JPWO2006051778A1 - 生体情報測定用光学素子およびそれを用いた生体情報測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
生体組織66内を光が伝播した後、生体情報検出用接触子に入射し、生体情報検出用接触子から出射した光を光検出器16にて検出する。凹部621、622、623、624、625の深さを調節することで、測定対象となる生体組織66の深さを制御することができ、特定層の光学特性が決定される。
そこで、本発明は、上記のような事情に鑑み、生体中の異なる深さを通過した光に基づく複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することのできる生体情報測定用光学素子、および生体情報測定装置を提供することを目的とする。
生体に光を照射し、前記生体の組織により帰還された光を用いて前記生体の情報を測定する生体情報測定用光学素子であって、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を提供する。
また、前記第1の光透過体は、前記第1の溝部を1つしか含まなくても、複数個含んでもよい。同様に、前記第2の光透過体も、前記第2の溝部を1つしか含まなくても、複数個含んでもよい。
生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を用い、
前記生体情報測定用光学素子と接触した生体に光を照射する工程、
前記生体から前記第1の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、
前記生体から前記第2の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、および
検出された前記第2の溝部に帰還した光の強度と前記第1の溝部に帰還した光の強度との差に基づき、前記生体の真皮層における生体情報を得る工程を含む生体情報測定方法を提供する。
光源と;上記生体情報測定用光学素子と;前記光学素子から出射された光を検出する光検出器と;前記光検出器により得られた情報を演算することにより生体情報を算出する演算器と;を備える生体情報測定装置をも提供する。
このような構成により、互いに異なる少なくとも2つの光透過体を備えるという簡易な構成により、生体中の異なる深さを通過した光に基づく複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することが可能である。
また、前記第1の光透過体、前記第2の光透過体および光遮蔽体が、前記第1の光透過体と前記第2の光透過体との間に前記光遮蔽体を挟まれるように、互いに積層されていることが好ましい。
このような構成によれば、特に前記溝部によって、生体組織の特定の部分に光を照射して出射光を得て、当該部分を測定することが可能になる。
このような構成によれば、生体の均一性や光学素子の表面状態をさらに詳細に評価することができ、測定の異常を検知することができ、より高精度な測定が可能となる。
かかる本発明の生体情報測定装置によれば、安定かつ非侵襲的に、生体組織中の標的成分の濃度を測定することができる。
なお、以下の説明においては、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
図1は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定用光学素子とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。図1に示すように、本実施の形態における生体情報測定装置100は、光源11、光学レンズ12、生体情報測定用光学素子13、光分割手段14、分光手段15、光検出手段16とから構成されている。
光分割手段14と分光手段15との位置関係は、図1に示される位置に限定するものではない。光源11と生体情報測定用光学素子13との間に、光分割手段14および分光手段15を挿入しても構わない。また、分光手段15および光分割手段14を用いずに、光源11の波長を変化させることで分光機能を実現しても構わない。
ここで、グルコースのように、波数1033cm−1あるいは1080cm−1の中赤外領域に吸収ピークがある物質を計測する場合には、約9〜10ミクロンの赤外波長で透過率が高く、加工性や機械的強度も高いという観点から、シリコンまたはゲルマニウムが特に好ましい。また、近赤外領域に吸収がある物質を測定する場合は、溶融石英、単結晶シリコン、光学ガラス、プラスティックを用いるのが好ましい。
第1の溝部18aおよび第2の溝部18bの形状に関しては、製造の容易性などの観点から、例えば、図1に示したようなV字型溝を用いるのが好ましい。第1の溝部18aおよび第2の溝部bの形状はV字型に限定されるものではなく、例えばU字状、凹状または階段状などであってもよい。なお、図1において第1の溝部18aおよび第2の溝部18bは同じ形状を有しているが、異なる形状を有していてもよい。
例えば、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bを構成する材料としてシリコンまたはゲルマニウムなどの結晶を用いる場合には、異方性エッチング技術を利用して第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
また、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bを構成する材料として樹脂を用いる場合には、成形法を用いて第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bの作製と同時に第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
そこで、本実施の形態では、第2の溝部18bが設けるのが好ましい。これにより、皮膚表面の数10μmオーダーの範囲に多く存在する、汗や、汚れ、唾液などの存在を容易に得ることができる。かかる第2の溝部18bとしては数10μm以上の溝深さが好ましい。これを採用することによって、皮膚の汚れや、皮膚への密着性、また、皮膚の表面状態の均一性を容易に検知することができる。この検知結果を用いて異常検知を行えば、より高精度な測定が実現できる。
検知結果が水と同じような吸光度となった場合には、正確な測定が困難なため、測定を中止し、皮膚表面から水分等の汚れを拭き取ることが好ましい。
すなわち、2つの第2の溝部18bからの信号を比較して、大きく違う場合は、皮膚の表面状態が均一でないか、密着性に問題があるため、測定を中止し、生体組織の表面の汚れを拭き取ることが好ましい。また、2つの第2の溝部18bからの信号が等しくても、表層が著しく汚れている信号を含んでいる場合は、測定を中止し、皮膚表面の汚れを拭き取ることが好ましい。汚れとしては、水以外に、油などが考える。
これにより、2つの第2の溝部18bを用いて光学素子の表面状態やその均一性を評価することにより、光透過体のみを用いる場合よりもさらに高精度な測定を実現することができる。
分光手段15としては、図1には詳細には示していないが、特に限定されるものでなく、グレーティングを用いた回折分光法や、干渉フィルターを用いた方法およびFT−IR法など、公知の分光技術を使用することができる。
図示していないが、光検出手段16で検出した信号に基づいて、コンピュータなどの演算手段において演算することにより、例えば、グルコース濃度などの生体組織のパラメータを算出することができる。
図1に示すように、光源11から出射され、光学レンズ12に入射した光は、生体情報測定用光学素子13に到達する。到達した光の一部は光透過体17(第1の光透過体17a、第2の光透過体17bおよび/または第3の光透過体17c)に入射し、光透過体17に形成された溝部18(第1の溝部18a、第2の溝部18bおよび/または第3の溝部18c)に到達する。
角質層21の厚みは、生体の部位によっても違う。例えば頬の場合、角質層21の厚みは0.01〜0.02mm、有棘層22の厚みは0.08〜0.28mm、真皮25の厚みは2〜3mmである。
すなわち、光31を溝部18を通じて生体内に入射させると、角質層21と溝部18の界面で光31は屈折し、所定角度で角質層21に入射する。入射した光は生体内を直進し、有棘層22を透過した後、再び角質層21と溝部18との界面で光31は屈折し、溝部18に到達する。
また、溝部18の形状や大きさは、特に限定するものではないが、上述のように例えばV字形状の溝部を用いることができる。
図4は、生体組織の浅い位置を測定する場合の溝部18(すなわち第1の溝部18a)付近の模式図を示し、図5は、深い位置を測定する場合の模式図を示しており、溝部18(すなわち第2の溝部18b)には、角質層21や有棘層22等からなる組織を有する生体が接触している。
なかでも、中赤外領域は、物質に固有の吸収のある領域であるため、いずれの成分でも同定をし易く好ましい。中赤外領域の光は、生体による吸収が多いので、生体内に進入できる深さは200μm程度である。一方、近赤外領域の光は、生体による吸収が少ないため、200μm以上の深さであっても測定が可能である。
例えば、口唇は、角質層および真皮層を有さず、表皮層の厚みは50〜200μmである。そこで、口唇の表皮層中の生体成分、例えばグルコースの濃度を測定する場合、中赤外領域の光を用いることができる。このとき、浅い溝部および深い溝部ともに、深さを200μm以下に設定すればよい。
このようにすると、深い溝から得られた透過データ(すなわち透過した光から得られる測定データ)から、浅い溝から得られた透過データを差し引くことで、生体表面に存在する汗、汚れおよび唾液などの影響を抑制することができる。
例えば、溝部18の頂角33はいずれも70.6度に加工する。また、シリコンの結晶加工面を選択することで、頂角33を117度に加工することも可能である。
本発明は、溝部18の頂角33を特に限定するものではないが、測定したい生体組織の表皮の厚さや硬さ等により、適宜選定すればよい。
特に、生体成分がグルコースである場合、グルコースは真皮中に多く含まれるので好ましい。このとき、測定に用いる光としては、生体による吸収が少ない近赤外領域の光を用いることが好ましい。
このとき、光透過体17の材料は、中赤外領域と同様にシリコンを用いても構わないが、これに限定せず、ガラスや樹脂を用いても構わない。
さらに、例えば図1に示したように、異なる深さの溝部を有する光透過体17を多数積層することで、幾種類もの深さを測定することができる。
ここで、図6は、光分割手段14の構成を示す概略図である。光透過体17を出射した光は、光分割手段14に到達する。図6に示す光分割手段14は、遮光部41と開口部42から成り立っている。光分割手段14は、図1にも示したように、光透過体17から出射した光を、別々に分離独立させて測定するために用いられる。
また、図1に示した分光手段15は、詳細に示していないが、光分割手段14を通過した光を、波長ごとの成分に分離するためのものである。
測定時の光分割手段14の位置については、光透過体17に対応させて光分割手段14の位置決めをするのが好ましい。
また、光分割手段14は、図示していないが、例えば図1に示す透過体17に対応して動かされ、それぞれの透過体17から出射した光を検出するのが好ましい。
また、図示はしていないが、得られた吸光度を用いて演算手段により演算を行い、体液中のグルコース濃度を算出する。本発明では、浅い表層組織の情報と深い組織の情報を両方測定できるため、正確なグルコース濃度を算出することができる。
図1に示す実施の形態1における第1の光透過体17a、第2の光透過体17bおよび第3の光透過体17cを通る光の一部は、それぞれ互いに混信する場合がある。かかる混信をより確実に防止するという観点から、本実施の形態の生体情報測定用光学素子は、図7に示す構成を有する。
ここで、図7は、本実施の形態に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。図7においては、第1の光透過体17aと2つの第2の光透過体17bとの間に光遮蔽体19が配置されている。このような構成によれば、光遮蔽体19によって、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bからの信号が互いに混信するのを防ぐことができ非常に好ましい。
光遮蔽体19を構成する材料としては、光を吸収もしくは反射する材料であれば用いることができる。例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、銅などの、使用する光を遮蔽できる金属が好ましい。さらには、これら金属の薄膜もしくは、これら金属膜と誘電体膜の多層膜を、蒸着やスパッタによって基板上に形成し、用いるのも好ましい。また、光遮蔽体19としてアルミ箔等の金属箔を用い、その金属箔を光透過体の間に挟み込んで接合してもよい。また、光遮蔽体19は板状であってもよい。
第1の光透過体17a、2つの第2の光透過体17bおよび2つの光遮蔽体19が積層されている。そして、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bの、生体と接触する部分に、それぞれ第1の溝部18aおよび第2の溝部18bが形成されている。
このような光は、光源11から出射した光を完全な平行光にし、しかも第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bに完全に真直ぐに入射させた場合はゼロにすることができる。ところが、光源自体が直径約1mm以上の発光体であることが多いため、完全な平行光にすることが難しく、このような理想状態にすることは困難である。
光遮蔽体19が存在しない場合は、光は隣り合う光透過体に再入射し、その光透過体で検出された信号と混信されるのに対し、本発明のように生体情報測定用光学素子13に、光を十分に遮蔽できる光遮蔽体19を設けた場合は、光遮蔽体19でほとんどの光が吸収されるか、反射されるため、隣り合う光透過体17に入力されることはない。したがって、光透過体17を出射し光遮蔽体19で反射された光は、再び同じ光透過体17に帰還でき、信号の量が増大して好ましい。
光透過体の表面に金属膜を蒸着やスパッタによってコーティングしたり、また光透過体の間に例えばアルミ箔のような金属箔を挟み込んで接合しても構わない。接合の際には、接着剤層があってもよい。
その他の構成については、上記実施の形態1と同じでよい。
本発明の生体情報測定用光学素子のより簡便な構造としては、図9に示すものが挙げられる。図9は、本実施の形態に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。
図9においては、第1の光透過体17aと第2の光透過体17bとの間に光遮蔽体19が配置されている。このような構成によれば、光遮蔽体19によって、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bからの信号が互いに混信するのを防ぐことができ非常に好ましい。
その他の構成については、上記実施の形態1ないし実施の形態2と同じでよい。
また、測定対象は、光学的に測定可能な体液成分などの物質であればよく、グルコース以外の体液成分の測定も可能である。
生体組織66内を光が伝播した後、生体情報検出用接触子に入射し、生体情報検出用接触子から出射した光を光検出器16にて検出する。凹部621、622、623、624、625の深さを調節することで、測定対象となる生体組織66の深さを制御することができ、特定層の光学特性が決定される。
そこで、本発明は、上記のような事情に鑑み、生体中の異なる深さを通過した光に基づく複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することのできる生体情報測定用光学素子、および生体情報測定装置を提供することを目的とする。
生体に光を照射し、前記生体の組織により帰還された光を用いて前記生体の情報を測定する生体情報測定用光学素子であって、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を提供する。
また、前記第1の光透過体は、前記第1の溝部を1つしか含まなくても、複数個含んでもよい。同様に、前記第2の光透過体も、前記第2の溝部を1つしか含まなくても、複数個含んでもよい。
生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を用い、
前記生体情報測定用光学素子と接触した生体に光を照射する工程、
前記生体から前記第1の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、
前記生体から前記第2の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、および
検出された前記第2の溝部に帰還した光の強度と前記第1の溝部に帰還した光の強度との差に基づき、前記生体の真皮層における生体情報を得る工程を含む生体情報測定方法を提供する。
光源と;上記生体情報測定用光学素子と;前記光学素子から出射された光を検出する光検出器と;前記光検出器により得られた情報を演算することにより生体情報を算出する演算器と;を備える生体情報測定装置をも提供する。
このような構成により、互いに異なる少なくとも2つの光透過体を備えるという簡易な構成により、生体中の異なる深さを通過した光に基づく複数の信号の混信を抑制し、生体情報に関する複数の光学パラメータを高精度に測定することが可能である。
また、前記第1の光透過体、前記第2の光透過体および光遮蔽体が、前記第1の光透過体と前記第2の光透過体との間に前記光遮蔽体を挟まれるように、互いに積層されていることが好ましい。
このような構成によれば、特に前記溝部によって、生体組織の特定の部分に光を照射して出射光を得て、当該部分を測定することが可能になる。
このような構成によれば、生体の均一性や光学素子の表面状態をさらに詳細に評価することができ、測定の異常を検知することができ、より高精度な測定が可能となる。
かかる本発明の生体情報測定装置によれば、安定かつ非侵襲的に、生体組織中の標的成分の濃度を測定することができる。
なお、以下の説明においては、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
図1は、本発明の実施の形態に係る生体情報測定用光学素子とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。図1に示すように、本実施の形態における生体情報測定装置100は、光源11、光学レンズ12、生体情報測定用光学素子13、光分割手段14、分光手段15、光検出手段16とから構成されている。
光分割手段14と分光手段15との位置関係は、図1に示される位置に限定するものではない。光源11と生体情報測定用光学素子13との間に、光分割手段14および分光手段15を挿入しても構わない。また、分光手段15および光分割手段14を用いずに、光源11の波長を変化させることで分光機能を実現しても構わない。
ここで、グルコースのように、波数1033cm-1あるいは1080cm-1の中赤外領域に吸収ピークがある物質を計測する場合には、約9〜10ミクロンの赤外波長で透過率が高く、加工性や機械的強度も高いという観点から、シリコンまたはゲルマニウムが特に好ましい。また、近赤外領域に吸収がある物質を測定する場合は、溶融石英、単結晶シリコン、光学ガラス、プラスティックを用いるのが好ましい。
第1の溝部18aおよび第2の溝部18bの形状に関しては、製造の容易性などの観点から、例えば、図1に示したようなV字型溝を用いるのが好ましい。第1の溝部18aおよび第2の溝部bの形状はV字型に限定されるものではなく、例えばU字状、凹状または階段状などであってもよい。なお、図1において第1の溝部18aおよび第2の溝部18bは同じ形状を有しているが、異なる形状を有していてもよい。
例えば、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bを構成する材料としてシリコンまたはゲルマニウムなどの結晶を用いる場合には、異方性エッチング技術を利用して第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
また、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bを構成する材料として樹脂を用いる場合には、成形法を用いて第1の光透過体17aおよび第2の光透過体18bの作製と同時に第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
そこで、本実施の形態では、第2の溝部18bが設けるのが好ましい。これにより、皮膚表面の数10μmオーダーの範囲に多く存在する、汗や、汚れ、唾液などの存在を容易に得ることができる。かかる第2の溝部18bとしては数10μm以上の溝深さが好ましい。これを採用することによって、皮膚の汚れや、皮膚への密着性、また、皮膚の表面状態の均一性を容易に検知することができる。この検知結果を用いて異常検知を行えば、より高精度な測定が実現できる。
検知結果が水と同じような吸光度となった場合には、正確な測定が困難なため、測定を中止し、皮膚表面から水分等の汚れを拭き取ることが好ましい。
すなわち、2つの第2の溝部18bからの信号を比較して、大きく違う場合は、皮膚の表面状態が均一でないか、密着性に問題があるため、測定を中止し、生体組織の表面の汚れを拭き取ることが好ましい。また、2つの第2の溝部18bからの信号が等しくても、表層が著しく汚れている信号を含んでいる場合は、測定を中止し、皮膚表面の汚れを拭き取ることが好ましい。汚れとしては、水以外に、油などが考える。
これにより、2つの第2の溝部18bを用いて光学素子の表面状態やその均一性を評価することにより、光透過体のみを用いる場合よりもさらに高精度な測定を実現することができる。
分光手段15としては、図1には詳細には示していないが、特に限定されるものでなく、グレーティングを用いた回折分光法や、干渉フィルターを用いた方法およびFT−IR法など、公知の分光技術を使用することができる。
図示していないが、光検出手段16で検出した信号に基づいて、コンピュータなどの演算手段において演算することにより、例えば、グルコース濃度などの生体組織のパラメータを算出することができる。
図1に示すように、光源11から出射され、光学レンズ12に入射した光は、生体情報測定用光学素子13に到達する。到達した光の一部は光透過体17(第1の光透過体17a、第2の光透過体17bおよび/または第3の光透過体17c)に入射し、光透過体17に形成された溝部18(第1の溝部18a、第2の溝部18bおよび/または第3の溝部18c)に到達する。
角質層21の厚みは、生体の部位によっても違う。例えば頬の場合、角質層21の厚みは0.01〜0.02mm、有棘層22の厚みは0.08〜0.28mm、真皮25の厚みは2〜3mmである。
すなわち、光31を溝部18を通じて生体内に入射させると、角質層21と溝部18の界面で光31は屈折し、所定角度で角質層21に入射する。入射した光は生体内を直進し、有棘層22を透過した後、再び角質層21と溝部18との界面で光31は屈折し、溝部18に到達する。
また、溝部18の形状や大きさは、特に限定するものではないが、上述のように例えばV字形状の溝部を用いることができる。
図4は、生体組織の浅い位置を測定する場合の溝部18(すなわち第1の溝部18a)付近の模式図を示し、図5は、深い位置を測定する場合の模式図を示しており、溝部18(すなわち第2の溝部18b)には、角質層21や有棘層22等からなる組織を有する生体が接触している。
なかでも、中赤外領域は、物質に固有の吸収のある領域であるため、いずれの成分でも同定をし易く好ましい。中赤外領域の光は、生体による吸収が多いので、生体内に進入できる深さは200μm程度である。一方、近赤外領域の光は、生体による吸収が少ないため、200μm以上の深さであっても測定が可能である。
例えば、口唇は、角質層および真皮層を有さず、表皮層の厚みは50〜200μmである。そこで、口唇の表皮層中の生体成分、例えばグルコースの濃度を測定する場合、中赤外領域の光を用いることができる。このとき、浅い溝部および深い溝部ともに、深さを200μm以下に設定すればよい。
このようにすると、深い溝から得られた透過データ(すなわち透過した光から得られる測定データ)から、浅い溝から得られた透過データを差し引くことで、生体表面に存在する汗、汚れおよび唾液などの影響を抑制することができる。
例えば、溝部18の頂角33はいずれも70.6度に加工する。また、シリコンの結晶加工面を選択することで、頂角33を117度に加工することも可能である。
本発明は、溝部18の頂角33を特に限定するものではないが、測定したい生体組織の表皮の厚さや硬さ等により、適宜選定すればよい。
特に、生体成分がグルコースである場合、グルコースは真皮中に多く含まれるので好ましい。このとき、測定に用いる光としては、生体による吸収が少ない近赤外領域の光を用いることが好ましい。
このとき、光透過体17の材料は、中赤外領域と同様にシリコンを用いても構わないが、これに限定せず、ガラスや樹脂を用いても構わない。
さらに、例えば図1に示したように、異なる深さの溝部を有する光透過体17を多数積層することで、幾種類もの深さを測定することができる。
ここで、図6は、光分割手段14の構成を示す概略図である。光透過体17を出射した光は、光分割手段14に到達する。図6に示す光分割手段14は、遮光部41と開口部42から成り立っている。光分割手段14は、図1にも示したように、光透過体17から出射した光を、別々に分離独立させて測定するために用いられる。
また、図1に示した分光手段15は、詳細に示していないが、光分割手段14を通過した光を、波長ごとの成分に分離するためのものである。
測定時の光分割手段14の位置については、光透過体17に対応させて光分割手段14の位置決めをするのが好ましい。
また、光分割手段14は、図示していないが、例えば図1に示す透過体17に対応して動かされ、それぞれの透過体17から出射した光を検出するのが好ましい。
また、図示はしていないが、得られた吸光度を用いて演算手段により演算を行い、体液中のグルコース濃度を算出する。本発明では、浅い表層組織の情報と深い組織の情報を両方測定できるため、正確なグルコース濃度を算出することができる。
図1に示す実施の形態1における第1の光透過体17a、第2の光透過体17bおよび第3の光透過体17cを通る光の一部は、それぞれ互いに混信する場合がある。かかる混信をより確実に防止するという観点から、本実施の形態の生体情報測定用光学素子は、図7に示す構成を有する。
ここで、図7は、本実施の形態に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。図7においては、第1の光透過体17aと2つの第2の光透過体17bとの間に光遮蔽体19が配置されている。このような構成によれば、光遮蔽体19によって、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bからの信号が互いに混信するのを防ぐことができ非常に好ましい。
光遮蔽体19を構成する材料としては、光を吸収もしくは反射する材料であれば用いることができる。例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、銅などの、使用する光を遮蔽できる金属が好ましい。さらには、これら金属の薄膜もしくは、これら金属膜と誘電体膜の多層膜を、蒸着やスパッタによって基板上に形成し、用いるのも好ましい。また、光遮蔽体19としてアルミ箔等の金属箔を用い、その金属箔を光透過体の間に挟み込んで接合してもよい。また、光遮蔽体19は板状であってもよい。
第1の光透過体17a、2つの第2の光透過体17bおよび2つの光遮蔽体19が積層されている。そして、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bの、生体と接触する部分に、それぞれ第1の溝部18aおよび第2の溝部18bが形成されている。
このような光は、光源11から出射した光を完全な平行光にし、しかも第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bに完全に真直ぐに入射させた場合はゼロにすることができる。ところが、光源自体が直径約1mm以上の発光体であることが多いため、完全な平行光にすることが難しく、このような理想状態にすることは困難である。
光遮蔽体19が存在しない場合は、光は隣り合う光透過体に再入射し、その光透過体で検出された信号と混信されるのに対し、本発明のように生体情報測定用光学素子13に、光を十分に遮蔽できる光遮蔽体19を設けた場合は、光遮蔽体19でほとんどの光が吸収されるか、反射されるため、隣り合う光透過体17に入力されることはない。したがって、光透過体17を出射し光遮蔽体19で反射された光は、再び同じ光透過体17に帰還でき、信号の量が増大して好ましい。
光透過体の表面に金属膜を蒸着やスパッタによってコーティングしたり、また光透過体の間に例えばアルミ箔のような金属箔を挟み込んで接合しても構わない。接合の際には、接着剤層があってもよい。
その他の構成については、上記実施の形態1と同じでよい。
本発明の生体情報測定用光学素子のより簡便な構造としては、図9に示すものが挙げられる。図9は、本実施の形態に係る生体情報測定用光学素子13とそれを用いた生体情報測定装置の概略図である。
図9においては、第1の光透過体17aと第2の光透過体17bとの間に光遮蔽体19が配置されている。このような構成によれば、光遮蔽体19によって、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bからの信号が互いに混信するのを防ぐことができ非常に好ましい。
その他の構成については、上記実施の形態1ないし実施の形態2と同じでよい。
また、測定対象は、光学的に測定可能な体液成分などの物質であればよく、グルコース以外の体液成分の測定も可能である。
例えば、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bを構成する材料としてシリコンまたはゲルマニウムなどの結晶を用いる場合には、異方性エッチング技術を利用して第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
また、第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bを構成する材料として樹脂を用いる場合には、成形法を用いて第1の光透過体17aおよび第2の光透過体17bの作製と同時に第1の溝部18aおよび第2の溝部18bを形成することができる。
すなわち、2つの第2の溝部18bからの信号を比較して、大きく違う場合は、皮膚の表面状態が均一でないか、密着性に問題があるため、測定を中止し、生体組織の表面の汚れを拭き取ることが好ましい。また、2つの第2の溝部18bからの信号が等しくても、表層が著しく汚れている信号を含んでいる場合は、測定を中止し、皮膚表面の汚れを拭き取ることが好ましい。汚れとしては、水以外に、油などが考えられる。
Claims (4)
- 生体に光を照射し、前記生体の組織により帰還された光を用いて前記生体の情報を測定する生体情報測定用光学素子であって、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子。 - 前記第1の光透過体と前記第2の光透過体との間に、前記光を吸収または反射させる光遮蔽体を有する請求項1記載の生体情報測定用光学素子。
- 生体と接触し前記生体に光を出射および受光する第1の溝部を有する第1の光透過体と、
前記生体と接触し前記生体に光を出射および受光し、前記第1の溝部よりも深い第2の溝部を有する第2の光透過体とを備える生体情報測定用光学素子を用い、
前記生体情報測定用光学素子と接触した生体に光を照射する工程、
前記生体から前記第1の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、
前記生体から前記第2の溝部に帰還した光の強度を検出する工程、および
検出された前記第2の溝部に帰還した光の強度と前記第1の溝部に帰還した光の強度との差に基づき、前記生体の真皮層における生体情報を得る工程を含む生体情報測定方法。 - 光源と;請求項1または2記載の生体情報測定用光学素子と;前記光学素子から出射された光を検出する光検出器と;前記光検出器により得られた情報を演算することにより生体情報を算出する演算器と;を備える生体情報測定装置。
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