JPWO2006051778A1 - 生体情報測定用光学素子およびそれを用いた生体情報測定装置 - Google Patents

生体情報測定用光学素子およびそれを用いた生体情報測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2006051778A1
JPWO2006051778A1 JP2006544890A JP2006544890A JPWO2006051778A1 JP WO2006051778 A1 JPWO2006051778 A1 JP WO2006051778A1 JP 2006544890 A JP2006544890 A JP 2006544890A JP 2006544890 A JP2006544890 A JP 2006544890A JP WO2006051778 A1 JPWO2006051778 A1 JP WO2006051778A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
biological information
groove
optical element
light transmitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006544890A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4047907B2 (ja
Inventor
内田 真司
真司 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP4047907B2 publication Critical patent/JP4047907B2/ja
Publication of JPWO2006051778A1 publication Critical patent/JPWO2006051778A1/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/0059Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons using light, e.g. diagnosis by transillumination, diascopy, fluorescence
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/25Colour; Spectral properties, i.e. comparison of effect of material on the light at two or more different wavelengths or wavelength bands
    • G01N21/27Colour; Spectral properties, i.e. comparison of effect of material on the light at two or more different wavelengths or wavelength bands using photo-electric detection ; circuits for computing concentration
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/47Scattering, i.e. diffuse reflection
    • G01N21/4738Diffuse reflection, e.g. also for testing fluids, fibrous materials
    • G01N21/474Details of optical heads therefor, e.g. using optical fibres
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B2562/00Details of sensors; Constructional details of sensor housings or probes; Accessories for sensors
    • A61B2562/14Coupling media or elements to improve sensor contact with skin or tissue
    • A61B2562/146Coupling media or elements to improve sensor contact with skin or tissue for optical coupling
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/145Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue
    • A61B5/14532Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue for measuring glucose, e.g. by tissue impedance measurement

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

生体情報に関する複数の光学パラメータを測定することのできる生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置を提供する。生体に光を照射し、生体の組織により吸収・散乱された光を用いて生体の情報を測定する生体情報測定用光学素子を、生体に光を出射または受光する、互いに異なる少なくとも2つの光透過体を備え、その光透過体は、生体と接触する生体接触部を有する構造とする。

Description

本発明は、生体の組織を光学的に測定することによって、体液中のグルコース、コレステロール、尿素またはトリグリセリド等を非侵襲的に測定するために使用する生体情報測定用光学素子、ならびに前記光学素子を用いた生体情報測定装置に関する。
従来、生体表面と当接する凹部を備えた光学素子を用いて、生体情報を測定する方法が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示された生体情報測定装置は、図10に示すように、光源11と、表面に複数の凹部621、622、623、624、625と凸部631、632、633、634、635、636を有する生体情報検出用接触子と、光検出器16と、信号処理部64と、表示装置65とを備えている。
この生体情報測定装置を使用する場合、生体情報検出用接触子の表面を生体組織66に接触させ、上記凸部631、632、633、634、635、636が生体組織66に押し込まれた状態で、光源11からの光を、生体情報検出用接触子から上記凹部621、622、623、624、625と接触している生体組織66に入射させる。
生体組織66内を光が伝播した後、生体情報検出用接触子に入射し、生体情報検出用接触子から出射した光を光検出器16にて検出する。凹部621、622、623、624、625の深さを調節することで、測定対象となる生体組織66の深さを制御することができ、特定層の光学特性が決定される。
国際公開第01/58355号パンフレット
しかしながら、上記のような従来の光学測定方法および光学測定装置は、以下のような問題点を有していた。すなわち、上記従来の方法では、複数の凹部621、622、623、624、625および凸部631、632、633、634、635、636のうち、例えば、ある凹部622を他の位置にある凹部623よりも深く形成することにより、異なる深さの情報を測定していた。ところが、単一の生体情報検出用接触子を用いていたため、凹部622を経由した光と凹部623を経由した光とを分離することが困難であり、両者の信号が混信するおそれがあった。
そこで、本発明は、上記のような事情に鑑み、生体中の異なる深さを通過した光に基づく複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することのできる生体情報測定用光学素子、および生体情報測定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、
生体に光を照射し、前記生体の組織により帰還された光を用いて前記生体の情報を測定する生体情報測定用光学素子であって、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を提供する。
ここで、本発明の生体情報測定用光学素子は、前記第1の光透過体を複数個含んでもよく、前記第2の光透過体を複数個含んでもよい。もちろん、前記第1の光透過体および前記第2の光透過体のいずれも複数個含んでも構わない。
また、前記第1の光透過体は、前記第1の溝部を1つしか含まなくても、複数個含んでもよい。同様に、前記第2の光透過体も、前記第2の溝部を1つしか含まなくても、複数個含んでもよい。
また、本発明は、
生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を用い、
前記生体情報測定用光学素子と接触した生体に光を照射する工程、
前記生体から前記第1の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、
前記生体から前記第2の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、および
検出された前記第2の溝部に帰還した光の強度と前記第1の溝部に帰還した光の強度との差に基づき、前記生体の真皮層における生体情報を得る工程を含む生体情報測定方法を提供する。
さらに本発明は、
光源と;上記生体情報測定用光学素子と;前記光学素子から出射された光を検出する光検出器と;前記光検出器により得られた情報を演算することにより生体情報を算出する演算器と;を備える生体情報測定装置をも提供する。
本発明によれば、生体中の異なる深さを通過した光に基づいて、複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することができる。
本発明の実施の形態1に係る生体情報測定用光学素子とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。 生体の皮膚の構造を示す概要図である。 生体情報測定用光学素子13の溝部18(第1の溝部18a、第2の溝部18bおよび/または第3の溝部18c)が生体組織に密着された様子を示す概略断面図である。 生体組織の浅い位置を測定する場合の溝部18(すなわち第1の溝部18a)付近の様子を示す図である。 生体組織の深い位置を測定する場合の溝部18(すなわち第2の溝部18b)付近の様子を示す図である。 光分割手段14の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態2に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。 図7において光が出射する側(矢印Xの方向)から生体情報測定用光学素子13を見たときの図である。 本発明の実施の形態3に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。 従来の生体情報測定装置の構成を示す概略図である。
本発明の生体情報測定用光学素子は、生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備えること、を特徴とする。
このような構成により、互いに異なる少なくとも2つの光透過体を備えるという簡易な構成により、生体中の異なる深さを通過した光に基づく複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することが可能である。
ここで、前記少なくとも2つの光透過体の間に、前記光を吸収または反射させる光遮蔽体を有することが好ましい。このような構成によれば、光透過体中を透過する光が隣り合う光透過体に入射することを光遮蔽体が防止するため、その光透過体で検出された信号と混信するおそれがなくなるため、より正確な測定が可能となる。
また、前記第1の光透過体、前記第2の光透過体および光遮蔽体が、前記第1の光透過体と前記第2の光透過体との間に前記光遮蔽体を挟まれるように、互いに積層されていることが好ましい。
上記生体情報測定層素子においては、前記第1の光透過体の生体接触部および前記第2の光透過体の生体接触部のうち、少なくとも一方の生体接触部に、前記生体に光を照射して前記組織を通過した光を受光する溝部を設けるのが好ましい。
このような構成によれば、特に前記溝部によって、生体組織の特定の部分に光を照射して出射光を得て、当該部分を測定することが可能になる。
また、本発明に係る生体情報測定用光学素子は、生体の表面を測定するための光透過体(第3の光透過体)をさらに備えていてもよい。
このような構成によれば、生体の均一性や光学素子の表面状態をさらに詳細に評価することができ、測定の異常を検知することができ、より高精度な測定が可能となる。
また、本発明は、光源と;上記生体情報測定用光学素子と;前記光学素子から出射された光を検出する光検出器と;前記光検出器により得られた情報を演算することにより生体情報を算出する演算器と;を備える生体情報測定装置をも提供する。
かかる本発明の生体情報測定装置によれば、安定かつ非侵襲的に、生体組織中の標的成分の濃度を測定することができる。
以下において、本発明に係る生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置の一実施の形態を、図面に参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態は一例であり、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
なお、以下の説明においては、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
《実施の形態1》
図1は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定用光学素子とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。図1に示すように、本実施の形態における生体情報測定装置100は、光源11、光学レンズ12、生体情報測定用光学素子13、光分割手段14、分光手段15、光検出手段16とから構成されている。
光分割手段14と分光手段15との位置関係は、図1に示される位置に限定するものではない。光源11と生体情報測定用光学素子13との間に、光分割手段14および分光手段15を挿入しても構わない。また、分光手段15および光分割手段14を用いずに、光源11の波長を変化させることで分光機能を実現しても構わない。
光源11としては、生体組織における測定対象物(物質)が吸収し得る波長の光成分を含む光を発することができる光源であればよい。中赤外領域の光を発する光源としては、例えばSiCを棒状に焼結したグローバ光源、COレーザ、タングステン灯、赤外パルス光源および量子カスケードレーザー(QCL)光源などを用いることができる。
グルコースのように、波数1033cm−1、1080cm−1付近などの中赤外域に強い吸収ピークがあるような物質を測定する場合には、特に限定するものではないが、グローバ光源、赤外パルス光源およびQCL光源が好ましい。また、近赤外領域に吸収がある物質を測定する場合には、例えば、ハロゲン光源、半導体レーザおよびLEDなどを用いるのが好ましい。なお、グルコースは、中赤外領域だけでなく、近赤外領域にも吸収ピークがあることが知られており、この点からLEDを用いることが特に好ましい。
光学レンズ12および光透過体17を構成する材料としては、当該分野で公知のものを用いることができる。例えば、中赤外に吸収がある物質を測定する場合は、シリコン、ゲルマニウム、SiC、ダイアモンド、ZnSe、ZnSおよびKrSなどを用いることができる。
ここで、グルコースのように、波数1033cm−1あるいは1080cm−1の中赤外領域に吸収ピークがある物質を計測する場合には、約9〜10ミクロンの赤外波長で透過率が高く、加工性や機械的強度も高いという観点から、シリコンまたはゲルマニウムが特に好ましい。また、近赤外領域に吸収がある物質を測定する場合は、溶融石英、単結晶シリコン、光学ガラス、プラスティックを用いるのが好ましい。
本実施の形態における生体情報測定用光学素子13は、第1の光透過体17aとこれを挟む位置に配置された2つの第2の光透過体17bとを具備し、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bは、それぞれ第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを具備する。ただし、第2の溝部18bは第1の溝部18aよりも深い構成を有している。
第1の溝部18aおよび第2の溝部18bの形状に関しては、製造の容易性などの観点から、例えば、図1に示したようなV字型溝を用いるのが好ましい。第1の溝部18aおよび第2の溝部bの形状はV字型に限定されるものではなく、例えばU字状、凹状または階段状などであってもよい。なお、図1において第1の溝部18aおよび第2の溝部18bは同じ形状を有しているが、異なる形状を有していてもよい。
第1の溝部18aおよび第2の溝部18bは、公知の製造技術を利用することによって形成することができる。
例えば、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bを構成する材料としてシリコンまたはゲルマニウムなどの結晶を用いる場合には、異方性エッチング技術を利用して第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
また、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bを構成する材料として樹脂を用いる場合には、成形法を用いて第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bの作製と同時に第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
図1における第1の光透過体17aは、2つの第2の光透過体17bよりも浅い第1の溝部18aを有しており、生体の表面を測定するために用いることができる。すなわち、第1の光透過体17aによって生体の均一性や光学素子の表面状態をさらに詳細に評価し、測定の異常を検知してより高精度な測定が可能となる。
一般に、汗や、汚れ、唾液などが生体と測定部の間に多く存在したり、また測定毎にその量や質が変化したりすると、正確な測定が困難となる場合がある。
そこで、本実施の形態では、第2の溝部18bが設けるのが好ましい。これにより、皮膚表面の数10μmオーダーの範囲に多く存在する、汗や、汚れ、唾液などの存在を容易に得ることができる。かかる第2の溝部18bとしては数10μm以上の溝深さが好ましい。これを採用することによって、皮膚の汚れや、皮膚への密着性、また、皮膚の表面状態の均一性を容易に検知することができる。この検知結果を用いて異常検知を行えば、より高精度な測定が実現できる。
すなわち、第2の溝部18bからの帰還光のスペクトルを測定し、特定波長での吸光度を算出し、基準値からのズレを判定することで、異常を判断することができる。例えば、表層に汗や、唾液などが多く存在する場合は、水とほとんど同じ吸光度となるため、判定ができる。
検知結果が水と同じような吸光度となった場合には、正確な測定が困難なため、測定を中止し、皮膚表面から水分等の汚れを拭き取ることが好ましい。
皮膚への密着性や、皮膚の表面状態の均一性に異常があるかどうかは、第2の光透過体17bを2つ設けることによって第2の溝部18bを2つ設けることで行うのが好ましい。
すなわち、2つの第2の溝部18bからの信号を比較して、大きく違う場合は、皮膚の表面状態が均一でないか、密着性に問題があるため、測定を中止し、生体組織の表面の汚れを拭き取ることが好ましい。また、2つの第2の溝部18bからの信号が等しくても、表層が著しく汚れている信号を含んでいる場合は、測定を中止し、皮膚表面の汚れを拭き取ることが好ましい。汚れとしては、水以外に、油などが考える。
2つの第2の溝部18bからの信号が適切でほぼ等しい場合には、生体表面の状態が均一であるとともに、密着も適切であると判断される。そのため、このように判断された場合には測定を開始し、2つの第2の光透過体17bの間に設置された第1の光透過体17aの第1の溝部18aにより生体情報を測定する。
これにより、2つの第2の溝部18bを用いて光学素子の表面状態やその均一性を評価することにより、光透過体のみを用いる場合よりもさらに高精度な測定を実現することができる。
また、第1の光透過体17aと第2の光透過体17bとの間には、例えばスペーサーを挟んで隙間を設けても構わない。このような構成によれば、隙間に存在する空気の屈折率と、光透過体の屈折率の差により光が反射され、遮光の効果が発生するからである。
光分割手段14としては、当該分野で公知のもので、それぞれの深さを測定した光を分離し、分光手段15や光検出手段16に光を入射できるものであれば特に限定せず用いることができる。例えば、機械式チョッパー、フィルターおよび音響光学変調器などを用いることができる。
分光手段15としては、図1には詳細には示していないが、特に限定されるものでなく、グレーティングを用いた回折分光法や、干渉フィルターを用いた方法およびFT−IR法など、公知の分光技術を使用することができる。
光検出手段16としては、当該分野で公知のものを用いることができる。例えば、中赤外領域では、焦電センサ、サーモパイル、サーミスタおよびMCT検出器(量子型検出器の一種であるHgCdTe検出器)が挙げられる。また、近赤外領域では、InGaAs検出器、フォトダイオード、PbS検出器、InSb検出器およびInAs検出器などが挙げられる。
図示していないが、光検出手段16で検出した信号に基づいて、コンピュータなどの演算手段において演算することにより、例えば、グルコース濃度などの生体組織のパラメータを算出することができる。
つぎに、本実施の形態における生体情報測定装置100の動作を、図1を用いて説明する。
図1に示すように、光源11から出射され、光学レンズ12に入射した光は、生体情報測定用光学素子13に到達する。到達した光の一部は光透過体17(第1の光透過体17a、第2の光透過体17bおよび/または第3の光透過体17c)に入射し、光透過体17に形成された溝部18(第1の溝部18a、第2の溝部18bおよび/または第3の溝部18c)に到達する。
ここで、図2は、生体の皮膚の構造を示す概要図である。最表面は角質層21と呼ばれ、グルコースがほとんど存在しない組織である。有棘層22は、真皮25の血管24から染み出したグルコースが比較的多く存在する組織である。角質層21と有棘層22とを合わせて一般的に表皮と呼ばれている。表皮23の下の組織は、真皮25と呼ばれ、血管24も多くグルコースの濃度が高い領域である。真皮25の下は、脂肪組織26と呼ばれ、一般に真皮25と比べてグルコースの濃度が低い。
角質層21の厚みは、生体の部位によっても違う。例えば頬の場合、角質層21の厚みは0.01〜0.02mm、有棘層22の厚みは0.08〜0.28mm、真皮25の厚みは2〜3mmである。
図3は、生体情報測定用光学素子13の溝部18が生体組織に密着された様子を示す概略断面図である。図3に示すように、溝部18に角質層21や有棘層22などの組織を有する生体を押し当てて密着させると、当該生体は図4に示すような形状となり、これにより組織の特定部分の透過特性を容易に測定することができる。
すなわち、光31を溝部18を通じて生体内に入射させると、角質層21と溝部18の界面で光31は屈折し、所定角度で角質層21に入射する。入射した光は生体内を直進し、有棘層22を透過した後、再び角質層21と溝部18との界面で光31は屈折し、溝部18に到達する。
ここで、溝部18と角質層21の界面で光31を図4に示すように屈折させるためには、溝部18が設けられている光透過体17の屈折率は、角質層21や有棘層22よりも高いほうが好ましい。
また、溝部18の形状や大きさは、特に限定するものではないが、上述のように例えばV字形状の溝部を用いることができる。
つぎに、図4および5は、図3における溝部18を部分的に拡大した図である。具体的には、図4および5は、一例として溝部18の深さを変えることで、生体内の異なる深さを測定する方法について示した図である。
図4は、生体組織の浅い位置を測定する場合の溝部18(すなわち第1の溝部18a)付近の模式図を示し、図5は、深い位置を測定する場合の模式図を示しており、溝部18(すなわち第2の溝部18b)には、角質層21や有棘層22等からなる組織を有する生体が接触している。
測定に用いる光としては、例えば波長が1.2μm以上2.5μm未満の近赤外領域の光や、波長が2.5〜10μmの中赤外領域の光などを用いることができる。
なかでも、中赤外領域は、物質に固有の吸収のある領域であるため、いずれの成分でも同定をし易く好ましい。中赤外領域の光は、生体による吸収が多いので、生体内に進入できる深さは200μm程度である。一方、近赤外領域の光は、生体による吸収が少ないため、200μm以上の深さであっても測定が可能である。
ここで、本発明に係る生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置が測定する生体の組織としては、ヒト内側前腕部、耳垂、口唇粘膜、指および上腕部などの、表皮が存在する部位が挙げられる。
例えば、口唇は、角質層および真皮層を有さず、表皮層の厚みは50〜200μmである。そこで、口唇の表皮層中の生体成分、例えばグルコースの濃度を測定する場合、中赤外領域の光を用いることができる。このとき、浅い溝部および深い溝部ともに、深さを200μm以下に設定すればよい。
このようにすると、深い溝から得られた透過データ(すなわち透過した光から得られる測定データ)から、浅い溝から得られた透過データを差し引くことで、生体表面に存在する汗、汚れおよび唾液などの影響を抑制することができる。
光透過体17の材料としては、例えば中赤外領域で透明なシリコンを用いる。シリコンを用いた場合、シリコンの結晶を公知技術である異方性エッチング加工を施すことで、容易にV溝形状を実現できる。
例えば、溝部18の頂角33はいずれも70.6度に加工する。また、シリコンの結晶加工面を選択することで、頂角33を117度に加工することも可能である。
本発明は、溝部18の頂角33を特に限定するものではないが、測定したい生体組織の表皮の厚さや硬さ等により、適宜選定すればよい。
また、指腹で測定を行う場合は、角質層の厚みが約200μm、表皮層の厚みが約240μm、角質層、表皮層および真皮層の合計の厚みが約2mmである。そこで、浅い溝部および深い溝部ともに、深さを440μm〜2mmに設定して測定すると、深い溝から得られた透過データから、浅い溝から得られた透過データを差し引くことで、角質層および表皮層の影響を除去して、真皮層中の生体成分を測定することができる。
特に、生体成分がグルコースである場合、グルコースは真皮中に多く含まれるので好ましい。このとき、測定に用いる光としては、生体による吸収が少ない近赤外領域の光を用いることが好ましい。
このとき、光透過体17の材料は、中赤外領域と同様にシリコンを用いても構わないが、これに限定せず、ガラスや樹脂を用いても構わない。
これにより図4の溝部18(浅い第1の溝部18a)で生体組織の比較的浅い部分を測定し、図5の溝部18(第1の溝部18aよりも深い第2の溝部18b)で深い部分を測定することができる。
さらに、例えば図1に示したように、異なる深さの溝部を有する光透過体17を多数積層することで、幾種類もの深さを測定することができる。
図3〜5に示すように、溝部18により生体組織を通過し再び帰還した光は、その後、図1に示すように、光透過体17から出射して光分割手段14に到達する。
ここで、図6は、光分割手段14の構成を示す概略図である。光透過体17を出射した光は、光分割手段14に到達する。図6に示す光分割手段14は、遮光部41と開口部42から成り立っている。光分割手段14は、図1にも示したように、光透過体17から出射した光を、別々に分離独立させて測定するために用いられる。
すなわち、光分割手段14を、開口部42を複数の光透過体17のうちいずれかに合わせて設置することで、その光透過体17から出射した光のみを通過させることができる。そのため、光透過体17に設けられた溝部18からの生体信号を他の光透過体17に設けられた溝部10からの信号と分離させて、個々に高感度で検出することができる。
また、図1に示した分光手段15は、詳細に示していないが、光分割手段14を通過した光を、波長ごとの成分に分離するためのものである。
光分割手段14の開口部42の幅は、生体情報測定装置100に設けられた光透過体17から出射した光を受光できる幅であるのが好ましい。特に限定するわけではないが、生体情報測定装置100の光透過体17の厚みと同様に、同じ幅にするのも好ましい。
測定時の光分割手段14の位置については、光透過体17に対応させて光分割手段14の位置決めをするのが好ましい。
また、光分割手段14は、図示していないが、例えば図1に示す透過体17に対応して動かされ、それぞれの透過体17から出射した光を検出するのが好ましい。
分光手段15により、分光された光は、光検出手段16に入射し、その光の強度から、吸光度を算出する。
また、図示はしていないが、得られた吸光度を用いて演算手段により演算を行い、体液中のグルコース濃度を算出する。本発明では、浅い表層組織の情報と深い組織の情報を両方測定できるため、正確なグルコース濃度を算出することができる。
《実施の形態2》
図1に示す実施の形態1における第1の光透過体17a、第2の光透過体17bおよび第3の光透過体17cを通る光の一部は、それぞれ互いに混信する場合がある。かかる混信をより確実に防止するという観点から、本実施の形態の生体情報測定用光学素子は、図7に示す構成を有する。
ここで、図7は、本実施の形態に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。図7においては、第1の光透過体17aと2つの第2の光透過体17bとの間に光遮蔽体19が配置されている。このような構成によれば、光遮蔽体19によって、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bからの信号が互いに混信するのを防ぐことができ非常に好ましい。
光遮蔽体19は、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bの光が透過しない部分に設けるのが好ましい。例えば、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bのいずれか一方が複数個含まれる場合には、隣接する光透過体の間に光遮蔽体19を配置するのが好ましい。したがって、本発明の生体情報測定用光学素子は、複数個の光遮蔽体19を有してもよい。
光遮蔽体19を構成する材料としては、光を吸収もしくは反射する材料であれば用いることができる。例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、銅などの、使用する光を遮蔽できる金属が好ましい。さらには、これら金属の薄膜もしくは、これら金属膜と誘電体膜の多層膜を、蒸着やスパッタによって基板上に形成し、用いるのも好ましい。また、光遮蔽体19としてアルミ箔等の金属箔を用い、その金属箔を光透過体の間に挟み込んで接合してもよい。また、光遮蔽体19は板状であってもよい。
上記光遮蔽体19が好ましい点について、図8を用いてさらに詳細に説明する。図8は、図7において光が出射する側(矢印Xの方向)から生体情報測定用光学素子13を見たときの図である。
第1の光透過体17a、2つの第2の光透過体17bおよび2つの光遮蔽体19が積層されている。そして、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bの、生体と接触する部分に、それぞれ第1の溝部18aおよび第2の溝部18bが形成されている。
このような構成により、図8からわかるように、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bを通る光の一部は、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17b内の中央部を直進せず、光遮蔽体19との境界にまで到達する。
このような光は、光源11から出射した光を完全な平行光にし、しかも第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bに完全に真直ぐに入射させた場合はゼロにすることができる。ところが、光源自体が直径約1mm以上の発光体であることが多いため、完全な平行光にすることが難しく、このような理想状態にすることは困難である。
これに対し、本実施の形態においては、光遮蔽体19との境界まで達した光の入射角度が、全反射角度よりも小さい場合、光は第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bを出射し、光遮蔽体19に到達する。
光遮蔽体19が存在しない場合は、光は隣り合う光透過体に再入射し、その光透過体で検出された信号と混信されるのに対し、本発明のように生体情報測定用光学素子13に、光を十分に遮蔽できる光遮蔽体19を設けた場合は、光遮蔽体19でほとんどの光が吸収されるか、反射されるため、隣り合う光透過体17に入力されることはない。したがって、光透過体17を出射し光遮蔽体19で反射された光は、再び同じ光透過体17に帰還でき、信号の量が増大して好ましい。
ここで、光遮蔽体19の形状として、板状の光遮光体について説明したが、これに限定するものではない。
光透過体の表面に金属膜を蒸着やスパッタによってコーティングしたり、また光透過体の間に例えばアルミ箔のような金属箔を挟み込んで接合しても構わない。接合の際には、接着剤層があってもよい。
その他の構成については、上記実施の形態1と同じでよい。
《実施の形態3》
本発明の生体情報測定用光学素子のより簡便な構造としては、図9に示すものが挙げられる。図9は、本実施の形態に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。
図9においては、第1の光透過体17aと第2の光透過体17bとの間に光遮蔽体19が配置されている。このような構成によれば、光遮蔽体19によって、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bからの信号が互いに混信するのを防ぐことができ非常に好ましい。
その他の構成については、上記実施の形態1ないし実施の形態2と同じでよい。
本発明に係る生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置が測定する生体の組織は、特に限定されるものではなく、ヒト内側前腕部、耳垂、口唇粘膜、指および上腕部など、表皮が存在する部位であれば構わない。
また、測定対象は、光学的に測定可能な体液成分などの物質であればよく、グルコース以外の体液成分の測定も可能である。
本発明の生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置は、表層組織およびそれよりも深い層を選択的に、正確に測定することができ、体液成分の情報を正確に測定することができる。また、生体組織だけではなく、種々の液体試料の測定も可能であり、本発明は、特に医療用途での体液成分の測定に有用である。
本発明は、生体の組織を光学的に測定することによって、体液中のグルコース、コレステロール、尿素またはトリグリセリド等を非侵襲的に測定するために使用する生体情報測定用光学素子、ならびに前記光学素子を用いた生体情報測定装置に関する。
従来、生体表面と当接する凹部を備えた光学素子を用いて、生体情報を測定する方法が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示された生体情報測定装置は、図10に示すように、光源11と、表面に複数の凹部621、622、623、624、625と凸部631、632、633、634、635、636を有する生体情報検出用接触子と、光検出器16と、信号処理部64と、表示装置65とを備えている。
この生体情報測定装置を使用する場合、生体情報検出用接触子の表面を生体組織66に接触させ、上記凸部631、632、633、634、635、636が生体組織66に押し込まれた状態で、光源11からの光を、生体情報検出用接触子から上記凹部621、622、623、624、625と接触している生体組織66に入射させる。
生体組織66内を光が伝播した後、生体情報検出用接触子に入射し、生体情報検出用接触子から出射した光を光検出器16にて検出する。凹部621、622、623、624、625の深さを調節することで、測定対象となる生体組織66の深さを制御することができ、特定層の光学特性が決定される。
国際公開第01/58355号パンフレット
しかしながら、上記のような従来の光学測定方法および光学測定装置は、以下のような問題点を有していた。すなわち、上記従来の方法では、複数の凹部621、622、623、624、625および凸部631、632、633、634、635、636のうち、例えば、ある凹部622を他の位置にある凹部623よりも深く形成することにより、異なる深さの情報を測定していた。ところが、単一の生体情報検出用接触子を用いていたため、凹部622を経由した光と凹部623を経由した光とを分離することが困難であり、両者の信号が混信するおそれがあった。
そこで、本発明は、上記のような事情に鑑み、生体中の異なる深さを通過した光に基づく複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することのできる生体情報測定用光学素子、および生体情報測定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、
生体に光を照射し、前記生体の組織により帰還された光を用いて前記生体の情報を測定する生体情報測定用光学素子であって、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を提供する。
ここで、本発明の生体情報測定用光学素子は、前記第1の光透過体を複数個含んでもよく、前記第2の光透過体を複数個含んでもよい。もちろん、前記第1の光透過体および前記第2の光透過体のいずれも複数個含んでも構わない。
また、前記第1の光透過体は、前記第1の溝部を1つしか含まなくても、複数個含んでもよい。同様に、前記第2の光透過体も、前記第2の溝部を1つしか含まなくても、複数個含んでもよい。
また、本発明は、
生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を用い、
前記生体情報測定用光学素子と接触した生体に光を照射する工程、
前記生体から前記第1の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、
前記生体から前記第2の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、および
検出された前記第2の溝部に帰還した光の強度と前記第1の溝部に帰還した光の強度との差に基づき、前記生体の真皮層における生体情報を得る工程を含む生体情報測定方法を提供する。
さらに本発明は、
光源と;上記生体情報測定用光学素子と;前記光学素子から出射された光を検出する光検出器と;前記光検出器により得られた情報を演算することにより生体情報を算出する演算器と;を備える生体情報測定装置をも提供する。
本発明によれば、生体中の異なる深さを通過した光に基づいて、複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することができる。
本発明の生体情報測定用光学素子は、生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備えること、を特徴とする。
このような構成により、互いに異なる少なくとも2つの光透過体を備えるという簡易な構成により、生体中の異なる深さを通過した光に基づく複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することが可能である。
ここで、前記少なくとも2つの光透過体の間に、前記光を吸収または反射させる光遮蔽体を有することが好ましい。このような構成によれば、光透過体中を透過する光が隣り合う光透過体に入射することを光遮蔽体が防止するため、その光透過体で検出された信号と混信するおそれがなくなるため、より正確な測定が可能となる。
また、前記第1の光透過体、前記第2の光透過体および光遮蔽体が、前記第1の光透過体と前記第2の光透過体との間に前記光遮蔽体を挟まれるように、互いに積層されていることが好ましい。
上記生体情報測定層素子においては、前記第1の光透過体の生体接触部および前記第2の光透過体の生体接触部のうち、少なくとも一方の生体接触部に、前記生体に光を照射して前記組織を通過した光を受光する溝部を設けるのが好ましい。
このような構成によれば、特に前記溝部によって、生体組織の特定の部分に光を照射して出射光を得て、当該部分を測定することが可能になる。
また、本発明に係る生体情報測定用光学素子は、生体の表面を測定するための光透過体(第3の光透過体)をさらに備えていてもよい。
このような構成によれば、生体の均一性や光学素子の表面状態をさらに詳細に評価することができ、測定の異常を検知することができ、より高精度な測定が可能となる。
また、本発明は、光源と;上記生体情報測定用光学素子と;前記光学素子から出射された光を検出する光検出器と;前記光検出器により得られた情報を演算することにより生体情報を算出する演算器と;を備える生体情報測定装置をも提供する。
かかる本発明の生体情報測定装置によれば、安定かつ非侵襲的に、生体組織中の標的成分の濃度を測定することができる。
以下において、本発明に係る生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置の一実施の形態を、図面に参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態は一例であり、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
なお、以下の説明においては、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
《実施の形態1》
図1は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定用光学素子とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。図1に示すように、本実施の形態における生体情報測定装置100は、光源11、光学レンズ12、生体情報測定用光学素子13、光分割手段14、分光手段15、光検出手段16とから構成されている。
光分割手段14と分光手段15との位置関係は、図1に示される位置に限定するものではない。光源11と生体情報測定用光学素子13との間に、光分割手段14および分光手段15を挿入しても構わない。また、分光手段15および光分割手段14を用いずに、光源11の波長を変化させることで分光機能を実現しても構わない。
光源11としては、生体組織における測定対象物(物質)が吸収し得る波長の光成分を含む光を発することができる光源であればよい。中赤外領域の光を発する光源としては、例えばSiCを棒状に焼結したグローバ光源、CO2レーザ、タングステン灯、赤外パルス光源および量子カスケードレーザー(QCL)光源などを用いることができる。
グルコースのように、波数1033cm-1、1080cm-1付近などの中赤外域に強い吸収ピークがあるような物質を測定する場合には、特に限定するものではないが、グローバ光源、赤外パルス光源およびQCL光源が好ましい。また、近赤外領域に吸収がある物質を測定する場合には、例えば、ハロゲン光源、半導体レーザおよびLEDなどを用いるのが好ましい。なお、グルコースは、中赤外領域だけでなく、近赤外領域にも吸収ピークがあることが知られており、この点からLEDを用いることが特に好ましい。
光学レンズ12および光透過体17を構成する材料としては、当該分野で公知のものを用いることができる。例えば、中赤外に吸収がある物質を測定する場合は、シリコン、ゲルマニウム、SiC、ダイアモンド、ZnSe、ZnSおよびKrSなどを用いることができる。
ここで、グルコースのように、波数1033cm-1あるいは1080cm-1の中赤外領域に吸収ピークがある物質を計測する場合には、約9〜10ミクロンの赤外波長で透過率が高く、加工性や機械的強度も高いという観点から、シリコンまたはゲルマニウムが特に好ましい。また、近赤外領域に吸収がある物質を測定する場合は、溶融石英、単結晶シリコン、光学ガラス、プラスティックを用いるのが好ましい。
本実施の形態における生体情報測定用光学素子13は、第1の光透過体17aとこれを挟む位置に配置された2つの第2の光透過体17bとを具備し、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bは、それぞれ第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを具備する。ただし、第2の溝部18bは第1の溝部18aよりも深い構成を有している。
第1の溝部18aおよび第2の溝部18bの形状に関しては、製造の容易性などの観点から、例えば、図1に示したようなV字型溝を用いるのが好ましい。第1の溝部18aおよび第2の溝部bの形状はV字型に限定されるものではなく、例えばU字状、凹状または階段状などであってもよい。なお、図1において第1の溝部18aおよび第2の溝部18bは同じ形状を有しているが、異なる形状を有していてもよい。
第1の溝部18aおよび第2の溝部18bは、公知の製造技術を利用することによって形成することができる。
例えば、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bを構成する材料としてシリコンまたはゲルマニウムなどの結晶を用いる場合には、異方性エッチング技術を利用して第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
また、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bを構成する材料として樹脂を用いる場合には、成形法を用いて第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bの作製と同時に第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
図1における第1の光透過体17aは、2つの第2の光透過体17bよりも浅い第1の溝部18aを有しており、生体の表面を測定するために用いることができる。すなわち、第1の光透過体17aによって生体の均一性や光学素子の表面状態をさらに詳細に評価し、測定の異常を検知してより高精度な測定が可能となる。
一般に、汗や、汚れ、唾液などが生体と測定部の間に多く存在したり、また測定毎にその量や質が変化したりすると、正確な測定が困難となる場合がある。
そこで、本実施の形態では、第2の溝部18bが設けるのが好ましい。これにより、皮膚表面の数10μmオーダーの範囲に多く存在する、汗や、汚れ、唾液などの存在を容易に得ることができる。かかる第2の溝部18bとしては数10μm以上の溝深さが好ましい。これを採用することによって、皮膚の汚れや、皮膚への密着性、また、皮膚の表面状態の均一性を容易に検知することができる。この検知結果を用いて異常検知を行えば、より高精度な測定が実現できる。
すなわち、第2の溝部18bからの帰還光のスペクトルを測定し、特定波長での吸光度を算出し、基準値からのズレを判定することで、異常を判断することができる。例えば、表層に汗や、唾液などが多く存在する場合は、水とほとんど同じ吸光度となるため、判定ができる。
検知結果が水と同じような吸光度となった場合には、正確な測定が困難なため、測定を中止し、皮膚表面から水分等の汚れを拭き取ることが好ましい。
皮膚への密着性や、皮膚の表面状態の均一性に異常があるかどうかは、第2の光透過体17bを2つ設けることによって第2の溝部18bを2つ設けることで行うのが好ましい。
すなわち、2つの第2の溝部18bからの信号を比較して、大きく違う場合は、皮膚の表面状態が均一でないか、密着性に問題があるため、測定を中止し、生体組織の表面の汚れを拭き取ることが好ましい。また、2つの第2の溝部18bからの信号が等しくても、表層が著しく汚れている信号を含んでいる場合は、測定を中止し、皮膚表面の汚れを拭き取ることが好ましい。汚れとしては、水以外に、油などが考える。
2つの第2の溝部18bからの信号が適切でほぼ等しい場合には、生体表面の状態が均一であるとともに、密着も適切であると判断される。そのため、このように判断された場合には測定を開始し、2つの第2の光透過体17bの間に設置された第1の光透過体17aの第1の溝部18aにより生体情報を測定する。
これにより、2つの第2の溝部18bを用いて光学素子の表面状態やその均一性を評価することにより、光透過体のみを用いる場合よりもさらに高精度な測定を実現することができる。
また、第1の光透過体17aと第2の光透過体17bとの間には、例えばスペーサーを挟んで隙間を設けても構わない。このような構成によれば、隙間に存在する空気の屈折率と、光透過体の屈折率の差により光が反射され、遮光の効果が発生するからである。
光分割手段14としては、当該分野で公知のもので、それぞれの深さを測定した光を分離し、分光手段15や光検出手段16に光を入射できるものであれば特に限定せず用いることができる。例えば、機械式チョッパー、フィルターおよび音響光学変調器などを用いることができる。
分光手段15としては、図1には詳細には示していないが、特に限定されるものでなく、グレーティングを用いた回折分光法や、干渉フィルターを用いた方法およびFT−IR法など、公知の分光技術を使用することができる。
光検出手段16としては、当該分野で公知のものを用いることができる。例えば、中赤外領域では、焦電センサ、サーモパイル、サーミスタおよびMCT検出器(量子型検出器の一種であるHgCdTe検出器)が挙げられる。また、近赤外領域では、InGaAs検出器、フォトダイオード、PbS検出器、InSb検出器およびInAs検出器などが挙げられる。
図示していないが、光検出手段16で検出した信号に基づいて、コンピュータなどの演算手段において演算することにより、例えば、グルコース濃度などの生体組織のパラメータを算出することができる。
つぎに、本実施の形態における生体情報測定装置100の動作を、図1を用いて説明する。
図1に示すように、光源11から出射され、光学レンズ12に入射した光は、生体情報測定用光学素子13に到達する。到達した光の一部は光透過体17(第1の光透過体17a、第2の光透過体17bおよび/または第3の光透過体17c)に入射し、光透過体17に形成された溝部18(第1の溝部18a、第2の溝部18bおよび/または第3の溝部18c)に到達する。
ここで、図2は、生体の皮膚の構造を示す概要図である。最表面は角質層21と呼ばれ、グルコースがほとんど存在しない組織である。有棘層22は、真皮25の血管24から染み出したグルコースが比較的多く存在する組織である。角質層21と有棘層22とを合わせて一般的に表皮と呼ばれている。表皮23の下の組織は、真皮25と呼ばれ、血管24も多くグルコースの濃度が高い領域である。真皮25の下は、脂肪組織26と呼ばれ、一般に真皮25と比べてグルコースの濃度が低い。
角質層21の厚みは、生体の部位によっても違う。例えば頬の場合、角質層21の厚みは0.01〜0.02mm、有棘層22の厚みは0.08〜0.28mm、真皮25の厚みは2〜3mmである。
図3は、生体情報測定用光学素子13の溝部18が生体組織に密着された様子を示す概略断面図である。図3に示すように、溝部18に角質層21や有棘層22などの組織を有する生体を押し当てて密着させると、当該生体は図4に示すような形状となり、これにより組織の特定部分の透過特性を容易に測定することができる。
すなわち、光31を溝部18を通じて生体内に入射させると、角質層21と溝部18の界面で光31は屈折し、所定角度で角質層21に入射する。入射した光は生体内を直進し、有棘層22を透過した後、再び角質層21と溝部18との界面で光31は屈折し、溝部18に到達する。
ここで、溝部18と角質層21の界面で光31を図4に示すように屈折させるためには、溝部18が設けられている光透過体17の屈折率は、角質層21や有棘層22よりも高いほうが好ましい。
また、溝部18の形状や大きさは、特に限定するものではないが、上述のように例えばV字形状の溝部を用いることができる。
つぎに、図4および5は、図3における溝部18を部分的に拡大した図である。具体的には、図4および5は、一例として溝部18の深さを変えることで、生体内の異なる深さを測定する方法について示した図である。
図4は、生体組織の浅い位置を測定する場合の溝部18(すなわち第1の溝部18a)付近の模式図を示し、図5は、深い位置を測定する場合の模式図を示しており、溝部18(すなわち第2の溝部18b)には、角質層21や有棘層22等からなる組織を有する生体が接触している。
測定に用いる光としては、例えば波長が1.2μm以上2.5μm未満の近赤外領域の光や、波長が2.5〜10μmの中赤外領域の光などを用いることができる。
なかでも、中赤外領域は、物質に固有の吸収のある領域であるため、いずれの成分でも同定をし易く好ましい。中赤外領域の光は、生体による吸収が多いので、生体内に進入できる深さは200μm程度である。一方、近赤外領域の光は、生体による吸収が少ないため、200μm以上の深さであっても測定が可能である。
ここで、本発明に係る生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置が測定する生体の組織としては、ヒト内側前腕部、耳垂、口唇粘膜、指および上腕部などの、表皮が存在する部位が挙げられる。
例えば、口唇は、角質層および真皮層を有さず、表皮層の厚みは50〜200μmである。そこで、口唇の表皮層中の生体成分、例えばグルコースの濃度を測定する場合、中赤外領域の光を用いることができる。このとき、浅い溝部および深い溝部ともに、深さを200μm以下に設定すればよい。
このようにすると、深い溝から得られた透過データ(すなわち透過した光から得られる測定データ)から、浅い溝から得られた透過データを差し引くことで、生体表面に存在する汗、汚れおよび唾液などの影響を抑制することができる。
光透過体17の材料としては、例えば中赤外領域で透明なシリコンを用いる。シリコンを用いた場合、シリコンの結晶を公知技術である異方性エッチング加工を施すことで、容易にV溝形状を実現できる。
例えば、溝部18の頂角33はいずれも70.6度に加工する。また、シリコンの結晶加工面を選択することで、頂角33を117度に加工することも可能である。
本発明は、溝部18の頂角33を特に限定するものではないが、測定したい生体組織の表皮の厚さや硬さ等により、適宜選定すればよい。
また、指腹で測定を行う場合は、角質層の厚みが約200μm、表皮層の厚みが約240μm、角質層、表皮層および真皮層の合計の厚みが約2mmである。そこで、浅い溝部および深い溝部ともに、深さを440μm〜2mmに設定して測定すると、深い溝から得られた透過データから、浅い溝から得られた透過データを差し引くことで、角質層および表皮層の影響を除去して、真皮層中の生体成分を測定することができる。
特に、生体成分がグルコースである場合、グルコースは真皮中に多く含まれるので好ましい。このとき、測定に用いる光としては、生体による吸収が少ない近赤外領域の光を用いることが好ましい。
このとき、光透過体17の材料は、中赤外領域と同様にシリコンを用いても構わないが、これに限定せず、ガラスや樹脂を用いても構わない。
これにより図4の溝部18(浅い第1の溝部18a)で生体組織の比較的浅い部分を測定し、図5の溝部18(第1の溝部18aよりも深い第2の溝部18b)で深い部分を測定することができる。
さらに、例えば図1に示したように、異なる深さの溝部を有する光透過体17を多数積層することで、幾種類もの深さを測定することができる。
図3〜5に示すように、溝部18により生体組織を通過し再び帰還した光は、その後、図1に示すように、光透過体17から出射して光分割手段14に到達する。
ここで、図6は、光分割手段14の構成を示す概略図である。光透過体17を出射した光は、光分割手段14に到達する。図6に示す光分割手段14は、遮光部41と開口部42から成り立っている。光分割手段14は、図1にも示したように、光透過体17から出射した光を、別々に分離独立させて測定するために用いられる。
すなわち、光分割手段14を、開口部42を複数の光透過体17のうちいずれかに合わせて設置することで、その光透過体17から出射した光のみを通過させることができる。そのため、光透過体17に設けられた溝部18からの生体信号を他の光透過体17に設けられた溝部10からの信号と分離させて、個々に高感度で検出することができる。
また、図1に示した分光手段15は、詳細に示していないが、光分割手段14を通過した光を、波長ごとの成分に分離するためのものである。
光分割手段14の開口部42の幅は、生体情報測定装置100に設けられた光透過体17から出射した光を受光できる幅であるのが好ましい。特に限定するわけではないが、生体情報測定装置100の光透過体17の厚みと同様に、同じ幅にするのも好ましい。
測定時の光分割手段14の位置については、光透過体17に対応させて光分割手段14の位置決めをするのが好ましい。
また、光分割手段14は、図示していないが、例えば図1に示す透過体17に対応して動かされ、それぞれの透過体17から出射した光を検出するのが好ましい。
分光手段15により、分光された光は、光検出手段16に入射し、その光の強度から、吸光度を算出する。
また、図示はしていないが、得られた吸光度を用いて演算手段により演算を行い、体液中のグルコース濃度を算出する。本発明では、浅い表層組織の情報と深い組織の情報を両方測定できるため、正確なグルコース濃度を算出することができる。
《実施の形態2》
図1に示す実施の形態1における第1の光透過体17a、第2の光透過体17bおよび第3の光透過体17cを通る光の一部は、それぞれ互いに混信する場合がある。かかる混信をより確実に防止するという観点から、本実施の形態の生体情報測定用光学素子は、図7に示す構成を有する。
ここで、図7は、本実施の形態に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。図7においては、第1の光透過体17aと2つの第2の光透過体17bとの間に光遮蔽体19が配置されている。このような構成によれば、光遮蔽体19によって、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bからの信号が互いに混信するのを防ぐことができ非常に好ましい。
光遮蔽体19は、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bの光が透過しない部分に設けるのが好ましい。例えば、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bのいずれか一方が複数個含まれる場合には、隣接する光透過体の間に光遮蔽体19を配置するのが好ましい。したがって、本発明の生体情報測定用光学素子は、複数個の光遮蔽体19を有してもよい。
光遮蔽体19を構成する材料としては、光を吸収もしくは反射する材料であれば用いることができる。例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、銅などの、使用する光を遮蔽できる金属が好ましい。さらには、これら金属の薄膜もしくは、これら金属膜と誘電体膜の多層膜を、蒸着やスパッタによって基板上に形成し、用いるのも好ましい。また、光遮蔽体19としてアルミ箔等の金属箔を用い、その金属箔を光透過体の間に挟み込んで接合してもよい。また、光遮蔽体19は板状であってもよい。
上記光遮蔽体19が好ましい点について、図8を用いてさらに詳細に説明する。図8は、図7において光が出射する側(矢印Xの方向)から生体情報測定用光学素子13を見たときの図である。
第1の光透過体17a、2つの第2の光透過体17bおよび2つの光遮蔽体19が積層されている。そして、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bの、生体と接触する部分に、それぞれ第1の溝部18aおよび第2の溝部18bが形成されている。
このような構成により、図8からわかるように、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bを通る光の一部は、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17b内の中央部を直進せず、光遮蔽体19との境界にまで到達する。
このような光は、光源11から出射した光を完全な平行光にし、しかも第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bに完全に真直ぐに入射させた場合はゼロにすることができる。ところが、光源自体が直径約1mm以上の発光体であることが多いため、完全な平行光にすることが難しく、このような理想状態にすることは困難である。
これに対し、本実施の形態においては、光遮蔽体19との境界まで達した光の入射角度が、全反射角度よりも小さい場合、光は第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bを出射し、光遮蔽体19に到達する。
光遮蔽体19が存在しない場合は、光は隣り合う光透過体に再入射し、その光透過体で検出された信号と混信されるのに対し、本発明のように生体情報測定用光学素子13に、光を十分に遮蔽できる光遮蔽体19を設けた場合は、光遮蔽体19でほとんどの光が吸収されるか、反射されるため、隣り合う光透過体17に入力されることはない。したがって、光透過体17を出射し光遮蔽体19で反射された光は、再び同じ光透過体17に帰還でき、信号の量が増大して好ましい。
ここで、光遮蔽体19の形状として、板状の光遮光体について説明したが、これに限定するものではない。
光透過体の表面に金属膜を蒸着やスパッタによってコーティングしたり、また光透過体の間に例えばアルミ箔のような金属箔を挟み込んで接合しても構わない。接合の際には、接着剤層があってもよい。
その他の構成については、上記実施の形態1と同じでよい。
《実施の形態3》
本発明の生体情報測定用光学素子のより簡便な構造としては、図9に示すものが挙げられる。図9は、本実施の形態に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。
図9においては、第1の光透過体17aと第2の光透過体17bとの間に光遮蔽体19が配置されている。このような構成によれば、光遮蔽体19によって、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bからの信号が互いに混信するのを防ぐことができ非常に好ましい。
その他の構成については、上記実施の形態1ないし実施の形態2と同じでよい。
本発明に係る生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置が測定する生体の組織は、特に限定されるものではなく、ヒト内側前腕部、耳垂、口唇粘膜、指および上腕部など、表皮が存在する部位であれば構わない。
また、測定対象は、光学的に測定可能な体液成分などの物質であればよく、グルコース以外の体液成分の測定も可能である。
本発明の生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置は、表層組織およびそれよりも深い層を選択的に、正確に測定することができ、体液成分の情報を正確に測定することができる。また、生体組織だけではなく、種々の液体試料の測定も可能であり、本発明は、特に医療用途での体液成分の測定に有用である。
本発明の実施の形態1に係る生体情報測定用光学素子とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。 生体の皮膚の構造を示す概要図である。 生体情報測定用光学素子13の溝部18(第1の溝部18a、第2の溝部18bおよび/または第3の溝部18c)が生体組織に密着された様子を示す概略断面図である。 生体組織の浅い位置を測定する場合の溝部18(すなわち第1の溝部18a)付近の様子を示す図である。 生体組織の深い位置を測定する場合の溝部18(すなわち第2の溝部18b)付近の様子を示す図である。 光分割手段14の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態2に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。 図7において光が出射する側(矢印Xの方向)から生体情報測定用光学素子13を見たときの図である。 本発明の実施の形態3に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。 従来の生体情報測定装置の構成を示す概略図である。
第1の溝部18aおよび第2の溝部18bは、公知の製造技術を利用することによって形成することができる。
例えば、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bを構成する材料としてシリコンまたはゲルマニウムなどの結晶を用いる場合には、異方性エッチング技術を利用して第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
また、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bを構成する材料として樹脂を用いる場合には、成形法を用いて第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bの作製と同時に第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
皮膚への密着性や、皮膚の表面状態の均一性に異常があるかどうかは、第2の光透過体17bを2つ設けることによって第2の溝部18bを2つ設けることで行うのが好ましい。
すなわち、2つの第2の溝部18bからの信号を比較して、大きく違う場合は、皮膚の表面状態が均一でないか、密着性に問題があるため、測定を中止し、生体組織の表面の汚れを拭き取ることが好ましい。また、2つの第2の溝部18bからの信号が等しくても、表層が著しく汚れている信号を含んでいる場合は、測定を中止し、皮膚表面の汚れを拭き取ることが好ましい。汚れとしては、水以外に、油などが考えられる。

Claims (4)

  1. 生体に光を照射し、前記生体の組織により帰還された光を用いて前記生体の情報を測定する生体情報測定用光学素子であって、
    前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
    前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子。
  2. 前記第1の光透過体と前記第2の光透過体との間に、前記光を吸収または反射させる光遮蔽体を有する請求項1記載の生体情報測定用光学素子。
  3. 生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
    前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を用い、
    前記生体情報測定用光学素子と接触した生体に光を照射する工程、
    前記生体から前記第1の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、
    前記生体から前記第2の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、および
    検出された前記第2の溝部に帰還した光の強度と前記第1の溝部に帰還した光の強度との差に基づき、前記生体の真皮層における生体情報を得る工程を含む生体情報測定方法。
  4. 光源と;請求項1または2記載の生体情報測定用光学素子と;前記光学素子から出射された光を検出する光検出器と;前記光検出器により得られた情報を演算することにより生体情報を算出する演算器と;を備える生体情報測定装置。
JP2006544890A 2004-11-12 2005-11-08 生体情報測定用光学素子およびそれを用いた生体情報測定装置 Expired - Fee Related JP4047907B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004329248 2004-11-12
JP2004329248 2004-11-12
PCT/JP2005/020442 WO2006051778A1 (ja) 2004-11-12 2005-11-08 生体情報測定用光学素子およびそれを用いた生体情報測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4047907B2 JP4047907B2 (ja) 2008-02-13
JPWO2006051778A1 true JPWO2006051778A1 (ja) 2008-05-29

Family

ID=36336457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006544890A Expired - Fee Related JP4047907B2 (ja) 2004-11-12 2005-11-08 生体情報測定用光学素子およびそれを用いた生体情報測定装置

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20080068592A1 (ja)
EP (1) EP1785089B1 (ja)
JP (1) JP4047907B2 (ja)
CN (1) CN100496396C (ja)
DE (1) DE602005022456D1 (ja)
WO (1) WO2006051778A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2108938A1 (en) * 2008-04-09 2009-10-14 Koninklijke Philips Electronics N.V. A carrier for optical detection in small sample volumes
EP2413127B1 (en) * 2009-03-26 2021-04-07 Hamamatsu Photonics K.K. Light irradiation device and light measurement device
JP5663900B2 (ja) * 2010-03-05 2015-02-04 セイコーエプソン株式会社 分光センサー装置及び電子機器
JP5869556B2 (ja) * 2011-03-29 2016-02-24 浜松ホトニクス株式会社 テラヘルツ波分光計測装置
WO2012132647A1 (ja) 2011-03-29 2012-10-04 浜松ホトニクス株式会社 テラヘルツ波分光計測装置
DE102013211814A1 (de) * 2013-06-21 2014-12-24 Siemens Aktiengesellschaft Bildgebung durch abgeschwächte Totalreflexion (ATR)
WO2016117520A1 (ja) 2015-01-21 2016-07-28 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 血中物質濃度測定装置及び血中物質濃度測定方法
JP6966028B1 (ja) * 2021-03-03 2021-11-10 三菱電機株式会社 成分測定装置および成分測定方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001058355A1 (en) * 2000-02-07 2001-08-16 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Biological information collecting probe, biological information measuring instrument, method for producing biological information collecting probe, and biological information measuring method
WO2003021239A1 (fr) * 2001-08-28 2003-03-13 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Appareil de mesure d'information sur un composant particulier
JP2004329888A (ja) * 2003-04-03 2004-11-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd 特定成分濃度の測定方法および測定装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6353226B1 (en) * 1998-11-23 2002-03-05 Abbott Laboratories Non-invasive sensor capable of determining optical parameters in a sample having multiple layers
CA2372637A1 (en) * 2002-02-20 2003-08-20 Institut National D'optique Packaged optical sensors on the side of optical fibres
DE602004003414T2 (de) * 2003-04-03 2007-09-27 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd., Kadoma Methode und Gerät zur Konzentrationmessung einer spezifischen Komponente

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001058355A1 (en) * 2000-02-07 2001-08-16 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Biological information collecting probe, biological information measuring instrument, method for producing biological information collecting probe, and biological information measuring method
WO2003021239A1 (fr) * 2001-08-28 2003-03-13 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Appareil de mesure d'information sur un composant particulier
JP2004329888A (ja) * 2003-04-03 2004-11-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd 特定成分濃度の測定方法および測定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4047907B2 (ja) 2008-02-13
US20080068592A1 (en) 2008-03-20
EP1785089A4 (en) 2009-08-05
EP1785089A1 (en) 2007-05-16
CN100496396C (zh) 2009-06-10
WO2006051778A1 (ja) 2006-05-18
CN101056579A (zh) 2007-10-17
EP1785089B1 (en) 2010-07-21
DE602005022456D1 (de) 2010-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4047907B2 (ja) 生体情報測定用光学素子およびそれを用いた生体情報測定装置
JP4047903B2 (ja) 生体情報測定用光学素子およびそれを用いた生体情報測定装置
JP4177871B2 (ja) 光学素子およびそれを用いた光学測定装置
RU2681260C2 (ru) Неинвазивный анализ материала
CN112955075B (zh) 用于分析物质的设备和方法
EP1254631B1 (en) Biological information measuring instrument comprising a biological information collecting probe
JP2011519635A (ja) 光学マイクロニードル系分光計
KR20040086806A (ko) 특정성분농도의 측정방법 및 측정장치
WO2003074993A1 (fr) Dispositif de mesure de concentration
JP2021505871A (ja) 物質を分析するためのデバイスおよび方法
US8509868B2 (en) Method for measuring a concentration of a biogenic substance contained in a living body
US20130155410A1 (en) Optical Assembly and Method for Determining Analyte Concentration
JP4216272B2 (ja) 生体情報測定用光学部材、および生体情報算出装置
US8548545B2 (en) Method for measuring a concentration of a biogenic substance contained in a living body
EP1429136A1 (en) Apparatus for measuring biological information and method for measuring biological information
JP2006296660A (ja) 生体情報測定方法、生体情報測定用光学素子および生体情報測定装置
US20040121358A1 (en) Information measuring apparatus
JP2023015889A (ja) 測定装置
JP4047904B2 (ja) 生体情報測定用光学素子およびそれを用いた生体情報測定装置
JP2021074526A (ja) 生体情報測定装置、及び生体情報測定方法
JP2003240709A (ja) 特定成分の濃度測定方法及びそれに用いる濃度測定用接触子
JP7447433B2 (ja) 光学部材、生体情報測定装置、及び測定装置
JP7354778B2 (ja) 測定装置、及び生体情報測定装置
WO2016121540A1 (ja) 分光測定装置および分光測定方法
CN110632006A (zh) 一种光学元件

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071025

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071122

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4047907

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111130

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131130

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees