JPWO2006035532A1 - 表示装置及びその画像表示方法 - Google Patents

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Abstract

表示画面の大画面化と高繊細化とを両立させることができ実用性、視認性に優れると共に、静止画の表示の際には通電が不要で省エネルギー性に優れる表示装置を提供することを目的とする。(a)放電電極を有する放電部と、放電電極を加熱するための発熱部を有する加熱手段と、を備え、放電制御電圧が印加された各々の放電電極の温度を制御することにより放電の発生制御を行う加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部と、(b)加熱放電型印字ヘッドからの放電により可視像が出現する表示媒体と、を備えている。

Description

本発明は、放電の作用により可視像が出現する繰り返し記録可能な表示媒体に、加熱放電型印字ヘッドで画像を書き込み表示する表示装置及びその画像表示方法に関するものである。
近年、高輝度の青色発光ダイオードの実用化に伴い、屋外に設置する広告用のディスプレイ等には三原色(R,G,B)の発光ダイオード(LED)を用いた表示装置が普及しつつある。しかしながら、発光ダイオードを用いた表示装置は大画面化は容易であるものの、画素が粗いため高繊細化には適さない。逆に、画素が極め細かい液晶(LCD)を用いた表示装置は高繊細化が可能なものの、大画面化が難しいため屋外に設置する広告用のディスプレイ等には適さない。
このように、従来の表示装置の画面に用いた表示媒体は、大画面化に適しているものは高繊細化に適さないし、逆に高繊細化に適しているものは大画面化に適さないため、大画面化と高繊細化とは背反関係にあるという課題を有していた。
また、従来の表示装置においては、動画であれ静止画であれ画面に画像を表示するためには通電する必要がある。そのため、静止画を必要に応じて逐次書き換えながら表示するだけで良い場合でも、動画を表示する場合と同様の電力を消費するという節電の面での課題も有していた。
一方、本出願人が出願した(特許文献1)には、「イオン発生装置によって、電界により書き換え可能な記録媒体に、選択的にイオン照射を行い、記録媒体の表面上に静電潜像を形成し、選択的な表示をすることを特徴とする画像形成装置。」が開示されている。
このような加熱放電方式の一形態であるイオン照射方式による静電潜像形成方式を応用したものは、表面に形成された静電潜像の電荷の作用により内部に可視像が出現する静電現像方式の記録媒体に対して、静電潜像をイオン照射により直接形成できるので、一般的にデジタルペーパと称される記録媒体の内の静電現像方式の記録媒体に非接触で書き込むには、現在考え得る最適な画像形成装置である。
(特許文献1)の図4では、イオン照射を行うイオン発生装置を固定し、記録媒体を搬送することで記録媒体を印字用紙として使用しているので、これは画像形成装置(プリンタ)である。しかし、記録媒体を取り替えずに(印字用紙としては使用しない)イオン発生装置で繰り返し書き換えを行うと、これは一種の表示装置ということになる。このように、記録媒体を画面用の表示媒体として使用した表示装置は、その特徴として静止画を必要に応じて逐次書き換えながら表示可能であるので、小型化すれば電子ブック等と称される機器としても使用できるし、大型化すれば屋外に設置する広告用のディスプレイ等としても使用できる可能性を有している。
因に、現時点におけるデジタルペーパとしては、微小なボールを二色(例えば白黒)に色分けし、各色毎の電気特性の違いによりボールを回転して任意の一色を表示するツイストボール方式、微小なボール中に二色(例えば白黒)の微粉末を混入し、各色の微粉末が持つ電気特性の違いにより一色のみを浮上させて表示する電気泳動方式、液晶板あるいは微小な液晶ブロックの液晶シャッターを開閉して、シャッターを開けた部分の背景色を表示する液晶方式等がある。
特開2003−326756号公報
しかしながら、(特許文献1)は、イオン発生装置を備えたデジタルペーパ対応の画像形成装置や、光学系を不要とする静電潜像形成方式の普通紙対応の画像形成装置の基本概念の開示に止まっており、表示装置として用いるための具体的な構成、或いは画像の形成方法や表示方法等については開示されていなかった。特に、カラー表示のための構成や表示画面の切替え方法等に対する具体的な検討が望まれていた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、表示画面の大画面化と高繊細化とを両立させることができ実用性、視認性に優れると共に、静止画の表示の際には通電が不要で省エネルギー性に優れる表示装置の提供、及び表示画面の切替えに要する時間を短縮することができる機能性に優れる表示装置の画像表示方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために本発明の表示装置及びその画像表示方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の表示装置は、(a)放電電極を有する放電部と、前記放電電極を加熱するための発熱部を有する加熱手段と、を備え、放電制御電圧が印加された各々の前記放電電極の温度を制御することにより放電の発生制御を行う加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部と、(b)前記加熱放電型印字ヘッドからの放電により可視像が出現する表示媒体と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部を備えているので、放電により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示媒体に画像を形成して表示することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに保持でき省エネルギー性に優れる。
(3)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(低電圧のため印加しただけでは放電が起こらないが、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる。
(4)加熱制御により加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調が容易になり、画像品質を向上させることができる。
ここで、加熱放電型印字ヘッドの放電部は、櫛歯状に分割された複数の放電電極の一端部を共通電極で接続したり、複数の放電電極の両端部を共通電極で接続し梯子状に形成したりできる。放電電極近傍に共通電極を設けることで、放電電極の放熱面積の拡大及び、熱容量の増大により、放電電極の冷却効果、加熱停止に対する応答性が向上し、また、抵抗値の低減により常に安定した電圧を印加できるので、放電の安定性等を更に向上させることができる。
特に、共通電極の幅を放電電極の幅より幅広に形成した場合、一時的に200〜300℃に加熱される放電電極の冷却効果が向上し熱の籠りを防ぐことができるので、加熱のオフに迅速に応答して放電を停止でき、放電時間間隔を短縮して短時間で放電の有無を切替えることができる。また、共通電極の抵抗値を引き下げることができ、共通電極で接続された各々の放電電極の間に生じる電位差を極力抑えることができるので、各々の放電電極における放電量のばらつきを低減でき、放電の安定性に優れる。
また、放電部の内の少なくとも共通電極の表面には導電材層を形成してもよい。これにより、共通電極の抵抗値を更に引き下げることができ、各々の放電電極間に生じる電位差を確実に低減でき、放電の安定性に優れる。導電材層は放電部よりも優れた導電性を有するものであればよく、銀ペーストのスクリーン印刷や銀メッキ等により容易に形成することができる。導電材層の厚みを増すことにより、共通電極の抵抗値を低減でき、放電の安定性を向上させることができる。
放電電極を櫛歯状に形成する場合、放電電極の形状は、略矩形状、台形状、砲弾状、半円形状あるいはこれらを組合せた形状等に形成することができる。また、放電電極の一部をスリット等で分割したり、周縁部に凹凸部を形成したりすることで放電電極の縁周辺の周長を増加させることができる。放電電極は縁周辺からの放電量が多いので、縁周辺の周長を長くすることで、放電電極からの放電量を増加させることができ、照射されるイオン量や発光強度を増加させることができ、放電制御装置の省エネルギー性、効率性に優れる。また、放電電極への印加電圧を小さく設定できるので、放電電極の長寿命性にも優れる。
放電電極の端部を分割したり周縁部に凹凸部を形成したりする代りに、発熱体の加熱位置に対応させて放電孔部を形成してもよい。これにより、放電孔部の縁周辺から放電を発生させることができ、放電電極の端部を分割するのと同様の作用を得ることができる。放電孔部の形状は、略円形、略楕円形、四角形や六角形等の多角形、星形など様々な形状に形成することができる。また、加熱箇所1箇所当たりの放電孔部の数及び大きさは適宜選択して組合せることができる。
放電電極としては、金、銀、銅、アルミニウム等の金属を、蒸着、スパッタ、印刷等で形成した後、エッチングしてパターン形成するもの等が好適に用いられる。また、その他にカーボン等の導電材料を用いてもよい。
放電電極に放電制御電圧を印加すると共に、加熱を行うことにより放電の発生を制御できるので、加熱手段による加熱箇所を選択することで容易に任意の放電電極から選択的に放電を発生させることができる。
放電電極をアルミニウムで形成する場合の厚さは0.1μm〜100μmが好ましい。放電電極の厚さが0.1μmより薄くなるにつれ摩耗の影響を受け易く放電電極の寿命が短くなる傾向があり、100μmより厚くなるにつれ熱容量が増加し加熱のオン/オフに対する応答性が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
放電部の放電電極は、同一の基本ピッチで形成された複数の放電電極を一列単位として複数列を並設することもできる。基本ピッチの間を補間するように千鳥状に配置することにより、放電電極間の最小ピッチを基本ピッチより狭くすることができ、全体の解像度を向上させることができる。各列における放電電極間の基本ピッチを広く形成することができるので、加工が容易で量産性に優れ、歩留まりを向上させることができる。
複数の放電電極を接続する共通電極を設ける場合、共通電極は並設する各列毎に独立でもよいし、複数列に対して共通でもよい。
また、基本ピッチで形成された放電電極の列全体を傾斜させて配置した場合は、水平面に投影された放電電極の配列方向のピッチ(画像形成時のピッチ)を基本ピッチよりも狭くすることができ、加工上の制限を受けることなく高密度に実装して解像度を向上させることができる。
放電電極から離間し放電電極と絶縁されて形成された誘導電極を備えた場合、放電電極と誘導電極間のギャップが常に一定に保たれるので、放電電極と誘導電極間に電圧を印加することにより、効率よく放電を発生させることができる。尚、誘導電極に誘導電極絶縁膜を覆設することにより、誘導電極を確実に絶縁することができ、ショートの発生を防ぐことができる。誘導電極絶縁膜の材質としては、ガラス、セラミック、マイカ、合成樹脂等を好適に用いることができ、スクリーン印刷、蒸着、スパッタ等で形成できる。
また、加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンの照射によって記録を行う表示媒体の裏側には、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加する正電圧印加部を配設することが好ましい。接地電極部を設けることで、誘導電極の有無に関わらず、加熱放電型印字ヘッドの放電電極から表示媒体に向かってイオンを照射させることができる。また、負のイオンを照射する場合に、正電圧印加部を設けることで、表示媒体側に正電圧を印加することができ、同様な効果を得ることができる。これにより、表示装置の印字部における単位ドットを微細化することができると共に、照射位置精度を向上させることができ、高精細な記録を行うことができる。
尚、誘導電極を設けない場合、誘導電極の形成工程等を省くことができ生産性に優れると共に、放電制御装置を小型化して高密度に実装することができ、加熱放電型印字ヘッドによる記録画像の高解像度化を図ることができる。
放電部の内、加熱手段の発熱部による加熱位置近傍が放電発生部となるが、その放電発生部を除いて放電部に被覆膜を覆設することが好ましい。放電部が共通電極と放電電極を有する場合、被覆膜は共通電極に覆設されると共に、放電発生部を除く放電電極に覆設される。放電電極の放電発生部を除いて被覆膜を形成することにより、放電発生部表面と被覆膜の表面との間に段差を形成することができる。その為、放電電極と対向配置される表示媒体等と放電電極との間のギャップを一定に保つことができるので、放電電極からの放電を安定させることができる。加えて、放電電極の放電発生部に表示媒体が接触するのを防止することができる。
より具体的には、被覆膜は放電部の放電発生部(加熱手段の発熱部による加熱位置近傍)に略円形状、略楕円形状、略矩形状等に形成された開口部を有する。開口部は複数の放電発生部に対し、それぞれ独立に形成してもよいし、複数の放電発生部にまたがるように長孔状に連続させて形成してもよい。
被覆膜は絶縁体で形成され、ガラス、アラミドやポリイミド等の合成樹脂、SiO2等のセラミック、マイカ等の材質が好適に用いられる。被覆膜は、スクリーン印刷、蒸着、スパッタ等により形成することができる。
尚、被覆膜の表面に凹凸部を形成した場合、被覆膜の表面距離を伸延させ表面抵抗を増加させることができる。この為、放電電極の放電発生部から周囲に漏電するのを防止できるので、加熱手段のドライバICへの悪影響も発生せず、放電制御の安定性を向上させることができる。また、漏電がなくなるため、放電電極に印加した印加電圧が低下することがなく、放電の安定性、効率性に優れる。
加熱放電型印字ヘッドによれば、静電潜像の形成や酸化還元反応による画像の形成も可能である。また放電の発光によれば、紫外線や可視光線等で画像を形成するフォトクロミック化合物を用いたデジタルペーパ等を表示媒体として使用することができる。
表示装置が、印字部を移動させる印字部移動手段或いは表示媒体を搬送する表示媒体搬送手段のいずれか一方を有する場合、印字部と表示媒体を相対的に移動させることで表示媒体に対して画像の書き込みを行うことができる。
表示媒体は、シートの両端を接続した無限長のエンドレスループ(閉ループ)状或いは有限長のシート(開ループ)状に形成したものを用いることができる。表示媒体がシート(開ループ)状の場合、平面状に限らず、曲面状に配置することもできる。また、表示媒体がエンドレスループ(閉ループ)状の場合、円筒状を初め様々な形状に配置することができる。
尚、表示装置として表示媒体を着脱自在に保持する表示媒体保持部を備えた場合、ユーザ等が容易に表示媒体を着脱して交換を行うことができメンテナンス性に優れる。表示装置として初めから表示媒体を備えていなくても、加熱放電型印字ヘッドによって画像の形成が可能な任意の表示媒体を選択して後から装着することができるので、表示媒体の選択の幅を広げることができ、表示装置としての汎用性に優れる。
加熱手段の発熱部としては、複数の放電電極を選択的に加熱できるものであればよく、放電電極と密着して加熱するものでもよいし、放電電極と離間して加熱するものでもよい。
加熱手段が発熱部に覆設され放電電極に密着した発熱部絶縁膜を備えている場合、加熱手段の発熱部が発熱部絶縁膜を介して放電電極に密着して形成でき、加熱手段と放電部を一体に取扱うことができ、加熱放電型印字ヘッドの取扱いが容易で、表示装置の組立作業性に優れる。また、加熱手段の発熱部に発熱部絶縁膜が覆設されることにより、発熱部を放電電極に密着させることができ、画像記録に必要な消費電力を低減でき省エネルギー性に優れる。
放電電極と密着させて加熱する発熱部を有する加熱手段としては、従来の感熱式のファクシミリに使用されるサーマルプリントヘッドと同様の構成を好適に用いることができる。具体的には、発熱体を有する発熱部と電気的に接続されたドライバICで発熱体の発熱を制御するものである。例えば、複数の放電電極にまたがって配設された1つの発熱体の任意の箇所を選択的に発熱させるものや複数の放電電極に対応して個別に配設された複数の発熱体を選択的に発熱させるものがある。
発熱体を櫛歯状やマトリックス状等のパターンに形成された電極で電気的に接続することにより、1つの発熱体の中で任意の放電電極に対応する箇所又は個々の放電電極に対応する複数の発熱体の内の任意の発熱体に選択的に通電して発熱させることができる。
発熱体としては、TaSiO2、RuO2等が好適に用いられる。
発熱体及び発熱体に接続された電極の保護と絶縁のために発熱部絶縁膜を形成する。発熱部絶縁膜の材質としては、発熱体の熱を効率よく放電電極に伝達することができる高熱伝導性のものが好ましく、SiAl、SiO2、SiC、鉛ガラス、マイカ等が好適に用いられる。また、発熱部絶縁膜はスクリーン印刷、蒸着、スパッタ等で形成する。
発熱部絶縁膜をガラスで形成する場合の膜厚は2μm〜50μm、好ましくは4μm〜40μmが好適に用いられる。発熱部絶縁膜の膜厚が4μmより薄くなるにつれ絶縁性が低下し易くなる傾向があり、40μmより厚くなるにつれ放電電極に印加する印加電圧や発熱体の発熱量を増加させる必要があり省エネルギー性が低下し易くなる傾向が見られる。また、熱の拡散が起こりやすく、解像度が低下する傾向にある。特に、発熱部絶縁膜の膜厚が2μmより薄くなるにつれ発熱体や発熱体に接続された電極の表面を確実に覆うことができず、ピンホールが発生し易くなり信頼性に欠ける傾向があり、50μmより厚くなるにつれ放電の安定性が低下し易くなると共に、量産性に欠ける傾向があり、いずれも好ましくない。発熱部絶縁膜の膜厚を2μm〜50μm、好ましくは4μm〜40μmとすることで、絶縁性と熱伝導性の調和が取れ双方が良好で放電の安定性に優れる。特に、一回毎の塗りでピンホールが発生したとしても、複数回に分けて重ね塗りして発熱部絶縁膜を形成することで、ピンホール同士が重なる可能性を低減することができ、確実に発熱部を絶縁することができるので信頼性に優れる。
前述の誘導電極を放電電極の発熱部側の端部(縁)から水平方向に離間(オフセット)して発熱部絶縁膜上に形成する場合、発熱部絶縁膜上に放電電極を形成する代りに、誘導電極に覆設する誘導電極絶縁膜を発熱部絶縁膜上まで延設し、その上に放電電極を形成してもよい。また、誘導電極は放電電極の上部に誘導電極絶縁膜を介して積層して形成することもできる。
セラミック等の硬質性の基板上に放電部や加熱手段の発熱部を形成したものがヘッド基板であり、ヘッド基板の発熱部に発熱を制御するためのドライバICを電気的に接続したものが放電制御装置である。加熱手段が、発熱体に選択的に通電して発熱体の発熱を制御するドライバICを備えているので、発熱体の発熱を低電圧で制御することができると共に、放電電極に印加する電圧自体を引き下げることができ、加熱放電型印字ヘッドの小型化、長寿命化を図ることができる。また、表示装置としての量産性、信頼性に優れる。
ドライバICは発熱部から延びるリードパターンに金線でワイヤボンディングし、接続部はエポキシ樹脂等のIC保護樹脂で封止する。印字ヘッドは、放電制御装置と共に外部と電気的に接続するためのコネクタを備えたプリント配線基板をアルミニウム等の材質で形成した放熱板に配設して得られる。発熱部で発生した熱を速やかに放熱板に吸収し、放熱板から放熱することができるので、発熱部の急速冷却が可能となる。この為、加熱停止に対応する放電停止の応答性を向上させることができる。加えて、ドライバIC等を熱から守ることができ信頼性に優れる。放熱板の表面に溝等により凹凸を形成した場合、放熱板の表面積を拡大することができ、放熱の効率性を向上させることができる。
尚、ドライバICの表面にはドライバICを保護するためにICカバーを覆設してもよい。これにより、ドライバICと表示媒体等が接触するのを確実に防止でき信頼性に優れる。
放電電極はドライバICが配置される基板と同一平面上に形成する以外に、ドライバICが配置される基板の表面と略直交する基板の端面部、基板の表面に突出した略蒲鉾型等の隆起部、基板の表面と略鈍角をなす基板の縁部等に配置することができる。
放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の端面部に放電電極を配置する端面型である場合、ドライバICと放電電極とが略直角をなすことにより、表示媒体をドライバICと干渉させることなく直線状に搬送することができ好ましい。尚、基板の端面部を基板の表面側に折曲する等して基板を略L字型や略く字型等に形成してもよい。
放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の縁部に放電電極を配置するエッジ型である場合、傾斜状に面取りされた基板の縁部に放電電極を配置することでドライバICと放電電極とが鈍角をなし、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の作用を得ることができる。
放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の表面に形成された隆起部の隆起面に放電電極を配置する隆起型である場合、隆起部の頂部近傍やドライバICと反対側の隆起面に放電電極を配置することで高さ方向に嵩張らずに端面型やエッジ型と同様の作用を得ることができる。
発熱部が放電電極と離間して配設されている場合、放電部及び加熱手段を別々に製造して組立を行うことができるので、製造の歩留まりを向上できると共に、不具合が発生した際に容易に分解が可能で、修理や消耗した電極(放電部)の交換等を簡便に行うことができる。また、発熱部と放電電極が離間して配設されることで確実に絶縁されるので、発熱部と放電電極を絶縁するための発熱部絶縁膜等を形成する必要がなく、加熱放電型印字ヘッドの製造工数を低減でき量産性に優れる。
放電電極と離間して加熱する発熱部を有する加熱手段においては、発熱部としてレーザ光を照射する方式や赤外線を照射する方式等を好適に用いることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置であって、前記印字部が、前記表示媒体の表示内容を初期化して復元処理を行う復元器を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)印字部の復元器で表示媒体の白紙化を行うことができ、表示媒体の表示内容を書き換える際の前処理が容易で実用性に優れる。
復元器としては帯電ローラや帯電ブラシ等が好適に用いられる。これにより、装置の内部で電荷の作用により可視像が出現する表示媒体の表面を一様に帯電させ表示媒体を初期化することができ、表示媒体への書き換えを繰返し行うことができる。
尚、復元器を備える代わりに、加熱放電型印字ヘッドから画像が形成された表示媒体に画像形成時と逆極性のイオンを照射することで、不要な記録を消去することもできる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の表示装置であって、前記表示媒体が、前記加熱放電型印字ヘッドと対向する面と反対側の面に配設された接地電極部又は正電圧印加部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンを照射して記録を行う表示媒体の表面と反対側の面(表示媒体の裏側)に、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加するための正電圧印加部を配設することにより、加熱放電型印字ヘッドの放電電極から表示媒体に向かってイオンを確実に照射することができ、イオンの照射位置精度を向上させることができるので、表示媒体における単位ドットを微細化して高精細な画像表示を行うことができる。
ここで、表示媒体の接地電極部や正電圧印加部が表示装置の表示画面側(人が見る面)である場合、接地電極部や正電圧印加部は透明でなければならない。表示媒体が液晶シャッター機能を有する場合、接地電極部や正電圧印加部を透明にすることで、反射光でなく透過光に対応できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表面側若しくは裏面側の内のいずれか一方に配設された光源部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の表面(媒体基板)側の場合、表示媒体の表面側に光源部を配設することにより、光源部からの反射光を利用して画像を表示することができる。
(2)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の裏面(接地電極部又は正電圧印加部)側で、媒体基板が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えている場合、表示媒体の表面側に光源部を配設することによりバックライトとして用いることができ、夜間でも光源部からの透過光を利用して省電力で表示画面の輝度を保持することができる。
(3)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の裏面(接地電極部又は正電圧印加部)側で、媒体基板が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えていない場合、表示媒体の裏面側に光源部を配設することにより、光源部からの反射光を利用して表示画面を照らし出すことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表示原色が、少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
ここで、表示媒体の媒体基板が液晶シャッター機能を有し、接地電極部や正電圧印加部が透明な場合、三原色それぞれの色彩を持つカラーフィルタ等を備えることにより、透過光を利用して加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
表示原色は少なくとも加法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表示原色が、少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
ここで、表示媒体が三原色それぞれの色彩を持つ反射層等を有することにより、反射光を利用することができる。表示媒体の媒体基板における液晶シャッター機能の有無に関わらず、媒体基板側から光を照射することにより、反射光を利用して減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
尚、媒体基板側が表示装置の表示画面側(人が見る面)となるので、接地電極部や正電圧印加部は透明でも不透明でもよい。
表示原色は少なくとも減法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の表示装置であって、前記表示原色の各色が、前記表示媒体に縞模様状に配置されている構成を有している。
この構成により、請求項5又は6の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止できる。
ここで、一つの画素を三分割し表示原色として加法混色法における三原色(R,G,B)又は減法混色法における三原色(Y,M,C)を縞模様状に配置することでカラー化に対応できる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の表示装置であって、前記表示媒体が、縞模様状に配置された前記表示原色の長手方向と平行方向又は直交方向の少なくともいずれか一方に配設された指標を備えている構成を有している。
この構成により、請求項7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と平行方向に指標を設けた場合、指標の傾きを読み取ることで表示原色の縞模様の傾きを知ることができ、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行って色ずれを低減できる。
(2)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と直交方向に指標を設けた場合、加熱放電型印字ヘッドをシリアル走査させる際に、各表示原色の先端の傾きを知ることができ、シリアル走査による色ずれの発生を低減できる。
(3)表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標の両方を有する場合、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる。
ここで、指標は表示媒体の余白部分に設けることができる。
加熱放電型印字ヘッドの走査は、通常は表示原色の縞模様に沿って行われるので、加熱放電型印字ヘッドの走査に先立ち、予め加熱放電型印字ヘッドを移動させて指標の傾きを読み取っておけば、実際の走査の段階では表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御が可能となる。
指標の傾きを読み取るには、例えば加熱放電型印字ヘッドの動きに連動するようにスキャナー等の読み取り装置を設けておけば良い。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の全面あるいは前記表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示を行う構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色の画素における各色の合成による表示色を用いる代りに、表示媒体の全面あるいは表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示(モノカラー表示)を行うことにより、表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、画像の鮮明度を向上させることができる。
ここで、表示媒体は表示媒体全面で単色表示を行っても良いし、表示媒体を分割した各ブロック単位で色違いの単色表示を行っても良い。単色表示を行う場合の表示色は加法混色法における表示原色(R,G,B)や減法混色法における表示原色(Y,M,C)に限らず任意に選択できる。単色表示の中には黒色(モノクロ)表示も含むので、単色表示は黒色表示の色を他の色に取り替えたものとも言える。
各ブロック単位で単色表示を行う場合は、表示媒体を複数のブロックに分割し、各ブロック単位で任意の表示色を割り当てる。例えば表示媒体全体を三分割する場合には、加法混色法における表示原色(R,G,B)や減法混色法における表示原色(Y,M,C)等を各ブロックに一色ずつ割り当て、各ブロック単位で単色表示を行うこともできる。
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記印字部を移動させる印字部移動手段又は前記表示媒体を搬送する表示媒体搬送手段の少なくともいずれか一方を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至9の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)印字部移動手段を有する場合、印字部を移動させ固定された表示媒体の任意の位置に画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体を固定して印字部を移動させる場合、表示装置には表示画面の大きさのシート型の表示媒体しか必要としないので、表示媒体を節約することができる。
(3)表示媒体搬送手段を有する場合、表示媒体を移動させながら画像の書き込みを行うことができ、表示媒体の内の新たな画像が形成された領域を表示画面に移動させて画像を表示することができる。
(4)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、印字部と表示媒体を逆方向に移動させることで相対的な搬送速度を向上させることができ、画像の形成に要する時間を短縮することができる。
(5)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、印字部を移動させ固定された表示媒体への画像の書き込みが終了した時点で、表示媒体を搬送して表示する画像の切替えを行うことができる。特に、無限長のエンドレスループ(閉ループ)状や表示画面の大きさと同等以上の有限長のシート(開ループ)状に形成した表示媒体を用いれば、表示画面で画像を表示している間に、表示媒体の非表示領域に次に表示する画像の書き込みを行うことができる。
ここで、印字部移動手段としては、従来の画像形成装置で用いられている移動手段と同様のものが好適に用いられる。
加熱放電型印字ヘッドや復元器が表示媒体の幅に対応できるだけの幅を有する場合、印字部移動手段で表示媒体に対して印字部を相対的に移動させる方向に走査させるだけで、表示媒体に画像を書き込むことができる。表示装置の表示画面を大型化する際などに、加熱放電型印字ヘッドや復元器の幅が表示媒体の幅より狭くなる場合には、印字部移動手段で印字部にシリアル走査を行わせることで、加熱放電型印字ヘッドや復元器の幅の問題を解決することができ、表示媒体の幅全体に画像を形成することができる。
表示媒体搬送手段としては、印字部に対して相対的に表示媒体を移動させることができるものであればよい。エンドレスループ(閉ループ)状の表示媒体を回動させたり、有限長のシート(開ループ)状の表示媒体を摺動させたりして画像を形成することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の表示装置であって、(a)前記表示媒体搬送手段が、少なくとも二つのローラと、前記ローラの内の少なくともいずれか一つのローラを回動させるローラ駆動部と、を有し、(b)前記表示媒体が、前記ローラの周りにエンドレスループ状に巻回されている構成を有している。
この構成により、請求項10の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示媒体搬送手段が、少なくとも二つのローラと、少なくともいずれか一つのローラを回動させるローラ駆動部と、を有するので、ローラの周りに巻回されたエンドレスループ状の表示媒体を回動させて移動させることができ、固定された印字部による画像の書き換えや、形成された画像の移動を行うことができる。
(2)表示媒体がローラの周りにエンドレスループ状に巻回されているので、印字部を移動させる印字部移動手段を有する場合には、画像表示中の表示媒体の非表示領域に切替え用の画像の書き込みを行うことができる。
ここで、表示媒体搬送手段は、モータ等のローラ駆動部でローラを回動させることにより、任意の移動量だけ表示媒体を搬送させることができるものが好適に用いられる。表示媒体がエンドレスループ状に配設されていることにより、表示装置で画像を表示している間に、表示装置の裏側やエンドレスループ状の表示媒体の輪の内側で表示媒体への画像の書き込みを行うことができる。
画像の切替えは、例えばタイマーにより行ったり、加熱放電型印字ヘッドの書き込みの終了に合わせて行ったりできる。タイマーにより画像の切替えを行う場合、加熱放電型印字ヘッドによる画像の書き込みに要する時間よりも長目の画像切替え間隔を設定することにより、自動的に画像の切替えを行うことができる。加熱放電型印字ヘッドの書き込みの終了に合わせて画像の切替えを行う場合、印字部移動手段による加熱放電型印字ヘッドの移動を監視するようにすれば、画像の書き込み終了時に即座に画像の切替えを行うことができ、待ち時間を短縮できる。
尚、画像の切替えは、画像全体の書き込み終了後に表示画面全体を一度に切替えるようにすることもできるし、加熱放電型印字ヘッドが一行乃至複数行の書き込みを行う度に、書き込みが終了した部分だけを断続的に移動させて表示画面を少しずつ切替えるようにすることもできる。
請求項12に記載の表示装置の画像表示方法は、(a)請求項11に記載の表示装置の画像表示中に前記表示媒体に切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程と、(b)前記表示媒体に形成した前記表示装置に表示中の画像と前記切替え用の画像とを切替える画像切替え工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)表示装置の画像表示中に表示媒体に切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程を有するので、画像の表示を行っている停止中の表示媒体に対する画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体に形成した表示装置に表示中の画像と切替え用の画像とを切替える画像切替え工程を有するので、前工程の画像形成工程で形成された切替え用の画像を表示装置の表示画面側に移動させて画像の切替えを行うことができる。
(3)画像形成工程と画像切替え工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置が大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる。
以上のように、本発明の表示装置及びその画像表示方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに画像を保持できる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(印加しただけでは放電が起こらないで、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)加熱制御により容易に加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調を容易に行うことができ、表示媒体の画像品質を向上させることができる高品質で信頼性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字部の復元器で表示媒体の白紙化を行うことができ、表示媒体の表示内容を書き換える際の前処理が容易な実用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンを照射して記録を行う表示媒体の表面と反対側の面(表示媒体の裏側)に、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加するための正電圧印加部を配設することにより、加熱放電型印字ヘッドの放電電極から表示媒体に向かってイオンを確実に照射することができ、イオンの照射位置精度を向上させ、表示媒体における単位ドットを微細化できる高精細な表示装置を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体の種類や表示画面側(人が見る面)が表示媒体の表裏のいずれであるか等に応じて光源部からの反射光或いは透過光を利用して画像を表示できる実用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項5又は6の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と平行方向に設けた指標により表示原色の縞模様の傾きを知ることができ、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行って色ずれを低減できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と直交方向に設けた指標により各表示原色の先端の傾きを知ることができ、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査による色ずれの発生を低減できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標の両方を有する場合、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる信頼性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体の全面あるいは表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示(モノカラー表示)を行うことにより、加法混色法や減法混色法の表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、画像が鮮明で視認性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、請求項1乃至9の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字部移動手段又は表示媒体搬送手段の少なくともいずれか一方を駆動することにより、相対的に表示媒体を移動させることができ、表示媒体への画像の書き込みを行うことができる実用性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、無限長のエンドレスループ(閉ループ)状や表示画面の大きさと同等以上の有限長のシート(開ループ)状に形成した表示媒体を用いることにより、表示画面で画像を表示している間に、印字部を移動させて表示媒体の非表示領域に次に表示する画像の書き込みを行うことができると共に、書き込み終了後に表示媒体を移動させて画像の切替えを行うことができる実用性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、請求項10の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体搬送手段でエンドレスループ状の表示媒体を移動させることができるので、画像表示中の表示媒体の未表示領域に切替え用の画像の書き込みを行うことができ、画像の書き込みが終了した時点で、表示媒体の搬送を行って切替え用の画像を表示することができる実用性、汎用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)画像形成工程と表示媒体移動工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置が大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる実用性、機能性に優れた表示装置の画像表示方法を提供することができる。
実施の形態1における表示装置の構成を示す要部模式図である。 (a)実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す模式側面図 (b)実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す要部模式斜視図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部平面展開図である。 (a)図3のA−A線矢視断面図 (b)図3のB−B線矢視断面図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部分解斜視図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドの放電制御装置の構成図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の発熱部形成工程を示す斜視図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の放電部形成工程を示す斜視図である。 実施の形態1における表示装置を示す要部模式断面図である。 (a)実施の形態1における表示装置の表示媒体の一画素の構成を示す要部模式分解図 (b)実施の形態1における表示装置の表示媒体の表示原色及び指標の配置を示す平面透視図である。 実施の形態1における表示装置の表示媒体の第1の変形例を示す一画素の要部模式分解図である。 実施の形態1における表示装置の表示媒体の第2の変形例を示す平面模式図である。 実施の形態1における表示装置の変形例を示す要部模式背面図である。 (a)実施の形態2における表示装置を示す要部模式断面図 (b)実施の形態2における表示装置の表示媒体の一画素の構成を示す要部模式分解図である。 実施の形態3における表示装置を示す要部模式断面図である。 実施の形態4における表示装置を示す要部模式断面図である。 実施の形態4における表示装置の変形例を示す要部模式断面図である。
符号の説明
1,1a,1b,1c,1d,1e 表示装置
2 印字部
3 加熱放電型印字ヘッド
4 復元器
5,5a,5b,5c 表示媒体
6 媒体基板
6a 媒体基板表面
6b 媒体基板本体
6c カラーフィルタ
6d 反射層
7,7b 接地電極部
7a 接地電極部表面
8a,8b 指標
10 放熱板
11 基板
11a 端面部
12 ヘッド基板
13 放電部
13a 放電電極
13b 共通電極
14 ドライバIC
15 放電制御装置
16 プリント配線基板
17 コネクタ
18 ICカバー
18a 高圧基板
19 発熱用共通導体パターン
19a 発熱用櫛歯電極
19b 発熱用共通電極
20 発熱用個別電極
20a ボンディングパッド
21 発熱部
21a 発熱体
21b 発熱部絶縁膜
22 放電発生部
23 加熱手段
24a,24b 光源部
25a,25b ローラ
26 制御部
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における表示装置及びその画像表示方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図1は実施の形態1における表示装置の構成を示す要部模式図である。
図1中、1は本発明の実施の形態1における表示装置、2は表示装置1の印字部、3は印字部2の加熱放電型印字ヘッド、4は後述する表示媒体5の媒体基板6の媒体基板表面6aを一様に帯電させる印字部2の復元器、5は加熱放電型印字ヘッド3の放電による電荷の作用により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示装置1の表示媒体、7は表示媒体5の裏側(加熱放電型印字ヘッド3と対向する面と反対側の面)に配設され加熱放電型印字ヘッド3と表示媒体5間に電界をかけるための接地電極部、7aは接地電極部表面である。
加熱放電型印字ヘッド3は表示媒体5に対して相対的に移動することにより画像を形成するが、表示媒体5が有限長のシート(開ループ)状であれば加熱放電型印字ヘッド3や復元器4を移動させ、表示媒体4が無限長のエンドレスループ(閉ループ)状であれば表示媒体4を移動させることが好ましい。図1では表示媒体5がシート(開ループ)状であり、加熱放電型印字ヘッド3が移動する場合を示しているが、表示媒体5を移動させた場合でも表示媒体5に対して画像を形成する原理は同様である。
加熱放電型印字ヘッド3は印加する電圧の極性により、放電の際に正負どちらのイオン照射も可能であるが、ここでは負のイオン照射により表示媒体5の媒体基板表面6a側から書き込みを行う場合について説明する。
加熱放電型印字ヘッド3によれば、静電潜像の形成以外に酸化還元反応による画像の形成も可能である。また放電に伴う発光によれば、紫外線や可視光線等で画像を形成するフォトクロミック化合物を用いたデジタルペーパ等にも記録を行うことができる。
次に、表示媒体5に書き込んだ画像の書き換え手順について説明する。
まず、印字部2の復元器4により、表示媒体5の表面を画像の書き込みの際とは逆極性に一様に帯電させる。これにより、表示媒体5の表示内容を全て消去して初期化する(白紙状態に戻す)復元処理を行うことができる。復元器4としては、帯電ローラや帯電ブラシ等が好適に用いられる。
次に、加熱放電型印字ヘッド3でイオン照射すると、電荷の作用により表示媒体5に可視像が出現する。
加熱放電型印字ヘッド3と繋いで表示媒体5に電界をかけるために、表示媒体5の裏面側(画像を書き込む側の反対側)には、接地電極部7が設けてある。電界をかけることが電荷による作用を促進するものと思われ、表示媒体5の電界がかかった部分では電荷のエネルギーを利用して確実に表示媒体5に可視像を出現させることができる。
前述のように表示媒体5の表示内容を書き換える際の前処理として、表示媒体5の復元処理を行う必要があるが、復元器4を用いる代りに、加熱放電型印字ヘッド3により、画像形成時と逆極性の正のイオン照射で表示媒体5になぞり書きしてもよい。これにより、表示媒体5に表示中の画像を白紙化(初期化)して消去することができる。
尚、加熱放電型印字ヘッド3を用いてなぞり書きをする際のずれ防止対策としては、一度書き込んだ画像の領域よりも広い領域、例えば一定の幅だけ広げた拡張なぞり書き領域に対して逆極性のなぞり書きをすればよい。
次に、加熱放電型印字ヘッドの詳細について説明する。
図2(a)は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す模式側面図であり、図2(b)は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す要部模式斜視図である。
図2中、10はアルミニウム等の材質で形成した加熱放電型印字ヘッド3の放熱板、12はセラミック等の基板11に後述する発熱部や放電部13が積層され放熱板10に配設された加熱放電型印字ヘッド3のヘッド基板、13aは櫛歯状に形成された放電部13の複数の放電電極、13bは放電電極13aの一端部を接続する放電部13の共通電極、15はヘッド基板12とドライバIC14を備えた加熱放電型印字ヘッド3の放電制御装置、16は外部と電気的に接続するためのコネクタ17を備え放熱板10に配設されたプリント配線基板、18はドライバIC14及びプリント配線基板16を保護するために覆設されたICカバー、18aはICカバー18の背面に配設され放電部13の共通電極13bに電気配線(図示せず)で接続され放電電極13aに対して高電圧を供給する高圧基板である。
次に、ヘッド基板の構造について詳細を説明する。
図3は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部平面展開図であり、図4(a)は図3のA−A線矢視断面図であり、図4(b)は図3のB−B線矢視断面図であり、図5は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部分解斜視図である。
図3乃至図5中、19は複数の発熱用櫛歯電極19aに接続され基板11の上面に形成された発熱用共通導体パターン、19bは発熱用共通導体パターン19の上面に配設された発熱用共通電極、20は発熱用櫛歯電極19aと交互に基板11の上面に形成された発熱用個別電極、20aは発熱用個別電極20の端部に形成されたボンディングパッド、21は放電制御装置15の発熱部、21aは発熱用櫛歯電極19a及び発熱用個別電極20の上部に電気的に接続され形成された発熱部21の発熱体、21bは発熱用共通電極19b及び発熱用個別電極20の端部を除いて基板11の上面に覆設された発熱部絶縁膜、22は発熱体21aで加熱されることにより放電が発生する放電電極13aの放電発生部である。
尚、前述の放電部13は発熱部絶縁膜21bにより発熱体21aと絶縁され、複数の放電電極13aが発熱用個別電極20の位置に対応し発熱体21aに対向して形成されている。
次に、放電制御装置の構成について詳細に説明する。
図6は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドの放電制御装置の構成図である。
図6において、ヘッド基板12は放電部13と発熱部21とを有する。発熱部21と電気的に接続されたドライバIC14で発熱部21の発熱体21aの発熱を制御するのが加熱手段23である。加熱手段23により放電部13の放電電極13aへの加熱を制御することで、放電電極13aからの放電を制御するのが加熱放電型印字ヘッド3の放電制御装置15である。
尚、ヘッド基板12に放熱板10を配設することで発熱部21で発生した熱を速やかに放熱板10に吸収させ、放熱板10から放熱することができる。これにより、発熱部21の急速冷却を可能にして加熱停止に対する応答性を向上させている。また、ドライバIC14等を熱から守ることができ信頼性に優れる。放熱板10の表面に溝等により凹凸を形成した場合、放熱板10の表面積を拡大することができ、放熱の効率性を向上させることができる。
次に、ヘッド基板の製造方法について詳細に説明する。
図7は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の発熱部形成工程を示す斜視図であり、図8は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の放電部形成工程を示す斜視図である。
まず、発熱部形成工程について説明する。
図7において、セラミック等で長尺板状に形成された基板11の表面に金ペースト等の導体を印刷した後、エッチングにより発熱用共通導体パターン19で接続された複数の発熱用櫛歯電極19a及び発熱用個別電極20を形成する。その後、発熱用櫛歯電極19a及び発熱用個別電極20の上部にTaSiO2、RuO2等を印刷する等して帯状の発熱体21aを形成する。また、発熱用共通導体パターン19の上面には銀ペースト等を印刷する等して発熱用共通電極19bを形成する。
発熱用個別電極20の端部にはボンディングパッド20aを形成した。これにより、ワイヤボンディングによるドライバIC14との接続を容易に行うことができる。
尚、加熱手段23は従来の感熱式のファクシミリに使用されるサーマルプリントヘッドと同様の構成が好適に用いられる。この場合、既存のサーマルプリントヘッドの製造工程を踏襲でき、製造装置を流用して放電制御装置15を低コストで製造することができる。
本実施の形態では、発熱部21の発熱体21aを帯状に形成し、発熱用櫛歯電極19aと発熱用個別電極20を交互に配設し、各中央の1本の発熱用個別電極20とその両側の発熱用櫛歯電極19aとの間に通電することにより各々の放電電極13aの放電発生部22の位置に対応する発熱体21aの任意の箇所を選択的に発熱させ、放電電極13aを加熱する方式としたが、これに限定されるものではなく、各々の放電電極13aの放電発生部22を選択的に加熱できる構造であればよい。また、発熱部21を放電電極13aと絶縁し密着させて加熱する加熱手段23以外に、放電電極13aと離間して加熱するレーザや赤外線等を発熱部21として利用した加熱手段を用いることもできる。
次に、放電部形成工程について説明する。
図8において、発熱用共通電極19b及び発熱用個別電極20の各端部を除いて基板11の表面にガラス、セラミック、マイカ、合成樹脂等の絶縁体を印刷する等して発熱部絶縁膜21bを形成する。発熱部絶縁膜21bは発熱用共通電極19b、発熱用個別電極20、発熱体21a等を保護し、絶縁できるものであればよいが、発熱体21aの熱を効率よく放電電極13aに伝達することができるSiAl、SiO2、SiC、ポリイミド、アラミド等の高熱伝導性のものが好適に用いられる。
発熱部絶縁膜21bの最適な膜厚は材質によるが、ガラスで形成する場合は4μm〜40μmに形成した。発熱部絶縁膜21bの膜厚が4μmより薄くなるにつれ絶縁性が低下し易くなる傾向があり、40μmより厚くなるにつれ放電部13に印加する印加電圧や発熱体21aの発熱量を増加させる必要があり省エネルギー性が低下し易くなる傾向があることがわかったためである。発熱部絶縁膜21bの膜厚を4μm〜40μmとすることで、絶縁性と熱伝導性の調和が取れ双方が良好で放電の安定性に優れる。
尚、発熱部絶縁膜21bの印刷を複数回に分けて行った場合、一回毎の塗りでピンホールが発生したとしても、ピンホール同士が重なる可能性を低減することができ、確実に発熱部21を絶縁することができるので信頼性に優れる。
次に、発熱部絶縁膜21bの上部に加熱手段23の発熱用個別電極20に対向した複数の放電電極13a及びそれらを接続する共通電極13bを形成する。放電電極13a及び共通電極13bの形成には、金、銀、銅、アルミニウム等の金属を、蒸着やスパッタや印刷で形成した後、エッチングしてパターン形成するものが好適に用いられる。また、その他にカーボン等の導電材料を用いてもよい。
尚、本実施の形態では放電電極13aを略矩形状に形成したが、台形状、砲弾状、半円形状あるいはこれらを組合せた形状等に形成することができる。また、放電電極13aの放電発生部22は縁周辺からの放電量が多いので、縁周辺の周長が長くなるように放電電極13aの外周周縁部に複数の凹凸部を形成してもよい。放電発生部22からの放電量を増加させることによりイオン照射量を増加させることができ、放電制御装置15の省エネルギー性、効率性に優れる。また、放電電極13aへの印加電圧を小さく設定できるので、放電電極13aの長寿命性にも優れる。
放電部13の内、加熱手段23の発熱部21による加熱位置近傍が放電発生部22となるが、その放電発生部22を除いて放電部13に被覆膜を覆設してもよい。放電電極13aの放電発生部22を除いて被覆膜を形成することにより、放電発生部22表面と被覆膜の表面との間に段差を形成することができる。その為、放電電極13aと対向配置される表示媒体5とのギャップを一定に保つことができるので、放電電極13aからの放電を安定させることができる。加えて、放電電極13aの放電発生部22に表示媒体5が接触するのを防止することができ信頼性に優れる。
図2に示した端面型の加熱放電型印字ヘッド3は、放電電極13aの放電発生部22が、ドライバIC14が配置された基板11の端面部11aにあるのが特徴である。放電電極13aの表面が表示媒体5と略平行になるように加熱放電型印字ヘッド3を配置した場合でも、表示媒体5とドライバIC14やICカバー18が干渉することがない。表示媒体5に対して直交した状態で画像を書き込むことができるので、表示装置1に使用するには最適な形状をしていると言える。
また、加熱放電型印字ヘッド3を走査させて画像を形成する場合、加熱放電型印字ヘッド3と高圧基板18aを一体に移動させることができるので、電気配線に負荷などがかかり難く、導通不良の発生を低減できる。
尚、本実施の形態では基板11を平板状に形成したが、基板11の端面部11aを基板11の表面側に折曲する等して基板11を略L字型やく字型に形成してもよい。また、放電電極13aの配置方式としては、ドライバIC14が配置された基板11の縁部に放電電極13aを配置するエッジ型としてもよい。放電電極13aを傾斜状に面取りされた基板11の縁部に配置するので製造が容易で生産性に優れると共に、ドライバIC14と放電電極13aとが鈍角をなすので、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の作用を得ることができる。
次に、表示装置の詳細について説明する。
図9は実施の形態1における表示装置を示す要部模式断面図である。
図9中、24aは表示媒体5の媒体基板6側に配設された光源部、24bは表示媒体5の接地電極部7側に配設された光源部である。
図9に示す表示装置1は、シート型の表示媒体5を固定し、印字部2を移動させて表示媒体5に画像を形成する構成である。このように表示媒体5を固定式にすると、表示媒体5を搬送するための表示媒体搬送手段が不要で表示装置1を小型化できると共に、表示装置1の表示画面と略同等の大きさの表示媒体5全体を無駄なく有効に利用して画像の書き込みを行うことができ、表示媒体5を節約することができる。
表示装置1では、表示媒体5の接地電極部7が表示装置1の表示画面側(人が見る面)であるので、接地電極部7は透明でなければならない。後述するように、媒体基板6が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を有する場合は、実線で示すように光源部24aを表示媒体5の表示画面の裏側(媒体基板6側)に設置してバックライトとして用いれば、夜間でも光源部24aからの透過光を利用して省電力で表示画面の輝度を保持することができる。また、表示媒体5が液晶シャッター機能を有していない場合は、破線で示すように光源部24bを表示媒体5の表示画面側(接地電極部7側)に設置し、光源部24bからの反射光を利用して表示画面を照らし出すことができる。
尚、印字部2が表示装置1の表示画面の裏側(人が見る面の反対側)に配置されるので、印字部2が外部から見えないように表示装置1の内部に隠すことができ、表示装置1の外観上の見栄えを良くすることができる。
次に、表示媒体の詳細について説明する。
まず、表示媒体の画素の構成について説明する。
図10(a)は実施の形態1における表示装置の表示媒体の一画素の構成を示す要部模式分解図である。
図10(a)中、6bは液晶シャッター機能を有する媒体基板6の基板本体、6cは一つの画素を三分割し表示原色として加法混色法における三原色(R,G,B)を縞模様状に配置した媒体基板6のカラーフィルタである。尚、接地電極部7は透明である。
接地電極部7が透明なので基板本体6bの液晶シャッター機能を活かして、表示媒体5全体における光の通過・遮断を制御することができる。これは液晶のカラー化の方法と同様であり、画素単位で光源部24aからの透過光を利用した所望の色を表示することができる。
透過光を利用する場合、表示原色は少なくとも加法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。無論、四色になれば媒体基板6における画素は四分割し四色の表示原色が配置されたカラーフィルタを対応させることになる。
本実施の形態では、表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止しているが、表示原色の配置はこれに限定されるものではなく、千鳥状など他の配置方法でもよい。
次に、表示媒体の表示原色及び指標の配置について説明する。
図10(b)は実施の形態1における表示装置の表示媒体の表示原色及び指標の配置を示す平面透視図である。
図10(b)中、8a,8bは表示媒体5における基板本体6bの基板表面6aの余白部分にカラーフィルタ6cの表示原色の長手方向と平行方向及び表示原色の長手方向と直交方向にそれぞれ配設された加熱放電型印字ヘッド3の位置合わせのための指標である。
ここでは、表示原色として加法混色法における三原色(R,G,B)を取り上げているが、黒を含めた四原色等の場合や、表示原色が減法混色法における三原色(Y,M,C)の場合などにおいても、指標8a,8bの配置については同様である。
表示媒体5の基板表面6aの余白部分に表示原色の縞模様に沿って指標8aを設ける理由は、指標8aの傾きを読み取ることによって表示原色の縞模様の傾きを知るためである。指標8aの傾きを読み取るには、例えば加熱放電型印字ヘッド3の動きに連動するようにスキャナーを設けておけば良い。
表示媒体5に画像を書き込む加熱放電型印字ヘッド3の走査は、通常は表示原色の縞模様に沿って行われる。加熱放電型印字ヘッド3の走査に先立ち、予め加熱放電型印字ヘッド3を移動させて指標8aの傾きを読み取っておけば、実際の走査の段階では表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御が可能となる。表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行えるので、色ずれを極力防止できる。
表示原色の縞模様に直交させて指標8bを設けることにより、加熱放電型印字ヘッド3をシリアル走査させる場合に、各表示原色の先端の傾きを補正することができる。
指標8a,8bの両方を設けることにより、加熱放電型印字ヘッド3のシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる。
次に、表示媒体の変形例について説明する。
図11は実施の形態1における表示装置の表示媒体の第1の変形例を示す一画素の要部模式分解図である。
図11における第1の変形例の表示媒体5aが実施の形態1と異なるのは、媒体基板6に液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)が備わっていない点と、媒体基板6に一つの画素を三分割し表示原色として減法混色法における三原色(Y,M,C)が縞模様状に配置されている点である。尚、接地電極部7は実施の形態1と同様に透明にしてもよいし、不透明にしてもよい。
表示媒体5aは媒体基板6の反射光を利用して表示媒体5a全体における色を表示する。媒体基板6の表示原色(Y,M,C)は、例えば、三原色それぞれの色彩を持つツイストボールのカプセルや電気泳動カプセル等で形成される。そして、画素単位で光源部24bからの反射光を利用した所望の色を表示する。
反射光を利用する場合、表示原色は少なくとも減法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。無論、四色になれば媒体基板6における画素は四分割して四色の表示原色が配置された媒体基板を対応させることになる。
なお、加熱放電型印字ヘッド3の解像度が、三原色それぞれの色彩を持つツイストボールのカプセルや電気泳動カプセル等の画素の一色分の大きさよりも粗い場合は、加熱放電型印字ヘッド3の解像度と表示媒体5aの画素の一色分の大きさが合うように、一画素当たりに複数個のツイストボールのカプセルや電気泳動カプセル等を配置すればよい。
図12は実施の形態1における表示装置の表示媒体の第2の変形例を示す平面模式図である。
図12における第2の変形例の表示媒体5bが第1の変形例と異なるのは、表示原色の画素における各色の合成による表示色を用いる代りに、表示媒体5b全体を三つのブロックに分割し、ハッチングで示したように各ブロックの画素全体に単色表示(モノカラー表示)のための異なる表示色を割り当てた点である。黒色表示(モノクロ表示)は単色表示の一種であり、単色表示は黒色表示(モノクロ表示)の黒色を他の色に取り替えたものと言える。
画素全体を単色表示にすることにより、表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、鮮明度を向上させることができる。
図12においては、表示媒体5bを三つのブロックに分割し、各ブロック単位に異なる表示色を配置したが、表示媒体5bの分割数や分割した各ブロックで表示する表示色は任意に選択することができる。例えば、各ブロック単位で減法混色法における表示原色と同じ表示色(Y,M,C)を割り当てたり、加法混色法における表示原色と同じ表示色(R,G,B)を割り当てたりして各ブロック単位でモノカラー表示を行うこともできる。また、表示媒体5b全面で同一の表示色による単色表示を行うようにしても良い。
次に、表示装置の変形例について説明する。
図13は実施の形態1における表示装置の変形例を示す要部模式背面図である。
図13における変形例の表示装置1aが実施の形態1と異なるのは、二つの印字部2を備えている点である。
二つの印字部2を備えることにより、複数の加熱放電型印字ヘッド3で並行して書き込みを行うことができ、表示媒体5への画像の書き込み速度を向上させることができる。
表示装置1aの表示画面の書き換えに要する時間を短縮することができると共に、静止画の切替え時間を短縮することができる。
また、一方の加熱放電型印字ヘッド3を画像の書き込みに使用し、他方の加熱放電型印字ヘッド3を画像の消去に使用することもできる。その場合、復元器4は不要とすることができる。
以上のように実施の形態1における表示装置によれば、以下の作用を有する。
(1)印字部2に加熱放電型印字ヘッド3を備えているので、放電の作用により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示媒体5に画像を記録することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッド3で表示媒体5に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに保持でき省エネルギー性に優れる。
(3)加熱放電型印字ヘッド3において、放電制御電圧(印加しただけでは放電が起こらないで、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極13aを加熱手段23で加熱制御することにより、加熱された放電電極13aから熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体5に記録を行うことができる。
(4)加熱制御により加熱放電型印字ヘッド3からの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体5上での面積階調が容易になり、画像品質を向上させることができる。
(5)加熱手段23が発熱体21aを有する発熱部21と発熱体21aの発熱を制御するドライバIC14を備えているので、発熱体21aの発熱を低電圧で制御して発熱した発熱体21aに対応する放電電極13aを加熱することができ、画像記録の制御が容易で実用性に優れる。
(6)加熱手段23の発熱部21が発熱部絶縁膜21bを介して放電電極13aに密着しているので、加熱手段23と放電部13を一体に取扱うことができ、加熱放電型印字ヘッド3の取扱いが容易で、表示装置1の組立作業性に優れる。
(7)加熱手段23の発熱部21に発熱部絶縁膜21bが覆設されているので、発熱部21を放電電極13aに密着させることができ、画像記録に必要な消費電力を低減でき省エネルギー性に優れる。
(8)加熱手段23を有するので、放電部13に常時、放電制御電圧を印加し、発熱体21aの低い発熱温度を放電電極13aに付与することにより放電させることができ、画像形成時の省エネルギー性に優れる。
(9)放電部13に電気的に接続された高圧基板18aを有することにより、放電制御電圧を印加するための電気配線を短くすることができ、信頼性を向上させることができる。特に、加熱放電型印字ヘッド3を走査させて画像を形成する場合、加熱放電型印字ヘッド3と高圧基板18aを一体に移動させることができるので、電気配線に負荷などがかかり難く、導通不良の発生を低減できる。
(10)高圧基板18aを加熱放電型印字ヘッド3と一体に取扱うことができ、電気配線の取り回しが不要なので表示装置1への組込みが容易で量産性に優れる。
(11)印字部2の復元器4で表示媒体5の白紙化を行うことができ、表示媒体5の表示内容を書き換える際の前処理が容易で実用性に優れる。
(12)画像を書き込む側の表示媒体5の裏側の接地電極部7を透明にすることにより、接地電極部7側を表示画面の表側にすることができるので、書き込む側の印字部2を外部から見えないように表示装置1の内部に隠すことができ機能性、実用性に優れる。
(13)表示媒体5を固定し加熱放電型印字ヘッド3を移動させて表示媒体5に画像を書き込む構成なので、表示画面の大きさの表示媒体5しか必要とせず、表示装置1全体も小型化することができ、生産性、省スペース性に優れる。
(14)表示媒体5の基板本体6bが液晶シャッター機能を有し、接地電極部7が透明な場合、表示装置1に備えた光源部24aをバックライトとして透過光を利用することができる。
(15)表示媒体5の基板本体6bが液晶シャッター機能を有し、接地電極部7が透明な場合、表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であるカラーフィルタ6cを備えることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
(16)一つの画素を三分割し表示原色を縞模様状に配置したカラーフィルタ6cを用いた場合、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御が容易で色ずれを低減でき、高画質の表示画面を得ることができる。
(17)カラーフィルタ6cの表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標8a及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標8bを有することにより、容易に加熱放電型印字ヘッド3の位置合わせを行うことができ、各表示原色の発色の制御が厳密に行えるので、色ずれ防止の精度を向上させることができ信頼性に優れる。
(18)液晶シャッター機能を有していない表示媒体5aを用いる場合、光源部24bからの反射光を利用することができる。
(19)液晶シャッター機能を備えていない表示媒体5aの場合、表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
(20)分割した各ブロック単位で単色表示可能な表示媒体5bを用いる場合、分割した各ブロック単位でモノカラー表示が可能になる。
(21)印字部2に複数の加熱放電型印字ヘッド3を備えた場合、各々の加熱放電型印字ヘッド3で並行して表示媒体5への画像の書き込みを行うことができ、表示画面の書き換えに要する時間を短縮できる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における表示装置について、以下図面を参照しながら説明する。
図14(a)は実施の形態2における表示装置を示す要部模式断面図である。
図14(a)において、本発明の実施の形態2における表示装置1bが実施の形態1と異なるのは、印字部2がエンドレスループ状に形成された表示媒体5cの外側で表示画面側と反対側(表示装置1bの裏側)に固定されている点と、表示媒体5cが表示媒体搬送手段のローラ25a,25bの周りに巻回されて回動自在に配設されている点である。
尚、ローラ25a,25bのいずれか一方にはローラ25a,25bを回動させるための表示媒体搬送手段のローラ駆動部(図示せず)が連設されている。
印字部2は媒体基板6の基板表面6aに対向して固定されているが、表示媒体搬送手段のローラ25a,25bにより表示媒体5cを移動させることで画像の書き込みを行うと共に、形成された画像を表示画面側に移動させて表示させることができる。
表示媒体5cをエンドレスループ状にすることで接地電極部7bを表示媒体5cの輪の内側(表示画面の裏側に位置する側)に配置したことにより、媒体基板6側が表示装置1bの表示画面側(人が見る面)となるので、接地電極部7bは不透明であっても差し支えない。
接地電極部7bが不透明であれば光を透過しないので、光源部24aを表示媒体4の表示画面側(表示装置1bの表側)に設置し、光源部24aからの入射光を媒体基板4aで反射させ反射光により表示画面を照らし出せば良い。
次に、表示媒体の詳細について説明する。
図14(b)は実施の形態2における表示装置の表示媒体の一画素の構成を示す要部模式分解図でる。
図14(b)において、実施の形態2における表示装置の表示媒体5cが実施の形態1における表示装置の表示媒体5と異なるのは、媒体基板6がカラーフィルタ6cの代わりに、一つの画素を三分割し表示原色として減法混色法における三原色(Y,M,C)を縞模様状に配置した反射層6dを備えている点である。
表示媒体5cの基板本体6bは液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えているが、接地電極部7bが不透明なので、表示媒体5c全体における光の通過・遮断を制御することはできない。そのため、表示画面は画像の書き込み側と同じ媒体基板6の基板表面6a側である。表示媒体5cにおいては基板本体6bの液晶シャッター機能が活かせるので、媒体基板6の反射光を利用して表示媒体5c全体における色を表示する。
光源部24aから媒体基板6に入射した光は、基板本体6bのシャッターが閉じている場合は基板本体6b内部で反射して白を表示し、シャッターが開いている場合は基板本体6bの奥の反射層6dで反射した反射光の色を表示する。媒体基板6が画素単位で三原色それぞれの色彩を持つ反射層(背景色)6dを備えることにより、画素単位で光源部24aからの反射光を利用した所望の色を表示することができる。
表示原色は少なくとも減法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。無論、四色になれば媒体基板6における画素は四分割して四色の表示原色の反射層を対応させることになる。
以上のように実施の形態2における表示装置によれば、実施の形態1に加え、以下の作用を有する。
(1)表示媒体5cをエンドレスループ状にすることで接地電極部7b側を表示媒体5cの輪の内側(表示画面の裏側に位置する側)に配置し、表示媒体5cの輪の外側(画像表示時に表示画面側に露出する面)から表示媒体5cに書き込むことができるので、接地電極部7bの透明性は必ずしも必要ではなく、接地電極部7bの材料の選択の幅を広げることができ、設計自在性、生産性に優れる。
(2)媒体基板6が、一つの画素を三分割し表示原色として減法混色法における三原色(Y,M,C)を縞模様状に配置した反射層6dを備えているので、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
(3)表示媒体搬送手段のローラ25a,25bにより表示媒体5cを移動させながら画像の書き込みを行うことができ、表示媒体5cの内の新たな画像(切替え用の画像)が形成された領域を表示画面に移動させて画像を表示することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における表示装置について、以下図面を参照しながら説明する。
図15は実施の形態3における表示装置を示す要部模式断面図である。
図15において、本発明の実施の形態3における表示装置1cが実施の形態2と異なるのは、印字部2及び光源部24aがエンドレスループ状に形成された表示媒体5の輪の内側に固定されている点と、表示媒体5の媒体基板6側が輪の内側に配置され接地電極部7側が輪の外側に配置されている点である。
尚、表示媒体5の構成は実施の形態1と同様であり、図10(a)に示した通りであるので、詳細な説明は省略する。
接地電極部7が透明であり媒体基板6も液晶シャッター機能を有するので、印字部2と共に光源部24aをエンドレスループ状の表示媒体5cの輪の内側に設置し、光源部24aからの透過光により表示画面を照らし出せば良い。
以上のように実施の形態3における表示装置によれば、実施の形態1又は2に加え、以下の作用を有する。
(1)印字部2及び光源部24aをエンドレスループ状の表示媒体5cの輪の内側に設置できるので、表示装置1cをコンパクト化できると共に、表示装置1cの外部に凹凸等がなく、取扱いが容易で設置自在性に優れる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における表示装置について、以下図面を参照しながら説明する。
図16は実施の形態4における表示装置を示す要部模式断面図である。
図16において、本発明の実施の形態4における表示装置1dが実施の形態2と異なるのは、印字部2が印字部移動手段(図示せず)により表示媒体5cに対して回動自在に配設されている点である。また、26は表示装置1dの制御部である。
表示媒体5cの構成は実施の形態2と同様であり、図14(b)に示した通りであるので、詳細な説明は省略する。
印字部2が表示媒体5cに対して移動自在であるので、表示装置1dの表示画面側で画像を表示している間に、制御部26は表示装置1dの裏側で印字部2を移動させ、加熱放電型印字ヘッド3により次に表示する切替え用の画像の書き込みを行うことができる。
制御部26は加熱放電型印字ヘッド3による画像の書き込み終了後に、表示媒体搬送手段のローラ25a,25bを回動し、表示媒体5cの切替え用の画像が形成された領域を表示画面側に移動させ、画像の切替えを行うことができる。
画像の切替えは、制御部26のタイマーにより行うか或いは加熱放電型印字ヘッド3の書き込みの終了に合わせて行うことができる。タイマーにより画像の切替えを行う場合、加熱放電型印字ヘッド3による画像の書き込みに要する時間よりも長目の画像切替え間隔を設定することにより、自動的に画像の切替えを行うことができる。
加熱放電型印字ヘッド3の書き込みの終了に合わせて画像の切替えを行うようにした場合、画像の書き込み終了時に即座に画像の切替えを行うことができ、待ち時間を短縮できる。
尚、画像の切替えは、切替え用の画像全体の書き込み終了後に画像全体を一度に切替えるようにすることもできるし、加熱放電型印字ヘッド3が一行乃至複数行の書き込みを行う度に、書き込みが終了した部分だけを断続的に表示画面側に移動させて画像を少しずつ切替えるようにすることもできる。
以上のように構成された本発明の実施の形態4における表示装置1dの画像表示方法について説明する。
まず、画像形成工程において、表示装置1dの画像表示中に印字部2を移動させながら加熱放電型印字ヘッド3により切替え用の画像の書き込みを行う。尚、表示媒体5cに既に画像が形成されている場合は、復元器4による初期化を行った上で切替え用の画像の書き込みを行う。
図16の破線で示した矢印の方向に印字部2を移動させる場合は、復元器4による初期化に続けて加熱放電型印字ヘッド3による切替え用の画像の書き込みを行うことができる。印字部2は破線で示した矢印の方向と逆方向にも移動可能であり、その際にも加熱放電型印字ヘッド3による画像の書き込みや復元器4による初期化を行うことができる。
次に、画像切替え工程において、表示媒体搬送手段のローラ駆動部(図示せず)でローラ25a,25bの一方を回動させ、表示媒体5cを実線で示した矢印の方向に搬送することにより、表示装置1dに表示中の画像と前工程の画像形成工程で形成された切替え用の画像とを切替える。
制御部26により画像形成工程と画像切替え工程を繰り返し行うことで、順次、静止画像を切替えて表示装置1dの画像表示を行うことができる。
次に、表示装置の変形例について説明する。
図17は実施の形態4における表示装置の変形例を示す要部模式断面図である。
図17において、本発明の実施の形態4における表示装置1eが実施の形態4と異なるのは、印字部2及び光源部24aがエンドレスループ状に形成された表示媒体5の輪の内側に固定されている点と、表示媒体5の媒体基板6側が輪の内側に配置され接地電極部7側が輪の外側に配置されている点である。
尚、表示媒体5の構成は実施の形態1と同様であり、図10(a)に示した通りであるので、詳細な説明は省略する。
また、表示装置1eの画像表示方法は実施の形態4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
尚、制御部26も印字部2及び光源部24aと共に表示媒体5の輪の内側に配置することができ、表示装置1eをコンパクト化できる。
加熱放電型印字ヘッド3や復元器4が表示媒体5,5cの幅に対応できるだけの幅を有する場合、表示媒体5,5cに対して印字部2を相対的に移動させる矢印の方向のみに走査させるだけで、表示媒体5,5cに画像を書き込むことができる。表示装置1d,1eの表示画面を大型化する際などに、加熱放電型印字ヘッド3や復元器4の幅が表示媒体5,5cの幅より狭くなる場合には、印字部移動手段で印字部2にシリアル走査を行わせることで、表示媒体5,5cの幅全体に対して画像の書き換えを行うことができる。
画像形成工程と画像切替え工程を繰り返し行うことで、静止画像の切替えを行う画像表示方法を用いる表示装置1d,1eにおいては、画像を切替えるまでに切替え用の画像の書き込みが完了すれば良いので、小型の加熱放電型印字ヘッド3でシリアル走査しながら画像を形成しても待ち時間が問題になることはない。加熱放電型印字ヘッド3を小型化することができ量産性に優れる。
以上のように実施の形態4における表示装置によれば、実施の形態2又は3に加え、以下の作用を有する。
(1)印字部移動手段で加熱放電型印字ヘッド3や復元器4を移動させることにより、停止中の表示媒体5,5cに対する画像の書き込みや復元処理を行うことができる。
(2)表示装置1d,1eの画像表示中に表示画面側(表示装置1d,1eの表側)から隠れた部分で表示媒体5,5cに切替え用の画像の書き込みを行うことができ、静止画の切替えの際に表示媒体搬送手段のローラ25a,25bでエンドレスループ状の表示媒体5,5cを移動させるだけで、あたかも紙芝居のように静止画を迅速に切替えることができる。
(3)制御部26により、印字部2による画像の書き込み及び復元処理とローラ25a,25bによる表示媒体5,5cの搬送とを自動的に繰り返すことができ、定期的或いは不定期に表示画面で表示する画像の切替えを行うことができる。
以上のように実施の形態4における表示装置の画像表示方法によれば、以下の作用を有する。
(1)表示装置1d,1eの画像表示中に表示媒体5,5cに切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程を有するので、画像の表示を行っている停止中の表示媒体5,5cに対する画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体5,5cに形成した表示装置1d,1eに表示中の画像と切替え用の画像を切替える画像切替え工程を有するので、前工程の画像形成工程で形成された切替え用の画像を表示装置1d,1eの表示画面側に移動させて画像の切替えを行うことができる。
(3)画像形成工程と表示媒体移動工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置1d,1eが大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる。
本発明は、表示画面の大画面化と高繊細化とを両立させることができ実用性、視認性に優れると共に、静止画の表示の際には通電が不要で省エネルギー性に優れる表示装置の提供、及び表示画面の切替えに要する時間を短縮することができる機能性に優れる表示装置の画像表示方法の提供を行うことができ、広告表示媒体等として好適に利用することができる。
【0003】
る時間を短縮することができる機能性に優れる表示装置の画像表示方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
[0006]
上記課題を解決するために本発明の表示装置及びその画像表示方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の表示装置は、(a)放電電極を有する放電部と、前記放電電極を加熱するための発熱部を有する加熱手段と、を備え、前記放電電極の配置面とドライバICの配置面とが同一平面上になく、放電制御電圧が印加された各々の前記放電電極の温度を制御することにより放電の発生制御を行う加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部と、(b)前記加熱放電型印字ヘッドからの放電により可視像が出現する表示媒体と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部を備えているので、放電により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示媒体に画像を形成して表示することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに保持でき省エネルギー性に優れる。
(3)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(低電圧のため印加しただけでは放電が起こらないが、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる。
(4)加熱制御により加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調が容易になり、画像品質を向上させることができる。
(5)放電電極の表面が表示媒体と略平行になるように加熱放電型印字ヘッドを配置した場合でも、表示媒体とドライバICやICカバーが干渉することがない。
(6)基板の端面部を基板の表面側に折曲する等して基板を略L字型やく字型に形成してもよい。
[0007]
ここで、加熱放電型印字ヘッドの放電部は、櫛歯状に分割された複数の放電電極の一端部を共通電極で接続したり、複数の放電電極の両端部を共通電極で接続し梯子状に形成したりできる。放電電極近傍に共通電極を設けることで、放電電極の放熱面積の拡大及び、熱容量の増大により、放電電極の冷却効果、加熱停止に対
【0010】
。これにより、ドライバICと表示媒体等が接触するのを確実に防止でき信頼性に優れる。
[0019]
放電電極はドライバICが配置される基板と同一平面上に形成する以外に、ドライバICが配置される基板の表面と略直交する基板の端面部、基板の表面に突出した略蒲鉾型等の隆起部、基板の表面と略鈍角をなす基板の縁部等に配置することができる。
放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の端面部に放電電極を配置する端面型である場合、ドライバICと放電電極とが略直角をなすことにより、表示媒体をドライバICと干渉させることなく直線状に搬送することができ好ましい。尚、基板の端面部を基板の表面側に折曲する等して基板を略L字型や略く字型等に形成してもよい。
放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の縁部に放電電極を配置するエッジ型である場合、傾斜状に面取りされた基板の縁部に放電電極を配置することでドライバICと放電電極とが鈍角をなし、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の作用を得ることができる。
放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の表面に形成された隆起部の隆起面に放電電極を配置する隆起型である場合、隆起部の頂部近傍やドライバICと反対側の隆起面に放電電極を配置することで高さ方向に嵩張らずに端面型やエッジ型と同様の作用を得ることができる。
[0020]
発熱部が放電電極と離間して配設されている場合、放電部及び加熱手段を別々に製造して組立を行うことができるので、製造の歩留まりを向上できると共に、不具合が発生した際に容易に分解が可能で、修理や消耗した電極(放電部)の交換等を簡便に行うことができる。また、発熱部と放電電極が離間して配設されることで確実に絶縁されるので、発熱部と放電電極を絶縁するための発熱部絶縁膜等を形成する必要がなく、加熱放電型印字ヘッドの製造工数を低減でき量産性に優れる。
放電電極と離間して加熱する発熱部を有する加熱手段においては、発熱部としてレーザ光を照射する方式や赤外線を照射する方式等を好適に用いることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置であって、前記放電電極の配置方式が、前記ドライバICが配置された基板の端面部に前記放電電極を配置する端面型,前記基板の縁部に前記放電電極を配置するエッジ型,前記基板の表面に形成された隆起部の隆起面に前記放電電極を配置する隆起型の内のいずれか一種である構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の端面部に放電電極を配置する端面型である場合、ドライバICと放電電極とが略直角をなすことにより、表示媒体をドライバICと干渉させることなく直線状に搬送することができる。
(2)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の縁部に放電電極を配置するエッジ型である場合、傾斜状に面取りされた基板の縁部に放電電極を配置することでドライバICと放電電極とが鈍角をなし、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の作用を得ることができる。
(3)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の表面に形成された隆起部の隆起面に放電電極を配置する隆起型である場合、隆起部の頂部近傍やドライバICと反対側の隆起面に放電電極を配置することで高さ方向に嵩張らずに端面型やエッジ型と同様の作用を得ることができる。
本発明の請求項3に記載の表示装置は、(a)放電電極を有する放電部と、前記放電電極を加熱するための発熱部を有する加熱手段と、を備え、前記発熱部と前記放電部を有するヘッド基板が放熱板に配設され、放電制御電圧が印加された各々の前記放電電極の温度を制御することにより放電の発生制御を行う加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部と、(b)前記加熱放電型印字ヘッドからの放電により可視像が出現する表示媒体と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部を備えているので、放電により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示媒体に画像を形成して表示することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに保持でき省エネルギー性に優れる。
(3)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(低電圧のため印加しただけでは放電が起こらないが、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる。
(4)加熱制御により加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調が容易になり、画像品質を向上させることができる。
(5)ヘッド基板に放熱板を配設することで発熱部で発生した熱を速やかに放熱板に吸収させ、放熱板から放熱することができる。これにより、発熱部の急速冷却を可能にして加熱停止に対する応答性を向上させている。また、ドライバIC等を熱から守ることができ信頼性に優れる。
[0021]
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記印字部が、
【0011】
前記表示媒体の表示内容を初期化して復元処理を行う復元器を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)印字部の復元器で表示媒体の白紙化を行うことができ、表示媒体の表示内容を書き換える際の前処理が容易で実用性に優れる。
[0022]
復元器としては帯電ローラや帯電ブラシ等が好適に用いられる。これにより、装置の内部で電荷の作用により可視像が出現する表示媒体の表面を一様に帯電させ表示媒体を初期化することができ、表示媒体への書き換えを繰返し行うことができる。
尚、復元器を備える代わりに、加熱放電型印字ヘッドから画像が形成された表示媒体に画像形成時と逆極性のイオンを照射することで、不要な記録を消去することもできる。
[0023]
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体が、前記加熱放電型印字ヘッドと対向する面と反対側の面に配設された接地電極部又は正電圧印加部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンを照射して記録を行う表示媒体の表面と反対側の面(表示媒体の裏側)に、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加するための正電圧印加部を配設することにより、加熱放電型印字ヘッドの放電電極から表示媒体に向かってイオンを確実に照射することができ、イオンの照射位置精度を向上させることができるので、表示媒体における単位ドットを微細化して高精細な画像表示を行うことができる。
[0024]
ここで、表示媒体の接地電極部や正電圧印加部が表示装置の表示画面側(人が見る面)である場合、接地電極部や正電圧印加部は透明でなければならない。表示媒体が液晶シャッター機能を有する場合、接地電極部や正電圧印加部を透明にすることで、反射光でなく透過光に対応できる。
[0025]
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表面側若しくは裏面側の内のいずれか一方に配設された
【0012】
光源部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の表面(媒体基板)側の場合、表示媒体の表面側に光源部を配設することにより、光源部からの反射光を利用して画像を表示することができる。
(2)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の裏面(接地電極部又は正電圧印加部)側で、媒体基板が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えている場合、表示媒体の表面側に光源部を配設することによりバックライトとして用いることができ、夜間でも光源部からの透過光を利用して省電力で表示画面の輝度を保持することができる。
(3)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の裏面(接地電極部又は正電圧印加部)側で、媒体基板が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えていない場合、表示媒体の裏面側に光源部を配設することにより、光源部からの反射光を利用して表示画面を照らし出すことができる。
[0026]
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表示原色が、少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
[0027]
ここで、表示媒体の媒体基板が液晶シャッター機能を有し、接地電極部や正電圧印加部が透明な場合、三原色それぞれの色彩を持つカラーフィルタ等を備えることにより、透過光を利用して加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
表示原色は少なくとも加法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。
[0028]
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の表示装置で
【0013】
あって、前記表示媒体の表示原色が、少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
[0029]
ここで、表示媒体が三原色それぞれの色彩を持つ反射層等を有することにより、反射光を利用することができる。表示媒体の媒体基板における液晶シャッター機能の有無に関わらず、媒体基板側から光を照射することにより、反射光を利用して減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
尚、媒体基板側が表示装置の表示画面側(人が見る面)となるので、接地電極部や正電圧印加部は透明でも不透明でもよい。
表示原色は少なくとも減法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。
[0030]
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の表示装置であって、前記表示原色の各色が、前記表示媒体に縞模様状に配置されている構成を有している。
この構成により、請求項7又は8の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止できる。
ここで、一つの画素を三分割し表示原色として加法混色法における三原色(R,G,B)又は減法混色法における三原色(Y,M,C)を縞模様状に配置することでカラー化に対応できる。
[0031]
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の表示装置であって、前記表示媒体が、縞模様状に配置された前記表示原色の長手方向と平行方向又は直交方向の少なくともいずれか一方に配設された指標を備えている構成を有している。
この構成により、請求項9の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と平行方向に指標を設けた場合、指標の傾きを読み取ることで表示原色の縞模様の傾きを知ることができ、表示原色の
【0014】
画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行って色ずれを低減できる。
(2)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と直交方向に指標を設けた場合、加熱放電型印字ヘッドをシリアル走査させる際に、各表示原色の先端の傾きを知ることができ、シリアル走査による色ずれの発生を低減できる。
(3)表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標の両方を有する場合、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる。
[0032]
ここで、指標は表示媒体の余白部分に設けることができる。
加熱放電型印字ヘッドの走査は、通常は表示原色の縞模様に沿って行われるので、加熱放電型印字ヘッドの走査に先立ち、予め加熱放電型印字ヘッドを移動させて指標の傾きを読み取っておけば、実際の走査の段階では表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御が可能となる。
指標の傾きを読み取るには、例えば加熱放電型印字ヘッドの動きに連動するようにスキャナー等の読み取り装置を設けておけば良い。
[0033]
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の全面あるいは前記表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示を行う構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色の画素における各色の合成による表示色を用いる代りに、表示媒体の全面あるいは表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示(モノカラー表示)を行うことにより、表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、画像の鮮明度を向上させることができる。
[0034]
ここで、表示媒体は表示媒体全面で単色表示を行っても良いし、表示媒体を分割した各ブロック単位で色違いの単色表示を行っても良い。単色表示を行う場合の表示色は加法混色法における表示原色(R,G,B)や減法混色法における表示原色(
【0015】
Y,M,C)に限らず任意に選択できる。単色表示の中には黒色(モノクロ)表示も含むので、単色表示は黒色表示の色を他の色に取り替えたものとも言える。
各ブロック単位で単色表示を行う場合は、表示媒体を複数のブロックに分割し、各ブロック単位で任意の表示色を割り当てる。例えば表示媒体全体を三分割する場合には、加法混色法における表示原色(R,G,B)や減法混色法における表示原色(Y,M,C)等を各ブロックに一色ずつ割り当て、各ブロック単位で単色表示を行うこともできる。
[0035]
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記印字部を移動させる印字部移動手段又は前記表示媒体を搬送する表示媒体搬送手段の少なくともいずれか一方を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至11の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)印字部移動手段を有する場合、印字部を移動させ固定された表示媒体の任意の位置に画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体を固定して印字部を移動させる場合、表示装置には表示画面の大きさのシート型の表示媒体しか必要としないので、表示媒体を節約することができる。
(3)表示媒体搬送手段を有する場合、表示媒体を移動させながら画像の書き込みを行うことができ、表示媒体の内の新たな画像が形成された領域を表示画面に移動させて画像を表示することができる。
(4)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、印字部と表示媒体を逆方向に移動させることで相対的な搬送速度を向上させることができ、画像の形成に要する時間を短縮することができる。
(5)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、印字部を移動させ固定された表示媒体への画像の書き込みが終了した時点で、表示媒体を搬送して表示する画像の切替えを行うことができる。特に、無限長のエンドレスループ(閉ループ)状や表示画面の大きさと同等以上の有限長のシート(開ループ)状に形成した表示媒体を用いれば、表示画面で画像を表示している間に、表示媒体の非表示領域に次に表示する画像の書き込みを行うことができる。
【0016】
[0036]
ここで、印字部移動手段としては、従来の画像形成装置で用いられている移動手段と同様のものが好適に用いられる。
加熱放電型印字ヘッドや復元器が表示媒体の幅に対応できるだけの幅を有する場合、印字部移動手段で表示媒体に対して印字部を相対的に移動させる方向に走査させるだけで、表示媒体に画像を書き込むことができる。表示装置の表示画面を大型化する際などに、加熱放電型印字ヘッドや復元器の幅が表示媒体の幅より狭くなる場合には、印字部移動手段で印字部にシリアル走査を行わせることで、加熱放電型印字ヘッドや復元器の幅の問題を解決することができ、表示媒体の幅全体に画像を形成することができる。
表示媒体搬送手段としては、印字部に対して相対的に表示媒体を移動させることができるものであればよい。エンドレスループ(閉ループ)状の表示媒体を回動させたり、有限長のシート(開ループ)状の表示媒体を摺動させたりして画像を形成することができる。
[0037]
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の表示装置であって、(a)前記表示媒体搬送手段が、少なくとも二つのローラと、前記ローラの内の少なくともいずれか一つのローラを回動させるローラ駆動部と、を有し、(b)前記表示媒体が、前記ローラの周りにエンドレスループ状に巻回されている構成を有している。
この構成により、請求項12の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示媒体搬送手段が、少なくとも二つのローラと、少なくともいずれか一つのローラを回動させるローラ駆動部と、を有するので、ローラの周りに巻回されたエンドレスループ状の表示媒体を回動させて移動させることができ、固定された印字部による画像の書き換えや、形成された画像の移動を行うことができる。
(2)表示媒体がローラの周りにエンドレスループ状に巻回されているので、印字部を移動させる印字部移動手段を有する場合には、画像表示中の表示媒体の非表示領域に切替え用の画像の書き込みを行うことができる。
[0038]
ここで、表示媒体搬送手段は、モータ等のローラ駆動部でローラを回動させることにより、任意の移動量だけ表示媒体を搬送させることができるものが好適に用いられる。表示媒体がエンドレスループ状に配設されていることにより、表示装置で画像を表
【0017】
示している間に、表示装置の裏側やエンドレスループ状の表示媒体の輪の内側で表示媒体への画像の書き込みを行うことができる。
画像の切替えは、例えばタイマーにより行ったり、加熱放電型印字ヘッドの書き込みの終了に合わせて行ったりできる。タイマーにより画像の切替えを行う場合、加熱放電型印字ヘッドによる画像の書き込みに要する時間よりも長目の画像切替え間隔を設定することにより、自動的に画像の切替えを行うことができる。加熱放電型印字ヘッドの書き込みの終了に合わせて画像の切替えを行う場合、印字部移動手段による加熱放電型印字ヘッドの移動を監視するようにすれば、画像の書き込み終了時に即座に画像の切替えを行うことができ、待ち時間を短縮できる。
尚、画像の切替えは、画像全体の書き込み終了後に表示画面全体を一度に切替えるようにすることもできるし、加熱放電型印字ヘッドが一行乃至複数行の書き込みを行う度に、書き込みが終了した部分だけを断続的に移動させて表示画面を少しずつ切替えるようにすることもできる。
[0039]
請求項14に記載の表示装置の画像表示方法は、(a)請求項13に記載の表示装置の画像表示中に前記表示媒体に切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程と、(b)前記表示媒体に形成した前記表示装置に表示中の画像と前記切替え用の画像とを切替える画像切替え工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)表示装置の画像表示中に表示媒体に切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程を有するので、画像の表示を行っている停止中の表示媒体に対する画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体に形成した表示装置に表示中の画像と切替え用の画像とを切替える画像切替え工程を有するので、前工程の画像形成工程で形成された切替え用の画像を表示装置の表示画面側に移動させて画像の切替えを行うことができる。
(3)画像形成工程と画像切替え工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置が大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる。
【0018】
【発明の効果】
[0040]
以上のように、本発明の表示装置及びその画像表示方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに画像を保持できる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(印加しただけでは放電が起こらないで、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)加熱制御により容易に加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調を容易に行うことができ、表示媒体の画像品質を向上させることができる高品質で信頼性に優れた表示装置を提供することができる。
(4)放電電極の表面が表示媒体と略平行になるように加熱放電型印字ヘッドを配置した場合でも、表示媒体とドライバICやICカバーが干渉することがない。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の端面部に放電電極を配置する端面型である場合、ドライバICと放電電極とが略直角をなすことにより、表示媒体をドライバICと干渉させることなく直線状に搬送することができる。
(2)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の縁部に放電電極を配置するエッジ型である場合、傾斜状に面取りされた基板の縁部に放電電極を配置することでドライバICと放電電極とが鈍角をなし、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の効果を得ることができる。
(3)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の表面に形成された隆起部の隆起面に放電電極を配置する隆起型である場合、隆起部の頂部近傍やドライバICと反対側の隆起面に放電電極を配置することで高さ方向に嵩張らずに端面型やエッジ型と同様の効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに画像を保持できる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(印加しただけでは放電が起こらないで、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)加熱制御により容易に加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調を容易に行うことができ、表示媒体の画像品質を向上させることができる高品質で信頼性に優れた表示装置を提供することができる。
(4)ヘッド基板に放熱板を配設することで発熱部で発生した熱を速やかに放熱板に吸収させ、放熱板から放熱することができる。これにより、発熱部の急速冷却を可能にして加熱停止に対する応答性を向上させている。また、ドライバIC等を熱から守ることができ信頼性に優れる。
[0041]
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字部の復元器で表示媒体の白紙化を行うことができ、表示媒体の表示内容を書き換える際の前処理が容易な実用性に優れた表示装置を提供することができる。
[0042]
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンを照射して記録を行う表示媒体の表面と反対側の面(表示媒体の裏側)に、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加するための正電圧印加部を配設することにより、加熱放電型印字ヘッドの放電電極から表示媒体に向かってイオンを確実に照射することができ、イオンの照射位置精度を向上させ、表示媒体に
【0019】
おける単位ドットを微細化できる高精細な表示装置を提供することができる。
[0043]
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体の種類や表示画面側(人が見る面)が表示媒体の表裏のいずれであるか等に応じて光源部からの反射光或いは透過光を利用して画像を表示できる実用性に優れた表示装置を提供することができる。
[0044]
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる機能性に優れた表示装置を提供することができる。
[0045]
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる機能性に優れた表示装置を提供することができる。
[0046]
請求項9に記載の発明によれば、請求項7又は8の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
[0047]
請求項10に記載の発明によれば、請求項9の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と平行方向に設けた指標により表示原色の縞模様の傾きを知ることができ、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行って色ずれを低減できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と直交方向に設けた指標により各
【0020】
表示原色の先端の傾きを知ることができ、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査による色ずれの発生を低減できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標の両方を有する場合、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる信頼性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
[0048]
請求項11に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体の全面あるいは表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示(モノカラー表示)を行うことにより、加法混色法や減法混色法の表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、画像が鮮明で視認性に優れた表示装置を提供することができる。
[0049]
請求項12に記載の発明によれば、請求項1乃至11の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字部移動手段又は表示媒体搬送手段の少なくともいずれか一方を駆動することにより、相対的に表示媒体を移動させることができ、表示媒体への画像の書き込みを行うことができる実用性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、無限長のエンドレスループ(閉ループ)状や表示画面の大きさと同等以上の有限長のシート(開ループ)状に形成した表示媒体を用いることにより、表示画面で画像を表示している間に、印字部を移動させて表示媒体の非表示領域に次に表示する画像の書き込みを行うことができると共に、書き込み終了後に表示媒体を移動させて画像の切替えを行うことができる実用性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
[0050]
請求項13に記載の発明によれば、請求項12の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体搬送手段でエンドレスループ状の表示媒体を移動させることができるの
【0021】
で、画像表示中の表示媒体の未表示領域に切替え用の画像の書き込みを行うことができ、画像の書き込みが終了した時点で、表示媒体の搬送を行って切替え用の画像を表示することができる実用性、汎用性に優れた表示装置を提供することができる。
[0051]
請求項14に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)画像形成工程と表示媒体移動工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置が大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる実用性、機能性に優れた表示装置の画像表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
[0052]
[図1]実施の形態1における表示装置の構成を示す要部模式図である。
[図2](a)実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す模式側面図 (b)実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す要部模式斜視図である。
[図3]実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部平面展開図である。
[図4](a)図3のA−A線矢視断面図 (b)図3のB−B線矢視断面図である。
[図5]実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部分解斜視図である。
[図6]実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドの放電制御装置の構成図である。
[図7]実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の発熱部形成工程を示す斜視図である。
[図8]実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の放電部形成工程を示す斜視図である。
[図9]実施の形態1における表示装置を示す要部模式断面図である。
[図10](a)実施の形態1における表示装置の表示媒体の一画素の構成を示す要部模式分解図 (b)実施の形態1における表示装置の表示媒体の表示原色及び指標
【0024】
図1中、1は本発明の実施の形態1における表示装置、2は表示装置1の印字部、3は印字部2の加熱放電型印字ヘッド、4は後述する表示媒体5の媒体基板6の媒体基板表面6aを一様に帯電させる印字部2の復元器、5は加熱放電型印字ヘッド3の放電による電荷の作用により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示装置1の表示媒体、7は表示媒体5の裏側(加熱放電型印字ヘッド3と対向する面と反対側の面)に配設され加熱放電型印字ヘッド3と表示媒体5間に電界をかけるための接地電極部、7aは接地電極部表面である。
[0055]
加熱放電型印字ヘッド3は表示媒体5に対して相対的に移動することにより画像を形成するが、表示媒体5が有限長のシート(開ループ)状であれば加熱放電型印字ヘッド3や復元器4を移動させ、表示媒体5が無限長のエンドレスループ(閉ループ)状であれば表示媒体5を移動させることが好ましい。図1では表示媒体5がシート(開ループ)状であり、加熱放電型印字ヘッド3が移動する場合を示しているが、表示媒体5を移動させた場合でも表示媒体5に対して画像を形成する原理は同様である。
加熱放電型印字ヘッド3は印加する電圧の極性により、放電の際に正負どちらのイオン照射も可能であるが、ここでは負のイオン照射により表示媒体5の媒体基板表面6a側から書き込みを行う場合について説明する。
加熱放電型印字ヘッド3によれば、静電潜像の形成以外に酸化還元反応による画像の形成も可能である。また放電に伴う発光によれば、紫外線や可視光線等で画像を形成するフォトクロミック化合物を用いたデジタルペーパ等にも記録を行うことができる。
[0056]
次に、表示媒体5に書き込んだ画像の書き換え手順について説明する。
まず、印字部2の復元器4により、表示媒体5の表面を画像の書き込みの際とは逆極性に一様に帯電させる。これにより、表示媒体5の表示内容を全て消去して初期化する(白紙状態に戻す)復元処理を行うことができる。復元器4としては、帯電ローラや帯電ブラシ等が好適に用いられる。
次に、加熱放電型印字ヘッド3でイオン照射すると、電荷の作用により表示媒体5に可視像が出現する。
加熱放電型印字ヘッド3と繋いで表示媒体5に電界をかけるために、表示媒体5の
【0003】
る時間を短縮することができる機能性に優れる表示装置の画像表示方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
[0006]
上記課題を解決するために本発明の表示装置及びその画像表示方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の表示装置は、(a)放電電極を有する放電部と、前記放電電極を加熱するための発熱部を有する加熱手段と、を備え、前記放電電極の配置面と前記発熱部の発熱を制御するドライバICの配置面とが同一平面上になく、放電制御電圧が印加された各々の前記放電電極の温度を制御することにより放電の発生制御を行う加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部と、(b)前記加熱放電型印字ヘッドからの放電により可視像が出現する表示媒体と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部を備えているので、放電により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示媒体に画像を形成して表示することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに保持でき省エネルギー性に優れる。
(3)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(低電圧のため印加しただけでは放電が起こらないが、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる。
(4)加熱制御により加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調が容易になり、画像品質を向上させることができる。
(5)放電電極の表面が表示媒体と略平行になるように加熱放電型印字ヘッドを配置した場合でも、表示媒体とドライバICやICカバーが干渉することがない。
(6)基板の端面部を基板の表面側に折曲する等して基板を略L字型やく字型に形成してもよい。
[0007]
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置であって、前記放電電極の配置方式が、前記ドライバICが配置された基板の端面部に前記放電電極を配置する端面型,前記基板の縁部に前記放電電極を配置するエッジ型,前記基板の表面に形成された隆起部の隆起面に前記放電電極を配置する隆起型の内のいずれか一種である構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の端面部に放電電極を配置する端面型である場合、ドライバICと放電電極とが略直角をなすことにより、表示媒体をドライバICと干渉させることなく直線状に搬送することができる。
(2)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の縁部に放電電極を配置するエッジ型である場合、傾斜状に面取りされた基板の縁部に放電電極を配置することでドライバICと放電電極とが鈍角をなし、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の作用を得ることができる。
(3)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の表面に形成された隆起部の隆起面に放電電極を配置する隆起型である場合、隆起部の頂部近傍やドライバICと反対側の隆起面に放電電極を配置することで高さ方向に嵩張らずに端面型やエッジ型と同様の作用を得ることができる。
本発明の請求項3に記載の表示装置は、(a)放電電極を有する放電部と、前記放電電極を加熱するための発熱部を有する加熱手段と、を備え、前記放電電極の配置面と前記発熱部の発熱を制御するドライバICの配置面とが同一平面上にあり、放電制御電圧が印加された各々の前記放電電極の温度を制御することにより放電の発生制御を行う加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部と、(b)前記加熱放電型印字ヘッドからの放電により可視像が出現する表示媒体と、を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1の(1)乃至(4)と同様の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)放電電極と密着させて加熱する発熱部を有する加熱手段としては、従来の感熱式のファクシミリに使用されるサーマルプリントヘッドと同様の構成を好適に用いることができる。
ここで、放電電極の配置面とドライバICの配置面とが同一平面上にある以外は請求項1で説明した通りである。
本発明の請求項4に記載の表示装置は、(a)放電電極を有する放電部と、前記放電電極を加熱するための発熱部を有する加熱手段と、を備え、前記発熱部と前記放電部を有するヘッド基板が放熱板に配設され、放電制御電圧が印加された各々の前記放電電極の温度を制御することにより放電の発生制御を行う加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部と、(b)前記加熱放電型印字ヘッドからの放電により可視像が出現する表示媒体と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部を備えているので、放電により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示媒体に画像を形成して表示することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに保持でき省エネルギー性に優れる。
(3)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(低電圧のため印加しただけでは放電が起こらないが、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる。
(4)加熱制御により加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調が容易になり、画像品質を向上させることができる。
(5)ヘッド基板に放熱板を配設することで発熱部で発生した熱を速やかに放熱板に吸収させ、放熱板から放熱することができる。これにより、発熱部の急速冷却を可能にして加熱停止に対する応答性を向上させている。また、ドライバIC等を熱から守ることができ信頼性に優れる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記印字部が、前記表示媒体の表示内容を初期化して復元処理を行う復元器を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)印字部の復元器で表示媒体の白紙化を行うことができ、表示媒体の表示内容を書き換える際の前処理が容易で実用性に優れる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体が、前記加熱放電型印字ヘッドと対向する面と反対側の面に配設された接地電極部又は正電圧印加部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンを照射して記録を行う表示媒体の表面と反対側の面(表示媒体の裏側)に、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加するための正電圧印加部を配設することにより、加熱放電型印字ヘッドの放電電極から表示媒体に向かってイオンを確実に照射することができ、イオンの照射位置精度を向上させることができるので、表示媒体における単位ドットを微細化して高精細な画像表示を行うことができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表面側若しくは裏面側の内のいずれか一方に配設された光源部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の表面(媒体基板)側の場合、表示媒体の表面側に光源部を配設することにより、光源部からの反射光を利用して画像を表示することができる。
(2)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の裏面(接地電極部又は正電圧印加部)側で、媒体基板が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えている場合、表示媒体の表面側に光源部を配設することによりバックライトとして用いることができ、夜間でも光源部からの透過光を利用して省電力で表示画面の輝度を保持することができる。
(3)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の裏面(接地電極部又は正電圧印加部)側で、媒体基板が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えていない場合、表示媒体の裏面側に光源部を配設することにより、光源部からの反射光を利用して表示画面を照らし出すことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表示原色が、少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至7の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表示原色が、少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至7の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の表示装置であって、前記表示原色の各色が、前記表示媒体に縞模様状に配置されている構成を有している。
この構成により、請求項8又は9の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止できる。
ここで、一つの画素を三分割し表示原色として加法混色法における三原色(R,G,B)又は減法混色法における三原色(Y,M,C)を縞模様状に配置することでカラー化に対応できる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の表示装置であって、前記表示媒体が、縞模様状に配置された前記表示原色の長手方向と平行方向又は直交方向の少なくともいずれか一方に配設された指標を備えている構成を有している。
この構成により、請求項10の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と平行方向に指標を設けた場合、指標の傾きを読み取ることで表示原色の縞模様の傾きを知ることができ、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行って色ずれを低減できる。
(2)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と直交方向に指標を設けた場合、加熱放電型印字ヘッドをシリアル走査させる際に、各表示原色の先端の傾きを知ることができ、シリアル走査による色ずれの発生を低減できる。
(3)表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標の両方を有する場合、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる。
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至7の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の全面あるいは前記表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示を行う構成を有している。
この構成により、請求項1乃至7の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色の画素における各色の合成による表示色を用いる代りに、表示媒体の全面あるいは表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示(モノカラー表示)を行うことにより、表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、画像の鮮明度を向上させることができる。
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記印字部を移動させる印字部移動手段又は前記表示媒体を搬送する表示媒体搬送手段の少なくともいずれか一方を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至12の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)印字部移動手段を有する場合、印字部を移動させ固定された表示媒体の任意の位置に画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体を固定して印字部を移動させる場合、表示装置には表示画面の大きさのシート型の表示媒体しか必要としないので、表示媒体を節約することができる。
(3)表示媒体搬送手段を有する場合、表示媒体を移動させながら画像の書き込みを行うことができ、表示媒体の内の新たな画像が形成された領域を表示画面に移動させて画像を表示することができる。
(4)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、印字部と表示媒体を逆方向に移動させることで相対的な搬送速度を向上させることができ、画像の形成に要する時間を短縮することができる。
(5)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、印字部を移動させ固定された表示媒体への画像の書き込みが終了した時点で、表示媒体を搬送して表示する画像の切替えを行うことができる。特に、無限長のエンドレスループ(閉ループ)状や表示画面の大きさと同等以上の有限長のシート(開ループ)状に形成した表示媒体を用いれば、表示画面で画像を表示している間に、表示媒体の非表示領域に次に表示する画像の書き込みを行うことができる。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の表示装置であって、(a)前記表示媒体搬送手段が、少なくとも二つのローラと、前記ローラの内の少なくともいずれか一つのローラを回動させるローラ駆動部と、を有し、(b)前記表示媒体が、前記ローラの周りにエンドレスループ状に巻回されている構成を有している。
この構成により、請求項13の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示媒体搬送手段が、少なくとも二つのローラと、少なくともいずれか一つのローラを回動させるローラ駆動部と、を有するので、ローラの周りに巻回されたエンドレスループ状の表示媒体を回動させて移動させることができ、固定された印字部による画像の書き換えや、形成された画像の移動を行うことができる。
(2)表示媒体がローラの周りにエンドレスループ状に巻回されているので、印字部を移動させる印字部移動手段を有する場合には、画像表示中の表示媒体の非表示領域に切替え用の画像の書き込みを行うことができる。
請求項15に記載の表示装置の画像表示方法は、(a)請求項14に記載の表示装置の画像表示中に前記表示媒体に切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程と、(b)前記表示媒体に形成した前記表示装置に表示中の画像と前記切替え用の画像とを切替える画像切替え工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)表示装置の画像表示中に表示媒体に切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程を有するので、画像の表示を行っている停止中の表示媒体に対する画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体に形成した表示装置に表示中の画像と切替え用の画像とを切替える画像切替え工程を有するので、前工程の画像形成工程で形成された切替え用の画像を表示装置の表示画面側に移動させて画像の切替えを行うことができる。
(3)画像形成工程と画像切替え工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置が大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の端面部に放電電極を配置する端面型である場合、ドライバICと放電電極とが略直角をなすことにより、表示媒体をドライバICと干渉させることなく直線状に搬送することができる。
(2)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の縁部に放電電極を配置するエッジ型である場合、傾斜状に面取りされた基板の縁部に放電電極を配置することでドライバICと放電電極とが鈍角をなし、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の効果を得ることができる。
(3)放電電極の配置方式が、ドライバICが配置された基板の表面に形成された隆起部の隆起面に放電電極を配置する隆起型である場合、隆起部の頂部近傍やドライバICと反対側の隆起面に放電電極を配置することで高さ方向に嵩張らずに端面型やエッジ型と同様の効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の(1)乃至(3)と同様の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)放電電極と密着させて加熱する発熱部を有する加熱手段としては、従来の感熱式のファクシミリに使用されるサーマルプリントヘッドと同様の構成を好適に用いることができる。
請求項4に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに画像を保持できる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(印加しただけでは放電が起こらないで、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)加熱制御により容易に加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調を容易に行うことができ、表示媒体の画像品質を向上させることができる高品質で信頼性に優れた表示装置を提供することができる。
(4)ヘッド基板に放熱板を配設することで発熱部で発生した熱を速やかに放熱板に吸収させ、放熱板から放熱することができる。これにより、発熱部の急速冷却を可能にして加熱停止に対する応答性を向上させている。また、ドライバIC等を熱から守ることができ信頼性に優れる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字部の復元器で表示媒体の白紙化を行うことができ、表示媒体の表示内容を書き換える際の前処理が容易な実用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンを照射して記録を行う表示媒体の表面と反対側の面(表示媒体の裏側)に、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加するための正電圧印加部を配設することにより、加熱放電型印字ヘッドの放電電極から表示媒体に向かってイオンを確実に照射することができ、イオンの照射位置精度を向上させ、表示媒体における単位ドットを微細化できる高精細な表示装置を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体の種類や表示画面側(人が見る面)が表示媒体の表裏のいずれであるか等に応じて光源部からの反射光或いは透過光を利用して画像を表示できる実用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項1乃至7の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、請求項8又は9の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、請求項10の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と平行方向に設けた指標により表示原色の縞模様の傾きを知ることができ、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行って色ずれを低減できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と直交方向に設けた指標により各表示原色の先端の傾きを知ることができ、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査による色ずれの発生を低減できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標の両方を有する場合、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる信頼性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、請求項1乃至7の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体の全面あるいは表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示(モノカラー表示)を行うことにより、加法混色法や減法混色法の表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、画像が鮮明で視認性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項13に記載の発明によれば、請求項1乃至12の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字部移動手段又は表示媒体搬送手段の少なくともいずれか一方を駆動することにより、相対的に表示媒体を移動させることができ、表示媒体への画像の書き込みを行うことができる実用性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、無限長のエンドレスループ(閉ループ)状や表示画面の大きさと同等以上の有限長のシート(開ループ)状に形成した表示媒体を用いることにより、表示画面で画像を表示している間に、印字部を移動させて表示媒体の非表示領域に次に表示する画像の書き込みを行うことができると共に、書き込み終了後に表示媒体を移動させて画像の切替えを行うことができる実用性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項14に記載の発明によれば、請求項13の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体搬送手段でエンドレスループ状の表示媒体を移動させることができるので、画像表示中の表示媒体の未表示領域に切替え用の画像の書き込みを行うことができ、画像の書き込みが終了した時点で、表示媒体の搬送を行って切替え用の画像を表示することができる実用性、汎用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項15に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)画像形成工程と表示媒体移動工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置が大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる実用性、機能性に優れた表示装置の画像表示方法を提供することができる。
本発明は、放電の作用により可視像が出現する繰り返し記録可能な表示媒体に、加熱放電型印字ヘッドで画像を書き込み表示する表示装置及びその画像表示方法に関するものである。
近年、高輝度の青色発光ダイオードの実用化に伴い、屋外に設置する広告用のディスプレイ等には三原色(R,G,B)の発光ダイオード(LED)を用いた表示装置が普及しつつある。しかしながら、発光ダイオードを用いた表示装置は大画面化は容易であるものの、画素が粗いため高繊細化には適さない。逆に、画素が極め細かい液晶(LCD)を用いた表示装置は高繊細化が可能なものの、大画面化が難しいため屋外に設置する広告用のディスプレイ等には適さない。
このように、従来の表示装置の画面に用いた表示媒体は、大画面化に適しているものは高繊細化に適さないし、逆に高繊細化に適しているものは大画面化に適さないため、大画面化と高繊細化とは背反関係にあるという課題を有していた。
また、従来の表示装置においては、動画であれ静止画であれ画面に画像を表示するためには通電する必要がある。そのため、静止画を必要に応じて逐次書き換えながら表示するだけで良い場合でも、動画を表示する場合と同様の電力を消費するという節電の面での課題も有していた。
一方、本出願人が出願した(特許文献1)には、「イオン発生装置によって、電界により書き換え可能な記録媒体に、選択的にイオン照射を行い、記録媒体の表面上に静電潜像を形成し、選択的な表示をすることを特徴とする画像形成装置。」が開示されている。
このような加熱放電方式の一形態であるイオン照射方式による静電潜像形成方式を応用したものは、表面に形成された静電潜像の電荷の作用により内部に可視像が出現する静電現像方式の記録媒体に対して、静電潜像をイオン照射により直接形成できるので、一般的にデジタルペーパと称される記録媒体の内の静電現像方式の記録媒体に非接触で書き込むには、現在考え得る最適な画像形成装置である。
(特許文献1)の図4では、イオン照射を行うイオン発生装置を固定し、記録媒体を搬送することで記録媒体を印字用紙として使用しているので、これは画像形成装置(プリンタ)である。しかし、記録媒体を取り替えずに(印字用紙としては使用しない)イオン発生装置で繰り返し書き換えを行うと、これは一種の表示装置ということになる。このように、記録媒体を画面用の表示媒体として使用した表示装置は、その特徴として静止画を必要に応じて逐次書き換えながら表示可能であるので、小型化すれば電子ブック等と称される機器としても使用できるし、大型化すれば屋外に設置する広告用のディスプレイ等としても使用できる可能性を有している。
因に、現時点におけるデジタルペーパとしては、微小なボールを二色(例えば白黒)に色分けし、各色毎の電気特性の違いによりボールを回転して任意の一色を表示するツイストボール方式、微小なボール中に二色(例えば白黒)の微粉末を混入し、各色の微粉末が持つ電気特性の違いにより一色のみを浮上させて表示する電気泳動方式、液晶板あるいは微小な液晶ブロックの液晶シャッターを開閉して、シャッターを開けた部分の背景色を表示する液晶方式等がある。
特開2003−326756号公報
しかしながら、(特許文献1)は、イオン発生装置を備えたデジタルペーパ対応の画像形成装置や、光学系を不要とする静電潜像形成方式の普通紙対応の画像形成装置の基本概念の開示に止まっており、表示装置として用いるための具体的な構成、或いは画像の形成方法や表示方法等については開示されていなかった。特に、カラー表示のための構成や表示画面の切替え方法等に対する具体的な検討が望まれていた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、表示画面の大画面化と高繊細化とを両立させることができ実用性、視認性に優れると共に、静止画の表示の際には通電が不要で省エネルギー性に優れる表示装置の提供、及び表示画面の切替えに要する時間を短縮することができる機能性に優れる表示装置の画像表示方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために本発明の表示装置及びその画像表示方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の表示装置は、(a)放電電極を有する放電部と、前記放電電極を加熱するための発熱部を有する加熱手段と、を備え、前記放電電極の放電発生部の配置面と前記発熱部の発熱を制御するドライバICの配置面とが同一平面上になく、放電制御電圧が印加された各々の前記放電電極の温度を制御することにより放電の発生制御を行う加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部と、(b)前記加熱放電型印字ヘッドからの放電により可視像が出現する表示媒体と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部を備えているので、放電により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示媒体に画像を形成して表示することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに保持でき省エネルギー性に優れる。
(3)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(低電圧のため印加しただけでは放電が起こらないが、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極の放電発生部から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる。
(4)加熱制御により加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調が容易になり、画像品質を向上させることができる。
(5)放電電極の放電発生部の表面が表示媒体と略平行になるように加熱放電型印字ヘッドを配置した場合でも、表示媒体とドライバICやICカバーが干渉することがない。
(6)基板の端面部を基板の表面側に折曲する等して基板を略L字型やく字型に形成してもよい。
ここで、加熱放電型印字ヘッドの放電部は、櫛歯状に分割された複数の放電電極の一端部を共通電極で接続したり、複数の放電電極の両端部を共通電極で接続し梯子状に形成したりできる。放電電極近傍に共通電極を設けることで、放電電極の放熱面積の拡大及び、熱容量の増大により、放電電極の冷却効果、加熱停止に対する応答性が向上し、また、抵抗値の低減により常に安定した電圧を印加できるので、放電の安定性等を更に向上させることができる。
特に、共通電極の幅を放電電極の幅より幅広に形成した場合、一時的に200〜300℃に加熱される放電電極の冷却効果が向上し熱の籠りを防ぐことができるので、加熱のオフに迅速に応答して放電を停止でき、放電時間間隔を短縮して短時間で放電の有無を切替えることができる。また、共通電極の抵抗値を引き下げることができ、共通電極で接続された各々の放電電極の間に生じる電位差を極力抑えることができるので、各々の放電電極における放電量のばらつきを低減でき、放電の安定性に優れる。
また、放電部の内の少なくとも共通電極の表面には導電材層を形成してもよい。これにより、共通電極の抵抗値を更に引き下げることができ、各々の放電電極間に生じる電位差を確実に低減でき、放電の安定性に優れる。導電材層は放電部よりも優れた導電性を有するものであればよく、銀ペーストのスクリーン印刷や銀メッキ等により容易に形成することができる。導電材層の厚みを増すことにより、共通電極の抵抗値を低減でき、放電の安定性を向上させることができる。
放電電極を櫛歯状に形成する場合、放電電極の形状は、略矩形状、台形状、砲弾状、半円形状あるいはこれらを組合せた形状等に形成することができる。また、放電電極の一部をスリット等で分割したり、周縁部に凹凸部を形成したりすることで放電電極の縁周辺の周長を増加させることができる。放電電極は縁周辺からの放電量が多いので、縁周辺の周長を長くすることで、放電電極からの放電量を増加させることができ、照射されるイオン量や発光強度を増加させることができ、放電制御装置の省エネルギー性、効率性に優れる。また、放電電極への印加電圧を小さく設定できるので、放電電極の長寿命性にも優れる。
放電電極の端部を分割したり周縁部に凹凸部を形成したりする代りに、発熱体の加熱位置に対応させて放電孔部を形成してもよい。これにより、放電孔部の縁周辺から放電を発生させることができ、放電電極の端部を分割するのと同様の作用を得ることができる。放電孔部の形状は、略円形、略楕円形、四角形や六角形等の多角形、星形など様々な形状に形成することができる。また、加熱箇所1箇所当たりの放電孔部の数及び大きさは適宜選択して組合せることができる。
放電電極としては、金、銀、銅、アルミニウム等の金属を、蒸着、スパッタ、印刷等で形成した後、エッチングしてパターン形成するもの等が好適に用いられる。また、その他にカーボン等の導電材料を用いてもよい。
放電電極に放電制御電圧を印加すると共に、加熱を行うことにより放電の発生を制御できるので、加熱手段による加熱箇所を選択することで容易に任意の放電電極から選択的に放電を発生させることができる。
放電電極をアルミニウムで形成する場合の厚さは0.1μm〜100μmが好ましい。放電電極の厚さが0.1μmより薄くなるにつれ摩耗の影響を受け易く放電電極の寿命が短くなる傾向があり、100μmより厚くなるにつれ熱容量が増加し加熱のオン/オフに対する応答性が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
放電部の放電電極は、同一の基本ピッチで形成された複数の放電電極を一列単位として複数列を並設することもできる。基本ピッチの間を補間するように千鳥状に配置することにより、放電電極間の最小ピッチを基本ピッチより狭くすることができ、全体の解像度を向上させることができる。各列における放電電極間の基本ピッチを広く形成することができるので、加工が容易で量産性に優れ、歩留まりを向上させることができる。
複数の放電電極を接続する共通電極を設ける場合、共通電極は並設する各列毎に独立でもよいし、複数列に対して共通でもよい。
また、基本ピッチで形成された放電電極の列全体を傾斜させて配置した場合は、水平面に投影された放電電極の配列方向のピッチ(画像形成時のピッチ)を基本ピッチよりも狭くすることができ、加工上の制限を受けることなく高密度に実装して解像度を向上させることができる。
放電電極から離間し放電電極と絶縁されて形成された誘導電極を備えた場合、放電電極と誘導電極間のギャップが常に一定に保たれるので、放電電極と誘導電極間に電圧を印加することにより、効率よく放電を発生させることができる。尚、誘導電極に誘導電極絶縁膜を覆設することにより、誘導電極を確実に絶縁することができ、ショートの発生を防ぐことができる。誘導電極絶縁膜の材質としては、ガラス、セラミック、マイカ、合成樹脂等を好適に用いることができ、スクリーン印刷、蒸着、スパッタ等で形成できる。
また、加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンの照射によって記録を行う表示媒体の裏側には、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加する正電圧印加部を配設することが好ましい。接地電極部を設けることで、誘導電極の有無に関わらず、加熱放電型印字ヘッドの放電電極の放電発生部から表示媒体に向かってイオンを照射させることができる。また、負のイオンを照射する場合に、正電圧印加部を設けることで、表示媒体側に正電圧を印加することができ、同様な効果を得ることができる。これにより、表示装置の印字部における単位ドットを微細化することができると共に、照射位置精度を向上させることができ、高精細な記録を行うことができる。
尚、誘導電極を設けない場合、誘導電極の形成工程等を省くことができ生産性に優れると共に、放電制御装置を小型化して高密度に実装することができ、加熱放電型印字ヘッドによる記録画像の高解像度化を図ることができる。
放電部の内、加熱手段の発熱部による加熱位置近傍が放電発生部となるが、その放電発生部を除いて放電部に被覆膜を覆設することが好ましい。放電部が共通電極と放電電極を有する場合、被覆膜は共通電極に覆設されると共に、放電発生部を除く放電電極に覆設される。放電電極の放電発生部を除いて被覆膜を形成することにより、放電発生部表面と被覆膜の表面との間に段差を形成することができる。その為、放電電極の放電発生部と対向配置される表示媒体等と放電電極の放電発生部との間のギャップを一定に保つことができるので、放電電極の放電発生部からの放電を安定させることができる。加えて、放電電極の放電発生部に表示媒体が接触するのを防止することができる。
より具体的には、被覆膜は放電部の放電発生部(加熱手段の発熱部による加熱位置近傍)に略円形状、略楕円形状、略矩形状等に形成された開口部を有する。開口部は複数の放電発生部に対し、それぞれ独立に形成してもよいし、複数の放電発生部にまたがるように長孔状に連続させて形成してもよい。
被覆膜は絶縁体で形成され、ガラス、アラミドやポリイミド等の合成樹脂、SiO等のセラミック、マイカ等の材質が好適に用いられる。被覆膜は、スクリーン印刷、蒸着、スパッタ等により形成することができる。
尚、被覆膜の表面に凹凸部を形成した場合、被覆膜の表面距離を伸延させ表面抵抗を増加させることができる。この為、放電電極の放電発生部から周囲に漏電するのを防止できるので、加熱手段のドライバICへの悪影響も発生せず、放電制御の安定性を向上させることができる。また、漏電がなくなるため、放電電極に印加した印加電圧が低下することがなく、放電の安定性、効率性に優れる。
加熱放電型印字ヘッドによれば、静電潜像の形成や酸化還元反応による画像の形成も可能である。また放電の発光によれば、紫外線や可視光線等で画像を形成するフォトクロミック化合物を用いたデジタルペーパ等を表示媒体として使用することができる。
表示装置が、印字部を移動させる印字部移動手段或いは表示媒体を搬送する表示媒体搬送手段のいずれか一方を有する場合、印字部と表示媒体を相対的に移動させることで表示媒体に対して画像の書き込みを行うことができる。
表示媒体は、シートの両端を接続した無限長のエンドレスループ(閉ループ)状或いは有限長のシート(開ループ)状に形成したものを用いることができる。表示媒体がシート(開ループ)状の場合、平面状に限らず、曲面状に配置することもできる。また、表示媒体がエンドレスループ(閉ループ)状の場合、円筒状を初め様々な形状に配置することができる。
尚、表示装置として表示媒体を着脱自在に保持する表示媒体保持部を備えた場合、ユーザ等が容易に表示媒体を着脱して交換を行うことができメンテナンス性に優れる。表示装置として初めから表示媒体を備えていなくても、加熱放電型印字ヘッドによって画像の形成が可能な任意の表示媒体を選択して後から装着することができるので、表示媒体の選択の幅を広げることができ、表示装置としての汎用性に優れる。
加熱手段の発熱部としては、複数の放電電極を選択的に加熱できるものであればよく、放電電極と密着して加熱するものでもよいし、放電電極と離間して加熱するものでもよい。
加熱手段が発熱部に覆設され放電電極に密着した発熱部絶縁膜を備えている場合、加熱手段の発熱部が発熱部絶縁膜を介して放電電極に密着して形成でき、加熱手段と放電部を一体に取扱うことができ、加熱放電型印字ヘッドの取扱いが容易で、表示装置の組立作業性に優れる。また、加熱手段の発熱部に発熱部絶縁膜が覆設されることにより、発熱部を放電電極に密着させることができ、画像記録に必要な消費電力を低減でき省エネルギー性に優れる。
放電電極と密着させて加熱する発熱部を有する加熱手段としては、従来の感熱式のファクシミリに使用されるサーマルプリントヘッドと同様の構成を好適に用いることができる。具体的には、発熱体を有する発熱部と電気的に接続されたドライバICで発熱体の発熱を制御するものである。例えば、複数の放電電極にまたがって配設された1つの発熱体の任意の箇所を選択的に発熱させるものや複数の放電電極に対応して個別に配設された複数の発熱体を選択的に発熱させるものがある。
発熱体を櫛歯状やマトリックス状等のパターンに形成された電極で電気的に接続することにより、1つの発熱体の中で任意の放電電極に対応する箇所又は個々の放電電極に対応する複数の発熱体の内の任意の発熱体に選択的に通電して発熱させることができる。
発熱体としては、TaSiO、RuO等が好適に用いられる。
発熱体及び発熱体に接続された電極の保護と絶縁のために発熱部絶縁膜を形成する。発熱部絶縁膜の材質としては、発熱体の熱を効率よく放電電極に伝達することができる高熱伝導性のものが好ましく、SiAl、SiO、SiC、鉛ガラス、マイカ等が好適に用いられる。また、発熱部絶縁膜はスクリーン印刷、蒸着、スパッタ等で形成する。
発熱部絶縁膜をガラスで形成する場合の膜厚は2μm〜50μm、好ましくは4μm〜40μmが好適に用いられる。発熱部絶縁膜の膜厚が4μmより薄くなるにつれ絶縁性が低下し易くなる傾向があり、40μmより厚くなるにつれ放電電極に印加する印加電圧や発熱体の発熱量を増加させる必要があり省エネルギー性が低下し易くなる傾向が見られる。また、熱の拡散が起こりやすく、解像度が低下する傾向にある。特に、発熱部絶縁膜の膜厚が2μmより薄くなるにつれ発熱体や発熱体に接続された電極の表面を確実に覆うことができず、ピンホールが発生し易くなり信頼性に欠ける傾向があり、50μmより厚くなるにつれ放電の安定性が低下し易くなると共に、量産性に欠ける傾向があり、いずれも好ましくない。発熱部絶縁膜の膜厚を2μm〜50μm、好ましくは4μm〜40μmとすることで、絶縁性と熱伝導性の調和が取れ双方が良好で放電の安定性に優れる。特に、一回毎の塗りでピンホールが発生したとしても、複数回に分けて重ね塗りして発熱部絶縁膜を形成することで、ピンホール同士が重なる可能性を低減することができ、確実に発熱部を絶縁することができるので信頼性に優れる。
前述の誘導電極を放電電極の発熱部側の端部(縁)から水平方向に離間(オフセット)して発熱部絶縁膜上に形成する場合、発熱部絶縁膜上に放電電極を形成する代りに、誘導電極に覆設する誘導電極絶縁膜を発熱部絶縁膜上まで延設し、その上に放電電極を形成してもよい。また、誘導電極は放電電極の上部に誘導電極絶縁膜を介して積層して形成することもできる。
セラミック等の硬質性の基板上に放電部や加熱手段の発熱部を形成したものがヘッド基板であり、ヘッド基板の発熱部に発熱を制御するためのドライバICを電気的に接続したものが放電制御装置である。加熱手段が、発熱体に選択的に通電して発熱体の発熱を制御するドライバICを備えているので、発熱体の発熱を低電圧で制御することができると共に、放電電極に印加する電圧自体を引き下げることができ、加熱放電型印字ヘッドの小型化、長寿命化を図ることができる。また、表示装置としての量産性、信頼性に優れる。
ドライバICは発熱部から延びるリードパターンに金線でワイヤボンディングし、接続部はエポキシ樹脂等のIC保護樹脂で封止する。印字ヘッドは、放電制御装置と共に外部と電気的に接続するためのコネクタを備えたプリント配線基板をアルミニウム等の材質で形成した放熱板に配設して得られる。発熱部で発生した熱を速やかに放熱板に吸収し、放熱板から放熱することができるので、発熱部の急速冷却が可能となる。この為、加熱停止に対応する放電停止の応答性を向上させることができる。加えて、ドライバIC等を熱から守ることができ信頼性に優れる。放熱板の表面に溝等により凹凸を形成した場合、放熱板の表面積を拡大することができ、放熱の効率性を向上させることができる。
尚、ドライバICの表面にはドライバICを保護するためにICカバーを覆設してもよい。これにより、ドライバICと表示媒体等が接触するのを確実に防止でき信頼性に優れる。
放電電極の放電発生部はドライバICが配置される基板と同一平面上に形成する以外に、ドライバICが配置される基板の表面と略直交する基板の端面部、基板の表面に突出した略蒲鉾型等の隆起部、基板の表面と略鈍角をなす基板の縁部等に配置することができる。
放電電極の放電発生部の配置方式が、ドライバICが配置された基板の端面部に放電電極の放電発生部を配置する端面型である場合、ドライバICと放電電極の放電発生部とが略直角をなすことにより、表示媒体をドライバICと干渉させることなく直線状に搬送することができ好ましい。尚、基板の端面部を基板の表面側に折曲する等して基板を略L字型や略く字型等に形成してもよい。
放電電極の放電発生部の配置方式が、ドライバICが配置された基板の縁部に放電電極の放電発生部を配置するエッジ型である場合、傾斜状に面取りされた基板の縁部に放電電極の放電発生部を配置することでドライバICと放電電極の放電発生部とが鈍角をなし、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の作用を得ることができる。
放電電極の放電発生部の配置方式が、ドライバICが配置された基板の表面に形成された隆起部の隆起面に放電電極を配置する隆起型である場合、隆起部の頂部近傍やドライバICと反対側の隆起面に放電電極の放電発生部を配置することで高さ方向に嵩張らずに端面型やエッジ型と同様の作用を得ることができる。
発熱部が放電電極と離間して配設されている場合、放電部及び加熱手段を別々に製造して組立を行うことができるので、製造の歩留まりを向上できると共に、不具合が発生した際に容易に分解が可能で、修理や消耗した電極(放電部)の交換等を簡便に行うことができる。また、発熱部と放電電極が離間して配設されることで確実に絶縁されるので、発熱部と放電電極を絶縁するための発熱部絶縁膜等を形成する必要がなく、加熱放電型印字ヘッドの製造工数を低減でき量産性に優れる。
放電電極と離間して加熱する発熱部を有する加熱手段においては、発熱部としてレーザ光を照射する方式や赤外線を照射する方式等を好適に用いることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置であって、前記放電電極の前記放電発生部の配置方式が、前記ドライバICが配置された基板の端面部に前記放電電極の前記放電発生部を配置する端面型,前記基板の縁部に前記放電電極の前記放電発生部を配置するエッジ型,前記基板の表面に形成された隆起部の隆起面に前記放電電極の前記放電発生部を配置する隆起型の内のいずれか一種である構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)放電電極の放電発生部の配置方式が、ドライバICが配置された基板の端面部に放電電極の放電発生部を配置する端面型である場合、ドライバICと放電電極の放電発生部とが略直角をなすことにより、表示媒体をドライバICと干渉させることなく直線状に搬送することができる。
(2)放電電極の放電発生部の配置方式が、ドライバICが配置された基板の縁部に放電電極の放電発生部を配置するエッジ型である場合、傾斜状に面取りされた基板の縁部に放電電極の放電発生部を配置することでドライバICと放電電極の放電発生部とが鈍角をなし、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の作用を得ることができる。
(3)放電電極の放電発生部の配置方式が、ドライバICが配置された基板の表面に形成された隆起部の隆起面に放電電極の放電発生部を配置する隆起型である場合、隆起部の頂部近傍やドライバICと反対側の隆起面に放電電極の放電発生部を配置することで高さ方向に嵩張らずに端面型やエッジ型と同様の作用を得ることができる。
ここで、放電電極と密着させて加熱する発熱部を有する加熱手段としては、従来の感熱式のファクシミリに使用されるサーマルプリントヘッドと同様の構成を好適に用いることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の表示装置は、前記発熱部と前記放電部を有するヘッド基板が放熱板に配設されている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)ヘッド基板に放熱板を配設することで発熱部で発生した熱を速やかに放熱板に吸収させ、放熱板から放熱することができる。これにより、発熱部の急速冷却を可能にして加熱停止に対する応答性を向上させている。また、ドライバIC等を熱から守ることができ信頼性に優れる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記印字部が、前記表示媒体の表示内容を初期化して復元処理を行う復元器を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)印字部の復元器で表示媒体の白紙化を行うことができ、表示媒体の表示内容を書き換える際の前処理が容易で実用性に優れる。
復元器としては帯電ローラや帯電ブラシ等が好適に用いられる。これにより、装置の内部で電荷の作用により可視像が出現する表示媒体の表面を一様に帯電させ表示媒体を初期化することができ、表示媒体への書き換えを繰返し行うことができる。
尚、復元器を備える代わりに、加熱放電型印字ヘッドから画像が形成された表示媒体に画像形成時と逆極性のイオンを照射することで、不要な記録を消去することもできる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体が、前記加熱放電型印字ヘッドと対向する面と反対側の面に配設された接地電極部又は正電圧印加部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンを照射して記録を行う表示媒体の表面と反対側の面(表示媒体の裏側)に、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加するための正電圧印加部を配設することにより、加熱放電型印字ヘッドの放電電極から表示媒体に向かってイオンを確実に照射することができ、イオンの照射位置精度を向上させることができるので、表示媒体における単位ドットを微細化して高精細な画像表示を行うことができる。
ここで、表示媒体の接地電極部や正電圧印加部が表示装置の表示画面側(人が見る面)である場合、接地電極部や正電圧印加部は透明でなければならない。表示媒体が液晶シャッター機能を有する場合、接地電極部や正電圧印加部を透明にすることで、反射光でなく透過光に対応できる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表面側若しくは裏面側の内のいずれか一方に配設された光源部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の表面(媒体基板)側の場合、表示媒体の表面側に光源部を配設することにより、光源部からの反射光を利用して画像を表示することができる。
(2)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の裏面(接地電極部又は正電圧印加部)側で、媒体基板が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えている場合、表示媒体の表面側に光源部を配設することによりバックライトとして用いることができ、夜間でも光源部からの透過光を利用して省電力で表示画面の輝度を保持することができる。
(3)表示装置の表示画面側(人が見る面)が表示媒体の裏面(接地電極部又は正電圧印加部)側で、媒体基板が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えていない場合、表示媒体の裏面側に光源部を配設することにより、光源部からの反射光を利用して表示画面を照らし出すことができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表示原色が、少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
ここで、表示媒体の媒体基板が液晶シャッター機能を有し、接地電極部や正電圧印加部が透明な場合、三原色それぞれの色彩を持つカラーフィルタ等を備えることにより、透過光を利用して加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
表示原色は少なくとも加法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の表示原色が、少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
ここで、表示媒体が三原色それぞれの色彩を持つ反射層等を有することにより、反射光を利用することができる。表示媒体の媒体基板における液晶シャッター機能の有無に関わらず、媒体基板側から光を照射することにより、反射光を利用して減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
尚、媒体基板側が表示装置の表示画面側(人が見る面)となるので、接地電極部や正電圧印加部は透明でも不透明でもよい。
表示原色は少なくとも減法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の表示装置であって、前記表示原色の各色が、前記表示媒体に縞模様状に配置されている構成を有している。
この構成により、請求項7又は8の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止できる。
ここで、一つの画素を三分割し表示原色として加法混色法における三原色(R,G,B)又は減法混色法における三原色(Y,M,C)を縞模様状に配置することでカラー化に対応できる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の表示装置であって、前記表示媒体が、縞模様状に配置された前記表示原色の長手方向と平行方向又は直交方向の少なくともいずれか一方に配設された指標を備えている構成を有している。
この構成により、請求項9の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と平行方向に指標を設けた場合、指標の傾きを読み取ることで表示原色の縞模様の傾きを知ることができ、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行って色ずれを低減できる。
(2)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と直交方向に指標を設けた場合、加熱放電型印字ヘッドをシリアル走査させる際に、各表示原色の先端の傾きを知ることができ、シリアル走査による色ずれの発生を低減できる。
(3)表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標の両方を有する場合、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる。
ここで、指標は表示媒体の余白部分に設けることができる。
加熱放電型印字ヘッドの走査は、通常は表示原色の縞模様に沿って行われるので、加熱放電型印字ヘッドの走査に先立ち、予め加熱放電型印字ヘッドを移動させて指標の傾きを読み取っておけば、実際の走査の段階では表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御が可能となる。
指標の傾きを読み取るには、例えば加熱放電型印字ヘッドの動きに連動するようにスキャナー等の読み取り装置を設けておけば良い。
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記表示媒体の全面あるいは前記表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示を行う構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示原色の画素における各色の合成による表示色を用いる代りに、表示媒体の全面あるいは表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示(モノカラー表示)を行うことにより、表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、画像の鮮明度を向上させることができる。
ここで、表示媒体は表示媒体全面で単色表示を行っても良いし、表示媒体を分割した各ブロック単位で色違いの単色表示を行っても良い。単色表示を行う場合の表示色は加法混色法における表示原色(R,G,B)や減法混色法における表示原色(Y,M,C)に限らず任意に選択できる。単色表示の中には黒色(モノクロ)表示も含むので、単色表示は黒色表示の色を他の色に取り替えたものとも言える。
各ブロック単位で単色表示を行う場合は、表示媒体を複数のブロックに分割し、各ブロック単位で任意の表示色を割り当てる。例えば表示媒体全体を三分割する場合には、加法混色法における表示原色(R,G,B)や減法混色法における表示原色(Y,M,C)等を各ブロックに一色ずつ割り当て、各ブロック単位で単色表示を行うこともできる。
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11の内いずれか1項に記載の表示装置であって、前記印字部を移動させる印字部移動手段又は前記表示媒体を搬送する表示媒体搬送手段の少なくともいずれか一方を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至11の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)印字部移動手段を有する場合、印字部を移動させ固定された表示媒体の任意の位置に画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体を固定して印字部を移動させる場合、表示装置には表示画面の大きさのシート型の表示媒体しか必要としないので、表示媒体を節約することができる。
(3)表示媒体搬送手段を有する場合、表示媒体を移動させながら画像の書き込みを行うことができ、表示媒体の内の新たな画像が形成された領域を表示画面に移動させて画像を表示することができる。
(4)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、印字部と表示媒体を逆方向に移動させることで相対的な搬送速度を向上させることができ、画像の形成に要する時間を短縮することができる。
(5)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、印字部を移動させ固定された表示媒体への画像の書き込みが終了した時点で、表示媒体を搬送して表示する画像の切替えを行うことができる。特に、無限長のエンドレスループ(閉ループ)状や表示画面の大きさと同等以上の有限長のシート(開ループ)状に形成した表示媒体を用いれば、表示画面で画像を表示している間に、表示媒体の非表示領域に次に表示する画像の書き込みを行うことができる。
ここで、印字部移動手段としては、従来の画像形成装置で用いられている移動手段と同様のものが好適に用いられる。
加熱放電型印字ヘッドや復元器が表示媒体の幅に対応できるだけの幅を有する場合、印字部移動手段で表示媒体に対して印字部を相対的に移動させる方向に走査させるだけで、表示媒体に画像を書き込むことができる。表示装置の表示画面を大型化する際などに、加熱放電型印字ヘッドや復元器の幅が表示媒体の幅より狭くなる場合には、印字部移動手段で印字部にシリアル走査を行わせることで、加熱放電型印字ヘッドや復元器の幅の問題を解決することができ、表示媒体の幅全体に画像を形成することができる。
表示媒体搬送手段としては、印字部に対して相対的に表示媒体を移動させることができるものであればよい。エンドレスループ(閉ループ)状の表示媒体を回動させたり、有限長のシート(開ループ)状の表示媒体を摺動させたりして画像を形成することができる。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の表示装置であって、(a)前記表示媒体搬送手段が、少なくとも二つのローラと、前記ローラの内の少なくともいずれか一つのローラを回動させるローラ駆動部と、を有し、(b)前記表示媒体が、前記ローラの周りにエンドレスループ状に巻回されている構成を有している。
この構成により、請求項12の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示媒体搬送手段が、少なくとも二つのローラと、少なくともいずれか一つのローラを回動させるローラ駆動部と、を有するので、ローラの周りに巻回されたエンドレスループ状の表示媒体を回動させて移動させることができ、固定された印字部による画像の書き換えや、形成された画像の移動を行うことができる。
(2)表示媒体がローラの周りにエンドレスループ状に巻回されているので、印字部を移動させる印字部移動手段を有する場合には、画像表示中の表示媒体の非表示領域に切替え用の画像の書き込みを行うことができる。
ここで、表示媒体搬送手段は、モータ等のローラ駆動部でローラを回動させることにより、任意の移動量だけ表示媒体を搬送させることができるものが好適に用いられる。表示媒体がエンドレスループ状に配設されていることにより、表示装置で画像を表示している間に、表示装置の裏側やエンドレスループ状の表示媒体の輪の内側で表示媒体への画像の書き込みを行うことができる。
画像の切替えは、例えばタイマーにより行ったり、加熱放電型印字ヘッドの書き込みの終了に合わせて行ったりできる。タイマーにより画像の切替えを行う場合、加熱放電型印字ヘッドによる画像の書き込みに要する時間よりも長目の画像切替え間隔を設定することにより、自動的に画像の切替えを行うことができる。加熱放電型印字ヘッドの書き込みの終了に合わせて画像の切替えを行う場合、印字部移動手段による加熱放電型印字ヘッドの移動を監視するようにすれば、画像の書き込み終了時に即座に画像の切替えを行うことができ、待ち時間を短縮できる。
尚、画像の切替えは、画像全体の書き込み終了後に表示画面全体を一度に切替えるようにすることもできるし、加熱放電型印字ヘッドが一行乃至複数行の書き込みを行う度に、書き込みが終了した部分だけを断続的に移動させて表示画面を少しずつ切替えるようにすることもできる。
請求項14に記載の表示装置の画像表示方法は、(a)請求項13に記載の表示装置の画像表示中に前記表示媒体に切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程と、(b)前記表示媒体に形成した前記表示装置に表示中の画像と前記切替え用の画像とを切替える画像切替え工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)表示装置の画像表示中に表示媒体に切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程を有するので、画像の表示を行っている停止中の表示媒体に対する画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体に形成した表示装置に表示中の画像と切替え用の画像とを切替える画像切替え工程を有するので、前工程の画像形成工程で形成された切替え用の画像を表示装置の表示画面側に移動させて画像の切替えを行うことができる。
(3)画像形成工程と画像切替え工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置が大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる。
以上のように、本発明の表示装置及びその画像表示方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドで表示媒体に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに画像を保持できる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッドにおいて、放電制御電圧(印加しただけでは放電が起こらないで、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極を加熱手段で加熱制御することにより、加熱された放電電極の放電発生部から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体に記録を行うことができる省エネルギー性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)加熱制御により容易に加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体上での面積階調を容易に行うことができ、表示媒体の画像品質を向上させることができる高品質で信頼性に優れた表示装置を提供することができる。
(4)放電電極の放電発生部の表面が表示媒体と略平行になるように加熱放電型印字ヘッドを配置した場合でも、表示媒体とドライバICやICカバーが干渉することがない。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)放電電極の放電発生部の配置方式が、ドライバICが配置された基板の端面部に放電電極の放電発生部を配置する端面型である場合、ドライバICと放電電極の放電発生部とが略直角をなすことにより、表示媒体をドライバICと干渉させることなく直線状に搬送することができる。
(2)放電電極の放電発生部の配置方式が、ドライバICが配置された基板の縁部に放電電極の放電発生部を配置するエッジ型である場合、傾斜状に面取りされた基板の縁部に放電電極の放電発生部を配置することでドライバICと放電電極の放電発生部とが鈍角をなし、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の効果を得ることができる。
(3)放電電極の放電発生部の配置方式が、ドライバICが配置された基板の表面に形成された隆起部の隆起面に放電電極の放電発生部を配置する隆起型である場合、隆起部の頂部近傍やドライバICと反対側の隆起面に放電電極の放電発生部を配置することで高さ方向に嵩張らずに端面型やエッジ型と同様の効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)ヘッド基板に放熱板を配設することで発熱部で発生した熱を速やかに放熱板に吸収させ、放熱板から放熱することができる。これにより、発熱部の急速冷却を可能にして加熱停止に対する応答性を向上させている。また、ドライバIC等を熱から守ることができ信頼性に優れる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字部の復元器で表示媒体の白紙化を行うことができ、表示媒体の表示内容を書き換える際の前処理が容易な実用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)加熱放電型印字ヘッドからの放電に伴うイオンを照射して記録を行う表示媒体の表面と反対側の面(表示媒体の裏側)に、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と表示媒体間に電界をかけるための接地電極部又は正電圧を印加するための正電圧印加部を配設することにより、加熱放電型印字ヘッドの放電電極から表示媒体に向かってイオンを確実に照射することができ、イオンの照射位置精度を向上させ、表示媒体における単位ドットを微細化できる高精細な表示装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体の種類や表示画面側(人が見る面)が表示媒体の表裏のいずれであるか等に応じて光源部からの反射光或いは透過光を利用して画像を表示できる実用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項7又は8の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、請求項9の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と平行方向に設けた指標により表示原色の縞模様の傾きを知ることができ、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行って色ずれを低減できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)縞模様状に配置された表示原色の長手方向と直交方向に設けた指標により各表示原色の先端の傾きを知ることができ、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査による色ずれの発生を低減できる信頼性、実用性に優れた表示装置を提供することができる。
(3)表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標の両方を有する場合、加熱放電型印字ヘッドのシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる信頼性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体の全面あるいは表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示(モノカラー表示)を行うことにより、加法混色法や減法混色法の表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、画像が鮮明で視認性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、請求項1乃至11の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)印字部移動手段又は表示媒体搬送手段の少なくともいずれか一方を駆動することにより、相対的に表示媒体を移動させることができ、表示媒体への画像の書き込みを行うことができる実用性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
(2)印字部移動手段と表示媒体搬送手段の両方を有する場合、無限長のエンドレスループ(閉ループ)状や表示画面の大きさと同等以上の有限長のシート(開ループ)状に形成した表示媒体を用いることにより、表示画面で画像を表示している間に、印字部を移動させて表示媒体の非表示領域に次に表示する画像の書き込みを行うことができると共に、書き込み終了後に表示媒体を移動させて画像の切替えを行うことができる実用性、機能性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項13に記載の発明によれば、請求項12の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)表示媒体搬送手段でエンドレスループ状の表示媒体を移動させることができるので、画像表示中の表示媒体の未表示領域に切替え用の画像の書き込みを行うことができ、画像の書き込みが終了した時点で、表示媒体の搬送を行って切替え用の画像を表示することができる実用性、汎用性に優れた表示装置を提供することができる。
請求項14に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)画像形成工程と表示媒体移動工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置が大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる実用性、機能性に優れた表示装置の画像表示方法を提供することができる。
実施の形態1における表示装置の構成を示す要部模式図である。 (a)実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す模式側面図 (b)実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す要部模式斜視図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部平面展開図である。 (a)図3のA−A線矢視断面図 (b)図3のB−B線矢視断面図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部分解斜視図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドの放電制御装置の構成図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の発熱部形成工程を示す斜視図である。 実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の放電部形成工程を示す斜視図である。 実施の形態1における表示装置を示す要部模式断面図である。 (a)実施の形態1における表示装置の表示媒体の一画素の構成を示す要部模式分解図 (b)実施の形態1における表示装置の表示媒体の表示原色及び指標の配置を示す平面透視図である。 実施の形態1における表示装置の表示媒体の第1の変形例を示す一画素の要部模式分解図である。 実施の形態1における表示装置の表示媒体の第2の変形例を示す平面模式図である。 実施の形態1における表示装置の変形例を示す要部模式背面図である。 (a)実施の形態2における表示装置を示す要部模式断面図 (b)実施の形態2における表示装置の表示媒体の一画素の構成を示す要部模式分解図である。 実施の形態3における表示装置を示す要部模式断面図である。 実施の形態4における表示装置を示す要部模式断面図である。 実施の形態4における表示装置の変形例を示す要部模式断面図である。
符号の説明
1,1a,1b,1c,1d,1e 表示装置
2 印字部
3 加熱放電型印字ヘッド
4 復元器
5,5a,5b,5c 表示媒体
6 媒体基板
6a 媒体基板表面
6b 媒体基板本体
6c カラーフィルタ
6d 反射層
7,7b 接地電極部
7a 接地電極部表面
8a,8b 指標
10 放熱板
11 基板
11a 端面部
12 ヘッド基板
13 放電部
13a 放電電極
13b 共通電極
14 ドライバIC
15 放電制御装置
16 プリント配線基板
17 コネクタ
18 ICカバー
18a 高圧基板
19 発熱用共通導体パターン
19a 発熱用櫛歯電極
19b 発熱用共通電極
20 発熱用個別電極
20a ボンディングパッド
21 発熱部
21a 発熱体
21b 発熱部絶縁膜
22 放電発生部
23 加熱手段
24a,24b 光源部
25a,25b ローラ
26 制御部
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における表示装置及びその画像表示方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図1は実施の形態1における表示装置の構成を示す要部模式図である。
図1中、1は本発明の実施の形態1における表示装置、2は表示装置1の印字部、3は印字部2の加熱放電型印字ヘッド、4は後述する表示媒体5の媒体基板6の媒体基板表面6aを一様に帯電させる印字部2の復元器、5は加熱放電型印字ヘッド3の放電による電荷の作用により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示装置1の表示媒体、7は表示媒体5の裏側(加熱放電型印字ヘッド3と対向する面と反対側の面)に配設され加熱放電型印字ヘッド3と表示媒体5間に電界をかけるための接地電極部、7aは接地電極部表面である。
加熱放電型印字ヘッド3は表示媒体5に対して相対的に移動することにより画像を形成するが、表示媒体5が有限長のシート(開ループ)状であれば加熱放電型印字ヘッド3や復元器4を移動させ、表示媒体4が無限長のエンドレスループ(閉ループ)状であれば表示媒体4を移動させることが好ましい。図1では表示媒体5がシート(開ループ)状であり、加熱放電型印字ヘッド3が移動する場合を示しているが、表示媒体5を移動させた場合でも表示媒体5に対して画像を形成する原理は同様である。
加熱放電型印字ヘッド3は印加する電圧の極性により、放電の際に正負どちらのイオン照射も可能であるが、ここでは負のイオン照射により表示媒体5の媒体基板表面6a側から書き込みを行う場合について説明する。
加熱放電型印字ヘッド3によれば、静電潜像の形成以外に酸化還元反応による画像の形成も可能である。また放電に伴う発光によれば、紫外線や可視光線等で画像を形成するフォトクロミック化合物を用いたデジタルペーパ等にも記録を行うことができる。
次に、表示媒体5に書き込んだ画像の書き換え手順について説明する。
まず、印字部2の復元器4により、表示媒体5の表面を画像の書き込みの際とは逆極性に一様に帯電させる。これにより、表示媒体5の表示内容を全て消去して初期化する(白紙状態に戻す)復元処理を行うことができる。復元器4としては、帯電ローラや帯電ブラシ等が好適に用いられる。
次に、加熱放電型印字ヘッド3でイオン照射すると、電荷の作用により表示媒体5に可視像が出現する。
加熱放電型印字ヘッド3と繋いで表示媒体5に電界をかけるために、表示媒体5の裏面側(画像を書き込む側の反対側)には、接地電極部7が設けてある。電界をかけることが電荷による作用を促進するものと思われ、表示媒体5の電界がかかった部分では電荷のエネルギーを利用して確実に表示媒体5に可視像を出現させることができる。
前述のように表示媒体5の表示内容を書き換える際の前処理として、表示媒体5の復元処理を行う必要があるが、復元器4を用いる代りに、加熱放電型印字ヘッド3により、画像形成時と逆極性の正のイオン照射で表示媒体5になぞり書きしてもよい。これにより、表示媒体5に表示中の画像を白紙化(初期化)して消去することができる。
尚、加熱放電型印字ヘッド3を用いてなぞり書きをする際のずれ防止対策としては、一度書き込んだ画像の領域よりも広い領域、例えば一定の幅だけ広げた拡張なぞり書き領域に対して逆極性のなぞり書きをすればよい。
次に、加熱放電型印字ヘッドの詳細について説明する。
図2(a)は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す模式側面図であり、図2(b)は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドを示す要部模式斜視図である。
図2中、10はアルミニウム等の材質で形成した加熱放電型印字ヘッド3の放熱板、12はセラミック等の基板11に後述する発熱部や放電部13が積層され放熱板10に配設された加熱放電型印字ヘッド3のヘッド基板、13aは櫛歯状に形成された放電部13の複数の放電電極、13bは放電電極13aの一端部を接続する放電部13の共通電極、15はヘッド基板12とドライバIC14を備えた加熱放電型印字ヘッド3の放電制御装置、16は外部と電気的に接続するためのコネクタ17を備え放熱板10に配設されたプリント配線基板、18はドライバIC14及びプリント配線基板16を保護するために覆設されたICカバー、18aはICカバー18の背面に配設され放電部13の共通電極13bに電気配線(図示せず)で接続され放電電極13aに対して高電圧を供給する高圧基板である。
次に、ヘッド基板の構造について詳細を説明する。
図3は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部平面展開図であり、図4(a)は図3のA−A線矢視断面図であり、図4(b)は図3のB−B線矢視断面図であり、図5は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の要部分解斜視図である。
図3乃至図5中、19は複数の発熱用櫛歯電極19aに接続され基板11の上面に形成された発熱用共通導体パターン、19bは発熱用共通導体パターン19の上面に配設された発熱用共通電極、20は発熱用櫛歯電極19aと交互に基板11の上面に形成された発熱用個別電極、20aは発熱用個別電極20の端部に形成されたボンディングパッド、21は放電制御装置15の発熱部、21aは発熱用櫛歯電極19a及び発熱用個別電極20の上部に電気的に接続され形成された発熱部21の発熱体、21bは発熱用共通電極19b及び発熱用個別電極20の端部を除いて基板11の上面に覆設された発熱部絶縁膜、22は発熱体21aで加熱されることにより放電が発生する放電電極13aの放電発生部である。
尚、前述の放電部13は発熱部絶縁膜21bにより発熱体21aと絶縁され、複数の放電電極13aが発熱用個別電極20の位置に対応し発熱体21aに対向して形成されている。
次に、放電制御装置の構成について詳細に説明する。
図6は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドの放電制御装置の構成図である。
図6において、ヘッド基板12は放電部13と発熱部21とを有する。発熱部21と電気的に接続されたドライバIC14で発熱部21の発熱体21aの発熱を制御するのが加熱手段23である。加熱手段23により放電部13の放電電極13aへの加熱を制御することで、放電電極13aの放電発生部22からの放電を制御するのが加熱放電型印字ヘッド3の放電制御装置15である。
尚、ヘッド基板12に放熱板10を配設することで発熱部21で発生した熱を速やかに放熱板10に吸収させ、放熱板10から放熱することができる。これにより、発熱部21の急速冷却を可能にして加熱停止に対する応答性を向上させている。また、ドライバIC14等を熱から守ることができ信頼性に優れる。放熱板10の表面に溝等により凹凸を形成した場合、放熱板10の表面積を拡大することができ、放熱の効率性を向上させることができる。
次に、ヘッド基板の製造方法について詳細に説明する。
図7は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の発熱部形成工程を示す斜視図であり、図8は実施の形態1における表示装置の加熱放電型印字ヘッドのヘッド基板の放電部形成工程を示す斜視図である。
まず、発熱部形成工程について説明する。
図7において、セラミック等で長尺板状に形成された基板11の表面に金ペースト等の導体を印刷した後、エッチングにより発熱用共通導体パターン19で接続された複数の発熱用櫛歯電極19a及び発熱用個別電極20を形成する。その後、発熱用櫛歯電極19a及び発熱用個別電極20の上部にTaSiO、RuO等を印刷する等して帯状の発熱体21aを形成する。また、発熱用共通導体パターン19の上面には銀ペースト等を印刷する等して発熱用共通電極19bを形成する。
発熱用個別電極20の端部にはボンディングパッド20aを形成した。これにより、ワイヤボンディングによるドライバIC14との接続を容易に行うことができる。
尚、加熱手段23は従来の感熱式のファクシミリに使用されるサーマルプリントヘッドと同様の構成が好適に用いられる。この場合、既存のサーマルプリントヘッドの製造工程を踏襲でき、製造装置を流用して放電制御装置15を低コストで製造することができる。
本実施の形態では、発熱部21の発熱体21aを帯状に形成し、発熱用櫛歯電極19aと発熱用個別電極20を交互に配設し、各中央の1本の発熱用個別電極20とその両側の発熱用櫛歯電極19aとの間に通電することにより各々の放電電極13aの放電発生部22の位置に対応する発熱体21aの任意の箇所を選択的に発熱させ、放電電極13aを加熱する方式としたが、これに限定されるものではなく、各々の放電電極13aの放電発生部22を選択的に加熱できる構造であればよい。また、発熱部21を放電電極13aと絶縁し密着させて加熱する加熱手段23以外に、放電電極13aと離間して加熱するレーザや赤外線等を発熱部21として利用した加熱手段を用いることもできる。
次に、放電部形成工程について説明する。
図8において、発熱用共通電極19b及び発熱用個別電極20の各端部を除いて基板11の表面にガラス、セラミック、マイカ、合成樹脂等の絶縁体を印刷する等して発熱部絶縁膜21bを形成する。発熱部絶縁膜21bは発熱用共通電極19b、発熱用個別電極20、発熱体21a等を保護し、絶縁できるものであればよいが、発熱体21aの熱を効率よく放電電極13aに伝達することができるSiAl、SiO、SiC、ポリイミド、アラミド等の高熱伝導性のものが好適に用いられる。
発熱部絶縁膜21bの最適な膜厚は材質によるが、ガラスで形成する場合は4μm〜40μmに形成した。発熱部絶縁膜21bの膜厚が4μmより薄くなるにつれ絶縁性が低下し易くなる傾向があり、40μmより厚くなるにつれ放電部13に印加する印加電圧や発熱体21aの発熱量を増加させる必要があり省エネルギー性が低下し易くなる傾向があることがわかったためである。発熱部絶縁膜21bの膜厚を4μm〜40μmとすることで、絶縁性と熱伝導性の調和が取れ双方が良好で放電の安定性に優れる。
尚、発熱部絶縁膜21bの印刷を複数回に分けて行った場合、一回毎の塗りでピンホールが発生したとしても、ピンホール同士が重なる可能性を低減することができ、確実に発熱部21を絶縁することができるので信頼性に優れる。
次に、発熱部絶縁膜21bの上部に加熱手段23の発熱用個別電極20に対向した複数の放電電極13a及びそれらを接続する共通電極13bを形成する。放電電極13a及び共通電極13bの形成には、金、銀、銅、アルミニウム等の金属を、蒸着やスパッタや印刷で形成した後、エッチングしてパターン形成するものが好適に用いられる。また、その他にカーボン等の導電材料を用いてもよい。
尚、本実施の形態では放電電極13aを略矩形状に形成したが、台形状、砲弾状、半円形状あるいはこれらを組合せた形状等に形成することができる。また、放電電極13aの放電発生部22は縁周辺からの放電量が多いので、縁周辺の周長が長くなるように放電電極13aの外周周縁部に複数の凹凸部を形成してもよい。放電発生部22からの放電量を増加させることによりイオン照射量を増加させることができ、放電制御装置15の省エネルギー性、効率性に優れる。また、放電電極13aへの印加電圧を小さく設定できるので、放電電極13aの長寿命性にも優れる。
放電部13の内、加熱手段23の発熱部21による加熱位置近傍が放電発生部22となるが、その放電発生部22を除いて放電部13に被覆膜を覆設してもよい。放電電極13aの放電発生部22を除いて被覆膜を形成することにより、放電発生部22表面と被覆膜の表面との間に段差を形成することができる。その為、放電電極13aの放電発生部22と対向配置される表示媒体5とのギャップを一定に保つことができるので、放電電極13aの放電発生部22からの放電を安定させることができる。加えて、放電電極13aの放電発生部22に表示媒体5が接触するのを防止することができ信頼性に優れる。
図2に示した端面型の加熱放電型印字ヘッド3は、放電電極13aの放電発生部22が、ドライバIC14が配置された基板11の端面部11aにあるのが特徴である。放電電極13aの放電発生部22の表面が表示媒体5と略平行になるように加熱放電型印字ヘッド3を配置した場合でも、表示媒体5とドライバIC14やICカバー18が干渉することがない。表示媒体5に対して直交した状態で画像を書き込むことができるので、表示装置1に使用するには最適な形状をしていると言える。
また、加熱放電型印字ヘッド3を走査させて画像を形成する場合、加熱放電型印字ヘッド3と高圧基板18aを一体に移動させることができるので、電気配線に負荷などがかかり難く、導通不良の発生を低減できる。
尚、本実施の形態では基板11を平板状に形成したが、基板11の端面部11aを基板11の表面側に折曲する等して基板11を略L字型やく字型に形成してもよい。また、放電電極13aの放電発生部22の配置方式としては、ドライバIC14が配置された基板11の縁部に放電電極13aの放電発生部22を配置するエッジ型としてもよい。放電電極13aの放電発生部22を傾斜状に面取りされた基板11の縁部に配置するので製造が容易で生産性に優れると共に、ドライバIC14と放電電極13aの放電発生部22とが鈍角をなすので、高さ方向に嵩張らずに端面型と同様の作用を得ることができる。
次に、表示装置の詳細について説明する。
図9は実施の形態1における表示装置を示す要部模式断面図である。
図9中、24aは表示媒体5の媒体基板6側に配設された光源部、24bは表示媒体5の接地電極部7側に配設された光源部である。
図9に示す表示装置1は、シート型の表示媒体5を固定し、印字部2を移動させて表示媒体5に画像を形成する構成である。このように表示媒体5を固定式にすると、表示媒体5を搬送するための表示媒体搬送手段が不要で表示装置1を小型化できると共に、表示装置1の表示画面と略同等の大きさの表示媒体5全体を無駄なく有効に利用して画像の書き込みを行うことができ、表示媒体5を節約することができる。
表示装置1では、表示媒体5の接地電極部7が表示装置1の表示画面側(人が見る面)であるので、接地電極部7は透明でなければならない。後述するように、媒体基板6が液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を有する場合は、実線で示すように光源部24aを表示媒体5の表示画面の裏側(媒体基板6側)に設置してバックライトとして用いれば、夜間でも光源部24aからの透過光を利用して省電力で表示画面の輝度を保持することができる。また、表示媒体5が液晶シャッター機能を有していない場合は、破線で示すように光源部24bを表示媒体5の表示画面側(接地電極部7側)に設置し、光源部24bからの反射光を利用して表示画面を照らし出すことができる。
尚、印字部2が表示装置1の表示画面の裏側(人が見る面の反対側)に配置されるので、印字部2が外部から見えないように表示装置1の内部に隠すことができ、表示装置1の外観上の見栄えを良くすることができる。
次に、表示媒体の詳細について説明する。
まず、表示媒体の画素の構成について説明する。
図10(a)は実施の形態1における表示装置の表示媒体の一画素の構成を示す要部模式分解図である。
図10(a)中、6bは液晶シャッター機能を有する媒体基板6の基板本体、6cは一つの画素を三分割し表示原色として加法混色法における三原色(R,G,B)を縞模様状に配置した媒体基板6のカラーフィルタである。尚、接地電極部7は透明である。
接地電極部7が透明なので基板本体6bの液晶シャッター機能を活かして、表示媒体5全体における光の通過・遮断を制御することができる。これは液晶のカラー化の方法と同様であり、画素単位で光源部24aからの透過光を利用した所望の色を表示することができる。
透過光を利用する場合、表示原色は少なくとも加法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。無論、四色になれば媒体基板6における画素は四分割し四色の表示原色が配置されたカラーフィルタを対応させることになる。
本実施の形態では、表示原色の各色を縞模様状に配置することにより、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を容易にし、色ずれを防止しているが、表示原色の配置はこれに限定されるものではなく、千鳥状など他の配置方法でもよい。
次に、表示媒体の表示原色及び指標の配置について説明する。
図10(b)は実施の形態1における表示装置の表示媒体の表示原色及び指標の配置を示す平面透視図である。
図10(b)中、8a,8bは表示媒体5における基板本体6bの基板表面6aの余白部分にカラーフィルタ6cの表示原色の長手方向と平行方向及び表示原色の長手方向と直交方向にそれぞれ配設された加熱放電型印字ヘッド3の位置合わせのための指標である。
ここでは、表示原色として加法混色法における三原色(R,G,B)を取り上げているが、黒を含めた四原色等の場合や、表示原色が減法混色法における三原色(Y,M,C)の場合などにおいても、指標8a,8bの配置については同様である。
表示媒体5の基板表面6aの余白部分に表示原色の縞模様に沿って指標8aを設ける理由は、指標8aの傾きを読み取ることによって表示原色の縞模様の傾きを知るためである。指標8aの傾きを読み取るには、例えば加熱放電型印字ヘッド3の動きに連動するようにスキャナーを設けておけば良い。
表示媒体5に画像を書き込む加熱放電型印字ヘッド3の走査は、通常は表示原色の縞模様に沿って行われる。加熱放電型印字ヘッド3の走査に先立ち、予め加熱放電型印字ヘッド3を移動させて指標8aの傾きを読み取っておけば、実際の走査の段階では表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御が可能となる。表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御を厳密に行えるので、色ずれを極力防止できる。
表示原色の縞模様に直交させて指標8bを設けることにより、加熱放電型印字ヘッド3をシリアル走査させる場合に、各表示原色の先端の傾きを補正することができる。
指標8a,8bの両方を設けることにより、加熱放電型印字ヘッド3のシリアル走査一回毎に表示原色の縞模様の傾きを考慮した制御を行うことができ、色ずれ防止の精度を向上させることができる。
次に、表示媒体の変形例について説明する。
図11は実施の形態1における表示装置の表示媒体の第1の変形例を示す一画素の要部模式分解図である。
図11における第1の変形例の表示媒体5aが実施の形態1と異なるのは、媒体基板6に液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)が備わっていない点と、媒体基板6に一つの画素を三分割し表示原色として減法混色法における三原色(Y,M,C)が縞模様状に配置されている点である。尚、接地電極部7は実施の形態1と同様に透明にしてもよいし、不透明にしてもよい。
表示媒体5aは媒体基板6の反射光を利用して表示媒体5a全体における色を表示する。媒体基板6の表示原色(Y,M,C)は、例えば、三原色それぞれの色彩を持つツイストボールのカプセルや電気泳動カプセル等で形成される。そして、画素単位で光源部24bからの反射光を利用した所望の色を表示する。
反射光を利用する場合、表示原色は少なくとも減法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。無論、四色になれば媒体基板6における画素は四分割して四色の表示原色が配置された媒体基板を対応させることになる。
なお、加熱放電型印字ヘッド3の解像度が、三原色それぞれの色彩を持つツイストボールのカプセルや電気泳動カプセル等の画素の一色分の大きさよりも粗い場合は、加熱放電型印字ヘッド3の解像度と表示媒体5aの画素の一色分の大きさが合うように、一画素当たりに複数個のツイストボールのカプセルや電気泳動カプセル等を配置すればよい。
図12は実施の形態1における表示装置の表示媒体の第2の変形例を示す平面模式図である。
図12における第2の変形例の表示媒体5bが第1の変形例と異なるのは、表示原色の画素における各色の合成による表示色を用いる代りに、表示媒体5b全体を三つのブロックに分割し、ハッチングで示したように各ブロックの画素全体に単色表示(モノカラー表示)のための異なる表示色を割り当てた点である。黒色表示(モノクロ表示)は単色表示の一種であり、単色表示は黒色表示(モノクロ表示)の黒色を他の色に取り替えたものと言える。
画素全体を単色表示にすることにより、表示原色の画素における各色の合成による表示色に比べ、鮮明度を向上させることができる。
図12においては、表示媒体5bを三つのブロックに分割し、各ブロック単位に異なる表示色を配置したが、表示媒体5bの分割数や分割した各ブロックで表示する表示色は任意に選択することができる。例えば、各ブロック単位で減法混色法における表示原色と同じ表示色(Y,M,C)を割り当てたり、加法混色法における表示原色と同じ表示色(R,G,B)を割り当てたりして各ブロック単位でモノカラー表示を行うこともできる。また、表示媒体5b全面で同一の表示色による単色表示を行うようにしても良い。
次に、表示装置の変形例について説明する。
図13は実施の形態1における表示装置の変形例を示す要部模式背面図である。
図13における変形例の表示装置1aが実施の形態1と異なるのは、二つの印字部2を備えている点である。
二つの印字部2を備えることにより、複数の加熱放電型印字ヘッド3で並行して書き込みを行うことができ、表示媒体5への画像の書き込み速度を向上させることができる。
表示装置1aの表示画面の書き換えに要する時間を短縮することができると共に、静止画の切替え時間を短縮することができる。
また、一方の加熱放電型印字ヘッド3を画像の書き込みに使用し、他方の加熱放電型印字ヘッド3を画像の消去に使用することもできる。その場合、復元器4は不要とすることができる。
以上のように実施の形態1における表示装置によれば、以下の作用を有する。
(1)印字部2に加熱放電型印字ヘッド3を備えているので、放電の作用により可視像が出現するデジタルペーパ等の表示媒体5に画像を記録することができる。
(2)加熱放電型印字ヘッド3で表示媒体5に書き込んだ画像は、印字用紙に印字したものと同様に全く電力の消費を伴わずに保持でき省エネルギー性に優れる。
(3)加熱放電型印字ヘッド3において、放電制御電圧(印加しただけでは放電が起こらないで、加熱することにより放電が起こる電圧域を言う)が印加された放電電極13aを加熱手段23で加熱制御することにより、加熱された放電電極13aの放電発生部22から熱電子が放出されると共に放電や発光が起こり、イオン生成可能な雰囲気中においてはイオン発生量を制御することができ、静電現像方式のデジタルペーパ等の表示媒体5に記録を行うことができる。
(4)加熱制御により加熱放電型印字ヘッド3からの放電に伴うイオン発生量や発光強度を制御できるので、表示媒体5上での面積階調が容易になり、画像品質を向上させることができる。
(5)加熱手段23が発熱体21aを有する発熱部21と発熱体21aの発熱を制御するドライバIC14を備えているので、発熱体21aの発熱を低電圧で制御して発熱した発熱体21aに対応する放電電極13aを加熱することができ、画像記録の制御が容易で実用性に優れる。
(6)加熱手段23の発熱部21が発熱部絶縁膜21bを介して放電電極13aに密着しているので、加熱手段23と放電部13を一体に取扱うことができ、加熱放電型印字ヘッド3の取扱いが容易で、表示装置1の組立作業性に優れる。
(7)加熱手段23の発熱部21に発熱部絶縁膜21bが覆設されているので、発熱部21を放電電極13aに密着させることができ、画像記録に必要な消費電力を低減でき省エネルギー性に優れる。
(8)加熱手段23を有するので、放電部13に常時、放電制御電圧を印加し、発熱体21aの低い発熱温度を放電電極13aに付与することにより放電させることができ、画像形成時の省エネルギー性に優れる。
(9)放電部13に電気的に接続された高圧基板18aを有することにより、放電制御電圧を印加するための電気配線を短くすることができ、信頼性を向上させることができる。特に、加熱放電型印字ヘッド3を走査させて画像を形成する場合、加熱放電型印字ヘッド3と高圧基板18aを一体に移動させることができるので、電気配線に負荷などがかかり難く、導通不良の発生を低減できる。
(10)高圧基板18aを加熱放電型印字ヘッド3と一体に取扱うことができ、電気配線の取り回しが不要なので表示装置1への組込みが容易で量産性に優れる。
(11)印字部2の復元器4で表示媒体5の白紙化を行うことができ、表示媒体5の表示内容を書き換える際の前処理が容易で実用性に優れる。
(12)画像を書き込む側の表示媒体5の裏側の接地電極部7を透明にすることにより、接地電極部7側を表示画面の表側にすることができるので、書き込む側の印字部2を外部から見えないように表示装置1の内部に隠すことができ機能性、実用性に優れる。
(13)表示媒体5を固定し加熱放電型印字ヘッド3を移動させて表示媒体5に画像を書き込む構成なので、表示画面の大きさの表示媒体5しか必要とせず、表示装置1全体も小型化することができ、生産性、省スペース性に優れる。
(14)表示媒体5の基板本体6bが液晶シャッター機能を有し、接地電極部7が透明な場合、表示装置1に備えた光源部24aをバックライトとして透過光を利用することができる。
(15)表示媒体5の基板本体6bが液晶シャッター機能を有し、接地電極部7が透明な場合、表示原色が少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であるカラーフィルタ6cを備えることにより、透過光を利用した加法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
(16)一つの画素を三分割し表示原色を縞模様状に配置したカラーフィルタ6cを用いた場合、表示原色の画素における表示色(各色の合成による)の制御が容易で色ずれを低減でき、高画質の表示画面を得ることができる。
(17)カラーフィルタ6cの表示原色の長手方向と平行方向に配設された指標8a及び表示原色の長手方向と直交方向に配設された指標8bを有することにより、容易に加熱放電型印字ヘッド3の位置合わせを行うことができ、各表示原色の発色の制御が厳密に行えるので、色ずれ防止の精度を向上させることができ信頼性に優れる。
(18)液晶シャッター機能を有していない表示媒体5aを用いる場合、光源部24bからの反射光を利用することができる。
(19)液晶シャッター機能を備えていない表示媒体5aの場合、表示原色が少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)である構成とすることにより、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
(20)分割した各ブロック単位で単色表示可能な表示媒体5bを用いる場合、分割した各ブロック単位でモノカラー表示が可能になる。
(21)印字部2に複数の加熱放電型印字ヘッド3を備えた場合、各々の加熱放電型印字ヘッド3で並行して表示媒体5への画像の書き込みを行うことができ、表示画面の書き換えに要する時間を短縮できる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における表示装置について、以下図面を参照しながら説明する。
図14(a)は実施の形態2における表示装置を示す要部模式断面図である。
図14(a)において、本発明の実施の形態2における表示装置1bが実施の形態1と異なるのは、印字部2がエンドレスループ状に形成された表示媒体5cの外側で表示画面側と反対側(表示装置1bの裏側)に固定されている点と、表示媒体5cが表示媒体搬送手段のローラ25a,25bの周りに巻回されて回動自在に配設されている点である。
尚、ローラ25a,25bのいずれか一方にはローラ25a,25bを回動させるための表示媒体搬送手段のローラ駆動部(図示せず)が連設されている。
印字部2は媒体基板6の基板表面6aに対向して固定されているが、表示媒体搬送手段のローラ25a,25bにより表示媒体5cを移動させることで画像の書き込みを行うと共に、形成された画像を表示画面側に移動させて表示させることができる。
表示媒体5cをエンドレスループ状にすることで接地電極部7bを表示媒体5cの輪の内側(表示画面の裏側に位置する側)に配置したことにより、媒体基板6側が表示装置1bの表示画面側(人が見る面)となるので、接地電極部7bは不透明であっても差し支えない。
接地電極部7bが不透明であれば光を透過しないので、光源部24aを表示媒体4の表示画面側(表示装置1bの表側)に設置し、光源部24aからの入射光を媒体基板4aで反射させ反射光により表示画面を照らし出せば良い。
次に、表示媒体の詳細について説明する。
図14(b)は実施の形態2における表示装置の表示媒体の一画素の構成を示す要部模式分解図である
図14(b)において、実施の形態2における表示装置の表示媒体5cが実施の形態1における表示装置の表示媒体5と異なるのは、媒体基板6がカラーフィルタ6cの代わりに、一つの画素を三分割し表示原色として減法混色法における三原色(Y,M,C)を縞模様状に配置した反射層6dを備えている点である。
表示媒体5cの基板本体6bは液晶シャッター機能(光を通過・遮断する機能)を備えているが、接地電極部7bが不透明なので、表示媒体5c全体における光の通過・遮断を制御することはできない。そのため、表示画面は画像の書き込み側と同じ媒体基板6の基板表面6a側である。表示媒体5cにおいては基板本体6bの液晶シャッター機能が活かせるので、媒体基板6の反射光を利用して表示媒体5c全体における色を表示する。
光源部24aから媒体基板6に入射した光は、基板本体6bのシャッターが閉じている場合は基板本体6b内部で反射して白を表示し、シャッターが開いている場合は基板本体6bの奥の反射層6dで反射した反射光の色を表示する。媒体基板6が画素単位で三原色それぞれの色彩を持つ反射層(背景色)6dを備えることにより、画素単位で光源部24aからの反射光を利用した所望の色を表示することができる。
表示原色は少なくとも減法混色法における三原色が必要であるが、必要に応じて黒等を含めても良い。無論、四色になれば媒体基板6における画素は四分割して四色の表示原色の反射層を対応させることになる。
以上のように実施の形態2における表示装置によれば、実施の形態1に加え、以下の作用を有する。
(1)表示媒体5cをエンドレスループ状にすることで接地電極部7b側を表示媒体5cの輪の内側(表示画面の裏側に位置する側)に配置し、表示媒体5cの輪の外側(画像表示時に表示画面側に露出する面)から表示媒体5cに書き込むことができるので、接地電極部7bの透明性は必ずしも必要ではなく、接地電極部7bの材料の選択の幅を広げることができ、設計自在性、生産性に優れる。
(2)媒体基板6が、一つの画素を三分割し表示原色として減法混色法における三原色(Y,M,C)を縞模様状に配置した反射層6dを備えているので、反射光を利用した減法混色法による表示画面のカラー化に対応できる。
(3)表示媒体搬送手段のローラ25a,25bにより表示媒体5cを移動させながら画像の書き込みを行うことができ、表示媒体5cの内の新たな画像(切替え用の画像)が形成された領域を表示画面に移動させて画像を表示することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における表示装置について、以下図面を参照しながら説明する。
図15は実施の形態3における表示装置を示す要部模式断面図である。
図15において、本発明の実施の形態3における表示装置1cが実施の形態2と異なるのは、印字部2及び光源部24aがエンドレスループ状に形成された表示媒体5の輪の内側に固定されている点と、表示媒体5の媒体基板6側が輪の内側に配置され接地電極部7側が輪の外側に配置されている点である。
尚、表示媒体5の構成は実施の形態1と同様であり、図10(a)に示した通りであるので、詳細な説明は省略する。
接地電極部7が透明であり媒体基板6も液晶シャッター機能を有するので、印字部2と共に光源部24aをエンドレスループ状の表示媒体5cの輪の内側に設置し、光源部24aからの透過光により表示画面を照らし出せば良い。
以上のように実施の形態3における表示装置によれば、実施の形態1又は2に加え、以下の作用を有する。
(1)印字部2及び光源部24aをエンドレスループ状の表示媒体5cの輪の内側に設置できるので、表示装置1cをコンパクト化できると共に、表示装置1cの外部に凹凸等がなく、取扱いが容易で設置自在性に優れる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における表示装置について、以下図面を参照しながら説明する。
図16は実施の形態4における表示装置を示す要部模式断面図である。
図16において、本発明の実施の形態4における表示装置1dが実施の形態2と異なるのは、印字部2が印字部移動手段(図示せず)により表示媒体5cに対して回動自在に配設されている点である。また、26は表示装置1dの制御部である。
表示媒体5cの構成は実施の形態2と同様であり、図14(b)に示した通りであるので、詳細な説明は省略する。
印字部2が表示媒体5cに対して移動自在であるので、表示装置1dの表示画面側で画像を表示している間に、制御部26は表示装置1dの裏側で印字部2を移動させ、加熱放電型印字ヘッド3により次に表示する切替え用の画像の書き込みを行うことができる。
制御部26は加熱放電型印字ヘッド3による画像の書き込み終了後に、表示媒体搬送手段のローラ25a,25bを回動し、表示媒体5cの切替え用の画像が形成された領域を表示画面側に移動させ、画像の切替えを行うことができる。
画像の切替えは、制御部26のタイマーにより行うか或いは加熱放電型印字ヘッド3の書き込みの終了に合わせて行うことができる。タイマーにより画像の切替えを行う場合、加熱放電型印字ヘッド3による画像の書き込みに要する時間よりも長目の画像切替え間隔を設定することにより、自動的に画像の切替えを行うことができる。
加熱放電型印字ヘッド3の書き込みの終了に合わせて画像の切替えを行うようにした場合、画像の書き込み終了時に即座に画像の切替えを行うことができ、待ち時間を短縮できる。
尚、画像の切替えは、切替え用の画像全体の書き込み終了後に画像全体を一度に切替えるようにすることもできるし、加熱放電型印字ヘッド3が一行乃至複数行の書き込みを行う度に、書き込みが終了した部分だけを断続的に表示画面側に移動させて画像を少しずつ切替えるようにすることもできる。
以上のように構成された本発明の実施の形態4における表示装置1dの画像表示方法について説明する。
まず、画像形成工程において、表示装置1dの画像表示中に印字部2を移動させながら加熱放電型印字ヘッド3により切替え用の画像の書き込みを行う。尚、表示媒体5cに既に画像が形成されている場合は、復元器4による初期化を行った上で切替え用の画像の書き込みを行う。
図16の破線で示した矢印の方向に印字部2を移動させる場合は、復元器4による初期化に続けて加熱放電型印字ヘッド3による切替え用の画像の書き込みを行うことができる。印字部2は破線で示した矢印の方向と逆方向にも移動可能であり、その際にも加熱放電型印字ヘッド3による画像の書き込みや復元器4による初期化を行うことができる。
次に、画像切替え工程において、表示媒体搬送手段のローラ駆動部(図示せず)でローラ25a,25bの一方を回動させ、表示媒体5cを実線で示した矢印の方向に搬送することにより、表示装置1dに表示中の画像と前工程の画像形成工程で形成された切替え用の画像とを切替える。
制御部26により画像形成工程と画像切替え工程を繰り返し行うことで、順次、静止画像を切替えて表示装置1dの画像表示を行うことができる。
次に、表示装置の変形例について説明する。
図17は実施の形態4における表示装置の変形例を示す要部模式断面図である。
図17において、本発明の実施の形態4における表示装置1eが実施の形態4と異なるのは、印字部2及び光源部24aがエンドレスループ状に形成された表示媒体5の輪の内側に固定されている点と、表示媒体5の媒体基板6側が輪の内側に配置され接地電極部7側が輪の外側に配置されている点である。
尚、表示媒体5の構成は実施の形態1と同様であり、図10(a)に示した通りであるので、詳細な説明は省略する。
また、表示装置1eの画像表示方法は実施の形態4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
尚、制御部26も印字部2及び光源部24aと共に表示媒体5の輪の内側に配置することができ、表示装置1eをコンパクト化できる。
加熱放電型印字ヘッド3や復元器4が表示媒体5,5cの幅に対応できるだけの幅を有する場合、表示媒体5,5cに対して印字部2を相対的に移動させる矢印の方向のみに走査させるだけで、表示媒体5,5cに画像を書き込むことができる。表示装置1d,1eの表示画面を大型化する際などに、加熱放電型印字ヘッド3や復元器4の幅が表示媒体5,5cの幅より狭くなる場合には、印字部移動手段で印字部2にシリアル走査を行わせることで、表示媒体5,5cの幅全体に対して画像の書き換えを行うことができる。
画像形成工程と画像切替え工程を繰り返し行うことで、静止画像の切替えを行う画像表示方法を用いる表示装置1d,1eにおいては、画像を切替えるまでに切替え用の画像の書き込みが完了すれば良いので、小型の加熱放電型印字ヘッド3でシリアル走査しながら画像を形成しても待ち時間が問題になることはない。加熱放電型印字ヘッド3を小型化することができ量産性に優れる。
以上のように実施の形態4における表示装置によれば、実施の形態2又は3に加え、以下の作用を有する。
(1)印字部移動手段で加熱放電型印字ヘッド3や復元器4を移動させることにより、停止中の表示媒体5,5cに対する画像の書き込みや復元処理を行うことができる。
(2)表示装置1d,1eの画像表示中に表示画面側(表示装置1d,1eの表側)から隠れた部分で表示媒体5,5cに切替え用の画像の書き込みを行うことができ、静止画の切替えの際に表示媒体搬送手段のローラ25a,25bでエンドレスループ状の表示媒体5,5cを移動させるだけで、あたかも紙芝居のように静止画を迅速に切替えることができる。
(3)制御部26により、印字部2による画像の書き込み及び復元処理とローラ25a,25bによる表示媒体5,5cの搬送とを自動的に繰り返すことができ、定期的或いは不定期に表示画面で表示する画像の切替えを行うことができる。
以上のように実施の形態4における表示装置の画像表示方法によれば、以下の作用を有する。
(1)表示装置1d,1eの画像表示中に表示媒体5,5cに切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程を有するので、画像の表示を行っている停止中の表示媒体5,5cに対する画像の書き込みを行うことができる。
(2)表示媒体5,5cに形成した表示装置1d,1eに表示中の画像と切替え用の画像を切替える画像切替え工程を有するので、前工程の画像形成工程で形成された切替え用の画像を表示装置1d,1eの表示画面側に移動させて画像の切替えを行うことができる。
(3)画像形成工程と表示媒体移動工程を繰り返し行うことにより、順次、静止画像の切替えを行うことができるので、表示装置1d,1eが大画面であっても省電力でかつ静止画の切替えを迅速に行うことができ、映画の看板代わりに使用すれば、代表的なシーンの静止画を定期的或いは不定期に書き換えて表示することもできる。
本発明は、表示画面の大画面化と高繊細化とを両立させることができ実用性、視認性に優れると共に、静止画の表示の際には通電が不要で省エネルギー性に優れる表示装置の提供、及び表示画面の切替えに要する時間を短縮することができる機能性に優れる表示装置の画像表示方法の提供を行うことができ、広告表示媒体等として好適に利用することができる。

Claims (12)

  1. (a)放電電極を有する放電部と、前記放電電極を加熱するための発熱部を有する加熱手段と、を備え、放電制御電圧が印加された各々の前記放電電極の温度を制御することにより放電の発生制御を行う加熱放電型印字ヘッドを搭載した印字部と、(b)前記加熱放電型印字ヘッドからの放電により可視像が出現する表示媒体と、を備えたことを特徴とする表示装置。
  2. 前記印字部が、前記表示媒体の表示内容を初期化して復元処理を行う復元器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記表示媒体が、前記加熱放電型印字ヘッドと対向する面と反対側の面に配設された接地電極部又は正電圧印加部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
  4. 前記表示媒体の表面側若しくは裏面側の内のいずれか一方に配設された光源部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の表示装置。
  5. 前記表示媒体の表示原色が、少なくとも加法混色法における三原色(R,G,B)であることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の表示装置。
  6. 前記表示媒体の表示原色が、少なくとも減法混色法における三原色(Y,M,C)であることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の表示装置。
  7. 前記表示原色の各色が、前記表示媒体に縞模様状に配置されたことを特徴とする請求項5又は6に記載の表示装置。
  8. 前記表示媒体が、縞模様状に配置された前記表示原色の長手方向と平行方向又は直交方向の少なくともいずれか一方に配設された指標を備えたことを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
  9. 前記表示媒体の全面あるいは前記表示媒体を分割した各ブロック単位で単色表示を行うことを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の表示装置。
  10. 前記印字部を移動させる印字部移動手段又は前記表示媒体を搬送する表示媒体搬送手段の少なくともいずれか一方を備えたことを特徴とする請求項1乃至9の内いずれか1項に記載の表示装置。
  11. (a)前記表示媒体搬送手段が、少なくとも二つのローラと、前記ローラの内の少なくともいずれか一つのローラを回動させるローラ駆動部と、を有し、(b)前記表示媒体が、前記ローラの周りにエンドレスループ状に巻回されていることを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
  12. (a)請求項11に記載の表示装置の画像表示中に前記表示媒体に切替え用の画像の書き込みを行う画像形成工程と、(b)前記表示媒体に形成した前記表示装置に表示中の画像と前記切替え用の画像とを切替える画像切替え工程と、を備えたことを特徴とする表示装置の画像表示方法。
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