動は、平板状
の媒体を直線状に移動させてもよいし、走査線の方向に
平行な回転軸を持つ円筒状の媒体を回転移動させてもよ
い。例えば本発明の光走査装置をレーザービームプリン
ターに用いる場合には、秘走査面71には感光体が置か
れ、光ビームの走査によって静電潜像を形成する。
【0043】ここで本発明の実施例の伝達光学系の光路
の配置の特徴について説明する。ここまでで述べたよう
に、本発明の実施例では、主走査面内で光走査装置の走
査範囲の中央付近を走査する時点での回転多面鏡30の
位置において、ビーム整形光学系の光軸と第1の反射面
31、あるいは回転多面鏡30の第2の反射面32に入
射する伝達光学系の光軸と回転多面鏡30の第2の反射
面32との位置関係は、各光学系の光軸が各反射面に対
してほぼ垂直になるように配置されている。
【0044】別の言い方をすると、回転多面鏡の2箇所
の反射面へ光ビームを導く各光学系の光軸が、回転多面
鏡の回転軸に対して、空間的な「ねじれの位置」にな
く、ほぼ交差する状態である。光学系の光軸と反射面の
このような位置関係を以後「正面入射」状態と定義す
る。
【0045】本発明の実施例では、このように「正面入
射」の配置をとることで、光ビームの断面直径に対し
て、回転多面鏡30の第2の反射面32の大きさを最も
有効に使用している。また、回転多面鏡30の第1の反
射面31に対して、ビーム整形光学系から入射する光ビ
ームは相対的に移動するが、反射点は入射する光ビーム
の対してほぼ垂直な方向に移動するので、移動に対する
反射面の大きさも最小限ですむ。
【0046】このように各反射面の大きさを小さくでき
るので、回転多面鏡30の大きさを最小にできる。従っ
て、回転多面鏡の慣性2次モーメント、重量、反射面に
働く遠心力を小さくでき、より高い回転数まで回転させ
ることが可能となった。
【0047】また、図6に示すように伝達光学系を構成
する各レンズや反射鏡と、走査光学系を構成するレンズ
を副走査面内において分離して配置できるので、これら
のレンズや反射鏡が主走査面内において互いに干渉する
ことがないので、レンズの大きさに制約がなく、良好な
光学特性を得ることができる。
【0048】次に伝達光学系の2つの反射鏡と各レンズ
の位置関係について考察する。上記のように本発明の実
施例では、図5、図6に示すように、伝達光学系の内で
第2の反射鏡52以降の部分の光軸と、走査光学系の光
軸は副走査面内で角度をもって配置されているので、主
走査面内ではレンズの大きさに制約がない。
【0049】さらに本発明の実施例では、回転多面鏡の
第1の反射面31と第1の反射鏡51の間に、伝達レン
ズ第1群41が位置しており、第2の反射鏡52と第2
の反射面32の間には、伝達レンズ第2群42、及び伝
達レンズ第3群43が位置している。すなわち、第2の
反射鏡52以降の伝達光学系の光軸上にはレンズが存在
しないので、伝達光学系のレンズと走査光学系のレンズ
が主走査面で見ても重なることがない。このため、走査
光学系のレンズ、特に結像レンズ61の大きさや取り付
け方法に制約がなくなり、光学的に最適な位置、大きさ
の結像レンズを用いることが可能となる。
【0050】次に本発明の実施例の伝達光学系とビーム
整形光学系あるいは走査光学系の位置関係について説明
する。
【0051】また図5あるいは図6でわかるように、伝
達光学系とビーム整形光学系あるいは走査光学系が主走
査面内で重なっている部分において、各レンズやミラー
を支えるベース部材81に対する光軸の上下関係を見る
と、伝達光学系の上あるいはベース部材81の底面から
遠い側にビーム整形光学系あるいは走査光学系が重なる
構造となっている。
【0052】本発明の実施例においては、このような構
造をとることで、ベース部材81から一体に成形されて
いて伝達光学系を構成するレンズや反射鏡を支持する部
分のベース部材81からの突出高さを低く押さえること
が可能となり、これらのレンズや反射鏡を精度よくベー
ス部材81に取り付けることができる。
【0053】これに対して、走査光学系を構成する結像
レンズ61、あるいは補正レンズ62の取り付け精度は
伝達光学系に比べればさほど高くなくてもよいので、ベ
ース部材81から高い位置に支持しても問題とならな
い。一方、ビーム整形光学系のレンズや光源の位置精度
は非常に厳しいが、あまりに要求精度が厳しいために調
整せざるを得ない。このため、ビーム整形光学系のレン
ズなどを支持する部材自身の位置精度はさほど高くなく
てもよく、むしろ調整の容易な構造が望まれる。この観
点においても、ビーム整形光学系が伝達光学系の上に位
置するほうが、調整作業が容易になり好ましい。
【0054】本発明においては、図8に示すように伝達
光学系の各レンズと2枚の反射鏡及び回転多面鏡を一体
の高精度の加工方向で製造されたベース部材81に取り
付け、他の部分は一般的な製造方法で製作される光学ケ
ース82に取り付けている。
【0055】例えば、ベース部材81の製造には、金属
をダイキャストで鋳造したものをレンズや反射鏡の取付
面のように精度の必要な部分のみ機械加工を施す方法が
好適である。また、プラスチックの射出成形方法を用い
る場合でも、最近開発されている成形後の収縮の小さい
特殊な成形方法等を用いれば所期の精度が得られる。
【0056】これに対して、光学ケース82は一般的な
加工方法で製作可能で、例えばガラス繊維入りのポリカ
ーボネイド樹脂を射出成形することで安価に製造でき
る。また、形状の工夫によっては板金のプレス加工によ
っても製作できる。
【0057】このように本発明においては、精度の必要
なベース部材81を必要最小限の大きさにとどめ、それ
以外の光学ケース82を比較的安価な製造方法で製作す
ることで、装置全体の製造コストを削減できる。
【0058】なお、この実施例においては平面的に見て
伝達光学系の上方に位置する結像レンズ61及び整形レ
ンズ22は、わざわざ光学ケース82に取り付けるよ
り、ベース部材81に取り付ける方が構造が簡単で、そ
のことによりベース部材81の大きさが増加することも
ないので、ベース部材81に取り付けてある。
【0059】次に、本発明の光走査装置の実施例の伝達
光学系の回転多面鏡30の反射面に対する追従作用を詳
しく説明する。図7は図4で説明した本発明の光走査装
置の伝達光学系を反射鏡51、反射鏡52について折り
返さずに引伸ばして主走査断面について示した図であ
る。但し、伝達レンズ第2群42は、主走査方向には屈
折力を持たないので省略してある。
【0060】伝達光学系を主走査方向について見ると、
伝達レンズ第1群41の後側焦点位置Pに、伝達レンズ
第3群43の前側焦点が一致するように置かれており、
これら2群のレンズ群でアフォーカル光学系を構成して
いる。従って伝達レンズ第3群43を通過した光ビーム
は再び平行光ビームとなり、反射鏡52で光軸の向きを
変えられて、回転多面鏡30の第2の反射面32に入射
する。
【0061】いま、第1の反射面31に入射する平行光
ビームのこの反射面の位置での直径wiとする。伝達光
学系はアフォーカル光学系を構成しているので、第2の
反射面32の位置では直径woの平行な光ビームに変換
される。ここで伝達レンズ第1群41の焦点距離をf
1、伝達レンズ第3群43の焦点距離をf2とすると、
woをwiで除した光ビームの直径の比の値は、f2を
f1で除した値に等しい。
【0062】ここで、回転多面鏡30がθ1だけ回転す
ると、第1の反射面31で光ビームは2・θ1だけ偏向
される。偏向された光ビームは伝達レンズ第1群41、
同第3群43を通過して、角度θ2で偏向される。この
光ビームは点Qで光軸と交差する。交差した後に第2の
反射面32に入射する位置において、偏向された光ビー
ムと光軸との距離はδとなり、このδは回転多面鏡3が
θ1回転したときの反射面の移動量に等しい。
【0063】このとき、偏向された光ビームは第2の反
射面32に対して角度θ2だけ入射角度が増大する側に
偏向するので、第2の反射面で反射された光ビームの走
査角θsは、θs=2・θ1+θ2とあらわされる。す
なわち、通常の1度しか回転多面鏡に入射しない方式、
あるいは第2の反射面32に対して光ビームが平行移動
しながら追従する方式に比べて光ビームの偏向角をθ2
だけ増大させることができる。
【0064】ところで、上記のように回転多面鏡の第1
の反射面31で偏向された光ビームの中心光線が伝達光
学系の光軸と交差する場所が回数がQ点のみの1箇所で
ある場合には、伝達光学系の途中にある光路折り返しの
ための反射鏡の数が偶数であると、第2の反射面32の
回転移動方向と光ビームが移動する方向が一致する。
【0065】より一般的に検討すると、偏向された光ビ
ームが光軸と交差する回数が奇数回のときは、折り返し
の反射鏡の数を偶数にすればいいことがわかる。伝達光
学系の折り返しの反射鏡は、その平面度が被走査面への
結像性能に影響を及ぼし、かつ反射率によって光学系の
パワー効率が低下させるので、なるべく数が少ない方が
よい。しかし、少なくとも1枚の反射鏡がないと、同一
の回転多面鏡に光ビームを戻すことができないので、最
小値は1となる。
【0066】また、回転多面鏡の第1の反射面から第2
の反射面までの距離を短くするためには、偏向された光
ビームが光軸と交差する回数も少ないほうがよく、現実
的にはまったく交差しないか、1回だけ交差するように
設定するのが望ましい。
【0067】これらの条件を考え合わせると、以下の4
つの組み合わせが現実的な選択肢である。 (1)偏向された光ビームが光軸と交差する回数が0回
で、折り返しの反射鏡の数が1枚。 (2)偏向された光ビームが光軸と交差する回数が0回
で、折り返しの反射鏡の数が3枚。 (3)偏向された光ビームが光軸と交差する回数が1回
で、折り返しの反射鏡の数が2枚。 (4)偏向された光ビームが光軸と交差する回数が1回
で、折り返しの反射鏡の数が4枚。
【0068】ところが(1)の場合では、反射鏡の数が
1であって、本発明のように回転多面鏡の2つの異なる
反射面に対して同時に「正面入射」状態を実現すること
ができないので採用できない。
【0069】また、(2)の場合は反射鏡の数が多いた
め、反射鏡の平面度の影響により結像性能が劣化する危
険性が増す。また、1つの反射鏡あたりの反射率を85
%とすると、反射鏡3面を経由した場合の光パワーの効
率は61%になってしまう。さらに、各反射面の取り付
け角度精度がそれぞれ光軸の方向に影響を与えるので、
光ビームが通過する位置精度を確保する上でも好ましく
ない。同様に(4)の場合はもう1枚反射鏡の数が増加
するので、上記(2)の課題はより厳しくなる。
【0070】従って、本発明に実施例では、図4に示す
ように、上記の(3)に相当する伝達光学系の光路の折
り返しの反射鏡の数を2とし、伝達光学系の中を偏向さ
れて移動する光ビームと伝達光学系の光軸との交差個所
を1ヵ所にすることで、回転多面鏡30への光ビームの
入射を正面入射とした上で、反射鏡の数を最小にして光
パワーの減衰を小さくすると同時に、伝達光学系の光路
長も短縮することが可能となった。
【0071】次に回転多面鏡30の反射面数について説
明する。本発明の実施例においては、回転多面鏡30の
面数を4の倍数である12としている。回転多面鏡30
の面数を4の倍数とすることで、回転多面鏡30の同時
に使用する2つの反射面のなす角度を90度とすること
が可能である。回転多面鏡30の回転軸に対する反射面
の倒れ誤差や位置誤差の内、1回転の中で緩やかに(お
おむね正弦波状に)変化する成分については、2つの反
射面の位相が90度ずれているため、第1の反射面3
1、第2の反射面32の両方が同時に最悪の値となる場
合がないので、反射面の倒れ誤差や位置誤差の影響を緩
和できる。また、この効果は本発明の実施例のように正
面入射する構成をとる光学系のみならず、同一の回転多
面鏡に光ビームが2度入射する光走査装置に広くあては
まるものである。
【0072】また、図4に示すように主走査面内におい
て第1の反射面31に入射する光ビームと、伝達光学系
を経由して第2の反射面32に入射する光ビームのなす
角度ηを90度とすることが可能となった。このように
配置することで、第1の反射面31から第2の反射面3
2に至る光軸上の距離を適切に確保でき、最適な構成の
伝達光学系を得ることができる。
【0073】さらに、光走査装置の機構的な設計を考え
ると、ビーム整形光学系の光軸と、走査光学系の光軸が
直交している方が、各要素をレイアウトするのが容易で
あるというで利点もある。
【0074】一方、回転多面鏡の加工方法を考察する
と、反射面の加工機械における割り出し角度が整数に限
定されることが多い。つまり隣接反射面の角度が360
の約数となる。従って、回転多面鏡の形状を正多角形
(正多面体)にするためには、10面、12面、15
面、18面等の面数の多面鏡は加工できるが、11面、
13面、14面、16面、17面は加工できない場合が
ある。この条件と上記に述べた4の倍数である条件とを
考慮すると、本発明の実施例に示すごとく回転多面鏡3
0の面数Nは12面であるのが、装置の設計上も、多面
鏡の加工上も好適である。
【0075】もちろん、回転多面鏡の各反射面のなす角
度を均等ではないようにすれば上記の制約はないが、各
反射面の大きさが不同になり、小さい反射面にあわせて
光学系を設計せねばならぬため多面鏡の大きさには無駄
が生ずる。
【0076】次に本発明の実施例の光ビーム検出方法に
ついて説明する。一般に光走査装置を画像記録装置や画
像入力装置に応用する場合には、各走査の基点となる同
期信号を発生させる手段が必要になる。本発明の光走査
装置の実施例においては、被走査面上の有効走査領域を
走査する手前の位置で、光ビームを光ビーム検出器63
に導き、光ビームの到達を電気信号に変換することで同
期信号を得ている。この光ビーム検出器63は必ずしも
被走査面上71になくてもよい。しかし、光走査装置と
しては、この光ビーム検出器63の位置から有効走査領
域の後端までが所要の走査範囲となる。
【0077】より詳しく説明すると、回転多面鏡30で
偏向された光ビームは、結像レンズ61で主走査方向に
集束光ビームに変換された後に、第1の折り返し鏡9
1、第2の折り返し鏡92で折り返され、図9に示すよ
うに補正レンズの直前に設けられた分離鏡64で本来の
被走査面71へ向かう光路とは分離された後に、再び第
2の折り返し鏡92を経て、光ビーム検出レンズ65で
副走査方向に集束する光ビームに変換された後に、光ビ
ーム検出器63に入射する。図9では光ビーム検出器6
3に入射する光ビームをLsという記号で示している。
【0078】このように、折り返し鏡を何枚も用いて走
査光学系の光路を複雑に折り返したような光走査装置に
おいても、検出用の光ビームを検出器に導く反射鏡を新
たに設ける必要がないため、走査光学系の構成が非常に
シンプルになる。
【0079】回転多面鏡30の第2の反射面32を基準
とすると、光ビーム検出器63は走査光学系の光軸上に
おいては被走査面71と同じ距離にある。また、副走査
面内でみると、光ビーム検出器63の位置は、被走査面
71と同様に回転多面鏡30の第2の反射面32に対し
て光学的に共役となるように、光ビーム検出レンズ65
が設けられている。
【0080】光ビームの偏向の周期の中で、光ビームが
分離鏡64を横切る間は被走査面71には光ビームは到
達しない。光ビーム検出器63で、光ビームの到達を検
出するためには、光ビームが光ビーム検出器63に達す
る直前に、光源を点灯させる必要がある。この点灯期間
における光ビームが、補正レンズ62に入射しないよう
に、分離鏡64の取付部の走査上流に位置する部分に
は、遮蔽板66が設けられている。
【0081】また、本発明の実施例においては、図8に
示すように、主走査面内において、光ビーム検出器63
の表面は入射してくる光ビームに対して傾斜しており、
光ビーム検出器63の素子を封入してあるパッケージの
表面、あるいは素子自体の表面で反射される反射光Lg
は、第2の折り返し鏡92で反射されて上記の遮蔽板6
6に向かうため、補正レンズ62を通過して被走査面7
1に達してしまうことを防止している。
【0082】次に本発明の実施例の光走査装置のゴース
ト像の発生を防止する構造について説明する。本発明の
実施例においては、図10に示すように反射面33と結
像レンズ61の間に遮蔽板34を設けて、平面である伝
達レンズ第1群の第1伝達レンズの入射面で反射された
光ビームが、結像レンズ61に入射するのを防止してい
る。また遮蔽板34は、回転多面鏡30の第2の反射面
32で偏向される本来の走査光ビームを遮らない位置に
置かれていることは言うまでもない。
【0083】なお、光学系の構成によっては、ゴースト
像を生じさせる光ビームは第1の反射面31に隣接する
反射面33ではなくさらに隣の反射面である場合も有り
得る。そのような場合でも問題となる反射面と結像レン
ズ31の間に遮蔽板34を置くことで全く同様な効果を
有する。
【0084】次に以上に述べた実施例の光学系の調整方
法について図2、図4を用いて説明する。ビーム整形光
学系から出た整形光ビームは回転多面鏡30の第1の反
射面31に入射するが、その光軸の延長線上に、副走査
方向に平行なエッジを持つナイフエッジ(M)83、主
走査方向に平行なエッジを持つナイフエッジ(S)84
が光学ケース82と一体に設けられている。またこれら
のナイフエッジの先端がビーム整形光学系の光軸L1と
一致している。なお、本実施例では光学ケース82の側
壁の下部を切り欠いてナイフエッジ(S)84を設けて
いる。
【0085】この2つのナイフエッジの周辺には、図4
に示すように前記のビーム整形光学系の光軸上におい
て、ナイフヘッジ(M)83の手前に切り欠き部A、ナ
イフエッジ(M)83とナイフエッジ(S)84の間に
切り欠き部Bが設けられており、ナイフエッジの通過前
後の光パワーを検出するためのセンサが進入できるよう
になっている。
【0086】実際の調整作業は、回転多面鏡30を取り
外した状態で、ビーム整形光学系を通過した光ビームを
上記の2つのナイフエッジに照射することで行なう。ビ
ーム整形光学系を通過した光ビームは、主走査方向にお
いては平行な光ビームである。一方、副走査方向におい
ては回転多面鏡30の第1の反射面31に結像するよう
な集束光ビームである。従って、ナイフエッジの位置に
おいては、光ビームは副走査方向にはある程度広がって
いる。
【0087】まず、上記の切り欠き部Aに光パワーを検
出するセンサを挿入し、光ビームのパワーを測定する。
次に切り欠き部Bにセンサを挿入し、ナイフエッジ
(M)83を通過する光ビームの光パワーを測定する。
このときナイフエッジ(M)83の先端はビーム整形光
学系の光軸に一致しているので、切り欠き部Bでの光パ
ワーを切り欠き部Aで計った光パワーのちょうど半分に
なるように半導体レーザー11あるいはコリメータレン
ズ21を主走査方向に調整すれば、ビーム整形光学系の
主走査方向の調整が正しく行われたことになる。
【0088】同様に切り欠き部Bの光パワーとナイフエ
ッジ(S)84の後ろ側、すなわち光学ケース81の外
側の光パワーを比較し、ちょうど半分の光パワーにるよ
うに半導体レーザー11あるいはコリメータレンズ21
を副走査方向に調整すれば、ビーム整形光学系の副走査
方向の調整が終わる。既に述べたようにナイフエッジの
位置では副走査方向には光ビームが広がっているので、
検出精度は低下するが実用上は十分な精度であり問題は
ない。
【0089】このような調整方法を用いることで、光学
ケース82に半導体レーザー11とビーム整形光学系を
取り付けただけで他の光学素子を取り付けない状態で調
整作業が可能となるので、回転多面鏡30の反射面31
以降に位置する光学素子の誤差の影響を受けずに正確な
調整が可能となる。
【0090】また、光走査装置の組立工程の中間ステッ
プでの光学特性の確認が可能であるので、段階的な品質
保証が可能となり、製品の品質確保作業が容易になる。
【0091】さらに、ナイフエッジを通過する光パワー
を比較するだけで調整作業が行えるので、被走査面71
上で結像性能を測定する場合に必要となるような大がか
りな測定装置が不要となる。
【0092】その上、2つのナイフエッジは光学ベース
82に一体に成形されているので、別部材で構成された
治具を使用する場合に比べて、光ビームの位置を正確に
調整することが可能となる。
【0093】このようなビーム整形光学系の光軸と直交
方向への光ビームの位置の調整作業は、半導体レーザー
11を移動させて行うか、あるいはコリメータレンズ2
1を移動させても行える。本実施例では半導体レーザー
11をその駆動回路を実装した回路基板と一体で、光軸
と直交方向の上下左右に移動させて調整しているが、コ
リメータレンズ21を移動させても同様の効果が発揮さ
れる。
【0094】このように、調整されたビーム整形光学系
を射出した光ビームも、伝達光学形に存在する反射鏡5
1、反射鏡52や、走査光学系の3つの折り返し鏡を通
過することで、各ミラーの副走査方向の取付角度精度の
影響を受け、補正レンズ62に副走査方向に入射する位
置が変動する。
【0095】本発明の実施例においては、伝達光学系の
第1の反射鏡51あるいは第2の反射鏡52、さらに走
査光学系内の第1の折り返し鏡91、第2の折り返し鏡
92、第3の折り返し鏡93の5箇所の反射ミラーのう
ちのいずれかを副走査面内に回転させることで、補正レ
ンズ62に入射する光ビームの位置を調整している。
【0096】例えば第1の反射鏡51を副走査面内で回
転させて調整することで、他の反射ミラーの調整は不要
になる。特に第1の反射鏡51は上記の5つの反射ミラ
ーの中で最も光源に近いので、それより下流にある反射
ミラーを調整する場合に比べて、光路の途中の誤差を小
さくできる。
【0097】このように補正レンズ62に対する光ビー
ムの副走査方向の位置を基準に、上記の5箇所の反射ミ
ラーの内の1つの副走査方向の角度を調整することで、
他の4箇所の反射ミラーを調整する必要はなくなる。さ
らに、1箇所の反射ミラーを調整するだけで、補正レン
ズ62に対して光ビームを副走査方向において正確な位
置に入射させることが可能になり、光ビームの被走査面
上での良好な結像性能を得ることができる。
【0098】また、補正レンズ62上において副走査方
向に光ビームの入射位置が所定の範囲に入るように調整
されるので、補正レンズ62の直後にある被走査面71
上に結像するスポット、あるいはその軌跡として形成さ
れる走査線の副走査方向の位置もおおむね正規の位置に
おかれる。
【0099】あるいは本発明の実施例においては、回転
多面鏡の第1の反射面31以降にある5箇所の反射ミラ
ーの調整は一切行わず、第1の補正レンズ62を副走査
方向に変位させることで、補正レンズ61に入射する光
ビームに対する副走査方向の相対位置を所定の範囲にし
ている。そして、このような調整を補正レンズ62の左
右、すなわち走査の開始端、終了端で独立して行うこと
ができるので、開始側、終了側それぞれ独立して最適な
結像性能をうることができる。
【0100】
【発明の効果】以上で述べたように本発明の光走査装置
では、伝達光学系を構成するレンズ群及び反射鏡、回転
多面鏡を高精度なベース部材に取り付けて、他の光学素
子を比較的精度の低い加工方法で製造される光学ケース
に取り付けることで、装置全体の製造費用を削減できる
という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における光走査装置の全体の概
観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例における光走査装置において長
尺レンズ及び第3の折り返し鏡を除いて描いた全体の概
観を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例における光走査装置の走査光学
系を含む主走査面内での平面図である。
【図4】本発明の実施例における光走査装置の伝達光学
系を含む主走査面内での平面図である。
【図5】本発明の実施例における光走査装置のビーム整
形光学系を含む副走査面内での断面図である。
【図6】本発明の実施例における光走査装置の走査光学
系を含む副走査面内での断面図である。
【図7】本発明の実施例における光走査装置の伝達光学
系の主走査面内における展開図である。
【図8】本発明の実施例における光走査装置の光学ベー
スと光学ケースの関係を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施例における光走査装置の光ビーム
検出器に光ビームを導く光学系の斜視図である。
【図10】本発明の実施例における光走査装置の回転多
面鏡の周囲と遮蔽板を示す平面図である。
【符号の説明】
11 ・・・・ 半導体レーザー 21 ・・・・ コリメータレンズ 22 ・・・・ 整形レンズ 30 ・・・・ 回転多面鏡 41、42、43・・・ 伝達レンズ 51、52 ・・・・ 反射鏡 61 ・・・・ 結像レンズ 62 ・・・・ 補正レンズ 63 ・・・・ 光ビーム検出器 71 ・・・・ 被走査面 81 ・・・・ 光学ベース 82 ・・・・ 光学ケース 91、92、93 ・・・・ 折り返し鏡

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源と、前記光源からの光ビームを所定の
    特性の整形光ビームに変換するビーム整形光学系と、前
    記整形光ビームを第1の反射面で偏向し、少なくとも前
    記第1の反射面と第2の反射面を有する回転多面鏡と、
    前記回転多面鏡を駆動する偏向モーターと、前記回転多
    面鏡の前記第1の反射面により偏向された光ビームを前
    記回転多面鏡の前記第2の反射面に入射させる伝達光学
    系と、前記回転多面鏡の前記第2の反射面で偏向された
    走査光ビームを所定の被走査面に結像させる走査光学系
    を有し、前記走査光ビームで前記被走査面を走査する光
    走査装置において、前記伝達光学系及び前記偏向モータ
    ーを支持するベース部材を前記光走査装置のケースとは
    異なる部材で構成したことを特徴とする光走査装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100419495C (zh) * 2005-05-19 2008-09-17 夏普株式会社 光扫描装置以及图像形成装置
US7619643B2 (en) 2003-11-11 2009-11-17 Ricoh Co., Ltd. Method and apparatus for image forming capable of effectively avoiding an adverse temperature effect to an optical scanning system

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